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1995年版[PDF:734KB]

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1995年版[PDF:734KB]
1995年版 地球環境年報
地球を考える、
エネルギーを考える。
はじめに
中部電力は、
93年1月、地球環境問題に対する基本理念と行動計画を示した
「地球環境6題∼自律と協調」
を策定・発表しました。
この
「地球環境6題」
では、
「企業本来の活動について自らを律すること
(自律)
」
と
「社会の多様な側面と協調すること
(協調)
」
を2つの大きなテーマとしたうえで、
それぞれのテーマを3つの
「題」
に展開し、合計6つの基本理念を掲げました。
さら
に、
これらの基本理念を実現するため70からなる行動目標を設定しました。
そしてこれらの目標達成に向けた環境対策の推進状況を広く皆さまにお知ら
せするとともに、
ご理解を深めていただくために、
「中部電力地球環境年報―地
球を考える、エネルギーを考える」
を作成し、発表しています。
本書はその2回目として、
この1年間の活動とその成果について皆さまにご紹
介するものです。
現在、電気事業は規制緩和という時代の流れの只中にあります。競争原理の
導入や、
そのための自己責任体制の強化など、電気事業の基本的な仕組みにつ
いて見直しが行われています。
これに対応して当社は、
「お客さま利益の増進」
を
基本に、
コストダウンの徹底をはじめ経営の一層の効率化に全力をあげて取り組
んでいます。
このような状況においても、地球環境問題は、将来にわたる重要な課題である
ことに変わりはありません。
したがって、当社が生産や生活に不可欠な電力の供
給を担ううえで、
コストダウンと環境対策とをいかに両立させていくかが問われて
います。
さらに94年12月には、環境基本法に基づく
「環境基本計画」
が策定され、環境
に関する国の基本方針として
「循環」
「共生」
「参加」
「国際的取組」
を目標とする
諸施策を展開することとされ、企業の自主的な環境対策活動への期待が一層高
まってきました。
こうした時代の流れを受け、中部電力がどのような課題にいかなるチャレンジ
をしているのか、本書を通じてご理解いただければと考えています。
そして当社
の事業活動に対して、皆さまから率直なご意見、
ご助言をたまわることができれ
ば幸いです。
1995年6月
中部電力株式会社
1
地球環境6題――自律と協調
(9 3
年1月 策 定 )
3年
理念と行動計画
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
第1部
自らを律する
生産活動のための3題
第2部
社会と協調して
地球を守るための3題
第1題 無駄のない生産
第4題 お客さまとの協調
資源を無駄なく
電気に換える
豊かな省エネルギーを
お客さまとともに進める
成長と環境という、一見相反するこの2つの課題を同時に
企業と社会とのかかわりの基本は、お客さまとのかかわり
解決するために、企業はより少ない資源でより大きな効用を
である。電気事業者は、電気というエネルギーをお客さまにお
生み出すような生産・流通のラインを自律的に確立せねばな
届けしており、電気の使い方をお客さまとともに考え、地球環
らない。電気事業を営む当社は、発電、送変電、配電等、電気
境問題に取り組んでいく責務がある。豊かさを失することなく
を作りお客さまにお届けするまでのすべての過程における無
エネルギーを効率利用できる
「豊かな省エネルギー」
をお客
駄を省き、エネルギー効率の向上に努める。
さまとともに進めていく。
第2題 自然を損なわない生産
第5題 市民との協調
自然界の機能を損なうことなく開発し、
返却する
環境調和型社会を
市民とともに築く
自然資源を開発し、廃棄物等を排出することは、生産を継
現代を生きる企業は、良き企業市民としての高い倫理観を
続するうえで避けることのできない過程である。企業は、自然
持って、真に豊かな社会を創造するための活動に参加して
機能を損なわない資源開発や、廃棄物等の抑制に努めるこ
いくべきである。
この観点から、社内、社外を問わず、環境に
とはもちろん、やむをえず生じた廃棄物等については、環境
調和した企業行動を実践し、市民とともに地球環境問題の
に大きな負担をかけることなく自然に返していくことが必要
解決に向けて取り組んでいく。
である。一次エネルギーを大量に使用する電気事業者は、
と
りわけ細心の注意を払い、自然のサイクルとうまく同調する方
第6題 世界との協調
法で、資源の開発、廃棄物等の抑制・処理を図る。
先進技術・情報を
世界の国々と共有する
第3題 潜在資源を活用する生産
地球環境問題は、文字通り地球レベルでの取り組みがな
埋もれた資源を開拓し、
新しいものの流れを創る
ければ解決できない問題である。高い技術と経済力を持つ
自然やわれわれの周辺には、従来われわれが使用してこ
わなければならない。先進国日本の一企業として、
そして、先
なかった資源が潜在している。
これらの潜在資源を企業の生
進国日本の電気事業者として、エネルギー効率利用に関す
産サイクルに取り入れ、環境への負担なき再生産を続ける途
る技術、環境保全に関する先端技術を積極的に世界に発信
を企業自ら開拓しなければならない。電気事業においては、
する。
さらに、世界各国との交流を通じ、地球規模での技術・
発電・流通過程から生じる副生物等を最大限に利用するとと
情報の共有化を図る。
もに、自然・未利用エネルギーを活用したエネルギー供給基
盤の確立を目指す。
2
日本は、自ら世界の国々の先頭に立ち、
この問題に立ち向か
環境対策の推進体制
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
当社は、複雑多岐にわたる地球環境問題への円滑な対応
この体制のもとで、公害防止を基本とする従来からの活動
を図るため、
90年4月に
「地球環境対策推進会議」
を設置、
さ
を一層充実しつつ、
「地球環境6題」
に掲げる技術力の強化、
らに93年4月には各部署の責任者として
「地球環境対策推
情報公開の推進、環境対策推進状況の確実なチェック、中部
進員」
を全社に配置し、新たな環境管理体制を構築しまし
電力グループ総合力の発揮など、全社をあげて積極的な活
た。
動を展開しています。
ご意見
社 長
中部電力環境懇話会
社外の有識者で構成
方針策定
地球環境対策推進会議
本店組織 環境部
企画室
各室・部
技術開発本部
浜岡原子力
総合事務所
地球環境対策総括部署
地球環境対策
技術開発特別チーム
計画・実施・教育
中間管理組織 火力センター
支店
第一線組織 営業所
点検 電力センター
火力発電所
LNGセンター
原子力発電所
考査室
地球環境対策推進員設置部署
3
目次
はじめに
地球環境6題∼自律と協調
Ⅰ 94年度活動の回顧
1 地球環境問題を巡る情勢
1
2
5
6
●環境基本計画の策定
●環境基本条例の制定
●環境管理・監査システムの国際標準化
●気候変動に関する国際連合枠組条約・第1回締約国会議の開催
2 94年度当社活動の特徴
7
●トピックス
●代表的環境指標(CO2、SOx、NOx、環境関係の費用・設備投資額)
3 活動の評価
社内監査
社外の方々のご意見
11
11
12
●中部電力環境懇話会での主なご意見
●中部電力モニターアンケート結果
4 新たなチャレンジに向けて
16
●国の「環境基本計画」に沿った取り組み
●地球環境対策と電気料金
●94年版年報の「新たな課題」への取り組み状況
Ⅱ 目標別の環境対策推進状況
第1題 無駄のない生産
第2題 自然を損なわない生産
第3題 潜在資源を活用する生産
第4題 お客さまとの協調
第5題 市民との協調
第6題 世界との協調
Ⅲ 資料編
1 環境指標
2 電気事業法改正の概要
3 環境年表
4 パンフレット等環境関連刊行物
5 中部電力環境懇話会委員の方々
4
21
22
32
39
44
48
56
59
60
65
66
69
70
Ⅰ
94年度
活動の回顧
5
●環境基本計画の策定
環境基本法に基づき、国の環境基本計画が94年12月16日に閣議決定
1
地球環境問題を
巡る情勢
されました。
環境基本計画は、すべての主体
(国、地方公共団体、事業者、国民等社
会の構成員)
が共通の認識の下に、
それぞれ協力して環境の保全に取り
組んでいくため、21世紀半ばを展望した環境政策の基本的考えと長期的
な目標を示すとともに、21世紀初頭までの施策の方向性を明らかにした
ものです。
本計画は環境政策の長期的な目標として、
●循環:環境への負荷をできる限り少なくし、循環を基調とする経済社会
システムを実現する
●共生:健全な生態系を維持・回復し、自然と人間との共生を確保する
●参加:あらゆる主体が公平な役割分担の下に、環境保全に関する行動
に参加する社会を実現する
●国際的取組:あらゆる主体が積極的に行動し、国際的取組を推進する
の4項目を掲げ、
これらの目標の実現に向けて、
それぞれの目標ごとに基本
的な方向と個別の施策を示しています。
●環境基本条例の制定
環境基本法、環境基本計画の趣旨を踏まえ、地域の特性に応じた環境
保全施策の推進を目指して、地方自治体において環境基本条例の制定
が進められています。
当社営業エリア内では、
94年度末現在、愛知県、岐阜県、三重県等の
自治体において制定されています。
●環境管理・監査システムの国際標準化
93年から国際標準化機構
(I
SO)
で検討が進められている国際環境規
格の内、環境管理・監査システムについての規格案ができました。環境管
理システムとは、企業が環境に関する方針・体制等を定め、
それを実行し
ていくためのシステムであり、環境監査とは、企業の自主的な環境保全活
動
(環境管理システムの構築・運営)
が有効に機能しているかどうかを点
検するものです。今後、
この規格案に対する各国の投票を経て、早ければ
96年にも国際規格として制定される見込みです。
また、国内においてもこれを受けてJ
I
Sとして標準化される見通しです。
その他の国際環境規格についても、順次策定作業が行われていますが、
わが国においては、
(財)
日本規格協会を中心に検討が進められています。
6
●気候変動に関する国際連合枠組条約・第1回締約国会議の開催
大気中の温室効果ガス濃度の安定化を達成することを目的に、
94年3
月、
「気候変動に関する国際連合枠組条約」
が発効し、わが国を含む先進
15カ国は、同年9月までに同条約に基づく国別報告書を提出しました。
これらを受けて、同条約の第1回締約国会議が95年3月28日から4月7
日までドイツのベルリンにおいて開催されました。
本会議には日本をはじめ170カ国の代表と国際機関やNGO
(非政府機
関)
が参加し、現在の条約の妥当性等について議論が行われました。
その結果、
2000年以降の取り組みについては、第3回締約国会議を目
指して検討することで合意され、
その検討課題・手順を定めた
「ベルリン・
マンデート」
が採択されました。
トピックス
2
94年度
当社活動の特徴
(詳細については、
「 II目標別の環境対策推進状況」
をご参照ください)
●奥美濃水力発電所1∼4号機の営業運転開始
(第1題・第5題関連)
85年3月に着工した奥美濃水力発電所1・2号機
(出力25万kW×2)
が
94年7月、
3・4号機
(出力25万kW×2)
が95年3月にそれぞれ営業運転を
開始しました。
これにより水力発電設備の構成比率は22%
(95年3月末現
在)
となりました。
奥美濃水力発電所は、完成時の出力が150万kW(1∼6号機合計)
とわ
が国最大の揚水発電所となる予定です。設計・建設にあたっては、できる
だけ自然環境に影響を与えないようにするため、発電所や変電設備を地
下式としました。
7
2
94年度
当社活動の特徴
●奥美濃第二水力発電所および
上越火力発電所の新設申し入れ
(第1題関連)
当社は94年12月、岐阜県板取村へ奥美濃第二水力発電所の開発申
し入れを行いました。
奥美濃第二水力発電所は完成時の出力13
0万kW
(3
2.5万kW×4)
で、
奥美濃水力発電所と同じく揚水式の発電所となります。
また95年3月、当社は東北電力
(株)
と共同で、新潟県、上越市および関
係2漁協へ上越火力発電所新設の申し入れを行いました。
上越火力発電所は、
LNG
(液化天然ガス)
を燃料とし、発電効率の高い
ガスタービン・蒸気タービン複合
(コンバインドサイクル)
発電方式を採用、
完成時の出力は397万kW
(1∼3号系列合計)
となる予定です。
●突発型大地震発生時の対応(第2題関連)
95年1月に発生した阪神・淡路大地震では、当社も関西電力の電力設
備の復旧活動を支援しました。
当社では、東海地震をはじめ各種災害での電力設備の被害を最小限
にとどめるとともに、早期に復旧するための対策について万全を期してお
ります。
今回の大地震は、都市を襲った突発型かつ直下型という特徴があり、
これに対しても基本的には対策済みと考えておりますが、
ここでの教訓を
活かし初動体制、衛星通信の導入など各種対策について検討を加えて
おります。
なお、当社の原子力発電所は、想定されるいかなる地震に対しても耐
えられるものとなっており、安全性は十分確保されています。
●電子ビーム照射式脱硫・脱硝技術
(第2題関連)
当社は電子ビーム照射式脱硫・脱硝装置パイロットプラントの実証試験
(92∼93年度実施)
結果を分析し、
(財)環境調査センター等が主催する
「環境賞」
に応募し、
“優良賞”
を受賞しました。
●エネルギー・環境実験棟の完成
(第2題・第3題関連)
次世代のエネルギー開発と地球規模の環境問題に挑戦する技術研究
の拠点として、
94年10月、当社技術研究所内に、
「エネルギー・環境実験
棟」
を新設しました。
本実験棟では、今後、新エネルギーの中でも将来を期待されているも
のの1つである
「燃料電池の開発研究」
と、地球温暖化への対策として、
を
「火力発電所排ガスからのCO2分離回収・処理・利用技術の開発研究」
推進していきます。
8
●氷蓄熱式ビル用マルチエアコンの開発
(第4題関連)
当社は、
95年1月、東京電力
(株)
、関西電力
(株)
およびダイ
氷蓄熱利用
キン工業
(株)
と共同で、夏季昼間の電力消費ピーク時におけ
冷房能力
100%
る消費電力を約40%低減できる
「氷蓄熱式ビル用マルチエア
