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環境影響評価制度とその役割 (PDF文書)

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環境影響評価制度とその役割 (PDF文書)
環境影響評価制度とその役割
浅野直人
中央環境審議会会長代理、福岡大学名誉教授
あさの





なおひと 経歴
宇部高校卒、1966年九州大学法学部卒
九州大学大学院、同助手をへて、1972年から福岡大学法学
部に勤務。
1980年福岡大学法学部教授、2014年定年退職(現在は福
岡大学法科大学院特任教授)
中央環境審議会会長代理(環境影響評価制度小委員会委
員長)、福岡県環境審議会会長、北九州市環境審議会会長
福岡市環境審議会会長、環境法政策学会理事長代理など(
いずれも現職)。
著書「環境影響評価の制度と法」「環境リスク管理の法」など
多数。
アセスの目的
 持続可能な社会の形成
 環境負荷の低減=環境の保全
・環境汚染の防止
・自然の保護
低炭素社会・循環型社会
生物共生社会
意思決定と環境アセス
意思決定の流れ
環境アセスの流れ
よりよいアセスシステムの前提
 環境管理の目標についての合意があるこ
と
 政策(意思)決定への環境配慮の必要性
についての理解・合意があること
 政策(意思)決定手続が明確であること
 環境の調査・予測・評価の科学的支援が
あること
環境アセスメントシステムとその機能
意思決定の支援のサブシステム
 情報把握・解析機能



「環境」の把握
「環境変化」の予測
「環境」の評価
 情報収集・調整機能
 情報発信機能*対意思決定者(環境保全措置への誘
導)*対ステークホルダー(情報提供への誘導)
 合意形成機能
 環境負荷低減への規制的機能
どのような「制度」にするかによって機能が
異なる
意思決定システムの諸相
 公共政策・施策の決定
 事業者の意思決定
 許認可の決定、補助金交付の決定
アセス制度のタイプ
 事業者アセス
内部手続き
+情報開示
+意見徴収
+外部審査
 第三者アセス
手続き要件型
自主的取組
要綱・ガイドライン
法制度
手続き型
許認可要件型
禁止解除要件型
規制型
配慮書手続き
スクリーニング手続き
スコーピング手続き(方法書)
準備書の手続き
評価書の手続き
報告書の手続き
NEPA(1969年)


National Environmental Policy Act
連邦政府の政策・事業、補助事業など連邦政府の
関与するすべてのプログラムについて
原則として、環境影響評価を義務付け
□適用除外の場合以外は、詳細なアセスメントの要
否を検討、必要なものにアセスメントを実施
□結果は公表、決定に反映
日本の大規模開発の歴史
 1959年 四日市コンビナート操業開始
 1962年 ばい煙等規制法制定
 1964年 三島・沼津:政府等調査団に
よる公害事前調査。同年、事業断念。
 1967年 公害対策基本法制定
 1970年 公害国会
 1971年 環境庁発足
 1972年 四日市公害訴訟判決
日本の環境影響評価の歴史(その1)
 1969年 米国NEPA制定
 1972年 「各種公共事業の環境保全対策について」
(閣議了解)
 1973年 港湾法、公有水面埋立法改正
 1976年 川崎市環境影響評価条例制定
 1976年
むつ小川原開発総合開発計画第2次基本計画に係る環境
影響評価実施についての指針(環境庁)
 1977年 発電所アセス(通産省省議決定)
 1977年
児島・坂出ルート本州四国連絡橋事業の実施に係る環境
影響評価基本指針(環境庁)
 1978年 建設省所管事業アセス(事務次官通達)
 1978年 北海道環境影響評価条例制定
 1979年 整備5新幹線アセス(運輸大臣通達)
日本の環境影響評価の歴史(その2)
 1979年 中央公害対策審議会「環境影響評価制
度のあり方について」答申(諮問1975年)
