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観光分野-1 (PDF:1735KB)

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観光分野-1 (PDF:1735KB)
観光分野における専門委員調査報告書
Ⅰ.政府による避難等の対象地域に係る損害関係
1.営業休止の状況
(1)調査方法
対象地域内の事業許可状況等の調査
(2)調査結果
警戒区域等において、宿泊施設が166、旅行業者の営業所が13所在
しているが、そのうち宿泊施設については135、旅行業者の営業所につ
いてはすべてが休業中(別紙1)
Ⅱ.政府指示等の対象地域外に係る損害関係
【いわゆる風評被害が発生している事実】
1.過去の自然災害・感染症発生時等の風評被害の状況
(1)調査方法
文献・資料の収集・整理
(2)調査結果
経験則上、風評被害は、地震等による実際の被害地域以上に広範な地
域で発生している。(別紙2)
2.原子力事故に起因した風評被害発生の社会的認知
(1)調査方法
新聞記事の収集・整理
(2)調査結果
東日本大震災後の旅行需要の落ち込みについては、様々な要因が考え
られるが、事故発生県のみならずそれ以外の地域でも風評被害が発生し
ていることが一般的に報道されている。(別紙3)
3.原子力事故と旅行者等の行動
(1)調査方法
一般市民Webアンケート調査
訪日外国人旅行者に関するデータの収集・整理
(2)調査結果
原子力事故が要因となって広く東日本エリアでの国内旅行が敬遠され
る傾向であるとともに、外国人が放射能の影響を懸念して訪日しないこ
とを調査対象者の大半が自然な行動と認識している。(別紙4)
971
Ⅲ.共通項目等
【損害の類型及び損害額の算定方法等】
1.ホテル・旅館
(1)調査方法
アンケート調査
(2)調査結果
東日本大震災の発生以降、全国的に売上利益が減少しており、特に訪日
外国人旅行者を主要な顧客としてきたホテル・旅館はかつてない程に売
上高が大幅に減少している。(別紙5)
2.旅行業
(1)調査方法
アンケート調査
(2)調査結果
東日本大震災の発生以降、全国的に旅行取扱額が大幅に減少しており、
特に主要旅行業者の訪日外国人旅行取扱額については、今年度4月分が
過去3年同月比の2割程度まで激減している。(別紙6)
3.観光関連施設
(1)調査方法
アンケート調査
(2)調査結果
観光入込客数と延べ宿泊者数については、全国的に高い相関関係が見
られ、ホテル・旅館同様、観光関連施設についても、全国的に売上高が
減少している。(別紙7)
4.国際会議
(1)調査方法
アンケート・ヒアリング調査
(2)調査結果
東日本大震災の発生以降、中止となった国際会議が全国で少なくとも2
9件あり、総参加予定者28,836人のうち外国人参加予定者9,4
21人の訪日が中止となった。(別紙8)
Ⅳ.留意事項
観光分野に関連する産業は幅広いが、本調査においては、時間的な制約等
を勘案し、象徴的なものとして、ホテル・旅館、旅行業、観光関連施設、国
際会議を対象としたが、それ以外にも広範な業種において影響が出ているも
のと思料。
972
Ⅴ.専門委員
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 常務理事
企業再建コンサルタント
畑・植松法律事務所 弁護士
協和特許法律事務所 顧問 弁護士・弁理士
立教大学観光学部兼任講師
973
野澤 幸司
川野 雅之
畑 敬
吉武 賢次
渡辺 厚
974
別紙1
警戒区域等における観光関連産業の状況調査
1.趣旨
警戒区域(福島第一原発から20㎞圏内)等に所在する主な観光業者を明
らかにする。
2.概要
(1)調査対象
警戒区域(福島第一原発から20㎞圏内)等に所在する主な観光業者
(2)調査方法
福島県からの資料の提供や電話による確認
(3)調査項目
警戒区域等に所在する観光業者数や営業の状況
3.結果(別添参照)
