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《印刷用》ためしてガッテン:謎の体調不良の犯人! あなたの知らない

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《印刷用》ためしてガッテン:謎の体調不良の犯人! あなたの知らない
NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
謎の体調不良の犯人! あなたの知らない甲状腺の真実
2008年5月28日放送
今回の番組について
動悸(どうき)や多汗、不眠、そして疲労。こうした謎の体調不良の原因は甲状腺かもしれません。実
は日本にいる患者数は700万人、そのうち500万人は病気に気づいていないと推定されています。さらに
放っておくと心臓病や脳卒中にまでいたることもあるのです。
いったいどういう病気なのか、さらに最新対策は? ガッテンがそのメカニズムをわかりやすく解明しま
す。
オープニングクイズ
問題:体内のホルモンの語源はその働きに関係するギリシャ語の「ホルマオ」を当てたものです。
では、「ホルマオ」とはどういう意味?
答え:刺激する
※ホルモンとは「血液によって運ばれ、特定の器官に作用する化学物質」のこと。まるで心臓や肝
臓といった目標の器官を刺激しているように見えることから、この名前が付いた。なお、「ホルモ
ン焼き」と体内で作られるホルモンとは、直接の関係はない。
問題:ホルモンの働きによって、手の形にも男女の違いが現れることが最近の研究でわかってきま
した。その違いとは何?
答え:薬指の長さ
※イギリスの研究者が男女の手の大きさを徹底的に測定したところ、違いを発見した。女性は薬指
と人差し指がほぼ同じ長さなのに、ほとんどの男性は薬指がわずかに長かった。さらにプロスポー
ツ選手を調べたところ、普通の男性よりさらに長いことがわかった。
問題:これまでガッテンに登場した次の4つのキャラクターのうち、ホルモンではないのはどれ?
インスリン/レニン/アディポネクチン/アクアポリン
答え:アクアポリン
※他の3つの物質は、すべて血液によって運ばれ、特定の器官に作用する。一方、アクアポリンは
血液中には存在せず、細胞の中で水分を調節するタンパク質。
「ナゾの体調不良! こんな症状が甲状腺?」
実際には甲状腺が原因の症状が起きていても、それに気づかない場合が多くあります。
患者1:病気だと気づかない人
この患者さんは手の震えで字がうまく書けないようになりました。さらに、家の中でちょっと動い
ただけで汗が止まらなくなりました。本人は疲れがたまっているだけだと軽く考えていました。
患者2:更年期障害だと思っていた人
家の中でも激しい動悸を感じました。健康診断を受けても異常はなかったため、本人は更年期障害
だと考えていました。
患者3:胃腸の病気だと思っていた人
この患者さんは下痢が続いていました。病院では胃炎と診断されたため、整腸剤を1年半に渡り飲
み続けました。本人は病気という意識は薄かったようです。
ほかにも、イライラが続く、体重が急激に減少するなど、さまざまな症状が起きます。多くの人が甲状
腺が原因とは気づかず、消化器科や循環器科など、症状と関係ありそうな診療科をまわってから、最終
的に甲状腺疾患の診断を受けていました。
甲状腺ホルモンの濃度
血液中の甲状腺ホルモンの濃度は、スポイト1滴を1000万リットル(2リットルのペットボトル500万本)
の水で薄めたくらいわずかな量です。正確には「1ng/dl(ナノグラム・パー・デシリットル)」で、1デ
シリットル中に10億分の1グラムのホルモンが混ざっているという量です。
「ホルモン国物語 第1章 ~魔法の手紙~」
甲状腺は脳の命令を受けてホルモンを作ります。甲状腺ホルモンとは手紙を入れたカプセルのようなも
ので、血液中を流れ体中をめぐります。そして目的の器官に到着すると「働け!」という命令により、
器官は決められた仕事を始めるのです。そのため、ホルモンが多くなりすぎると、その器官は働きすぎ
の状態になってしまうのです。
ホルモンは“鍵”と“鍵穴”の関係で、作用する目的の器官が決まります。甲状腺ホルモンの場合は人間の
細胞のほとんどがその“鍵穴”を持っているため、およそ60兆とも言われる細胞すべてに「働け!」とい
う命令を出します。
甲状腺ホルモンが多すぎると、それぞれの器官で細胞が過剰に働いてしまうため、動悸、多汗、下痢、
疲れ、イライラ、体重の減少という症状につながります。この病気を「バセドウ病」と言います。
心臓の細胞を普通に培養したものと、甲状腺ホルモンを入れて培養したものを比較する実験を行いまし
