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事業報告書 - 経済産業省

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事業報告書 - 経済産業省
平成27年度国際エネルギー使用合理化等対策事業
(バイオマス等再生可能エネルギー研究人材育成事業)
事業報告書
平成 28 年 3 月 31 日
一般財団法人
新エネルギー財団
はじめに
本報告書は、平成 27 年 4 月 15 日付で資源エネルギー庁長官官房総合政策課から、一般財団法人新
エネルギー財団が委託を受けた下記の事業について、その成果をまとめたものである。
事業の根拠
契約書番号
事業名
20150403 財資第 15 号
平成 27 年度国際エネルギー使用合理化等対策事業
(バイオマス等再生可能エネルギー研究人材育成事業)
契約期間
平成 27 年 4 月 15 日~平成 28 年 3 月 31 日
目
次
1. 事業目的 ........................................................................... 1
2. 事業内容 ........................................................................... 1
3. 研究人材育成事業 ................................................................... 1
3.1 招聘研究の公募と選考結果 ......................................................... 1
3.2 研究テーマ、招聘研究者、受入れ機関等 ............................................. 2
3.3 研究概要 ......................................................................... 3
3.3.1-1 耐熱性セルラーゼ酵素分子のモデリングおよび構築 ............................... 3
3.3.1-2 木質バイオマスの混焼による石炭火力発電所の低炭素化 ........................... 4
3.3.1-3 南部タイの農業廃棄物からのエネルギー回収に関する事業可能性に関する検討とベンチ
プラント運転研修 ............................................................. 5
3.3.1-4 高品質バイオディーゼル燃料製造のための革新的な固体酸触媒の開発 ............... 6
3.3.1-5 アジア域でのバイオマス起源の DME の有効利活用に関する研究 ..................... 7
3.3.1-6 メタン発酵過程における微生物叢変化の解析 ..................................... 8
3.3.1-7 水添ガス化によるバイオマスタールからの液体燃料製造 ........................... 9
3.3.1-8 山仙式バイオチャコール製造法とその生産物の多角的研究とラオスにおける事業モデル
の提案 ...................................................................... 10
3.3.2-1 日本型風力発電の風車要素の現地生産に関する研究 .............................. 11
3.3.2-2 ベトナムの風力導入における障害と対応技術の研究 .............................. 12
3.3.2-3 ベトナムに於ける台風等の環境条件に適した風力発電装置の研究 .................. 13
3.3.3-1 ベトナムにおける地熱資源を利用した発電技術に関する調査研究 .................. 15
3.3.3-2 地熱貯留層評価の改善を目指した産出能力曲線の簡便・高精度構築法の開発 ........ 16
3.3.3-4 地熱地帯における熱水変質とスケーリングの地化学モデリング .................... 17
3.3.4-1 タイの地理的、技術的条件に合致した小型水力発電システムの開発 ................ 18
(MPS 法による流況推定と、ローカルコミュニティへの導入の為のオフグリットシステムの構築)
............................................................................ 18
3.4 成果の取りまとめ ................................................................. 19
3.4.1 招聘研究に係る総括会合 ......................................................... 19
3.4.2 研究報告書 ..................................................................... 22
3.5 研修、現地視察、教育等 ........................................................... 22
3.5.1 風車工場研修 .................................................................. 22
3.6 支援作業 ........................................................................ 24
4. ネットワーク構築及び情報交換のためのセミナー開催 .................................. 25
4.1 海外ネットワークの構築と維持 ..................................................... 25
4.1.1 第 11 回 ASEAN+3 新・再生可能エネルギー・省エネルギーフォーラム .................. 25
4.1.2 14 回エネルギー政策に関する高級実務者+3 ヵ国会議 (14th SOME+3 EPPG) ............ 29
4.1.3 第 16 回エネルギー政策に関する高級実務者‐METI 会議
(16th SOME-METI) ............. 31
4.1.4 第 20 回東アジアサミット エネルギー協力作業部会 (20th EAS ECTF Meeting) ........ 33
4.1.5 APEC 風力エネルギー開発促進に関するワークショップ及びベトナム科学技術院との調整 . 35
4.1.6 第 12 回 ASEAN+3 新・再生可能エネルギー・省エネルギーフォーラム .................. 44
4.2 ネットワーク構築及び情報交換のためのセミナー ..................................... 47
4.2.1 専門領域に関するワークショップの開催(バイオマス・地熱ワークショップ) ......... 47
4.2.2 海外セミナー(AREW) ........................................................... 51
4.3 ホームページによる情報発信・共有 ................................................. 68
4.3.1 情報発信ウェブサイト」”Asia Biomass Office”の維持更新 ....................... 68
4.3.2 “Asia Biomass Office”のトップページデザイン変更 .............................. 70
4.3.3 東アジアの再生可能エネルギーピックス CD の作成 .................................. 71
4.4 研究機関、関連企業のデータベースの維持・管理 ..................................... 73
4.4.1 データベースの目的と推移 ....................................................... 73
4.4.2 データベースの更新 ............................................................. 73
4.4.3 工業化のためのシーズ・ニーズ調査 .............................................. 73
4.4.4 再生可能エネルギー研究機関・企業の調査 ......................................... 74
4.4.5 調査結果 ....................................................................... 74
4.4.6 ウエブ上への掲載 ............................................................... 80
4.4.7 アクセス解析 ................................................................... 81
4.4.8 アクセスに関する考察 ........................................................... 83
4.4.9 トピックスコンテンツに関する考察 ............................................... 86
4.5 東アジアサミット各国のバイオマスエネルギーに関する情報発信サイトの維持・更新 .... 88
4.5.1 海外バイオマスエネルギーデータベース維持更新と情報収集 ........................ 88
4.5.2 海外ワークショップ(第 8 回アジア・バイオマスエネルギーワークショップ) ......... 90
1. 事業目的
アジア太平洋地域を中心とした新興国は引き続き大幅なエネルギー需要の伸びが見込まれてい
る。こうした国々における再生可能エネルギーの導入普及は、エネルギーアクセスの向上や気候変
動対策上重要であることに加えて、我が国のエネルギー安全保障確保にも資する。
新興国、特に東アジア地域においては、例えばバイオマスエネルギーの原料が豊富でその利活用
に大きな期待が寄せられている。このため、こうした国々におけるバイオマス等の再生可能エネルギ
ーに関する研究開発・実用化・制度化等を担う人材の能力向上を図り、我が国の持つ優れた再生可
能エネルギー技術を現地の実情に応じた形で普及させることで、こうした国々における再生可能エ
ネルギーの導入拡大に資する。
具体的には、我が国の技術者・研究者を現地に派遣し、また相手国の技術者・研究者等を共同研究
者として招へいし、我が国の大学・研究機関、民間企業等との共同研究を行う。
また、共同研究の成果や育成された人材の一層の活用に向け、産・官・学が連携して研究成果を用
いた協力事業等を行うためのネットワーキングの維持・強化を図るとともに、交流・情報交換・情報
提供の機会拡大を図る。
2. 事業内容
1) 研究人材育成事業
東アジア諸国をはじめとする新興国から、バイオマスを含む再生可能エネルギー分野の研究者・
技術者等を我が国の大学・研究機関、民間企業等に共同研究者として受入れ、新興国・地域における
再生可能エネルギー利用推進に資する研究等についての講義、演習、見学、グループ討議等を行い、
それらを踏まえた共同研究の成果をまとめ発表する。本共同研究のため、必要に応じて、日本の研究
者・技術者を相手国に派遣する。研究内容は、再生可能エネルギーに関する項目のうち、我が国の研
究・技術等が世界的に優れた水準にあり、本研究を通じて我が国の民間企業等の相手国進出の契機
となりうるものとする。
2) 事業のフォローアップ及び各国政府を含む関係機関との情報共有
共同研究成果の活用に向けて、各国政府・企業・研究機関とのネットワーク構築及び情報交換の
ためのセミナーを開催する。また、研究人材育成事業のフォローアップを行い、これまでの研修生
ネットワークと我が国民間企業等関係者の情報交換・交流を行う。
東アジア諸国をはじめとする新興国のバイオマス等再生可能エネルギーに関する情報発信サイ
トの維持・更新や、ネットワーク構築・マッチングに資するデータベースの維持・管理を行い、関係
機関との情報共有・発信を行う。
3. 研究人材育成事業
3.1 招聘研究の公募と選考結果
平成 27 年度は公募に対して 6 ヵ国 28 名の応募があった。
(分野別:バイオマス 17 件、風力 5 件、地熱 4 件、水力 2 件)、(国別:ベトナム 8 件、タイ 7
件、インドネシア 5 件、ミャンマー3 件、フィリピン 3 件、ラオス 2 件)。
審査の結果 16 名が選考されたが、1 名の辞退者があり 15 名を招聘した。招聘研究者の内訳は、
1
(分野別:バイオマス 8 件、風力 3 件、地熱 3 件、水力 1 件)、(国別:ベトナム 5 件、タイ4
件、インドネシア 3 件、フィリピン 1 件、ミャンマー 1 件、ラオス 1 件)
3.2 研究テーマ、招聘研究者、受入れ機関等
研究テーマ、招聘研究者、派遣国での所属、日本の受入れ機関を表 3.1-1 に示す。
表 3.1-1 研究テーマ
1.バイオマスエネルギー
招聘
番号
招聘者名
タイトル
所属(国)
受入研究者
1-1
Dr. Dominggus Malle
ドミンガス マレ
耐熱性セルラーゼ酵素分子のモデリングおよび構築
パチムラ大学
(インドネシア)
産業技術総合研究所
バイオメディカル研究部門
小田原 孝行
1-2
Mr. Dwika Budianto
ドウィカ ブディアント
木質バイオマスの混焼による石炭火力発電所の
低炭素化
技術評価応用庁
(インドネシア)
東京工業大学
ソリューション研究機構
小田 拓也
9/15-12/12(89日)
1-3
Dr. Nirattisai Rakmak
ニラティサイ ラクマック
南部タイの農業廃棄物からのエネルギー回収に関する
事業可能性に関する検討とベンチプラント運転研修
ワライラック大学
(タイ)
産業技術総合研究所
環境管理研究部門
小寺 洋一
9/29-12/9(72日)
1-4
Ms. Supranee Laoubol
スプラニー ラオウボル
高品質バイオディーゼル燃料製造のための革新的な
固体酸触媒の開発
タイ科学技術研究院
(タイ)
産業技術総合研究所
創エネルギー研究部門
鳥羽 誠
1/6-3/15(70日)
1-5
Ms. Wanwisa Thanungkano
ワンウィサ タヌカノ
アジア域でのバイオマス起源のDMEの有効利活用に
関する研究
国立金属材料技術センター
(タイ)
産業技術総合研究所
安全科学研究部門
匂坂 正幸
9/29-12/26(89日)
1-6
Ms. Lai Thi Hong Nhung
ライ チ ホン ニュン
メタン発酵過程における微生物叢変化の解析
ベトナム科学技術院
(ベトナム)
広島大学
大学院先端物質科学研究科
中島田 豊
10/1-2/29(152日)
1-7
Dr. Moe Thanda Kyi
モエ タンダ キイ
水添ガス化によるバイオマスタールからの液体燃料製造
ミャンマー航空宇宙工学大学
(ミャンマー)
群馬大学
大学院理工学府
野田 玲治
10/26-3/15(142日)
1-8
Mr. Khammanh Sopraseurth
カマン ソプラセアス
山仙式バイオチャコール製造法とその生産物の
多角的研究とラオスにおける事業モデルの提案
エネルギー鉱業省
(ラオス)
九州工業大学
大学院生命体工学研究科
白井 義人
8/23-11/19(89日)
招聘期間
1/6-3/15(70日)
2. 風力発電
招聘
番号
招聘者名
タイトル
所属(国)
受入研究者
招聘期間
2-1
Mr. Nguyen Tuan Phong
グエン テュアン フォン
日本型風力発電の風車要素の現地生産に関する研究
ベトナム科学技術院
(ベトナム)
三重大学
大学院工学研究科
前田 太佳夫
10/16-3/15(152日)
2-2
Mr. Nguyen Binh Khanh
グエン ビン クハン
ベトナムの風力導入における障害と対応技術の研究
ベトナム科学技術院
(ベトナム)
三重大学
大学院工学研究科
前田 太佳夫
10/16-3/15(152日)
2-3
Mr. Vu Duy Hung
ウ ズイ ホン
ベトナムに於ける台風等の環境条件に適した
風力発電装置の研究
ベトナム通産省
(ベトナム)
株式会社日立製作所
エネルギーソリューション社
松信 隆
10/1-2/4(127日)
招聘
番号
招聘者名
タイトル
所属(国)
受入研究者
招聘期間
3-1
Mr. Ngoc Duc Vu
ゴック デュック ヴォー
ベトナムにおける地熱資源を利用した発電技術に関する
調査研究
ベトナム通産省
(ベトナム)
産業技術総合研究所
地圏資源環境研究部門
柳澤 教雄
10/1-12/19(80日)
3-2
Dr. Khasani Moh Jaelani
カサニ モー ジャラニ
地熱貯留層評価の改善を目指した産出能力曲線の
簡便・高精度構築法の開発
ガジャマダ大学
(インドネシア)
秋田大学
国際資源学部
藤井 光
11/15-2/10(88日)
3-4
Dr. Maria Ines Rosana Dacanay
Balangue
マリア イネス ロサナ デカネイ
バランゲ
地熱地帯における熱水変質とスケーリングの
地化学モデリング
フィリピン大学
(フィリピン)
九州大学
工学研究院
糸井 龍一
1/15-3/15(61日)
3. 地熱発電
4. 水力発電
招聘
番号
招聘者名
タイトル
所属(国)
受入研究者
招聘期間
4-1
Dr. Salisa Veerapun
サリサ ヴィーラプン
タイの地理的、技術的条件に合致した小型水力発電シス
テムの開発(MPS法による流況推定と、ローカルコミュニ
ティへの導入の為のオフグリットシステムの構築)
ナレースワン大学
(タイ)
信州大学
学術研究院(工学系)
飯尾 昭一郎
10/5-3/4(152日)
2
3.3 研究概要
実施した各研究の招聘研究者、受入れ機関担当者、背景、目的、内容他について以下の各項に示す。
3.3.1-1 耐熱性セルラーゼ酵素分子のモデリングおよび構築
[1-1] 耐熱性セルラーゼ酵素分子のモデリングおよび構築
 招聘研究者 Dr. Dominggus Malle(ドミンガス マレ)
 パチムラ大学(インドネシア)
 受入機関
産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門 小田原孝行主任研究員
 招聘期間
1/6-3/15(70 日)
1) 研究の背景
産総研と日本企業が中心となり東南アジアにおいて、糖化酵素を用いたバイオ液体燃料製造拠
点を計画中である。セルラーゼ酵素(糖化酵素)を耐熱化することでバイオマス糖化行程を高効
率化(反応時間の短縮、基質溶解性の向上、および、雑菌除去)することができる。その結果、コ
ストを抑えた液体燃料製造システムの広範な実用化が可能になる。新規酵素の開発およびサンプ
ル酵素を調製し、海外研究組織と連携・実用化試験を行うことでバイオ液体燃料製造技術の構築
を目指している。
バイオマスから液体燃料製造技術開発におけるボトルネックはバイオマスの糖化行程にある。
昨年度まで産総研バイオマスリファイナリー研究センターにおいて、セルラーゼ酵素によるバイ
オマス糖化技術を用いた液体燃料製造のための技術開発を進めて来た。今年度の組織改革で今ま
での研究分野がバイオメディカル研究部門に再編されたのでそこで実施することになった。
本招聘研究者は、過去 2 回本制度においてバイオ燃料製造における酵素耐熱化研究を実施して
きた。その結果、5℃の耐熱化に成功、さらにバイオマス燃料製造のための予備的試験も行った。
今年度は 10℃以上の耐熱化を目標値として研究を行い、高効率バイオ燃料製造システムを東南ア
ジアで普及させるための技術を日本企業と共に実施する。
2) 目的
本研究の目的は、バイオ液体燃料製造システム効率化のための、セルラーゼ酵素の耐熱化であ
る。植物系バイオマスからの液体燃料製造技術開発におけるボトルネックはバイオマス糖化行程
にある。本研究では、この工程に使用するセルラーゼ酵素を構造解析、分子モデリング、および、
タンパク質工学的手法により耐熱化することでバイオマス糖化工程を高効率化する。
招聘研究者の今までの経験と実績から、セルラーゼ酵素の+10℃耐熱化を行い 70℃で働くセル
ラーゼ酵素の構築を目指す。さらに、得られた耐熱性酵素を使用し、国内外組織と連携して、バイ
オマス糖化・燃料製造実験を行いその有効性を評価する。
3) 実施内容
・既存の種々セルラーゼ酵素情報について、構造解析に必要な結晶化条件の詳細情報を入手した。
この情報から新たな酵素タンパク質の不安定領域の解析し、変異導入箇所の探索、および、変異
酵素遺伝子の設計を行った。
・酵素の調製精製し、その活性評価で耐熱温度 70℃を確認した。
・バイオ燃料製造試験における耐熱性酵素の有効性についてパチムラ大学と情報交換を行った。
・国内企業を訪問し情報交換を行った。インドネシアにおけるバイオ燃料プラントの設計および
3
に技術移転に関して話し合いを行った。
4) 実用化・工業化推進に向けて
有効酵素の開発目途が立った。既に、当該日本企業がタイで本酵素系を用いたバイオ燃料製造
のパイロットプラント実証を開始していることから、インドネシア等の東南アジア地区での今後
の技術移転が期待できる。
5) 招聘研究の総評
期待通りの成果が得られている。インドネシアおよびパチムラ大学が、今後、当該日本企業の技
術・プラントを誘致することを期待する。
3.3.1-2 木質バイオマスの混焼による石炭火力発電所の低炭素化
[1-2] 木質バイオマスの混焼による石炭火力発電所の低炭素化
 招聘研究者 Mr. Dwika Budianto(ドウィカ ブディアント)
 技術評価応用庁(インドネシア)
 受入機関
東京工業大学ソリューション研究機構
 招聘期間
9/15-12/12(89 日)
小田拓也特任教授
1) 研究の背景
インドネシアには、森林から供給される木質バイオマスや農業廃棄物等の膨大なバイオマス資
源があるが、その利用率は数%に留まる。一方、同国は豊富な石炭賦存量を有しており、今後しば
らくは電源構成の中心であり続けることが予想される。同国の石炭発電所にてバイオマスの混焼
が広く採用されることで、バイオマスの利用先を大幅に増大させることが可能になる。
2) 目的
インドネシアの石炭火力発電所においてバイオマスの混焼利用を推進するための基礎的解析を
行う。本研究により招聘研究者は、バイオマスの混焼に関連する課題を把握すると共に、既設の石
炭火力発電所の特質に合致した混焼利用計画を提案することが可能になる。更には招聘研究者の
所属元と連携して、国営電力事業者等に混焼の推進を促すことも目的とする。この目的を達する
ため、主として混焼の最適化モデルを行い、混焼率上限値の探索、発電効率の向上策等を明らかに
する。
3) 実施内容
・インドネシア国内における主なバイオマスの種類・分布が整理した上、既存のバイオマスによる
発電容量等のデータをまとめた。その中から、パーム椰子殻(PKS)のポテンシャルが非常に高
く、かつ熱量などの特性が低品位炭に近いため、低品位炭との混焼が非常に適切であることが
分かった。
・混焼のモデル化及び解析では同国にある既設の小型火力発電所をベースに、特定の重量比(10%
~50%)で PKS との混焼挙動(温度、速度、排気ガス成分)を調べた。シミュレーション結果か
ら PKS 重量比が高くなるにつれ混焼温度が上昇したが、NOx 濃度が重量比 25%以上から急激に
大きくなった(サーマル NOx)。全体の結果から PKS 重量比 10~15%が最も良い混焼条件である
ことが分かった。
4
・本招聘研究の成果は日本エネルギー学会誌や国際会議(ACBS 2016)で発表した。
4) 実用化・工業化推進に向けて
インドネシアの石炭火力発電所を想定した、バイオマスの混焼を推進するための基礎的解析を
通じて、混焼推進計画の策定や、混焼の促進に資する知見を習得した。これにより、同国内の主要
なステークホルダーであるエネルギー鉱物資源省、国営電力会社(PLN)、独立系発電事業者等に
対して、石炭火力発電所で木質バイオマス混焼の推進に貢献することを目指す。
5) 招聘研究の総評
本事業を通して、研究者として様々な知見・情報交換等が大変できた。また、招聘者の所属元
との連携がより強くなり、両者における今後の活発な研究協力が期待される。
3.3.1-3
南部タイの農業廃棄物からのエネルギー回収に関する事業可能性に関する検討とベンチ
プラント運転研修
[1-3] 南部タイの農業廃棄物からのエネルギー回収に関する事業可能性に関する検討とベンチプ
ラント運転研修
 招聘研究者 Dr. Nirattisai Rakmak(ニラティサイ ラクマック)
 ワライラック大学(タイ)
 受入機関
産業技術総合研究所環境管理研究部門 小寺洋一上級主任研究員
 招聘期間
9/29-12/9(72 日)
1) 研究の背景
タイ南部には、世界 1 位のゴムプランテーションの他、油ヤシプランテーションによるパーム
油生産も盛んに行われており、農業廃棄物からのエネルギーを利用した発電の普及や高度化への
大きなニーズがある。そのためタイ南部の大規模大学として知られるワライラック大学は、近頃、
再生エネルギーセンターを設立した。この組織は日本技術のタイ企業への橋渡しや周辺諸国への
技術移転の中核として有望であると思われる。
産業技術総合研究所では、日本国内企業、ワライラック大学と連携して油ヤシ処理工場の廃棄
物処理・エネルギー回収(ガス化発電)の促進に取り組む。この活動を通して、バイオマス利用に
よる地球温暖化の抑制、当該地域の持続可能な社会の構築を目指す。
2) 目的
ベンチプラントや小型商業装置を用いて、農業廃棄物からのガス化技術の習得や運転研修、
技術評価を行い、システム上の問題点やその解決の手法を検討する。事業性や技術仕様の決定の
プロセスを理解する。これらを通じて、当該技術移転に役立つ人材育成を行う。
3) 実施内容
・国内企業の協力を得て部分燃焼ガス化装置及び熱分解ガス化装置を使用して、運転技術の習熟
化や分析作業を行った。
・ガス化理論を構築し、ガス化プロセスの評価手法を確立した。
・部分燃焼ガス化では、理論的に必要な酸素量の確定、反応熱や断熱ガス化温度を算出することが
できた。熱分解ガス化では、分解熱と供給すべき熱量を算出することができた。
・別の国内企業の協力のもと、技術移転で考慮すべき技術仕様、農業廃棄物のエネルギー回収の事
5
業性に関する支配因子について理解を深めることができた。
4) 実用化・工業化推進に向けて
関係企業では、すでに 20kW の小型バイオマスガス化発電装置を完成している。当面、タイへの
普及を目指しながら、さらに 100kW クラス機の開発を共同して進め、並行して、対象廃棄物の乾
燥、破砕の技術的検討、地元事業主体の選定を進める。
5) 招聘研究の総評
3 ヶ月の招聘研究であったが、前年度までの成果と合わせて、日本側として、ガス化の基礎理論、
技術面での技術移転の準備は完了した。地元事業主体の確定と現地技術スタッフの教育が次の課
題である。
3.3.1-4 高品質バイオディーゼル燃料製造のための革新的な固体酸触媒の開発
[1-4] 高品質バイオディーゼル燃料製造のための革新的な固体酸触媒の開発
 招聘研究者 Ms. Supranee Laoubol(スプラニー ラオウボル)
 タイ科学技術研究院(タイ)
 受入機関
産業技術総合研究所創エネルギー研究部門 鳥羽 誠研究グループ長
 招聘期間
1/6-3/15(70 日)
1) 研究の背景
バイオディーゼル燃料は、原材料費が製造コストの多くを占めている。原材料費の低減はバイ
オディーゼル燃料の低価格化につながり、市場導入拡大を目指す東南アジア諸国の政策への技術
的な支援となりうる。低コスト化に寄与しうる原料として、パーム油精製工程での廃棄物である
パーム脂肪酸蒸留物(PFAD)など、酸価が高く既存の製造プロセスの原料受け入れ基準を満たさな
い低品位原料が挙げられる。そのため、低品位原料のバイオディーゼル燃料化を可能にする燃料
製造法の開発が期待される。
2) 目的
低品位原料に含まれる遊離脂肪酸や水分に高い耐久性を有するエステル交換用触媒として、不
均一系固体触媒が挙げられる。低品位原料のバイオディーゼル燃料化においては、不純物への耐
久性のみならず、共存する遊離脂肪酸のエステル化機能も有することが必須となる。本研究では、
PFAD 等の低品位原料から高品質バイオディーゼル燃料製造技術の確立のため、産総研でのこれま
での知見を活用し、高耐酸性、高耐水性を有する高活性エステル化/エステル交換用チタン含有
固体酸触媒を開発する。
3) 実施内容
触媒の低価格化を目的として、市販のシリカにチタン原料を担持する方法で触媒の調製を行っ
た。担持するチタン種は、配位子を交換により構造を変化させた。
バイオディーゼル燃料製造は、PFAD および粗ジャトロファ油を用いて、200℃でメタノールとの
エステル交換反応を行った。生成油は、EN14214 準拠の方法で、組成分析を行った。触媒活性は、
チタン種およびシリカ担体の細孔径に依存した。遊離酸含有量の高い PFAD では、遊離酸が多く残
存しており、高酸価原料の場合は、反応の多段階化や触媒量の最適化が必要であると考えられた。
6
4) 実用化・工業化推進に向けて
本研究で開発した技術の工業化おいては、触媒の耐久性や固体触媒への転換によるプロセス設
計、廃触媒等の廃棄物処理低減効果および純度の高いグリセリンの売却によるコスト試算が必要
となる。これらの算出根拠となる技術データは現時点では十分ではなく、今後も継続して所得し
ていく必要がある。企業化においては、バイオ燃料の資源国である東南アジア地域での立地が好
ましく、製造はリファイナリー等の燃料油の製造、販売メーカが好ましいと考えられる。
5) 招聘研究の総評
今回の招聘研修により、招聘研究者は、固体触媒の調製法やこれを用いるバイオディーゼル合
成反応の基本を十分身につけたと考える。ただし、短期間の研修では技術の取得は可能であるが、
それを使いこなして研究開発を発展さる過程で、課題を見出し、これをクリアして工業化に導く
ことまでを身につけることは難しい。今後、一定の時間をかけた別スキームでの研究の発展を望
みたい。
3.3.1-5 アジア域でのバイオマス起源のDMEの有効利活用に関する研究
[1-5] アジア域でのバイオマス起源の DME の有効利活用に関する研究
 招聘研究者 Ms. Wanwisa Thanungkano(ワンウィサ
タヌカノ)
 国立金属材料技術センター(タイ)
 受入機関
産業技術総合研究所安全科学研究部門
 招聘期間
9/29-12/26(89 日)
匂坂正幸招聘研究員
1) 研究の背景
バイオマスを原料とした DME(dimethyl ether)[以降、バイオ DME と記述]の LCA 分析は産総研
をはじめ世界のいくつかの機関で実施されている。しかし近年の技術革新は目覚ましく、環境面、
経済面での実用化への道が開かれつつある。用途も自動車燃料から調理・暖房用燃料などの可能
性が広がり、国際的に流通するエネルギー源としての価値が拡大している。そのため、新たな導入
環境下での DME の有する環境特性、実用の可能性判断が求められている。
2) 目的
当研究では、アジア域でのバイオ DME のエネルギーとしての可能性と LCA による環境影響の傾
向、社会への効果を明らかにする。。
3) 実施内容
a.バイオ DME の可能性
ASEAN 地域を対象に、エネルギー需給の概要、農業残渣の発生量推定、残渣からのバイオ DME 製
造量推計を実施した。その結果、同地域の液化石油ガス消費量の約 3 倍、軽油消費量に匹敵す
る程度のバイオ DME が生産可能であることがわかった。
b.バイオ DME の GHG 削減効果
バイオ DME によるライフサイクルでの GHG 排出量を推計したところ、二酸化炭素換算で 3,300
万トン/年程度の削減に寄与する可能性が得られた。ASEAN 域内ではインドネシア、タイ、マレ
ーシアでの削減効果が高いのに対し、ラオスは豊富な水力エネルギーを有すること、ミャンマ
7
ーではエネルギー需要地が分散するなどの理由により、GHG 排出削減が地域により限定的である
ことも推察された。
c.バイオ DME の社会影響
バイオ DME の経済性についてはプロセス、システムの最適化が進展していないことから、代替す
る化石燃料と同等の価格を前提に影響の推定を行った。その結果、以下の点に集約された。
・エネルギーの国産化が図れ、エネルギー安全保障が高度化できる。
・燃料輸入代金の支払いを軽減でき、エネルギー輸出の可能性も視野に入ることから、貿易収支
の改善が図れる。
・農業従事者の収入の改善が図れ、国内の生活格差是正、それによる社会不安の軽減に寄与する
可能性がある。
・近代的なエネルギーへの転換が進み、ヒト健康被害の減少、情報格差是正などの社会影響が期
待される。
4) 実用化・工業化推進に向けて
ASEAN 地域でのバイオ DME の生産/消費・環境/社会影響の可能性が高く推察されたが、実用化
に向けては、経済性を有することが前提であり、地域、利用法を特定して注意深く導入の段階を
見極める必要性、が確認された。
5) 招聘研究の総評
招聘研究者、受入研究者の興味が合致し、連日、中身の濃い議論ができたことは大変有意義で
あった。どのようにその成果を外部に発表していくか、さらに議論を進めたい。
3.3.1-6 メタン発酵過程における微生物叢変化の解析
[1-6] メタン発酵過程における微生物叢変化の解析
 招聘研究者 Ms. Lai Thi Hong Nhung(ライ チ ホン ニュン)
 ベトナム科学技術院(ベトナム)
 受入機関
広島大学大学院先端物質科学研究科 中島田 豊教授
 招聘期間
10/1-2/29(152 日)
1) 研究の背景
ベトナム科学技術院(VAST)では、環境汚染物質低減と再生可能エネルギーガス製造を目的と
して、家畜糞尿、農作物残渣のメタン発酵技術開発が行われている。しかし、現地調査では十分
な性能が発揮されていない状況であった。また、ベトナム沿岸地域で海水レベルでの塩の存在に
より有機廃水処理に支障をきたしているとの報告があり、メタン発酵の適用範囲の拡大も求めら
れている。
2) 目的
上記、ベトナムにおけるメタン発酵不具合の理由としては、メタン発酵を司る微生物群が適切
に管理されていないこと、または微生物群自体が現地処理プロセスに適さないことが予想された。
そこで、 本研究では、将来、塩含有有機廃棄物も対象とすることを想定し、我々が有する海洋性
微生物群を用いた各種有機物を基質としたメタン生成ポテンシャル評価・菌叢解析による発酵プ
8
ロセス評価を行った。
3) 実施内容
