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営業概況
営業概況 楽器事業 事業の強み ● ピアノ、管楽器などのアコースティック楽器における音づくりとクラフトマンシップ ● アーティストリレーション活動を通じた高品質商品の開発 ● 最先端のエレクトロニクス技術を駆使した付加価値の高い楽器づくり ● PA 機器などでのデジタル・ネットワーク技術を生かしたシステムソリューションの提供 ● 各国に根ざした販売現地法人を通じたグローバルな営業・サービス展開 ● 音楽教室展開による楽器演奏人口の拡大、音楽普及活動 2010 年 3月期の業績概況 売上高は2,762 億 52 百万円(前期比 9.9% 減少)、営業利益は51 億 17 百万 円(前期比 73.3% 減少)。 景気減速による市場の低迷と円高影響を受け、すべての主要商品群で前期 比減収となりました。地域別では、中国など新興国市場は継続して成長しまし たが、日本及び北米・欧州といった先進国市場では前期比減収となりました。 営業利益は、経費削減効果はあったものの、減収に加え、為替損の発生などで 売上高/営業利益 (単位:百万円) 400,000 40,000 300,000 30,000 200,000 20,000 100,000 10,000 対前期大幅減益となりました。 主要指標推移 (単位:百万円) 売上高 営業利益 設備投資額 減価償却費 研究開発費 06/3 07/3 08/3 09/3 10/3 ¥314,078 14,132 11,877 8,632 11,356 ¥325,989 22,037 14,817 9,242 11,437 ¥340,021 27,924 16,472 10,156 11,597 ¥306,630 19,198 14,793 10,042 10,780 ¥276,252 5,117 11,663 9,511 9,910 0 0 06/3 07/3 08/3 09/3 10/3 ■ 売上高(左軸) ■ 営業利益(右軸) 2010 年 3月期の業績 弦・打楽器では、エレクトリック・アコースティックギターが伸長 商品別レビュー し、北米を中心にシェアを伸ばしました。 全体としては、景気の減速に伴い、各商品群とも苦戦しました。 PA 機器は、景気低迷による設備物件の予算規模縮小、投資中 期後半では、個人消費に回復の兆しが見え始めたものの、個人 止などの影響を受け、北米・欧州で前期を下回りました。 向け以外の設備関連、教育機関向け販売は期を通じて低調に推 移しました。 エレクトリック・アコースティックギター: ピアノは、日本では、グランドピアノなど高額品の受注が低迷 APX500FM し、苦戦しました。欧州も、市況の悪化により売り上げが低迷しま 市場規模が縮小する中で、ヤマハエレクトリック・ アコースティックギターはお客様の支持を集め、 ヤマハの市場シェアが高まりました。 したが、中国では、引き続き2 桁の成長を果たしました。 電子ピアノは、販路の拡充が奏功した北米では台数、金額とも 前期を上回ったものの、低価格志向が急速に進行した日本と欧州 で売り上げが減少しました。ポータブルキーボードは、大きく売り 上げに寄与する新モデルがなかったことに加え、景気の悪化によ り、欧州で苦戦しました。 管楽器はすべての地域で減収となりました。特に、日本・北米 の個人向け中高級品販売が落ち込んだほか、北米ではレンタル 市場向け需要も低迷しました。 18 Yamaha Corporation 電子ピアノ:ARIUS® YDP-160 入門層をターゲットとして、より弾き 応えのあるピアノ音と、レッスンに役 立つ機能に絞った、シンプルな電子 ピアノが時代のニーズにフィットし、 好評を博しました。 地域別レビュー 日本 地域別売上高 (単位:億円) 2010/03 1,254 市場動向と2010 年 3 月期の業績概況 ● 日本では、少子化の進行やピアノの普及率の高さから、この 30 年でアコースティックピアノの市場 規模が10 分の 1 以下まで縮小するなど、楽器の総需要は漸減傾向にあります。 2009/03 ● 全体的に景気後退の影響を受け、低価格志向が続き、中高級大型鍵盤楽器の需要が減少しました。 2008/03 ピアノでは、特に、グランドピアノが不振でした。電子ピアノは普及価格帯商品が堅調でしたが、中 2007/03 高級品が苦戦しました。管楽器についても、高級品の買い控えや下位モデルへのシフトが顕著で売 2006/03 り上げ減少となりました。 ■ ヤマハ楽器 ■ 音楽教室他 北米 地域別売上高 2010/03 (単位:億円) 市場動向と2010 年 3 月期の業績概況 ● 米国では、住宅市場が大幅に減速する環境下で、高級グランドピアノ市場が急激に縮小するととも 421 に、販売店の淘汰が加速しています。楽器市場は、3 分の1をギターやドラムが占め、趣味、エンター 2009/03 テインメント的色彩が濃い市場といえます。 