 1981年 旧「環境影響評価法案」国会提出
(1983 法案は廃案に)
 1984年 「環境影響評価の実施について」
(閣議決定)
 1992年
リオ・地球サミット
 1993年
環境基本法制定
 1994年
第一次環境基本計画策定
 1997年
環境影響評価法公布(1999年 全面施
行)
アセス法の背景

閣議アセス実施の実績

環境基本法(1993年)19条・20条の規定
(環境配慮

開発事業でのアセス制度整備)
環境基本計画(1994年)による環境政策・施策
の体系化
環境基本法19条
国は、環境に影響を及ぼすと認められる
施策を策定し、及び実施するに当たっては、
環境の保全について配慮しなければならない。
環境アセスメント制度

環境基本法20条
国は、土地の形状の変更、工作物の新設
その他これらに類する事業を行う事業者が、
その事業の実施に当たりあらかじめその事業
に係る環境への影響について自ら適正に調査、
予測又は評価を行い、その結果に基づき、そ
の事業に係る環境の保全について適正に配慮
することを推進するため、必要な措置を講ず
るものとする。
環境影響評価法
「土地の形状の変更、工作物の新設等の事業
を行う事業者がその事業の実施に当たりあらか
じめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極
めて重要であることにかんがみ、環境影響評価
について国等の責務を明らかにするとともに、
規模が大きく環境影響の程度が著しいものとな
るおそれがある事業について環境影響評価が適
切かつ円滑に行われるための手続その他所要の
事項を定め、その手続等によって行われた環境
影響評価の結果をその事業に係る環境の保全の
ための措置その他のその事業の内容に関する決
定に反映させるための措置をとること等により、
その事業に係る環境の保全について適正な配慮
がなされることを確保」するもの
現行制度の対象事業













高速自動車道路、都市高速道路、一般国道(4車線)、大規模林道
ダム、堰、湖沼水位調整施設、放水路
新幹線鉄道、普通鉄道、軌道
飛行場
水力発電所、火力発電所、原子力発電所、風力発電所
廃棄物最終処分場
公有水面埋立・干拓
土地区画整理事業
新住宅市街地開発事業
工業団地造成事業
新都市基盤整備事業
流通業務団地造成事業
宅地(工業用地を含む)の造成事業
法に基づく環境影響評価の実施状況
(H26.3.31現在)
手続終了 手続中止
手続
実施数
環境大臣
意見 *
事業種
手続中
道路
14(0)
59(20)
9(1)
79(21)
61(21)
河川
1(0)
6(0)
1(0)
8(0)
7(0)
鉄道
4(1)
12(3)
2(0)
18(4)
13(3)
飛行場
1(0)
8(0)
1(0)
10(0)
8(0)
発電所
99(63)
55(15)
15(6)
169(85)
68(24)
処分場
2(0)
4(1)
-
6(1)
-
埋立
3(0)
12(2)
2(1)
17(3)
5(0)
面整備
2(0)
14(7)
5(2)
21(9)
15(8)
合計
122(64)
165(48)
34(10)
321(122)
174(56)
(注)括弧内は途中から法に乗り換えた案件で内数。2つの事業が合わせて実施されたものは1件とした。
* 大臣意見数には「特に意見はない」とした事業数を含む
閣議(要綱)アセスメント制度
事業計画の構想
環境配慮
事業計画の具体化
環境配慮
事業実施計画の準備
環境配慮
アセス手続
事業実施計画の決定
環境配慮
アセス手続
環境配慮
監視・モニタリング
環境配慮
モニタリング
事業の施工・実施
事業の供用開始
環境影響評価法(現行法)によるアセスメント制度
事業計画の構想
事業計画の具体化
環境配慮
アセス手続
事業実施計画の準備
環境配慮
アセス手続
事業実施計画の決定
環境配慮
アセス手続
環境配慮
監視・モニタリング
環境配慮
事後調査・モニタリング