設備容量
約60%
製氷運転
コン」
を開発しました。
このエアコンは、割安な夜間電力で蓄熱運転を行い、氷とし
22時
夜間
蓄熱式運転パターン
8時
昼間
て蓄えた熱を昼間の冷房運転に使用することで、電気の効率
的、経済的な利用を図ることができるものです。
●「低圧蓄熱調整契約」
と
「氷蓄熱システム普及促進助成制度」
の創設(第4題関連)
氷蓄熱式ビル用マルチエアコンが商品化されたことを受けて、低圧
(200V)受電の中小規模のビルでもこれをご利用いただけるよう、
「低圧
蓄熱調整契約」
を新たに設定することとし、
95年3月、通産大臣より認可を
受け、
4月から導入しました。
また、設備導入の初期投資削減のため、
「氷蓄熱システム普及促進助
成制度」
を創設し、奨励金により普及促進を図ることとしました。
●川越火力発電所コミュニティ施設の建設計画を公表(第5題関連)
地域の皆さまに親しまれる発電所づくりを目指し、
94年12月、川越火力
発電所構内に憩いの場としてのコミュニティ施設を建設する計画を公表
しました。
当計画では、
97年12月までに、川越火力発電所の敷地のうち約12万m2
に、電力館、運動施設、散策路を設けた緑地、釣り桟橋等を順次設置する
予定です。
●日米欧電力首脳会議の開催
(第6題関連)
94年11月、日本・米国・欧州の電力会社経営トップが定期的に会合す
る
「日米欧電力首脳会議」
が名古屋で開催されました。環境問題に関して
は、
「温室効果ガス排出量削減にあたり、共同実施という形での国際協力
が不可欠である」
こと、
「電磁界
(E
MF)
については、人間の健康と
の間に有意な関連性は認められ
ないものの、関連する研究を積極
的に支援していく」
ことを共同声
明として発表しました。
9
●CO2排出状況
代表的環境指標
(単位g-C/kWh)
92年度
93年度
94年度
118
109
117
排出量
長期的傾向としては、CO 2、SOx、NOx
94年度の発受電電力量1kWh当たりのCO2排出量は、
92年度よりは減少し
の1kWh当たりの排出量は、原子力発電の
ましたが、
93年度に比べれば8
g-C/kWh増加しました。
これは、
CO2排出量に影
推進と環境対策の強化等により、
いずれも
減少してきております。
響を与える発受電電力量に占める火力発電電力量の割合が、
9
3年度は浜岡原
最近の排出状況は右のとおりです。
子力発電所4号機の運転開始に加え冷夏の影響によって減少したのに対し
(資料編1参照)
て、
94年度には猛暑と異常渇水※によって増加したことが要因となっています。
※渇水の影響…水力発電量が減少するため、
それを補うための火力発電量が増加します。
原子力発電による
CO2削減効果の試算例
●SOx排出状況
128
(単位g/kWh)
92年度
93年度
94年度
0.12
0.09
0.11
排出量
122
118
117
94年度の発電電力量1kWh当たりのSOx排出量は、
92年度よりは
109
100g-C/kWh
減少しましたが、
93年度に比べれば0.02
g/ kWh増加しました。
これは、発
電電力量に占める火力発電電力量の割合が、
9
3年度は浜岡原子力発電
所4号機の運転開始に加え冷夏の影響によって減少したのに対して、
94年
0
92
93
94年度
浜岡原子力発電所4号機による発電電力量を
火力発電で補った場合のCO2排出量の増加分
CO2排出量(実績値)
度には猛暑と異常渇水によって増加したことが要因となっています。
●NOx排出状況
排出量
(単位g/kWh)
92年度
93年度
94年度
0.14
0.12
0.13
94年度の発電電力量1kWh当たりのNOx排出量は、
92年度よりは減
少しましたが、
93年度に比べ0.01g/kWh増加しました。
これは94年度も
知多火力発電所等の排煙脱硝装置を増強し、前年に引き続きNOx排出
量削減を図ったものの、結果的にSOxの場合と同様の要因によってNOx
排出量が増大したためです。
●環境関係の費用・設備投資額
当社の地球環境対策は極めて広範囲にわたっておりますが、下記の表は
そのうち比較的重要なものについて、
費用、
投資額の別に集計したものです。
(単位 億円 %)
94年度
92年度
93年度
費用
1,690 (8.6)
1,918 (9.8)
1,
959(9.6) 投資額
1,048(15.6)
1,121(15.6)
884
(12.7) (注)
カッコ内は、費用については売上高に対する比率、設備投資額については、投資額全体
(原子燃料を除く)
に
占める割合
94年度の環境関係の費用は93年度に比べて41億円増えており、増加
傾向にあります。
これは、地中電線類の維持費等の増加によるもので
す。
また投資額は237億円減少しましたが、排煙脱硫・脱硝装置等、大気
汚染防止設備の新規設置がなかったことが主な原因です。
10
(1)
社内監査
3
活動の評価
当社の社内監査組織である考査室は、地球環境考査を内部監査の重
点項目に位置付け、活動の推進状況をチェックしています。
●社内監査の方法
考査室の専門考査員が、毎年1回当社の各事業場等を訪れ、聞き取り
調査を中心に各種調査を実施しています。
調査内容は、当社環境指針である
「地球環境6題」
(P2参照)
にのっとっ
た業務運営がなされているかどうかに重点を置いて、
●各部署は適正に環境対策業務を遂行しているか
●各部署は厳格に目標を管理しているか
●地球環境対策推進のための組織、体制は効果的に機能しているか
などの観点から活動実態の把握を行います。
社内監査結果は、考査室長から直接社長に報告され、各部門は指摘さ
れた検討課題や改善すべき事項の解決に向けた具体的な行動を実施し
ます。
●94年度社内監査の結果
94年度は29事業場、
185部署を考査対象とし、推進体制の確認、情報
公開の実施状況、第3題「潜在資源を活用する生産」
および第5題「市民
との協調」
に関する諸調査を実施しました。
その結果について概要をまと
めると以下のとおりです。
良好な調査結果を得たもの
●情報公開の実施状況に関して
「94年版地球環境年報」
による情報公開は、社外からおおむね好評を
得た。
●第3題「潜在資源を活用する生産」
に関して
石炭灰、重原油灰、建設廃材等の副生物・廃材の再利用については、
関係他企業との連繋も進んでおり、
その成果が着実に上がってきている。
余剰電力の購入については、問い合わせ件数も増加しており、営業所
等での迅速・的確な対応ができるよう体制を整備しつつある。
●第5題「市民との協調」
に関して
省資源・リサイクル活動に関しては、
全社をあげて古紙、
アルミ缶等の回収
に取り組んでいる。
また公共交通機関の利用の推奨も、
全社的にその趣旨が
理解されており、私有車通勤は山間へき地等、地理上やむをえないところの
11
みであった。
3
活動の評価
景観対策については、周辺環境にマッチした緑化工事、主要建物や鉄
塔の色彩の工夫等、周辺環境に配慮した施設づくりを実施していた。
改善が必要なもの
●推進体制の確認に関して
各部門・事業場に配備された
「地球環境対策推進員」
の活動について
は、すでに前年度から指摘されているが、未だ十分活性化していない面
も見られた。
●情報公開の実施状況に関して
「94年版地球環境年報」
について、社内における従業員への説明は十
分とはいえないところもあった。
(2)
社外の方々のご意見
当社は、環境施策全般についてのご意見をうけたまわるため、社外の
有識者からなる
「中部電力環境懇話会」
を設けており、
94年度には2回の
会合を開催しました。
また、社外 2,
000名の方々を対象に定期的にアン
ケートを実施する
「中部電力モニター」
制度を活用し、環境問題に関して
もご回答をいただきました。
●中部電力環境懇話会での主なご意見
●電源のベストミックスと原子力について
●気候変動に関する枠組条約ではCO2などの温暖化ガスの排出量を90
年レベルに抑えることになっており、現状の電源開発計画
では原子力がもう少し増えないことには目標は達成でき
ない。
●原子力発電が地球環境問題解決のために非常に有効
な手段であるという認識が、
あまりにも稀薄である。原子力
発電が、自然を損なわない発電方法であるという点をもっ
とアピールしてPRすべきである。
第4回 中部電力環境懇話会
●市民との協調について
●地球環境は、一つは生活環境でもあるので、
まず自分たちの地域環境
12
の問題から解決していく必要がある。例えばゴミ処理問題を
学ぶ中で、自分達の生活に対する正確な反省も出てくる。
1
億の国民一人ひとりが生活し、
そこからの反省を通して学ば
なければ、環境問題の解決は非常に難しい。
●環境問題を一般論として論じるのではなく、生活環境や
地域環境等、地域の個性という視点をもっと重視すべきであ
る。地球環境対策推進員の活動が低調であるとされている
が、
これはある面では取り組むべき問題が非常に広いため
碧南火力発電所施設見学
(第4回 中部電力環境懇話会)
に対処が難しくなっているのではないか。
●省エネルギーについての社会システムの構築が重要である。県や市で
も地球環境問題に取り組んでおり、中部電力はそれらと協力して積極的
にシステム作りに取り組んでいくべきである。
●環境問題と国民の意識について
●環境問題に対して、国民の意識と企業側の努力との溝があまりにも大
きく、
もっと国民の意識を高めていく必要がある。
●地球温暖化問題については、非常に息の長い課題だという感がある。
これは結局私達一人ひとりの意識を革命的に変えて、対応していかなく
てはいけない問題である。
●その他
●国際環境技術移転研究センター
(ICETT)では、海外から年間百数十
名の研修生を受け入れており、中部電力の発電所で研修してもらう機会
が多い。彼らの意見を聞くと、自分の国と比べて非常にレベルの差が大き
いと、驚いて帰っていく。環境対策をほとんどやっていないところがいっ
ぱいある。
そういったところとのレベルのギャップをどう埋めていくかが今
後の問題である。
●この年報についての主なご意見
本書について、第5回環境懇話会においてご意見をいただきました。
●本書全般に関して
●環境監査の国際標準化が話題となっている中で、中部電力の社内監
査
(P11)
は、非常によい先行事例である。
これに、①環境に関する目標の
伝達、②環境に関する社員教育、③社内からの建設的な意見の目標への
反映、
といった観点も付け加えてはどうか。
13
3
活動の評価
●環境問題解決に向けては、
さまざまな手段によって、一般の人を啓蒙
し、情報を提供していく必要がある。
そのためには環境年報は分かりやす
いものでなければならない。
ゴミのリサイクルなど身近な話題から取り上げ
ていくことが大切である。
●電気自動車普及の必要性をもっと強調してはどうか。中部電力の社有
車も電気自動車化を進め、
PR効果をあげていくべき。
●
「お客さまとの協調」
においては、環境全般の問題を呼び掛けてはどう
か。例えば、電気自動車には、愛知県にも
「エコ・カー」
というプランが出さ
れているが、電力会社であればエネルギー全般にわたる課題として普及
を働きかけられるのではないか。
●当社の今後の活動についてのご示唆
●国の
「環境基本計画」
においては、事業者も市民もそれぞれの役割に
応じた取り組みが必要とされているが、供給者側が大変苦労して作って
も、消費者側はむだに使っているところが多い。
「お客さまとの協調」
とい
う理念があるのだから、
どうすれば電気を効率的に利用できるかという情
報をもっと提供してはどうか。
●新たな電力調達先となる小規模な発電設備では、電力会社と比べて
排煙処理が不十分なところが多いのではないか。電気事業への競争原
理の導入が、必ずしも環境問題解決のためにプラスとなるとは限らないこ
とを、一般の方に認識していただくべきである。
●環境問題を解決するひとつの手段として、政府による助成措置も有効
に活用されるべきである。
●最近は、家計に占める電気料金の割合が減少し、料金の負担感が少な
い。
そうであれば、円高差益は、消費者に還元するよりも、植樹など環境対
策に使ってはどうか。
●世論調査によると原子力発電を支持する方は約40%であるが、
「代替
エネルギーがないため」
など消極的な支持理由が多いことが気になる。
こ
れを踏まえ、原子力の地震対策については、雄大な自然に対する謙虚な
気持ちを持って対応をしてほしい。
●地球環境6題の
「市民との協調」
に関連して、星空がみえなくなり美しい
夜景がなくなる
「光害」の問題がある。
これは、
「過剰な電力消費によって
エネルギーが無駄遣いされる」
ことであり、照明を工夫するなどによって、
環境にやさしい街づくりの取り組みが今後必要と思う。
ご指摘いただいた事項については、今後の課題として、できるものから経
営施策に反映してまいります。
14
●中部電力モニターアンケート結果
当社では日頃の事業活動や広報施策などに関して、
お客さまからご感想
やご意見を承ることを目的に
「中部電力モニター」
制度を導入しています。
モニターは2
0歳以上の男女計2,
0
0
0名を公募し、
アンケート等を通じて当
社へのご意見・ご質問などを承っています。
94年度も環境問題に関する設問を設定し、
ご回答いただきました。
地球環境問題に対して中部電力が優先して行うべき対策は?
0
① 火力発電所の環境対策(SOX、NOX)を今以上に推進する
② 炭酸ガスの発生しない水力・原子力発電をもっと開発する
③ 炭酸ガスを処理する技術研究をもっとすすめる
④ 発電所などの環境対策以外に、緑化・植樹等を積極的に実施する
⑤ 太陽光・風力発電などクリーンなエネルギーを積極的に開発する
⑥ キャンペーンを通じ省エネルギーを広く住民に呼びかける
⑦ 電気の使用量の少ない効率的な機器を開発する
⑧ リサイクル活動を推進する
⑨ 開発途上国の環境対策に対し、積極的に協力する
⑩ その他
⑪ 無回答 10
20
30
40
50
60
70
80
90%
29.5%
42.5%
28.5%
24.0%
78.9%
20.8%
31.1%
17.4%
17.8%
1.3%
0.4%
「太陽光、風力発電などクリーンなエネルギーを積極的に開発する」
を挙げられた方が最も多く
(79%)
、次いで「炭酸ガスの発生しない水力、原子力発電をもっと開発する」
(43%)でした。
地球環境問題やエネルギー問題へ良い効果がもたらされるライフ
スタイルのなかで、受け入れられるもの・受け入れられないものは?