・ 食品系廃棄物を想定してデンプン(糖)、ウシ血清アルブミン(タンパク質)、油脂(glyceryl
trioleate)などをモデル基質、海洋底泥を微生物源として海水条件にてメタン発酵試験を行
った。その結果、全てのモデル基質から顕著なメタン生成が見られ、ほぼ理論通りのメタン生
成ポテンシャルが得られた。本成果は、海洋微生物資源が様々な有機廃棄物に対して優れたメ
タン生成能力を持つものであることを明確に示すものである。
・ 上記発酵における主要微生物を明らかにすることは、プロセス管理、および最適化に重要であ
る。そこで、汚泥から抽出した微生物ゲノム DNA の 16s rRNA 遺伝子を増幅後、変性ゲ勾配電
気泳動法による解析を行った。その結果、基質が異なっていても強く発現する遺伝子バンドが
認められたことから、高機能性を有する微生物の存在が示唆された。同時に、次世代シーケン
サー法による解析も行った。解析に時間を要するために共同研究期間中に結果は得られていな
いが、共同研究者が現在も研究を引き続き進めており、その結果を含め論文化など成果の取り
まとめを行う予定である。
4) 実用化・工業化推進に向けて
招聘研究を通じて修得した耐塩メタン発酵性能解析技術や知見に基づき、現地において VAST を
中心としたメタン発酵プロセスを主体としたバイオマス資源のエネルギー化プロセスの実用化を
進めることが可能な状況になっている。さらに、今回の機会を足がかりとして、バイオマスなど再
生可能エネルギー利用に関して、広島大学、国内参画企業からの技術移転・ライセンシング、およ
びコンサルティング業務を可能とする、VAST およびベトナム国内企業との協力体制を模索したい。
5) 招聘研究の総評
これまで、3 年にわたって VAST 研究者を受け入れてきた。一昨年、昨年度は技術習得を中心と
した研究であったが、本年度は、現地調査に基づき、実際ベトナムで必要とされる技術も考慮した
研究開発を行った。このようなことから、今後は招聘研究者を中心として、VAST が単なる研究機
関ではなく、運転・管理・最適化・適用範囲の拡大など、日本国内の関連企業と連携可能な実用化
ハブ機関として機能できる基盤でき上がってきたと考えている
3.3.1-7 水添ガス化によるバイオマスタールからの液体燃料製造
[1-7] 水添ガス化によるバイオマスタールからの液体燃料製造
・ 招聘研究者 Dr. Moe Thanda Kyi(モエ タンダ キイ)
・ ミャンマー航空宇宙工学大学(ミャンマー)
・ 受入機関
群馬大学大学院理工学府 野田玲治准教授
・ 招聘期間
10/26-3/15(142 日)
1) 研究の背景
ミャンマー政府は、再生エネルギー開発の育成を加速するため、外国資本の導入による民間セ
クターの参加を拡大する政策を進めている。バイオ燃料技術およびプロセッシングの研究開発を
支援する策定プロジェクトには、人材育成、建設設備の更新、品質および施設の標準化、バイオ燃
9
料の製造と流通が含まれる。群馬大学は様々なバイオマス転換技術を保有しており、そのうちの
バイオマス液化プロセス技術を習得する。
2) 目的
ベンチスケールおよびパイロットスケール試験装置を用いて、以下の成果を得る。
・触媒再生の好適条件の明確化
・液体燃料収率を最大化する好適反応条件の明確化
以上の成果に基づいて、ミャンマーにおける適正バイオマス利用技術を提案する。
3) 実施内容
・コーキング(炭素の析出)した CoMo 触媒について、触媒温度を 500℃以下でコーク酸化除去条
件を検討し、触媒劣化なく再生できた。
・バイオマスタールの水添ガス化反応条件について、硫化水素分圧が低い条件で水添ガス化した
場合コーキングが生じやすい。事前に触媒硫化を行うとコーキングは抑制されるが、生成した
液体燃料中の酸素含有率が高くなる。原料ガス中に 0.1~数%の硫化水素を含む条件で水添ガス
化を行うことが望ましいことを明らかにした。
・ミャンマーの技術水準に合わせた液体燃料転換プロセスを提案した。
4) 実用化・工業化推進に向けて
本研究事業を通じて、ミャンマーにおいてバイオマス液体燃料技術開発を実施するための実験
装置の製作法、実験方法、および液体燃料の分析方法を習得した。実験結果に基づいて提案したミ
ャンマーにおけるバイオマス液体燃料利用の適正プロセスをもとに、国際共同研究の枠組みでの
応募をめざして、日本側、ミャンマー側の体制作りに着手した。
5) 招聘研究の総評
ミャンマーにおける研究開発水準が把握でき、両国で共同して地域分散型のバイオマス転換技
術開発が可能である感触が得られた。今後、具体的な協働の枠組みを確立できるよう協力してゆ
きたい。
3.3.1-8
山仙式バイオチャコール製造法とその生産物の多角的研究とラオスにおける事業モデル
の提案
[1-8] 山仙式バイオチャコール製造法とその生産物の多角的研究と
ラオスにおける事業モデルの提案
・ 招聘研究者 Mr. Khammanh Sopraseurth(カマン
ソプラセアス)
・ エネルギー鉱業省(ラオス)
・ 受入機関
九州工業大学大学院生命体工学研究科 白井義人ディレクター・教授
・ 招聘期間
8/23-11/19(89 日)
1)研究の背景
ラオスの主エネルギー源は未だに薪であり、効率も悪く、煙害もひどい。せめて炭をエネルギ
ー源に替えることを強く願っている。一方、島根県益田市の有限会社山本粉炭工業の開発した山
仙式平窯炉は設備投資額の圧倒的な低さと極めて生産性が高いことから、優れた適正技術として
広く知られつつある。ラオス政府は最近この点に注目し、JICA の支援の下、本格的な導入を検討
10
するようになった。一方、そこで生産された炭は我が国では土壌改良剤として広く使われており、
特に、島根県では広く利用されている。この点にもラオス政府は高い関心を示している。農業が主
力産業であるラオスにおいては未だに土壌の改善がなされているところが少ない。
また、この炭化技術はダムの流木のような濡れたバイオマスの利用も可能であり、関西電力が
協力する水力発電用ダムの流木も検討されている。しかし、本炭化法は長期にわたる技術習得(修
行)が必要であり、その意味では、人材育成の仕組みを作ることが最も重要である。
2) 目的
招聘研究者は、技術オーナーである山本粉炭工業を適宜訪問し、技術ノウハウの習得と窯の構
造の理解に努める。山本粉炭工業社長は高齢で、海外に長期に滞在することはできない。そのた
め、技術の利用を希望する者が日本でそれを学ぶ以外方法はない。その結果を適宜、九州工大に持
ち帰り、ラオスでの事業モデルの作成に活かす。これらが本研究の目的である。
3) 実施内容
・ 招聘研究者は山本粉炭工業に滞在して本炭化工程全てを実地体験することで山仙式炭化法を
習得した。その際、炉の構造と注意点を学ぶとともに、ラオスにおける建設・設置コストを試
算した。また、人材育成計画を具体化した。
・ 招聘研究者は九州工大で山仙式炭化法の構造、設計、プロセス、関連設備、運転・訓練等につ
いて精査し、事業採算性の検討も含めた報告書にまとめた。
・ 招聘研究者はマレーシアプトラ大学に滞在して、ケニンガウパームオイル工場に設置された山
仙式平窯炉で炉の調整、運転に携わり、ラオス展開に向けたシミュレーションを行った。
4) 実用化・工業化推進に向けて
山仙式平窯炉での炭製造においては運転ノウハウの習得が最も重要な課題である。これに関し
て山本粉炭工業が JICA の普及・実証事業に申請を計画し、ラオスからの研修生の受入を計画して
いる。この事業が採択されれば、ラオスでの実用化・工業化推進が大きく前進すると思われる。
5) 招聘研究の総評
山仙式炭化法の技術、設計、事業採算性、人材育成計画等のラオスへの技術移転に関する検討
をやり遂げた。今後、本法のラオスでの普及を大いに期待する。
3.3.2-1 日本型風力発電の風車要素の現地生産に関する研究
[2-1] 日本型風力発電の風車要素の現地生産に関する研究
・ 招聘研究者 Mr. Nguyen Tuan Phong(グエン テュアン フォン)
・ ベトナム科学技術院(ベトナム)
・ 受入機関
三重大学大学院工学研究科 前田太佳夫教授
・ 招聘期間
10/16-3/15(152 日)
1)研究の背景
ベトナムでは風力産業の育成に積極的で既にタワー、発電機の製造を行っており、さらに生産
品目の拡大を計画している。日本の風車製造は、タワー等の大型鉄鋼部品は海外業者に生産委託
をしているケースが多く、海外業者の設計製造能力の維持向上が必要である。この観点から、優れ
11
た製造ポテンシャルを持つベトナムにおいて、風車や部品の設計、製造能力向上のための研究は、
我が国の風力産業にとっての海外進出のための足場作りに有効である。
2) 目的
中型・大型風車の設計から製造に至るまでに必要な技術について、日本の技術を下敷きにベトナ
ムの状況、能力にふさわしい風力関連の製造品、製造方法を明らかにし、自国での産業展開を図る
基礎とする。並行して、日本と共同実施しているベトナムでの 3 次元風況計測の支援を実施する。
3) 実施内容
・ 日本とベトナムの風力関連産業の調査と、日本の風車メーカとの連携により以下の成果を得
た。
・ ベトナムでは欧米の風車メーカや投資家により、すでに 3 社が風車タワーの製造を行ってい
る。低コストの鉄鋼製品はベトナムの得意とするところであるが、付加価値は小さい。
・ 複合材料の製造はベトナムでは実績がないため、高度な解析と製造管理を要求されるブレード
の製造を始めるには時間を要する。したがって、強度部材ではないナセルカバー等の複合材料
製品から手掛けて、ブレード製造に進むのが良い。
・ ベトナムでは 1 社が風車の発電機を製造している。ベトナムでは機械部品の製造に関する設備
が整っているため、今後、風車の発電機の製造は期待でき、また現在のところ競争も少ない。
・ 風車の運転条件が厳しい日本と同様に、ベトナムでも風車の制御システムや利用率向上のため
のメンテナンス技術は今後必要となる。
・ 日本のソニック製自動気象計測システムを Dak Lak 県に設置し、2016 年 1 月から観測を開始
した。
4) 実用化・工業化推進に向けて
本招聘事業で得られた知見をベトナムの製造能力や環境に適合させ、ベトナムにおける風車及
び部品の製造に必要な条件を整えていく。また、Dak Lak 県に設置したソニック製自動気象計測シ
ステムから得られるデータを用いて、日本製の中型風車と大型風車の設置を想定したときの発電
量試算を実施する。
5) 招聘研究の総評
日本の風力産業の製造バックヤードとして期待されるベトナムに対して、設計・製造能力の育
成や拡大は日本とベトナムの両国に対して発展的な成果が期待できる。さらにベトナムにおける
風力の健全な発展のためには、日本製風車の導入促進も期待できる。
3.3.2-2 ベトナムの風力導入における障害と対応技術の研究
[2-2] ベトナムの風力導入における障害と対応技術の研究
・ 招聘研究者 Mr. Nguyen Binh Khanh(グエン ビン クハン)
・ ベトナム科学技術院(ベトナム)
・ 受入機関
三重大学大学院工学研究科 前田太佳夫教授
・ 招聘期間
10/16-3/15(152 日)
1)研究の背景
12
ベトナムの再生可能エネルギー導入目標の最大値は風力発電であり、2020 年に電力供給の 1%
として 1GW、2030 年には 2.7%として 6.2GW を設定している。この目標に向けて 54 箇所でプロジェ
クトが計画され風況観測が行われているが、2015 年までの設置はわずか 3 件 138MW で、計画と大
きく乖離している。欧米とは異なり、ベトナムと日本では台風の襲来、山岳や島嶼の複雑地形で誘
起される乱流、島嶼等の小規模系統での電力安定性確保、狭隘地での輸送や建設等、風力導入につ
いて似た環境にある。今後発展するベトナム風力市場には、日本の技術及び風力発電機器は大き
な競争力を持っている。
2) 目的
日本では風力発電の導入初期から 20 年近くを費やして、様々な障害を克服する技術、手法を開
発してきた。これらの解決策は日本と類似の環境にあるベトナムでも有効であると考え、本研究
では、ベトナムと日本の風力環境条件を比較検討し、その結果からベトナムにおける風車導入条
件の整理と課題解決の方策を得る。
3) 実施内容
・ ベトナムにおける風力発電導入の障害と、その解決策を調査し以下のようにまとめた。
・ 風力発電導入に不可欠なベトナム全土の風況データベースの構築が必要である。
・ 設置済の風車は欧米からの輸入であり、ベトナムの風特性に適していない。そのため、ベトナ
ムの条件に適した風車の導入が必要である。
・ 風力発電単価が 7.8 UScents/kWh と魅力的ではなく、11 UScents/kWh の確保が必要である。
・ 風力導入のためのインフラや人的資源が限られており、また風車関連機器のベトナムでの現地
生産が遅れている。風力分野の生産技術や研究開発、技術者トレーニング等の強化が必要であ
る。
・ 風力導入のための国内投資が限られている。その解決のためには、ベトナム政府による風力推
進政策や支援、風力導入のための手続きの確立が必要である。
4) 実用化・工業化推進に向けて
風力導入に関するベトナムと日本の類似性から、極値風速や乱流強度をサイト評価に適用する
「日本型風力発電導入ガイドライン」をベトナムにおいても導入することを検討する。また、日本
における風車の製造や組立の技術やプロセスをより実践的に理解し、ベトナムに適用するための
研究を行う。
5) 招聘研究の総評
ベトナムは今後風力の大量導入が期待されるが、適切な知見がないと日本がこれまで経験して
きたトラブルの二の轍を踏むことになる。ベトナムの環境条件に適合した風車を選定・設計する
ために要求すべき強度条件を仕様として提示でき、その結果、故障・事故が発生することなく健
全に寿命を全うする風車を導入することにより、持続的な風車市場が形成されると期待できる。
3.3.2-3 ベトナムに於ける台風等の環境条件に適した風力発電装置の研究
[2-3] ベトナムに於ける台風等の環境条件に適した風力発電装置の研究
・ 招聘研究者 Mr. Vu Duy Hung(ウ ズイ ホン)
13
・ ベトナム通産省(ベトナム)
・ 受入機関
株式会社日立製作所エネルギーソリューション社
松信 隆チーフプロジェクトマネージャー
・ 招聘期間 10/1-2/4(127 日)
1)研究の背景
ベトナムを含む東アジアでは、台風、雷など過酷な条件が想定される。風車の国際規格
IEC61400-1ed.3 などでは、サイトの自然条件などへの適合性評価手法を必ずしも充分に規定して
いない。日本電機工業会(JEMA)などが検討している「風力発電所のサイト適合性評価手法」の内容
を取り入れながら、ベトナムへの環境に適合し得る風車の仕様について検討することが重要であ
る。
2) 目的
ベトナムに来襲した台風の軌跡を風速データから、ベトナム各地に建設する風力発電に求めら
れる強度及び関連の機能性能の要求を明らかにする。乱流についても、山岳地、島嶼の地形、風況
から想定される乱流の特性を推定し、風力発電に求められる強度及び関連の機能性能要求を明ら
かにする。以上の機能性能要求を満たす風力発電装置及び関連機器に求められる仕様の概要を明
らかにする。
3) 実施内容
・ ベトナムの環境条件を把握、分析し、ベトナムの台風軌跡及び風速などの条件を検討した。ベ
トナムの山岳地など複雑な地形における風車の乱流強度を解析し、評価した。ベトナムの山岳
地では、日本製風車の適合性が確認され、ベトナムの環境に耐える風力発電装置の要求仕様の
策定とベトナムにおける最適風車の要件案を策定した。
・ 日本製風車を導入した場合の利点評価、海外風車と日本製風車の発電量比較、事業収支の概算
計画を通して、日本型風車の適用が可能な地域がベトナム国内に存在することを確認した。
4) 実用化・工業化推進に向けて
現在のベトナム国内の風力発電計画地の中で、山岳、丘陵地域などに日本の環境に類似した課
題を有する風力発電所候補地を摘出することができた。今後、日本製風車を導入した場合の発電
単価の算出、競合機との発電単価の相違など評価し、ベトナムの売電価格など経済的に成立し得
る風力発電立地点の選定、事業化検討などにつなげて、実用化・工業化推進に向けて検討を継続し
ていきたい。
5) 招聘研究の総評
ベトナムの風力プロジェクトを的確に評価分析することを通して、現在の計画地の中で、山岳、
丘陵地域などに日本の環境に類似した課題を有する風力発電所候補地を摘出し、日本製風車の導
入促進を緒に付けた。欧米製の風車と日本製風車の得失評価により、ベトナムの風力発電事業の
健全な成長につなげることが可能となった。
14
3.3.3-1 ベトナムにおける地熱資源を利用した発電技術に関する調査研究
[3-1] ベトナムにおける地熱資源を利用した発電技術に関する調査研究
・
招聘研究者 Mr. Ngoc Duc Vu(ゴック デュック ヴォー)
・
ベトナム通産省(ベトナム)
・
受入機関
産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門 柳澤教雄主任研究員
・
招聘期間
10/1-12/19(80 日)
1)研究の背景
ベトナムにおける再生可能エネルギー利用率の向上をめざすにあたり、地熱・温泉資源の評価
および発電技術の導入可能性の評価が重要となる。それには、すでに地熱発電・温泉発電の利用を
進めている地域での実情を調査することが必要であるが、日本は、地熱資源調査、実証試験、発電
機製造などが行われ、調査には最適の地域である。
2) 目的
将来のベトナムにおける地熱資源の利用(発電や熱利用)に必要な技術(資源調査、発電技術
など)について調査し、ベトナムの状況との適応性を評価する。
3) 実施内容
・ 温泉発電技術や、日本の地熱の状況、東南アジア地域の地熱ポテンシャルについて産総研の研
究者と意見交換を行い、また、国際的な地熱開発動向調査のために ICEF 会議に参加した。
・ 静岡県熱川地域や福島県土湯温泉といった温泉バイナリー発電が行われている地域の視察を
現場担当者と意見交換を行った。
・ 温泉発電導入のために必要なマニュアルの参考とするために、エンジニアリング協会を訪問
し、温泉発電導入に必要な制度や技術などについて調査を行った。
・ 日本における地熱発電の現状を調査し、秋田県の澄川地熱発電所を訪問した。
・ ベトナムにおける地中熱利用導入に必要な技術等を習得するために、10/26-11/6 につくば及
び秋田大学で実施された地中熱のトレーニングコースに参加した。
・ ベトナムにおける地熱資源調査のレビューを行い、日本の事例との比較検討を行った。
4) 実用化・工業化推進に向けて
本招聘プログラムでは、日本で開発が進められている温泉発電や地中熱利用などの地熱利用の
技術とその開発プロセスを調査し、導入先のポテンシャル等に対応する開発計画立案についてベ
トナムを対象に実施した。そのプロセスは今後、様々な国で適用できると考えられる。
5) 招聘研究の総評
日本において地熱研究を行っている産総研の研究者との様々な意見交換や実際に稼働している
地熱発電所および温泉バイナリー発電所の見学、また温泉バイナリーを推進しているエンジニア
リング協会の訪問などを通し、将来のベトナムの地熱利用に向けての足がかりにするためには、
十分な研究であったと考えられる。
15
3.3.3-2 地熱貯留層評価の改善を目指した産出能力曲線の簡便・高精度構築法の開発
[3-2] 地熱貯留層評価の改善を目指した産出能力曲線の簡便・高精度構築法の開発
・ 招聘研究者 Dr. Khasani Moh Jaelani(カサニ モー ジャラニ)
・ ガジャマダ大学(インドネシア)
・ 受入機関
秋田大学国際資源学部 藤井 光教授
・ 招聘期間
11/15-2/10(88 日)
1)研究の背景
地熱発電における生産井の蒸気・熱水産出能力は通常は坑井内に計測器を設置して測定される。
しかし、この本測定作業は大きなコストと長い時間を要するため、操業中の地熱フィールドでは
実施頻度が小さく、これが地熱貯留層からの最適な生産計画立案と貯留層管理の障害となってい
る。すなわち、地上における簡易測定のみで生産井の能力を推定する方法を開発できれば、地熱発
電所における長期間における安定操業への貢献は大きいと考えられている。
2) 目的
日本最大の地熱発電所である大分県八丁原地熱発電所において取得された試験データを用い
て、地熱フィールドにおける生産井周辺地盤の貯留層シミュレーションおよび生産井内流動シミ
ュレーションを行い、地熱井の産出能力曲線の信頼性向上およびデータ取得の低コスト化を目指
す研究を行う。そして、この成果により地熱開発における開発費・操業費の削減を目指す。
3) 実施内容
本招聘研究では大分県八丁原地熱発電所において取得された試験データの詳細な分析により、
地熱生産井における生産挙動の安定化に要する生産時間の推定法について検討した。さらに、貯
留層シミュレーションと生産井内流動挙動計算を用いて、坑底圧力と坑口圧力の関係についての
簡便な推定法を提案した。なお、シミュレーションにおいては貯留層温度、深度、岩石パラメータ
などを変化させて様々な条件を想定した感度計算を行い、様々なフィールドの条件に適用可能な
結果を提供した。なお、滞在期間中に得られた研究成果は、世界で最も権威ある地熱関連学術誌
Geothermics 誌に原著論文として現在投稿中である。
4) 実用化・工業化推進に向けて
本招聘研究で実証された簡便な地熱生産井における産出能力の推定方法は、世界のさまざまな
地熱発電国において、技術提供・コンサルティング業務の一部として使用可能であり、地熱開発現
場ではデータ取得法などについて実地指導も視野に入れている。また、本研究は日本の地熱開発
企業の協力を得て実施されており、同社との連携も今後さらに強めて進めていきたい。
5) 招聘研究の総評
招聘研究者は、熱帯に位置するインドネシアから寒さの厳しい冬の秋田を長期訪問したにもか
かわらず、3 ヶ月間の研究期間全体において体調を崩すことなく、精力的な研究活動を継続した。
研究成果は Geothermics 誌に投稿できるだけの高水準なものが得られており、本招聘研究の成果
は満足できるものであったと考えられる。
16
3.3.3-4 地熱地帯における熱水変質とスケーリングの地化学モデリング
[3-4] 地熱地帯における熱水変質とスケーリングの地化学モデリング
・
招聘研究者 Dr. Maria Ines Rosana Dacanay Balangue
(マリア イネス ロサナ デカネイ バランゲ)
・
フィリピン大学(フィリピン)
・
受入機関
九州大学工学研究院 糸井龍一教授
・
招聘期間
1/15-3/15(61 日)
1)研究の背景
高温の地熱資源の開発において掘削された坑井から酸性の流体を生産する場合がある。このよ
うな酸性流体は、坑井のケーシング並びに地上設備の腐食を引き起こす原因となっている。流体
の酸性化の原因を化学的に解明し、酸性化の予測ができればこのような坑井を有効利用する対策
を講じることが可能である。そのためには、坑井から得られた岩石試料の鉱物組成を明らかにし、
その結果を用いた岩石-水反応の化学平衡計算による流体組成の数値シミュレーション手法の確
立が必要である。
2) 目的
地熱資源の開発はより温度の高い深部を目指して開発が進められている。同時に地熱流体の化
学特性が過酷な条件となることが予測される。したがって、地下深部の地熱流体が有する特性を
考慮し、周辺岩石との化学反応モデルを開発し、それに基づいた化学数値シミュレーションを実
施し、流体特性を予測する技術を開発する。
3) 実施内容
地熱貯留層を構成する岩石の鉱物組成および生産流体の化学分析結果を日本国内ならびにフィ
リピンの地熱開発地域から入手した。国内のデータについては NEDO の地熱開発促進調査データベ
ース(栗野・手洗地域)から、フィリピンのデータについては、現在開発が進んでいる新規開発地
域から入手した。これらのデータを使用し、生産流体の種々の鉱物に対する飽和指数を算出し、蒸
気分離後の熱水中の鉱物種の析出可能性を検討した。さらに、地球化学反応を定量的に解析する
ソフトウェア(CHIM XPT)を用い坑井内あるいは貯留層内での沸騰を仮定した場合に析出する可
能性のある鉱物種を抽出した。その結果、硬石膏や黄鉄鉱の析出可能性が示唆された。しかし、こ
れらの鉱物と地熱流体の反応により流体の酸性化を検討するまでには至らなかった。これについ
ては、今後の課題である。
4) 実用化・工業化推進に向けて
深部地熱貯留層おける流体の化学性状を化学モデリングに基づいた数値シミュレーションによ
り予測することができれば、技術コンサルティング会社との連携により流体特性を考慮した対応
策ならびに地表設備メーカとの連携により耐腐食性を備えた設備の開発が可能となる。
5) 招聘研究の総評
研究で使用する地球科学反応ソフトウェアの整備ならびに使用するデータ入手に時間を要した
ため、当初の目的を十分に達成することができなかったが、地球科学モデリングとその有効性に
ついては本研究で確認することができた。また、招聘研究者の研究に対する取り組みは真摯であ
り、研究者として模範的な態度であった。
17
3.3.4-1 タイの地理的、技術的条件に合致した小型水力発電システムの開発
(MPS法による流況推定と、ローカルコミュニティへの導入の為のオフグリットシステムの構築)
[4-1] タイの地理的、技術的条件に合致した小型水力発電システムの開発
(MPS 法による流況推定と、ローカルコミュニティへの導入の為のオフグリットシステムの構築)
・ 招聘研究者 Dr. Salisa Veerapun(サリサ ヴィーラプン)
・ ナレースワン大学(タイ)
・ 受入機関
信州大学学術研究院(工学系)飯尾昭一郎准教授
・ 招聘期間
10/5-3/4(152 日)
1)研究の背景
昨年度の招聘により、タイへの水力発電システム導入実現につながる水車設計法、性能評価法、
好適流況条件等を修得した。さらに帰国後、招聘研究者グループの踏査により複数の小水力発電
候補地を確認するとともに、水車導入時の河川管理者、ローカルコミュニティとの連携体制の構
築を進めた。研究対象としている水車は開放型であり落差が比較的得やすい堰堤への設置を想定
している。そのため、堰堤からの越流水の状況が水車性能を大きく左右する。一般的に、水車設置
地点ごとに流況が異なるため、最終的には実地調査が欠かせないが、その前段階において机上で
設置可能性を概略でも評価できれば、移動をともなわない効率的な選定ができるようになる。
ところで、昨年度の招聘研究の成果として、タイの山間部の無電地域において水力ポテンシャ
ルと電力需要が存在しており、オフグリッドシステムのニーズが高いことがわかっている。オフ
グリッドの場合には、水車の運転状況は電力需要で変化するため、水力ポテンシャル(入力)と発
電量(出力)、電力需要(消費)とのバランスを考慮したシステム構成が必要となる。
上記の机上検討による適地選定方法の確立と、オフグリッドシステムの構成方法を習得するこ
とは、タイへの小水力発電の導入において、その意義は大きい。
2) 目的
・昨年度着手した流体シミュレーション手法を水車導水路の流れ場解析に応用し、流路形状と水
流状況との関係を評価する。
・小水力発電用のオフグリッドシステム構成を理解し、システム設計ができるようになる。
3) 実施内容
・流体シミュレーション手法には粒子法(MPS 法)を用い、昨年度の羽根車内部の流動解析用プロ
グラムコードを開放型水車の導水部の流動解析に使用できるように変更した。その結果、導水
部の曲率半径と、水流の速度・水深との関係を定量的に求めることが可能になった。
・オフグリッドシステムには、整流器、インバータ、コンバータを用いた単純な構成を選択し、実
験室内でシステムを構築した。特に、PM 発電機の使用を前提として、流況、水車仕様、発電機
の発生電圧・周波数、電力需要それぞれの関係からシステム内のパラメータ調整方法、運用方
法を習得した。これにより、無電地域で電力供給が可能となるシステム構築ができるようにな
った。
4) 実用化・工業化推進に向けて
2016 年度に実施となるタイでの再生可能エネルギー普及にかかる公募事業へ応募し、ローカル
コミュニティへの導入実証試験、技術者育成ワークショップや小水力発電ユニットの実用化に向
けた実施体制の構築を計画している。また、水力発電システムを製造可能な技術を有する地元企
18
業とのミーティングを実施し、今後の方針についての検討を開始している。
5) 招聘研究の総評
タイの地理的、技術的条件に合致した小水力発電システムの開発を目指して、当初の計画にし
たがって招聘研究が実施された。この成果が実用化・工業化の大きなきっかけとなることを期待
する。
3.4 成果の取りまとめ
3.4.1 招聘研究に係る総括会合
平成 28 年 2 月 29 日に東京・池袋で「平成 27 年度研究者招聘プログラム総括会合」を開催し、
招聘研究者から招聘研究の背景、成果、今後の工業化・産業化に関しての報告があった。併せて修了
証書を授与した。
1) 総括会合
開催日時: 平成 28 年 2 月 29 日(月)
開催場所: 東京・池袋サンシャインシティ文化会館
参 加 者: 招聘研究者 8 名、受入機関 5 名、資源エネルギー庁 1 名、新エネルギー財団 6 名
計 20 名
2)発表及び議論の概要
(1)耐熱性セルラーゼ酵素の創生 Dr. Dominggus Malle (インドネシア)
・研究成果である耐熱性セルラーゼはバイオ燃料製造のバイオマス基質の糖化工程に利用可能。
・今後の実用化のために、日本企業の協力を得てパイロットプロジェクトを計画したい。
・今後の招聘事業に対する提案:2 カ年制を取り入れ、一年目は研究室での作業、二年目は研究成果
に基づく企業との共同研究に参加することで、産業化・工業化が促進されるのではないか。
・質疑応答:
・対象とするバイオマスの原料、インドネシアでの可能性は。
→
木材、インドネシアには油や
しの植林や木材や廃材が多い。
・招聘研究の目的として木質バイオマス糖化反応時間の短縮とあるがどの程度か。→
条件にもよ
るが、例えば 1.4 時間が 30 分位になる。
・バクテリア汚染を除くことに対して製造プロセス側での利点は何か。→元々の酵素の耐熱(活動)
温度が例えば 40℃であるとバクテリア汚染によりプロセス歩留りは下がるが、70℃ではバクテリ
アは活動しないので歩留りは上がる。
(コメント)
・実用化に向けて日本の機械メーカが関心を持っている。インドネシアだけではなく、東アジアの
各国にも本技術によるプロセス・設備技術を広めようと考えている。
・本招聘プログラムでは国研、大学が受入機関の場合は研究協力機関として企業を挙げて貰ってい
る。最初は大学等であってもゆくゆくは民間企業に招聘者を受け入れていただき日本の技術・産
業が海外で普及することを期待。
19
(2)高品質バイオディーゼル燃料製造に資する固体酸触媒の開発 Ms. Supranee Laoubol(タイ)
・ASEAN 諸国では BDF 混合ディーゼル燃料の導入が計画されており、低品位原料を利用可能とする
本研究成果は燃料コストの削減に資する。
・未精製のジャトロファ油等低品位の非食糧を原料にできる、処理作業の単純化、廃棄物の最小化、
副産物として高品質のグリセロールが取得できる。
・今後の実用化のためには、実験データに基づく実用化調査と LCA 分析、実用化レベルの触媒生産、
パイロットスケールプラントでの実証実験、燃料需要に基づく商業規模のプラント設計が必要。
(質疑応答)
・POME と PFAD との違いは何か → PFAD は蒸留液の廃液で POME はパーム搾油工場からの廃水全体。
・固定触媒 Ti-Q10 は高価ではないか。→ 材料や製造プロセスの改良でコスト低減を図る。
(3)バイオガス生産中の微生物群の変化に関する研究
Ms. Lai Thi Hong Nhung(ベトナム)
・今後の実用化のためには、VAST・広島大学・産総研との共同研究、日本企業からの技術移転、ベト
ナム企業との技術開発が期待される。
・今後の招聘事業に対する提案:バイオマス研究の機会を多くして欲しい。
(質疑応答)
・ベトナムに帰国後、微生物の収集や分析に問題はないか。→
広島大学で得た知識や技術を活用
する。受入機関と連携する。実証段階では更なる支援が必要。
・既設バイオガス発生装置で動作しないものたある原因は何か。→微生物がその環境に適応してい
ない。ベトナム企業、バイオガス発生プラントへ招聘事業で得た技術を移転し、またコンサルタ
ント業務を行いたい。
(4)バイオマスタールからの液体燃料製造 Dr. Moe Thanda Kyi(ミャンマー)
・ミャンマーでは農作物が豊富であり、地方都市で生産されるバイオマス資源を利用した液体燃料
製造が期待されている。
・今後の研究課題:パラメータのさまざまな条件を検討する。
(質疑応答)
・使用したターの内容は何か。→ ターの製造で得られる高比重のヘビーターを今回の研究で使用。
残りの比重の低いライトターの利用も検討したい。
(5)現地生産における日本型風車の構造要素に関する研究 Mr. Nguyen Tuan Phong(ベトナム)
・ベトナムでの現地生産を進めるには、さらなる日本型風車技術の研究とベトナムの状況にあった
技術を学ぶことが必要であり、まずベトナムの風況データ観測と分析が必要。
・今後の招聘事業に対する提案:風車メーカで直接学べる機会は研究者にとって有益。風力だけで
なく、水力についての研究も有意義である。
(質疑応答)
・現在のベトナムの風車関連メーカ → 4 社あり、タワーと発電機を製造
・風速計で 2D に対し 3D の利点は → 垂直方向の風速、方向のデータ取得
・ベトナムで製造可能な風車部品は
→
重量鉄鋼品、ナセル等のプラスティック製品、次はブレ
ード
20
(6)ベトナムでの風車生産における障害と解決法 Mr.Nguyen Binh Khanh (ベトナム)
・日本の経験を学ぶことでベトナムでの風力開発の問題点の解決策を講じる一助となる。
・ベトナムの風況に合った風車生産技術の開発を行う。
・今後は国が信頼性の高い風況データベースを作成することが重要となる。
・今後の招聘事業に対する提案:ベトナムの風況に適した日本の風車技術を学ぶためにベトナムか
ら研究者を招聘してほしい。
(質疑応答)
・風況測定で、欧米よりも日本のほうがベトナム環境に即したものは何か。→ 高精度測定、乱流(3D
測定)
(7)Biliran 地熱発電所からの酸性流出物の研究
Dr. Maria Ines R.D.Balangue(フィリピン)
・酸性流出物の性質の分析で同様のプロジェクトでのスケーリングや腐食問題の対策に役立てる。
・地熱発電での問題点の一つは井戸からの蒸気の含有物により、酸化、腐食、スケーリング等が発
生することである。水-岩石反応のデータ蓄積は、地熱開発場所の選定また長期にわたる設備維
持に貢献。
(8)流況の MPS 調査と独立型電源システムの導入 Dr. Salisa Veerapun (タイ)
・タイの地理的および技術レベルに適した小水力発電の開発が必要。
修了証書授与
21
3.4.2 研究報告書
招聘研究者は共同研究完了時に、受入れ研究機関の指導を得ながら研究報告書を作成した。それ
らを、統合、編集して本年度の研究報告書とした。
3.5 研修、現地視察、教育等
3.5.1 風車工場研修
平成 27 年度のベトナムから招聘した 3 名の研究者の研究課題である「ベトナムへの大型風力の
導入および工業化」に対して、日本の大型風力発電装置製造工場の見学および技術者との情報交換
を行い、研究の一助とするために、風車工場での研修を行った。
1) 概要

