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シビアアクシデント対策の実施 - 浜岡原子力発電所の今、これから
シビアアクシデント対策の実施 シビアアクシデント対策 追加で実施するシビアアクシデント対策 ◆当社は、原子力安全・保安院(当時)が公表した「東京電力株式会社福島第一原子力発電 所事故の技術的知見について」を踏まえて、「炉心損傷後の影響緩和策」について検討を 行ってきました。 ◆その結果、「放射性物質の大規模な放出の防止対策」、「格納容器の破損防止対策」を実 シビアアクシデントとは…燃料が溶けるなど、炉心が大きく損傷するような過酷事故 施することとしました。 ◆あわせて、非常用直流電源対策についても、強化をすることとしました。 ◆これらの対策の工事期間は2~3年程度と見込んでいます。 シビアアクシデント対策 放射性物質の大規模な放出の防止対策 ①フィルタベント設備の設置 フィルタを介して格納容器のベントを行うことで、放出される粒子状の放射性物質(セシウム等)を低減し、 長期の土壌汚染を防止します。 また、ベントによって格納容器を減圧し、格納容器破損も防止します。 格納容器の破損防止対策の概要 過圧による格納容器の破損や、過温による格納容器シール材の劣化を防止するため、以下の対策を実施 します。 ②格納容器ペデスタル注水ラインの設置 格納容器ペデスタル(格納容器下部)に落下した溶融炉心を冷却し、格納容器破損を防止します。 ③格納容器代替スプレイ機能の強化 溶融炉心等によって発生する蒸気を冷却(凝縮)し、格納容器破損を防止します。 ④格納容器トップヘッドフランジの冷却機能の確保 格納容器トップヘッドフランジ部を冷却し、格納容器破損を防止します。 (フランジ部からの水素等の漏えいを防止) ⑤長期冷却のための代替熱交換器の配備 既設の海水熱交換器を利用せず、格納容器を長期循環冷却し、格納容器破損を防止します。 (炉心損傷防止としても使用が可能) 非常用直流電源対策 ⑥蓄電池容量の増強 重要計器等に電源を供給できる時間を延長します。 ⑦重要計器等への個別専用電源の配備 可搬型の蓄電池や専用測定器で原子炉の水位や圧力などの測定を可能にします。 シビアアクシデント対策 今回実施するシビアアクシデント対策 排気筒 ④格納容器トップヘッドフランジの冷却機能の確保 格納容器トップヘッド フランジ 共用緊急時淡水貯槽 【高台】 使用済 燃料貯蔵 プール ⑥蓄電池容量の増強 原子炉 復水タンク ③格納容器代替 スプレイ機能の強化 取水槽 ①フィルタベント設備の設置 原子炉格納容器 熱交換器 ⑤長期冷却のための代替熱交換器の配備 ②格納容器ペデスタル注水ラインの設置 ⑦重要計器等への個別専用電源の配備 ①フィルタベント設備の設置 放射性物質の大規模な放出の防止対策 ◆格納容器の破損防止のため格納容器ベントが必要となります。この際に粒子状の放射性 物質(セシウム等)の放出を低減して土地の汚染を防止するため、フィルタベント設備を設 置します。 ◆これにより、粒子状放射性物質の放出を1/1000以下に抑えることができます。 格納容器の破損防止対策 ◆格納容器の圧力を減圧し、過圧による破損を防止します。 排気筒 原子炉 約11m フィルタ 水 格納容器 フィルタベント設備 約5m ②格納容器ペデスタル注水ラインの設置 ◆炉心損傷後、格納容器下部(ペデスタル)に落下した高温の溶融炉心を注水により冷却す ることで、コンクリート床の浸食や、溶融炉心とコンクリートの反応によって発生する非凝縮 性ガスの発生量を抑え、それにより格納容器の圧力および温度上昇を抑制し、格納容器の 破損を防止します。 