積極的に受け入れる
① 夜はなるべく早く寝る、朝早く起きる
なるべく心がける・協力する
62.0%
27.9%
② お風呂はなるべく家族で続けて入る
48.4%
⑤ 環境に配慮した商品を利用する
47.6%
53.0%
⑩ 夏期休暇を分散して取得する
⑪ 夏はネクタイや上着を着ない
⑫ 夏にオフィスなどで男性がネクタイや
上着を着ていなくても気にしない
76.4%
6.1%
51.0%
9.6%
50.4%
26.2%
23.0%
50.6%
32.8%
70.1%
11.2%
23.0%
0.5%
0.5%
15.1%
34.7%
52.9%
0.5%
1.5%
0.5%
21.7%
38.9%
0.5%
0.8%
0.5%
41.8%
40.4%
⑦ 家を新・改築する時は断熱材を利用する
0.7%
14.7%
56.9%
⑥ 電力消費の少ない電気製品を
多少高価でも利用する
⑨ 長期休暇等でレジャーに行く場合は、
公共交通機関を利用する
25.4%
37.2%
0.4%
3.2%
0.4%
40.4%
25.5%
④ エアコンは一室にして家族が集まる
無回答
9.7%
55.9%
③ 親世帯、子供世帯が二世帯同居をする
⑧ 日常生活の中での短距離の移動は、
自動車の利用を控える
受け入れられない
6.0%
1.4%
1.2%
0.9%
「積極的に受け入れる」
とお答えの方が最も多かったのは
「家を新・改築するときは断熱材を利用
する」
(76%)で、次いで「夏にオフィスなどで男性がネクタイや上着を着ていなくても気にしない」
(70%)
、
「環境に配慮した商品を利用する」
(57%)
となっています。
一方「受け入れられない」
とお答えの方が多かったのは、
「親世帯、子世帯が二世帯同居をする」
(25%)
、
「長期休暇等でレジャーに行く場合は、公共交通機関を利用する」
(23%)でした。
15
94年度において、地球環境問題に関連したいくつかの話題が新たに
4
新たな
チャレンジに向けて
登場してきました。
ここでは、
それらの主要なものについて、要点と当社の
取り組み姿勢をご紹介します。
国の「環境基本計画」
に沿った取り組み
94年12月、長期的、総合的な環境行政全体のあり方を明らかにする
「環
境基本計画」
が策定されました。当計画では、わが国社会を環境への負
荷の少ない持続的発展が可能な社会に変えていくとともに、グローバル・
パートナーシップの下で、国際的な取り組みをさらに進めることを目指して
います。
●当社にとっては、公平な役割分担の下での
「参加」がポイント
当計画のポイントは、国が進めていく環境行政に、事業者や国民にもそ
れぞれの立場に応じた公平な役割分担の下で、自主的な
「参加」
が求め
られていることにあります。各企業は再生資源の利用、廃棄物の減量、環
境管理の自主的な推進等、
さまざまな形で当計画に関与していくこととな
ります。
とくに、
「エネルギーの供給・消費」
については、エネルギー転換効率の
向上や原子力の開発利用といった供給者側の役割のみではなく、省エネ
型設備の活用等の消費者側の役割も含め、総合的な環境への負荷を低
減する方策を展開することとしています。
●これからも社会と協調して環境対策を進めてまいります
当社としては、環境に関する基本方針
「地球環境6題」
に基づいてすで
に自主的な活動を展開していますが、国の
「環境基本計画」
が策定された
ことで他の実施主体との相乗的な効果が期待できるため、国や自治体、
あるいは他企業の行う活動との連携を図るなど、
「社会との協調」
を重視
した環境対策を進めてまいります。
とくに、各地方自治体による環境基本条例等の制定に関しては、当社
としても建設的な意見の表明に努めています。
16
地球環境対策と電気料金
●世界最高水準の環境対策を行っています
当社をはじめわが国の電力会社は地域に密着した企業として、常に地
域の景観を含む環境問題への対応を経営の最重要課題として取り組ん
でまいりました。
その結果、大気汚染などの公害問題への対策は、世界最
高の水準に達するまでになりました。
発電電力量1kWh当たりのSOx排出量の各国比較
0
4
8
発電電力量1kWh当たりのNOx排出量の各国比較
0
12g/kWh
アメリカ(91年)
アメリカ(91年)
ドイツ(90年)
ドイツ(90年)
イギリス(91年)
イギリス(91年)
フランス(91年)
フランス(91年)
カナダ(90年)
カナダ(90年)
イタリア(89年)
イタリア(89年)
6ヶ国平均※
6ヶ国平均※
日本(89年)
火力発電所の平均
全発電所の平均
日本(89年)
1
2
3g/kWh
火力発電所の平均
全発電所の平均
※(アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス・カナダ・イタリア)
※(アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス・カナダ・イタリア)
出典:OECD Environmental Data Compendium 1993 および
Energy Balances of OECD Countries 1989-90,1990-91より試算
出典:OECD Environmental Data Compendium 1993 および
Energy Balances of OECD Countries 1989-90,1990-91より試算
●環境対策のコストダウン努力を続けてまいります
当社においては、電線の地中化等も含めた環境対策の総コストは、電
気料金収入の10%近くを占めるまでになってきています。
(P10参照)
電気事業法が改正され、新規事業者との競争が予想される中で、当社
も経営全般にわたる一層の効率化を進めています。環境対策について
も、
これまで以上にコストダウンを徹底しつつ、
「環境とコストの両立」
に努
めてまいります。
排煙脱硫・脱硝設備に係る環境投資比較
電気事業審議会
(通産大臣の諮問機関)
によると、良好な環境を維持するためのコ
ストも内外価格差の一つの要因であり、わが国電気事業の排煙脱硫・脱硝設備に係
る環境投資額は米国の2倍以上のコストがかかっているとされています。
日本
0.36円/kWh
アメリカ
0.16円/kWh
(注)
90∼92年平均:為替レートは93年の1ドル112円で換算 出典:電気事業審議会料金制度部会答申(95年1月)
17
4
CO2を回収すると
発電コストが2倍以上に上昇(電力中央研究所 試算)
新たな
チャレンジに向けて
ここ数年来、
「地球環境問題」
がクローズアップされる中で、
CO2
(炭酸ガス)
等による地球温暖化問題に対し、必要な対策の検討を
求められるようになってきました。
CO2対策技術の1つに、火力プラントの排ガスからCO2を回収す
る技術があり、現在その導入に向けた技術開発が行われています
が、導入においての最大の課題は経済性であります。図1に示され
トン
(C換算)
当たりの排
ているとおり、
SOx、
NOxと比較して、
CO21
煙処理コストは非常に小さいので
図1:排煙処理コスト
(100万kW石炭火力)
すが、排ガス中のCO2濃度はSOx、
排煙処理コスト※1
0
20
40
60
80
100
120
140万円 / t
NOxに比べ極めて高く、
その回収
量はSOxの約70倍(S,
C換算)
に
脱硫(SOx)※2
もなります。
その結果、
CO2の年間
対策費用は膨大なものになりま
脱硝(NOx)※3
す。
これによる発電コストへの影響
脱炭(CO2)※4
を石炭火力で見ると、図2に示さ
0
200
400
600
800億円
れるとおり、
SOx、
NOx対策に加え
年間対策費用
てCO2対策を行った場合、対策な
※1 排煙処理コストはS,N,Cそれぞれ1トン当たりの値
※2 石灰石膏法
しの場合に比べ約2.8倍の発電コ
※3 アンモニア触媒接触還元法
※4 アミン法
ストとなります。脱硫・脱硝対策あり
の場合に比べても約2.1倍となり、
図2:発電効率と発電コストへの影響(石炭火力)
発電コスト(対策なしを100とした場合)
100
150
200
250
0
電気料金を押し上げることになり
ます。
対策なし
これはCO2回収に当たって多
大な電力を必要とするためであ
脱硫・脱硝対策あり
り、
100万kW程度の石炭火力に
おいてCO2を90%回収すると、発
脱硫・脱硝+
脱炭対策あり
電効率は1/3近くも下がります。
0
10
20
30
発電効率(送電端)
※ 各対策方法は図1と同じ
18
40%
(図2)
●新技術の将来的な実用化に向けての研究開発も進めていきます
将来に向けては、
CO2の処理技術や太陽光・燃料電池等の新エネル
ギー、未利用エネルギーなどの実用化を目指し、技術的なブレークスルー
(現状打破)
に向けての研究開発を続けていきます。 一方現段階では、発電プラントを開発段階からのトータルシステムで見
トン当たりの削減コストが最も少ないのは原子力発電であり
た場合、
CO21
ます。原子力の電源立地に関しては、地元の皆さまとの地道な対話活動
を通じてご理解をいただけるように努めてまいります。
94年版年報の
「新たな課題」への取り組み状況
「94年版地球環境年報」
では、新たな課題として
「環境対策とコスト」
の
問題をはじめ、
「環境管理・監査システムの国際規格化」
「電磁界
(EMF)
の影響」
を皆さまにご紹介しました。
ここではその取り組み状況について
お知らせします。
●環境管理・監査システムの国際規格化
環境管理・監査システムの国際規格については、早ければ96年にも制
定される見込みです。
当社では、環境活動に関する社内監査など先進的な取り組みを実施す
るとともに、
「環境管理システムの国際規格化」
に対する情報連絡会を社
内に設置するなど、情報収集と対応策の検討を行っています。
また
(財)日本品質システム審査登録認定協会※においては、各企業・
工場の環境管理システムを審査し、国際規格に合致しているかなどを認
定するための準備事業
(トライアル事業)
を行っています。
このトライアル事
業には当社からも人材を派遣しており、認定基準類の検証などに協力し
ています。
※(財)日本品質システム審査登録認定協会…品質管理システム(I
SO9000シリーズ)の認定機関
●電磁界(EMF)の影響について
近年話題になっている電磁界の影響については、世界各国で発ガン
との関係の有無等の観点から研究が進められていますが、有害な影響の
存在を示す有力な研究成果は報告されていません。
また、わが国においても、資源エネルギー庁の
「電磁界影響評価検討
19
会」
が93年12月に報告書を出しており、
この中では、
「現時点において、居
4
新たな
チャレンジに向けて
住環境で生じる商用周波磁界により、人の健康に有害な影響をもたらす
という証拠は認められない。
また、居住環境における磁界の強さは、世界
保健機関(WHO)の環境保健基準などに示された見解に比べ十分低
い。」
と結論されています。
さらに、米国の物理学会ではこれまでに行われた1,
000件以上の研究
成果を検討・評価した結果、
95年4月に
「電磁界とガンとの因果関係を明
確に証明するものは何もない。」
との見解を発表しています。
当社はこれまでに国内外で行われた調査・研究結果から、
「人の健康
に有害な影響は認められない」
と判断していますが、引き続き電磁界関連
の研究への支援を通じ、科学的に信頼できる客観的データの蓄積に努め
ています。
環境問題は、結局は私たち一人ひとりの問題です。
当社は今後も、社員の一市民としての行動も含め、
前向きな取り組みを進めてまいります。
20
Ⅱ
目標別の
環境対策推進状況
21
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第1題 無駄のない生産
資源を無駄なく電気に換える
(1)
原子力に重点をおいた電源開発の推進
供給力の安定確保・電源多様化の方針のもと、 1,
471万kWの電源開発を推進していきます。
原子力・石炭・LNG・石油・水力のバランスがとれた
この中でも、特に原子力の比率はいまだに低い
電源構成を目標に、今後10年間で他社
(公営、電
ため、
その開発に重点を置いて取り組んでまいりま
源開発(株))
開発による受電分を合わせて合計
す。
目標 1 原子力発電を最優先に推進する。
目標 2 徹底したコストダウンを図り、水力発電を調査・開発する。
目標3 最大限の環境負荷低減技術を導入し、
LNG、石炭火力を開発する。
電源設備構成比、発電電力量構成比の現状と計画は次のとおりです。
当社電源別発電電力量の推移
1200億kWh
原子力
24%
1000
800
LNG
29%
600
石油
26%
400
石炭
14%
200
0
水力
7%
60
65
70
75
電源設備構成比
原子力
LNG
石油
14%
26%
12%
38%
30%
23%
80
81
82
83
13%
86
原子力
24%
21%
87
88
89
90
91
92
LNG
29%
41%
25%
36%
39%
18%
石油
22
85
発電電力量構成比
26%
17%
13%
石炭
8%
水力
22%
20%
20%
94
99
2004年度
7%
84
9%
17%
石炭
14%
11%
水力
7%
10%
10%
94
99
2004年度
平成7年度施設計画より
93
94年度
《原子力》
●揚水開発
供給力の安定確保ならびに電源多様化の柱と
夜間電力を効率的に活用でき、負荷変動への
して、
また地球温暖化防止のための最も有効な
追従性に優れるピーク対応型電源として、需要
電源として、積極的に開発を推進しています。
規模に応じた適正量の開発を進めています。
●浜岡地点
奥美濃水力発電所1∼4号機の営業運転開始
93年12月、浜岡原子力発電所5号機
(135.8万
85年3月に着工した奥美濃水力発電所は1・2
kW)増設の申し入れを行いました。
号機
(出力25万kW×2)
が94年7月に、
また3
・4号
そして、
94年10月に環境の現況調査結果や環
機
(出力25万kW×2)
が95年3月にそれぞれ営業
境保全対策等を取りまとめた
「環境影響調査書」
運転を開始しました。合計出力は100万kWであ
を通商産業省へ提出、
あわせて同書の写しを静
り、
これにより水力発電設備の構成比率は94年
岡県および浜岡町ならびに隣接4町へ送付いた
度末で22%となりました。
また、
5・6号機(出力25
しました。
万kW×2、
95年12月営業運転開始予定)
が完成
この調査書は地元で公開縦覧するとともに、当
すると出力150万kWとなり、わが国最大の揚水
社はこの調査書に関する説明会を開催いたしま
発電所※となります。
した。
同発電所は、
2.5kmという短い水路で大きな落
《水 力》