た。すると、甲状腺ホルモンを入れたほうが、1.5倍早く脈を打つようになりました。
逆に、甲状腺ホルモンが少なすぎると、それぞれの器官の働きが低下するため、心拍が遅くなる、冷え
性、便秘、頭がボーッとする、体重の増加という症状につながります。この病気を「機能低下症」と言
います。
「ホルモン国物語 第2章 ~王様と私~」
小野アナウンサーが最先端の甲状腺検査を受けました。触診、超音波検査、そして血液検査が基本セッ
トです。血液検査では、血しょうにわずかしか入っていない甲状腺ホルモンを、わずか30分で正確に測
定してしまいます。FT4という甲状腺ホルモンの量と、“王様からの命令”であるTSHという両方の項目
で、小野アナウンサーは正常範囲でした。
甲状腺ホルモンの量に異常が起きる理由
甲状腺ホルモンが出すぎてしまう理由は、本来は細菌やウイルスから体を守るための免疫細胞がまち
がって甲状腺を刺激し、その刺激を甲状腺が脳からの命令と勘違いしてしまうことが原因です。なぜ刺
激してしまうのかはわかっていません。
逆に、甲状腺ホルモンが少なくなる理由も、やはり免疫細胞が甲状腺を攻撃することが原因です。この
攻撃で甲状腺が傷ついてしまい、ホルモンが十分に作れなくなってしまうのです。
「甲状腺ホルモン 治療の最前線」
バセドウ病を治療する基本的な方法は、薬です。番組で取材した患者さんは医師の処方に従って薬を飲
むことで、症状がまったく出なくなっていました。
バセドウ病の治療の薬とは
バセドウ病の治療薬には、甲状腺ホルモンの作りすぎを押さえる作用があります。TSH、FT4、さらに免
疫細胞の活動状態を定期的に検査しながら薬の量を調整し、ほとんどの人でつらい症状が出なくなりま
す。2年間の薬物治療で、3割の人は薬を飲まなくてもよい状態になります。
機能低下症の治療とは
合成したホルモンそのものを飲む治療です。3か月から半年くらいで、ほとんど以前と変わらない体の状
態に戻ります。
「甲状腺の機能低下が深刻な病気に」
甲状腺機能低下症の患者さんは、けん怠感に加え、食欲も落ちたと言います。しかし3か月で6キロも体
重が増加しました。さらに、体の中では心臓病や脳卒中につながる深刻な状況が進んでいました。
甲状腺機能低下症の場合、急激に血液中のコレステロール値が上昇します。ここで紹介した患者さんの
場合、総コレステロールが最高で360まで急上昇しました。放っておけば動脈硬化が進み、心臓病、脳卒
中につながる危険な状態でした。
甲状腺の機能低下がコレステロールを上昇させる理由
コレステロールは細胞を作る材料になります。そのため、細胞の活動が低下すると細胞内へのコレステ
ロールの取り込みが減少し、血管内にコレステロールがあふれてしまうのです。
甲状腺ホルモン異常になりやすい人とは?
理由ははっきりわかっていませんが、女性が男性の5倍から10倍の割合でこの病気になります。
強いストレスを受けると免疫細胞が悪さをしやすい状況になります。
出産すると感染予防のため免疫細胞が元気になり、悪さをする可能性が高まります。
花粉症になると、花粉の免疫とともに甲状腺に悪さをする免疫細胞が活発になる可能性が高まりま
す。
甲状腺の腫れを見分けるには
上を向き、つばを飲み込むと、首の下のほうで蝶ネクタイのようなものが上下に動きます。特に目立た
ないようであれば、甲状腺の腫れはないと考えられます。詳しくはかかりつけの医師にご相談くださ
い。
次のような症状がある場合は、甲状腺の異常が原因である可能性があります。
バセドウ病の疑い:
動悸、汗が出る、下痢、イライラ、不眠、食欲あるのに体重減少、コレステロールの低下
機能低下症の疑い
けん怠感、冷え性、皮膚の乾燥、便秘、記憶力の低下、食欲ないのに体重増加、コレステロールの
上昇
ただし、上記の症状がある人でも、甲状腺が原因ではない人がたくさんいます。その原因を特定させる
ためにも、気になる人は一度検査をしてみてください。
甲状腺の検査を受けるには
甲状腺検査は、内科の病院で受けられます。
血液検査については、結果がわかるまで数日かかりますが、FT4とTSHを測定すればホルモン異常がある
かないかはわかります。費用は3割負担でおよそ1500円程度です。もし異常が見つかれば専門病院で精密
な検査を受けることをお勧めします。なお、専門病院は日本甲状腺学会のホームページで調べられま
す。
日本甲状腺学会のホームページ http://thyroid.umin.ac.jp/flame.html
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