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>> 愛媛大学 - Ehime University Title Author(s) Citation Issue Date URL 一流女子ビーチバレーボール選手のスパイク踏切動作に 関する分析 福田, 隆; 矢野, 美由紀; 金枡, 栄佳 愛媛大学教育学部保健体育紀要. vol.6, no., p.35-40 2009-03-00 http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/handle/iyokan/717 Rights Note This document is downloaded at: 2017-03-30 11:08:07 IYOKAN - Institutional Repository : the EHIME area http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/ 愛媛大学教育学部保健体育紀要第6号:35-40,2009 一流女子ビーチバレーボール選手の スパイク踏切動作に関する分析 福田隆')矢野美由紀2)金柵栄佳3) A s t u d y o f p r 0 他 s s i o n a l 晩 m a I e b e a c h v 0 I l e y b a l I p I a y e r 9 s t a k e ⑪ f T m o t i 0 n t o s p i k e TthkashiFukudalandMiyukiYano2andHarukaKanamasu3 K e y w o r d s : b e a c h v o I I e y b a Ⅱ , p m 企 s s i o n a i p l a y “ a n a l y s i s o f m o t i o n , a p p r o a c h a n d t a k ⑬ o 腿 s p i k e ( B u Ⅱ e t i n o f D e p a r t m e n t o f P h y s i c a I E d u c a t i o n , F a c u l t y o f E d u ⑯ a t i o n , EhimeUniversi恥6,35‐40,MarCh,2009) キーワード:ピーチバレーボール、トップレベルの女子 問わず大衆化が進み、多くの人に楽しまれるスポーツ 選手、動作分析、スパイク踏切動作 となってきた。 屋内で行われるバレーボールに対して、ビーチバレ I研究目的 ーボールは屋外で行われるため、風や日差し、雨など の自然条件がパフォーマンスに影響してくるが、最も ピーチバレーボールとは、二人の競技者からなる二 大きな違いは動きにくい砂のコートで行われることで つのチームにより、それぞれネットによって分けられ ある。しかも2人でプレーするため、砂の上での機敏 た8m×16mの砂のコート上で行われるスポーツであ な動きと、それを可能にする強靭な筋力、瞬発力、持 る。1993年9月のモンテカルロ国際オリンピック委員 久力が要求される。特にスパイクのジャンプに関して 会により、1996年のアトランタ・オリンピックの正式 は砂の特性から踏み切り時の力が砂によって吸収され 種目に決定し、世界の強豪を相手に高橋有紀子・藤田 るため、通常の床の上より高く跳ぶことができなくな 幸子ペアは5位入賞の快挙を成し遂げた。また、2000 る。実際に、バレーボール経験者がビーチバレーボー 年8月にオーストラリアのシドニーで行われたオリン ルコートにおいて、普段床の上で行っているような踏 ピックにおいて、佐伯美香・徳野涼子ペアが4位入賞 み込みでスパイクを打とうとすると、跳踊高が著しく を果たすなど、日本のビーチバレーボールは近年ます 低下することが認識されている。 ますレベルが向上してきた。