...

プログラム - 生理学研究所

by user

on
Category: Documents
379

views

Report

Comments

Transcript

プログラム - 生理学研究所
合同開催
第27回 生物学技術研究会
第38回 生理学技術研究会
予稿集
日 時 : 平成28年 2月 18日(木)、19日(金)
会 場 : 岡崎コンファレンスセンター
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構
基礎生物学研究所 技術課
生理学研究所
技術課
第27回 生物学技術研究会
第38回 生理学技術研究会
(同時開催 : 第12回 奨励研究採択課題技術シンポジウム)
ÞDzͥ ƍƷ28Ǝ͞Ǯ18ǟ(dz)ͮ19ǟ(̧͚
Þŕͥ ʴɇɸţɮɼȘȐ žƁˆº¤z·ºŒŽº‘¼
Æóͥ őɰɗɍţɮɼƺ ƽˌˬ
K444-8585 ƯɬɨžƁƈǤřŰɜŠ˕̞Åͣ͟
http://techdiv.nibb.ac.jp/giken/
TEL : (0564) 55-7655͛FAX : (0564) 55-7657
ɗɕţɮɼƺ ƽˌˬ
K444-8585 ƯɬɨžƁƈǤřŰɜŠ˕̞Åͣ͟
http://www.nips.ac.jp/giken/
TEL : (0564) 55-7702͛FAX : (0564) 52-7913
プログラム
2月18日(木)
(1階 大会議室)
ͮ ǃǀFÌĕ̓ʖ
ͮ ɮî˯Ⱦ͙ͨͥ͝őɰɗɍţɮɼƺĊDzɣɗɮɼ̜̮ ˆȊëƝǗDŽ͚
ͮ
ˠƨǐƞ»Ýƴ
ͮ
ªŒ‘¼ɣˎ…¶¼¦DͬP1、P3、P5、»»»ͥŜǙɞIJͭ
ͮ ªŒ‘¼ɣˎ…¶¼¦EͬP2、P4、P6、»»»ͥñǙɞIJͭ
ͮ ʴɛ˟ˮ
ͮ
ƶ˛Þ͙ ̻ÅÞ˱ū͚
2月19日(金)
(1階 中会議室、1階 大会議室)
(口演会場1 1階 中会議室)
ͮ ǃǀFÌĕ̓ʖ
ͮ
½ʶĭȾ͙͚ͦͮ͝͠
ͮ Ýƴ
ͮ
½ʶĭȾ͙͚ͦͮͣ͡
ͮ ǧ͙̻͊͝ÅÞ˱ū»̻͞ŷÞ˱ū͚
ͮ ½ʶĭȾ͙͚ͦͤͮ͝͝
(口演会場2 1階 大会議室)
ͮ ǃǀFÌĕ̓ʖ
ͮ
ŞĒɮɼdžƾˬ̈́ƽˌŠºª‹~­͙͚ͪͮ͝͠
ͮ Ýƴ
ͮ
ŞĒɮɼdžƾˬ̈́ƽˌŠºª‹~­͙͚ͪͮͣ͡
ͮ ǧ͙̻͊͝ ÅÞ˱ū»̻͞ŷÞ˱ū͚
ͮ ŞĒɮɼdžƾˬ̈́ƽˌŠºª‹~­͙͚ͪͤͮ͝͝
(口演会場2 1階
ͮ
ͮ
L
大会議室)
˦̈́NJê͙͚ͫ͝
nfp
Ǟˡ˗ţ͙ƊDZʧioFĴÞŕ͚
-1-
目 次
¦¹…µ® ??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????
ĨĒʧliQ͇N ????????????????????????????????????????????????????????????????????????????
ɣˎʧliQ͇N ????????????????????????????????????????????????????????????????????????????
ɮɽßßŖĽ̇ŎŊ ??????????????????????????????????????????????????????????????????????????
žƁˆ»¤z¸»ŒŽ»‘½ȇāŊ ???????????????????????????????????????????????????????????
研修講演(1階 大会議室)
mË͈ċDzɣɗxʦPu
ŒɰɗɍŤɮɽƹċDzɣɗɮɽ̝̮ ˆȊìƜǖǃ 話題提供(1階 大会議室)
% ĝŤǖʫɮɽhQVuƼˌiŘ̙
ȰǻĝɸŚŤƼˌ̝ Ȃɚȵ 一般口演(1階 中会議室)
ǓŴĈùɈƒ˞xəN_ˈùŒ¨„˜·Ȼũ
ǺÔŚŤɕŤʋɮɽɸƼˌ̝ åáŅʡŠ ©²ˏňLJɪɿ˾i˝ǽ
ƏƀŚŤƼˌŽ»‘½̵͙żʳȲŪ͑ƹęĖ͚ ŽĮî̾ ˽ȃ̀Š͆Ƣ̬xəN_ɗɍĉɊiĪŴ̀Šö˜ŰBĉɊĦfŶ̀ĆɕǸÛiȌ˟B
ſƺĝɸŚŤ ĝȞ˄ʛĶɮɽƹɗĿɸŤɮɽƼˌǐNjŽ»‘½ ̥Ɓ˵× ˝ĐŪʤəɐæRsiʓʟŤŪʤ˜Űə¦¸¡µ½˜içƶf^iŃ̈́Ʉ
ȰǻĝɸŚŤ˝ĐŤ˯Ɠ͛ĝŤɸŤ̝Ťɗ
åHdzñ͛ÆƂʥś͛Ś̥ʵ͛ȊÑƌ͛Ēˆ˓Ǫɻ͛ʂǷʚŞ͛åˆƕÎ ¬~Œʯi̐ǤĚiȌ˟
ŒɰɗɍŤɮɽƹƼˌˬ ŚɁŌŠ ̚àŠșnj͒ɠƫ¬~ŒÂ͒ͅi͒˻Ȼũ
Ś̳ŚŤŚŤ̷ƄŤɮɽɸ ˆ˲ȷ ĤɅʕȀƨ­›˜¬˜iĄţɆĒȺȆőhQVuŔʪɣ̢ɉČəi˥o
Ô̟ŚŤŚŤ̷̆Ťɮɽɸ̵ż̆Ŗ ˕ƂȱȚ ˅iȆőʆɕSɗˀȁphÄPuƝ́
͕úƀŚŤǖʫŤ̝ ̥͘ƇÙ͛ɂƷƸŠ͛Ȩɚø -2-
”˜¹¼„xÖY_ǓǏ̐ɬliűƧf^iũé
őɰɗɍţɮɼƺƽˌˬ ÅǷ˵Ū ®šƒžºięţĵƷfʉ˔ǝȭiȌ˟
ÉƃƄȎřţƭŔƄţ̜ ȍǴǰ½̛ ćşȏ̭̫ Š¼†º‰¼"(*/5#$ xəN_‡ž­Š¼†ºŒf
ṷ̂˜´ºŒ„µ¦˜Š¼†ºŒ
őɰɗɍţɮɼƺƽˌˬ ŽĭĖij 奨励研究採択課題技術シンポジウム(1階 大会議室)
$ʓ̈o«}ˆºf¦¸…´«¥¶— }ŒhruŸ}¥µ”˜ČơţʤŠŒ–­iȐʇ
ǺĚřţƄţ̜»Ƅţɮɼɸ ̴̜ʼȗ $
”˜¹¼„ʆɕȎĕēɒĹÀi_piƿƙɔũưhruȐƷƭŔiį˙ę
řćřţƄţ̜ƽˌ̜ ĦȒɹƏ $ ˼ŘʜǔŴȺƓ˞ejȻŨÂįʮgȤÅeȺƓŗęx[uɍåiį˙øhruȺƓȻŨ
ǺÓřţɗɘƽˌɮɼƺȘȉ»ɗåʋ̜̮ƽˌų̮Ł ÀǷøŧ $ 7+:/45 xəN_ǔŴʜȌĆņǗǶi̯ɣ
ŮŽřţɮɼlj̔ȘȐȤʎķâåɸţɮɼŽº‘¼ ̴̜íÖŎĭǥʿĦțƵ $ —‹‘¶ "# xəN_ Ǎôćǽȭiɯʀ
ä˸řţʛĵćǽũ͑Žº‘¼ Ȋđŝƪ $ ǜYN…µˆ‰¬ž…µºÍʊ˝ǽǝȭCĮÿɤÍʊęȭfFɔØɤȌĆȭfiˉĵC
ƀȅřţĜţ̜Ø˰ɗęţ ̭şǩʡ $ ãˉɄ´“ºxȯəY_ȔǴæ˔ȭi̯ɣ
ĸĮźřţûţƽˌŽº‘¼ĜţʋƽˌǑnjū ɋɚRQt $ }€ºȳåxəN_Ɇˁɪ̉̑˽ȃ̀͆˜ůȭiʳƒĜţć̥liƧə
͔īřţƽˌ̜Ĝţʋ̜̮ ͚͛ķġƠʳƒɮ‘¼
͚͛ķĜţ̜ɥʱɡƱţ ͚ Ȋ̥Ʋ½ ͚͛Žɚ¾ş ͚͛ŒȧÒİ ͚͛Žöî ͚ $ ¦¸–€¬„Œ˝ǽhruƥˊʆɠƬiˊȵɡƱ }€«¼¼iLJʏ
ƀȅřţɮɼȘȐʛĵɸţɮɼǑnjŽº‘¼ɗåƭŔ #Ͳ ũ̜̮͑ äˆĿʡ͏ƕǰşǻǴð½ ƀȅřţĜţ̜ƢɖņĽĺņŘɸţ˯Ɣ ʟɚɵÍ $ʜˇ ,2,-(48 xəN_đ͗ffqhɗZuïåƆi˝ǽ
ǺȲřţÜėĦɮɼlj̜̔ɗľɸţʗĵǑnjŽº‘¼ ŦɚçØ $ŦûˍɗʆɕiÌéɮɼfřţiũ͑ūʂiµŒ„Ȍ˟
ȖȰŊʀřţµŒ„þɗɲÞĐ̒Žº‘¼ ̨dz̾Í -3-
ポスター発表(1階 大会議室、ホワイエ)
" ǜ˘hŶúXv_͢%# iʑÖ
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ ܈Ņ̚ "
€¼—|€ŗNjȘhru " €¼—|€iž}űʅ
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ ܈Ņ̚ " €¼¦º¤|¼¶™˥͑ːʠi˔æ
Ƥƀřţřţ̷ĜȞ˄ţɮɼ̜ʛĵɮɼǑnjŽº‘¼ ĚȨɷȚ " Ɇʜ̐íxċəY_ȿȤČơŠŒ–­i̯ɣ
Ƥƀřţřţ̷ $%$ ɮɼ̜ʛĵƽˌŽº‘¼ ɭɚŮŖ̾ " ɗɕ»ɗɍţũ͑li iċə
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ äȪëƏ " ƺŘɮɼʧiũ͑‰ª¼˜Șņi˔æ
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ ʁƀƖˋ " ø̐íẍ́ǶfY_şêĹV̀şƄæ
ɴƸřţřţ̷Ƅţɮɼɸ ǻǴ͎ " Ƀʎ˃ʲâɧǼæ˔ǝȭiǒŃfɔɎhcNd
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ ŷĦțˑ " }€º¬µº…xəN_̀ş͆ƣ̬˜ů
ĸĮźřţûţƽˌŽº‘¼ ̟ʇ˺Ś̛͛ɴ̥˵Ǧ͓͛ɚǢȪ "}€ºȳå»%<,,4
xəN_ $ ˜ůə˥ǚĎąɕȭiȌ˟
ĸĮźřţûţƽˌŽº‘¼ƄţʋƽˌǑnjū ͔Źũƪ͓ɚǢȪȥɚ̹ş ǟƞ̗śŽǴƫŚǾʫɗȓĭýšɴ̥˵Ǧ̟ʇ˺Ś̛܈Ɛȗ "Ž̸h͉ǹ[uřȣȦȁƣŷɍ˻i¿ȚöƣʐƜƱ˝ǽi_piǜ˽ȃ̀͆˜ůȭiȐʇ
͔īřţƽˌ̜Ĝţʋ̜̮ ͔͛īřţĜţ̜ðƖǕʅĜţ ŒȧÒİ ͛Ȋ̥Ʋ½ ͛ř˕½Ʒ "
' ʜxəN_ʓʟ˜ůiɗɍţliƧə
ř̳řţƄţɮɼɸ řɂǣǤ͛ˆ˲ȷ "̓ʘĈɊRsi¿ȚöāȐʇ
őɰɗɍţɮɼƺƽˌˬ žǠʺ "
<(> Ÿ¼¤ Œ†”˜iʑÖ
ȰǻĜɸřţʰɢɡɕţ˯Ɣ đʼ̺ǥ "ţɗũʤhQVùş͆ƣ̬˜ů
ǺĚřţ̅ţɮɼɸ»̅ţ̜̀ş͆ƣ̬ū ÜǺÇʡş "͓ɬřţž˳ƒ°º¡ŒƽˌʨŁiɔɎfʓʟęiīʓo
͓ɬřţǗʫɮɼ̜ɡɕţ˯Ɣ ǾʸƘ ʛĵɮɼŽº‘¼ũ͑ũʤȘņǞˡ Ɋžä˧ -4-
"řŏŒ§„˜¸…´¤iʑÖfũ͑‰ª¼˜iɔɎ
őɰɗɍţɮɼƺƽˌˬ ĀƂɓȗ "ɗľɸţɮɼi 57,(*/2/9> fYdiȝoLǗʫ»ɮɼǑnjŽº‘¼ Ǝɦx̊PdL
ÉƃřţĜţɮɼ̷¢˜ɠƬ¯—¶ɮɼŽº‘¼Ǘʫ»ɮɼǑnjŽº‘¼ ͓˗̤ʡ "̴Ģƈǜ̥ōěhQVuȢ̰˄˭ȃ
Ƥƀřţřţ̷ĜȞ˄ţɮɼ̜˄ţʋ˄əȋɍŋ ÕǾɀƂȴĿʣ "
Ǘ͌¬hQVuƒ°º¡Œ•{¼ʴɇǘʅ̖Iɣ˗iŷƟJ˜ů‚}™liītʓo͞
ƐƀřţƽˌŽº‘¼ Ť̟Ȝij "
ʛĵƽˌ̜ƭŔ”˜¹¼„ʨʢɮîi̯ó
ǺĚřţřţ̷Ĝţʋɮɼɸ»Ĝţ̜ƐŔū ½Ȉʩ "
(;(8*7/69 f "" hru¦¸…´­x̽˂Y_¨¼­§¼‹iæƷ
ĸĮźřţûţƽˌŽº‘¼ƭŔ̐íƽˌʋ řƂǖɗ "
ǫIJƚƓx͓p_¡Œ¹¼™ʆɕ•¼¶i̯ɣ
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ ǷɚŦȥ "
"$ ¯‹²¼¶xèəY_ %" ‰¼ ¼iȌ˟
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ ĶǷáǤ "
,4,=67,88/54!34/):8 ċəǝȭiȌ˟
ǺĚřţřţ̷̅ţɮɼɸ»̅ţ̜ ŷȊĿȗ "
¤¸¼‰}˜®¼‘¼xəN_‡ž­‰}ȻŨȭiȌ˟
őɰɗɍţɮɼƺƽˌˬ Ÿʌ̺ř "
¦¸–}ºŠ¼†º‰e͓ćş̦‘º¡„˻i{¬ẓ̠̌ĉȩŨxrṱUˋO_pi
‚ŒŌiȌ˟
őɰɗɍţɮɼƺƽˌˬ Ɍ̥ɛʡş "
³ˆ£͈iķŨf^i˙ɍ˻ɣʷňićǽ
ȰǻĜɸřţĜţ̜ʛĵÔ̰ɸţ˯Ɣ ŘŽʡŝ "
Aµª̣Sǯ[u—˜”„ŒēȀ™¬~­ÅȠĩȸēȀiȌˤ
ŮŽřţĜ˄ʋƽˌ̜ɡɕˣǛţ üɚɷȗ "{¤µ•®‚¶ʬRsi 959(2# ʉ˔ȭiȌ˟
őɰɗɍţɮɼƺƽˌˬ ͓dzɬÄ ""
ʐʭhQVu ´¦´Žº‘iɴʔɾ˾hÃPuƞ́
Ƥƀřţřţ̷ĜȞ˄ţɮɼ̜ʛĵɮɼǑnjŽº‘¼Ȟɸ̡͖ɸţć̥ ͙Ȅ͚̩Ɣ»˜«˜ Ƒ̥țˋ Ůž̤ț ̋ˆĞƪş ʻŽɫ "
‡º‹©‘¶̾̿iɧÎʕĵh˗svuɣøķDz¡‘ºi’¥¶¦¸”˜ȭhru˝ǽ
Ƥƀřţřţ̷Š€–„ž‰}ºŒɮɼ̜ʛĵƽˌŽº‘¼ ̇Ǥÿ "«~ŒĄʕʉşhruʋʗŶúiÌéŔĻ
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ Ɨȧɏ -5-
"«¼¯Ž”˜i˗ʚ˜Ⱥ
ɖɔţɭɻƹƼˊ˪ ƷƁȉ̼ "$" «~Œǝ˟ɘ»͑ŌʿȢȼʼˎʞiǫǛ
őɯɖɌţɭɻƹƼˊ˪ ̣ĭˏij "´”˜ɖȞƃţƼˊiũɘęhĹVd
ǠƁĜɷřţǖʩɭɻLj̒Žº‘¼ĔɌũ͏ƼˊǐNj̬̚ Ạ̈̄Ğʋ "ĔɌɵɲh̞ƲY_ũƼ˭ʢÞi̭óhcNd
ɖɔţɭɻƹƼˊ˪ ɾəʟȭş "Ŷ˖Ȕ # īƻǝ˟iʄɔ[uÀeił͂ɃfŴǸ
Ó̝ƃʷʜʗřţ͑ƒƼˊǐNjŽº‘¼ ŷƀ˨ "ǓųʚȺŨǧiʵ„º“º…iƝ̿
őɯɖɌţɭɻƹƼˊ˪ ͉Ȫɶş "}fŠ¸}œššiƛ˹̀NJåiæ˒
ĸĮŹřţûţƼˊŽº‘¼ɖɌ»ɖåƼˊʉ ÏÀƱş ħđʥĸʆ···································································································································· -6-
参加者へのお願い
■会場について
ɮɼÞÞŕjžƁˆº¤z·ºŒŽº‘¼ÙÁͩͧͧe[GÞŕhcNdjFɮɼÞÞŕļ̆ōʼnQr
kžƁˆº¤z·ºŒŽº‘¼ȇĀʼnxW˚U`XNG
■受付について
Ĭ×jF½ǟɦi ͮ ḭFͩͧͧº˜´ºŒ¨¼¶hdˋNn[ieFŲʃ͙ĸǵf˹ǚ͚
xQĬVītU`XNG̕vuŕĵjÌĎh̓ʖxQ͇NYn[GɮɼÞƛǟjͩͧͧÌĕū͙%
͚neW̓ʖU`XNG
■旅費支給者の方へ
ĆƙŔĻǭiWNJĆxQ͇NN_Yn[Gn_FʵɽȘċəiŕĵF̓Īǭfʵɽ“†”˜iĠč͙Ġč
SgNŕĵhjǎÈč͚xQǁaU`XNGƋtićjƠǟ̝̎YdU`XNG
■手荷物について
ɮɼÞḭFƻʽɍjQ͂RtN_Yn]yGřÞ˱ūƠǝhʽɍʠŕxˡʠN_Yn[ieWċəU`
XNG˵̤ŀʂhcNdjĴʴi˴ÛeQ͇NYn[G
■懇親会参加者へ
½ǟɦiɣˎʒËƠFͩͧͧÅÞ˱ūeƶ˛Þx̯Tn[G
■記念記帳について
ɮɼÞiDz̰ÅFħđˠƨƌxřÞ˱ūútĭ×̋hʠTn[ieF̟ĵx˗dWˠƌU`XNG
■記念撮影について
ɮɼÞ̯óÅhûåeiˠƨĂɩǐƞxˋNn[GǟǨʂj¦¸…´­xW˚U`XNG
■入構について
ɮɼÞĬ×hdQȹY[uĸǵSúȐˢįˤfgtn[GĬ×ÙĎhȘȐĀhúsvuǝjFț̮Ȗiť
ˍūhdȡĸ»ƺżʂxˠ̄YFúȐƻʘTxˋbdU`XNG
■駐車場について
ɮɼƺQrkͩͧͧhj½ʶċə͐́ŕSMtn]yieFýþÑ̐Ș̱xWċəU`XNG
■宿泊について
Wʴ̀eŭȬxɯìXvuǝjFɮɼÞÞŕļ̆ōʼnxW˚U`XNG
■ロッジ宿泊者へ
¸”‹ċəǨ̰jğƠ͟ǨRse[Gn_F̶̮jğƠ͜͝Ǩe[G̶̮h̰hĵwgRb_ŕĵjF˶
ÃXv_Ĵūi̪eɑ̱i̪x̯Vdú͍YF^iƠ̪xDžVdU`XNG͍̍(チェックアウト)h̼YdF
Ʀ\̜źi̪xɑ̱iͰ̪̌ĤªŒ˜ͱȟĤYdU`XNGgQF͍̍Ǩ̰jğĎͤǨ͟͜će[G
■ご不明な点がありましたら
őɰɗɍţɮɼƺƽˌˬ%'n_j
ɗɕţɮɼƺƽˌˬ%
'
neW̓ʖU`XNG
-7-
発表者へのお願い
75 cm
発表
発表演題名
番号
所属機関名、発表者名
A4 縦用紙の場合、12 枚程度
掲示できます。
»ɖɔţɭɻƹƼˊ˪
-/1,44/68(*06
85 cm
-8-
115 cm
»őɯɖɌţɭɻƹƼˊ˪
-/1,44/))(*06
10 cm
95 cm
■ポスター作成について
ªŒ‘¼j½ɢˌȽ͂hcT Ǿe[ͬ
‰}jʛ *3@ȕ *3 ʛ̫e[ͬ
À̚ *3 hɢˌȽ͂ĸFƹŻȗ̯ĸF
ɢˌʥĸxıʼniȐh˞úYdU`XNͬ
¡¶iƄÀhɢˌɝIJS˵bdMt
n[GƹŨi¡¶hWźɰU`XNG
■ご不明な点がありましたら、以下へ
お問い合せ下さい。
20 cm
■報告誌原稿の提出について
ŔĻ˦iĦɹjFdzɭɻÞeɘƭY_I–º¦·¼˜¤z}¶JxèɘYdU`XNGdzɭɻÞ¨¼­§
¼‹.9969,*.+/;4/))(*06-/1,48(41(.932Ĩj.996<<<4/68(*06-/1,4
rt’~
º¸¼™Sįʬe[G
ĦɹjFƌƶ ƍ ǭ Ǟ͗ǭ͘nehF&57+/2, f "/2, xÌĎhǁŨXv_{™·Œ
I-/1,44/))(*06͗ɖɌţƼˊɭɻÞ͘
JĨjI-/1,44/68(*06͗ɖɔţƼˊɭɻÞ͘
Jh®¼¶ȳ×
ě×YdU`XNG"/2, j·}{~˜ʁiɮ˧i_phƥ˔e[G
■発表について
ªŒ‘¼ɢˌjFªŒ‘¼˝ˬiĎhɜõ£²¼¹¼xɘNd˩ǣxYdN_`Tn[G˩ǣɘɜ
õj½Ô Ǿeɢˌǧ̮j ć̮e[͗ɜõjÌĎhǁŨiǜȬeWljĆxQͅNYn[͘
Gɢˌ
j …¶¼¦hćVdˉNn[G…¶¼¦DiŒ´}™˩ǣfªŒ‘¼ḭ˘Qrk˝ˬxˉb_
ƟF…¶¼¦ExķȐhˉNn[G
½ʴĭȽj͚͜ć͗ɢˌ͛͟ćF˹ɞƦʂ͟ć͘
FŞĒɭɻDžƽ˪͂ƼˊŠºª‹~­j͚͜ć͗ɢ
ˌ͛͟ćF˹ɞƦʂ͟ć͘e[Gĝćg˹ɞƦʂiǧ̮SīvurOFɢˌxnfpdU`XNG
ªŒ‘¼ɢˌʥjǟphĬ×xȵn]F nehªŒ‘¼xźɰYdU`XNGgQFªŒ‘
¼jɭɻÞʐËneźɰxQͅNYn[G
ɢˌĀŬiː˽eɘNu̞ƈ˷ǙSMuŕĵjFĴʲeȻòxQͅNYn[G
◆ 東岡崎駅から
「岡崎コンファレンスセンター」
までは徒歩で10∼15分程です(ほとんど上り坂)
タクシー乗り場とバス停は、
ともに東岡崎駅の南側にあります。
バスは
「竜美丘循環線、
のりば 東岡崎駅 南口11番、
おりば 岡崎高校前」
東岡崎 → 岡崎高校前:始発 6:45、最終22:55、
岡崎高校前 → 東岡崎:始発 6:27、最終23:12
運賃 120円、7,8時台は1時間に6本、9∼15時台は1時間に2本、16∼22時台は1時間に4本です。
行き先
発 着 発 着 発 着 発 着
竜美丘
8:25 → 8:27 8:45 → 8:47 11:25 → 11:27 12:23 → 12:25
8:35 → 8:37 8:55 → 8:57 11:55 → 11:57 12:53 → 12:55
◆ 宿泊連絡先
三島ロッジ TEL:0564-51-2830(22∼8時は不通)
参考: 岡崎セントラルホテル TEL:0564-53-4473 スーパーホテル岡崎 TEL:0564-28-9000
グリーンホテル徳川園 TEL:0564-53-3151 岡崎第一ホテル TEL:0564-26-3111
◆ 会場連絡先
岡崎コンファレンスセンター TEL:0564-57-1870
-9-
一般口演会場
懇親会 ・ 昼食会場
喫煙
コーナー
研修講演会場
ポスター説明会場
奨励研究採択課題
技術シンポジウム会場
昼食会場
話題提供会場
ポスター発表会場
施設見学
集合場所
【会場案内】
1日目 2日目
研修講演 大会議室 生物学技術研究会主催
一般口演 中会議室
ポスター説明 大会議室 ポスター発表 大会議室前ホワイエ 生理学技術研究会主催 奨励研究採択課題技術シンポジウム 大会議室
懇親会 中会議室
話題提供
大会議室
昼食会場
中会議室 ・ 小会議室
施設見学(集合場所) エントランスホール
- 10 -
研修講演
L1
【18 日 13:50 ~】
ほ乳類初期発生を考える 基礎生物学研究所 初期発生研究部門 藤森 俊彦 ど の よ う に 細 胞 の 種 類 が 決 ま る か( 細 胞 分 化 )、体 の 大 ま か な 座 標 が ど う 決 ま る か( 軸 形
成 )、体 の そ れ ぞ れ の 部 分 の 形 は ど う 作 ら れ る か( 形 態 形 成 )が 私 自 身 に と っ て の 発 生 生 物
学における根源的な問いである。発生の初期においてこれらの謎を解明したいと考えてい
る 。初 期 発 生 研 究 の 歴 史 の 中 で も 、こ の 30 年 程 度 の 間 に 分 子 生 物 学 の 発 展 に 伴 っ て 多 く の
現象の理解が急速に進んだ。脊椎動物の初期発生研究においては、シュペーマンの時代か
ら両生類を研究対象とした研究が分子生物学を取り入れた時代においても先端を走ってき
ている。一方ほ乳類の発生には、主に二つの理由からまだまだ十分理解できていない謎が
多く残されている。第一の理由は、その調節能の高さである。どの胚を比べてもほぼ同じ
パターンで細胞が分裂し、その結果どの細胞が将来何になるかがはっきりしている動物の
場合は、細胞運命がどう決まるかを知ることが比較的容易であった。しかし、ほ乳類では
胚の細胞を減らしたり、胚に細胞を足したりしても何も無かったかのように本来作られる
べき体ができる。では、外からの操作が加わらない正常発生では細胞運命はどう決められ
て い る の だ ろ う か ? 第 二 の 理 由 と し て 、 胚 発 生 が 母 親 の 体 内 で 進 む こ とに あ る 。 卵 や 胚 を
