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東海大学紀要情報通信学部
vol.6,No2,2013,pp.58-61
東海大学紀要 情報通信学部
Vol.xx, No.xx , 20xx, pp.xxx -xxx
資料
資料
バランスボード上での姿勢制御能力とそのトレーニング効果に
及ぼす過去の運動経験の影響
久保潤二郎 *1 ,藤井洋武 *2 ,藤原昌太 *3 ,高木由起子 *2 ,村松香織 *4
Effect of past sports experience on postural control and on the training effect
on a balance board
by
*1
*2
Junjiro KUBO , Hiromu FUJII , Shota FUJIWARA*3 , Yukiko TAKAGI *2 and
Kaori MURAMATSU *4
( received: September 20, 2013
&
accepted: February 6, 2014)
Abstract
The purpose of this study was to investigate the effect of past sports experience on postural control and on the training
effect on a balance board. The subjects were 62 university students. Balance training using a balance board was carried out for
10 minutes once a week for five weeks. Standing position maintenance time was measured during each training session as the
length of time that the subject maintained standing on a balance board. Postural control ability was evaluated as the longest
time of maintaining standing on a balance board. Moreover, the training effect was expressed as the difference between the
time at the 1st training and the longest time during the training period. Regarding past sports experience, we investigated
regular sports experiences during elementary school period, junior high-school period and high school period and the number
of training sessions a week in questionnaire form. Postural control ability and the training effect on balance board were
independent variables and the number of training sessions a week during elementary, junior and high school periods were
dependent variables. Multiple linear regression analysis was conducted by these variables. As a result, the number of training
sessions a week in the high school period influenced postural control and the training effect. It was suggested from this study
that not exercise experience at young ages the latest sports experience affects postural control on a balance board.
Keywords: Postural Control, Balance Training, Balance Board
キーワード:姿勢制御能力,バランストレーニング,バランスボード
1. 概 要
伴 い 立 位 維 持 時 間 は 有 意 に 長 く な っ た .姿 勢 制 御 能 力
お よ び そ の ト レ ー ニ ン グ 効 果 を 独 立 変 数 と し ,各 時 期
の練習回数との関係を従属変数とした重回帰分析を
行 っ た 結 果 ,高 校 生 期 の 週 当 た り の 練 習 回 数 が 大 き く
影 響 す る こ と が 明 ら か と な っ た .こ の こ と か ら 本 研 究
で調査したバランスボードでの姿勢制御能力とその
ト レ ー ニ ン グ 効 果 は ,よ り 若 い 年 代 で の ス ポ ー ツ 経 験
より直近のスポーツ経験が影響することが示唆され
た.
本 研 究 は ,バ ラ ン ス ボ ー ド 上 で の 姿 勢 制 御 能 力 と そ
のトレーニング効果に及ぼす過去の運動経験の影響
を 調 査 し た . 対 象 は 大 学 生 62 名 で あ っ た . バ ラ ン ス ボ
ー ド を 用 い た バ ラ ン ス ト レ ー ニ ン グ を 週 一 回 10分 間 5
週 間 行 わ せ た .バ ラ ン ス ボ ー ド 上 で の 立 位 維 持 時 間 を
ト レ ー ニ ン グ 毎 に 計 測 し ,最 高 値 を 姿 勢 制 御 能 力 と し
て 評 価 し た .ま た ,ト レ ー ニ ン グ 効 果 は ,こ の 最 高 値 と
1回 目 の ト レ ー ニ ン グ 中 の 立 位 維 持 間 の 差 と し て 表 し
た .過 去 の 運 動 経 験 と し て , 小 学 生 期 , 中 学 生 期 , 高 校
生期において定期的に取り組んだスポーツ種目と週
当 た り の 練 習 回 数 を 調 査 し た .ト レ ー ニ ン グ の 経 過 に
2. 緒 言
子 供 が 将 来 高 い 運 動 能 力 を 獲 得 す る た め に は ,適 切
な時期に適切なトレーニングを実施することが望ま
し い 1 ).運 動 に 限 ら ず 視 覚 2 )や 聴 覚 3 ) な ど 様 々 な 分 野
での臨界期および適時性に関する研究が報告されて
い る .運 動 能 力 に 関 し て は ,最 大 酸 素 摂 取 量 や 筋 持 久
力 と い っ た 粘 り 強 さ に 関 わ る 能 力 は ,思 春 期 前 期 に 著
し く 向 上 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 4 ) 5 ) .神 経 系 の 関
わ り の 強 い 能 力 は ,比 較 的 早 い 時 期 に 獲 得 す る こ と が
望 ま し い と さ れ て い る .子 供 の 時 期 の い わ ゆ る 運 動 神
経 の 善 し 悪 し は ,そ の 後 の 運 動 の 好 き 嫌 い に 大 き く 影
響すると考えられる.
