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No.6(Jun.2006)
6 運営委員会開催 JUN. 2006 開催日 主な内容 平成18年4月22日 [土] 平成17年度「21世紀COEプログラム実績報告書」 について 平成16年度採択拠点中間評価ヒアリングについて 第25回 平成18年5月20日 [土] 客員研究員内規(案)等について シンシア・フィアレ氏の国際研究フォーラムへの招聘について 第26回 平成18年6月17日 [土] 今後の国内、国外調査計画について 客員研究員の採用について(報告) 6 第24回 協議会開催 開催日 第5回 主な内容 平成18年5月31日 [水] 客員研究員内規に関する審議・客員研究員の採用について 若手研究者による研究会開催 開催日 タイトル 発表者 第5回 平成18年4月21日 [金] 中日磁器の輸出に関する先行研究 −台湾の視点から− 黄 承基 第6回 平成18年5月20日 [土] バーリーハウスの柿右衛門様式磁器コレクションについて/調査報告を兼ねて 古橋 千明 第7回 平成18年6月16日 [金] マイセンの「インドの花」 ビザール ―柿右衛門様式が与えた影響と「奇想様式」の花のイメージの成立― 櫻庭 美咲 柿右衛門様式窯での窯焚きの様子 (平成18年6月8日) 第1回COE論文報告会開催 開催日 第1回 タイトル 発表者 掲載号 陶磁器産業の抱える問題についてー卸、販売、製造業を 含めた陶磁器業界に関する問題把握 釜堀 文孝 2号 柿右衛門様式陶磁器に関する芸術系学生の意識調査分析 内山 敏典 1号 寛文期から享保期における柿右衛門様式の変遷と狩野派 との相関関係 朴 泰成 1号 オランダ東インド会社文書におけるオランダ向け肥前 磁器の絵付けの記載について 櫻庭 美咲 2号 C O N T E N T S □ 第8回COEセミナーの開催について・COEセミナーの概要 2 □ 第4回∼第7回若手研究者による研究会 3∼ 4 □ COE客員研究員内規について 5 □ 調査報告:イギリス調査・中近東文化センター調査 6 □ 第1回COE論文報告会 7 □ 平成18年度 4月∼6月の調査活動等一覧 7∼ 8 平成18年4月22日[土] 九州産業大学 柿右衛門様式陶芸研究センター http://www.kyusan-u.ac.jp 〒813- 8503 福岡市東区松香台2-3-1 TEL 092-673-5489 E-mail [email protected] 8 6 第8回COEセミナーの開催について 第4回若手研究者による研究会 平成18年3月24日 (金)13:00∼16:00 歴史・カリキュラム研究室 柿右衛門様式磁器置物の人物像について(要旨) 第8回COEセミナーが下記のとおり開催されました。 古賀 裕子 記 日時/平成18年6月17日 (土) 13:00∼14:30 型物による造形は、西洋で非常に高い人気を博した肥前 場所/15号館15103番教室 磁器作品の一分野である。しかし、その代表例である柿右 講師/長崎県教育庁 学芸文化課 主任文化財保護主事 衛門様式磁器の人形や置物については、ほとんど研究がな 川口 洋平 氏 されていない。今回、人形・置物の中でも婦人像と童子像に 演題/ 「長崎と柿右衛門」 焦点をあて、それらに込められた人物の想定とその意味に ついて考察を行った。 婦人像は、 「睡余小録」 という随筆にのこる記述やそのポー ズから「吉野太夫」や「寛文美人図」と言った当時の流行や 有名人をモチーフとして作られたと考えられ、また童子像 は、 こどもの成長を願う 「深曾木」 の儀式や京都退蔵院の 「瓢 鮎図」に典拠したものをモチーフとして作られていると考 COEセミナーの概要 長崎と柿右衛門 長崎県教育庁 学芸文化課 川口 洋平氏 えられた。このことから、日本的な意匠をもとに作られて 写真右が古賀さん いることが分かるが、稀に見る特殊な着物を着た婦人像や くの研究がなされていなかった柿右衛門様式人形の不明 童子像の髪型から、中国的な意匠も想定された。いずれに 分について、これから少しでも明らかにしたいと考えてい せよ、まだ確証を得るには至っていないが、これまでに多 る。 ※ 古賀裕子さんは平成18年4月、日本学術振興会特別研究員に選ばれました。 <「赤絵」伝授の舞台> 長崎と柿右衛門と聞いてどのような印 の窯場が荒れ、生産量が大きく減少した。こうした事態を受けて、 象を持たれるだろうか。有田で製作され、海を渡ってヨーロッパ バタビアを経由してヨーロッパへ陶磁器を運んでいた連合オラ で好まれた柿右衛門と江戸時代に海外への窓口であった長崎は、 ンダ東インド会社(VOC)は、代わりに肥前の窯場に目をつけて 何か漠然と関係があるように思われはしないだろうか。 1659年頃から大量の注文を出すようになった。 柿右衛門家に伝わる赤絵の始まりに関する文書によれば、赤絵 肥前陶磁の海外輸出がピークに達した寛文三年(1663)頃、長 の技法は、 まず伊万里の東嶋徳左衛門が長崎で唐人志いくわん (四 崎で町のほとんどを焼く大火があった。近年の発掘調査によって、 官か)より伝授され、次に有田木山で初代柿右衛門へ伝えられた この火災で焼けた蔵跡が発見されているが、そこから大量の海外 明の中、末期から清の初期にかける二百年あまりは中国磁器輸出の 易拠点を設置し、1657年、中国側が陶磁器の提供停止までの30年間 とある。さらに、完成した赤絵製品を長崎へ持参して、唐人やオラ 輸出向け肥前陶磁が出土しており、海外輸出に関連する作品であ 最盛期である。この時期に輸出される磁器は景徳鎮青花磁、彩磁、広彩 に、台湾を経由してバタヴィアからヨーロッパへ輸出した中国陶磁器 ンダ人へ売ったことも記されている。つまり、柿右衛門は長崎を ることが推測される。中には多くの色絵製品があり、赤絵技法の (景徳鎮の素地を広州で絵付けしたもの)、広東石湾磁、福建徳化白磁 は数百万点に及ぶ。また、台湾から日本へ運ばれる中国陶磁器の数も 通して赤絵技法の修得や製品の販売を行っていたのである。