外から簡単に見ることができる動物と違い、詳細に細胞の動きなどを観察することは容易
で な く 、 何 が 起 き て い る か を 理 解 す る の が 難 し い 。 我 々 の 研 究 室 で は 、 様 々 な ア プ ロ ー チ に よ っ て マ ウ ス 初 期 発 生 の メ カ ニ ズ ム を 明 ら か に
しようと取り組んでいる。新たな手法の開発によって、これまでに理解できていない問題
解決が可能となると考えており、技術の改善や新規技術の開発なども積極的に取り入れて
いる。マウス胚は受精後 4 日目に子宮に着床するが、それまでの段階については培養する
ことは比較的容易である。ライブ観察に必要な顕微鏡のシステム、蛍光タンパクを発現す
る観察用のマウスの開発などを行い、ライブ観察を可能とした。多くの胚発生を連続観察
することが可能となり、細胞運命決定様式についても考察できるようになった。ライブ観
察を通して着床前までの段階における細胞分化についてどのような理解ができたかを議論
したい。また、子宮の中で胚発生が進む点は、ほ乳類胚発生の重要な特徴であるが、胚と
子宮がどのように相互作用しているか、それがどのように変化していくかについては理解
が十分ではない。そこで、まずは胚が存在する子宮の形態や、それに伴う胚体外組織を含
む胚側の形態を 3 次元的に理解したいと考えている。この解析の為のツール開発を進めて
き て お り 、 そ の 手 法 、 現 状 に つ い て 紹 介 し た い 。 - 12 -
話題提供
T1
【19 日 14:05 ~】
医学教育研究における技術の変遷
浜松医科大学 技術部 柴田 清 医 学 教 育 研 究 に 関 わ っ て 37 年 が 経 と う と し て い る 。ま た 、こ の 研 究 会 に 参 加 さ せ て 頂 き 、
22 年 が 経 過 し た 。そ の 中 で 変 化 し た こ と に 焦 点 を 当 て 振 り 返 り 、多 少 な り と も 皆 様 の お 役
に 立 て る 事 が あ れ ば 幸 い で あ る 。定 年 を 間 近 に 控 え た 老 人 の 戯 言 で あ る 。気 に す る 必 要 は 、
な い 。 浜松医科大学・衛生学教室に入局して以来、変化した技術の一つは、病理組織関係の写
真技術であった。当時の光学顕微鏡写真は、観察したものと出来上がってくるスライドに
大 き な 差 が あ っ た 。 ま た 、 撮 影 し た 写 真 ( ス ラ イ ド ) が 出 来 上 が る の に 2~ 3 日 を 要 し た 。
その中でも、蛍光観察は、大変であった。なんといっても教室には、自前の蛍光顕微鏡が
なかったので、他の講座へ出向き遠慮がちに撮影した。1 枚の画像を撮影するのに暗闇で
20~ 30 分 か か り 、気 づ く と 朝 方 に な り 、引 き 続 き 午 前 中 に 、写 真 屋 さ ん に 出 向 き 翌 日 帰 っ
てくるスライドをみる。やり直しがでれば、また 1 日を費やして写真を撮った。やり直し
の 理 由 は 、 至 極 簡 単 な こ と で 、『 こ の 緑 は 、 私 が 見 た い 緑 で は な い 。』 ? と い う こ と だ 。 そ
ん な 繰 り 返 し の 日 々 を 支 え る の は 、腎 糸 球 体 上 の ほ ん の り 目 に 訴 え る 蛍 光 で あ っ た 。30 数
年経ち、実験実習機器センターにおいて、対象物は違っているもののやはり蛍光観察をし
ている。撮影時間は、数秒、画像の善し悪しは瞬時に確認が出来るようになり恐ろしいく
らいに蛍光顕微鏡観察は、時間短縮した。但し、良いことばかりではないことに、注意を
払 わ な く て は な ら な い 。こ の 変 化 の 中 で 、ス ラ イ ド が 無 く な り 、写 真 屋 さ ん が 姿 を 消 し た 。
教授(ヒト)との距離も遠くなった。何故か、仕事量は増えた。変化と言えば、タイムラ
プス顕微鏡の登場もその一つである。細胞膜、核、アクチン、ゴルジ装置そしてミトコン
ドリアを生きたままで観察できるようになるとは、長生きはしないといけない。フローサ
イ ト メ ー タ の 技 術 も 一 段 と 進 歩 し た 。 20 年 前 、 搭 載 し て い た レ ー ザ ー は 、 488nm の み が 多
かったが、現在は、5 レーザーを搭載し様々な色素に対応している。ソーティング技術も
進歩し、細胞の流速が1秒間に数千個だったものが数万個流せるようになった。そのお陰
で 、一 日 中 機 械 の 前 で 見 張 っ て い な く て は な ら な か っ た 作 業 も 、現 在 は 、1~ 2 時 間 に な っ
た 。 そ れ で も 、 機 械 の 前 に 数 時 間 い な く て は な ら な い こ と は 、 変 わ ら な い 。 技術は否応なく進歩し間違いなく我々の前にやってくる。技術職員のやるべき事は、増
えるばかりである。それに比較し給料の変化は乏しく逆に下降傾向にある。なんとかしな
くては、である。上は安定的な変化の中で、下に不安定な変化を強要する。技術職員が、
特に若手技術職員がこの技術の進歩にどう対応し、どう変化して行くのか大変楽しみであ
る。変化に乏しくなった老人技術職員の呟きである。まったく、気にすることはない。た
だ、老人は、違う環境と時間を生き、考え続けている。何か困った時は、老人に声をかけ
る の も 一 つ の 策 で は あ る 。 - 14 -
口演発表
( 一般口演 )
A1
【19 日 9:00 ~】
放射分光照度計を用いた蛍光スペクトル測定 東京大学 理学系研究科 技術部 佐伯 喜美子 【 目 的 】東 京 大 学 理 学 部 物 理 学 科 の 学 生 実 験 の テ ー マ の ひ と つ で あ る 生 物 物 理 学 実 験 で は 、
緑 色 蛍 光 タ ン パ ク 質 (GFP)を 使 っ た 実 験 を 行 っ て い る 。 実 験 で は 、 GFP と そ の 黄 色 変 異 体
(YFP) を 用 い 、DNA の 制 限 酵 素 地 図 の 作 製 、大 腸 菌 で の GFP の 発 現 、GFP の 吸 収 ス ペ ク ト ル
測 定 な ど を 行 っ て き た 。 蛍 光 タ ン パ ク 質 の 発 現 は 、 試 料 に 紫 外 線 を 照 射 し 、 GFP と YFP の
蛍光色の違いから目的のタンパク質の発現を確認してきた。今回は、タンパク質の発現を
蛍光色の観察だけでなく、蛍光スペクトル測定により波長を数値化することを検討した。
さ ら に 、 励 起 光 に 蛍 光 物 質 の 励 起 波 長 に あ っ た 光 源 を 使 用 す る こ と を 検 討 し た 。 【方法】蛍光タンパク質のスペクトル測定には、携帯型放射分光照度計を用いた。暗箱の
中で蛍光タンパク質を発現している大腸菌のコロニーや蛍光タンパク質溶液に紫外線を照
射 し 、 発 し た 蛍 光 の ス ペ ク ト ル を 放 射 分 光 照 度 計 で 測 定 し た 。 次 に 、 光 源 の 検 討 を 行 っ た 。 GFP の 発 現 は 、 一 般 的 に は 、 紫 外 線 や ブ ラ ッ ク ラ イ ト を 照
射 し て 確 認 す る こ と が 行 わ れ て い る が 、GFP の 励 起 波 長 は 可 視 領 域 で あ る 。GFP の 励 起 波 長
に 近 い 波 長 の LED を 光 源 と し て 用 い た 。 【結果】蛍光タンパク質溶液を使って、放射分光照度計でスペクトル測定を行い、蛍光光
度 計 で 測 定 し た ス ペ ク ト ル と 比 較 し た 。 放 射 分 光 照 度 計 の 測 定 で は 、 GFP 溶 液 と YFP 溶 液
は 、 そ れ ぞ れ 510 n m 付 近 と 525 n m 付 近 に 最 大 ピ ー ク を 持 つ ス ペ ク ト ル が 得 ら れ 、 蛍 光 光
度 計 で 測 定 し た ス ペ ク ト ル と 、 ほ ぼ 一 致 す る こ と が 確 認 で き た 。 紫 外 線 を 照 射 し て GFP を 発 現 し て い る 大 腸 菌 の コ ロ ニ ー お よ び GFP 溶 液 の ス ペ ク ト ル を
放 射 分 光 照 度 計 で 測 定 し た 。 ど ち ら も 509 nm 付 近 に ピ ー ク を 持 つ ス ペ ク ト ル が 得 ら れ た 。
YFP 溶 液 の ス ペ ク ト ル 測 定 で は 、 525 nm 付 近 に ピ ー ク を 持 つ ス ペ ク ト ル が 得 ら れ た 。 こ れ
に よ っ て 、 GFP と YFP の 色 の 違 い を ス ペ ク ト ル と し て 数 値 化 す る こ と が で き た 。 次 に 、 蛍 光 タ ン パ ク 質 の 励 起 波 長 に あ っ た LED を 光 源 と し て 、 蛍 光 タ ン パ ク 質 の ス ペ ク
ト ル 測 定 を 行 っ た 。 405 nm の 紫 色 LED を GFP に 照 射 す る こ と に よ り 、 GFP の 蛍 光 ス ペ ク ト
ル と LED の ス ペ ク ト ル を 同 時 に 測 定 す る こ と が で き た 。 【考察】蛍光タンパク質を発現している大腸菌のコロニーや蛍光タンパク質溶液の蛍光ス
ペクトルを放射分光照度計で測定することにより、色の違いを数値化することができた。
今 後 は 、 光 源 と し て 使 用 す る LED や 励 起 ス ペ ク ト ル と 蛍 光 ス ペ ク ト ル を 分 離 す る た め の フ
ィ ル タ ー を 選 定 し 、 YFP な ど の 他 の 蛍 光 タ ン パ ク 質 の ス ペ ク ト ル 測 定 条 件 を 検 討 し て い き
た い 。 - 16 -
A2
【19 日 9:20 ~】
ホヤ被嚢接着突起の解析 広島大学 技術センター(附属臨海実験所勤務) 山口 信雄 【 目 的 】 海産無脊椎動物であるホヤ類は基質(岩石・コンクリート等)に被嚢の一部を介して接
着し,固着生活をしている.被嚢は動物性セルロースを含んだ皮状あるいはゲル状の構造
であり,ホヤ類をはじめとした尾索動物各群が共有する,他の動物には全く類例のない特
殊な組織である.被嚢に含まれる被嚢細胞や自己非自己の認識機構についての研究は過去
に精力的に行われているが,その接着機構については未解明の部分が多い.本研究ではス
ジ キ レ ボ ヤ ( Ascidia s ydneiensis s amea ) の 被 嚢 か ら 伸 び , 接 着 に 関 わ る 接 着 突 起 と 命 名
し た 構 造 に 着 目 し , ホ ヤ の 接 着 機 構 の 解 析 を 試 み た . 【 方 法 】 1. 材 料 の 選 択 実験所近海で簡単に通年採集でき,飼育経験および研究実績の豊富なスジキレボヤを
使 用 し た . 本 種 は 寿 命 が 長 く 、 接 着 突 起 が 他 種 の も の に 比 べ 大 型 で 扱 い や す い . 2. 接 着 突 起 の 誘 導 岡 山 県 倉 敷 市 児 島 湾 よ り 採 集 し て き た 体 長 5~ 7 cm の ホ ヤ を 約 5 日 間 流 水 中 で 飼 育 し
て 消 化 管 内 容 物 を 全 て 放 出 さ せ た の ち , 接 着 部 で あ る 腹 部 の 被 嚢 を 1.5~ 3 cm 角 の 大 き
さ で 切 除 す る . 腹 部 を 露 出 さ せ た ホ ヤ を ス ト レ プ ト マ イ シ ン 50 mg/l 入 り の 濾 過 海 水 で
満 た し た 3 リ ッ ト ル 程 度 の 飼 育 容 器 に 入 れ , 20~ 25℃ の 室 内 で バ ブ リ ン グ し た . 3. 接 着 突 起 の 解 析 2.の 手 法 で 誘 導 し た 接 着 突 起 の 断 面 を ク ラ イ オ シ ョ ッ ト キ ― 電 界 放 出 形 走 査 電 子 顕 微
鏡 (JSM-7800F, J EOL)で 観 察 し ,内 部 構 造 と 元 素 分 布 を 解 析 し た .ま た ,ポ リ エ チ レ ン 袋
に 接 着 突 起 を 密 着 さ せ , 付 着 直 後 の 状 態 の も の を 4%グ ル タ ル ア ル デ ヒ ド で 固 定 し , TEM
で観察して接着時に特異な構造があるかを解析した.また,接着突起より抽出したタン
パ ク 質 を SDS-PAGE で 分 離 し , 接 着 突 起 特 異 的 な タ ン パ ク 質 の 検 出 を 試 み た . 【結果】接着突起を効率的かつ安定的にホヤ腹部より誘導することが可能となった.接着
突 起 は 複 数 の 層 構 造 か ら な り , 他 の 被 嚢 部 位 と は 異 な る 特 徴 が み ら れ た . 【考察】今後はホヤが接着面を広げる際に増減する構造・分子を特定し,どのように接着
に 関 与 し て い く か を 調 べ た い . - 17 -
A3
【19 日 9:40 ~】
走査電子顕微鏡を用いた生物切片の反射電子像観察
‐切片厚と導電処理条件の検討‐
岩手医科大学 医歯薬総合研究所 生命科学研究技術支援センター 野崎 貴介 【 目 的 】 電 界 放 出 形 走 査 電 子 顕 微 鏡 (FE-SEM)を 用 い た 反 射 電 子 (BSE)に よ る 生 物 切 片 (樹 脂 包 埋 )
観察法は近年、新しい解析技術として注目されている。一般的に、切削面が大きいブロッ
ク を 薄 く 切 る の は 難 し い が 、切 片 厚 を 厚 く 設 定 す る こ と に よ っ て 比 較 的 容 易 に 切 削 で き る 。
反面、切片が厚くなると観察の際チャージアップの発生も多くなる。その対策として切片
上に導電処理を施している。今回、超微形態を観察するうえで、適切な切片厚、導電処理
条 件 、 画 像 解 像 度 に つ い て 検 討 し た 。 【 方 法 】 樹脂包埋したラット腎皮質のブロックを薄切して得られた切片を、ループを用いて、導
電 コ ー テ ィ ン グ を 施 し た ス ラ イ ド ガ ラ ス に 回 収 す る 。そ の 後 電 子 染 色( 酢 酸 ウ ラ ン -硝 酸 鉛 )
を行い、必要に応じ切片にコーティング処理をしてから電顕観察を行った。コーティング
素 材 は 白 金 (Pt )と オ ス ミ ウ ム (OsO 4 )の 二 種 類 を 用 い た 。 検 討 項 目 は 、 観 察 条 件 を 一 定 に し て 、 (1)コ ー テ ィ ン グ を 施 さ な く て も 観 察 で き る 切 片 厚 。 (2)試 料 表 面 の 導 電 性 を 良 く す る た め の コ ー テ ィ ン グ 最 小 膜 厚 の 検 討 。 (3)切 片 厚 の 違 い (0.1, 0.5, 1µm) に よ る 画 像 解 像 度 。 の 3 つ で あ る 。 【 結 果 】 (1)コ ー テ ィ ン グ (Pt、 OsO 4 )を 施 さ な く て も 観 察 で き る 切 片 厚 は 0.2 µm ま で で あ っ た 。 (2)Pt、 OsO 4 の そ れ ぞ れ の コ ー テ ィ ン グ 条 件 は 、 Pt:放 電 電 流 5mA 放 電 時 間 10sec 真 空 度
7Pa 放 電 間 距 離 20 ㎜ 、 OsO 4 :膜 厚 設 定 1nm 放 電 間 距 離 約 40mm で チ ャ ー ジ ア ッ プ す る こ
と な く 観 察 で き た 。 (3)切 片 厚 の 違 い に よ っ て 画 像 解 像 度 に 大 き な 差 が 出 る こ と は な か っ た 。 【 考 察 】 チ ャ ー ジ ア ッ プ 対 策 と し て 加 速 電 圧 を 下 げ て 観 察 す る 方 法 も あ る が 、 チ ャ ー ジ ア ッ プ を
完全に防げるわけではなく、高倍率観察ではとくに困難であった。そのため、切片への導
電処理がチャージアップ対策はもとより試料ダメージを軽減させるために有効である。ま
た、切片厚の違いが画像解像度に大きな影響を与えないことから、薄く切削することが難
し い 、 切 削 面 の 大 き な ブ ロ ッ ク や 重 合 不 良 の ブ ロ ッ ク の 観 察 に も 期 待 で き る 。 今後はコーティング膜の耐久性について継時的に観察を行って調査したい。また、導電
処 理 素 材 と し て カ ー ボ ン 蒸 着 膜 も 試 し た い と 考 え て い る 。 - 18 -
A4
【19 日 10:00 ~】
解剖実習用献体からの組織学実習観察用 プレパラートの作成とその問題点 浜松医科大学 解剖学講座,医学科学部学生 佐々木 健,中川 翔太,大野 航,森 亘平,加藤 裟智穂,竹村 綾奈,佐藤 康二 【 目 的 】 解 剖 学 教 育 に は 組 織 学 と い う 分 野 が あ り 、 人 体 (動 物 )組 織 標 本 を 観 察 し 、 ス ケ ッ
チする組織学実習という科目がある。この観察には、正常組織標本が必要であり、その必
要枚数は、可能であれば実習学生数と同等程度が望まれる。さらに、観察する組織は多岐
に わ た り 、 本 学 に お い て も 60 種 類 以 上 の 組 織 標 本 が 実 習 に 用 い ら れ て い る 。 そ の 一 方 で 、
これらのプレパラート標本は、破損や紛失、退色等により、年々その保有枚数が減少して
いる。このようなことから、解剖学教育に関わる技術職員は、組織学実習の観察用プレパ
ラ ー ト の 作 成 ・調 達 と い う 業 務 を 有 し て い る 。し か し な が ら 、昨 今 で は 人 権 や 生 命 倫 理 、個
人 情 報 保 護 の 観 点 か ら 、こ の よ う な 人 体 組 織 標 本 の 作 成 ・調 達 に 対 す る ハ ー ド ル が 高 く な っ
てきているのも事実である。このような背景をもとに、今回は組織学実習の観察用プレパ
ラ ー ト の 作 成 ・調 達 に 関 す る こ と や そ れ に 付 随 す る 問 題 点 等 を 紹 介 す る 。 【 方 法 ・結 果 】浜 松 医 科 大 学 解 剖 学 講 座 で は 、最 近 5 年 程 の 間 に 組 織 実 習 用 プ レ パ ラ ー ト 約
1200 枚 の 購 入 と 約 1300 枚 の 作 成 を 行 な っ た 。 プ レ パ ラ ー ト の 購 入 は 株 式 会 社 京 都 科 学 よ
り 行 な っ た が 、こ れ ら は 作 成 国 不 詳 の 輸 入 品 か つ 高 額 で あ り 、一 部 に は 組 織 融 解 (自 己 消 化 )
や強い組織収縮が認められ、実習には適さないものがあった。同時に、世界的にも人体組
織プレパラートの売買が、倫理上困難になりつつあるとの情報も得た。このため、次にプ
レ パ ラ ー ト を 自 作 す る こ と と し 、 ま ず は 動 物 組 織 (ラ ッ ト 、 マ ウ ス )の プ レ パ ラ ー ト 作 成 を
試 み た(眼 球 、小 腸 、脾 臓 、骨 髄 等 )。し か し な が ら 、マ ウ ス ・ラ ッ ト は ヒ ト の 組 織 構 造 と は
異なる部分が多いため、人体組織プレパラートの作成の必要性を感じるに至った。人体組
織からのプレパラート作成については、当初は附属病院病理部が保有する正常組織からの
作成を企図したが、当院では個人情報保護の観点から病理部保有の組織を医師でない部外
者 が 扱 う こ と は 困 難 な た め (保 管 組 織 の 検 索 が 難 し い )、 病 理 部 保 有 の 組 織 を 用 い る こ と は
断 念 し た 。一 方 、解 剖 学 講 座 で は 年 間 40 体 前 後 の 献 体 を 学 生 実 習 で 解 剖 し 、ま た 献 体 登 録
者 や そ の 親 族 か ら 「ご 遺 体 の 一 部 を 教 育 や 研 究 に 用 い る こ と の 承 諾 書 」が 得 ら れ て い る 。 よ
って、解剖実習が終了した献体からの組織採取・プレパラート作成を試みた。しかしなが
ら 、葬 儀 等 に よ り 死 後 長 時 間 経 過 し た(2~ 3 日 )ご 遺 体 も 多 く 、ま た 実 習 中 の 乾 燥 等 に よ り
