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第4章 温室効果ガスの削減目標

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第4章 温室効果ガスの削減目標
第4章 温室効果ガスの削減目標
第4章では、削減目標設定の前提として、本計画の推
進を通じて沼津市が目指す低炭素都市の姿を整理し共有
するとともに、市域から出る温室効果ガスの削減目標を
定量的に設定しています。
4-1
沼津市が目指す将来の姿............................... 16
4-2
計画の目標............................................................ 20
4-3
温室効果ガス削減目標の設定方法 ........... 22
- 15 -
第4章 温室効果ガスの削減目標
4-1
沼津市が目指す将来の姿
【基本的な考え方】
・ 「温暖化対策のためだから」と、省エネや節電のために我慢や不便を強いたり、家
庭や事業所に経済的負担を強いてばかりいては、誰も取組を長く続けることはでき
ません。
・ 対策技術の高度化や市民の環境意識の定着、低炭素を前提とした社会経済システム
の確立などにより、文化的で利便性の高い現在の日常を損なわず、また都市活動や
産業活動の停滞を伴うことなく、中長期的に持続可能なかたちで温室効果ガス排出
を抑制した低炭素社会の実現を目指します。
上記の基本的な考えを踏まえ、本市が目指す低炭素都市のイメージを示します。概ね
30 年後の沼津市の姿を想定しています。
■住まいと暮らしのイメージ
●価値観や社会経済システムの低炭素化
・ 環境に配慮した行動を自然体で実践している人を社会
的にも高く評価する価値観が定着し、多くの市民が楽
しみながらエコライフを送っています。
・ 地産地消※やカーボンフットプリント※の考え方が一般
消費者にも広く浸透・定着し、お店や商品・サービス
を選ぶ際の主要な指標となっています。
●技術革新による、温室効果ガスの排出が少ないエコライフの実現
・ 家電や住宅、自動車等の環境性能や省エネ性能が技術革新により飛躍的に向上し、
温室効果ガスの排出が少ないエコライフが可能となっています。
●朝型生活の定着
・ 深夜化した生活習慣の改善が進み、多くの市民におい
て朝早く起きて、夜早く寝るといった、不必要な夜の
電力消費を抑える生活習慣が定着しています。
- 16 -
●省エネを楽しみながら、自宅で発電する暮らし
・ 太陽電池の技術開発が進み、低価格で高効率な太陽光
発電システム※が市場に流通しており、市内の多くの住
宅・建物に設置されています。
・ 固定価格買取制度が定着し、各家庭では省エネによる
コスト削減を楽しみながら、太陽光で発電した余剰電
力を電力会社に売電しています。
●太陽光や自然風などを取り込んだ、環境共生型建物の普及
・ 沼津市の気候や風土に適合した建築デザインを採用し、太陽光や室外からの風を
効果的に取り込んで、空調エネルギーの負荷を抑制した環境共生型建物が普及し
ています。
●“賢いクルマの使い方“の定着
・ 市民一人ひとりが通勤・通学や買い物等において、環境負荷の少ない自動車利用に努
めており、エコドライブ※やクリーンエネルギー自動車※の利用が定着しています。
・ 鉄道駅や主要バス停及び高速道路インターチェンジ周辺でのパーク&ライド※や、
共同住宅等の地域のコミュニティで自動車を共有(シェア)するカーシェアリン
グ※がはじまっています。
●旬産旬消、地産地消の食習慣の定着
・ 食卓では、地元で採れた旬のものを旬の季節においしく
食べる旬産旬消、地産地消の食習慣が定着しています。
■オフィスと働き方のイメージ
●環境にやさしい働き方(ワークスタイル)の定着
・ オフィスでは夏季のクールビズ※や冬季の
ウォームビズ※が定着し、一人ひとりが季節に
応じた服装の工夫を楽しみながら、エアコンの
適温設定が定着しています。
・ サマータイム※のように、季節の変化に応じた