期間:平成 28 年 1 月 18~19 日

訪問先 :日立製作所(大甕工場:PCS 組立ライン,山手工場:風力発電機加工・組立ライン、埠
頭工場:風車ハブ・ナセル組立ライン)

出張者:国際協力部 永尾主幹、玉田調査役
三重大学 環境エネルギー工学研究センター長 工学研究科 前田教授
招聘研究者
・Mr. Vu Duy Hung、MOIT(受入機関:日立製作所)
・Mr. Nguyen Binh Khanh、VAST(受入機関:三重大学)
・Mr. Nguyen Yuan Phong、VAST(受入機関:三重大学)
(1)大甕工場
・「インフラシステム社」と「インフラシステム社、大みか事業所」の説明
・風力発電用と太陽光発電用の PCS 組立ラインを主体として工場見学。PCS 単体としての外販と自
社発電機組付け用として生産。
・主な質疑応答
・ベトナム、台湾、フィリピンなど日本と風況が似ている国に於いても欧州製の風車が導入され
ており、局地風や台風などの影響で風車に被害が出ている。
・GE は IEC 規格のクラスⅢ、日立はクラスⅠとⅡを生産しており、日立の風車がアジア諸国に広が
るよう活動を行う。
(2) 山手工場
・発電機の部品加工から組み立てを中心に工場見学、風力発電用としては 1.8MW(2 台/日)、2MW
(20 台/月)、5MW の 3 種類を生産中。
・招聘研究者の研究内容紹介と質疑応答
① Hung 氏:Study of introduction of wind turbine system in the typhoon dominated South
East Asia region
ベトナムの年平均風速、ベトナムで設置されている風車の容量、乱流強度について議論した。
② Khanh 氏:Study on barriers and solutions to wind energy introduction in Vietnam
質疑応答:ベトナムの FIT の現在値 7.8US¢/kWh に対して MOIT は 10.4 US¢/kWh を提案してい
るとのことであるが、価格根拠について議論した。
22
③ Phong 氏:Study on local production of structure element of Japanese type wind
Turbine
(質疑応答)
・ベトナムに進出した風車タワーメーカーの生産能力の合計は 700 本/年という説明に対して、設
備の理論的生産能力か、採算実績か、またタワー、ナセル、ブレードなど毎にメーカ名と生産能
力/実績を明らかにする。
・ベトナムは何を製造することを望んでいるのか明確にしてほしい。タワーなどの鋳造や鍛造から
始めることが出来るのではないか。
・日本としてはベトナムには鋳鍛品、複合材製品の製造能力があると考えているが、本研究内で精
査を進めて欲しい。
・中国の例では、自動車部品を製造していたメーカが風力等の部品供給業者としての能力を有して
いたことが参考になる。ベトナムの類似産業を調査することが役に立つ。
(3) 埠頭工場訪問(ナセル工場)
ハブとナセルの組立を主体に見学。日立は 2015 年 3 月現在で、日本国内で 95 基の 2MW と 1 基
の 5MW(実証中)を設置。
パワーコンディショナー工場
日立の説明を聞く招聘研究者と指導教授
ナセル組立工場(埠頭工場)の 100kW(椛島洋上)と 2MW ブレードの前
23
3.6 支援作業
研究人材育成事業遂行の準備、調整、事務手続き、研究支援として以下の作業を行った。

研究人材育成事業実施に必要な情報収集・調査

研究者ネットワーク活用による共同研究の掘起し

受入機関・共同研究者マッチング

共同研究者・研究案件の募集・審査

研究人材の招聘及び派遣業務(現地受入れ前手続き、受入支援を含む)

研究人材育成プログラムの調整

国内外における共同研究及び附帯業務の実施、管理

招へい期間中の招聘研究者の事業面・生活面における支援・管理

相手国政府・カウンターパートや関係機関との連絡・調整

その他の関連作業
24
4. ネットワーク構築及び情報交換のためのセミナー開催
バイオマス技術を含む再生可能エネルギー関連の国内外の会議へ参加し、諸外国をはじめ日本国
内における再生可能エネルギーに係る幅広い情報収集を行うと同時に、国内外の再生可能エネルギ
ー研究のコアとなる研究者・研究機関の発掘、人材育成プログラムに対するニーズの提案と調整を
行なった。
4.1 海外ネットワークの構築と維持
4.1.1 第11回ASEAN+3 新・再生可能エネルギー・省エネルギーフォーラム
(ASEAN+3 New and Renewable Energy and Energy Efficiency and Conservation Forum)
1)概要
・参加者:新エネルギー財団計画本部調査役 玉田
眞司
・開催地:マレーシア・クアラルンプール(Parkroyal Hotel)
・開催日:平成 27 年 5 月 23 日
・出席者:ASEAN からはブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、
フィリピン、タイ、ベトナムの 9 ヶ国、+3 として日本、韓国の 2 か国の合計 11 か国、約 40 名が
参加。
・日本の参加者:資源エネルギー庁、エネルギー経済研究所、省エネセンター、新エネルギー財団
2)各機関からの報告
<新エネルギー財団>
「アジア再生可能エネルギーワークショップ AREW」と「H26 年度招聘研究者プログラム」について
重点を置いて説明した。NEF の発表に対して議長から下記 2 点の提案あり。
・「アジア再生可能エネルギーワークショップ」の次回開催については、ASEAN の関係する会議の開
催時期と合わせて開催(back to back)することで更に効果的なものになると思われるので、ASEAN
会議を運営する ACE と相談しては如何か。
・「招聘研究者プログラム」については、各国の政府関係者を含めて周知するために、これも同じく
ACE のネットワークを利用しては如何か。
・これを受けて NEF が ACE と調整した結果、今後両者間で相談して進めて行くこととした。
<日本エネルギー経済研究所>
・昨年度までの新・再エネセミナー事業について説明。2012 年度からはスマグリ・スマコミと地熱
が主体。10 年間で 812 名が参加。タイから、スマグリ・スマコミや地熱だけでなく、太陽、風力、
バイオ燃料等についてもセミナーの要請があった。
<ASEAN エネルギーセンター(ACE)>
・GIZ(ドイツ国際協力公社)と ASEAN 各国で展開している事業について説明。
・議長質問:GIZ と進めているプログラムは成功しているか。→新・再エネ導入の先の展開を考える
と、ACE 以外の機関や ASEAN 参加国との関係構築が必要で、ASEAN+3 のネットワークを使って行き
たい。
25
・議長:APAEC(ASEAN Plan of action for energy cooperation)のサポートとの事であるが、何
も聞かされていないので、持ち帰ってよく検討しては如何か。→そのようにする。
・タイ質問:ASEAN+3 の会議にどうして giz が同席しているのか。→プロトコールの明確化が必要で
ありその様にする。
・ブルネイ質問:ACE の取り回しをもっと上手にして欲しい。→各種のプロジェクトで GIZ が競合と
なるようなことは避けており、目標達成の為のあくまでも補完的な、または重ならない部分での
事業を検討。
<省エネルギーセンター>
・インドネシア質問:インドネシアには電力供給が不安定な多くの島々がある。スマグリ・スマコ
ミの経済性は如何か。→デバイスだけでは無く全体を見る必要が有る。
・議長質問:FIT 対象のエネルギー制限は。→かつてはあったが、2012 年 7 月からは制限が無くな
った。問題は導入量で太陽光が 90%以上を占めている事。
・風況の良い北海道の風力導入が進まない理由→環境評価に時間が掛かること、系統連系が脆弱。
3)各国の省エネ・再エネ状況報告
<ブルネイ>
・目標:2035 までに 10%以上の発電を再エネで実施(短期的 2017 年までに 2.7%、PV 中心)
・PV は三菱商事との合同プロジェクトあり。
・REC(Renewable Energy Certificates)制度を実施(グリーン証書に類似)。
<カンボジア>
・進行中の PV プロジェクト:韓国製を主体に導入(500MW)、次に米国製(200MW)、日本製(30MW)。
UNIDO(国際連合工業開発機関)主導で 2 か所検討中。
・バイオ燃料:タイエネルギー省と共同で小規模バイオディーゼルシステムを開発中。
・水力:カンボジアの BOT(一括事業請負後譲渡方式)により 400MW を開発中。
・水力について国内 3 か所用に包括契約を検討中。2018 年に 90MW、2019 年に 2600MW、2020 年に
900MW を計画。
・すべての農村部を 2020 年までに電化(オフグリッドで新・再エネを利用)、2030 年までに国の
70%の家庭をグリッド化。
<インドネシア>
・バイオ燃料を主体に新・再エネ利用を拡大する。(2016 年/B15 から B20、2020 年/B30)
・新・再エネの利用を拡大させるために、市場拡大(バイオ燃料の購入促進)、補助金(植栽と販売
価格の両方)、FIT(販売価格)、インセンティブ(減税、認可を容易にする)等の施策。
<ラオス>
・新・再エネの導入目標:30%(2025)(バイオ燃料はうち 10%)。
・そのために太陽光(JICA と NEDO 主体)、小水力、バイオマス(植栽)、バイオガス(廃液)、バ
イオ燃料(油やし、ジャトロファ)、風力(2025 年/73MW)に取組んでいる。
26
・法的整備(バイオ燃料の規格作り含む)、資金援助(補助)、価格体系、周知(宣伝)、消費地に
近いところで生産するなどの体制整備を行う。
<マレーシア>
・新・再エネの利用は 5,000MW 以上(水力含む、2015 年 3 月)。
・2020 年の潜在的効果は、2,400 億円の売上創出、50,000 人以上の雇用創出、60 億円の税収入があ
り、そのために 680 億円の投資を行う。
・2015 年時点で FIT 適用の再エネはバイオガス(12.8MW)、バイオマス(55.9MW)、小水力(15.7MW)、
太陽光(188.8MW)。16 年間~21 年間適用。
・今後の方針:再エネの増加:大規模太陽光発電、ネットメータリング(発電分から使用分を引いた
残電気を電力会社が買取り)、グリーングリッド(グリッドから離れている油やし利用の発電所
を連系)、新エネ開発(風力と地熱のアセス)、資格・能力開発(太陽光、バイオマス、バイオ
ガス、小水力)
<ミャンマー>
・再エネ利用状況は、水力(設備容量 4,032MW)、バイオマス(ミャンマーのエネルギーの 66%に相
当、その内 90%は木材の燃焼による)、バイオガス(動物の糞尿)、地熱(電力開発の為に 43 箇
所で検討中)。再エネの設備容量は、バイオガス 6.2MW、バイオマス 0.6MW、太陽光 0.02MW、風力
0.04MW、小水力 0.04MW となっている。
・政策的には、再エネ開発に特化した理事会を設立、再エネ発電所の建設、サトウキビ・油やしなど
の植栽の促進、バイオエタノール利用拡大などを行う。
<タイ>
・目標:2021 までに総電力消費 13,297MW の 28%(3,969MW)を再エネで賄う。2014 年時点での再エ
ネ毎の達成内訳は、太陽光 961MW(32%)、風力 223MW(12%)、小水力 112MW(35%)、バイオ
マス 2,351MW(49%)、バイオガス 275MW(8%)、都市廃棄物 48MW(12%)。
・再エネ開発(発電)政策:
 風力(目標 1,800MW):コミュニティーのスケールでの利用開発、法改正、インフラ整備(系
統連系含む)、風車設計の研究開発推進。
 太陽光(目標 3,000MW):コミュニティーのスケールでの利用開発、川上の産業の育成と集
約、配送電網の整備、発電効率の規格作り、法整備。
 小水力(目標 324MW):コミュニティーレベルでの建設支援、タイ発電公社と共同でのシステ
ム開発、周知、高効率タービンの開発など。
 バイオマス(目標 4,800MW):成長の速い植物の植栽、バイオマスペレットの製造開発と規格
化、最新のガス化・ガスエンジンの開発、高圧ボイラーの利用促進など。
 バイオガス(目標 3,600MW):住宅レベルでのバイオガスの開発、コミュニティーのバイオガ
ス施設の支援、食糧由来に代わる代替材料からの生産支援、バイオガスの安全基準の検討と
設置など。
 地熱(目標 2MW):地熱ポテンシャルマップの作成、地熱探索技術の評価、生産性・環境影響
評価・社会への影響など。
27
 波力(目標 1MW):相応しい場所と技術の検討、開発ポテンシャルの評価、試作プロジェクト
の結果の有効活用など。
<ベトナム>
・目標は 2020 年に総電力発電量の 4.5%を再エネで賄う。風力 1,000MW、バイオマス 500MW。また、
2020 年までにグリッドの無い山岳地帯の 600,000 戸を電化する。
・風力のポテンシャル:風速 6-9m/s の合計で 142,850MW
・太陽光のポテンシャル:北部 30,000MW、南部 80,000MW
・水力のポテンシャル:3,450 の河川がある。理論的には 35,000MW
・導入が遅い理由の一つは低い FIT 価格、先ずは風力の FIT を本年中に見直す。また、知識・資金
力・インセンティブなど全てが無いので、他国の力を借りて推進して行きたい。
<日本>
・エネルギー状況、再エネ、省エネ(エネマネ、スマコミ、デマンドレスポンス)について方策を説
明。
<韓国>
・目標は 2035 年までに総電力の内 11%を再エネで(2013 年時点では 3.52%)
・エネルギー毎の内訳では、現在再エネの 67%を占める廃棄物発電が 2035 年には 29%と比率が下
がる。太陽光:5%→14%、風力:3%→18%、バイオマス:13%→18%と比率が上がる。
・KEMCO(Korea Energy Management Corporation)は KEA(Korea Energy Agency)に改称。
参加者集合写真
28
(4.1.2~4.1.4) 東アジアサミット・エネルギー関係会議
4.1.2 第 14 回エネルギー政策に関する高級実務者+3 ヵ国会議 (14th SOME+3EPGG)
4.1.3 第 16 回エネルギー政策に関する高級実務者‐METI 会議 (16th SOME-METI)
4.1.4 第 20 回東アジアサミット・エネルギー協力作業部会 (20th EAS ECTF Meeting)
・ 参加者:計画本部主幹(国際協力担当)永尾 徹
・ 会議開催日:
平成 27 年 5 月 29 日
・ 場所:マレーシア国コタキナバル マゼラン・ステラ・ホテル
・ 日本の参加者:(資源エネルギー庁)(東アジア・ASEAN 経済研究センター)(省エネセンター)
(日本エネルギー経済研究所)、(新エネルギー財団)
4.1.2 14回エネルギー政策に関する高級実務者+3ヵ国会議 (14th SOME+3 EPPG)
(3 Energy Policy Governing Group = 日中韓エネルギー政策調整グループ)

