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総合検証報告書(PDF:3346KB)

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総合検証報告書(PDF:3346KB)
甲府市役所本庁舎
甲府市役所本庁舎
外装アルミサッシ障子落下事故
総合検証報告書
2015年
3 月
30 日
株式会社日本設計
株式会社竹中工務店 東京本店
三協立山株式会社 三協アルミ社
甲府市役所本庁舎
目
次
1.
はじめに
P.
1
2.
建物概要
P.
1
3.
事故発生状況
P.
1
4.
対応経緯
P.
2
5.
緊急対策・応急対策
(1)
(2)
(3)
(4)
落下した障子の調査、現地調査
緊急対策
応急対策
現況
P.
P.
P.
P.
5
7
8
9
施工工程に沿った原因の検討
調査
原因の特定
落下事故を予見できなかった理由について
各原因に対する 3 社の責任について
P.
P.
P.
P.
P.
10
12
21
23
24
6.
原因
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
7.
4 階跳ね出し部のコンクリート打設後 21 日での支保工撤去について
P.
25
8.
4 階跳ね出し部のたわみの収束について
P.
25
9.
恒久対策(案)
P.
25
P.
25
10. 定期計測のお願い
添付資料
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7
8.
9.
10.
11.
12.
落下部の調査結果まとめ
緊急対策内容
応急対策内容
現況
施工実績関連資料
調査関連資料
構造検討関連資料
21 日での支保工撤去関連資料
クリープの収束関連資料
恒久対策(案)関連資料
定期計測計画書
耐震性について
― 以上 ―
甲府市役所本庁舎
1.はじめに
貴甲府市役所本庁舎4階における南側外装アルミサッシの障子落下に関する総合検証について、以下のとお
り報告いたします。
2.建物概要
建物名称
工事名称
建築地
構造規模
延床面積
設計
施工
工期
:
:
:
:
:
:
:
:
甲府市役所
甲府市新庁舎
甲府市丸の内一丁目18番1号
S、SRC、RC 造 B1 F10 P2
27,973 ㎡
日本設計・竜巳・山形・進藤・馬場設計甲府市新庁舎建設設計共同企業体
株式会社 竹中工務店 東京本店
2011 年 5 月 23 日 ~ 2013 年 3 月 15 日
3.事故発生状況
発生日時
発生場所
被災者
状況
:
:
:
:
2015 年2月 17 日(火曜日)5 時 50 分頃
4階防災課事務室、南側外装アルミサッシ部(X5~X6/Y5通り間(参照 図 3-1、2)
無し
貴市役所職員が降雪状況を確認するため、4階南側外装アルミサッシ窓を開錠し、引手に
手をかけ数cmスライドさせたところ、障子上方から南側へ倒れだし、約10m下部の低
層吹抜け部の2階外部テラスに落下した。障子は枠が変形し、ガラスが割れ、周囲に飛散
した。(参照 写真 3-1)
落下した障子の仕様
:
外装アルミサッシ障子
幅 約 1m、高さ 約 2.5m、重さ 約 100kg、6mm+8mm の複層ガラス入り
同種の外装アルミサッシを4~10階に使用
図 3-1
4 階事故発生位置
図 3-2
落下状況
写真 3-1 落下した障子
P.1
甲府市役所本庁舎
4.対応経緯
対応経緯および、対策立案までのフローは、以下のとおりです。
2015 年2月 17 日(火)
5:50 頃 4階南側外装アルミサッシ障子落下事故発生。
貴市役所職員が降雪状況を確認するため、防災課事務室南側の外装アルミサッシ窓を開錠し、引手
に手を掛け、障子を数cmスライドさせたところ、障子上方から南側へ倒れだし、瞬く間に約10
m下方の低層吹抜け部2階テラスに落下した。その後、被害状況を確認したところ、負傷者はなく、
障子は枠が変形しガラスが割れ、周囲に飛散していた。
6:20 頃 貴職員4名が当該窓開口部の養生を行った。
7:46
管財課佐伯係長より、竹中山梨営業所工事担当吉村へ事故の一報が入った。
7:49
吉村より、竹中長野・山梨地区 FM センター所長金庭と当該アルミサッシ製作・取付協力会社の三
協立山へ事故発生の連絡を行った。
8:05
吉村が市役所にて佐伯係長と現地確認を行った。
8:25
金庭より竹中東京本店関係部署へ事故発生の連絡を行った。
12:40
金庭と三協立山が現地調査を実施した。
13:30
管財課にてお詫びと今後の対応について打合せを行い、現地確認を実施した。
出席者 市役所:管財課 中澤課長、佐伯係長、阪本参事
竹中 :山梨営業所長和田、金庭、吉村
市より以下の指示事項があった。
①市として今回の落下事故を非常に重く受け止めている。
②全数調査の実施と早急な原因究明と再発防止策の実施。
③市より本庁舎各課に窓の開閉をしないように喚起・注意する。
④今回の事故について市長まで報告する。
17:00
竹中営業井上より、日本設計千野へ事故発生について電話連絡を行った。
17:30
吉村と三協立山が当該窓開口部をアルミパネルで塞ぐ工事を実施した。
18:00
和田、金庭他2名で再度現地調査を行った。
2月 18 日(水)~22 日(日)
竹中、三協立山が4階以上の同種アルミサッシの全数実測調査及び調整を行った。
調査⑤(4 階落下個所)実施
2月 18 日(水)
11:00~
管財課にてお詫びと今後の対応について打合せを行い、実測調査に立ち会った。
15:00
出席者 市役所 :管財課 中澤課長、佐伯係長、阪本参事