神経系の働きが大きく関わる能力の一つとして姿
**1 平 成 国 際 大 学 法 学 部 専 任 講 師
Heisei International University, Faculty of law,
Lecturer
*2 情 報 通 信 学 部 非 常 勤 講 師
School of Information and Telecommunication
Engineering, Department of Communication and
Network Engineering, Lecturer
*3 体 育 学 部 非 常 勤 講 師
School of Physical Education, Lecturer
*4 高 輪 教 養 教 育 セ ン タ ー 准 教 授
School of Information and Telecommunication
Engineering, Liberal Arts Education Center,
Associate Professor
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久保潤二郎・藤井洋武・藤原昌太・高木由起子・村松香織
久保潤二郎・藤井洋武・藤原昌太・高木由起子・村松香織
勢 制 御 能 力 が あ る .姿 勢 制 御 能 力 は 高 い 運 動 能 力 を 支
え る 要 因 と 考 え ら れ ,ス ポ ー ツ パ フ ォ ー マ ン ス の 違 い
と 姿 勢 制 御 能 力 6) や ス ポ ー ツ 種 目 に よ る 姿 勢 制 御 能
力 の 違 い な ど 7 )が 報 告 さ れ て い る .し か し ,ス ポ ー ツ 選
手の高い姿勢制御能力を獲得させてきたであろう過
去の運動経験との関係を調査した報告は見当たらな
い.
姿 勢 制 御 能 力 を 高 め る ト レ ー ニ ン グ と し て は ,バ ラ
ンスボードを用いた方法がスポーツ選手のトレーニ
ングやリハビリテーション分野で広く用いられてい
る .バ ラ ン ス ボ ー ド に よ る ト レ ー ニ ン グ 効 果 を 報 告 し
た 研 究 は 幾 つ か 散 見 さ れ る 8 ).し か し ,そ の バ ラ ン ス ボ
ードトレーニングによるトレーニング効果と過去の
運動経験の関係を調査した報告はない.
そ こ で 本 研 究 で は ,バ ラ ン ス ボ ー ド 上 で の 姿 勢 制
御能力とそのトレーニング効果に及ぼす過去の運動
経 験 の 影 響 を 調 査 す る こ と で あ る .我 々 の 仮 説 と し
て は ,神 経 系 の 発 達 の 著 し い 時 期 の 運 動 経 験 が 姿 勢
制御能力とそのトレーニング効果へ影響するであろ
うということである.
3.2 バ ラ ン ス ト レ ー ニ ン グ
測 定 で 用 い た バ ラ ン ス ボ ー ド を 用 い て ,一 週 間 に
一 回 10 分 間 の バ ラ ン ス ト レ ー ニ ン グ を 5 週 間 実 施 し
た( Fig.1;ト レ ー ニ ン グ 回 数 計 5 回 ).ト レ ー ニ ン グ
内 容 は ,細 か な こ と は 指 示 せ ず に 出 来 る だ け 10 分 間
ボード上での立位を維持させるよう何度も試技させ
た .10 分 間 の ト レ ー ニ ン グ 中 ,毎 回 立 位 維 持 時 間 を 計
測 さ せ ,10 分 間 の ト レ ー ニ ン グ 中 の 最 高 値 を そ の 時
の 立 位 維 持 時 間 と し て 記 録 さ せ た .姿 勢 制 御 能 力 は ,
この 5 回のバランストレーニングでの立位維持時間
の 最 高 値 と し ,こ の 最 高 値 と ト レ ー ニ ン グ 1 回 目 の 立
位維持時間との差をトレーニング効果として評価し
た.