開催時期:平成 27 年 5 月 29 日午前

参加国:ASEAN+日・韓 10 ヵ国、ASEAN 事務局、ACE

議長:議長:マレーシア、副議長;日本、韓国
1)エネルギー安全保障
(1)12th ASEAN+3 エネルギー安全保障会議の報告(インドネシア)
・石油価格データベースの毎月の発表前に ACE から各国に報告することを期待。
・日本の JOGMEC は、局長クラスを対象とした石油価格に関する講座を今年の 6 月に開催。
・中国は、ASEAN-中国の民生各エネルギーの能力開発講座を 6 月に開催。
・今後、原子力と備蓄に関する能力向上の協力が必要。
・将来、石油生産の基準化と気候変動に関するレビューが必要。
(2)石油備蓄ロードマップ(OSRM)活動 (ACE)
・ASEAN 各国の石油備蓄の詳細アセスメントを実施。
・各国の石油備蓄ガイドラインを開発。
・能力開発ワークショップを 3 回開催(仁川、シェリムアップ、ジャカルタ)次回は東京。
・今後の作業計画は JOGMEC で立案。
・新構想については日本による研究が必要。
2) 石油・天然ガス市場会議及びビジネス対話
4th ASEAN+3 石油・天然ガス市場会議及びビジネス対話報告(タイ)
・今年の 2 月にバンコクで開催。
・エネ研が ASEAN+3 と世界の石油ガス市場の状況が報告された。
・各国の状況報告がなされた。
・石油・ガスセクターの協力強化のため ASEAN+3 協力を利用することで一致。
・トヨタ、アルガスメディア、ウッドマッケンジーの天然ガス市場に関する講演の報告。
・政策、成功事例、経験、技術、人材育成、挑戦等について情報共有、協力を促進。
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3) 新再エネ・省エネ
(1) 11th ASEAN+3 新再エネ・省エネフォーラム(マレーシア)
・4 月にクアラルンプールで開催した。
・ASEAN,ECCJ,IEEJ,KEMCO,ACE, NEF(玉田調査役)が参加(詳細玉田氏報告を参照されたい)
・再生可能エネルギーの新しい定義を採用(再エネには古典的バイオマスは含まない)。
(2) ASEAN+3 温室効果ガス対策協力 (韓国 KEMCO)
・温室効果ガス対策に関する国際間協力の強化と能力開発、情報共有を目的とする。
・ASEAN-韓国でビジネス機会発掘(マッチング)会合を開催した。
・2015 年は、冷蔵庫、エアコンのエネルギー効率とラベリング、各国報告他を予定。
(3)ASEAN への日本の省エネ協力(ECCJ)
・AJEEP(ASEAN-Japan Energy Efficiency Partnership Program)の歴史と成果の説明。民間部門の
省エネ強化を目的。
・ECAP(Energy Conservation Workshop under AJEEP)省エネワークショップを日本で開催。
・AJ-EMTIPS プログラム(ASEAN-Japan Energy Efficiency Market Transformation with Information
Provision Schemes)を 2014 年から開始。省エネに関する意見交換、市場変化等について議論す
る場として活用。ASEAN エアコンエネルギー効率性能カタログを開発。
(4)スマートグリッド、スマートコミュニティ円卓会議の進捗 (METI)
・今年 3 月 10 日 METI 東京で開催した。
・スマコミ、スマグリ普及にはコストと効果の把握、受益者間の情報交換、政府主導のモデルプロ
ジェクト実施、政策、ロードマップ、インセンティブ、規格等の整備が重要である。
・モデルケースとして、島嶼のディーゼル発電を再エネ発電に置換する場合を選定した。工業地帯
の電力安定化、国全体の系統規格化、スマートメータの導入等がポイントである。
・質疑応答:METI 竹廣室長から、「スマコミ、スマグリのコストメリットに関する各国の考えを知
りたい。」と要請し各国の意見が得られた。特徴的な意見としては、
・スマコミ、スマグリの解釈に混乱がある。スマコミは電気だけでなく他のエネルギーを包含し、
国毎にカスタマイズする必要がある。
・スマコミ、スマグリを適用して、独立電源の島嶼には何パーセントの再ネエが入るか。
→需要の内容、グリッドの構成によって異なるが、300~40%は可能。限られた条件では 80%
もありうる。
(5)ASEAN の石油エネルギー安全保障の能力向上プログラム(METI)
・石油需要:OECD では減少、ASEAN では増加(50 年間で 6 倍、2040 年には OECD を越える)。
・日本の石油の輸入の 80%は中東からで、日本のエネルギー安全保障には路線確保が重要。
・ASEAN のエネルギー安全保障の強化はアジア全体の石油供給に貢献。
・日本政府は 11 月 5 日を「世界津波の日」とすることを提案。
・日本政府は、石油備蓄に関して「ロードマップワークショップ」、「評価の実施」、「各国との共
同研究」についてエネルギー大臣会合の合意を得た。
30
・日本はそのため、ERIA での研究協力、能力向上プログラム(JOGMEC 担当)、ASEAN 各国に対する
二国間の政策決定支援を行う。
(6) 2015-2016 の ASEAN に対する日中韓等の活動予定
活動計画の各国担当内容は次の通り。
・中国:中国広核電力(CGN)担当;民生原子力人材育成、原子力技術教育
・日本:JOGMEC,METI,IEEJ 担当;エネルギー安全保障人材育成、スマグリ
・韓国:KEMCO 担当;温室効果ガス対策人材育成、ビルのエネルギー改善
・国際機関:ACE,ASCOPE;石油価格データベース、LNG 着荷地、ガス市場
(ASCOPE:ASEAN Council on Petroleum)
14th SOME+3 EPPG 各国代表
4.1.3 第16回エネルギー政策に関する高級実務者‐METI会議 (16th SOME-METI)
・
開催時期:平成 27 年 5 月 29 日午後
・
参加国:ASEAN 10 ヵ国、ASEAN 事務局、ASEAN エネルギーセンター(ACE)、日本
・
議長:マレーシア 副議長:日本
議事
1)政策協議
(1) ASEAN 各国の省エネ活動報告(ACE)
(2) 日本(METI)
・日本の新エネルギー計画:2030 年時点で省エネ効果を 2013 年比でマイナス 17%とする。エネルギ
ー構成は、石油 3%、石炭 26%、ガス 27%、原子力 20~22%、再エネ 22~24%。その内再エネ内訳は、
水力 8.8~9.2%、太陽 7.9%、風力 1.7%、バイオ 3.7~4.6%、地熱 1~1.1%。
・日本から APEC に対して「電力インフラ品質開発イニシアティブ」を提案する。
・日本は高効率石炭発電(クリーンコール)を推進する。
・ASEAN の発電量は 2011 年から 2035 年の 25 年間で 4.2 倍に増加し石炭が多くを担う。
31
・オバマ大統領は 2013 年に地球環境保全のためのアクションプランを発表し、海外の石炭発電への
支援を中止。(最貧国の効率的燃焼、CCS は除外)。OECD 数か国は同調。
・世界的には石炭火力は増加するが、OECD 国からの融資が無くなると新興国では安価で汚染度の高
い火力を導入せざるを得ない。
・高効率石炭発電こそ、地球温暖化対策とエネルギー問題の両方を解決する方法である。
・このため公的融資を投入して高効率高品質火力を導入するべきで、日本は OECD に働きかけるので
ASEAN 各国の支援を願いたい。
(3)各国からの意見と議論
<インドネシア>エネルギーの 60%は石炭、高効率石炭発電開発には日本、中国の支援期待。
<ベトナム>2020 年の目標を達成するためにはクリーンコール、スーパグリッド技術が必要。財政、
環境問題との整合を要す。
<インドネシア、ベトナム等>クリーンコール技術は必要。しかし CCS(炭素貯留)はコストがかか
る。
<タイ>日本の支援継続に感謝。石炭は重要でベンチマークと目標が必要。
<マレーシア>クリーンコールは重要技術と認識。日本の活動を支援。
<シンガポール>この問題は大きな課題と認識している。
<日本>Single issue ではないこと理解。OECD では厳しい議論が予想されるが各国からのクリア
メッセージを期待。
16th SOME-METI 会議
32
4.1.4 第20回東アジアサミット エネルギー協力作業部会 (20th EAS ECTF Meeting)
・ 開催時期:平成 27 年 5 月 29 日 15 時~17 時 30 分
・ 参加国:ASEAN+8 ヵ国政府(日本、韓、印、米、露)、ASEAN 事務局、ACE、ERIA
・ 議長:マレーシアエネルギー・環境技術・水省, 副議長:日本
1) 第 8 回エネルギー大臣会合結果報告(2014 年 9 月
ラオス)
<省エネ> 2014‐2015 年の下記の作業計画を承認
(目標設定と行動計画策定)(省エネ協力プログラム)(省エネポテンシャルとエネルギー予想)
(省エネカンファレンスとロードマップ)(スマートエネルギー管理の研究)
<バイオ燃料>2014‐2015 年の下記の作業計画を承認した。
(バイオ燃料データベース)(再エネ研究者招聘プログラム)(移動用再エネのベンチマーク)
<再エネ発電>(持続可能な水力発電開発研究:米国 NREL/ブルネイ BNERI)、(再エネベストミッ
クスと地熱資源の評価研究:日本 AIST)の研究を確認。
2)第 9 回東アジアサミットの報告:2014 年 11 月 ミャンマーで開催
各国首脳は次の「エネルギー大臣会合の報告と今後の計画を歓迎する」との声明を発表。
・ECTF (省エネ:日本),(バイオ燃料:フィリピン)、(再エネ発電:ブルネイ・米)の作業進展
・ERIA の石油備蓄と緊急時の対応に関する研究の開始
・FRIA の「東アジアのエネルギー市場予測と市場統合」研究
・ASEAN+6 がメンバーとなる EREN(Energy Institute Network)の設立と ERIA との共同作業
3)エネルギー協力活動の進捗報告
(1) 省エネのゴールと活動計画(METI)
・ECCJ、ERIA で各国の省エネ目標、活動計画、ロードマップを作成しカンファレンスを開催。
・政策検討(5 ヵ国 10 名)、EMS のビジネスモデル研究、事例研究を実施する。
(2)AEEC(アジア省エネ協力センター)の活動報告(ECCJ)
AEEC は 2007 年に ECCJ 内に設立され、アジア各国に省エネを普及させることを目的として以下の
事業を行っている。
・国際トレーニングプログラム:2004-2014 年実績:2,818 名、うち中国が最大で 688 名。
・専門家派遣:(2004-2014 年実績:907 名を派遣、インドネシア、タイが最大で各 128 名。
・One-stop service 質問への回答:2004-2014 年実績:735 件、うち 2014 年は 47 件。
・省エネオンラインサービス:ウェブサイトで ASEAN 各国の省エネ政策のデータベース公開。
(3)省エネロードマップ制定プロジェクト(ERIA)
・各国で実施しておりミャンマーのシナリオ開発例の紹介(JICA 電化マスタープランによる)
・成果は、OECD,IEA,AE,ASEA 等の国際協力へと橋渡し。
(4)EAS の省エネ予測と作業計画(ERIA)
・2012 年→2035 年 EAS のエネルギー消費量は 1.7 倍、発電量は 2.1 倍に増加
33
・発電構成は石炭が全体の 6 割、石炭・石油・ガスが全体の 8 割を占めると予想(2035 年)
・成長のトップは原子力(+8.5%)で、2035 年には現在の 2%から 6%へと増加。
・省エネ対策をした場合、対策なしに較べて供給段階で-13%、消費段階で-11%(2035 年)
・政策提言:消費の省エネ促進、再エネの開発、能力開発等
・2015 年 9 月に特別報告書を発行する予定。
・質疑:CCS は適用できるか。モデルに入っているか。→難しい問題だが実用可能。
・米国コメント:CCS は商業的にも成立する。コストダウンは進むと思うが、2035 年の予測は時期
尚早
4) バイオ燃料作業部会(フィリピン)
・ 東アジアのバイオ燃料データベース報告:マレーシアに於いて 2015 年 2 月 2 日に PDOE と NEF の
共同で第 7 回ワークショップを開催、9 か国、11 名が参加。データベースには新たに 10 件の研
究結果を追加。引き続きブルネイ、中国、韓国に対してデータ提出を要請している。
・ 研究者招聘プログラム報告:2014 年度は、6 か国、15 名を日本に招聘した。受入は 9 機関。
・ ERIA との共同研究:ジャカルタ、タイ、マレーシアで自動車用再エネベンチマーク作業会議開催。
・ 2015 年は上記の各事業を充実、継続。
5) アジア再生可能エネルギー研究者人材育成プログラム(NEF)
・ 2014 年度の成果報告(再エネ研究者人材育成:6 か国 15 名を招聘、日本の受入は 10 機関)
・ 日本国内ワークショップ、マレーシアで国際ワークショップ AREW2015 を開催。
・ 2015 年の招聘計画は昨年並みを想定。
・ 研究機関 DB の収録機関は 870 に増加、情報発信サイトは年間 16 万 7 千アクセスを得た。
6) 再エネ及び代替エ作業部会(ブルネイ/米国)
・ 作業領域は、「投資拡大に向けた政策強化」、「再ネエ技術の実証・試験」、「知識強化と再エ
ネ資源マップ」、「気候変動の水力に対する影響」、「持続可能な水力技術の開発」。
・ 気候変動の水力に対する影響研究では、対象とする地域を ACE の協力を得て検討した結果、フィ
リピン、ベトナムの 2 ヶ所の水力プログラムを選んだ。
・ 気候変動リスクのトレーニング実施、ラウンドテーブル開催を計画(2015-2016)。
・ PV 技術、トレンド、政策ワークショップを ERIA と共同で実施する(2015-2016)。
7) エネルギー大臣会合からの委託研究の内容(ERIA)
・ 3 つの作業部会(省エネ、バイオ燃料、再エネ発電)の紹介
・ 次の研究内容の紹介
・エネルギー安全保障解析について
・石油備蓄枠組み協力について
・天然ガス市場の開発について
・ASEAN 国間の電力系統連系に対する投資について
34
他
20th EAS ECTF 会議
会議看板
4.1.5 APEC風力エネルギー開発促進に関するワークショップ及びベトナム科学技術院との調整
1) 出張概要

出張目的:APEC の風力エネルギーワークショップに出席して、我が国の状況および東南アジアに
対する人材育成事業の発表を行った。また各国の状況聴取、討議を行い再生可能エネルギー研究
人材育成事業に関する情報交換を行った。更にベトナム科学技術院(VAST)を訪問し、研究人材
育成事業について調整した。

出張先:ベトナム国ハノイ市 (APEC:ソフィテルプラザハノイおよびベトナム科学技術院

平成 27 年 9 月 23 日:ベトナム科学技術院との調整

平成 27 年 9 月 24 日,25 日: APEC 風力エネルギーワークショップ(Sofitel Plaza Hotel)

出張者:計画本部 永尾 徹
2)APEC 風力エネルギーワークショップ:
正式名称「アジア太平洋経済協力 風力エネルギーワークショップフェーズ 2‐風力エネルギー開
発における官民連携ワークショップ」への出席と発表:( APEC Workshop on Promoting the
Development of Wind Energy, Phase 2 – Public-Private Partnership for Wind Energy
Development
(1) 会議の趣旨
APEC メンバー21 ヵ国を対象として、政府、民間の風力関係者に対して風力エネルギーの特性、
導入障害等について情報を共有し、風力開発を推進する目的で開催された。
(2) 参加:(9 か国、約 60 名)
参加国:ベトナム、米国、オーストラリア、タイ、台湾、日本、ニュージランド,フィリピン、
マレーシア
(3) 内容:風力エネルギーの導入について、各講演者から下記項目について発表と議論を行った。
・APEC 及び世界の風力開発状況
・風力開発における PPP の必要性
・産業側からみた PPP の位置づけ
・政府の PPP 戦略、政策
・ケーススタディー報告
35
(4) 成果概要
APEC 地域における風力エネルギー開発の紹介が行われ、風力導入に対する官民協力体制(PPP)
の役割、実例が発表された。これを受けて、APEC 内はもとよりその外部も含めた政府、学会、民
間のネットワークを活用することで風力導入に足掛かりをつけることが出来ることについて、共
通の認識を得ることが出来た。
(5) 講演、討議内容
開会挨拶
Ms Pham Quynh Mai (Senior Official of Viet Nam to APEC and Deputy Director General,
Multilateral Trade Policy Department, Ministry of Industry and Trade, Viet Nam
(風力導入の問題)
・自然環境と地形に影響を受ける不安定なエネルギーであること
・導入維持コストが高額であること ・機器のサプライチェーン不足
・風力への理解不足
を指摘。これを踏まえて、政府の導入戦略、政策と共に、民間での積極的な活動が必要と主張。
政府と民間が協力して技術改革、投資することによって、早い時期に風力が優れた再エネになる
ことを期待。
セッション1:APEC 及び世界における風力開発(司会:NZ 風力エネルギー協会会長 Eric Pyle 氏)
1.1 ハワイ大学教授 Dr. Terry Surles
・APEC 地域の再エネ導入は、風力が主体でバイオ、太陽、
地熱が続く(左図)。
・米国の再エネ導入には政策が欠如
・ベトナムの風力導入意欲は高く、既に 5GW の建設計画
が登録。
・風力の導入拡大につれて低風速風車に移行。
・米国のグリッドは近代化が必要。広域利用、エネルギー
貯蔵、各種の再エネの組み合わせ、スマグリが必要で、
各国系統強化について努力を開始。
・ハワイ州は 2030 年をゴールとして、長期的な新エネ導
入奨励の多くの法制化を実施。
・ハワイには PV の大規模導入は難しい。晴れの日は多い
が雲による遮断も多く、電力安定性の課題がある。
セッション2:風力開発における PPP の必要性(司会:NZ 風力エネルギー協会会長 Eric Pyle 氏)
2.1 米国 コンサル Perkins Coie LLP 社
Mr. John F. Pierce
・USA 資金でモンゴルにおける風力発電導入事業の例を紹介
・官民(PP)の責任分担範囲について、官はリスクを取るべき。
36
2.2 日本 新エネルギー財団
永尾 徹
・日本の風力エネルギー開発の歴史と、政府、地方
自治体、民間の果たした役割と成果を説明。
・政府からの各種の補助、支援事業と成果を報告。
・日本の初期の風力発電開発における NEDO 事業の説
明。
・日本では産官学一体で、日本の特殊な自然環境に
適した風力発電装置、建設技術、技術指針、シミ
ュレーションプログラム等の開発を行い、現在の
風力発電事業の発展を支えていることを紹介。
・さらに、東アジア、東南アジアの風力環境は日本のそれと類似の部分が多く、日本で開発した技
術、実績が利用できること。
・NEDO を始めとして再エネに関する国際共同研究、開発を幅広く行っていることを紹介。
・日本はそのような技術の支援を歓迎。NEF の再エネ研究者人材育成事業もその一つである。
・日本からの発表に対するコメント、質問があり各々回答した。
・マイクログリッド研究に対する NEDO の協力を感謝する。(ハワイ大)
・このような詳細な報告を聞いたのは初めてで、大変役に立つ情報である。(ベトナム MOIT)
・3.11 後の日本のエネルギー政策の変更について。
・日本政府が再エネ全体及び風力エネルギー導入に投入している予算規模について。
・RPS から FIT に変った理由と FIT 買取価格について。
・日本は再エネ導入について大変努力していることは認めるが、再エネ導入に関する規制、規格
のハードルが高く、海外から参入が難しい。(米国)
セッション3:風力開発のための PPP‐民間、国際機関からの見方(司会:NEF 永尾徹)
3.1 米国 GE 再エネ販売チームマネージャ Mr. Peter Cowling
・GE 風力の位置づけ:世界 31 か国に展開、設備容量 35GW、26,000 基、稼働率 98%
・各国の再エネの中で風力の競争力は強い。各国の風力発電は、
 ベトナム:最も低い LCOE(均等化発電原価)
 フィリピン:最も低い LCOE
 インドネシア:再エネ導入国家目標の一つ
 タイ:高価なガスから脱却先
 日本:液化石油ガスより安価
 豪州:最安値の電力
 米国:最安値の電力
・大規模再エネ開発は以下の要素が必要で、PPP の最適な対象
(国の政策・民間投資・法律等の枠組み)→官民協業無くして政府は実行できず民間は投資しない。
・政府のすべきこと。
・長期目標の設定(理想的には地球温暖化ガスレベルを 2℃に)
・風力投資を BANKABLE に誘導(FIT, RPS, 逆オークション等。最終的には競争原理の導入)
37
・安定した長期的展望を持った規格、規制の制定。(認証規準、土地利用規制、環境アセス、離隔距
離、騒音、フリッカー、系統連系規定等)
・民間のすべきこと。
・革新的な開発・投資・リスク先取/領域拡大・技術推進・安価/高利益の事業規模を探求
・政府がしてはいけないこと。
・技術への規制‐成果物を規制するな、規格を決めよ、市場はいつも政府より先を走っている。
・低すぎる FIT 価格設定
・不合理な助成金支給‐環境汚染発電への助成は止めよ。
・現職者優遇‐新参の風力の冷遇を生んでいる。
・NZ 政府が行っている風力の助成金制度は問題があるという認識。
3.2 ベトナム Quang Dang 国際エネルギーコンサル会社,プロマネ、Mr. Vu Quang Dang
・ベトナムのエネルギーミックス計画(石炭・水力がメイン、再エネが 9%+に伸びる。)
・再エネ内訳(小水力→風力→バガス→米殻等の順)
38
・風力エネルギー賦存量
風速(80m 高さ)
賦存量
6.0-6.5m/s
8,019 MW
6.5-7.0m/s
1,757MW
> 7m/s
771MW
・風力導入計画
時期
2015 年
2020 年
2025 年
2030 年
風力設備容量
52MW
1,000MW
2,963MW
6,200MW
2020 年 1,000MW:700MW:Binh Thuan, 220MW:Ninh Thuan, 200MW:Soc Trang, 150MW:Ben Tre
・建設済:68MW (Thy Phong:30MW, Phu Quy:6MW, Bac Lieu:32MW)
・建設中:138.2MW(Bac Lieu2:83.2MW, Phu Lac 24MW, Cong Hai1;3MW, Tay Nguyen;28MW)
・登録済み:54 案件、5,422.2MW
・風況観測:
・8 州の 10 サイトで計測中(80m マスト):
・88 本のマスト(内訳:GIZ×10、WB×6、IE×7、PECC3×15、PECC2×2、EVN×12 本他)。
・MOTI / KfW が共同で 2016 年‐2018 年にかけて 20 本の計測マストを
設置。高さ 60,80,90m で一年間計測。
・WB,MOIT,GIZ の共同で風況マップを開発中。
略語 GIZ(ドイツ国際協力公社)、WB(世界銀行)、IE(ベトナ
ムエネルギー研究所)、PEEC3(ベトナム第 3 電力建設コンサル
会社/EVN 系列)、PECC2(ベトナム第 2 電力建設コンサル会社
/EVN 系列)、 EVN(ベトナム電力公社)、MOTI(ベトナム商工
省)、KfW(ドイツ復興金融公庫)
・ベトナム風力の課題:低い FIT(FIT:7.8 US¢,発電コスト:10~12
US¢)、風況データの信頼性が低く、風力 FS の精度も信頼できない。建設、輸送インフラ整備が
不十分、コンサル能力が限られている、政府の対応が遅い、借入金利が高い等々の問題がある。
・提言:FIT 価格を上げること、政府申請窓口の一本化、長期かつ魅力的な利率の風力開発投資ファ
ンドの創設、公的風力マップ作成、地方金融に対する風力投資の教育等が必要。
39
セッション4 風力開発に於ける PPP への政府の戦略と政策
4.1 Mr Nguyen Duc Cuong, Director, Institute of Energy, Viet Nam
・ベトナム政府は長期的な国家戦略マスタープランで再エネ導入計画を作成。そこでは風力の割合
(設備容量比)は 5.6%@2020 年、9.4%@2030 年としている。
・ベトナムの風力導入のチャレンジ:
・高い GDP 成長率目標(6-7%/年)を保持しつつ、持続可能性実現のための環境目標との両立。
・再エネ導入のインセンティブ価格に対して財政支援策を整備すること。
・再エネ導入にはエネルギー価格の見直し必要。
・再エネ導入で増加するコストはだれが払うか、を決めること。
・地方の取り込みと国際支援が必要。
・人材育成と社会の意識向上。
・低炭素製品に対する貿易自由化促進と減税。
4.2 Mr Eric Pyle, Chief Executive, New Zealand Wind Energy Association
・NZ の風力導入が成功した重要事項:信頼性の高い連系系統、安定した政策、整備された電力卸売
市場、送配電系統と調和したウインドファームの開発、強力な風力工業協会の存在。
・NZ の風力設備容量:690MW、年間発電量の 5%を供給、2,500MW+の導入が合意済。
・”Roaring 40s” 風車クラス:1a+、設備利用率は 46~50%に達する。
・他の新エネ(コンバインドガスタービン、大小水力、地熱)と比べて風力は最安。
・NZ の経験から見た再エネ導入の成功のポイント。
・電力価格の透明化
・化石燃料への助成中止
・長期ヘッジマーケットまたは電力購入契約
・政策目標(例:再エネ率を 90%にする等)
・1.5GW 火力発電を電力市場から排除(NZ 発電容量の 15%を占める)
セッション 5
ケーススタディー
APEC 国の風力開発における PPP(司会:Perkins Coie LLP Mr.
John F. Pierce)
5.1 Ms Marissa P. Cerezo, Deputy Director, Department of Energy, The Philippines
・フィリピンの再エネ目標:Target additional RE capacities are reached by:
・2015 - Target additional biomass capacity of 277 MW is reached
・2018 – Commissioning of the 1st OTEC facility
・2020 – Solar grid parity is attained(太陽光発電コストが既存発電と同等以下になる)
・2022 – Wind : 2,345 MW
・2023 – Hydro : 5,398 MW
・2025 – Ocean : 75 MW
・2030 – Solar : 284 MW* Geothermal : 1,495 MW
・2025 – Wind grid parity is attained(風力発電コストが既存発電と同等以下になる)
・課題
・系統連系の技術指針がない。
40
・再エネは地方金融機関にとって見慣れないもの
・FIT は先着順で適用している。
・初めに決めずに、後で徐々に増やしている再エネ目標。
・土地の取得。
・変動電源に対する系統併入率の制限。
・挑戦
・再エネ政策の決定
・エネルギー投資調整センターの設立と他の規制省庁とのリンク
・資源賦存量調査と再エネデータベースの作成(風況マップ 2015)
・人材育成/広報、教育、コミュニケーション促進
5.2 Professor. Dr Wirachai Roynarin, Rajamanagala University of Technology Thanyaburi
Thailand
・ASEAN スマートグリッドとして多種類の再エネ電源と結合できる DC システムを提案。
・タイは風速が低く、低風速風車が適している。
・低風速地帯向けの風車技術が欲しい。
・発表者は企業と協力して小型風力発電(75kW)を開発した。
低風速地域向け、定格風速 8m/s(右図)
・低レイノルズ数向けの翼型開発、ケブラー製ブレード、100
kW 用の永久磁石発電機等の開発を行っている。
5.3 Mr Chih-Wei Wu, Senior Specialist, Energy Technology Division, Bureau of Energy, MOEA,
Chinese Taipei
・台湾の風力設備容量:644MW (陸上)(2015 年末)
・最初の洋上風力設置は 2016 年に計画。今後は洋上に注力する。
・風力導入計画 陸 1,200MW 海 4,000MW 合計 5,200MW (2030 年) (下図)
・FIT 価格の上昇:
陸上(2010 年→2015 年) 7.53¢→ 8.45¢
洋上(2010 年→2015 年)13.27¢→17.81¢
41
・風力導入への障害
・環境問題(景観、NIMBY、風車反対団体)
・漁民との交渉が難航
・挑戦
・環境アセス法 (住居から風車隔離距離 250m)
・電力法 (風車最上部から 110m半径で離隔)
・騒音規格 (バックグラウンド騒音より 5db を超えないこと)
・風力開発には住民の参画が重要である。
5.4 Dr Terry Surles, Lead for Clean Energy Solutions, Hawaii University, United States
・ハワイ、カルフォルニア、テキサス、アイオワの風力導入状況
・省エネとデマンドサイドマネージメントスタンダートが終着点
・50 州のうち 34 州が RPS を採用している。そのほか FIT 他を採用
・新 PPA でアンシラリー(発電設備系統連系)サービスを考慮-系統安定、信頼性、保守性。
・蓄電の推進(安定性、電力品質)
・重要なことは、関係者に訓練と教育を施すこと(関係者;電力会社の労働者,管理者,規制官庁,政
策立案者,金融関係者)。
・政府は長期的で安定したゴールを設定すること。
セッション 6:今後に向けて(司会:Ms. Pham Quynh Mai, Deputy Director General, Multilateral
Trade Policy Department, Ministry of Industry and Trade, S.R of Viet Nam)
・各国とのフリーディスカッションと情報交換で日本から各国での風車選定、建設における台風へ
の配慮について質問した。台風の襲来するフィリピンと台湾から次の情報が得られた。
・フィリピン:台風で風車被害が発生している。そのため導入する風車クラスを見直している。
・台湾:台風で風車が倒壊した。現在台風を考慮した建設規格を作成中である。風車は最強の
Class 1A が必要。
・参加者全員で、今後ワークショップで取り上げるべき事項として以下をまとめた。
・風力エネルギー開発に対する制度、政策の障害
・民間・学会等の間での知識と経験を共有する恒常的な仕組み(ワークショップ) 来年もこの
種のワークショップを開催すべき。
・自然災害でも生き残ることのできる装置・設備について、規格や制度を作り上げるための議論
(特に多くの島嶼を持つ国を対象として)
・小規模系統を持つ島嶼における風力発電のさらなる検討
・過疎地域開発のための風力と太陽光エネルギー
・東南アジアの政府職員や銀行、コンサルタントに対する 2,3 日の訓練。エンドユーザ訓練
・学生(特に工学系)にワークショップへの参加を許し、学ぶ機会を与える。
42
全体集合写真
発表
左はベトナム語、右は英語表示のスクリーン
3) ベトナム科学技術院
(VAST)
に対する第 2 回アジア再生可能エネルギーワークショップ(2nd AREW)
の説明と参加依頼
・ 時:平成 27 年 9 月 23 日
・ 場所:ベトナム科学技術院(VAST)
・ 人:VAST
Deputy Director: Dr. Nguyen Thuy Nga
Senior Expert, Director’s Adviser: Dr. Duong Duy Hoat
Director: Mr. Nguyen Binh Khanh (本年度の招聘研究員:三重大)
Nguyen Tuan Phong
Head, Lab of Biomaterial Tech. Dr. Nguyen Kim Thoa
12 月初旬にインドネシアで開催される第 2 回アジア再エネワークショップ(2nd AREW)の説明と、
バイオ及び風力分野への参加発表を要請し、Nga 氏には風力のモデレータを依頼し、了解を得られ
た。来年度開催予定の第 3 回 AREW を VAST が主体となってベトナムで実施する件を打診した結果、
VAST で検討を進めることとなった。
43
4.1.6 第12回ASEAN+3 新・再生可能エネルギー・省エネルギーフォーラム
(ASEAN+3 New and Renewable Energy and Energy Efficiency and Conservation Forum)
1)概要
・参加者:新エネルギー財団計画本部 主幹 永尾 徹、調査役 玉田 眞司
・開催期間:平成 28 年 1 月 27 日、28 日
・開催地:大阪(ホテル大阪ベイタワー)
・出席者:ASEAN:ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナムの7
か国。+3:日本、韓国の2か国が参加、計約 30 名が参加
・日本からの参加者:資源エネルギー庁、エネルギー経済研究所、省エネセンター、三菱総合研究
所、新エネルギー財団
・議長:日本、副議長:韓国(Woongtae Chung/KEEi)、ミャンマー(Aye Kay Khang Soe / Ministry
of Industry)
2)開会挨拶
・METI:ASEAN APAEC で省エネ 2020 年に 20%、再エネ 2025 年 23%の目標値が設定、パリ COP21 で地
球温暖化について+2℃の目標値が設定。実現に向けて努力する。再エネ・省エネ目標達成には人
材育成が重要。
・ACE:この会議は再エネと省エネにとって非常に役立つものであり、共通認識(プラットフォーム)
を共有したい。+3 の国々には ASEAN 各国への支援をお願いする。
3)各機関報告
<日本エネルギー経済研究所(IEEJ)>

2015 年までに ASEAN+6 から 831 名がセミナーに参加(ASEAN からは 604 名)。

2011 年以降に再度地熱に注目してセミナーを実施中。インドネシアとフィリピンが地熱導入の中
心で 2016 年 2 月にインドネシアでセミナーを予定。

廃棄物発電(WTE)は日本では大都市を中心に長い歴史がある。ASEAN 各国では埋立地が少なくな
ってきており、廃棄物処理の需要あり。IEEJ は本年から廃棄物発電のセミナーを開始、まずはタ
イ、ベトナムでセミナー予定。
<新エネルギー財団(NEF)>

NEF の実施している新エネルギーの普及導入に関する諸事業と再エネ研究者人材育成事業の進捗
状況、成果について報告。

ACE コメント:来年度の「招聘プログラム」と「第 3 回 AREW の予定」が出来たら ASEAN 各国に情
報共有をお願いしたい。

第 3 回 AREW の事務局としてベトナム商工省(Ministry of Industry and Trade)の Ms.Mai に参
画を依頼し大枠で了解された。詳細は別途調整。

エネ庁コメント:人材育成が一番重要であり、その育成の為に活動して行く。予算がつくことが
前提ではあるが、来年度のプログラムに各国は引き続き参加してほしい。
4)各国報告
44
<ブルネイ>

