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イラク - 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 中東研究センター
ISSN 1347-7676 国別定期報告 イラク 2013 年 4 – 6 月 政 治 ..................................................................................................... 1 外 交 .................................................................................................... 1 国 連 ......................................................................................................... 1 米 国 ......................................................................................................... 1 欧 州 ・ カ ナ ダ ............................................................................................ 2 ア ジ ア 諸 国 ............................................................................................... 4 ト ル コ ...................................................................................................... 5 イ ラ ン ...................................................................................................... 6 ア ラ ブ 諸 国 ............................................................................................... 7 シ リ ア 関 係 ............................................................................................... 8 内 政 .................................................................................................... 9 県 議 会 選 挙 関 連 ......................................................................................... 9 県 議 会 選 挙 後 の 連 立 交 渉 .......................................................................... 11 デ モ 関 連 ................................................................................................ 12 政 府 ・ 議 会 関 連 ....................................................................................... 15 政 党 ・ 宗 教 界 関 連 ................................................................................... 18 ク ル デ ィ ス タ ン 情 勢 ................................................................................ 23 治 安 情 勢 ................................................................................................ 24 そ の 他 テ ロ 関 連 ....................................................................................... 26 治 安 部 隊 ・ 司 法 関 連 ................................................................................ 32 経 済 ................................................................................................... 36 経 済 一 般 ........................................................................................... 36 洪 水 で 農 業 生 産 に 影 響 ............................................................................. 36 貧 困 率 が 低 下 .......................................................................................... 36 対 米 貿 易 は 23%増 ................................................................................... 36 ナ ジ ャ フ の イ ラ ン 人 観 光 客 が 激 減 ............................................................ 36 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 : 外 国 企 業 は 2300 社 ................................................ 36 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 : 観 光 客 は 200 万 人 .................................................. 37 財 政 ・ 金 融 ........................................................................................ 37 キ ル ク ー ク 県 の 収 入 は 9.2 億 ID ............................................................... 37 Cirtigroup が バ グ ダ ー ド に 支 店 開 設 ......................................................... 37 吉岡 明子 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 中東研究センター ISSN 1347-7676 運 輸 ・ 通 信 ........................................................................................ 37 鉄 道 復 興 計 画 .......................................................................................... 37 イ ラ ク 航 空 が 路 線 拡 張 ............................................................................. 38 電 力 .................................................................................................. 38 電 力 省 は Siemens と の 取 引 中 止 ............................................................... 38 発 電 量 は 1 万 MW を 超 え る ..................................................................... 38 ト ル コ が イ ラ ク に 電 力 輸 出 ...................................................................... 39 発 電 所 3 つ が 建 設 さ れ る も 稼 働 せ ず ......................................................... 39 Shell は 統 合 電 力 ネ ッ ト ワ ー ク 構 築 を 呼 び か け .......................................... 39 石 油 ・ ガ ス ........................................................................................ 40 生 産 状 況 ................................................................................................ 40 IOCs の 動 向 ・ 開 発 状 況 ........................................................................... 41 エ ネ ル ギ ー 政 策 ....................................................................................... 42 エ ネ ル ギ ー イ ン フ ラ へ の 治 安 問 題 ............................................................ 43 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 ................................................................................ 45 JIME 1.0 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 政治 1.1. 外 交 1.1.1. 国 連 1.1.1.1. コ ブ ラ ー UNAMI代 表 が キ ル ク ー ク 訪 問 4 月 2 日 、コ ブ ラ ー UNAMI 代 表 が キ ル ク ー ク 県 を 訪 問 し 、ナ ジ ュ ム ッ デ ィ ー ン 県 知 事 ら と会談した。県議会選挙の実施やイラクの政治危機について協議した模様である。犠牲者 の遺族に哀悼の意を示すため、数日前に爆破されたフセイニーヤを訪れた。 キルクーク県庁舎で行われた記者会見では、ニナワ県とアンバール県の選挙を他地域と 同 時 に 行 う こ と が 重 要 だ と し て 、 UNAMI が そ れ を 支 援 す る 姿 勢 を 示 し た 。( NINA, 2013.04.02) 1.1.1.2. コ ブ ラ ー UNAMI代 表 が ジ バ リ 外 相 と 会 談 コ ブ ラ ー UNAMI 代 表 は 5 月 上 旬 、 ジ バ リ 外 相 と 会 談 し 、 国 内 情 勢 や イ ラ ク ・ ク ウ ェ ー ト関係などについて協議した。外相は、イラクが憲章第 7 章から脱するために国連の役割 の 重 要 性 を 強 調 し た 。( Iraq Business News, 2013.05.09) 1.1.1.3. 国連憲章第 7 章の終了 国 連 安 保 理 は 6 月 27 日 、満 場 一 致 で イ ラ ク を 憲 章 第 7 条 か ら 第 6 章 に 移 す こ と を 決 定 し た。安保理はイラクに対して、引き続き行方不明のクウェート人の捜索をよびかけると同 時 に 、第 7 章 に 基 づ く 軍 事 攻 撃 を 認 め る 文 言 を 終 了 さ せ た 。 「 ク ウ ェ ー ト・イ ラ ク 行 方 不 明 者および行方不明財産のためのハイレベル・コーディネータ」に割り当てられた任務は UNAMI が 引 き 継 ぐ 。 ジバリ外相はニューヨークで開いた記者会見で、 「イラクとクウェートにとって重要な歴 史 的 ス テ ッ プ だ 」と 語 っ た 。2015 年 ま で に 、全 て の 賠 償 金 を 支 払 う 予 定 だ と い う 。こ れ を 受 け て マ ー リ キ 首 相 は 、イ ラ ク は 前 政 権 の 愚 か な 過 ち に よ っ て 課 さ れ た 20 年 以 上 の く び き から自由になったと語った。 ( NINA, UN,2013.06.27) 1.1.2. 米 国 1.1.2.1. KRG代 表 団 が 訪 米 訪 米 し た ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 は 4 月 12 日 、 オ バ マ 大 統 領 と 会 談 し 、 イ ラ ク の 憲 法解釈に関与しないことを求め、連邦政府の許可無く石油を輸出できるかどうかという問 題に関して、中立でいることを求めた。 そ の 他 、 KRG か ら の 政 府 代 表 団 は ブ リ ン ケ ン 次 席 補 佐 官 ( 国 家 安 全 保 障 問 題 担 当 )、 議 会 議 員 、 ビ ジ ネ ス マ ン 、 NGO 関 係 者 ら と 会 談 し た 。 フ ア ー ド ・ フ セ イ ン 大 統 領 府 長 官 は 、 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 に 来 て い る シ リ ア 難 民 は 11 万 人 と 述 べ 、キ リ ス ト 教 徒 な ど マ イ ノ リ テ ィ も 受 け 入 れ て い る と 語 っ た 。( AP, 2013.04.12; Wall Street Journal, 2013.04.16) 1/54 JIME 1.1.2.2. 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 F-16 戦 闘 機 を 追 加 契 約 イ ラ ク 政 府 は 5 月 初 め 、 F-16 戦 闘 機 8.3 億 ド ル 相 当 を 追 加 契 約 し た 。 2011 年 12 月 に 契 約 し た 18 機 分 の 引 き 渡 し は 今 年 に も 行 わ れ る 予 定 で あ る 。た だ し 、イ ラ ク が 十 分 な 空 軍 力 を 持 つ の は 2015 年 以 降 と 見 ら れ て い る 。( UPI, 2013.05.03) 1.1.2.3. マ ー リ キ 首 相 が オ ー ス テ ィ ン CENTCOM司 令 官 と 会 談 マ ー リ キ 首 相 は 5 月 14 日 、 オ ー ス テ ィ ン CENTCOM 司 令 官 と 会 談 し 、 イ ラ ク 軍 の 装 備 や テ ロ と の 戦 い 、 シ リ ア 危 機 な ど を 話 し 合 っ た 。( NINA, 2013.05.14) 1.1.2.4. 武装ヘリの引き渡し完了 米 軍 は 5 月 23 日 、 イ ラ ク に 武 装 ヘ リ の 引 き 渡 し が 完 了 し た こ と を 確 認 し た 。 計 24 機 が イ ラ ク 側 に 提 供 さ れ た こ と に な る 。( Aswat al-Iraq, 2013.05.24) 1.1.2.5. 在米イラク政府資産保護を 1 年延長 オ バ マ 大 統 領 は 、 5 月 に 期 限 切 れ を 迎 え て い た FRB の イ ラ ク 政 府 資 産 に 対 す る 2003 年 の 保 護 決 定 を 、1 年 間 延 長 す る こ と を 決 定 し た 。2012 年 の 延 長 が 最 終 だ と 言 わ れ て い た が 、 イラク政府がギリギリになって保護を求めた。在米政府資産はいずれの国の場合もこうし た 保 護 下 に 置 か れ て い る が 、大 統 領 令 に よ る の は イ ラ ク だ け で あ る 。FRB の イ ラ ク 開 発 基 金 に 石 油 輸 出 収 入 が 入 り 、そ こ か ら 5%が 賠 償 基 金 に 振 り 替 え ら れ て い る 。 ( Iraq Oil Report, 2013.06.11) 1.1.3. 欧 州 ・ カ ナ ダ 1.1.3.1. カナダ外相がイラク訪問、外交プレゼンスを形成 ジョン・ベアード・カナダ外務相が 4 月 1 日、イラクとの貿易関係強化のためにイラク を 訪 問 し た 。カ ナ ダ 外 相 に よ る イ ラ ク 訪 問 は 1976 年 以 来 で あ る 。訪 問 に あ わ せ て ア ン マ ン の カ ナ ダ 大 使 館 の 分 館 が バ グ ダ ー ド に 開 設 さ れ た 。Stephanie Duhaime 代 理 大 使 が 着 任 す る 。 ベアード外務相はイラクにおける貿易投資機会には大きなポテンシャルがあると指摘し、 国 益 の た め に カ ナ ダ は バ グ ダ ー ド に プ レ ゼ ン ス を 築 く 必 要 が あ る と 語 っ た 。( CBC News, 2013.04.01) 1.1.3.2. バービキル貿易相が訪仏 ハ イ ラ ッ ラ ー・ハ サ ン・バ ー ビ キ ル 貿 易 相 は フ ラ ン ス を 訪 問 し 、Nicole Bricq 仏 貿 易 相 と 、 とりわけ穀物貿易について協議した。また、穀物倉庫業を仏企業の代表らとも会談した。 ( PUK media, 2013.06.16) 1.1.3.3. アシュトン外務・安全保障政策上級代表がイラク訪問 ア シ ュ ト ン 外 務・安 全 保 障 政 策 上 級 代 表 が 6 月 17 日 に イ ラ ク を 訪 問 し た 。空 港 で ジ バ リ 外相が出迎え、マーリキ首相、シャハリスターニ副首相、ヌジャイフィ国会議長らと会談 した。マーリキ首相は、シリア問題に対する軍事的解決を改めて拒否し、政治的解決を図 るべきだと語った。その他、民主主義、人権、エネルギー、貿易の分野におけるイラク・ EU 共 同 委 員 会 の 活 性 化 な ど が 協 議 さ れ 、 エ ネ ル ギ ー 研 究 指 導 セ ン タ ー の 設 立 に つ い て イ 2/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 ラク政府との間で合意が調印された。 ア シ ュ ト ン 代 表 は 同 日 に エ ル ビ ル を 訪 問 し 、 空 港 で ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 に 出 迎 え ら れ た 。 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は ア シ ュ ト ン 代 表 と 会 談 し 、 ク ル ド の 人 々 は 民 主 主 義 と 共 存を望んでおり、イラクの問題はパートナーシップを遵守していないことから生じている と 語 っ た 。 会 談 に は ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 も 同 席 し た 。 ア シ ュ ト ン 代 表 は 、 マ ー リ キ 首 相 の エ ル ビ ル 訪 問 を 歓 迎 し 、そ う し た 訪 問 と 対 話 の 継 続 を 促 し た 。ま た 、KRG の 石 油 政 策 、 シ リ ア 難 民 問 題 な ど に つ い て も 協 議 さ れ た 。( NINA, 2013.06.17) 1.1.3.4. ロ シ ア が Ka-52 ヘ リ コ プ タ を 供 与 6 月 中 旬 に フ ラ ン ス で 開 催 さ れ た 航 空 機 展 示 会 で 、 Rosoboronexport は Ka-52 ヘ リ コ プ タ を イ ラ ク に 輸 出 す る 契 約 を 締 結 し た 。ロ シ ア 代 表 団 が 明 ら か に し た 。2012 年 の 武 器 輸 出 合 意 の 枠 組 み で 契 約 さ れ た 模 様 で あ る 。( VESTNIK, 2013.06.17) 1.1.3.5. マーリキ首相がロシア訪問 6 月 30 日 、マ ー リ キ 首 相 は 大 勢 の 閣 僚 や 顧 問 ら を 連 れ て 、第 二 回 ガ ス 輸 出 国 フ ォ ー ラ ム に出席するためモスクワに到着した。同行者はルアイビ石油相、カルブーリ産業相、アア ラジ投資委員会委員長、ムーサウィ首相顧問などである。プーチン大統領、メドベージェ フ首相とも会談した。 同 日 、Lukoil の Akbarove 社 長 と 会 談 し 、エ ネ ル ギ ー 分 野 の 関 係 強 化 に つ い て 話 し 合 っ た 。 マ ー リ キ 首 相 は 、「 Lukoil は イ ラ ク 政 府 と 石 油 省 の 尊 敬 を 得 て い る 信 頼 し 得 る 企 業 の 一 つ だ」と語った。社長は石油生産や石油化学の分野で投資を拡大したい旨語った。 マーリキ首相とロシアのメドベージェフ首相は 7 月 2 日、バグダードで次回の高等共同 委員会の会合を行うこと、8 月からバグダード・モスクワ便を就航させること、ビジネス マンの入国を簡素化すること、イラク人に空港でロシア・ビザの発給を行うことなどに合 意した。マーリキ首相は、政治・経済・国防・エネルギー・貿易・投資などの分野におけ る二国間の協力関係強化を推進したいと述べ、シリア危機とその解決方法などについても 協議した。 ま た ロ シ ア 政 府 関 係 者 は 、イ ラ ク が 10 機 以 上 の ロ シ ア 製 ヘ リ コ プ タ Night Hunter を 購 入 す る 契 約 を 結 ん だ 、 と 語 っ た 。( Aswar al-Iraq, 2013.06.29; NINA, 2013.06.30; al-Sumaria TV, 2013.07.02) 1.1.3.6. KRG代 表 団 が ス ペ イ ン を 訪 問 イ マ ー ド ・ ア フ マ ド KRG 副 首 相 及 び ア リ ・ シ ン デ ィ KRG 投 資 庁 長 官 が 4 月 上 旬 、 ス ペ イ ン 政 府 か ら の 招 待 を 受 け て 、 マ ド リ ー ド を 公 式 訪 問 し た 。 García-Margallo ス ペ イ ン 外 相 と会談し、建設分野における技術移転について協力関係の構築を協議した。また、双方は 経済・投資面について、スペイン企業のクルディスタン地域進出を支援する必要性を強調 し た 。( NINA, 2013.04.04) 1.1.3.7. バ ル ザ ー ニ KRG大 統 領 が 欧 州 歴 訪 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 6 月 27 日 、 ロ シ ア を 訪 問 し た 。 フ ァ ラ ー フ ・ ム ス タ フ ァ 外 務 庁長官、ヘリシュ・ムハンマド投資局長らが同行している。サンクトペテルブルグで国際 3/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 経済フォーラムに参加し、ラブロフ・ロシア外相と会談した。エネルギー問題についても 協 議 し 、 ラ ブ ロ フ 外 相 は 、 Gazprom の 活 動 に 満 足 し て い る 旨 述 べ 、 さ ら な る 協 力 関 係 の 推 進 希 望 を 表 明 し た 。 ま た 、 Gazprom の ア レ ク セ イ ・ ミ レ ル 社 長 と も 会 談 し 、 社 長 は イ ン フ ラ ・ プ ロ ジ ェ ク ト で も KRG と 協 力 し て い き た い 旨 語 っ た 。 フ ォ ー ラ ム の 場 で ト ル コ の ユ ルドゥズ・エネルギー相とも会談した。 29 日 に は バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は パ リ に 到 着 し 、 オ ラ ン ド 仏 大 統 領 と 会 談 し た 。 フ ラ ン ス と ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 関 係 、イ ラ ク の 現 状 、治 安 状 況 、域 内 に お け る イ ラ ク の 役 割 、 特にシリアにおけるクルドの役割について協議した。 そ の 後 訪 れ た オ ー ス ト リ ア で は PUK の 問 題 に つ い て 欧 米 の 支 持 を 得 る た め 外 遊 中 だ っ た サ ー リ フ PUK 副 議 長 と も 会 談 し た 。7 月 4 日 に 帰 国 し た 。 ( KRG ウ ェ ブ サ イ ト , 2013.06.26; ekurd.net, 2013.06.29; NINA, 2013.06.30, 2013.07.03) 1.1.4. ア ジ ア 諸 国 1.1.4.1. フィリピン政府は 4 県への渡航を引き続き禁止 フィリピン政府はイラクへの出稼ぎ禁止を解除したが、キルクーク県、ディヤーラ県、 サラハッディーン県、アンバール県の 4 県については引き続き渡航しないように求めてい る 。2007 年 12 月 に イ ラ ク 全 土 へ の 渡 航 を 禁 じ た 後 、2013 年 2 月 27 日 に 緩 和 措 置 が 取 ら れ て い た 。( Inquirer Global Nation, 2013.04.21) 1.1.4.2. インド外相がイラク訪問 イ ン ド の Salman Khurshid 外 相 が 6 月 19 日 に イ ラ ク を 公 式 訪 問 し た 。 ジ バ リ 外 相 が 空 港 で 出 迎 え た 。イ ン ド の 高 官 が イ ラ ク を 訪 れ る の は 過 去 20 年 間 で 初 め て で あ る 。最 後 は 1990 年 に イ ン ド 人 の 国 外 退 避 を 支 援 す る た め に IK Gujral 外 相 が 訪 問 し た 時 だ っ た 。 ジバリ外相は共同記者会見で、 「 普 通 の 状 況 と は 言 わ な い が 、す べ て の ビ ジ ネ ス に は リ ス クがある。リスクはまた、管理可能だ」と述べて、インド企業のイラク南部等安定した地 域 へ の 投 資 を よ び か け た 。 ま た 、「( Khurshid) 外 相 と 、 イ ラ ク と イ ン ド の 関 係 は 単 な る 売 り手と買い手のそれであるべきではなく、それをこえたものになるべきだという点で一致 し た 」 と 述 べ た 。 シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 も 、「 イ ン ド は イ ラ ク を 単 な る 供 給 国 で は な く 、 長 期 の 頼 れ る パ ー ト ナ と み な す べ き だ 」と 語 っ た 。両 国 は 経 済 、貿 易 、そ の 他 I T や 医 療 、 イ ン フ ラ 、治 安 な ど 様 々 な 分 野 に お け る 協 調 を 話 し 合 い 、Khurshid 外 相 は マ ー リ キ 首 相 に 、 シン・インド首相からのインドへの公式招待を手交した。両国間の共同閣僚会合が最後に 行 わ れ た の は 2007 年 だ っ た が 、 そ れ を 再 活 性 化 さ せ る こ と に も 合 意 し た 。 会 合 に 合 わ せ 、 7 月 8 日 に Moily イ ン ド 石 油 相 が イ ラ ク を 訪 問 す る こ と も 検 討 さ れ て い る 。 インドは制裁の影響でイランからの原油輸入が細る中、イラクからの原油輸入拡大を目 指 し て い る 。2012 年 の イ ラ ク の 原 油 輸 出 先 の 19%が イ ン ド だ っ た 。イ ン ド に と っ て は 輸 入 原 油 に 占 め る イ ラ ク の 割 合 は 13%。情 報 筋 に よ る と 今 後 30%以 上 に 引 き 上 げ る こ と を 検 討 し て お り 、 イ ン ド は イ ラ ク に 対 し て 8 万 b/d に 供 給 増 加 を 打 診 し た と 見 ら れ て い る 。 イ ン ド は 2004 年 、ト ラ ッ ク ド ラ イ バ ー 3 名 が 武 装 勢 力 に 誘 拐 さ れ た 数 カ 月 後 、イ ラ ク と の 外 交 関 係 を 縮 小 し 、大 使 を 引 き 上 げ て い た 。44 日 間 の 交 渉 後 、ド ラ イ バ ー は 解 放 さ れ た が イ ン ド は 2010 年 ま で 自 国 民 に イ ラ ク へ の 渡 航 禁 止 を 通 達 し て い た 。2011 年 に 新 大 使 を 任 命 し 、 4/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 関 係 改 善 に 動 き 出 し た 。( Xinhua, NINA, 2013.06.19; Deccan Herald, The Economic Times, 2013.06.20; Bernama, 2013.06.24) 1.1.5. ト ル コ 1.1.5.1. 2014 年 ト ル コ 選 挙 の 在 外 投 票 に 合 意 イ ラ ク 政 府 は イ ラ ク 在 住 ト ル コ 人 が 2014 年 の 選 挙 に 際 し て 、バ グ ダ ー ド の ト ル コ 大 使 館 で 投 票 を 行 う こ と に 合 意 し た 。( NINA, 2013.04.03) 1.1.5.2. マーリキ首相がトルコとの関係改善に言及 マーリキ首相は 4 月 5 日、トルコとの関係改善を歓迎すると語った。数ヶ月ぶりの融和 路 線 発 言 で あ る 。