ピーチバレーボールの公 一般的なバレーボールの堅い床の上での踏み込み動 式戦は2人制だが、非公式のイベントなどでは、4人 作においては、今日まで様々な形で研究がなされてき 制や男女混合での試合も行われており、年齢・性別を た’)2)3)4)'0)がこれに対しピーチバレーボールでは、 1)愛媛大学教育学部 〒790-8577愛媛県松山市文京町3番 2)今治市立立花中学校 〒749-0821愛媛県今治市立花町2-8-7 3)愛媛大学教育学部大学院 〒790-8577愛媛県松山市文京町3番 1.鰯cEIj吻'@族Eげu“姉".鋤加e[ノカ、画sjIリグ BEmk”・…jW21鱈'U笹”鋤jEMhmza,デ7””7Z J自pa" 2.”chjba”・ノtJmbrHHg方S℃fzoo4 乃cノhjba”・abo2・8-Z」hTa睦亙“4動”aデ デ 恋 7 9”' ・ 8 a 21, Jhpa" 3.”“妙ofE〃u“fjb".E砂加eZノh"ez麓i域 Blmと”劫Ca“w”EU檀、a鋤4画虹me,デ7”“7Z J 2 2 p a 〃 福田・矢野・金祈 3 6 競技の歴史が浅いことから、いくつかの研究報告はあ 験はほとんどないが、インドアの選手として6-12年の る5)6)が、まだ研究は充分に行われていないのが現状 競技経験者である。比較対象となるピーチバレーボー である。指導書には踏み込み動作などの技術的なもの ル初級者は、キャリアの点では異なるが、形態面では も紹介されているが、これらは選手の経験に基づいて 大きな差違は認められない。 書かれたものがほとんどであり、科学的根拠に裏打ち 2.実験方法 ビーチバレーボール初級者には体育館の床のコート された指導法とは言い難い。 そこで本研究では、一流ビーチバレーボール選手と と砂のコートの2種類で実験を行った。また、ピーチバ ビーチバレーボール初級者を対象とし、ビーチバレー レーボール選手は、床上では膝に負担がかかるのでジ ボールコートにおける砂の上でのスパイク動作を2台 ャンプはできないとの申し出があったため、砂のコー のピデオカメラを用いて撮影し三次元解析を行い、一 トだけの実験となった。試技はネットから0.5m,ネッ 流選手の特徴を明らかにすることを目的とした。特に トの上端から高さ約0.5m離れた位置にボールに相当 助走局面の最後の1歩及び踏み込み動作を中心に分析 するターゲットをぶら下げて、これを目標にスパイク することとした。また、硬い床面と砂の上での踏み込 を行わせた。ターゲットの位置はネットタッチもなく、 み動作の違いについて跳躍高の関係と比較・検討し、 安全にスイングできるポイントとして設置したが、高 初級者の技術向上のための基礎資料を得ることを目的 さは、選手の打点に合わせて微調整を行った。試技は5 とした。 回とした。助走方法は、バレーボールで最も効果的と される'0)3歩助走を用いた。 3.測定方法 2台のカメラ(SONYCCD−IRIS)を使 Ⅱ研究方法 用し、助走からジャンプ着地までの動作を60コマ/秒で 撮影した。カメラは、ネットに対して左右45度の角度 1.対象者 被検者は、一流女子ビーチバレーボール選手2名と を取り、その延長線上の計測ポイントから13m離れた ビーチバレーボール初級者のバレーボール女子選手5 位置に、高さ1.3mで設置した。2台のカメラのなす角 名である。被検者の身体的特徴と競技経歴は、表1に 度は90度とした。 示すとおりである。一流女子ビーチバレーボール選手 データを3吹元解析する方法として、カメラ位置な は、愛媛県のダイキに所属しインドア(一般的バレー どの制約が少ないDLT(DirectLiner ボール)のプレーヤーとして活動した後にビーチバレ Transformation)法を用いた。実験撮影に先立って、 ーボールに転向している。ピーチバレーボール経験は スパイク動作が行われる2台のカメラに共通するx− 9年で、本研究の前後にオリンピックに出場している Y平面に15箇所のキヤリブレーションポイントを設定 ことから、日本国内においては超一流女子ビーチパレ し、そこに1m間隔で4箇所マークしたキヤリブレー ール選手といえる。2008年の北京オリンピックに出場 ションボール(Z方向)を立て撮影を行った。