2008/03 ● 期の後半からは、鍵盤楽器の販売が回復してきたものの、管楽器では、教育関連投資の抑制による 2007/03 低迷がつづきました。ギターは、市場縮小の中で、エレクトリック・アコースティックギターがシェアを 2006/03 伸ばしました。PA 機器は、設備音響市場の投資冷え込みにより大幅に売り上げが減少しました。 ■ ヤマハ楽器 ■ 音楽教室他 欧州 地域別売上高 市場動向と2010 年 3 月期の業績概況 ● 欧州は、景気回復の遅れから高額商品の買い控えと低価格志向により、楽器市場は縮小しました。 530 ● ドイツは、電子ピアノの新モデルの健闘などにより比較的堅調だったものの、イギリスでは、中国製 2009/03 管楽器の台頭により売り上げが減少したほか、東欧及び南欧は経済危機の影響が色濃く、前年割れ 2008/03 Performance 2010/03 (単位:億円) となりました。商品では特にピアノとPA 機器が苦戦を強いられました。 2007/03 2006/03 ■ ヤマハ楽器 ■ 音楽教室他 中国 地域別売上高 2010/03 (単位:億円) 市場動向と2010 年 3 月期の業績概況 ● 中国本土の楽器市場規模は推定600 億円以上で、そのうち3 分の2をアコースティックピアノが占め 147 ています。 2009/03 ● ピアノ、ポータブルキーボードが好調に売り上げを伸ばし、ピアノは3 期連続の2 桁成長を持続しまし 2008/03 た。杭州ピアノ工場の増産体制構築に加え、 「ヤマハピアノコーナー」を設置した店舗を増強するな 2007/03 どの販売網政策が奏功し成長を牽引しました。香港市場は、期前半では景気減速影響を受けました 2006/03 が、夏以後は復調しました。また、PA 機器も順調に売り上げを伸ばしました。 ■ ヤマハ楽器 ■ 音楽教室他 その他の地域 地域別売上高 2010/03 2009/03 2008/03 2007/03 2006/03 (単位:億円) 411 市場動向と2010 年 3 月期の業績概況 ● 世界金融危機により各国・地域の景気も悪化し、顧客の低価格志向は継続しています。路面店から ショッピングモール店へ、個人商店から大型量販店へと、顧客購買行動の変化が加速しています。 ● 期前半に景気減速の影響を受け、ピアノ、ポータブルキーボードが苦戦しましたが、電子ピアノ、ギ ター、ドラムは比較的好調に推移しました。成熟市場の韓国・台湾や景気が低迷した中東では苦戦 を強いられましたが、オセアニア・東南アジアでは堅調に推移し、中南米のブラジル・メキシコでも 売り上げを伸ばしました。インド、ロシアも売り上げが伸長しました。 ■ ヤマハ楽器 ■ 音楽教室他 Annual Report 2010 19 新中期経営計画「 YMP125」の重点施策について 一方、先進国市場では市場規模の大きな商品カテゴリーに集中し 新興国市場での事業拡大を目指すとともに、 て新商品を投入し、マーケットシェアの拡大を図ります。感性と技術 市場動向に合わせた最適生産体制を構築 で業界をリードするような独自性のある商品から、品質を確保しつ いち早く景気回復に転じた新興国市場では引き続き成長が見込ま つ手ごろな価格で幅広い需要層をカバー する戦略商品までライン れるものの、日本、北米、欧州といった先進国市場では当面不透明 アップを充実し、 「こだわり志向」と「低価格志向」に二極化するお 感が継続し、緩やかな成長にとどまるものと見ています。 客様の価値観に応えていきます。 こうした中でヤマハは中国を始めとする新興国を最重要市場とし て位置付け、2010 年 3 月期の売上高 558 億円から3 年後には720 トータルピアノ戦略 億円(うち中国、147 億円から220 億円) を目指して、積極的な事業 アコースティックピアノから電子ピアノまでを一括りのピアノとして の拡大を図ります。具体的には、中国、インド、ロシア、インドネシ トータルにとらえ、新しい需要を開拓する「トータルピアノ戦略」で ア、ブラジルを中心に、地域ごとのローカルテイストを付加したポー は、ピアノ全体で 3 年後に14% 増の売上高 800 億円を目指します。 タブルキーボードなど市場適合商品を開発・投入するとともに、販 そのためには、グランドピアノを始め、ハイブリッドピアノ、アップラ 売力強化や販売網の拡張に取り組みます。また、音楽教室を軸に楽 イトピアノなど商品バリエーションを効果的に提案してお客様の多様 器演奏人口を増加させ需要の拡大を図ります。 な価値観に応えていくことが戦略の鍵となります。 生産面では、需要動向に合わせた最適生産体制の構築を進める プレミアムピアノではThe CF Series®の市場評価を確立させ、ヤ ことで、さらなる収益性の向上を追求していきます。日本、中国、 マハピアノ全体のブランドイメージを高めます。