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日本語 (PDF形式384KB)
中華人民共和国国家能源局(NEA)と
国際エネルギー機関(IEA)による共同声明
2009 年 10 月 14 日、パリ
1. IEA エネルギー大臣会合では、エネルギー部門による経済の回復と発展への貢献を最
大に高めること、世界のエネルギー安全保障を向上させること、そしてエネルギー
の生産・利用が与える環境への影響に取り組むことという、主要なエネルギー政策
上の問題に取り組むための緊急の行動の必要性が強調された。中国と IEA は、これ
ら共通の目的を追求すべく協力を促進することで一致した。
2. 中国と IEA は、中国の第 11 次五カ年計画(2006-2010 年)、中国国家気候変動プロ
グラム(2007 年 6 月)、中国のエネルギー状況と政策(白書、2007 年 12 月)、再
生可能エネルギー法(2006 年 1 月施行)、再生可能エネルギー発展中長期計画
(2007 年 6 月)、改正エネルギー保全法(2008 年 4 月施行)、その他中国政府が実
施している関連政策に定められた諸目的、及び IEA が採択した共通目標に配慮した。
中国の計画、プログラム、法律には、効果的な気候変動対策にコベネフィット(相
乗便益)をもたらす多くの目的など、中国の社会経済的開発及び持続可能なエネル
ギーの開発の目的を促進する措置が盛り込まれている。中国は、2005 年から 2010
年にかけて GDP1 単位あたりのエネルギー消費量を 20%削減し、主要汚染物質の排
出量を 10%削減すること、2020 年までに再生可能エネルギー源がエネルギー総量に
占める割合を 15%に引き上げること、主要な新エネルギー技術の開発を加速させる
ことなどの目標を達成するために、さまざまな措置を実施し、また制度上の能力を
強化してきた。これらプログラムの目的はすべて、IEA と共有する目標に足並みを揃
えており、IEA は、共通の利益に資するこれら及びその他の政策とプログラムの中国
による実施に貢献する用意がある。これに対して、中国の政策実施における経験は
他の諸国にも良い教訓を提供するだろう。
3. この声明において、中国と IEA は、IEA と旧国家発展計画委員会との覚書きに基づく
中国政府と IEA との長きに渡る協力関係の伝統を礎にしている。IEA は、中国政府内
での IEA やその中国における活動への対応調整において NEA が果たす主導的役割を
認識する。IEA が他の機関とそれぞれの努力分野において直接協業する際には、IEA
は当該の活動について NEA に通知する。
4. この声明で盛り込まれた今後の協力の一般原則とともに、協議の当然の結果として
具体的な共同行動が展開される。
IEA 委員会の活動への参加
5. 中国と IEA は、2010 年中の IEA 理事会の少なくとも一つの会合と、IEA の各上級委員
会の少なくとも一つの会合に中国政府の高官がオブザーバーとして参加することで
一致した。エネルギー研究技術委員会(CERT)への参加については、引き続き招待
状は科学技術省に送付する。他の会合への招待状は、NEA に送付する。これらのフ
ォーラムにおいて IEA 加盟国と中国政府が行うエネルギー政策と戦略の極めて重要
な事項についての議論は、協力の中核を成す。
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エネルギー安全保障
6. NEA と IEA は、世界の石油供給及び現実の供給途絶の恐れがある時に情報を共有す
る目的で、継続的に最新情報が提供される指定連絡窓口から構成されるホットライ
ンを設置することで一致する。緊急時対応策、規制、計画の新たな策定に関する情
報の交換を継続する。これには、今後の緊急時対応訓練への中国からの代表を指名
するよう IEA が NEA に慫慂することも含まれる。
7. 両サイドは、不当な石油価格の変動に懸念を持っており、過剰な投機的活動及びそ
の他の形式の市場の歪みに対処するための国際的に合意された行動を支持すること
で一致する。中国と IEA の専門家は、国際石油・ガス市場における動向及び見通し
を見直すために会合を行う。双方の協議により決定された 2009 年または 2010 年の
合同専門家セミナーをこの手始めとする。市場データの精度や透明性の向上は共通