柿右 伝授から十数年ほどで、中国に代わって肥前の色絵が世界へ輸出 第5回若手研究者による研究会 中日磁器の輸出に関する先行研究 平成18年4月21日 (金)13:00∼16:00 歴史・カリキュラム研究室 −台湾の視点から−(要旨) COE若手研究者 黄 承基 と青花磁、安渓の青花磁、福建、広東の窯で生産した磁器などである。 かなり大量で、1635年8月13万5千点あまりの陶磁器を乗せた船は 中国磁器はこの時期に大量に輸出されている。17世紀に毎年約20万 台湾から日本へ出発すると記載されている。 点、 18世紀に毎年約百万点などの記録も残されている。 17世紀初めに磁器の生産を開始した有田窯では、佐賀藩の保護の 衛門と長崎には深い関わりがあるのである。 されたことが判明する。しかしまだ、この中に柿右衛門は含まれ <柿右衛門が学んだ中国色絵> 柿右衛門が学んだ赤絵の技法 ておらず、様式的な完成をみていないことがうかがわれる。 17世紀の大航海時代は、ヨーロッパの勢力が世界中に拡大する重 もと、 本格的な磁器生産をスタートしていた。 積出港の名で 「伊万里焼」 とはどのようなものだったのであろうか。その手がかりは、当時 <長崎出土の柿右衛門> 1670年代以降の遺跡からは、 柿右衛 要な段階であり、世界的経済ネットワークの始まりでもある。中国南 と呼ばれた有田窯の製品は、はじめは日本国内向けに中国磁器に倣っ の長崎にもたらされた中国の色絵陶磁にあるだろう。長崎の旧 門様式の出土が報告されているが、 例としては極めて稀で、 基本的 部にある福建は、左に浙江、右に広東と言った地理的優勢を持ち、琉球 た製品を供給していた。記録によると有田窯は、1659年に21,567 市街の発掘調査では、美術館などで伝世品として知られる呉須 にはヨーロッパ向けの輸出品であると考えられる。長崎において を通して日本に、 また南のフィリピンとマレー半島にもルートがあり、 個が輸出され、 同時にアラビアのモカ向けに56, 700個のカップや皿 赤絵、万暦赤絵、天啓赤絵などが出土しており、直接的にはこれ 遺跡から柿右衛門様式の製品が出土したのは、 出島和蘭商館跡、 長 貿易などの海上活動はここを拠点にするのが多い。これらのルートは 類の注文を受けるなど、 これ以降約30年間にわたって最盛期を迎えた。 崎奉行所跡、桜町遺跡の3カ所である。寛文大火の場合と同様、船 台湾を経由しなければならないため、17世紀になってから、ヨーロッ 肥前磁器の輸出最盛期(1650∼1682)には、中国商船に載せられ 積みされる前に、 何らかの事情で棄てられた可能性が考えられる。 パ商船が台湾海峡で頻繁に進出し、台湾は南北交通の中継点として海 る肥前磁器の数はオランダ商船を大幅に越えているという。左営鳳山 上貿易に重要な役目を果たしている。 県旧城遺跡から出土した肥前磁器、中国沿海地域の窯元の磁器とベト 16世紀末期から17世紀、台湾は地理的優勢で日中貿易や日本から ナム陶磁器とされる出土品は、17世紀の東アジア貿易における台湾 南洋への航海の重要な基地とされ、フィリピンへの中国商船や、黒潮 が重要な役目を果たしていると言えよう。 「宣明」といった銘款の青花 に沿ってメキシコとフィリピンの間で行き来するスペイン商船など 磁器の出土も清政府が 「遷界令」 (1661) を実施して、 「展海令」 (1684) の拠点でもある。17世紀に台湾はオランダ人や鄭成功が日本と東南 を頒布するまで、肥前磁器の輸出最盛期でもある時期に、鄭氏家族が アジアの間で行き来するのに主なトランスファーステーションになり、 台湾を拠点として日本の陶磁器輸出に介入している重要な根拠であ らの流入が契機となって、 赤絵技法が伝わったと考えられる。ただ、 この頃の長崎には、赤絵のほかにも華南三彩や磁器三彩など多 様な色絵製品がもたらされており、これらを起源とする色絵が ただ、長崎奉行所(厳密には隣接する岩原目付屋敷跡)で出土して 前後して誕生した可能性も考えられる。時期的には古九谷が相 いるものについては、典型的ではない広義のものも含めると鳥形 当するであろう。 の置物など種類が豊富であり、 好んで求められた可能性もある。 <寛文大火と輸出向け色絵> 赤絵誕生の窓口となった長崎で 以上のように、柿右衛門は海外との関わりの中で誕生したとも あるが、 この頃中国では明朝から清朝への交替に伴う混乱が起こっ 言え、必然的に長崎との関わりが深いことがわかった。柿右衛門 た。その結果、それまで海外へ陶磁器を供給していた景徳鎮など にとって、長崎は鍵を握る町なのである。 2 ると考えられる。 『磁器とオランダ東インド会社』では、1624年オランダ人は台南に貿 3 6 第8回COEセミナーの開催について 第4回若手研究者による研究会 平成18年3月24日 (金)13:00∼16:00 歴史・カリキュラム研究室 柿右衛門様式磁器置物の人物像について(要旨) 第8回COEセミナーが下記のとおり開催されました。 古賀 裕子 記 日時/平成18年6月17日 (土) 13:00∼14:30 型物による造形は、西洋で非常に高い人気を博した肥前 場所/15号館15103番教室 磁器作品の一分野である。しかし、その代表例である柿右 講師/長崎県教育庁 学芸文化課 主任文化財保護主事 衛門様式磁器の人形や置物については、ほとんど研究がな 川口 洋平 氏 されていない。今回、人形・置物の中でも婦人像と童子像に 演題/ 「長崎と柿右衛門」 焦点をあて、それらに込められた人物の想定とその意味に ついて考察を行った。 婦人像は、 「睡余小録」 という随筆にのこる記述やそのポー ズから「吉野太夫」や「寛文美人図」と言った当時の流行や 有名人をモチーフとして作られたと考えられ、また童子像 は、 こどもの成長を願う 「深曾木」 の儀式や京都退蔵院の 「瓢 鮎図」に典拠したものをモチーフとして作られていると考 COEセミナーの概要 長崎と柿右衛門 長崎県教育庁 学芸文化課 川口 洋平氏 えられた。このことから、日本的な意匠をもとに作られて 写真右が古賀さん いることが分かるが、稀に見る特殊な着物を着た婦人像や くの研究がなされていなかった柿右衛門様式人形の不明 童子像の髪型から、中国的な意匠も想定された。いずれに 分について、これから少しでも明らかにしたいと考えてい せよ、まだ確証を得るには至っていないが、これまでに多 る。 ※ 古賀裕子さんは平成18年4月、日本学術振興会特別研究員に選ばれました。 <「赤絵」伝授の舞台> 長崎と柿右衛門と聞いてどのような印 の窯場が荒れ、生産量が大きく減少した。こうした事態を受けて、 象を持たれるだろうか。有田で製作され、海を渡ってヨーロッパ バタビアを経由してヨーロッパへ陶磁器を運んでいた連合オラ で好まれた柿右衛門と江戸時代に海外への窓口であった長崎は、 ンダ東インド会社(VOC)は、代わりに肥前の窯場に目をつけて 何か漠然と関係があるように思われはしないだろうか。 1659年頃から大量の注文を出すようになった。 柿右衛門家に伝わる赤絵の始まりに関する文書によれば、赤絵 肥前陶磁の海外輸出がピークに達した寛文三年(1663)頃、長 の技法は、 まず伊万里の東嶋徳左衛門が長崎で唐人志いくわん (四 崎で町のほとんどを焼く大火があった。近年の発掘調査によって、 官か)より伝授され、次に有田木山で初代柿右衛門へ伝えられた この火災で焼けた蔵跡が発見されているが、そこから大量の海外 明の中、末期から清の初期にかける二百年あまりは中国磁器輸出の 易拠点を設置し、1657年、中国側が陶磁器の提供停止までの30年間 とある。さらに、完成した赤絵製品を長崎へ持参して、唐人やオラ 輸出向け肥前陶磁が出土しており、海外輸出に関連する作品であ 最盛期である。この時期に輸出される磁器は景徳鎮青花磁、彩磁、広彩 に、台湾を経由してバタヴィアからヨーロッパへ輸出した中国陶磁器 ンダ人へ売ったことも記されている。つまり、柿右衛門は長崎を ることが推測される。中には多くの色絵製品があり、赤絵技法の (景徳鎮の素地を広州で絵付けしたもの)、広東石湾磁、福建徳化白磁 は数百万点に及ぶ。また、台湾から日本へ運ばれる中国陶磁器の数も 通して赤絵技法の修得や製品の販売を行っていたのである。柿右 伝授から十数年ほどで、中国に代わって肥前の色絵が世界へ輸出 第5回若手研究者による研究会 中日磁器の輸出に関する先行研究 平成18年4月21日 (金)13:00∼16:00 歴史・カリキュラム研究室 −台湾の視点から−(要旨) COE若手研究者 黄 承基 と青花磁、安渓の青花磁、福建、広東の窯で生産した磁器などである。 かなり大量で、1635年8月13万5千点あまりの陶磁器を乗せた船は 中国磁器はこの時期に大量に輸出されている。17世紀に毎年約20万 台湾から日本へ出発すると記載されている。 点、 18世紀に毎年約百万点などの記録も残されている。 17世紀初めに磁器の生産を開始した有田窯では、佐賀藩の保護の 衛門と長崎には深い関わりがあるのである。 されたことが判明する。しかしまだ、この中に柿右衛門は含まれ <柿右衛門が学んだ中国色絵> 柿右衛門が学んだ赤絵の技法 ておらず、様式的な完成をみていないことがうかがわれる。 17世紀の大航海時代は、ヨーロッパの勢力が世界中に拡大する重 もと、 本格的な磁器生産をスタートしていた。 積出港の名で 「伊万里焼」 とはどのようなものだったのであろうか。その手がかりは、当時 <長崎出土の柿右衛門> 1670年代以降の遺跡からは、 柿右衛 要な段階であり、世界的経済ネットワークの始まりでもある。中国南 と呼ばれた有田窯の製品は、はじめは日本国内向けに中国磁器に倣っ の長崎にもたらされた中国の色絵陶磁にあるだろう。長崎の旧 門様式の出土が報告されているが、 例としては極めて稀で、 基本的 部にある福建は、左に浙江、右に広東と言った地理的優勢を持ち、琉球 た製品を供給していた。記録によると有田窯は、1659年に21,567 市街の発掘調査では、美術館などで伝世品として知られる呉須 にはヨーロッパ向けの輸出品であると考えられる。長崎において を通して日本に、 また南のフィリピンとマレー半島にもルートがあり、 個が輸出され、 同時にアラビアのモカ向けに56, 700個のカップや皿 赤絵、万暦赤絵、天啓赤絵などが出土しており、直接的にはこれ 遺跡から柿右衛門様式の製品が出土したのは、 出島和蘭商館跡、 長 貿易などの海上活動はここを拠点にするのが多い。これらのルートは 類の注文を受けるなど、 これ以降約30年間にわたって最盛期を迎えた。 崎奉行所跡、桜町遺跡の3カ所である。寛文大火の場合と同様、船 台湾を経由しなければならないため、17世紀になってから、ヨーロッ 肥前磁器の輸出最盛期(1650∼1682)には、中国商船に載せられ 積みされる前に、 何らかの事情で棄てられた可能性が考えられる。 パ商船が台湾海峡で頻繁に進出し、台湾は南北交通の中継点として海 る肥前磁器の数はオランダ商船を大幅に越えているという。左営鳳山 上貿易に重要な役目を果たしている。 県旧城遺跡から出土した肥前磁器、中国沿海地域の窯元の磁器とベト 16世紀末期から17世紀、台湾は地理的優勢で日中貿易や日本から ナム陶磁器とされる出土品は、17世紀の東アジア貿易における台湾 南洋への航海の重要な基地とされ、フィリピンへの中国商船や、黒潮 が重要な役目を果たしていると言えよう。 「宣明」といった銘款の青花 に沿ってメキシコとフィリピンの間で行き来するスペイン商船など 磁器の出土も清政府が 「遷界令」 (1661) を実施して、 「展海令」 (1684) の拠点でもある。17世紀に台湾はオランダ人や鄭成功が日本と東南 を頒布するまで、肥前磁器の輸出最盛期でもある時期に、鄭氏家族が アジアの間で行き来するのに主なトランスファーステーションになり、 台湾を拠点として日本の陶磁器輸出に介入している重要な根拠であ らの流入が契機となって、 赤絵技法が伝わったと考えられる。ただ、 この頃の長崎には、赤絵のほかにも華南三彩や磁器三彩など多 様な色絵製品がもたらされており、これらを起源とする色絵が ただ、長崎奉行所(厳密には隣接する岩原目付屋敷跡)で出土して 前後して誕生した可能性も考えられる。時期的には古九谷が相 いるものについては、典型的ではない広義のものも含めると鳥形 当するであろう。 の置物など種類が豊富であり、 好んで求められた可能性もある。 <寛文大火と輸出向け色絵> 赤絵誕生の窓口となった長崎で 以上のように、柿右衛門は海外との関わりの中で誕生したとも あるが、 この頃中国では明朝から清朝への交替に伴う混乱が起こっ 言え、必然的に長崎との関わりが深いことがわかった。