Comments
Description
Transcript
省エネルギー技術戦略2011の概要
省エネルギー技術戦略2011の概要 戦略策定の趣旨 「エネルギー基本計画」に掲げる2030 年に向けた目標の達成に資する省エネルギー技術開発と、それらの技術の着実な導入 普及及び国際展開を推進し、世界最高水準の省エネルギー国家の実現と経済成長を目指すための指針。 広範・多岐に渡る省エネルギー技術は、重点化が必要であり、真に省エネルギーの推進に貢献する重要分野を特定。 省エネルギー技術戦略2011 のポイント 産業 (1)重点的に取り組むべき重要技術を選定し、ロードマップを策定。 【選定基準】 ① 2030 年において大きな省エネ効果を発揮する技術 ② 組合せや新たな切り口により大きな省エネ効果を発揮する ○ZEB・ZEH システム ○省エネ型情報 ③ 長期的に大きな効果や広範な適用が見込める技術 機器・システム (2)「技術戦略マップ」(省エネ部分)と統合し利便性を向上。 (3)システム化による全体最適や、従来にない視点・切り口から、 新たな省エネの可能性を明示。 ○快適・省エネ ヒューマンファ クター ○定置用燃料電池 重要技術 ○エクセルギー損失最小化技術 ○省エネ促進システム化技術 ○省エネプロダクト加速化技術 部門横断 ○次世代型ヒートポンプ システム ○パワーエレクトロニクス ○熱・電力の次世代ネット ワーク 家庭・業務 ○次世代自動車 ○ITS ○インテリジェ ント 物流システム 運輸 今後の展開 【戦略推進上の課題】 開発支援のあり方や社会的制約、国際競争力を持つ省エネルギー技術の維持強化、省エネルギー技術の普及促進等。 【公的支援のあり方】 事業化までのシナリオと一体化した技術開発の促進、技術シーズやアイデアの発掘・育成、技術等のシステム化と異業種間連 携の推進、長期的視点に立った最先端技術に対するアプローチ等。 【国際競争力の維持・強化に向けて】 海外市場で勝負できる「卓越した技術」、国内の産業基盤の維持、国際標準化、コア となる技術が海外に模倣されない工夫、 ジャパンブランドの海外での浸透、我が国の卓越した技術の正当な評価等が肝要。 1 【重要技術(1/4)】 別紙1 産業部門 エクセルギー損失最小化技術 省エネ促進システム化技術 省エネプロダクト加速化技術 様々な製造プロセス内で使用されている エネルギーの利用形態をエクセルギー (有効仕事)の利活用という面から見直し て、エクセルギー損失の最小化を目指す 技術 技術の組み合わせや新たな切り口による 仕組み等(蓄熱や熱輸送を用いた熱活用 の柔軟化等)により、大きな省エネルギー を促進すると期待される技術 その製造プロセス自身では大幅な省エネ ルギーは期待できないが、製品使用段階 における省エネルギー効果が極めて高い 省エネプロダクトを生み出すことで省エネ ルギーに寄与する技術 従来の各プロセス A・B・C・Dの 部分的省エネ改善 有効に取り出せる 仕事量 製造プロセスでは 不可逆過程により エクセルギー損失を 発生 (例えば、摩擦や抵抗による損失) ● 最小化 ● さらにエネルギーを 投入して ヒートポンプ等により排熱の エクセルギーを 再生し高めて 製造プロセスで利用 【具体例】 ・省エネ型製造プロセス ・革新的製鉄プロセス ・産業用ヒートポンプ ・高効率火力発電 省エネルギー量 A B 今後は部分の 使用エネルギー増加 にとらわれず、 全体システムとして 省エネルギーを促進 使用 エネルギー量 A B C D 全体システムの 省エネルギー 量 A C B C D D 【 部分最適】 A B D 省エネ効果の高い 製品の技術開発を加速 エネルギー使用量 無効 エネルギー エネルギー ( エクセルギー) 有効 エネルギー 省エネルギー とは エクセルギー損失最小化 製造時 エネルギー 使用量 製品ライフサイクル としての省エネ量 プロセス省略(C) や大幅な 省エネルギー (A 、B) 部分としては 使用エネルギー 増加(D) 【全体最適】 【具体例】 ・産業間エネルギーネットワーク ・レーザー加工プロセス 製品使用時 省エネルギー量 【具体例】 ・セラミックス製造技術 ・炭素繊維・複合材料製造技術 2 【重要技術(2/4)】 家庭・業務部門 ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル) ・ ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス) 快適・省エネヒューマンファクター 住宅・建築物の躯体・設備の省エネルギー性能の向上および負荷制御や統合 制御等を総合的に設計することにより、住宅または建築物のエネルギー消費量 を正味でゼロに近づける 高効率照明、 次世代照明 高断熱・高気密住宅 高効率照明、 次世代照明 パッシブ ビ ル 高断熱・高気密ビ ル パッシブ 住宅 家庭空調用 ヒートポン プ HEMS ZEH ZEB BEMS 給湯用ヒートポン プ 高効率給湯器 HEMS BEMS 給湯用ヒートポン プ 高効率給湯器 【具体例】 ・人間理解に基づき、 制御技術、セン サー技術等を駆使 することにより最適 な居住・執務環境 を省エネルギーで 実現する技術 ビ ル等空調用ヒートポン プ 省エネ型情報機器・システム IT機器の利用等により増大する消費電力量を削減するため、個 別のデバイスや機器の省エネルギー化を進展させる技術 省エネ型次世代ネットワーク通信 省エネ型情報機器 待機時消費電力削減技術 高効率ディスプ レイ 個人により異なる快適性や嗜好性を尊重しつつ、 これらを巧みに活用・応用することによって省エ ネルギーを進展させる新たな概念・手法 定置用燃料電池 発電効率の向上や熱の利用 技術の進展により、一次エネ ルギー消費をさらに大幅に 削減することができる技術 固体酸化物形燃料電池(SOFC)、 固体高分子形燃料電池(PEFC) 3 【重要技術(3/4)】 運輸部門 次世代自動車 電気自動車など、従来の自動車から大幅に燃 費改善が可能な自動車 【具体例】 ・電気自動車 ・プラグインハイブリッド自動車 ・燃料電池自動車 ITS(Intelligent Transport Systems) 情報通信技術や制御技 術を活用して、人、物及び それらを運ぶ交通システ ム全てに係る流れの最適 化を図ると同時に、事故 や渋滞の解消、省エネル ギーや環境との共存を図 ることを目指した技術 【具体例】 ITS(省エネ走行支援技術)の一例:隊列走行 ・省エネ走行支援技術 ・TDM(交通需要マネジメント技術) ・交通制御・管理技術 ・交通情報提供・管理情報技術 ・交通流緩和技術 インテリジェント物流 ドアからドアの間の輸送、保管、荷 役などそれぞれの過程の荷物情報 と輸送機関等の情報などを通信技 術により総合的に連携・制御するこ とで省エネ及び物流の効率化を図 る技術 ◆求荷・求車・求庫 貨物の位置や受 け渡し状況の把 握、配送管理、品 質管理、在庫管 理の見える化 ◆エネルギー原単 位の少ない輸送 手段選択 ◆貨物情報・輸送情 報のマッチング技術 ・輸送対象貨物と荷役設備、保管設 備の情報連携、一元化、共通シス テム化 ◆移動実態のトレー サビリティ技術 ◆環境パフォーマンス 測定技術 ・マイクロチップやICタグによる荷物 情報 ・GPSによる位置情報 ・エネルギー消費量の見える化 ◆モーダルシフト ◆結節点のインテリ ジェント化 ・自動車、鉄道、船舶の連携最適配 分および結節点の高度化 ・隊列走行による貨物の集約輸送 4 【重要技術(4/4)】 次世代型ヒートポンプシステム ヒートポンプに関わるシステム化技術や革新的要素 技術の開発により、高効率化・低廉化と温室効果ガ ス排出量削減とを実現するシステム 部門横断 パワーエレクトロニクス IT化による飛躍的なエ ネルギー消費の伸び に対応し、あらゆ る分野 で使用される電気電子機器に備わる電源の高効率化を支える技術 【具体例】 ・ワイドギャップ半導体 ・高効率インバータ ●システム化技術…未利用熱利用技術、高効率熱回 収・蓄熱技術、低負荷域効率化技術等 ●革新的要素技術…高効率冷凍サイクル、新規冷媒 の開発、それらに対応する高性能熱交換器、高効 率圧縮機等の技術開発 【具体例】 ・家庭・業務用建物・工場空調用HP ・カーエアコン用HP ・産業用HP ・給湯用HP ・冷凍冷蔵庫等用HP 熱・電力の次世代ネットワーク 熱の有効利用を図る熱ネットワークや地域内のエネルギー利用最適 化を図る次世代エ ネルギー マネジメ ントシ ステム 、再生可能エ ネル ギ ー 導入を支える次世代送配電ネット ワー ク 等の総合的省エ ネル ギー技術 【具体例】 ・次世代エネルギーマネジメントシステム ・次世代送配電ネットワーク ・次世代地域熱ネットワーク ・コージェネ ・産業用燃料電池(SOFC) ・熱輸送システム ・蓄熱システム 5 【導入シナリオ(1/3)】 別紙2 産業部門 将来 像 ~現在 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度 ○エネルギ ー使用量削減からエクセルギ ー損失最小化の視点による、産業プロセスにおける省エ ネが進展 ○技術の組合せや、新たな切り口、製造工程に おける加工技術の高度化により、システム全体の省エネが進展 ○使用時に省エネ効果を発揮する プロ ダクトや、そ の構成部材の開発・製造を加速化する技術により、省エネが進展 諸外国での実証研究推進、普及を目指した国際モデル事業の積極的実施のため の、 政府間レベルでの共同研究に係わる合意などの政府支援 オールジャパンとしての総合支援/ジ ャパンブランドと して国際展開 /基幹技術とサービス等ソフト面を含めたパッケージ 型インフラ技術 国際標準化・規格化・オープン化に よる 国際競争力の向上/コア技術のブラックボックス化による模倣防止の知財戦略 エク セルギー損失最小化技術 省エネ型製造プロセス セメント製造プ ロセス、ガラス製造プロセス 石油化学プロセス、化学品製造プロセス コプロダクション 革新的製鉄プロセス 革新的製銑プロセス 主 な技術 開発 産業用ヒートポンプ 高効率火力発電 環境調和型製鉄プロセス (未利用排熱活用高炉ガスCO2分離回収技術等) 産業用ヒートポンプ 蓄熱システム A-USC IGCC 燃料電池/ガスタービン複合発電 高温ガスタービン AHAT 省エネ促進システム化技術 産業間エネルギーネットワーク コ ンビナート高度統合化技術 コプ ロダクション 産業間エネルギー連携 蓄熱システム、熱輸送システム レーザー加工プロセス レーザー加工プロセス 省エネプロダクト加速化技術 IGFC 世 界最 高のエネルギー利用効 率の維持 ・ 強化 による、 世界で展開 できる省エネ技術 の普 及 関連 施策 行政区分を超えた異業種間での積極的な連携強化/特区等の活用などの行政イニシャチブの発揮 炭素繊維・複合材料製造技術、セラミックス製造技術 部門横 断 次世代ヒート ポンプシステム 産業用ヒートポンプ ・ 排熱利用システム設計 パワーエレクトロニクス ・高効率インバータ ・ワイドギャップ半導体 熱・電力の次世代ネットワーク 次世代エネルギーマネージメントシステム コ ージェネ ・新冷媒の開発 6 【導入シナリオ(2/3)】 家庭・業務部門 ~現在 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度 将 来像 ○2030 年までに新築住宅の平均でZEH が実現、省エネリ フォームにより 既築住宅にも着実に浸透 関連施 策 ○2020 年までに高効率給湯器・給湯用ヒートポン プは、単身世帯を除くほぼ全世帯相当、2030 年までに全世帯の8~9割の普及 ○ビル等の建築物については、2020 年までに新築公共建築物等でZEB を実現し、2030 年までに新築建築物の平均でZEB を実現 ○高効率次世代照明(LED 照明、有機EL 照明)を、2020 年までにフローで100%、2030 年までにストックで100%普及 ZEB・ ZEH 設計・計画 高断熱技術 パッシブ技術 家庭・ ビル等用ヒートポンプ 高効率吸収式冷温水機 外皮性能・ 