の目的であり、この達成に向けて中国と IEA は段階的に協力する。
省エネ
8. 中国には、IEA と省エネに関する対話及び情報交換を行う用意がある。IEA の省エネ
に関する提言は、中国が現状に照らして独自の省エネ技術、政策、法律及び規制を
策定する上で良い参考となる。
9. 中国は、IEA に事務局を設置している国際省エネ協力パートナーシップ(IPEEC)の
創設メンバーである。中国の IPEEC との連携は、IEA が中国の省エネ努力に貢献する
ための十分な機会を提供する。
再生可能エネルギー
10. 中国と IEA は、再生可能エネルギーの普及が将来の世界的なエネルギーシステムの
持続可能性にとって重要であることを認識し、こうした展開を早めるために協力す
ることを宣言する。中国は、水力発電、風力発電、バイオマス、太陽熱温水器、光
発電性パネルなど、再生可能エネルギー技術における経験が豊富である。中国にお
ける再生可能エネルギー技術の開発は、中国や他の諸国からの温室効果ガス排出量
の削減に貢献し、修得プロセスを加速させることであらゆる国の再生可能エネルギ
ー費用を削減する。
11. 中国と IEA は、再生可能エネルギー技術と機器のグローバル市場と中国市場の繋が
りに関する刊行物の共同作成が実現できないか検討する。これを実現するためには、
再生可能エネルギー技術、導入の慣行と政策に関して一つまたは複数の国際専門家
ワークショップを開催する必要があるだろう。
市場改革
12. IEA と中国は、市場が効率的に機能するよう確保するために求められ得る規制の実施
策、市場ベースの手段または(and/or)一時的な変更を調査する目的で、エネルギ
ー市場の改革(例.電力部門の改革)についての経験を共有すべく引き続き協力す
る。
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よりクリーンなコール
13. IEA 加盟国や中国を含む多くの国が、今後何年にもわたり特に発電のための主要なエ
ネルギー源として石炭に依存し続ける。IEA と中国は、石炭の利用方法の改善におい
て利益を共有し、この分野における情報交換を継続することで一致する。
14. IEA は、特に石炭など(ただしこれに限定されない。)、化石燃料の利用による長期
的な環境の持続可能性に対して、費用効率の高い炭素回収・貯蔵(CCS)システムが
貢献する可能性を判断すべく、集中的な国際的努力が開始されなければならないと
考える。IEA は、CCS の分析及び協力に専心する新たな部署を設置している。中国と
IEA は、CCS 技術、政策、規制及び資金についての協同プログラムの実現可能性を検
討する。
15. IEA と中国は、中国の炭坑からのメタンの回収と利用のポテンシャルを発展させる協
力及び合同作業プログラムを継続する。
エネルギー統計
16. 正確、完全かつタイムリーなエネルギー統計は、賢明な政策の選択について情報を
与え、市場の安定を促進する上ですべての国で不可欠のものとなっている。中国と
IEA の専門家は、中国のエネルギー統計システムを強化すべく能力構築に引き続き協
力し、また中国におけるエネルギー政策策定を支援するために、国際的に比較可能
な全部門についての省エネ統計と指標を策定する上で協力する。
17. IEA と中国は、世界のエネルギー市場の安定と安全を強化するために、データ交換の
基本原則、及びデータの透明性を向上させる原則について合意する。両サイドは、
中国の専門家と国際的な専門家が会合と議論を行い、中国政府と IEA に対して前進
させる方法を勧告し、共に今後進展させる方法について検討することで一致した。
国別審査
18. IEA は、定期的に加盟国のエネルギー政策について国別詳細審査を行っている。この
審査は、加盟国及び IEA 事務局の専門家により実施される。中国と IEA は、20102011 年度中に少なくとも一つの加盟国に対する詳細審査に中国の専門家が参加する
ことで一致した。
人的交流(Personnel Visits)
19. 中国と IEA は、人的交流と訪問を強化することで一致した。この交流と訪問では、
エネルギー市場、緊急時対応、省エネ、再生可能エネルギー、エネルギー統計・指
標、エネルギー関連の環境政策、エネルギーモデリングの分野における研修及び専
門能力の開発のために、中国の政府関係者及び研修生が IEA 本部を訪問することに