フォローアップ
事業の施工・実施
事業の供用開始
環境影響評価法(制定時)によるアセスメント制度
事業計画の構想
環境配慮
アセス手続
事業計画の具体化
環境配慮
アセス手続
事業実施計画の準備
環境配慮
アセス手続
事業実施計画の決定
環境配慮
アセス手続
環境配慮
監視・モニタリング
環境配慮
事後調査手続
事業の施工・実施
事業の供用開始
フォローアップ
要綱アセス
法アセス
対象の固定化
 全科目必須
 合否判定型アセス(定
量的評価基準・評価
項目の固定化)

関係地域住民意見聴
取






対象の柔軟化
選択科目の導入
よりよい計画のための
アセス(定性的評価の
許容・評価項目の弾
力化:不確定性の許
容と事後評価導入)
多様な意見聴取
再アセス導入
アセス法の考え方
理念
よりよい事業計画
づくりを目指す
新しい環境政策
ニーズに対応する
(生態系、地球環境等)
課題
事業計画の早い
段階から検討
「よりよい事業計
画」を評価
アセスの範囲や内
容の拡大に対応
画一的評価になじ
まない項目の評価
制度改革
スコーピング
(方法書手続)
の導入
新しい評価の
考え方
(複数案の比
較検討など)
電気事業連合会の環境法政策学会シンポジウムでの発表による
・
・
・
・
・
・
・
2005 基本的事項改正告示
2007.4 戦略的環境アセスメント導入のための
共通ガイドライン
2008.6 第二次環境影響評価総合研究会
2009.7 同報告公表
2009.9 中央環境審議会環境影響評価制度専門委員会審
議開始
2010.2 中央環境審議会で法改正を答申
2010.4 環境影響評価法改正案国会提出
(参院で可決、衆院で継続審議、秋の臨時国会で衆院可決、再度参院で
継続審議、2011年4月、参院・衆院で可決)
・
2011.4.27 環境影響評価法の改正法公布
・ 2011.11.12 改正政令公布
・ 2013.4.1 改正法全面施行(配慮書・報告書制度導入、風力発電へ
アセス適用)
対象事業の拡大
風力発電所の設置又は変更(法2条2項ワ)
風力発電事業による主な環境影響の状況(1/3)
○ 騒音・低周波音
○ 景観
64か所の風力発電所において苦情等が発生
総出力別の苦情等の発生状況(最寄り苦情者
宅までの距離が600m以内):
•5,000kW~1万kW : 27%で苦情等が発生
•1万kW~1.5万kW : 38%で苦情等が発生
•1.5万kW~2万kW : 44%で苦情等が発生
•2万kW~3万kW : 69%で苦情等が発生
風力発電所から最寄り住宅までの距離:
•300m未満 : 107か所(28%)
•300m~500m : 91か所(23%)
•500m~1,000m : 112か所(29%)
•1,000m以上 : 72か所(19%)
(箇所)
(箇所)
A風力発電所
20kW以上~500kW未満
(定格出力)
1,000kW以上
60
60
12
50
50
33
15
施 40
40
設
数 30
30
64
46
17
13
15
33
38
9
12
7
500kW以上~1,000kW未満
500kW以上~1,000kW未満
8
9
13
17
7
7
4
7
38
20
20
00
眺望景観の中で複
数の風力発電所が
視認される例(下)
(定格出力)
70
70
10
10
近隣の住宅から見
た風力発電設備の
例(右)
3
4
4
3
42
4
30
30
30
1,000kW以上
20kW以上~500kW未満
8
30
4
8
3
6
15
15
6
3
2
3
14
14
3
2
42
2
2
11
11
2
2
2
28
82
2
8
4
1
2
15
15
2
1
D風力発電所
1
24
42
1
(m)
(m)
出典 環境省
B風力発電所
出典 環境省
C風力発電所
(いずれも愛媛県佐田岬) 38
風力発電事業による主な環境影響の状況(2/3)
○土地改変(動植物・生態系への影響、水の濁りの影響)
○バードストライク
