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第30回リハ工カンファレンスinおきなわ報告
SSKA頸損 No.118 2016 年 4 月 6 日発行 第 30 回 リハ工学カンファレンス in おきなわⅠ 兵庫頸髄損傷者連絡会 土田浩敬 1、はじめに こんにちは。兵庫頸髄損傷者連絡会に所属の土 田浩敬です。2015年11月に開催された、「第30回 リハ工学カンファレンスinおきなわ」に参加し、 その報告をいたします。 2、概要 日本リハビリテーション工学協会とは、工学的 支援技術の発展と普及、それに賛同する個人や団 体が意見交換や情報共有、活動発表を行い、障が いを有する人たちの暮らしを、よりよいものにす ることを目的とした団体で、年に一回多くの研究 者やエンジニア、ユーザーが集まって研究発表や、 意見交換する場として、カンファレンスを開催し ています。 3、発表者としてカンファレンスに参加 今回で2度目の沖縄です。以前沖縄に行ったの は4年前の3月で、寒かったことを覚えています。 今回は11月、気温がわかりにくいのですが、沖縄 へ行かれている方の話では、暖かい、むしろ暑い くらい…兵庫はとても寒いので、半信半疑でした。 出発までには沢山の準備、そして現地のアクセ スを問い合わせて下調べを行いました。リハ工学 カンファレンスinおきなわの事務局に電話をかけ て、会場から最寄り駅までの送迎バスについて、 本数や時間帯を交渉しました。そのおかげか、障 がいを持った方達にも使いやすいように、バスの 時間帯を変更していただき、本数も増やしていた だきました。飛行機に関しても、航空会社に連絡 をとり、私達の車椅子のサイズを伝えて、スムー ズに搭乗することが出来るように手配していただ きました。正直なことを言えば、面倒くさい作業 ですが、車椅子利用者の私達が旅を楽しむには、 重要なことです。 今回はただ行くのではなく、発表することが大 きな目的です。前年度の「第29回 リハ工学カン ファレンスinひろしま」で発表したかったのです が、発表するための登録期間が過ぎてしまってい て、発表が出来なかったです。“今年こそは発表 するぞ”と思い、準備を重ねました。私は以前か ら京都が好きで、車椅子利用者として、寺や神社 に行き、京都観光を電動車椅子利用者も楽しむこ とは出来ないかと考えました。そこで、自分が実 際に体験したことを元に、楽しむ為の工夫や改善 ポイントの提案をする為に発表することにしまし た。 まず計画を立てて、事前に下調べを行い、京都 のバリアフリー観光情報を収集して行きます。寺 や神社はもちろん、無数に走る市バスも、路線・ 時間・ノンステップバスかどうかを調べました。 京都を走る市バスは、ほとんどがノンステップバ スだそうです。調べることでいろいろ分かり、寺 や神社も、意外と車椅子で行くことが出来ること を知りました。この様に情報を集めて、その内容 を資料としてまとめていきました。 4、見て・聞いて・感じて、沖縄 久しぶりの沖縄ということで、とても楽しみに していました。私は3日目の発表だったので、緊 張感を持ちながら、2日間を過ごしました。本音 を言えば、早く発表をすませて、リラックスした 状態で沖縄を楽しみたかったです。 初日、沖縄に着いた時の感想として、まず「暖 かい」と感じました。11月ですが、まだ夏の名残 があるようでした。空の雲も何処となく、夏のよ うな入道雲もありました。肌で沖縄の空気を感じ ながら、会場の沖縄県総合福祉センターに向かい ました。兵庫から、Mさん、Iさんと一緒だったの ですが、3人とも電動車椅子、会場までの送迎バ スは2台しか車椅子が乗れなかったので、私は那 覇市内を走るバスで会場に向かいました。沖縄の バスに乗ってみたかったので、あらかじめ調べて いた事が役に立ちました。しかし、兵庫頸損連の 宮野さんの発表を聞く予定が、時間通りのバスに 乗れず、結果遅れて発表を聞き逃してしまいまし た。 2日目は朝早く出発して会場へ向かいます。今 日の予定は発表を聞いて、午後からは沖縄観光へ 行きます。発表は兵庫頸損連のSさんが同年3月に 行われた、全国頸髓損傷者連絡会と日本リハビリ テーション工学協会との第4回合同シンポジウム 「いっしょにやろうや!住」の報告と、兵庫でホ ームヘルパー派遣事業所の、コーディネーターを -7- SSKA頸損 No.118 2016 年 4 月 6 日発行 されているMさんが、重度障がい者のチャレンジ について「支援する側」として発表を聞く予定で す。兵庫頸損連のSさんの発表は、車椅子利用者 の目線で、私たちが住まう点において問題を提起 し、たくさんの方に、その現状を知っていただけ たのではないかと思いました。