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出芽酵母におけるプロリンの生理機能と代謝調節機構 : 生物のストレス

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出芽酵母におけるプロリンの生理機能と代謝調節機構 : 生物のストレス
OShortReview
出芽酵母 におけるプロリンの生理機能 と
代謝調節機構
生 物 の ス トレス適 応 戦 略 の応 用 をめ ざ して
Proline
functions
and its metabolic
regulations
in yeas:
the relevance
to stress adaptation-
strategy
高木博史
生物 は環 境ス トレスに対 し,分 子 シ ャペ ロンの誘 導,適 合溶質の 蓄積な どの,適 応 機構 を備え ている.筆 者 は,植
物や細 菌の 適合溶 質 である プロ リンが,さ まざ まな ス トレスか ら出芽酵 母 の細胞 を保 護 している ことを見 いだ し,
人為的 に作製 したプ ロリン蓄積株 の解析 によ り,プ ロ リンの生理機能 と代謝調 節機 構の解 析,ま た,ス トレス耐性
酵母育種 への応 用を進 めて きた.一 方,出 芽酵 母 はほかの生物 と異 な り,ス トレス下 でプ ロリンを蓄積 しないこと
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も明 らか にな ってきた.本 稿 では,出 芽酵母 におけるプ ロ リンの生 理機能 と代謝 調節 機構 について,生 物間の比較
やス トレス適応 戦略 の応用 展開 をも含め概説 す る.
Key words・
出芽 酵母・
プロ リン・ 適 合溶 質・
ス トレス適 応・
ス トレス耐 性酵 母
性 を阻 害せ ず(適 合),塩
は じめ に
の 流 入 や脱 水 を防 いで 浸 透圧 の調
節 を行 な う もの と考 え られ て い る1).し たが っ て,適 合 溶 質
生物 は 自然 環 境 か ら,温 度,水 分,浸 透 圧,pH,酸
栄 養飢 餓,化
化,
学 物 質 な ど,さ まざ ま なス トレス に曝 され て
お り,強 度 の ス トレス 下 で は細 胞 内 の蛋 白 質 や細 胞 膜 な ど
の生 体 高 分 子 が 損 傷 を受 け致 死 的状 況 に お ちい る.し か し
なが ら,多
くの 生 物 は これ らの ス トレス に応 答 し,細 胞 内
の代 謝 調 節 機 構 を 遺伝 的 に 制 御 す る こ と に よ りそ れ らを 蓄
積 す る よ うな植 物 や細 菌 の分 子 育 種 が行 なわ れ てお り,乾
燥 耐 性 や塩 耐 性 の 向 上 も報 告 され て い る2).
筆 者 は こ れ ま で に,プ
(Saccharomyces
ロ リ ンが 冷 凍 か ら 出 芽 酵 母
cerevisiae)の 細 胞 を保 護す るこ とを見 い
の シ グナ ル伝 達 系 を介 した遺 伝 子 発 現 調節 をへ て,分 子 シ
だ し3),細 胞 内 に プ ロ リ ンを 蓄積 す る変 異 株 な どの解 析 か
ャペ ロ ンな どス トレス蛋 白 質 の誘 導,適
ら,出 芽 酵 母 にお け るプ ロ リ ンの代 謝 調節 とその 蓄積 機 構
合 溶 質 の 蓄積,細
胞 膜 の 組 成 変 化,翻 訳 の抑 制 な どに よ り細 胞 の傷 害 を 回避
を明 らか に して きた46).ま た,代 謝工 学 的手 法 に よ り作 製
す る"ス トレス適 応"機 構 を もって い る.
した プ ロ リ ン蓄 積 酵 母 は,野 生 株 と比 べ,冷 凍,酸 化,乾
ス トレス適 応 戦 略 の ひ とつ として多 くの植 物 や細 菌 が塩,
燥,エ
タ ノー ル な どに耐 性 を示 す こ とが判 明 し,プ ロ リ ン
乾 燥 な どの浸 透圧 ス トレス に応 答 して細 胞 内 に蓄 積 す る適
の 有 用性 も実 証 で きた4,5,7,8).一
方,出 芽酵 母 はほか の 生物
合 溶 質(compatible
とは 異 な り,ス
solute)はf氏 分 子 有 機 化 合 物 で あ り,
糖類 の トレハ ロース,ア
ミノ酸 のプ ロ リ ン,第4級
ア ンモ ニ
トレス 下 にお い て プ ロ リ ン代 謝 関連 遺 伝 子
の 誘 導 や 細 胞 内 プ ロ リ ン含 量 の蓄 積 が観 察 され な い9).こ
ウム化 合物 の グ リ シ ンベ タイ ンな どが 知 られ て い る.こ れ
の 結 果 は,生 物 の ス トレス適 応 戦 略 を理 解 す る う えで も興
らは,細 胞 内 に 多 量 に 蓄 積 され て もほか の代 謝系 や酵 素 活
味 深 い.さ
らに,プ ロ リンの過 剰 蓄積 が細 胞 に及 ぼ す影 響,
プ ロ リ ンが 液 胞 に局 在 す る生 理 的 意 義 と分 子 機構,な
Hiroshi
Takagi
奈 良 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学 バ イ オ サ イ エ ン ス研 究 科 細 胞 生 物
学 専 攻細 胞機 能 学講 座
E-mail:
URL:
hiro@bs.naist.jp
http://bsw3.naist.jp/takagi/takagi-j.html
どの
課 題 も生 じて きた.