日本設計:千野、安達
竹中
:和田、金庭、東京本店技術井出、井上
三協立山:浅野、粟田、徳野
市より以下の指示事項があった。
①再発防止策を早急に立案すること。
②実測調査作業時の安全対策を確実に行うこと。
19:00
三協立山が破損した障子を工場へ引き取った。
2月 21 日(土)
朝日新聞朝刊山梨版に記事が掲載された。
7:30
YBS 山梨放送(県内ニュース)にて調査中の状況を放映された。
2月 22 日(日)
毎日新聞、山梨日日新聞に記事が掲載された。 YBS 山梨放送(県内ニュース)で放映された。
2月 23 日(月)
10:30
総務部へお詫びと調査報告(速報)を行った。
出席者 市役所 :長田総務部長、小林室長、中澤課長、岩間課長、阪本参事
日本設計:長堀、三井、小坂、千野
竹中
:太田、篠井、井出、和田、金庭、井上、松下
市より以下の指示事項があった。
①関係3社で原因究明チームを組成し、速やかに原因究明及び対策の立案を行うこと。
11:30
樋口市長、山本副市長へお詫びを行った。
16:00
7F 会議室で記者会見が行われた。
対応者 市役 所:小林室長、中澤課長
日本設計:小坂、千野
竹中
:井出、金庭
18:30
YBS 山梨放送、UTY テレビ山梨にて記者会見の模様が放映された。
19:10
共用部外装アルミサッシ窓に「窓を開けないで下さい」の掲示を行った。
P.2
甲府市役所本庁舎
2月24日(火)
読売新聞、毎日新聞、朝日新聞、山梨日日新聞の朝刊に記事が掲載された。
8:30
共用部の同種のアルミサッシについてキー付きクレセント錠に交換し、昨日の掲示を撤去した。
16:54
山梨日日新聞より竹中へ FAX にて質問が送付された。
2月25日(水)
山梨日日新聞の朝刊に記事が掲載された。
17:00
第1回緊急対策チーム会議開催
20:11
山梨日日新聞より竹中へ FAX にて2回目の質問が送付された。
2月26日(木)
22:04
山梨日日新聞より竹中へ FAX にて3回目の質問が送付された。
2月28日(土)
、2月29日(日)
応急対策B 躯体とサッシレベルの計測を実施
のちに調査②に集約
3月 2 日(月)
午前
第 2 回 緊急対策チーム会議開催
午後
第1回 対策会議開催
3 社から報告
3月 5 日(月)
午後
第 3 回 緊急対策チーム会議開催
16::00
第 2 回 対策会議開催
3 社から報告、調査計画等
3月7日(土)
、8日(日)
応急対策C 執務室の障子で掛り代7.5mm.以上の開放 227箇所
共用部と7.5mm.未満はキー付クレセントにて開放制限 181箇所
調査①、②、③、④実施
3月 11 日(水)
午後
第 4 回 緊急対策チーム会議開催
3月 12 日(木)
第 3 回 対策会議開催
3 社から報告、調査結果報告について見送り。
3月 14 日(土)
、15 日(日)
調査③実施
応急対策C 執務室の障子で掛り代7.5mm.以上の開放 227箇所
共用部と7.5mm.未満はキー付クレセントにて開放制限 181箇所
3月 16 日(月)
午前・午後
第 5 回 緊急対策チーム会議開催
3月 14 日(土)
、15 日(日)
調査③実施
3 月 17 日(火)
調査③、⑤実施
3 月 18 日(水)
総務委員会に参考人として出席
調査⑤実施
3月18日(水)~
掛り代7.5mm.未満の部位(執務室81箇所、共用部17箇所)について再確認作業
3月 19 日(木)
午前・午後
第 6 回 緊急対策チーム会議開催
3月 20 日(金)
第 4 回 対策会議開催
3 社から総合検証報告
3月 25 日(水)
第 5 回 対策会議開催
3 社から総合検証報告における追加検討について報告
P.3
甲府市役所本庁舎
P.4
甲府市役所本庁舎
5.緊急対策・応急対策
(1)落下した障子の調査、及び現地調査 (参照 添付資料 1)
緊急対策・応急対策に先行した、調査概要現地調査および落下した障子の調査を実施しました。
①落下した障子の調査
調査日
2015 年 2 月 23 日(月)
調査場所
三協立山 新湊工場
調査内容
障子の寸法、戸車の寸法の確認
4 階障子 NO14
②現地調査
調査日
2015 年 2 月18日(水)~22 日(日)
調査内容
枠の寸法、上枠と障子の掛かり代の確認
4階~10 階全数
うちサッシ上枠・下枠レベルの確認
4階南面
①落下した箇所の枠と障子の状況について
図に落下した箇所の枠の状況を示します。
枠寸法及び障子の調査結果から、掛かり代は 1.5mm であったことが推測されます。
図 5-1-1
落下した部位の状況
P.5
甲府市役所本庁舎
②現地調査
図に 4 階の障子掛かり代の分布を示します。4階~10階を調査した結果、掛かり代が小さい箇所は4階
の南側に集中しており、落下した箇所 NO14 を中心に分布しています。
凡例:
図 5-1-2
4 階の障子掛かり代の状況
P.6
甲府市役所本庁舎
(2)緊急対策 (参照 添付資料 2)
・対策内容
障子の掛かり代は本工事の施工計画書に記載している現場管理値では 7.5mm±2.5mm となっています
ので、5mm を許容下限値として対策を実施しました。
実施日
2015 年 2 月18日(水)~22 日(日)
箇所数
・障子全数の掛かり代の調査
408
調査結果
・調査の結果の掛かり代が 5mm未満の障子を確認
74
A. 5mm 未満の障子の戸車を高さ調整し掛かり代 5mm 以上に調整
66
調整後 5mm 未満であった障子のクレセントをキー付きに交換し、
8
施錠(開閉動作不可)
緊急対策
更なる安全を考慮し、当該障子近傍ならびに戸車調整代が小さいも
B.
