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育児中の母親の現状と子育て支援のあり方
育児中の母親の現状と子育て支援のあり方 2002.5.17 子育て環境研究所設立準備室 杉山千佳 1. 育児雑誌の仕事を通して見えてくる現在の母親像 核家族。周囲に子育てのモデルをみつけにくい。もともと家事能力が低い。 赤ちゃんの存在・・・生まれて初めての、自分の力ではどうすることもできない存在 との遭遇。育児文化は伝承されていない。→だからマニュアルに頼る。 ・ 専業主婦の母親 心のどこかに「本当は働き続けたかったのに…」という気持ち。 自分の名前がなくなる寂しさ。 「あなたはお母さんなんだから、ちゃんと育てられて当たり前でしょ」→この焦燥 感は誰にもわかってもらえない。それがさらに母親を追いつめる。 「ら・く∼る」では「子育ても自分自身の時間も大切にしたいお母さんを応援しま す」をキャッチフレーズにしている。 (参考資料:コミュニティ誌「ら・く∼る」20 号) ・ 共働きの母親 時間がない。子どもを預けることに対する罪悪感。 昇進・昇格が遅れることへのあせり。職場の無理解。 母親と労働者。果たして切り替えがそんなに上手にできているのか? 女性たちはいう「辞めるも地獄。続けるも地獄」 2. 「子育て支援」の現状 ★市民による子育て支援が広がりつつある。 「地域ぐるみの子育て」「子育ての社会化」が 進んでいる。 →中高年の女性たち「誰にでもできる」 。あちこちで聞くのは「最近の若いお母さんは…」 「私の若い頃は…」 という声。男女共同参画社会の 21 世紀の子育てができているかは疑問。 →子育て当事者の女性たちが支援に乗り出すと、 「自己実現」の場に変わる傾向も。素人判 断の不安。 なぜ、女・子どもしかいないのか。男性が参加することで、ぐっと社会的になるはずなのに。 ★保育ニーズの多様化に応える動きがある。 長時間保育が果たしていいのか。女性が男並みに働くことがいいのか。 働く親のための「子育て支援」 (ゆっくりと子どもと向き合い、地域のコミュニティに参加 する場)も必要なのではないか。 3.子どものための子育て支援を ★ 乳児期・幼児期・学童期・思春期の子どもというのは、どういうものなのか。どんな過 程を経て成長していくものか。多くの知識はいらない。 多様性はもちろん大切だが、社会全体が最低限の共通理解を持って、その子に接するこ とが大事なのではないか。 例:子どもの睡眠は生活リズムの基礎を作るもの。それを損なう社会構造(親の働きす ぎを強要する企業)が容認されている。 子どもを一人の人格を持った人として認める。尊重する。 そして、大人はどう接したらいいのかを考えていくことが大切なのではないか。 ★ 子育ては乳幼児期だけでは終わらない。 「指導型」ではなく、当事者の親たちの親力を 高める支援が必要。 それには「子ども」ってなんだろう、私たちはどんな子育てがしたいんだろう…と親自 身が考え、実践していく、周囲はそれを手助けする。そんな支援が必要なのではないか。 ★ 専業主婦の母親には、子育てだけではない自分をみつけるための社会参画支援を。 働く親には、十分に家庭で過ごせる時間を確保し、地域参加できる機会を。