自己融解や組織収縮等が多々認められたが、組織によっては比較的満足のいくプレパラー
ト も 幾 つ か 作 成 で き た 。 【 考 察 】 解 剖 実 習 に 用 い た ご 遺 体 (献 体 )か ら の 組 織 学 実 習 観 察 用 プ レ パ ラ ー ト の 自 作 は 可
能であり、昨今の社会的な情勢を考慮すると、このような手段も十分検討すべきであると
思われる。これと同時に、今後は、このようなプレパラート作成を念頭に置いた上での、
献 体 か ら ご 遺 体 の 固 定 ・保 存 、 解 剖 実 習 ま で を 行 な う 必 要 が あ る と 思 わ れ る 。 - 19 -
A5
【19 日 10:40 ~】
マウス脳の透明化の検討 基礎生物学研究所 技術課 大澤 園子 【 目 的 】 脳神経の研究においては、蛍光タンパク質や蛍光トレーサー、蛍光染色などで神経細胞
を蛍光ラベルして細胞種の同定や神経回路の解析を行うことが多い。この蛍光シグナルを
観察するために、共焦点顕微鏡や2光子励起顕微鏡を用いるが、脳は不透明なので深部に
向かうほど精細に観察できなくなる。脳の内部構造を見るためには、一般的に脳を切片に
してそれぞれを撮像するという手法がとられてきた。しかし、三次元的な位置関係を知る
には、それらの画像をつなぎ合わせて再構築する必要があり、手間がかかる上に、つなぎ
合 わ せ の 正 確 さ に 問 題 が あ っ た 。 こ こ 数 年 、 脳 を 透 明 化 し て 丸 ご と ( 切 片 を 作 製 せ ず に ) 蛍 光 観 察 す る 手 法 が 相 次 い で 開
発 さ れ て い る 。 透 明 化 手 法 と し て は 、 Scale、 CLARITY、 SeeDB、 CUBIC な ど が あ る 。 私 が 所 属 す る 研 究 室 で は 、 主 に マ ウ ス を 用 い て 実 験 を し て い る の で 、 マ ウ ス 脳 を 透 明 化
し 、 顕 微 鏡 で 観 察 す る こ と を 目 的 に 検 討 を 行 っ た 。 【 方 法 】 2014 年 の CUBIC の 論 文 (1) に 従 っ た 。 ア ミ ノ ア ル コ ー ル を 含 む CUBIC-1 試 薬 、 CUBIC-2 試
薬 を 作 製 し 、 固 定 し た マ ウ ス 脳 を 順 に 約 1 週 間 ず つ 浸 け 透 明 化 し た 。 【 結 果 】 CUBIC 試 薬 は 非 常 に 粘 性 が 高 く 、 さ ら に 溶 け に く い た め 、 試 薬 の 作 製 に は 苦 労 し た が 、
CUBIC-1、 -2 試 薬 に 浸 け る こ と で 、 マ ウ ス 脳 を 透 明 化 す る こ と が で き た 。 透 明 化 脳 の 観 察 に 適 し た 顕 微 鏡 を 探 索 す る た め 、研 究 所 に あ る 様 々 な 顕 微 鏡 で 観 察 を 試
み た 。蛍 光 実 体 顕 微 鏡 、マ ク ロ 共 焦 点 顕 微 鏡 、共 焦 点 顕 微 鏡 、2 光 子 励 起 顕 微 鏡 等 で 観 察
し た 。2 光 子 顕 微 鏡 に 比 べ る と 深 部 観 察 に は 不 向 き と さ れ る 共 焦 点 顕 微 鏡 で も 、か な り 深
部 ま で 撮 影 す る こ と が 可 能 と な り 、 そ の 画 像 を 基 に 三 次 元 構 築 す る こ と が で き た 。 【 考 察 】 今 回 は 、 脳 を 透 明 化 す る こ と が 目 的 で あ っ た が 、 今 後 は 、「 見 た い も の が 見 え る よ う に 」
透 明 化 技 術 と 顕 微 鏡 の 選 択 等 を 結 び 付 け て 、 研 究 に 活 か し て い き た い 。 【 参 考 文 献 】 (1) Susaki,E.A.et al. Cell 157,726-739(2014) - 20 -
A6
【19 日 11:00 ~】
遺伝子欠損骨疾患マウス下顎骨の骨質測定
大阪大学大学院 工学研究科 藤谷 渉 【 目 的 】生 体 ア タ イ ト (BAp)結 晶 は 、生 体 内 の 部 位 に 応 じ て 配 向 し 骨 の 力 学 機 能 を 発 揮 し て
い る 。 従 っ て 、 BAp 配 向 性 を 適 切 に 制 御 す る こ と は 極 め て 重 要 で あ る 。 前 回 ま で に 下 顎 骨
に お い て 咀 嚼 の 有 無 に よ り 歯 根 直 下 の 局 所 領 域 で 、 BAp 配 向 性 が 複 雑 な in vivo 応 力 分 布
を反映していること
1,2)
、 ま た 大 理 石 骨 病 を 呈 す る op/op マ ウ ス で は 破 骨 細 胞 欠 損 に 起 因
す る 骨 代 謝 回 転 が BAp 配 向 に 強 く 影 響 を 与 え る こ と
3,4)
な ど を 明 ら か に し 報 告 し た 。 本 研 究 で は 咀 嚼 障 害 モ デ ル と し て 主 に 破 骨 細 胞 機 能 不 全 を 呈 す る c-src 遺 伝 子 を ノ ッ
ク ア ウ ト (KO)し た 「 遺 伝 子 欠 損 」 に よ る 骨 疾 患 マ ウ ス に 注 目 し 下 顎 骨 に お け る BAp 配 向 と
骨 力 学 機 能 制 御 因 子 に つ い て 検 討 し た 。 【 方 法 】破 骨 細 胞 機 能 不 全 (c-src 遺 伝 子 ノ ッ ク ア ウ ト (KO)マ ウ ス を 準 備 し た 。摘 出 し た 下
顎 骨 に 対 し 、主 に 近 遠 心 方 向 に 垂 直 な 断 面 内 の 皮 質 骨 領 域 の 各 部 位 に お い て 解 析 を 行 っ た 。
骨 密 度 の 測 定 は pQCT 法 で 行 っ た 。 近 遠 心 方 向 に 沿 っ た BAp 配 向 性 は 反 射 型 微 小 領 域 X 線
回折法で解析した。また、力学機能の指標としてナノインデンテーション法によるヤング
率 の 解 析 を 行 っ た 。形 状 観 察 は ソ フ ト X 線 お よ び μ CT に よ り 行 っ た 。組 織 観 察 は HE 染 色 、
ALP 染 色 そ し て TRAP 染 色 な ど を 施 し 行 っ た 。 【 結 果 】 近 遠 心 方 向 の BAp 配 向 性 の 変 化 は 遺 伝 子 欠 損 お よ び 咀 嚼 荷 重 排 除 モ デ ル に お い て
影 響 が 顕 著 に 現 れ た 。特 に 遺 伝 子 欠 損 モ デ ル の c-src K O マ ウ ス で は 、対 照 群 に 比 べ て 骨 密
度 、 BAp 配 向 性 そ し て ヤ ン グ 率 い ず れ も 低 く な っ た 。 近 遠 心 方 向 に 垂 直 な 骨 断 面 内 の 皮 質
骨 領 域 の 各 部 位 に お け る BAp 配 向 分 布 は 、 げ っ 歯 目 特 有 の 特 徴 的 な 変 化 を 示 し た 。 一 方 、
ヤ ン グ 率 は 骨 密 度 に 比 べ て BAp 配 向 性 と の 間 で よ い 相 関 が 認 め ら れ た 。 染 色 後 の 光 学 顕 微
鏡 観 察 は c-src KO マ ウ ス で は 骨 組 織 の 乱 れ や 骨 芽 細 胞 の ALP 活 性 の 陽 性 反 応 の 低 下 な ど
が 確 認 さ れ た 。 【 考 察 】 遺 伝 子 欠 損 モ デ ル に お い て ヤ ン グ 率 変 化 が 骨 密 度 変 化 に 比 べ て BAp 配 向 変 化 と の
間で強い相関が認められたことより、遺伝子欠損骨疾患マウス下顎骨においても正常の場
合と同様、骨力学機能に対しては骨密度よりも配向性の寄与が大きく、下顎骨における骨
力 学 機 能 に は 、 BAp 配 向 性 が 極 め て 重 要 で あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 【 参 考 文 献 】 1) 藤 谷 渉 “ 新 規 骨 質 評 価 法 に よ る 下 顎 骨 の 骨 質 解 析 ” 生 理 学 ・ 生 物 学 技 術 研 究 会 報 告 (2008)pp22 2) W. Fujitani and T. Nakano “Change in biological apatite orientation in beagle mandible” Materials
Science Forum, Vols. 654-656 (2010) pp2216-2219
3) 藤 谷 渉 “ 大 理 石 骨 病 マ ウ ス (op/op マ ウ ス )下 顎 骨 の 骨 質 測 定 ” 生 理 学 ・ 生 物 学 技 術 研 究 会 報 告 (2015)pp62 4) W. Fujitani, J.-W. Lee and T. Nakano “Evaluation of Bone Quality in Mandible of young M-CSF
Deficient-Induced Osteopetrotic Mouse” Materials Science Forum, Vols. 706-709 (2012) pp484-487
- 21 -
A7
【19 日 11:20 ~】
単為結果性ミニトマトの冬季無加温栽培における 堆肥発酵熱利用の試み 京都大学大学院 農学研究科 附属農場 西川 浩次,岸田 史生,若原 浩義 【目的】単為結果性ミニトマト‘京てまり’は受粉・受精の有無に関わらず果実の着果・
肥 大 を 誘 導 す る た め 、花 粉 稔 性 が 低 下 す る 低 温 条 件 下 で も 安 定 し た 生 産 を 可 能 と す る 。我 々
はこれまでこの品種を用いて冬季に化石燃料による暖房を全く行わない栽培(冬季無加温
栽培)の実証試験を行い、無加温栽培は可能であるものの、低温が原因と思われる果実の
小型化により収量が減少することを明らかにした。本研究では、低温対策として堆肥の発
酵 熱 に 着 目 し 、 冬 季 無 加 温 栽 培 に お け る 堆 肥 発 酵 熱 の 効 果 に つ い て 検 討 し た 。 【 方 法 】無 加 温 硬 質 フ ィ ル ム ハ ウ ス で 実 験 を 行 っ た 。畝 幅 は 160 ㎝ と し 、そ の 中 央 に 幅 40
㎝ 、 深 さ 20 ㎝ の 根 域 制 限 床 を 作 成 し た 。 2014 年 10 月 18 日 に 株 間 40 ㎝ 、 2 条 千 鳥 植 え で
苗 を 定 植 し た 。 定 植 床 に 被 覆 資 材 で 高 さ 3m、 幅 2m、 長 さ 7m の ト ン ネ ル を 4 つ 設 置 し、 半
熟馬糞堆肥、切りワラおよび発酵促進剤を混合したものを畝間に施用した堆肥区と何も施
用 し な い 対 照 区 を 各 2 区 ず つ 設 け た 。 2014 年 12 月 1 日 か ら 2015 年 3 月 29 日 ま で 、 畝 面
か ら 1m 付 近 の 気 温 、地 温 お よ び 炭 酸 ガ ス 濃 度 を 計 測 し た 。2014 年 12 月 8 日 か ら 2015 年 3
月 24 日 ま で 週 2 回 果 実 を 収 穫 し 、 総 重 量 、 果 実 数 お よ び 糖 度 を 記 録 し た 。 【 結 果 】日 最 低 気 温 と 日 平 均 地 温 は 12 月 か ら 1 月 に 向 け て 低 下 し 、2 月 中 旬 か ら 上 昇 し た 。
また、試験区間で日最低気温および日平均地温に大きな差は認められなかった。炭酸ガス
濃 度 は 12 月 上 旬 か ら 2 月 中 旬 ま で 対 照 区 よ り 堆 肥 区 で 高 く 推 移 し た 。試 験 期 間 を 通 じ て 月
平均収量と月平均果実重は大きな差は認められなかった。月平均糖度は堆肥区で対照区よ
り も 高 く 推 移 し た 。 【考察】堆肥発酵熱を利用することで低温条件を緩和し、果実の小型化を抑制しようとし
たが、それには至らなかった。試験区間で日最低気温と日平均地温に差が認められなかっ
たことから、堆肥発酵熱の効果は小さかったと考えられる。またその結果、試験区間で月
平 均 収 量 と 月 平 均 果 実 重 に 大 き な 差 は 認 め ら れ な か っ た 。一 方 で 、炭 酸 ガ ス 濃 度 は 12 月 上
旬から 2 月中旬まで対照区よりも堆肥区で高く推移し、堆肥由来の炭酸ガスが発生したと
考えられる。炭酸ガス施用による果実糖度の上昇は広く知られており、今回の試験で観察
された堆肥区における糖度の上昇は堆肥由来の炭酸ガスの影響であると考えられる。今回
の実験で、堆肥発酵熱を利用することができなかった要因として、堆肥の量が少なかった
ことや発酵過程に不備があったことが考えられ、今後、施用量ならびに切り返しや灌水な
ど 発 酵 を 促 進 す る 管 理 に つ い て 検 討 す る 必 要 が あ る 。 - 22 -
A8
【19 日 11:40 ~】
藍の栽培管理が生葉染めに与える影響
鹿児島大学 教育学部 龍野 巳代,瀬戸 房子,池田 充 【 目 的 】藍 は 、 古 く か ら 青 色 の 染 料 と し て 用 い ら れ 、 栽 培 が 容 易 な 植 物 で あ る 。 藍 染 め の
中 で も 特 に 生 葉 染 め は 染 色 工 程 も 簡 便 で あ り 、学 校 教 育 へ の 教 材 化 が 可 能 で あ る 。し か し 、
生葉染めは新鮮な葉を用いる必要があり、特に葉が茂る 7 月から花芽が付く 9 月ごろまで
の期間に行うときれいな青色に染まる。昨年、藍の葉を遮光することにより 9 月以降にお
いても青色色素の残存傾向が認められた。そこで本研究では 9 月から 2 ヶ月半に渡り、藍
の生葉染めを行い、遮光による藍葉の色素残存量への影響について検討した。また、剪定
(切り戻し)後の 1 番刈りより青色色素が少ないとされる 2 番刈葉についての比較も行っ
た 。 【 方 法 】 ① 藍 葉 の 栽 培 管 理 : 藍 は 藍 科 の タ デ ア イ ( 学 名 : Polygonum rinctorium Lour. ) を 用 い
た 。種 は 市 販 の も の を 購 入 し 、栽 培 は 鹿 児 島 大 学 教 育 学 部 実 習 地 圃 場 内 の 露 地 に て 行 っ
た 。肥 料 と し て 化 成 肥 料( 8:8:8)、牛 糞 堆 肥 、油 粕 、石 灰 を 使 用 し 、2 穴 の 穴 あ き マ
ル チ で 覆 っ た 。タ デ ア イ を 5 月 中 旬 に 播 種 し 、草 丈 約 50 ㎝ に な っ た 頃( 8 月 5 日 )、面
積 の 半 分 は そ の ま ま に し( 1 番 刈 り )、残 り 半 分 の 株 を 地 面 1~ 2 ㎝ の と こ ろ か ら 剪 定( 切
り 戻 し )を 行 い 、側 枝 が 成 長 し 花 芽 を つ け る 前( 9 月 11 日 )、1 番 刈 り と 2 番 刈 り の 各 々
半 分 に 遮 光 率 が 約 60% の 寒 冷 紗 を 被 せ 遮 光 処 理 を 行 っ た 。 そ し て 栽 培 管 理 を ( 1) 1 番
刈 遮 光 無 区( 2)1 番 刈 遮 光 有 区( 3)2 番 刈 遮 光 無 区( 4)2 番 刈 遮 光 有 区 の 4 つ の 処 理
区 に 分 け 、 1 週 間 に 1 回 、 各 区 の 葉 を 収 穫 し 、 9 月 11 日 ~ 11 月 27 日 で 計 11 回 、 生 葉
で 染 色 し た 。 ② 生 葉 に よ る 絹 布 の 染 色 : 収 穫 し た ば か り の 葉 10g、 蒸 留 水 100ml を ミ キ サ ー で 30 秒 攪
拌 し 、絹 布 0.2g を ム ラ 染 め に な ら な い よ う に 手 で も み な が ら 10 分 間 染 色 を 行 っ た 。そ
し て 、 染 色 布 を 軽 く 絞 り 、 5 分 間 風 乾 し た あ と 水 で 溜 め 濯 ぎ を し 、 乾 か し た 。 染 色 布 の 色 彩 測 定 は 色 彩 色 差 計( CR-200、ミ ノ ル タ )で 行 い 、JIS L 8729 に 準 じ て L* a * b*表 色 系 で 数 値 化 し た 。 【 結 果 】1 番 刈 区 に お い て 遮 光 の 有 無 で 比 較 す る と 、 染 色 実 験 開 始 2 ヶ 月 後 か ら 遮 光 無 区
において青色色素の減少が見られ最終的には緑色に染まったが、遮光有区では 2 ヶ月半た
っても極端な減少傾向は見られず、青色のままであった。また 2 番刈区では遮光有区にお
いて青色色素の減少が抑制されていた。遮光無区の 1 番刈区と 2 番刈区を比較すると、1
番刈区の方が青色色素の減少がみられ、遮光有区においては 2 番刈り区の方がわずかでは
あ る が 青 色 色 素 の 減 少 傾 向 が み ら れ た 。明 度 に つ い て も 、遮 光 無 区 に お い て は 2 ヶ 月 以 降 、
明 度 が 高 く な る 傾 向 が み ら れ た 。 - 23 -
A9
【19 日 13:00 ~】
ネットワークを介した攻撃通知への対応とその実例 基礎生物学研究所 技術課 中村 貴宣 【 目 的 】 所 属 す る 情 報 管 理 解 析 室 で は 、 共 有 メ モ リ 型 サ ー バ と 分 散 処 理 用 計 算 機 ク ラ ス
タを主軸とし、大容量ストレージを有した「生物機能情報解析システム」を運用し、生物
情報の解析やテータベースの構築などの支援を行なっている。これに加え、岡崎 3 機関内
の情報ネットワークシステムの構築・整備・運用や、所内ユーザーから依頼される情報サ
ー ビ ス の 構 築 相 談 な ど も 対 応 し て い る 。 近 年 、 ネ ッ ト ワ ー ク に 関 す る 外 部 か ら の 攻 撃 手 法 は 年 々 巧 妙 化 し て お り 、 岡 﨑 3 機 関 も
例に漏れず攻撃にさらされている。そのような外部からのネットワーク脅威に対して、岡
崎 3 機 関 で は 、 外 部 と 内 部 の 通 信 を 担 う フ ァ イ ア ウ ォ ー ル に 、 監 視 装 置 で あ る ” FireEye”
を導入した。これは攻撃と疑わしき通信があった場合に、警告を出して管理者に伝えるも
の で あ る 。 今 回 は こ の FireEye の 通 知 が 来 た 際 に 行 っ て い る 対 応 と 、 そ の 実 例 を 示 す 。 【 概 要 】 FireEye は 、 フ ァ イ ア ウ ォ ー ル を 介 し た 内 部 ( = 岡 崎 3 機 関 内 ) と 外 部 の 通 信
を監視、取得する。そしてその通信に攻撃と疑わしき内容があった場合、管理者に通知を
出 し 、 必 要 が あ れ ば そ の 通 信 自 体 を 切 断 す る 。 FireEye の 出 す 通 知 に は 様 々 な 種 類 が あ る
が、脅威度により3段階に分類される。通信内容や通信先の情報から、端末に不正な操作
が 行 わ れ て い る と い う 確 率 が よ り 高 い 場 合 、 脅 威 度 は 高 く 評 価 さ れ る 。 【 結 果 】 FireEye か ら の 通 知 が 来 た 場 合 、 下 記 の 順 に 従 っ た 対 応 を 行 っ て い る 。 1 ) 脅 威 度 の 確 認 : 通 知 文 を 読 み 、 脅 威 と 脅 威 度 の 確 認 を 行 う 。 2 ) 端 末 の 特 定 : 通 知 文 に あ る 情 報 か ら 、 問 題 に な っ て い る 端 末 を 物 理 的 に 特 定 す る 。 3 ) 通 信 状 態 の 確 認 : 問 題 と な っ た 通 信 が 今 な お 行 わ れ て い る か ど う か の 確 認 を 行 う 。 FireEye に よ っ て な さ れ た 処 理 が 通 知 文 に 記 載 さ れ て い る こ と も あ る 。 4 ) 担 当 者 へ 連 絡 : 端 末 を 所 持 し て い る 部 門 の 情 報 管 理 解 析 室 担 当 者 に 連 絡 を 入 れ る 。 そ の 際 、 い く つ か の 質 問 を し 、 回 答 を し て も ら う よ う 促 す 。 5 ) 回 答 対 応 : 担 当 者 か ら の 回 答 に 対 し て 、 さ ら な る 対 応 が 必 要 か ど う か を 吟 味 す る 。 6 ) 接 続 復 帰 : 問 題 が な け れ ば 、 該 当 端 末 を ネ ッ ト ワ ー ク に 復 帰 さ せ る 。 【 考 察 】 脅 威 度 が 低 い 場 合 、 即 座 に 端 末 に 影 響 が あ る わ け で は な い の で 、 個 別 の 対 応 を