( Reuters, 2013.04.05) 1.1.5.3. ドゥレイミ国防相代行がスンナ派の抗議活動をコントロールしているとトルコ を非難 ド ゥ レ イ ミ 国 防 相 代 行 は 、4 ヶ 月 以 上 続 く デ モ に 関 し て 、4 月 5 日 、ア ン バ ー ル や モ ス ル やサーマッラはオスマン帝国の一部だと述べ、コントロールしている外国勢力がいるとト ルコを非難した。また、2 月にムスリム・ウラマー機構が出席した「イラクの春」と題さ れたイスタンブールでの会議についても、不安定を作り出そうとしていると非難し、イラ ク の 内 政 に 干 渉 し な い よ う 求 め た 。( Today’s Zaman, 2013.05.06) 1.1.5.4. PKK入 国 に 反 対 イラク外務省は、トルコのクルドとの和平を歓迎するとしながらも、武装した集団がイ ラクに入国することはイラクの治安を悪化させかねないとして、反対する声明を出した。 ジ バ リ 外 相 は 5 月 16 日 、ト ル コ 政 府 に PKK と の 合 意 内 容 を 明 ら か に す る よ う 求 め た 。PKK はイラク政府に通知することなく国内に入っており、主権の侵害だとしている。イラク政 府は、トルコ政府とクルド武装ゲリラの和平イニシアティブを支持するが、イラクの主権 や 安 全 の 犠 牲 の 上 に な り た つ メ カ ニ ズ ム を 受 け 入 れ る こ と は で き な い 、と し て い る 。14 日 に PKK ゲ リ ラ 第 一 弾 の 15 人 が 、 16 日 に は さ ら に 15 人 が ド ホ ー ク に 到 着 し た 。 ト ル コ ・ ク ル ド の 平 和 民 主 党 党 首 は 、 ト ル コ 政 府 と PKK の 合 意 に 沿 っ て 、 PKK が ト ル コ か ら イ ラ ク の カ ン デ ィ ー ル 山 脈 に 撤 退 を 開 始 し た と 発 表 し た 。ア フ マ ド・デ ニ ズ PKK 報 道 官 は 、「 党 の 一 部 は 1984 年 か ら イ ラ ク ・ ク ル デ ィ ス タ ン の 内 部 に 位 置 し て お り 、 イ ラ ク 政 府 の 立 場 は 関 係 な い 。ト ル コ に お け る 和 平 プ ロ セ ス の 成 功 ま で 前 進 す る 」 「地域の安全と 安 定 に 資 す る の だ か ら 、 域 内 の 国 々 は 和 平 プ ロ セ ス を 支 持 す べ き だ 」 と 語 っ た 。( NINA, 2013.05.09, 2013.05.12; al-Masala, 2013.05.16) 1.1.5.5. ヌジャイフィ国会議長がトルコ訪問 ヌジャイフィ国会議長は 5 月半ば、短時間トルコを訪問し、エルドアン首相と会談して 両 国 関 係 や シ リ ア 問 題 と そ の 地 域 へ の 影 響 な ど を 話 し 合 っ た 。( NINA, 2013.05.11) 1.1.5.6. テロ事件に対してトルコを非難 マ ー リ キ 首 相 は 50 名 以 上 の 死 者 が 出 た 6 月 16 日 の テ ロ 事 件 を 受 け て 、 翌 17 日 、「 民 主 5/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 主義を標榜する特定の外国が、イラクで繰り返される爆弾事件に責任を負っている。その 最 後 の も の は 16 日 の 事 件 だ 」 と 語 っ た 。( Iraqi News, 2013.06.17) 1.1.5.7. トルコ領事館は投票所への領事の立ち入りを否定 ニ ナ ワ 県 の ト ル コ 領 事 館 は 、ト ル コ 領 事 が 同 県 の 6 月 20 日 の 県 議 会 選 挙 に 際 し て 投 票 所 を訪れていたという報道を否定し、メディアに登場していたのは選管から国際監視団とし て認定されていた人々だと反論した。市民連合ブロックが、外務省に対してトルコ領事館 ス タ ッ フ に よ る 投 票 所 へ の 立 ち 入 り は 主 権 侵 害 だ と 訴 え て い た 。( NINA, 2013.06.20) 1.1.6. イ ラ ン 1.1.6.1. モスレヒ・イラン治安担当相がイラク訪問 ハ イ ダ ル・モ ス レ ヒ・イ ラ ン 治 安 担 当 相 が 4 月 上 旬 、イ ラ ク を 訪 問 し た 。マ ー リ キ 首 相 、 ジ ャ ア フ ァ リ N A 代 表 、ハ キ ー ム ISCI 党 首 、フ ザ ー イ 副 大 統 領 と 個 別 に 会 談 し た 。マ ー リ キ首相とは地域情勢や二国間関係を協議した。法治国家連合のアリ・シラーヒ議員は「イ ラ ン の 治 安 機 関 と の 協 調 が こ れ ま で イ ラ ク を 助 け 、両 国 を テ ロ か ら 守 っ て い る 」と 述 べ た 。 会談でヌジャイフィ国会議長、社会正義や差別の無い処遇がなければ安定はもたらされ ないとして、イラクで混乱が広がればそのネガティブな影響は地域全体に広がるだろうと 語った。モスレヒ治安担当相は、両国の重要性を指摘して良好な二国間関係の重要性を語 っ た 。( NINA, 2013.04.02, 2013.04.04) 1.1.6.2. ヘ ロ ・ イ ブ ラ ヒ ム PUK幹 部 兼 フ ァ ー ス ト レ デ ィ が イ ラ ン 訪 問 大 統 領 夫 人 で PUK 幹 部 の ヘ ロ ・ イ ブ ラ ヒ ム ・ ア フ マ ド が イ ラ ン を 訪 問 し 、5 月 に 6 日 に ラリジャニ国会議長と会談した。イランとクルディスタン地域の関係強化などについて協 議した。ラリジャニ国会議長は、タラバーニ大統領の体調についても尋ね、迅速な回復を 願 っ た 。ヘ ロ 大 統 領 夫 人 は 、ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 、と り わ け PUK は イ ラ ク の 安 定 化 に 重 要 な役割を果たしていくと語った。 8 日 の 記 者 会 見 で ヘ ロ 大 統 領 夫 人 は 、 イ ラ ン 滞 在 中 に 、 PUK 内 部 の 問 題 に つ い て は 話 し 合 っ た が 、PUK 後 任 議 長 選 出 や 次 期 大 統 領 選 出 に つ い て は 話 し 合 わ れ な か っ た と し て 、自 身が大統領職に立候補することは考えていないと語った。イランへは公式招待に基づく訪 問 と し て い る 。( PUK Media, 2013.05.06; NINA, 2013.05.08) 1.1.6.3. 対イラン攻撃に関してイスラエルに警告 シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 は グ リ ー ン ゾ ー ン で 行 わ れ た AFP と の イ ン タ ビ ュ ー で 、 「( 米 国 政府は)隣国を攻撃するために我々の領空を使うことによってイラクの主権を侵害するこ と は な い 、と 確 約 し た 」 「 我 々 は イ ス ラ エ ル に も 、も し 彼 ら が イ ラ ク の 領 空 を 侵 犯 し た ら そ の結果を引き受けなければならないと警告した」と語った。この問題は国家安全保障会議 で も 話 し 合 わ れ 、イ ス ラ エ ル が 関 係 を 保 持 し て い る 国 々 を 通 じ て イ ス ラ エ ル に 伝 達 さ れ た 、 と 述 べ た 。 ま た 、 対 シ リ ア 攻 撃 に 関 し て も 同 様 の 方 針 だ と 語 っ た 。( AFP, 2013.06.03) 6/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 1.1.7. ア ラ ブ 諸 国 1.1.7.1. エジプトへのパイプライン敷設計画は白紙 カイロのイラク大使館は、ヨルダン向けのパイプラインをエジプトまで延長するとの報 道 に つ い て は 、承 知 し て い な い 旨 発 表 し た 。4 月 13 日 に は 石 油 省 の 技 術 チ ー ム が カ イ ロ を 訪 れ 、 エ ジ プ ト 政 府 と 400 万 bbl の 原 油 供 給 に つ い て 協 議 し て い る 。( Iraq Business News, 2013.04.16) 1.1.7.2. ドゥレイミ国防相代行がカタル訪問 ド ゥ レ イ ミ 国 防 相 代 行 は カ タ ル を 5 月 22 日 に 訪 問 し 、タ ミ ー ム・ビ ン・ハ マ ド 副 首 長 兼 皇太子らと会談した。バービキル参謀長も同行した。会談後の記者会見でドゥレイミ国防 相 代 行 は 、イ ラ ク 政 府 は 軍 事 治 安 面 で カ タ ル と の 関 係 強 化 を は か り た い と 語 っ た 。そ し て 、 イラクの状況は地域の情勢の一部であり、地域で起こっていることがイラクにポジティブ にもネガティブにも反映すると強調し、イラクで起こっていることは間違いなくアラブに も ネ ガ テ ィ ブ に 反 映 さ れ る だ ろ う と 述 べ た 。( al-Fayha, 2013.05.24) 1.1.7.3. ジバリ外相がクウェート訪問 ジ バ リ 外 相 は 5 月 27 日 に ク ウ ェ ー ト を 訪 問 し 、サ バ ー ハ・ハ ー リ ド・ハ マ ド・サ バ ー ハ 副 首 相 兼 外 相 と 、2 つ の MOU を 締 結 し た 。一 つ 目 は 国 境 標 識 整 備 に つ い て 、二 つ 目 は ウ ン ム カ ス ル の 住 宅 建 設 の フ ァ イ ナ ン ス に つ い て で あ る 。5 月 28 日 の ク ウ ェ ー ト 外 務 省 声 明 に よると、両外相は全ての分野における二国間関係の進展、とりわけ安保理決議問題に関し て 協 議 し た 。サ バ ー ハ・ア フ マ ド・ジ ャ ー ビ ル・サ バ ー ハ 首 長 、ジ ャ ー ビ ル・ム バ ー ラ ク ・ ハマド・サバーハ首相らとも会談した。クウェートのワタン紙は、クウェート外務省の情 報 筋 の 話 と し て 、 ク ウ ェ ー ト は イ ラ ク に お け る 行 方 不 明 者 ・ POWs 問 題 を 国 連 憲 章 第 7 章 か ら 6 章 に 移 す こ と に 反 対 し な い 旨 、ジ バ リ 外 相 に 伝 え た と 報 じ た 。 ( al-Sumaria TV, NINA, 2013.05.28) 1.1.7.4. スーダンに原油を後払い供給 スーダンのムスタファ・オスマン投資相は 6 月 5 日、バグダードから帰国した後、イラ ク 政 府 が ス ー ダ ン に 原 油 を 後 払 い で 輸 出 す る こ と に 合 意 し た と 発 表 し た 。ス ー ダ ン は 2011 年の南スーダン独立後、石油製品の需要を満たすことができないでいる。スーダン石油省 の 技 術 チ ー ム が イ ラ ク で 詳 細 を 協 議 中 だ と 述 べ た 。 ス ー ダ ン 政 府 は 石 油 生 産 量 を 13.6 万 b/d と 発 表 し て い る 。( Reuters, 2013.06.05) 1.1.7.5. ジャービル・クウェート首相がイラク訪問 6 月 12 日 、ク ウ ェ ー ト の ジ ャ ー ビ ル 首 相 が サ バ ー ハ 外 相 ら を 引 き 連 れ て イ ラ ク を 訪 問 し た。マーリキ首相が空港で出迎えた。サバーハ外相は、クウェートが全ての安保理関係国 に対して、イラクが義務を果たしており、残りの問題は憲章第 6 章で扱うことができる旨 を伝えたと明らかにした。ジバリ外相はサバーハ・クウェート外相との共同記者会見で、 クウェートとの関係緊密化を願っていると述べ、サバーハ外相は、イラクとの話し合いは 成功裏に終わったと述べた。 7/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 イ ラ ク 首 相 府 発 表 の 声 明 に よ る と 、ジ ャ ー ビ ル 首 相 は 、 「 我 々 は 重 荷 を 取 り 除 き 、過 去 か ら幅広い関係にむけて、ページをめくった」と述べたという。マーリキ首相はジャービル 首相と会談し、二国間関係について協議した。また、環境、教育、経済の分野でも合意が 結 ば れ た 。( AFP, 2013.06.12; NINA, 2013.06.12, 06.13) 1.1.8. シ リ ア 関 係 1.1.8.1. シリア向け航空機の臨検実施状況 4 月 8 日 、イ ラ ク 政 府 は シ リ ア 向 け イ ラ ン 航 空 機 の 臨 検 を 行 っ た が 、医 薬 品 し か 見 つ か ら な か っ た と 。 民 間 航 空 等 局 の ナ ー セ ル ・ ア ミ ー リ が 発 表 し た 。( Reuters, 2013.04.08) 4 月 9 日 に 二 度 目 の 臨 検 を 実 施 。見 つ か っ た の は 衣 類 や 民 生 品 だ け だ っ た と ム ー サ ウ ィ 首 相 顧 問 が 発 表 し た 。( Reuters, 2013.04.09) メ フ マ ン パ ラ ス ト・イ ラ ン 外 務 省 報 道 官 は 、イ ラ ン 航 空 機 に 対 す る イ ラ ク 政 府 の 臨 検 に 対 し て 、 国 際 法 に 反 し て い る と 非 難 し 、「 イ ラ ン は 引 き 続 き シ リ ア に 人 道 支 援 物 資 の 提 供 を 続 け る 」 と 語 っ た 。( Shafaq News, 2013.04.10) 4 月 半 ば 、イ ラ ク 航 空 当 局 は 、モ ス ク ワ 発 ダ マ ス カ ス 行 き の シ リ ア 航 空 機 の 臨 検 を 実 施 し た 。 シ リ ア 機 の 臨 検 は 初 め て だ が 、 武 器 な ど は 発 見 さ れ な か っ た 。( AP, 2013.04.14) 5 月 26 日 朝 、 イ ラ ク 航 空 当 局 は 、 テ ヘ ラ ン 発 ダ マ ス カ ス 行 き の シ リ ア 航 空 機 の 臨 検 を 実 施 し た が 、 禁 制 品 は 発 見 さ れ な か っ た と 発 表 し た 。( Shafaq News, 2013.05.26) 情 報 筋 に よ る と 、 5 月 27 日 に 2 日 連 続 で イ ラ ン 航 空 機 の 臨 検 を バ グ ダ ー ド 空 港 で 行 っ た 。2 機 目 は 乗 客 220 名 を 載 せ て テ ヘ ラ ン か ら ダ マ ス カ ス に 向 か っ て い た イ ラ ン の エ ア バ ス で 、 人 道 支 援 物 資 を 積 ん で い た 。 禁 制 品 は 見 つ か ら な か っ た 。( NINA, 2013.05.27) 1.1.8.2. シリア難民の受け入れとシリアからのイラク難民の帰還 4 月 3 日 、 KRG の デ ィ ン ダ ー ル ・ ジ バ リ 外 務 庁 顧 問 は 、 イ ラ ク の シ リ ア ・ ク ル ド 人 難 民 数 は 11 万 7015 人 で 、 う ち 11 万 347 人 が 域 内 に い る と 述 べ た 。 ド ホ ー ク 県 に 7 万 8015 人 で う ち 6 万 9535 人 が ド ゥ ミ ズ・キ ャ ン プ に 暮 ら し て い る 。さ ら に エ ル ビ ル に 2 万 3829 人 、 ス レ イ マ ニ ア に 8085 人 と の こ と で あ る 。 な お 、5 月 後 半 か ら 6 月 の 数 週 間 の 間 に 、治 安 問 題 の た め に 7000 名 以 上 の 在 シ リ ア ・イ ラ ク 難 民 が イ ラ ク に 帰 国 し て い る 。国 連 に 登 録 さ れ て い る シ リ ア の イ ラ ク 難 民 は 15.2 万 人 と な っ て い る 。( Peyamner News Agency, 2013.04.03; Reuters, 2013.06.02) 1.1.8.3. ラビーア・シリア国境から民間人スタッフ撤退 ラビーア国境検問所のイラク民間人職員は、シリア反体制派との秘密合意に基づき、撤 収した。税関・国境管理の軍人は留まっている。3 月初めに反体制派がシリア側のヤアラ ビーヤをおさえてからは、一台のトラックも来ていないという。情報筋によると、自由シ リ ア 軍 が 国 境 か ら 500m 以 内 に い る と い う 。( Shafaq, 2013.04.09) 1.1.8.4. ムアッリム・シリア外相がイラク訪問 5 月 26 日 、 ム ア ッ リ ム ・ シ リ ア 外 相 が イ ラ ク を 訪 問 し た 。 マ ー リ キ 首 相 は ム ア ッ リ ム ・ シリア外相と会談し、シリア危機と隣国への影響について協議した。首相は、武力による 8/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 解決は行き詰まりあり、対話で危機を解決する必要性を強調した。さらにイラクは地域や 国際社会の他国と共にシリアの政治的解決策を探していくと述べた。 ムアッリム・シリア外相は、ジバリ外相、マーリキ首相と会談後、記者会見を開き、6 月に予定されているジェノバ会議にシリアが参加することを明らかにした。この決定をイ ラ ク は 歓 迎 し た 。( al-Arabiya, NINA, 2013.05.26) 1.2. 内 政 1.2.1. 県 議 会 選 挙 関 連 1.2.1.1. ニナワ県とアンバール県の選挙 イ ラ ク 政 府 は 5 月 20 日 の 閣 議 で 、 ニ ナ ワ 県 と ア ン バ ー ル 県 の 選 挙 を 6 月 20 日 に 行 う と い う 選 管 の 提 案 を 承 認 し た 。( NINA, 2013.05.20) 1.2.1.2. バスラ県選挙キャンペーン バ ス ラ 県 で は 、26 の 政 党 連 合 、655 名 以 上 の 立 候 補 者 が 35 議 席 を 争 う 。選 挙 キ ャ ン ペ ー ンを規制する法律がなく、キャンペーン費用の上限も定められていない。サドル派は、候 補者の学歴をポスターに提示している。法治国家連合は、バスラ県のリストトップを巡っ て幹部でもめたせいだと噂されているが、選挙キャンペーンを始めるのが遅かった。今は そ れ を 取 り 戻 す べ く 、町 中 に マ ー リ キ 首 相 の ポ ス タ ー が 貼 ら れ て い る 。 ( Niqash, 2013.04.11) 1.2.1.3. 治安部隊の事前投票 4 月 13 日 に 、65 万 人 と 推 定 さ れ る 兵 士・警 察 官 ら の 事 前 投 票 が 行 わ れ た 。実 施 さ れ た の は 12 県 。 IHEC の 発 表 に よ る と 、 治 安 関 係 者 の 投 票 率 は 72%だ っ た 。( NINA, 2013.04.13; Radio Free Europe, 2013.04.15) 1.2.1.4. 立候補資格取り消し 4 月 半 ば 、 選 挙 の 約 1 週 間 前 に な っ て 、 選 管 が ミ シ ュ ア ン ・ ジ ュ ブ ー リ 率 い る al-Insaf 戦線の立候補失格を取り消したことから、サラーハッディーン県の投票では混乱が起こっ た。ジュブーリは汚職疑惑があったが、先月、司法判断で取り下げられたとして帰国して いた。その背景には、法治国家連合の議員と彼との間で合意があったと言われている。 また、4 月末には選管は、暴力を煽っているとの理由で、アンバール県で出馬したアリ ー・ハーティム・スレイマーンの政党「国家独立戦線」への立候補資格を取り消したと発 表 し た 。( al-Monitor, 2013.04.13; al-Sumaria TV, 2013.04.30) 1.2.1.5. 候 補 者 の 殺 害 は 16 人 4 月 20 日 の 選 挙 実 施 ま で に 殺 害 さ れ た 立 候 補 者 の 数 は 14 名 だ っ た 。 そ の 後 、 ニ ナ ワ 県 の 選 挙 ( 6 月 20 日 実 施 ) の 前 、 6 月 12 日 に Khayr and Aataa リ ス ト の ル ア イ ・ ア ブ ド ゥ ル ワ ー ヒ ド 候 補 者 が モ ス ル 東 部 で 殺 害 さ れ た 他 、 選 挙 前 日 に も United Iraq party の ユ ー ニ ス・ラ マ ー フ 代 表 が 親 戚 4 名 と 共 に 自 爆 テ ロ で 殺 害 さ れ 、計 16 名 と な っ た 。 (BBC, 2013.04.18; NINA, 2013.06.12; AP, AFP, 2013.06.19) 9/54 JIME 1.2.1.6. 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 4 月 20 日 に 12 県 の 選 挙 が 実 施 4 月 20 日 は 朝 7 時 か ら 投 票 が 開 始 さ れ た 。サ フ ァ ・ム サ ウ ィ 選 管 報 道 官 に よ る と 、立 候 補 者 数 は 8000 名 以 上 、 う ち 女 性 200 名 、 265 政 党 、 50 政 党 連 合 が 参 加 、 有 権 者 は 1380 万 人 。 26.7 万 人 の 政 党 監 視 団 、 7000 人 の 地 元 オ ブ ザ ー バ 、 313 人 の 国 際 オ ブ ザ ー バ 、 256 人 の 地 元 ジ ャ ー ナ リ ス ト 、 187 人 の 国 際 ジ ャ ー ナ リ ス ト が 参 加 し た 。 全 県 で 6~ 18 時 に 自 動 車運転が禁止されたが、空港は厳戒態勢ながら通常通り営業された。 いくつかの爆弾が投票所で爆発したが、負傷者の発生は限られていた模様である。ラー ティフィーヤの投票所に迫撃砲が着弾し、4 名負傷。ティクリートの投票所ではロケット が打ち込まれて民間人 1 名負傷。ディヤーラ県では投票者一覧に名前がなかった人々が投 票箱を燃やす事件があった。 NGO の Tamoz, Shams は 選 挙 終 了 後 、 300 件 以 上 の 選 挙 違 反 が あ っ た と 訴 え た 。 例 え ば 、 治安部隊が特定のキャンペーンを支持して投票者に誰に投票すべきかアドバイスしていた り 、 ス タ ッ フ が 投 票 者 の ID を チ ェ ッ ク せ ず に 他 人 の 分 も 投 票 さ せ た り し て い た と い う 。 なお、投票者リストに名前が見つからなかったという有権者の不満については、選管は彼 らが情報のアップデートを怠ったからだと反論している。投票締め切り後、コブラー UNAMI 代 表 は 、 投 票 は 組 織 だ っ て い て 平 和 裏 に 行 わ れ た と 称 え た 。( NINA, Antiwar.com, 2013.04.20; Press TV, 2013.04.21) 1.2.1.7. 12 県 の 投 票 率 は 51% 選 管 に よ る と 、 4 月 13 日 の 特 別 投 票 も あ わ せ た 4 月 20 日 実 施 分 ( 12 県 ) の 暫 定 投 票 率 は 51%だ っ た 。 ム ス タ フ ァ 選 管 委 員 長 が 20 日 に 記 者 会 見 で 述 べ た と こ ろ で は 、 投 票 率 は バ グ ダ ー ド ・ カ ル ク 地 区 及 び ル サ ー フ ァ 地 区 で 33%、 サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 61%、 デ ィ ヤ ー ラ 県 51%、 バ ス ラ 県 42%、 バ ー ビ ル 県 54%、 カ ル バ ラ 県 54%、 ナ ジ ャ フ 県 53%、 カ ー デ ィ シ ー ヤ 県 58%、デ ィ カ ー ル 県 50%、マ イ サ ー ン 県 44%、ム サ ン ナ 県 59%、ワ ー シ ト 県 52%。 有 権 者 数 は 1380 万 人 で 、 投 票 者 は 644.7 万 人 に 達 し た と の こ と で あ る 。 IHEC の ヘ ン ド レ ン ・ ム ハ ン マ ド 委 員 に よ る と 、 エ ル ビ ル 県 の 在 外 投 票 の 投 票 率 は 低 か っ た 模 様 で あ る 。 有 権 者 数 は 2500 名 だ っ た 。( Shafaq News, al-Sabah, al-Sumariya TV, 2013.04.20; IHEC, 2013.04.21) 1.2.1.8. 12 県 分 の 選 挙 結 果 は 5 月 末 に 確 定 選 管 は 5 月 29 日 、 選 挙 司 法 委 員 会 ( Judicial Commission for Elections) は す べ て の 訴 え を 解 決 し 、12 県 の 分 の 選 挙 結 果 を 承 認 し た と 発 表 し た 。 (※6 月実施分も含めた結果は付表 の 通 り 。)( NINA, 2013.05.29) 1.2.1.9. 政党別得票議席 政 党 別 獲 得 議 席 に つ い て 、Ayn の 調 べ で は 、市 民 連 合 61 議 席 の う ち ISCI が 58 議 席 を 占 め た 。サ ド ル 派 は 4 リ ス ト( リ ス ト 番 号 473, 427, 492, 431)を 擁 立 し て 53 議 席 を 獲 得 し た 。 法 治 国 家 連 合 108 議 席 の う ち 、ダ ア ワ 党 が 32 議 席 、バ ド ル と フ ァ デ ィ ー ラ は 20 議 席 ず つ 、 ジ ャ ァ フ ァ リ の 国 家 改 革 潮 流 は 11 議 席 と な っ た 。 ク タ イ バ ・ ジ ュ ブ ー リ の イ ラ ク の 民 と 、 フダイル・フザーイのダアワ党国内支部が各 8 議席。アフマド・チャラビは 1 議席、ボラ 10/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 ニ前内相の政党も 1 議席だった。 ISCI の ハ ミ ー ド ・ マ ー レ 報 道 官 は 、「 ISCI と バ ド ル は 2009 年 に あ わ せ て 53 議 席 を 得 た が 、 今 回 、 ミ フ ラ ー ブ の 殉 教 者 は 単 独 で 61 議 席 を 得 た 。 こ れ は 大 き な 前 進 だ 」 と 語 っ た 。 法 治 国 家 連 合 は イ ラ ク 全 土 で 議 席 の 30%を 失 い 、 バ グ ダ ー ド 、 バ ス ラ で の 過 半 数 の 議 席 を守れなかった。選挙結果は、マーリキ首相の過半数の政府の野望に水をさすものだ。デ ィ ヤ ー ラ 県 は 2009 年 、 ム ッ タ ヒ ド ゥ ー ン 、 ア ラ ブ ・ イ ラ ー キ ー ヤ 、 ク ル ド 政 党 が 29 議 席 中 21 議 席 を と っ て い た 。 今 回 、 シ ー ア 派 連 合 が 12 議 席 、 う ち 法 治 国 家 連 合 が 3 議 席 で あ る 。 ム ッ タ ヒ ド ゥ ー ン と ア ラ ブ ・ イ ラ ー キ ー ヤ で 10 議 席 、 イ ラ ー キ ー ヤ は 2 議 席 だ っ た 。 クルドは 6 議席から 3 議席に減少。サラーハッディーンでもクルドは 2 議席減となった。 ( Ayn, Shafaq, 2013.05.06; Institute for the Study of War, 2013.05.11) 1.2.1.10. ク ル ド 政 党 得 票 数 4 月 20 日 実 施 の 選 挙 に お け る ク ル ド 政 党 の 得 票 数 の う ち 、PUK が 3 万 5559 票 、KDP が 2 万 1500 票 、ゴ ラ ン は 4000 票 、そ の 他 合 計 が 2 万 票 だ っ た 。ゴ ラ ン は 2010 年 の 国 政 選 挙 で は 1 万 票 を 得 て い た が 半 減 し た 。( Rudaw, 2013.05.15) 1.2.1.11. 6 月 20 日 に ニ ナ ワ 県 と ア ン バ ー ル 県 で 選 挙 実 施 6 月 20 日 に ニ ナ ワ 県 と ア ン バ ー ル 県 で 議 会 選 挙 が 実 施 さ れ た 。ニ ナ ワ 県 は 候 補 者 685 名 、 議 席 39、 有 権 者 180 万 人 、 政 党 リ ス ト 数 18。 ア ン バ ー ル 県 は 有 権 者 90 万 人 、 議 席 30。 ニナワ県では全県で自動車移動が禁止され、通りが空っぽになるほどの厳戒態勢の中、 二県で選挙が実施された。攻撃を予測して数千の兵士や警官が配置された。ファッルージ ャでは検問所で町を囲み、市内への車の立ち入りを禁じた。通りを走るのは救急車、パト カー、軍用車、選管からの許可を受けた数少ない自動車のみであった。 そ れ で も 、 6 月 20 日 夕 方 に は 、 ラ マ ー デ ィ の 開 票 セ ン タ ー で 2 人 が 自 爆 し 、 7 名 が 死 亡 した。うち 4 名は選管のメンバーだった。同じくラマーディでは警察官 2 名が迫撃砲で死 亡 。ま た 、20 日 早 朝 に は ベ イ ジ で 路 肩 爆 弾 が 爆 発 し 移 動 中 の 選 管 ス タ ッ フ の う ち 1 名 が 死 亡。モスルでは迫撃砲が投票所近くの検問所に落ちて兵士 2 名が負傷。 し か し 、 コ ブ ラ ー UNAMI 代 表 は 、 ア ン バ ー ル 県 と ニ ナ ワ 県 の 人 々 は 脅 威 に 打 ち 勝 っ て 投 票 を 行 い 、暴 力 は 民 主 的 プ ロ セ ス を 阻 害 す る こ と に 失 敗 し た 、と の コ メ ン ト を 発 表 し た 。 ( PUK Media, Reuters, Independent, AFP, Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2013.06.20) 1.2.2. 県 議 会 選 挙 後 の 連 立 交 渉 1.2.2.1. バスラ県知事交代 バ ス ラ 県 で は 6 月 12 日 、 19 議 席 を 占 め た 「 バ ス ラ が 一 番 」 連 合 と 、 法 治 国 家 連 合 の 間 で合意が成立し、サマド前県知事(法治国家連合)が新県議会議長に就くことになった。 交 渉 の 過 程 で 2 名 が 法 治 国 家 連 合 か ら 離 党 し 、 ISCI・ サ ド ル 派 の 「 バ ス ラ が 一 番 」 連 合 に 参加した。県知事は「バスラが一番」連合のマジード・ナスラーウィ。アフラール・ブロ ックのムハンマド・ターヒルが第一副県知事、ファディーラ党のディルガム・アリフが第 二 副 県 知 事 と な る 。( NINA, 2013.06.09, Musing on Iraq, 2013.06.12) 11/54 JIME 1.2.2.2. 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 カルバラ県の県知事はテクノクラート カ ル バ ラ 県 は 6 月 19 日 、内 務 省 監 査 官 の ウ カ イ ル・タ リ ー ヒ を 県 知 事 に 、法 治 国 家 連 合 のヌセイフ・ジャーシムを県議会議長に、リワのユースィフ・ハッブービを第一副県知事 に 選 出 し た 。 