ここ で は,こ の よ うに生 理 的 お よ び応 用 面 で重 要 な プ ロ
リ ンの 生 理 機 能 と代 謝 調 節 機 構 につ い て,出 芽 酵 母 を用 い
た筆 者 の知 見 を中 心 に解 説 す る.ま た,ほ か の生 物 との比
較 や,生 物 の ス トレス適 応 戦 略 の応 用 につ い て もふ れ る.
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
(2008)
249
Iプ
ほ とん どわか ってい な い.
一方
,過 剰 量 の プ ロ リ ンが 細 胞 や 蛋 白質 に悪 影 響 を及 ぼ
ロリンの生理機能
す こ と も明 らか に な って きた.植 物 で は,プ ロ リ ンの 蓄積
プ ロ リ ンはこれ まで に さ まざ まな実験 系 を用 い てそ の機 能
ミノ
が解 析 されて お り,適 合 溶 質 と して の浸 透 圧 の調 節10)の ほ
酸 含 量 の変 化 が生 じて い た1).出 芽 酵 母 の プ ロ リ ン高 蓄 積
か に,凍 結 ・乾燥 ・高温 時 の蛋 白質 や 細 胞 膜 の保 護,蛋
株(菌 体 乾重 量 あた り2%)に
質 の凝 集 阻 害,活 性 酸 素 種 の消 去,塩
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に よ りほか の ア ミノ酸 合 成 系 遺 伝 子 の 発 現 抑 制 や,ア
白
ス トレス 下 で の核 酸
お いて は生 育遅 延 が 観 察 され,
遺伝 子 発 現 や 細 胞 内代 謝-が劇 的 に変 動 して い る可 能 性 が 示
の 融 解 温 度 低 下 な ど,そ の多 彩 な機 能 が 知 られ て い る11-14)
され た17).酵 素 レベ ル で も,葉 緑 体 の リブ ロー ス-1,5-ビス-
(図1).最
リ ン酸 カル ボ キ シ ラー ゼ は100mMプ
近 で は,培 地 に添 加 した プ ロ リ ンが 植 物 病 原 菌
ロ リ ン存 在 下 で その
(糸 状 菌)の 細 胞 内 で発 生 す る活 性 酸 素 種 を介 した アポ トー
活 性 が 阻害 され る18).逆 に,乾 燥 ス トレス下 の シ ロ イヌ ナ
シス様 の細 胞 死 を抑 制 す る こ と も示 され た15).筆 者 は,プ
ズナ で は,プ ロ リ ン含 量 の減 少 に よ り細 胞 壁 構 成 蛋 白質 の
ロ リ ン溶 液 に 出芽 酵 母 を懸 濁 す る と,ト レハ ロー ス や グ リ
生 合 成 が特 異 的 に抑 制 され る1).
セ ロー ル の場 合 と同様 に,冷 凍 後 の細 胞 の生 存 率 低 下 を防
ま た,プ ロ リ ンの局 在 性 につ いて も興 味 が もた れ る.出
ぐこ とが で きるの を見 い だ した3).プ ロ リンの凍 結 保 護 活性
芽 酵 母 で は過 剰 の プ ロ リ ンは お もに液 胞 に 蓄 積 す るが19),
は,そ の水 に対 す る溶 解 度 が きわ めて 高 い た め細 胞 内 の 水
液 胞 の形 態 形 成 にかか わ るVPS18遺
分 子 との親 和 性 が強 く,冷 凍 状 態 での 細 胞 内 で の氷 結 晶 の
シ ョ ックや エ タ ノー ル に感 受 性 を示 す だ けで な く,通 常 の
形 成 や 成 長,あ
培 地 で も生 育 が 阻害 され た20).と こ ろが,液 胞 の物 質 輸 送
るい は,細 胞 外 へ の脱 水 を阻 害 す る ため と
伝 子 を破 壊 す る と,熱
考 え られ る11).ま た,細 胞 内 プ ロ リ ン含 量 の増 加 した細 菌
に重 要 な はた ら きを もつV-ATPaseのV0ド
メ イ ンサ ブユ ニ
や植 物 で は塩 や乾 燥 に対 す る抵 抗 性 の上 昇 が報 告 さ れ てお
ッ トの 遺伝 子VPH1を
り16),筆 者 らも,プ ロ リン蓄積 酵 母 を用 い て,冷 凍,乾 燥,
熱 シ ョ ック に対 して 耐性 を示 した20).ま た,ジ
酸 化,エ
タノ ー ル な どの ス トレス 耐 性 の向 上 に成 功 して い
培 養 細 胞 で はス トレス負 荷 に と もな い プ ロ リ ン含 量 が 数 倍
る4,5,7,8).し
か しなが ら,個 々の メ カニ ズム に は不 明 な点 も
に増 加 し,液 胞 に局 在 す る プ ロ リ ンの割 合 が 半 分 に減 少 し
多 く,と くに,細 胞 内 で の 生 理 機 能 や保 護機 構 につ い て は
た21).以 上 の よう に,プ ロ リ ンの 機 能,と
破 壊 して もプ ロ リ ンは液 胞 に局在 し,
ャガ イモ の
くに,ス
トレス
にお け る細 胞 保 護 には細 胞 質 の 適切 な プ ロ リ ン含 量 が 重 要
で あ り,過 剰 に存 在 す る と毒 性 を示 す.ま
た,液 胞 は細 胞
質 の プ ロ リ ン含 量 を制 御 して い る と示 唆 され,ト ラ ンス ポ
ー ター の 同定 を含 む液 胞へ の輸 送 機 構 の 解 明 が待 た れ る.