尾根等での風
力発電設備、建
設に伴う道路付
設等により、自
然環境への影
響や土砂流出
等の懸念
(参考)
土地改変面積の
スケール感
出典 当該風力発
電所に関する
ホームページ
・火力発電15万kW
当たり3.3ha程度
・風力発電1万kW
当たり5ha前後
判明している限り、オジロワシ(※)の傷病原因の第2位が「風車衝突」(北海道内)
( 個体)
45
40
39
35
30
25
24
15
5
可能性が高い
可能性が高い
死因判明
要因判明
28
20
10
38
17
18
12
6
0
出典 環境省
※オジロワシは、絶滅危惧ⅠB類(環境省レッドリスト)、国内希少野生動植物種(種の保存法)、天然記念物(文化財保護法)に該当。
出典 環境省
39
風力発電事業による主な環境影響の状況(3/3)
規模要件の指標について
• 原発除く発電事業は、指標として総出力を設定。
• 基数も候補となりうるが、近年の大型化の傾向に対応不能。
「制度の整合性や簡便性の観点
を踏まえ、総出力を指標とするこ
とが適当。」
規模要件の水準について
【条例との関係】 法未満の要件が設定されないケースもある
ため、ナショナルミニマムとしての水準を設定すべき。
【自主取組との関係】 NEDOマニュアル(1万kW以上)との継
続性を考慮すべき。
【苦情等の発生】 騒音・低周波音に関する苦情は、1万kWか
ら4割近くに増加。
【動植物・生態系への影響】 立地場所の動植物の脆弱性の
観点で風力と類似する地熱発電(1万kW)を参考とすべき。
火力の土地改変面積(5ha)と対応する風力の規模(1万
kW)を考慮すべき。
【カバー率との関係】 法成立時の他の発電事業のカバー率
(火力97%、水力84%)を参考とすべき(風力1万kW:80%)。
【エネルギー政策との関係】 エネルギー基本計画における導
入目標を達成できる水準が必要。震災の影響も考慮すると、
2万、3万ないし5万kWとすべき。
【騒音・低周波音】 1基から現に健康被害の訴えが生じている。
【鳥類】 1,000~2,000kW以上から希少種の衝突死の事例あり。
「環境影響の程度が著しいものと
なるおそれがある規模として1万
kWとすることが適当。・・・
ただし、再生可能エネルギーの導
入促進の観点から2万kW以上と
すべきとの意見もあった。
また、騒音・低周波音やバードス
トライク等の影響が現に生じてい
ること等の理由から、5,000 kW又
はそれ以下とすべきとの意見も
41
あった。」
環境影響評価の対象範囲及び項目の選定等の基本的考え方について
【環境アセスの対象範囲】
【評価項目の具体例
<風力発電所における従来の対象事業実施区域の例>
騒音・低周波音
景観
シャドーフリッカー
出典 NEDOマニュアル
これに加え、他の発電事業と同様に
取付道路や土捨て場を含める
• 工事に伴う環境影響も対象(供用時の影響に
限定しない)。
• 環境影響を受けるおそれのある自治体を広く
設定して意見聴取。
動物、植物、生態系
地域特性等に応じて評価項目を絞り
込み、効果的・効率的な環境アセスを
行うことが重要。
42
過去の風力発電事業の環境影響審査案件における
環境大臣意見の例
津軽十三(じゅうさん)湖(こ)風力発電事業
○事業者 くろしお風力発電株式会社
○位 置 青森県五所川原市、中泊町、つがる市
○出 力 34,500kW(2,300kW級風力発電設備15基)
対象事業実施区域
五所川原市
中泊町
つがる市
43
○ 準備書に環境大臣意見(平成24年12月) 《経過措置案件》
意見項目
意見の概要(主なもののみ)
事業計画の
○ガン・カモ・ハクチョウ類等の主要な渡りルート及び飛来地
見直し
として、また、オジロワシ等希少猛禽類等の生息環境としての
重要性、マガン等の渡り鳥に対する衝突確率の予測結果から、
特にマガン等の渡り鳥に対する影響は著しい蓋然性が高く、環
境影響の回避・低減は不十分であり、対象事業実施区域の位置
