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こちら - 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
再処理技術の核心にせまる ( お宝 を分離) −体験しよう、欲しい物だけ 分ける 技!− 日本原子力研究開発機構 次世代原子力システム研究開発部門 鷲谷 忠博 本日の内容 「再処理技術の核心にせまる(“お宝”を分離)」 − 体験しよう、欲しい物だけ “分ける” 技!− (その1) 身近にある分離の話 前半(15分) z ディカフェの話 「カフェインレスコーヒーの作り方」 休憩(5分) (その2) 油を使った分離の話 前半(30分) z 液体から抽出する技術 サイエンスミニ実験室 「魔法のドレシングの実験」 z 油を使った核燃料の分離技術 休憩(10分) (その3) 氷を使った分離の話 後半(30分) z 氷を作る技術 サイエンスミニ実験室 「ミョウバンの結晶の実験」 z 氷を使った核燃料の分離技術 まめ クイズ コーヒーの花はどれ? ◎ コーヒーの花 リンゴの花 ジャスミンの花 ディカフェてな~に? カフェインレス・コーヒー z 脱カフェイン処理したコーヒーをいう。 z 欧米では、カフェインを敬遠したい人々にカフェインレス・コーヒーが広く受 け入れられている。 世界のコーヒー市場の約10%を占める。 z しかし、製造過程でカフェイン以外の成分も失われるため、味や香りの面 で通常のコーヒーに劣る。 デカフェの定義 z コーヒー豆のカフェインが0.1%以下のもの。(インスタントは0.3%以下) <ヨーロッパの規格> z 日本国内では需要は少なく、また、カフェイン含量の規定もない。 コーヒークイズ? デカフェの歴史 z 1819年 コーヒーからカフェインを単離 (ドイツのフリードリヒ・ルンゲ) z 1906年 脱カフェイン技術が考案される(ドイツ) z 1941年 水抽出法が開発される(ベリーとウォルターズ) z 1974年 超臨界二酸化炭素によるカフェイン抽出法が開発される z 1978年 超臨界二酸化炭素の抽出法が工業化(西ドイツHAG社) z 2000年 茶のカフェイン合成酵素の遺伝子を同定(芦原ら) z 2001年 コーヒーノキのカフェイン合成酵素の遺伝子を同定(佐野ら) z 2003年 遺伝子組換え用いたカフェインレスコーヒーノキを製作(佐野ら) z 2004年 カフェイン含量の少ないコーヒーノキの育種に成功(ブラジル) デカフェの製法 カフェインレスなコーヒーノキを作る z 最初からカフェインを含まないカフェインレス・コーヒーノキを 栽培する方法 z 遺伝子組換え技術やカフェインの少ないコーヒーノキから栽 培する方法 z しかし、本方法は、まだ開発途上であり実用化に至っていない。 脱カフェイン法 z コーヒーの生豆からカフェインを除く方法 (現在、実用化になっている技術) 【脱カフェイン法】 コーヒー豆から欲しい物(カフェイン成分)を分ける方法 カフェイン成分 を抽出した液 z 固体から 液体 を使って分ける (固液抽出技術) 水 (抽出剤) カフェインレスな コーヒー豆 カフェイン成分 コーヒー豆 「抽出」: 「抽出」: 液体または固体の原料を溶剤と接触させ、 液体または固体の原料を溶剤と接触させ、 原料中に含まれている溶剤に可溶な成分を選択的に 原料中に含まれている溶剤に可溶な成分を選択的に 分離する操作。 分離する操作。 身近にある「抽出技術」って、何? 固体−液体の抽出 z コーヒーや茶をいれる。 z 鰹節や昆布から出汁をとる。 z 植物や動物から精油などの 天然香料を取り出す。 お茶をいれる コーヒーをいれる 液体 に溶けている時は、どうやって分ける? 液体−液体の抽出 ・・・ どんなところで使われているの? z 紅茶などからのカフェインの抽出 (紅茶(液)からのクロロフォルム(油)による抽出) z 分析技術として多数利用 z 薬品の製造、他 サイエンスミニコーナー 魔法のドレッシング の実験 サイエンスミニコーナー 魔法のドレッシング の実験 Ce-Ndの抽出実験を行う (実験状況の映像) ネオジウム(Nd):紫色 水:透明 抽出剤:透明 油 :透明 油 :透明 セリウム:黄色 抽出剤 :透明 油 (溶媒相) ネオジウム(Nd) + (静置) (混合する) セリウム(Ce) セリウム(Ce):黄色 水:透明 (自然分離) 水( Nd + Ce ) 色(茶色) 水 :透明 ネオジウム:紫色 ウランの抽出分離方法の原理 油 (抽出剤) 油 + ウラン U U U U U U U U U U U U U U U U U U 水 (核燃料物質を含む) U U U U U U U U U U 分離 水と油を混ぜる U ウラン 抽出剤 いらない元素 水 + いらない元素 再処理でも使われている抽出技術? 