差が得られる構造であるため、大規模な揚水式
●一般水力開発
発電所がコンパクトにまとまっています。そのた
純国産エネルギーの有効活用のため、
また地
め、自然に手を加える範囲が少なく、
また、発電所
球環境保全に貢献する電源として、経済性を勘
や変電設備を地下式として自然環境との調和を
案しつつ調査・開発を進めています。
図っています。
さらに、河川の最上流部を利用し
工事中のもの
たため、家屋や農地が水没することもありません
二軒小屋(2.6万kW)
95年6月運転開始予定
赤石沢(1.9万kW)
95年6月 〃
平谷(0.18万kW)
96年6月 〃
でした。
※
「揚水発電所」
とは、夜間の余剰電力を有効に活用してダムの水を上池に
くみ揚げ、昼間の需要が高まる時にこの水を使って発電するものです。
着工準備中のもの
小里川(0.18万kW)
2000年4月運転開始予定
杉原(2.4万kW)
2003年4月 〃
23
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第1題
無駄のない生産
資源を無駄なく電気に換える
奥美濃水力発電所 全体図(写真をP7に掲載)
川浦ダム
川浦鞍部ダム
5∼6号発電所
上大須ダム
1∼4号発電所
水路断面図
導水路サージング
地下発電所
上部調整池
地下変電所
導水路
下部調整池
水圧鉄管路
取水口
放水路
放水口
奥美濃第二水力発電所
(1∼4号機合計出力
130万kW)
の開発申し入れ
火力発電所は、
その時点での最大限の環境負
当社は94年12月岐阜県板取村へ奥美濃第二
す。
水力発電所の開発申し入れを行うとともに、岐阜
●石炭火力
県をはじめ関係箇所へも開発に対する協力をお
94年度に営業運転を開始したものはありませ
願いしました。
んが、今後とも最大限の環境負荷低減対策技術
奥美濃第二水力発電所は最大出力130万kW
を導入しながら、石炭火力の開発を推進していき
(32.5万kW×4)の発電を行うもので、奥美濃水
力発電所と同じく揚水式の発電所となります。
《火 力》
ます。
●LNG火力
LNG
(液化天然ガス)
は、硫黄分やばいじんを
火力発電所では、燃焼時に硫黄酸化物
(SOx)
、
含まないクリーンな燃料であることから、
LNG火力
窒素酸化物
(NOx)
等が発生しますが、現在では
の開発を進めています。
ばい煙処理技術が十分進歩し、ほとんどを取り除
くことができます。
24
荷低減対策を採用しながら、開発を推進していま
94年度に運転開始したもの
知多火力6号機ガスタービン(15.4万kW)
94年 9月 運転開始
知多第二火力1号機ガスタービン(15.4万kW)
〃 〃
工事中のもの
知多火力5号機ガスタービン(15.4万kW)
95年 6月 運転開始予定
知多火力2号機ガスタービン(15.4万kW)
95年 8月 〃
知多火力1号機ガスタービン(15.4万kW)
96年 8月 〃
知多第二火力2号機ガスタービン(15.4万kW)
96年 7月 〃
川越火力3号系列(165 万kW)
97年 1月 〃
川越火力4号系列(165 万kW)
97年12月 〃
新名古屋火力7号系列
(145.8 万kW)
99年 1月 〃
着工準備中のもの
新名古屋火力8号系列
(145.8 万kW)
2002年8月 運転開始予定
上越火力発電所(1∼3号系列合計出力397万kW)
の建設申し入れ
95年3月、当社と東北電力(株)
は、新潟県、上
計画地点
佐渡
越市および関係2漁協へ上越火力発電所の建設
申し入れを行いました。同発電所は、
2000年代初
新潟県上越市
直江津港付近
●新潟市
日本海
新潟県
めの供給力確保ならびに長野地区の安定供給
計画地点
対策として、
LNGを燃料とする発電効率の高い
富山県
●長野市
改良型コンバインドサイクル発電方式を採用する
長野県
ことになっており、当社と東北電力が共同開発す
るものです。
岐阜県
●飯田市
今後、環境影響調査書を取りまとめたうえ、公
開縦覧や地元説明会を実施する予定です。
25
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第1題
無駄のない生産
資源を無駄なく電気に換える
(2)
エネルギー転換技術の向上
火力発電所では従来から進めている大容量
にガスタービンを追加設置するリパワリングを進め
化、蒸気条件の向上等に加え、近年は、蒸気ター
ることにより、
一層の熱効率向上に努めています。
ビンにガスタービンを組み合わせたコンバインド
また、
さらなる効率向上を目指し、新しい高効
サイクル発電を導入するとともに、既設のボイラー
率発電の研究開発にも取り組んでいます。
目標 4 新設火力発電に熱効率の高い改良型コンバインドサイクル
(1,300 ℃級)
を
導入する。
目標 5 既設火力発電の熱効率の向上を目指し、
ボイラーにガスタービンを追加設置する
「リパワリング」
を進める。
目標 6 さらなるCO2排出量低減に向け、高効率発電技術を開発する。
《改良型コンバインドサイクル発電》
現在、改良型コンバインドサイクル発電を採用
ガスタービンの入口ガス温度を1,
300℃と高温
した川越火力3・4号系列(165万kW×2)
および
化することにより、従来のコンバインドサイクル
新名古屋火力7・8号系列(145.8万kW×2)の建
(1,
100℃)
と比べて熱効率(発電端)
を42%から
設を進めています。
48%程度へ向上させることができます。
コンバインドサイクル発電のしくみ
煙突
排熱回収ボイラー
送電線
蒸気
タービン
発電機
空
気
ガス
空気
圧縮機 タービン
排気ガス
脱
硝
装
置
LNGタンク
燃焼器
LNG船
海水
放水
26
火力発電所総合熱効率(発電端)の推移
40%
38.9
30
20
10
0
55
60
65
70
75
80
85
《リパワリング》
90
94年度
《高効率発電の研究開発》
既設火力発電のリパワリング工事を、
93年度に
当社では、
さらなるCO2低減を図るため、一層
引き続いて知多火力1
・2・5号機
(15.4万kW×3)
の効率向上を目指しています。
および知多第二火力2号機(15.4万kW)で進め
94年度は次のような高効率発電技術の研究
ています。
開発について、
93年度に引き続いて積極的に取
供給力の増加とともに熱効率
(発電端)
も3
77
. ∼
り組みました。
39.7%から40∼42%程度へ向上させることがで
●噴流床石炭ガス化発電プラント開発に関する
きます。
研究の推進(目標送電端効率43%)
●次世代型加圧流動床複合発電システムに関
94年度の当社火力発電所の総合熱効率(発
する調査研究の推進
(目標送電端効率42∼
電端)
は、
38.9%であり、
93年度と同じ値となりま
45%)
した。
●重質油ガス化炉の開発研究の推進
(目標送電端効率42%)
●1,
500℃級高温ガスタービンの開発に関する
研究の推進(目標送電端効率50%)
27
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第1題
無駄のない生産
資源を無駄なく電気に換える
(3)
流通部門における損失の低減
目標 7 超電導等、新技術の研究・開発を推進し、一層の流通損失の低減に努める。
0万ボルト長距離地中送電線用・CVケー
送変電・配電設備においては、
これまでも電力 《5
輸送効率の向上を目指して、送電電圧の高電圧
ブル長期実証試験》
化、送電線の太線化・多導体化、低損失型変電設
当社および東京電力(株)
、関西電力(株)
、
電力中央研究所は、電線メーカー4社と共同
備の採用、地中送電線の低損失型ステンレス被 (財)
覆ケーブルの採用等の対策を積極的に推進して
で50万ボルト長距離地中送電線用・CVケーブル
きました。
の長期実証試験にこのたび世界で初めて成功し
これらの対策等により、
94年度の送配電損失率
ました。
は4.8%であり、
93年度
(4.9%)
並みを維持するこ
これまで50万ボルトの地中送電線は、
ケーブル
とができました。
の接続技術に問題があり、長距離送電には使用
できませんでした。
また、従来使用されていたOF
ケーブルは絶縁油が必要なため、設備面・保守
送配電損失率の推移
面での課題が多くありました。そこで、
30%
小型で保守が容易、
しかも大容量送
25
電が可能な50万ボルトCVケーブルの
20
開発とケーブル接続技術の開発を進
15
め、実証試験に成功しました。
この成
功により、地中送電線の高電圧化、大
10
4.8
5
容量化、コストダウンが図られ、より一
層の損失率の低減が期待されます。
0
55
28
60
65
70
75
80
85
90
94年度
50万ボルトCVケーブル長期実証試験線の布設状況
中間接続部
ケーブル
断面図
CVケーブル
OFケーブル
ステンレス被覆
アルミ被覆
導体
導体
絶縁油通路
架橋ポリエチレン絶縁体
油浸絶縁紙
ビニル防食層
ビニル防食層
当社では、
より一層の流通損失の低減を図る
●アモルファス変圧器の開発導入
ため、
93年度に引き続いて次のような研究開発
アモルファス変圧器は、磁気特性の優れたア
を推進しています。
モルファス金属を鉄心材料に使用し、低損失が
●超電導電力ケーブルの開発
可能となることから、現在量産タイプの開発・導入
●超電導エネルギー貯蔵技術の研究
を進めています。
●超電導電力応用技術の研究開発
91年度からのアモルファス変圧器の総設備数
は20kVA を主体として、約13,
000台となってい
ます(94年度は4,
800台採用)
。
29
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第1題
無駄のない生産
資源を無駄なく電気に換える
(4)
設備の効率的運用
現設備の効率的な運用を行うことにより、エネ
ルギーの利用効率の向上を図り、環境への負荷
低減に努めています。
目標 8 火力発電の深夜起動停止
(DSS)
を実施し、高効率運用に努める。
目標9 気象情報システムの活用、水系一貫運用などにより、水資源の有効活用に努め、
水力発電の効率運用を図る。
目標10 発電設備を最適に運用する拠り所となる最大電力の予測精度を向上させる。
《深夜起動停止(DSS)
》
火力発電所は、常に可能な限り高出力で運転
翌日の電力需要をできる限り正確に予測する
することが望ましいのですが、深夜は電力需要が
「最大電力予想システム」
のプログラムを改良し、
低いため、低出力運転を余儀なくされ、結果とし
当システムをより有効に活用することによって、発
て、発電効率の低下を招いてしまいます。
電所の運転台数を必要最小限にし、経済的で無
そこで、当社の一部の発電所では、深夜停止・
駄のない運転に努めました。
早朝起動
(DSS)
を行い、残りの発電設備でより効
94年度の翌日最大電力予測精度は98.1%と
率的な運転を実施し、発電設備全体の効率を高
高い水準を維持できました。
めるようにしています。
94年度は93年度並の230回実施しました。
これ
により、重油に換算して約2万k の燃料が節約で
きたことになります。
30
《最大電力予想システム》
(5)
設備の長寿命化
現存する設備をできる限り長期間使用するた
めの余寿命診断や、高品質の材料使用による設
備の長寿命化を図っています。
目標11
余寿命診断技術を活用し、使用機器の合理的延命化を図る。 目標12 設備構成部品の材質向上等により、耐磨耗性、耐腐食性などを向上させる。 ●火力発電設備
(経年設備)
●耐磨耗性材料、耐腐食性材料の採用
余寿命診断技術を適用し長寿命化工事実施中
日本重化学工業
(株)
と共同で、耐酸化性・耐
(尾鷲三田火力1・
2号:8
9年から実施、
4
0%完了)
腐食性・耐熱性等に優れたファインセラミックス製
(知多火力1・2号:リパワリング計画に合せて実
のディフューザー(火力発電用ボイラーのバー
施)
ナー部の部品)
を開発
●OF
(油浸紙絶縁)
ケーブル
余寿命診断技術の判定基準を確立・導入
●変圧器取替
余寿命診断技術を導入し、変圧器取替台数を低
減
●ダムの洪水吐ゲート
余寿命診断技術の導入
ファインセラミックス製バーナーディフューザー
31
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第2題 自然を損なわない生産
自然界の機能を損なうことなく開発し、返却する
(1)
発電所立地における環境アセスメントの実施
発電所等の建設にあたっては、環境への影響
また、建設された発電所についても、運転開始
について事前に調査・予測評価を行い、周辺の
前後においてモニタリング調査を行い、予測評価
環境を損なうことのないよう、環境保全対策等を
の確認をしています。
講じています。
目標13 環境を損なわず、地域とも調和した発電所を建設するため、
環境アセスメントを実施する。
目標14 立地後、発電所の環境への影響を追跡調査する。
発電所の新増設にあたっては、
「発電所の立
また、地方自治体においても環境アセスメント
地に関する環境影響調査要綱
(資源エネルギー
の条例や要綱が独自に定められており、当社は、
庁)」
に基づき、事前調査・予測評価を行い、
その
発電所以外の変電所や送電線等の建設につい
結果を一般公開して、地元の皆さまのご意見を
ても、景観等についてアセスメントを実施していま
伺うとともに、国や地方自治体の環境審査を受け
す。
るなどして、環境保全に万全を期しています。
94年度のアセスメント実績
調査
現況調査
発電所の計画
予測評価
公開
約束
説明会等
公害防止協定等
新名古屋火力発電所7・8号系列
浜岡原子力発電所5号機
奥美濃第二水力発電所
94年度のモニタリング実績
発電所名
モニタリングの種別
碧南火力発電所
3号機運転開始後2年目
浜岡原子力発電所
4号機運転開始後2年目
94年度は碧南火力発電所および浜岡原子力
発電所においてモニタリング調査を実施し、環境
への影響について問題のないことを確認してい
ます。
海の調査
32
(2)
大気汚染の防止
発電所から排出される大気汚染物質について
めるとともに、新技術の研究開発を積極的に推進
は、最新の技術対策によって、排出量低減に努
しています。
目標15 発電所からのSOx、
NOx、ばいじん、粉じんの排出を最小限に止める。
目標16 大気を汚さないための技術開発を一層推進する。
9
4年度の当社火力発電所からのSOx、
NOxの排
94年度は知多・知多第二火力発電所のリパワ
出量は、
7
3年度に比べ、燃料使用量
(重油換算)
が
リングに伴い、最新技術であるガスタービンの低
約16
. 9倍に増加したにもかかわらず、
SOx排出量は
NOx燃焼器の採用や排煙脱硝装置を増強する
約1/1
0、
NOx排出量は約1/4に低減しています。
などしてNOxの低減に努めました。
燃料使用量とSOx排出量、