ア フ ラ ー ル ・ ブ ロ ッ ク と ISCI は 議 会 を ボ イ コ ッ ト し た 。 法治国家連合は、選挙結果発表後「聖カルバラ連合」を形成していた。メンバーはユー セ フ・ハ ッ ブ ー ビ の リ ワ 、Dawla al-‘Adila で 、あ わ せ る と 27 議 席 中 13 議 席 と な る 。 ( al-Ray, 2013.06.19) 1.2.2.3. バグダード県知事はサドル派 6 月 8 日 、「 バ グ ダ ー ド の た め の 連 合 」は 、新 知 事 ポ ス ト は ア フ ラ ー ル ・ ブ ロ ッ ク 、県 議 会議長はムッタヒドゥーン、第一副議長は市民連合、第二副議長はダアワ党イラク支部に 割 り 振 る こ と に 合 意 し た と 発 表 し た 。同 連 合 は 、ア フ ラ ー ル・ブ ロ ッ ク 11 議 席 、ム ッ タ ヒ ドゥーン 7 議席、市民連合 6 議席、アラブ・イラーキーヤ 3 議席、国家統一イラーキーヤ 3 議席、その他各 1 議席の政党 3 つからなる。 15 日 に 、バ グ ダ ー ド 県 議 会 で は 、法 治 国 家 連 合 が 退 席 す る 中 、ム ッ タ ヒ ド ゥ ー ン の リ ヤ ー ド ・ ア ダ ー ド を 31 票 で 県 議 会 議 長 に 選 出 し た 。 そ の 後 20 日 に 、 議 会 情 報 筋 は 、 ア フ ラ ール・ブロックのアリ・タミーミ議員がバグダード県知事に選出されたことにより、彼の 辞 職 を 承 認 し た と 明 ら か に し た 。( AIN, 2013.06.08; NINA, 2013.06.15; al-Sumaria News, 2013.06.16; al-Sumaria, 2013.06.20) 1.2.2.4. サラーハッディーン県知事続投 アフマド・アブダッラ・ジャブーリ・サラーハッディーン県知事は、6 月 9 日の記者会 見 で 、28 議 席 中 20 議 席 を 確 保 し た と し て 、二 期 目 の 続 投 を 宣 言 し た 。 ( NINA, 2013.06.09) 1.2.2.5. ディヤーラ県はイラーキーヤから県知事 デ ィ ヤ ー ラ 県 の 情 報 筋 は 6 月 19 日 、イ ラ ー キ ー ヤ・デ ィ ヤ ー ラ の ウ マ ル・フ マ イ リ を 二 期目の県知事に、サドル派のムハンマド・ジャワードを議長に、タアーヒ・リスト(クル ド)のカリーム・アリを副県知事に選出することになったと語った。 アフラール・ブロックはフマイリの続投を支持したが、これに反対したディヤーラ国民 連合の支持者数十名が県議会の前でデモを行っていた。匿名の情報筋によると、治安部隊 が デ モ 隊 を 散 ら す た め に 発 砲 し 、県 議 会 へ 通 じ る 道 を 封 鎖 し た 。け が 人 の 発 生 は な か っ た 。 デモ隊は、ディヤーラ国民連合が県知事ポストを得るべきだとして、アフラール・ブロッ クにディヤーラ国民連合に戻るように呼びかけている。ムクタダ・サドル師は、国家パー トナーシップを実現するため、イラクにおいていかなる県のいかなるポストであれスンナ 派 が 得 る 権 利 が あ る と 強 調 し た 。( al-Masala, 2013.06.19) 1.2.3. デ モ 関 連 1.2.3.1. 拘留者釈放 ム ト ゥ ラ ク 副 首 相 は 4 月 16 日 、 1150 名 の 拘 留 者 が 追 加 で 釈 放 予 定 だ と 明 ら か に し た 。 そ の 後 6 月 末 に 、デ モ 隊 の 要 求 を 検 討 す る 閣 僚 委 員 会 は 、7259 人 の 拘 留 者 を 釈 放 し た と 発 12/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 表 し た 。 官 房 長 で 同 委 員 の ア リ ー ・ ム フ ス ィ ン ・ イ ス マ ー イ ー ル に よ る と 、 う ち 278 名 が 女 性 。( NINA, 2013.04.16; al-Sabah, 2013.06.26) 1.2.3.2. マーリキ首相がデモ隊を反乱者と発言 マーリキ首相がナジャフへの選挙キャンペーンで、多くの県のデモ隊は反乱者であり、 何者でもないと形容した。これについて、ムッタヒドゥーンのザーフィル・アーニ報道官 は、宗派主義的な動員をはかるのではなく最高司令官として治安の改善を図るべきだと批 判 し た 。 ま た 、 部 族 長 の ア ブ ・ リ ー シ ャ は 選 挙 向 け プ ロ パ ガ ン ダ だ と 指 摘 し た 。( NINA, 2013.04.18) 1.2.3.3. ハウィージャでデモ隊と治安部隊が衝突 4 月 19 日 の 金 曜 礼 拝 後 、 デ ィ ジ ュ ラ 作 戦 司 令 部 傘 下 の 第 12 旅 団 が デ モ 隊 114 名 を 一 斉 検挙した。その際、政府関係者によると兵士 1 名とデモ隊 1 名が死亡、治安部隊 2 名とデ モ隊 3 名が負傷した。また、ハウィージャの町に近くの警察と軍の共同検問所が襲撃され たことで、緊張が高まった。 4 月 22 日 、19 日 か ら 続 く 封 鎖 に 対 し て 、キ ル ク ー ク 県 西 部 の ハ ウ ィ ー ジ ャ の デ モ 隊 の 報 道官は、解決のための条件を提示した。①キルクークのアラブ人議員 4 名と 4 名の治安部 隊 が チ ー ム を 組 ん で 広 場 で 捜 索 す る 、② 第 12 師 団 に 拘 束 さ れ て い る 無 実 の 者 を 釈 放 す る こ と、③検問所の軍兵士を警察官と交代させること。 そ の 後 23 日 の 夜 明 け 前 、 ハ ウ ィ ー ジ ャ で 治 安 部 隊 が デ モ 隊 に 突 入 し 、 50 名 以 上 が 死 亡 した。ただし、死傷者の数は報道によりまちまちである。イラク軍によると、作戦はナク シャバンディーヤ軍というスンナ派武装組織を狙ったもので、治安部隊は発砲された後に 応 酬 し た と い う 。突 入 前 に デ モ 隊 に 対 し て 退 去 す る よ う 警 告 し た と の こ と 。ま た 、34 丁 の カ ラ シ ニ コ フ 銃 と PKM マ シ ン ガ ン 4 丁 が 押 収 さ れ た と 発 表 さ れ た 。兵 士 2 名 が 死 亡 、7 名 が 負 傷 し た が 、残 り の 死 傷 者 は デ モ 隊 な い し 武 装 勢 力 だ と い う 。75 名 を 逮 捕 し た と の 発 表 がなされた。 しかし、ハウィージャで座り込みをしていたメンバーは、治安部隊が先に押し入ってき てテントを燃やし、無差別に発砲したという。 ヨルダンに住むスンナ派法学者シェイフ・アブドゥルマリク・サアディ師は、自制をよ びかけつつ、支持者に対して彼らには自衛の権利があると述べ、名誉、財産、国を守るた め に 殺 さ れ た 者 は 殉 教 者 だ と 声 明 を 発 表 し た 。( Iraq Oil Report, NINA, 2013.04.22; AP, 2013.04.24; AFP, 2013.04.24, 2013.04.25) 1.2.3.4. 衝突はハウィージャ以外にも拡散 ハウィージャの事件を受けて部族などが検問所を襲撃し一時制圧した。その過程で武装 集 団 の 13 名 が 殺 害 さ れ た 。ま た 、ラ マ ー デ ィ 近 く で は 武 装 し た デ モ 隊 に 6 名 の イ ラ ク 人 兵 士が殺害、1 名が誘拐された。サラーハッディーン県のスレイマン・ベク地区では武装集 団が検問所を攻撃、兵士 5 名と武装集団 1 名が死亡。ファッルージャでは武装集団が連邦 警察 2 名を殺害、3 名を負傷させた。ハウィージャ後の騒乱で数十名の死者が発生した。 4 月 24 日 に は 、武 装 勢 力 が 治 安 部 隊 と の 2 日 間 の 衝 突 の 末 、ス レ イ マ ン ・ベ ク の 町 を 支 配 し た 。7 人 の 武 装 勢 力 、5 人 の 兵 士 が 死 亡 、兵 士 20 名 を 含 む 63 名 が 負 傷 。政 府 が 支 配 を 13/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 失ったことで、バグダードとトゥズ・フルマトゥをつなぐ戦略道路が断たれた。アリ・マ ジ ー ド 大 将 は 、ス レ イ マ ン・ベ ク を 制 圧 し て い る 武 装 集 団 に 48 時 間 以 内 に 退 去 し な け れ ば 攻 撃 す る と 語 っ た 。同 市 に は ア ル・カ ー イ ダ 25 名 、ナ ク シ ュ バ ン デ ィ 軍 150 名 が い る と 見 積もっている。スレイマン・ベクに隣接するトゥズ・フルマトゥでは、治安部隊が包囲し て散発的な続いた。 デ ィ ヤ ー ラ 県 カ ラ・タ パ 地 区 の 議 会 長 が 4 月 25 日 に 述 べ た と こ ろ に よ る と 、南 部 で イ ラ ク軍とナクシュバンディ集団の武装勢力との間で戦闘が起こっている。情報筋によると、 軍 の 支 援 の た め に 飛 行 機 2 機 が 上 空 を 飛 ん で い る 。 カ ラ ・ タ パ の 南 部 10km の 地 点 に あ る ハ ズ ィ ー フ ァ 村 で 正 午 に 戦 闘 が 始 ま っ た と い う 。双 方 の 被 害 は 不 明 。治 安 関 係 者 に よ る と 、 ナクシュバンディ武装集団はカラ・タパの町の中心部へ進軍して、町と主要道路を制圧し よ う と し て い る と い う 。24 日 に も ナ ク シ ュ バ ン デ ィ 集 団 と イ ラ ク 軍 と の 間 で 、15k m 東 の カシュクール村で戦闘が起こり、部製勢力 6 名が死亡している。カラ・タパは係争地の一 つで、アラブ、クルド、トルコマンなどの住民が暮らしている。その後、カラ・タパを武 装勢力が制圧、全ての道路が封鎖された。イラク軍が町を包囲し、死者を伴う衝突が起こ ったが、部族リーダと軍が緊張を和らげるべく連絡を取り合い、状況は落ち着いた。 治 安 関 係 者 は 25 日 夕 方 、サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 ベ イ ジ で 2 日 前 に バ グ ダ ー ド か ら 派 遣 さ れ た SWAT チ ー ム と ナ ク シ ュ バ ン デ ィ 集 団 を 含 む 武 装 勢 力 と の 間 で 戦 闘 が 続 い て い る と 語 った。外出禁止令が出されており、ジャーナリストのアクセスが難しく、被害は不明。 モ ス ル の い く つ か の 地 区 で 24 日 遅 く に 衝 突 が 発 生 し 、 25 日 正 午 前 に 治 安 部 隊 が 状 況 を コ ン ト ロ ー ル 下 に お い た 。 警 察 に よ る と 、 武 装 勢 力 31 名 、 警 察 官 10 名 が 死 亡 。 警 察 に よ る と 、モ ス ル 南 部 で 武 装 勢 力 が ヘ リ を 攻 撃 し 被 害 が 出 た が 、無 事 に 帰 還 し た と い う 。(BBC, 2013.04.24; Army Times, AFP, al-Sumaria News, Army Times, Shafaq News, 2013.04.25) 1.2.3.5. デモ隊との衝突を受けた政治的動き 首相府は、ハウィージャの件を調査するため、ムトゥラク副首相を議長とする閣僚委員 会の形成を発表した。メンバーは、シャハリスターニ副首相、ドゥレイミ国防相代行、ス ーダーニ人権相、サファー・サーフィ議会担当国務相。 ハ ウ ィ ー ジ ャ の 衝 突 後 、閣 僚 委 員 会 の 委 員 長 に 任 命 さ れ た ム ト ゥ ラ ク 副 首 相 は 1 日 、AP の イ ン タ ビ ュ ー に 応 え て 、「 過 剰 な 武 力 が 使 わ れ た 。 そ れ ら は 必 要 な か っ た 」「 兵 士 1 名 を 失ったからといって大勢を殺していいことにはならない」と政府を批判した。アスカリ国 防省報道官はハウィージャで過剰な武力が使われたことを否定している。 なお、サルマーン・ジュメイリ・イラーキーヤ議会ブロック代表は、ハウィージャの事 件 に 抗 議 し て イ ラ ー キ ー ヤ は 23 日 の 議 会 に 出 席 し な か っ た と 語 っ た 。( 首 相 府 ウ ェ ブ サ イ ト , Shafaq News, 2013.04.23; AP, 2013.05.01) 1.2.3.6. イーサーウィ元財務相が政府との対話を否定 イーサーウィ元財務相は、アンマンでデモ隊と政府との交渉に出席しているとの報道を 否定し、危機が発生してからイラクを出ていない、と語った。最初から、交渉委員会のメ ンバーにもなっていないとしている。アブドゥルマーリク・サーディ師はデモ隊の交渉者 に 委 員 会 か ら 推 薦 さ れ た が 断 っ た と の こ と 。( NINA, 2013.05.09) 14/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 1.2.4. 政 府 ・ 議 会 関 連 1.2.4.1. イーサーウィ前財務相に逮捕状 4 月 4 日、ルサーファ控訴裁判所は、イーサーウィ前財務相に金融面での汚職を理由に 逮捕状を発行した。イラーキーヤ情報筋は、政治的な決定打として、現政権が国家的パー ト ナ ー シ ッ プ を 望 ん で い な い 現 れ だ と 非 難 し た 。( NINA, 2013.04.04) 1.2.4.2. 脱バアス党政策への変更とそれへの反応 デモ隊の要求に応え、イラク政府は 4 月初旬、脱バアス党法案の改正を承認した。今後 議 会 の 承 認 を 得 る 必 要 が あ る 。ム ト ゥ ラ ク 副 首 相 は 、 「この法案によって多くの才能ある人 物が排除され、彼らが国家のサービスを得ることができないでいた」と改正の意義を述べ た。この改正によって、バアス党の支部長クラスであるフィルカ・レベルのメンバーが公 職に復帰できる他、フェダーイーン・サッダームの多くのメンバーにも年金が支払われる こ と に な る 。ま た 、タ イ ム リ ミ ッ ト を 設 け て 、2013 年 末 ま で に ブ ラ ッ ク リ ス ト に 載 っ て い た者だけが公職追放とされる。全体として、数千人に公職復帰ないしは年金授与を可能に する内容となっている ま た 、4 月 9 日 の 閣 議 で 退 役 し た 旧 軍 人 45 名 を 作 戦 司 令 部 顧 問 と し て 再 雇 用 す る こ と を 決定した。各作戦司令部に 5 名ずつ配置する。議会の国防治安委員会委員のハミド・ムト ゥラク議員は、好意的に受け止め、イラクの経験が治安の分野で使われることがいいこと であり、治安のみならず全ての分野で経験の活用が広がることを希望する旨語った。 他方、アフラール・ブロックのアブドゥルアミール・フセインはこの決定を止めるため に 同 ブ ロ ッ ク の 前 に は あ ら ゆ る 選 択 肢 が 開 か れ て い る と 述 べ た 。ム ク タ ダ・サ ド ル 師 は 10 日、バアス党員の復職とフェダーインの年金支払いに対してマーリキ首相とムトゥラク副 首 相 を 激 し く 攻 撃 し 、こ の 決 定 を 覆 さ な け れ ば 政 府 に 留 ま る こ と を 禁 忌 と み な す と 脅 し た 。 なお、南部県でのデモ隊は、政府はスンナ派のデモ隊の要求、とりわけ対テロ法第 4 条撤 廃、恩赦の枠組みによる拘留者釈放、公正問責法撤廃、に応えたら黙ってはいないとして いる。彼らはまた、政府にテロ対策を徹底すること、テロの犠牲者への補償、旧政権の被 害者への補償を行うことを求めている。 イ ラ ク の ヒ ズ ボ ッ ラ 党 首 で あ る ワ ー ス ィ ク・バ ッ タ ー ト も 、2 月 26 日 以 来 初 と な る 声 明 を 発 表 し た 。 マ ダ ー ・ プ レ ス が 10 日 付 け で 伝 え た 内 容 は 下 記 の 通 り で あ る 。「 バ ア ス 党 員 とフェダーイーン・サッダームが戻るという決定は、イラクの人々にとって不正な決定で あ り 、バ ア ス 党 員 の 殺 人 者 の 手 に よ っ て 失 っ た 血 に 対 す る 敬 意 を 欠 い て い る 」 「ヒブボラは 政府を不正と考える。議会がこの決定を決めたら、政府をサッダームフセイン政権と同じ ものと扱う」 「 我 々 は 通 り に 出 て バ ア ス 党 員 と ア ル・カ ー イ ダ 構 成 員 を 標 的 と し て 武 器 を 使 うだろう」 「 ヒ ズ ボ ラ と ム フ タ ー ル 軍 は 、治 安 機 関 は 標 的 に し な い 。そ れ は イ ラ ク 国 民 の 一 部 で あ る か ら だ 」。( AFP, AIN, 2013.04.07; Ilaf, Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2013.04.10) 1.2.4.3. 旧バアス党犯罪化法案 マ ー リ キ 首 相 は 5 月 16 日 、議 会 は 旧 バ ア ス 党 を 犯 罪 化 す る 法 律 を 成 立 さ せ る べ き だ と 述 べた。集団墓地被害者の会議に出席し、アンファール作戦や民衆蜂起への弾圧、近隣国へ の侵攻などをあげて、バアス党の復活を阻止する法案が必要だと語った。それなしでは公 15/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 正問責委員会は十分ではないと述べている。 NA( 国 民 連 合 ) は 4 月 23 日 に 、 同 法 案 を 審 議 し な い こ と 理 由 に 議 会 ボ イ コ ッ ト を 発 表 している。アリー・アッラーク議員が記者会見で述べた。法案は第一読会、第二読会も終 わっているとのことで、議長がわざと採決を遅らせていると批判している。これは、いか な る 名 前 で あ れ バ ア ス 党 が 政 界 や 権 力 に 戻 る こ と を 禁 じ る こ と を 目 的 と し て い る 。( ) また、議会の公正問責委員会委員であるジャービル・キナーニ議員は、旧政権関係者の 資産を押収する法案が完成し、政府に送ったと語った。成立には議会での承認が必要とな る 。( al-Sumaria TV, 2013.04.23; Shafaq News, 2013.05.16) 1.2.4.4. マーリキ首相の喚問問題 マーリキ首相が 4 月半ば、議会喚問に応じるなら大勢のテロに関わっている者のファイ ルをオープンにすると述べたことが、論争を巻き起こしている。マーリキ首相はイラーキ ー ヤ TV の イ ン タ ビ ュ ー で 、 イ ラ ク の 世 界 を ひ っ く り 返 す よ う な 重 大 な フ ァ イ ル を 持 っ て いると述べ、議会喚問要求は選挙プロパガンダだと強調した。 クルディスタン同盟のラティーフ・ムスタファ議員は、この声明は喚問を避けるための マーリキの脅しであり、テロや汚職に関与している者のファイルをなぜオープンにしない のかと問い、それらを隠しておくことはイラクの法律で罰せられる罪だと指摘した。 法治国家連合のアリ・シラ議員は、マーリキ首相が述べたのはイラクの司法が逮捕状を 発行したファイルであり、曰く、国会議長はその大半が自らのメンバーであるためにそれ を実行に移していないのだと述べ、首相がその名前を明らかにすることは司法との齟齬が 生じるためできないと述べた。しかし、正式に議会に呼ばれれば、そこでは彼が持ってい る 情 報 を 明 ら か に す る こ と が 必 要 と な る 、 と 語 っ た 。( Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2013.04.14) 1.2.4.5. 大統領交代問題 5 月 13 日 、 ガ ダ ン フ ァ ー ル ・ ジ ャ ー ス ィ ム 長 官 は 書 簡 で 、 憲 法 72 条 に 基 づ き 、 大 統 領 の職が空席になったとみなして新大統領の選出を議会に求めた。しかし、法務委員会は、 大統領は現在、欠席しているだけだとして、その要請を「違憲および違法」だとして拒否 した。 な お 、サ ド ル 師 は 14 日 、タ ラ バ ー ニ 大 統 領 に か わ っ て 新 た な 大 統 領 を 選 出 す べ き と の 検 察 長 官 の 意 見 を 支 持 す る と 述 べ た 。( AFP, 2013.05.13; ekurd.net, 2013.05.14) 1.2.4.6. 教育相と科学技術相が辞表提出、教育相は復職 ハウィージャ事件とその後の混乱を受けて、タミーム教育相とサーマッラーイ科学技術 産業相が 4 月下旬に辞表を提出した。しかしカルブーリ産業鉱物相は、タミーム教育相が 来 週 か ら 職 務 に 復 帰 す る と 明 ら か に し た 。 (AIN, 2013.05.22) 1.2.4.7. 農業相が復職 イ ラ ー キ ー ヤ TV は 5 月 下 旬 、 ダ ウ ラ 前 農 業 相 が 、 辞 表 を 撤 回 し 、 農 業 相 と し て 復 職 す ると発表した。3 月に辞任を発表したが、その後近しい人物に対して、ヌジャイフィ国会 議長が彼に辞表を出させたが、自分は彼の裏切りの被害者だと語っていたという。ダウラ 前 農 業 相 の 事 務 所 は 5 月 20 日 、ム ッ タ ヒ ド ゥ ー ン 、及 び イ ラ ー キ ー ヤ か ら の 離 党 を 発 表 し 16/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 た 。 そ の 後 閣 議 へ の 出 席 が 確 認 さ れ て い る 。( al-Msala, 2013.05.17; NINA, al-Sumaria TV, 2013.05.19; New York Times, 2013.05.22; AFP, 2013.04.24) 1.2.4.8. 政府は新地域形成に前向きな姿勢 法 治 国 家 連 合 の サ ー デ ィ ク・ラ ッ バ ー ン 議 員 は 、 「 政 府 は 将 来 、新 た な 地 域 を 形 成 す る と いうアイディアの方向に向かっている」と述べた。ただし、宗派主義に基づくものに関し ては「地域と政府、県との間で問題が生じ、イラクを小さな国家群に分裂させてしまう」 と 警 告 し た 。マ ー リ キ 首 相 は 5 月 20 日 の 記 者 会 見 で「 我 々 は 法 的 な プ ロ セ ス を 通 じ た 地 域 形 成 を 歓 迎 す る 」 と 語 っ て い た 。( NINA, 2013.05.21) 1.2.4.9. マーリキ首相がエルビル訪問、閣議開催 6 月 9 日にマーリキ首相がエルビルで閣議を開催するため、閣僚を連れて軍用機でエル ビ ル に 到 着 し た 。 空 港 で は バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 、 コ ス ラ ト ・ ラ ス ー ル KRG 副 大 統 領 、 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 、 そ の 他 KRG 関 係 者 お よ び ク ル ド 政 党 関 係 者 に 出 迎 え ら れ た 。 そ の 他 閣 僚 は イ ラ ク 航 空 で 後 に 続 い た 。 前 回 の 訪 問 は エ ル ビ ル 合 意 の 時 の 2010 年 で あ っ た 。 エルビルで閣議を開くのはイラク戦争後初めて。 9 日 朝 に エ ル ビ ル で 閣 議 が 開 か れ た 。マ ー リ キ 首 相 は 閣 議 で 、 「エルビルで閣議を開催で きて大変嬉しい」 「 差 異 は メ デ ィ ア に よ っ て 増 幅 さ れ て い る 。我 々 は 対 話 に よ っ て そ れ ら を 解決できる」と語った。 閣議の後、ネチルヴァン訪問後に形成された高等委員会も開催された。メンバーには、 マーリキ首相、ターリク・ナジュム・ダアワ党政治局員、ファーリフ・ファイヤード首相 顧 問 が 入 っ て お り 、 ク ル ド 側 に は ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 、 エ マ ー ド ・ ア フ マ ド KRG 副 首 相 、 フ ア ー ド ・ フ セ イ ン KRG 大 統 領 府 長 官 が い る 。 マ ー リ キ 首 相 と バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 共 同 記 者 会 見 で 、 会 談 は ポ ジ テ ィ ブ だ っ た と して、関係正常化と最近の合意を実現に移すことについて合意した旨明らかにした。さら に 、 イ ラ ク 政 府 は 憲 法 140 条 の 第 二 ス テ ッ プ で あ る セ ン サ ス の 実 施 に 踏 み 出 す 準 備 が あ る と述べ、人口正常化の第一ステップはすでに実施済みだと語った。また、ハラブジャ問題 に つ い て も 、 イ ラ ク 憲 法 の 枠 内 で 、 ハ ラ ブ ジ ャ 地 区 を 県 に 昇 格 さ せ る KRG の イ ニ シ ア テ ィブを支持するとしている。 市 内 の 視 察 を 経 て 、同 日 夕 方 バ グ ダ ー ド に 戻 っ た 。 ( Shafaq News, KRG ウ ェ ブ サ イ ト , PUK media, Rudaw, AP, 2013.06.09) 1.2.4.10. 旧 政 権 の 兵 器 押 収 問 題 で KRG へ の 訴 追 を 取 り 下 げ KRG ペ シ ュ メ ル ガ 省 の ヤ ー ウ ィ ル 大 臣 官 房 は 6 月 27 日 、 連 邦 政 府 は 、 サ ァ ド ゥ ー ン ・ ド レ イ ミ 国 防 相 代 行 が ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 及 び ム ス タ フ ァ ペ シ ュ メ ル ガ 相 に 対 し て 起 こしていた訴えを取り下げたと発表した。内容は、イラク戦争の際に旧イラク軍の重火器 を ペ シ ュ メ ル ガ が 押 収 し た と い う も の で 、国 防 省 は 4000 億 ID 以 上 の 価 値 と 見 積 も っ て い た。ペシュメルガ省は、それらは損傷を受けて使えないものであり、ペシュメルガ省が普 及 を 行 っ た と 主 張 し て い た 。( NINA, 2013.06.27) 17/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 1.2.4.11. 「 地 域 に 所 属 し な い 県 法 」 を 大 幅 改 正 県 に 対 し て 従 来 よ り も 大 き な 権 限 を 与 え る 法 律 が 6 月 23 日 に 成 立 し た 。マ ー リ キ 首 相 が 進 め て き た 中 央 集 権 の 動 き か ら 、 地 方 分 権 へ の ス テ ッ プ と な る 。 2008 年 の 法 律 第 21 号 の 成立後、数回にわたって修正がなされてきた。今回の改正で、2 年かけて段階的に 7 つの 公共サービスにかかわる省の権限も地方に移管され、地域に含まれていない県に対して、 政治、経済、治安面で中央政府の干渉なく決定できることが増えることになる。改正法で は、県が裁判官や治安のトップを選ぶことができるようになっている。また、主要都市の 内外にイラク軍を展開する権限が与えられ、中央政府は県に軍を派兵しようと思えば県知 事 に 相 談 し な け れ ば な ら な い と さ れ た 。第 14 条 は「 県 知 事 は 、県 内 の 、治 安 と 公 の 秩 序 維 持のための全ての治安部隊の直接的な権限を持つ」とされている。 イラクの政治アナリストであるズィアド・アフマドは、改正法の背景にデモの影響を見 て い る 。た だ し 、県 に は こ れ ま で も 2005 年 の 憲 法 に よ っ て 大 き な 権 限 が 与 え ら れ て い た が 、 マーリキ首相は中央政府の権限を拡大してきたという経緯がある。ニナワ県のヌジャイフ ィ県知事は「 、バグダードから来た部隊は活動を県知事に知らせることを拒否してきた「 」イ ラク政府は県に対して独裁的で、憲法を無視してきた」と述べている。 ま た 、 改 正 法 第 44 条 は 、 県 に も た ら さ れ る 石 油 収 入 も 増 額 し た 。 ただし、法治国家連合はこの改正法を司法に訴えることも検討しているという。法治国 家 連 合 は 投 票 を ボ イ コ ッ ト し た が 、残 っ た 議 員 は 全 員 賛 成 し 、法 案 は 可 決 さ れ た 。 ( Niqash, 2013.06.27) 1.2.5. 政 党 ・ 宗 教 界 関 連 1.2.5.1. サドル派のボイコット問題 アフラール・ブロック代表のアアラジ議員は 4 月 1 日、内閣によって要求が満たされた として、2 日の閣議から同ブロックの閣僚が出席することを明らかにした。治安委員会の 形 成 と 、5~ 6 週 間 後 に ア ン バ ー ル 県 と ニ ナ ワ 県 で 選 挙 が 実 施 さ れ る 可 能 性 を ポ ジ テ ィ ブ な ス テ ッ プ だ と 評 価 し た 。( AIN, Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2013.04.01) 1.2.5.2. KRG大 統 領 府 は デ モ 隊 へ の 資 金 援 助 を 否 定 西 部 県 で の デ モ 隊 に KRG 大 統 領 が 資 金 援 助 し て い る と 報 じ ら れ た 件 に つ い て 、オ ミ ド ・ サ バ ー ハ KRG 大 統 領 府 報 道 官 は 事 実 無 根 だ と 反 論 し 、 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 は こ れ ま で も これからも、イラクの宗派対立の一部にはならないこと、憲法および法律に則ったデモ隊 の 要 求 は イ ラ ク 市 民 の 根 源 的 な 権 利 と し て 支 持 す る こ と を 表 明 し た 。( NINA, 2013.04.04) 1.2.5.3. NAと ク ル ド の 会 合 包 括 的 な 対 話 の た め に NA 代 表 団 が 4 月 3 日 エ ル ビ ル を 訪 れ 、バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 と 会 談 し た 。 NA 代 表 団 は 、 ハ ー リ ド ・ ア テ ィ ー ヤ 、 ア ー ミ リ 運 輸 相 、 ダ ア ワ 党 政 治 局 の タ ーリク・ナジュムである。マフムード・ウスマーン議員によると、相互に見解を伝え、今 後 2 日間、それらの見解をリーダらが検討するとのことで、会合では詳細については協議 しなかったと語った。 続 い て 4 月 10 日 、 ク ル ド の 代 表 団 が 要 望 書 を 渡 す た め に バ グ ダ ー ド に 到 着 し た 。 