IIプ ロリンの代謝調節機構
出 芽 酵 母 に お い て,プ
ン酸 か ら,3種
ロ リ ンは細 胞 質 で お もに グル タ ミ
類 の 酵 素,γ
ロ リ ン-5-カ ル ボ ン酸 レ ダ ク
タ ー ゼ,に
た,一
一方
よ り合 成 さ れ る.ま
部 は ア ル ギ ニ ンか ら
ロ リ ン-5-カ ル ボ ン酸 を へ て 合 成 さ れ る.
,過 剰 の プ ロ リ ン は ミ トコ ン ドリ ア で2種 類 の 酵 素,プ
ロ リ ン オ キ シ ダ ー ゼ,△1-ピ
ロ リ ン-5-カ ル ボ ン酸 デ ヒ ドロ ゲ
プ ロ リン の生 理 機 能
プロリンはさまざまなス トレス(緑色の文字)か ら細胞を保護 していることが
ナ ー ゼ に よ り酸 化 さ れ,グ
ル タ ミ ン酸 に 変 換 さ れ る(図2).
わか り,適 合溶質と してのほか,こ こで示 した機能 が考えられているが,そ の
動 物 や 植 物 で は,△1-ピ
詳細なメ力ニズムには不明な点が多い,植 物や細菌 では,乾 燥や塩などのス
N末 端 側 の γグ ル タ ミル キ ナ ー ゼ とC末
トレス に応答 しプロリンが細胞内に蓄積 される,一 方,出 芽酵母では,ス ト
レスに曝されると細胞内に トレ八ロースやグリセロールを蓄積するが,プ ロリ
ン代謝 関連遺伝子の発現量や細胞内プロリン含量 にはほとんど変化はない.
250
グルタ
ミ ル リ ン酸 レ ダ ク ター ゼ,△1-ピ
オ ル ニ チ ン,△1-ピ
図1
グ ル タ ミル キ ナ ー ゼ,γ
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
(2008)
ロ リ ン-5-カ ル ボ ン酸 シ ン セ ター ゼ が
端 側 の γグ ル タ ミ ル
リ ン酸 レ ダ ク タ ー ゼ との 融 合 蛋 白 質 と し て 機 能 して い る16).
大 腸 菌 で は,別
々 の 遺 伝 子 産 物 で あ る γグ ル タ ミル キ ナ ー
ShortReview
図2
出芽 酵 母 にお け る プロ リンの 代 謝 経 路
出芽 酵 母 で は,プ
ン酸か ら,3種
ロ リン は細 胞 質 で お も に グル タ ミ
類の 酵 素,γグ ル タミル キナー ゼ(GK),
γグル タ ミル リン 酸 レダ ク ター ゼ(GPR),Δ1-ピ
リ ン-5-力 ル ボ ン酸 レダ クタ ー ゼ(P5CR),に
成 され る.ま
ゼ(ARG),オ
た,-部
ロ
よ り合
はア ル ギ ニ ンか ら アル ギ ナ-
ル ニ チ ン トラ ンス ア ミ ナー ゼ(OTA),
に よ り合 成 さ れる.一
方,過
剰 の プロ リン はミ トコ
ン ドリアで2種 類 の酵 素,プ コ リンオキ シダーゼ(PO),
Δ1-ピ ロ リ ン-5-力
(P5CDH),に
る.プ
ル ボ ン 酸 デ ヒ ドロ ゲ ナ ー ゼ
よ り分 解 され グル タ ミン 酸 に変 換 さ れ
ロ リ ンオ キ シ ダー ゼ 遺 伝 子 の破 壊 な どに よ り
プロ リン分 解 系 を遮 断 す る と過 剰 の プロ リン はおも に
液胞 に局 在 する こと が わか った が,プ
ロ リン が 液 胞
へ輸 送 さ れ る 分子 機 構 は 明 らか に な って い な い,そ
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れぞ れの 酵 素 をコ ー ドする遺 伝 子 名 を()に
示 した.