ハイブリッドピアノ インドネシア各々 の工場の役割・機能を明確にし、製造力を一層強 では、アコースティックピアノに匹敵する演奏性・表現力・音質など 化していきます。日本では、当初の予定通り、2010 年 8 月に、ピア 優れた性能を訴求するとともに、現行の AvantGrand® の下位モデ ノ工場を統合一元化し、今後、管楽器工場の一元化にも着手します。 ルを投入して、需要を開拓していきます。電子ピアノは、幅広い品 また、中国・インドネシア工場では、新興国市場の拡大に合わせ、増 揃えで新たな価値を提案するとともに、低価格志向に対応する商品 産を進めるとともに、一層の競争力確保のため、材料・部品の現地 も用意し、グローバルで需要を拡大していきます。 化にも取り組んでいきます。 トータルピアノ戦略 ∼お客様の多様な価値観を充足∼ プレミアム志向︵価格帯︶ トータルピアノ アコースティック 「こだわり志向」から 「低価格志向」まで きめ細かく対応 グランドピアノ プレミアムピアノ の強化 ハイブリッド ハイブリッドピアノ アコースティック モダン AvantGrand® N3 新しい価値の 提供 アップライト ピアノ 新商品 スタンダード 新商品 ベーシック 中古ピアノ 中国製廉価ピアノ 中古ピアノ及び 中国製廉価 ピアノ市場攻略 P-series コンパクト/スタイリッシュ 本格ピアノ演奏志向 20 Yamaha Corporation フルコンサートグランドピアノ CFX® コンボ戦略 開発し、成長加速を図っていきます。個人用途を中心とした音響機 ヤマハでは、ギター及びその周辺商品とドラムをコンボ領域と定 器市場では、商品ラインアップを拡充します。また、音楽制作市場 義し、特にギター及びその周辺の領域で、積極的な拡販を目指しま 用では、Steinberg®ブランド訴求に努めるとともに、ソフトウエア す。北米などで支持を集めるエレクトリック・アコースティックギター インテグレーションの強化とハードウエアの拡充を図り、成長を目指 や電子ドラムを成長のドライバーとして、コンボ市場でのヤマハの していきます。 存在感を高めていきます。北米と中国を含む新興国を重点市場と位 置付け、当社の強みが出せるエレクトリック・アコースティックギター ミュージックプレイング事業 を積極的に拡販していきます。また、新興国では、安価で良質なア 時代や地域、社会の要請に応えて、従来のヤマハ音楽教室以外で コースティックギターの戦略モデルを投入して、拡販を目指します。 も様々な「機会」と「場」をお客様に提供することによって、音楽演 ギターアンプやエフェクターなどギター周辺商品では新規商材を投 奏人口を拡大していきます。音楽教育の領域を超えてビジネスを展 入して売り上げの拡大に努めます。電子ドラムでは、他社を凌ぐ性 開することから、これを「ミュージックプレイング事業」と呼びます。 能と商品ラインアップの充実により、DTX®drumsブランドを確立さ 日本の音楽教室では、低年齢児向けコースの拡充や打楽器教室 せ、世界 No.1シェアの獲得を目指します。また、従来のドラム購入 を開設するほか、 「大人の音楽レッスン」の充実を図ります。また海 層以外の新規のユーザー向けに、低価格商品を投入し、潜在需要 外では、成長余地の大きい中国・韓国の音楽教室の拡大に注力して の掘り起こしを図っていきます。 いきます。また、中国やインドで入門層向けの鍵盤教室を展開する とともに、新興国で器楽合奏の学校教育への導入を図るなど、国・ PA 機器事業 地域に対応したプログラムを充実していきます。こうした施策によ PA 機器については、当社の強みとするデジタル技術とネットワー り、収益力の強化を図り、2013 年 3 月期には20 億円の損益改善を ク技術を生かしたシステムソリューションを提供し、販売拡大を目指 目指します。 キサーの開発とラインアップ拡充、出力系NEXO®ブランド商品との ミュージックエンタテインメント事業 組み合わせ、ワンストップソリューションの実現を図ることにより、 新しいアーティストの発掘・育成をさらに強化していきます。ま 競争優位の確立を目指します。また、今後大きな成長が見込まれる た、音楽関係の出版や配信ビジネスを強化するとともに、新規ビジ Commercial Installed Sound 市場(ホテルの宴会場や公民館など ネスの育成にも力を注ぎます。さらに、他社との提携にも積極的に 専門のエンジニアが常駐しない施設)向けに、操作が簡単な機器を 取り組み、着実な成長を目指します。 デジタルミキシングコンソール M7CL-48ES 電子ドラム エレクトリック・アコースティックギター DTX950K LJX26CP Steinberg®ソフトウエア NUENDO 5 阿部真央 (株)ヤマハミュージックアーティスト所属 Annual Report 2010 21 Performance します。市場の大きい業務用途市場( B to B 市場) では、デジタルミ