キヤリ した女子ピーチバレーボール選手の身長7)は、最高が ブレーシヨンポイントは、計60ポイントとした。 196cm,最低で166cm,出場47名の平均値では179.9 身体のデジタイズポイントは、頭頂、胸骨上縁、左 cmであり、国際的な一流選手7)9)としては小柄な選 右肩関節、左右肘関節、左右手首関節、左右中手根、 手といえる。比較対象となるビーチバレーボール初級 左右大転子、左右膝関節、左右足首、左右つま先の計 者のバレーボール女子選手はビーチバレーボールの経 18箇所とした。合成重心は松井8)の方法を用いて算 表1.被検者の身体的特徴と競技歴 チル − ■■■■ − バレー 一 愛媛大学 2 1 6 7 6 0 1 2 ( 女 初級者SS 初級者Y N 初級者H K 初級者1V 愛媛大学 愛媛大学 愛媛大学 2 1 6 9 5 6 1 1 ( 女 2 1 6 8 6 1 1 1 0 2 1 6 2 5 2 1 0 0 女 女 女 女 女 S T 愛媛大学 ダイキ ダイキ ( k g ) 歴(年) |■4 “厚 ▲、 − 初級者M,Y 経験者1V 年歯 ) ; rl憲司 バ レ ー ボ ー ル 身長 (c、) 所属 氏名 − _血塑L 歪(年) 1 1 6 3 5 2 6 0 3 4 1 7 2 6 6 1 4 9 3 1 1 6 8 6 0 1 2 9 一流女子ビーチバレーボール選手のスパイク踏切動作に間する分析 出した。 3 7 初級者の平均値0.41mと比較して明らかに高い値 本研究での分析は、踏切1歩前の足が地面についた (129%)を示している.また、離地時の垂直方向の重 瞬間から、踏切足が地面を離れる瞬間までの動作を主 に分析した。データの処理は、株式会社デイケイェイ 心速度は、初級者の平均値で2.21m/sであり、経験 者は、この118%に相当している。同様に最大水平速度 チのFrame-DIASforWindowsを用いて3次元解析を行 は、初級者の平均値で2.46m/sであり、経験者は、 った。 この125%であった。この結果、砂上での跳躍において 4.実験期日・場所 経験者は初級者より非常に高い跳錨高を示すとともに、 実験は、ピーチバレーボールのシーズンが終了した 2005年10月から12月の期間内で行った。 離地時の垂直方向の重心速度と最大水平速度も高いこ とが明らかとなった。 砂の上での実験は、ダイキバレーボールチームが所 有する全天候型屋内ビーチバレーボール専用コートを 一般的に跳蹴力を決定する要因としては、技術的要 素と筋力的要素がある。本研究では、筋力測定を行っ 使用して実施した。また、体育館での実験は、愛媛大 ていないために以下で述べる考察については、技術的 学第2体育館で行った。 要素を中心に論議をする。 2.砂上跳躍の重心高の垂直方向の変化 Ⅲ結果及び考察 図1は、砂上跳躍における経験者と初級者(5名の 平均値)の垂直方向の重心高の変化を示している。こ 1.床上と砂上スパイクジャンプの違い の図から、初級者は経験者に比べて最大跳踊高が低い 体育館の床上とビーチバレーボールコートの砂上で ことが確認できる。しかし、踏切前の沈み込み動作に 行ったスパイクジャンプの映像を3次元解析した結果 おいては、初級者の重心高は高い値を示していること 得られた跳躍高と離地時重心速度と最大水平速度の結 が明らかとなった。この結果、経験者は踏み切り局面 果を表2に示した。なお一流ピーチバレーボール選手 において、重心高を大きく下げる事によって高い跳躍 は、床面上での実験を行っていないためデータ欄が空 高を作り出していることが推察される。 白となっている。 ここでの跳躍高は、跳躍時の最大重心高から立位姿 一経験者M・S一経駐者RT−初心者平均 勢の重心高を除した値である。床上のジャンプと砂上 1 . 5 のジャンプを比較した場合、砂上ジャンプでは、初級 下(79%)し、最大水平速度も0.42m/s低下(86%) 1 また、離地時の垂直方向の重心速度は、0.58m/s低 ︵E︸侭Q画 者の跳躍高は平均値で11cm低下(78%)している。 している。