ゼ と γグル タ ミル リン酸 レダク ターゼ とが細 胞 内 で複 合体 を
ン酸 シ ンセ ター ゼ 遺伝 子 の 抑 制 とプ ロ リ ンデ ヒ ドロ ゲ ナー
形 成 して お り,そ れ らの 相 互 作 用 が 活 性 発 現 に必 要 で あ る
ゼ遺 伝 子 の誘 導 に よ りプ ロ リ ン含 量 が 低 下 す る24).同 様 の
もの と考 え られ て い る22).プ ロ リ ンの代 謝 は,ほ か の ア ミ
調 節 機 構 はプ ロ リン を適 合 溶 質 と して用 い る細 菌 に も備 わ
ノ酸 と同様 に転 写 や翻 訳 の段 階 で 厳 密 に制 御 されて い る た
って い る.
一方
,出 芽 酵 母 は ス トレス に曝 され る と トレハ ロ ー スや
め,プ
ロ リ ンは野 生 株 あ る い は通 常 の 培 養 条 件 で は細 胞 内
にほ とん ど検 出 され な い.
1.転
グ リセ ロール合 成 を誘 導 す るこ とが 知 られて い るが25,26),ゲ
ノム ワイ ドな トラ ンス ク リプ トー ム解 析 で は,プ ロ リ ン代 謝
写 レベ ル で の 調 節
関連 遺 伝 子 は温 度,エ
出 芽 酵 母 で は 多 くの ア ミ ノ酸 合 成 遺 伝 子 がgeneral
acid control
お り,ア
systemと
amino
よば れ る グロー バ ル な調節 を受 け て
ミ ノ 酸 飢 餓 に 応 答 し て そ の 発 現 が 増 加 す る.プ
リ ン に お い て も,γ
ロ
グ ル タ ミ ル キ ナ ー ゼ と γ グ ル タ ミル リ ン
タノー ル,酸 化,pH,浸
透 圧 な どの
ス トレス に は応 答 して い な い9).筆 者 らは,野 生株 を用 い
て ス トレス 下 に お け る適 合 溶 質 蓄 積 と遺 伝 子 発 現 との関 連
を調 べ た(投 稿 中).そ の 結 果,ソ
セ ロ ー ル を,エ
ル ビ トー ル添 加 で は グ リ
タノー ル 添 加 で は トレハ ロ ース を,そ れぞ
酸 レ ダ ク タ ー ゼ の 遺 伝 子 が そ の 支 配 下 に あ る と報 告 さ れ て い
れ蓄 積 し,そ れぞ れの 合 成系 遺 伝 子 の発 現 も上 昇 して い た.
る が,詳
興 味 深 い こ とに,両 方 の ス トレス にお い て プ ロ リ ン代 謝 関
細 は 不 明 で あ る23).一
方,プ
ロ リ ンの分解 系 酵 素
で あ る プ ロ リ ン オ キ シ ダ ー ゼ やΔ1-ピ ロ リ ン-5-カ ル ボ ン酸 デ
連 遺 伝 子 の発 現,お
ヒ ドロ ゲ ナ ー ゼ は,プ
か っ た.こ
導 さ れ,プ
ロ リ ン の 添 加 に よ り遺 伝 子 の転 写 が 誘
ロ リ ン含 量 の 調 節 に 関 与 して い る19).
植 物 で は,塩
や 乾 燥 ス ト レ ス に よ りプ ロ リ ン の 合 成 系 酵
素 で あ るΔ1-ピ ロ リ ン-5-カ ル ボ ン 酸 シ ンセ ター ゼ を コ ー ドす
る 遺 伝 子 が す み や か に 誘 導 さ れ る.同
時 に,分
解系酵 素で
よび,細 胞 内 プ ロ リ ン含 量 に変 化 は な
の結 果 か ら,出 芽 酵 母 は ほか の 生 物 と異 な り,
適 合 溶 質 と して プ ロ リ ン を積 極 的 に利 用 せ ず,お
もに グ リ
セ ロー ルや トレハ ロース がそ の役 割 を担 って い る もの と考 え
られ る.