環境負荷の少ない働き方が定着しています。
●オフィスの低炭素化
・ パソコンやプリンター等のOA機器のほか、空調機器、
照明機器などに省エネトップランナー※製品の普及が進
み、オフィスのエネルギー使用量の最小化が図られてい
ます。
- 17 -
■都市や交通のイメージ
●県東部の広域拠点都市に相応しい低炭素都市の形成
・ 中心市街地においては、土地利用の高度化や拠点的都市機能の集積、利便性の高い
快適な居住空間の創出が進んでいます。
・ 沼津駅付近鉄道高架事業等により、新たな南北道路・通
路が整備され、中心市街地の渋滞は解消し、南北移動に
関する歩行者・自転車の利便性が大幅に向上しています。
・ 事業の計画・構想段階からの一貫した環境配慮思想の徹底により、広域拠点都市
に相応しい持続可能な低炭素都市が形成されています。
●クリーンエネルギー自動車の普及
・ 環境負荷の少ない、燃料電池自動車※や電気自動車、プラ
グインハイブリッド車※などのクリーンエネルギー自動車
が普及しています。
・ これらの自動車へのエネルギー供給拠点として、水素供給
インフラや急速充電インフラが各地に整備されています。
●自転車利用の定着
・ 自転車走行空間のネットワーク化、商業施設や交通結節点
等における駐輪場の整備、走行・駐輪マナーの向上などに
より、自転車が老若男女誰もが利用できる身近な移動手段
として定着しています。
・ 市民や本市を訪れる多くの観光客が、コミュニティサイク
ル※を利用して、自転車で市内の各所を巡っています。
●クールスポット※の計画的な整備による、快適な都市環境の創出
・ 市街地のクールスポットとして熱環境を緩和する公園や
緑地、オープンスペース等が計画的に創出されています。
・ あゆみ橋を中心とした狩野川周辺において遊歩道など水
辺を活かした様々な整備が進み、市民の憩いの場として賑
わっています。
●エネルギーの地産地消
・ 太陽・風・水などの自然資源を活かした自立・分散型の再生可能エネルギーが開
発され、エネルギーの地産地消を実現している地域もあります。
- 18 -
■産業のイメージ
●環境マネジメントシステム※の定着、エネルギー・CO2管理の徹底
・ 市内の工場・事業所において、環境マネジメントシステ
ムが定着し、PDCAサイクルによる継続的な環境改
善が行われています。
・ 中小規模の事業所も含め、エネルギーやCO2の管理が
徹底されています。
●元気なものづくり企業
・ 本市の強みであるものづくりの技術集積を活かし、環
境・エネルギー分野の特色ある技術が育まれ、オンリー
ワン・ナンバーワン企業が育成されています。
●製品やサービスの低炭素化
・ 工場や商業施設などでは、温室効果ガスの排出の少な
い、環境に配慮した製品やサービスを開発するなど率
先した取組が行われ、環境負荷が大きく低減されてい
ます。
●環境負荷の少ないインターモーダル※輸送への転換
・ 鉄道や道路、海上輸送の輸送拠点を有し、効率的な輸
送ネットワークが構築され、鉄道へのモーダルシフト※
や次世代貨物自動車などの普及により、環境負荷の少
ない輸送方法への転換が進んでいます。
●森林の適切な管理による、二酸化炭素吸収源としての機能向上
・ 地域有志や事業所等の協力の下に人工林が適切に保
育・間伐され、地球温暖化防止に貢献しています。
・ 本市や周辺地域の地場産材を用いて住宅を建てる人が
多くみられ、公共施設においても地場産材が積極的に
取り入れられています。
- 19 -
4-2
計画の目標
(1)目標設定の基本的な考え方
本計画における目標は、以下に示す基本的な考え方を踏まえて設定します。
本計画の上位計画である「沼津市環境基本計画」
(平成 23 年 3 月策定)で掲げる温
室効果ガス総排出量目標(2015(平成 27)年度、2020(平成 32)年度)を基に設定
します。
ただし、中長期目標については、現在国で改定作業が進む「エネルギー基本計画」、
今後の見直し・制定が想定される「中長期の温室効果ガス削減目標を実現するための
対策・施策の具体的な姿(中長期ロードマップ)」や「温暖化対策基本法」等の動向