あいにく途中から しか聞けなかったのが心残りです。そして、コー ディネーターのMさんの番です。重度障がい者が チェアスキー大会に出場することをサポートす る内容でした。頸髄損傷C4レベルで四肢機能を失 われた利用者がチェアスキーを行うのですから、 そのサポートをするには相当な体力気力を要し たと思います。しかし、その分達成感や充実感を 一緒に共有出来たのではと思いました。そして、 チャレンジして成し遂げることの素晴らしさ、可 能なのだということを皆さんに知っていただけ たのではと感じながら、発表を聞かせていただき ました。 午後からは観光、牧志公設市場に行って、カラ フルな魚や豚の顔とか見てみたかったのです。兵 庫のMさんと一緒に公設市場に向かいます。昨日 とは反対路線のバスで向かいます。公設市場に着 いて辺りを散策。カラフルな魚の隣に、整然と並 べられた豚の足…様々な色が混在し、色んな国や 地域から来られた観光客がいる光景を目の当た りにし、そこに沖縄の文化と歴史を感じました。 2階で沖縄ソバを食べてその後、国際通りのブル ーシールにてアイスクリームを食べて、沖縄の名 物とされる味を満喫しました。ちなみにココナッ ツ風味を選択、爽やかなココナッツの香りが口の 中全体に広がり、私のお腹と気持ちを満たしてく れるのでした。 話せなくても、その思いは伝わるのだと思い発表 に挑みました。私は電動車椅子で、京都の寺や神 社、そしてアクセスについて調べたのですが、逆 にバリアフルで、古い建物にしか出せない趣が京 都にはあります。バリアがあっても、障がい者と 健常者が助け合いながら、お互いにとって魅力的 な観光都市として、これからも発展していってほ しいです。 6、さいごに 発表を聞くことも大切ですが、沢山の方が参加 されるカンファレンスは、色んな専門職種の人た ちと繋がることで、自らの可能性も広がるのだと 思いました。実際に、沖縄の頸損者とも交流を持 つことも出来ました。またゆいレールや那覇市内 を走るバスといった、知らない土地の公共交通機 関を利用できた事も大きな収穫でした。 発表についてですが、もっと中身を充実させて 成長し続けないといけないと思いました。1回の 発表で満足せずに、成長し続けることで、より楽 しい未来が待っているのでは、と感じた第30回 リハ工学カンファレンスinおきなわでした。今年 は8月25日(金)〜28(日)に高知県立ふくし交流プ ラザにて開催されます。みなさんも、沢山の人た ちと繋がり、新しい発見を求めて、楽しいリハ工 学カンファレンスに参加されてみては如何でし ょうか。 5、準備を重ね、いよいよ本番 発表当日、資料に何度も目を通して準備してき ました。大丈夫だと自分に言い聞かせながら、会 場へ向かいます。少し早目に会場に到着して、資 料のデータをスタッフの方に確認してもらいま した。会場は「ゆいホール」で少し大きめな場所 になります。今まで作ってきた資料を発表するこ と、伝えたいポイントを皆様に聞いて頂けるのか、 初めてのリハ工での発表、伝えたいポイントをい かにして話すのか、自分がそのテーマについて本 当に興味があって好きなことだとすれば、うまく -8- SSKA頸損 No.118 2016 年 4 月 6 日発行 第 30 回リハ工学カンファレンス in おきなわⅡ 兵庫頸髄損傷者連絡会 島本 卓 1. リハ工学カンファレンスとは 表をしました。「どこに相談すれば要 障害のある方のリハビリテーショ 望に応じた住環境改善がおこなえる ンを支援する機器や技術について、リ のか?」「車椅子使用者にとって、ど ハビリテーションに関係するさまざ のような住宅が住みやすいのか?」が まな分野の参加者が互いに理解でき 解決されないまま障がい者は生活を る言葉で、納得できるまで討論するこ 送っています。障がい当事者が必要と とを目的として、毎年1回開催してい する住環境整備について、自ら声を上 ます。 げ行動していくことが重要だと考え 2015 年 11 月 13 日 (金) ~15 日 (日) 、 ています。障がい者が求めているニー 沖縄県総合福祉センター(沖縄県那覇 ズも個々に違いますが、 「使える」 「使 市)にて開催された「第 30 回リハ工 いやすい」住環境整備でなければ意味 学カンファレンス in おきなわ」 (以下、 がありません。 リハ工学カンファレンス)に参加と、 障がい者の「生活の選択肢」の確立 当事者発表も初めて経験しました。 のためにも、専門家との連携と当事者 本人がコーディネーターとして積極 2. 雰囲気と魅力 的に関わることだと思いました。障が このリハ工学カンファレンスが他 い当事者の意見は絶対に欠かすこと の学会と大きく違う点は「自由な雰囲 ができません。 