行わずにすむケースが多い。また、警告の出る頻度が多い通知に対し、所内全体に向けた
注 意 喚 起 と 、 主 だ っ た ソ フ ト ウ ェ ア の 更 新 を 行 っ て お く こ と が 重 要 で あ る と 思 わ れ る 。 - 24 -
A10
【19 日 13:20 ~】
メナキノンの化学合成と精製方法の検討 九州工業大学 情報工学部 楠本 朋一郎 【目的】 呼吸鎖酵素複合体は細胞呼吸の要であり、生物が活動するのに必要な大量の ATP を産生する。ミト
コンドリアや大腸菌では電子伝達体としてユビキノンが使われるが、メナキノンはグラム陽性菌を始
め広く電子伝達系で使われる。呼吸鎖酵素の酵素学的研究にはキノンが必須であるにもかかわらずユ
ビキノンは現在市販されているが、メナキノンは市販されていない。所属研究室で以前外部より供与
して頂いたメナキノン-1、-2 を使用していたが、2 年前に使い切った状況である。4 年生に 2 年間作
らせてみたがうまく行かなかったので、自らメナキノン-2 の合成を試みた。 【方法】 メナキノンは自然界ではゲラニル基が 7~8 個メナジオンについた MK-7、8 として存在するが、in vitro での酵素学的実験の際には水溶性が極めて低く使用し難いので MK-1、2 を主に使用する。出発
物質として市販されており価格もさほど高くない、メナジオン、臭化ゲラニルを使用することした。
(1)第 1 段階反応:メナジオンの臭素化 ナス型フラスコに、メナジオン、酢酸、酢酸ナトリウム、臭素を入れ、遮光しつつ室温で 3 日間撹拌。
蒸留水で希釈後、ろ過。ろ過物を酢酸エチルで溶解、エバポレーターで溶媒除去。残渣をメタノール
に溶解して、室温で 2~3 日静置して再結晶。ろ過、乾燥。 (2)第 2 段階反応:臭化物の還元 ナス型フラスコに、塩化スズ、塩酸を入れて 30 分間撹拌後、第 1 段階終了後の臭化物、エタノール
を加えて 3 時間室温で撹拌。水を加えた後 80℃で白濁物を透明化、冷蔵庫内で 1 日再結晶。ろ過、
乾燥。 【結果】 (1)第 1 段階反応 臭素、メナジオン等を入れて撹拌すると、1 日目までは赤褐色の臭素の透明な液体であったが、2 日
目になると溶液はオレンジ色へと変化し微細な黄色い結晶が生じた。3 日撹拌後、水を加えると黄色
い結晶が大きくなった。これをろ過後、残渣を水で良くすすいで酢酸ナトリウムを除去した。これを
メタノールに溶解しようとしたが中々全体を溶解させることができなかったので、80℃のウォーター
バスで加温して溶解させた。再結晶は室温 1 日では不十分であったので、2 日室温に静置後、冷蔵庫
内で 1 日静置して再結晶させた。合成後の臭化物は薄黄色の微細な針状結晶で、MALDI-TOF-MS の分
析で臭化物の分子量である 251 が確認できた。第 1 段階反応は計 7 バッチ合成し、見かけの収率 8090%と安定して回収することができるようになった。 (2)第 2 段階反応 撹拌直後は茶褐色となったが、撹拌 1 時間後にはごく薄黄色の透明化溶液となった。これに水を加え
ると白濁し、加熱すると再び透明化した。従来加えていた水の量では収率が低かったので、水の量を
1.5 倍に増量することで 85%程度の見かけの収量となった。TOF-MS の測定結果から水素還元された
分子量である 253 を確認できた。 【考察】 臭素化、更に水素還元化は概ねうまく行ったように考える。ただし、還元臭化物の TOF-MS のスペ
クトルを見ると目的物以外の副反応生成物も生じているようにも見えるので、これらが今後の反応に
与える影響を注意する必要があるように思う。ここまでは、過去の 4 年生もうまく行っているので、
次は酸素保護のためのメチル基の付与、グリニア試薬の作製、ゲラニル基の導入、脱保護と進めてい
く予定である。
- 25 -
A11
【19 日 13:40 ~】
1 分子極長鎖 DNA シーケンサー PacBio RSII を用いた
ゲノムシーケンスと全長トランスクリプトシーケンス 基礎生物学研究所 技術課 山口 勝司 【目的】
第 3 世 代 DNA シ ー ケ ン サ ー と 呼 ば れ る PacBio は 1 分 子 の 1 本 鎖 DNA を 鋳 型 と し て 、
1 分 子 の DNA p olymerase に よ る 相 補 鎖 合 成 過 程 を リ ア ル タ イ ム で 検 出 す る こ と で 、 塩 基 配
列 を 決 定 す る 。 用 意 さ れ た 1 本 鎖 DNA の 長 さ か 、 DNA p olymerase 活 性 持 続 の 限 り ま で 極 長
鎖 配 列 を 決 定 す る こ と が 可 能 で あ り 、現 行 平 均 リ ー ド 長 は 15k b ase 以 上 に 至 っ て い る 。今
年度よりこの機器の運用を行うこととなり、実験手順や解析手順の把握に努めた。この機
器 の 特 徴 を 紹 介 す る と 共 に 、 長 い 配 列 を 安 定 的 に 得 る た め に 工 夫 し て い る DNA 調 製 技 術 を
報 告 す る 。 ま た 全 長 ト ラ ン ス ク リ プ ト 配 列 を 決 定 す る 手 法 に つ い て の 実 施 例 も 述 べ た い 。 【 方 法 】DNA お よ び ト ラ ン ス ク リ プ ト の シ ー ケ ン ス 手 順 に つ い て 以 下 の 流 れ で あ る 。 ・ 極 長 鎖 DNA シ ー ケ ン ス 極 長 鎖 DNA シ ー ケ ン ス に は 高 い 質 と 十 分 な 量 の ゲ ノ ム DNA を 用 意 す る 。 こ れ ら を 専 用 の
キットを用いて損傷修復・ニック修復・平滑末端化を行い、両端に専用のアダプターを付
加させる。専用のアダプターは両端が相補的配列のダンベル構造となっている。よってア
ダ プ タ ー 付 加 後 、DNA の 2 本 差 を 熱 乖 離 さ せ て や る こ と で 、1 本 鎖 の サ ー ク ル 状 の シ ー ケ ン
ス ラ イ ブ ラ リ ー を 得 る こ と に な る 。こ れ に 1 分 子 の DNA p olymerase と シ ー ケ ン ス プ ラ イ マ
ー を 付 加 し 、 シ ー ケ ン ス セ ル の 基 部 に 固 着 さ せ シ ー ケ ン ス へ と 進 め る 。 ・ 全 長 ト ラ ン ス ク リ プ ト シ ー ケ ン ス 単 離 し た mRNA か ら SMART 法 に よ り 2 本 鎖 cDNA を 合 成 す る 。 SMART 法 は 5’末 端 ま で 逆 転
写 伸 長 し た も の の み 2 本 鎖 cDNA 化 さ れ る た め 、mRNA 分 解 に 注 意 す れ ば 、基 本 的 に 全 長 cDNA
を 得 る こ と が で き る 。こ の cDNA を 先 の 方 法 と 同 様 ラ イ ブ ラ リ ー 化 し 、シ ー ケ ン ス へ 進 め る 。 【 結 果 】極 長 鎖 シ ー ケ ン ス を 何 度 か 行 っ た と こ ろ 、 用 い る DNA に よ っ て 、 ラ イ ブ ラ リ ー 化
効 率 や シ ー ケ ン ス ク オ リ テ ィ ー が 大 き く 異 な る 結 果 と な っ た 。 用 意 す る DNA ク オ リ テ ィ ー
の 向 上 や 評 価 体 制 が 重 要 と 考 え ら れ た 。 長 鎖 DNA の 単 離 法 は 確 立 で き た も の の 、 さ ら な る
精製として磁性ビーズ精製、電気泳動精製、カラム精製などの検討では、まだ明確にこの
方 法 で 完 全 と い う 結 論 に は 至 っ て い な い 。全 長 ト ラ ン ス ク リ プ ト シ ー ケ ン ス は mRNA の 長 さ
により、シーケンスセル基部への導入効率が異なることが知られている。サイズを 4 段階
に分けて進めるというマニュアルに従うことで、短いもののみに偏らずに配列結果を得る
こ と が 確 認 で き た 。 【 考 察 】DNA の 精 製 法 は 生 物 種 や 部 位 に よ っ て も 異 な る と 考 え ら れ 、 ケ ー ス バ イ ケ ー ス の
事例が想定された。シーケンスクオリティーを既定するポイントの把握を目指したい。全
長トランスクリプトームは良好な結果であったが、サイズを 4 段階に分けることでライブ
ラ リ ー 作 製 コ ス ト は 4 倍 に な っ て し ま う 点 が 課 題 で あ る 。 - 26 -
口演発表
( 奨励研究採択課題技術シンポジウム )
S1
【19 日 9:00 ~】
組込みマイコンとプログラマブルデバイスによるハイブ
リッド制御学習システムの構築
東北大学 工学部・工学研究科 阿部 茂樹 【 目 的 】マ イ コ ン や プ ロ グ ラ マ ブ ル デ バ イ ス( FPGA:Field-Programmable G ate A rray)は 、
組込みシステムに搭載される中心となるデバイスであり、技術者のニーズが高いにも関わ
らず技術的な知識を獲得する機会が少ないのが現状である。本研究では、論理回路学習は
もとより組込みシステムに使われているマイコン各種やプログラマブルデバイスを用いた
実習を通してシステムの構成方法について学習し、さらにはこれらを複数用いたハイブリ
ッドシステムを構成することを目的としている。そのためには、種々のマイコンの特長や
プログラマブルデバイスの利点を知ることが重要となるため、それぞれのデバイスを用い
た シ ス テ ム を 構 築 し て お り 、 今 回 は そ の 中 の 事 例 を 紹 介 す る 。 【 方 法 】 デ バ イ ス の 特 長 を 知 る た め の 例 と し て 、 今 回 は 以 下 の 3 例 に つ い て 紹 介 す る 。 (1) 教 育 向 け ロ ボ ッ ト を 用 い た 機 能 拡 張 に つ い て は 、Arduino と Raspberry-Pi を 併 用
す る こ と に よ り 、 様 々 な 状 況 に 対 応 し た 動 作 を さ せ る こ と が で き る 。 (2) 電 子 掲 示 板 作 製 に よ る ハ ー ド ウ ェ ア 構 築 に つ い て は 、 ド ッ ト マ ト リ ク ス LED を 用
い て 横 40 ビ ッ ト 縦 8 ビ ッ ト 表 示 で き る も の を PIC、FPGA そ れ ぞ れ を 用 い て 作 製 し 、
そ の 外 観 か ら ハ ー ド ウ ェ ア 量 の 違 い を 知 る こ と が で き る 。 (3) 演 算 ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い た 性 能 評 価 に つ い て は 、入 力 す る 2 進 数 を 10 進 数 に 変 換
(BCD 変 換 )し て 7segLED に 表 示 さ せ る プ ロ グ ラ ム を 、 減 算 法 と シ フ ト 演 算 法 の 2
種 類 作 成 し そ の 評 価 を 行 っ た 【 結 果 】(1)に つ い て は 、Arduino の み を 使 用 し た 場 合 と 比 較 し 、Raspberry-Pi を 併 用 す る
こ と で 無 線 制 御 を 可 能 に す る な ど 機 能 を 拡 張 す る こ と が で き る 。 (2)に 関 し て は 、 実 際 に
PIC と FPGA の そ れ ぞ れ を 使 っ た 電 子 掲 示 板 を 作 製 す る こ と に よ り 、ハ ー ド ウ ェ ア 量 の 違 い 、
機 能 の 違 い を 示 す こ と が で き る 。 (3)に つ い て は 、 2 つ の BCD 変 換 ア ル ゴ リ ズ ム を FPGA 上
で構築し、演算速度の違いや使用面積の違いなどについて評価を行い、シフト演算法が減
算 法 に 比 較 し 高 速 で あ る こ と を 示 し て い る 。 【考察】本研究では、ハイブリッドシステムを構築するための前段階として、まず個々の
マイコンやプログラマブルデバイスの特長を知ることが重要であると考え、その例として
上記のデモンストレーションシステムの作製を行い、その動作検証を行うことができた。
今後は、この知識を活かしてハイブリッドシステムの構築に向けた応用を考え、この分野
の 人 材 育 成 の た め の 効 率 的 か つ 理 解 し や す い シ ス テ ム の 構 築 を 目 指 す 。 - 28 -
S2
【19 日 9:20 ~】
ネットワーク管理業務効率向上のための 拡張現実感による構成情報の可視化 大分大学 工学部 技術部 原槙 稔幸 1.研究背景
私の職場である学科では,独自に教育用電子計算機システムと学科内ネットワーク
(Local Area Network, LAN)を 導 入 し て お り , 私 は そ れ ら の 運 用 管 理 を 担 当 し て い る . LAN
の 構 成 情 報 に は , ネ ッ ト ワ ー ク 機 器 を LAN ケ ー ブ ル な ど で 繋 い で い る 物 理 的 情 報 と , ネ
ッ ト ワ ー ク 機 器 に 設 定 さ れ た IP ア ド レ ス や VLAN な ど の 論 理 的 情 報 が あ り , 管 理 作 業 時
にはこれらを正確に把握する必要がある.しかし担当者が現場で作業をおこなう際には,
物 理 的 な 構 成 情 報 の 一 部 は 目 視 で 確 認 で き る も の の , 論 理 的 な 構 成 情 報 は , ノ ー ト PC な
どの入出力端末を使いネットワーク機器に接続して確認する必要がある.
2.研究目的
そ こ で 本 研 究 で は , ネ ッ ト ワ ー ク 管 理 作 業 の 際 に 構 成 情 報 を 迅 速 に 把 握 す る こ と を 目 的
と し て ,拡 張 現 実 感 (Augmented Reality, AR)に よ る ネ ッ ト ワ ー ク 構 成 情 報 の 可 視 化 シ ス テ ム
を 構 築 す る .こ の シ ス テ ム で は ,ネ ッ ト ワ ー ク 管 理 作 業 時 に 頭 部 装 着 デ ィ ス プ レ イ( Head
Mounted Display, HMD)を 装 着 す る こ と で ,作 業 者 が 現 実 に 見 て い る 視 界 に ,ネ ッ ト ワ ー ク
機 器 の 構 成 情 報 を AR コ ン テ ン ツ と し て 重 ね て 表 示 す る . 本 シ ス テ ム を 実 現 す る こ と で ,
学 科 内 LAN の 運 用 管 理 業 務 に お け る 作 業 効 率 の 向 上 を 目 指 す .
3.研究計画・方法
本 シ ス テ ム の HMD は 無 線 LAN と カ メ ラ 機 能 を 有 し て お り ,作 業 者 は HMD を 装 着 し て
構 成 情 報 を 表 示 し た い ネ ッ ト ワ ー ク 機 器 を 見 る . 無 線 LAN ス テ ー シ ョ ン か ら 取 得 し た 電
波の状況で作業者の位置を推定し,カメラで撮影した映像から機器を特定し,情報を表示
する.なお本研究は,以下の手順により遂行する.
1 ) HMD の 画 面 上 に ネ ッ ト ワ ー ク 機 器 の 構 成 情 報 を AR 表 示 す る ア プ リ ケ ー シ ョ ン 開 発
2 ) 無 線 LAN 電 波 か ら 作 業 者 の 居 場 所 を 推 定 す る た め の 無 線 LAN 情 報 管 理 サ ー バ の 構 築
3 ) ネ ッ ト ワ ー ク 情 報 を 格 納 し , AR に よ り 情 報 提 供 す る 機 器 情 報 管 理 サ ー バ の 構 築
な お , こ れ ら を 遂 行 す る う え で 利 用 す る HMD 型 情 報 端 末 は , 透 過 型 HMD「 Moverio
BT-200」を 想 定 し て い る .こ の 情 報 端 末 の OS は「 Android」で あ る た め ,こ の 端 末 上 で 稼
働 す る ア プ リ ケ ー シ ョ ン を 開 発 す る た め の 環 境 と し て 「 Eclipse Android Developer Tools」
を 用 い る . ま た , 撮 影 し た 映 像 か ら ネ ッ ト ワ ー ク 機 器 を 検 出 し , AR に よ る 情 報 提 示 を お
こ な う 処 理 は , AR 開 発 ラ イ ブ ラ リ 「 Vuforia SDK」 を 用 い て 実 装 す る 計 画 で あ る .
なお,本研究には法令等に基づく手続きが必要となる調査・研究・実験等は含まれない.
- 29 -
S3
【19 日 9:40 ~】
赤外線放射温度計では測定不可能な水中で温度変化を
する物体の可視光による温度測定
東京大学生産技術研究所 機械・生体系部門 技術専門員 上村 光宏 【目的】赤外線放射温度計は物体から放射される赤外線を計測することで温度を計測する
もので工業など様々な分野で広く使用されているが,物体と放射温度計の間に水が存在す
ると物体からの赤外線が水に吸収され減衰するので正確な計測は不可能である.ところで
工業的に重要な金属の焼入れによる組織改質など水を使った冷却が広く利用されているが,
水中の温度変化を測定する方法は,熱電対などのセンサーの出力電圧を計測する方法が用
いられている.一方で今後より一層の省エネルギー技術の向上や,熱交換器の技術革新に
必要な熱伝達促進の為の一つの方法である電場の印加による伝熱促進では,電場が印加さ
れている中での電気的な温度測定では温度センサーの出力にも電場の影響があり電圧測定
が可能な実験系には制限があり精密な温度測定は行われていない.また,温度センサーを
物体に設置することは物体周りの物理的環境を乱す恐れもあり,数値計算の精度向上の為
の検証実験における精密な測定には実験系によっては適しておらず,物体に非接触での温
度測定が切望されている.そこで本研究では水中の物体の非接触での温度測定や,水中で
電場が印加されている環境での物体の温度変化を測定する手法を確立することを目的とす
る . 【方法】先ず可視光の反射率が物質の表面温度によって変化し充分な精度で測定可能であ
ることを確認する.反射率の変化が測定できる程度に大きければ次の手順で温度計測を行
う . ① 沸 騰 実 験 で 温 度 測 定 と 同 時 に ビ デ オ 撮 影 ② ビ デ オ 映 像 の 1 コ マ 毎 に RGB を 計 測 ③
温 度 と RGB と の 回 帰 曲 線 を 求 め る . ④ 電 場 を 印 可 し た 沸 騰 実 験 の ビ デ オ か ら RGB を 計 測 ⑤ 回 帰 曲 線 に RGB を 入 力 し 温 度 を 求 め る . 【結果】被測定物の自発光量と外部から照射する可視光の反射量をビデオ画像の映像解析
か ら RGB 明 度 と し て 求 め る こ と で 水 中 の 伝 熱 面 の 温 度 を 非 接 触 で 計 測 し た . ま た 電 場 に よ
る 沸 騰 伝 熱 促 進 効 果 を 冷 却 曲 線 に よ り 示 す こ と が で き た . 【考察】可視光による温度測定法として2色法があるが,被測定物の自発光を測定するの
で高温に限られ温度範囲に制限があるが本測定法は照明の反射光を測定するので照明方法
等で温度範囲に制限が無いと考えられる.可視光による温度測定は吸収率の温度変化から
水温を測る報告があるが水中の物体の温度変化を測定した報告例はない.今後は測定条件
を整理し高精度化を目指したい.