のについて、
11
5mm 以上の障子のうち 11 箇所をキー付きに交換し、施錠(開閉
動作不可)
写真 5-2-1
キー付きクレセント
写真 5-2-2
クレセント
・数量(単位:箇所) ※4 階の落下した窓1箇所を除いています。5mm は掛かり代を表します。
調査結果
階
合計
5mm 以上
5mm 未満
10
56
50
6
9
56
52
4
8
56
42
14
7
56
54
2
6
56
46
10
5
56
48
8
4
72
42
30
計
408
334
74
緊急対策 A
階
合計
5mm 以上
確保確認
10
9
8
7
6
5
4
計
56
56
56
56
56
56
72
408
55
56
55
56
55
53
59
389
5mm 以上
緊急対策 B
キー付きに
交換
1
0
1
0
0
2
7
11
計
56
56
56
56
55
55
66
400
戸車調整
5mm 未満
緊急対策 B
キー付きに
交換
0
0
0
0
1
1
6
8
P.7
甲府市役所本庁舎
(3)応急対策 (参照 添付資料 3)
①応急対策 A
・対策内容
実施日
対策内容
2015 年 2 月 24 日(水)
.4~10 階共用部分の障子のクレセントをキー付きに交換
112 箇所
・数量(単位:箇所)※4 階の落下した窓1箇所を除いています。5mm は掛かり代を表します。
クレセント
キー付きクレセント
階数
合計
5mm 以上
5mm 以上
5mm 未満
計
10
9
8
7
6
5
4
計
対策
区分
56
56
56
56
56
56
72
408
33
43
42
43
35
40
41
277
―
―
②応急対策 B
・定期的なレベル計測として「対策内容等
③応急対策 C
・対策内容
実施日
対策内容
22
13
13
13
20
13
18
112
応急対策 A
範囲
1
0
1
0
0
2
7
11
0
0
0
0
1
1
6
8
23
13
14
13
21
16
31
131
緊急対策 B
範囲
4 原因(2)③」に記載します。
2015年3月7日(土)、3月8日(日)
、3月14日(土)
、3月15日(日)
4階~10階執務室の障子掛り代が7.5mm 以上を開放する。
7.5mm 未満の部位はキー付クレセントで制限する。
・数量(単位:箇所)※4 階の落下した窓1箇所を除いています。
10
9
8
7
6
5
4
クレセ
ント
合計
5mm
以上
56
33
56
43
56
42
56
43
56
35
56
40
72
41
計
408
277
112
対策区分
―
―
応急対策
A 範囲
階数
キー付きクレセント
5mm
以上
22
13
13
13
20
13
18
1
0
1
0
0
2
7
5mm
未満
0
0
0
0
1
1
6
23
13
14
13
21
16
31
11
8
131
緊急対策
B範囲
計
クレセント
執務室 共用部
7.5mm 7.5mm
以上
以上
21
0
38
0
33
0
37
0
33
0
26
0
27
0
216
0
216
キー付きクレセント
執務室
共用部
7.5mm 7.5mm 7.5mm
未満
以上
未満
12
21
1
5
11
2
10
13
0
6
11
2
10
11
2
17
3
10
32
13
0
92
83
17
192
応急対策C範囲
P.8
甲府市役所本庁舎
(4)現況 (参照 添付資料 4)
緊急対策・応急対策をした結果、現況は以下のとおりとなっています。
・対策内容
現況
4階~10階執務室の障子掛り代が7.5mm 以上を開放する。
7.5mm 未満の部位はキー付クレセントで制限とし、3月18日より7.5mm 以上
となるか再確認作業を実施中です。
・数量(単位:箇所)
階数
合計
クレセ
ント
キー付きクレセント
5mm
以上
5mm
以上
クレセント
執務室
5mm
未満
計
7.5mm
以上
キー付きクレセント
共用部
執務室
共用部
7.5mm 7.5mm 7.5mm
以上
未満
以上
3(男子更
12
21
衣室)
7.5mm
未満
10
56
33
22
1
0
23
21
9
56
43
13
0
0
13
38
0
5
11
2
8
56
42
13
1
0
14
33
0
10
13
0
7
56
43
13
0
0
13
37
0
6
11
2
6
56
35
20
0
1
21
33
0
10
11
2
5
56
40
13
2
1
16
26
0
17
3
10
4
72
41
18
7
6
31
27
0
32
13
0
計
408
277
112
11
8
131
216
0
92
83
17
―
―
応急対策
A 範囲
対策区分
緊急対策
B範囲
216
1
192
応急対策C範囲
P.9
甲府市役所本庁舎
6.原因
(1)施工工程に沿った原因の検討 (参照 添付資料 5)
4階南側吹抜け部について、施工品質の確認を行うため、実績に基づいた施工工程に沿って、施工検査記録の
確認を行いました。図に 4 階南側吹抜け部の施工工程を示します。
(21 日間)
図-6-1-1
4 階南側吹抜け部 施工工程(2012 年 11 月~2013 年 11 月)
①施工工程について
4 階南側吹抜け部は、現場打設のコンクリートスラブであるため、周辺躯体とは施工時期をずらし、2012
年 11 月下旬~12 月にかけて施工しています。
 4 階は跳ね出しスラブ躯体を構築した上で、立上り(腰壁)躯体を構築しており、それぞれコンクリート
打設後の工程に記載の養生期間をおいて型枠を解体しました。
