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イントラネットサーバの構築と活用
指導主事テーマ研究 「イントラネットサーバの構築と活用」 伊丹市立総合教育センター キ−ワ−ド:イントラネット 1 WBT 教育コンテンツ はじめに 指導主事 中谷 秀樹 データベース の 入 力 が 必 要 な い 。各 種 デ ー モ ン の 起 動 や 終 本市では総合教育センターを中心に、全小 ・中・養・高等学校がケーブルネットワーク を利用してインターネットに常時接続すると ともに、各校に設置されたファイアーウォー ルのVPN機能を利用してイントラネット (伊丹市教育ネットワーク )を構成している 。 この教育ネットワークには外部からのアク セスが不可能であるため、学校間という閉ざ された空間の中での教育情報のやりとりが可 能となる。 本年度はこの教育ネットワーク内にサーバ 了、ユーザー設定やデータのバックアップ等の を設置することで、リアルタイムな情報提供 最低限必要なことはブラウザ上からおこなうこと や各種サービス、また、学校間での情報の共 ができる。もちろん、すべての操作が可能という 有を目指すことに取り組んでみた。 わ け で は な い 。 詳 細 な 設 定 を 行 お うと思えば Telnet でのコマンドレベルでの操作も必要にな 2 研究の内容 る。 (1)サーバの設置 また、残り1台のコバルト Qube はホームペー 総合教育センター(以 下 、センター)にはコバ ジ講座等で作成したhtml ファイルをアップロー ルト Qube が1台とコバルトRaQ が2台ある。この ドするための練習用として稼働している。このサ うち、 RaQ 1台はシステム管理担当者会の情報 ーバを利用して研究員はftpの仕方や、ホーム 交換に利用されているが、残り2台は未使用で ページの仕組みを学ぶことになる。外部には非 あった。そこで、これらを利用して研究を進める 公開ということで、今後はホームページ未設置 ことにした。 校 の 事 前 確 認 用 エ リアとして、またクラスやコン 残り1台の RaQ にローカルアドレスを割り振り ピュータクラブの練習用、教師個人の研修用等 W ebサーバを立ち上げた。また、「 dataweb 」と に開放できればと考えている。 いうホスト名をつけ、イントラネット内 dns に登録 (2)コンテンツ することにより「dataweb.itami.ed.jp 」というドメイン 名でのアクセスを可能にした。このコバルトシリ 「で ー た うぇ ーズの設定はたいへん簡単で、 ip アドレス等の ぶ」のメイン画 基本的な情報を与えて起動しさえすれば、後は 面 ブラウザを使っての管理が可能となる。OSはl i nuxであるが、面倒なコンソールからのコマンド - 111 - ①情報提供 記述する必要があった。 本年度は小学校のコンピュータ教室新設の 設定に関して繰り返しかかってくる電話での 年でもあり、当初より導入の進捗状況や、導入 質問への応対は大変だが、そうした質問につい 物品の機能について、また、導入後は管理マニ ても機器の設定手順のキャプチャー画面と共に ュアルやトラブルへの対応等を情報提供してき 説 明 を 掲 載 す れ ば 、目で見ながら確認すること た。 ができる。電話による言葉だけでは伝えにくい 細かい操作情報も的確に伝えることができたと 考えている。 ②サービス W ebを利用したサービスにはいろいろなこと が考えられるが、以下の4点を行っている。 (ア) 視聴覚ライブラリーの貸し出し (イ) アンケート調査 (ウ) 質問掲示板とFA Q コーナーの設置 (エ) 他サービスへのリンク拠点 「新着情報」のコーナー (ア)視聴覚教育の部屋 導入の進捗状況のページ 各 校 に お け る 研 修 日 の お 知 ら せ 、サーバ管 理 の 方 法 や 機 器 の 設 定 方 法 と 共 に 、特 に 本 年 度はウィルス対策に多くのページを費やした。イ ントラネットは外部からの進入には比較的堅牢 であるが、内部からの攻撃には非常にもろい。1 台ウィルスに感染したコンピュータが持ち込まれ ればたちどころに市内全域にその被害が及ぶこ とになる。ウィルス情報の提供やブラウザのアッ プ デ ー ト、セキュリティーソフトの導入等をすべ 講演VTR一覧 てマニュアル化し掲載した。各校の機器によっ (ア)は視聴覚備品貸し出しの受付をWeb上 ては windows 95等の古いOSのコンピュータも で行えるようにと作成してみたものである。VTR あり、設定方法も異なるため、それぞれについて 一覧から必要なVTRを検索し、メール機能を使 - 112 - って、直接担当者宛に申し込みができるようにし は別途「FAQ」のページに掲載することにした。 た。 