ク ル 18/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 デ ィ ス タ ン 同 盟 の ム ア イ ヤ ド ・ タ イ イ ブ 報 道 官 に よ る と 、 こ の メ ッ セ ー ジ は 、 NA に パ ー トナーシップか分離かを選択する最後のチャンスだという。バグダードのジャァファリ元 首 相 の オ フ ィ ス で 会 合 が 実 施 さ れ た 。11 日 に は 、マ ー リ キ 首 相 と 会 談 し た 。首 相 は ク ル ド 代表との対話で、対話の継続と問題解決のための委員会形成に合意した。 そ の 後 4 月 半 ば に 、 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 が NA か ら 返 答 の メ ッ セ ー ジ を 受 け 取 っ た と 報 じ ら れ た 。 メ ッ セ ー ジ は ジ ャ ァ フ ァ リ NA 代 表 の 署 名 が あ る も の で 、 NA と ク ル デ ィ スタン同盟の同盟関係を確認し、両者の協力関係の推進の必要性に言及しているという。 こ れ を 受 け 、バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 、NA 及 び 連 邦 政 府 と の 話 し 合 い の た め 、代 表 団 を バグダードに送ることを決定した。 ( NINA, 2013.04.03, 2013.04.04, 2013.04.10, 2013.04.11, 2013.04.20; Shafaq News, 2013.04.10; al-Sumaria News, 2013.04.11) 1.2.5.4. ネ チ ル ヴ ァ ン KRG首 相 が バ グ ダ ー ド を 訪 問 、 ボ イ コ ッ ト 終 了 4 月 29 日 、 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 が 代 表 団 を 率 い て バ グ ダ ー ド に 到 着 し た 。 こ う し た 訪 問 は 、 ネ チ ル ヴ ァ ン が 今 期 の 首 相 就 任 後 初 め て で あ る 。 代 表 団 は ジ ャ ァ フ ァ リ NA 代 表 や NA の 代 表 者 ら と 会 談 し 、 中 央 と 地 域 の 問 題 や 、 ボ イ コ ッ ト 終 了 の 可 能 性 に つ い て 協 議 した。また、サドル派、イラーキーヤ、法治国家連合などとも会談した。 マ ー リ キ 首 相 は 首 相 府 で 、 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 と そ の 代 表 団 と 会 談 し 、 政 府 と 地 域 との間の協調とコーディネーションの展望について協議した。憲法、連邦制、イラクの統 一に基づいて問題を解決することに合意し、また、イラク全土の治安面についても協調を 強化することで合意した。また、石油ガス法案などの重要法案を解決する必要性や、今後 も会合を続けることについても合意した。 なお、ムーサウィ首相顧問は、マーリキ首相がクルド代表団との会談において、三選目 を目指さないと約束したと報じられていることについて、その問題は話し合われなかった と否定した。 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 は 、エ ル ビ ル に 戻 っ た 後 、5 月 1 日 に エ ル ビ ル で 行 っ た 記 者 会 見 で、クルドの大臣、議員はボイコットを終了し、閣議、議会に出席すると発表した。マー リ キ 首 相 と の 間 で パ ー ト ナ ー シ ッ プ の 原 則 を 強 調 し た 多 く の 合 意 を 結 ん だ と 述 べ た 。ま た 、 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 は 、エ ル ビ ル で の マ ー リ キ 首 相 と バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 と の 会 談 実施や、エルビルでの閣議開催についても首相と合意したと述べた。なお、問題解決のた めに米国からもイランからも圧力はないと語った。また、キルクーク周辺へのペシュメル ガの展開は治安の空白を埋めるためのイラク政府との協調によるもので、いかなる秘密協 定もないと強調した。 クルディスタン同盟のハサン・ジハード議員によると、会談では 7 点が合意された。① 2013 年 度 予 算 改 正 、② 石 油 ガ ス 法 案 制 定 、③ デ ィ ジ ュ ラ 作 戦 司 令 部 、ジ ャ ジ ー ラ 作 戦 司 令 部問題の解決、④係争地の行政境界の再考、⑤アンファール作戦・化学攻撃の犠牲者への 補償、⑥中央と地方の間の空港及びビザ問題における共同マネージメント、⑦情報共有と コーディネーションのために、バグダードに地域政府代表者、エルビルに連邦政府代表者 を任命する。 5 月 2 日の閣議から、クルディスタン同盟の大臣がバグダードに復帰した。 両 政 府 間 の 問 題 を 話 し 合 う 委 員 会 の メ ン バ ー は 、 KRG 側 は ナ ジ ュ ム ッ デ ィ ー ン ・ カ リ ー 19/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 ム・キルクーク県知事、シャーウィース副首相、イラク政府側はファーリフ・ファイヤー ド国家安全保障顧問、ターリク・ナジュムとなっている。彼らが問題に応じて適宜人を任 命 す る 。( NINA, al-Sumaria News, 首 相 府 ウ ェ ブ サ イ ト , 2013.04.29; NINA, 2013.04.30; KRG 大 統 領 府 ウ ェ ブ サ イ ト , Furat News, 2013.05.01; Iraq Media Net, al-Takhi, 2013.05.02; Iraq Oil Report, 013.05.03) 1.2.5.5. 連 邦 政 府 と KRGの 話 し 合 い 開 始 5 月 12 日 、フ ァ ー レ フ・フ ァ イ ヤ ー ド 国 家 治 安 顧 問 率 い る 連 邦 政 府 の 代 表 団 が エ ル ビ ル を 訪 問 し 、 ラ ス ー ル KRG 副 大 統 領 、 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 ら と 会 談 し た 。 イ ラ ク の 現 在 の状況や政府間合意について協議した。 連邦政府代表団は、ファーレフ・ファイヤード国家治安顧問、ターリク(・ナジュム) 首 相 府 責 任 者 、 バ ー ビ キ ル ・ ジ ー バ ー リ ・ イ ラ ク 軍 参 謀 総 長 。 KRG 側 は ラ ス ー ル KRG 副 大 統 領 、 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 、 サ ー レ ハ PUK 副 議 長 、 エ マ ー ド ・ ア フ マ ド KRG 副 首 相、ナジュムッディーン・カリーム・キルクーク県知事、ジャァファル・ムスタファ・ペ シュメルガ相、ジャッバール・ヤーウィル・ペシュメルガ省大臣官房。イラクの最新情勢 について意見交換が行われ、問題の解決は憲法と話し合いによって行われることが確認さ れ た 。( NINA, 2013.05.12; al-Takhi, 2013.05.13) 1.2.5.6. ハキーム師がクルディスタン地域へ ISCI の ハ キ ー ム 師 が 5 月 14 日 、エ ル ビ ル を 訪 問 し た 。バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 と 会 談 し た 。そ の 後 続 い て ス レ イ マ ニ ア を 訪 問 し た 。空 港 で は ム ラ・バ フ テ ィ ヤ ル ら PUK 高 官 に 出 迎 え ら れ た 。ヘ ロ・イ ブ ラ ヒ ー ム PUK 政 治 局 員 と 会 談 し た ハ キ ー ム 師 は 、タ ラ バ ー ニ 大 統 領の早期の回復を願った。また、クルディスタン地域とイラクの関係についても協議し、 両 者 の 関 係 緊 密 化 に 合 意 し た 。ナ ウ シ ル ワ ン・ム ス タ フ ァ・ゴ ラ ン 代 表 と も 会 談 し た 。 ( NINA, 2013.05.14; Shafaq News, NINA, PUK Media,2013.05.16) 1.2.5.7. 多数派の政府形成 マーリキ首相はアマーラで開かれた法治国家連合の総会で、地方、中央の双方で政治的 多 数 派 の 政 府 の 形 成 に 動 く と 述 べ 、 地 方 選 挙 後 の 政 界 再 編 を 示 唆 し た 。( Aswat al-Iraq, 2013.04.14) 1.2.5.8. ヌジャイフィ国会議長がエルビル訪問 ヌジャイフィ国会議長率いるイラーキーヤ代表団が 5 月下旬、エルビルでバルザーニ KRG 大 統 領 、 ラ ス ー ル 副 大 統 領 、 KDP 及 び PUK の 政 治 局 メ ン バ ー ら と 会 談 し た 。 国 政 選 挙や、地方政府形成、その他の問題に関して協調する共同委員会の形成に合意した。バル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 、「 全 て の 問 題 は 憲 法 違 反 と パ ー ト ナ ー シ ッ プ の 原 則 を 尊 重 し て い な いことによって引き起こされている」と語った。 アスィール・ヌジャイフィ県知事は、ムッタヒドゥーンとクルディスタン同盟の会合の 目的は、問題を抱える各県での両党間のコーディネーションを見つけることだと語った。 また、イラクの政治的状況における、幾人かの政治家による法の甚だしい乱用による最近 の悪化をとめるために、憲法や法の枠内で活動することに合意した。また、真の参加と共 20/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 生という原則を信じることができるのなら、いくつかのシーア派宗教政党を参加させるこ と が 必 要 だ と 確 認 し た 。( al-Sumaria News, NINA, 2013.05.23) 1.2.5.9. マーリキ首相はムトゥラク副首相とイラク戦線立ち上げか ム ト ゥ ラ ク 副 首 相 が 2014 年 の 選 挙 に 向 け て 、マ ー リ キ 首 相 の 支 援 を 受 け て 、お よ そ 100 の政党からなる「イラク救国戦線」を形成しようとしている。この戦線は、来年 3 月に予 定されている国会選挙に単一リストで出馬する。アラブ、クルド、シーア派、スンナ派、 トルコマン、キリスト教徒も含む。ハッル党のアフマド・カルブーリによると、ニナワ県 とアンバール県の選挙終了後、ムトゥラクを調整者とする戦線の発表がなされるという。 また、マーリキ首相はこれを支持しているが、名前を「イラク救国のための法治国家連 合」とすることを求めたという。 カルブーリは、ヌジャイフィ国会議長、イーサーウィ前財務相、イラク・イスラーム党 をあげて、 「 彼 ら の 戦 線 へ の 参 加 は 望 ん で い な い 」と の べ た 。ア ッ ラ ー ウ ィ 元 首 相 に つ い て は、首相との関係を考えれば無理だろうとしている。排除の理由としては、彼らのトルコ や カ タ ル と い っ た 地 域 の 国 々 と の 関 係 を 挙 げ た 。( al-Safir News, 2013.05.23) 1.2.5.10. マ ー リ キ ・ ヌ ジ ャ イ フ ィ 会 談 6 月 1 日、緊張を和らげるためのシンボリックな方策としてマーリキ首相とヌジャイフ ィ国会議長が抱擁する姿が見られたが、治安改善に向けた実質的な方策は発表されず、ま た 次 回 の 会 合 も 予 定 さ れ て い な い 。ヌ ジ ャ イ フ ィ 国 会 議 長 は 、 「イラクの状況は非常に困難 で 、崩 壊 の 瀬 戸 際 に い る 」 「 こ の 会 合 は と て も 重 要 だ 。我 々 は 状 況 を 安 定 化 さ せ な け れ ば な ら な い 」 と 語 っ た 。( AFP, 2013.06.01) 1.2.5.11. マ ー リ キ 首 相 が 南 部 の 部 族 長 に ピ ス ト ル を ギ フ ト と し て 配 布 内 務 省 公 務 員 は マ ー リ キ 首 相 の 名 代 と し て 6 月 15 日 か ら 5 日 に わ た っ て ナ ジ ャ フ 、カ ル バラ、ディーワーニーヤ、サマーワ、ナーシリーヤ、バービル、バスラを訪れる。車 2 台 で 訪 問 し 、 1 台 は ベ レ ッ タ ・ タ イ プ の ピ ス ト ル の バ ッ グ を 積 み 、 2 台 目 は 1500 万 ID が 入 っ た バ ッ グ ( 2.5 万 デ ィ ナ ー ル 札 の 包 み を 6 つ ) を 積 ん で い る 。 こ れ ら は 部 族 長 へ の マ ー リ キ 首 相 か ら の プ レ ゼ ン ト で あ る 。( Buratha, 2013.06.23) 1.2.5.12. ア シ ー ル ・ ヌ ジ ャ イ フ ィ ・ ニ ナ ワ 県 知 事 イ ン タ ビ ュ ー 4 月初旬にヌジャイフィ・ニナワ県知事がインタビューに応えて下記のように語った。 デ モ 隊 が 求 め て い る こ と は 水 や 電 気 な ど の イ ン フ ラ 、雇 用 、政 府 の 人 権 侵 害 に 反 対 、政 府 に お い て ア ク テ ィ ブ な 役 割 を 果 た す こ と 。 ス ン ナ 派 は 2003 年 以 降 、 シ ー ア 派 の 権 力 のもとで周辺化されている。 シ リ ア は 同 胞 で あ り 経 済 支 援 に 異 存 は 無 い は 、イ ラ ク 政 府 が シ リ ア 政 府 を 支 援 す る こ と には反対する。アサドが国民を殺害することを支援することには強く反対する。 ( 昨 年 、3 年 ぶ り に ニ ナ ワ 県 の ク ル ド 政 党 が ボ イ コ ッ ト を や め た こ と に つ い て )双 方 と も に 、140 条 問 題 よ り 大 き な 問 題 が あ る と 気 付 い た 。プ ラ イ オ リ テ ィ の 1 番 は 国 家 全 体 の 民 主 主 義 だ 。今 や 我 々 は 地 域 と し て の ク ル デ ィ ス タ ン を 認 め て い る 。我 々 も ク ル ド の よ う な 地 域 に 値 す る と 考 え て い る 。全 て 中 央 集 権 化 さ れ 、シ ー ア 派 が 握 っ て い る 。モ ス 21/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 ル は 憲 法 に よ れ ば 11%の 予 算 配 分 に 値 す る が 、 2%し か 得 て い な い 。 た だ し 、 依 然 と し て 我 々 は 憲 法 第 140 条 に は 反 対 。 マ ー リ キ は 数 回 、ク ル ド と 秘 密 協 定 を 結 ん だ と 行 っ て 私 を 追 い 落 と そ う と し た 。結 局 バ グ ダ ー ド は ク ル ド と 合 意 し て 、 我 々 だ け が 取 り 残 さ れ た 。 KRG は 自 分 た ち の こ と は 自 分たちでハンドルして、ニナワは足下の石油から何の経済的利益も得ていない。 過 去 数 年 間 で 治 安 状 況 は 改 善 し た が 、依 然 し て 武 装 グ ル ー プ が 活 動 し て い る 。主 と し て イ ラ ン が 民 兵 を 支 援 し て い る 。 2003 年 以 降 、 シ リ ア と イ ラ ン が ス ン ナ 派 地 域 で ア ル ・ カ ー イ ダ を 支 援 し た 。( DW, 2013.04.03) 1.2.5.13. ヌ ジ ャ イ フ ィ 国 会 議 長 イ ン タ ビ ュ ー 4 月上旬にヌジャイフィ国会議長がインタビューに応えて下記のように語った。 イ ラ ク( 政 府 )は イ ラ ン 、ロ シ ア と 共 に ア サ ド 政 権 を 支 持 し て い る が 、こ れ は イ ラ ク 人 全 て を 代 表 し て い な い 。我 々 は シ リ ア の 人 々 と 共 に あ り 、現 体 制 を ナ シ ョ ナ リ ス ト な 民 主 的 な 体 制 に 変 更 す る こ と を 支 持 す る 。し か し 国 際 社 会 の 介 入 が な け れ ば 難 し い だ ろ う 。 シ リ ア 革 命 を 支 持 す る こ と が 、シ リ ア の 人 々 と( 将 来 の )民 主 体 制 を イ ラ ク の 友 人 に す る 。テ ロ 拡 散 に つ な が っ て い る と い う の は 、イ ラ ク 国 内 で い く つ か の 県 に 軍 隊 を 動 か し た り 地 方 選 挙 を キ ャ ン セ ル し た り す る た め の イ ラ ク 政 府 の 口 実 だ 。イ ラ ク が イ ラ ン の 航 空 機 を 使 っ て シ リ ア 体 制 を 支 援 し て い る と い う 懸 念 が あ り 、国 際 社 会 は そ れ を 証 明 す る 証拠を持っている。 ア ン バ ー ル 県 と ニ ナ ワ 県 の デ モ は 、政 府 を 象 牙 の 塔 か ら 引 き ず り 出 し て デ モ 隊 と 交 渉 す る こ と に 同 意 す る ま で 続 く 。政 府 は デ モ 隊 に い か な る 譲 歩 も し て い な い 。彼 ら は 、全 て の宗派(の人々)が平等な権力の分配を得ることを望んでいる。 早 期 選 挙 が 解 決 策 に な る 。た だ し 議 会 は 解 散 せ ず 、選 挙 に 出 馬 し な い 危 機 管 理 内 閣 が 形 成されるべき。 首 相 不 信 任 動 議 が 失 敗 し た か ら と い っ て 、イ ラ ク 人 が 支 配 者 に 満 足 し て い る と い う こ と で は な い 。マ ー リ キ は 国 際 的 に 支 持 さ れ て い る 。少 な く と も イ ラ ン と 米 国 は 支 持 し て い る。 マ ー リ キ は 軍 隊 と 警 察 を 使 っ て 一 人 で 国 を 治 め て い る 。彼 だ け が 治 安 に 責 任 を 持 ち 、司 法 を 支 配 し 、 有 罪 か 無 罪 か を 決 め る の は 彼 だ 。( al-Moniter, 2013.04.10) 1.2.5.14. ナ ジ ュ ム ッ デ ィ ー ン ・ キ ル ク ー ク 県 知 事 イ ン タ ビ ュ ー 5 月半ばにナジュムッディーン・キルクーク県知事がインタビューに応えて下記のよう に語った。 140 条 は 憲 法 の 一 部 で あ り 死 ぬ こ と は な い 。 2 年 の 期 限 を 設 け た こ と が 間 違 い だ っ た 。 キ ル ク ー ク 県 の 選 挙 が 延 期 さ れ て い る こ と は ク ル ド 側 の 責 任 で は な い 。前 提 条 件 な く や る べ き 。ア ラ ブ 側 が 留 保 を つ け て い る 。ト ル コ マ ン は 例 え ば ク オ ー タ( あ ら か じ め 決 め られた権力配分枠)の導入を求めているが、現時点では非常に難しい。 県 知 事 と し て も 県 議 会 も 、チ グ リ ス 作 戦 司 令 部 の 存 在 を 受 け 入 れ な い 。た だ 、問 題 解 決 のためにバグダードとの間で委員会形成には合意した。 キ ル ク ー ク の 治 安 維 持 は 複 雑 に な っ て い る 。県 知 事 の も と に あ る は ず だ が 、戦 車 や 武 装 22/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 車 両 、 ヘ リ や 1.5 万 の 兵 を も つ イ ラ ク 軍 第 12 師 団 と 我 々 は 、 接 点 は な い 。 警 察 官 の 給 与 は バ グ ダ ー ド か ら 払 わ れ て い る が 、我 々 の 指 揮 下 に あ る 。ペ シ ュ メ ル ガ は 公 式 に KRG 大 統 領 の 指 揮 下 に あ る 。ペ シ ュ メ ル ガ や ア サ イ シ ュ は 毎 週 火 曜 日 の 地 元 の 治 安 委 員 会 の 会 合 に 出 席 し て お り 、 何 ら 秘 密 活 動 は し て い な い 。( Niqas, 2013.05.16) 1.2.6. ク ル デ ィ ス タ ン 情 勢 1.2.6.1. 次 回 選 挙 は 9 月 21 日 KRG 大 統 領 府 は 、 地 域 の 議 会 選 挙 ・ 大 統 領 選 挙 を 9 月 21 日 に 行 う と 発 表 し た 。 5 月 20 日 に 選 管 は 、5 月 23 日 か ら 6 月 4 日 ま で を 出 馬 政 党 お よ び 候 補 者 の 登 録 期 間 と す る こ と を 発 表 し た 。そ の 後 サ ル ベ ス ト ・ム ス タ フ ァ 選 管 委 員 長 は 、6 月 30 日 ま で の 予 定 だ った大統領選挙立候補者の登録期間を延長すると発表した。 ( NINA, 2013.04.18; PUK Media, 2013.05.21; al-Hayat, 2013.06.28) 1.2.6.2. ケマル・キルクーキのインタビュー ケ マ ル ・ キ ル ク ー キ KDP 幹 部 兼 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 議 会 前 議 長 の イ ン タ ビ ュ ー 概 要 。 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 出 馬 を 明 言 し て い な い が 、我 々 は 出 馬 を 必 要 だ と 思 っ て い る 。 現 在 の セ ン シ テ ィ ブ な 状 況 下 で は 彼 が 必 要 。彼 が 出 馬 す る な ら ば 、そ れ が 合 法 と な る 道 を見つけるべき。 憲法が書かれた時、我々は、大統領は人々によって直接選ばれるべきだと主張した。 PUK と の 間 に 意 見 の 相 違 は な い 。 別 々 の リ ス ト で 出 馬 す る と し て も 、 選 挙 後 に は 一 緒 に 政 府 を 組 閣 す る 。( Rudaw, 2013.04.18) 1.2.6.3. バ ル ザ ー ニ KRG大 統 領 三 選 問 題 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 は 5 月 4 日 の 声 明 で 、 沈 黙 を や ぶ っ て 、 任 期 延 長 を 求 め た こ と はないと発言した。次期大統領選挙に対する姿勢は明確にはしなかった。大統領法は最大 二期までと定めているが、支持者は、解釈の余地があるとしている。 「大統領法の改正をもとめたことも、大統領任期の延長を求めたことも、立候補を可能 にするための障害を取り除くように求めたこともない」と語った。しかしこれは、先月、 野 党 が KDP と PUK か ら 任 期 延 長 の 可 能 性 や 三 選 を 認 め る よ う 求 め ら れ た と 明 ら か に し た ことと矛盾している。野党は提案を拒否した。 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 の メ ッ セ ー ジ で 最 も 明 確 な 点 は 、 地 域 憲 法 の 住 民 投 票 を 求 め た こ と だ 。2009 年 に 議 会 承 認 さ れ て い る が 、PUK 及 び 野 党 三 党 は 改 正 を 求 め て い る 。憲 法 が 可決されれば、バルザーニはさらに二期大統領を務められるようになるだろうと広く信じ ら れ て い る 。2011 年 の ス レ イ マ ニ ア の 反 政 府 抗 議 活 動 が 起 こ っ た 時 、地 域 議 会 は 憲 法 改 正 に 合 意 し た 。 ま た 、 2012 年 9 月 に PUK と ゴ ラ ン が 憲 法 を 議 会 に 差 し 戻 す こ と を 含 め た 合 意 を 締 結 し て い る 。( Insight Kurdistan, 2013.05.06) 1.2.6.4. バ ル ザ ー ニ KRG大 統 領 の 姉 の 葬 儀 5 月 12 日 に バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 の 姉 の 葬 儀 が 行 わ れ た 。 大 統 領 の 長 姉 ジ ャ ヒ ー ダ ・ バルザーニは 9 日、テヘランの病院で亡くなった。出席者は、ヌジャイフィ国会議長、ア 23/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 ッラーウィ元首相、国会議員らを含むイーサーウィ前財務相の代表団、ファイヤード国家 安全保障顧問、ダアワ党政治局のターリク・ナジュム、キルクークのトルコマン戦線代表 団などだった。 な お 、 イ ッ ザ ト ・ ド ゥ ー リ が バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 の 姉 の 葬 儀 に 際 し て 弔 電 を 送 っ た ことが明らかになっている。インターネットで出回っている短い文面では、バルザーニ KRG 大 統 領 を 同 胞 と 呼 び 、自 身 は 、ア ラ ブ 社 会 主 義 バ ア ス 党 幹 事 長 、聖 戦 ・ 解 放 ・ 救 国 の 最高指導者と名乗っている。 こ れ が 初 め て で は な く 、 2011 年 の バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 の 母 の 死 去 の 際 に も 弔 問 を 送 っ て い る 。 (Ilaf, 2013.05.12; al-Takhi, 2013.05.13) 1.2.6.5. ハラブジャ市を県へ格上げ ゴ ラ ン ・ ア ド ハ ム ・ ハ ラ ブ ジ ャ 市 長 は 5 月 15 日 、 KRG 閣 議 で 正 式 に ハ ラ ブ ジ ャ を ク ル ディスタン第 4 の県にすることが決まったと述べた。まだ技術的な問題が残されていると いう。 ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 は 3 月 16 日 の ハ ラ ブ ジ ャ 攻 撃 25 周 年 の 式 典 で 、 ハ ラ ブ ジ ャ を 県に格上げすると約束しており、障害を取り除くためにあらゆる手段をつくしていると語 っ て い た 。す で に 1999 年 に ク ル デ ィ ス タ ン 議 会 で 決 定 さ れ て い る た め 、イ ラ ク 政 府 は 反 対 し な い と み ら れ て い る 。( Shafaq news, 2013.05.15) 1.2.6.6. バ ル ザ ー ニ KRG大 統 領 の 任 期 2 年 延 長 を 決 定 ク ル デ ィ ス タ ン 議 会 は 6 月 30 日 、大 統 領 の 任 期 を 2 年 間 延 長 す る こ と を 決 め た 。バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 に 任 期 は 2015 年 8 月 19 日 ま で と な る 。 別 の 法 律 で 、 ク ル デ ィ ス タ ン 議 会 任 期 は 11 月 1 日 ま で 延 期 さ れ た 。 ク ル デ ィ ス タ ン 議 会 選 挙 と 県 議 会 選 挙 は 予 定 通 り 9 月 21 日 に 実 施 す る 。 議 題 は 42 時 間 前 に 公 表 さ れ な け れ ば な ら な い と い う 内 規 が あ る に も か か わ ら ず 、ア ル サ ラ ン・バ エ ズ 議 長 が 大 統 領 法 案 改 正 議 題 を 突 然 持 ち 出 し た こ と で 、野 党 議 員 が「 違 法 行 為 」 「 詐 欺 」だ と 訴 え る 事 態 と な っ た 。野 党 3 党( ゴ ラ ン 、KIU、KIG)は 任 期 延 長 の 法 案 に 反 対 し 、議 場 は ペ ッ ト ボ ト ル が 飛 び 交 い 、PUK と ゴ ラ ン の 議 員 の 間 で 殴 り 合 い の 惨 事 と な っ た。警察官が議場に入って野党議員を議場から閉め出した。複数のけが人が発生。野党議 員が議場外や議場の後ろに留まる中、法案は可決された。 KDP の オ マ ル・サ デ ィ ー ク 議 員 に よ る と 、延 期 は ク ル デ ィ ス タ ン 憲 法 に 関 す る 合 意 形 成 の 時 間 が 必 要 で あ る た め と さ れ て い る 。KDP は 当 初 、憲 法 の 住 民 投 票 を 行 っ て 大 統 領 が 新 た に 二 期 務 め る 案 を 考 え て い た が 、 PUK は 反 対 。 代 替 案 と し て 、 バ ル ザ ー ニ KRG 大 統 領 が イ ラ ク 大 統 領 に 、 フ ァ ー ス ト レ デ ィ の ヘ ロ が KRG 大 統 領 に 就 く 案 が 検 討 さ れ た が 最 終 的には流れ、妥協案として、憲法草案について協議する時間を得るために二年年長となっ た 。( AFP, NINA, Shafaq News, Aswat al-Iraq, 2013.06.30; Iraq Oil Report, 2013.07.02) 1.2.7. 治 安 情 勢 1.2.7.1. アッカース・ガス田に襲撃 4 月 1 日 午 後 9 時 、約 20 人 の 武 装 グ ル ー プ が 十 数 台 の ピ ッ ク ア ッ プ ト ラ ッ ク な ど に 乗 っ 24/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 て KAGAS と の 契 約 し て い る ア ッ カ ー ス・ガ ス 田 の 企 業 Baider al-Arab 社 を 襲 っ た 。同 社 は アッカースのオペレーションに必要な発電所を建設していた。アンバール県警察情報筋の 話では、エンジニア 2 名が死亡、1 名が誘拐された。武装勢力は従業員に向けて発砲し、 殺害・誘拐後に、監督していた韓国の企業が使っていた多くの自動車に火を放った。治安 部 隊 が 急 行 し 誘 拐 者 の 捜 索 を 行 っ た が 、連 れ 去 ら れ た 。そ の 後 、治 安 部 隊 は 現 場 を 封 鎖 し 、 遺体を運び出した。 アンバール警察によると武装集団は、同社マネージャのサムラン・カルブーリを探して いたが、見つけられず、兄弟のダウードを人質にとった。カーイム市長によると、彼らは マネージャ、及びかつて米軍で働いていたもう一人のコントラクタ、そして外国人を探し て い た と の こ と 。