この結果、砂上でスパイクジャンプを行っ た場合、単に動作がしにくいだけでなく、結果として 現れるジャンプ高の低下や移動速度の減少が確認され ノ O L 5 −10010203040506070 た。また、これらの低下は最大能力の80%程度である 時間(1ノ80sec) 図1.趣自者と初級者の砂上■心変位の遠い ことが明らかとなった。 砂上での跳鰯高は、経験者の平均値が0.53mであり、 表2.床上と砂上のスパイクジャンプにおける劃 床上と砂上のスパイクジャンプにおける跳躍高、離地時重心速度、最大水平速度について 跳躍高 ( 、 ) 床上 砂上 離地時里心速度(垂直方向、/<s) 最 大 水 平 速 受(m/s) 床上’砂上 床上 砂上 初級者M・Y 0.52 0.4 2.83 2.03 2.88 −初級者SS 初級者Y・N 初級者H・K 初級者M・○ 0.51 0.48 2.76 2.50 2.33 1.87 0.49 0 . 4 1 2.72 2.18 2.73 2 . 4 7 2.13 _]双胴双冒=トム副1哩 経験者M,S −経験者R,T 2 . 8 6 0.51 0.37 2.71 1.93 2.76 0.58 0.41 2.94 2.40 3.62 2.99 0.52 0 . 4 1 2.79 2.21 2.86 2.46 0 . 5 2 2.57 3 . 1 3 0 . 5 4 2.65 2 . 8 5 福田・矢野・金柵 3 8 最大屈曲角度に大きな差が現れ、経験者は踏切動作に 3.砂上跳躍の垂直窪庵 図2は、砂上跳躍における経験者と初級者(5名の おいて初級者より膝を大きく曲げていることが明らか 平均値)の垂直方向の重心速度の変化を示している。 となった。また、この差が角度変化量の差となって現 2名の経験者の最大速度が初級者より明らかに高いこ れている。この結果、経験者は沈み込み動作において とが分かる。そして、この高い垂直方向の重心速度が 膝関節を大きく屈曲させた後に跳躍していることが明 跳踊高の高さに直接影響を与えている。一方、初級者 の場合、重心速度がピークに達するまでの傾斜が経験 らかとなった。 表3.砂上跳躍での膝関節角度(左右膝関節角度の平均値ded 者に比べて緩やかである。この結果、経験者は初級者 よりも短時間で大きな速度を作り出せる技能を備えて いることが分かる。また、その背策には筋力的な要素 も関係していると推察される。 最大屈曲角度 角度変化量 08.9 6 1 . 6 5Z7 初級者S,S 0 3 . 6 69.9- 66.3 初級者Y・N 15.4 22.6 024 47.3 93.9 62.7 63.7 68.2 683 65.8 72, 83.9 170.2 86.3 初級者H,K 初級者M,。 一経験者M・S一経験者Rr一一初心者平均 離地時角匿 初級者M・Y 経験者M・S 経験者R・T 4 1 . 1 図4は、砂上跳躍における経験者と初級者(5名の 平均値)の左股関節角度の変化を示している。股関節 については、左右で変化のパターンに大きな差は見ら れなかったが、左股関節を代表して図示した。この図 から、初級者の関節角度の変化は小さく、股関節の屈 曲一伸展動作をあまり使っていないことが分かる。一 方、経験者の角度変化は大きく、股関節の屈曲一伸展 時間(1/60SBC) 動作を有効利用して跳躍していることが分かる。 図2砂上鐘画'二おIナる重心遼度〔垂直方向》の函A君と初級霊の追い 4.砂上跳躍の膝関節角度と股関節角度 図3は、砂上跳躍における経験者と初級者(5名の の角度変化は左右でパターンに異なる点も見られたが、 変化の大きかった左膝関節の角度変化を代表として図 示した。この図から、経験者は膝の関節角度変化が大 包呂︶圏役 平均値)の左膝関節角度の変化を示している。膝関節 叩 如鋤叩釦0 1釦 11 一一経験者MS一経験者R5T一初心者平均 きく、さらに最大屈曲角度が初級者より大きいことが 分かる。 − 1 0 0 1 0 2 0 3 0 時間(1/師sac) 色回ご圏唖 帥 如卯切鈍0 1釦 11 一経験者MS−←経験者Rr一初心者平均 図4.砂上践圃における左腰関節角度の経験者と初級者の通い 表4.