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PDF:第Ⅵ回|取付工事(1.7MB)
ー 目次 ー 「旧レリーフ」から「新レリーフ」へ 「新レリーフ」製作検討1 「新レリーフ」製作検討2 本製作 1 本製作 2 取付工事 完成 【 中之島フェスティバルタワー 建物工事概要 】 事業主:朝日新聞社 階 数:地上 39 階(うち塔屋2階)、 設 計:日建設計 地下 3 階 施 工:竹中工務店 高 さ:200m 工 期:2010(H22).1月∼ 2012(H24) 秋 建物用途:事務所・ホール・店舗等 所在地:大阪市北区中之島 2-22(地番) 延べ面積:約 14 万 6,000 ㎡ http://www.ohmi.co.jp/jp/index.html 第Ⅵ回 取 付工事 工法の開発と安全性の確保 取付金具の図面作成とアンカーセット レリーフの本製作中にも、ビルの建設は着々と進められており、レリーフが取り付けられる南 側コンクリート壁の造りも始まりました。今回、採用された工法は、コンクリート壁に設置した アンカーの周囲に、レンガブロックが施工された後、アンカーとレリーフのピース(2 ∼ 5 ケ) セットしたパネルを、ナットで取り付けていくというものでした。先にレンガブロックが施工 されるため、後からアンカー位置を変更することは困難となります。ずれが生じないよう、現場で アンカー位置を採寸し、それをもとにパネル図面をおこす必要がありました。また、レリーフの ピース形状が全て異なるため、特注品となる取付金具の図面も、それぞれに対し作成していき ました。アンカーを設置した後には、焼成後のレリーフのアウトライン(輪郭)をフィルムにけがき、 それを現場の壁面に合わせてアンカー位置の整合を確認し、位置にずれのあったものはパネル図面 を修正、再度確認するという作業を、全てのレリーフに対して行い、慎重に進めていきました。 ■ インサート設置状況 ■ アンカー位置の確認 アンカーボルトを取付けるためにコンク コンクリート打設後、レリーフのアウト リートの型枠の裏面にインサートを設置。 ラインをけがいたフィルムとアンカー 位置の整合を確認する。 ■ 周囲レンガブロック施工 アンカーボルトを設置後、周囲レンガ ブロックを施工する。 飛散防止対策と強度試験 レリーフを支えるアンカーボルトは 20 ㎜の太さのステンレス製のものを用い、金属パネルも レリーフの重さに十分耐えられる強度を持つ、ステンレス板で製作しました。また、レリーフ には裏面処理を行い、レリーフ本体に何らかの衝撃が加わったとしても、大きな欠けとして落下 しないよう対策を講じています。裏面処理材に関しては、接着剤メーカーに試験を依頼し、社内 Ⅵ 取付工事 〜 工法の開発と安全性の確保 〜 01 http://www.ohmi.co.jp/jp/index.html でも様々な材料でのテストを行いました。また、試験体だけでなく、実物同等品を用いて、耐衝撃 や振動試験など検証を重ね、安全性を実証していきました。 ■ 耐衝撃試験 ■ 振動試験 40 ㎏の重りでレリーフ実物のピースに衝撃を加え、その 強度を確認。 細かな振動を与え、レリーフと金具の止め付け部の耐久性と 強度を確認。 確実な品質管理と安全性の確保 レリーフの金具取付は、従来、現場で行うのですが、 今回は、あらかじめ当社の信楽工場でレリーフと金具 を一体化したパネルを現場へ搬入するというプレハブ 工法を採用しました。それには、2つの目的がありま した。ひとつは、確実に品質管理ができる工場でパネル 化の作業を行い、金具の取付を万全のものとし、さら に、パネル化したレリーフを再度敷き並べ、精度の ■ 工場での金具取付状況 確認と修正をすること。もうひとつは、現場の狭い 足場での作業を軽減し、重量のあるレリーフ(最大 100 kg 前後 / パネル)の取付け作業に集中できる環境を つくり、安全性と確実性を確保することでした。 各パネルは形状が異なるため、ピースの取付作業も 時間がかかりました。図面を正確に読み取り、確実に 取り付ける。そして、敷き並べた状態を現場の壁面で ■ パネルへの仮置き、確認作業 Ⅵ 取付工事 〜 工法の開発と安全性の確保 〜 02 http://www.ohmi.co.jp/jp/index.html 再現できるよう、工事担当の職人の方々にも工場に来ていただき、入念な確認と検証を行いました。 ■ パネルセット ■ ボルト本締め ■ ゆるみ止めのため、ナットを溶接 ■ パネル化したレリーフの敷き並べ、確認 現場への搬入、取付作業〜取付完了へ パネル化し、敷き並べ確認が終わったレリーフから順次、現場へ搬入し、中之島フェスティバル タワー外壁面への取付に入りました。壁面への取付作業に関しては、2 年前に実寸大でモックアップ (見本製作)をした際、課題を抽出、対処し、十分に検証済みです。 ■ 2 年前のモックアップ風景(当社信楽工場にて) パネル工法を実施し、施工性、安全性の検証及び、意匠面の確認を行った。 Ⅵ 取付工事 〜 工法の開発と安全性の確保 〜 03 http://www.ohmi.co.jp/jp/index.html 取付工事は、まず「星」から始め、 「牧神(琴) 」 、 「牧神(笛) 」 、 「月」 、 「牧神(鳥) 」と順に行い、 「太陽」の最終取付完了まで、約 4 ヶ月の工事期間を要しました。電動ウインチやチェーンブロック など機械の助けを得ながら、搬入から荷揚げ、狭い足場での重量物の取り扱いと、安全には十分 注意を払い、確実に作業を進めていきました。冬場の寒い時期でしたが、竹中工務店さんのご協力 と、職人の方々の努力のおかげもあり、事故なく作業が進みました。 ■ ガイドワイヤーに固定 ■ 取付作業 ■ 電動ウインチによる揚重 ■ 躯体支持金具セット ■「星」取付完了 ■ 壁面設置後の監修者サイン(写真左:建畠先生サイン/写真右:鷹尾先生サイン) Ⅵ 取付工事 〜 工法の開発と安全性の確保 〜 04 http://www.ohmi.co.jp/jp/index.html 2012 年 3 月 14 日、「太陽」の最後のパネルが無事取り付き、ついに取付工事が完了しました。 ■ 最後のパネルが無事取り付いた「太陽」 協力(敬称略):朝日新聞社/朝日ビルディング/ 建畠朔弥/鷹尾俊一/建畠晢/ 日建設計/竹中工務店 中之島フェスティバルタワー http://www.asahi.com/festivaltower/ ※ 当レポート内の画像及びその他内容の無断転載・転用を禁じます。 Ⅵ 取付工事 〜 工法の開発と安全性の確保 〜 05