マ ネ ー ジ ャ の も う 一 人 の 兄 弟 ハ ミ ド ・ジ ェ ッ リ は 殺 害 さ れ た 。そ の 他 17 名の従業員が負傷。市長によると、アンバール県の西部砂漠の多くをアル・カーイダがコ ン ト ロ ー ル し て い る 。( Reuters, al-Sumaria News, Aswat al-Iraq, 2013.04.01; Iraq Oil Report, 2013.04.02) 1.2.7.2. 過激派が新聞社を襲撃 4 月 1 日 、ピ ス ト ル や パ イ プ で 武 装 し た 私 服 の 50 名 程 度 か ら な る 一 団 が 、シ ー ア 派 宗 教 指導者に関する記事に対する抗議のためにバグダードの新聞社ドゥスゥールのオフィス 3 ヵ所を襲撃するという事件が発生した。新聞者のスタッフの複数名が負傷し、機材やパソ コ ン な ど が 破 壊 さ れ た 。 犯 人 の う ち の 2 名 は 逮 捕 さ れ た 。( Reuters, 2013.04.02) 1.2.7.3. クルディスタン地域の鉱区で封鎖事件 HKN Energy が 操 業 す る Sarsang ブ ロ ッ ク で 、 3 月 29 日 か ら 3 月 31 日 ま で 、 武 装 し た 地 元 住 民 が Gara-1 油 井 の サ イ ト の 出 入 り 口 を 封 鎖 す る と い う 事 件 が 発 生 し た 。 HKN Energy 及 び サ ー ビ ス ・ カ ン パ ニ ー の Schlumberger/ Pathfinder の 従 業 員 が 閉 じ 込 め ら れ た 。 支 払 い と地元サービスの提供をめぐる紛争が原因で、4 月 1 日から通常操業にもどったとのこと である。 同社の報道官は、 「 人 質 事 件 」と い う ほ ど の も の で は な か っ た と し て お り 、暴 力 事 件 は 発 生しなかった。クルディスタン地域では、民間警備会社はスタッフの移動のセキュリティ の み 許 可 さ れ て お り 、オ ペ レ ー タ は 、油 田 の サ イ ト な ど で は KRG の Oil Police を 雇 う よ う 義務づけられている。 KRG は そ の 後 、 「 今 回 の 問 題 は 人 質 事 件 な ど で は な く 、昨 年 10 月 か ら 支 払 い を 得 て い な い地元労働者を含む労働争議によって生じた。問題は平和裏に解決した」とのコメントを 発 表 し た 。( Iraq Oil Report, KRG, 2013.04.02) 1.2.7.4. 武 装 勢 力 が 8.7 億 デ ィ ナ ー ル を 強 奪 モ ス ル の 薬 科 大 学 の 給 与 を 輸 送 し て い た 自 動 車 が 武 装 勢 力 に 襲 わ れ 、 8.7 億 デ ィ ナ ー ル が 奪 わ れ た 。車 に 同 乗 し て い た 大 学 職 員 の 関 与 が 疑 わ れ て い る 。 ( Shafaq News, 2013.06.16) 1.2.7.5. 4 月の死者数 AFP の 統 計 に よ る と 、 4 月 の 死 者 数 は デ モ 隊 と 治 安 部 隊 の 衝 突 の 影 響 で 、 460 名 と な り 前 月 よ り 大 き く 増 加 し た 。 内 訳 は 兵 士 5 4 名 、 警 察 53 名 、 サ フ ワ 14 名 、 ペ シ ュ メ ル ガ 2 25/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 名 、そ の 他 は 民 間 人 と 一 部 武 装 勢 力 を 含 む 。3 月 は 271 名 だ っ た 。た だ し 、3 月 の 死 者 数 に は 武 装 勢 力 は 含 ん で い な い 。( AFP, 2013.05.01) 1.2.7.6. 5 月の死者数 5 月 の 死 者 は 国 連 発 表 で 1045 名 、 政 府 発 表 で 681 名 。 い ず れ も 2008 年 以 来 最 悪 の 水 準 で あ る 。 AFP の 統 計 で は 614 名 と な っ て い る 。( AFP, 2013.06.01) 1.2.8. そ の 他 テ ロ 関 連 4 月 1 日 、テ ィ ク リ ー ト で は 自 爆 テ ロ 犯 が 燃 料 タ ン カ ー に 爆 発 物 を 積 ん で 地 元 の 市 庁 舎 を 攻 撃 し 、少 な く と も 9 名 が 死 亡 。バ グ ダ ー ド で は 警 察 官 2 名 と 民 間 人 1 名 が 撃 た れ て 死 亡 し た 。( Reuters, 2013.04.01) 4 月 3 日、バグダード西部でサフワのメンバーの自宅が襲われ、3 名が死亡。キルクー ク と モ ス ル で は 爆 弾 事 件 も 発 生 。 警 察 官 1 名 死 亡 。( AFP, 2013.04.03) 4 月 5 日、バービル県の野菜市場で路肩爆弾が爆発、3 名死亡。アブ・グレイブでは軍 車 両 を 狙 っ た 別 の 爆 弾 で 兵 士 2 名 が 殺 害 。( AFP, 2013.04.05) 4 月 6 日、バァクーバで地元の小党の選挙立候補者がキャンペーンを実施していた際、 オープンエアの会場に支持者が昼食のために集まってきたところを狙って武装勢力が 手 投 げ 弾 を 投 げ 入 れ 、 あ わ せ て 自 爆 テ ロ が 発 生 し た 。 候 補 者 は 難 を 逃 れ た が 25 名 が 死 亡 。 ま た 、 バ グ ダ ー ド 北 西 部 で は 爆 弾 で 民 間 人 1 名 が 死 亡 ( AFP, 2013.04.06) 4 月 10 日 、 モ ス ル の 検 問 所 で 兵 士 3 名 が 銃 撃 さ れ て 死 亡 。 デ ィ ヤ ー ラ 県 で は 警 官 1 名 が 路 肩 爆 弾 で 死 亡 。( Press TV, 2013.04.10) 4 月 12 日 、デ ィ ヤ ー ラ 県 の バ ァ ク ー バ の 東 20km の 地 点 で 、ス ン ナ 派 の モ ス ク の 外 で 2 つ の 路 肩 爆 弾 が 爆 発 、 7 名 が 死 亡 、 25 名 が 負 傷 。( CNN, 2013.04.12) 4 月 13 日 、ベ イ ジ で ミ サ ー ン ・ ジ ュ ブ ー リ が 率 い る al-Ensaf Front に 所 属 す る 県 議 会 選 挙 立 候 補 者 が 銃 撃 さ れ て 死 亡 し た 。 14 日 に は デ ィ ヤ ー ラ 県 で ナ ジ ム ・ ハ ル ビ 候 補 者 が 兄 弟 と 共 に 路 肩 機 爆 弾 で 殺 害 さ れ た 。 ム ト ゥ ラ ク 副 首 相 と 近 し か っ た 。( Reuters, 2013.04.14) 4 月 14 日 、モ ス ル 近 く で 爆 弾 が し か け ら れ た 遺 体 を 回 収 し て い て 警 察 官 5 名 が 死 亡 、3 名 が 負 傷 。( Reuters, 2013.04.14) 4 月 15 日 、主 と し て 自 動 車 爆 弾 に よ る 連 続 テ ロ が 各 地 で 発 生 し 、50 名 以 上 が 死 亡 し た 。 全 土 で 46 件 の 爆 発 が 起 こ っ た 。 テ 最 も 被 害 が 大 き か っ た の は バ グ ダ ー ド で 、 自 動 車 爆 弾 を 含 む 複 数 の 爆 発 で 25 名 が 死 亡 。 バ グ ダ ー ド 空 港 の 駐 車 場 で も 自 動 車 爆 弾 が 2 発 爆 発 し 、3 名 が 死 亡 し て い る 。う ち 1 名 は シ ー ア 派 議 員 の ボ デ ィ ガ ー ド で 、彼 の コ ン ボ イ が 通 り か か っ た 時 に 爆 発 し た 。サ ド ル 派 に よ る と 、バ ハ・ア ァ ラ ジ 議 員 が 標 的 だ っ た と い う 。キ ル ク ー ク で は 市 街 地 で 自 動 車 爆 弾 3 つ が ほ ぼ 同 時 に 爆 発 。そ れ ぞ れ 、ア ラ ブ 人 地 区 、ク ル ド 人 地 区 、ト ル コ マ ン 人 地 区 で 起 こ り 、計 4 名 が 死 亡 。市 街 地 で は 別 の 自 動 車 爆 弾 が 3 つ 爆 発 し て 5 名 死 亡 。フ ァ ッ ル ー ジ ャ で は 検 問 所 で 自 爆 テ ロ 、警 察 官 2 名 が 死 亡 、ま た 別 の 爆 発 事 件 も 発 生 。そ の 他 、バ ァ ク ー バ 、モ ス ル 、ム サ イ ブ 、ナ ー ス ィ リ ー ヤ 、ル ト バ 、タ ル ミ ヤ 、テ ィ ク リ ー ト 、ハ リ ス 、ブ フ リ ズ な ど に お け る 攻 撃 で さ ら に 15 名 が 死 亡 し た 。( AP, 2013.04.15; Shafaq, 2013.04.16) 26/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 4 月 16 日 、 全 土 で 9 名 が 死 亡 し た 。 バ グ ダ ー ド 南 部 で は 自 動 車 爆 弾 で 4 名 死 亡 、 お よ び 路 肩 爆 弾 で 兵 士 1 名 が 死 亡 、バ グ ダ ー ド の 3 件 の 爆 発 で 3 名 が 死 亡 。モ ス ル で は ヌ ジ ャ イ フ ィ・ニ ナ ワ 県 知 事 の コ ン ボ イ の 近 く で 路 肩 爆 弾 が 爆 発 し た が 、け が 人 は で な か っ た 。キ ル ク ー ク 北 西 部 で 銃 撃 戦 が 発 生 し て 兵 士 2 名 が 負 傷 、西 部 で は 灌 漑 プ ロ ジ ェ ク ト で 働 い て い た 2 名 が 誘 拐 さ れ た 。( AAP, 2013.04.17) 4 月 18 日 、若 者 で 賑 わ う バ グ ダ ー ド の カ フ ェ で 自 爆 テ ロ が 発 生 、少 な く と も 26 名 が 死 亡 し た 。ま た 、モ ス ル で は 自 動 車 爆 弾 が 軍 の コ ン ボ イ を 襲 い 、兵 士 3 名 が 死 亡 、バ グ ダ ー ド の 検 問 所 で は 警 察 官 1 名 が 撃 た れ て 死 亡 。( AP, 2013.04.18) 4 月 20 日 、 キ ル ク ー ク で は IED に よ っ て ペ シ ュ メ ル ガ 1 名 死 亡 。 イ ス カ ン ダ リ ー ヤ で は 路 肩 爆 弾 が 爆 発 し て 武 装 勢 力 5 名 と 通 行 人 3 名 が 死 亡 。( Antiwar.com, 2013.04.20) 4 月 21 日 、フ ァ ッ ル ー ジ ャ の レ ス ト ラ ン で 爆 発 が あ り 少 な く と も 9 名 が 死 亡 。 ( Press TV, 2013.04.21) 4 月 24 日 、 ハ ウ ィ ー ジ ャ で の デ モ 隊 と 治 安 部 隊 の 衝 突 で 数 十 名 の 死 者 が 発 生 。 そ れ 以 外 に 、 13 名 の 死 者 。 バ グ ダ ー ド 北 西 部 の ム ク ダ ー デ ィ ー ヤ で ス ン ナ 派 の モ ス ク に 迫 撃 砲 が 撃 ち 込 ま れ 9 名 が 殺 害 さ れ た ほ か 、バ グ ダ ー ド 南 部 で は 2 発 の 路 肩 爆 弾 で 4 名 死 亡 。 ( AFP, 2013.04.24) 4 月 24 日 、 バ グ ダ ー ド の シ ー ア 派 住 民 が 多 い 地 区 の バ ス 停 近 く で 爆 弾 が 爆 発 し 、 少 な く と も 7 名 が 死 亡 ( BBC, 2013.04.24) 4 月 25 日 、バ グ ダ ー ド 南 部 を パ ト ロ ー ル し て い た 軍 車 両 2 台 を 標 的 に 路 肩 爆 弾 が 爆 発 、 兵 士 2 名 が 殺 害 さ れ た 。( Army Times, 2013.04.25) 4 月 27 日 、 テ ィ ク リ ー ト 近 く の サ フ ワ に 検 問 所 に 銃 撃 。 ラ マ ー デ ィ で は デ モ 隊 の 近 く で 兵 士 が 乗 っ た 車 が 武 装 勢 力 に 止 め ら れ 銃 撃 戦 が 発 生 、兵 士 1 名 が 死 亡 。政 府 関 係 者 に よ る と 、計 8 名 の 治 安 部 隊 の メ ン バ ー が 死 亡 し た 。イ ラ ク 政 府 は ア ン バ ー ル 県 全 土 に 外 出 禁 止 令 を 敷 い た ( AP, 2013.04.27; Radio Free Europe, 2013.04.28) 4 月 29 日 、自 動 車 爆 弾 5 発 で 25 名 が 死 亡 。う ち 4 件 は 南 部 で 発 生 し た 。ア マ ー ラ の 市 場 で 2 件 の 爆 発 、 13 名 が 死 亡 。 デ ィ ー ワ ー ニ ー ヤ の 市 場 の 爆 発 で は 6 名 死 亡 。 カ ル バ ラ の 商 業 地 区 の 爆 発 で 2 名 死 亡 。バ グ ダ ー ド 南 部 の ス ン ナ 派 地 区 マ フ ム ー デ ィ ー ヤ の 爆 発 で は 4 名 が 死 亡 。( CNN, 2013.04.29) 5 月 1 日 、 イ ラ ク 全 土 で 少 な く と も 22 名 が 死 亡 。 バ グ ダ ー ド 北 部 で は 武 装 勢 力 が 警 察 署 を 攻 撃 、5 名 の 警 察 官 を 殺 害 し て 占 拠 。ア ン バ ー ル 県 で は サ フ ワ を 標 的 に 自 爆 テ ロ が 発 生 、6 名 死 亡 。ベ イ ジ の 路 肩 爆 弾 で 警 察 官 4 名 死 亡 。バ グ ダ ー ド 北 東 部 の シ ー ア 派 地 区 で 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 し て 少 な く と も 3 名 死 亡 。モ ス ル で は 県 議 会 選 挙 候 補 者 が 殺 害 さ れ た 。( AP, Reuters, 2013.05.01) 5 月 3 日 、 全 土 で 16 名 が 死 亡 。 モ ス ル で イ ラ ク 警 察 官 9 名 が 殺 害 。 バ グ ダ ー ド 北 部 の ス ン ナ 派 の モ ス ク の 外 で 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 、 7 名 が 死 亡 。( Press TV, 2013.05.03) 5 月 5 日、3 名が死亡。バグダード西部のモスクで爆弾が爆発し、通行人 1 名が死亡。 バ グ ダ ー ド か ら 30km 南 の マ フ ム ー デ ィ ー ヤ の 市 長 宅 を 武 装 勢 力 が 襲 撃 し 、市 長 と 息 子 を殺害した。 5 月 6 日 、バ グ ダ ー ド の 3 件 の 爆 発 お よ び モ ス ク へ の 手 榴 弾 で 少 な く と も 17 名 が 死 亡 。 狙 わ れ た の は ス ン ナ 派 の モ ス ク 、 シ ー ア 派 地 区 、 警 察 官 が 多 い レ ス ト ラ ン 。 (Reuters, 27/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 2013.05.06) 5 月 7 日 、全 土 で 7 名 が 死 亡 し た 。モ ス ル で は サ ナ ・ マ ス ー リ 県 議 会 議 員 の 車 に 取 り 付 け ら れ た 爆 弾 が 爆 発 し 、運 転 手 が 死 亡 、本 人 は 無 事 だ っ た 。ま た 、モ ス ル で は 武 装 勢 力 が 警 察 官 を 殺 害 。バ グ ダ ー ド で サ イ レ ン サ ー 付 き の 銃 で 2 名 が 殺 害 さ れ た 。フ ァ ッ ル ー ジ ャ で も 武 装 勢 力 に よ り 警 官 1 名 が 殺 害 。バ ァ ク ー バ で は 法 治 国 家 連 合 か ら 先 月 の 県 議 会選挙に立候補していたアリ・オベイディが、同乗の警察官と共に撃たれて死亡した。 ( AP, 2013.05.05; AFP, 2013.05.07) 5 月 8 日 、全 土 で 6 名 が 死 亡 。ア ン バ ー ル 県 で 武 装 勢 力 が 検 問 所 で 警 察 官 3 名 を 銃 撃 し て 殺 害 。係 争 地 で ペ シ ュ メ ル ガ と ク ル ド 政 党 を 狙 っ た テ ロ が あ り 、3 名 が 死 亡 。PUK 事 務 所 を 標 的 に し た 自 動 車 の 自 爆 テ ロ に よ っ て 護 衛 1 名 が 死 亡 。同 じ く キ ル ク ー ク で ペ シ ュ メ ル ガ が 1 名 死 亡 。ト ゥ ズ・フ ル マ ト ゥ で も 自 爆 テ ロ で ペ シ ュ メ ル ガ 1 名 が 死 亡 。ハ ウ ィ ー ジ ャ の 事 件 後 、 ペ シ ュ メ ル ガ が 従 来 の 前 線 よ り 南 進 し て い る 。( CNN, Reuters, 2013.05.08) 5 月 9 日 、モ ス ル で 自 爆 テ ロ が あ り 、ニ ナ ワ 県 知 事 の 顧 問 3 名 が 死 亡 し た 。 ( al-Sumaria TV, 2013.05.09) 5 月 10 日 、 バ グ ダ ー ド の 南 55km の マ ハ ウ ィ ー ル で 、 ス ン ナ 派 モ ス ク で 爆 発 が あ り 、 3 名 が 死 亡 。 西 部 で 軍 の パ ト ロ ー ル を 狙 っ た 爆 発 、 兵 士 1 名 が 死 亡 。( AP, 2013.05.10) 5 月 11 日 、ニ ナ ワ 県 の イ ス マ イ ル・ジ ュ ブ ー リ 大 佐 の 自 宅 が 自 爆 テ ロ に 襲 わ れ 、息 子 、 甥 、義 理 の 姉 妹 の 3 名 殺 害 。本 人 は 不 在 だ っ た 。ま た 、モ ス ル で 小 学 校 教 師 が 撃 た れ て 死 亡 、 路 肩 爆 弾 で 兵 士 2 名 が 死 亡 。 テ ィ ク リ ー ト で は 両 替 商 が 銃 撃 さ れ 死 亡 。( AFP, 2013.05.11) 5 月 12 日 、 全 土 で の 死 者 は 19 名 に 上 っ た 。 バ グ ダ ー ド の ク ル ド 人 地 区 で 武 装 勢 力 が 4 名 の 女 性 を 殺 害 。バ グ ダ ー ド の 北 30km の ミ シ ャ フ ダ で 、屋 外 野 菜 市 場 で 武 装 勢 力 が 発 砲 、民 間 人 3 名 が 死 亡 。バ グ ダ ー ド 北 部 で も 警 察 官 1 名 が 銃 撃 さ れ 殺 害 。バ ス ラ で は バ ス ラ 県 議 会 議 員 ア リ・フ セ イ ン が 銃 撃 さ れ 死 亡 。モ ス ル で は 9 日 前 に 誘 拐 さ れ て い た 5 名 の 遺 体 が 発 見 さ れ た 。( Shafaq News, AP, al-Jazeera, 2013.05.12) 5 月 13 日 、 モ ス ル 南 部 で 警 察 官 2 名 と 民 間 人 1 名 が 路 肩 爆 弾 で 殺 害 さ れ た 。 キ ル ク ー ク の 西 35km の リ ヤ ー ド 地 区 で は 、 地 元 議 会 の 議 員 2 名 が マ シ ン ガ ン で 襲 わ れ 、 1 名 が 死 亡 し た 。ラ マ ー デ ィ の 検 問 所 で 自 爆 テ ロ が 発 生 し 、兵 士 3 名 が 死 亡 し た 。 ( AP, NINA, 2013.05.13) 5 月 14 日 、 バ グ ダ ー ド 東 部 の シ ー ア 派 が 多 い ザ ヨ ナ 地 区 で 、 武 装 勢 力 が サ イ レ ン サ ー 付 き の 銃 で 酒 屋 9 軒 を 襲 い 、 12 名 を 殺 害 し た 。 9 名 は 客 、 3 名 は 酒 屋 の オ ー ナ だ っ た 。 ( al-Jazeera, 2013.05.14) 5 月 15 日 、全 土 で 少 な く と も 38 名 が 死 亡 。カ デ ィ ミ ー ヤ や サ ド ル シ テ ィ な ど バ グ ダ ー ド の シ ー ア 派 地 区 で 14 名 が 死 亡 。 サ ド ル シ テ ィ で は 7 名 の 被 害 者 。 さ ら に 、 キ ル ク ー ク で は 政 府 庁 舎 近 く で 2 台 の 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 し 、 10 名 が 死 亡 。 バ グ ダ ー ド 北 部 の タ ル ミ ヤ で は バ イ ク に 乗 っ た 自 爆 犯 が 警 察 の 検 問 所 を 攻 撃 、警 察 官 1 名 が 死 亡 。 ( al-Jazeera, 2013.05.15) 5 月 16 日 、全 土 で 25 名 が 死 亡 。バ グ ダ ー ド の シ ー ア 派 地 区 で 複 数 の 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 し て 少 な く と も 12 名 が 死 亡 、さ ら に 他 の 事 件 で 13 名 が 死 亡 し た 。朝 の ラ ッ シ ュ ア ワ ー 28/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 に 自 動 車 爆 弾 が サ ド ル シ テ ィ の バ ス 停 で 爆 発 し た 。ま た 、モ ス ル で は 自 爆 犯 が 軍 の 検 問 所 に 突 っ 込 ん で 兵 士 2 名 を 殺 害 。( VOA, AP, 2013.05.16) 5 月 17 日 、 モ ス ク 、 葬 儀 、 繁 華 街 な ど が 狙 わ れ て 全 土 で 少 な く と も 70 名 が 死 亡 し た 。 バ ァ ク ー バ の ス ン ナ 派 の モ ス ク で 爆 弾 2 発 が 爆 発 、 少 な く と も 43 名 が 死 亡 。 バ グ ダ ー ド の ア ー マ リ ー ヤ 地 区 の 繁 華 街 で は 2 つ の 路 肩 爆 弾 で 19 名 が 死 亡 。 バ グ ダ ー ド 南 部 の 葬 儀 で は 路 肩 爆 弾 で 8 名 死 亡 。 フ ァ ッ ル ー ジ ャ の カ フ ェ へ の 爆 弾 で 4 名 死 亡 。( Los Angels Times, 2013.05.17) 5 月 18 日 、サ フ ワ の 4 名 が フ ァ ッ ル ー ジ ャ の 東 9k m の 町 で 武 装 勢 力 に 襲 わ れ て 殺 害 さ れ た 。バ グ ダ ー ド 南 部 の ラ ー テ ィ フ ィ ー ヤ で は 自 動 車 爆 弾 で 5 名 が 死 亡 。ま た 、ラ マ ー デ ィ 近 く の 警 察 官 9 名 が 誘 拐 さ れ た 。 ア ン バ ー ル 県 で は 警 察 官 10 名 が 誘 拐 さ れ た 。 2 日 後 に 、 遺 体 が 処 刑 さ れ た 形 で 見 つ か っ た 。( Reuters, Shafaq News, 2013.05.18) 5 月 19 日 、 ア ン バ ー ル 県 の ラ ワ 地 区 で 警 察 署 が 襲 撃 さ れ 、 警 察 官 14 名 と 武 装 勢 力 18 名 が 死 亡 。 そ の 他 負 傷 者 が 双 方 あ わ せ て 16 名 。( Shafaq, 2013.05.20) 5 月 20 日 、全 土 で 数 十 の 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 し 、少 な く と も 95 名 が 死 亡 し た 。バ グ ダ ー ド で は 10 件 の 自 動 さ 車 爆 弾 爆 発 が あ り 、少 な く と も 48 名 が 死 亡 。バ ス ラ で は 2 件 に 自 動 車 爆 弾 の 爆 発 が あ り 、8 名 が 死 亡 。バ ラ ド で は 、イ ラ ン 人 巡 礼 者 が 乗 っ た バ ス の 横 で 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 、13 名 が 死 亡 。バ ス ラ で は 自 動 車 爆 弾 2 発 に よ り 少 な く と も 13 名 死 亡 。サ ー マ ッ ラ で は サ フ ワ 3 名 が 自 動 車 爆 弾 で 死 亡 、ア ン バ ー ル 県 西 部 で は 武 装 勢 力 が 警 官 を 襲 撃 し 、 警 官 8 名 が 死 亡 。( Shafaq News, AP, 2013.05.20) 5 月 21 日 、 全 土 で 40 名 以 上 が 死 亡 し た 。 バ グ ダ ー ド の 北 50km の タ ル ミ ヤ で 、 自 爆 犯 が 軍 の 検 問 所 を 攻 撃 し 、兵 士 3 名 が 死 亡 。ト ゥ ズ・フ ル マ ト ゥ で は 2 台 の 駐 車 中 の 自 動 車 は 同 時 に 爆 発 、民 間 人 3 名 が 死 亡 。キ ル ク ー ク で は 羊 市 場 で 爆 弾 3 発 が 爆 発 、1 名 が 死 亡 し た 。 ア ブ ・ グ レ イ ブ の ス ン ナ 派 モ ス ク で は 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 、 11 名 が 死 亡 。 ド ー ラ 地 区 で は カ フ ェ の 外 で 爆 弾 が 爆 発 、 6 名 が 死 亡 。( AP, Reuters, 2013.05.21) 5 月 23 日 、全 土 で 11 名 が 死 亡 。武 装 勢 力 が タ ー ジ の 検 問 所 を 襲 っ て 兵 士 4 名 を 殺 害 し た 。ニ ュ ー・バ ァ ク ー バ で は 市 場 の 路 肩 の 爆 弾 で 4 名 が 死 亡 し 、武 装 勢 力 が 警 官 2 名 を 殺 害 し た 。( AFP, 2013.05.23) 5 月 25 日 、 ア ン バ ー ル 県 ヒ ー ト で 軍 の 車 列 が 路 肩 爆 弾 に 爆 発 し 、 中 佐 を 含 む 兵 士 5 名 が 死 亡 。ま た 、バ ラ ド か ら サ ー マ ッ ラ へ 向 か う イ ラ ン 人 巡 礼 者 の バ ス を 狙 っ た 自 動 車 爆 弾 で 5 名 が 死 亡 し た 。( AFP, 2013.05.25) 5 月 26 日 、全 土 で 攻 撃 が 相 次 ぎ 少 な く と も 14 名 が 死 亡 し た 。最 悪 の も の は モ ス ル で お こ っ た 自 動 車 爆 弾 で 、警 察 と 軍 隊 が 家 宅 捜 索 し て い る と こ ろ で 爆 発 し た 。兵 士 1 名 と 警 察 官 3 名 が 死 亡 。ま た 、モ ス ル の 中 心 街 で は 警 察 官 1 名 が 撃 た れ て 死 亡 。バ グ ダ ー ド の カ ー ズ ィ ミ ー ヤ で は 武 装 勢 力 が 自 動 車 か ら 無 差 別 に 発 砲 し 市 民 3 名 が 死 亡 し た 。ア ン バ ー ル 県 で は 路 肩 爆 弾 で 兵 士 3 名 が 死 亡 、 な ど 。( AP, 2013.05.26) 5 月 27 日 、全 土 で 少 な く と も 66 名 が 殺 害 さ れ た 。主 と し て バ グ ダ ー ド の シ ー ア 派 エ リ ア で 自 動 車 爆 弾 が 相 次 い だ 。サ ド ル シ テ ィ の 境 、ハ ビ ー ビ ー ヤ 地 区 東 で 2 発 の 爆 弾 が 爆 発 し 、 12 名 が 死 亡 。 マ ー リ フ 地 区 で は オ ー プ ン エ ア の 市 場 へ の 爆 弾 2 発 で 6 名 死 亡 。 ま た 、サ ァ ド ゥ ー ン 通 り の 商 業 地 区 の 自 動 車 爆 弾 で は 5 名 が 死 亡 。他 に も バ グ ダ ー ド の 6 ヵ 所 ほ ど で 爆 弾 事 件 が 起 こ っ た 。( AP, 2013.05.27) 29/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 5 月 28 日 、爆 弾 テ ロ や 銃 撃 事 件 が 発 生 し 、少 な く と も 45 人 が 死 亡 。サ ド ル シ テ ィ で 通 勤 時 間 の バ ス の 中 で 爆 弾 が 爆 発 、5 名 が 死 亡 。バ グ ダ ー ド 北 部 の シ ャ ア ブ 地 区 で は 爆 弾 で 2 名 死 亡 。ド ー ラ 地 区 で は 別 の 爆 弾 で 1 名 死 亡 。タ ル ミ ヤ 地 区 で は 爆 弾 を 積 ん だ 車 が 警 察 の 検 問 所 で 爆 発 、警 察 官 と 民 間 人 を 各 1 名 殺 害 。モ ス ル で は 警 察 と 武 装 勢 力 の 銃 撃 戦 で 警 察 官 3 名 死 亡 。 モ ス ル 南 部 で は 爆 弾 と 自 爆 テ ロ で 兵 士 各 1 名 が 死 亡 。( AP, 2013.05.28; 外 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト , 2013.05.31) 5 月 29 日 、バ グ ダ ー ド の 二 ヵ 所 で 爆 弾 が 爆 発 、少 な く と も 30 名 が 死 亡 し た 。う ち 1 ヵ 所 の 被 害 者 18 名 の う ち 、多 く は 結 婚 披 露 宴 パ ー テ ィ の 出 席 者 だ っ た 。 ( AP, 2013.05.29) 5 月 30 日 、バ グ ダ ー ド 市 内 及 び ニ ナ ワ 県 モ ス ル 等 に お い て 10 件 以 上 の 自 動 車 爆 弾 テ ロ 等 が 発 生 し , 少 な く と も 32 人 が 死 亡 。( 外 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト , 2013.05.31) 6 月 2 日 、シ リ ア ・ バ グ ダ ー ド 間 の ハ イ ウ ェ イ に あ る ル ト ゥ バ 近 く で 、シ リ ア 人 ト ラ ッ ク 運 転 手 3 名 が 殺 害 さ れ た 。武 装 勢 力 は 射 殺 後 、積 み 荷 を 燃 や し た 。ま た 同 地 区 で は こ の 日 、 イ ラ ク 人 4 名 が 誘 拐 。( AP, 2013.06.02) 6 月 5 日 、 ア ン バ ー ル と カ ル バ ラ の 間 で 武 装 勢 力 が バ ス を 襲 撃 し て 乗 客 15 名 ( 地 元 警 察 10 名 、 住 民 5 名 ) を 射 殺 。( Reuters, 2013.06.05) 6 月 6 日、バグダード南東の家畜市場で駐車中の自動車が爆発し、民間人 4 名が死亡。 ま た 、 南 西 の 工 業 地 区 で 2 発 目 の 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 し 、 3 名 死 亡 。( AP, 2013.06.06) 6 月 7 日 、ム ク ダ ー デ ィ ー ヤ で ナ ジ ャ フ に 向 か っ て い た イ ラ ン 人 巡 礼 者 の バ ス を 標 的 に 、 自 動 車 に よ る 自 爆 テ ロ が 行 わ れ 、 巡 礼 者 11 名 が 死 亡 。 