2.翻
訳 レベ ル で の 調 節
あ る プ ロ リ ンデ ヒ ドロ ゲ ナ ー ゼ(出 芽 酵 母 の プ ロ リ ン オ キ シ
ダ ー ゼ に 相 当)の 遺 伝 子 発 現 が 低 下 し細 胞 内 に プ ロ リ ンが 蓄
積 す る.ス
ト レ ス か ら解 放 さ れ る と,Δ1-ピ
ロ リ ン-5-カ ル ボ
多 く の 細 菌 や 植 物 で は,γ
グ ル タ ミ ル キ ナ ー ゼ ま た はΔ1-
ピ ロ リ ン-5-カ ル ボ ン酸 シ ン セ タ ー ゼ が プ ロ リ ン合 成 を 制 御
蛋 白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
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251
す る鍵 酵 素 で あ り,そ
の 活性 は最 終 産 物 プ ロ リ ンに よ る フ
ィー ドバ ッ ク 阻 害 を 受 け て い る16,27).筆 者 ら は,出
芽酵母
ト ラ ン ス グ リ コ シ ダ ー ゼ で は 位 置 特 異 的 なtRNA認
与 し て い る)が 存 在 して い る(図3b).こ
の ドメイ ンは γグ
の γ グ ル タ ミ ル キ ナ ー ゼ を 組 換 え 蛋 白 質 と して 精 製 しそ の
ル タ ミ ル キ ナ ー ゼ の 触 媒 機 能 に 必 須 で は な い が,フ
特 性 を解 析 し た6)(図3a).そ
バ ッ ク 阻 害 やMg2+に
の 結 果,ほ
か の 生 物 と 同 じ程
度 に プ ロ リ ン に よ る フ ィ ー ドバ ッ ク 阻 害 を 受 け,出
芽酵母
識 に関
ィー ド
よ る 活 性 化 に 関 与 し て お り28),こ
の
酵 素 の 分 子 進 化 の 点 か ら も そ の 機 能 は 興 味 深 い.
に お い て も γグ ル タ ミ ル キ ナ ー ゼ が プ ロ リ ン合 成 の 鍵 酵 素
で あ る こ とが わ か っ た.ま
た,γ
グル タ ミル キ ナ ーゼ は γ
IIプ ロリン蓄積酵母の作製 とその応用
グ ル タ ミ ル リ ン酸 レ ダ ク タ ー ゼ 存 在 下 で 高 い 活 性 が 検 出 さ
れ た.こ
が,互
れ ら酵 素 の 物 理 的 な 相 互 作 用 は確 認 で き な か っ た
い に 近 接 し て 効 率 よ く触 媒 反 応 を 行 な っ て い る 可 能
性 が あ る.ま
た,出
芽 酵 母 の γ グ ル タ ミ ル キ ナ ー ゼ に は,
大 腸 菌 な ど 多 くの 細 菌 と 同 様 に,キ
端 側 に100残
RNA修
基 程 度 のPUAド
ナ ー ゼ ドメ イ ンのC末
メ イ ン(真 核 生 物 ・古 細 菌 の
飾 酵 素 に広 く見 い だ さ れ,古
細 菌 のtRNAグ
アニ ン
これ まで に,プ ロ リンの発 酵 生 産 を 目的 と して,γ
グル
タ ミル キ ナ ーゼ の フ ィー ドバ ック 阻 害 感 受 性 低 下 に よ り培
地 中 に大 量 の プ ロ リ ンを生 産 す る大 腸 菌 や サ ルモ ネ ラ菌 が
分 離 され て い る29).こ れ らに は,浸 透 圧 耐性 を示 す もの も
多 い.ま た,植 物 にお い て も耐 乾 燥 性 や 耐 塩 性 の 付 与 をめ
ざ した分 子 育 種 が試 み られ て きた24).フ ィー ドバ ック阻 害
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抵 抗 性 △1-ピロ リ ン-5-カル ボ ン酸 シ ンセ ター ゼ発 現 に よるプ
ロ リン合 成 量 の増 加 や,ア ンチ セ ンス法 やsiRNA法
を用 い
た プ ロ リ ン分 解 系 酵 素 遺 伝 子 の抑 制 に よる プ ロ リ ン分解 量
の減 少 に よ り,ス トレス耐 性 を獲 得 す る こ とが 報 告 され て
い る1).こ こ で は,プ ロ リ ンを細 胞 内 に 蓄積 す る 出 芽 酵 母
の作 製 とその特 性 に つ いて紹 介 す る.
1.プ
ロ リン蓄 積 酵 母 の 作 製 と
ス トレ ス耐 性 へ の影 響
プ ロ リ ン分解 系 の 弱化 を 目的 に プロ リ ンオキ シ ダー ゼ遺伝
子 破 壊 株 を作 製 し,プ ロ リ ン含 有 最 少 培 地 で 培 養 す る と,
細 胞 内 プ ロ リン含 量 の増加 がみ られ た7).ま た,プ ロ リ ンの
毒 性 アナ ロ グであ る アゼチ ジ ン-2-カル ボ ン酸 を利用 して プ ロ
リ ン合 成 系 の 強化 を行 な った3-5).培 地 中 の アゼチ ジ ン-2-カ
ル ボ ン酸 は細 胞 内 に入 り,新 生 蛋 白 質 の合 成 の際 に プ ロ リ
ン と競 合 して取 り込 まれ る.そ の結 果,プ
ロ リ ン(五 員 環)
とアゼ チ ジ ン-2-カル ボ ン酸(四 員 環)の 構 造 の違 い か らコ ン
フ ォ メー シ ョ ン異 常 の 蛋 白質 が 生 成 し生 育 が 阻 害 さ れ る.