その手順は、以下の通りです。
4 階跳ね出しコンクリートスラブコンクリート打設⇒腰壁コンクリート打設⇒腰壁型枠解体
⇒サッシ取付け⇒モルタル詰め⇒障子・ガラス取付け⇒跳ね出しスラブ支保工解体
②施工検査記録について
該当する施工上の各作業における代表的な施工検査記録を以下に示します。
 コンクリート打設前に作成するコンクリート打設計画書
 コンクリート打設時のコンクリート受入れ検査記録
 コンクリート打設後に作成するコンクリート打設記録書
 コンクリート強度の発現を確認のためのコンクリート受入れ時に採取した試験体を用いた強度試験結果。
こちらはスラブ・立上りに対し、それぞれ、採取後7日・28 日の記録があります。
 サッシ取付けの精度確認、作業確認のためのサッシ取付検査表、ガラス工事自主検査表
P.10
甲府市役所本庁舎
以下に、各施工検査記録について、確認状況を示します。
表 6-1-1 各施工検査記録の確認状況
施工検査記録名 施工要領書
添付資料NO①
工事区分 鉄筋工事・型枠工事・コンクリート工事
部位 全般
確認状況 工事概要や施工管理体制を明確にし、施工・管理フローから必要な検査等について、
関係者に周知されています。施工については、詳細の仕様や注意事項なども記載さ
れています。
施工検査記録名 コンクリート打設計画書・記録書
添付資料NO②③
工事区分 コンクリート工事
部位 スラブ
確認状況 コンクリート打設計画書では、コンクリートの強度他について仕様の確認を行って
います。打設計画図・配員計画、打設スケジュールについても無理のない適正な計
画となっています。コンクリート打設記録書は、計画書に沿って概ね計画通りの実
施記録となっています。
施工検査記録名 コンクリート受け入れ検査
添付資料NO④~⑦
工事区分 コンクリート工事
部位 スラブ
確認状況 配合計画に基づく所定のコンクリートについて、試験結果が許容値内であることを
確認しています。塩化物含有量試験では、カンタブを用いた試験により、塩化物含
有量が規格値以下であることを確認しています。単位水量測定報告では、試験結果
より推定した単位水量が許容範囲内であることを確認しています
施工検査記録名 コンクリート打設計画書・記録書
添付資料NO⑧⑨
工事区分 コンクリート
部位 立上り(腰壁)
確認状況
コンクリート打設計画書では、コンクリートの強度他について仕様の確認を行って
います。打設計画図・配員計画、打設スケジュールについても無理のない適正な計
画となっています。コンクリート打設記録書は、計画書に沿って概ね計画通りの実
施記録となっています。
施工検査記録名 コンクリート受け入れ検査
添付資料NO⑩~⑫
工事区分 コンクリート
部位 立上り(腰壁)
確認状況
配合計画に基づく所定のコンクリートについて、試験結果が許容値内であることを
確認しています。塩化物含有量試験では、カンタブを用いた試験により、塩化物含
有量が規格値以下であることを確認しています。単位水量測定報告では、試験結果
より推定した単位水量が許容範囲内であることを確認しています。
施工検査記録名 コンクリート強度試験
添付資料NO⑬
工事区分 コンクリート 打設後 7 日経過時
部位 スラブ・立上り
確認状況 打設後 7 日経過時に
コンクリート強度試験結果により適切な強度発現の確認を行っています。
施工検査記録名 サッシ取付検査表
添付資料NO⑭
工事区分 サッシ
部位 サッシ全般
確認状況 取付フローに従ってサッシ枠の組立・取付を行っています。取付作業は、取付精度
±2.5 ㎜以内を確認しながら作業を進め、作業完了後には品質管理担当者が取付検
査を行い、基準値内であることを確認しています。また、障子の作動状況・納まり
の他、クレセントの掛かり具合、部品の欠品や傷の有無を確認しています
施工検査記録名 ガラス工事自主検査表
添付資料NO⑮
工事区分 ガラス(サッシ)
部位 ガラス全般
確認状況 搬入時には受入検査として、ガラス品種・板厚・寸法の他、傷の有無を確認してい
ます。取付は手順書に沿って行い、完了後に品質管理担当者が仕様の他、傷の有無、
養生・清掃状況などを確認しています。
施工検査記録名 コンクリート強度試験
添付資料NO⑯
工事区分 コンクリート 打設後 28 日経過時
部位 スラブ
確認状況 コンクリート強度試験結果により適切な強度発現の確認を行っています。
施工検査記録名 コンクリート強度試験
添付資料NO⑯
工事区分 コンクリート 打設後 28 日経過時
部位 立上り
確認状況 コンクリート強度試験結果により適切な強度発現の確認を行っています。
P.11
甲府市役所本庁舎
添付資料 5 に、その他作業における確認項目および施工検査記録も合わせて添付します。そこでは、各項
目について、日本設計・竹中工務店・三協立山アルミの3社の役割分担も記載しています。
以上のとおり、施工工程に沿って必要な検査が行われ、検査内容についても適切であると判断しております。
(2)調査 (参照 添付資料 6)
(1)の検討によって、サッシに関連する以下の原因を設定することが妥当であると判断しました。
起因
内容
サッシ工事に起因する原因
 障子取付け時に、掛かり代が小さいが戸車の調整をせず設置した。
 サッシ取付け後に、何らかの理由で枠が変形した。
躯体工事に起因する原因
 サッシ取付け後に、躯体の変形が生じ、サッシ枠上下間が大きくな
った。
原因特定のために行った調査について以下に記載します。
添付資料 6 において精査中とある調査結果は、後述の定期計測の中間報告と合わせて報告いたします。
①