の変更を基本として、事業計画の見直しを行う必要。
動植物
○影響を可能な限り回避・低減する観点から、風力発電設備等
の配置や渡来期の稼働停止等を含めて環境保全措置を再検討す
るとともに、鳥類等の衝突に関する予測については、不確実性
が大きいことから、事後調査を実施すること。
景観
○津軽国定公園に隣接していることから、津軽国定公園の利用
施設計画が存在する箇所については、主要な展望地として設定
し、適切な調査、予測及び評価を行うこと。
44
猿払(さるふつ)村及び浜頓別(はまとんべつ)町におけ
る風力発電事業
○事業者:エコ・パワー株式会社
○位 置:北海道猿払村及び浜頓別町
○出 力:250,000kW(1地区最大50,000kW)
B区域
C区域
D区域
クッチャロ湖
(ラムサール湿地)
E区域
45
○配慮書に対する環境大臣意見(平成26年4月)
意見項目
意見の概要(主なもののみ)
事業計画の
○ 5 箇 所 の 事 業 実 施 候 補 区 域( A 区 域 -E 区 域 )の う ち 、B 区 域・
見直し
C区域については渡り鳥の飛行経路の下等を、E区域について
は、猛禽類の生息環境(繁殖地、生息地、餌場等)等を避ける
と と も に 、調 査 予 測 の 結 果 、重 大 な 環 境 影 響 が 生 じ る 場 合 に は 、
事業実施候補区域の選定から除外する等、計画の見直しをする
こと。
動植物
○鳥類、重要な動植物類等の状況を把握し、影響がある地点を
避けること。
景観その他
○その他の環境要素(景観、重要な地形や地質、人と自然との
触れ合いの活動の場、風車の影等)の影響についても配慮する
こと。
46
し う ら
3.市浦風力発電事業
〇事業者
〇位 置
〇出 力
株式会社ユーラスエナジー
青森県五所川原市岩井牧場及び実取牧場周辺地域
最 大 34,000~ 51,000kW
( 2,000~ 3,000kW 級 風 力 発 電 機 を 17 基 設 置 )
47
○準備書に対する環境大臣意見(平成24年9月)
意見項目
騒音
《経過措置案件》
意 見 の概 要 (主 なもの のみ)
○周 辺 の住 居 等 の状 況 を 踏 まえ、騒 音 の調 査 ・予 測 地 点 を 追 加 す るこ
と。
○住 居 等 までに 距 離 が短 い ことなどから、風 力 発 電 設 備 等 の 配 置 等 を
含 めた環 境 保 全 措 置 に つ いて再 検 討 するとともに 、その低 減 効 果 につい
て記 載 すること。
低周波
○最 近 接 の 住 居 まで の距 離 が約 380m であり 、環 境 影 響 が懸 念 さ れる こ
音 ・風 車
とから、低 周 波 音 及 び 風 車 の影 を 評 価 項 目 として選 定 し、重 点 的 な環
の影
境 影 響 評 価 の実 施 を 検 討 すること。
動植物
○動 物 及 び植 物 の 調 査 が四 季 を 通 じて実 施 されていない ことから、適 切
な時 期 において 追 加 調 査 を 実 施 すること。
意見聴取
○景 観 、希 少 野 生 動 物 等 への影 響 に ついては、 立 地 する 自 治 体 の みな
のやり 直 し
らず、広 範 な範 囲 に おいて影 響 が及 ぶ おそれがあることから、必 要 に 応 じ
て五 所 川 原 市 周 辺 の 自 治 体 及 び 住 民 等 に 対 する情 報 提 供 及 び 意 見
聴 取 を 実 施 し、当 該 意 見 を 踏 まえ、評 価 書 を 作 成 すること。
48
横浜町風力発電事業
〇事業者 日本風力開発株式会社
〇位 置 青森県上北郡横浜町雲雀平及び吹越地区周辺
〇出 力 最大42,000kW(2,000kW級風力発電機を21基設置)
49
○準備書に対する環境大臣意見(平成24年9月)
《経過措置案件》
意見項目
意 見 の概 要 (主 なもの のみ)
複 数 の事 業 の
○周 辺 に 複 数 の事 業 計 画 が存 在 し、工 事 中 及 び供 用 時 に 騒 音 や