2035 年に発電量の 10%を再エネで賄う。

太陽光と廃棄物発電が中心、再エネ開発に関する政府方針が必要。

風力と中小水力は勉強中。
<カンボジア>
・ バイオマスの設備容量は 23MW、水力(大型)は 929MW、カンボジャの発電設備容量の 60%以上を
占めており中国の支援で増強中。現状は電力不足、自国の発電設備容量以上を輸入に依存。
<ラオス>
 2025 年にエネルギー全体の 30%を再エネで賄う。
 内訳太陽光:33MW、風力:73MW、小水力:400MW、バイオマス:58MW、バイオガス:51MW、バイオ
マス廃棄物:36MW。小水力:40 か所の計画あり。
 国の再エネに対する規制・規格・法律・価格が整備されていない。
 タイ・ベトナム・カンボジアにエネルギー輸出を行っている(2020 年に 13,500MW)。
<ミャンマー>
・ 再エネに関してはまだ始まったばかり。「再エネセンター」を設立して具体的な検討を行う。
<フィリピン>

政府の目標:2030 年に再エネの設備容量を 2 倍にする。世界一の地熱発電国(1,495MW)、東南
アジア一の風力発電国(2,500MW)になる。水力発電量を 2 倍にする(5,400MW)こと。

再エネに対する周知と社会的受容性の涵養、FIT などの政策の活動を行なって行く。

QA:電力網は 3 系統ある。その 1 系統は全土に繋がっており、FIT 適用の売買はこの系統を利用。
<タイ>
・ 2036 年に電力の 30%を再エネで賄う。
・ バイオマス 6,720MW、太陽光 6,000MW、風力 3,002MW、小水力 376MW である。バイオマスのうち、
500MW は都市ごみ(MSW)からの発電であり、農民と政府の両方にとって良い方法を進める。
・タイにとってのプライオリティは、①廃棄物発電、②太陽光、③風力である。問題は系統連系と、
開発地が国立公園内に多いという事。
(質疑)風力発電の導入には信頼性の高い風況マップが必要であるが、どのようなデータを基にし
ているか。(日本)
→ 風況データはあるが導入目標の達成のためにも改良する必要が有る。
→ 日本は国を挙げて高精度の風況マップを作ったので、手助けをすることができる。
<ベトナム>
・ 電力全体に対する再エネの比率を 2020 年に 4.5%、2030 年に 6%と目標設定。
・ 再エネの現時点での導入量と理論的なポテンシャル
45
現在
2020 年
2030 年
ポテンシャル
小水力(<30MW)
1,670MW
-
-
7,000MW
バイオマス
150MW
500MW
2,000MW
2,000MW
太陽光
4MW
-
-
4-5KWh/m2
風力(平均風速>6m/) 52MW
1,000MW
6,200MW
8,000MW
都市廃棄物
-
-
320MW
2.4MW
<日本>(METI)
QA:陸上風力と小水力を比較すると小水力の発電コストが高いのはなぜか。→
風力は大規模ウイ
ンドファームの価格。スケール効果で安い。
QA:再エネを導入するのに制限はあるか。→
地熱や小水力など安定した電源をもっと入れる。連
系を強化する。
QA:開発国への援助について→
来年の予算が立っていないので具体的には説明できない。他省庁
とも調整が必要となる。
<韓国>
・2035 年に再エネの比率を 11%(エネルギー利用では 13.4%)にあげる。
QA:2001~2011 年に FIT を実施し、2012 年から RPS に移行しているが、逆なのではないか。→ 再
エネの導入には資金が必要であるが意欲が少なかったので、2012 年に RPS を導入して産業の投資
にモチベーションを与えることが出来るようになった。
QA:FIT から RPS に変更したことで PV の価格が下がっているがその理由は。→ 投資が増えること
によって PV の生産が上がり価格が下がった。
QA:太陽光と風力を増やし、廃棄物発電とバイオマス発電を下げるという事だが内訳は。→
現在
は廃棄物が 50%を占めており、それを 29%まで全体的な比率としてさげる。
QA:廃棄物発電はバイオマス原料だけか、プラスティックなども含まれるのか。→
バイオマス原
料だけであるが、都市ごみの分別に苦労。
5)施設見学(1 月 28 日)
(1) 堺市クリーンセンター東工場第 2 工場
・廃棄物発電と廃棄物処理に伴う未利用エネルギーの利用
・同施設は平成 9 年度の新エネ大賞長官賞を受賞
・第 1 工場:150t炉×2 基(来期は通常稼働は行わない)
・第 2 工場:230t炉×2 基、1,000℃で焼却、灰は埋め立て、12,600kWh(2 万世帯分)
・臨海工場:250t炉×2 基、1,800℃で溶融しスラグとして利用 20,000kWh(3 万世帯分)
・ごみ処理コストと収入:H26 年のごみ処理コストの 75 億円に対して、売電収入は 15 億円(18 円/
kWh)、資源ごみのリサイクルによる収入は 1 億円
・CO2削減量は 17 万トン、排ガス基準値は法律の基準値よりも厳しく設定
(2) 大阪ガス岩崎地区スマートエネルギーネットワーク
46
・天然ガスコジェネと再エネ(太陽光/太陽熱)を利用したスマートエネルギーネットワークの実証
・岩崎地区で京セラドーム、イオンモール等 13 事業者が、特定電気事業者の OGCTS(大阪ガスの子
会社)を中心として、スマートエネルギーネットワークを構築し、必要に応じてエネルギー(温
水、冷水)を相互利用。防災時の対応を前提とした漸進的なネットワークを構築。
ASEAN+3 NRE and EE&C Forum 参加者
ASEAN+3 NRE and EE&C Forum 代表者
堺市クリーンセンター東工場第 2 工場
堺市クリーンセンター東工場第 2 工場
4.2 ネットワーク構築及び情報交換のためのセミナー
4.2.1 専門領域に関するワークショップの開催(バイオマス・地熱ワークショップ)
バイオマス・地熱分野に関して、研究内容の報告、討議等を行い、今後の研究に反映するとともに、
実用化のための情報提供・収集の機会を提供することを目的として開催した。
1) 開催日
平成 28 年 1 月 25 日、26 日
2) 開催地
・群馬大学桐生キャンパス(桐生市)
・施設見学 太田市パルタウン・太陽光発電所(太田市)、吾妻郡木質バイオマス発電所
3) 参加者
招聘研究者、受入機関研究者、大学聴講者、新エネルギー財団 計 19 名
4) ワークショップ(1 月 25 日)
・場所:群馬大学桐生キャンパス(桐生市)
47
・招聘研究者 6 名ならびに受入機関研究者から招聘事業で実施中の研究について発表の後、質疑応
答、アドバイス等を行った。
(1) 耐熱性セルラーゼ酵素分子のモデリングおよび構築
(インドネシア・パチムラ大学 Dr. Dominggus Malle)
(受入:産総研 バイオメディカル研究部門 小田原主任研究員)
・受入機関から招聘研究の背景、目的、産総研の技術(シーズ)、招聘成果の活用について説明。
・招聘研究の背景:木質バイオマスからバイオ燃料製造における前処理・糖化工程でのコスト低減
が必要。
・産総研シーズや招聘研究目的に関して、産総研にはセルロース分解酵素(セルラーゼ酵素)の耐
熱性技術(=処理速度の高速化、汚染耐性等に繋がるシーズ技術)があり、インドネシアでのバ
イオ燃料製造のコスト低減に繋がる。
・セルラーゼ酵素の構造解析、分子モデリング、および、タンパク質工学的手法により同酵素の耐
熱化を目指す実験、解析等の計画に関する報告。
・帰国後は、現地のバナナの木の幹やドリアンの皮の廃棄物に対して本技術を適用する予定。
(2) 高品質バイオディーゼル燃料製造のための革新的な固体酸触媒の開発
(タイ科学技術研究院 Ms. Supranee Laoubol)
(受入:産総研 創エネルギー研究部門 新燃料製造グループ 鳥羽誠研究グループ長)
・招聘研究背景として、タイでのバイオ燃料の普及計画、油やし製造工程で廃棄物として発生する
低品位原料 PFAD(パーム脂肪酸蒸留物)の環境汚染防止・エネルギー利用が必要。
・PFAD からのバイオ燃料について、産総研の固体酸触媒(ナノ孔を有するチタン含有固体酸触媒)を
使っての実験状況の報告。
(3) メタン発酵過程における微生物叢変化の解析
(ベトナム科学技術院 Ms. Lai Thi Hong Nhung)
(受入:広島大学大学院 先端物質科学研究科 中島田 豊教授)
・ベトナムでは環境汚染物質低減と再生可能エネルギーガス製造を目指して、家畜糞尿、農作物残
渣のメタン発酵設備が数多く設置されているが十分には使用されていない。その原因はメタン発
酵を行う微生物がその地域条件に合っていないことと考えられる。そのため広島大学の技術で微
生物叢の解析を行い、発酵特性との関連をみる。
・海洋微生物がメタン発酵の候補となり得ることが分かり、有明海から収集した土砂・沈殿物の中
の微生物によるメタン発酵試験を行った。実験結果はゴンペルツ曲線(生物の個体数等の成長曲
線)にフィットする。
・発酵菌叢の従来型菌叢解析 DGGE 法による実験状況。
・今後は、ベトナムでの各種バイオマス(さとうきび廃棄物、熱帯果物廃棄物、家畜糞尿、油分の多
いバイオマス、塩分の多いバイオマス)からのバイオガス製造に、招聘研究で学んだ耐塩性海洋
微生物を使用する予定。
48
(4) バイオマスタールからの水素化による液体燃料製造
(ミャンマー航空宇宙工学大学 Dr. Moe Thanda Kyi)
(受入:群馬大学大学院 理工学府 野田玲治准教授)
・ミャンマーでのバイオ燃料のポテンシャル、製造状況、今後の計画(開発計画、ロードマップなど
は未だ確定されていない)等についての紹介。
・熱処理により木質バイオマスから炭化、ガス化する時に発生するタール量は重量比で 20~30%であ
り、このタール資源を液体燃料に変換する技術を学ぶことが招聘研究の目的。
・反応炉の中で触媒(コバルト・モリブデン/アルミナ基板)を用いた水素化実験を実施。処理温度、
塔内速度(ガス循環の速度)、水素濃度、触媒量等をパラメータとして変化させ、エネルギー収
量等のデータを取得。
・今後はさらに反応条件等に関する実験を進め、帰国後はバイオマス利用の適正スキームを構築。
(5) 地熱貯留層評価の改善を目指した産出能力曲線の簡便・高精度構築法の開発
(インドネシア・ガジャマダ大学)
(受入:秋田大学 国際資源学部 藤井 光教授)
・地熱フィールドにおける生産井からの噴出ガスの状態からシミュレーションにより貯留層の状態
を探り、新規あるいは現存の地熱井の産出能力曲線を得ることが目的。これにより対象とする地
熱井での問題点(貯留層の能力、坑井内部の問題)を探る手順が得られる。
・八丁原地熱発電所での実データを用いる。生産井出口で流量バルブの開閉を行い、その場所での
圧力、流量の過渡応答から産出曲線に必要なパラメータを算出する。
・今回は簡便法についての開発を行ったが、今後は高度な貯留層シミュレーション技術に坑井モデ
ルを結合し、精度向上を目指す。
(6) 地熱地帯における熱水変質とスケーリングの地化学モデリング
(フィリピン大学 Dr. Maria Ines Rosana Decanay Balangue)
(受入:九州大学 工学研究院 糸井龍一教授)
・フィリピンでの地熱発電所の紹介
・地熱貯留層の開発において開発域の深部化に伴う流体性状、特に酸性化およびガス濃度上昇は大
きな問題。地熱流体の化学性状が既存の開発域に比べ過酷な条件となっているので、化学数値シ
ミュレーションにより流体特性を予測する技術の開発が招聘研究の目的である。
・地熱井戸からの岩石サンプリングを持参しており、化学的な処理により材料データを取得して岩
石-水反応の数値解析を行う予定。
49
5) 再生可能エネルギー施設見学(1 月 26 日)
(1)太田市パルタウン城西の杜
・太田市土地開発公社は太田市城西町に「Pal Town 城西の杜」として平成 11 年度から平成 20 年度
にかけて宅地分譲(777 区画)
・NEDO の集中連系太陽光発電システム実証研究をパルタウン城西の杜で実施。
・実証実験への参加は 553 戸で、各家屋の屋根の上に太陽光発電パネルを設置。コンバータ等の電
気設備、設備は各家の内外に設置された。パネルメーカー等は実証実験側が指定。
・平均発電設備容量は 3.5kW/戸で合計出力は 2,129kW。発電量実績は年間 38,500kWh/戸。
・太陽光発電システムの設置費用は全て実証研究側で負担。
(2)おおた太陽光発電所
・太田市がソーラーフロンティア株式会社と包括的リース契約し、おおた太陽光発電所を設立。平
成 24 年 7 月 1 日に発電開始。自治体単独では初のメガソーラー。
・包括的リースの内容:施設建設、施設維持管理、設備、機器の補償、保険。
・発電出力:1,500kW、ソーラーフロンティア製 CIS 化合物太陽光パネルを使用。
・年間発電量:約 163 万 kWh(設備利用率は 12.4%と高い)。日照時間、気候、風通しの良さ(パネ
ル温度、ほこり)等の条件が良くためとの説明。
・今まで破損したパネルは 2 枚。両者ともカラスが石を落したものと思われる。
・ 売電収入と固定資産税徴収、そしてリース料支払を考慮すると年間事業収支見込は約 1,600 万円。
(3) 吾妻木質バイオマス発電所 見学
・オリックス株式会社が木質チップ専焼の発電所、2008 年着工、2011 年 9 月営業運転を開始。2013
年 3 月 FIT 適用。・発電出力 13,600kW。発電端効率は 20%。・関東、甲信越の協力会社約 60 社か
ら廃木材、剪定枝、間伐材等からの木質バイオマスチップを受け入れ。株式会社バイマス群馬が
チップ調達。・従業員は 29 名、2 交代 24 時間勤務で年 335 日運転(5 月と 11 月の定期点検以外
は運転)
パルタウン城西の杜
おおた太陽光発電所
吾妻木質バイオマス発電所
50
4.2.2 海外セミナー(AREW)
平成 27 年度 国際エネルギー使用合理化等対策事業(バイオマス等再生可能エネルギー研究人材
育成事業)に係る国際セミナーとして、「第 2 回アジア再生可能エネルギーワークショップ」(英
語名:The 2nd Asia Renewable Energy Workshop、略称 The 2nd AREW)を開催した。
1) 目的
招聘研究者受入事業に関わる国内外の関係者、企業、研究所を交えて、再生可能エネルギーに
関する情報の交換と討議を行う。これを通じて我が国と ASEAN 地域の再エネ導入に関する状況、
研究、展望、障害に関る認識を共有し、相互に協力できる課題解決についての方法を議論し、そ
の結果を今後のバイオマス等再生可能エネルギー人材育成事業へ反映すると共に、日本とこの地
域のネットワ-クの充実を図る。具体的には、
・日本及び当該地域の再エネ導入に関する状況、研究、展望、障害に関する認識を共有する。
・日本と当該地域との共通課題について、相互に協力できる事項について方法を探る。
2) 開催要領
(1) 主催等
主催機関:日本とインドネシアの政府、研究機関の共催
日本;経済産業省資源エネルギー庁、新エネルギー財団、産業技術総合研究所
インドネシア;インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
後援機関:インドネシアエネルギー鉱物資源省(MEME)
ASEAN エネルギーセンター(ACE)
支援機関:日本石炭エネルギー開発株式会社
(2) 開催場所:インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
(3) 開催時期:平成 27 年 12 月 2 日~4 日の 3 日間
(4) 参加者:延べ 240 名(9 ヵ国)
内訳;インドネシア(83)、日本(19)、フィリピン(6)、マレーシア(3)、タイ(5)、
ラオス(1)、ミャンマー(1)、ベトナム(2)、インド(1)
(5) 実施に当たっては以下の方針に従って計画、運営した。
・ 再エネ全体を対象とするが、開催地インドネシアと日本の再エネ特質を考慮しテーマを絞る。
・ 参加国の間で、再エネに関する政策、状況、課題、挑戦、応用等の情報を発表し共有する。
・ 産学官の偏りのない参画を志向する。
・ 再エネを扱った類似の国際カンファレンスとの差別化を図る。
3) 講演
(初日;12 月 2 日)
(1) 開会挨拶
・インドネシア技術評価応用庁(BPPT):Dr. Ir. Unggul Priyanto, MSc (Chairman)
・(一財)新エネルギー財団:会長 近藤 隆彦氏
・(国研)産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所長 : 大和田野 芳郎氏
51
(2) 基調講演(エネルギー問題と再エネの役割、国際協力への期待)
(2)-1 インドネシア
(インドネシア再生可能エネルギー協会会長 Dr.Surya Darma)
・インドネシア再生可能エネルギー協会(METI)の紹介
・インドネシアのエネルギー状況
エネルギーミックス(2014 年):石油 50.3%、石炭 22%、天然ガス 22.9%、水力 3.0%、地熱 1.6%
・再エネの役割
2050 年再エネ目標:40% (右図)
35GW 加速事業:再エネはその内の 25%
地熱 20%、水力 28%、バイオ 13%、
太陽光・海洋・他 39%
資金:298 億米ドル
・再エネ拡大への課題
・RE エネルギー価格についての競争力、
・RE 使用強化の政策的意志、人材ポテンシャル向上、
・R&D の支援、国際協力による支援(資金、低炭素投資、
・技術移転、研究開発)
(2)-2 日本
(経済産業省 資源エネルギー庁 省新部政策課国際室係長 大羽真由氏)
・日本のエネルギー政策
基本的考え:3E+S(エネルギー安全保障、経済効率、環境、安全)の実現
温室効果ガス削減目標:2030 年に 26%(2013 年比率)
再エネ比率(2030 年度目標):一次エネルギー供給量 13~14%、発電量 19~20%
・日本の再エネ導入状況
FIT 導入後、再エネの年間増加率は 33%と大きく、太陽光発電の増加が著しい。
・日本の再エネ導入への取り組み
再エネ電源の分散、FIT 運用資金の圧縮、他
(2)-3 ASEAN(ASEAN エネルギーセンター/ACE)
Ms. Yosiyana Badariah
・ASEAN での再生可能エネルギー開発
再エネ導入目標
国
再エネ導入目標
目標達成年
ブルネイ
発電量比
10%
2035 年
カンボジア
水
2GW 以上
2020 年
インドネシア
全消費エネルギー比
23%
2025 年
ラオス
全消費エネルギー比
30%
2025 年
マレーシア
全エネルギー設備容量比
34%
2050 年
力
52
発 電 量 比
13%
ミャンマー
全エネルギー設備容量比
15-20%
2030 年
フィリピン
再エネ設備容量
15GW
2030 年
シンガポール
太陽光設備容量
350MW
2020 年
タイ
全消費エネルギー比
25%
2021 年
ベトナム
発 電 量 比
6%
2030 年
・FIT 導入状況
導入済国:インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
・再エネ資金
・再エネ導入に関する課題
・技術面・技術面外での課題克服
・再エネ事業への投資経験(目標設定の甘さ、技術の未成熟、人材育成の不十分さ)
・再エネ資金、規制・認可
(3) 特別講演(バイオマス燃料データベース)
フィリピンエネルギー省再生可能エネルギー管理局長 Ms. Marissa P. Cerezo
・東アジア-ASEAN バイオ燃料に関するエネルギー協力プログラム
2007 年に開かれた第 2 回東アジアサミットでこの地域のエネルギー安全保障の強化について各国
で協力する取り決めがなされた(セブ宣言)。これを受けて「輸送、その他を目的とするバイオ
燃料」協力についてのプログラムが設定された。フィリピンが取り纏め国。
・東アジアバイオマス燃料データベース;ネット上に 13 ヵ国がデータを掲載
・ERIA との共同研究;EAS の再エネ自動車エンジンベンチマーキング
(4) 国際協力
(4)-1 ラジャマンダラ水力発電所開発
関西電力ラジャヤマンダラ水力発電所 島田氏)
・2013 年 11 月のエネルギー鉱物資源省資料によると、インドネシアにおける水力発電所の設備容
量は水力発電がおよそ 360 万 KW、小水力発電(容量 1 万 KW 以下)が 18 万 KW であり、全ての電源
の約 10%を水力発電が担っている。小水力発電のポテンシャルは 100 万 KW~200 万 KW と見積もら
れており、主にスマトラ島,ジャワ島,スラウェシ島に位置しているとしている。水力発電は今後
とも有用な電源として環境面などに配慮の上開発する方針であり、2018 年には水力発電の容量を
合計約 10,000MW とし,2025 年には約 16,800MW にすることを目指している。
・ジャワ島チタルム川の上・下流にある水力発電所間の落差を有効利用した 4.7 万 kW の水力発電所
を建設し、インドネシア国有電力会社(PLN 社)に売電する発電所がラジャマンダラ水力発電所で
あり、2017 年の運転開始を目指している。
・同発電所は上流にあるピーク対応のダム式発電所の放流水を活用して発電することから、ピーク
時の火力発電を一部代替することが可能となり、もって CO2 排出量の削減に資することが期待さ
れる。
53
・本プロジェクトは、平成 23 年以来、日本・インドネシア両国政府で進めている「ジャカルタ首都
圏投資促進特別地域(MPA)」の「早期実施事業(最も重要で緊急な課題であり早期に着工すべき
として両国政府間の合意事業)」に採
択。電力需要の伸びが著しいインドネ
シア共和国で、電力の安定供給に寄与
する低炭素型電源として期待されて
いる。関西電力(PLN 子会社 PLT との
共同出資で、出資割合 49%)は、本事
業を通じて、PLN 社への長期的な売電
により収益を確保するとともに、イン
ドネシア共和国における低廉かつ長
期安定的な電力供給や経済発展に寄
与することにしている。
(4)-2 インドネシアの地熱発電開発
(インドネシアエネルギー鉱物資源省 地熱局長 Yunus Saefulhak 氏)
・インドネシアのエネルギー状況:エネルギー成長率 7-8%/年、電化率 84.4%
・再エネ導入:9.8%(2015 年) →23.0%(2025 年目標)(%)
石油
石炭
天然ガス
再生可能エネルギー
地熱
水力
バイオマス
その他
エネルギー総量
2015年
39.1
29.0
22.1
9.8
4.2
0.9
4.7
215MTOE
2020年
32.1
29.0
22.1
16.8
7.9
1.7
5.5
1.7
290MTOE
2025年
25.0
30.0
22.0
23.0
7.1
2.8
9.8
3.3
400MTOE
・地熱状況と今後の計画
・地熱ポテンシャル(未開拓部分):29GWe、324 地域
・既存設備容量:1,438.5MW (利用率 5%以下)
・政府からの採掘権取得:67 箇所 (内 9 箇所しか実施されていない)
・2025 年目標(6.3GW)に対して 4.9GW が必要:少なくとも 200 億米ドルの資金要
・政策、法律等
・地熱に関する法整備(2003 年から 2014 年への整備)
・森林保存地域における地熱利用
・発電電力について、間接使用(グリッド)は中央政府、直接使用は地域政府が管理
54
(4)-3 太陽光発電の研究活動
(産総研 福島再生可能エネルギー研究センター長 仁木栄氏)
・産総研、福島再生可能エネルギー研究所の紹介
・再生可能エネルギー研究センターでの研究活動
・システムインテグレーション:再エネネットワーク、水素キャリアー
・コストダウン:次世代 PV モジュール、風力発電制御・モニタリング
・データベースの整備:地熱、地中熱
(4)-4 バイオマスからの半炭化製造
(日本石炭エネルギー開発株式会社 社長 南坊博司氏)
・半炭化技術の説明
・ 半炭化:熱処理で木質系バイオマスのセルロース、リグニンから炭に近い炭素製品を製造。
・ 半炭化バイオマスの歩留り:70~80%
・ 半炭化炉の処理温度:250~300℃
・アントラー炉
・空気(酸素)の供給なしの状態で、間接的な加熱
・インドネシアへの適用
・バイオマス原料:やし油製造工場での廃棄物 EFB(空果房)、PKS(ヤシの実の種の殻)
・半炭化バイオマスの利用:石炭火力発電所での混焼
- 炭酸ガス削減(300MW の発電所で年間 100k トンの半炭化バイオマス投入→CO2 10%削減)
- 日本から技術、資金提供
- 炭酸ガスクレジットを得る
(2 日目;12 月 3 日)
(5) パラレル・セッション I : バイオマス・エネルギーと持続可能性
(5)-1 アジアのバイオマスエネルギーのポテンシャル
(産総研 福島再生可能エネルギー研究所 副所長 坂西欣也氏)
・日本でのバイオマス
政策:開発計画、FIT 成果、バイオマス使用目標
METI/NEDO 事業:バイオ燃料
・東南アジアでの農業廃棄物バイオマス
廃棄物量
利用技術:バイオディーゼル、バイオガス、バイオエタノール、バイオマテリアル(バイオプ
ラスチック)
(5)-2 インドネシアのバイオマスエネルギー開発の課題
(ボゴール農業大学 Dr.Armansyah Tambunan)
・インドネシアのバイオマスの利用状況:油やしプランテーション:全耕作面積 1,059 ヘクタール
(スマトラ島 65%、カリマンタン島 31%)
・製造コストと経済的価値
・製造コスト:木質ペレット 88 米ドル/トン、パーム油 417.59 米ドル/トン
55
・経済的価値:木質廃棄物 48.8 米ドル/トン(ペレットでは+21.8 米ドル/トン)、FFB (パー
ム椰子果房)95.20 米ドル/トン
・課題:バイオマスのエネルギー化事業で生じる経済的価値を地方(田舎)の開発に繋げるための
国際化と国際協力が必要。
(5)-3 国際協力の重要性
(九州大学 教授 原田達朗氏)
・FIT
日本の FIT 制度で世界のバイオマスが集まって来ている。
・発電所の価値
発電コスト(石炭、バイオ燃料)と環境価値(炭酸ガス削減)の交換を考えること。
・石炭-バイオマス混焼の火力発電所
先進国からの発電所改造についての資金援助
混焼発電所技術は新しい環境価値(炭酸ガス削減、使用石炭の削減)を創造する。
(5)-4 マレーシアのやし油工業での環境と経済の推進
(マレーシアプトラ大学 学部長 Dr. Mohd Ali Hassan)
・SATREPS プロジェクト
日本での研究成果を開発途上国での実用化を目指す。研究能力の向上も図る。
・やし油工業
現在:旧式のボイラーから大気汚染、水蒸気タービンから河川水質汚染を発生
提案:日本の技術で大気汚染、廃水汚染を無くし、生物多様性を確保
・現在の取り組み
化学薬品を使用しないバイオマス製造での前処理(砂糖、ナノファイバー、バイオ肥料製造)、
バイオ炭・バイオ吸着材、バイオ肥料
(5)-5 ミャンマーでのバイオマスエネルギー
(ミャンマー科学技術省 開発イノベーション部門 Dr. Zaw Min Naing)
・エネルギー政策
再生可能エネルギー目標:2030 年に設備容量で 27%のシェア(対全エネルギー)
・畜産廃棄物からのバイオガス
過去 10 年間で 190 カ所のバイオガス消化装置を建設
・米籾殻からのガス化発電
地方で 10-100kW の米籾殻ガス化発電の建設中
ミャンマーでは特に重要な役割との認識
問題点と課題を列挙
・ジャトロファ
2005 年に政府によりジャタロファプログラムが開始
2010 年のジャトロファ栽培目標は 400 万ヘクタール
実際には殆ど広まっていない。ジャトロファ種に問題点があるため。政策的対応が必要。
・食品廃油
56
廃油の価格が高いため収集が困難
バイオディーゼル製造コストが高く、技術・設備等が不十分
・今後の展開
再エネ研究人材の育成、再エネ技術移転の推進
再エネについての国際協力・共同の向上
(5)-6 ベトナムでのバイオマスエネルギーのポテンシャルと課題
(べトナム科学技術院 バイオテクノロジー研究所 Dr. Nguyen Kim Thoa)
・ベトナムのバイオマスの生産量:穀物(米ぬか 19 百万トン、とうもろこし 4.5 百万トン、サト
ウキビ 17 百万トン、他)、多年生植物(コーヒー 1.4 百万トン、茶、ゴム、他)、家畜、木、
水産物
・バイオ肥料生産
・バイオガス生産プロジェクト
目標:地方のバイオガス事業が経済的にも成り立つように開発を推進
成果:バイオ消化タンク事業 1668 件、地方の技術者育成 1000 名以上、訓練士育成 159 名
カーボンクレジット(2013 年~現在):コストの約 45%をカバー
・米わらからのバイオエタノール生産:研究レベル
・バイオディーゼル生産:ジャトロファ、米ワラからの BDF 製造研究
・バイオマテリアル生産:研究レベル
(6) パラレル・セッションⅡ : 風力エネルギー
(6)-1 日本での風力エネルギーの状況と産総研での研究開発
(産総研 福島再生可能エネルギー研究所 小垣哲也氏)
・2014 年現在の風力発電導入量は 2,788MW(その内洋上は 49.6MW)、前年度に対して 119MW 増加
・風力発電による産業界への影響:雇用創出 3,000 人、年間売り上げ 540 億円
・産総研での研究開発の背景
再エネの中で風力は最も商業化されたものであるが、化石燃料由来のエネルギーと比較すると
まだ高い。2020-2050 にかけて風力が主要な電源の一つになる。日本と東南アジアの継続的な成
長のためには国際競争力を保つ必要がある。
・日本では台風、複雑地形、地震、津波などの自然条件を考慮する必要がある。風車の特性を向上さ
せるために、
現時点ではナセル搭載の LIDAR の特性向上、
洋上における影響評価に注力している。
(6)-2 フィリピンにおける風力エネルギーの開発
(エネルギー資源庁 Mr.Ronaldo Angeles)
・挑戦と障害としては技術開発コスト・競合力不足・財政不足・社会的な享受等。環境評価、訓練学
校や風力研究所の設立、人材育成などと合わせて対応してゆく。
・風力は 2022 年で 2,345MW を目標としている(2014 年時点の導入量は 283MW)。活動中のプロジェ
クトとしては、Bangui の 51.9MW、Pagudpud の 81MW、Burgos の 150MW、San Lorenzo の 54MW、Nabas
の 36MW、Pililla の 54MW など合計で 426.9MW である。
57
・風力の導入促進のために FIT 制度、UNDP や ADB からの支援、自治体による支援などを利用してい
る。
(6)-3 ベトナムにおける風力への投資の機会について (ベトナム科学技術院 Dr.Nguyen Thuy Nga)
・海岸線が長いベトナムのポテンシャルは 2,099GW であり、
4-6m/sの風速エリアが大半を占める。
・進行中のプロジェクトは Binh Thuan の 700MW、Ninh Thuan の 220MW、Soc Trang の 200MW、Ben Tre
の 150MW などベトナム中部から南部に集中している。また、風況調査は 33 か所で行われている。
・風力導入への障害
・風況に関するデータの不足と低い信頼性
・高い投資額
・安い売電価格
・風力の専門家不足
・技術的なインフラがない
・政策とメカニズムのひずみ
・電力の売買が 1 社に限定されている
・自然災害(局地風、台風、雷)
・土地利用をめぐるトラブル
・ベトナムでは、非生産品に対する税制優遇・法人税優遇・短期間での減価償却資・土地利用税の優
遇・環境保護税の優遇など多くの優遇措置があり、海外からの参入を歓迎する。法整備・キャパ
ビル・技術協力における国際的な協力を望む。
(6)-4 低風速地用 75kW 発電機の設計とテスト (ラジャマンガラ工科大学 Dr.Wirachai Roynarin)
・タイでは北東と南西の風が吹いているが平均 4.5m/sと低速であり、そのような条件でも定格の
20%の発電ができる風車の開発が求められる(ASEAN 共通の問題である)。
・2022 年で 800MW の設備容量を目標としている。
・羽根を含むすべての部品での再設計が必要であり、羽根は流体シミュレーションを駆使した設計、
発電機は 100kW の永久磁石式同期発電機(PMSG)の開発で、タイ南部で実証試験を行っている。
(7) パラレル・セッションⅢ : 太陽光エネルギー
(7)-1 産総研での太陽光発電技術の研究開発状況について
(産総研 福島再生可能エネルギー研究所 仁木栄氏)
・世界の年間での太陽光発電量が 40GW に到達し主要なエネルギー源となっている、日本でも FIT 制
度もあって導入が進んでいる、太陽光の市場が欧州からアジアや米国へ移っている、更なる導入
促進のためにはコスト低減が必要とされている、などの背景から NEDO プロを主体として各種研究
開発が行われている。
・産総研では薄型シリコンモジュール、次世代シリコンセル(福島大学との共同研究)、イノベーシ
ョンプロジェクト(JST 資金)などで特性と信頼性の向上・標準化・コストダウンを行っている。
・東南アジア各国とは、研究者交流(招聘)・セルの材料技術研究・較正と測定・熱帯および砂漠地
帯で使用される堅牢なモジュール・特性比較などにおいて協力し合えると思われる。
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(7)-2 マレーシアにおける太陽エネルギー利用 (ケバングサーン大 Dr.Kamaruzzaman Sopian)
・農産物や海産物の乾燥と除湿のための太陽光の補助による熱システム
・米・ココア・コーヒー豆・胡椒・たばこ・茶・バナナなどの農産物、海藻・イワシなどの海産物の
乾燥や除湿のため、空気循環型のソーラーコレクターを研究開発中。時間短縮(高効率・生産性
向上)、品質向上(カビなど)が期待され短期間での投資回収が可能となる。
・住宅用に空気循環型と水循環型のソーラーコレクターの開発を行っている。
・マレーシアでの太陽光発電と用途の進歩と革新
・2020 からはシリコン技術に代わって薄膜技術が主流になることが考えられ、そのための研究開発
を行っている(薄膜、無害、Si 基板は 100 ミクロン以下の厚み)。
・従来の表面接触型から裏面接触型にすることで小型となり発電量が増す(=コスト減)。
・発電量を増やすための太陽追尾型(ASEAN Energy Award 2015 受賞)を研究。
・太陽光と風力を使っての水素製造とエコハウス(ASEAN Energy Award 2005 受賞)を研究。
(7)-3 タイでの太陽光発電の状況と品質保証計画(モンクット王立大 Dr.Roongrojana Songprakorp)
・タイでは 2036 年までに 30%を再エネで賄う計画がある。太陽光は 2014 までに 1,307MW(発電所
1,267MW、屋根 9.5MW、オフグリッド 29MW)が導入され、2015 年には 1,000MW 追加される予定。
・モンクット王立大学ではシステムとコンポーネンツを主に研究している。セルとモジュールの特
性評価、地方のオフグリッドでのハイブリッドシステム開発、モジュールの品質安定、発電能力
の継続調査、などのために CSSC(CES Solar Cells Center)を設立。
(7)-4 インドネシアでの太陽光発電の機会と課題
(インドネシア BPPT Dr.Oo Abdul Rosyid)
・インドネシアは世界でも有数の太陽光照射を受けている国であり、太陽光発電はエネルギー需要
の増加に応えるのに最適とされているが、送電ロス・系統連系などの問題がある。2015 年現在で
77MW の設備容量であるが、2025 には 2,200MW の目標を立てている。その導入促進のための多く
の計画や規制を実施している。特に FIT によって効率が高いビル・倉庫・民家での屋根置きの太
陽光発電の導入が促進することが期待されている。
・再エネ全体の導入目標としては 2025 年に 23%、2020 年に 26%を立てている。
・太陽熱は温水機・乾燥機・調理器・熱発電などの用途として、太陽光は各種発電用途として、開発
が行われている。
・太陽光発電導入の課題としては、金融メカニズムの不足・法整備と法規制の不足・技術ノウハウ
の不足・品質確認や認証の基準不足などがあり、それぞれの課題を解決するための放棄整備を含
めた対策が求められる。
(8) パラレル・セッションⅣ : 地熱
(8)-1 BPPT における地熱エネルギーの開発と教訓
(インドネシア BPPT Dr.Taufan Surana)