調査① 4 階スラブ躯体の確認
調査目的
4 階南側について、サッシ取付け後の躯体変形の発生の有無・状況を確認し、サッシ枠上
下間増大との関連性を把握することを目的としました。
調査内容
外周部のスラブは跳ね出しになっており、梁の内外でスラブの構造が異なります。
跳ね出しスラブが変形していれば発生することが想定されるコンクリート躯体のひび割
れの有無・状況を目視にて確認しました。
作業内容
タイルカーペット・OAフロア・断熱ウレタンを一時撤去し、コンクリート躯体が見える
ようにし、調査しました。
調査後、現状復旧を行いました。ただし、断熱ウレタンの復旧は後日となります。
※3/2 の調査計画書では①~④の 4 箇所としていましたが、障子落下位置近傍で③’、
東西面でサッシ枠上下間が大きくなっていた箇所⓪、⑤の3カ所を追加し合計7カ所を調
査しました。
実施日
3 月 14 日、28 日
図 6-2-1
結果
調査①
調査位置(4 階)
すべての調査位置において、構造的に有害なひび割れがないことを確認しました、
P.12
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②
調査② 低層部 4 階スラブレベル測量
調査目的
サッシ取付け後の低層部 4 階レベルの梁・スラブの変形がサッシ枠上下間増大の原因
と想定されるため、今後の経過計測のための初期値を確認する。
調査内容
低層部 4 階、X8~X10、Y3~Y5通りの範囲にあるスパン 16。4mの大梁4G
の近傍のスラブのレベル測量を行います。
作業内容
低層部 3 階の天井点検口3箇所より直上4階スラブの下端レベルを測量します。
今後の経過計測を行います。
実施日
3 月 12 日、21 日
図 6-2-2
結果
今後の予定 1
今後の予定 2
調査②
調査位置(3 階)
今後の経過計測のための初期値を採取しました。
採取した測定値の確認のため、今後、追加調査をさせていただきます。
今後経過計測をします。
測定器設置基準、測定点のマーキングは経過計測中残置させていただきます。
P.13
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③
調査③ 躯体レベル測量
調査目的
免震階、1~10 階において、サッシ取付け後の躯体変形がサッシ枠上下間の増大につ
ながったと仮定し、測量と今後の経過計測を行います。
調査内容
現時点のレベルを測量します。
今後、経過計測を行います。
作業内容
以下に示す箇所の現時点でのレベル測量を行います。
今後、経過計測をします。
測定点、基準レベルのマーキングは経過計測中残置致します。
実施日
3 月 8 日、9 日、15 日、16 日、18 日、21 日、22 日、28 日
8
7
6
5
4
3
2
1
図 6-2-3
調査③
調査位置(免震階)
P.14
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天井下面
スラブ上端
1~3 階
各階断面)
上階 PC 下端
上枠レール下端
下枠レール上端
腰壁下
計測位置
サッシ障子の戸先(方立に当たる面)近傍
4~10 階 サッシ平断面
図-6-2-4
調査③
調査箇所
腰壁上
4~10 階 (各階断面)
1~10 階
P.15
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1階
4階
8階
2階
5階
9階
3.階
6階
10 階
凡例
7階
測定点
基準レベル設置点
図 6-2-5
結果 1
結果 2
今後の予定 1
今後の予定 2
調査③
調査位置(1~10 階)
免震階の測量の結果:免震階下部躯体側に新築時にマーキングしたレベル BM=T.P.+
266,500 であることを確認しました。及び、免震装置の 1 年点検記録から。免震装置
以下の躯体には沈下などは発生していないこと、免震装置以上の躯体にも沈下や傾斜が
ないことを確認しました。近日行われる 2 年点検によって再度確認を行います。
1~10 階測量の結果:今後の経過計測のための初期値を採取しました。
採取した測定値の確認のため、今後、追加調査の実施をお願いします。
今後経過計測をします。
測定器設置基準、測定点のマーキングは経過計測中残置させていただきます。
P.16
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④
調査④ 4 階南側腰壁傾斜測量
調査目的
4 階南側腰壁において、サッシ取付け後のスラブのたわみと腰壁の傾きによってサッシ
枠上下間の増大につながったと想定されるため、測量と今後の経過計測を行います。
調査内容
腰壁のレベル・水平位置を計測し、現在の変形状態の確認、及び、今後の躯体傾斜の経
過計測の初期値とします。
作業内容
低層部屋上鉄骨基礎に測定器設置基準点を設け、植栽中央部に計測器を設置します。
3mピッチで 19 箇所を測定点とし、3次元データの初期値を測量します
実施日
3 月 8 日、28 日
今後の予定
今後経過計測をします。
測定器設置基準、測定点のマーキングは経過計測中残置させていただきます。
水平 +方向
上下
―方向
凡例
測定点
測定器設置置基準点
図 6-2-6
今後の予定
結果
調査④
調査位置(4 階)
今後経過計測をします。
測定器設置基準、測定点のマーキングは経過計測中残置させていただきます。
測量結果を以下表 6-4 に示します。
測定点①を基準とした各測定点の相対的な変位は、スラブ跳ね出し部である測定点⑩が