複合的影響
低 周 波 音 、景 観 、動 植 物 等 への影 響 が複 合 的 なものになるおそれ
があることから、必 要 に 応 じて、 周 辺 に おける風 力 発 電 事 業 の計 画
を 踏 まえ、環 境 影 響 評 価 を 実 施 すること。
騒 音 ・低 周 波
○住 居 等 までに 距 離 が短 く、騒 音 ・ 低 周 波 音 が著 しく 増 大 すること
音
が予 測 されていることから、風 力 発 電 設 備 等 の 配 置 等 を 含 めた環
境 保 全 措 置 に つ いて再 検 討 するとともに、その低 減 効 果 につ いて
記 載 すること。
動植物
○動 物 及 び植 物 の 調 査 期 間 が夏 期 のみ であることから、適 切 な時
期 に おいて追 加 調 査 を 実 施 すること。
50
(仮称)潟上海岸における風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環
境大臣意見
事業実施想定区域及びその周辺には、日本の地形レッドデータブックで重要な地形・
地質に選定されている「秋田(天王)砂丘」が広く分布し、同砂丘内に位置する本事業
実施想定区域の大部分を占める県有保安林(飛砂防備保安林、防風保安林及び保
健保安林)のクロマツ林内では、猛禽類のオオタカやミサゴの営巣が確認されており、
工事中及び供用時における重大な影響が懸念される。また、事業実施想定区域の北
東側には、ラムサール条約湿地潜在候補地の「大潟村干拓地」が広がり、ヒシクイや
マガン等の重要な鳥類の飛来地(越冬地・中継地)となっていることから、それらの鳥
類が、事業実施想定区域を通過する可能性が懸念される。
さらに、事業実施想定区域の周辺東側には、多数の住居や学校等の配慮が特に必
要な施設が存在することから、特に山側に風力発電設備を配置する案(以下「山側
案」という。)における騒音等や風車の影による影響が懸念されるとともに、事業実施
想定区域周辺においては、他事業者による風力発電所が設置済み、環境影響評価
手続中又は事業計画段階であることから、累積的な環境影響が懸念される。
累積的な環境影響について適切な予測及び評価を行い、その結果を踏まえ、風力
発電設備及び取付道路等の付帯設備の構造・配置又は位置・規模を検討すること。
51
(1)騒音等の影響
住居等への環境影響を回避、低減するよう、住居等から離隔すること。離隔できず重大
な環境影響を回避、低減できないと判断した場合には、風力発電設備を配置しない等の
適切な措置を講ずること。
(2)風車の影の影響
風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、住居等への影響について調査、予測及
び評価を行い、その結果を踏まえ、住居等への環境影響を回避、低減するよう、可能な
限り住居等から離隔すること。
(3)鳥類に対する影響
風力発電設備への衝突事故等によるこれら猛禽類への重大な影響を回避又は極力低
減すること。重大な影響を回避又は極力低減できないと判断した場合には、当該営巣
区域周辺に風力発電設備を配置しない等の適切な措置を講ずること(以下略)。
(4)生態系に対する影響
事業実施想定区域の無立木地や既存道路を有効活用することにより、土地の改変面
積を最小限に抑えること。
また、事業実施想定区域は、年間を通じて日本海からの卓越風の影響を強く受けてい
ることから、当該クロマツ林の伐開面積を最小限に抑え、伐開により生じるおそれのあ
る風の吹き抜けや、新たに生じた林縁部分が乾燥や強風等の害を受けることによるク
ロマツ林の劣化等の影響を回避又は極力低減すること(以下略)。
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改正事項1:交付金事業を対象事業に追加
【現状】
・補助金が交付金化
【必要性】
【改正事項】
交付金事業を対象事