・国のポテンシャルは、2,921 万 KW であり、2014 年時点で 138 万 KW が開発済み。
・2025 年までに 5 倍の 709 万 KW を開発し、現在の発電量割合 6%を 23%まで上げていきたい。
・2003 年に制定された地熱に関する法律を 2014 年に改正し、鉱山開発の記述を削除して森林法の
許可を容易にしたり、電力活用に関する中央政府の関与を深めたり、地熱活用に関する地方政府
の管理、初期の調査や開発の割り当てを記述した。
59
・BPPT では、地熱の工学的設計、国内産業の能力向上、地元の関与に資する研究を実施している。
・Kamojang 発電所(3000KW)やパイロットプラント(100KW)の紹介
・今後の方策は、海外との共同研究、先進国からの技術移転、技術特許の取得の 3 点。
(8)-2 産総研などにおける地熱への取り組み
(産総研 地質調査総合センター 内田利弘氏)
・日本における地熱発電は、2012 年で設備容量 51.8 万 KW、発電量 2,689GW であり、全発電量の約
0.2%を占めている。17 発電所 20 基が運転中。
・ポテンシャルは 2,347 万 KW あるが、82%が国立公園内に位置している。
・開発上の障害は、自然公園法の許可、温泉への影響、経済性、熱水量、貯水池管理である。
・震災以降は状況が変化し、2014 年で 24 発電所 27 基が運転中。METI からの財政支援(掘削、公衆
認知、研究開発)や FIT 法の施行、国立公園内の開発に対する規制緩和のおかげである。
・産総研の研究開発として、高温岩体発電などの地熱増産システム、熱水利用発電、地中熱ヒート
ポンプシステムなどを実施し、更なる地熱エネルギーの活用を目指している。
・国際協力としては、インドネシア国との技術協力締結、14 か国が参加する CCOP、8 か国が参加す
る ERIA などを通した活動がある。
(8)-3 フィリピン地熱開発における契機と障害(フィリピンエネルギー開発公社 Dr. Manuel Ogena)
・火山国であり世界 2 位の地熱エネルギー埋蔵量を誇り、2015 年時点で 191 万 KW の設備容量があ
る。全発電量の 13%を地熱発電でまかなっている。
・1973 年のオイルショック以降に協議を進めていた再生可能エネルギー法が 2001 年に施行され、
技術向上や開発などに政府の強力な支援が得られるようになった。
・現在も地熱エネルギーの開発はフィリピンエネルギー開発公社により精力的に進められ、2011 年
に 185 万 KW であった発電設備は、2015 年には 191 万 KW にまで増えている。開発事業者も 17 つ
の会社に至る。
・障壁としては、反乱、政府方針と異なる見解を示す団体の存在、社会的受容、アクセス許可、貯水
池などの環境許可、開発調査の難易度、天災の発生が挙げられる。
・地域理解の促進のための教育や植林の推進
・国際協力を通じて、技術交流、運転効率の向上、技術者育成を目指す。
(8)-4 インドネシアにおける地熱開発のための協力
(西日本技術開発 所長 長野洋士氏)
・開発における 2 大障壁は、地熱源の開発リスクと熱量確保などの投資リスクである。プロジェク
ト成功に欠かせない要素は、熱源の物理的化学的に精確な特性把握、井戸/パイプライン/発電設
備/送電設備の精緻な設計と施工、経済効率性と財政、開発に関する環境上の制約の回避、開発者
/操業者の技術能力の 5 点である。
・JICA 開発調査への参画(2010-2013、2014-2017)を実施。森林における許可の進展がみられるもの
の、契約の政府保証や調査坑探査への支援が更に求められる。
・更に、技術者育成、コスト分析に基づくマスタープラン作成、他のプラントとの多目的利用も検
討課題。
・インドネシアは世界最大級の約 29,000MW の地熱資源を有しており、インドネシア政府も積極的に
開発を推進する方針を打ち出している。一方で、現行の事業権入札は、試掘がなされないままに
60
買電価格競争を行い、掘削を含む全てのリスクを民間事業者が負う制度となっており、今後、有
望鉱区の開発を促進する方策の一つとして、最もリスクが高く、大規模な投資が求められる試掘
について、民間事業者にとっての費用・リスクの軽減が求められている。
・試掘資金を供給するための地熱ファンドファシリティの有効活用が求められる。
(9) パラレル・セッションⅤ : その他のエリア
(環境評価、LCA、海洋エネルギー、水力)
(9)-1 ラオスでの水力発電開発と環境影響評価 (Institute of RE Promotion Dr.Syvan Xayyavong)
・15MW 以上の規模の全ての水力発電の全ての開発段階に適用される政策( PSHD:Policy on
Sustainable Hydropower Development)に基づいて環境影響評価をおこなっている。土地利用、
居住環境(空気、騒音、水質)、自然破壊、多様な文化、健康、河川流域の地質、動植物など対
象が多様。
(9)-2 省エネシステムにおけるライフサイクルの考え(モンクット王立大 Dr. Shabbir Gheewala)
・天然ガス、小水力、バイオマス(稲わら)、太陽光(単結晶シリコン)、風力由来のエネルギー生
産に対するライフサイクル解析をおこなっている。
・太陽光と風力からの間欠性の低減の方法として、デマンドレスポンス、蓄電、天然ガス、システム
の大型化がある。
(10) パラレル・セッションのまとめ
(10)-1 バイオマス
(産総研 福島再生可能エネルギー研究所 副所長 坂西欣也氏)
・ASEAN 諸国での農業廃棄物の予想(2030 年)
・各講演の概略
・ インドネシア:バイオマスのエネルギー化事業で生じる経済的価値を地方(田舎)の開発に如
何に繋げるかについての国際化(国際協力)
61
・ 日本:石炭-バイオマス混焼発電所技術は新しい環境価値(炭酸ガス削減、使用石炭の削減)を
創造する。日本の FIT 制度で世界のバイオマスが集まって来ている。
・ マレ-シア:SATREPS プログラムの紹介
・ ミャンマー:バイオマスエネルギー開発の課題と今後の進め方
・ ベトナム:持続可能なバイオマスエネルギーのポテンシャルと課題
・ 今後のバイオマスに関するアジア諸国との協力
・ 政策:FIT、再エネの推進、資金、法整備
・ 産業:各テーマについての産業訓練
・ 制度:共同研究プログラム、規格作成
・ 人材育成:技術移転、学術プログラム
・ 社会面:一般の人への再エネ重要性の浸透
(10)-2 風
力
(新エネルギー財団 主幹 永尾 徹氏)
・風力セッションは各国の現状と将来目標の確認、情報交換と討議、国際的な協力関係の提案を通
じて風力導入の促進を図るものであることと各パネリストの発表内容の概要を説明。
・各国の設備容量と準備状況を下記に示す。
・東南アジア各国では、エネルギー源の影響評価・人材不足・技術など多くの共通点がみられる。継
続的な情報交換や知識を得ることが重要であり、本ワークショップは有益である。
62
(10)-3 太
陽
光
(産総研 福島再生可能エネルギー研究所 仁木栄氏)
・各パネリストの発表概要を説明(前掲)。
・各国の共通の課題と目標として下記を説明。
・ 太陽光は再エネをリードする大きな可能性を持つものである。
・ FIT や補助金などの支援があるものの更なる導入のためにはコスト減が必要。
・ 高温多湿のトロピカルな気候での特性と信頼性評価手法の開発が重要であり、各国が協力で
きる分野である。
・ ハイブリッド化を含む太陽光以外の技術との用途開発が重要。
・ 研究開発の促進のためには今後とも人的交流と情報交換が求められる。
63
(10)-4 地
熱
(産総研 福島再生可能エネルギー研究所 安川香澄氏)
・各講演の概況紹介(前掲)
・課題の共有
アジア太平洋地区には、火山ベルトが存在し、地熱発電の多くのポテンシャルを有しているこ
とが分かった。ただし、各国とも開発が十分に進んでいるとは言えず、開発に関する具体的な障
壁としては、高い初期コスト、熱源リスク、技術者不足、操業上のなどが、各国共有する課題と
して挙げられることが鮮明になった。
・今後の国際的な取り組み
技術協力、移転、教育などのキャバシティビルディングを通じて、各国が共通の土俵で協力し
合えると思われる。
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(10)-5 LCA 他
(産総研 安全科学研究部門 匂坂正幸氏)
・課題の共有
様々な再生可能エネルギーの開発利用に域内で取り組まれている。
利用可能な安定したエネルギー源、需要との整合、環境へのライフサイクルでの影響、供給の強
靭性を十分に考慮する必要がある。
・今後の国際的な取組
・適切なエネルギー需要/供給に向けた取り組みが肝要である。
・アセアンエネルギーセンター(ACE)を中核とし、議論を継続、高度化して実質的な取り組み
を推し進ることが必要と思われる。
・ERIA も同じ方向で検討を重ねており、交流、合理性を図るべきと思われる。
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(3 日目;再生エネルギー関連施設見学)
Kamojang Geothermal Power Station(カモジャン地熱発電所)
ワークショップ参加者の集合写真
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(プログラム)
第1 日 2 0 1 5 年1 2 月2 日
演 題
講 演 者
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
新エネルギー財団(NEF)
開会挨拶
産業技術総合研究所(AIST)
委員会報告と挨拶
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
インドネシア再生可能エネルギー協会(METI)
基調講演 :
エネルギー問題と再生可能エネルギーの役割
/ 国際協力への期待
経済産業省 資源エネルギー庁
ASEANエネルギーセンター(ACE)
長官 Dr. Ir. Unggul Priyanto, MSc
会長 近藤 隆彦
福島再生可能エネルギー研究所(FREA) 所長 大和田野 芳郎
TIEM副議長 Dr. Ir. Hammam Riza MSc.
会長 Dr. Surya Darma
省エネ新エネ部政策課国際室 係長 大羽 真由
ASEAN再エネ支援プログラム技術専門家 Ms. Badariah Yosiyana
特別講演:ASEANエネルギー協力作業部会
「輸送等のためのバイオ燃料活動報告」
フィリピンエネルギー省
再生可能エネルギー管理局 局次長 Ms. Marissa P. Cerezo
国際協力:ラジャヤマンダラ水力発電所開発
関西電力㈱
ラジャマンダラ・エレクトリック・パワー社 財務取締役 島田 尊
国際協力:太陽光発電
産業技術総合研究所(AIST)
国際協力:地熱
インドネシアエネルギー鉱物資源省(ESDM)
国際協力:アブラヤシ残渣半炭化
日本石炭エネルギー開発(株)
初日終了の挨拶
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
福島再生可能エネルギー研究所(FREA)
研究センター長 仁木 栄
新再エネ・省エネ総局 地熱局長 Ir. Yunus Saefulhak, M.M, M.T.
代表 南坊 博司
エネルギー技術センター長 Dr. Andhika Prastawa
第2 日 2 0 1 5 年1 2 月3 日
講 演 者
演 題
並列セッション
産業技術総合研究所(AIST)
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
パラレルセッション I
バイオマ ス エネルギーと持続可能性
司会:坂西 欣也 (FREA/AIST)
Dr. Ir. Adiarso, M. Sc. (BPPT)
インドネシア ボゴール農科大学
九州大学
ミャンマー科学技術省
新エネルギー財団(NEF)
バイオテクノロジー研究所 バイオ材料研究室長 Dr. Nguyen Kim Thoa
日本風力エネルギー学会副会長 永尾 徹(司会)
エネルギー科学研究所 副部長 Dr. Nguyen Thuy Nga(司会、発表)
産業技術総合研究所(AIST)
福島再生可能エネルギー研究所(FREA)
風力エネルギーチーム 研究チーム長 小垣 哲也
フィリピンエネルギー省
インドネシア風力エネルギー協会
産業技術総合研究所(AIST)
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
マレーシア 国民大学
太陽・風力管理部門 上級研究職 Mr. Ronaldo T. Angeles
エネルギー研究所長 准教授 Dr. Wirachai Roynarin
事務局長 Ir. Ifnaldi Sikumbang
福島再生可能エネルギー研究所 (FREA)
研究センター長 仁木 栄(司会)
Drs. Adjat Sudradjat , MSc (司会)
太陽エネルギー研究所所長、教授 Dr. Kamaruzzaman Sopian
タイキングモンクット王工科大学
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
産業技術総合研究所(AIST)
インドネシア再生可能エネルギー協会(METI)
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
産業技術総合研究所(AIST)
フィリピンエネルギー開発公社(EDC)
西日本技術開発(株)
CES太陽電池テストセンター副所長 Dr. Roongrojana Songprakorp
エネルギー技術センター Dr. Ing. Oo Abd. Rosyid
福島再生可能エネルギー研究所(FREA)
総括研究主幹 安川 香澄(司会)
Dr. Bawa Santosa (司会)
省エネ技術センター 地熱エネルギー部長 Dr. Taufan Surana
地圏資源環境研究部門 地質企画室 内田 利弘
技術支援担当副社長、前地熱学会会長 Dr. Manuel Ogena
ジャカルタ事務所所長 長野 洋士
産業技術総合研究所(AIST)
パラレルセッション V その他の領域
(環境評価,LCA,海洋エネルギー,水力)
司会:匂坂 正幸 (AIST)
Ir. Arie Rahmadi、M.Eng.Sc. (BPPT)
バイオプロセス部教授 Dr. Mohd Ali Hassan
ベトナム科学技術省(VAST)
タイ ラジャマンガラ工科大学
パラレルセッション IV 地 熱
司会: 安川 香澄 (FREA/AIST)
Dr. Bawa Santosa (METI, Indonesia)
教授 Dr. Armansyah H. Tambunan
研究・イノベーション部 副部長 Dr. Zaw Min Naing
ベトナム科学技術省(VAST)
パラレルセッション III 太陽エネルギー
司会: 仁木 栄 (FREA/AIST)
Drs. Adjat Sudradjat , MSc (BPPT)
エネルギー資源技術センター長 Dr. Ir. Adiarso, M. Sc. (司会)
炭素資源国際教育研究センター教授 原田 達朗
マレーシアプトラ大学(UPM)
パラレルセッション II 風力エネルギー
司会:永尾 徹(NEF)
Dr. Nguyen Thuy Nga (VAST)
福島再生可能エネルギー研究所(FREA) 所長代理 坂西 欣也(司会)
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)
ラオスエネルギー鉱業省
タイ キングモンクット王工科大学
安全科学研究部門 匂坂 正幸(司会)
エネルギー効率部門長 Ir. Arie Rahmadi、M.Eng.Sc. (司会)
再エネ開発部 副部長 Mr. Syvang Xayyavong
エネルギー環境部門教授 Dr. Shabbir Gheewala
まとめ(全体セッション)
I: バイオマスエネルギーと持続可能性
Dr. Ir. Adiarso, M. Sc. (BPPT), 坂西 欣也(AIST)
II: 風力エネルギー
永尾 徹(NEF)、 Dr. Nguyen Thuy Nga (VAST)
III: 太陽エネルギー
仁木 栄 (AIST), Drs. Adjat Sudradjat, MSc (BPPT)
IV: 地 熱
安川 香澄 (AIST), Dr. Taufan Surana (BPPT)
V: その他の領域
匂坂 正幸 (AIST)、 Dr. Arie Rahmadi (BPPT)
全体まとめ
二日目終了の挨拶
坂西 欣也(AIST)
インドネシア技術評価応用庁 エネルギー技術センター長 Dr. Andhika Prastawa (BPPT)
67
4.3 ホームページによる情報発信・共有
4.3.1 情報発信ウェブサイト」”Asia Biomass Office”の維持更新
“Asia Biomass Office”は、アジア・バイオマス等再生可能エネルギー協力推進事業に係る情報
発信ウェブサイトである。日本国内及び東南アジア等の再生可能エネルギーに関する施策や活動状
況について、最新の話題を選びわかりやすく解説を加えたものをトピックスとして、日本語及び英
語で作成し、情報の発信と共有を行った。
邦文: http://www.asiabiomass.jp/
英文: http://www.asiabiomass.jp/english/
トピックスは、毎回で 6 件の日本および東南アジアを中心とした再生可能エネルギーに関連した
最新情報である。
Asia Biomass Office のトピックスとプレスリリース、イベント情報の発信結果を表 4.3.1-1 に
示す。平成 27 年度は、平成 27年 5 月から平成 28 年 3 月までの期間、11 回(2015 年 5 月~2016 年
3 月発信)日本語と英語で情報発信した。
平成 27 年度に作成し発信した情報は、トピックス総数 66 件、プレスリリース 80 件、イベント
情報は 133 件であった。
表 4.3.1-1 (1/3) Asia Biomass Office のトピックスとプレスリリース、イベント情報
月 No.
日本語タイトル
1 タイにおけるバイオ燃料導入状況
2 2015年度再生可能エネルギー固定価格買取制度(日本)
3 再生可能エネルギーによる水素ステーションの設置
5
4 微細藻類の大規模屋外培養への取り組み
Japan's Feed-in Tariff Scheme for Renewable
Energies in FY2015
Construction of Hydrogen Stations via Renewable
Energies
Initiatives for the Large-Scale Outdoor Cultivation
of Microalgae
Urban Oil Field Exploration Project
6 オーストラリアの風力発電の導入状況
Introduction Status of Wind Power in Australia
2
再生可能エネルギー出力変動対策用に超電導フライホ
イールの開発
Status of Hydropower in Laos
4 赤外線で発電できる太陽電池
Solar Cells that Can Generate Power via Infrared
Rays
5 台湾における太陽光発電
Solar Power in Taiwan
10
9
9
9
7
フィリピンにおけるネピアグラスによるバイオマス発電着 Start of Construction on a Biomass Power Plant
工
Using Napier Grass in the Philippines
1 マレーシアにおける太陽光発電導入状況
2
11
Demonstration Experiment on Wave Power
Generation Started
Development of a Superconductive Flywheel as a
Countermeasure against the Output Fluctuations
from Renewable Energies
3 ラオスの水力発電の状況
6
プレス イベント
リリース 情報
Introduction Status for Biofuel in Thailand
5 都市油田発掘プロジェクト
1 波力発電の実証試験が開始された
6
英文タイトル
Introduction Status for Solar Power in Malaysia
再生可能エネルギー発電適地から需要地までの送電線 Enhancing Power Lines from Areas Suited to
強化
Generating Renewable Energy to Demand Regions
3 ベトナムにおける風力発電導入状況
Introduction Status for Wind Power in Vietnam
4 日本発のペロブスカイト太陽電池の進歩
Advances in Perovskite Solar Cells from Japan
5 パキスタンにおける太陽光発電導入状況
Introduction Status for Solar Power in Pakistan
6 2030年の日本の電源構成ベストミックス案
Proposal for the Best Mix for Japan’s Energy
Portfolio in 2030
7
68
表 4.3.1-1 (2/3) Asia Biomass Office のトピックスとプレスリリース、イベント情報
月 No.
日本語タイトル
1 マレーシアにおける太陽光発電導入状況
2
英文タイトル
プレス イベント
リリース 情報
Introduction Status for Solar Power in Malaysia
再生可能エネルギー発電適地から需要地までの送電線 Enhancing Power Lines from Areas Suited to
強化
Generating Renewable Energy to Demand Regions
3 ベトナムにおける風力発電導入状況
Introduction Status for Wind Power in Vietnam
4 日本発のペロブスカイト太陽電池の進歩
Advances in Perovskite Solar Cells from Japan
5 パキスタンにおける太陽光発電導入状況
Introduction Status for Solar Power in Pakistan
7
9
7
2
7
9
12
12
12
5
12
Proposal for the Best Mix for Japan’s Energy
Portfolio in 2030
インドネシアにおける海洋再生可能エネルギーの導入促 Promoting the Adoption of Ocean-based Renewable
1
進
Energies in Indonesia
6 2030年の日本の電源構成ベストミックス案
2 電力システム改革の本格化
Electricity System Reforms Are Gaining Momentum
圧縮空気による蓄電で再生可能エネルギーの出力変動
に対応
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けたバ
4
イオジェット燃料導入
Handling Fluctuations in Renewable Energy Output
via Electricity Storage Using Compressed Air
Adoption of Bio Jet Fuel for the 2020 Olympic and
Paralympic Games in Tokyo
5 カンボジアにおけるバイオエタノールの生産の可能性
Production Potential for Bioethanol in Cambodia
6 平成26年度エネルギー白書
FY2014 Energy White Paper
3
8
The Introduction of Wind Power Is Making Progress
in Pakistan
Developments in the Introduction of Geothermal
2 フィリピンにおける地熱発電導入の進展
Power in the Philippines
2014年の太陽光発電新規導入容量は中国が1位、日本 China Was Ranked First for Newly Installed Capacity
3
が2位
for Solar Power in 2014, with Japan in Second Place
Construction of the World's First Bamboo-fired
4 山口県で世界初の竹専焼バイオマス発電建設へ
Biomass Power Plant in Yamaguchi Prefecture
1 パキスタンにおいて進む風力発電の導入
9
5 ミャンマーの風力発電の現状
Current Status of Wind Power in Myanmar
6 福島県の再生可能エネルギー推進に向けた取組み
Initiatives to Promote Renewable Energy in
Fukushima Prefecture
1 太陽光発電パネルのリサイクル検討開始
2 タイでバガスからのバイオエタノールプラント完成
3 太陽エネルギーからの水素変換効率更新
10
Start of Examinations for Recycling Solar Panels
Completion of a Plant that Produces Bioethanol
from Bagasse in Thailand
Improving the Hydrogen Conversion Efficiency from
Solar Energy
4 オーストラリアにおける太陽熱発電の現状
Current State of Solar Thermal Power in Australia
5 インドにおける波力・潮汐エネルギーポテンシャル
Wave and Tidal Energy Potential in India
6
1
2
3
11
4
5
6
Fukuoka City's Hydrogen Leader City Project:
福岡市の水素リーダー都市プロジェクト「下水汚泥からの
Energy Technology for Producing Hydrogen from
水素創エネ技術」
Sewage Sludge
Progress in the Deregulation of Geothermal Power in
国立公園内の地熱発電の規制緩和が前進
National Parks
Start of Installation of Large-Scale Solar Power in
べトナムで大型太陽光発電の設置スタート
Vietnam
Start of Operations for Large-Scale Offshore Wind
中国の洋上風力発電大型プロジェクト運転開始
Farm Projects in China
Upgrading Deteriorating Small and Medium
中小水力発電の老朽化更新とFIT
Hydropower Facilities and FIT
ニュージーランドの再生可能エネルギーの中でのバイオ New Zealand’s Positioning of Biomass within
マスの位置づけ
Renewable Energies
Cooperation between Japan and India in the
日印の再生可能・省エネルギー分野での協力
Renewable Energy and Energy Conservation Sectors
69
表 4.3.1-1 (3/3) Asia Biomass Office のトピックスとプレスリリース、イベント情報
月 No.
日本語タイトル
英文タイトル
1 未利用材木質バイオマス発電の推進
Advances in Power Generation from Unused Wood
Biomass
2 木質ペレットの生産量と輸入量
Volumes of Wood Pellets Produced and Imported
3 輸入ヤシ殻(PKS)のバイオマス発電への利用
Using Imported Palm Kernel Shells (PKS) for
Biomass Power Generation
12
4 ユーグレナのジェット燃料への取組
5 再生可能エネルギーキャリアとしての水素化合物
6 海藻からのバイオエタノール製造の進展
プレス イベント
リリース 情報
5
9
8
8
6
15
4
12
Initiatives for Euglena Jet Fuel
Using Hydrogen Compounds as Renewable Energy
Carriers
Advances in Manufacturing Bioethanol from Marine
Algae
1 2015年度のバイオマス産業都市選定
Selection of the FY2015 Biomass Industry Cities
2 CIS太陽電池における世界最高変換効率の達成
The World’s Greatest Conversion Efficiency Has
Been Achieved with CIS Solar Cells
3 ラオスにおける地方電化の推進
Progress with Rural Electrification in Laos
4 スリランカの風力発電
Wind Power in Sri Lanka
1
Promoting the Adoption of Renewable Energy
Facilities at Eco-Schools
ジャカルタで第2回アジア再生可能エネルギーワーク
Second Asia Renewable Energy Workshop (AREW)
6
ショップ(AREW)を開催
Held in Jakarta
北海道における再エネ由来の水素社会形成に向けた取 Initiatives to Create a Hydrogen Society Derived
1
り組み
from Renewable Energy in Hokkaido
Start of Demonstrations for Jet Fuel Made from
2 都市ゴミから作るジェット燃料の実証スタート
Municipal Waste
Japanese Companies Received Orders for the First
マレーシアとミャンマーで初のごみ焼却発電を日本企業
3
Waste Incineration Power Plants in Malaysia and
が受注
Myanmar
Japan and India agree upon the Japan-India Energy
4 日印エネルギーパートナーシップイニシアティブ
Partnership Initiative
Establishment of an Algae Research Institute in the
5 バイオマス産業都市「佐賀市」に藻類研究機関設立
Biomass Industry City of Saga
Japan's Feed-in Tariff Scheme for Renewable
6 2016年度再生可能エネルギー固定価格買取制度(日本)
Energies in FY2016
Achieving artificial photosynthesis energy conversion
1 植物を超えるエネルギー変換効率を人工光合成で達成
more efficiently than plants
5 エコスクールへの再生可能エネルギー設備の導入推進
2
2 2015年の日本における風力発電導入状況
Introduction Status for Wind Power in Japan in 2015
Ministry of Economy, Trade and Industry budget
2016年度 経済産業省の再生可能エネルギー関係予算
proposal for renewable-energy-related operations in
案
fiscal 2016
エネルギーのレジリエンス(強靭性)としてのスマートコ
4
A smart community as energy resilience
ミュニティ
New energy PR activities for children based on
南相馬ソーラー・アグリパーク体験学習による子どもたち
5
hands-on learning in the Minamisoma Solar Agri
への新エネ啓発活動
Park
The economic effect of renewable energy in the
2030年の世界の再生可能エネルギー経済効果は1兆3千
6
world in 2030 is 1.3 trillion dollars (about 152 trillion
億ドル(約152兆円)
yen)
3
3
4.3.2 “Asia Biomass Office”のトップページデザイン変更
情報発信サイト“Asia Biomass Office”の表紙に相当するメインイメージのデザインを年次改
訂し、“Asia Biomass Office”に「新鮮さ」を出した。平成 28 年 3 月からアップロードした改訂
後の新トップページデザインを図 4.3.2-1 に、改訂前のデザインを図 4.3.2-2 に示す。
70
図 4.3.2-1 “Asia Biomass Office”
図 4.3.2-2 ”Asia Biomass Office”
トップページ改訂後のデザイン
トップページ改訂前のデザイン
(平成 28 年 3 月から使用)
(平成 27 年 3 月~平成 28 年 2 月使用)
4.3.3 東アジアの再生可能エネルギーピックスCDの作成
“Asia Biomass Office”内のバイオマストピックスでは、日本国内や東南アジアのバイオマスエ
ネルギーを始めとする、再生可能エネルギー関係の最新の記事を提供してきた。これらの記事は再
生可能エネルギーの最新、詳細なデータとして利用価値が高いため、再生可能エネルギーに関係す
る各国の政府、研究所、大学及び企業の関係者が容易に利用できるように CD 化し、個々の記事を容
易に検索が出来る検索システムを付加した(図 4.3.3-1)。
・対象記事:平成 21 年 1 月から平成 28 年 3 月に掲載した日本語および英語の再生可能エネルギー
トピックス 452 件を収録した。
・使用言語:英語と日本語を使用。一枚の CD に両方を収納。
・アクセス容易化のためのシステム内容:ユーザが容易に検索しアクセスできる様に、以下の検索
機能をつけた。
・発行月別:発行月別のトピックスを検索できるようにした(図 4.3.3-2)、(図 4.3.3-3)。
・エネルギー分類別:木質燃料、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、炭化、太陽光、
風力、中小水力、地熱、太陽熱、その他の再生可能絵念ルギーのトピックスを検索できるように
した(図 4.3.3-4)。
・国別:国別のトピックスを検索できるようにした(図 4.3.3-5)。
71
図 4.3.3-1 東アジアの再生可能エネルギーピックス CD とスタート画面
図 4.3.3-2 発行月別/目次別検索
図 4.3.3-3 月別目次
(以下日本語表示の場合を示す)
図 4.3.3-4 エネルギー分類別検索
図 4.3.3-5 国別検索
72
4.4 研究機関、関連企業のデータベースの維持・管理
4.4.1 データベースの目的と推移
平成 19 年(2007 年)1 月に開催された第2回東アジアサミットにおいて、「エネルギー安全保障
に関するするセブ宣言」が調印され、日本政府は「エネルギー協力に関するイニシアティブ」を発表
し、その一環として「日本のバイオマス研究機関等データベース」を作成し、ネット上に公開した。