も し細 胞 内 プ ロ リ ン濃 度 が 高 まれ ば,プ ロ リンが優 先 的 に
図3
出 芽 酵 母 γ グ ル タ ミ ル キ ナ ー ゼ の 構 造 と 機 能7)
(a) プロ リ ンが γグル タミル キ ナー ゼ活 性 に及 ぼす影 響,プ
活 性 を100%と
取 り込 まれ る こ とで アゼ チ ジ ン-2-カル ボ ン酸 に耐 性 と なる
ロ リン非 存 在 下 の
(図4).そ
こで,プ ロ リンオ キ シダー ゼ 欠損 株 か らアゼチ ジ
し,プ ロ リン存 在 下 で の活 性 を 相 対 値 と して 表 わ した 日野 生
型 γグル タ ミルキ ナ ーゼ の活 性 は プ ロ リン濃 度 に ともな い減 少 し,フ ィー ドバ
ン12一
カ ル ボ ン酸 耐 性 変 異 株 を分 離 し,そ の なか か らプ ロ リ
ック阻害 を受 けて いる こ とがわ かる が,変 異 型 γグル タミル キ ナー ゼ(D154N,
ン蓄 積 と冷 凍 耐 性 を示 す変 異 株 を得 た3)(図5a).遺
l150T,N142D/l166v)で
は 活 性 が高 く維 持 され て い て,フ
感 受 性 が低 下 してい る 日 カ ッコ内 の 数 字 は,活 性 を50%阻
ィー ドバ ッ ク阻 害
害 する プロ リン濃
伝解析
の結 果 か ら,こ の変 異 は優 性 の単 一 遺 伝 子 変 異 であ り,ア
ゼ チ ジ ン-2-カル ボ ン酸 耐 性 とプ ロ リ ン蓄 積 は リ ンク して い
度 お よび プ ロ リン含 量 で ある.
(b) γグル タ ミル キ ナー ゼ の構 造.キ
ナー ゼ ドメイ ン を緑 色 で,PUAド
メイ
た.つ
ぎ に,こ の変 異 株 の ゲ ノ ム ラ イブ ラ リー を野 生 株 に
ン を黄 色 で 示 した.細 胞 内 にプ ロ リンを 蓄積 し冷 凍 耐 性 を 示 す変 異 株 で 見 い
だ した アミ ノ酸置 換(D154N)を
赤 色 で,ラ
ンダ ム変 異 導 入 に よ り分 離 され た
プ ロ リン蓄 積 に関与 する 置換 を ピン ク色 で示 ず.数
252
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
字 は アミ ノ酸 残 基 の番 号.
(2008)
導 入 し,ア ゼ チ ジ ン-2-カルボ ン酸 耐性 にか か わ る遺伝 子 と
して γグル タ ミル キナ ーゼ遺 伝 子 を同 定す る とと もに,こ の
ShortReview
図4
ア ゼ チ ジ ン-2-カ ル ボ ン酸 に よ
る 生 育 阻 害 とそ の 耐 性 機 構
アミノ酸アナログには,蛋 白質合成の際に
対応するアミノ酸(この場合は,プ ロ リン)
と競合 してポリペプチ ド鎖に取 り込まれる
ことによ り,正 しい構造や機能が失われた
異常蛋白質を生成 して生育 を阻害するもの
がある.ま た,ア ミノ酸 アナログに対 し耐
性を示 す機構と しては,こ の場合,(1)プロ
リンの細胞内蓄積のほか,(2)アゼチジン-2カルボン酸の無毒化(分解,修 飾など),(3)
アゼチジン-2-カルボン酸の細胞内流入阻止
(パーミアーゼの不活化,分 解など)が考え
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られる,
図5
出 芽 酵 母 に お け る ス トレ ス に 対 す る プ ロ
リンの 細 胞 保 護 機 能
そ れ ぞ れ の 株 を,(a)-20℃
20℃
・7日 間 の 冷 凍3),(b)
・4日 間 の乾 燥7),(c)3mM・2時
素5),(d)18%・2日
の 生 存 率.プ
間の 過 酸 化水
間の エ タ ノール8),に
曝 した と き
ロ リ ン蓄 積株 は,い ず れの ス トレス に対 し
て も 野生 株 に比 べ 生 存 率 の低 下 が抑 え られ
プ ロ リンが
細 胞 保 護 機 能 を も って い る ことが 明 らか にな った,()
の 数 字 は,菌 体 乾 重 量 あ た りの プ ロ リン含 量,
変 異 株 に お け る ア ミノ酸 置 換(D154N)を
このD154N変
明 らか に した4).