3.3 コ ツ の 記 述
本研究はバランスボード上での姿勢制御能力とそ
のトレーニング効果を過去の運動経験との関係で調
査 す る も の で あ る が ,立 位 維 持 時 間 を の ば す 要 因 の
一 つ と し て ,本 人 が 感 じ た コ ツ に 関 し て も 調 査 し
た .5 回 の バ ラ ン ス ト レ ー ニ ン グ 毎 に 立 位 維 持 時 間 を
のばすためのコツおよび感じたことを自由記述させ
た.
3. 方 法
対 象 は ,大 学 生 62 名( 全 て 1 年 生 ) で あ っ た .対 象
者 に は ,本 研 究 の 目 的 ,方 法 お よ び 危 険 性 に つ い て 口
頭 で 説 明 し ,同 意 を 得 た 後 に 実 施 し た .
3.4 過 去 の 運 動 経 験
小 学 生 期 ,中 学 生 期 ,高 校 生 期 に 定 期 的 に 取 り 組 ん
でいたスポーツとその週当たりの練習回数をアンケ
ート形式で調査した.
3.1 バ ラ ン ス ボ ー ド 上 で の 立 位 維 持 時 間 の 測 定
立 位 維 持 時 間 は , 直 径 60mm の 円 筒 の 木 の 上 に 縦
250mm×横 600mm×厚 22mm の 板 を の せ た 上 に 試 技 者 を
素 足 で 立 た せ ,立 位 を 維 持 出 来 た 時 間 を 計 測 し た
( Fig.1).実 際 の 計 測 は ,試 技 者 が 板 の 上 で ス ト ッ プ
ウ ォ ッ チ を 持 ち ,板 の 片 側 を 床 に つ け た 状 態 で 立 ち ,
床から板が離れた瞬間から立位を維持出来ずに板が
床 に 接 す る ま で の 時 間 ,も し く は 自 ら 板 を 下 り る ま
で の 時 間 を 計 測 し た .後 述 す る 5 回 の ト レ ー ニ ン グ 中
の立位維持時間の最高値を姿勢制御能力とした.
3.5 統 計 的 分 析
5 回 の ト レ ー ニ ン グ 中 の 立 位 維 持 時 間 の 違 い は ,一
元 配 置 の 分 散 分 析 を 行 っ た .姿 勢 制 御 能 力 お よ び そ
の ト レ ー ニ ン グ 効 果 を 独 立 変 数 と し て 小 学 生 期 ,中
学生期および高校生期の週当たりの練習回数を従属
変 数 と し て 重 回 帰 分 析 を 行 っ た .小 学 生 期 ,中 学 生 期
お よ び 高 校 生 期 の 週 当 た り の 練 習 回 数 の 違 い は ,一
元 配 置 の 分 散 分 析 を 行 っ た .有 意 水 準 は ,何 れ も 5%
未満とした.
4. 結 果
Fig.2 に 5 回 の ト レ ー ニ ン グ 中 の 立 位 維 持 時 間 の 推
移 を 示 し た .ト レ ー ニ ン グ 効 果 は ,有 意 で あ っ た
( P<0.01) .1 回 目 と 3・ 4・ 5 回 目 ( p<0.01) ,2 回 目
と 3 回 目( p<0.05),2 回 目 と 4・5 回 目( p<0.01),3
回 目 と 5 回 目 ( p<0.01) ,4 回 目 と 5 回 目 ( p<0.05)
の間の立位維持時間にそれぞれ有意な差があった.