原子炉で使用した使用済燃料から、 いらないもの と いるもの を分ける技術 ウラン、プルトニウム (リサイクル) 中から燃料ピン を取出す 液(硝酸)に 溶かす 小さく切って 粉砕する 硝酸 溶媒抽出の原理 を使って分離 燃料集合体 燃料せん断片 いらない元素 抽出器の構造 遠心抽出器 (特徴) 遠心力で水と油を分離するので処理時間が短い。 セトラ部 (分離部) モーター 水 油 (水相) (有機相) 水有 相機 相 ミキサ部 (混合部) コーヒーブレーク z 冷凍庫で凍らせたペットボトルのジュースは、飲みはじめは いつもより濃い味がするが、後になるほど水っぽい。 最後は氷だけになってしまった。??? z 家の製氷器で作る氷は白っぽいのに、冬、外のバケツや水 たまりにできた氷はすごく透き通っている。??? z スキー場で見かけた た。??? つらら は、ガラスのように透き通ってい 雪の結晶や氷はどうやってできるの? 出典:www.its.caltech.edu/~atomic/snowcrystals/photos/photos.htm 雪や氷の結晶のでき方 雪結晶は「六花(ろっか・りっか)」とも呼ばれ、そ の美しい「かたち」から、我々の生活に最も身 近にある結晶です。 z 雪結晶、すなわち氷は「六方晶系」と呼ばれる 6回対称性を持つ構造を持っているため、六花 のかたちになります。 「結晶」: 雪結晶のように原子・分子などが 規則性のある配列を持つ固体 z 結晶は、気体中、溶液中、融液中、そして固体 中から成長します。 z 雪結晶は、雲の中で、水蒸気から成長したもの です。 結晶が「どのように成長するか」? z 「拡散」; 原子・分子の供給や熱の放出など、 z 「界面張力」;界面の曲率による、 z 「カイネティクス」界面での原子・分子の取り込み過程 の三者が関わって決まります。 出典:homepage.mac.com/w_shimada/cg.html 氷の結晶のできる様子 (1/2) 水 水 水 水 水 不純物 水 水 水分子 水 冷却する 水 水 水 水 氷の結晶できる様子 (1/2) 水 水 水 水 水 水 氷クイズ 質問1: 海水の上にできた氷はしょっぱいか? しょっぱい 質問2: あまい あじはしない!! 氷屋さんで売っている氷は家で作った氷 よりも溶けにくいって、ほんと? 溶けにくい 溶けやすい 同じ 透明な氷を作ろう! ふつうに冷蔵庫で作った氷 うら技で作った氷 透明な氷の作り方 家庭用の冷蔵庫では、なぜ氷の真中に白く濁ったもの が出来るのでしょう。 z 冷蔵庫の冷凍室は、−18℃∼−20℃位に冷やされています。 z 部屋全体がその温度になっていて、製氷皿などに入れた水は、上下左 右の全体から同じように凍りはじめます。 z 時間がたつにつれて、水の中のミネラル分や空気など溶け込んでいた 物質は真中の方へ押しやられてしまい、最後には行き場を失い真中で 凍ってしまいます。 透明な氷を作るコツ z ゆっくりと凍らせる: 製氷皿の下に割り箸を置いて、皿と冷却板との間 隔を開けてあげると氷の凍結速度が遅くなり、純粋な部分から凍るため 透明度の高い氷が作れる 。(容器に断熱性の良い発砲スチロールのようなも のを巻きつけれてもできる ) z 出来るだけ純粋な水を使う :ミネラルや空気の入っていない水を使うこと で、結晶時の白濁を防止できる。 ゆっくりと結晶ができる時、小さな結晶がきれいに整列するため、 不純物が入らない純粋な結晶ができます。 結晶を作ることで、 欲しい物だけ 分けられる。 普通、固体を水に溶かす場合、温度が高いほど多く溶けます。 高温で大量の溶質を溶かしておいて、ゆっくり温度を下げると、 溶けきれなくなったものが、結晶として発生してきます。 このとき、不純物が排除されて純粋な結晶が得られます。 サイエンスミニコーナー サイエンスミニコーナー ミョウバン:(AlK(SO4)2・12H2O) 漬物の発色剤、麺のかんすい として使われる 食品添加物 サイエンスミニコーナー 結晶の実験(ミョウバン結晶作り) ミョウバンのみを溶かした場合 コーヒーに入れたもの 速度: ゆっくり 普通 早い 結晶を使ったウランの抽出分離 ミョウバンの入ったコーヒー ミョウバンの結晶 核燃料を溶かした溶液(模擬) ウランの結晶 ウラン結晶の分離 硝酸ウラニル結晶が生成 冷却する (約10℃) 模擬溶解液(ウラン+模擬金属) 結晶を分離 (条件: 600g-U/L 2.1M-HNO3 FP模擬元素添加) 1mm 約7割のウランを結晶で回収 硝酸ウラニル結晶 母液 (分離後の液) 油を使った分離技術 使用済燃料の再処理工程 (分離) を 応用して ウランやプルトニウムを分離 廃棄物 プルトニウム ウラン 氷を使った分離技術 を 応用して 新しいウランの分離方法