NOx排出量の推移(73年実績=100)
200
180
169
160
燃料使用量
140
120
100
80
SOx排出量
60
NOx排出量
40
23
20
10
0
73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94年度
《電子ビーム》
92∼93年度にかけて実施した電子ビーム照射
もに、
(財)環境調査センター等が主催する
「環境
賞」
に応募し、
“優良賞”
を受賞しました。
式脱硫・脱硝装置のパイロットプラントによる実証 《物理吸着法脱硫・脱硝システム》
試験結果を踏まえ、
94年度は実規模の火力発電
新たな技術開発として、物理吸着法脱硫・脱
所に設置した場合をシミュレーションしました。
そ
硝システムの基礎研究に着手しました。
これは、
の結果、全体システムとして、従来技術と同程度
吸着材(ゼオライト)
を用い、
SOx、
NOxを同時に
以上のレベルに達するとの評価が得られました。
除去しようとするもので、高い脱硫・脱硝効率お
なお、
これらの研究成果は日本機械学会第4回
よび経済性が見込まれます。
動力・エネルギーシンポジウム等で発表するとと
33
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第2題
自然を損なわない生産
自然界の機能を損なうことなく開発し、返却する
(3)
水質対策の徹底
発電所による海域・河川等の水質汚濁を防止
するとともに、火力・原子力発電所からの温排水
の影響を極力少なくするために、
その海域環境に
応じた温排水対策を講じています。
また、排出水をよりきれいにするための新技術
の開発を推進しています。
目標17 発電所からの温排水の影響を最小限に抑えるとともに、水質汚濁を防止する。
目標18 水を汚さないための技術開発を一層推進する。
《温排水対策》
《触媒湿式酸化処理法》
火力・原子力発電所においては、温排水の影
新技術の開発として、火力発電所からの排水
響をすくなくするために、深層取水による低温海
中のアンモニア等を、窒素ガスと水に分解する
水の利用や水中放流による混合拡散効果を活
「触媒湿式酸化処理法」
の基礎研究に着手しまし
用するなどの対策を実施しています。
《水力発電所の濁水対策》
一部の水力発電所ではダム内貯水の濁度の
た。
94年度は小型試験装置を当社碧南火力発電
所構内に設置し、試験を開始しました。
触媒湿式酸化処理法概念図
分布状況をタイムリーに把握し、発電の際に、濁り
の少ない部分の水を放流し、下流での濁水期間
をできるかぎり短縮するよう努力しています。
空気
反応器
コンプレッサー
大気への放出
熱交換器
PC
昇圧ポンプ
排水
気体分離器
LC
処理水
を放流
34
(4)
騒音・振動の防止
(5)
建設工事における環境配慮
発電所、変電所等の騒音・振動の低減のため、
防音壁の設置、低騒音型機器の採用等の対策を
講じています。
また、建設工事の際に、周辺環境
への影響を軽減するため、各工事箇所で種々の
環境保全対策を実施しています。
目標19 引き続き、発電所、変電所等、電力供給施設からの騒音・振動の低減に努める。
目標20 建設工事における環境保全対策を徹底する。
94年度は騒音防止に効果のある屋内型の変
電所を7箇所新設するとともに低騒音型変圧器を
57台採用しました。
屋内変電所(白土変電所)
工事中の環境保全対策例
実施対策の内容
効果
場所
搬入資材のブロック化
車両減少
新名古屋火力発電所7号系列
水質汚濁防止膜、排水処理装置の設置
水質汚濁軽減
新名古屋火力発電所7号系列
平谷水力発電所、南信変電所
低騒音・振動杭打機の採用
騒音・振動防止
老津変電所、生田変電所
高所作業車のバッテリー駆動化
騒音防止
市街地等
35
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第2題
自然を損なわない生産
自然界の機能を損なうことなく開発し、返却する
(6)
電波障害への適正対応
目標21 電力供給設備による電波障害について、事前に予測評価を行い
適切な対策を講じるとともに、早期対応に努める。
これまでも当社電力供給設備等に起因するテ
電波障害に対して、テレビ共同受信施設設置等
レビ電波障害に対し、適切な対応を行ってきてい
により、約1万戸について対策を実施しました。
こ
ます。
の結果、
94年度末の累計対策戸数は約26万戸に
94年度は、送電線32線路等に起因したテレビ
上っています。
(7)
廃棄物の適正処理
目標22 放射性廃棄物、産業廃棄物の低減等の対策を一層推進するとともに、
生じた廃棄物は適正に処理・処分する。
《放射性廃棄物》
●浜岡原子力発電所1号機の計画外停止について
原子力発電所から発生する低レベルの放射性
94年12月、定格出力運転中の1号機において
廃棄物には、気体・液体・固体状のものがあり、活
気体廃棄物処理系を監視している放射線モニ
性炭吸着装置、
フィルター、
イオン交換樹脂、焼却
ターの指示値が上昇したため、調査を実施するこ
炉等により適切な処理を行い、発生量低減に努
ととし原子炉を手動停止しました。
めています。
この事象にともない、発電所放出管理目標値
固体廃棄物のうち可燃性のものは焼却炉にて
の25,
000分の1の極微量の
(5.1×1015ベクレル)
焼却減容しており、
94年度はドラム缶約11,300本
放射性物質が環境へ放出されましたが、
この放
相当分を焼却しました。
また、
「六ヶ所低レベル放
出による環境への影響はありませんでした。
射性廃棄物埋設センター」
へはドラム缶2,
400本
原因について調査の結果、燃料集合体1体の
を搬出しました。
燃料被覆管にピンホールからと思われる微小な
漏えいが認められましたので、対策として、当該
燃料集合体を健全なものに取り替えました。
今回の事象を教訓に、今後とも安全運転に万
全を期してまいります。
36
(8)
緊急防災体制の整備
大気汚染防止法に基づき、当社は火力発電所
また、非常災害発生時に備え、各種の防災設
における光化学スモッグおよびSOxにかかわる
備の整備・点検や防災訓練を実施し、万全を期し
大気汚染緊急時の取り扱いを明確にしています。
ています。
目標23 大気汚染の緊急時に対応し、火力発電のNOx、
SOx削減策を実施する。
目標24 予測できない災害に備え、電力供給施設における防災設備の一層の充実を図る。
目標25 電力供給施設において、定期的な防災訓練を継続実施する。
94年度は夏の気温が高く、当社営業エリア内
《原子力発電所の地震対策》
において光化学スモッグ注意報が6回発令され
原子力発電所は過去の地震歴、地盤等の調査
たため、緊急措置として、火力発電所排煙脱硝
を綿密に行い設計されています。
したがって、想
装置へのアンモニアの注入量を増加するなどし
定されるいかなる地震に対しても耐えられるもの
てNOx排出量の削減を行いました。
となっており、安全性は十分に確保されています。
《突発型大地震発生時の対応》
このため今回の阪神・淡路大地震を受け、当
95年1月に発生した阪神・淡路大地震では、当
社としての防災対策・耐震設計について直ちに
社も関西電力の電力設備の復旧活動を支援しま
見直すということはありませんが、国、関連機関等
した。
の調査・検討を踏まえつつ、適切な対応を図って
当社では、東海地震をはじめ各種災害での電
いきたいと考えています。
力設備の被害を最小限にとどめ
るとともに、早期に復旧するため
の対策について万全を期してお
ります。
今回の大地震は、都市を襲っ
た突発型かつ直下型という特徴
があり、
これに対しても基本的に
は対策済みと考えておりますが、
ここでの教訓を活かし初動体制、
衛星通信の導入など各種対策に
防災訓練(LNG基地)
ついて検討を加えております。
37
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第2題
自然を損なわない生産
自然界の機能を損なうことなく開発し、返却する
(9)
CO2処理技術の研究
CO2処理技術の研究はまだ基礎的な段階であ
り、実用化のためには技術面、
コスト面等種々の
問題をかかえています。
このため当社としては、
電力会社間、社外研究機関とも密接な連係を図
りつつ長期的な観点で研究を進めています。
目標26 発電所から排出されるCO2の分離、固定、処分技術の研究を一層推進する。
当社は94年10月、当社技術研究所内に
「エネ
離複合システム」
のパイロット試験装置を開発し、
ルギー・環境実験棟」
を設置し、火力発電所排ガ
吸着材(ゼオライト)
を用いて、効率的にCO2を除
スからのCO2分離回収・処理・利用技術の開発に
去する方法について研究を進めています。
取り組んでいます。
また、樹木、微細藻類等の生物によるCO2固定
「吸着・深冷分
その内CO2分離技術としては、
技術の研究を継続して行っています。
「CO2吸着・深冷分離複合システム」パイロット試験装置
38
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第3題 潜在資源を活用する生産
埋もれた資源を開拓し、新しいものの流れを創る
(1)
副生物・廃材の再利用の推進
火力発電所等から排出される産業廃棄物等につ
ています。
なかでも石炭灰の有効利用拡大につい
いては、従来から発生量の低減、再資源化に努め
ては研究も含め積極的に取り組んでいます。
目標27 重油灰、石炭灰等、火力発電所から排出される副生物を今後一層再利用する。
目標28 使用済潤滑油、電線、電柱等、廃材の再利用を継続する。
目標29 掘削残土をできる限り有効利用する。
94年度の当社廃棄物発生量は約100万tであ
工事に伴う掘削残土は、地盤改良、盛土、工事
り、
その内火力発電所から排出される石炭灰と石
用道路の維持補修材として有効利用を図ってい
こうが約80%を占めています。
ます。
94年度は約9万m3を利用することができま
石炭灰はセメント材料として約3
0%を、石こうは
した。
ボード用、セメント用として100%を再利用してい
ます。
産業廃棄物等発生量
(単位:万 t )
9
3年度 94年度
石炭灰 51.2 53.8
重原油灰 1.0
1.0
石こう等 21.1
26.7
建設廃材 12.2
19.0
金属くず 1.9
1.8
その他 4.5
1.0
合計 91.9
103.3
資源リサイクルの例
金属くず・他 3%
建設廃材18%
石炭灰52%
石こう等26%
(単位:万 t )
93年度 石炭灰 16.0 94年度
17.1
重原油灰 1.0
1.0
石こう 19.0
25.6
建設廃材 4.0
10.6
金属くず 1.9
1.8
0.1
0.1
潤滑油等
産業廃棄物等発生割合(94年度)
重原油灰1%
39
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第3題 潜在資源を活用する生産
埋もれた資源を開拓し、新しいものの流れを創る
(2)
新エネルギー発電の導入
新エネルギー発電については、将来の普及に
ダウンや信頼性の向上等に関する研究開発を進
向けて、当社事業場等に積極的に導入し、
コスト
めています。
目標30 太陽光、風力等、自然エネルギーを活用した発電を事業場等に導入する。
目標31 電気と熱を同時に供給できる燃料電池を、当社事業場等に導入する。
目標32 将来の本格的な普及に向け、新エネルギーの研究開発を実施する。
《太陽光発電》
太陽光発電の導入実績
92年度
93年度
94年度
導入量
49kW
87kW
55kW
導入事業場(kW)
磐田営業所(10)
火力センター
(20)
小牧営業所(25)
旭名東営業所(20)
松本営業所(20)
伊那営業所(10)
技術研究所(7)
桑名電力センター
(10)
西春営業所(10)
豊田電力センター
(10)
塩尻営業所(10)
中津川営業所(10)
津電力センター
(2)
半田営業所(10)
技術研究所(17)
(94年度末導入量累計:222kW)
噴水電源や送電鉄塔の航空障害灯への利用
等太陽光発電の利用拡大を進めています。
太陽光発電を利用した噴水(名古屋市緑区 蝮池)
40
《燃料電池》
燃料電池は、水素と酸素の電気化学反応に
め、
ビルの地下等に置いて分散型電源とするも
よって電気エネルギーを発生させる発電方式で、
のから、大容量の火力代替発電所とするものまで
熱利用も可能なことから高いエネルギー効率が
様々な大きさの電池が考えられています。
得られます。
また、静かで排出ガス量が少ないた
燃料電池の種類
リン酸型
(PAFC)
溶融炭酸塩型
(MCFC)
固体電解質型
(SOFC)
天然ガス
天然ガス・石炭ガス
天然ガス・石炭ガス
構成材料
カーボン・白金
ステンレス
セラミックス
動作温度
約200℃
約650℃
約1,000℃
発電効率
35∼43%
50∼55%
55∼60%
実用化段階
50∼11,000kW
開発中
1,000kW級
基礎研究中
1kW級
燃
料
開発レベル
当社では、
リン酸型燃料電池を当社事業場等
燃料電池の原理
に設置し、運転保守・熱利用の知見の習得等に
努めています。
また、
94年10月、当社技術研究所
内に
「エネルギー・環境実験棟」
を新設し、溶融炭
電気
酸塩型と固体電解質型の燃料電池の研究開発
に取り組んでいます。特に溶融炭酸塩型燃料電
e
e
水素
e e
池については、国および電力・メーカーが共同
H H
e e
+
H
で、
95年から当社川越火力発電所構内に1,000
H O H
kW級のパイロットプラントを設置し、運転研究を
+
H
O
O
O
O
酸素
水
実施する計画です。
リン酸型燃料電池の導入実績
導入事業場
川越火力発電所
技術研究所
トーエネック教育センター
北営業所
計
(94年度末)
出力
200kW
50kW
50kW
50kW
350kW
当社技術研究所内
「エネルギー・環境実験棟」
41
第1部/自らを律する生産活動のための3題
第3題 潜在資源を活用する生産
埋もれた資源を開拓し、新しいものの流れを創る
(3)
未利用エネルギーの活用
エネルギーの効率利用を目指し、河川水の温
度差、都市排熱等の未利用エネルギーの活用に
取り組んでいます。
目標33 河川水の温度差、都市排熱等を熱源として活用する。
目標34 発電所からの温排水を一層有効に活用する。
《ガスタービン吸気冷却システムの研究》
《発電所温排水等を活用した養殖魚の種類
LNG冷熱を利用してガスタービン燃焼用空気
に関する研究》
を冷却することにより、
ガスタービンの出力増加を
発電所の温排水やLNG冷熱を利用した水産
図る研究を進めています。
養殖施設における最適な魚種の調査選定を行い
94年度は、小型パイロット装置での研究に取り
ました。
組む一方、実機レベルのシステムの試設計を行