ま た 、 フ ァ ッ ル ー ジ ャ と ラ マ ー デ ィ の 間 の 検 問 所 で 自 動 車 爆 弾 2 発 が 爆 発 、警 察 官 4 名 と 民 間 人 4 名 が 死 亡 。 ( Express, 2013.06.07) 6 月 8 日、バグダード南東のシーア派地区で自動車爆弾が爆発、4 名死亡。モスルでは 警 察 官 の コ ン ボ イ に 自 動 車 爆 弾 の 攻 撃 が あ り 、 警 察 官 1 名 死 亡 。( AP, 2013.06.08; AFP, 2013.06.09) 6 月 9 日 、ワ リ ー ド 検 問 所 で 、シ リ ア 側 か ら の 発 砲 で 国 境 警 備 員 2 名 が 死 亡 。内 務 勝 は 5 月 27 日 、 密 輸 と 武 装 勢 力 の 流 入 を 防 ぐ た め に イ ラ ク ・ シ リ ア 国 境 間 に 堀 を 完 成 さ せ た と 発 表 し て い た 。( Shafaq, 2013.06.09) 6 月 9 日 、バ グ ダ ー ド の カ ー ズ ィ ミ ー ヤ 地 区 で 警 察 署 を 襲 撃 し よ う と し た 車 に 警 察 官 が 発 砲 、 そ の 際 車 載 爆 弾 が 爆 発 し て 警 察 官 と 民 間 人 含 め 26 名 が 死 亡 し た 。 周 辺 の 建 物 に も 被 害 。( PUK Media, 2013.06.09) 6 月 10 日 、全 土 で の 死 者 は 70 名 に 上 っ た 。ほ と ん ど が イ ラ ク 北 部 。デ ィ ヤ ー ラ 県 バ ァ ク ー バ 郊 外 の 野 菜 市 場 で 駐 車 中 の 自 動 車 3 台 が 同 時 に 爆 発 、 15 名 が 死 亡 。 タ ー ジ 郊 外 の魚市場でも自動車爆弾で 7 名死亡。トゥズ・フルマトゥでは自動車爆弾で 3 名死亡。 モ ス ル で は 自 動 車 爆 弾 5 台 が 爆 発 し て 少 な く と も 24 名 が 死 亡 。 う ち 4 台 は そ れ ぞ れ 検 問 所 に 突 っ 込 ん で 自 爆 、1 台 は 爆 弾 処 理 班 が 作 業 中 に 爆 発 し た 。バ グ ダ ー ド 南 東 20m の マ ダ イ ン で 自 爆 犯 は 自 動 車 で 検 問 所 を 襲 撃 、兵 士 4 名 が 死 亡 。サ ド ル シ テ ィ カ フ ェ の 近 く で 爆 弾 が 爆 発 し て 4 名 死 亡 。( Reuters, AP, 2013.06.10) 6 月 11 日 、モ ス ル の 複 数 の 路 肩 爆 弾 で 、兵 士 2 名 と 警 官 1 名 が 死 亡 。 ( AFP, 2013.06.11) 6 月 12 日 、 ニ ナ ワ 県 の ダ ア ワ 党 フ ォ ロ ー ア ッ プ 員 会 委 員 長 の ハ リ ー ル ・ ス ィ ヤ ブ が 運 転 中 に 撃 た れ て 死 亡 。( NINA, 2013.06.12) 30/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 6 月 15 日 、 キ ャ ン プ ・ リ バ テ ィ に ミ サ イ ル が 撃 ち 込 ま れ MKO の メ ン バ ー 2 名 が 死 亡 、 30 名 が 負 傷 し た 。 攻 撃 は 過 去 数 ヶ 月 間 で 3 回 目 。 17 日 に 、 ム フ タ ー ル 軍 が 犯 行 声 明 を 出 し た 。2 月 9 日 の 攻 撃 の 時 に も 犯 行 を 認 め て い た 。同 軍 の リ ー ダ で あ る ワ シ ー ク・ バ ッ タ ー ト は イ ラ ク の ヒ ズ ボ ラ の 高 官 だ っ た 。イ ラ ン の 支 援 を 受 け て い る と 言 わ れ て い る 。 彼 は 、ヒ ズ ボ ラ 旅 団 が 彼 の グ ル ー プ か ら 離 脱 し た と し て い る が 、ヒ ズ ボ ラ と の 現 在 の 関 係 は 不 明 。( NINA, 2013.06.15; AP, 2013.06.17) 6 月 16 日 、爆 弾 事 件 と 銃 撃 に よ っ て 、全 土 で 少 な く と も 51 名 が 死 亡 し た 。バ グ ダ ー ド 南 東 部 の シ ー ア 派 地 区 で あ る ア ミ ー ン で 若 者 が 集 う カ フ ェ に 中 で 自 爆 テ ロ が 発 生 、 11 名 が 死 亡 し た 。朝 に は ク ー ト の 工 業 地 区 で 駐 車 中 の 自 動 車 が 爆 発 、6 名 死 亡 、続 い て 市 郊 外 で 起 こ っ た 自 動 車 爆 弾 で も 建 設 現 場 の 労 働 者 が 狙 わ れ 5 名 が 死 亡 。バ ス ラ で は 繁 華 街で自動車爆弾が 2 発爆発、6 名死亡。1 時間後にはナーシリーヤで自動車爆弾が 2 発 爆 発 し 、2 名 死 亡 。ナ ジ ャ フ で は 市 場 で 爆 発 が 起 こ り 8 名 死 亡 。さ ら に 、ヒ ッ ラ 、マ フ ム ー デ ィ ー ヤ 、マ ダ イ ン な ど の 南 部 で も 爆 発 事 件 が 発 生 し 、計 7 名 の 死 者 。北 部 で は ト ゥ ズ・フ ル マ ト ゥ で 路 肩 抱 く 版 が 爆 発 、警 官 2 名 が 死 亡 。モ ス ル で は パ イ プ ラ イ ン を 警 護 し て い た 警 察 官 が 武 装 勢 力 に 撃 た れ て 4 名 死 亡 。( AP, 2013.06.16) 6 月 17 日 、 全 土 で 17 名 が 死 亡 。 タ ー ジ の レ ス ト ラ ン で 爆 弾 が 爆 発 、 8 名 が 死 亡 。 う ち 女 性 2 名 と 12 歳 の 子 供 を 含 む 。 ま た 、 タ ー ジ で は ミ ニ バ ス に 仕 掛 け ら れ た 爆 弾 で 通 勤 客 2 名 が 死 亡 。フ ァ ル ー ジ ャ で は 議 会 選 挙 の 事 前 投 票 に 向 か っ て い た 警 察 官 を 狙 っ た 自 爆 テ ロ が 発 生 し 、 警 官 5 名 が 死 亡 。( AP, 2013.06.17) 6 月 18 日 、バ グ ダ ー ド で シ ー ア 派 モ ス ク を 狙 っ た 2 件 の 自 爆 テ ロ が あ り 、26 名 が 死 亡 。 犠 牲 者 の 多 く は イ マ ー ム ・ サ ー デ ィ ク ・ イ ス ラ ー ム 研 究 大 学 の 学 生 だ っ た 。( AP, 2013.06.18) 6 月 19 日 、ニ ナ ワ 県 で 県 議 会 選 挙 候 補 者 だ っ た United Iraq party の ユ ー ニ ス・ラ マ ー フ 代 表 が 親 戚 4 名 と 共 に 自 爆 テ ロ で 死 亡 し た 。( AP, AFP, 2013.06.19) 6 月 22 日 、全 土 で 30 名 以 上 が 死 亡 。バ グ ダ ー ド 北 部 の タ ー ジ 近 く の シ ー ア 派 モ ス ク で 自 爆 テ ロ が 発 生 し 、12 名 が 死 亡 。モ ス ル で は 警 察 官 の 検 問 所 へ の 自 爆 攻 撃 で 4 名 死 亡 。 ア ン バ ー ル 県 で は 検 問 所 へ の 自 動 車 爆 弾 と 迫 撃 砲 で 警 察 官 5 名 が 死 亡 。( Reuters, 2013.06.22) 6 月 23 日 、自 爆 テ ロ と 銃 撃 で 11 名 が 死 亡 。ハ ウ ィ ー ジ ャ 近 く の 警 察 署 に 武 装 勢 力 が 銃 撃 、そ の 後 自 爆 、さ ら に 自 動 車 を 使 っ た 自 爆 テ ロ と 続 き 、警 察 官 3 名 が 死 亡 。ト ゥ ズ ・ フ ル マ ト ゥ で は 駐 車 中 の 2 台 の 車 が 早 朝 爆 発 し 、民 間 人 1 名 が 死 亡 。バ グ ダ ー ド 中 心 部 で は 迫 撃 砲 に よ り 民 間 人 3 名 が 死 亡 。バ グ ダ ー ド の カ ー ヒ ラ 地 区 で は 武 装 勢 力 が サ イ レ ン サ ー 付 き の 銃 で 通 り の 人 々 4 名 を 射 殺 し た 。( AP, 2013.06.23) 6 月 24 日 、少 な く と も 全 土 で 42 名 の 死 者 。最 大 の も の は バ グ ダ ー ド の シ ー ア 派 が 多 い フ セ イ ニ ー ヤ 地 区 で 爆 弾 2 発 が 連 続 し て 爆 発 、 10 名 が 死 亡 し た 事 件 。 バ グ ダ ー ド 西 部 の 混 住 地 域 で あ る ジ ハ ー ド 地 区 で は 自 動 車 爆 弾 2 発 が 爆 発 、9 名 が 死 亡 。同 様 に シ ー ア 派 が 多 い シ ュ ル タ ・ ラ ビ ー ア 地 区 で も 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 、4 名 死 亡 。シ ー ア 派 が 多 い カ ッ ラ ー ダ 地 区 の ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト 付 近 で 爆 発 し た 自 動 車 爆 弾 で 5 名 が 死 亡 。郊 外 の ナ フ ラ ワ ン の 野 外 市 場 で 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 、民 間 人 4 名 死 亡 。ニ ュ ー・バ グ ダ ー ド 地 区 の 市場でも自動車爆弾により 3 名死亡、その数分後、同地区バス停で自動車爆弾が爆発、 31/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 2 名死亡。バグダード南東のシーア派・キリスト教徒地区で自動車爆弾、2 名死亡。内 務 省 の サ ア ド・マ ア ン 報 道 官 は 、ア ル・カ ー イ ダ は 治 安 部 隊 と の 直 接 対 決 を 避 け て 民 間 人 を 標 的 に 選 ん で い る と コ メ ン ト し た 。モ ス ル で は 自 動 車 の 自 爆 テ ロ が 軍 の パ ト ロ ー ル を 襲 い 、兵 士 と 警 官 各 1 名 が 死 亡 。さ ら に テ ィ ク リ ー ト で は 大 学 キ ャ ン パ ス 内 で 自 爆 テ ロ が 発 生 、 警 官 1 名 が 死 亡 。( AAP, 2013.06.25) 6 月 25 日 、主 と し て デ モ 隊 や 巡 礼 者 を 狙 っ た テ ロ で 17 名 が 死 亡 。ト ゥ ズ・ フ ル マ ト ゥ で シ ー ア 派 ト ル コ マ ン の デ モ 隊 の テ ン ト の 中 で 2 人 が 自 爆 、 11 名 が 死 亡 し た 。 そ の 中 に は 旧 市 議 会 議 員 、旧 副 市 長 と 2 人 の 息 子 も 含 ま れ て い る 。ま た 、カ ル バ ラ へ 向 か う 巡 礼 者 の ミ ニ バ ス に 取 り 付 け ら れ た 爆 弾 が 爆 発 し 、 3 名 が 死 亡 。 第 12 イ マ ー ム の 誕 生 を 祝 う シ ャ バ ニ ー ヤ の た め に カ ル バ ラ に 向 か っ て い た 。バ グ ダ ー ド で も 車 に 取 り 付 け ら れ た 爆 弾 が 爆 発 し て 3 名 が 死 亡 。( AFP, 2013.06.26) 6 月 28 日 、全 土 で 22 名 の 死 者 が 発 生 し た 。ラ マ ー デ ィ で パ ト カ ー が 爆 発 し て 少 な く と も 10 名 が 死 亡 。 バ グ ダ ー ド 南 東 30km の マ ダ イ ン 地 区 の サ ッ カ ー 場 で 爆 弾 2 発 が 爆 発 し 、プ レ ー ヤ 5 名 が 死 亡 。ド ゥ ジ ェ イ ル で は 葬 式 で 自 爆 テ ロ が あ り 少 な く と も 4 名 が 死 亡 。( Reuters, 2013.06.28) 6 月 30 日 、 全 土 で 爆 破 事 件 が 相 次 ぎ 15 名 が 死 亡 。 バ グ ダ ー ド 、 モ ス ル 、 シ ャ ル カ ト 、 ヒ ッ ラ な ど で 発 生 。バ グ ダ ー ド 南 東 の ナ フ ラ ワ ン 地 区 で は 午 後 7 時 に サ ッ カ ー 場 で 爆 弾 が 爆 発 し 、 少 年 ら 9 名 が 死 亡 。( AFP, 2013.06.30) 1.2.9. 治 安 部 隊 ・ 司 法 関 連 1.2.9.1. アル・カーイダの幹部 4 名を死刑 ISI の リ ー ダ で あ る Manaf Abdul-Raheem Abdul-Hameed al-Rawi を 含 む 4 名 の 死 刑 が 4 月 1 日 に 実 行 さ れ た 。( CNN, 2013.04.01) 1.2.9.2. 21 名 の 死 刑 執 行 4 月 7 日 、 イ ラ ク 政 府 は テ ロ 関 係 容 疑 で 7 名 の 死 刑 を 執 行 し た 。 そ の 後 16 日 に は 、 21 名の死刑を執行した。司法省幹部が明らかにした。全員イラク人男性で、反テロ法違反の 容 疑 で 死 刑 判 決 を 受 け て い た 。今 年 に は い っ て か ら 死 刑 の 執 行 は 50 名 に 達 し た 。シ ャ ン マ リ 司 法 相 に よ る と 2012 年 は 129 名 の 死 刑 が 執 行 さ れ た 。( AFP, 2013.04.16) 1.2.9.3. イッザト・ドゥーリの捜索 イ ラ ク 軍 関 係 者 は 4 月 18 日 、テ ィ ク リ ー ト で 軍 が ド ゥ ー リ 元 革 命 評 議 会 副 議 長 の 捜 索 を 行 っ た こ と を 明 ら か に し た 。 逮 捕 に は 至 ら な か っ た 。( Shafaq News, 2013.04.18) 1.2.9.4. ニナワ県知事は連邦政府治安部隊との協力関係再開に合意 ヌジャイフィ・ニナワ県知事は 5 月 9 日、県と治安部隊の間で、地元の治安維持に関し て合意に達したと発表した。地元警察が治安を担い、治安が安定するまで連邦警察と軍が 支援するという。将来的には地元警察のみが完全に治安維持を担うと述べたモスル市内の 夜間外出禁止時間の短縮、県において地元警察により大きな役割を与えること、治安部隊 が政治問題に介入せず、市民が法と憲法の枠内で権利を行使することを許可すること、に 32/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 治安部隊のリーダと合意したと県知事は語った。 陸軍のアリ・ギラン中将はモスルを訪問した際、ニナワ県で治安部隊と協力していない と地元政府を批判していた。協力間関係の欠如が治安の安定と復興の実施にネガティブな 影 響 を 与 え て い る と 述 べ た 。ま た 、知 事 も 3 月 31 日 に 、治 安 部 隊 の 行 動 は プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナリズムを欠いているとして地元民への対応をかえ、モスルからの撤退の決定を遵守する よ う 求 め て い た 。( al-Sumaria TV, 2013.05.09; Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2013.05.14) 1.2.9.5. 治安対策にキルクーク周辺に溝を構築 キ ル ク ー ク 県 議 会 の ア フ マ ド・ア ス カ リ 治 安 委 員 会 委 員 長 は 5 月 22 日 、テ ロ リ ス ト の 侵 入を防ぐため、キルクークを囲むように溝を掘る作業が 2 日前から始まったと明らかにし た 。 総 工 費 は 35 億 ID、 幅 3m、 深 さ 2m、 長 さ 52km と な る 。( PUK media, 2013.05.22) 1.2.9.6. マーリキ首相が治安担当者の入れ替えを指示 5 月 21 日 、マ ー リ キ 首 相 は 治 安 悪 化 を 受 け て 、作 戦 司 令 部 や 師 団 長 ら の 変 更 を 指 示 し た 。 バグダード作戦司令部のトップ、アフマド・ハーシム中将が解任された。テロ事件が相次 いでいる状況を受けて、マーリキ首相は「テロリストの狙いは、イラクを宗派対立に陥ら せ る こ と だ 」と 述 べ て 、宗 派 、党 派 に か か わ ら ず 武 装 グ ル ー プ を 取 り 締 ま る と 語 っ た 。 ( AFP, 2013.05.22; AP, 2013.05.28) 1.2.9.7. AAHは 偽 検 問 所 の 設 置 と の 関 連 を 否 定 ア サ ー イ ブ ・ ア フ ル ・ ア ル ハ ッ ク ( AAH) は 最 近 バ グ ダ ー ド で 複 数 、 偽 の チ ェ ッ ク ポ イ ン ト が あ ら わ れ 市 民 を 拉 致 殺 害 し て い る 件 に つ い て 、関 与 を 否 定 し た 。AAH の ナ ー イ ム ・ ア ブ ッ デ ィ は 、「 占 領 終 結 後 は 政 治 活 動 に 向 か っ て い る 」 と 語 っ た 。( NINA, 2013.05.26) 1.2.9.8. ペシュメルガがキルクークへ 4 月 26 日 夜 、ペ シ ュ メ ル ガ 第 一 旅 団 が キ ル ク ー ク 郊 外 の 戦 略 エ リ ア 、市 の 西 部 か ら 南 部 へ集中的に展開した。ペシュメルガもイラク軍もこれを確認済みである。 ク バ ト KRG 調 整 担 当 相 は 、 ハ ウ ィ ー ジ ャ 事 件 後 、 重 要 な エ リ ア が 手 薄 に な り テ ロ リ ス トの侵入に無防備になっていたため、そうせざるを得なかったと説明した。ナジュムッデ ィーン・カリーム・キルクーク県知事によると、ペシュメルガがハウィージャの町を取り 囲んでおり、キルクーク市に衝突が飛び火するのをふせぐため、市のまわりに配置されて い る と い う 。 キ ル ク ー ク 周 辺 に 4000 名 が 展 開 し て い る 。 ペ シ ュ メ ル ガ は KRG 大 統 領 の 命 によって動員されており、撤退させられるのは大統領だけだと県知事は語った。 他方、イラク軍高官は、ペシュメルガがハウィージャで起こったことを利用して短期間 に新しい場所に展開しており、これはハウィージャで起こったことより危険なことだと警 告 し た 。デ ィ ジ ュ ラ 作 戦 司 令 部 は 、タ ス ク フ ォ ー ス 12 の 全 て の 連 隊 に 、キ ル ク ー ク 市 内 に ペシュメルガを入れないよう、命じた。同司令部のオフィサーによると、兵士はあらゆる 兵器でペシュメルガの進軍に対して攻撃する権限を与えられているという。ペシュメルガ の関係者によると、両軍の距離はこれまでになく近くなっている。 ペシュメルガ省のジャッバール・ヤーウィル報道官によると、イラク軍のうちディヤー ラ の タ ス ク フ ォ ー ス 5、 サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン の 同 4、 キ ル ク ー ク ・ ニ ナ ワ の 同 12 に つ い て 33/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 は、特に夜になると武装勢力の襲撃を恐れて兵舎や基地を離れる者が多く、キルクーク県 知事と相談してペシュメルガが治安の真空をうめるべく特にキルクーク市周辺に展開した。 ペ シ ュ メ ル ガ 省 関 係 者 は 、 ジ ャ ァ フ ァ ル ・ ム ス タ フ ァ ・ ア リ ・ ペ シ ュ メ ル ガ 相 が 4 月 29 日にキルクークを訪れて拡大したペシュメルガ支配地域の視察を行っており、おそらく撤 退 す る こ と は な い だ ろ う と 述 べ た 。市 の 郊 外 だ け で な く 、南 部・南 西 部 の 、テ ィ ク リ ー ト 、 ハウィージャ、モスルへ至る主要道路のダクーク、リヤードの検問所もペシュメルガがコ ン ト ロ ー ル し て い る 。 イ ラ ク 軍 に よ る と 4 月 26 日 以 来 の ペ シ ュ メ ル ガ の 動 員 規 模 は 5000 人という。 連 邦 政 府 の 石 油 警 察 に よ る と 、こ の 進 軍 に よ り 、NOC に 所 属 す る 石 油 設 備 に ペ シ ュ メ ル ガ が 接 近 し て い る 。 ペ シ ュ メ ル ガ は キ ル ク ー ク の 西 部 、 市 と Baba Gurgur の 間 に い る と い う。また、大規模な分遣隊がキルク―西部のガス分離装置の隣に展開している。キルクー ク の 北 西 、 Babagurgur や Top Zawa の NOC 本 部 近 く ま で 迫 っ た が 、 テ ン ト や 野 外 炊 事 施 設 を装備していない状況からすると、動員はそう長く続かないものだろう、とワシントン近 東研究所のマイケル・ナイトは分析している。 イラク陸軍のアリ・ギダン司令官は、ペシュメルガの展開は違法で連邦政府との合意に 反 し て い る と 反 対 し て い る 。フ セ イ ン・サ ー リ フ・ハ ウ ィ ー ジ ャ 市 議 会 議 長 は 、 「我々はク ルド軍に、キルクーク内外のクルド人を守るという口実でハウィージャの出来事に関与し な い よ う 求 め た 。 ハ ウ ィ ー ジ ャ に ク ル ド 軍 は 必 要 な い 」 と 語 っ た 。( Iraq Oil Report, 2013.04.30; Rudaw, 2013.05.01; MEES, 2013.05.03) 1.2.9.9. 政府はペシュメルガに係争地からの撤退を求める 内務相は 6 月 5 日、ペシュメルガに対して「中央政府の管轄下にある」として、スレイ マン・ベクやトゥズ・フルマトゥ、キルクークから撤退するよう求めた。憲法では係争地 の 治 安 維 持 は 中 央 政 府 の 責 任 だ と し て い る 。( Middle East Online, 2013.06.06) 1.2.9.10. 自 動 車 爆 弾 が 多 発 す る 背 景 5 月 だ け で 34 台 の 自 動 車 爆 弾 が 爆 発 し た 。イ ラ ク 戦 争 後 、大 量 に 流 入 し た 自 動 車 に 対 し て書類が追いつかず、それまでの白のナンバープレートにかわって、黒の仮ナンバープレ ートが導入された。暫定措置だったがその後何年も続くことになった。登録データベース の立ち上げが遅れ、車の売り主と買い主は暫定システムのもとでは所有権を完全に移転で きず、裁判所発行の公正証書で対応することになった。その結果、新車は登録が行われた も の の 、お よ そ 60 万 台 の 仮 ナ ン バ ー の 所 有 者 を 示 す デ ー タ ベ ー ス が 存 在 し な い 状 況 に な り 、 多くは何度も売り買いされている。自動車爆弾に使われるのがこの黒ナンバーの車だが、 ナ ン バ ー か ら 所 有 者 を 正 確 に 特 定 す る の が 困 難 に な っ て い る 。( AFP, 2013.06.09) 1.2.9.11. 第 16 旅 団 か ら ク ル ド 人 が 大 量 離 脱 第 16 旅 団 は 2008 年 か ら ア ラ ブ 人 と ク ル ド 人 が 半 々 で 係 争 地 の 治 安 維 持 に あ た っ て い た が 、今 や 2 つ に 分 解 し た 。ク ル ド 人 兵 士 1200 名 以 上 は 、バ グ ダ ー ド か ら の 命 令 を 受 け る の を や め 、 KRG が 彼 ら を 正 式 に 併 合 し よ う と し て い る 。 第 16 旅 団 は ト ゥ ズ ・ フ ル マ ト ゥ に 駐 留 し て い る 。同 地 区 は 昨 年 11 月 の ペ シ ュ メ ル ガ と イ ラ ク 治 安 部 隊 と の 抗 争 以 来 、数 千 の 兵が前線に配置されてにらみ合っていたが、4 月後半にスンナ派のデモ隊と治安部隊との 34/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 衝突が始まると、イラク軍はクルドとの前線から兵を動かし始めた。キルクーク南部や市 の入り口などでは兵が検問所を蜂起したため、クルドは即それらを占領した。 5 月 7 日 に イ ラ ク 軍 は 第 16 旅 団 の 司 令 官 を ク ル ド 人 の バ フ テ ィ ヤ ル・ム ハ ン マ ド・シ デ ィークからシーア派アラブ人に変更し、トゥズ・フルマトゥから撤退するよう命じた。シ ディークは交代を拒否し部下に留まるよう命じた。まもなく、国防省は離脱兵の給与や物 資供給を止めた。 6 月 1 日 以 降 、 ペ シ ュ メ ル ガ が 彼 ら に 燃 料 や そ の 他 の 物 資 を 供 給 し て い る 。 KRG は 兵 士 の 給 与 支 払 い も 申 し 出 た 。6 月 5 日 、( デ ィ ジ ュ ラ 作 戦 司 令 部 司 令 官 の )ア ブ ド ゥ ル ・ ア ミ ー ル・ザ イ デ ィ が 複 数 の 部 隊 を ト ゥ ズ・フ ル マ ト ゥ に 展 開 さ せ 、第 16 旅 団 と 緊 張 が 高 ま っ た が 、最 終 的 に ク ル ド が 引 か ず 、イ ラ ク 軍 の か つ て の 同 僚 は 撤 退 し た 。 ( The Washington Post, 2013.06.11) 1.2.9.12. チ グ リ ス の 騎 士 団 の 攻 撃 作 戦 イ ラ ク 治 安 部 隊 は 6 月 10 日 の 夜 か ら ア ル・カ ー イ ダ を 標 的 に 、デ ィ ヤ ー ラ 県 、バ グ ダ ー ド北東、などで「チグリスの騎士団の攻撃」と題した軍事作戦を行った。ディジュラ作戦 司令部のアブドゥルアミール・ムハンマド・リダ・ザイディ司令官によると、アル・カー イ ダ 組 織 の 指 導 部 3 名 を 殺 害 し 、他 14 名 を 逮 捕 し た 。作 戦 は 継 続 中 で 、4 万 の 兵 士 が 動 員 されている。作戦会開始の数時間前には、バァクーバ北東の幹線道路でトラックドライバ ー 5 名 を 武 装 勢 力 が 誘 拐 ・ 殺 害 し て い る 。( al-Raya, 2013.06.11) 1.2.9.13. 国 境 へ 軍 を 派 遣 マ ー リ キ 首 相 は 6 月 16 日 、各 2000 名 か ら な る 4 連 隊 、計 8000 の 兵 を ヨ ル ダ ン・シ リ ア 国 境 に 派 遣 し た 。テ ロ リ ス ト の 侵 入 を 防 ぐ た め の 措 置 と し て い る 。16 日 に は 大 規 模 な テ ロ が 起 こ っ て い た 。( al-Monitor, 2013.06.18) 35/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 2.0 経 済 2.1. 経 済 一 般 2.1.1. 洪 水 で 農 業 生 産 に 影 響 最 近 の 大 雨 に よ る 洪 水 で 、 今 年 の 小 麦 生 産 量 は 25~ 30%減 の 見 通 し で あ る 。 自 給 率 は 低 く 、 消 費 量 450 万 ト ン の う ち 300 万 ト ン を 輸 入 に 頼 っ て お り 、 イ ラ ク は 世 界 最 大 の 小 麦 輸 入 国 の 一 つ に な っ て い る 。( Reuters, 2013.05.07) 2.1.2. 貧 困 率 が 低 下 ア ブ ド ゥ ル ザ ハ ラ・ア ル = ヒ ン ダ ー ウ ィ 計 画 省 報 道 官 は 、イ ラ ク 全 土 で 31.1 万 世 帯 を 対 象 に 調 査 を 行 っ た 結 果 と し て 、 貧 困 率 が 18%に 低 下 し た こ と を 明 ら か に し た 。 ヒ ン ダ ー ウ ィ 報 道 官 は 、貧 困 率 改 善 の 要 素 と し て 、様 々 な 県 で 、貧 困 家 庭 を 対 象 に 1000 ユ ニ ッ ト の 住 宅を提供するという 8 つの住宅プロジェクトの存在や、病院やクリニックの開設と言った 医療サービスの実現、就学率の向上といった成果を挙げた。 同氏は、農業や観光といった代替部門の発展によって石油収入への依存を低め、収入を 多元化することを中心とする、従来からのプロジェクトへの準備を同省が進めているとし ている。 ムスタンシリーヤ大学のアブドゥルラフマーン・アル・マシュハダーニ経済学教授は、 貧困率が下がったという計画省の数字に異を唱えており、国際機関はむしろ貧困率が上昇 し て い る と 報 じ て い る と 述 べ て い る 。( Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2013.05.15) 2.1.3. 対 米 貿 易 は 23%増 在 米 イ ラ ク 大 使 館 は 5 月 26 日 、 2013 年 第 一 四 半 期 の 同 国 と 米 国 と の 間 の 貿 易 額 が 23% 増 加 し 45 億 ド ル 以 上 に 達 し た と 明 ら か に し た 。 過 去 の 貿 易 額 は 2010 年 138 億 ド ル 、 2011 年 190 億 ド ル 、 2012 年 210 億 ド ル と な っ て い る 。( Shafaq News, 2013.05.26) 2.1.4. ナ ジ ャ フ の イ ラ ン 人 観 光 客 が 激 減 2013 年 に は い っ て か ら ナ ジ ャ フ の ホ テ ル の 収 入 が 半 減 し て い る 。イ ラ ン 人 観 光 客 は 9 日 間のパック旅行でイラクを訪れることが多く、うち 3 日をナジャフで過ごす。イラン人観 光客の激減は、収入の 6 割を観光産業に頼るナジャフ経済に打撃を与えている。観光客の 激 減 要 因 は イ ラ ン ・ リ ヤ ル の 低 下 で あ る 。 2010 年 12 月 に 1 ド ル が 1.15 万 リ ヤ ル だ っ た の が 、今 で は 3.6 万 リ ヤ ル 。ナ ジ ャ フ の ホ テ ル の オ ー ナ ー た ち は 、発 電 コ ス ト の 増 加 の た め 、 一 人 当 た り 宿 泊 料 を 20 ド ル か ら 30 ド ル に 上 げ よ う と し た が 、 バ グ ダ ー ド の イ ラ ン 大 使 館 に 拒 否 さ れ た と い う 。ま た 、イ ラ ン の 旅 行 会 社 が 代 金 の 支 払 い を 止 め た こ と が あ る と し て 、 多くのホテルが異端人巡礼者の受け入れを拒否していると語った。また、建設途中にコン ト ラ ク タ に よ っ て 放 棄 さ れ た ホ テ ル も あ る 。( AFP, 2013.06.17) 2.1.5. ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 : 外 国 企 業 は 2300 社 Shafaaq 紙 の 報 道 に よ る と 、 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 で 活 動 し て い る 外 国 企 業 は 2300 社 、 地 元 企 業 は 約 1.5 万 社 と の こ と で あ る 。