異 型 γグ ル タ ミル キ ナ ーゼ で は フ ィー ドバ ッ
ク阻害 感 受性 が 野 生 型 の 約1/60に 低 下 して い たが,酵 素活
み ら れ た5).こ
(図5c),エ
ま た,γ
の プ ロ リ ン 蓄 積 株 は 乾 燥7)(図5b),酸
タ ノ ー ル8)(図5c)な
化5)
どに 対 して も耐 性 を示 し た.
グ ル タ ミル キ ナ ー ゼ の さ ら な る 高 機 能 化 を 目 的
性 は維持 され てい た6).さ らに,野 生 型 γグル タ ミルキナ ー
と して,PCR法
ゼ遺伝 子 を多 コピー導 入 して も細 胞 内 にプ ロ リ ンは ほ とん ど
ル キ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 発 現 す る 形 質 転 換 体 か ら,著
検 出 され な いが,D154N変
リ ン を 蓄 積 させ る 変 異 型γ グ ル タ ミル キ ナ ー ゼ を 取 得 し た.
異 型 γグル タ ミルキ ナ ーゼ の高
発 現 に よ り細 胞 内 プ ロ リ ン含 量 の増 加 と冷 凍 耐 性 の 向上 が
解 析 の 結 果,そ
に よ り ラ ン ダ ム 変 異 を 導 入 した γグ ル タ ミ
の ア ミ ノ 酸 置 換 は154番
蛋 白質 核酸 酵素
Vol. 53
量のプロ
目の 残基 の近 傍 に
No. 3
(2008)
253
した菌 株 は プ ロ リ ン を蓄積 し,エ タ ノー ル存 在 下 で の 生存
率 も対 照 株 よ り有 意 に上 昇 した.ま た,清 酒 の小 仕 込 試験
を行 な っ た結 果,醸 造 期 間,エ
タノー ル 生 産 量 な ど,基 本
的 な 醸 造 特 性 に変 化 はな か っ たが,プ
ロ リン蓄 積 株 で は清
酒 中 お よ び細 胞 内 の プ ロ リ ン含 量 が増 加 してい た8)(清 酒 中
で約5倍,細
胞 内 で約1.5倍).
さ らに,将 来 的 な実 用 化 を め ざ し,非 遺 伝 子 組 換 え体 と
して取 り扱 え るセ ル フク ローニ ング法 に よ り2倍 体 を作 製 し
て,醸 造 特 性 へ の効 果 を調 べ た17).1日
あ た りのCO2減
量
を 目安 に小 仕 込 試 験 を終 了 す る と,プ ロ リ ン蓄 積 株 で は対
照 株 に比 べ 早 く発 酵 が 終 了 し,そ の時 点 で のエ タ ノー ル濃
度 はわ ず かで あ るが 有 意 に高 い傾 向 にあ った.し たが っ て,
プ ロ リ ン蓄積 株 はエ タノ ー ル生 産 効 率 の点 で醸 造 時 間 を短
図6 Campylobacter jejuniの
γ グ ル タ ミ ル キ ナ ー ゼ の3次
元
Database Center for Life Science Online Service
構造
緑 色 の 円 筒 は αヘ リ ックス,榿
色 の 矢 印 は βシー トを表 わ す,出 芽 酵母 γグ
縮 で き る可 能性 が示 唆 され た.
お わ りに
ル タ ミルキ ナー ゼの フ ィー ドバ ック阻 害 に 関与 す る と考 え られ る領 域(142-154
番 目の 残基)は,黄
はADP結
色 の 円 内の ルー プ領 域 に存 在 してい る.ま た,白 色 の 円 内
生 物 の ス トレス 適 応 戦 略 は多 岐 にわ た っ て お り,適 合 溶
合 部 位 で ある.
質 の種 類 に 関 して も,そ の 生 存 環 境 や 代 謝 様 式 な どで 異 な
[PDBID:2AKO]
っ てい る.た
とえば 出芽 酵 母 は,解 糖 系 で の 酸化 反 応 に よ
り不 足 す るNAD+を
ア ル コー ル発 酵(ピ ル ビ ン酸 のエ タノー
集 中 し,フ ィー ドバ ック阻害 にほ とん ど非 感 受 性 で あ った6)
ルへ の 還 元 反 応)に よ りNADHか
(図3b).最
進 行 させ て い る.ま た,ト
近,出 芽 酵 母 γグル タ ミルキ ナー ゼ と相 同性 の
あ るCampylobacter jejuniや
大 腸 菌 の γグ ル タ ミル キ ナ ー
ら再 生 し解 糖 を継 続 的 に
レハ ロ ー ス代 謝 系 は グ ル コー ス
合 成 系 の シ グナ ル伝 達 系 を介 して 解 糖 系 の調 節 に深 く関 与
ゼ の 立体 構 造 が 決 定 され たが30),こ れ らの 置換 を含 む領 域
し,グ リセ ロー ル合 成 系 は ア ル コー ル発 酵 にお け るNADH
は βシー トと αヘ リ ックス の あ い だ の ルー プ に位 置 してお
酸 化 を代 替 す る経 路 で あ る.一 方,プ
り,こ の領域 が プロ リ ンを結合 す るア ロス テ リ ック部 位 を構
ミ ン酸 の 還 元 反 応 で あ り,ATPを
成 してい る可 能 性 もあ る(図6).一
方,こ れ ら新 た に分 離
らNAD+を
ロ リ ン合 成 は グ ル タ
消 費 しなが らNADHか
生 成 す る.出 芽 酵 母 は進 化 の過 程 で,細 胞 内の
した変 異 型 γグ ル タ ミル キ ナ ー ゼ を発 現 す る出 芽 酵 母 は,
エ ネル ギ ー代 謝 効 率 や 酸化 還 元 バ ラ ンス の点 か ら,プ ロ リ
プ ロ リン を高 蓄 積 し冷 凍 耐 性 の向 上 が み られ た が,ほ か の
ンで は な く トレハ ロース や グ リセ ロール を適 合 溶 質 と して選
ス トレス につ いて の耐 性 効 果 は なか った.ス
んだ の か も しれ な い.