ディーゼル駆動ポンプ 原子炉 → 溶融炉心 → 電動駆動ポンプ 格納容器下部注水配管 共用緊急時淡水貯槽【高台】 → ポンプ 復水タンク コンクリート 新設個所 格納容器 ③格納容器代替スプレイ機能の強化 ◆溶融炉心等によって発生する蒸気を冷却(凝縮)し、格納容器破損を防止します。 ◆従来の注水手段に加えて、電動駆動ポンプ、ディーゼル駆動ポンプ、可搬式動力ポンプ による注水が可能となります。 接続口 【高台】 共用緊急時淡水貯槽 格納容器 河川水、海水等 → 仮設耐圧 ホース 可搬式動力ポンプ等 → 新設個所 格納容器 スプレイ ディーゼル駆動ポンプ → 原子炉 原子炉 電動駆動ポンプ 復水タンク → ポンプ ④格納容器トップヘッドフランジの冷却機能の確保 ◆炉心損傷後、原子炉ウェルへ冷却水を注水し格納容器トップヘッドフランジ部(上蓋接合部) を冷却することで、フランジ部からの水素等の漏えいを抑制します。 ◆冷却機能の確保のための配管を接続し、また外部からの注水を可能とする外部接続口を 設け、注水手段の多様化を図ります。 格納容器 トップヘッドフランジ部 新設個所 【高台】 共用緊急時淡水貯槽 河川水 海水等 原子炉ウェル ガスケット → ポンプ → ディーゼル駆動ポンプ 原子炉 外部接続口 → 電動駆動ポンプ 原子炉 原子炉 復水タンク → ポンプ 原子炉ウェルへ冷却水を注水することにより、直接格納容器トップヘッドフランジ部 を外部冷却し過温を防止することで、ガスケットのシール機能を保ち、格納容器から の水素等の漏えいを抑制します。 炉心損傷後に圧力容器内部 が高温となり、格納容器トッ プヘッド部(上蓋)の温度が 上昇し、フランジ部ガスケット (接合部のシール材)が過温 により破損し、水素等の漏え いが発生する可能性があり ます。 ⑤長期冷却のための代替熱交換器の配備 ◆海水を取水する機能だけでなく、取水した海水で機器の冷却水を冷やす機能を喪失した場 合でも、冷却機能を確保するため代替熱交換器を配備します。 ◆代替熱交換器の追加により、炉心損傷発生時でも、余熱除去系ポンプと熱交換器による格 納容器の長期循環冷却を行い、格納容器の破損を防止します。 代替熱交換器 → 原子炉 余熱除去系 ポンプ 取水槽 水中ポンプ 海水取水ポンプ 余熱除去系 熱交換器 熱交換器 → 海へ ← ← 海水を取水する機能 取水した海水で機器の冷却水を冷やす機能 格納容器 ⑥蓄電池容量の増強 ⑦重要計器等への個別専用電源の配備 ⑥蓄電池容量の増強 ◆直流電源の枯渇によって、計器類の機能喪失や、弁の操 作ができなくなる可能性があることから、直流電源の強化と して蓄電池容量の大容量化を実施します。 ◆具体的には、不必要な負荷の切り離しを行わずに少なくと も8時間、さらに不必要な負荷の切り離しを実施した上で少 なくとも24時間の電源供給が可能な蓄電池容量とします。 蓄電池の例 ⑦重要計器等への個別専用電源の配備 直流電源 直流電源 信号 制御盤 測定器 (圧力、温度計等) 可搬型測定器 蓄電池 ◆直流電源が喪失した際に、原子 炉等の状態把握に必要な計器 について、直流電源を供給する ための蓄電池や専用の可搬型 測定器を配備します。 今後の対応 地震動について検討 ◆内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」は、2012年8月に第二次報告を行いました が、強震断層モデル等について点検・評価し、必要に応じ、修正するとしています。 ◆当社は、引き続き、同検討会の検討状況を踏まえて、浜岡原子力発電所における地震動の 評価および同発電所への影響に関する評価を進めてまいります。 使用済燃料乾式貯蔵施設 ◆当社は、使用済燃料乾式貯蔵施設を建設する計画を公表しておりますが、同施設につい ても、地震動の評価を行ったうえで、設計を進めてまいります。