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Page 1 文化学園リポジトリ Academic Repository of BUNKA GAKUEN

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Page 1 文化学園リポジトリ Academic Repository of BUNKA GAKUEN
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民族服に関するソーヴールの初期的刊本
石山,彰
図書館だより 59 (1980-01) pp.2-3
1980-01-01
http://hdl.handle.net/10457/1888
Rights
http://dspace.bunka.ac.jp/dspace
講1竃竃き闘
所世間に流布されていない珍しい書
,E≡
どのような稀観本(きこうぽん一
物)が収蔵されているかがある。
の中から
蔵 ついては専門の立場から本館所蔵
の稀観本を紹介することとした。
西洋服飾稀観書(24)民族服に関するソーヴールの初期的刊本
教授(図書館長・西洋服装史担当)石山
彰
民族衣装への関心は近来,衰えるどころか,ます
1563.およびヴェチェッリオの「世界各国の古今の
ます高まってきているのが実情で,この傾向は洋の
服装について」Vecellio, Cesare:De gli habiti
東西を問わないようである。
antichi et moderni di diverse parte del mondo.
人間の服装が“地域によってさまざまに異る”こ
Venetia,1950.2)などがそれであるが,自国のイタ
とに気づいたのは“時代によV・・て異る”ことに気づ
リアに関する限り,ヴェチェッリオが古代ローマの
くよりも,はるか以前のことだった。つまり,服装
服装について述べている点からすると,歴史服への
についての人々の認識は,民族服的認識の方が歴史
認識もこの期に芽ばえていたことがわかる。とはい
的認識に先行していた。「はじめに民族服ありき」
うものの,彼らの世界はまだヨーロッパ中心の,か
というわけである。そして,この事実が文献学的に
なり限定的な「世界」でしかなかった。それがほぼ
みてもはっきりしていることは,すでにレイパーに
近代的地域概念にまで近づくのは,18世紀も第3四
1)
よっても指摘されている。
半期になってからのことで,民族服の書も,それま
ヨーロッパの人々が最初にそれを実感するのは十
ではほとんど現れなかった。ド・サン・ソーヴール
字軍遠征においてであり,続いてのマルコポーロの
の服装書は,そうした世界の民族服に関する初期的
「東方見聞録」もヨーロッパ人の異国趣味をかき立
刊本で,最も広くひもと(播)かれたものの一つであ
てた。ルネッサンスになると,はじめての民族服図
る。正規のタイトルは次のとおりである。
集がヴェネツィアで刊行される。ベルテッリの「現
〔3831.G1∼4〕Grasset de Saint Souveur,
代諸国民の服装」;Bertelli, Ferdinando l Omnium
Jacques:Costumes civils actuels de tous les
fere gentium nostrae aetatis habitus. Venetijs,
peuples connus, (lessin6s d,aprbs nature, grav6s
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et colori6s, accompagn6 d,une notice historique
第皿巻はアジアで,パスキール人の風俗服装 ト
sur lours coutumes, moeurs, religions_R6dig6s
ボルスクとトムスクのタタール人略記 キルギス人
par Sylvain Mar6chal,4vols, Paris,1788.すなわ
の風俗服装 サモエード人の風俗服装 ヤクート人
ちグラッセ・ド・サン・ソーヴール著「知名な全国
の風俗服装 カムチャッカ小史 中国小史 日本島
民の実際の市民服,写生による素描・版画・彩色,
民の風俗服装 ジャワ島民の風俗服装 チペットの
シルヴァン・マレシャルの筆になる彼らの風俗習慣
風俗服装 サーカシア人の風俗服装 定住アラビア
・宗教等に関する略史つき,全4巻」であり,目次
人の風俗服装 ペルシア小史……などの37節から,
の一部を掲げれば次のとおりである。
また,第皿巻はヨーロッパの(2)で,シチリア島住民
第1巻 ヨーロッパωパリの風習に関する略述
の風俗服装 ナポリ小史 ローマ市略記 フィレン
カレー市小史 ノルマンディのコー地方小史 プロ
ツェ小史 ヴェネツィアの風俗服装 トルコ小史
ヴァンス小史 高地および低地ナヴァレ略記 アラ
ブルガリアの風俗服装 ポーランド略記 ロシア小
ス人の風俗服装 カタロニア人の風俗服装 ブルゴ
史などの46節から,そして第IV巻はアフリカとアメ
ス小史 ブルターニュのレオン地方とサランクの小
リカの31節からなっている。
村住民の慣習 トレアドール小史 ムノレシア王国の
これらの細部について述べるゆとりはないが,ヨ
住民の風俗服装 アンダルシア小史 ポルトガル略
ーロッパと近邦を除けば,概して島しょ(喚)地域が
記 ロンドン市の習俗略記 スコットランド北部山
中心となっており,日本などについても「よく知ら
地とヘブリデス諸島の住民に関する小史 アイスラ
れてはいず,中国の植民地に見られている」と述べ
ンド人の風俗服装 ラプランド住民の風俗服装 フ
ており,そのことは図の服装にも現れている。原図
ィンランド住民の風俗服装 ダレカリア人小史 ヴ
はデレ(Claude L. Desrais 1746∼1816)刻版はミ
ァンダル人小史 七つのオランダ連合州の一・,ブリ
3)
クセル(J.M, Mixelle)が担当している。
ースランド小史 オランダ小史(中略)ベルン州小
註)1 Ed. by. James Laver:Costume of the Western
World, Lond,1951, p. W
史塑ムルテン地方小史 ティロル地方小史 ピエモ
2 本館には1859年,フィルvンによって’⇒で刊行さ
ンテ地方小史 ジェノヴァ小史 コルシカ島の風俗
れた模刻版が所蔵されている〔383.1−v−1∼3〕。
3 なお本館には別に1805年の第2版も揃っているが,
習慣 ミノルカ島の風俗服装,など40節からなって
この方の図版は極端にプーアであり,目次の順序も一部入
いる。
れかわっている。
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