- 30 -
S4
【19 日 10:00 ~】
Arduino を用いた放射線検出器教材の開発 富山大学 研究推進機構 水素同位体科学研究センター 阿部 信介, 坂口 春菜, 原 正憲 【 目 的 】 放 射 性 同 位 元 素 を 用 い た 研 究 , 実 験 を 行 う 際 に は 放 射 線 検 出 器 が 必 要 不 可 欠 で
ある。放射線検出器を用いる場合は,原理を深く理解した上で使用することで正確な測定
結果を得られ,またその測定結果が持つ意味も理解できる。しかし,放射線検出器を用い
る上で必要な種々の回路は既成品が用いられているため,利用者が自ら信号を測定に適し
た形に操作する必要がない。そのため,実際の信号の操作の過程を利用者に対して学習さ
せることが難しい。発表者は,放射線検出器から出る信号を専用の電子回路ではなく,安
価 な マ イ コ ン ボ ー ド Arduino に よ っ て 置 き 換 え て 自 分 で 信 号 の 加 工 を 学 べ る 教 材 の 開 発 を
検 討 し た 。 【 方 法 】 本 研 究 で は ,光 電 子 増 倍 管 ア ッ セ ン ブ リ は ,浜 松 ホ ト ニ ク ス の H3187-51,光 電
子 増 倍 管 ア ッ セ ン ブ リ に 高 電 圧 を 印 加 す る 電 源 と し て 浜 松 ホ ト ニ ク ス の C9727, 液 体 シ ン
チ レ ー タ は , パ ー キ ン エ ル マ ー の Ultima gold AB, γ 線 源 は 日 本 ア イ ソ ト ー プ 協 会 の
22
Na
密 封 小 線 源 9x10 5 Bq( 2014/9/29 時 点 )を 用 い た 。ア ル ミ ケ ー ス に 穴 を 開 け て 光 電 子 増 倍 管
を取り付け,光が入らないように遮光した。光電子増倍管の窓の前に液体シンチレータを
設置し,密封小線源からのγ線を受けて発光した光を検知する。γ線源となる密封小線源
は,アルミケースを開けること無く液体シンチレータとの距離を変えられるような仕組み
にした。本研究で用いた光電子増倍管は陽極接地型で出力が電流として得られるため,電
流値と密封小線源-液体シンチレータ間の距離の関係をプロットし,逆二乗則に当てはま
る か を 調 べ た 。 【 結 果 と 考 察 】 最 初 に 遮 光 し た ア ル ミ ケ ー ス に 光 の 漏 れ の 有 無 を 調 べ た 。 光 電 子 増 倍 管
を取り付けたアルミケースを簡易暗室の中に入れてバックグラウンド電流を測定する。そ
の 後 ,簡 易 暗 室 の 暗 幕 を 開 放 し ,電 流 値 を 測 定 し た 。結 果 ,電 流 値 が 変 化 し な か っ た た め ,
アルミケースの光の漏れは無いと判断した。これ以降の実験は,アルミケースに急な光の
漏 れ が 発 生 し て も 光 電 子 増 倍 管 の 破 損 が 無 い よ う に 簡 易 暗 室 の 中 で 行 っ た 。 光 電 子 増 倍 管 か ら の 電 流 値 と 密 封 小 線 源 - 液 体 シ ン チ レ ー タ 間 の 距 離 の 関 係 を プ ロ ッ ト
した結果,密封小線源の距離が離れるに従って急激に電流値が減少するような傾向が見ら
れた。次に電流値の平方根の逆数と密封小線源-液体シンチレータ間の距離の関係をプロ
ットした結果,傾きが一定の直線となったため,逆二乗則に当てはまり,放射線検出が可
能 で あ る と 思 わ れ る 。 今 後 は , 放 射 線 を 検 出 す る 検 出 部 が 完 成 し た た め , 電 流 の 変 化 を
電 圧 の 変 化 に 変 換 す る 回 路 を 作 製 し , Arduino に 読 み 込 ま せ る 予 定 で あ る 。 - 31 -
S5
【19 日 10:40 ~】
デジタル PCR を用いた DNA 損傷分析法の確立 佐賀大学 総合分析実験センター 森 加奈恵 【 目 的 】 本 研 究 は 、デ ジ タ ル PCR シ ス テ ム( Bio-Rad)を 用 い て 、電 離 放 射 線( 以 下 、放 射 線 )に
よ っ て 生 じ る 特 異 的 な DNA 損 傷 を 分 析 す る 手 法 を 確 立 す る こ と を 目 的 と す る 。 放 射 線 は 、
極 め て 致 死 性 の 高 い 傷 害 因 子 で あ り 、 そ の 傷 害 メ カ ニ ズ ム は 遺 伝 物 質 DNA へ の 特 異 的 な 損
傷 発 生 に よ る と 考 え ら れ る 。 放 射 線 照 射 さ れ た DNA や 細 胞 に 対 し て PCR 反 応 を か け る と 、
損 傷 部 位 で PCR 反 応 が 途 絶 し 、 DNA 損 傷 数 に 依 存 し て ポ ジ テ ィ ブ の カ ウ ン ト 値 が 低 下 し て
い く と 考 え ら れ る 。 【 方 法 】 ( 1) 放 射 線 照 射 : プ ラ ス ミ ド DNA pUC19 を 、 濃 度 5ng/µL と な る よ う に 1 M ジ メ チ ル ス ル
ホ キ シ ド を 含 ん だ 10 m M ト リ ス 塩 酸 緩 衝 液 で 溶 解 し 、吸 収 線 量 0 ~ 500Gy で ガ ン マ 線 及 び
重 粒 子 線 照 射 を 行 っ た 。 ( 2) デ ジ タ ル PCR 分 析 : 照 射 DNA サ ン プ ル に 、 デ ジ タ ル PCR 用 試 薬 と プ ラ イ マ ー を 混 ぜ 、
反 応 溶 液 を 作 製 し た 。専 用 カ ー ト リ ッ ジ に 反 応 溶 液 と オ イ ル を ア プ ラ イ し 、QX200 D roplet Generator に よ り ド ロ ッ プ レ ッ ト を 作 製 し た 。 ド ロ ッ プ レ ッ ト を 専 用 PCR プ レ ー ト に 移 し
て シ ー ル し 、サ ー マ ル サ イ ク ラ ー T100 を 用 い て PCR 反 応 を 行 っ た 。そ の 後 、QX200 D roplet Reader に よ り 、 蛍 光 検 出 を 行 っ た 。 ( 3)リ ア ル タ イ ム PCR 分 析:デ ジ タ ル PCR の 結 果 を 評 価 す る た め 、コ ン ト ロ ー ル 実 験 と し
て 、StepOnePlus( Thermo)に よ る リ ア ル タ イ ム PCR 分 析 を 行 っ た 。C T 値( 蛍 光 レ ベ ル が 増
幅 プ ロ ッ ト の 閾 値 と 一 致 す る PCR サ イ ク ル 数 ) を 比 較 し 、 増 幅 効 率 を 検 討 し た 。 【 結 果 ・ 考 察 】 デ ジ タ ル PCR 及 び リ ア ル タ イ ム PCR の 結 果 は 、 放 射 線 照 射 DNA テ ン プ レ ー ト の 線 量 依 存
的 な 増 幅 効 率 の 低 下 を 示 し た 。 す な わ ち 、 線 量 が 大 き く な る に つ れ 、 PCR 増 幅 に 影 響 を 与
え る 大 き な 損 傷 が 入 っ て い る こ と を 示 唆 し て い る 。 ド ロ ッ プ レ ッ ト に は 細 胞 を 封 入 す る こ と が で き る た め 、 今 後 は 細 胞 を 用 い た DNA 損 傷 分
析 を 行 い 、放 射 線 損 傷 分 析 に お け る デ ジ タ ル PCR の 有 効 性 に つ い て 検 討 を 行 う 予 定 で あ る 。 当 セ ン タ ー に 新 規 導 入 さ れ た デ ジ タ ル PCR シ ス テ ム の 利 用 者 か ら は 、 操 作 の 煩 雑 さ や サ
ンプル調製時における最適濃度決定の難しさに対する相談が多い。自分で実験操作するこ
と に よ り 、 利 用 者 の 実 情 が よ く 理 解 で き た 。 デ ジ タ ル PCR で の 最 適 濃 度 は 、 リ ア ル タ イ ム
PCR の C T 値 = 30 が 基 準 と さ れ て い る が 、実 際 は サ ン プ ル に 応 じ て 調 整 が 必 要 で あ る こ と も
わ か っ た 。 今 後 は こ れ ら の 経 験 を 活 か し て ア ド バ イ ス し て い き た い 。 - 32 -
S6
【19 日 11:00 ~】
新しいグリコサミノグリカン二糖解析方法
―古典的二糖化法と、現代的検出法との融合― 島根大学 医学部 代謝生化学 長子 晴美 【 目 的 】疾 病 や 老 化 に 伴 う 運 動 器 の 疼 痛 や 機 能 障 害 の 予 防・治 療 を 目 的 と し て 、そ の 発 生 ・
進 行 機 序 を 解 明 す る た め 、 関 節 軟 骨 に 高 い 割 合 で 含 ま れ る グ リ コ サ ミ ノ グ リ カ ン (GAG)を
詳細に解析する方法を確立して昨年度のこの会で発表した。その方法を用いて解析するに
あ た り 、 見 え て き た 欠 点 に つ い て の 改 良 法 に つ い て 検 討 す る 。 【 方 法 】 こ の 方 法 は GAGを 二 糖 化 酵 素 で 処 理 し た 後 、 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー /タ ン デ ム 質
量 分 析 法 ( LC/MS/MS) で 測 定 す る 。 今 回 、 以 下 の 点 を 改 良 し た い と 考 え た 。 ( 1 ) 1 回 の 測 定 に 25 分 必 要 だ っ た の で 、 カ ラ ム と 測 定 条 件 を 変 更 す る こ と に よ り 、 ス
ル ー プ ッ ト を 上 げ る 。 ( 2 ) 4 ク ラ ス に 特 異 的 な 二 糖 化 酵 素( コ ン ド ロ イ チ ナ ー ゼ 、ヒ ア ル ロ ニ ダ ― ゼ 、ヘ パ リ
チナーゼ、ケラタナ―ゼ)を必要とするので、化学的に二糖化することにより、
酵 素 に 依 存 せ ず 、 す べ て の ク ラ ス を 網 羅 的 に 解 析 す る 系 を 作 る 。 【 結 果 】 ( 1 ) 移 動 相 の 温 度 と 流 速 を 上 げ 、 カ ラ ム 長 を 短 く す る こ と で 、 25 分 の 系 を 5 分 に 短 縮
で き た 。 ( 2 ) 古 典 的 な 二 糖 化 法 で あ る 亜 硝 酸 を 用 い る 方 法 で 、 長 鎖 GAG か ら 二 糖 を 作 成 し 、
LS/MS/MS で 感 度 良 く 定 量 で き る よ う 、 チ ャ ネ ル を 設 定 し た 。 【考察】酵素による二糖化産物の解析はハイスループットで行えることになった。この解
析 を 進 め な が ら 、 化 学 的 二 糖 化 法 と の 比 較 を し た い 。 【 参 考 文 献 ・ 資 料 】 Osago H et.al, Quantitative analysis of glycosaminoglycans, chondroitin/dermatan sulfate, hyaluronic acid, heparan sulfate, and keratan sulfate by LC-ESI-MS/MS. Anal. Biochem., 467: 62-74 (2014) - 33 -
S7
【19 日 11:20 ~】
低融点ゼラチンを活用した標本作製法の開発 名古屋大学 全学技術センター 医学系技術支援室 牛田 かおり 【 背 景 】 組織切片を作製する方法には、パラフィン標本・凍結標本・マイクロスライサー標本等
があり、目的に応じて選択される。いずれの方法においてもマウス組織や胎児、浮遊細胞
など不安定な形態のサンプルを損傷することなく正確な方向・位置関係を保ちつつ標本を
作 製 す る こ と は 難 し い 。平 成 25 年 度 の 奨 励 研 究 で は 、室 温 で 溶 解 し 4℃ で 固 化 、ホ ル マ リ
ン固定により室温での固形状態を保つ魚由来低融点ゼラチンを利用して、パラフィン標本
作製時の低融点ゼラチンの有用性を確認し、本研究会で報告した。今回、引き続きパラフ
ィン標本以外の凍結標本・マイクロスライサー標本について、従来の手法と低融点ゼラチ
ン を 用 い た 手 法 と を 比 較 検 討 し た の で 報 告 す る 。 【 方 法 】 1) マ イ ク ロ ス ラ イ サ ー 標 本 : 2~ 5% 低 融 点 ゼ ラ チ ン で 予 備 包 埋 し た 組 織 を 、 4℃ 10% 中 性
緩 衝 ホ ル マ リ ン 液 固 定 後 Leica 社 製 振 動 刃 ミ ク ロ ト ー ム VT1200S を 用 い て 50~ 100μ m の 厚
さ に 薄 切 し た 。 2) 凍 結 標 本:2~ 5% 低 融 点 ゼ ラ チ ン で 予 備 包 埋 し た 固 定・未 固 定 組 織 及 び 浮 遊 細 胞 そ れ ぞ
れ を 凍 結 用 コ ン パ ウ ン ド 包 埋 、 凍 結 さ せ Leica 社 製 ク ラ イ オ ス タ ッ ト CM3050S に て 凍 結 切
片 を 作 製 し た 。 【 結 果 ・ 考 察 】 魚由来低融点ゼラチンは、室温で可溶であるため操作性に優れ、組織との馴染みも良い
ことから、アガロースやアルギン酸ナトリウム使用時のように組織がはずれてバラバラに
な る こ と な く マ イ ク ロ ス ラ イ サ ー 切 片 を 作 製 す る こ と が で き た 。凍 結 切 片 作 製 に お い て は 、
熱侵襲を受けることがなく、失敗してもやり直すことができるので正確な方向・位置関係
で予備包埋を行うことができた。また、未固定組織への利用も可能であり、切片強度を保
つことから、しわの少ない滑らかな凍結切片を作製することができ、病院病理検査におい
て、迅速病理診断への応用が考えられた。更に、アガロース、アルギン酸ナトリウムを用
いた場合には難しい浮遊細胞の凍結切片も低融点ゼラチンを用いることで良好な結果が得
られた。今後、染色性などの問題点を検討しながら、様々な組織への実用的な使用を可能
と す る た め に 標 本 作 製 時 の 各 種 条 件 (凍 結 法 、凍 結 温 度 等 )を 設 定 す る こ と を 目 的 と し た い 。 【 参 考 文 献 ・ 資 料 】 ・ 平 成 25年 度 奨 励 研 究 採 択 課 題 “ 室 温 下 で は 固 化 し な い 特 色 を 活 用 し た 超 低 融 点 ゼ ラ チ ン
の組織標本作製への応用”
- 34 -
S8
【19 日 11:40 ~】
イオン液体を用いた 無蒸着迅速走査電顕観察法の臨床医学分野への応用 鳥取大学 技術部医学系部門 1),同 卒後臨床研修センター 2),同 医学部皮膚病態学
森野 慎一 1),山田 七子 2),堀江 享史 1),山元 修
3)
3)
【目的】近年、医学・生物学分野において超微細形態を研究テーマとする研究者の減少や
そのニーズの低下により、電子顕微鏡を利用されるケースは年々減少傾向にある。とくに
走査型電子顕微鏡(以下、走査電顕)の利用率低下は著しく、利用者増加に向けての対策
は必須である。我々は走査電顕の利用率向上の足掛かりとして、観察までに至る試料作製
処理の簡便化を図るべく、近年注目されているイオン液体に着目した。イオン液体は「ほ
とんど蒸発しない、伝導性が高い」といった性質を持っており、同液体に置換するだけで
観察可能で、試料作製の負担軽減につながる画期的な液体だと考えられている。本研究で
は 、ヒ ト 皮 膚 を 研 究 材 料 と し て イ オ ン 液 体 を 用 い た 走 査 電 顕 観 察 法( 以 下 、イ オ ン 液 体 法 )
を試み、従来、走査電顕を用いられることが少ない臨床医学分野の研究や病理診断への応
用 を 検 討 し 、 イ オ ン 液 体 法 の 確 立 と 走 査 電 顕 の 新 た な 需 要 創 出 を 目 指 す も の で あ る 。 【 方 法 】 本 学 付 属 病 院 に て 外 科 治 療 の 際 に 生 じ た ヒ ト 余 剰 皮 膚 を 研 究 材 料 と し て 用 い た 。 (1) 皮 膚 組 織 の 固 定 : 1/2 カ ル ノ フ ス キ ー 固 定 液 を 用 い て 組 織 を 2~ 3h 浸 漬 固 定 。 (2) 常 法 に よ る 試 料 作 製:洗 浄 、OsO4 固 定 、洗 浄 、タ ン ニ ン 酸 に 浸 漬 、洗 浄 、OsO4 固 定 、
洗 浄 、上 昇 ア ル コ ー ル 脱 水 、t-ブ チ ル ア ル コ ー ル 凍 結 乾 燥 、金 属 蒸 着 の 順 に 行 っ た 。 (3) イ オ ン 液 体 試 料 作 製 法 : 生 体 に 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る フ ッ 素 を 含 有
し た イ オ ン 液 体 と 非 含 有 の も の を 準 備 し 、 同 液 体 に そ れ ぞ れ 3~ 4h 浸 漬 。 (4) 光 学 実 体 顕 微 鏡 に よ る 検 討 : (2), ( 3), ( 4)で 処 理 し た 試 料 の マ ク ロ 形 態 を 走 査 電 顕
に よ る 観 察 の 前 後 に 光 学 実 体 顕 微 鏡 に て 観 察 記 録 を 行 い 比 較 検 討 し た 。 (5) 走 査 電 顕 に よ る 検 討 : (2), ( 3), ( 4)で 処 理 し た 試 料 の 皮 膚 角 質 層 表 面 の 微 細 構 造 を
走 査 型 電 子 顕 微 鏡 日 立 S-4500 に て 観 察 記 録 を 行 い 比 較 検 討 し た 。 【結果】イオン液体法による試料は真空内でも蒸発による収縮もなく導電性も確保されて
おり、常法による試料と同様に観察出来ることを確認した。しかし、拡大観察すると同液
体が残留して試料表面の一部を覆っていることが判明した。これはイオン液体の持つ蒸発
し な い と い う 性 質 に よ る も の で あ る が 、 微 細 形 態 観 察 の 大 き な 妨 げ と な っ た 。 【考察】現時点ではイオン液体の残留問題を解決することは容易でなく、臨床医学分野へ
の応用は時期尚早と判断した。しかし、イオン液体法は簡便に観察が出来るという大きな
利 点 が 認 め ら れ た の で 、 イ オ ン 液 体 法 の 確 立 に 向 け て 研 究 を 継 続 す る 所 存 で あ る 。 - 35 -
S9
【19 日 13:00 ~】
プロテオミクス解析による 心血管疾患の血清病態バイオマーカーの探索 島根大学研究機構 総合科学研究支援センター 生体情報 R・I 実験部門
佐藤 和美, 馬庭 朋子, 松本 健一
島根大学医学部 循環器呼吸器外科学講座 織田 禎二 【目的】
胸・腹部大動脈瘤、大動脈弁狭窄症等の心血管系疾患は、生活習慣の欧米化や高齢化に
伴 い 急 速 に 増 加 し つ つ あ り 、 大 動 脈 瘤 が 破 裂 し た 場 合 の高 い 致 死 率 、 外 科 的 手 術 に 伴 う 患
者への多大な負担の減少のために、早期診断法の確立が待たれている。身体的負担が少な
く、また、早期の発見に繋がる診断方法の一つとして、血清バイオマーカーを用いる方法
の有効性は大きいと考えられる。今回、プロテオミクスの手法を用いての血清蛋白質の網
羅 的 な 探 索 を 行 い 、 血 清 バ イ オ マ ー カ ー 候 補 と て 、 ま た 、 疾 患 の 発 生 や 進 展 の機 序 の 解 明
に有用な蛋白質として、心血管系疾患において発現差異を示す血清蛋白質を同定すること
を目的として研究を行った。
【方法】
心 血 管 疾 患 血 清 病 態 バ イ オ マ ー カ ー 探 索 の た め に 、 胸 ・ 腹 部 大 動 脈 瘤 患 者 か ら 採 取 さ れ
た 病 態 血 清 と 健 常 人 血 清 、あ る い は 大 動 脈 弁 狭 窄 症 の同 一 患 者 か ら 採 取 さ れ た 手 術 前 血 清
と手術後血清を用いて、発現差異を示す蛋白質の包括的解析を以下の手順で行う。
(1) ア ル ブ ミ ン /IgG 除 去 血 清 を 変 性 ・ ト リ プ シ ン 処 理 後 、 isobaric Tag for Relative and
Absolute Quantitation( iTRAQ) 試 薬 に よ り 標 識 を 行 う 。
(2) ナ ノ 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ( Nano-LC)装 置 に よ る 分 離 と マ ト リ ッ ク ス 支 援 レ ー ザ ー 脱 離
イ オ ン 化 飛 行 時 間 型 タ ン デ ム 質 量 分 析 装 置 ( MALDI-TOF/TOF MS/MS) に よ る 解 析 、
Protein Pilot を 用 い て の蛋 白 の 同 定 を 行 う 。
(3) 得 ら れ た 蛋 白 の 統 計 的 処 理 に よ り 、患 者 -健 常 人 血 清 間 あ る い は 同 一 患 者 の 手 術 前 -手 術
後 血 清 間 に お い て 発 現 差 異 を 示 す 蛋 白 質 を 選 出 し 、ウ エ ス タ ン ブ ロ ッ ト 法 で 確 認 を 行 う 。 【結果と考察】
大 動 脈 瘤 患 者 血 清 と 健 常 人 血 清 を 用 い た 実 験 で は 、発 現 差 異 を 示 す 蛋 白 質 と し て い く つ
かの蛋白質を同定しつつある。演者らは、大動脈瘤患者あるいは大動脈弁狭窄症患者につ
い て 、同 一 患 者 の手 術 前 -手 術 後 血 清 に お け る 発 現 差 異 プ ロ テ オ ミ ク ス に よ る 血 清 病 態 バ イ
オ マ ー カ ー に つ い て 既 に 報 告 を 行 っ て お り ( Satoh et al., Proteome Sci. 11, article 27, 2013、
Satoh et al., Dis. Markers 2015, article 694120, 2015)、そ の 結 果 と 今 回 の 結 果 と の 比 較 を 行 い 、
両解析方法の持つ特徴等についての検討を試みたい。
- 36 -
S10
【19 日 13:20 ~】
線虫 C.elegans を用いた加齢とともに生じる個体差の解析 東海大学 伊勢原研究推進部 生命科学統合支援センター 安田 佳代 【目的】老化には遺伝子と環境が複雑に関与しているため、その原因を特定することは難
しい。そこで雌雄同体であることから遺伝的に均一であり、また実験室内で環境を一定に
し て 飼 育 で き る 、 線 虫 の 一 種 で あ る Caenorhabditis elegans ( C. elegans )を 用 い て 解 析
を お こ な っ た 。遺 伝 子 も 環 境 も 均 一 で あ る に も か か わ ら ず 大 き な 個 体 差 が 現 れ る こ と か ら 、
個 体 差 を 加 味 し た 寿 命 の 解 析 が 必 須 で あ る と 考 え た 。 最 近 、筋 肉 量 と 脂 肪 量 が 老 化 や 健 康 に 深 く 関 与 し て い る こ と が 示 唆 さ れ る よ う に な っ た 。
そ こ で 、線 虫 の 筋 肉 構 造 に 関 わ る 遺 伝 子 に 蛍 光 遺 伝 子 (GFP)を 結 合 さ せ 、そ の 遺 伝 子 を 導 入
した虫の筋肉量を線虫ソーターで測定し、その後の寿命を調べることで、寿命と筋肉量の
関 係 を 明 ら か に す る シ ス テ ム を 構 築 し 、個 体 差 が 現 れ る 原 因 を 特 定 す る こ と を 目 的 と し た 。 【方法】線虫の個体差をみるために、大きさおよび蛍光強度を選別できる線虫ソーター
( COPAS)用 い る こ と と し 、そ の 条 件 検 討 を お こ な っ た 。線 虫 の デ ー タ ー ベ ー ス か ら 筋 肉 と
寿 命 に 関 与 す る よ う な 遺 伝 子 を 選 択 し 、 C.elegans genetic center(CGC )か ら そ の ト ラ ン
ス ジ ェ ニ ッ ク 線 虫 を 入 手 し た 。 こ れ ら の 線 虫 の 成 虫 後 を COPAS で 蛍 光 強 度 別 に 選 別 し 、