FAQのページ CGIメール アンケートや掲示板で自由にCGI (common g ateway interface )を使えるのもイントラネット だからである。CGIとは WWW ブラウザから外 部プログラムを起動させ,その実行結果を WWW ブラウザ上に反映させるためのインター フェースで、前述のPer l スクリプトを実行してい る。しかし、これらの外部プログラムはサーバ内 部で実行されるため、サーバに負荷を与えると 同 時 に 、悪意あるプログラムを送り込まれること もある。従って、一般のプロバイダではCGI の実 (イ)Webアンケート 行を制限したり、禁止しているところもある。 また、簡単なアンケート調査等はWeb上で入 教育ネットワークという閉ざされた環境の中で 力してもらい、直接、回答がメールの形で送られ 利用者も教職員に限られるとならば、さほどの心 てくるようなシステムを作ってみた(上図イ)。We 配もないのではないかと考えている。 b上でメールを送るPerlスクリプトを改変したも のである。現在は、その集計まで自動ではでき ないが、今後、活用用途は広がりそうである。 (ウ) 掲示板 左は掲示 板である。 センターに は様々な質 問の電話が かかってく るが、電話 よく使う機能にはあらかじめリンクを張ってあ で は 1対 1の対応になってしまう。これを掲示板 る。一つはWebメールシステムへのリンクであ 上で行えば、誰でもみることができるので、同様 る。教職員がメールを使う際にはブラウザ経由 の問題を抱える複数の人が参加、課題を共有す でこのシステムにアクセスする。これは事務用コ ることが可能となる。特によくある質問について ンピュータ等、共有マシンへのIDやパスワード - 113 - 等の個人情報の登録を避けるためである。 ためにその都度URLを打ち直さなければならな また、今後「マイクイック」という検索システム にもリンクを張る予定である。これは、センター い。今後はそれらをすべて「でーたうぇぶ」上 に リンクとして網羅していく予定である。 所蔵の図書や文献について検索を可能とするも のである。 (エ)教育活用リンク また、外部へのリンクのページも今後充実し 検索語入力画面(マイクイック) ていきたい(上 図 エ )。教師や子どもが利用でき マイクイックはいわゆる文書検索システムで、 るWebサイトはインターネット上に数多く存在す 文書内の文字列を検索し、該当の文書を探し出 る。定番の検索サイトも含めて、活用できるリン すだけでなく、検索内容を文章表現で入力し、 クページにしていきたいと考えている。 その内容に近いものを順に表示することができ サービスという意味で、今回の研究テーマと る。検索イメージが明確でなくても、関係しそう は異なるが、メーリングリストも活用している。メ な文章を記入すれば、曖昧なイメージのままで ーリングリストプログラム自体はインターネット側 も検索でき、信頼度別にパーセント表示するた プロクシーサーバにあり、教育ネットワーク内の め、感覚的にとらえやすい。 アドレスに限らず、一般のプロバイダが発行した アドレスでも利用できる。現在、各校のシステム 担当者のアドレスが登録されている。教育ネット ワークのメールアドレスよりも一般のメールアドレ スの方が使用頻度が高いというシステム管理担 当者も多く、連絡や情報提供を確実にするため には、より効果的な方法ではないかと思われる。 実 際 、メーリングリストで得た情報をイントラネッ トWeb(でーたうぇぶ)で確認するといった使い 方が多いようである。 メール及びメーリングリスト、また、「でーたうぇ 曖昧検索結果 ぶ」と目的に応じて使い分け、時 に は 組 み 合 わ (左側に信頼度が棒グラフで表示されている) せることにより、機動力あるリアルタイムな情報 現在、このシステムの最終調整中であり、平 提供が可能となったと考えている。 成 14 年度からの稼働を目指している。 ③教材データベース(教育情報の共有) これら、市内学校関係のWebサービスにアク セスするためには、それぞれのサーバが異なる - 114 - このサーバを設置した最大の目的である。 市内教職員が必要とする各種教育情報に容 易にアクセスできるシステムを構築し、その教育 たソフトの独自形式そのままである。お知らせの 活動を支援するため、このWebサ ー バ を 利 用 中にはアクロバット形式に変換したものもある し、教育情報をデータベース化したいと考えた。 が、それらはわざわざダウンロードして改変する 学習指導案やそれに伴う資 料 、また、各種マニ ュアル等、文字・数値のデータベースに限らず、 画 像 ・音声等のマルチメデ ィアコンテンツ、並び に自作ソフトウェア・マクロ等のコンピュータソフ トウェアも含んでいる。 (例) 学 習 指 導 − − − − 学 習 指 導 案 、特色ある実践 事例等 学 習 教 材 − − − − 気 象 ・天 体 画 像 、植物・昆虫 画像等 CAI 教材−−−−教育ソフトウェア・教育ソフト ウェア活用事例 必要のないものだからである。