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大腸癌の外科治療 ー開腹術からロボット手術までー

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大腸癌の外科治療 ー開腹術からロボット手術までー
大腸癌の外科治療
ー開腹術からロボット手術までー
消化器外科 岩谷昭
大腸癌について
大腸癌の外科治療
①開腹手術
②腹腔鏡手術
③ロボット手術
増え続ける大腸癌
大腸とは
・大腸は1.5~2mほどの長さの臓器で、結腸、直腸S状部、直腸に分けられる。
・大腸は回腸から移送された液状の便から、水分、脂肪酸の一部、ナトリウム
などを吸収し、固形の便にして肛門に運ぶ。
大腸癌とは
大腸癌は大腸粘膜の細胞から発生する。
• もともとは正常な細胞が何らかの原因で癌細胞に変化する。
• 癌細胞は分裂を繰り返し、何十億から何百億に増えると目
に見える大きさになる。
良性のポリープで
ある腺腫が癌にな
る。
発癌刺激を受けた
正常粘膜から直接
に癌が発生する。
大腸癌の広がり方
大腸癌の広がり方
大腸癌のStage(病期)分類
Stage 0
癌が粘膜中にとどまっている。
StageⅠ 癌が大腸の壁(固有筋層)にとどまっている。
StageⅡ 癌が大腸の壁(固有筋層)の外まで浸潤している。
StageⅢ リンパ節転移がある。
StageⅣ 血行性転移(肝転移、肺転移)または腹膜播種がある。
大腸癌の治療方針
結腸癌の手術
直腸癌の手術
直腸癌の手術
肛門温存(内括約筋切除)
腹腔鏡下手術
手術ロボット ダ・ヴィンチ
手術支援ロボット 「ダ・ヴィンチ」とは
ダ・ヴィンチとは1990年代にアメリカで開発され、その後も改
良・進化し続けている手術支援ロボットです。現在世界全体
で約2700台導入され、約45万例に使用されています。日本
でも急速に導入が進んでいますが、当院で導入されたダ・
ヴィンチSiは、その中でも最新鋭のシステムです。
世界では婦人科の子宮摘出、泌尿器科の前立腺摘出で多く
の手術が施行され、消化器領域でも食道・胃・直腸などの臓
器で手術が行われています。これまでにダ・ヴィンチの誤作
動による医療過誤等の報告はありません。日本では2012年
4月に前立腺がん摘出術が保険適応となり、今後は胃・直
腸・子宮など、さまざまな臓器への保険適応が期待されます
が、現在は保険適応外(自費診療)となります。
ダ・ヴィンチの構成
ダ・ヴィンチは大きく分けて3つの機械から構成されます。
①サージョンコンソール
外科医が映像を見ながら鉗子やカメラを操作し手術を行います。拡大さ
れた3次元画像により、従来の腹腔鏡とは違って、奥行きを認識しながら
操作できるようになり、正確性、安全性の向上が期待できます。
②ペイシェントカート
患者さんの患部に挿入し、コントロール通り実際に手術操作を行います。
鉗子を取り付け手術を行う3本のアームと、内視鏡カメラを取り付けるア
ームがあります。
③ビジョンカート
高解像度3D映像の処理を行い、上部のモニターには実際の術野が映し
出されます。術者と同じ映像を助手や看護師も見ることができ、スタッフ
全員が協力して安全に手術を行います。
ダ・ヴィンチの特徴
ロボットにしかできない繊細な動き
7つの関節をもち、術者の手ぶれをコンピューターで
除去し、術者の手の動きに対して鉗子の動きの大き
さを調節することも可能です。手の動きを正確に再現
し、さらに人間には行えない精密な動きが可能となり
ます。これによって、より微細な剥離、縫合、神経の
温存といった手術操作が可能となります。
高解像度3Dモニターによる鮮明な画像
三次元(3D)モニター及びズーム機能により、肉眼
では見えないような微小血管や神経などを立体
的に見ながら、安全で精度の高い手術を行うこと
が可能となります。
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ダ・ヴィンチを使ったロボット支援手術は大きな切開を行わず、体
の数か所に穴をあけ、そこから鉗子やカメラを挿入し行う腹腔鏡手
術です。このロボット支援手術は手術時間が少し長くかかりますが、
従来の腹腔鏡手術を超える多くの優れた特徴があり、正確で安全な、
低侵襲の手術が期待されます。
体への負担が少なく、
回復の早い手術
高解像度3Dカメラによる
より鮮明な画像
ロボットにしかできない
より繊細な鉗子の動き
ダ・ヴィンチを使ったロボット支援手術についての質問は、
担当医にお気軽にお問い合わせください。
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