Fig.1 バ ラ ン ス ボ ー ド 上 で の 立 位 維 持 時 間 の 測 定
およびバランストレーニング
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バランスボード上での姿勢制御能力とそのトレーニング効果に及ぼす過去の運動経験の影響
久保潤二郎・藤井洋武・藤原昌太・高木由起子・村松香織
160
Table.3 バ ラ ン ス ト レ ー ニ ン グ の ト レ ー ニ ン グ 効
果 を 独 立 変 数 ,各 期 の 練 習 回 数 を 従 属 変 数 と し た 重
回帰分析の結果
140
100
標準偏回帰係数(β)
相関係数(r)
期練習回数
-0.0892
-0.1208
60
中学 期練習回数
0.2304
0.4591
40
高校
期練習回数
0.5022
0.6136*
20
重相関係数(R)
80
0
Fig.2
小学
2回目
3回目
4回目
5回目
5.論 議
5 回のトレーニング中の立位維持時間の推移
Table.1 小 学 生 期 , 中 学 生 期 , 高 校 生 期 の 週 当 た り
の練習回数の平均値と標準偏差
生 生 生
小学 期練習回数
高校
平均値
標準偏差
2.55
1.55
期練習回数
5.26**
1.36
期練習回数
4.44††
2.30
**P<0.01 小 学 生 期 vs 中 学 生 期 の 練 習 回 数
† † p<0.01 小 学 生 期 vs 高 校 生 期 の 練 習 回 数
Table.2 に 姿 勢 制 御 能 力 を 独 立 変 数 と し ,各 期 の 練
習回数を従属変数とした重回帰分析の結果を示した.
重 相 関 係 数 は 0.6317( p<0.05)で あ り ,標 準 偏 回 帰 係
数 は 小 学 生 期 で は 0.0116,中 学 生 期 で は 0.1247,高 校
生 期 で は 0.5658 で あ り ,大 学 生 の 時 の 姿 勢 制 御 能 力
には高校生期の練習回数が強く影響していることが
示された.
Table.2 姿 勢 制 御 能 力 を 独 立 変 数 ,各 期 の 練 習 回 数
を従属変数とした重回帰分析の結果
相関係数(r)
0.0116
-0.0254
中学 期練習回数
0.1242
0.3829
0.5658
0.6218*
高校
生 生 生
標準偏回帰係数(β)
期練習回数
小学
0.6517*
* p<0.05
1回目
Table.1 に 小 学 生 期 ,中 学 生 期 ,高 校 生 期 の 週 当 た
り の 練 習 回 数 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 を 示 し た .小 学 生
期より中学生期および高校生期の練習回数が有意に
多 か っ た ( p<0.01) .
中学
生 生 生
立位維持時間(秒)
120
期練習回数
重相関係数(R)
0.6317*
* p<0.05
Table.3 に バ ラ ン ス ト レ ー ニ ン グ に よ る ト レ ー ニ
ン グ 効 果 を 独 立 変 数 と し ,各 期 の 練 習 回 数 を 従 属 変
数 と し た 重 回 帰 分 析 の 結 果 を 示 し た .重 相 関 係 数 は
0.6517 で あ り( p<0.05),標 準 偏 回 帰 係 数 は 小 学 生 期
で は -0.0892, 中 学 生 期 で は 0.2304, 高 校 生 期 で は
0.5022 で あ り ,大 学 生 の 時 の バ ラ ン ス ト レ ー ニ ン グ
によるトレーニング効果には高校生期の練習回数が
強く影響していることが示された.
―
3 −
―
− 60
本 研 究 は ,バ ラ ン ス ボ ー ド 上 で の 姿 勢 制 御 能 力 と
そのトレーニング効果に及ぼす過去の運動経験の影
響 を 調 査 し た .我 々 の 仮 説 と し て は ,大 学 生 期 の 姿 勢
制御能力やそのトレーニング効果が神経系の発達の
著しい時期の運動経験と関係があるであろうとした
が ,結 果 は 異 な る も の で あ っ た .逆 に 姿 勢 制 御 能 力 と
そ の ト レ ー ニ ン グ 効 果 と も に ,直 近 の 高 校 生 期 の 練
習 回 数 と の 関 係 が 強 か っ た ( Table.2, 3) .神 経 系 の
発 達 の 著 し い 時 期 に 多 く の 運 動 経 験 を し た 方 が ,そ
の後の姿勢制御能力およびその修得能力も高まるで
あ ろ う と 予 測 し た が ,本 研 究 の 小 学 生 期 の 練 習 回 数
と の 関 係 は な か っ た .本 研 究 で 調 査 し た 過 去 の 運 動
経 験 は ,ア ン ケ ー ト に よ る ス ポ ー ツ 種 目 と 練 習 回 数
の み で あ る .ま た ,中 学 ・ 高 校 生 期 は ,3 年 間 課 外 活 動
で単一のスポーツ種目に取り組んでいた可能性が高
い が ,小 学 生 期 は 6 年 間 あ り ,実 際 に は も う 少 し 色 々
な ス ポ ー ツ 種 目 に 取 り 組 ん で い た 可 能 性 が あ る .何
れにせよもう少し詳細な運動経験の調査が必要であ
ろう.