最も大きく、下方に 6mm、前方に 10mm となっていました。
よって、跳ね出しスラブ先端が下がるとともに、腰壁が前方に倒れる状態となっていま
す。
これらの数値は、測定点⑩の初期の状態からの変位ではなく、現時点での測定点⑩と測
定点①との相対的なものです。
表 6-4 ①を基準とした場合の測定点の相対変位(mm)
測定点
①
②
③
④
⑤
水平
0
4
-1
2
-4
上下
0
-3
1
-2
1
測定点
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
水平
9
7
8
11
9
上下
-6
-3
-4
-5
0
⑥
-2
-1
⑯
2
-3
⑦
-4
1
⑰
3
-3
⑧
-1
-2
⑱
1
-3
⑨
6
-1
⑲
0
-2
⑩
10
-6
P.17
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⑤
調査⑤ サッシ下枠施工状況の確認
調査目的
サッシ下枠の施工状況の確認。
調査内容
図に示す位置のサッシ下枠と腰壁の間のシーリングを撤去し、内部を確認します。
実施日
2 月 23 日、3 月 17 日、18 日
4階
西側
執務室内
障子 NO72
南側
執務室内
障子 NO14
NO72
NO14
5階
北側
副市長応接室
障子 NO33
6階
北側
入札控室
障子 NO36
NO33
NO36
P.18
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8階
北側
非常用 EV3 附室
障子 NO37
NO37
図 6-2-7
結果
調査⑤
調査位置
調査の結果、サッシ枠の転び(外側が内側に比べて低くくなっている状態)
、下枠のジ
ョイント部に隣接する下枠との間に段差を生じている箇所があることが判明しました。
注記:ジョイント部は熱変形追従性確保のためモルタル充填無しの仕様となっています。
写真 4 階 NO14 枠下
モルタル充填あり
写真
5 階 NO33 ジョイント部
段差あり
写真
8 階 NO37 ジョイント部
段差あり
写真 4 階 NO72 ジョイント部
モルタル充填無し(適正)
写真 6 階 NO36 ジョイント部
段差・ジョイント金物変形あり
P.19
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⑥
調査⑥ 建物の三次元計測
調査目的
建物に異常な傾きや変形などが無いことを、三次元計測による測量と経過計測で、
確認します。
調査内容
4階、10階の腰壁部分のレベル・水平位置を計測し、現在の状態を確認すると共に、
今後の経過計測で傾きや変形を生じていないか確認していきます。
作業内容
下図の通り、4階低層部側に測量機を設置し、測量を行います。
測定点、基準レベルのマーキングは経過計測中残置致します。
実施日
3 月 28 日
X2
X9
Y5
4階
10 階
計測点
測量機設置位置(予定)
結果
今後の予定
図 6-2-8 調査⑥ 調査位置(4、10階)
測量の結果:今後の経過計測のための初期値を採取しました。
採取した測定値の確認のため、今後、追加調査の実施をお願いします。
P.20
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(3)原因の特定
本建物の構造上の特徴として、4階南側のスラブ跳ね出し部は厚さ 150mm の現場打ちコンクリートであり、
西・東・北側は鉄骨梁の上に現場打ちコンクリートが施工されている。また、5階~10階の跳ね出し庇は厚
さ 250mm のプレキャストコンクリート(PCa)となっています。
この構造的な特徴を踏まえた上で、以上の調査及び検討から原因の特定について、建物の範囲ごとに以下に記
載します。
図 6-3-1
原因検討の範囲(4階南側)
① 4 階スラブ跳ね出し部について (落下した障子を含む 8 箇所)
当該部分においては、以下の設計及び施工上考えられる要因が下表のように複合的に発生し、障子の掛かり
代が小さくなり落下に至ったと考えます。
表 6-3-1
原因の整理(4 階スラブ跳ね出し部)
要因
サッシ 工事取 付け
時の誤差
スラブ 支保工 解体
後の弾性たわみ※
クリー プによ るた
わみ
内容
サッシ枠の取付け精度は施工計画書で水平レベルに対して±
2.5mm と定められており、枠取付け時点での自主検査では全
数合格している。
落下した当該部分の自主検査の最大値は 0.5mm である。
スラブ支保工解体後にサッシ下枠を取付ければこの弾性たわ
みを付加しなくてよいが、本工事では下枠取付け後に、スラ
ブ支保工解体を行う手順としため弾性たわみがサッシ下枠の
変位に影響をした。(参照 資料 9)
コンクリートは荷重がかかった状態で弾性たわみによる変形
後、時間経過による変形が進行するクリープという性質があ
り当該跳ね出しスラブに発生した。
ただし、この現象は徐々に進行が小さくなり、収束する。
計
誤差又は
変形量(mm)
約 0.5
1.5
3.4
約 5.4
※注記:コンクリート打設後 21 日で支保工を撤去したことによるたわみ増加分を含みます。
4階跳ね出し部のスラブについて、コンクリート打設から支保工解体まので期間は、21 日でした。設計図
書に「型枠の存置期間及び取外し」について「コンクリートの材齢を原則として 21 日以上とする。」とい
う規定があります。本工事での直近の同一呼び強度の 7 日と 28 日の発現強度及び、当該スラブの 7 日の