寒 天 培 地 に て 寿 命 を 測 定 し シ ス テ ム の 評 価 を お こ な っ た 。 【 結 果 お よ び 考 察 】 COPAS に よ る 蛍 光 分 布 お よ び 選 別 の 条 件 検 討 に お い て 、 最 適 な 条 件 で
も 全 体 の 10% 以 下 の 線 虫 し か 選 別 で き な い こ と が 分 か り 、 お よ そ 4000 匹 の 線 虫 を 用 い る
ことで、2 群の寿命比較実験が可能となった。次に、ソーターによる虫の寿命への影響を
調 べ た が 、 COPAS を 通 す こ と に よ り 寿 命 が 短 く な る こ と が 判 明 し た 。 雑 菌 の 混 入 に よ る 可
能性が示唆されたため、抗生物質を添加して測定を行ったが、雑菌の混入は少ないにも関
わらず寿命が短くなることから、ソーターのレーザー等が関与しているのではないかと思
われた。しかしながら、同一条件(ソート)内であれば比較可能と判断し、まずは蛍光強
度の強い抗酸化遺伝子を導入した虫を用いて強度別に選別し、寿命を測定した。結果とし
て は 両 者 に 有 意 差 が 見 ら れ な い が( P< 0.5)、同 一 条 件 内 の 測 定 が 可 能 で あ る こ と が 示 唆 さ
れ た 。 さ ら に 蛍 光 強 度 が 弱 い 筋 肉 特 異 的 な 遺 伝 子 ( myo-3 ) の TG 線 虫 を 用 い て も 選 別 が 可
能 で あ っ た 。 今 後 、 こ の シ ス テ ム を 用 い 、 若 齢 時 の み な ら ず 高 齢 時 の 蛍 光 強 度 の 測 定 、 脂 肪 の 蓄 積 に
関わる遺伝子を導入することで、寿命と筋肉量や脂肪量の関係が明らかになるものと期待
さ れ る 。 - 37 -
S11
【19 日 13:40 ~】
安全衛生管理の事例研究と大学の実験室等のリスク検討 横浜国立大学 リスク共生社会創造センター 鈴木 雄二 【 は じ め に 】 大 学 等 の 研 究 教 育 機 関 で は 依 然 と し て火 災 事 故 や 人 身 事 故 な ど が 発 生 し て お り 各 機 関 の
リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト は さ ら な る 充 実 が 望 ま れ る 。大 学 等 の 安 全 衛 生 管 理 の 向 上 の た め に は 、
職場の安全衛生の現状と災害発生原因を把握し、災害を未然に防ぐためにリスクアセスメ
ン ト ( RA) に よ る リ ス ク 低 減 対 策 が 必 要 で あ る 。 各 機 関 特 有 の 課 題 だ け で な く 共 通 の 課 題
もあるため、他機関で情報を共有すれば安全衛生活動の参考資料として有益であり業務の
効率化の一環と言える。一方、企業における安全衛生管理は長年の実績がありリスク関連
情報や安全衛生管理内容は大学人にとって有益な情報も含まれる。筆者は大学でリスク対
応すべき優先課題の検討により大学の安全衛生管理の向上を目的として、大学および企業
の 安 全 衛 生 管 理 の 現 状 を 調 査 検 討 し た こ と を 報 告 す る 。 【 方 法 】 安 全 衛 生 活 動 事 例 の 情 報 収 集 と し て 、各 大 学 お よ び 製 造 業 等 の 先 進 的 事 例 を 収 集 す る た
め、研究集会等への参加、企業の先進事例訪問調査、他大学への訪問調査を行った。次に
実験室等のリスク検討として、複数大学の安全衛生スタッフの協力により、予見可能な事
故のシナリオを検討した。リスクアセスメントの考え方として安全衛生管理で最も優先す
べき課題は、死亡あるいは複数の死傷者が発生するなど影響が大きいと考えられる予見可
能 な 事 故 に た い す る 事 前 の リ ス ク 低 減 措 置 の 実 施 で あ る 。 【 結 果 と 考 察 】 企 業 の 調 査 で は 、 安 全 衛 生 活 動 を 徹 底 す る た め の 事 例 情 報 が 得 ら れ た 。 ま た 、 安 全 管 理
におけるトップダウンの体制と社内の事故防止の意識が重要であること、大学人は責任を
理 解 し て い な い ケ ー ス が み ら れ る こ と 、 大 学 で の 安 全 衛 生 教 育 は 企 業 か ら 見 て非 常 に 重 要
であるという助言が得られた。各大学の安全衛生スタッフからは、教職員の責任感欠如、
構成員の入れ替わりと論文提出時期の不安全行動への憂慮などの意見が得られた。実験室
のリスク検討では、機械類の取扱い、廃液の取扱い、危険または有害物質等の取り扱い、
交通事故などが被害の大きい事故の要因であった。これら予見可能な重大な事故のシナリ
オを踏まえて、実験室等の安全の現状を再確認し、死亡その他の大事故を防止するための
対 策 の 検 討 と 実 施 が 今 後 の 課 題 と い え る 。な お 、こ の 報 告 は 平 成 23 年 度 奨 励 研 究 と し て行
っ た 活 動 の 成 果 を ベ ー ス に し て い る ( 研 究 課 題 番 号 : 23922009)。 - 38 -
ポスター発表
P1
新規に導入された7T-MRI の紹介
生理学研究所 技術課 伊藤 嘉邦 【 目 的 】 生 理 学 研 究 所 の 磁 気 共 鳴 室 に 新 規 に 7 T-MRI が 導 入 さ れ た の で 報 告 す る 。 7 T-MRI は 3 0 t を 超 え る 大 型 の 実 験 装 置 で あ り 、 そ の 搬 入 に あ た っ て は 技 術 的 に ク リ
ア す る 必 要 の あ る 問 題 が い く つ も あ っ た 。 今 回 は 、 搬 入 時 の 状 況 と 7 T-MRI の 現 状 等 に つ
い て 報 告 す る 。 【 方 法 】 ポスターでは、実際に機器を設置した時の様子などを、タイムラプスビデオやスライド
シ ョ ー に て 紹 介 す る 。 設 置 後 、 7 T-MRI で 撮 影 し た 画 像 や 設 営 風 景 等 も 紹 介 す る 。 なお本装置は、平成28年度より共同利用機器として使用されることになっていて、現
在 実 験 設 備 の 整 備 を 進 め て い る 。 P2
オーディオ変換機による PC オーディオのノイズ対策
生理学研究所 技術課 伊藤 嘉邦 【 目 的 】 研 究 室 で 行 わ れ て い る 心 理 生 理 学 実 験 や fMRI 実 験 に は 、 PC の オ ー デ ィ オ 出 力 を
人 に 聞 か せ る も の が あ る 。今 回 、ノ ー ト PC の オ ー デ ィ オ 出 力 を ミ キ サ ー を 経 由 し て ヘ ッ ド
ホンで聞かせる実験システムを構築したところ、ノイズが大きくて実験ができない状況が
発生した。この実験は、人に音を聞かせて音の高低を聞き分けてもらうものであったが、
ノイズ音が大きくてこのままでは実験を行うことができなかった。実験システムは、簡単
な 物 だ っ た の で 、 ノ イ ズ の 原 因 は 電 源 経 由 で 信 号 が 回 り 込 ん で い る た め だ と 思 わ れ た 。 【方法】電源経由で信号が回り込むのを防ぐため、市販のオーディオ変換機を用いてオー
デ ィ オ の 信 号 配 線 を 光 フ ァ イ バ ー に 置 き 換 え た 。 【結果】実験に使用できないほど大きなノイズ音だったが、ノイズの無い非常にクリアな
音 で 実 験 を 行 え る よ う に な っ た 。 - 40 -
P3
オープンフィールド試験装置の製作 徳島大学大学院医歯薬学研究部 総合研究支援センター 北池 秀次 【目的】近年、遺伝子を操作したマウスや、遺伝的に異なった系統間での行動の違いから
その要因となる遺伝子の機能を解析する研究が進められている。そのため、特定のマウス
系統が示す行動を正確に把握し、比較することでその要因を明らかにすることが増々重要
となってきている。筆者はこれまでにも行動テストバッテリーに関する試験装置を製作し
ており、引き続き研究における活動性の測定において目的に応じた行動解析に対応させる
た め 装 置 の 製 作 を 行 っ た の で 報 告 す る 。 【方法】オープンフィールドに用いるボックスは角型や円形の形状が一般的であり、実験
動 物 に と っ て 広 く 開 口 し た 新 奇 な 環 境 が 求 め ら れ る 。ボ ッ ク ス は ア ク リ ル 樹 脂 板 で 製 作 し 、
トラッキングシステムは以前に報告した高架式十字迷路と同様の設計で、キャリブレーシ
ョ ン 機 能 を 新 た に 追 加 し た 改 良 版 を 投 入 し た 。 【結果・考察】マウスをアリーナ内に置き試用実験を行った結果、目的に応じた計測項目
について、良好な結果を得ることができた。本装置を用いることで、不安様行動と新奇環
境 で の 探 索 行 動 の 増 減 を 容 易 に 知 る こ と が 可 能 と な っ た 。 P4
無線通信を利用した潅水制御システムの開発 徳島大学 大学院 STS 研究部 総合技術センター 石田 富士雄 【目的】無線データ通信は,遠隔にあるセンサ情報収集やアクチュエータの制御において
有 用 な 技 術 で あ る 。 そ の 通 信 方 式 の ひ と つ ZigBee 規 格 の 特 定 小 電 力 無 線 装 置 を 使 用 し て ,
無 線 ネ ッ ト ワ ー ク を 活 用 し た 土 壌 湿 度 デ ー タ の 収 集 と 潅 水 制 御 を 行 う シ ス テ ム を 開 発 し た 。 【方法】ハードウエア構成は,パソコンに有線接続した無線親機と,遠隔にある無線子機
及び周辺装置とする。親機は無線で子機とデータの送受信を行うとともに,パソコンとも
有 線 に よ り デ ー タ 通 信 を 行 う 。子 機 は 複 数 の 湿 度 セ ン サ と 潅 水 用 電 磁 弁 駆 動 回 路 を 備 え る 。 パ ソ コ ン と 無 線 親 機 は API に よ る フ レ ー ム デ ー タ 通 信 と し ,無 線 子 機 は 透 過 モ ー ド と し た 。 【結果】無線子機は単独動作で複数点の土壌湿度を収集し,データは無線経由でパソコン
まで到達した。パソコンでは,湿度の視覚化及び制御信号を生成し,その信号を子機へ送
信 し た 。デ ー タ 収 集 と 制 御 信 号 を 無 線 通 信 で 行 い ,ネ ッ ト ワ ー ク の 経 路 変 更 の 確 認 も し た 。 【 考 察 】プ ロ グ ラ ミ ン グ で は API ラ イ ブ ラ リ を 使 用 す る こ と に よ り 効 率 的 に 作 業 が で き た 。
無 線 通 信 に 関 し て は ,通 信 速 度 と 動 作 の 安 定 性 が 良 好 と 認 め ら れ ,拡 張 性 の 期 待 が 持 て る 。 【 参 考 文 献・資 料 】https://www.faludi.com/examples/xbee-api-library-for-processing/ - 41 -
P5
生理・生物学実験への LED の利用 生理学研究所 技術課 佐治 俊幸 【 目 的 】発 光 ダ イ オ ー ド (LED)は 、照 明 器 具 と し て の 利 用 が 広 ま っ て い る が 、従 来 の 蛍 光 灯
や 白 熱 電 球 を 置 き 換 え る タ イ プ の 照 明 用 LED で は 実 験 に 適 さ な い 場 合 が あ る 。 そ の 様 な 場
合 に は 、 高 輝 度 LED の 素 子 を 使 用 す る と 良 い が 、 そ の 使 用 方 法 に は 、 い く つ か の 注 意 を 要
す る 点 が あ る 。 今 回 は 、 1W,3W,100W の LED 素 子 を 使 用 す る 場 合 の 注 意 点 を 紹 介 す る 。 【 方 法 】 LED の 種 類 に よ る ス ペ ク ト ル の 測 定 を 行 い 、 実 験 使 用 に 適 し て い る か の 確 認 を 行
う 。 点 灯 方 法 を 確 認 す る と 共 に 発 熱 を 測 定 す る 。 【 結 果 ・ 考 察 】 LED は 、 従 来 の 蛍 光 灯 や 白 熱 電 球 と は 異 な る ス ペ ク ト ル を 有 す る た め 、 実
験に使用する際には、そのスペクトルが実験に適しているかを確認する必要がある。点灯
に 電 流 制 限 抵 抗 を 使 用 す る と 、 エ ネ ル ギ ー ロ ス が 多 く 、 複 数 の LED を 点 灯 さ せ る の に は 適
し て い な い 。専 用 IC を 使 用 し た 定 電 流 回 路 で 駆 動 す る と 省 エ ネ に な る が 、ノ イ ズ の 発 生 に
注 意 す る 必 要 が あ る 。 LED は 、 発 熱 が 少 な い と 言 わ れ る が 、 高 輝 度 LED で は 、 か な り の 発
熱 が あ る た め 、 適 切 な 放 熱 器 を 使 用 す る 必 要 が あ る 。 P6
所外研究者の実験サポート機器の製作 生理学研究所 技術課 竹島 康行 研究室では、人に何らかの刺激を与えたときの脳から発生する磁場(脳磁場計測装置)
や電位(脳波計測装置)を計測しており、これらを計測する装置は共同研究者などの所外
の方にも広く利用されている。このときの実験では外部から刺激装置などの実験機器が持
ち込まれることも多い。持ち込まれた実験機器で注意することは、刺激のタイミングを示
すトリガ信号の出力仕様には様々な方式があり、初めて使用する実験機器から出力される
トリガ信号は、実験に先立ち目的の役割を果たせるか確認をおこない、計測装置の入力仕
様 に 合 わ な け れ ば 、 そ の 信 号 を 変 換 す る な ど の 対 応 策 を 考 え な く て は な ら な い 。 トリガ信号とは、視覚刺激なら図形を提示したタイミング、聴覚刺激なら音を再生した
タ イ ミ ン グ を 示 す ON/OFF 信 号 の こ と で 、脳 磁 計 や 脳 波 計 な ど の 計 測 装 置 に 入 力 し て 脳 反 応
と 共 に 記 録 さ れ る も の で 、研 究 室 で は 主 に TTL 仕 様 の パ ラ レ ル 信 号 を 用 い て い る 。今 回 は 、
マ イ ク ロ コ ン ピ ュ ー タ の PIC デ バ イ ス を 用 い て 製 作 し た 、 シ リ ア ル か ら パ ラ レ ル へ の 変 換
とパラレルからシリアルへの変換をおこなうプロトコル変換器、また、トリガ信号を利用
し た 反 応 時 間 計 測 装 置 に つ い て 報 告 す る 。 - 42 -
P7
光通信を題材とした子供向け電子工作
神戸大学大学院 工学研究科 松本 香 【 目 的 】2015 年 8 月 に「 小 中 学 生 向 け の 夏 休 み 研 究 体 験( 主 催:電 子 情 報 通 信 学 会 基 礎 ・
境 界 ソ サ イ エ テ ィ )」と い う イ ベ ン ト が 淡 路 夢 舞 台 国 際 会 議 場 で 行 わ れ ,そ の う ち の ワ ー ク
シ ョ ッ プ『 LED を 用 い た 光 通 信 を 体 験 ! 』に 演 示 講 師 と し て 参 加 し た .こ の イ ベ ン ト を 通
じ て ,小 学 生 等 で 電 子 工 作 を し た こ と が な い 人 で も 体 験 で き る よ う に ,
「はんだをつかわな
い電子工作」について検討を行った.
【方法】はんだをつかわずに電子工作を行うために,基板の代わりには厚紙を,はんだの
代わりにはアルミテープとホッチキスを利用し,簡易な光通信の実験装置を製作した.試
作 段 階 で は 接 触 不 良 が 多 く 失 敗 が 多 か っ た た め , 工 夫 ・ 改 良 を 重 ね た . 【結果および考察】端子とアルミテープとの接触面を増やすことで接触不良は改善され,
小・中学生の参加者全員がイベント中に完成させることができた.自らの手で装置を製作
し動作させる経験を通して工作のおもしろさを知ってもらい,今後も積極的に理科に興味
を 持 っ て も ら え れ ば 幸 い で あ る . P8
炭素薄膜位相板作製方法の改善と現状について 生理学研究所 技術課 小原 正裕 【目的】私は約7年間、炭素薄膜位相板の作製を行ってきたが、その間、無帯電で長寿命
の位相板を作製するにはどうしたら良いか、頻繁に議論を重ねてきた。そして、作業環境
を整備し作製工程の一部見直しを行った結果、ほぼ毎回安定した性能の炭素薄膜位相板が
作 製 で き る よ う に な っ た 。 今 回 は 、 現 在 に 至 る ま で の 経 緯 や 改 善 点 に つ い て 報 告 す る 。 【方法】炭素薄膜位相板の作製方法は、前任者から引き継いだ方法と基本的に変えていな
いが、工程の細部について変更した。それらの変更点は、真空蒸着装置の専用化、モリブ
デン製グリッドの洗浄方法、両面グリッドコーティングの方法と材料、水面剥離用シャー
レ の 材 質 、 コ ア 膜 転 写 後 の 乾 燥 時 間 等 で あ る 。 【 結 果 】最 初 か ら 帯 電 し て 使 用 で き な い 位 相 板 が 非 常 に 少 な く な り 、CTF 特 性 が 良 好 な 炭
素 薄 膜 位 相 板 が 作 製 で き る よ う に な っ た 。 【考察】今回の改善点の総合的な要因が、帯電し難い位相板作製に寄与していると思われ
るが、それ以外に帯電の一因となり得るのは、炭素薄膜の厚さによる影響が考えられる。
今 後 は そ の 点 に つ い て も さ ら に 検 証 し て い き た い と 思 う 。 - 43 -
P9
イオンミリングを用いた電子顕微鏡観察 名古屋大学 全学技術センター 都築 賢太郎,神野 貴昭,高田 昇治 【 目 的 】生 体 試 料 の 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 (SEM)観 察 が 盛 ん に お こ な わ れ て い る 中 、当 セ ン タ ー
においても毛髪の断面観察など生体試料の前処理、観察の需要が高まりつつある。通常、
煩雑な前処理が必要となる生体試料だが、今回はイオンミリング装置による加工のみでど
の 程 度 の 前 処 理 が 可 能 か 、ま た 試 料 へ の 熱 ダ メ ー ジ の 確 認 と 対 策 を 行 う こ と を 目 的 と し た 。 【 方 法 】イ オ ン ミ リ ン グ 装 置 IM4000(日 立 )を 用 い た 。最 初 に 加 工 中 の 試 料 温 度 の 測 定 を 行
った。イオンビームを照射した銅板の温度を自作した K 熱電対で測定した。試料には生体
試料同様熱に弱く、生体試料よりも扱いが簡単な低温はんだ、アクリル樹脂を用いた。ま
た、生体試料として毛髪を用いた。加工条件の変更、間欠ミリング、試料冷却等のイオン
ビ ー ム に よ る 発 熱 へ の 対 策 を 講 じ 加 工 を 行 っ た 。 【 結 果 】 毛 髪 で は 試 料 を 冷 却 し な が ら 加 工 を 行 っ た が 平 滑 な 加 工 面 は 得 ら れ な か っ た 。 【考察】毛髪の加工面でみられるダメージは熱によるものではないようである。加工後の
毛髪断面の輪郭に歪みがみられることから、化学固定することにより歪みの軽減、加工面
の ダ メ ー ジ の 改 善 が で き る の で は な い か と 考 え る 。 P10
イオン液体・Tween20 を用いた SEM 観察用
試料前処理方法の検討 名古屋大学 全学技術センター 工学系技術支援室 鳥居 実恵, 高田 昇治, 永田 陽子, 日影 達夫, 山本 悠太, 林 育生, 樋口 公孝, 神野 貴昭, 都築 賢太郎, 伊藤 広樹 【目的】SEM観 察 業 務 に お け る 基 礎 的 で 重 要 な 知 見 を 深 め る 目 的 で 、今 後 取 り 扱 う と 予 想 さ
れ る 生 体 ・ 生 物 試 料 の 前 処 理 方 法 に つ い て 広 く 学 習 し 研 修 を 実 施 し た 。 【方法】 観察試料にはショウジョウバエを主として使用した。近年注目を浴びているイオ
ン液体法やナノスーツ法を前処理方法として検討した。ナノスーツ法に用いられているプラ
ズマ照射装置は低真空のものが多かった為、大気圧プラズマ照射装置を作成し適用を試みた。
上記前 処 理 方 法 を 実 施 し 、 ノ ウ ハ ウ の 習 得 を 試 み た 。 【結果及び考察】プラズマ照射による前処理では、ショウジョウバエの幼虫の生存を確認
で き た 。 し か し 処 理 ・ 未 処 理 の 有 意 な 差 は 見 ら れ な か っ た 。 詳 細 は 講 演 で 報 告 す る 。 【 参 考 資 料 】 1) S. Kuwabata et.al 「 Chemistry Letters」 Vol.35, No.6, (2006)
2) Y. Takaku et.al 「 Proc. Natl. Acad. Sci.」 Vol.110, No.19 (2013)
- 44 -
P11
山陰に飛来する大気汚染微小物質の
三次元微細形態解析のための新走査電顕観察法の構築
鳥取大学 技術部 医学系部門 1) ,鳥取大学 医学部 健康政策医学
堀江 享史 1) ,森野 慎一 1) ,大西 一成
2)
2)
本学は山陰地方に立地しており、大陸から飛来する大気汚染微小物質をサンプリングし
て生体への影響を調査している。それらの試料の解析手段の一つとして、走査電顕を用い
た微細構造観察と構成成分を調べる事が重要であるが、導電性付与のための金属蒸着によ
る微細構造の埋没や他の分析に使用できなくなるなど問題が多い。本発表では、無蒸着で
観察が可能な低真空二次電子観察法と金属蒸着を行う従来の観察法(以下、常法)を用い
て大気汚染微小物質の走査電顕観察を実施し、両観察法に適した観察条件の検討を行った
後、微細形態解析及び成分分析による比較を行った。常法による観察法では金属蒸着粒子
が 試 料 に 付 着 し 、微 細 構 造 観 察 へ の 影 響 や チ ャ ー ジ ア ッ プ 等 に よ り 観 察 が 困 難 で あ っ た が 、
低真空二次電子観察法ではそれらの影響は認められず、五千倍程度の微細構造観察と成分
分析が可能であった。低真空二次電子観察法は試料の再利用が可能など多くの有用性が確
認 さ れ た の で 、今 後 は 大 気 汚 染 微 小 物 質 の 観 察 を 数 万 倍 レ ベ ル ま で 高 め て い く 必 要 が あ る 。 P12
X 線を用いた組織観察の生物学への応用
大阪大学 工学研究科 大瀬 昌明,藤谷 渉 【目的】X 線の透過度は物質の種類により異なるので、非破壊で物質の内部構造を知ることができ
る。今回、生物学への応用例として生体骨におけるオステオサイト(OCY)の形態変化に注目した。
本研究では in vivo 応力によって OCY 形態がどのように変化するかナノ X 線 CT を用いて直接観察
を試みた。 【方法】生体骨を摘出し 0.5mm×0.5mm×1.5mm の試料を作製した。高分解能を得るために試料と検
出器の間隔や恒温保持を行った。 【結果】OCY の形状は応力方向へ伸長していた。伸長度合いは in vivo 応力と深く関わっていた。
温度を一定に保ち、試料と検出器を近づけると像の分解能が高くなった。 【考察】OCY 形状変化は in vivo 応力を反映していたことからメカノセンサーとしてその形状変化
を測定することの有効性が明らかとなった。恒温保持により温度変化による金属の膨張などによる
光学系の微動が小さくなること、試料と検出器の間隔を狭くすると非点のずれが小さくなることな
どにより画質改善への顕著な影響が認められた。 - 45 -
P13
連続切片からの三次元再構築
基礎生物学研究所 技術課 岡 早苗 【目的】着床前後の胚と子宮の状態を形態的に理解するため、マウス子宮と胚の連続切片
から三次元再構築し観察を行っている。数百枚におよぶ連続切片から、観察したい領域を
手 動 で 切 り 出 し、 位 置 合 わ せ を す る に は 膨 大 な 時 間 が 必 要 で あ っ た た め 、 画 像 か ら の 目 的
領域の検出と位置合わせを自動化するためのプログラムが共同研究者によって開発された。
今回は、このプログラムを利用した三次元再構築について報告する。