実際、プリントア ウトするだけならアクロバット形式の方が、別途 教育文献−−−−研究紀要、報 告 ・論 文 等 各データ形式のアプリケーションソフトのインスト 教育研究−−−−研究主題・内 容 ・成 果 等 ールが必要なく、端末を選ばない分、応用範囲 も広い。 本市では学校間の文書のやりとりに一太郎フ ォーマットのデータを利用している。従って投稿 される文書も圧倒的に一太郎が多い。マニュア ルの類も一太郎で作成し掲載している。ブラウ ザ側に一太郎のプラグインがある場合、リンクを クリックするだけで、その内容を読むことができ る。必要なものについては、ダウンロードして、 編集し直すこともできる。 これら登録データのフォーマットについては 事務用コンピュータや個人持ちのコンピュー 今 後 、一考の余地がある。教育系が一太郎やロ タの普及に伴い、各校の教育情報のデジタル化 ータス123を使用しているのに対して行政系文 が進んでいる。教材データベースはこれらのコ 書は MS Office を使っている。また、教職員の中 ンテンツを市内レベルで共有しようとするもので にもワードやエクセル利用者は多い。お互いの ある。これが実現すれば、教案や教材、テスト等 フォーマット変換はできるが、操作体系は異な の相互利用だけでなく、各学校の実態にあわせ る。ソフトが異なれば研修やマニュアルも考え直 て改変しての使用も可能となる。 さなければならない。混乱を避ける意味でも統 教材やテスト作成者は作品にたいして著作権 一を図る時期に来ているかもしれない。 を持つが、研究論文等、著作者の独創性が大き サーバの命はデータである。データのないサ いものをのぞき、使用や改変に対しては原則フ ーバにアクセスする必要はない。その量も大切 リーとしての同意をいただき掲載していこうと考 であるが、必要とされるデータ、その質を高める えている。 必要がある。現在、教育情報は各校からの申請 掲載されるコンテンツは、それぞれ作成され に基づいて掲載するという形をとっている。今後 - 115 - とも呼びかけを続け、さらなる充実を図っていき を進める上での力となるだろうし、ネットモラルを たいと考えている。 身につける貴重な練習場所となるはずである。 閉ざされたイントラネットという環境はそのために 3 おわりに 適している。 ブロードバンド化の流れと共に、様々な可能 性がインターネット技術に加わりつつある。一つ 今 後 ともこのイントラサーバを利用して、様々 な可能性に挑戦したいと考えている。 には動画コンテンツの配信であり、また、WBT (Web based trainning)やWBL(W eb based lerning)と呼ばれるネットワークを *「コバルト(Cobalt )Qube 」、「コバルト(Cobalt )RaQ 」 利用した学習支援である。e−ラーニングと呼ば れるこれらは、教材や人材コストがかからないこ は米サンマイクロシステムズ社の登録商標です。 *「マイクイック」はインフォコム株式会社の登録商標で とや、時間と場所を選ばず学習できるため近年 特に注目されている。 す。 *「一 太 郎 」は株式会社ジャストシステムの登録商標で 前者の動画のストリー ミング配信が実現すれ ば 、センターのライブラリーの講演会ビデオ等も す。 *「ロータス123」は株式会社ロータス社の登録商標で 借 りることなく各校で鑑賞することができるように なるだろう(もちろん著作権をクリアーしているも す。 *「MS のに限る)。また、TV会議システムとの組み合 わせで、授業研究等の学校間をこえた交流がで きるようにもなるだろう。 将 来 的 に 、後 者 e−ラーニングが職員だけで なく子どもたちを対象とする場合、その活用範 囲は一層広がる。たとえば学校に来ることができ ない子どもたちの在宅での学習を援助すること もできるだろう(これはすでに各地で始まってい る)。もちろん、そのためにはイントラネット外に サーバを構築しなければならない。現在、センタ ーの外部公開用サーバは、講座や催し等の セ ンター情報の他、市内各学校へのリンクや幼稚 園のホームページに利用しているが、セキュリテ ィーの工夫をすれば充分利用可能である。現在 のイントラネット内での利用研究も、そのための ノウハウを積み上げるためには役立つであろう。 残っているサーバ(コバルト Qube )について も、今後活用をはかりたい。現在は情報教育実 技 講 座 (ホームページ)受講者の練習用エリアと して使用しているが、子どもたちの交流の場所と して開放するのもいいだろう。掲 示 板 や 学 習 用 ホームページを通じて情報交換や共同学習を 進めることは、今後遠隔地との交流や国際交流 - 116 - Office 」並びに、ワード、エクセル、及び windows は米マイクロソフト社の登録商標です。