平成 22 年度には範囲を東アジア各国の研究機関に広げ「東アジアのバイオマス研究機関等データベ
ース」としてデータの増強と更新を行った。更に平成 24 年度は、「東アジア地域の再生可能エネル
ギー研究機関等データベース」として発展させて来た。
平成 25 年度は、「東アジア地域の再生可能エネルギー研究機関等データベース」を、研究機関中
心の構成から、企業の再生可能エネルギー関係の活動も包含したデータベースに拡張し、名称を「東
アジア地域の再生可能エネルギー研究機関・企業等データベース」に変更した。
平成 27 年度には引き続きデータの更新と増強を行った。
4.4.2 データベースの更新
平成 26 年度の「東アジア地域の再生可能エネルギー研究機関等データベース」には、バイオマス
について 602 機関、822 バイオマス研究項目、および、バイオマス以外の再生可能エネルギーについ
て 268 機関、337 研究項目が登録されていた。平成 27 年度は、前年度合計の 870 の機関に加え、76
の新規候補研究機関を加えて、合計 946 の研究機関に、郵送及び e-mail でアンケートを送付した。
アンケートではデータベースに収録しているデータの最新状況の確認と変更点を、新規機関にはデ
ータを回答してもらいデータベースに反映した。
このアンケートの他に、再生可能エネルギーの研究、事業化について顕著な活動を行っている機
関、企業を調査(文献調査、インターネット調査)し、その結果をデータベースに追加した。
4.4.3 工業化のためのシーズ・ニーズ調査
「東アジア地域の再生可能エネルギー研究機関等データベース」を更に有効に活用するために、
平成 24 年度に、「工業化のためのシーズ・ニーズ」データを追加した。これは研究の結果得られた
成果の工業化を検討している研究所や、工業化のために技術的な助力を求めている企業に対して、
研究成果を工業化するための支援を行うシステムとなっている。平成 27 年度は、前年度に引き続き
アンケートによって下に示す「工業化のためのシーズ・ニーズ」情報の拡充と更新を行った。
表 4.4.3-1 にアンケートで調査した「工業化のためのシーズ情報」と「工業化のためのニーズ
情報」の内容を示す。アンケート調査の結果は、「東アジア地域の再生可能エネルギー研究機関・企
業等データベース」に反映して公開した。
73
表 4.4.3-1「事業化シーズ」と「産業側ニーズ」
シーズ情報(研究サイド)
ニーズ情報(産業サイド)
研究で得られた「成果」と「技術レベル(実験室、パ
工業化するために提供できる技術、製品、プラント、資
イロット、コマーシャル等」
本等
工業化するために提供できるシーズ(研究成果、人的
工業化するために必要なもの(研究成果、人的ネット
ネットワーク、事業戦略、知的財産戦力等)
ワーク、事業戦略、知的財産戦力等)
工業化のイメージ
工業化のイメージ
希望する共同事業者、共同事業体制
希望する共同事業者、共同事業体制
工業化の課題
工業化の課題
アピールポイント
アピールポイント
4.4.4 再生可能エネルギー研究機関・企業の調査
現在「東アジア地域のバイオマス研究機関データベース」に収録している研究機関、企業に対し
て、現在実施しているバイオマス以外の再生可能エネルギーに関する研究・事業内容をアンケート
調査に含め、その結果をデータベースに追加した。
再生可能エネルギーは、バイオマスの他に、太陽光、風力、中小水力、地熱、その他の再生可能
エネルギー(太陽熱、空気熱、地中熱、波力・潮汐)である。データ内容は、「再生可能エネルギー
に関する研究、事業内容」とした。
このアンケートの他に、再生可能エネルギーの研究、事業化について顕著な活動を行っている機
関、企業を調査(文献調査、インターネット調査)し、その結果をデータベースに追加した。
4.4.5 調査結果
1)アンケート回収率
アンケートの回答率は 38.9%であった。詳細結果を表 4.4.5-1 に示す。地方自治体、研究機関の
回答率がそれぞれ 64.4%、50.0%であったが、東アジアからの回答率は昨年度の 27.1%から 3.6%に
減少し、海外に対するアンケートのやり方について改善する必要がある。
表 4.4.5-1 アンケート回答
アンケート送付
(郵送、e-mail)数
回答のあった数
回答率(%)
研究機関(日本)
76
38
50.0%
地方自治体(日本)
163
105
64.4%
民間(日本)
380
139
36.6%
大学(日本)
106
28
26.4%
その他(日本)
17
8
47.1%
東アジア
83
3
3.6%
合 計
825
321
38.9%
74
2)
データベースから削除した機関
アンケートの結果、データベースから削除した機関は 9 件で、その内訳を表 4.4.5-2 に示す。
削除の理由は、「バイオマスの事業を停止し現在実施していない」などが挙げられている。
表 4.4.5-2 データベースから削除した機関
3)
No.
都道府県・国
団体区分
団体名
1
千葉県
研究機関
千葉県産業支援技術研究所
2
長野県
研究機関
長野県林業総合センター
3
北海道
地方自治体
北海道 東川町
4
大阪府
地方自治体
大阪府
5
千葉県
地方自治体
せっけんの街 NPO
6
東京都
民間企業
株式会社西原環境
7
香川県
民間企業
四電エンジニアリング(株)
8
埼玉県
民間企業
サッポロエンジニアリング株式会社
9
静岡県
民間企業
積水ハウス株式会社
データベースに追加した機関
現在のデータベースに掲載されていず、再生可能エネルギーに関連する事業を行っている研
究機関、地方自治体、民間企業、大学を追加に登録した。
新規登録機関は、バイオマス等再生可能エネルギー人材育成事業に参画した国内外の機関、
新エネルギー財団の「新エネルギー産業会議会員企業」のほか、文献・論文、新聞、学会、セミ
ナーによって、再生可能エネルギーの研究や事業化を平成 26 年度に公開した機関である。住所
等の情報の収集はインターネットを用いて公開されている情報を入手した。
平成 27 年度に追加した新規登録機関は 76 機関で、その内訳を表 4.4.5-2(2)に示す。
表 4.4.5-2(2) 平成 27 年度の新規登録機関
再生可能エネルギー種類
追加機関数
詳細
バイオマス
50 機関
表 4.4.5-2(3)
太陽光
5 機関
表 4.4.5-2(4)
風力
7 機関
表 4.4.5-2(5)
中小水力
1 機関
表 4.4.5-2(6)
地熱
5 機関
表 4.4.5-2(7)
その他
8 機関
表 4.4.5-2(8)
追加合計
76 機関
75
表 4.4.5-2(3) 平成 27 年度の新規登録機関(バイオマス)
No.
都道府県・国
団体区分
団体名
部署・学部
21
千葉県
民間企業
出光興産株式会社
先進技術研究所 環境・エネル
ギー研究室
22
福岡県
民間企業
電源開発株式会社
若松研究所
23
長野県
民間企業
日本電熱株式会社
事業推進部
24
神奈川県
民間企業
株式会社ストリートデザイン
環境エネルギー開発部
25
東京都
民間企業
株式会社巴商会
26
東京都
民間企業
東京ガス株式会社
27
兵庫県
大学
神戸大学
28
茨城県
大学
筑波大学
29
東京都
大学
東京大学
30
岐阜県
大学
岐阜大学
31
宮城県
大学
東北大学
32
東京都
大学
東京大学大学院
33
兵庫県
大学
神戸大学
34
東京都
大学
中央大学
理工学部 人間総合理工学科
35
東京都
大学
東京農工大学
大学院工学研究院 生命機能科
学部門
36
長野県
大学
信州大学
信州大学工学部物質工学科
37
新潟県
大学
長岡技術科学大学
38
新潟県
大学
長岡技術科学大学
39
群馬県
大学
群馬大学
40
鹿児島県
その他
西薩クリーンサンセット事業組合
41
鹿児島県
その他
サザングリーン協同組合
42
東京都
その他
一般財団法人 バイオインダストリー協会
43
東京都
その他
バイオガス事業推進協議会
事務局
44
インドネシア
研究機関
技術評価応用庁
エネルギー技術センター
45
タイ
研究機関
タイ科学技術研究所
46
タイ
研究機関
タイ国立金属材料技術研究センター
47
ベトナム
研究機関
ベトナム科学技術院
48
ラオス
研究機関
ラオス エネルギー・鉱山省
49
インドネシア
大学
パティムラ大学
50
タイ
大学
ワライラク大学(タイ)
基盤技術部
神戸大学大学院 人間発達環境
学研究科
筑波大学大学院 生命環境科学
研究科 環境バイオマス共生学
専攻
大学院農学生命科学研究科 生
物・環境工学専攻 生物環境工
学研究室
流域圏科学研究センター
水系安全研究部門・水質安全研
究分野
多元物質科学研究所
工学系研究科化学システム工学
専攻
大学院工学研究科 応用化学専
攻
76
遺伝子制御工学研究室
表 4.4.5-2(4) 平成 27 年度の新規登録機関(太陽光)
No.
都道府県・国
団体区分
団体名
1
神奈川県
民間企業
ペクセル・テクノロジーズ株式会社
2
千葉県
民間企業
日立造船株式会社
3
東京都
民間企業
田中貴金属工業株式会社
4
東京都
民間企業
国際先端技術総合研究所株式会社
5
神奈川県
大学
部署・学部
商品開発センター
大学院工学研究科 医用工学専
攻
桐蔭横浜大学
表 4.4.5-2(5) 平成 27 年度の新規登録機関(風力)
No.
都道府県・国
団体区分
団体名
部署・学部
1
熊本県
2
沖縄県
民間企業
沖縄電力株式会社
3
沖縄県
民間企業
株式会社プログレッシブエナジー
4
東京都
民間企業
出光興産株式会社
経営企画部 R&D戦略室
5
ベトナム
研究機関
ベトナム科学技術院(1)
Institute of Energy Science
6
ベトナム
研究機関
ベトナム科学技術院(2)
Institute of Energy Science
7
ベトナム
研究機関
ベトナム産業貿易省
Institute of Energy
市民生活部 市民生活課 生活環
境係
地方自治体 熊本県 天草市
離島カンパニー 離島事業部
表 4.4.5-2(6) 平成 27 年度の新規登録機関(中小水力)
No.
都道府県・国
団体区分
1
タイ
大学
団体名
ナレースワン大学
部署・学部
エンジニアリング学部
表 4.4.5-2(7) 平成 27 年度の新規登録機関(地熱)
No.
都道府県・国
団体区分
団体名
1
東京都
民間企業
出光興産株式会社
2
ベトナム
研究機関
ベトナム産業貿易省
3
フィリピン
民間企業
Energy Development Corporation
4
インドネシア
大学
ガジャ・マダ大学(インドネシア)
5
フィリピン
大学
フィリピン大学
77
部署・学部
経営企画部 R&D戦略室
表 4.4.5-2(8) 平成 27 年度の新規登録機関(その他再生可能エネルギー)
No.
都道府県・国
団体区分
団体名
部署・学部
1
広島県
民間企業
エム・エム ブリッジ株式会社
2
長崎県
民間企業
サイエンスリサーチ株式会社
3
東京都
民間企業
ジャパンマリンユナイテッド株式会社
海洋・エンジニアリングプロジェクト部新エネルギービ
4
静岡県
民間企業
協立電機株式会社
技術開発センター
5
東京都
民間企業
日本工営株式会社
エネルギーソリューション部
6
東京都
大学
東京大学
先端科学技術研究センター
7
広島県
大学
広島工業大学
工学部都市デザイン工学科
8
タイ
研究機関
タイ科学技術研究所
4)
集計
①
平成 27 年度のデータベース登録機関数
平成 25 年度には 808 機関、平成 26 年度には 870 機関が登録されていたが、更新の結果、平成 27
年度には削除された機関が 9、新たに登録された機関がバイオマス 50、太陽光 5、風力 7、水力 1、
地熱 5、その他再生可能エネルギー8 であった。その結果、平成 26 年度の登録機関数 870 機関に対
して、平成 27 年度は 937 機関となった。内訳を表 4.4.5-2(9)に示す。
表 4.4.5-2(9) 平成 27 度 データベース登録機関数
機関
平成26
年度
(A)
平成27年度
研究中止等
による削除
(B)
平成27年度
新規登録
(C)
平成27年度
(A-B+C)
研究機関(日本)
83
2
3
84
地方自治体(日本)
161
3
0
158
民間(日本)
195
4
23
214
大学(日本)
117
0
13
130
その他(日本)
7
0
4
11
アジア
39
0
7
46
バイオマス 合計
602
9
50
643
太陽光
83
0
5
88
風力
77
0
7
84
水力
36
0
1
37
地熱
17
0
5
22
その他再生可能
エネルギー
55
0
8
63
268
0
26
294
870
9
76
937
再生可能
エネルギー
バイオマス
バイオマス以外の
再生可能
エネルギー合計
バイオマス+再生可能エネルギー
78
②
研究項目数
一つの研究機関の中で複数の異なった項目について研究及び事業を実施している場合について、
研究機関数とは別に研究項目のデータを掲載している。
データベースに掲載された研究項目数は、平成 26 年度は 1,159 件であったが、平成 27 年度は
1,256 件となった。 表 4.4.5-2(10)。
表 4.4.5-2(10) 平成 27 年度 バイオマス+再生可能エネルギー研究項目数
再生可能エネルギー
バイオマス
機関
平成27年度
研究機関(日本)
98
地方自治体(日本)
201
民間(日本)
272
大学(日本)
223
その他(日本)
11
アジア
69
バイオマス 合計
874
太陽光
113
風力
104
水力
55
地熱
32
その他再生可能
エネルギー
78
バイオマス以外の再生
可能エネルギー合計
バイオマス+再生可能エネルギー
382
1256
③まとめ
平成 27 年度の作業の結果、登録データの数は、937 機関、1,256 研究項目に増加した(表 4.4.52(11)。前年度の登録データ数に対して、研究機関は 67 機関、研究項目は 97 項目の増加となった。
表 4.4.5-2(11)「東アジア地域の再生可能エネルギー研究機関等データベース」の
登録機関数、研究項目数(平成 27 年度)
バイオマス研究
団体種類
登録
機関数
バイオマス
研究項目数
研究機関(日本)
84
地方自治体(日本)
登録
機関数
98
バイオマス以外の
再生可能エネルギー
研究種別
バイオマス以外の
再生可能エネルギー
研究項目数
158
201
太 陽 光
88
113
民間(日本)
214
272
風 力
84
104
大学(日本)
130
223
水 力
37
55
その他(日本)
11
11
地 熱
22
32
東アジア注1)
46
69
そ の 他
63
78
合 計
643
874
合 計
294
382
注) 東アジアは、インド、インドネシア、韓国、カンボジア、シンガポール、タイ、中国、フィリピ
ン、ベトナム、マレーシア、ラオスの 11 ヶ国を含んでいる。
79
4.4.6 ウエブ上への掲載
前述の更新を反映して「東アジア地域の再生可能エネルギー研究機関・企業等データベース」を
平成 28 年 3 月に日本語と英語で NEF ウェブサイト上へ掲載した。(図 4.4.6-1)。
図 4.4.6-1 「東アジア地域の再生可能エネルギー研究機関等データベース」表紙
80
4.4.7 アクセス解析
1) アクセス数
「アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス」および「東アジア地域のバイオマス研究
機関等データベース」への日本語サイト、英語サイトへのアクセス数を調査した。 平成 27 年 3
月から平成 28 年 2 月までの、月単位のアクセス数を表 4.4.7-1 (1/4)~(4/4)に示す。
表 4.4.7-1 (1/4) アクセス数 (平成 27 年 3 月~5 月)
2015年3月
4月
5月
アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ
ネルギー協力推進オ オマス研究機関等 ネルギー協力推進オ オマス研究機関等 ネルギー協力推進オ オマス研究機関等
日本語
日本
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
10,208
304
838
12
11,073
302
690
15
11,928
423
753
22
477
1,834
22
32
417
1,685
15
34
518
1,864
31
44
南北アメリカ
80
369
45
4
57
393
39
2
51
277
23
6
ヨーロッパ
34
520
19
9
37
455
11
10
52
453
13
12
その他
33
171
1
5
18
155
3
11
25
189
5
1
10,832
3,198
925
62
11,602
2,990
758
72
12,574
3,206
825
85
アジア
計
合計
14,030
987
14,592
830
15,017
総合計
15,780
910
15,422
16,690
表 4.4.7-1 (2/4) アクセス数 (平成 27 年 6 月~8 月)
6月
7月
8月
アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ
ネルギー協力推進オ オマス研究機関等 ネルギー協力推進オ オマス研究機関等 ネルギー協力推進オ オマス研究機関等
フィス へのアクセス データベースへのア フィス へのアクセス データベースへのア フィス へのアクセス データベースへのア
数
クセス数
数
クセス数
数
クセス数
日本語
日本
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
13,590
444
836
20
12,483
368
810
13
9,677
263
705
14
432
1,688
23
71
422
1,382
15
29
414
1,494
18
12
南北アメリカ
49
295
30
2
35
231
24
3
54
197
25
1
ヨーロッパ
46
410
11
6
43
301
17
8
29
259
9
2
アジア
その他
計
合計
総合計
26
151
3
3
34
141
4
2
54
188
3
0
14,143
2,988
903
102
13,017
2,423
870
55
10,228
2,401
760
29
17,131
1,005
15,440
18,136
925
16,365
81
12,629
789
13,418
表 4.4.7-1 (3/4) アクセス数 (平成 27 年 9 月~11 月)
9月
10月
11月
アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ
ネルギー協力推進オ オマス研究機関等 ネルギー協力推進オ オマス研究機関等 ネルギー協力推進オ オマス研究機関等
フィス へのアクセス データベースへのア フィス へのアクセス データベースへのア フィス へのアクセス データベースへのア
数
クセス数
数
クセス数
数
クセス数
日本語
日本
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
9,285
260
653
6
10,621
324
632
11
10,933
354
618
23
385
1,473
14
23
459
1,696
15
20
501
1,707
18
17
南北アメリカ
44
311
6
1
58
350
2
6
50
384
5
4
ヨーロッパ
36
314
7
9
31
366
1
2
45
428
1
4
その他
36
172
1
2
33
125
0
1
40
128
0
1
9,786
2,530
681
41
11,202
2,861
650
40
11,569
3,001
642
49
アジア
計
合計
12,316
722
14,063
690
13,038
総合計
14,570
14,753
691
15,261
表 4.4.7-1 (4/4) アクセス数 (平成 27 年 12 月~28 年 2 月)
12月
1月
2月
アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ アジア・バイオマスエ 東アジア地域のバイ
ネルギー協力推進オ オマス研究機関等 ネルギー協力推進オ オマス研究機関等 ネルギー協力推進オ オマス研究機関等
フィス へのアクセス データベースへのア フィス へのアクセス データベースへのア フィス へのアクセス データベースへのア
数
クセス数
数
クセス数
数
クセス数
日本語
日本
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
日本語
英語
10,104
347
727
13
10,954
347
615
15
11,126
417
641
8
460
1,462
10
39
390
1,482
15
29
457
1,509
13
20
南北アメリカ
42
293
0
1
200
365
4
5
606
477
2
8
ヨーロッパ
46
284
1
1
36
325
2
4
29
377
1
6
その他
29
87
1
1
26
110
2
3
33
121
0
2
10,681
2,473
739
55
11,606
2,629
638
56
12,251
2,901
657
44
アジア
計
合計
総合計
13,154
794
14,235
13,948
694
14,929
15,152
701
15,853
アクセス数の推移を図 4.4.7-1 に示す。平成 27 年 3 月には昨年同様に 15,000 件台から始まった
が、6 月度は過去最高の 18,136 件まで到達し、これまでの最多のアクセスを記録した。8 月・9 月度
(夏季休暇期間)は例年通り件数が 2 割減して 13,000 件前後となった。10 月以降は 15,000 件前後
に戻り同程度で推移している。
27 年度の年度累計数は 182,830 件、月平均値は 15,236 件で、26 年度の累計数 176,156 件、月平
均値 14,680 件よりそれぞれ増加している。
アクセス数が多いのは、「アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス」で全体の 95.0%を
占めている。日本語サイトと英語サイトでは、日本語サイトが 80%前後である(図 4.4.7-2) 。
82
20
18,136
18
16
14
(
12
)
ア
ク
セ
ス
数
千
回
10
16,690
15,017 15,422
14,030
16,365
17,131
15,780
13,418
13,038
15,440
14,592
14,753
15,853
15,261
14,570
14,929
13,948
14,063
12,629
15,152
14,235
13,154
12,316
アジアバイオマス協力推進オフィス(トピックス)
研究機関データベース
合計
8
6
4
2
0
987
830
910
1,005
925
789
H27年3月
4月
5月
6月
7月
8月
722
690
691
794
694
701
9月
10月
11月
12月
H28年1月
2月
月
図 4.4.7-1 アクセス数の推移 (平成 27 年 3 月~平成 28 年 2 月)
18000
英語サイト
16000
14000
12000
ア
数 10000
ク
8000
セ
ス
6000
日本語サイト
2988
2423
3206
2861 3001
3198 2990
2401 2494
14143
10832 11302
12574
4000
13017
10228 9786
2629
2901
2473
12251
11202 11569 10681 11606
2000
0
3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
月(平成27年~平成28年)
図 4.4.7-2 日本語サイトと英語サイトのアクセス数の推移
(平成 27 年 3 月~平成 28 年 2 月;アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス)
4.4.8 アクセスに関する考察
1)「アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス」へのアクセス
「アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス」へのアクセス国上位 5 ヵ国を表 4.4.81 に示す。日本語、英語サイトとも日本からのアクセスが最も多いが、海外からはマレーシア、
米国、インドが目立っている。
83
表 4.4.8-1「アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス」アクセス上位 10 ヵ国
日本語サイト
順位
国名
1
Japan
2
United States
3
Thailand
4
英語サイト
アクセス数
131,982
1,157
国名
アクセス数
Japan
4,065
Malaysia
3,997
899 United States
2,769
Singapore
677
India
2,760
5
Indonesia
660
Indonesia
2,193
6
Malaysia
535
Thailand
1,936
7
Philippines
386
Philippines
1,314
8
China
358
Singapore
1,402
9
Vietnam
349
South Korea
1,136
10
South Korea
338
Vietnam
967
「アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス」へのアクセス地域
2) 「東アジア地域のバイオマス研究機関等データベース」へのアクセス
「東アジア地域のバイオマス研究機関等データベース」へのアクセス国上位 5 ヶ国を表
4.4.8-2 に示す。日本からが最も多いが、海外からは東南アジア、米国を始め、多くの国々か
らのアクセスしている。
84
3月
4月
日本語
NO
英語
アクセス
数
国
日本語
アクセス
数
国
838 Japan
国
Japan
12 Japan
2
Brazil
21 Indonesia
9 Brazil
3
United
States
12 Malaysia
5 Canada
4
Italy
9 Singapore
5
Singapore
7
4
4 India
1
Japan
2
Brazil
3
United
States
8
4
Canada
7 Thailand
5
836 Japan
20 Brazil
Myanmar
(Burma)
17 Italy
6
4 Vietnam
United
States
5 Spain
英語
アクセス
数
7
3 Thailand
5 Malaysia
South
Korea
Myanmar
(Burma)
3
4 Italy
3 Vietnam
2
4 China
Banglade
2
sh
1
英語
日本語
アクセス
数
国
5 Indonesia
4
4
India
4 Malaysia
4 China
2 Thailand
4
2 Thailand
United
2
States
4 China
アクセス
数
5
Myanmar
(Burma)
South
Korea
1
Japan
727 Indonesia
2
Malaysia
3 Japan
3
Thailand
3 Thailand
国
6 Indonesia
19 Japan
South
Korea
United
6
States
13
6
United
States
Philippine
3
s
4 Thailand
5
United
States
英語
アクセス
数
23
4
2
2 Singapore
2
2月
日本語
アクセス
数
アクセス
数
国
618 Japan
1月
国
英語
アクセス
数
国
11 Japan
5 Indonesia
2
2
11月
United
States
国
Monteneg
ro
5 Estonia
3
NO
アクセス
数
国
22 India
5 Indonesia
英語
英語
5
632 Japan
12月
4
8 Brazil
5 Thailand
日本語
4 Germany
14
Italy
2 Germany
5
705 Japan
2
Germany
4 China
13 Japan
Japan
Banglade
sh
8
6 Indonesia
アクセス
数
6 Japan
6 Vietnam
アクセス
数
国
1
5
653 Japan
12
6 China
3 Vietnam
国
14 Indonesia
日本語
アクセス
数
国
日本語
アクセス
数
国
22
8月
英語
10月
日本語
国
7 Singapore
14
アクセス
数
国
753 Japan
11 Brazil
810 Japan
9月
NO
15 Japan
7 Indonesia
アクセス
数
国
20 Japan
12 Lebanon
Italy
国
7 Japan
日本語
アクセス
数
国
英語
アクセス
数
7月
英語
アクセス
数
国
国
19 Australia
United
States
日本語
アクセス
数
690 India
6月
日本語
NO
英語
アクセス
数
1
United
States
5月
国
615 Japan
日本語
アクセス
数
国
英語
アクセス
数
国
アクセス
数
15 Japan
641 Japan
8
6 Indonesia
6 China
3 India
6
4 Malaysia
5
2 Indonesia
4
2 Malaysia
4
2 Canada
3
4
China
2 India
3 Indonesia
United
2
States
5
Philippine
s
South
1
Korea
3 Malaysia
2 Nepal
South
Korea
Philippine
4
s
3 Singapore
表 4.4.8-2「東アジア地域のバイオマス研究機関等データベース」アクセス上位 5 ヶ国
85
「東アジア地域のバイオマス研究機関等データベース」へのアクセス地域
4.4.9 トピックスコンテンツに関する考察
1) 毎月初めに新しいトピックスを発信しているが、1~2 年前に発信したトピックスに対するアク
セスが多い傾向がある。このサイトで発信する情報は最新のものであるため、掲載した直後では
まだ一般の認知が低い状況であり、時間が経つにつれて徐々に掲載したテーマへの認識が上がっ
た結果、アクセスが増えるものと考えられる。
2) インターネット検索において、検索上位(検索結果の 1 ページから 10 ページまででのヒット)
に、アジアバイオマスオフィスが発信しているトピックスが掲載される例が多くなっている。検
索上位の情報は、一般にアクセス回数の多い情報が掲載されており、アジアバイオマスオフィス
が発信しているトピックス情報の信頼性は高いと言える。この検索上位にランクされることがア
クセス数の増加に繋がっている。昨年度からトピックスに対しては、検索にかかりやすくなるよ
うにキーワードを付加しているが、その効果により、新しいトピックスを掲載した当該月に、直
ぐに上位となることが確認できた(例えば、2016 年 2 月掲載の「2016 年度再生可能エネルギー
固定価格買取制度(日本)」は 2 月度の第 3 位に入った)。
3) 日本語サイトで関心の高いトピックスは表 4.4.9-1 のとおりである。アクセス件数第 1 位には再
生可能エネルギーに対する発電コストの記事が入り、その内容を更新した 2015 年の最新記事
「2030 年の日本の電源構成ベストミックス案(2015 年 7 月)」も第 7 位に入った。また、2014
年の記事だが、「マレーシアのバイオマス燃料輸出(2014 年 2 月)」は毎月上位にランクインす
る記事である。このマレーシアの記事は英文サイトでも人気の高い記事である。
86
表 4.4.9-1 日本語サイト・トピックス年間上位 10 位
順位
タイトル
掲載月
年間訪問数
1
再生可能エネルギーの発電コスト試算を発表
2012年2月
3,512
2
導入が進む未利用材木質バイオマス発電
2013年6月
3,414
3
マレーシアのバイオマス燃料輸出
2014年2月
2,571
4
下水汚泥から高純度水素を製造
2012年1月
2,395
5
石炭と木質バイオマスの混焼発電が日本各地で本格化
2011年2月
2,048
6
再生可能エネルギーの発電電力量を2030年に3倍の3,000億
kWhへ(日本)
2012年12月
1,647
7
2030年の日本の電源構成ベストミックス案
2015年7月
1,595
8
微細緑藻(ボトリオコッカス)バイオ燃料の実用化が近づ
く(日本)
2011年9月
1,444
9
下水汚泥をバイオマス燃料に変換
2009年11月
1,220
2010年9月
1,201
10
海藻から高効率でバイオエタノール製造技術を開発
5) 英語サイトで関心の高いトピックスは表 4.4.9-2 のとおりで日本語サイトの上位トピックスと
は異なる結果になっている。上位 10 件のうち「Promoting Napier Grass / Biogas Power
Generation in Thailand(2014 年 5 月)」「Exports of Biomass Fuel from Malaysia(2014 年
2 月)」の 2 件は 2014 年の新しい記事であるが、他 8 件はそれ以前のバイオマス関連記事が上位
に入っている。
表 4.4.9-2 英語サイト・トピックス年間上位 10 位
順位 タイトル
掲載月
年間訪問数
1
Forest Resources in ASEAN Countries
2011年11月
942
2
Import of EFB (Empty Fruit Bunch) of Palm is Swelling
2010年1月
673
3
The Demand for Wood Pellets for Electricity will be 2.88 Million Tons in
South Korea by 2020
2012年11月
579
4
Current State of Renewable Energies in Brunei Darussalam
2013年11月
487
5
Promoting Napier Grass / Biogas Power Generation in Thailand
2014年5月
478
6
Biomass Energy Trend in Japan
2011年5月
450
7
Use of Wood Pellets in Japan
2013年9月
422
8
Felda, Malaysia’s Largest Palm Oil Company, Building Second Biomass
Power Plant
2011年6月
414
9
Indonesia Possesses Plentiful Biomass Resources
2012年9月
346
10
Exports of Biomass Fuel from Malaysia
2014年2月
281
87
4.5 東アジアサミット各国のバイオマスエネルギーに関する情報発信サイトの維持・更新
4.5.1 海外バイオマスエネルギーデータベース維持更新と情報収集
1)「東アジア諸国におけるバイオ燃料に関するデータベース」の概要
アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス(NEF)のホームページ内において運用されてい
る「東アジアバイオマス燃料データベース」(http://www.asiabiomass.jp/biofuelDB/)は、東アジア
サミット参加国(ASEAN 及び日本を含む周辺関係国)におけるバイオ燃料に関する政策・利用状況・
技術情報・市場情報等を収集・公開することにより、各国の政府関係機関・研究所等でてバイオマス
エネルギー/バイオ燃料の状況についての情報共有を図るとともに、各国間のエネルギー協力体制
の強化を図るものである。
本データベースの主な項目は下記のとおりである。