・警戒区域等において、宿泊施設が166、旅行業者の営業所が13所在し
ているが、そのうち宿泊施設については135、旅行業者の営業所について
はすべてが休業中
・当該地域の観光関連施設についても休業中
※ 立入制限等により、具体的な被害状況等を把握することまでは困難
975
別添
○宿泊施設の営業状況(福島第一原発から30㎞以内+計画的避難区域)
区域
市町村名
警戒区域内(20
㎞以内)
緊急時避難準備
区域内(20~30
㎞以内)
計画的避難区域
内
合
営業
田村市
南相馬市
楢葉町
富岡町
河内村
大熊町
双葉町
浪江町
小計
田村市
南相馬市
広野町
川内村
浪江町
葛尾村
小計
川俣町
飯舘村
小計
計
休業
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
21
8
1
0
0
31
0
0
0
31
計
1
13
7
23
1
13
5
26
89
0
20
12
2
2
2
38
1
7
8
135
1
13
7
23
1
13
5
26
89
1
41
20
3
2
2
69
1
7
8
166
○旅行業者営業所の営業状況(福島第一原発から30㎞以内+計画的避難区域)
区域
市町村名
南相馬市
楢葉町
警戒区域内(20 富岡町
㎞以内)
大熊町
浪江町
小計
緊急時避難準備
区域内(20~30 南相馬市
㎞以内)
合 計
営業
976
休業
計
0
0
0
0
0
0
1
1
2
1
3
8
1
1
2
1
3
8
0
5
5
0
13
13
別紙2
過去の自然災害発生時等の風評被害の状況調査
1.趣旨
経験則上、風評被害は、地震等による実際の被害地域よりも広範な地域に
おいて発生していることについて、過去の自然災害や感染症の発生時におけ
る風評被害の状況から明らかにする。
2.概要
(1)調査対象
近年において観光分野で風評被害が発生した能登半島地震(平成 19 年)、
新潟県中越沖地震(平成 19 年)、岩手・宮城内陸地震(平成 20 年)、新
型インフルエンザ(平成 21 年)及び宮崎県口蹄疫(平成 22 年)
(2)調査方法
文献・資料の収集・整理
(3)調査項目
自然災害等により直接被害を受けた地域と宿泊客の減少等の風評被害が
発生した地域の範囲
3.結果(別添参照)
・調査したいずれの自然災害等においても、直接被害を受けた地域はもとよ
り、それ以外の地域にまで宿泊客の減少等が生じており、観光分野における
風評被害は、地震等による実際の被害地域よりも広範な地域において発生す
ることが経験則上明らか
・新潟県中越沖地震による原子力発電所の被災や新型インフルエンザの際は、
健康への影響の懸念から、地震等の場合と比べて、より広範囲かつ長期間
にわたり、観光分野における風評被害が発生
・新型インフルエンザの際は、訪日外国人旅行者が全国的に減少
977
別添
過去の自然災害発生時等の風評被害の状況
①能登半島地震
震度6弱以上の被害の大きかった地域は、県北部の石川県七尾市、輪島市、
穴水町、志賀町、中能登町、能都町であったが、県南部に位置する主要温泉
地である山中温泉で 7.5%減、山代温泉で 10.3%減、片山津温泉で 5.9%減、
粟津温泉で 12.5%減、湯涌温泉で 11.7%減となっており、広範囲で宿泊客の
減少が生じた(前年同期比、4~6月)。
②新潟県中越沖地震
震度6弱以上の被害の大きかった地域は、新潟県柏崎市、刈羽村、長野県
飯綱町、新潟県上越市、小千谷市、出雲崎町であったが、直接の被災地域か
ら比較的離隔した主要温泉地である岩舟・胎内地区において、7月~8月に
かけて前年同期比で宿泊客が 10%の減少、佐渡地区において、7月~10 月に
かけて前年同期比で宿泊客 10~40%の減少が生じた。
また、新潟県の調査によれば、平成 19 年度の海水浴客が、前年度比 48.9%
の減と、原子力発電所の被災に伴う風評等により、海水浴客の出足に大きく影
響を及ぼしたとされている。
韓国においては、地震による旅行地のイメージダウンが著しく、旅行申し込