なる。これは例えば、毎年、IEA 事務局が中国国家統計局及びその省や市の分局から
の研修生の受け入れを申し入れるなどである。また IEA は、IEA 事務局や加盟国の専
門家を中国に派遣して、講習会に参加させたり、話題となっている問題について集
中的に協議を行わせたりすることも計画している。
IEA の分析報告書及び刊行物
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20. 誠実かつ善意により行動し、それと同時に全ての国に対してそうあることが求めら
れる客観的で分析的な姿勢を維持しつつ、IEA は、その全ての刊行物に中国の現状の
正確な反映を確保するよう努める。これを考慮して、また IEA 刊行物の質を高め、
改善することを考慮して、NEA に任命された中国の専門家は、相互に合意したプロ
ジェクトに従って、「世界エネルギー展望(World Energy Outlook)」、「エネルギ
ー技術展望(Energy Technology Perspectives)」などの IEA の刊行物に、中国のエネ
ルギー部門に関する知識など、自らの知識と技能を提供することができる。また、
必要に応じて、IEA の技術ロードマップ、短中期石油・ガス市場分析報告書に対して
提供することもできる。この提供は、その時点における相互の合意に従って、ワー
クショップへの参加、IEA 原案の分析支援と専門家によるレビュー、専門家それぞれ
の技能分野についてのセクションの起草といった形で行うことができる。
21. IEA 及びその著作物をより広く利用できるようにするために、IEA は中国語のウェブ
サイトを作成し、そのウェブサイトに中国語による要約、報告書、その他の文書を
掲載する。IEA は、中国の関連機関と協力して、中国の読者にとって最も関心が大き
いと共同で判断した IEA 刊行物から、中国語に翻訳する資料を探し出す。また、IEA
は、MOST-IEA 連絡事務所と協力する。この連絡事務所は、技術の研究開発の分野に
おける中国と IEA との協力を促進し、予定されているウェブサイトを介して中国語
で関連情報を普及させるために、最近になって科学技術省がその管轄下の中国石炭
研究センター(China Coal Research Institute)に設置したものである。
エネルギー技術協力
22. 中国と IEA は、エネルギー技術の問題に係る共同作業を強化・充実させることで一
致した。その中でも特に、中国と IEA の専門家は、「エネルギー技術展望」シリー
ズの中国に関する章について協力し、他の諸国の専門家と共に、最も重要な革新的
かつクリーンなエネルギー技術の国際的なロードマップと中国固有のロードマップ
を策定すべく協力する。これによって、とりわけ、IEA の刊行物の精度が確保され、
中国の現状が正確に示されることになる。
23. 中国は、正式参加国としてすでに五つの IEA の国際エネルギー技術協力の実施協定
に参加しており、また一つの実施協定のスポンサーである。中国のエネルギー技術
の専門家や IEA 技術ネットワークとの最近の合同ワークショップは、中国の参加が
その当事者すべてに利益をもたらす他の実施協定が多々あることを実証した。中国
と IEA は、このプロセスに拍車をかけるべく特に科学技術省と協力して、両サイド
がこのネットワークへの中国の積極的な参加がもたらす最大の利益を得ることがで
きるようにすることで一致した。IEA のエネルギー研究開発関連活動への中国のより
密接な参加を促進するべく、科学技術省はすでに中国石炭研究センターに連絡事務
所を設置し、資金提供を行っている。
レビュー
24. 中国と IEA は、前記の取組みがすべて実施されれば、将来のエネルギー政策の共通
の問題に対処していく上で、中国と IEA との間により密接な関係と実りの多い協力
関係が構築されることにつながると判断する。また、この共同声明が出された後に
成し遂げられた進展について共同報告書を作成するために、IEA が、2010 年下半期
に関連政府機関及び中国の民間部門の利害関係者が集まるフォローアップ会合を開
くべく中国へ代表団を派遣することでも一致した。作成した報告書は、2010 年後半
(2011 年前半)にパリで開催される理事会及び中国の関連政府関係者の北京におけ
る会合において共同で報告される。
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