テストピースの試験結果から、21 日強度が設計基準強度に達すると想定し 21 日試験を実施せずに支保工
を撤去しました。
そのことによる変形量は、添付資料 7-1 に示す通りコンクリート強度の差異による増分は 0.1mm 程度で
あり、小さい数値となっています。
P.21
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②4階低層部につながる範囲について (9 箇所)
当該部分においては、以下の要因が複合的に発生し、一部の障子の掛かり代が小さくなったものと考えます。
表 6-3-2
原因の整理(4 階低層部につながる範囲)
要因
誤差又は
変形量(mm)
内容
サッシ 工事取 付け
時の誤差
サッシ 下枠外 側の
転び
低層部屋上の仕上げ
荷重による変形
サッシ枠の取付け精度は施工計画書で水平レベルに対して±
2.5mm と定められており、枠取付け時点での自主検査では全
数合格している。
当該部分の自主検査の最大値は 0.5mm である。
サッシ取付け後からモルタル硬化前に予想外の外力が下枠に
作用しモルタル詰めできない部分※に作用し、転び(外側が内
側に比べて低くなっている状態)が発生した。
原因の一つとして、サッシ取付け後の外部庇仕上げ作業に伴
う移動で作業員が下枠に足をかけたことが考えられる。
サッシ取付け後に低層部屋上の防水押えコンクリートや植栽土壌な
どの大きな荷重が採用し、梁の弾性変形に伴い、腰壁が挙動した。
(参照
約 0.5
約 1.5
0.7
添付資料 7-2)
計
約 2.7
※注記:ジョイント部は熱変形追従性確保のため、モルタルを充填しない仕様となっています。
③ ①・②以外で調整後に掛かり代が 7.5mm 未満の箇所について (2 箇所:4 階 NO72、5 階 NO33)
当該部分においては、以下の要因が複合して発生し、一部の障子の掛かり代が小さくなったものと考えます。
表 6-3-3
原因の整理(①・②以外で掛かり代が 7.5mm 未満の箇所)
要因
内容
サッシ 工事取 付け
時の誤差
サッシ 下枠外 側の
転び
サッシ枠の取付け精度は施工計画書で水平レベルに対して±
2.5mm と定められており、枠取付け時点での自主検査では全
数合格している。
当該部分の自主検査の最大値は 1.5mm である。
サッシ取付け後からモルタル硬化前に予想外の外力が下枠に
作用しモルタル詰めできない部分※に作用し、転び(外側が内
側に比べて低くなっている状態)が発生した。
原因の一つとして、サッシ取付け後の外部庇仕上げ作業に伴
う移動で作業員が下枠に足をかけたことが考えられる。
計
誤差又は
変形量(mm)
約 1.5
約 1.5
約 3.0
※注記:ジョイント部は熱変形追従性確保のため、モルタルを充填しない仕様となっています。
④ ①~③以外で事故直後の調整時に掛かり代が 5mm未満だった箇所について (55 箇所)
当該部分においては、サッシ取付け時の誤差に加えて、
1)取付け時と調整時の温度差による部材の伸縮
2)障子作動調整による微小な変位
3)サッシ枠取付け後、何らかの外力によるサッシ下枠の微小な変形
等が発生したことが推定されます。
取付け時には掛かり代 5mmを確保していたものの、以上の複合的要因によって 5mm 未満の箇所が発生し
たものと考えます。この箇所についてはその後の調整によって現状掛かり代 7.5mm を確保済みです。
P.22
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(4)落下事故を予見できなかった理由について
以上の要因を予見できなかった理由について以下のとおり整理します。
表 6-4-1
段
階
予見できなかった理由
範囲
要因
①
クリープによるたわみ
設
計
時
躯体の変形によるサッシ
へ影響
構造大臣認定審査項目の長期荷重に対する使
用性において、当該箇所については片持床厚/
床長さ>1/10 であることを確認することによ
り、使用上の支障が生じない事を確かめている
が、数値として確認しなかった。
(構造大臣認定別表-5 による 参照 添付資
料 7-3)
4階と5階の跳ね出しスラブ厚の違いにより
発生する長期たわみの差、仕上げ荷重・積載荷
重による躯体の変位について、上記の理由で認
識できなかった。
②
③
○
○
既製サッシの納まり方が、サッシ取り付け後の
躯体の変形量を吸収しきれないことについて
認識がなかった。
○
○
○
躯体の変形の認識不足
各社出席の外装分科会で上記情報開示・共有を
怠った。
○
○
○
コンクリート打設後 21
日で支保工を撤去したこ
とによるたわみの増加
低層部屋上の仕上げ荷重
による変形
 取付け時と調整時の温度
差による部材の伸縮
 障子作動調整による微小
な変位
 取付け後、何らかの外力
による下枠の微小な変形
円滑な工程進捗のために、下枠取付け後にスラ
ブ支保工解体を行う手順を採用した。
一般的な手順ではあるが、跳ね出しスラブとい
う特殊性を考慮すれば、本来、事前にその影響
を検討してサッシ製作、施工に反映すべきであ
った。
結果として、21 日で設計基準強度が発現して
いたと推定されるものの、テストピースによる
強度発現確認という基本的なルールを遵守す
べきであった
円滑な工事進捗のために、サッシ取付け後に低
層部屋上の防水押えコンクリートや植栽土壌
の工事をする手順を採用した。
一般的な手順ではあるものの、大スパンという
特殊性を考慮すれば、事前にその影響を検討し
サッシ製作・施工に反映すべきであった。
各々、事象として発生し得ることは理解してい