を踏まえ、必要に応じて見直しを検討することとします。
温室効果ガス総排出量の削減目標の他、進行管理において各主体の取組を的確に評
価・分析していくため、市民と事業者の各主体について、原単位目標を設定します。
■短・中・長期目標の設定の考え方
【短期目標】
中期目標達成に向けた中間目標として位置づけ、「沼津市環境基本計
画」で掲げた総排出量目標(2015(平成 27)年度)を基に設定する。
【中期目標】
上位計画である「沼津市環境基本計画」で掲げた総排出量目標(2020
年度)を基に設定する。本計画に基づく対策を含めて削減見込量を積
み上げ、削減シナリオを整理する。
【長期目標】 国が表明している長期目標※を参考に設定する。
※ 国は「低炭素社会づくり行動計画」(平成 20 年 7 月 29 日閣議決定)において、
2050 年の長期的な目標として、現状から 60~80%削減することを表明
- 20 -
(2)温室効果ガスの削減目標
上記の基本的な考え方を踏まえ、以下の通り温室効果ガス削減目標を設定しました。
温室効果ガス削減目標(1990 年度(基準年度)比)
短期(~2015 年度)
中期(~2020 年度)
長期(~2050 年度)
13%削減
25%削減
80%削減
(3)市民及び事業者の原単位あたりの目標
本市が県東部の広域拠点都市として発展していく上で、中心市街地への業務系施設の
集積などが考えられます。また、原子力発電所の稼働率の変動により、電気使用量は同
じでも温室効果ガス排出量が大きく増減する状況が想定されます。
こうした想定を踏まえ、今後、各主体の取組成果を的確に評価・分析していくため、市
民と事業者の原単位目標を設定しました。目標はエネルギー使用量を単位として用いま
した。
目標の基準は、各主体からみた分かりやすさを勘案し、現状年度(2008 年度)を基準
とします。
原単位あたりの目標
主体
市
目標対象
原単位
現状年度
(2008 年度)
現状年度比削減目標
短期
(~2015 年度)
中期
(~2020 年度)
民 民生・家庭部門の
世帯
21%削減
35%削減
エネルギー使用量
40,000MJ/世帯
あたり
(31,500MJ/世帯) (26,000MJ/世帯)
(自動車利用以外)
事業者 民生・業務部門の
エネルギー使用量
床面積
あたり
1,200MJ/㎡
33%削減
(810MJ/㎡)
※MJ(メガジュール):発熱量をあらわす国際単位で、1MJ は約 238.9 キロカロリーとなる。
- 21 -
54%削減
(550MJ/㎡)
4-3
温室効果ガス削減目標の設定方法
(1)将来推計(現状趨勢ケース/このままだとどうなるか)
本計画の中期目標年次である 2020(平成 32)年度まで、現状から追加的な対策を行わ
ない場合(現状趨勢)の温室効果ガス排出量を推計しました。
本推計は、各排出部門と関連性が高いと考えられる項目の 2020(平成 32)年度におけ
る予測値の増減率を現状の温室効果ガス排出量に乗じることで求めました。
本市の温室効果ガスは現状から追加的な対策を行わなかった場合、2020(平成 32)
年度には基準年度に比べ 3.4%減少すると推計されます。
表 部門別の将来推計結果
年度
区分
基準年度比増加率
1990 年度※ 2008 年度
2020 年度
(基準年度) (現状年度)(現状趨勢) 2008 年度 2020 年度
産業部門
867.8
608.2
672.0
-30%
-23%
運輸部門
288.6
299.5
310.3
4%
8%
民生・家庭部門
197.1
298.7
271.3
52%
38%
民生・業務部門
196.3
221.5
235.5
13%
20%
廃棄物処理部門
28.3
21.8
19.8
-23%
-30%
その他ガス
60.0
58.7
73.0
-2%
22%
1,638.1
1,508.4
1,581.9
-7.9%
-3.4%
合計
ロ
■図
単位:千t-CO2
※基準年度:代替フロン等3ガスの HFCs,PFCs,SF6 については 1995 年度の排出量