【 方 法 】 固 定 した 組 織 か ら 5µm の パ ラ フ ィ ン 連 続 切 片 を 作 製 し 、 HE染 色 し た 。 作 製 し た 標
本 に つ い て 、 ス ラ イ ド ス キ ャ ナ ー ( Leica SCN400) を 用 い て 組 織 全 体 の 画 像 を 取 得 した 。
新 規 開 発 プ ロ グ ラ ム を 用 い て 、 目 的 領 域 の 切 出 しと 位 置 合 わ せ を 行 っ た 。 三 次 元 再 構 築 に
は 既 存 の プ ロ グ ラ ム を 用 い た 。 【 結 果 】成 功 し た も の に つ い て は 、約 300 枚 の 連 続 切 片 に 対 し て 25 枚 お き に 手 動 で 目 的 領
域を設定することで、残りの全ての切片から自動で同じ領域の切出しが可能となった。位
置 合 わ せ の 精 度 は こ れ ま で 利 用 し て き た 様 々 な ア ラ イ メ ン ト ソ フ ト と 同 等 で あ っ た 。 【考察】組織の形状や大きさによっては自動検出の誤りや位置合わせなどが未だ困難な場
合 も あ る が 、 条 件 に よ っ て は 自 動 化 が 可 能 と な っ た 。 P14
2way ハーフバスケットの紹介 浜松医科大学 腫瘍病理学講座 加茂 隆春 HE 染 色 、特 殊 染 色 、免 疫 組 織 化 学 酵 素 抗 体 法( 免 疫 染 色 )、蛍 光 in s itu h ybridization
( FISH 法 )な ど の 手 法 で 行 う パ ラ フ ィ ン 切 片 の プ レ パ ラ ー ト 作 製 は 、脱 パ ラ ~ 脱 水 、封 入
ま で 20 枚 入 り 染 色 カ ゴ ( 市 販 品 ) と そ れ に 対 応 し た ビ ン 、 時 に は 2~ 9 枚 に 対 応 し た 溝 付
き 5 枚立染色ビンを使用することが多い。今回紹介するハーフバスケットにより、小規模
施 設 あ る い は FISH 法 な ど 少 数 の オ ー ダ ー で も 同 じ 20 枚 用 カ ゴ を 用 い ざ る を 得 ず 、使 用 液
量 も 減 ら せ な い と い う 実 情 が 解 決 で き る 。一 方 、2~ 9 枚 の た め に 溝 付 き 5 枚 立 染 色 ビ ン を
用いても、直にスライドを 1 枚ずつ把握して浸漬するためタイムラグが生じる。また、急
ぐと溝に引っ掛かる、2 枚重なってしまうこともある。該当するのは、免疫染色での賦活
処 理 液 ( 95℃ / 20 分 、 40 分 ) へ の 浸 漬 、 FISH 法 の 前 処 理 液 ( 95℃ ~ )、 プ ロ テ ア ー ゼ 処 理
液 ( 37℃ ) や プ ロ ー ブ 洗 浄 ( 72℃ ) を す る と き で あ る 。 そ の 使 用 状 況 を 報 告 す る 。 今 回 紹 介 す る カ ゴ は 、協 同 組 合 HAMING( 橋 本 螺 子 ㈱ 、橋 本 エ ン ジ ニ ア リ ン グ ㈱ 、㈱ 榛 葉
鉄 工 所 、㈲ 岩 倉 溶 接 工 業 所 )の 協 力 を 得 て 製 品 化 を 進 め て い る( 特 許 出 願 中 : 2 014-157406)。
ま た 、 専 用 耐 熱 染 色 バ ッ ト ( 金 属 製 、 ガ ラ ス 製 ) も 展 示 す る 。 - 46 -
P15
学生実習における電子顕微鏡観察
東北大学 農学研究科・農学部 電子顕微鏡室 伊東 久美子 当学部には 6 つのコースがあるが、そのうち 5 つのコース(生物系:植物生命科学・応
用動物科学・海洋生物科学、化学系:生物化学、生命化学)では、3 年次に学生実習を行
っている。これまで、学生実習における電子顕微鏡観察は 3 つのコースだけの利用だった
が 、 研 究 室 配 属 に な っ て か ら の 電 子 顕 微 鏡 利 用 者 増 加 に つ なげ た い 、 設 備 更 新 要 求 の 際 の
根拠として利用実績増やしたい、といった点から、学生実習担当教員に対して積極的に学
生実習での利用の声がけを行ったところ、今では毎年 5 つのコース全ての学生実習で利用
さ れ る よ う に な っ た 。 学生実習は一般的な研究とは異なり実習日程が厳密に決められているため、試料作製が
多少うまくいかなくてもやり直すことができない。また、予算や所有している器具類や薬
品にも限りがあるため、試料の前処理には大きな制約がある。これまでは実習担当の教員
自身も電子顕微鏡観察の経験のある場合が多かったが、近年は経験のない方が増えてきて
いるため、試料作製過程の中で省略しても観察像に影響が少ないところを伝え、安価な小
道 具 製 作 を 引 き 受 け る な ど に よ り 、 教 員 の 負 担 軽 減 に 努 め て い る 。 P16
高知大学岡豊キャンパス技術職員の現状と
組織化の取組み
高知大学 教育研究部 病理学講座 林 芳弘 総合研究センター実験実習機器施設 片岡 佐誉 全国国立大学法人等技術職員の組織化・再編成が急速に推し進められ、より効率的な技術
支援体制の構築が実現していますが、高知大学岡豊キャンパス(医学部等)技術職員の組織
化はほとんど進展していません。しかし、医学部技術職員の「高知大学の全学部技術職員研
修会を開催したい」という事務局への問いかけをきっかけに、岡豊キャンパス技術職員と事
務局職員との対話が進むとともに、平成 27 年度学長裁量経費「高知大学岡豊キャンパス(医
学部等)技術職員技術支援体制の構築」というプログラムが採択されました。それに加え、
平成 28 年度中四国国立大学等技術職員研修会・マネジメント研究会・代表者会議が高知大学
と高知高専主催で開催されることもあり、技術職員と事務局との交流が活発化し、技術職員
の存在感と重要度が増しつつあり、組織化に向けて進展するものと期待しています。 今回、高知大学岡豊キャンパス(医学部講座および総合研究センター)技術職員の現在ま
での、そして今後の組織化への取り組みについて報告します。
- 47 -
P17
大型スペクトログラフの紹介と
実験サポートの現状
基礎生物学研究所 技術課 内川 珠樹 大 型 ス ペ ク ト ロ グ ラ フ は 様 々 な 生 物 種 の 光 応 答 反 応 を 解 析 す る た め の 大 型 分 光 照 射 設 備
で あ る 。赤 道 直 下 に 降 り 注 ぐ 太 陽 光 以 上 の 光 強 度 を 持 ち 、か つ 純 度 の 高 い 任 意 の 単 色 光( 紫
外~可視~赤外)として別々の生物試料に同時照射できることが特長である。これらの特
長により、他の光照射装置と比較して非常に高い精度のアクションスペクトル解析が可能
と な る 。 1940 年 代 ~ 1970 年 代 に か け て 世 界 中 で 建 設 さ れ る 中 、 国 立 共 同 利 用 機 関 (現 大 学 共 同 利
用 機 関 法 人 )で あ る 基 礎 生 物 学 研 究 所 (愛 知 県 岡 崎 市 )に お い て 、 1980 年 に 設 立 さ れ た 。 現
在 の 光 照 射 実 験 で は LED 光 源 が 汎 用 さ れ て い る も の の 、 大 型 ス ペ ク ト ロ グ ラ フ で の み 可 能
な実験も多々ある。そのため、建設されてから現在に至るまで、共同利用設備として全国
の研究者にご利用いただいている。本発表では、本設備の性能に関する紹介と技術的サポ
ー ト 例 を 紹 介 す る 。 P18
生命科学研究の Core Facility としての歩み
〜教育・研究支援センター10 年目を迎えて〜
九州大学 医学研究院附属ヒト疾患モデル研究センター教育・研究支援センター 高見 重美 九 州 大 学 医 学 研 究 院 附 属 ヒ ト 疾 患 モ デ ル 研 究 セ ン タ ー 教 育 ・ 研 究 支 援 セ ン タ ー ( 以 下 支
援 セ ン タ ー )は 、平 成 18 年 10 月 の 開 設 か ら 10 年 目 を 迎 え た 。支 援 セ ン タ ー は 、本 学 の 生
命科学研究における「先端的研究の推進」と「若手研究者の育成・ボトムアップ」を目的
と し て 医 学 研 究 院 が 管 理 運 営 を 行 っ て い る が 、設 立 当 初 か ら「 Core F acility」と し て 学 部
を問わず本学のすべての研究者・学生に対して支援を行っている本学では画期的な施設で
あ る 。 主 な 業 務 は ① DNA シ ー ケ ン ス と DNA マ イ ク ロ ア レ イ の 受 託 、 ② 設 置 機 器 ( 約 50 台 )
の管理・運営、③分子生物学の基礎実験指導、④基礎セミナーの開催である。昨年度まで
にのべ 8 万 5 千名が利用し、支援センターを利用して得られた研究成果が記載された英文
原 著 論 文 は 210 報 に 達 し た( 平 成 28 年 1 月 現 在 )。本 発 表 で は 、支 援 セ ン タ ー の 10 年 の 歩
み を 紹 介 す る と 共 に 、 今 後 の 課 題 等 に つ い て も 報 告 す る 。 【 参 考 資 料 】 教 育 ・ 研 究 支 援 セ ン タ ー 10 周 年 記 念 誌 - 48 -
P19
阿南市新野地区における民間薬調査
徳島大学大学院 医歯薬学研究部 薬学系薬用植物園 今林 潔, 川添 和義 【目的】徳島県における民間医療に関する情報継承の状況を把握し、それをできる限り文
書化して継承すると同時に、当該地域における医薬品利用の資料することを目的として調
査 を 行 っ て い る 。 【 方 法 】調 査 は 2013 年 8 月 10 日 か ら 3 日 間 、徳 島 大 学 職 員 と 徳 島 大 学 学 生 の 26 人 で 行 っ
た 。 平 成 25 年 度 時 点 で 、 新 野 地 区 の 人 口 は 3,914 人 、 1431 世 帯 で 、 限 ら れ た 調 査 員 と 調
査 日 数 の た め 、 全 世 帯 で は な く ラ ン ダ ム に 抽 出 し た 家 を 訪 ね 調 査 を 行 っ た 。 【 結 果 】 得 ら れ た 情 報 は 全 部 で 982 件 で あ り 、 植 物 由 来 891 件 、 動 物 由 来 48 件 、 菌 類 5
件 、加 工 品・そ の 他 6 件 、不 明 32 件 で あ っ た 。ま た 、民 間 薬 の 利 用 目 的 と し て 、最 も 多 い
の が 健 胃 整 腸 、下 痢 止 め な ど を 目 標 と し た「 消 化 器 系 疾 患 」
( 142 件 、23 品 目 )で 、利 用 さ
れ る 民 間 薬 と し て は セ ン ブ リ ( 41 件 )、 ド ク ダ ミ 、 ゲ ン ノ ウ シ ョ ウ コ ( と も に 24 件 )、 ア
ロ エ ( 17 件 )、 イ ワ タ バ コ ( 5 件 )、 エ ビ ス グ サ ( 4 件 ) で あ っ た 。 そ し て 、 新 野 地 区 「 イ
シ ャ イ ラ ズ 」 調 査 で は 、 ド ク ダ ミ と ゲ ン ノ ウ シ ョ ウ コ が 同 数 ( 33 件 ) で 最 も 多 か っ た 。 P20
教養ゼミにおけるキャンパスツアー
自然散策道「発見の小径」観察ガイドへの取り組み-2広島大学 技術センター 宇都 武司 広島大学では、一年生を対象にした教養教育科目に教養ゼミがあります。ゼミを担当す
る教員より総合博物館にキャンパスの自然についてガイド依頼があり、技術センター所属
の職員数名がガイドを対応しています。私は「発見の小径」周辺の両生類の観察をするた
め よ く 利 用 し て い た の で 誘 わ れ 、 動 物 を 中 心 と し た ガ イ ド を 行 う よ う に な り ま し た 。 自 然 散 策 道 「 発 見 の 小 径 」 に は 昔 な が ら の 里 山 的 な 自 然 環 境 が 残 さ れ て お り 、 滅 危 惧 種
を含む多様な動植物絶が生息しておりそれを解説しながら歩きます雨天時は、足場が悪く
なるところもあるので歩けるところだけを歩いて、余った時間は、総合博物館の理学研究
科サテライトの附属両生類研究施設展示スペースで広島県に生息している13種類のカエ
ル の う ち 8 種 類 が キ ャ ン パ ス 内 に い る の で 、 生 態 展 示 を 交 え 説 明 し ま す 。 今 回 は 、2015 年 度 の 教 養 ゼ ミ 、自 然 散 策 道「 発 見 の 小 径 」観 察 ガ イ ド の 実 施 状 況 と 、自
然 散 策 道 「 発 見 の 小 径 」 で 観 察 で き る 生 き 物 の 紹 介 を 行 い ま す 。 - 49 -
P21
総合技術部情報ネットワーク職群研修の開催
東北大学大学院 医学系研究科・医学部 広報室 一條 肇 【 目 的 】 近 年 、 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク 担 当 の 技 術 職 員 等 が 、 広 報 業 務 の 一 部 ( 特 に web サ イ ト
運 営 や リ ニ ュ ー ア ル 、写 真 や 動 画 の 撮 影 )を 兼 務 す る 事 例 が 数 多 く 見 ら れ る 。し か し 、web
の運営やリニューアルに関する知識や、指導を受ける機会が無い。そこで総合技術部情報
ネットワーク職群としては、基本的な知識・技術習得の機会を提供することが、今後の主
体 的 な 業 務 遂 行 へ つ な が る と 考 え た 。 【 結 果 ・ 考 察 】 実 務 経 験 者 や web サ イ ト 担 当 者 が 参 加 し た が 、 知 ら な い 内 容 も 多 い と い う
意見が見られた。参加者内には、会場掲示ポスターを見て参加を申し出た事務職員や学生
もいた。席に余裕があったので参加を認めたが、技術職以外の職員・学生等にも必要とさ
れ る 内 容 で あ っ た こ と も う か が え る 。 参加者からの評価もおおむね高く、同ジャンルでの中級編講座やもっと長時間での講習
開 催 な ど の 要 望 も あ っ た こ と か ら 、 今 後 の 企 画 へ の 期 待 も 高 い 。 今後も、各担当者の業務内容の確認や活動実態等を詳しく調査し、ニーズに合った研修
を 企 画 ・ 開 催 す る こ と で 、 大 学 全 体 の 広 報 活 動 の 更 な る 質 の 向 上 へ の 一 助 と な る だ ろ う 。 P22
Javascript と PHP による
プログラムを隠蔽したホームページの作成
名古屋大学 全学技術センター 情報通信技術系 大川 敏生 【目的】名古屋大学の小田裕昭准教授の依頼で、個人の状態に対応した栄養指導を支援するツー
ル開発の一環として、来年度運用予定の「N 式パーソナル食事摂取基準 2015 年版(ベータ版)」を
作成した。 このホームページは、判定等の仕組みを隠蔽させ、値の変更により直ちに結果を表
示できる仕様である。 【方法】入力した値から結果を表示させる場合、PHP 言語でサーバ処理
を行う方法が一般的であるが、[submit]ボタンによる値の入力および結果の表示である。 一方
web ブラウザの信頼性の向上で Javascript 言語によるクライアント処理も一般的になっているが、
判定プログラムが隠蔽できない。 仕様を満たすために Javascript と PHP を協調したプログラミ
ングを行った。 【結果】当初ツールはエクセルのマクロを用いたシート上で利用されていたが、
作成したホームページ上でも同等に操作することが出来た。 【考察】Javascript から PHP を利
用可能なことが立証された。 これは Database との協調も示唆され、Javascript から Database
を操作するホームページも構築して行きたい。 【参考文献・資料】・JavaScript(jQuery)から
PHP の API を利用する(http://qiita.com/mpyw/items/62e6e415f86eb30a5ff4) - 50 -
P23
暗号強度を高めたパスワード管理ツールの開発 (2)
生理学研究所 技術課 村田 安永 【 目 的 】 前 回 は パ ス ワ ー ド を 安 全 に “ 保 存 ” す る た め の 実 装 を 行 っ た が 、パ ス ワ ー ド を 安
全に“入力”する方法についての検討が不十分であったので、リリースを延期することに
し た 。 今 回 は 、こ の 検 討 を 行 い 、 キ ー ロ ガ ー と ク リ ッ ク ボ ー ド ・ モ ニ タ ー に よ る 情 報 の 盗
み 取 り か ら 防 御 で き る 入 力 機 能 を 開 発 し た の で 報 告 す る 。 【 方 法 】前 回 と 同 様 に 開 発 言 語 は C/C++、ユ ー ザ ー イ ン タ ー フ ェ ー ス 部 分 は Qt ツ ー ル キ ッ
ト を 採 用 し た 。 ま た 、Windows、 Mac、 Linux の 全 て で 安 全 な 自 動 入 力 を 可 能 に す る た め 、
各 OS の ラ イ ブ ラ リ が 用 意 し て い る 関 数 を 直 接 呼 び 出 す よ う に し た 。 【結果】パスワード入力欄のあるウィンドウを自動的に前面に持ち上げてから自動入力を
行う方式と、手動でウィンドウを切り替えたタイミングで自動入力を行う方式の2つを実
装した。さらに、キーボード入力のイベント発生とクリップボードを使ったペーストを組
み 合 わ せ た ハ イ ブ リ ッ ド 入 力 機 能 を 実 装 し た 。 こ れ は KeePass の TCATO と い う 機 能 に 相 当
す る も の で あ る が 、PuTTY や TeraTerm で も 使 え る よ う な 工 夫 を 行 っ た 。 【 考 察 】 実 装 予 定 の 機 能 が ま だ 残 っ て い る 。 早 急 に 全 て を 完 成 さ せ て リ リ ー ス し た い 。 P24
GPS モジュールを使用した NTP サーバーの検討
生理学研究所 技術課 吉村 伸明 【 目 的 ・ 方 法 】 昨 今 Global Positioning System( GPS) モ ジ ュ ー ル の 入 手 が 容 易 に な り ,
こ れ を 利 用 す る こ と で 精 度 10n 秒 オ ー ダ ー の タ イ ム パ ル ス( カ タ ロ グ 値 )を 取 得 す る こ と
が 可 能 に な っ て き て い る 。 そ こ で シ ン グ ル ボ ー ド コ ン ピ ュ ー タ で あ る Raspberry P i と GPS
モ ジ ュ ー ル を 組 み 合 わ せ る こ と で Network T ime P rotocol( NTP) サ ー バ ー を 構 築 , こ れ を
検 証 し , ど の 程 度 の 利 用 や 応 用 が 可 能 な の か 検 討 を 行 っ た 。 【 結 果 】作 製 し た NTP サ ー バ ー 単 体 で は 目 標 で あ る ±1μ 秒 の 精 度 に 達 し て い る 。GPS ア ン
テ ナ は 全 天 の 1/4 が 見 え て い れ ば お お む ね 問 題 無 い 。
2 機 種 の GPS ユ ニ ッ ト を 検 証 し た が ,
タ イ ム パ ル ス の 立 ち 上 が り を 比 較 す る と ±200n 秒 程 度 の 揺 ら ぎ が あ っ た 。 【 考 察 】 組 織 の 標 準 時 と す る 場 合 に は 安 定 面 に 不 安 が あ る た め , 複 数 の NTP サ ー バ ー で 協
調 シ ス テ ム を 構 成 し た い 。閉 じ た ネ ッ ト ワ ー ク で の 時 刻 提 供 が 安 価 に 実 現 で き る 。 離 れ た
2 地 点 間 で 同 時 に 実 験 や 観 測 を 行 う 場 合 に 応 用 が 可 能 で あ る 。今 回 Precision Time Protocol( PTP) は 使 用 し て い な い が , こ れ も 視 野 に 入 れ て 応 用 し て い き た い 。 - 51 -
P25
Gene Expression Omnibus 利用方法の検討
東北大学大学院 農学研究科・農学部 小森 和樹 【 目 的 】 NCBI が 提 供 す る Gene E xpression O mnibus に は 、 世 界 中 の 研 究 者 が 実 施 し た マ イ
クロアレイ実験の情報がデータベース化され、登録されている。これを利用する事で、自
身 が 興 味 の あ る 遺 伝 子 発 現 情 報 の 解 析 を 簡 便 に 行 う こ と が で き な い か 検 討 し た 。 【 方 法 】 (1) G ene E xpression O mnibus か ら マ イ ク ロ ア レ イ の 結 果 を ダ ウ ン ロ ー ド す る ( テ
キ ス ト デ ー タ )。 (2) 使 用 さ れ た マ イ ク ロ ア レ イ の probe 情 報 と 解 析 デ ー タ の 紐 付 け を 行
う 。(3) 興 味 が あ る 遺 伝 子 (今 回 は vasohibin)の 発 現 が 高 い か 低 い か で 群 分 け し 、 解 析 を
行 う 。(今 回 は 主 に kaplan-meier 法 に よ る 予 後 へ の 影 響 を 見 た ) 【結果】自身でマイクロアレイ実験を行うことなく、興味のある遺伝子が予後へどのよう
な 影 響 を 与 え て い る か 見 る こ と が で き た 。 【考察】サンプルが異なるためか、結果が安定しない傾向にある。事前調査としては優秀
だ が 、 断 定 す る に は や は り ウ ェ ッ ト な 実 験 に よ る 追 従 試 験 が 必 要 で あ る と 考 え る 。 P26
フローサイトメーターを用いた
ゲノムサイズ測定法の検討
基礎生物学研究所 技術課 尾納 隆大 【目的】共同利用研究のひとつとしてフローサイトメーターを用いてゲノムサイズの測定
を行っている。今回の報告ではゲノムサイズ測定の一連の流れを紹介し、動物・植物・菌
類 と 様 々 な サ ン プ ル の 測 定 を 行 っ て き た 中 で 実 際 に 試 行 錯 誤 し て い る 点 を 報 告 す る 。 【方法】ゲノムサイズ測定対象となるターゲットサンプルとゲノムサイズが既知のレファ
レンスサンプルを準備する。それぞれのサンプルから細胞を解離し、界面活性剤で細胞膜
を破壊した後、蛍光色素で核を染色し、フローサイトメーターで解析する。その後、レフ
ァレンスサンプルの既知ゲノムサイズと各サンプルの測定値を用いて、ターゲットサンプ
ル の ゲ ノ ム サ イ ズ を 推 定 す る 。 【結果】昆虫など動物では上記の方法で信頼性のあるデータが得られる一方、植物や菌類
で は 信 頼 性 の あ る デ ー タ が 得 ら れ な か っ た 。 【考察】植物や菌類では細胞壁や二次代謝産物の影響でうまく核を染色できていない可能
性 が 高 い 。 今 後 は 細 胞 を 固 定 す る 方 法 を 試 す な ど サ ン プ ル 調 製 方 法 を 見 直 す 。 - 52 -
P27
プロテインシーケンサで高分子量タンパク質の
アミノ酸配列決定をより長く行うためのガス圧の検討
基礎生物学研究所 技術課 牧野 由美子 【 目 的 】タ ン パ ク 質 の N 末 端 ア ミ ノ 酸 配 列 解 析 を 、感 度 の 異 な る 2 台 の プ ロ テ イ ン シ ー ケ
ン サ で 行 っ て い る 。分 子 量 が 大 き い( お よ そ 80k 以 上 )タ ン パ ク 質 で は 、反 応 を 進 め る ほ
ど 、全 体 的 に ア ミ ノ 酸 ピ ー ク が 上 昇 し 、本 来 の N 末 端 の ア ミ ノ 酸 ピ ー ク が 判 別 不 能 と な り 、
長いアミノ酸配列の決定は困難となる。これを抑えるため、強酸の試薬をガスで送る方法
が あ る 。 ガ ス で 送 る 際 の ガ ス 圧 の 値 に よ り ア ミ ノ 酸 配 列 決 定 数 が 変 わ る た め 、 ガ ス 圧 の検
討を行った。
【 方 法 】初 め に 、標 準 タ ン パ ク 質 のβ -ラ ク ト グ ロ ブ リ ン( 約 18k)を 用 い て 、ガ ス 圧 の 値
を 0.1psi ず つ 変 え て 測 定 し 、繰 り 返 し 収 率 が 高 い 値 と な る ガ ス 圧 を 検 討 し た 。試 料 形 態 は 、