柿右衛門 た。その結果、それまで海外へ陶磁器を供給していた景徳鎮など にとって、長崎は鍵を握る町なのである。 2 ると考えられる。 『磁器とオランダ東インド会社』では、1624年オランダ人は台南に貿 3 6 第6回若手研究者による研究会 平成18年5月20日 (土)14:40∼17:40 歴史・カリキュラム研究室 バーリーハウスの柿右衛門様式磁器コレクションについて /調査報告を兼ねて(要旨) COE研究員 バーリーハウスは、 ロンドン北西部リンカーンシャー州スタンフォー COE客員研究員内規について 平成18年5月31日 (水)第5回COE協議会が開催され、 客員研究員の受け入れと内規が了承されました。 古橋 千明 九州産業大学柿右衛門様式陶芸研究センター客員研究員内規 コーヒーカップ」、 「ゴブレット」、 「タンカード(ジョッキ)」などが ドにあり、エリザベス女王Ⅰ世の在位に、国政の中枢に参画した あった。また、 「ソーサー」や「ポット」があったが、ソーサーの大部 第一代バーリー卿ウィリアム・セシル(1520-1598)によって 分は、カップと組になるようにチェルシー窯で注文製作されたと (趣旨) 1555年から約30年かけて建造された。 屋敷は、 子孫のエクセター 思われる作品であった。 この他に、 少数の 「瓶」 や 「小鉢」 を確認して 第1条 この内規は、九州産業大学柿右衛門様式陶芸研究 侯爵家によって代々継承され、現在は、第六代エクセター侯爵の いる。 センター(以下「センター」という。)における学術研究を 第6条 客員研究員が本学の学内規則等に違反したとき 子女にあたるビクトリア・リーサム夫人が会長を務める慈善保護 こうしてコレクション全体を見ると、 「壺」、特に大型の作品が 推進し、学術の進展に寄与するため、外部から受入れる 又は本学の運営に重大な支障を生ぜしめたときは、所長 団体により保存活動が行われている。バーリーハウスの陶磁器コ ほとんど存在しないことが分かる(柿右衛門様式で確認したの 客員研究員に関し、必要な事項を定めるものとする。 は、当該客員研究員の受入れ承認を取り消すことができ レクションは、一般公開中の部屋に展示されている作品以外は、 は初期色絵磁器の壺一点のみ)。昨年度、当センターが行ったド 未公開の磁器収集室に収められている。当センターでは、リーサ レスデン国立美術館を始めとするドイツの美術館・城館所蔵の ム夫人のご協力を得て、本年4月にバーリーハウスの柿右衛門様 柿右衛門様式磁器の調査では、小型・大型を含め多数の壺・瓶類 式磁器コレクションの調査を行い、総点数で約90点の柿右衛門 を確認している。今後も当センターがヨーロッパ所在の柿右衛 様式に分類できる作品を調査した。 門作品の調査を進め、その実態(種類、形状、特徴などの詳細)を 内外の大学の教員、研究機関の研究者、またはこれに相 コレクションの特徴は、 まず、 ユニークな 「置物 (人形) 」 が数多く 明らかにするなかで、各国の柿右衛門コレクションの様相の違 当すると認められる者とする。 存在することである。亀乗仙人、雄鶏、獅子、犬、象など14点の置 いがさらに明確になってくるのではないかと想像している。ヨー 物を確認した。これらは他のヨーロッパの美術館等でも見ること ロッパの歴史的・文化的背景に対する理解も含め、17世紀後半 (条件) ができるが、 このようにまとまった形で遺っているケースは珍しい。 から18世紀初期における「柿右衛門」という文化史・陶磁史上の 第3条 客員研究員は、次の各号のいずれかに該当する場 作品数で見ると次に多かったのは「皿」で、柿右衛門様式の特徴と 大きな一つの流れ(現象)について見解を提示できるようにさら も云えるが、型打成形の輪花皿や八角皿がほとんどであった。そ に研究に取り組みたいと思う。 のとする。 (受入れ承認の取消し) るものとする。 (資格) 第2条 客員研究員として受入れることのできる者は、国 (受入れ期間) 第7条 客員研究員の受入れ期間は、1月以上1年以内と する。ただし、 客員教員を受入れている事業推進担当者が、 受入れ期間延長を申請したときは、所長は、その期間を 延長することができる。 合に受入れるものとする。 (待遇) (1) センターの研究発展のために、学外の協力を必要 して次に、 「鉢」や「杯」が続くが、杯類には、 「ミルク入れ」や「紅茶・ 第8条 客員研究員と九州産業大学の間には、雇用関係は とする場合 生じないものとする。 (2) 本学の事業推進担当者が共同研究を希望する場合 第7回若手研究者による研究会 2 客員研究員の給与は、支給しない。ただし、研究旅費に (3) 前2号に準ずる場合 ついては、センター運営委員会の承認を得て支給できる 平成18年6月16日 (金)13:00∼16:00 歴史・カリキュラム研究室 ビザール マイセンの 「インドの花」 ―柿右衛門様式が与えた影響と 「奇想様式」 の花のイメージの成立―(要旨) COE研究員 櫻庭 美咲 ものとする。 (申請) 第4条 客員研究員を受入れる事業推進担当者は、客員研 (研究結果の報告) 究員申請書 (別紙様式1) を添えてセンター所長 (以下 「所 第9条 客員研究員は、研究終了後速やかに、研究結果報 長」という。)に申請しなければならない。 本論では、マイセン王立磁器製作所において1720∼30年代 告書を所長に提出しなければならない。 に最も初期の色絵で表された柿右衛門様式の影響を受けた花文 様の意匠である「インドの花」と、そこに表された柿右衛門様式の (承認) 附 則 花文様の表現方法を比較し、両者の特質を論証してゆく。マイセ 第5条 所長は、前条の申請が適当と認められる場合は、 この内規は、平成18年5月31日から施行し、平成18年 ンに磁器製作所を設立させたザクセン侯国選帝侯のアウグスト センター協議会の議を経て客員研究員受入れ承認書(別 強王は、有田の柿右衛門様式磁器を多数所有しており、そのなか 4月1日から適用する。 紙様式2)を申請があった事業推進担当者に通知するも には完成期の優品が豊富に含まれていた。それらはマイセンの製 作所へ見本として運ばれ、絵付けの手本とされた。