みの件数が2~3割減少した旅行会社もあった。
③岩手・宮城内陸地震
震度6弱以上の被害の大きかった地域は、岩手県奥州市、宮城県栗原市、
大崎市であったが、青森県において、一部の宿泊施設のキャンセルが生じる
とともに、秋田県においても約 9,000 人のキャンセルが発生し、県南部の湯
沢地区では売上高が 60~70%の減少が見られるなど東北地方の広範囲で観光
客の減少が生じた。
④新型インフルエンザ
米国内で、4月 23 日に新型インフルエンザが人に発症し、日本では、5月
16 日に兵庫県、大阪府で最初の感染者が確認されて以降、主に近畿地方にお
いて流行が始まった。
978
この影響により、国内の修学旅行について、関東地方で 16.2%、北陸信越
地方で 12.2%、東海地方で 35.6%、中国地方で 23.7%、四国地方で 34.9%、
九州地方で 11.3%の学校において、中止又は延期の措置がとられた。
また、北陸信越地方で2県(50%)、中部地方で4県(80%)、中国地方で
2県(40%)が、旅行のキャンセル等の観光関連産業への影響がかなりあっ
たと回答しており、主な流行地域である近畿地方以外の地域にまで広く影響
が生じた。
また、中国、台湾、シンガポール等において、訪日旅行の自粛等の措置が
講じられたこともあり、これらの国・地域及び香港、タイなどでは、5月~
6月にかけて、前年同期比で約 10~45%程度インフルエンザの影響によると
みられる訪日旅行者数の減少が生じた。
⑤宮崎県口蹄疫
宮崎県川南町で口蹄疫の発生が確認されて以降、発生地点から半径 10 ㎞を
移動制限区域、半径 10 ㎞~20 ㎞を搬出制限区域として設定された。
宮崎県内のホテル・旅館の売上状況は、口蹄疫の影響が比較的小さかった県
南部においても、日南地区で 27.7%減、串間地区で 3.7%減となっており、
県内 24 市町村で 228 のイベントが中止されるなど、広範囲にわたり被害が生
じた。
また、鹿児島県の宿泊施設についても、7月の宿泊者数が、前年同期比で、
鹿児島地区で 14.0%減、指宿地区で 29.1%減、霧島地区で 30.6%減、種子・
屋久地区で 8.5%減、奄美地区で 11.1%減となっており、発生県である宮崎
県以外にも被害が生じた。
979
能登半島地震(平成19年)の風評被害の広がり(石川県)
震度6弱以上の地域
4~6月の宿泊客(前年同期比)
山中温泉:7.5%減
山代温泉:10.3%減
片山津温泉:5 9%減
片山津温泉:5.9%減
粟津温泉:12.5%減
4~6月の宿泊客(前年同期比)
湯涌温泉:11.7%減
新潟県中越沖地震(平成19年)の風評被害の広がり(新潟県)
震度6弱以上の地域
7~9月の宿泊客(前年同期比)
佐渡地区:40%減(7月)、20%
減(8月)、10%減(9月)
平成19年度の海水浴客が
前年度比48.9%減(原子
力発電所の被災に伴う風評
等により、海水浴客の出足
に大きく影響)
7、8月の宿泊客(前年同期比)
岩舟・胎内地区:10%減
980
岩手・宮城内陸地震(平成20年)の風評被害の広がり
(秋田県、岩手県、宮城県)
震度6弱以上の地域
秋田県で
約9,000人
がキャンセル
岩手県で
約34,000人
がキャンセル
秋田県の湯沢地区で、
売上高が60~70%の
減少
宮城県で
約15,000人
がキャンセル
新型インフルエンザ(平成21年)の風評被害の広がり
観光関連産業にキャンセル等のかなりの
影響があったと回答した県の割合
新型インフルエンザの訪日外国人旅行への影響
(前年同期比)
台湾:18%減(5月)、23%減(6月)
中国:24%減(5月)、45%減(6月)
香港:11%減(5月)、32%減(6月)
タ イ:19%減(5月)、29%減(6月)
シンガポール:21%減(5月)、27%減(6月)
北陸信越地方
50%(2県)
中国地方
40%(2県)
中部地方
80%(4県)
兵庫県、大阪府(国内初の感染者発生地域)
※近畿地方を中心に流行
981