気」にあります。学会というとスーツ 今後も、住環境整備を進めていくに のイメージを描いていた私ですが、 は課題解決と支援するネットワーク 「かりうし」で参加と発表をしました。 の構築が必要と発表しました。 リラックス感がとても驚きました。リ ハ工学カンファレンスの魅力といえ 4. まとめ ば「障がい者とさまざま分野の関係者 リハ工学カンファレンスでの発表 との意見が交換できる」ことです。会 は、これからもリハ工学カンファレン 場にいる誰もが意見を出し合いなが スで発表していきたいと思える貴重 ら、今後の福祉機器や用具の開発にお な経験になりました。事故や病気で障 ける要望などをアピールする絶好の がい者になったとしても、そこからど チャンスであると思いました。障がい のようにすれば諦めずに人生を楽し のある方たちの生活が充実していく むことができるのか。自分の経験を発 ために必要な機会だと思いました。 表していきます。 次回は、高知で 2016 年 8 月 26 日 3. 初めての当事者演題発表 ~28 日に開催されます。高知でも発表 演題名:重度障害者の住環境改善に できるように準備をしていきます。み 関する現状と課題-第 4 回全国頸損 なさんと会えるのを楽しみにしてい 連・日本リハ工学協会合同シンポジウ ます。 ムの報告と今後の展開-をテーマに発 -9- SSKA頸損 No.118 2016 年 4 月 6 日発行 リハ工カンファレンス見学 in おきなわ 東京頸髄損傷者連絡会 石毛正幸 2015 年 11 月 13 日~15 日に開催された「第 30 2日目、首里駅から電動車いすで会場の「沖縄 回リハ工学カンファレンス in おきなわ」を見学 県総合福祉センター」まで行きました。早速、頸 してきました、簡単な旅行体験とともに書いてい 損連の会員達のいる教室へ行くと、我が東京頸損 こうと思います。 の麸澤さんが発表の準備をしている最中でした。 今年の全国総会東京大会で今回のリハ工カン ヘルパーさんに「写真、写真」と言って何枚か撮 ファレンスのことを知り、開催地が沖縄というこ っていると「撮影等はご遠慮ください」とアナウ ともあり、旅行がてら行ってみようと決めました。 ンスが(笑) リハ工のことは全国頸損との合同シンポジウム 今回私が見聞きしてきた内容は「生活支援」と で簡単な手伝いをした程度で、実際どういう団体 いう枠のところでした。そこでは『褥瘡について かというのはよく知らなかったのでリハ工のこ のマネジメントということで予防ノートを活用 とを知る良い機会になりました。 した管理』『ロボットアームを障害当事者が使っ 場所が沖縄ということで、事前に宿泊と飛行機 てみての意見』『重度障害者のチャレンジのサポ の予約をしました。電話で飛行機の予約をしたの ートとしてサポート体験者からの感想』 『3D プリ ですが、以前より車いすに関しての質問が少なく ンター使った福祉機器の製作』など、私が見たの 楽に予約が出来たような気がしました。また宿泊 はほんの一部ですが障害当事者が深く関わりな 先は今回、宮野組長率いる兵庫頸損の若衆が大勢 がら研究が行われていると感じました。 行くということで、ついでに一緒に予約をお願い しました。組長ありがとうございました(笑) 昼の休憩時に 1 階のホールで「ケントミファミ リー」のミニライブが行われていました。中央で 当日、飛行機の出発 1 時間前に搭乗手続きのた 弾いていた人の三線はリハ工に係わっている技 めスマイルサポートに行きました。毎回の事なの 術者が作成した器具で弦を押さえているらしく、 ですが、私の電動車いすはいつもここでのバッテ こんな所にもリハ工の研究が活かされているの リーの確認作業に時間がかかる。今回も最初に見 だと改めて感心しました。 た係員が確認出来ず、別の係員を呼んで、二人が 兵庫頸損の若衆の発表は残念ながら聞けなか かりでバッテリーカバーをさんざん剥がしてや ったのですが、今後の活躍に期待しています。私 っと確認が出来ました。以前もこの確認作業のた 自身は初めてリハ工カンファレンスを見にいき めに飛行機の出発時刻を遅らせてしまったこと 色々と勉強になる旅行になりました。 があり、確認方法を自分自身も考えようと思いま した。 羽田を出発して那覇空港に着くこと約 2 時間半。 空港からモノレールに乗り「牧志駅」で降りまし た。私が初めて沖縄に行ったときはモノレールが なく、車で移動していたことを思うとだいぶ便利 になったと感じます。国際通りをしばし歩いて宿 泊ホテルに到着、チェックインを済まして部屋に いくと朝早くから動いたせいか眠気が襲い、無理 して体調を崩すのもイヤなので体力回復のため 会場の沖縄県総合福祉センター 部屋でゆっくりしました。 -10-