砂上跳躍での股関節角度(左右股関節角度の平均値ded 汲大屈曲角度 _初敬者M・Y __初級者S,S _初級者Y・N _初級者H・K _3m職者M、。 経験者M,S _経験者R・T 亜mb嘩色匿 角度変化量 15.5 1562 4 0 . 7 02.9 162.5 59.6 21.4 21.5 0 8 . 7 1512 29.8 42.7 49.2 88.8 ・78.6 164.2 157.9 162.7 170.7 7a9 92.1 一 l q O 1 0 釦 3 0 時間W60…) 図3.砂上践逼における方陣閏箆角度の経験者と初級者の遠い 表4は、砂上跳躍における各被検者の股関節の角度 変化を示したものである。また、各測定値は、左右の 表3は、砂上跳躍における各被験者の膝関節の角度 股関節角度の平均値である。膝関節と違って離地時の 変化を示したものである.また、各測定値は、左右の 経験者の股関節角度は、やや大きい値を示している。 膝関節角度の平均値である。この表から離地時の膝関 また、最大屈曲角度は初級者と大きく異なり、この値 節角度は、経験者と初級者には差が認められないが、 は90度を下回っている。これらのことから経験者は、 一流女子ビーチバレーボール選手のスパイク踏切動作に関する分析 3 9 踏み込み勤作前半で上体を大きく前傾させた後に、離 を示した初級者H、Kを示した。経験者は、踏切一歩前の 地の瞬間に上体を垂直に近い状態で踏み切っているこ 動作における重心の上下動が小さく、しかも踏み込み とが明らかとなった。 足の接地直前で重心は平行移動もしくは上昇傾向にあ 5.踏切動作時間 ていることが分かる。この動作が一流ピーチバレーボ る。これに対し初級者の重心は、下降しながら接地し 表5は、床上と砂上のスパイクジャンプにおける踏 一経験者M・S÷経験者凡T ︵E︶俺導■ “唾叩峨 切動作時間について示したものである。初級者の場合、 床上より砂上の動作時間が全員増加している。これは 砂上での動作が行いにくいことによるものと思われる。 しかし、砂上における経験者と初級者を比較した場合、 経験者の方が踏切勤作時間は大きな値を示している。 ール選手の特殊な技能だと思われる。 ÷初級者H・K これは、経験者が踏切動作中に股関節や膝関節の可動 範囲を大きく利用したことにより動作時間が大きくな 0コ −20−16−12咽−40 時間W60sec〕 ったものである。 表5.床上と砂上のスパイクジャンプにおける踏切動作時間(SBC) 図6.砂上における踏切一歩前の亙心高の変位 床上 砂上 初丑勘考M、Y 0 . 3 8 048 初級亀fS−S q48 0 . 5 5 初級者Y−N 0 . 3 2 0 . 4 2 心高の関係を示したものである。この図から、踏切一 図7は、踏切一歩前の重心の最大水平速度と最大重 初級者H−K 0 . 4 3 0 . 5 2 初級者MO 0 . 3 5 0 . 4 2 歩前の愈心の水平速度と重心高の間には、有意な(p イリ胞浬石邑経画11m 0 − 3 9 0 . 4 8 <0.01)負の相関関係があることが明らかとなった。 墨曇g遍者M−S 0 . 5 7 軽ロ圏者R−T 0 . 6 2 つまり、重心の水平速度を上げるためには、踏切一歩 前の重心の上下動を減少させ、重心を低い状態にした 図5は、砂上跳躍における踏切動作時間と跳瓢高の 関係を示したものである。この図より、踏切動作時間 ままで踏み込み足を接地させることが必要であること が分かった。 と跳躍高の間には正の相関関係(p<0.05)があること が分かった。踏切時間の増加による踏切における力積 09 の増加が、跳躍高の上昇に関与していると推察される。 大きくすることが跳躍高の向上に大きく関与すると報 告している。本研究の結果もこの結論を裏付けるもの ︵E︶櫨令臼 伊藤ら5)は、砂上の跳躍動作において踏切動作時間を 0日5 0 . 8 ◆ ◆ 0J5 であった。 r=0859P<0.01 0 1 2 慰 国心速度【m/s) 図7.踏切一歩前の亜心の墨大連庭と墨大型心高の関係 r=0.771P<qO5 踏切動作時間(顕c) 図5.