トレス保 護 には
プ ロ リ ン含 量 の適切 な レベ ルが重 要 で あ り,ス トレスに よ り
プ ロ リ ンは 適合 溶 質 と して だけ で な く,蛋 白質,細 胞 膜,
最 適含 量 は異 な るこ とも示 された6).
核 酸,活
2.産
興 味深 い ア ミノ酸(本 来 は,イ ミノ酸)で あ る.ま た,コ ラ
ー ゲ ンを構 成 す る主 要 ア ミノ酸 で もあ り,一 部 は翻 訳 後 に
業酵 母 の育 種 への応 用
性 酸 素 種 な どに作 用 し さま ざ ま な機 能 を発 揮 す る
出 芽酵 母 は清 酒 醸造 にお いて 高濃 度(20%程 度)の エ タノ
ー ル を生 産 す るが ,プ ロ リ ン に はエ タノ ー ル に よ る蛋 白質
オ キ シダー ゼ に よって ヒ ドロ キ シプ ロ リ ンに変 換 され,コ ラ
変 性 を防 ぐ効 果 もあ る.そ こで,プ
も,カ ルボ ニ ル化 合 物 間 の ア ル ドー ル反 応 の有 効 かつ 安 全
ロ リ ンを蓄 積 す る清 酒
酵 母 を作 製 し,エ タノ ー ルス トレスや 醸 造 特 性 に及 ぼす 影
ー ゲ ン合 成 促 進 な どの 生 理 活 性 を示 す .有 機 合 成 の 分 野 で
な不 斉 触 媒 と して注 目 され てい る.
今 後,出
響 を解 析 した8,17).
清 酒 酵 母 か ら分 離 した一 倍 体 を用 い て そ の プ ロ リ ンオ キ
芽酵 母 に お いて,細 胞 内 プ ロ リ ン含 量 を人 為 的
に 制 御 す る こ とで 高 度 な ス トレス 耐 性 を付 与 す れ ば,発 酵
シ ダー ゼ遺 伝 子 を破 壊 し,染 色 体 上 の γグ ル タ ミル キ ナ ー
生 産 性 の改 善(酒 類,冷
ゼ遺伝 子 を野 生 型 か ら変 異型(D154N)へ
どの生 産)に 貢 献 で きる.さ
254
蛋 白質 核酸 酵素
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No. 3
と置換 した.作 製
(2008)
凍 パ ン生 地,バ
イオ エ タ ノー ル な
らに,こ れ らの知 見が 環 境 ス ト
ShortReviwew
レ ス 耐 性 植 物 の 分 子 育 種 に 活 用 され る こ と に も期 待 した い.
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の 島 純 博 士 に は産業 酵 母 に関 す る ご協 力 を,そ れ ぞ れい た だ きま し
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基 礎 生物 学研 究所 の大 隅良 典教授,愛 媛 大学 の柿 沼喜 己教 授 には液 胞
た.こ こに厚 く御礼 申 し上 げ ます.ま た,戒 能 智 宏博 士 を は じめ,筆
者 の研 究 室 のみ な さまに も深 く感謝 い た します.
394 (2002)
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1)
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献
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Database Center for Life Science Online Service
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略歴:1982年
大学),1994年
名 古 屋 大学 大学 院農 学 研 究科修 士 課程 修 了,同
米 国New York
農学 博士(東 京
食品 総 合研 究所 主 任研 究 員,1995年
福 井県 立
大学 生物 資 源学 部 助 教 授,2001年
同 教授 を経 て,2006年
よ
り奈良 先端 科学 技術 大 学 院大学 バ イ オサイ エ ンス研 究科 教授.
研 究 テーマ:出 芽 酵母 の ス トレス耐 性機 構 の解析 とその応用,微
生 物有 用 酵素 の機 能改 変,微 生物 に よ る有 用物 質 生産.
3464(2005)
蛋白質 核酸 酵素
Vol. 53
No. 3
(2008)
255
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