部門別の将来推計
基準年度比
3.4%減少
(千t-CO2 )
1,800
1,638
1,582
1,508
1,500
1,200
その他ガス
900
廃棄物処理部門
600
民生・業務部門
民生・家庭部門
300
運輸部門
0
産業部門
1990年度
(基準年度)
2008年度
(現状年度)
- 22 -
2020年度
(現状趨勢)
(2)対策による温室効果ガス削減見込量の設定(対策ケース)
国・県などの広域での施策や技術革新等社会状況の変化及び 5 章・6章で掲げる市の取
組・重点施策等を踏まえ、各種対策における中期目標年度(2020(平成 32)年度)の温
室効果ガス削減見込量を設定しました。なお、各削減対策の詳細な導入見込量について
は、巻末の資料編「資料-3目標設定の目安とした削減対策導入見込量」に掲載しました。
表 各部門の対策導入による削減見込量(対策ケース)
区分
産業部門
運輸部門
削減見込量
(千t-CO2)
主な削減対策
各製造業種の省エネ技術の導入
22.6
低燃費型建設機械の普及
1.4
農林水産業における機器の省エネ化
3.0
自動車の燃費改善・次世代自動車の導入
58.3
エコドライブ等の環境負荷の少ない自動車利用
11.7
の推進等
民生・家庭部門 冷暖房、給湯機器の効率改善
27.0
70.0
19.4
照明機器、家電製品の効率改善
35.7
計測、制御システムの導入
(HEMS※、スマートメーター※、省エネナビ等)
5.4
住宅用太陽光発電の導入
9.3
住宅の断熱化
3.3
民生・業務部門 空調機器、給湯機器の効率改善
44.9
照明機器/動力他の効率改善
73.1
63.3
※
計測、制御システムの導入(BEMS 等)
22.4
非住宅用太陽光発電の導入
9.3
建築物の断熱化
5.0
144.9
廃棄物処理部門 沼津市一般廃棄物処理基本計画に基づく取組
1.5
1.5
その他ガス
36.1
36.1
代替フロンの漏洩/回収対策/農業対策等
合
計
- 23 -
352.5
前頁で設定した対策による削減見込量は、合計で 352.5 千t-CO2 となります。
現状から追加的な対策を行わない場合(現状趨勢ケース)の 2020(平成 32)年度の本
市における温室効果ガス 1,581.9 千t-CO2 から、この対策ケースにおける削減見込量を
差し引くと基準年度比で 25%の削減となります。
表 各部門の対策導入後の温室効果ガス排出量
年度
区分
単位:千t-CO2
基準度比増加率
1990 年度
2008 年度
2020 年度
2020 年度
※
(基準年度 ) (現状年度)(現状趨勢) (対策ケース) 現状趨勢 対策ケース
産業部門
867.8
608.2
672.0
645.0
-23%
-26%
運輸部門
288.6
299.5
310.3
240.3
8%
-17%
民生・家庭部門
197.1
298.7
271.3
198.2
38%
1%
民生・業務部門
196.3
221.5
235.5
90.6
20%
-54%
廃棄物処理部門
28.3
21.8
19.8
18.3
-30%
-35%
その他ガス
60.0
58.7
73.0
36.8
22%
-39%
1,638.1
1,508.4
1,581.9
1,229.4
-3.4%
-25%
合計
ロ
※基準年度:代替フロン等3ガスの HFCs,PFCs,SF6 については 1995 年度の排出量
基準年度を 100 とした場合の 2020(平成 32)年度における温室効果ガス排出量の推移
温室効果ガス排出量
(1990年度(基準年度)を100とした場合)
■図
120%
100%
100%
国、県、市など
の対策による
削減見込量
基準年度比
25%削減
92.1%
96.6%
75.0%
80%
60%
実績
40%
現状趨勢
20%
対策ケース
0%
1990年度
(基準年度)
2008年度
(現状年度)
- 24 -
2020年度
(中期目標年度)
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