日本に生息する3,500魚種の中から商品価値、
い検討した結果、発電設備としての機能・信頼性
地域性、技術的可能性等の面から検討し、現時
を備えたシステムの設計・製作が可能であるとの
点の有望な魚種として33種を選定しました。
見通しを得ました。
未利用エネルギーの活用例
地点
活用する未利用エネルギーと活用方法
電気文化会館
変電所排熱をレストラン、浴室の給湯熱源として活用
人材開発センター
下水処理水を熱源として浴室給湯や冷暖房空調用に活用
浜岡原子力発電所
発電所温排水を静岡県温水利用研究センターへ供給
四日市LNGセンター
LNG気化時のエネルギーを冷熱発電として利用
松本営業所
地下水を熱源として冷暖房空調用に活用
トーエネック本社別館
42
(94年度末)
河川水を熱源として冷暖房空調用に活用
長野ワシントンホテル
変電所排熱をホテル等の給湯水の予熱として活用
タラサ志摩
海水を熱源として温水プールに活用
(4)
余剰電力の購入
新エネルギー普及促進と総合的なエネルギー
して設置された新エネルギー・ごみ発電から余剰
効率向上を目指して、当社は自家用発電設備と
電力を購入しています。
目標35 分散型自然エネルギー発電の普及を目指し、
太陽光、風力発電の余剰電力を購入する。
目標36 エネルギー有効利用を目指し、ごみ発電、燃料電池等の余剰電力を購入する。
《ごみ発電》
《太陽光発電》
94年度から国の
「住宅用太陽光発電システム
静岡市新沼上工場
(発電設備8,000kW、
95年
モニター事業」
がスタートしました。
4月より受給開始)
および尾張東部衛生組合
(発
これは、自ら居住する住宅に太陽光発電システ
電設備1,400kW、
95年3月より受給開始)
と95年
ムを設置しようとする個人に対して、国が設置費
1月に新規電力受給契約を締結しました。
の一部を補助する制度です。
ごみ発電からの余剰電力購入実績
当社としても、電力の当社による買取りを希望
92年度
93年度
94年度
3
4
5
4,200万
5,000万
されるお客さまに対する迅速な対応を図るため、
契約口数(口)
94年11月から太陽光発電設備からの余剰電力
購入実績(kWh) 4,200万
購入業務の窓口を本店から営業所へ広げまし
た。
なお、購入にあたっては、通商産業省の定める
その結果、
94年度は主に個人のお客さまとの
受給契約件数が増加しました。
「系統連系技術要件ガイドライン」
を満たしていた
だくことが条件となっています。
太陽光発電の余剰電力購入実績
契約口数(口)
購入実績(kWh)
92年度
93年度
94年度
2
3
89
368
1,544
34,978
43
第2部/社会と協調して地球を守るための3題
第4題 お客さまとの協調
豊かな省エネルギーをお客さまとともに進める
(1)
電気自動車の普及に向けた取り組み
電気自動車や電気スク−タ−は非常にクリ−
のとして、その普及に向けて積極的な支援活動
ンで資源を大切にする乗り物といえます。当社は
を行っています。
環境の改善とエネルギ−効率利用に貢献するも
目標37「二輪電気スク−タ−」の普及支援活動を推進する。
目標38 自治体、自動車メ−カ−等と電気自動車普及促進のための協議会を組織し、
モデル地区での実証試験を通じて電気自動車のインフラ整備に係る研究
ならびにPR活動を実施する。
94年度は93年度に引き続き、お客さまによる電
急速充電スタンドについては、当社も参画して
気スク−タ−のモニターを実施し、電気スクーター
いる
「電気自動車普及プロジェクト研究会」の活
の良さをPRしました。
動およびエコステ−ション2000計画
(資源エネル
モニターの方々からは「音が静かで乗りやす
ギ−庁の低公害車普及促進事業)
に基づき、
94
い」
、
「走行距離がやや短い」
、
「値段が高い」等
年度は10基を設置しました。
(前年度設置分と合
様々なご意見をいただきました。
わせて17基設置)
社外モニタ−の実施
(94年度末累計)
地方自治体
52件
新
10件
聞
店
また、低公害車フェアなごや’
94、愛知県低公
害車フェスティバルへの展示等を通じて
「見て、
触れて、体感」することによって、電気自動車・ス
クーターの良さを認識していただいております。
愛知県内の電気自動車普及実績 (94年度末累計)
全 体 92台
官公庁 36台
民 間 56台
44
(2)
エネルギ−効率利用機器の推奨・開発
当社は、蓄熱式ヒートポンプの普及、氷蓄熱式
ともにエネルギーの効率的利用を目指していま
ビルマルチエアコンの開発等により、お客さまと
す。
目標39 蓄熱式ヒ−トポンプを大型ビルに対して引き続き推奨する。
目標40 ビル空調用蓄熱槽の普及促進策を検討する。
目標41 蓄熱式機器・システムの開発を引き続き他電力等と共同して進める。
《氷蓄熱式ビル用マルチエアコンの開発》
当社は、
95年1月、東京電力(株)
、関西電力
(株)
、
ダイキン工業
(株)
と共同で、夏季昼間の電
客さまのメリットの拡大ならびに電力の負荷平準
化に資するものです。
力消費ピーク時における冷房消費電力を約40%
今回開発されたシステムは、製氷ユニットを室
低減できる
「氷蓄熱式ビル用マルチエアコン」
を
外機の内部に一体化させて氷を作り、
その氷を蓄
開発しました。
熱槽へ搬送し蓄熱しようというものです。
このエアコンは、割安な夜間電力利用によるお
氷蓄熱式ビル用マルチエアコンのシステム構成
室外ユニット
蓄熱タンク
水配管
冷媒配管
業務用蓄熱調整契約(空調用)加入決定件数
94年度
16件
45
第2部/社会と協調して地球を守るための3題
第4題 お客さまとの協調
豊かな省エネルギーをお客さまとともに進める
(3)
負荷平準化に資する料金メニュ−の推奨
季節間・昼夜間の電力需要の格差はますます
荷平準化に資する料金メニューをお客さまに推
増大しています。当社は、
ピーク需要の抑制、負
奨しています。
目標42 負荷平準化に資する料金メニュ−を家庭、
ビル、工場等に継続して推奨する。
当社は、
これまでも様々な料金メニューをお客
月、通産大臣の認可を受け、
4月1日から実施しま
さまに推奨し、電力負荷の平準化に取り組んでま
した。
いりましたが、
94年度は、負荷平準化に寄与する
この契約は冷暖房設備などの蓄熱運転によっ
新しい料金メニューの導入について検討しまし
て、昼間時間から夜間時間へ負荷を移行できる
た。
低圧電力のお客さまを対象としたもので、夏季
●低圧蓄熱調整契約
ピークの尖鋭化を抑制し、負荷平準化の一層の
氷蓄熱式ビル用マルチエアコンが商品化され
促進が期待されます。
たことを受けて、
これまでは高圧
(6,000V)
以上の
また、設備を設置する際の初期投資低減のた
お客さまに対して設定されていた蓄熱調整契約
め、当社は
「氷蓄熱システム普及促進助成制度」
を低圧受電
(200V)
のお客さまにもご利用いただ
を創設し、奨励金により普及促進を図ることとしま
けるよう、
「低圧蓄熱調整契約」
を設定し、
95年3
した。
需要調整力の推移
夏休み調整や操業調整など
(年度)
73
91
92
85
93
需給が逼迫した時に調整の
依頼を行う随 時 調整 契約 で
122
37
99
の計画調整契約で約46万kW、
随時
計画
103
30
44
143
約104万kW、合計約150万kW
が、
94年度の夏季需要調整力
94
104
0
46
50
46
100
150
150万kW
となっています。
(4)
電気の上手な使いかたコンサルティングの実施
目標43 電気が上手に使われているかの診断を、
今後もお客さまのご要望により実施する。
目標44 検針票に前年同月の電気の使用量を記載し、
電気の使用状況をお客さまに分かりやすくお知らせする。
目標45 当社オフィスにおいて、適切な空調温度の設定
(夏季28℃、冬季20℃)
を実施し、
PRする。
目標46 コンピュ−タ室の空調温度の高め設定を実施し、推奨する。
目標47 当社オフィスにおいて、
こまめな消灯、
エレベ−タ−の運転台数・運転時間の見直し等を実施し、
PRする。
記録的な猛暑となった94年の夏は、電気予報
についての診断を93年度に引き続き実施してい
等によるお客さまへの節電のお願いとともに、当
ます。
社事業場においても、
94年度電気予報(注意報)
による
節電お願い回数
●室温28℃設定
6回
●便所、湯沸かし場などの不使用時消灯
●ピ−ク時間帯の空調、照明、エレベ−タ−停止
等の節電対策を実施し、電気の安定供給とともに
省エネルギ−に努めました。
また、お客さまに対して、電気の上手な使い方
94年度電気使用合理化診断の実施状況
種類
内容
件数
アプローチ診断
エネルギーの効率利用と地域とのコミュニケーションの醸成を目的に、
パンフレットを使用してコンサルティングを行うもの
1,168
コンサルティング診断
お客さまの電気使用実態を把握して、
その結果をもとに
コンサルティングを行うもの
ロードカーブ測定診断
ロードカーブ測定器を取り付け、測定データをもとに
コンサルティングを行うもの
32
特定診断
行政(国および県)
からの依頼により実施するもの
2
合
検針票による前年同月ご使用量のお知らせ実施件数
計
93年度末/約702万口
261
1,463
94年度末/約772万口
47
第2部/社会と協調して地球を守るための3題
第5題 市民との協調
環境調和型社会を市民とともに築く
(1)
省資源・リサイクル活動の推進
目標48
古紙回収、
コピ−用紙節減、再生紙利用等、紙のリサイクル活動を推進する。
目標49
スチ−ル缶・アルミ缶の分別回収を推進する。
目標5
0
出張時、通勤時には、可能な限り公共交通機関を利用することを従業員に推奨する。
91年度から全社をあげて展開している古紙回
スチール缶、
アルミ缶の分別回収を推進してお
収、
コピ−用紙削減、再生紙利用など紙のリサイ
り、
94年度実績では約200万個になりました。
クル活動は4年目に入り、定着化しつつあります。
また、環境月間である6月には、海浜、道路等の
清掃奉仕を行い、空缶の回収を行っています。
古紙回収量
92年度
93年度
94年度
3,460
3,000
2,300
古紙回収量(t)
850
900
1,000
回収率(%)
25
30
43
紙使用量(t)
コピー用紙の使用量
(枚/人)
91年度
92年度
93年度
94年度
3,760
3,550
3,430
3,270
海浜の清掃奉仕(半田営業所)
再生紙の利用
93年度
94年度
用紙使用枚数(万枚)
6,400
6,200
再生紙使用枚数(万枚)
5,400
5,500
84
89
再生紙使用割合(%)
48
(2)
環境に優しい輸送機器の導入
目標51 環境に優しい電気自動車、電気スク−タ−を積極的に導入する。
環境改善とエネルギ−の効率利用の観点か
ら、当社が保有する車両についても電気自動車、
電気スク−タ−を積極的に導入しています。
電気自動車の導入
電気スクーターの導入
92年度
93年度
94年度
導入台数
13
18
18
(除却2台)
保有台数
36
54
70
92年度
93年度
94年度
導入台数
10
106
103
(除却4台)
保有台数
10
116
215
(3)
特定フロン等の削減
目標52 特定フロン等の削減に向け、適切な処置を講ずる。
当社は、
94年5月「特定フロン等の削減に関す
め、使用の削減を推進する。
る基本方針」
を策定し、オゾン層保護のための特
という2つの大きな方針から成っています。
定フロン等の削減に計画的に取り組んでいます。
94年度はこの方針に基づき、原子力発電所に
本基本方針は
おける衣類等のドライクリーニングに使用してい
①新設にあたっては、特定フロン・特定ハロン
るフロンR‐
113
(特定フロン)
の内18%を代替フロ
は導入しない。
ンであるR‐225に切り換えました。
また、金属類の
②既設の特定フロン等については、オゾン破
洗浄用に使用している1‐
1‐
1
トリクロロエタンを代
壊係数の小さい代替品への切り替え等に努
替品に切り換えました。
49
第2部/社会と協調して地球を守るための3題
第5題 市民との協調
環境調和型社会を市民とともに築く
(4)
施設の環境との調和
電力供給施設等の設置にあたっては、周辺環
境との調和を目指しています。
目標53 自然環境の創造の観点に立ち、発電所の緑化を一層推進する。
目標54 電力供給施設、事業用建物等の建設にあたっては、
今後も周辺景観を配慮した設計を行う。
目標55 発電所施設を地域に解放する地域共生型発電所を検討する。
都市景観との調和等の観点から、設備の地中
化にも取り組んでいます。
地中線設備亘長
92年度末
93年度末
94年度末
配電線(km)
2,436
2,587
2,749
送電線(km)
1,015
1,086
1,103
《地域共生型発電所》
現在増設工事が進んでいる川越火力発電所
では、地域共生型発電所として地域の皆さまに
発電所の緑化(知多火力発電所)
親しんでいただけるような発電所づくりを目指し
ています。
その一環として、発電所敷地内に約12
万m2におよぶコミュニティ施設を建設することを
計画し、
94年12月に公表しました。
同施設は中心となる電力館をは
じめ、伊勢湾のミニチュアランド、芝
生運動広場などの運動施設や散策
路を設けた緑地、釣り桟橋等で構成
され、
95年4月に着工し、
96年7月か
ら順次オープンする予定です。
川越火力発電所コミュニティ施設イメージ図
50
(5)
自然とふれあう生活のよびかけ
目標56 緑ある豊かな地域づくりを支援するため、緑化木を今後も寄贈・植栽する。
目標57 市民に草花の種を街頭配布する
「緑のカ−テンキャンペ−ン」
を継続する。
目標58 当社保有資源を活用し、生態系の保護を図る。
毎年、環境月間である6月を
中心に、公共施設等へ苗木の
配布や緑化木の寄贈・植栽を
行う
「グリ−ンキャンペ−ン21」
を実施しています。
94年度は約
1.7万本の苗木の配布、緑化木
の寄贈・植栽を行いました。
また、
92年度から実施してい
る
「緑のカーテンキャンペ−ン」
では、真夏の日差しをカットす
るのに効果的なつる性植物
(朝
顔、ササゲ)の種7万袋を市民
「緑のカーテン・コンテスト」
最優秀賞 青島 ふみさん(静岡市)
の皆さまに配布するとともに、
「緑のカーテン・コン
テスト」
も引き続き実施しました。写真による応募
総数は93年度を190点も上回る415点に達し、
そ
の中から16点が優秀賞として選ばれました。
51
第2部/社会と協調して地球を守るための3題
第5題 市民との協調
環境調和型社会を市民とともに築く
《岐阜支店における取り組み》
当社岐阜支店では、
94年度に
「 I LOVE ぎふ
94年度は地域や当社事業場における
「花かざ
運動」
というテーマを掲げ、支店内全従業員が諸
り運動」
をはじめ、国立公園等での環境調和対策