建材 冷暖房空調 ・高断熱素材の技術開発 ・蓄熱技術 ・新冷媒の開発 ・超コンパクト化 ・ 空調制御技術 換気 主な技 術開発 照明 高効率照明 給湯 高効率給湯器 給湯用ヒートポンプ ・蛍光材料 ・高効率化 次世代照明 ・ガスエン ジン式、燃料電池 ・高効率化 ・瞬間式 昇降機 エネルギーマネジメント ・最適制御 BEMS・HEMS 創エネとの協調 ・エネルギー貯蔵技術 省エネ型情報機器 省エネ型次世代ネットワーク通信 待機時消費電力削減技術 高効率ディスプレイ 省エネ型情報機器・システム 部門横 断 次世代ヒートポンプシステム パワーエレクトロニクス 熱 ・ 電力の次世代ネットワーク ・データセンター ・クラウドコ ンピューター ・光スイッチ ・ルーター等通信機器 ・省電力電源モジュール ・デジタル制御電源技術 ・ 省エネLCD・PDP ・有機EL ・ 体感温度センサー 快 適省エネヒューマンファクター 定置用燃料電池 ・エネルギー貯蔵技術 ・ 快適照明技術 ・ 耐久性向上、効率向上、低コスト化 ・ 耐久性向上、効率向上、低コスト化 固体酸化物形燃料電池(SOFC) 固体高分子形燃料電池(PEFC) 家庭・ビル等空調用ヒートポンプ 給湯用ヒートポンプ 冷凍冷蔵庫等用ヒートポンプ ・高効率インバータ ・新冷媒の開発 ・ 空調制御技術 ・高効率化 ・新冷媒の開発 快 適で効率 的な省エネルギー生活 の実現 と 我が国 の卓 越した省エネルギー技術 の海 外浸透 導入支援助成による初期需用創出 省エネ基準の強化と基準の適合義務化 国際標準化・ 規格化による国際競争力の向上 国民の省エネルギー意識の高まりに向けた取り組み ・瞬間式 ・ 高効率化 ・ワイドギャップ半導体 次世代エネルギーマネージメントシステム ・最適制御 7 【導入シナリオ(3/3)】 運輸部門 ~現在 ~2015年度 ~2020年度 ~2030年度 将来像 ○自動車単体としてのエネルギー消費効率の向上、さ らに次世代自動車が、2020年までに新車販売のうち50% 2030年までに70%を占める ○道路交通の最適化が図られ、交通社会に おける安全性・快適性の向上とと もに、省エネルギ ーが進展 ○IT技術等を活用したシステムの構築により 、結節点等のハード面対策の推進を図ることで物流の効率化が進展 インフラ整備の推進 路側・車側の通信装置等のインフラ整備 水素供給インフラの整備 普通充電器20 0万基、急速充電機5,000基 次世代自動車 ・高性能2次電池 短距離・ 小型車 電気自動車 短~中距離・小型~大型車 プラグインハイブリッド自動車 主な技 術開発 長距離・ 大型車 燃料電池自動車 インテリジェント物流 ITS 走行方法の改善 情報の収集・活用 ・高性能2次電池 ・ 一般コ ミューター型EV ・本格的型EV ・ レアアース代替材料 ・革新的2次電池・パーソナルビークル ・インホイールモーター ・SRモーター ・革新的2 次電池 ・高性能、高耐久MEA ・高温低加湿運転対応電解質 ・低白金化技術(電極触媒の貴金属使用料低減) ・更なる高性能、高耐久MEA 荷物情報と輸送機関等の情報のマッチング技術 ・求荷求車システムの共通化 荷物のトレーサビ リティ技術 ・物流シ ステム体系の構築 ・IC タグの高度利用 ・輸配送計画( 自動車・鉄道・船舶)の最適化 環境パフォーマンス測定技術 ・モーダルシフト ・ 自動運転 ・ 隊列走行 省エネ走行支援技術 交通情報提供・管理情報技術 部 門横断 ボトルネックの解消、道路の有効活用 TDM(交通需要マネジメント技術) 次世代ヒートポンプシステム ・協調走行 総 合的 アプローチによる運 輸部 門全 体の 省 エネルギーの実現 関連施 策 導入支援補助金による初期需用創出 次世代自動車への税制優遇 国際標準化・ 規格化による国際競争力の向上 官民の積極的な連携・協力/社会実証試験 ・ 路車協調システム 交通制御・管理技術 交通流緩和技術 カーエアコン用ヒートポンプ パワーエレクトロニクス 熱・電力の次世代ネットワーク 次世代送配電ネットワーク 8