( Iraq Business News, 2013.04.16) 36/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 2.1.6. ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 : 観 光 客 は 200 万 人 ク ル デ ィ ス タ ン 経 済 評 議 会( 議 長 : ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 )は 5 月 19 日 、2012 年 の ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 へ の 観 光 客 数 が 220 万 人 に 達 し た こ と を 明 ら か に し た 。( PUK Media, 2013.05.19) 2.2. 財 政 ・ 金 融 2.2.1. キ ル ク ー ク 県 の 収 入 は 9.2 億 ID キ ル ク ー ク 県 は 過 去 最 高 額 と な る 9.2 億 ID の 予 算 を 承 認 し た 。ハ サ ン・ト ゥ ー ラ ー ン ・ キルクーク県議会議長によると、予算は多くの公共サービス分野、とりわけ電力プロジェ ク ト に 配 分 さ れ て い る と い う 。 全 市 に 10 億 ド ル 、 町 に 5 億 ド ル が 割 り 当 て ら れ て い る 。 ( Idha’ al-Iraq al-Hurr, 2013.05.17) 2.2.2. Cirtigroupが バ グ ダ ー ド に 支 店 開 設 Citigroup は 6 月 24 日 、 中 銀 か ら 支 店 開 設 の 初 期 認 可 を 得 た と し て 、 ま も な く バ グ ダ ー ドに支店を開設する予定だと発表した。これまではドバイやアンマンのイラク・デスク、 ロ ン ド ン 経 由 で イ ラ ク ビ ジ ネ ス に 携 わ っ て き た 。 Citi の 欧 州 ・ 中 東 ・ ア フ リ カ 担 当 役 員 の James Cowles 氏 は 、 「 イ ラ ク は 重 要 な マ ー ケ ッ ト だ 。そ の 経 済 の 今 後 の ポ テ ン シ ャ ル は 極 め て大きい」と述べている。将来的にはエルビルとバスラにも開設を予定している。これら の 支 店 は す べ て 、 Citi の ク ラ イ ア ン ト を 支 援 す る 代 表 事 務 所 と い う 位 置 付 け で 、 全 て の 銀 行 サ ー ビ ス の 提 供 に は 至 っ て い な い 。バ グ ダ ー ド 事 務 所 長 と な る Dennis Flannery 氏 は 、か つ て イ ラ ク の 米 国 大 使 館 で 経 済 ア タ ッ シ ェ を し て い た 。ま た 、Standard Chartered 銀 行 も エ ルビルに代表事務所を開設済みであり、年内に完全な銀行業務を行えるようアップグレー ド の 予 定 で あ る 他 、 バ グ ダ ー ド に も 開 設 を 予 定 し て い る 。( Financial Times, 2013.06.24) 2.3. 運 輸 ・ 通 信 2.3.1. 鉄 道 復 興 計 画 イ ラ ク の デ ィ ー ゼ ル 列 車 に 乗 る と 、 バ グ ダ ー ド か ら バ ス ラ ま で 600km を わ ず か 7500ID ( 6.5 ド ル ) で 移 動 で き る が 、 最 高 時 速 は 60~ 70km/h で 、 揺 れ も 激 し く 快 適 と は 言 い が た い 。政 府 は 国 外 と の 輸 送 ハ ブ に な る べ く 鉄 道 を 再 建 し た い 考 え で あ る 。鉄 道 の 歴 史 は 古 く 、 オ ス マ ン 朝 時 代 の 1914 年 に バ グ ダ ー ド か ら ド ゥ ジ ェ イ ル ま で 60km が 敷 設 さ れ た の が 始 ま りである。現在は戦争や制裁、経済低迷の影響を受け、旅客車両は 2 つしかない。旅客数 と輸送運賃からは、投資収入はおろか職員の給与も捻出できない状況である。 し か し 、石 油 収 入 の 増 加 に 伴 い 、投 資 計 画 が 動 き 出 し 始 め て い る 。2012 年 に は 鉄 道 会 社 が バ グ ダ ー ド 南 部 の ム サ イ ブ と カ ル バ ラ を 結 ぶ 32km の 鉄 道 を 完 成 さ せ 、 数 十 万 人 の 巡 礼 客を輸送した。また、バグダード・バスラ間にも 7 億ドルかけて新線路を旧線路と並行し て 建 設 し て お り 、年 末 ま で に 稼 働 開 始 予 定 で あ る 。現 在 の 旅 客 数 は 1 日 あ た り 250 名 だ が 、 新 線 路 が 完 成 す れ ば 2000~ 3000 名 へ の 増 加 が 見 込 ま れ る 。バ グ ダ ー ド・モ ス ル 路 線 は 依 然 37/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 と し て 稼 働 し て い な い が 、運 輸 省 は 来 年 か ら 改 装 を 行 い た い と し て い る 。2012 年 に 政 府 は 中 国 か ら 各 450 名 定 員 の 車 両 を 10 車 、 輸 入 す る 契 約 を 結 ん だ 。 価 格 は 1.15 億 ド ル で 、 時 速 140~ 160km で 走 行 す る 。 現 在 の 線 路 の 全 長 は 2500km だ が 、 ゆ く ゆ く は 複 線 の 1 万 km に 伸 ば し 、 時 速 200~ 250km で 国 内 外 と 電 車 で 結 ぶ 計 画 で あ る 。 南 部 の 港 湾 か ら ザ ホ を 抜 けてトルコ経由で欧州までつなぎ、スエズ運河路線の代替ルートになりたいと鉄道会社の ムハンマド・ハーシム・プロジェクト局長は述べる。問題の一つは資金面で、今年度予算 で プ ロ ジ ェ ク ト の 予 算 は 1.75 億 ド ル に 過 ぎ な い 。延 べ 払 い を 可 能 に す る イ ン フ ラ 法 案 は 成 立 し て い な い 。 ま た 、 治 安 の 問 題 も あ る 。( Reuters, 2013.05.08) 2.3.2. イ ラ ク 航 空 が 路 線 拡 張 イラク航空が23年ぶりに路線を拡大している。ボーイング787型機(ドリームライ ナ ー )を 1 0 機 発 注 す る な ど 新 型 機 の 調 達 に も 積 極 的 で 、同 国 の 復 興 の 一 翼 を 担 っ て い る 。 これまでに首都バグダードとロンドン、フランクフルト、デュッセルドルフ、クウェート を結ぶ国際便が加わったほか、コペンハーゲン、ストックホルム、クアラルンプール、さ らには中国各地との間を結ぶ便も就航させる計画である。2017年までに、現在の15 路線から40路線へと拡大したい意向だ。 イラク航空の広報は「 、現時点で主なターゲットは家族や友人のもとを訪れるイラク人だ。 イラク国外に住む国民は400万人に上り、大きな市場がある」と説明する。イラク政府 も観光客に戻ってきてもらおうと、巨額のオイルマネーを背景に、図書館や博物館、遺跡 などの再建に力を入れる。 運輸省はバグダッド空港に3つの新ターミナルを建設し、利用客数を現在の倍の年間1 500万人に増やす計画。国内各地でも地域の発展を目指して空港建設プロジェクトが進 ん で い る 。( CNN, 2013.06.11) 2.4. 電 力 2.4.1. 電 力 省 は Siemensと の 取 引 中 止 ム サ ブ ・ ム ダ ッ リ シ 電 力 省 報 道 官 は 、 ア フ タ ー ン 電 力 相 が Hyundai と の ル メ イ ラ ・ ガ ス 発 電 所 の 会 合 に お い て 、 過 去 の 契 約 を 履 行 し て い な い こ と を 理 由 に 、 Siemens 及 び そ の 子 会 社 と 取 引 を 行 わ な い よ う 命 じ た 、と 語 っ た 。同 発 電 所 に は 、2008 年 末 の 契 約 に 基 づ き 各 292MW の Siemens 製 発 電 機 5 機 が 取 り 付 け ら れ る こ と に な っ て い た 。 ( Iraq Business News, 2013.04.10) 2.4.2. 発 電 量 は 1 万 MWを 超 え る イ ラ ク の 発 電 量 は 6 月 21 日 、 イ ラ ン か ら の 輸 入 も 含 め て 始 め て 1 万 MW を 超 え た 。 し か し 計 画 は 予 定 よ り 遅 れ て お り 、電 力 省 の ム サ ブ・ム ダ ッ リ ス 報 道 官 の 6 月 11 日 の 発 表 に よ る と 、 バ グ ダ ー ド を 含 む 13 県 の 電 力 供 給 時 間 は 14~ 20 時 間 、 キ ル ク ー ク 県 と マ イ サ ー ン 県 は 24 時 間 だ と い う こ と だ が 、 全 国 平 均 で は 12~ 14 時 間 程 度 と の 報 道 も あ る 。 デ ィ カ ー ル 県 で は 電 力 不 足 に 抗 議 す る デ モ が 起 こ っ た 。 イ ラ ク 政 府 は 2017 年 ま で 年 間 45 億 ド ル を 投 資 し 、 2030 年 ま で に 4.2 万 MW の 発 電 量 を 実 現 す べ く 750 億 ド ル を 投 資 予 定 で あ る 。 38/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 需 要 量 は 1.6 万 MW で あ る 。 供 給 量 の 11.5GW の う ち 、 消 費 者 に 届 く ま で に 40%が 失 わ れ て い る と い う 。 輸 入 量 は イ ラ ン か ら 1150MW で 全 体 の 約 1 割 、 ト ル コ 企 業 Karadeniz が 湾 に 停 泊 す る 船 か ら 250MW を 供 給 し て い る 。 2015 年 に 24 時 間 供 給 を 目 指 し て い る が 、 そ の 頃 に は 需 要 は 2 万 MW に 上 っ て い る と 見 られる。電力料金は極めて安い上に、全く支払いをしていない消費者も多く、需要の抑制 が難しいという側面もある。 電力省は、計画省が必要な地図を出さないから配電線の設置が遅れていること、水資源 省がダムのメンテナンスを怠っているから水力発電量が能力を下回っていることなどを非 難するが、最大の矛先は石油省に向けられている。ムダッリシ報道官は「イラクの収入が 石油輸出からきていることを思えば彼らのプレッシャーは理解できるが、我々も発電のた めに燃料が必要なのだ」と語った。重油を発電燃料としているため、環境汚染にもなり、 発電機を週に 1 回とめてブレード翼を洗浄する必要が生じている。製油所の能力が足りな いためより軽質な油は多くを輸入に頼っている。ムダッリシ報道官によると、石油省から 必 要 量 が こ な い た め 、 イ ラ ン か ら 400 万 l/d の ガ ス オ イ ル を 輸 入 し て い る 。 さ ら に 、 燃 料 取 引 に 汚 職 が 絡 み 、契 約 料 よ り 少 な く 、か つ 質 の 悪 い 油 が 輸 入 さ れ て い る と い う 。2012 年 に電力省は契約を解除し、今は石油省が電力省のために燃料輸入契約を結んでいるという が、それでも汚職はなくなっていないという。 将来的に天然ガスの生産が始まれば燃料として活用できるが、当面は、6 月末までにイ ラ ン が 2500m3/d の 天 然 ガ ス を 3 ヵ 所 の 発 電 所 に 提 供 す る 予 定 だ と い う 。 ( BBC, 2013.04.11; Shafaq News, 2013.06.11; MEES, 2013.06.28) 2.4.3. ト ル コ が イ ラ ク に 電 力 輸 出 ト ル コ の エ ネ ル ギ ー 規 制 機 関 EPDK は 、Aksa 及 び Kartet の 2 社 に 対 し て 、イ ラ ク へ の 電 力 輸 出 許 可 を 与 え た 。販 売 量 は 約 4 億 ト ル コ ・ リ ラ 分 で 、既 存 の 154kV の ザ ホ の ト ラ ン ス ミ ッ シ ョ ン ・ ラ イ ン を 通 じ て 供 給 さ れ る 。 Kartet 親 会 社 の Karadeniz Holding に よ る と 、 メ イ ン・タ ー ゲ ッ ト は モ ス ル へ の 販 売 だ と い う 。Kartet 社 は 2003~ 2008 年 に 電 力 を 販 売 し て い た が 、 治 安 問 題 と 支 払 い 問 題 の た め 販 売 量 を 削 減 し て い た 。 2010 年 の 契 約 終 了 後 、 1 年 延 長 し 、2012 年 に も さ ら に 延 長 を 申 し 出 て い た が 、認 め ら れ な か っ た 。 ( Reuters, 2013.05.01; Hurriet Daily News, 2013.06.12) 2.4.4. 発 電 所 3 つ が 建 設 さ れ る も 稼 働 せ ず 議 会 の 石 油 ガ ス 委 員 会 の ス ー ザ ン・サ ア ド 議 員 が 5 月 12 日 に 述 べ た と こ ろ に よ る と 、ス バイディーヤ、カルバラ、ヒッラの発電所 3 ヵ所が建設後も発電を行っていない。燃料不 足 が 原 因 で 、 1100MW が 失 わ れ て い る と い う 。( AIN, 2013.05.12) 2.4.5. Shellは 統 合 電 力 ネ ッ ト ワ ー ク 構 築 を 呼 び か け R/D Shell は 南 部 油 田・ガ ス 田 の 開 発 を 賄 う た め に 統 合 的 な 電 力 ネ ッ ト ワ ー ク の 構 築 を 呼 び か け て い る 。南 部 の 巨 大 油 田 の 運 営 だ け で 4515MW が 必 要 と さ れ て い る 。南 部 の 油 ガ ス 田 の 施 設 の た め に 統 合 ネ ッ ト ワ ー ク が で き れ ば 、5 億 cf/d( 51.5 億 m3/y)の ガ ス 、3000MW の 電 力 相 当 量 の 削 減 に な る と い う 。( Petroleum Argus Weekly, 2013.06.21) 39/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 2.5. 石 油 ・ ガ ス 2.5.1. 生 産 状 況 2.5.1.1. 中 国 へ の 原 油 輸 出 量 は 50 万 b/d ル ア イ ビ 石 油 相 は 4 月 3 日 、現 在 の 中 国 へ の 原 油 輸 出 量 は 平 均 50 万 b/d 程 度 で あ り 、さ らに輸出を増やせるよう長期合意を結びたい旨明らかにした。中国は国内の製油所能力拡 大 に 伴 い 、 2014 年 に は 米 国 を 抜 い て 世 界 最 大 の 原 油 輸 入 国 に な る 見 通 し で あ る 。 ( Bloomberg, 2013.04.03) 2.5.1.2. 2 月は欧州向け原油輸出が増加 2 月 の バ ス ラ・ラ イ ト 輸 出 の 3 分 の 2 が ア ジ ア 向 け で 、イ ン ド 40 万 b/d、韓 国 35.5 万 b/d、 中 国 33.5 万 b/d だ っ た 。米 国 向 け は 同 月 、7 万 b/d 減 の 29 万 b/d。ア フ リ カ 向 け が 5 万 b/d 増 の 12 万 b/d。1 年 前 に は 輸 出 が な か っ た エ ジ プ ト 、モ ロ ッ コ 、南 ア な ど に 11 月 以 来 輸 出 している。 ま た 、大 き く 増 え て い る の は 欧 州 向 け で 、1 月 の 10 万 b/d か ら 2 月 は 29.5 万 b/d と な り 、 ギ リ シ ャ 11 万 b/d、 イ タ リ ア 及 び オ ラ ン ダ が 各 7.5 万 b/d だ っ た 。 キ ル ク ー ク 原 油 も 欧 州 向 け は 1 月 の 17.5 万 b/d か ら 2 月 は 26 万 b/d に 増 加 し た 。 国 別 で は 、 ト ル コ 7.5 万 b/d、 ギ リ シ ャ 6.5 万 b/d、イ タ リ ア 6 万 b/d。ロ シ ア の ウ ラ ル 原 油 が 3.5 万 b/d 削 減 さ れ た こ と で 、 欧 州 製 油 所 が よ り 安 価 な 代 替 油 に 流 れ た 。 SOMO は キ ル ク ー ク 原 油 と バ ス ラ ・ ラ イ ト 原 油 の 公 定 価 格 を 40~ 50 セ ン ト /b 値 下 げ し て 米 国 向 け 、 ア ジ ア 向 け よ り 安 く 設 定 し て い る 。 こ の 値 下 げ 幅 は ア ラ ブ・ラ イ ト 、ア ラ ブ・ミ デ ィ ア ム よ り も 10~ 20 セ ン ト /b ほ ど 大 き い 。 ( Argus Global Market, 2013.04.05) 2.5.1.3. イ ラ ク の 3 月 の 生 産 量 は 298.8 万 b/d、 輸 出 量 は 241.7 万 b/d 3 月 の 原 油 輸 出 量 は 241.7 万 b/d で 、前 月 比 11.9 万 b/d 減 少 し た 。悪 天 候 で 南 部 か ら の 輸 出 量 は 低 迷 し た こ と が 原 因 。 南 部 輸 出 は 210.2 万 b/d、 北 部 の ト ル コ 向 け 輸 出 は 30 万 b/d、 ヨ ル ダ ン 向 け が 1.5 万 b/d。北 部 輸 出 は サ ボ タ ー ジ ュ の 影 響 で 4 日 間 送 油 が 停 止 し た 影 響 も 受けた。 3 月 の 生 産 量 は 298.8 万 b/d で 、 前 月 比 2.5 万 b/d 増 加 し た 。 昨 年 9 月 に 記 録 し た 1990 年 以 来 の 最 大 量 323.5 万 b/d に は 届 い て い な い 。 南 部 生 産 が 2.7 万 b/d 増 の 230.9 万 b/d。 北 部 生 産 が 3000b/d 減 の 67.9 万 b/d。 NOC 生 産 分 が 53.4 万 b/d、 Midland Oil Company 生 産 分 ( 東 バ グ ダ ー ド 、 ア フ ダ ブ な ど ) が 14.5 万 b/d 。( Platts Oil Gram News, 2013.04.02, 2013.04.29) 2.5.1.4. 3 月 の 日 本 の イ ラ ク 原 油 輸 入 量 は 10.7 万 b/d 経 産 省 の デ ー タ に よ る と 、 イ ラ ク か ら の 原 油 輸 入 量 は 前 年 同 月 比 74%増 加 し て 10.7 万 b/d と な っ た 。 国 別 で は 日 本 に と っ て 第 10 位 の 輸 入 国 で あ る 。( PIW, 2013.05.06) 40/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 出 所 : PIW, 2013.05.06 2.5.1.5. 4 月 の 輸 出 量 は 262 万 b/d 4 月 の 原 油 輸 出 量 は 前 月 比 20.5 万 b/d 増 加 し て 262.2 万 b/d だ っ た 。 11 月 以 来 減 少 が 続 い て い た が 、 4 月 は 過 去 最 高 だ っ た 2012 年 10 月 よ り 4000b/d 減 の 水 準 ま で 持 ち 直 し た 。 11 月 に は 15.2 万 b/d に 達 し た KRG か ら の 輸 出 は 停 止 し た ま ま だ が 、 こ の 水 準 ま で 回 復 し た 。( Platts Oilgram News, 2013.05.03) 2.5.1.6. 5 月 の 輸 出 量 は 260 万 b/d 5 月 の 原 油 輸 出 量 は 前 月 と ほ ぼ か わ ら ず 、260 万 b/d だ っ た 。生 産 量 は 315 万 b/d だ っ た と ル ア イ ビ 石 油 相 が 5 月 26 日 に 明 ら か に し た 。キ ル ク ー ク 原 油 の 輸 出 に 関 し て は 、パ イ プ ライン爆破の影響を受けているとのことで、治安強化策をとっていると語った。 5 月 の 北 部 輸 出 量 は 2007 年 以 来 2 回 目 の 30 万 b/d 割 れ と な っ た 。6 月 も 同 様 の 見 通 し で あ る 。2009~ 2011 年 に は 、50 万 b/d を 超 え て い た 。ガ ド バ ン 首 相 顧 問 に よ る と 、パ イ プ ラ イ ン の 現 在 の 能 力 は 60-70 万 b/d 程 度 。 輸 送 量 が 能 力 の 半 分 程 度 な の で 、 テ ロ を 受 け て 送 油が停止している分は、ポンピング・レートを上げることでカバーできるという。5 月の 北 部 輸 出 量 は 、 14 日 間 輸 送 が 停 止 し た に も か か わ ら ず 、 4 月 か ら 1.9 万 b/d し か 減 ら な か っ た 。( Reuters, 2013.05.26; Platts Oilgram News, 2013.06.04; MEES, 2013.06.28) 2.5.2. IOCsの 動 向 ・ 開 発 状 況 2.5.2.1. 西クルナ油田 2 で抗議活動 4 月 16 日 、約 500 名 の 地 元 住 民 が 西 ク ル ナ 油 田 2 の メ イ ン ロ ー ド を 封 鎖 し 、職 や 土 地 の 補償を要求した。警察によると、状況は管理できており、デモ隊は施設内に押し入ろうと は し な か っ た と い う 。 先 月 初 め に は 、 西 ク ル ナ 油 田 2 で 数 百 人 の デ モ 隊 が Samsung Engineering に よ っ て 雇 わ れ た イ ラ ク 企 業 の オ フ ィ ス を 襲 撃 し た 。 1000 人 以 上 の SOC( 南 部 石 油 会 社 )従 業 員 が 賃 上 げ や 常 用 雇 用 を 求 め て デ モ も 行 っ て い る 。 ( Reuters, 2013.04.16) 41/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 2.5.3. エ ネ ル ギ ー 政 策 2.5.3.1. バスラ・ガス会社のプロジェクト開始 バ ス ラ ・ ガ ス 会 社 ( BGD: Basra Gas Company) は 5 月 1 日 に よ う や く 正 式 に 設 立 さ れ 、 R/D Shell は 同 日 、プ ロ ジ ェ ク ト が つ い に 現 実 の も の と な っ た こ と に 大 変 満 足 し て い る と の コ メ ン ト を 発 表 し 、技 術 や 資 金 、人 材 を プ ロ ジ ェ ク ト に 投 下 す る と 表 明 し た 。HoA を 締 結 し た の が 2008 年 、イ ラ ク 政 府 が プ ロ ジ ェ ク ト を 承 認 し た の が 2011 年 11 月 だ っ た 。現 在 焼 却 さ れ て い る ル メ イ ラ 、西 ク ル ナ 1、ズ ベ イ ル の 随 伴 ガ ス を 集 め て 利 用 す る 。SGC が 51%、 Shell が 44%、 三 菱 が 5%の 権 益 を 持 つ 。 3 油 田 か ら の ガ ス 生 産 量 は 現 在 の 4 億 cf/d か ら 20 億 cf/d に 増 加 す る 予 定 で あ る 。( Platts Oilgram News, 2013.05.02) 2.5.3.2. 埋蔵量を引き上げ ジ ハ ー ド 石 油 省 報 道 官 4 月 10 日 、 イ ラ ク の 原 油 埋 蔵 量 は こ れ ま で の 1431 億 b b l か ら 1500 億 bbl に 引 き 上 げ ら れ た と 発 表 し た 。こ ん ご さ ら に 探 鉱 が 進 む こ と で 引 き 上 げ ら れ る 見 通 し と 語 っ た 。 ル ア イ ビ 石 油 相 に よ る と 、 マ イ サ ー ン 県 の Dima 油 田 の 増 加 分 と の こ と である。 な お 、イ ラ ク 政 府 に 発 表 数 字 に は ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 埋 蔵 量 は 含 ま れ て い な い 。 ( AFP, Iraq Oil Report, 2013.04.10) 2.5.3.3. 県 と IOCsの 独 自 契 約 の 動 き ワ ー シ ト 県 と サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 は 、IOCs と 個 別 の 契 約 を 結 ん だ 模 様 で あ る 。カ ナ ダ の Oryx Petroleum は ワ ー シ ト 県 と 開 発 契 約 を 締 結 し た と し て 、 先 月 、 初 期 趣 意 書 を リ リ ー ス し た 。 Oryx は 2011 年 以 来 、 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 で 活 動 し て い る 。 サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 は カ ナ ダ の Sonoro Energy と 、 ス ウ ェ ー デ ン 企 業 と 契 約 と の こ と だ が 、 こ の 2 社 は 同 じ 鉱区の同じ資源の話をしている可能性がある。また、係争地にかかっている可能性も存在 している。 な お 、Oryx と Sonoro は イ ラ ク の 有 力 フ ァ ミ リ ー が 率 い て い る Amira Industries と 提 携 関 係にあり、それが今回の契約を促進したと見られる。 ア ン バ ー ル 県 で も 、 ガ ス ・ シ テ ィ を 構 築 す べ く UAE の Dana Gas な ど の 石 油 会 社 と 直 接 交 渉 を 検 討 し て い る 模 様 で あ る 。( Iraq Oil Report, 2013.04.19) 2.5.3.4. 目標生産量を引き下げ シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 は 、2009 年 に 契 約 さ れ た す べ て の 開 発 契 約 に つ い て 、ピ ー ク 生 産 量 を ひ き 下 げ る 交 渉 を 行 っ て い る と 明 ら か に し た 。当 初 の 予 定 で は 2017 年 に 1200 万 b/d の 生 産 量 を 意 図 し て い た 。引 き 下 げ の 理 由 は 、需 要 の 大 き な 伸 び が 見 込 め な い た め で あ る 。 す で に 、 Eni は ズ ベ イ ル 油 田 の 最 大 生 産 量 を 120 万 b/d か ら 85 万 b/d に 引 き 下 げ る こ と に 合 意 し て い る 。 Lukoil は 西 ク ル ナ 油 田 2 の 生 産 量 を 180 万 b/d か ら 120 万 b/d に 引 き 下 げ 、 最 大 生 産 期 間 を 13 年 か ら 19.5 年 に 延 長 す る 。 契 約 期 間 は 20 年 か ら 25 年 に 延 長 さ れ る 。ExxonMobil( 西 ク ル ナ 油 田 1)と BP( ル メ イ ラ 油 田 )に つ い て は 協 議 継 続 中 だ が 、R/D Shall ( マ ジ ュ ヌ ー ン 油 田 ) と の 交 渉 は 決 裂 し た 模 様 で あ る 。( MEES, 2013.05.31; AFP, 2013.06.03) 42/54 JIME 2.5.3.5. 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 ヨ ル ダ ン 向 け パ イ プ ラ イ ン は 2017 年 完 成 予 定 4 月 9 日 、イ ラ ク と ヨ ル ダ ン は バ ス ラ か ら ア カ バ ま で 1700km の パ イ プ ラ イ ン を 建 設 す る 合 意 の 署 名 を 行 っ た と ニ ハ ー ド ・ ム ー サ SCOP 社 長 が 明 ら か に し た 。 現 在 、 カ ナ ダ の 企 業 がデザイン及びテクニカル・スタディを実施しており、年末までに終わる予定だという。 イ ラ ク は こ の 180 億 ド ル の プ ロ ジ ェ ク ト の 実 行 に 真 剣 だ と 語 っ た 。2017 年 完 成 予 定 で 、ヨ ル ダ ン は 85 万 b/d の 石 油 と 35.3 億 cf/d の ガ ス を 得 ら れ る よ う に な る と い う 。 ヨ ル ダ ン 側 を BOOT ス キ ー ム で 実 施 す る の は 、イ ラ ク が 、で き れ ば 大 国 の 、外 資 を 呼 び 込みたいという狙いがある。過去のシリア、サウジのパイプラインはいずれもホスト国に 接収された。 バ ス ラ ・ ア カ バ ・ パ イ プ ラ イ ン の FEED 及 び コ ン サ ル 契 約 を 締 結 し て い る カ ナ ダ の SNC-Lavalin 社 は 6 月 4 日 、 バ ス ラ の ル メ イ ラ 油 田 か ら ア ン バ ー ル 県 ハ デ ィ ー サ ま で の 第 一 フ ェ ー ズ の EPC 契 約 は 2014 年 を 予 定 し て い る と 明 ら か に し た 。能 力 250 万 b/d の 56 イ ン チ の 石 油 パ イ プ ラ イ ン と 、 36 イ ン チ の ガ ス ・ パ イ プ ラ イ ン が 建 設 さ れ 、 工 期 は 2~ 3 年 を予定している。イラク側の建設にはイラク議会の承認が必要となる。ハディーサからア カ バ ま で の 第 二 フ ェ ー ズ は 能 力 100 万 b/d で 、 将 来 的 に は シ リ ア 国 内 を 通 っ て 地 中 海 に 延 伸 す る こ と も 検 討 さ れ て い る 。( AFP, 2013.04.09; MEES, 2013.04.12; Platts Oilgram News, 2013.06.05) 2.5.3.6. 石油化学産業の展望 サ ラ ー フ ・ シ ェ イ フ リ 元 駐 英 大 使 は 5 月 28 日 の イ ラ ク 石 化 重 工 業 2013 の 会 議 の 場 で 、 イラクは国際企業と共に近代的な石化産業を構築することに真剣だと語った。石油省は 2017~ 23 年 に 350 億 ~ 500 億 ド ル を 投 じ て 年 間 1000 万 ト ン の 石 油 化 学 生 産 能 力 を 確 保 す る ことを検討している。ラシャド・ハティーブ石油省肥料委員会副委員長は、原油増産に伴 っ て 2018 年 に は 50 億 cf/d の 随 伴 ガ ス 生 産 が 予 定 さ れ て い る と し て 、 う ち 40 億 cf/d を 発 電 燃 料 に 、 10 億 cf/d を 石 化 に 使 う 予 定 だ と 語 っ た 。