砂上跳曜における踏切動作時間と跳躍高の凹係 6.砂上跳躍における助走速度と跳躍高の関係 図6は、砂上における踏切一歩前の重心高の変位を 示したものである。図の横軸のoが踏み込み足を接地 した時点を示している。この図には平均的なパターン ︵E︾俺圏謎 0.2030−40回0.60.7 8 5 ■0 ■4 ●3 申垂 ●1 ● 0 0 0 0 0 ︵E︶憶護蓋 β 4O 3O 20 JO O5 OO 0コ 0 o’・23遼度(約s) 図8.砂上跳躍における皿心の水平諌麿上墾聖塞の関係 福田・矢野・金柵 4 0 図8は、砂上跳蹴における重心の水平速度と跳鰯高 閉辞 の関係を示したものである。全被験者をまとめた場合、 本研究を進めるにあたって、所属する選手の被験者 両者の間には統計的な関係は認められなかった。床上 としての承諾と実験場所となる全天候型屋内ビーチバ の跳躍動作については、跳躍高を上げるためには、助 レーボールコートを快く使用させていただきました、 走における重心の水平速度を増加させることが必要で 株式会社ダイキ様に心より感謝申し上げます。 ある')3)4)'0)と報告されている。しかし、本研究の結 果、砂上の跳躍については、水平速度の必要性を検証 することができなかったが、跳躍高の高い経験者は、 文献 高い水平速度を示していたことから、この点について は今後さらに検討する必要があると思われる。 l)阿江通良他(1983)高さをねらいとする跳のバイ オメカニクス的研究、身体運動の科学V、杏林書院: 7.まとめ 182-188 本研究は、一流女子ビーチバレーボール選手のスパ 2)橋原孝博他(1983)バレーボールのオープンス イク踏切動作の特徴を明らかにすることを目的とした。 パイクジャンプに関するバイオメカニクス的研究、 被検者は、一流ビーチバレーボール選手とビーチバレ ーボール初級者を対象とした。測定は、ビーチバレー ボールコートにおける砂の上でスパイク動作を行わせ、 これを2台のビデオカメラを用いて撮影し、三次元解 析を行った。 経験者は初級者に比べて最大跳踊高が明らかに高い 値を示した。また、経験者は踏み切り局面において、 身体運動の科学V、杏林書院:175-181 3)橋原孝博他(1986)バレーボールのスパイク技術 に関する研究−高く跳ぶための踏み切り技術につい て−、第8回日本バイオメカニクス学会大会論集 4)石島繁他(1983)バレーボールのクイック・スパ イクジャンプに関するバイオメカニクス的研究 5)伊藤雅充他(2002)床上および砂上跳躍動作の 重心高を大きく下げる事によって高い跳躍高を作り出 キネマテイクス的分析、日本体育大学体育研究所雑 していることが明らかとなった。砂上跳躍における垂 誌 直方向の重心速度は論経験者の方が明らかに高かった。 経験者は、膝の最大屈曲角度が初級者より大きく、 さらに膝の関節角度変化量も大きかった。経験者の股 関節最大屈曲角度は初級者と大きく異なり、この値は 90度を下回っている。これらのことから経験者は、踏 み込み動作前半で上体を大きく前傾させた後に、離地 の瞬間に上体を垂直に近い状態で踏み切っていること が明らかとなった。 踏切動作時間は、経験者の方が大きな値を示してい る。これは、経験者が踏切動作中に股関節や膝関節の 6)岩原文彦他(2001)一流ピーチバレーボール選 手の体力特性と模擬試合中の運動強度、トレーニン グ科学第12巻3号:153-160 7)国際バレーボール連盟(2008)北京ピリンピック ビーチバレーボール公式記録 8)松井秀治他(1956)運動と身体の重心、各種姿 勢の重心位置に関する研究、体育の科学社 9)豊田博(1992)全日本男女ナショナルチームの体 力の現状と今後の到達基準,日本バレーボール協会 科学研究委員会研究報告集V:8-12 可動範囲を大きく利用したことにより動作時間が大き 10)渡辺一志福田隆他(1987)3歩助走による跳 くなったものである。また、この踏切時間の増加が高 腿の分析、大阪市立大学保健体育学研究紀要第23 い跳踊高を作り出していることが明らかとなった。 巻:1−4