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光学系設計技術部会 講演要旨
光学系設計技術部会 講演要旨 開催日:平成24年11月27日(火) <2012-3 ①> テーマ: 「監視用カメラレンズの現状と今後の動向」 講演者:安藤 稔氏((株)タムロン 光学開発本部 光学開発二部 部長代理) 監視カメラに多く使用されるレンズの一つとして、広角側の水平画角が 70 度~100 度程度の標 準バリフォーカルレンズがある。このような広角レンズには前群負、後群正のパワーをもつレトロ フォーカスタイプが適している。HD 解像度に対応したレンズでは、前群の凹レンズに屈折率の高 い硝材を使用し収差の発生を抑制、凸レンズに高屈折率・高分散ガラスを用いて像面湾曲と、倍率 の色収差を補正している。後群には絞り付近に非球面を採用し球面収差の発生を少なくするととも に、低分散硝材を多く用いることで、軸上色収差の発生を抑制し高解像度を達成している。 パン・チルト・ズーム(PTZ)ドームに使用されるレンズとしては、高倍率ズームレンズが採用さ れることが多い。ドーム内に入れられたレンズは様々な姿勢で使われるため、駆動の行いやすい全 長固定の 4 群、5 群タイプが採用される。HD 解像度の高倍率ズームレンズでは、1 群に望遠側の 軸上色収差抑制のため、低分散レンズが多く使用される。2 群には高屈折率高分散ガラスが使用さ れ広角側の倍率色収差を小さく抑えるとともに、非球面レンズが使用されズームによる像面湾曲の 変動に対応している。3 群以降には低分散硝材を適宜配置し、色収差を補正している。 HD 解像度に対応したレンズは、新しいガラスを採用し、非球面を適切に使用した光学系の開発 により達成されている。 映像よりさまざまな情報を引き出す監視カメラ用のレンズにおいて、解像度の向上は今後求めら れる性能の一つである。現在監視カメラに使用されている 1/4 型や 1/3 型のセンサーで 4K2K の解 像度を達成するためには、画素ピッチを小さくしなければならず、レンズに要求される空間周波数 が回折限界に達してしまう。センサーの大きさを大きくすることで要求される空間周波数は低下す るが、レンズ、カメラともに大きくなるため、コストや設置にとって好ましくない。今後は画像処 理を組み合わせることによる解像度向上、新しいガラスの登場など様々な要因の組み合わせで方向 性が決まっていくであろう。