一 般 に 立 位 姿 勢 を 支 え る 感 覚 系 は ,前 庭 ,視 覚 ,体
性 感 覚 で あ る 9 ) .さ ら に 実 際 の 姿 勢 制 御 は ,筋 骨 格 系
の 影 響 を 受 け る .本 研 究 の 課 題 で あ る バ ラ ン ス ボ ー
ド 上 で の 立 位 姿 勢 の 維 持 は ,動 的 な 姿 勢 制 御 能 力 と
さ れ る も の で あ り ,筋 力 の 影 響 を 受 け る と 考 え ら れ
る .そ の た め ,運 動 量 を 反 映 す る よ り 直 近 の 定 期 的 な
練 習 回 数 と の 関 係 が 強 か っ た の か も し れ な い .ま た ,
ト レ ー ニ ン グ 効 果 も ,そ の 筋 力 の 発 達 に よ っ て 支 え
ら れ ,立 位 維 持 時 間 を の ば し て い っ た こ と が 推 察 さ
れ た .し か し ,本 研 究 で 筋 力 は ,測 定 し て い な い .ま た ,
神経系の働きをわけて捉えることも出来ないためこ
れらの考察も推論の域を出ない.
本 研 究 で は ,定 量 化 出 来 な い た め 主 な 結 果 と し て
は 扱 っ て い な い が ,5 回 の バ ラ ン ス ト レ ー ニ ン グ 毎 に
立位維持時間をのばすためのコツを自由記述させた.
幾 つ か 例 を 示 す と ,あ る 者 は 身 体 と ボ ー ド 下 の 円 筒
の 木 ま で を 軸 と 意 識 し て ,足 首 だ け で 揺 れ に 対 応 す
る と 長 く の れ る よ う に な っ た .ま た あ る 者 は ,腰 を 落
として身体の左右の傾きで調整すると長くのれるよ
う に な っ た な ど 一 貫 性 は な い .し か し ,本 人 の 中 で は
ある時にコツとして感じたことを忠実に再現しよう
とする中で記録をのばしていったことが多いようで
あ る .Barnett ら は ,若 い う ち に キ ッ ク や キ ャ ッ チ ,ボ
ール投げといったスキルに関わりの強いテストでパ
フ ォ ー マ ン ス が 高 か っ た 者 は ,そ の 6〜 7 年 後 に 体 力
の 中 で も 別 の 能 力 で あ る 粘 り 強 さ に 関 わ る 能 力( 20m
久保潤二郎・藤井洋武・藤原昌太・高木由起子・村松香織
久保潤二郎・藤井洋武・藤原昌太・高木由起子・村松香織
シ ャ ト ル ラ ン ) が 高 か っ た こ と を 報 告 し て い る 10 ) .
ま た ,Boreham と Riddoch は ,子 供 の 時 の 身 体 活 動 は ,
大人になってからの身体活動や健康状態にも影響す
る こ と を 示 唆 し て い る 1 1 ) .比 較 的 早 期 に 色 々 な ス ポ
ー ツ を 経 験 す る こ と に よ り 神 経 系 の 発 達 を 促 し ,そ
のことが生涯に渡るスポーツの取り組み易さと高い
運動能力を獲得することにつながると考えられる.
本 研 究 の 対 象 者 は 全 て 大 学 1 年 生 で あ っ た .一 般 的 に ,
この年代は体力の中の様々な能力がほぼピークに達
す る 時 期 で あ る .そ の た め 直 近 の 運 動 経 験 の 影 響 が
相 対 的 に 高 い 体 力・運 動 能 力 を 維 持 し ,本 研 究 の 結 果
に影響したのかもしれない.
以上まとめると本研究で調査したバランスボード
で の 姿 勢 制 御 能 力 と そ の ト レ ー ニ ン グ 効 果 は ,よ り
若い年代でのスポーツ経験より直近のスポーツ経験
に影響されることが示唆された.
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