宮崎県口蹄疫(平成22年)の風評被害の広がり(宮崎県、鹿児島県)
口蹄疫の主な発生地域
鹿児島県霧島地区の7
月の宿泊客(前年同期
比):30.6%減
鹿児島地区の7月の宿
泊客(前年 期比)
泊客(前年同期比):
14.0%減
宮崎県日南地区の旅館・
ホテルの売上状況(前年
同期比):27.7%減
指宿地区の7月の宿泊
客(前年同期比):
29.1%減
串間地区の旅館・ホテ
ルの売上状況(前年同
期比):3.7%減
982
別紙3
原子力事故に起因した風評被害発生の社会的認知の状況調査
1.趣旨
原子力事故に起因した風評被害については、事故発生県のみならずそれ以
外の風評被害が発生しているという社会的認知が形成されていることを明ら
かにする。
2.概要
【調査①:風評被害に係る報道状況調査】
(1)調査対象
全国の新聞
(2)調査方法
全国の新聞の収集・整理
(3)調査項目
原子力損害による風評被害の報道状況
【調査②:現地調査】
(1)調査対象
福島県、茨城県、栃木県
(2)調査方法
自治体・観光業者等ヒアリングと観光地の視察
(3)調査項目
自治体・観光業者等の意見
観光地の状況
3.結果
【調査①:風評被害に係る報道状況調査】(別添1参照)
・事故発生県を中心に各地で原子力事故による風評被害が発生しているとの
報道
・特に訪日外国人旅行者の減少については、原子力事故が全国的な影響を及
ぼしているとの報道
【調査②:現地調査】(別添2参照)
・事故発生県のみならず近隣県の観光関係者においても旅行者の大幅な減少
983
は、原子力事故の影響であるとの認識
・特に、訪日外国人旅行者の減少については、原子力事故の影響以外考えら
れないというのが観光関係者の認識
・原発事故が収束しない限り旅行者は戻ってこないことを懸念する声が多数
984
別添1
原子力事故に起因した観光分野における風評被害を伝える主な新聞記事
掲載日
4月7日
4月9日
4月13日
4月15日
4月15日
4月17日
4月24日
3月18日
3月26日
3月26日
4月13日
5月28日
6月22日
4月1日
4月3日
4月3日
4月5日
4月7日
4月12日
4月13日
4月23日
4月26日
4月26日
5月20日
6月5日
6月5日
6月12日
6月22日
4月6日
4月18日
5月26日
3月30日
4月14日
4月28日
4月7日
4月14日
5月19日
4月13日
4月4日
4月5日
4月27日
3月30日
3月24日
4月9日
4月12日
4月23日
5月18日
6月4日
5月28日
新聞名
見出し
讀賣新聞
名所 外国人消えた
毎日新聞
外国人観光客 激減
朝日新聞
宿泊キャンセル 39万人
朝日新聞
原発・余震 外国客二の足
朝日新聞
国際会議 中止相次ぐ
讀賣新聞
原発 観光地も悲鳴
中部経済新聞
「来日敬遠」全国に
北海道新聞
管内観光に大打撃
北海道新聞
外国人客 消えた
北海道新聞
新千歳-北京便減便
北海道新聞
北海道ツアー再び中止
讀賣新聞
韓国人観光客 姿消す
秋田魁新報
東北へ修学旅行「9割減」
山形新聞
震災 観光に打撃
県外応援隊 一時引き返す/100キロ離れた温泉街 キャンセル客次々
朝日新聞
河北新報
風評被害 福島 温泉地も悲鳴
福島民報
本県観光に大打撃
福島民報
会津の観光・商工業者 悲鳴
福島民友新聞
宿泊施設 風評打破へ
河北新報
「次の一歩踏み出せない」観光業界に追い打ち
河北新報
修学旅行先「会津」回避
福島民友新聞
宿泊キャンセル74億円
福島民報
原発風評 旅館、ホテル直撃
讀賣新聞
喜多方ラーメン 苦戦
朝日新聞
修学旅行も風評被害
河北新報
「サムライ都市」会津の安全PR
福島民報
瀬戸際 会津の観光
福島民友新聞
東北への修学旅行激減
下野新聞
知事が「観光安全宣言」
下野新聞
日光に修学旅行 安全性アピール
下野新聞
東電に損害賠償請求へ
茨城新聞
6月30日まで暫定運休
毎日新聞
観光業者が悲鳴
朝日新聞
震災で自粛ムード・原発風評被害・・・
北日本新聞
県内観光地も打撃
北陸中日新聞