柿右衛門様式 客員研究員紹介 の影響を受けた花文様には、精密な模写的絵付けと、前述の「イン ドの花」といわれるマイセン独自のタイプがある。ただし、有田の 柿右衛門様式磁器には、 日本の伝統的な草花図に共通する 「優美さ」 「可憐さ」 「季節の叙情」 や 「親和的」 といった風流の趣をうかがわせ る草花や花鳥の描写が豊富に存在する一方で、マイセンで行われ 中心的な内容は、むしろ非現実的な事物からなる幻想的なエキゾ た上述の二種類の花の絵付けにおいては、こうした日本美の特質 チスムのイメージの創造にある。そうした意味においてマイセン を抽出し、 独自の意匠として再現、 発展する進展はみられなかった。 の「インドの花」は、和様の花のモティーフを借用しながらも、そ マイセンにおいて行われた柿右衛門様式磁器の花文様の模倣は、 れを西洋的な趣味による異国的で独創的な、一種の「奇想様式」の 日本的な精神性の表現の再現までを視野に入れたものではなかっ 花のイメージに置き換えて表した独自の表現形式であったとい 九州大学大学院 理学研究院 九州大学大学院 理学研究院 研究生 九州大学大学院理学研究院 博士後期課程2年 たとみられる。 「インドの花」の絵付けによって達成された表現の えるのである。 日高 昌則 助教授 Mr. Loku Singgappulige Rosantha Kumara Mr. Loku Balasuriyage Don Ruwan Palitha Wijesundera ビザール 4 5 6 第6回若手研究者による研究会 平成18年5月20日 (土)14:40∼17:40 歴史・カリキュラム研究室 バーリーハウスの柿右衛門様式磁器コレクションについて /調査報告を兼ねて(要旨) COE研究員 バーリーハウスは、 ロンドン北西部リンカーンシャー州スタンフォー COE客員研究員内規について 平成18年5月31日 (水)第5回COE協議会が開催され、 客員研究員の受け入れと内規が了承されました。 古橋 千明 九州産業大学柿右衛門様式陶芸研究センター客員研究員内規 コーヒーカップ」、 「ゴブレット」、 「タンカード(ジョッキ)」などが ドにあり、エリザベス女王Ⅰ世の在位に、国政の中枢に参画した あった。また、 「ソーサー」や「ポット」があったが、ソーサーの大部 第一代バーリー卿ウィリアム・セシル(1520-1598)によって 分は、カップと組になるようにチェルシー窯で注文製作されたと (趣旨) 1555年から約30年かけて建造された。 屋敷は、 子孫のエクセター 思われる作品であった。 この他に、 少数の 「瓶」 や 「小鉢」 を確認して 第1条 この内規は、九州産業大学柿右衛門様式陶芸研究 侯爵家によって代々継承され、現在は、第六代エクセター侯爵の いる。 センター(以下「センター」という。)における学術研究を 第6条 客員研究員が本学の学内規則等に違反したとき 子女にあたるビクトリア・リーサム夫人が会長を務める慈善保護 こうしてコレクション全体を見ると、 「壺」、特に大型の作品が 推進し、学術の進展に寄与するため、外部から受入れる 又は本学の運営に重大な支障を生ぜしめたときは、所長 団体により保存活動が行われている。バーリーハウスの陶磁器コ ほとんど存在しないことが分かる(柿右衛門様式で確認したの 客員研究員に関し、必要な事項を定めるものとする。 は、当該客員研究員の受入れ承認を取り消すことができ レクションは、一般公開中の部屋に展示されている作品以外は、 は初期色絵磁器の壺一点のみ)。昨年度、当センターが行ったド 未公開の磁器収集室に収められている。当センターでは、リーサ レスデン国立美術館を始めとするドイツの美術館・城館所蔵の ム夫人のご協力を得て、本年4月にバーリーハウスの柿右衛門様 柿右衛門様式磁器の調査では、小型・大型を含め多数の壺・瓶類 式磁器コレクションの調査を行い、総点数で約90点の柿右衛門 を確認している。今後も当センターがヨーロッパ所在の柿右衛 様式に分類できる作品を調査した。 門作品の調査を進め、その実態(種類、形状、特徴などの詳細)を 内外の大学の教員、研究機関の研究者、またはこれに相 コレクションの特徴は、 まず、 ユニークな 「置物 (人形) 」 が数多く 明らかにするなかで、各国の柿右衛門コレクションの様相の違 当すると認められる者とする。 存在することである。亀乗仙人、雄鶏、獅子、犬、象など14点の置 いがさらに明確になってくるのではないかと想像している。ヨー 物を確認した。これらは他のヨーロッパの美術館等でも見ること ロッパの歴史的・文化的背景に対する理解も含め、17世紀後半 (条件) ができるが、 このようにまとまった形で遺っているケースは珍しい。 から18世紀初期における「柿右衛門」という文化史・陶磁史上の 第3条 客員研究員は、次の各号のいずれかに該当する場 作品数で見ると次に多かったのは「皿」で、柿右衛門様式の特徴と 大きな一つの流れ(現象)について見解を提示できるようにさら も云えるが、型打成形の輪花皿や八角皿がほとんどであった。そ に研究に取り組みたいと思う。 のとする。 (受入れ承認の取消し) るものとする。 (資格) 第2条 客員研究員として受入れることのできる者は、国 (受入れ期間) 第7条 客員研究員の受入れ期間は、1月以上1年以内と する。ただし、 客員教員を受入れている事業推進担当者が、 受入れ期間延長を申請したときは、所長は、その期間を 延長することができる。 合に受入れるものとする。 (待遇) (1) センターの研究発展のために、学外の協力を必要 して次に、 「鉢」や「杯」が続くが、杯類には、 「ミルク入れ」や「紅茶・ 第8条 客員研究員と九州産業大学の間には、雇用関係は とする場合 生じないものとする。 (2) 本学の事業推進担当者が共同研究を希望する場合 第7回若手研究者による研究会 2 客員研究員の給与は、支給しない。ただし、研究旅費に (3) 前2号に準ずる場合 ついては、センター運営委員会の承認を得て支給できる 平成18年6月16日 (金)13:00∼16:00 歴史・カリキュラム研究室 ビザール マイセンの 「インドの花」 ―柿右衛門様式が与えた影響と 「奇想様式」 の花のイメージの成立―(要旨) COE研究員 櫻庭 美咲 ものとする。 (申請) 第4条 客員研究員を受入れる事業推進担当者は、客員研 (研究結果の報告) 究員申請書 (別紙様式1) を添えてセンター所長 (以下 「所 第9条 客員研究員は、研究終了後速やかに、研究結果報 長」という。)に申請しなければならない。 本論では、マイセン王立磁器製作所において1720∼30年代 告書を所長に提出しなければならない。 に最も初期の色絵で表された柿右衛門様式の影響を受けた花文 様の意匠である「インドの花」と、そこに表された柿右衛門様式の (承認) 附 則 花文様の表現方法を比較し、両者の特質を論証してゆく。マイセ 第5条 所長は、前条の申請が適当と認められる場合は、 この内規は、平成18年5月31日から施行し、平成18年 ンに磁器製作所を設立させたザクセン侯国選帝侯のアウグスト センター協議会の議を経て客員研究員受入れ承認書(別 強王は、有田の柿右衛門様式磁器を多数所有しており、そのなか 4月1日から適用する。 紙様式2)を申請があった事業推進担当者に通知するも には完成期の優品が豊富に含まれていた。それらはマイセンの製 作所へ見本として運ばれ、絵付けの手本とされた。柿右衛門様式 客員研究員紹介 の影響を受けた花文様には、精密な模写的絵付けと、前述の「イン ドの花」といわれるマイセン独自のタイプがある。ただし、有田の 柿右衛門様式磁器には、 日本の伝統的な草花図に共通する 「優美さ」 「可憐さ」 「季節の叙情」 や 「親和的」 といった風流の趣をうかがわせ る草花や花鳥の描写が豊富に存在する一方で、マイセンで行われ 中心的な内容は、むしろ非現実的な事物からなる幻想的なエキゾ た上述の二種類の花の絵付けにおいては、こうした日本美の特質 チスムのイメージの創造にある。そうした意味においてマイセン を抽出し、 独自の意匠として再現、 発展する進展はみられなかった。 の「インドの花」は、和様の花のモティーフを借用しながらも、そ マイセンにおいて行われた柿右衛門様式磁器の花文様の模倣は、 れを西洋的な趣味による異国的で独創的な、一種の「奇想様式」の 日本的な精神性の表現の再現までを視野に入れたものではなかっ 花のイメージに置き換えて表した独自の表現形式であったとい 九州大学大学院 理学研究院 九州大学大学院 理学研究院 研究生 九州大学大学院理学研究院 博士後期課程2年 たとみられる。 「インドの花」の絵付けによって達成された表現の えるのである。 日高 昌則 助教授 Mr. Loku Singgappulige Rosantha Kumara Mr. Loku Balasuriyage Don Ruwan Palitha Wijesundera ビザール 4 5 6 調査報告について 第1回COE論文報告会 イギリス調査報告 本研究拠点では年1回論集を発行しており、現在第2号まで刊 行されています。この度、論集第1号と第2号に掲載された論文に 平成18年4月1日 (土) ∼4月12日 (水) ついて報告会を行うことになり、第1回目が下記のとおり開催さ 調査実施期間/下村 耕史、梶原 茂正、朴 泰成(いずれも事業推進担当者) 古橋 千明(COE研究員)、松下 広樹(COE研究員) 調査メンバー/ロンドン、 スタンフォード、 セント・アイヴス、 ストーク・オン・トレント れました。 (発表内容は8ページを参照) 大英博物館にて ロンドンの大英博物館では、アジア部日本セクション長ティモ 大学院のカリキュラム作成のために有益な情報と資料を得た。ロ シー・クラーク氏とセインズベリー日本藝術研究所所長ニコル・クー ンドンの王立芸術院では、 「中国の三皇帝名品」展で、清朝三代に リジ・ルマニエール博士の協力のもとに、同館所蔵の柿右衛門様 亘る磁器を確認した。ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバー 式磁器のうち質の高い典型的な柿右衛門様式磁器21点を調査し ト美術館では、柿右衛門様式磁器を中心として日本、中国、朝鮮の た。イングランド中央部スタンフォードのバーリーハウスでは、 陶磁器を確認した。ロンドン郊外のハンプトンコート宮殿では、 サザビーズ・インスティテュート・オブ・アート教授ゴードン・ラ 17世紀後半メアリー女王の蒐集による柿右衛門様式磁器を中心 ング氏の協力のもとに、17世紀以来当時の状態で今日まで遺さ に、日本と中国の磁器を確認した。イングランド北部のストーク・ れる歴代エクセター侯爵によるコレクション中の、柿右衛門様式 オン・トレントでは、ウェッジウッド社の広報部長アンドリュー・ 磁器を調査した。イングランド南西部のセント・アイヴスではバー スタニストリート氏からイギリス現代陶芸事情について詳しく ナード・リーチ窯を視察し、同窯を日英陶芸交流センターとして 話を伺い、 専門職大学院のカリキュラム作成に有益な情報を得た。 再開発する事業に従事されているレディー・キャロル・ホーラン ロンドンのパーシヴァル・デイヴィッド中国美術財団では初期伊 ド氏とマイケル・オドネル氏から説明をうけた。ファルマウス芸 万里磁器に大きな影響を与えた中国の磁器を確認した。最後に今 術大学のデザインセンターでは、ジャスティン・マーシャル博士 回の調査ではイギリスで日本磁器研究に携わる方々の全面的な から同大学院の教育システムと研究について説明をうけ、専門職 協力を頂いたことに、 心より感謝の意を表したい。 (文責:下村耕史) 中近東文化センター調査報告 出光美術館所蔵品 「柿右衛門様式磁器」 の調査活動の概要について 記 日 時/平成18年4月22日 (土) 12:00∼15:30 場 所/歴史・カリキュラム研究室 発表者/釜堀 文孝 内山 敏典 朴 泰成 櫻庭 美咲 平成18年度 活動報告 期 間 場 所 平成18年4月1日[土]∼12日[水] イギリス 平成18年4月16日[日] 山口県立萩美術館 平成18年4月28日[金] 有田歴史民俗資料館 平成18年5月4日[木] 担当者 備 考 下村 耕史・梶原 茂正・朴 泰成・ 英国所在の柿右衛門様式磁器の調査及び 松下 広樹・古橋 千明(∼16日[日]) 陶芸カリキュラムの調査 山本 紗英子・前田 美紗子・ 佐賀県立九州陶磁文化館 柿右衛門窯 「華麗なるマイセン磁器」展鑑賞及び櫻庭 古賀 裕子・濱川 和洋 研究員の講演会に出席 古賀 裕子 同館所蔵の土型(柿右衛門様式の置物)の調査 古橋 千明 研究打合せ 調査実施日/平成18年6月6日(火)∼7日(水) 平成18年5月21日[日] 佐賀県立九州陶磁文化館 古賀 裕子 平成18年5月21日[日] 出光美術館(門司) 山本 紗英子 平成18年5月26日[金] 京都国立博物館 山本 紗英子 平成18年5月29日[月] 佐賀県窯業技術センター 古賀 裕子 場 所/中近東文化センター (東京都三鷹市) 調査メンバー/菊竹 淳一(事業推進担当者)、 櫻庭 美咲(COE研究員)、 松下 広樹(COE研究員)、 山本 紗英子(COE若手研究者) 調 査 数/52件、 60数点 調 査 内 容/撮影、 採寸、 対象物と持参したテストピースによる釉薬の比較照合 平成18年6月5日[月]∼7日[水] 美術館や博物館のガラス越しの遠目でしか、普段は見ることが できない柿右衛門様式磁器の一点一点に触れ、作品全体を様々な 論文執筆のための研究: 「艶と粋 肉筆浮世絵展」鑑賞 論文執筆のための研究: 「大絵巻展」鑑賞 論文執筆における柿右衛門様式人形の 模写のための技術指導受講 菊竹 淳一(∼8日[木]) ・櫻庭 美咲・ 古美術店にて骨董の調査及び中近東文化 アンティークショップ ロムドシン 松下 広樹・山本 紗英子 日高 昌則・L.S.R.Kumara・ 平成18年6月15日[木]∼20日[火] 大韓民国 ポハン加速器研究所 平成18年6月17日[土]∼18日[日] 長崎歴史文化博物館 櫻庭 美咲 平成18年6月25日[日] 佐賀県立九州陶磁文化館 古賀 裕子・濱川 和洋 平成18年6月25日[日] 佐川美術館(滋賀県) 黄 承基 平成18年6月30日[金] 福岡市博物館 L.B.D.R.P.Wijesundera 門様式磁器の研究者として、やはりこれに勝る研究方法はないと 身を以て実感しました。 式人形の閲覧及び調査 中近東文化センター 角度から観察し、作品に対し議論すること、作品の重さを手で感 じることができる実地での調査は、陶磁器制作者として、柿右衛 論文執筆のための同館所蔵の柿右衛門様 センターにて出光美術館所蔵品の調査 シンクロトロン光による古伊万里磁器の分析 東京大学東洋文化研究所 羽田正教教授 主催「アジアの港町」長崎研究会に参加 同美術館所蔵作品の撮影 本調査では、出光美術館主任学芸員の荒川正明先生と菊竹淳一 事業推進担当者を中心に、調査作品を読み解くため、陶磁史、美術 と思われる楠谷窯の作品等も数点調査させていただきました。 史の解説・議論を歴史と技術の面で行いました。また、出光美術館 調査した柿右衛門様式磁器は、 濁手タイプの典型的な作品が多く、 側のご好意により、柿右衛門様式磁器の成立に至るまでの磁器の 名品に囲まれた大変有意義で充実した調査活動となりました。 変遷を学ぶため、初期伊万里、初期柿右衛門様式磁器に関係する 朴 泰成・松下 広樹・古橋 千明・ 黄 承基・山本 紗英子 (文責:山本紗英子) 6 7 論文執筆のための研究: 「韓国ソウル 湖林博物館所蔵 李朝陶磁の 名品−白磁と粉青沙器−」展鑑賞 若手研究会: 「マリア・テレジアとシェーンブルン宮殿展」鑑賞 6 調査報告について 第1回COE論文報告会 イギリス調査報告 本研究拠点では年1回論集を発行しており、現在第2号まで刊 行されています。この度、論集第1号と第2号に掲載された論文に 平成18年4月1日 (土) ∼4月12日 (水) ついて報告会を行うことになり、第1回目が下記のとおり開催さ 調査実施期間/下村 耕史、梶原 茂正、朴 泰成(いずれも事業推進担当者) 古橋 千明(COE研究員)、松下 広樹(COE研究員) 調査メンバー/ロンドン、 スタンフォード、 セント・アイヴス、 ストーク・オン・トレント れました。 (発表内容は8ページを参照) 大英博物館にて ロンドンの大英博物館では、アジア部日本セクション長ティモ 大学院のカリキュラム作成のために有益な情報と資料を得た。ロ シー・クラーク氏とセインズベリー日本藝術研究所所長ニコル・クー ンドンの王立芸術院では、 「中国の三皇帝名品」展で、清朝三代に リジ・ルマニエール博士の協力のもとに、同館所蔵の柿右衛門様 亘る磁器を確認した。ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバー 式磁器のうち質の高い典型的な柿右衛門様式磁器21点を調査し ト美術館では、柿右衛門様式磁器を中心として日本、中国、朝鮮の た。イングランド中央部スタンフォードのバーリーハウスでは、 陶磁器を確認した。ロンドン郊外のハンプトンコート宮殿では、 サザビーズ・インスティテュート・オブ・アート教授ゴードン・ラ 17世紀後半メアリー女王の蒐集による柿右衛門様式磁器を中心 ング氏の協力のもとに、17世紀以来当時の状態で今日まで遺さ に、日本と中国の磁器を確認した。イングランド北部のストーク・ れる歴代エクセター侯爵によるコレクション中の、柿右衛門様式 オン・トレントでは、ウェッジウッド社の広報部長アンドリュー・ 磁器を調査した。イングランド南西部のセント・アイヴスではバー スタニストリート氏からイギリス現代陶芸事情について詳しく ナード・リーチ窯を視察し、同窯を日英陶芸交流センターとして 話を伺い、 専門職大学院のカリキュラム作成に有益な情報を得た。 再開発する事業に従事されているレディー・キャロル・ホーラン ロンドンのパーシヴァル・デイヴィッド中国美術財団では初期伊 ド氏とマイケル・オドネル氏から説明をうけた。ファルマウス芸 万里磁器に大きな影響を与えた中国の磁器を確認した。最後に今 術大学のデザインセンターでは、ジャスティン・マーシャル博士 回の調査ではイギリスで日本磁器研究に携わる方々の全面的な から同大学院の教育システムと研究について説明をうけ、専門職 協力を頂いたことに、 心より感謝の意を表したい。 (文責:下村耕史) 中近東文化センター調査報告 出光美術館所蔵品 「柿右衛門様式磁器」 の調査活動の概要について 記 日 時/平成18年4月22日 (土) 12:00∼15:30 場 所/歴史・カリキュラム研究室 発表者/釜堀 文孝 内山 敏典 朴 泰成 櫻庭 美咲 平成18年度 活動報告 期 間 場 所 平成18年4月1日[土]∼12日[水] イギリス 平成18年4月16日[日] 山口県立萩美術館 平成18年4月28日[金] 有田歴史民俗資料館 平成18年5月4日[木] 担当者 備 考 下村 耕史・梶原 茂正・朴 泰成・ 英国所在の柿右衛門様式磁器の調査及び 松下 広樹・古橋 千明(∼16日[日]) 陶芸カリキュラムの調査 山本 紗英子・前田 美紗子・ 佐賀県立九州陶磁文化館 柿右衛門窯 「華麗なるマイセン磁器」展鑑賞及び櫻庭 古賀 裕子・濱川 和洋 研究員の講演会に出席 古賀 裕子 同館所蔵の土型(柿右衛門様式の置物)の調査 古橋 千明 研究打合せ 調査実施日/平成18年6月6日(火)∼7日(水) 平成18年5月21日[日] 佐賀県立九州陶磁文化館 古賀 裕子 平成18年5月21日[日] 出光美術館(門司) 山本 紗英子 平成18年5月26日[金] 京都国立博物館 山本 紗英子 平成18年5月29日[月] 佐賀県窯業技術センター 古賀 裕子 場 所/中近東文化センター (東京都三鷹市) 調査メンバー/菊竹 淳一(事業推進担当者)、 櫻庭 美咲(COE研究員)、 松下 広樹(COE研究員)、 山本 紗英子(COE若手研究者) 調 査 数/52件、 60数点 調 査 内 容/撮影、 採寸、 対象物と持参したテストピースによる釉薬の比較照合 平成18年6月5日[月]∼7日[水] 美術館や博物館のガラス越しの遠目でしか、普段は見ることが できない柿右衛門様式磁器の一点一点に触れ、作品全体を様々な 論文執筆のための研究: 「艶と粋 肉筆浮世絵展」鑑賞 論文執筆のための研究: 「大絵巻展」鑑賞 論文執筆における柿右衛門様式人形の 模写のための技術指導受講 菊竹 淳一(∼8日[木]) ・櫻庭 美咲・ 古美術店にて骨董の調査及び中近東文化 アンティークショップ ロムドシン 松下 広樹・山本 紗英子 日高 昌則・L.S.R.Kumara・ 平成18年6月15日[木]∼20日[火] 大韓民国 ポハン加速器研究所 平成18年6月17日[土]∼18日[日] 長崎歴史文化博物館 櫻庭 美咲 平成18年6月25日[日] 佐賀県立九州陶磁文化館 古賀 裕子・濱川 和洋 平成18年6月25日[日] 佐川美術館(滋賀県) 黄 承基 平成18年6月30日[金] 福岡市博物館 L.B.D.R.P.Wijesundera 門様式磁器の研究者として、やはりこれに勝る研究方法はないと 身を以て実感しました。 式人形の閲覧及び調査 中近東文化センター 角度から観察し、作品に対し議論すること、作品の重さを手で感 じることができる実地での調査は、陶磁器制作者として、柿右衛 論文執筆のための同館所蔵の柿右衛門様 センターにて出光美術館所蔵品の調査 シンクロトロン光による古伊万里磁器の分析 東京大学東洋文化研究所 羽田正教教授 主催「アジアの港町」長崎研究会に参加 同美術館所蔵作品の撮影 本調査では、出光美術館主任学芸員の荒川正明先生と菊竹淳一 事業推進担当者を中心に、調査作品を読み解くため、陶磁史、美術 と思われる楠谷窯の作品等も数点調査させていただきました。 史の解説・議論を歴史と技術の面で行いました。また、出光美術館 調査した柿右衛門様式磁器は、 濁手タイプの典型的な作品が多く、 側のご好意により、柿右衛門様式磁器の成立に至るまでの磁器の 名品に囲まれた大変有意義で充実した調査活動となりました。 変遷を学ぶため、初期伊万里、初期柿右衛門様式磁器に関係する 朴 泰成・松下 広樹・古橋 千明・ 黄 承基・山本 紗英子 (文責:山本紗英子) 6 7 論文執筆のための研究: 「韓国ソウル 湖林博物館所蔵 李朝陶磁の 名品−白磁と粉青沙器−」展鑑賞 若手研究会: 「マリア・テレジアとシェーンブルン宮殿展」鑑賞 6 運営委員会開催 JUN. 2006 開催日 主な内容 平成18年4月22日 [土] 平成17年度「21世紀COEプログラム実績報告書」 について 平成16年度採択拠点中間評価ヒアリングについて 第25回 平成18年5月20日 [土] 客員研究員内規(案)等について シンシア・フィアレ氏の国際研究フォーラムへの招聘について 第26回 平成18年6月17日 [土] 今後の国内、国外調査計画について 客員研究員の採用について(報告) 6 第24回 協議会開催 開催日 第5回 主な内容 平成18年5月31日 [水] 客員研究員内規に関する審議・客員研究員の採用について 若手研究者による研究会開催 開催日 タイトル 発表者 第5回 平成18年4月21日 [金] 中日磁器の輸出に関する先行研究 −台湾の視点から− 黄 承基 第6回 平成18年5月20日 [土] バーリーハウスの柿右衛門様式磁器コレクションについて/調査報告を兼ねて 古橋 千明 第7回 平成18年6月16日 [金] マイセンの「インドの花」 ビザール ―柿右衛門様式が与えた影響と「奇想様式」の花のイメージの成立― 櫻庭 美咲 柿右衛門様式窯での窯焚きの様子 (平成18年6月8日) 第1回COE論文報告会開催 開催日 第1回 タイトル 発表者 掲載号 陶磁器産業の抱える問題についてー卸、販売、製造業を 含めた陶磁器業界に関する問題把握 釜堀 文孝 2号 柿右衛門様式陶磁器に関する芸術系学生の意識調査分析 内山 敏典 1号 寛文期から享保期における柿右衛門様式の変遷と狩野派 との相関関係 朴 泰成 1号 オランダ東インド会社文書におけるオランダ向け肥前 磁器の絵付けの記載について 櫻庭 美咲 2号 C O N T E N T S □ 第8回COEセミナーの開催について・COEセミナーの概要 2 □ 第4回∼第7回若手研究者による研究会 3∼ 4 □ COE客員研究員内規について 5 □ 調査報告:イギリス調査・中近東文化センター調査 6 □ 第1回COE論文報告会 7 □ 平成18年度 4月∼6月の調査活動等一覧 7∼ 8 平成18年4月22日[土] 九州産業大学 柿右衛門様式陶芸研究センター http://www.kyusan-u.ac.jp 〒813- 8503 福岡市東区松香台2-3-1 TEL 092-673-5489 E-mail [email protected] 8