液 体 と PVDF 膜 の 2 種 類 で 、2 台 の 装 置 を 用 い て 行 っ た 。次 に 、分 子 量 の 大 き い タ ン パ ク 質
と し て ß-ガ ラ ク ト シ ダ ー ゼ ( 約 117k) を 用 い て 検 討 し た 。 【 結 果 】 液 体 、 PVDF 膜 で 異 な る ガ ス 圧 値 が 得 ら れ 、 2 台 の 装 置 で は 同 様 な 値 が 得 ら れ た 。 【 考 察 】 各 装 置 に 得 ら れ た 値 を 設 定 し て 、 今 後 の依 頼 測 定 等 に 用 い る 予 定 で あ る 。 P28
ヨコエビ類の同定とその視物質発色団の分析
浜松医科大学 医学部 総合人間科学講座 外山 美奈 【 目 的 】こ れ ま で の 研 究 で 、昆 虫 に 特 有 と 考 え ら れ て い た 3-hydroxyretinal(A3)を 視 物 質
と し て も つ こ と を 甲 殻 類 の 地 中 海 性 の ハ マ ト ビ ム シ Taritrus s altator で 発 見 し た 。 A3 を
もつことが他のヨコエビ類でも一般的なのかを検討するために、今回、浜松市近郊で採集
し た ヨ コ エ ビ 類 の 種 同 定 と そ の 視 物 質 発 色 団 の 解 析 を お こ な っ た 。 【方法】材料のヨコエビ類は浜松市近郊の海水域、陸上で採集した。同定は「日本産土壌
動物、
青 木 淳 一 編 著 」を 参 考 に し 、
実体顕微鏡および走査電子顕微鏡を用いておこなった。
視 物 質 発 色 団 は 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー (HPLC)に よ り 解 析 し た 。 【 結 果 】 採 集 し た ヨ コ エ ビ は 、 そ れ ぞ れ ニ ホ ン オ カ ト ビ ム シ Platorchestia j aponica 、 ニ
ホ ン ヒ メ ハ マ ト ビ ム シ Platorchestia pachypus 、 ニ ホ ン ス ナ ハ マ ト ビ ム シ Sinorchestia nipponensis で あ り 、 い ず れ も A3 を も つ こ と が わ か っ た 。 【 考 察 】ヨ コ エ ビ 類 は A3 を 視 物 質 発 色 団 に も つ こ と が 明 ら か に な っ た 。多 様 な 光 環 境 に 生
息 す る ヨ コ エ ビ 類 に つ い て も 網 羅 的 に 調 べ 、 生 物 の 視 覚 環 境 適 応 を 解 析 す る 必 要 が あ る 。 【 参 考 文 献 ・ 資 料 】 日 本 産 土 壌 動 物 分 類 の た め の 図 解 検 索 [第 二 版 ]青 木 淳 一 編 著 - 53 -
P29
αリポ酸が有するデトックス効果
-カドミウム中毒の軽減効果の検証富山大学 医薬系技術部 病理診断学 八田 秀樹 イタイイタイ病は慢性カドミウム中毒の極型とされ、富山県神通川流域で発生した公害
病である。カドミウムは当初は腎臓の近位尿細管に蓄積し、尿細管障害を発生させると考
えられており、カドミウム腎症が進行すると、腎性骨軟化症が発生してイタイイタイ病に
特 有 の 骨 病 変 を 形 成 す る 。 一 方 α リ ポ 酸 は 、 S-S 結 合 を 有 し て 生 体 内 で 可 逆 的 に 酸 化 ・ 還 元 さ れ る こ と で 、 SH 基 と
移 行 し 解 毒 作 用 を 発 揮 す る こ と が 知 ら れ て い る 。 今回我々は、重金属を体外に排出し、重金属による組織障害の軽減効果を有する、αリ
ポ酸を素材とした新規サプリメントの開発を目的とし、動物モデルを用いて病理組織学的
に 有 効 性 の エ ビ デ ン ス を 集 積 し た の で 報 告 す る 。 本 研 究 は 、 平 成 26 年 度 産 学 官 連 携 推 進 事 業 【 新 商 品 ・ 新 事 業 創 出 枠 】( 富 山 県 新 世 紀 産 業
機 構 / 第 12 グ ル ー プ : バ イ オ 分 野 ) の 助 成 金 に よ り 実 施 し た 。 P30
アフリカツメガエル胚からの total RNA 精製法の検討
基礎生物学研究所 技術課 高木 知世 【 目 的 】 動 物 の 胚 や 組 織 か ら RNA を 抽 出 す る 方 法 に は 、 ① RNA 抽 出 キ ッ ト (ス ピ ン カ ラ ム )
を 用 い る 方 法 と ② Acid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform extraction(AGPC)
法 が あ る 。 ア フ リ カ ツ メ ガ エ ル 胚 か ら ト ラ ン ス ク リ プ ト ー ム 解 析 用 、 RT-qPCR 用 に 精 製 度
の 高 い total RNA を 単 離 す る た め 、 ① RNA 抽 出 キ ッ ト ( QIAGEN)を 使 用 し た 方 法 と ② AGPC
法 を も と に 改 良 さ れ た 試 薬 RNAzol( Molecular Research Center, Inc.) を 使 用 し た 精 製
方 法 に つ い て 検 討 し た 。 【 方 法 】 ① Methods 6 6(3): 3 98-409 ( 2014)を 参 考 に 、 精 製 に 使 用 す る キ ッ ト の 種 類 RNeasy MinElute Cleanup Kit(QIAGEN)、 RNeasy Mini Kit(QIAGEN)と 使 用 回 数 を 検 討 し た 。 ② RNAzol を 用 い て total R NA を 単 離 し 、 そ の total R NA に ゲ ノ ム DNA の 混 入 が な い こ と を
RT-PCR を 行 い 確 か め た 。 【 結 果 】 ① RNeasy M inElute C leanup K it、 RNeasy M ini K it の カ ラ ム を 2 回 使 用 し た 場 合 、
途 中 で RNA が 分 解 さ れ た が 、RNeasy M ini K it を 3 回 使 用 す る こ と で 精 製 度 の 高 い total R NA
が 単 離 で き た 。 ② RNAzol で ゲ ノ ム DNA の 混 入 の な い total RNA が 簡 便 に 単 離 で き た 。 - 54 -
P31
PC12 細胞におけるバラプラセンタの
神経突起に与える影響
徳島大学大学院医歯薬学研究部 総合研究支援センター 1) 歯科麻酔科学分野
2)
(株)銀座・トマト 3) 庄野 正行 1) , 富岡 重正 2) , 近藤 千恵子 3) , 若山 睦 3) 【 目 的 】ラ ッ ト 副 腎 髄 質 褐 色 腫 細 胞( PC12)は 、神 経 細 胞 成 長 因 子 (NGF)に よ っ て 増 殖 を 停
止 し 神 経 細 胞 に 分 化 す る 。今 回 我 々 は NGF で PC12 細 胞 を 分 化 誘 導 さ せ た 時 に バ ラ プ ラ セ ン
タ が 神 経 突 起 に 与 え る 影 響 を 検 討 し た の で 報 告 す る 。 【 方 法 】PC12 細 胞 は 、1X10 5 に な る よ う に 希 釈 調 製 し 35mm プ ラ ス チ ッ ク シ ャ ー レ( タ イ プ
I コ ラ ー ゲ ン コ ー テ ィ ン グ ) に 1 日 培 養 液 ( DMEM) で 培 養 し 、 2 日 目 に は NGF 及 び NGF+バ
ラ プ ラ セ ン タ を 添 加 し て 培 養 し た 。 添 加 後 、 1 日 毎 に 3 日 ま で 撮 影 し 、 解 析 ソ フ ト ImageJ
で 特 に よ く 伸 び た 神 経 突 起 を 選 び 算 出 し た 。 【 結 果 】PC12 細 胞 に バ ラ プ ラ セ ン タ の み を 添 加 し た 場 合 は 、ほ と ん ど 神 経 突 起 の 伸 張 は 見
ら れ な か っ た 。 NGF を 添 加 し た 時 は 、 神 経 突 起 は 伸 張 し た が 、 し か し NGF+バ ラ プ ラ レ ン タ
を 添 加 し た 時 は 、 さ ら に 神 経 突 起 の 伸 張 は 長 い も の が 多 く 示 唆 さ れ た 。 P32
ゲンジボタル雄雌の相互結合に見られる発光同期パタン
のダブルプロット法による解析
徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 総合技術センター 辻 明典 【目的】ホタルの集団明滅は心筋細胞の拍動や神経細胞の周期発火を始めとした生物リズ
ムに見られる同期現象の一つであるが,その詳細なメカニズムは明らかになっていない。
そこで本研究では,ゲンジボタル雄雌 2 個体の組(雄-雄,雄-雌,雌-雌)を用いて,
互 い の 発 光 リ ズ ム が 同 調 し た と き に ど の よ う な 発 光 パ タ ン が 現 れ る か を 調 べ た 。 【方法】静止状態の雄雌の組を高感度カメラで撮影し,映像から時間-相対発光強度の波
形を生成した。この波形に概日リズムの観測に用いられるダブルプロット法を適用し,ホ
タ ル の 明 滅 の 1 回 を 1 周 期 と し て 相 互 結 合 時 に 見 ら れ る 発 光 パ タ ン を 解 析 し た 。 【結果】ホタル雄雌の相互結合時の発光同期パタンを大別すると,互いの発光の①立ち上
がりエッジで同期,②立ち下がりエッジで同期,③両エッジで同期する反応が見られ,さ
らに互いの発光が④最も弱くなる状態において位相が固定されることが分かった。以上の
結果は,相互結合時には相手からの光刺激に対して自らの発光量を適応的に制御して同期
す る こ と を 示 し て い る 。 - 55 -
P33
マウス凍結精子による系統導入の事例報告
生理学研究所 技術課 廣江 猛 【目的】動物実験センターに搬入されるマウスは、個体で導入すること以外に、凍結受精
卵 で 系 統 導 入 を し て い る 。し か し 近 年 、凍 結 精 子 に よ る 系 統 導 入 の 相 談 が 増 え て き て お り 、
技 術 習 得 を 行 っ た 。今 回 、FERTIUP 凍 結 保 存 液 (F 保 存 液 )を 使 用 し た 凍 結 精 子 と 、使 用 し て
い な い 凍 結 精 子 (海 外 導 入 凍 結 精 子 )(非 F 保 存 液 )に よ る 体 外 受 精 の 事 例 の 報 告 を 行 う 。 【 方 法 】 F 保 存 液 で 凍 結 さ れ た 精 子 は 、 FERTIUP 前 培 養 液 (F 前 培 養 液 )と CARD MEDIUM(CM)
を 用 い た 、 CARD 定 法 に よ る 体 外 受 精 (方 法 1)を 行 っ た 。 非 F 保 存 液 凍 結 精 子 は 、 方 法 1 と
CARD 推 奨 で あ る 、保 存 液 に HTF 培 地 を 加 え 希 釈 し た 後 に 、遠 心 し て 保 存 液 を リ ン ス し て か
ら F 前 培 養 液 と CM を 用 い る 体 外 受 精 (方 法 2)を 行 っ た 。 【結果およびまとめ】F 保存液の凍結精子を用い方法 1 で体外受精をしたところ、高い受
精率が得られた。非 F 保存液の凍結精子を用いた場合、系統差を考慮する必要があるが、
方法 2 の受精率は低い傾向が認められた。今回いずれの系統も産仔を得ることができ、無
事に系統を導入することができた。引き続き今後もデータを蓄積し、非 F 保存液を用いた
凍 結 精 子 の 受 精 率 改 善 を 目 指 し て い き た い 。 P34
マーモセットの視線計測
生理学研究所 技術課 戸川 森雄 【目的】我々の研究室では、サリエンシーマップによる精神疾患のトランスレータブル脳
指標を探索することを可能とする技術の開発を目指している。そこでマーモセットに静止
画像、動画を提示している間の自発的眼球運動の計測を試みるためのセットアップを行っ
た の で 紹 介 す る 。 ま た マ ー モ セ ッ ト の 実 験 上 必 要 と さ れ た 製 作 物 を 併 せ て 報 告 す る 。 【 方 法 】マ ー モ セ ッ ト の 視 線 計 測 に は 、EyeLink P rimate( 急 速 眼 球 運 動 解 析 装 置 )を 使 用
している。これはアイカメラを動物の上方に設置しハーフミラーを介して動物の眼球映像
を取り込む構成になっている。今回、カメラの固定には顕微鏡のステージを利用して微妙
な 調 整 が で き る よ う に し 、 ハ ー フ ミ ラ ー の 位 置 調 整 も 可 能 と し た 。 そ の 他 、 付 属 の LED モ
ジ ュ ー ル が ハ ー フ ミ ラ ー 越 し で は 光 量 が 弱 か っ た た め 眼 球 へ の 直 接 照 射 に 切 り 替 え た 。 【結果】マーモセットに対して静止画像を一定時間繰り返し提示し視線計測を行った。そ
の結果、アイカメラの微妙な調整により眼球運動を無事捉えることができた。しかし頭部
の 保 定 が ま だ あ ま く 微 妙 に 動 い て し ま う こ と が あ る の で 、今 後 3D プ リ ン タ に よ る ヘ ル メ ッ
ト 作 製 、 頭 部 固 定 用 の ヘ ッ ド ポ ス ト を 取 り 付 け る な ど の 対 応 策 を 検 討 す る 。 - 56 -
P35
SPF マウス施設用・高圧蒸気滅菌装置の更新
基礎生物学研究所 技術課 野口 裕司 【 背 景 ・ 目 的 】 SPF マ ウ ス 施 設 用 の 高 圧 蒸 気 滅 菌 装 置 は 、 耐 圧 性 を 備 え た 第 一 種 圧 力 容 器
であり、蒸気を用いて微生物などの病原菌を死滅させることのできる装置である。マウス
の 飼 育 器 材 ( ケ ー ジ や 給 水 瓶 な ど ) や 床 敷 等 を 対 象 に 滅 菌 処 理 を 施 す こ と に 利 用 し 、 SPF
マ ウ ス 施 設 内 を 高 い 清 浄 度 に 保 持 す る 上 で 必 須 の 機 器 で あ る 。 2013 年 12 月 、 老 朽 化 に 伴
う 劣 化 に よ り 廃 止 す る こ と に 至 っ た た め 、 そ の 調 達 を 行 っ た 。 【方法・結果】本体内缶胴板・棒ステー溶接部の腐食によるクラック(割れ)が確認され
たことで、使用不能となった既設の本装置に代わり、機能や仕様等において同タイプの機
種 を 新 た に 導 入 し た 。そ の 設 置 工 事 は 2014 年 6 月 末 に 約 1 週 間 に 亘 っ て 行 わ れ 、約 半 年 の
ブ ラ ン ク を 経 て 無 事 復 旧 し た 。 【考察】労基署での書類手続きをはじめ、設置工事、室内の消毒作業といった一連の流れ
を経験できたことは、自身の大きな糧となった。ただ、トラブル直後の慌ただしい状況か
らでの対応ではなく、時間に余裕を持って計画を進めることが望ましい。そのため、どの
タ イ ミ ン グ で 機 種 を 入 れ 替 え る か 、 時 期 の 決 定 が 重 要 な ポ イ ン ト と 言 え る 。 P36
ラット生殖工学技術の実用化に向けて
旭川医科大学 教育研究推進センター 動物実験技術支援部門 日野 千紘 【目的】近年マウスの生殖工学技術が広く普及している一方で、ラットの生殖工学技術は
未だ実用的な技術として定着していない。今回、その原因の 1 つとされるラット体外受精
率 の 不 安 定 性 の 改 善 を め ざ し 、 種 々 の 条 件 を 検 討 し た 。 【 方 法 】 は じ め に 体 外 受 精 に 用 い る 培 地 ( HTF・ m R1ECM・ TYH 等 ) の 検 討 を 行 っ た 。 次 い
で 精 子 前 培 養 、採 卵 等 各 作 業 時 間 が 受 精 率 に 及 ぼ す 影 響 を 解 析 し た 。さ ら に 各 系 統( Wistar、
SD、 F344/N、 NER、 NAR、 SD-Tg( CAG-EGFP)) で 体 外 受 精 を 行 い 、 得 ら れ た 胚 を 用 い て 凍 結
保 存 、 融 解 、 卵 管 内 移 植 に よ る 個 体 復 元 を 行 っ た 。 【 結 果 ・ 考 察 】 ラ ッ ト 体 外 受 精 に 用 い る 培 地 は 、 検 討 し た 中 で は HTF が 最 も 適 し て い た 。
加 え て 、安 楽 死 か ら 卵 管 摘 出 ま で の 作 業 時 間 と 作 業 中 の 温 度 管 理 の 徹 底 に よ り 受 精 率 90%
前後の安定した結果が得られることが明らかとなった。各系統の凍結胚の卵管内移植にお
いては、全ての系統で産子が得られた。今後は産子を効率的に得られるさらに安定した方
法 を 確 立 す る た め 凍 結 保 存 、融 解 、卵 管 内 移 植 の 条 件 検 討 を 行 う 必 要 が あ る と 考 え て い る 。 - 57 -
P37
動物福祉に配慮した実技講習会の開催について
生理学研究所 技術課 窪田 美津子 【 目 的 】 動 物 実 験 セ ン タ ー 利 用 者 を 対 象 に 、 マ ウ ス の 取 り 扱 い に 不 慣 れ な 方 、 動 物 実 験 初心者の方が、動物の福祉に配慮したマウスの正しい取り扱い方と、基本的な手技を習得
し 、 3R の 原 則 に 基 づ く 実 技 講 習 会 を め ざ す 。 【 方 法 】 1 回 2-4 名 の 募 集 で 年 間 2 回 開 催 。 講 師 は 実 験 動 物 医 学 専 門 医 の 助 教 1 名 と 実 験
動 物 1 級 技 術 者 の 技 術 職 員 1 名 で 、講 習 時 間 は 実 技 の み 4 時 間 。講 習 内 容 と し て 性 別 判 定 、
個 体 識 別 、 ジ ェ ノ タ イ ピ ン グ 用 の 採 材 、 保 定 法 、 腹 腔 内 投 与 、 経 口 投 与 、 吸 入 麻 酔 法 、 下 顎 静 脈 採 血 、 心 臓 採 血 、 解 剖 法 を 行 っ た 。 【結果】初心者 2 名を含む合計 7 名が受講した。講習会終了後の達成度等を確認するアン
ケート結果において、受講者の平均達成度はおよそ 7 割であった。少人数で丁寧に教えた
た め 、 参 加 者 全 員 か ら 総 合 的 に み て 満 足 と の 回 答 が 得 ら れ た 。 【 考 察 】 難 し い 手 技 に つ い て は 、 ぬ い ぐ る み を 用 い た イ メ ー ジ ト レ ー ニ ン グ や 動 物 手 技 訓 練 用 モ デ ル を 活 用 し 、 動 物 へ の 苦 痛 の 軽 減 と参 加 者 の ス ム ー ズ な 実 技 へ の 移 行 が 実 現 で き た 。 P38
小規模 RI 取扱施設の管理する上での問題点と将来
京都工芸繊維大学 高度技術支援センター 尾崎 誠 【目的】小規模であっても非密封放射性同位元素を取り扱う施設においては中規模(大規
模 )と 同 じ よ う な 法 令 上 の 管 理 義 務 が 生 じ る 。時 代 と と も に 予 算 が 乏 し く な っ て く る 中 で 、
現場における適法かつ合理的管理とは何か、管理要員としての技術職員の関わりについて
ま と め て み た の で 発 表 す る 。 【方法】放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律及び関係法令を熟読し、予
算をかけずに“できることできないこと”考え実行し、物品に関しては学内リユース制度
を 活 用 し 新 規 購 入 物 品 費 用 の 抑 制 を 行 っ た 。 【結果】法定帳簿類の様式については、定番と言われるひな形的な様式を利用したほうが
効率の良い手法であることがわかった。教育訓練においては内部人材の活用し、受講生へ
の配付資料の数を減らすことにより費用を抑えた。施設の小規模な修繕(ひび割れ補修)
は 自 分 で 行 い 人 件 費 を 抑 え る こ と が で き た 。 【 考 察 】 モ ニ タ ー や 測 定 機 器 の 更 新 に つ い て 、 早 期 の 大 型 設 備 費 取 得 を 行 う 必 要 が あ る 。 【 参 考 文 献 ・ 資 料 】 2014 年 版 ア イ ソ ト ー プ 法 令 集 ( I) - 58 -
P39
放射線測定時の色クエンチングの影響
基礎生物学研究所 技術課 飯沼 秀子 【 目 的 】放 射 性 同 位 元 素( RI)を 測 定 す る 機 器 の 一 つ に 液 体 シ ン チ レ ー シ ョ ン カ ウ ン タ( LSC)
が あ る 。 LSC の 測 定 効 率 を 変 化 さ せ る 原 因 の 一 つ と し て 、 サ ン プ ル の 着 色 に よ る 色 ク エ ン
チ ン グ が あ る 。生 物 学 実 験 に よ く 使 用 さ れ る 3 H は 低 エ ネ ル ギ ー の β 線 核 種 で あ る た め 色 ク
エ ン チ ン グ の 影 響 が 大 き い 。そ こ で 、 3 H サ ン プ ル に 色 素 を 添 加 し た サ ン プ ル を 測 定 し 、着
色が測定効率に及ぼす影響を検証した。
【 方 法 】 今 回 は 以 下 の 条 件 で 作 製 し た 試 料 を LSC で 測 定 し 比 較 検 証 し た 。 ① 放 射 能 : 3 H 370Bq 、 37Bq 、 3.7Bq ② 液 体 シ ン チ レ ー タ : Ecosinti XR ( National Diagnostics) ③ 色 素 (食 用 色 素 )と 1 サ ン プ ル あ た り の 量 : 青 、 黄 、 赤 、 緑 、 黒 1mg、
0.1mg、0.01mg ( 共 立 食 品 )青 、黄 、赤 、緑 10μ l、1μ l、0. 1 μ l ( GABAN) ④ 含 水 率 33.3%:
サ ン プ ル( RI 水 溶 液 )1ml と 液 体 シ ン チ レ ー タ 2ml ⑤ 測 定 機 と 測 定 時 間: Packard 2 500TR、
10 分 測 定 【 結 果 】 着色が濃いとどの色 で も 測 定 効 率 は 下がる。特に、黄、緑は着色による影響が大 き
く、測定値が低くなる。
P40
イネとシロイヌナズナの形質転換体の作製
名古屋大学 全学技術センター 生物・生体技術系 井上 慎子 モ デ ル 植 物 と し て 一 般 的 に 用 い ら れ る イ ネ と シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ へ の 遺 伝 子 導 入 は 、 植 物 研
究において広範囲に利用される極めて重要な実験手法である。今回、アグロバクテリアを
用いた遺伝子導入の技術を習得する機会を得たので、その概要を紹介し、実験結果に関す
る状況を報告する。アグロバクテリアを用いた形質転換植物の作出は、この植物病原菌が
感染する際に、自分の持つプラスミドの一部を植物ゲノムに組み込み、発現させる仕組み
を利用している。特に今回用いたバイナリーベクター法は遺伝子操作を簡便にするために
デザインされており、現在最もよく利用されている。イネへの遺伝子導入は、種子の胚盤
に 由 来 す る カ ル ス に ア グ ロ バ ク テ リ ア を 感 染 さ せ る 方 法 (カ ル ス 法 )に よ っ て 行 っ た 。す で
に目的の遺伝子が導入された複数のイネ形質転換体を得ることに成功している。シロイヌ
ナ ズ ナ へ の 遺 伝 子 導 入 は 、 花 序 を ア グ ロ バ ク テ リ ア の 懸 濁 液 に 浸 す 方 法 (花 浸 し 法 )に よ り
感染を行った。今後、感染させた植物の種子から形質転換体を選抜し、遺伝子導入による
形 質 の 変 化 な ど を 調 べ る 予 定 で あ る 。 - 59 -
☆☆☆☆☆☆☆ 編集 ☆☆☆☆☆☆☆
●基礎生物学研究所 技術課 技術研究会実行委員会
松田 淑美 , 水谷 健 , 田中 幸子 , 諸岡 直樹 , 牧野 由美子 , 内海 秀子 , 西出 浩世 , 三輪 朋樹
●生理学研究所 技術課 技術研究会委員会
竹島 康行 , 吉村 伸明 , 吉友 美樹 , 山田 元 , 石原 博美 ,
高橋 直樹 , 窪田 美津子 , 山口 登
Fly UP