石川の観光地 大打撃
山梨日日新聞
サクランボ豊作なのに観光客激減
信濃毎日新聞
観光客減への対応
毎日新聞
観光地 関西も打撃
中国新聞
「キャンセル」ホテル悲鳴
中国新聞
湯田温泉 8780人 キャンセル
愛媛新聞
訪日自粛 県内にも
南日本新聞
外国人旅客 九州も激減
朝日新聞
観光離れ 痛手
西日本新聞(夕刊) 海外からの集客懸念
讀賣新聞(夕刊) 「九州は安全」PR作戦
讀賣新聞
「九州観光は安全」観光でPR
西日本新聞
九州の観光地 来客急減
琉球新報
原発風評被害を払拭
985
主な記事関係地域
全国
全国
全国
全国
全国
全国
全国
北海道
北海道
北海道
北海道
秋田県
東北地方
山形県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
福島県
栃木県
栃木県
栃木県
茨城県
東京都
北陸地方
富山県
石川県
山梨県
長野県
近畿地方
中国地方
山口県
愛媛県
九州地方
九州地方
九州地方
九州地方
九州地方
九州地方
沖縄県
別添2
現地調査の概要
1.福島県における現地調査
(1)概要
県庁での関係者ヒアリングと観光地(会津・いわき)の視察
(2)実施日
6月24日(金)
(3)自治体・観光業者等の意見
(自治体)
・修学旅行のキャンセルなど、旅行の自粛とは考え難い事態が発生して
いる。
・放射線量や原発との距離に関する問い合わせが多く、以前は、観光部
局に1日60~70本電話がかかってきていた。
(観光関係団体、事業者)
・震災発生後から約100日間、主要紙の報道の一面を見ると、50%
が一面トップで原発事故を扱っている。このような状況で福島は大丈
夫と言っても信じてもらえない。
・宿泊施設等の予約キャンセル時に、原発事故の影響を理由として伝え
られることがほとんどである。
・宿泊施設に対して、
「地元の農産物を使っているのか」、
「水はどうして
いるのか」等、放射能汚染に関する問い合わせも多い。
・修学旅行については、放射線量に関係なく、福島県内という理由だけ
で、原発事故の影響を懸念する保護者がいるため、行き先を変更され
ている。
・観光地は、複合的なサービスを提供していることから、一部のサービ
スが廃業に追い込まれることにより、他の事業者にも影響を及ぼし、
当該地域の観光関連産業全体が成り立たなくなる。
・原発事故が収束しない限りどうにもならない。
・地物の加工が基本の土産品は、売れ残ったものの売却先がなく、風評
による被害は甚大である。
・原発事故の収束が見えない状況では、観光客が戻る見込みがなく、先
行きが見えない。
986
(4)観光地の状況
(観光関係団体、事業者)
・福島市の主要温泉地の飯坂温泉、土湯温泉、高湯温泉エリアは、3月
以降の宿泊予約が全てキャンセルされた。
・東山温泉及び芦ノ牧温泉の4月の宿泊者(避難者除く)が、昨年度約
6万2千人の約75%減となる1万6千人となった。
・会津若松市の教育旅行についても、4~7月期には昨年度530校が
来訪していたが、今年度は95%減の30校という状況である。
・ある観光関連施設では、3月12日以降400件強の団体旅行のキャ
ンセルがあったが、地震を理由としたキャンセルは地震発生後5日以
内までにあった約30件のみで、残りは原発事故の影響が理由である。
・いわきは、福島原発より約70キロにあり、現在、観光客が減少して
いる原因は全て原発事故の影響としか考えられない。
・いわきというだけで観光客は来ない。いわきナンバーの車が各地で受
取拒否されるなどの事例からも明らかではないか。
修学旅行や団体旅行が大きく減少している観光施設や土産物店(会津)
観光客の姿がない観光地の最寄り駅の状況(いわき)
2.茨城県における現地調査
(1)概要
県庁での関係者ヒアリング
(2)実施日
987
6月24日(金)
(3)自治体・観光業者等の意見
(自治体)
・茨城空港に乗入れている航空会社が運休するなど、原発事故による影
響が大きい。
(観光関係団体、事業者)