活動を展開しました。
の推進、資源の有効利用、省資源・リサイクルの
これは岐阜県が推進する
「花の都ぎふ運動」
に
推進など環境とのよりよい調和を目指して活動
呼応して、事業活動の場であり、生活の場でもあ
を展開し、地域との協調関係を一層深めることが
る
「岐阜」
をもっと知り、
もっと好きになり、
もっと美
できました。
しくしようと取り組んできた運動です。
ここでは、その活動の一例をご紹介します。
●地域や事業場の花かざり
岐阜県がもっともっと美し
い花の都となるよう
「事業場の
花かざり」
を推進するとともに、
「地域の花かざり」
にも協力し
ました。
特に事業場の花かざりにつ
いては、国や岐阜県の花かざ
りコンクール(企業部門)
で入
賞しました。
●第4回全国花の町づくり
事業場花かざり
(岐阜支店ビル)
コンクール…推進協議会長賞
●第3回岐阜県花かざりコンクール…銀賞
●電力設備の環境との調和
98年2月開催の「長野冬季オリンピッ
ク」のアクセスとして重要な「中部縦貫
道安房トンネル」の照明・換気・排水用
等の電力供給のため、送電線を新設し
ました。
この送電線の経過地の一部や変電所
建設位置が中部山岳国立公園内となっ
たことから、特に周辺環境との調和に配
山荘風変電所(平湯変電所)
52
●廃材の再利用
飛騨電力センターでは、
ダム湖に流入する流木
まき
を薪に加工し、地元の
「高根村日本一かがりびま
つり」
のかがり火用やキャンプ場のキャンプファイ
ヤー用として提供し、地元の方々から大変喜ばれ
ました。
アートフェンス
(瑞浪変電所)
慮しました。
●モノポール型鉄塔の採用
●山荘風の変電所
●配色の工夫
また、
「アートフェンス」
の採用
(瑞浪変電所)
や
県内の
「花街道」
沿いの配電柱への
「花柄入り電
柱防護板」の取り付けなど、周辺環境との調和を
キャンプファイヤー用の薪(美女高原)
図りました。
●省資源・リサイクルの推進
街の環境美化と資源のリサイクルに協力する
くう
ちょう
ため、空缶回収機
「空カン鳥」
を支店内の3箇所に
設置しました。
これは回収機内で自動的にスチー
ル缶とアルミ缶に分類するもので、
94年度は約
47万個もの空缶が集まりました。
日本一かがりびまつり
(高根村)
空カン鳥
53
第2部/社会と協調して地球を守るための3題
第5題 市民との協調
環境調和型社会を市民とともに築く
(6)
地球環境への問題意識の共有化
(7)
市民の声の反映
(8)
社内教育の実施
環境問題を身近な問題として、市民とともに考
え行動していくため、講演会等の開催、モニタ−
制度の活用、パンフレットの配布、社内環境教育
などを実施しています。
目標59 環境講演会の開催、環境フェアへの参画等を通じて、
環境に対する問題意識を市民と共有化する。
目標60 毎年一回「中部電力環境白書(地球環境年報)
」
を発表し、当社の環境対策の
推進状況を公開する。
目標61 地球環境問題への理解を深めてもらうため、
PRパンフレットの作成・配布を
継続する。
目標62 中部電力モニタ−制度を活用し、市民の声を環境対策に反映させる。
目標63 地球環境問題に関する知識の獲得と意識の向上を目指し、
社内教育を継続実施する。
《環境講演会・環境フェアへの参画》
●環境講演会
テーマ
「人とのふれあい」
藤本 義一氏 94年6月30日
岐阜メルサホ−ル
54
《地球環境年報》
●環境フェア
まつり博・三重 ’
94への
「バーチャルシアター電
当社は1年間の環境対策の推進状況を
「地球
力館」の出展
環境年報」
にまとめ、皆さまにお知らせすることと
(テーマ
「エネルギー・人・自然の調和を求めて」
) しております。本書はその第2回目となります。
94年7月22日∼11月6日
三重県伊勢市
94年版年報は70
, 00部
(同ダイジェスト版12,000
部)
を発行し、中部電力モニター・中部電力環境
懇話会委員の方々、官公庁、学校のほか希望さ
れる方々にお配りしました。
《中部電力モニター制度》
「中部電力モニターアンケート結果」
(P14∼15)
の頁をご参照ください。
《社内教育》
地球環境技術展 GLENTEX ’
94
(主催
(財)
国
際環境技術移転研究センター等)
へのパネル、模
型等の出展
94年10月13日∼15日 横浜市
(パシフィコ横浜)
当社人材開発センタ−をはじめ社内各部署に
おいて行われる各種教育の機会をとらえ、環境
問題を取り上げています。
また、本店環境担当部署と支店社等各事業場
との環境に関する情報・意見交換の場を計画的
に設けて、会社全体として環境問題に対する意
識の向上を目指しています。
55
第2部/社会と協調して地球を守るための3題
第6題 世界との協調
先進技術・情報を世界の国々と共有する
(1)
途上国等への技術移転
途上国等に対して、
公害防止対策技術や高効率
発電技術を提供するため、当社は専門家派遣・研
修生受け入れを中心に技術協力活動を行っており
ます。
とりわけ、四日市公害を克服した公害防止技
術等を途上国に伝えようと、
国・自治体と産業界の
協力を得て事業を行っている
「国際環境技術移
転研究センター」
(I
CETT)
の活動については、
当社
も全面的な支援を行っております。
I
CETTからの研修生の見学(四日市火力発電所)
目標64「国際環境技術移転研究センター」
の活動を全面的に支援し、
途上国等への環境技術の移転に努める。
目標65 地球規模でCO2、
SOx、
NOxの削減を図るため、当社の保有する
高効率発電技術、環境保全技術を途上国等へ移転する。
目標66 わが国の原子力の安全運転管理について、旧ソ連・東欧地域等を
対象に技術支援を行う。
《中国の大気汚染防止技術セミナーへの講師派遣》
中国では、近年急速な工業化が進む中で、十分
当社もこれに対し講師を派遣、
大気汚染防止技
な公害防止措置が講じられていない状況にあり、
と
術について講義を行い、
排煙処理システムの構成、
りわけ豊富な石炭資源の利用に伴う大気汚染が進
それぞれの処理設備の原理と効果、
さらに日本にお
んでいます。
ける省エネルギー対策について説明を行いました。
こうした状況下で、
I
CETT主催により、通商産業
《国際協力事業団研修への協力》
省の推進する中国に対するグリーン・エイド・プラン
アジアおよび太平洋地域の国々の経済・社会の
の一環として、中国有数の重工業地域である遼寧
発展を促進し、生活水準の向上を目的に実施され
省において研修セミナーが開催されました。
ている国際協力事業団研修の
「電気事業経営II
コース」
に対し、当社も協力しています。
火力発電電力量
当たりSO2排出量
(93年)
中国 9.52g/kWh
9
4年度は、バングラデシュやタイを始め各国から
研修生1
1名を迎え、
中部電力の電源開発や環境対
当社
0.14g/kWh(SOx)
56
策など、
電気事業経営全般についての講習や意見
交換を行いました。
(2)
国際交流の推進
地球環境問題の解決に向けては、単独で行動
題を含む経営の様々な分野における情報・意見
するのではなく、世界各国との協調が必要不可
の交換を行ってきています。
欠です。
このため、海外の電力会社等と環境問
目標67 地球環境問題の解決に、世界各国と協調して取り組むため、
海外電力事業者との提携、海外研究機関との情報交換を推進する。
目標68 海外電力調査会を通じ、研修生・専門家の交流を実施し、
環境対策のノウハウの交流を図る。
目標69 世界原子力発電事業者協会(WANO)
を通じ、
原子力の安全性確保を目指した国際交流を推進する。
目標70 エネルギーや環境に係る国際会議に積極的に参加し、
地球環境問題に係る情報交換、意見表示の場として活用する。
《日米欧電力首脳会議の開催》
9
4年1
1月、日本・米国・欧州の電力会社経営トッ
関連性は認められないものの、安全を重視する基
プが一堂に会し、国際的な電力の経営課題につい
本的立場に基づき、今後も引き続き研究を積極的
て意見を交換する、
第2回
「日米欧三極電力首脳会
に支援していくことで合意しました。
議」
が名古屋で開催されました。
《電気事業研究国際協力機構総会の開催》
会議では3つの主要議題
「電気事業を取り巻く全般
94年4月、日米欧などの電気事業者で組織す
的情勢」
「電気事業の自由化や規制緩和など電気事
る
「電気事業研究国際協力機構
(IERE)
」
の第20
業体制をめぐる動向」
「環境問題への対応」
について
回総会が名古屋で開催されました。総会には米
活発に討議され、
共同声明が採択されました。
ブラジル、
メキシコなど、
8
国、
カナダ、ユニペデ※、
環境問題について声明では、公的規制よりも電
カ国21人を含む約90人が参加し、
「環境とコスト
気事業者による自主計画が自然環境を維持するう
分析」
「新発電方式」
など電気事業全般にわたり
えで効果的かつ費用対効果の高い方法であるとし
6セッションに分かれ、各国の実情を報告し、意見
ました。
そして、気候変動問題の緩和のためには温
交換を行いました。日本からは各発電設備の製
室効果ガス排出量削減にあたり、複数の国による
造、運転、耐用年数などを考慮した、
CO2の排出
共同実施という形での国際協力が不可欠であると
量の数値解析結果を報告しました。
いう認識を示しました。
また電磁界
(EMF)
について
は、
これまでの調査・研究では健康との間に有意な
※ユニペデ イギリス、
オランダ、
フランス、ベルギー、
ドイツ、スペイン、
イタ
リア他21カ国と準会員14カ国の電気事業者で構成される
「欧州発送配電事
業者連合」
57
第2部/社会と協調して地球を守るための3題
第6題 世界との協調
先進技術・情報を世界の国々と共有する
《フランス電力公社と交流協定を締結》
当社は、
94年12月、
フランス電力公社と交流協
互訪問や専門家・研修生の相互派遣等の人的交
定を締結しました。交流協定では、経営全般に関
流を行っていくこととしています。
する情報・資料・論文等の相互提供、経営層の相
フランス電力公社の概要(93年末現在)
●本社 パリ市
●発電設備容量
●総裁 フランソワ・アユレ氏
原 子 力
5,
765万kW (59%)
水 力
2,
330万kW (24%)
火 力
1,
715万kW (17%)
合 計
9,
800万kW(100%)
●形態 フランスの電気事業の大部分を担当する
国有企業で発送配電および電力輸出入を行う
●契約口数 2,
900万口
●従業員数 118千人
●CO2排出量比較(総発電電力量当たり、
92年度)
●発電電力量 年間 4,
238億kWh
当 社
フランス電力公社
0.12kg-C/kWh
0.02kg-C/kWh
国際環境技術移転研究センター(I
CETT)
を通じた国際協力実績
91年度
92年度
93年度
94年度
研修生受入件数
4
(37)
6
(58)
7
(89)
6
(85)
専門家派遣件数
1
(1)
1
(1)
1
(1)
1
(1)
91年度
92年度
93年度
94年度
研修生受入件数
5
(26)
8
(45)
10
(39)
7
(31)
専門家派遣件数
1
(1)
1
(1)
3
(3)
2
(3)
※注( )
は受入・派遣人数
海外電力調査会を通じた交流の実績
※注( )
は受入・派遣人数
WANOを通じた交流実績
91年度
相互訪問
セミナー
相互診断
─
92年度
ウクライナ
チェルノブイリ発電所(受入)
アメリカ
ハッチ原子力発電所(訪問)
2回
3回
2回
─
台湾 金山発電所
─
メキシコ ラグナベルデ原子力発電所
日本原子力発電(株) 東海第二発電所
今後とも、地球環境問題に各国と協調して取り
組むために、
より活発な国際交流を推進したいと
58
同左(訪問)
94年度
2回
WANO:世界原子力発電事業者協会
考えています。
93年度
Ⅲ
資料編
59
資料編
1
環境指標
化石燃料の燃焼による国別CO2排出量(91年)
(炭素換算)
その他30.8%
アメリカ23.3%
58.9億 t
旧ソ連16.7%
フランス1.9%
イタリア1.9%
カナダ2.0%
イギリス2.8%
ドイツ
4.4% 日本
5.0%
中国11.2%
出典:OECD Environmental Data 1993より作成
一人当たりのCO2排出量の各国比較(91年)
(炭素換算)
アメリカ
カナダ
旧ソ連
ドイツ
イギリス
日本
ポーランド
南アフリカ
イタリア
フランス
韓国
メキシコ
中国
インド
世界平均
5.33
4.15
3.36
3.31
2.73
2.40
2.20
1.96
1.90
1.79
1.65
1.07
0.60
0.22
1.09 0
1
2
3
4
5
出典:オークリッジ国立研究所二酸化炭素情報分析センター(アメリカ)推計値より作成
二酸化炭素排出量算定法がわが国の方式と違うため、若干数値が異なる
日本の部門別CO 2排出量(90年度)
(炭素換算)
その他4%
運輸部門18%
電気事業者25%
3.18億t
民生部門11%
自家発電等8%
産業部門34%
出典:「地球温暖化対策技術評価検討会報告書」環境庁より作成
60
6(トン/人)
日本の電源別発電電力量1kWh当たりのCO2排出量の比較(炭素換算)
300
(g-C/kWh)
270
250
200
200
燃料 運用 設備
188
150
100
58
50
53
36
35
34
25
0
設備利用率(%)
6
3∼6
5
石
炭
火
力
石
油
火
力
L
N
G
火
力
太
陽
熱
太
陽
光
海
洋
温
度
差
潮
流
風
力
波
力
地
熱
原
子
力
中
小
水
力
75
75
75
30
15
80
40
20
25
60
75
45
出典:電力中央研究所資料より作成 設備利用率:各プラントの1年間における稼働時間の割合 火力発電電力量1kWh当たりのCO2排出量の各国比較※(92年度)
(炭素換算)
0.30
(kg-C/kWh)
0.27
0.25
0.25
0.23
0.23
0.22
0.20
0.19
0.16
0.16
日本
中部電力
0.15
0.10
0.05
0.00
アメリカ ドイツ イギリス フランス カナダ イタリア
出典:OECD Energy Balancesより作成 火力発電電力量1kWh当たりのSOx・NOx排出量の各国比較※
12
(g/kWh)
11.0
10.8
10
8
SOX排出量
6.9
6.6
6.4
6.2
6
4
3.3
2
3.1
2.9
2.1
NOX排出量
2.4
1.6
0.34 0.40
0
0.16 0.19
アメリカ ドイツ イギリス フランス カナダ イタリア 日本 中部電力
(91年) (90年) (91年) (91年) SOx:91年 (89年) (91年) (91年)
NOx:90年
( )
出典:OECD Environmental Data 1993,