業に追加
・交付金化により、これまで法対象だっ
た事業が対象外となる可能性
(対象事業に関するその他の方向性)
【現状】
・風力発電アセスは一部自治体が
条例・要綱で義務付け
・NEDOマニュアルの自主的なアセス
【必要性】
・風力発電事業の大幅な増加
・騒音等への苦情・鳥類への被害
(自主アセスでは住民参加が不十分との指摘)
【方向性】
風力発電所を対象事
業に追加
(政令改正事項)
改正事項2:計画段階配慮書の手続の新設
戦略的環境アセスメント(SEA)とは・・・
一般的に個別の事業実施に先立つ「戦略的な意思決定段階」、すなわ
ち、個別の事業の実施に枠組みを与えることになる計画(上位計画)
や政策を対象とする環境アセスメント
【現状】
・一部自治体の条例等で導入
【改正事項】
・環境省の作成したSEA導入ガイド
ラインによる取組推進
計画段階配慮事項の手続
の新設
【必要性】
:事業の検討段階におい
て環境影響評価を実施
・事業実施段階では枠組が決定されて
いて、柔軟な環境保全の視点が
困難な場合がある
(例えば、より有効な生物多様性保全策が
選択される可能性が低くなるとの指摘)
【留意点】配慮事項の選定や調査、予
測及び評価の手法、意見聴取の措置に
ついては、環境省告示及び主務省令に
おいて規定。
改正事項3:方法書における説明会の開催の義務化
【現状】
・方法書段階での説明会開催は義務
付けられていない
【必要性】
・方法書の分量が多く、専門的
(例えば、コミュニケーション不足と
の指摘)
【改正事項】
方法書段階における
説明会の開催を義務
化
改正事項4:方法書における主務大臣助言への環境大臣意見
【現状】
・環境大臣意見は評価書の段階で述
べられる
【必要性】
・方法書段階で環境大臣の意見提出
の仕組みがない
【改正事項】
評価項目等の選定段
階における主務大臣
助言への環境大臣意
見を規定
改正事項5:電子縦覧の義務化
【現状】
・全国どこに住んでいる住民でも意見が
提出できる仕組み
【必要性】
・行政手続電子化の進展
・アセス図書は紙媒体で、事業実施地域
でしか縦覧されていないケースが多い
【改正事項】
電子縦覧の義務化
【留意点】電子化に伴い想定される問
題点(希少種情報や安全保障等)につ
いて整理・議論は必要。ただし電子化
を行った事例調査では特段の問題なし。
改正事項6:政令で定める市から事業者へ直接の意見提出
【現状】
・市町村長意見を踏まえて都道府県知事
が事業者に意見を提出
【必要性】
・地方分権の進展
・都道府県も市も条例を有する場合に審
査スケジュールが困難
【改正事項】
政令で定める市から
事業者への直接の意
見提出
【留意点】都道府県は広域的な観点から引
き続き意見提出できる仕組みが必要。
改正事項7:評価書における環境大臣の助言
【現状】
・事業の許認可権者が地方自治体の場合、
環境大臣の意見提出の仕組みがない
【必要性】
・例えば、公有水面埋立事業で、アセス
が不十分との指摘
【改正事項】
許認可権者である地
方自治体の長が意見
を述べる際に、環境
大臣に助言を求める
よう努力
(評価書に関するその他の方向性)
【現状】
・特に専門的知見が必要な案件に関して
は、外部有識者の知見を得て調査・検討
【必要性】
・環境大臣意見形成過程の透明性確保
【方向性】
環境大臣意見に係る
学識経験者の活用に
ついて措置
(下位法令)
改正事項8:環境保全措置等の結果の報告・公表
【現状】
・予測の不確実性が大きい場合等は、
事業者は事後調査を行う
・事後調査報告・公表の仕組みがない
【必要性】
・事後調査等の状況を住民や行政が
確認できない
(例えば、移植の失敗等が確認できず、生物
多様性保全が確保できないとの指摘)
【改正事項】
環境保全措置等の結
果の報告・公表
(評価書に盛り込ま
れた調査事項等に関
する事業着手後の状
況の公表等)
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