・旅行会社が福島近隣を通過する旅行商品を造成しない状況にあり、茨
城方面も敬遠されている。
・県内の旅行業者のうち、既に6社が倒産している。
・東北方面、特に原発周辺に向かうこと自体が考えられないという消費
者心理がある。
・国内外の観光客減少が長期に及ぶことが予想されるので、観光関連産
業に生じる損害に適切な補償が行われるようにして欲しい。
(4)観光地の状況
(自治体)
・主な宿泊施設の3月~5月の宿泊実績は、対前年比で52.6%程度に
落ち込んでおり、特に鹿島地区の落ち込みが大きい。
・主な観光施設の入込客数も大幅に減少しており、4月~5月にかけて
対前年比、約10~20%程度に落ち込んでいる施設もある。
(観光関係団体、事業者)
・震災後、観光客の減少により、土産物の売上も6~7割減少した。
3.栃木県における現地調査
(1)概要
県庁での関係者ヒアリングと観光地(鬼怒川)の視察
(2)実施日
6月22日(水)
(3)自治体・観光業者等の意見
(自治体)
・白河と栃木県の境が原発から80キロのラインとなっており、風評被
害が著しい。
・大手の旅行会社が、栃木県の商品を造成しなくなった。
・これだけ余震が少なくなっても、観光客が来ないのは、原発事故が原
因としか考えられない。
(観光関係団体、事業者)
・外国人旅行客が来ないのは明らかに原発事故によるものだと思う。
988
・修学旅行のキャンセルは、全て原発事故が理由となっている。
(4)観光地の状況
(観光関係団体、事業者)
・県内の旅館等の宿泊者数、売上の状況は、前年同期比で3月35%・
30%、4月35%・30%、5月以降70%・60~65%。6月
の塩原地区の予約状況は、60%前後となっている。
・鬼怒川や日光はほぼ同じ状況であり、海外からの観光客が減ったのは、
100%原発事故の影響である。
(観光施設事業者)
・3月の入場者数は64%減、4月の入場者数は72%減、5月の入場
者数は35%減となっている。
・訪日外国人旅行者の団体は、台湾、香港、シンガポールなど全てキャ
ンセルとなったほか、震災後の個人の外国人入場者は合計で百人にも
満たない。
・現在、入場者が大幅に減少しているのは、原発事故の影響としか考え
られない。
・原発事故が収束しない限り客足は戻らないだろう。
(土産物店事業者)
・震災直後に、平常営業に戻したが、売上げはほとんどゼロであり、社
員全てに休んでもらって、家族だけで営業し、4月29日まで社員は
出勤させていない。
・お土産の売上は、3月70%減、4月80%減、5月45%減、6月
40%減となっている。
・外国人旅行者をめったに見かけることはなくなった。
観光客の姿がまばらな温泉地の最寄り駅の状況(鬼怒川)
989
別紙4
原子力事故と旅行者等の行動調査
1.趣旨
東日本大震災発生以降の国内外の旅行者の旅行意向に係る意識の調査等に
より、原子力事故が旅行者の行動にどのような影響を及ぼしているのか等を
明らかにし、東日本大震災の発生による観光関連産業への影響のうち、旅行
自粛等の他の要因を除き、原子力損害と認められる部分を特定する。
2.概要
【調査①:一般市民ウェブアンケート調査】
(1)調査対象
一般市民(委託調査機関の登録モニター:7000名)
(2)調査方法
調査機関への委託によるWebアンケート調査
(3)調査項目
東日本大震災発生以降の旅行キャンセル理由
原子力事故の国内旅行先選択への影響
外国人旅行者の行動についての意識
等
(4)調査実施期間
2011年6月10日(金)~6月15日(水)
【調査②:訪日外国人旅行者に関するデータの収集・整理】
(1)調査対象
訪日外国人旅行者に関する既存資料等
(2)調査方法
訪日外国人旅行者に関するデータの収集・整理
(3)調査項目
訪日外国人旅行者の動向
外国当局による我が国への渡航情報の状況
外国人旅行者の訪日旅行に対する意識
3.結果
【調査①:一般市民ウェブアンケート調査】(別添1参照)
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