たが、微小な変形のため正確な定量化は困難で
あり、各々が複合した場合のサッシ掛かり代へ
の影響について数値としては確認しなかった。
表中の範囲
④
○
サッシの設計に躯体の変
形が考慮していないこと
スラブ支保工解体後の弾
性たわみ
施
工
時
予見できなかった理由と反省すべき点
○
○
○
○
○
○
○
①は、4 階スラブ跳ね出し部
②は、4階低層部につながる範囲
③は、①・②以外で調整後に掛かり代が 7.5mm 未満の箇所
④は、①~③以外で事故直後の調整時に掛かり代が 5mm未満だった箇所
○は、該当することを示します。
P.23
甲府市役所本庁舎
段
階
範囲
要因
予見できなかった理由と反省すべき点
①
サッシ下枠外側の転び
施
工
時
掛かり代の検査
モルタル硬化前の注意喚起を行いジョイント
部の機構を十分理解し、重点的に養生、通行止
め等の仮設計画を検討の上、実施すべきであっ
た。
また、サッシ枠の寸法検査がサッシ枠取付け時
のみで、モルタル充填、ガラス取付け後の検査
が無かったために、外力による変形・転びを確
認できなかった。
施工時の検査に、掛かり代を直接検査する管理
項目がなかった。
ただし、掛かり代の検査方法は、直接掛かり代
を測るのではなく、サッシ枠及び障子の製作誤
差測定及びサッシ枠取付け時の施工誤差測定
による管理を実施している。
通例は、同検査方法にて管理している
②
③
④
○
○
○
○
○
○
竣
工
時
掛かり代の検査
竣工引渡しの検査に、掛かり代を直接検査する
管理項目がなかった。
通例は、行っていない。
○
○
○
○
竣
工
後
1 年点検時における
掛かり代の検査
竣工後検査に、掛かり代を直接検査する管理項
目がなかった。
通例は、行っていない。
○
○
○
○
表中の範囲
①は、4 階スラブ跳ね出し部
②は、4階低層部につながる範囲
③は、①・②以外で調整後に掛かり代が 7.5mm 未満の箇所
④は、①~③以外で事故直後の調整時に掛かり代が 5mm未満だった箇所
○は、該当することを示します。
(5)各原因に対する 3 社の責任について
各原因において、3 社それぞれに起因するものもありますが、複合的な要因が多くあることから「施工者等対策
チーム」として 100%責任を負い、誠意をもって恒久対策を実施します。
P.24
甲府市役所本庁舎
7.4 階跳ね出し部のコンクリート打設後 21 日での支保工撤去について (参照 添付資料 8)
4 階跳ね出し部のスラブについて、コンクリート打設から支保工撤去までの期間を21日としました。その
時点での判断の根拠は以下のとおりです。
1) 本工事での直近の同一呼び強度のコンクリート打設後 7 日と 28 日の発現強度からの推定
2) 当該スラブの 7 日試験結果(18.5N/mm2)をゴーラル曲線の 28 日強度/7 日強度の比率に乗じて設
計基準強度(24N/mm2)以上の発現を推定
(18.5×35.3/24.0-3=24.2 N/mm2)
現時点での検討となりますが、コンクリート打設から 21 日で支保工撤去した際の、コンクリート強度は
24N/mm2 と、設計基準強度と同等であると判断しています。さらに、28 日強度試験結果が 43.4N/mm2
を確認しています。よって、構造体(く体)は健全であると考えています。
8.4階跳ね出しスラブのたわみの収束について (参照 添付資料 9)
4 階跳ね出しスラブはたわみを生じていますが、RC 規準(鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説〈2010〉:
日本建築学会鉄筋)等に記載されている通り、一定に値で収束します。
現在発生しているたわみの大きさや、スラブの状況から判断するたわみの収束値は表のとおりと考えていま
す。
表 8-1 長期たわみの収束
たわみ量
時間経過
(弾性たわみを含む)
現在(2年経過時)
4.9mm
収束時
5.7mm
今後の収束時までの増分
0.8mm
9.恒久対策(案) (参照 添付資料 10)
7.5mm の掛かり代を全数のサッシについて確保することを方針とし、以下の恒久対策(案)を実施いたし
ます。
①
4階スラブ跳ね出し部
・サッシ下枠の正規位置への再取付けを行います。
落下した障子及び損傷した枠は再製作いたします。
② サッシ全数
・戸車の調整、下枠の調整・交換等により、7.5mm の掛かり代を全数のサッシについて確保・確認をし
ます。
③ プラスアルファの安全対策
・4階~10 階アルミサッシ全数について、以下の A~C 案から 1 案を選択し実施することを提案させて
いただきます。
A案:外部側にアルミアングル材(通し)を設置
B案:障子召合框にアルミ材を設置
C案:上枠カバー取外し、障子上框にアルミ材(L=70)を設置
10.定期計測のお願い (参照 添付資料 11)
6.(2)調査にあるとおり、定期計測によって今後の構造体の変形の確認を行うことにより、恒久対策を万
全なものとさせていただきます。以下の通り定期計測をさせていただきますようお願いいたします。
①定期計測概要
調査内容
調査目的
初回調査日
調査間隔
調査②、③、④、⑥
定期計測による構造体の変形の確認
2015 年 3 月 28 日(土)、29 日(日)
3 か月程度は2週間間隔を計画しております。その間の調査結果により調査間
隔の変更についてご協議させていただきますようお願いします。
―以上―
P.25
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