各国のバイオ燃料に関する基本情報:Country Reports

バイオ燃料利用成功事例:Good Practices of Biofuel Utolization

共同研究成果報告:Report of Reserch Findings
図 4.5.1 データベースのトップページ
本データベース(Web-site)の構築・運用は、フィリピン・エネルギー省を支援して実施しており、
平成 20 年度に Web-site の構築、平成 21 年度より Web-site の運用を開始し、平成 22 年度以降はデ
ータベース情報の充実を図っており、平成 24 年度には、各国のバイオ燃料に関わるプロジェクトに
おける成功事例に関する情報共有を図ることを目的に、「バイオ燃料利用成功事例」をデータベー
スの項目として追加し、平成 26 年度には、バイオマスエネルギー/バイオ燃料の研究・開発促進に
88
資するため、本事業で実施している「研究人材育成事業」の共同研究成果について、海外セミナー/
国内報告会等で報告された研究発表資料を、「共同研究成果報告」としてデータベースの新規項目
として追加している。
本年度は、日本のバイオ燃料に関するデータベースについて、特に緊急性・重要性のある項目を
最新の情報に更新するとともに合理化・簡素化を行った。
(1) Web-site の更新
東アジア・バイオ燃料 DB(Web-site)については、日本のバイオ燃料に関するデータベースに
ついて、下記の項目を最新の情報に更新するとともに合理化・簡素化を行った。
第 1 章 エネルギー関連基礎情報
・ エネルギー資源
1 次エネルギー供給,エネルギー需給率等
・ エネルギー需給
最終エネルギー消費,バイオ燃料が直接影響する運輸部門エネルギー消費の動向整理等
第 2 章 バイオ燃料関連政策
・ エネルギー基本政策
京都議定書採択以降の概要,東日本大震災・福島第 1 原子力発電所事故等によるエネル
ギー政策見直し,再生可能エネルギー固定価格買取制度,シェールガスの影響等
・ バイオ燃料関連政策(バイオディーゼル・バイオエタノール・藻類バイオマス)
・ 関連公文書
第 3 章 原料/バイオ燃料の供給ポテンシャルと利用状況
(2) データベースに係るワークショップの開催
“東アジア諸国におけるバイオ燃料に関するデータベース”の内容更新等に関して、各国の担
当者間で情報交換・協議を行い、データベース内容の一層の充実を図るとともに、信頼性のあるデ
ータベースの維持管理を行えるようにする。また、バイオマスエネルギーの利活用に関して、参加
国で情報交換・情報共有を行い、アジア諸国のバイオマスエネルギー協力を推進する。
上記の目的を達成するために、インドネシアにおいて「第 8 回アジア・バイオマスエネルギーワ
ークショップ-東アジア・バイオマス燃料データベース-」を開催した。詳細については、次項で述
べる。
89
4.5.2 海外ワークショップ(第8回アジア・バイオマスエネルギーワークショップ)
平成 27 年 12 月 1 日に、インドネシアで「第 2 回アジア再生可能エネルギーワークショップ(2nd
AREW)」にあわせて「第 8 回アジア・バイオマスエネルギーワークショップ-東アジア・バイオ燃
料データベース-」をフィリピンエネルギー省と共同で開催した。8 カ国(インド、インドネシア、
ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、日本)のエネルギー関連省庁等から 21 名が
参加し、バイオマスエネルギーに関する各国の状況やバイオ燃料利用に関わる好事例等の報告のほ
か、データベースの発展的活用について議論と調整を行った。また、2nd AREW ではバイオマスエネル
ギーの利活用に関して、有識者および関係者との意見交換を行った。
1)開催目的
・ “東アジア諸国におけるバイオ燃料に関するデータベース”の内容更新等に関して、各国の担当
者間で情報交換・協議を行い、データベース内容の一層の充実を図るとともに、信頼性のあるデ
ータベースの維持管理を行えるようにする。
・ バイオマスエネルギーの利活用に関して、参加国で情報交換・情報共有を行い、アジア諸国のバ
イオマスエネルギー協力を推進する。
2)開催概要
a. 主催/共催
主催:フィリピンエネルギー省(DOE)
共催:アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス(NEF/日本)
b. 日程
平成 27 年 12 月 1 日(火)
(12 月 2 日~4 日:第 2 回アジア再生可能エネルギーワークショップ(2nd AREW))
c. 場所: インドネシア(BPPT Building)
d. 参加者
・ India:
Ministry of Petroleum and Natural Gas (MoPNG)
Ms. Perin Devi
・ Indonesia: Ministry of Energy and Mineral Resources (MEMR)
Mr. Tisnaldi, Ms. Annna Ruffaida, Mr. Edi Wibowo, Mr. Iryan Permana Dharma
・ ASEAN Center for Energy (ACE)
・ Lao PDR:
Dr. Joni Jupesta
Ministry of Energy and Mines (MEM)
・ Malaysia: Malaysian Palm Oil Board (MPOB)
・ Myanmar:
Mr. Syvang Xayyavong
Mr. Wan Hasamuddin Wan Hassan
Ministry of Science and Technology (MOST)
Mr. Zaw Min Naing
・ Philippines: Department of Energy (DOE) Ms. Marissa P. Cerezo,
Ms. Ruby B. de Guzman, Mr. Joselito E. Calip, Ms. Eva Aragones
・ Thailand:Department of Alternative Energy Development and Efficiency (DEDE)
Ms. Sutharee Kiatman
・ 経産省資源エネルギー庁(省エネ・新エネ部 政策課 国際協力室) 大羽 真由
・ 新エネルギー財団 (NEF) 近藤隆彦、秋山隆、橋本雅一、伊藤純子、玉田眞二、岡部正博
90
3)プログラム
December 1: Meeting on Bio-fuel Data Base (chaired by DOE, the Philippines)
09:00 – 09:30
(30)
– Registration –
09:30 – 09:35
(5)
Welcome Address (Ms. Marissa P. Cerezo, PDOE)
09:35 – 09:40
(5)
Welcome Address (Mr. Takahiko Kondo, NEF)
09:40 – 09:50
(10)
Welcome Address & Keynote Speech (Mr. Tisnaldi, MEMR)
09:50 – 10:10
(20)
Photo Session
10:10 – 10:40
(30)
– Coffee Break –
10:40 – 11:00
(20)
Report about the ECTF etc. (PDOE)
11:00 – 11:20
(20)
Report about the present situation of the Biofuel Database
website (NEF)
11:20 – 12:00
(40)
Discussion on the Biofuel Database (PDOE, NEF)
How can we utilize the DB website effectively。
11:50 – 13:30
(100)
– Lunch Break –
13:30 – 14:40
(80)
Country Report (4×@ 20minutes/country)
14:40 – 15:00
(20)
– Coffee Break –
15:00 – 16:20
(80)
Country Report (4×@ 20minutes/country)
16:20 – 16:25
(5)
Wrap-up of the Meeting (PDOE)
16:25 – 16:30
(5)
Closing Remarks (Ms. Marissa P. Cerezo, PDOE)
4)結果概要
(1) 開会挨拶
Ms. Marissa P. Cerezo(フィリピン DOE)、近藤隆彦氏(日本 NEF 会長)による開会挨拶、
Mr. Tisnaldi(インドネシア MEMR)による基調挨拶が行われた。
(2) ECTF に関する報告(フィリピン DOE:Ms. Marissa P. Cerezo)
EAS/ECTF における輸送用等バイオ燃料(Biofuels for Transport and Other Purposes)の活
動状況および活動計画について報告された。
・ 東アジアバイオ燃料データベース
・ アジア・バイオマスエネルギー等再生可能エネルギー研究者招聘プログラム
・ ERIA との共同研究
・ 東アジアの再生可能モビリティーエネルギーのベンチマーク(最終報告書準備中)
・ 東アジアの再生可能エネルギー包蔵量調査および有効活用(提案)
・ 多様な郵送用エネルギーミックスの包蔵量調査
・ 次世代バイオ燃料の調査
・ エネルギー担体としてのバイオメタノール
成果は「EAS-ERIA Renewable Energy and Effective Energy Carriers: 2018」で報告。
(3) バイオ燃料 DB の現状に関する報告(日本 NEF:橋本雅一)
東アジアバイオ燃料 DB に関する現状・web-site の利用方法およびメンバーサイトの活用につ
いて以下の報告を行った。
91
・ DB の概要(目的,参加国,活動経緯,情報の流れ 等)
・ DB(website)の充実化に関する活動目的および活動内容
・ website の各コンテンツの紹介および利用方法
・ メンバーサイトの活用方法
・ website への訪問者のうち EAS 以外は、英、独、蘭が多い。
(4) バイオ燃料 DB の有効化・拡充化に関する議論
・ 各国のデータの統一化やデータの品質は重要だが、国毎に調査精度が異なるため困難。
・ DB へのアクセス状況の分析が必要かもしれない。
・ バイオマスエネルギーに関する政策について更新する必要がある。
・ 各国の合意があれば、午後のセッションで発表される Country Report をアップロードする案も
あると思う。
・ 各国はバイオ燃料利用好事例を積極的にアップロードする。
(5) 国別報告
① インドネシア(MEMR:Mr. Edi Wibowo) “Indonesia Biofuel Development”
・インドネシアにおけるエネルギー開発政策は、RE 利用の最大化・ガス/新エネルギー利用の最適
化・石油利用の最小化・国産資源の石炭利用・原子力利用(最終選択肢)である。
・エネルギー成長率は約 8%であり、基本的に水力・地熱で賄うが、系統外(遠隔地域)はマイク
ロ水力・太陽光・バイオマス・バイオガスの利用を進めている。
・RE のポテンシャルおよび現状は、わずか 1%の利用にとどまっている。
水力
太陽光
地熱
風力
バイオ
海洋
合計
包蔵量(GW)
75
560
29
107
34
61
866
既開発(GW)
5.25
0.07
1.44
0.00361
1.74
0.00028
8.78
開発率 (%)
7
0.013
5
0.0034
5.1
0.0005
1
・バイオ燃料(バイオディーゼル)の導入は、2006 年の B2.5 にはじまり、現在は B15、2016 年か
らは B20 が実施される。政府は国家戦略としてパーム油産業の成長を維持するため Indonesia
Estate Crop Fund (IECF)を構築している。
・2016 年の B20 実施のため、政府は下記を実施している。
・ パフォーマンステスト・テストドライブ・ロードショーの実施
・ 実施サポートのための資金融資
・ 標準品質および規制認可
・ ブレンドの質/量のモニタリング予算および検証メカニズム
・ 十分な生産能力のバイオディーゼル生産者
② インド(MoPNG:Ms. Perin Devi)
“Bio-fuels Indian Perspective & Way forward”
・インドにおけるバイオ燃料促進行動
・ 2009 年:非食用原料に焦点を当てたバイオ燃料促進政策
92
・ バイオエタノールについては、2003 年にプログラムがスタートし、現在は第 2 世代エタノ
ール(リグノセルロース)の研究・開発
・ バイオディーゼルについては、2005 年にプログラムがスタートし、現在は B5 の販売開始
・ 廃棄物由来の燃料について、パイロットプロジェクトが開始
・E10 を目標として、2014 年からはリグノセルロースからのエタノール製造を実施
・B5 を目標として、地域における原料供給に重点を置いた土地利用方針の再検討および非集中型
コミュニティーによるプログラムの策定
③ 日本(NEF:秋山隆氏)
“Country Report -Japan-”
・第 4 次エネルギー基本計画(2014 年 4 月)とバイオマスエネルギーの位置づけ・取り組みを説明
・バイオマス開発状況および 2030 年目標のエネルギーミックスとして、RE を 22~24%導入、バイオ
マスは 20%(39~49TWh/年)
・バイオマス混合燃焼発電の事例として、舞鶴発電所(関西電力)の概要説明および混焼用木材チ
ップの近隣からの調達していることを説明
④ ラオス(MEM:Mr. Syvang Xayyavong)
“Renewable Energy Status in Lao PDR”
・ラオスにおける RE 包蔵量
・水力:26,000MW(既開発:4,972MW,準備中:1,642MW,目標:11,121MW(2020 年),小水力
(15MW 以下):2,000MW
・太陽光:日射量 3.6~5.5kWh/m2(1800~2000 時間/年)(既開発:0.4MW)
・バイオマス:938MW(既開発:39.7MW)
・バイオガス:313MW(既開発:0.3MW)
・風力:182,000MW(うち適地:2,800MW):Sekong で 600MW(第 1 期:250MW)のプロジェクト
が交渉中、3 プロジェクトが現地調査中
・ラオス政府は、2020 年までに電化率 90%を目標としており、2025 年までに RE を 30%導入すること
を目標としている。
また、
2020 年までに電力輸出量を 12,000MW
(タイ;7,000MW,ベトナム;5,000MW)
とする。
・バイオ燃料開発
面積
収穫量
パーム油
アブラギリ(Vernicia Montana)
栽培面積:250+700ha
栽培面積:12,350ha
収穫面積:60ha(2015 年)
収穫面積:3,000ha(2014 年)
FFB(fresh fruit bunch):55,390kg
CPO(粗パームオイル):11,070L
150T(2014 年)
B100
10,450L
5,000L
製造能力
20,000L/day
1,000L/day
抽出工場
20T/day
2T/day
・国際協力として、特にバイオエネルギーに関する実証プロジェクトを望んでいる。
93
⑤ マレーシア(MPOB:Mr. Wan Hasamuddin Wan Hassan)”Bioenergy-Update on Biodiesel & Biogas”
・マレーシアは 2014 年、世界第 2 位の CPO(Crude Palm Oil)生産国であり、生産量は 1,967 万 ton
である。また、世界第 1 位のパーム油製品輸出国であり、パーム油・パーム核由の輸出量は 1,842
万 t で輸出額は 636.2 億リンギット(約 18,100 億円)である。
・全国におけるパーム由来のバイオディーゼルに関しては、
・ 2015 年 8 月現在、計画・建設中を含めて 57 の製造ライセンス保有事業者があり、年間 681 万
ton の製造能力がある。(うち商用:21(259 万 ton/年))
・ B5/B7 プログラムにおいては、2011 年~2014 年初めにかけて B5 が導入され、2014 年末には
B7 が導入されている。
・ B10/B20 プログラムにおいては、2013 年に B10 の暫定規格が承認され、MPOB に B10 規格に取
り組む WG が設置されている。MPOB においては、B10/B20 の路上テスト(B10:10 台・総消費
量 95,000L・総走行距離 944,000km,B20:5 台・総消費量 9,500L・総走行距離 250,000km)が
行われており、特に問題ないことが報告されている。そのほか、Alam Flora,DBKL の路上テス
トや、工業利用バイオディーゼル等の紹介がなされた。
・全国におけるパーム油工場廃液(POME:Palm Oil Mill Effluent)由来のバイオガスに関してバ
イオガス由来の発電に関する FIT 価格(2014 年 1 月)の紹介
・2015 年 8 月時点のバイオガスプロジェクトは、完成:77,工事中:12,計画:145
・完成しているバイオガスプロジェクト
Type of Biogas Capture Technology
Type of Biogas Utilization
Digester Tank
48
Covered Lagoon
29
Combined Heat & Power (CHP)
12
Electricity Generation
24
Flaring
39
Others (package boiler)
2
94
・今後、工業部門での B7/B10 の実施、輸送部門での B10 の実施、実現可能なバイオガスプロジェク
トの実施を進めていく。
⑥ ミャンマー(MOST:Dr. Zaw Min Naing) “Potential and Development of Biofuel in Myanmar”
・ ミャンマーにおける RE 導入目標は、2020 年までに 15~20%とすることである。
・ MOST は 2002 年にバイオガスプラント建設に参画するためバイオガスプロジェクトグループを組
織し、中央部において村落電化のためのコミュニティーサイズのバイオガス消化槽の建設を行っ
ている。消化槽の規模は 8~100m3 の固定式ドーム型で、5~25kW の発電能力をもち、190 の村落に
おいて 1 日 4 時間の電力供給を行っている。
・ ミャンマーにおけるバイオディーゼルの原料は、主としてジャトロファと粗パーム油である。政
府は、2015 年までに 280 万 ha でジャトロファを栽培し、260 万 m3 のディーゼルを製造し、B5~B20
に置き換える計画を持っているが、この目標はジャトロファの低い生産量では困難と思われる。
・ 現在、廃食油由来のバイオディーゼル製造の研究が進められているが、廃食油の収集・高コスト・
高機能の危機不足等が課題である。
⑦ フィリピン(DOE:Mr. Joselito E. Calip)
“Biofuels Outlook and Policy Updates in the Philippines”
・共和国法 9367 号は、フィリピンにおいてバイオ燃料の利用を義務付けたバイオ燃料法(2006 年)
として知られている。バイオ燃料法におけるインセンティブは次の通りである。
・ バイオ燃料にかかる税は“0”
・ バイオ燃料の生産に使用される原料の販売の付加価値税(VAT)の免除
・ フィリピンの水質汚染防止法の下でバイオ燃料の生産からの排水の排水料免除
・ DOE により認定された、石油との混合を含むバイオ燃料とバイオ燃料原料の製造・貯蔵・出荷・
輸送に従事する事業体に対して、政府金融機関(GFIS)からの優先度が高い
・2013 年~2030 年のバイオ燃料目標
2013~2015 年
:B2-B5
E10
~2016 年
:B5
E10
~2020 年
:B10
E20
~2025 年
:B20
E20
~2030 年
:B20
E20/E85
・バイオディーゼル・バイオエタノールの需要/供給展望(2016~2030 年)(unit:million liters)
Biodiesel
Bioethanol
Demand
Blend
Supply
Demand
Blend
Supply
2016
7,176.41
5%
359
3,818.61
10%
3,812
2020
7,923.37
10%
792
4,328.87
20%
866
2025
8,693.73
20%
1,739
4,712.28
20%
942
2030
9,030.68
20%
1,806
5,084.05
20%/85%
1,017
95
・バイオディーゼルの研究・開発:ココナッツ・ジャトロファ・廃食油・微細藻類
・バイオエタノールの研究・開発:サトウキビ・スウィ−トソルガム・リグノセルロース・微細藻類
・バイオ燃料の課題
:E10 義務量に合致したバイオエタノールの国内生産
:バイオディーゼル・バイオエタノールの製造コスト
:商業化可能な第 2、3 世代 BDF・バイオエタノール製造技術、コスト
⑧ タイ(DEDE:Ms. Sutharee Kiatman)
“Biofuel Status and Policy”
・タイの国家エネルギー政策においては、代替エネルギー開発計画(2015~2036 年)で総エネルギー
消費の 30%を RE で賄うことがうたわれている。(電力:20%、熱:35%、燃料:25%)
・バイオエタノールの主原料はサトウキビとキャッサバ。現在 22 の施設で 4.965ML/day を製造。
・ULG91(オクタン価 91)は 2013 年 1 月で廃止。それ以降は ULG95(オクタン価 95)。現在は E10・
E20・E85 が導入されており、エタノール消費量の目標は、2026 年では 7ML/day、2036 年では
11.3ML/day。
・バイオディーゼルの主原料はパーム油。現在 12 のプラントにおいて 4.93ML/day を製造。
・2011 年 5 月から B3-B5 が、2012 年 1 月から B5 が、2014 年 1 月から B7 が各々義務化。2026 年は
5ML/day、2036 年は 14ML/day。
・バイオディーゼル導入を促進するために、2016 年 1 月からは B10 エコカー減税もスタート。
・STREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)で進められている H-FAME(higher
blending of biodiesel)技術開発を紹介。
バイオディーゼル消費目標
バイオエタノール消費目標
5)Ms. Marissa P. Cerezo (DOE) 閉会挨拶と出席者への修了証書が授与された。
96
ワークショップ参加者
97
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