Energy Balances Of OECD Countries 1989-1990,1990-1991,1991-1992.より作成
日本は電気事業連合会調べ
※CO2、
SOx、
NOxの排出電源である火力発電を対象に、各国比較を行ったものです
61
資料編
1
環境指標
当社発受電電力量1kWh当たりのCO2排出量の推移(炭素換算)
1,300億kWh
1,225
1,200
200g-C/kWh
1,100
1,000
CO2排出量
900
800
117
700
100
600
500
発受電電力量
400
300
200
100
0
0
75
80
85
90
94年度
当社発電電力量1kWh当たりのSOx排出量の推移
3g/kWh
1,200億kWh
1,112
1,100
1,000
900
発電電力量
2
800
700
600
500
1
400
300
SOX排出量
200
100
0
0.11
0
75
80
85
90
94年度
当社発電電力量1kWh当たりのNOx排出量の推移
3g/kWh
1,200億kWh
1,112
1,100
1,000
発電電力量
900
2
800
700
600
500
1
400
300
NOX排出量
200
0.13
100
0
62
0
75
80
85
90
94年度
《参考》
当社の発
(受)
電電力量1kWh当たりのCO2、
SOx、
NOx排出量は、前頁のグラフの
とおり長期的には減少化の傾向を示しており、国際的にも低い値となっています。
これは、原子力発電をはじめとしたCO2、
SOx、
NOxを排出しない電源の開発、火力
発電熱効率の向上、環境負荷低減設備の採用等
「地球環境6題」
に掲げた対策全般
を積極的に推進してきたためです。
●CO2排出量について
(試算)
発電の際にCO2を排出しない大規模電源としては原子力発電と水力発電とがあり
ます。
これらの電源のCO2排出量低減効果を試算してみます。
《原子力の場合》
93年9月に営業運転を開始した浜岡原子力発電所4号機は、
93年度に約82億
kWh、
94年度に約74億kWh発電しました。仮にその発電電力量を火力発電で補っ
た場合を想定すると、発受電電力量1kWh当たりのCO2排出量は次のように試算
され、
CO2低減効果の大きいことがわかります。
CO2排出量
(単位g-C/kWh)
92年度
93年度
94年度
実績値
118
109
117
試算値
─
122
128
《水力の場合》
94年度は異常渇水の影響で水力発電電力量が計画値に比べ約38億kWh減少し
たため、その減少分を火力発電で補いました。
すなわち、異常渇水がなかった場合を想定すると、火力発電電力量は約40億k
Wh減少することとなり、
94年度の発受電電力量1kWh当たりのCO2排出量は実績
値117g-C/kWhに対し111g-C/kWhと試算されます。
火力発電熱効率を向上させることも、
CO2排出量低減に有効な手段です。
たとえば、最新鋭・高効率のLNG改良型コンバインドサイクル発電(熱効率48%程
度)
の発電電力量1kWh当たりのCO2排出量は101g-C/kWhと試算されます。
(94年度
当社火力発電平均熱効率:38.9%)
●SOx、
NOx排出量について
(試算)
94年度は猛暑と異常渇水の影響により、火力発電電力量が増加したため、
93年度
に比べて発電電力量1kWh当たりのSOx、
NOx排出量がわずかですが増加しました。
そこで、猛暑と異常渇水がなかった場合を想定すると火力発電電力量は約71億k
Wh減少することとなり、
94年度の発電電力量1kWh当たりのSOx、
NOx排出量は次の
ように試算されます。
これらの値は、諸外国と比較しても極めて低いレベルとなっています。
SOx、
NOx排出量
(単位g/kWh)
92年度
93年度
実績値
実績値
実績値
試算値
SOx
0.12
0.09
0.11
0.10
NOx
0.14
0.12
0.13
0.11
94年度
63
資料編
1
環境指標
火力発電熱効率の各国比較(92年)
アメリカ
33.0
旧西ドイツ
39.6
イギリス
34.5
フランス
35.7
カナダ
35.0
37.7
イタリア
日本
38.8
10
0
20
30
40%
出典:「海外電気事業統計」
(1994年版)より作成 ただし、イタリアのみ91年の数値による
送配電損失率の各国比較(92年)
5.6
アメリカ
3.9
旧西ドイツ
8.8
イギリス
7.0
フランス
カナダ
8.2
イタリア
6.9
日本
5.8
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9%
出典:「海外電気事業統計」(1994年版)より作成
環境関係の費用
(単位:億円)
92年度
93年度
94年度
環境対策部門人件費(環境対策専門スタッフの人件費)
20
21
21
環境関係各種調査費(環境アセスメント、モニタリング等の調査費)
24
25
22
研究費(エネルギー効率向上、公害防止対策等の研究費)
61
68
61
環境対策費(公害防止設備関係費、廃棄物処理費、電線類地中化推進費等)
1,585
1,804
1,855
費用合計
1,690
1,918
1,959
費用の種類
環境関係の投資額
投資の種類
92年度
93年度
94年度
公害防止関連投資(大気汚染、騒音・振動、水質、電波障害対策投資)
434
522
362
環境関連投資(緑化、電線類地中化、新エネルギー、発電所の地域共生化投資)
614
599
522
1,048
1,121
884
投資額合計
64
(単位:億円)
資料編
2
電気事業法改正の概要
改正の背景
●電力の利便性等を反映して需要は今後とも着実に増加
●夏季ピーク需要(最大電力)の高い伸びによって負荷率(設備稼働率)
が悪化
●内外価格差の指摘にともなう効率化の要請
改正の目的
「電力需要の増大、特に夏季ピーク需要の高い伸びに対応した安定供給を確保しつ
つ、
より効率的な電力供給体制を構築する。」
改正の概要
1 電気事業への競争原理の導入
[背景]
近年、需要地に隣接し、経済性に優れた中小規模の電源による発電事業、
または電
力小売り販売事業への参入の可能性が拡大
[改正の内容]
(1)発電部門への新規参入の拡大
●卸電気事業者
(発電・送電・配電を全て持つ電力会社に電気を卸売りする事業)
の
許可を原則撤廃
●電力会社の電源調達の方法として入札制度を導入
●卸託送(発電事業者が地元の電力会社以外に売電できるように電力会社の送電
線を使用すること)の原則自由化
(2)特定電気事業の創設
●再開発地域など特定の地点での電力小売り販売事業を新たに設定
2 料金規制の改善
[背景]
負荷率の悪化による電力会社の資本費の上昇傾向を抑えるため、お客さまの負荷平
準化を促進するような料金制度が必要
[改正の内容]
●夜間電力の活用など負荷平準化に資する料金について、お客さまが幅広く選択で
きるように、個別認可制から各種メニューの届出制に移行
3 自己責任原則の明確化による保安規制の合理化
[背景]
技術進歩による保安実績の向上と自己責任明確化の要請
[改正の内容]
●検査の簡略化など国の直接関与を必要最小限に限定・重点化
65
資料編
年代
3
環境年表
一般事項
60
社内事項
64.11 四日市火力発電所で乾式排煙脱硫法の試験
開始
66. 8 知多火力発電所1・2号機で当社初の原油生
だき本格実施
12 電気自動車の試作成功
67. 8「公害対策基本法」公布
68. 6「大気汚染防止法」公布
6「騒音規制法」公布
69.12 尾鷲三田火力発電所1号機で当社初の重油
専焼ボイラ用電気式集じん器運用
70
70.12 公害国会
(14の公害関係法案が可決・成立)
12「水質汚濁防止法」
公布
12「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」
公布
71. 6「悪臭防止法」
公布
7 環境庁発足
7 中央公害対策審議会発足
72. 5 初の
「環境白書」
発表
6「自然環境保全法」
公布
6 国連人間環境会議開催
7 四日市公害訴訟判決
70.12 全火力発電所で高流動点低硫黄重油対策工
事完了
12 企画部にLNG担当、火力部に排煙脱硫担当、
総合技術研究所に温排水担当を設置
72.10 全火力発電所に総合排水廃液処理装置設置
完了
73. 9 西名古屋火力発電所1号機で湿式排煙脱硫
装置の運転開始
74. 6 大気汚染防止法改正公布
(総量規制導入な
ど)
75. 7 ワシントン条約
(野生動植物の国際取引規
制)
発効
77. 7 通産省省議決定アセス通達
8 国連砂漠化防止会議開催
79. 6 資源エネルギー庁「発電所の立地に関する環
境影響調査及び環境審査の実施方針」通達
66
76. 4 尾鷲三田火力発電所1号機の排煙脱硫装置
の運転開始
(2号機は同年6月から運転開始)
77. 2 知多火力発電所2号機で無触媒排煙脱硝装
置の試験開始
78. 3 知多火力発電所5号機
(LNG)
の排煙脱硝装
置の運転開始
7 全火力発電所に流出油防止堤設置完了
年代
一般事項
社内事項
80
80. 9「地球的規模の環境問題に関する懇談会」
(環
境庁長官主宰)
設置
80. 3 知多火力発電所4号機
(重・原油)
の排煙脱硝
装置の運転開始
7 知多第二火力発電所新設に関する環境影響
調査書の公開周知を実施
81.10 四日市火力発電所4号系列および川越火力
発電所新設に関する環境影響調査書(環境
影響評価準備書)
の公開周知を実施
84. 2 尾鷲三田火力発電所3号機増設に関する環
境影響調査書
(環境影響評価準備書)
の公開
周知を実施
81. 4「環境影響評価法案」
国会提出(衆議院環境
委員会で採決に至らず。83年衆議院解散にと
もない審議未了・廃案)
84. 8「環境影響評価実施要綱」
閣議決定
85. 3 オゾン層保護のための
「ウィーン条約」
採択
86. 3 浜岡原子力発電所4号機増設に関する環境
影響調査書の公開周知を実施
4 碧南火力発電所新設に関する環境影響調査
書および同火力灰捨地に関する環境影響評
価準備書の公開周知を実施
87. 9 オゾン層保護に関する
「モントリオール議定書」
採択
88. 5「オゾン層保護法」
公布
89. 3 有害廃棄物の越境移動と管理に関する
「バー
ゼル条約」
採択
90
90. 8 IPCC
(気候変動に関する政府間パネル)
第一次報告書発表
10 地球環境保全関係閣僚会議で
「地球温暖化
防止行動計画」
を決定
91. 4「再生資源の利用促進に関する法律」
公布
92. 6「環境と開発に関する国連会議」
(UNCED)
開
催(リオデジャネイロ)
〔主要議題〕
「環境と開発に関するリオ宣言」
の採択
「アジェンダ21」
の採択
「森林原則声明」
の採択
「気候変動枠組条約」
への署名
「生物多様性条約」
への署名 93.11「環境基本法」
成立
11 中央環境審議会発足
12「アジェンダ21行動計画」
公表
90. 4「地球環境対策推進会議」
(委員長:副社長)
設置
4「地球環境対策技術開発特別チーム」
設置
92. 1 川越火力発電所3・4号系列増設に関する環境
影響調査書
(環境影響評価準備書)
の公開周
知を実施
1 知多火力発電所および知多第二火力発電所
出力増加に関する環境影響調査書の公開周
知を実施
93. 1「地球環境6題」
発表
4「地球環境対策推進員」
設置
6 二輪電気スクーターを商品化
(国内初)
6 新名古屋火力発電所7・8号系列設置に関する
環境影響調査書
(環境影響評価準備書)
の公
開周知を実施
67
資料編
年代
3
環境年表
一般事項
90
94. 3 気候変動枠組条約発効
12「環境基本計画」
閣議決定
95. 3 気候変動枠組条約第1回締約国会議開催
(ベルリン)
4「改正電気事業法」
成立
68
社内事項
9 第1回
「中部電力環境懇話会」
開催
12 河川水利用のスーパーヒートポンプシステムの
実証試験開始
94. 2 既設火力発電所
(知多火力3号機、四日市火
力1号機)
へ脱硝装置を設置
6「1994年版地球環境年報」
発表
10 浜岡原子力発電所5号機増設に関する環境
影響調査書の公開周知を実施
10 技術研究所内に
「エネルギー・環境実験棟」
を
新設
11 日米欧電力首脳会議開催
(名古屋)
12 川越火力発電所コミュニティ施設の建設計画
を公表
95. 6 電子ビーム照射式脱硫・脱硝システムの研究
成果を
「環境賞」
(
(財)
環境調査センター等主
催)
に応募し、
“優良賞”
を受賞
6「1995年版地球環境年報」
発表
資料編
4
パンフレット等環境関連刊行物
名称
内容
人とくらしと環境と
エネルギーづくりと環境との調和について紹介
森の中の仲間たち
火力発電所内の植物、鳥、昆虫などの生息状況についての調査報告
火力発電所の環境影響調査とは
火力発電所の環境アセスメントの内容について紹介
ん、酸性雨?
酸性雨の仕組みと対策について紹介
ん、地球温暖化?
地球温暖化の仕組みと対策について紹介
(ポケットブック)地球環境
−やさしさと慈しみをこめて−
地球環境年報(ダイジェスト版)
地球環境問題の概要と当社の取り組みについて紹介
当社の地球環境対策の活動実績について紹介
(ビデオ)美しい地球のために
−環境への取り組み−
当社の環境対策について紹介
(日本語版・英語版)
(ビデオ)地球きれいに
−地球の温暖化防止対策−
当社の地球温暖化防止対策について紹介
(日本語版)
69
資料編
5
中部電力環境懇話会委員の方々(95年6月現在)
樋口 敬二
名古屋大学名誉教授(座長)
青山 光子
名古屋市立大学名誉教授
池辺 幸正
名古屋大学工学部教授
大竹 一友
豊橋技術科学大学工学部教授
小笠原 昭夫 (財)日本野鳥の会評議員
奥野 信宏
名古屋大学経済学部教授
モンテ・カセム
立命館大学国際関係学部教授
佐田 榮三
京都大学名誉教授 佐藤 弘
信州大学繊維学部教授
志田 直正
静岡県立大学国際関係学部教授
高宮 浩美 (社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会中部支部理事
武田 明正
三重大学生物資源学部助教授
柘植 幸録
日本労働組合総連合会愛知県連合会会長
西出 勤
岐阜大学農学部教授
日比 英一
中部日本放送㈱論説委員長
森嶌 昭夫
名古屋大学法学部教授
横内 恭 (株)中日新聞社取締役編集局長
吉井 純行 (財)国際環境技術移転研究センター専務理事
70
〒461-91 名古屋市東区東新町1番地
TEL 052-951-8211㈹
本書についてのご意見、
お問い合わせは、
中部電力(株)環境部・地球環境グループ
または、企画室・企画グループまでお願いいたします。
資源保護のため再生紙を使用しています
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