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亜臨界・超臨界流体による炭素繊維強化 プラスチックのリサイクル技術

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亜臨界・超臨界流体による炭素繊維強化 プラスチックのリサイクル技術
亜臨界・超臨界流体による炭素繊維強化
プラスチックのリサイクル技術
現在、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、航空・宇宙用途、ゴルフシャフ
研究の背景と目的
岡島 いづみ
ト等のスポーツ・レジャー用品、医療用途等に多用されている。また自動車本
体の軽量化のために量産車への導入が検討されており、今後 CFRP の生産
量の大幅な増加が見込まれる。しかし廃棄 CFRP は処理が困難で、現状では
大部分が埋め立て処理されているため、再利用や再資源化が強く望まれて
いる。私達は亜臨界水または超臨界アルコールを用いた CFRP のリサイクル
技術の開発を目的として、研究を行っている。
グリーン科学技術研究所 助教
■ キーワード
亜臨界または超臨界流体を用いて CFRP を処理することにより、通常では
加熱により炭化してしまう熱硬化性樹脂を溶媒の力を用いて分解して、炭素
・ 超臨界流体
・ リサイクル
・ プラスチック
・ 複合材料
繊維を回収する方法を開発した。この時得られる樹脂分の分解生成物は、①
研究の概要
・ 亜臨界流体
亜臨界水を用いた場合はフェノール類モノマーまで分解して回収、②超臨界
アルコールを用いた場合はエポキシ樹脂中の架橋点のみを選択的に切断し
てアルコール可溶性樹脂とし、その後、再度硬化して熱硬化樹脂として再利
用という用途を有している。またこの時回収した炭素繊維は、樹脂等の付着
物はほとんど残存せず、更に引っ張り強度もバージンの炭素繊維に比べて 5
~12%程度の低下に留まり、十分再利用可能なものである。
・
特筆すべき研究ポイント:
水やアルコールという、身近にある溶媒を亜臨界または超臨界状態
■ 技術相談に応じられる関連分野
にして CFRP を処理することで、これまで難しかった複合プラスチック
・ 超臨界流体利用技術
のリサイクルが可能になる。
・ 亜臨界流体利用技術
・
新規研究要素: (世界初あるいは日本初など)
セールスポイント
アルコールを用いて、CFRP の樹脂と炭素繊維の両方を再利用でき
る技術は世界初である。
・
従来技術との差別化要素・優位性:
従来法では 600~800℃の高温で樹脂を分解して炭素繊維を回収
するために、繊維の熱劣化による強度低下が避けられなかった。本技
術では、300~400℃の中温処理のために炭素繊維を劣化せずに回収
し、再利用することが可能である。
・
特許等出願状況:
・リサイクル方法・回収物に関する特許出願 1 件
(特願 2008-276166 号)
[1] 亜臨界水による CFRP リサイクルのフロー図
炭素繊維強化
プラスチック
(CFRP)
フェノール類
モノマー
水溶性分解生成物
(フェノール類)
樹脂の亜臨界水
分解
亜臨界水ガス化
水素、メタン(燃料ガス)
イメージ図
炭素繊維
・熱劣化がほとんどない
・樹脂の残存がない
[2] 超臨界メタノールによる CFRP リサイクルのフロー図
炭素繊維強化
プラスチック
(CFRP)
樹脂の亜・超臨界
アルコール分解
可溶化樹脂
炭素繊維
・熱劣化がほとんどない
再硬化
・樹脂の残存がない
現在、内容積3L の反応容器を有する亜臨界・超臨界流体利用 CFRP リサイクル装置を用いた CFRP 分解の
実証実験を行っている。本装置を用いて大量の炭素繊維と可溶化樹脂を回収し、これらの生成物から再度炭素
今後の展望
繊維複合材料の試作を行う等、実用化に必要なデータを取得していく予定である。
■ その他の研究紹介
・亜臨界・超臨界流体を用いるプラスチックのリサイクル技術に関する研究
多層フィルム、架橋ポリエチレン(電線被覆材等)、ナイロン、PET 等
・亜臨界・超臨界流体を用いるバイオマス廃棄物の適正処理と利活用技術に関する研究
農業廃棄物、食品廃棄物、製紙汚泥、食品廃棄物+プラスチック混合廃棄物等
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