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資料 H24-2-7-2
先端研究施設共用促進事業
京都大学 エネルギー理工学研究所 ADMIRE 計画
利 用 成 果 報 告 書
Ⅰ-1. 利用課題名
EGR(電解砥粒減面)法によるステンレス鋼の表面改質技術の開発
Ⅰ-2. 利用者名
東京ステンレス研磨興業 株式会社
Ⅰ-3. 利用施設名
電界放射型透過型電子顕微鏡(FE-TEM)
、集束イオンビーム加工装置(FIB)
Ⅰ-4. 利用期間
平成
23 年
4月
20 日 – 平成
24 年
3月
31 日
Ⅰ-5. 利用の目的・内 弊社が開発した電解砥粒減面(EGR*)技術により研磨されたステンレス鋼の表面は、現
容
状生産工程でつくられる 2B 表面(冷延酸洗仕上)に比べ優れた耐食性を有する事が明ら
かになっている。(原ら:材料と環境 2010, pp381, 腐食防食協会)
EGR 処理, 2B 処理或いはその他処理材の表面皮膜を解析することによって、更なる表面
改善の糧とする事を目的とする。
*: Electrolytic Grinding Reducing
砥石と電極が交互に配置された回転減面ヘッドを鋼板に押付け、電極と鋼板間に電解液を流しな
がら電流を印加すると鋼板表面では砥石による擦過と電解作用が周期的に繰り返され、効率的
な研削が行われる
Ⅰ-6. 社会・経済への
ステンレス鋼の耐食性改善に関する研究は盛んに行われており、良質で安価な材料の
波及効果の見通し
開発はつねに重要なテーマである。
EGR 処理により厚い皮膜が表面に形成されることが明らかになり、耐食性向上の一因
になっていると考えられる。
EGR 処理はデスケール機能を有し、溶削量を多くとる事もできるため、ステンレス鋼板
製造工程の一部、例えば酸洗や表面の疵取りグラインダー工程等に代替し得る技術で
ある。現在、デスケール技術としては硝フッ酸(硝酸とフッ酸の混酸)による酸洗が広く使
われているが、フッ酸の有害性, 廃液処理など環境上の問題が多いと言われている。中
性塩電解を用いる本処理は環境問題がなく、良好な表面品質を得る技術であり今後の
進展が期待される。
Ⅰ-7.公開延期の希望
有
○
(
1 年間)
無
資料 H24-2-7-2
Ⅱ.成果の概要
1.
TEM 像の観察
FE-TEM を用いた TEM 像観察から、3 サンプルの皮膜厚はそれぞれ、2B サンプルが 3 nm、EGR(2)処理サンプ
ルが 6 nm、鏡面研磨処理サンプルが 2 nm であることがわかった。また、STEM 画像でも同様の結果を得た。
Fig.1 TEM 像(左図:2B
像(左図:2B サンプル 中央図:EGR
中央図:EGR 処理サンプル 右図:鏡面研磨処理サンプル)
スケールバー=10
スケールバー=10 nm
2. 皮膜断面の線分析
皮膜断面の線分析から、EGR 処理をしたサンプルでは Fe の挙動に違いがみられた。2B・鏡面研磨処理を行
ったものでは、皮膜表面から単調に Fe が増加しているが、EGR 処理を行ったものは、膜厚中央あたりで 1
ステップあることがわかった。
また、鏡面研磨処理したものは、他のものと比べ皮膜中の O 濃度が低いことがわかった。
A
B
C
Fig. 2
STEM 画像と線分析結果
A . 2B サンプル
B . EGR(2)処理サンプル
EGR(2)処理サンプル
C . 鏡面処理サンプル
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