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PDF変換用(B5) 表2
財団法人 日本航空機開発協会
副理事長
北爪 由紀夫
寸 言
中東(カタール)
における航空機を巡る環境と我が国の対応
昨年9月末、3年間に渡るカタール大使とし
済み)、同340を6機(全機納入済み)、同350
ての勤務を終了し、帰国しましたが、この間、
を80機、同380を5機発注しています。現在の
カタール航空の飛躍的な業務の拡大、成田級
ところ787、A350及びA380の納入が遅れてい
の新空港建設等同国の航空機を取り巻く環境
るため、同航空では短距離はA320が、長距離
の変化には目を見張るものがありました。我
は777及びA330が中核となっており、そのファ
が国が開発した航空機の新しい市場として、
イナンスは日本の銀行も参加したシンジケー
カタールを始めとする中東は非常に有望であ
トが行っています。また、カタールには存在
り、この市場にどのようにアプローチしてい
しませんが、中東にはLCCの航空会社も設立
くべきかという観点から、カタールの現状に
されており、これらの会社も含めて、150席
ついて触れてみたいと思います。
クラス以上の飛行機により拡大基調にある需
現在、カタールは本年末の建国記念日(12
要に対応する方針で、今のところ100席以下
月18日)での開業を目指して、新空港建設を
のリージョナルジェットの長所を理解する雰
進めており、大成建設が担当している旅客
囲気にはありません。このような状況下では、
ターミナルは第一期及び第二期工事分で2,400
当面は定期航路用ではなく、ビジネスジェッ
万人の乗降客を想定しています。これに第三
トとしてアプローチし、市場の理解を得る方
期工事分が加わると、3,600万人前後の成田空
が良いと思われます。カタール航空にもその
港と同じ規模の空港となる予定ですが、カ
ような部門もあり、また、中東では会社保有
タールは同空港がインドと米国、インド及び
のビジネスジェットも数あることから、有望
中国とアフリカ大陸、欧州とオセアニアの中
ではないかと思われます。
継ハブになることを目的にして、総人口の20
更に、カタールでは国力の増大とともに国際
倍もの規模のものを建設しています。このよ
的な緊急援助にも力を入れており、先般、C-17
うな考え方はドバイやアブダビの新空港とも
を購入し、カタール航空に運航委託を行ってい
一致しており、飛行機で1時間くらいの距離
ます。今後、他の中東諸国のアフリカ等への援
に競争関係にある空港が3つも並立する状況
助需要の増大なども予想されることから、民間
となっています。
転用されたYCXや警備救難用のUS-2の需要も
一方、カタール航空は以上のような考え方
出てくると思われますが、当面は政府相手の供
から長距離用機材として、昨年10月末時点で
給となることから我が国政府の支援や、適切な
ボーイング777を29機(内22機は納入済み)、
運用支援等が求められると思います。中東での
同787を30機、エアバス330を26機(全機納入
我が国航空機の活躍を期待したいものです。
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