( MEES, 2013.05.31) 2.5.3.7. ファオの貯油庫を拡張 イラクは輸出のフレキシビリティを得るため、南部の貯油施設を拡大しており、ファオ 半 島 に 各 40 万 bbl の 原 油 タ ン ク が 7 月 か ら 稼 働 開 始 す る 。 さ ら に 今 後 2 年 間 に 16 タ ン ク が 追 加 さ れ る 予 定 で あ る 。( Petroleum Argus, 2013.05.31) 2.5.3.8. 第 9 鉱区の契約締結 6 月 23 日 、 ア ミ ー デ ィ 石 油 省 PCLD 局 長 、 SOC 代 表 者 、 Kuwait Energy の フ セ イ ン ・ ム サ ウ ィ 、 Dragon Oil の Mark Saeyer の 各 氏 が 出 席 し て 第 9 鉱 区 の 探 鉱 開 発 契 約 が 締 結 さ れ た 。 当 初 は コ ン ソ ー シ ア ム に ト ル コ の TPAO が 含 ま れ て い た が 、 2012 年 11 月 に 排 除 さ れ た 。( Reuters, 2013.06.23) 2.5.4. エ ネ ル ギ ー イ ン フ ラ へ の 治 安 問 題 2.5.4.1. パイプライン爆破事件 4 月 25 日 、サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 警 察 に よ る と キ ル ク ー ク・パ イ プ ラ イ ン が 爆 破 さ れ 、 43/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 原 油 輸 出 に 影 響 が 出 て い る 。 バ グ ダ ー ド か ら 北 に 250m の シ ャ ル カ ト の 町 で 起 き た 。 ( Army Times, 2013.04.25) 5 月 6 日 以 来 、北 部 パ イ プ ラ イ ン が 止 ま っ て い る 。治 安 問 題 ゆ え に 技 術 チ ー ム が パ イ プ ラ イ ン に 近 づ け な く な っ て い る 。ト ル コ の 港 の タ ン ク の 原 油 が 、輸 出 を 維 持 す る の に 十 分 な 量 で は な い 。パ イ プ ラ イ ン は 6 日 23 時 頃 ニ ナ ワ 県 Ayen al-Gahashi 地 区 で 爆 破 さ れ た 。同 県 と サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 の 県 境 で も 攻 撃 さ れ た と の 情 報 も あ る が 、メ ン テ ナ ン ス 不 足 で 漏 れ て い る だ け と の 意 見 も あ る 。い ず れ に せ よ 治 安 の 悪 い 地 域 で あ る 。製 品 を 運 ぶ ベ イ ジ か ら モ ス ル へ の 別 の パ イ プ ラ イ ン は 1-2 月 に 6 回 攻 撃 さ れ て い た 。 ( Iraq Oil Report, 2013.05.10) 5 月 12 日 に 送 油 が 再 開 し て い た が 、 13 日 に 再 び 攻 撃 が あ り 、 再 度 停 止 し た 。 情 報 筋 に よ る と 、SOMO は force majeure の 宣 言 を 真 剣 に 考 え て い る と の こ と で あ る 。2 日 間 停 止 し た 後 、 15 日 に 再 開 し た 。( Platts Oilgram News, 2013.05.16) 5 月 17 日 の 爆 破 で 北 部 パ イ プ ラ イ ン が 停 止 し て い る 。 モ ス ル の 南 西 で 発 生 し た 。 NOC に よ る と 、複 数 の 爆 弾 が 埋 め ら れ て お り 、い く つ か は 爆 発 し 、い く つ か は ま だ そ こ に あ る と い う 。 そ の た め 技 術 チ ー ム が 現 場 に 行 く の が 難 し く な っ て い る 。( Iraq Oil Report, 2013.05.17) 6 月 4 日 、ニ ナ ワ 県 で パ イ プ ラ イ ン が 爆 破 さ れ 、供 給 が 止 ま っ た 。修 復 を 経 て 6 日 に 送 油 を 再 開 し た 。 (Upstream, 2013.06.05; Reuters, 2013.06.06) 6 月 21 日 に イ ラ ク 国 内 で パ イ プ ラ イ ン が 爆 破 さ れ た 模 様 で 、 送 油 が 止 ま っ て い る と ジ ェ イ ハ ン 港 の 船 会 社 が 明 ら か に し た 。( News Wire, 2013.06.24) 2.5.4.2. カイヤラ油田、ナジュマ油田で爆発事件 4 月 5 日 に 攻 撃 を 受 け た 、Sonangol が 開 発 す る ニ ナ ワ 県 の カ イ ヤ ラ 油 田 の 火 災 は 、5 月 9 日にようやく消火に成功した。1 ヶ月以上に及んだ油田火災の被害総額は数百万ドルに上 るという。 4 月 5 日の深夜 0 時近くに油井 4 本で複数の爆弾が爆発し、火災が発生した。現場の油 井 や パ イ プ ラ イ ン に 仕 掛 け ら れ た マ グ ネ チ ッ ク 爆 弾 は 解 除 さ れ た 。 半 径 5km 圏 内 に は 10 万人が暮らしており、有毒ガスの発生が与える影響が心配されたが、病人などはでなかっ た模様である。ナジュマ油田も 4 月 6 日に爆弾による攻撃を受けたが、こちらはすぐに消 し止められた。 両 油 田 は 、第 二 次 入 札 で Sonangol 社 だ け が 応 札 し た 。同 社 に と っ て ア ン ゴ ラ 国 外 で の 初 操 業 で あ る 。情 報 筋 に よ る と 、地 元 住 民 や 部 族 、地 元 政 府 、NOC と の 関 係 が う ま く い っ て い な い と 指 摘 さ れ て い る 。( Iraq Oil Report, 2013.04.22; Shafaq News, 2013.05.09) 2.5.4.3. 南部油田抗議争議が発生 労 働 環 境 の 改 善 や 未 払 い ボ ー ナ ス の 支 払 い な ど を 求 め て 、 SOC の 前 で 抗 議 活 動 が 4 月 6 日 か ら 続 い て い る 。30 人 か ら な る 委 員 会 は 、要 求 が 満 た さ れ る ま で 生 産 を 中 止 す る こ と も 挙 げ て い る 。 ま た 、 デ モ 隊 は 、 ル メ イ ラ 油 田 、 マ ジ ュ ヌ ー ン 油 田 で 、 外 資 が 労 働 力 の 85% をイラク人にするという契約を守っていないとしている。彼らは、生産量が一定に達した らボーナスや住宅などを与えられるという様々な約束がなされていたが、それも守られて 44/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 いないとしている。隣県のマイサーン県では、適切な許可を取っていなかったとして、治 安部隊がアマーラに行進しようとしていたデモ隊を阻止した。 ( Iraq Oil Report, 2013.04.13) 2.5.4.4. アッカース・ガス田の開発再開 4 月 1 日 の 襲 撃 事 件 を 経 て 、KOGAS は ア ッ カ ー ス・ガ ス 田 で の 活 動 を 再 開 さ せ よ う と し て い る 。 内 務 相 の 石 油 警 察 が 周 辺 の 出 身 者 か ら な る 新 卒 警 察 官 100 名 を 配 置 、 イ ラ ク 軍 も 200 名 の 兵 士 を 追 加 で 派 兵 す る 。 KOGAS は 今 後 も 事 業 を 継 続 し た い と し て い る 。 ナディーム・バルダン・カーイム市議会議長によると、事件の犯行声明は出ておらず、 部族対立によるものではないかと見ている。誘拐されたヒラール社社長の兄弟は、身代金 を 払 っ て 釈 放 さ れ た 。( Iraq Oil Report, 2013.06.11) 2.5.4.5. 石油警察、国営石油会社職員への攻撃 6 月 15 日 夜 、モ ス ル 南 120km の ハ ト ラ 地 区 で 、パ イ プ ラ イ ン を 警 護 し て い た 石 油 警 察 第 10 大 隊 が マ シ ン ガ ン を 持 っ た 武 装 勢 力 に 襲 撃 さ れ 6 名 が 殺 害 さ れ た 。 6 名 が 負 傷 。 パ イ プ ラ イ ン は 今 年 に は い っ て か ら 10 回 以 上 攻 撃 さ れ て い る 。 ま た 、 16 日 に は キ ル ク ー ク 南 西 の リ ヤ ー ド 地 区 で イ ラ ク 掘 削 会 社 ( IDC ) の 職 員 2 名 が 誘 拐 さ れ た 。( Iraq Oil Report, 2013.06.17) 2.5.5. ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 2.5.5.1. 国際石油会社への支払い問題 法治国家連合のアッバース・バヤーティは、中央政府はクルディスタン地域で操業する 石油会社に支払いを拒んでいるわけではなく、支払いの前に監査を行うことを希望してい る と 語 っ た 。( NINA, 2013.04.03) 2.5.5.2. トルコが石油収入分配に関与姿勢 ユルデュズ・トルコ・エネルギー相は、インタビューに答えて、イラクの石油収入分配 に 関 与 す る 用 意 が あ る こ と を 語 っ た 。 ト ル コ は 、 イ ラ ク 北 部 に 17%、 中 央 政 府 に 83%を 分 け る こ と に お い て ア ク テ ィ ブ な 役 割 を 果 た せ る と し て い る 。ま た 、公 営 で あ れ 民 営 で あ れ 、 KRG と 石 油 開 発 契 約 を 結 ぶ こ と に 問 題 は 無 い と し な が ら も 、ト ル コ は 中 央 政 府 に 招 待 さ れ れ ば 入 札 に 参 加 し た い と も 述 べ た 。 さ ら に 、 バ グ ダ ー ド で あ れ KRG で あ れ 、 要 望 が あ れ ばガス・パイプライン建設の用意があるとしている。クルディスタン地域からの原油輸入 は 1 日 あ た り ト ラ ッ ク 200~ 250 台 に 達 し て い る と の こ と で あ る 。( Reuters, 2013.04.04) 2.5.5.3. クルディスタン地域から国際市場へ初の原油出荷 クルディスタン地域の原油のカーゴが初めて国際市場に売却された。原油はタクタク油 田 の も の で 、 販 売 量 は 3 万 ト ン 、 価 格 は 2200 万 ド ル 。 Genel に よ る と 、 タ ク タ ク 油 田 か ら ト ル コ へ の 原 油 ト ラ ッ ク 輸 送 は 1 月 に 始 ま り 、 2013 年 の 残 り の 月 に は 1.5 万 ~ 2 万 b/d に 増 加 す る 予 定 だ と い う 。 購 入 者 は ド イ ツ の S.E.T. Select Energy GmbH、 販 売 を 仲 介 し た の は Powertrans で あ る 。 Powertrans は ト ル コ の 民 間 会 社 で 、 同 社 は す で に ホ ル モ ル ・ ガ ス 田 からのコンデンセート 5 カーゴを売却している Genel は 、 30 万 b/d の パ イ プ ラ イ ン 第 二 フ ェ ー ズ ( タ ク タ ク か ら フ ィ シ ュ ハ ブ ー ル ) の 45/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 完成は第四四半期を予定しているが、パイプライン建設のファイナンスには直接は関わっ て い な い と の こ と で あ る 。( Reuters, 2013.04.05; PIW, 2013.04.15; Reuters, Platts Oilgram News, 2013.04.23) 2.5.5.4. ト ル コ 向 け 輸 出 は 6 月 時 点 で 3 万 b/d ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 は 6 月 19 日 、 ロ ン ド ン で 、 現 在 の 輸 出 量 は 3 万 b/d だ と 語 っ た 。 生 産 能 力 は 30 万 b/d だ が フ ル 生 産 は し て い な い と の こ と で あ る 。 今 年 末 に は 40 万 b/d の 能 力 に 達 す る と 述 べ た 。 ま た 、 恒 久 的 な 支 払 い 合 意 が な い 限 り 中 央 政 府 経 由 の 原 油 輸 出 は 再 開 し な い 旨 明 ら か に し た 。 な お 、 域 内 の 精 製 量 は 13 万 b/d で 、 今 後 2 年 で 20 万 b/d ま で 増 加 予 定 と 述 べ た 。 輸 出 量 は 報 道 に よ っ て 差 が あ り 、Paltts は 5 月 末 の 時 点 で 、タ ク タ ク 油 田 の 3.8 万 b/d と 、 ホ ル モ ル ・ ガ ス 田 の コ ン デ ン セ ー ト 1.8 万 b/d が ト ル コ へ ト ラ ッ ク 輸 送 さ れ て い る と 報 じ て い る 。 ま た 、 域 内 の ガ ス 需 要 は 50 億 m3/y と し て 、 そ れ が 満 た さ れ れ ば 将 来 的 に ト ル コ に 輸 出 し た い 意 向 を 語 っ た 。 輸 出 は 2016 年 に 開 始 し 、 100 億 m3/y を 目 指 し て い る と の こ と 。( Platts Oilgram News, , 2013.05.28, 2013.06.20) 2.5.5.5. シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 、 ル ア イ ビ 石 油 相 は KRGの 行 動 を 牽 制 5 月 24 日 、シ ド ニ ー の エ ネ ル ギ ー 会 議 で シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 は ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 か ら の 原 油 輸 出 に 関 し て 、イ ラ ク の 国 家 の 富 を 奪 っ て い る と 述 べ 、 「イラク政府は多くの手 段を検討している」 「 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 か ら の 輸 出 は イ ラ ク の 法 に 反 す る 密 輸 だ 」と 述 べ た 。ト ル コ の Dortyol タ ー ミ ナ ル へ ト ラ ッ ク で 運 ば れ る 量 は 6 万 b/d に 達 し て い る と 見 ら れ ている。 ルアイビ石油相は、 「 Total や ExxonMobil に 関 し て 我 々 の 立 場 に 変 更 は な い 。中 央 政 府 は クルディスタンが中央政府の許可無く締結した契約を認めない」と述べた。ただし、イラ ク政府は具体的な行動はとってはいない「 。フィッシュハブールからジェイハンへの至るパ イプラインはイラク議会とトルコ議会が承認した合意のもとにある」 「 合 意 に は 、ト ル コ は このパイプラインを他者に使用させる権利をもたない旨の明確な条項がある」と語った。 合 意 は 2010 年 7 月 に 更 新 さ れ 、 15 年 間 有 効 。( Reuters, Aswat al-Iraq, 2013.05.24; MEES, 2013.05.31) 2.5.5.6. タ ウ ケ 油 田 の 生 産 能 力 は 10 万 b/d タ ウ ケ 油 田 を 創 業 す る DNO の 広 報 官 に よ る と 、 数 ヶ 月 前 に 10 万 b/d の 生 産 能 力 に 達 し た 。2014 年 末 ま で に 20 万 b/d に 増 産 す る 計 画 を た て て い る が 、2013 年 12 月 以 来 原 油 を 輸 出 で き て お ら ず 、 5 月 7 日 に Bijan Mossavar-Rahmani 社 長 は 、 収 入 が 得 ら れ な い と い う 現 状の状況が続くようなら、投資を適切なものに縮小することになると警告した。同社の生 産 量 は 、1 年 前 は 4 万 2116b/d だ っ た が 、第 一 四 半 期 は 2 万 9061b/d に 落 ち こ ん だ 。現 在 は 国 内 の 製 油 所 に 供 給 し て い る 。( MEES, 2013.04.12; Platts Oilgram News, 2013.05.08) 2.5.5.7. 米 国 が KRGの 石 油 政 策 に 反 対 米 国 政 府 は KRG に 一 方 的 措 置 を と め る よ う 外 交 圧 力 を 強 め て い る 。4 月 初 め に 、ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 、 バ ー キ ル KRG 外 務 庁 長 官 、 フ ア ー ド ・ フ セ イ ン KRG 大 統 領 府 長 46/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 官らはワシントンを訪れたが、彼らの米国の立場に対する落胆は明らかだった。 4 月 16 日 、ト ニ ー ・ ブ リ ン ケ ン 米 国 国 家 安 全 保 障 副 顧 問 、ベ ス ・ ジ ョ ー ン ズ 近 東 問 題 担 当国務次官補らと会談した後、フセイン長官は「我々の友人の幾人かは、何が起こってい るのか理解していない、ないしは理解したくないという感覚をもっている」と語った。 ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 が 4 月 8 日 に ワ シ ン ト ン の シ ン ク タ ン ク the Atlantic Council で「米国のイラクのエネルギーへのアプローチは時代遅れ」と語った後、国務省はハウラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 と の 全 て の ハ イ レ ベ ル な コ ン タ ク ト を ブ ロ ッ ク し た 。MEES の 推 定 で は 2~ 3 万 b/d が ト ル コ へ 、 さ ら に 少 量 が イ ラ ン 経 由 で 輸 出 さ れ て い る 。 (Iraq Oil Report, 2013.04.19) 2.5.5.8. 連邦政府経由の輸出は恒久的な解決の後との姿勢 ハウラーミ天然資源相は 6 月下旬、ロンドンのエネルギー会議で、連邦政府経由の輸出 は 「 恒 久 的 な 」 解 決 が な い 限 り 再 開 し な い と 語 っ た 。 マ ー リ キ 首 相 と KRG と の 先 週 の 会 談 で は 石 油 会 社 へ の 支 払 い 問 題 に つ い て は 話 し 合 わ れ な か っ た と の こ と で あ る 。( Reuters, 2013.06.19) 2.5.5.9. クルディスタン議会が石油輸出法を可決 ク ル デ ィ ス タ ン 議 会 は 4 月 23 日 、 石 油 輸 出 法 ( The Law of Identifying and Obtaining Financial Dues to the Kurdistan Region-Iraq from Federal Revenue) を 可 決 し た 。 こ れ は 、 90 日 の タ イ ム テ ー ブ ル を 定 め 、30 日 以 内 に バ グ ダ ー ド が 応 え な け れ ば 、天 然 資 源 省 に 輸 出 開 始を認める内容となっている。新法はクルディスタン地域の経済的権利として石油収入の み な ら ず 、2004 年 来 の 連 邦 政 府 か ら の 不 払 い( 援 助 、ロ ー ン 、ア ン フ ァ ー ル 作 戦 被 害 者 へ の補償金)を定めている。天然資源省はペトロドラーを含めて支払われるべき収入を照合 し、計画省と財務省はその他(非石油)の連邦政府から支払われるべき額を算出する。そ の 後 、 7 月 半 ば ま で に KRG 議 会 が 正 式 に 連 邦 政 府 に 支 払 い を 求 め る 。 30 日 以 内 に 反 応 が な い 場 合 、 も し く は 90 日 以 内 に KRG と 合 意 に 達 し た り 支 払 っ た り し な か っ た 場 合 、 原 油 ガ ス 輸 出 を 含 む 必 要 な 措 置 を と る 、と し て い る 。KRG 財 務 省 に よ る と 、バ グ ダ ー ド は KRG に 200 億 ド ル の 負 債 が あ り 、 う ち 60 億 ド ル が ペ シ ュ メ ル ガ 、 40 億 ド ル が 石 油 会 社 、 残 り が旧政権時代の被害者への補償金だという。 な お 、輸 出 開 始 の タ イ ミ ン グ は 、ト ル コ 向 け 30 万 b/d の パ イ プ ラ イ ン 建 設 完 成 と 軌 を 一 にしている。もともと、パイプラインはガスをフルマラ・ドームからドホークの発電所に 運 ぶ た め の も の だ っ た が 、 KRG も 生 産 会 社 も 、 7 月 に も 原 油 用 に か え ら れ る と し て い る 。 ド ホ ー ク か ら フ ィ シ ュ ハ ブ ー ル ま で は 45km で あ る 。ハ ウ ラ ー ミ 大 臣 は 4 月 23 日 の 議 会 で 、 新パイプラインは 3 ヶ月で完成予定だと語っていた。 ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 は 、 こ の 法 律 に よ っ て 我 々 は バ グ ダ ー ド と の 憲 法 争 議 に お い て 法 的・政 治 的 な レ バ レ ッ ジ を 得 ら れ た と し て い る 。 「イラク予算で受け取っているのは 10.5%だ が 、こ れ は 25 万 b/d に 相 当 す る 。我 々 は 今 や 40 万 b/d を 生 産 し て い る 」と 語 っ た 。 ( Iraq Oil Report, 2013.05.03; Rudaw, 2013.05.05) 2.5.5.10. ト ル コ が ExxonMobil と 契 約 か エ ル ド ア ン 首 相 は 訪 米 の 直 前 の 5 月 14 日 、 ト ル コ の 国 営 石 油 会 社 TPAO が ExxonMobil 47/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 と共同でクルディスタン地域の石油開発を行う合意を結んだと明らかにした。また、別途 KRG と も 合 意 を 結 ぶ こ と も 考 え て い る 旨 語 っ た 。た だ 、ま だ 枠 組 み 合 意 の 段 階 で 、最 終 的 な調印はなされていない模様である。 こ れ に つ い て シ ャ ハ リ ス タ ー ニ 副 首 相 フ ァ イ サ ル・ア ブ ダ ッ ラ 報 道 官 は 同 日 、 「契約は違 法で、憲法に則っていない」と反論した。 訪 米 し た エ ル ド ア ン 首 相 は 、 オ バ マ 大 統 領 と の 会 談 で は KRG の エ ネ ル ギ ー 契 約 に つ い ては、遠回しに話をしただけだった。詳細は、ユルデゥズ・エネルギー相とダニエル・ポ ネマン・エネルギー省副長官との間で話し合われた。報道によると、ユルデゥズ・エネル ギー相はバグダードとの合意があった方がいいことには合意したものの、エルビルとのさ らなる関係構築を否定しなかったという。また、同相は、米国政府はトルコの北イラクへ の 利 害 が イ ラ ク を 分 裂 さ せ る こ と を 懸 念 し て い る が 、そ れ は 逆 だ と 語 っ た 。 「イラクは正常 化すれば分裂しない。正常でない状況になるから分裂する。我々は、イラクの正常化のた めにフォーミュラを作っている」と米国に伝えたとのことである。イラクの石油輸出拡大 を 支 援 し た い と し て 、 イ ラ ク と い つ で も こ の 問 題 を 話 し 合 う 用 意 が あ る と 語 っ た 。( Dow Jones, 2013.05.14; World Bulletin, 2013.05.16; Reuters, MEES, 2013.05.17; Iraq Oil Report, 2013.05.24; Hurriet Daily News, 2013.05.27) 2.5.5.11. ト ル コ 企 業 が 6 鉱 区 に 進 出 KRG は 、ト ル コ 企 業 が 、ニ ナ ワ 県 と サ ラ ー ハ ッ デ ィ ー ン 県 の 係 争 地 に あ る 2 鉱 区 を 含 め 6 鉱 区 を オ ペ レ ー タ し て 開 発 す る こ と を 確 認 し た 。 正 式 発 表 は さ れ て い な い が 、 6 月 18 日 の Iraq Petroleum 会 議 で 配 ら れ た the Oil & Gas Year ’s 2013 ‘Kurdistan Region of Iraq’ yearbook で 明 ら か に さ れ た 。2 鉱 区 は Pulkhana と Jabal Kand で 、KRG が 20%の 権 益 を 保 持 す る 。 ト ル コ 企 業 が 40%、 そ の 他 ノ ン ・ オ ペ レ ー タ が 40%と な る 予 定 だ が 、 ト ル コ 企 業 の 名 前 は ま だ 明 ら か に な っ て い な い 。当 初 は Botas か TPIC 子 会 社 が 参 入 し 、最 終 的 に ト ル コ 政府は半官半民の企業を立ち上げて引き継がせることを検討している、とトルコ政府関係 者は述べた。 両 鉱 区 と も 埋 蔵 量 の 期 待 は 高 い が 、 政 治 的 ・ 治 安 面 の リ ス ク が 大 き い 。 Pulkhana 鉱 区 は か つ て カ ナ ダ の ShaMaran が 契 約 し て い た が 、 2012 年 1 月 に 撤 退 し た 。 Jabal Kand は ExxonMobil が 保 持 す る 2 鉱 区 の 間 に 位 置 し 、 契 約 は 初 で あ る 。 3 月 初 め に エ ル ド ア ン 首 相 と ネ チ ル ヴ ァ ン KRG 首 相 が 広 範 囲 な エ ネ ル ギ ー 協 定 に 署 名 し ている。その中には、石油及び天然ガスのパイプライン各 1 本の敷設、地域の上流開発へ の ト ル コ 企 業 の 直 接 的 な 参 入 、 ExxonMobil6 鉱 区 へ の フ ァ ー ム イ ン 、 が 含 ま れ て い る と い う 。 今 回 の 契 約 に は ExxonMobil 鉱 区 へ の 参 入 は 含 ま れ て い な い 模 様 で あ る 。 他 の 参 入 鉱 区 は Arbat( ExxonMobil の Arbat East の 隣 、 Total の Baranan 鉱 区 の 北 )、 Choman( イ ラ ン 国 境 沿 い )、Hindren(Choman の 南 )。い ず れ も 80%の 権 益 取 得 。残 る 1 つ は Khalakan 鉱 区 と 見 ら れ る 。(( Reuters, 2013.06.18; Iraq Oil Report, 2013.06.19; MEES, 2013.06.21) 2.5.5.12. ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 原 油 パ イ プ ラ イ ン が 9 月 完 成 予 定 KRG は 、ほ ぼ 完 成 済 み の ド ホ ー ク の Sumel 発 電 所 へ の ガ ス・パ イ プ ラ イ ン を ル ー ト 変 更 し て フ ィ シ ュ ハ ブ ー ル 向 け と し て お り 、 あ と 25km で 完 成 で あ る 。 こ れ は 原 油 輸 送 に 振 り 48/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 返られ、9 月にも完成の予定とされている。パイプラインの起点はフルマラ・ドームで、 建 設 は Kar Group が 行 っ て い る 。6 週 間 前 、パ イ プ ラ イ ン は Sumel 発 電 所 の 500m 手 前 だ っ た が 、今 や そ れ を 通 り 越 し て 20km 伸 び 西 へ 向 か っ て い る 。延 伸 に 伴 い 、フ ル マ ラ の ガ ス ・ コンプレッサーはオイル・ポンプに取り替えられるという。 天 然 資 源 省 筋 に よ る と 、連 邦 石 油 省 の メ ー タ リ ン グ・ス テ ー シ ョ ン に つ な が る 予 定 だ が 、 まだルートは最終決定していない。おそらく最終的な行き先は、石油省のメータリング・ ス テ ー シ ョ ン の 向 か い に あ る DNO が 運 営 す る プ ロ セ ッ シ ン グ ・ フ ァ シ リ テ ィ だ ろ う 。 タ ウケ油田からのパイプラインは、そのファシリティからパイプラインでメータリング・ス テーションに接続されている。 な お 、 タ ク タ ク か ら フ ル マ ラ ま で の 80k m は 2012 年 末 に 稼 働 開 始 し て い る 。 パ イ プ ラ イ ン 完 成 後 は 、タ ク タ ク か ら 9 万 b/d、フ ル マ ラ か ら 2.5 万 b/d、タ ウ ケ か ら は 10 万 b/d の 供 給 が 可 能 と な る 見 込 み で あ る 他 、 TAQA や Gulf Keystone、 Afren な ど が 操 業 す る 油 田 か らの供給も見込まれている。 ト ル コ は 、国 内 の パ イ プ ラ イ ン は 160 万 b/d で 稼 働 で き る と し て い る 。DNO の プ ロ セ ッ シ ン グ ・ ス テ ー シ ョ ン も 、 追 加 工 事 を す れ ば パ イ プ ラ イ ン で 150 万 b/d、 ト ラ ッ ク で 5 万 b/d を 処 理 可 能 と い う 。当 面 は 、タ ク タ ク か ら 9 万 b/d、フ ル マ ラ か ら 2.5 万 b/d、タ ウ ケ か ら 10 万 b/d の 21.5 万 b/d 程 度 を 輸 出 で き る 見 通 し と な っ て い る 。( Iraq Oil Report, 2013.05.24; Platts Olgram News, 2013.05.28; MEES, 2013.06.14) 2.5.5.13. ト ル コ ・ エ ネ ル ギ ー 相 は ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 か ら の パ イ プ ラ イ ン 輸 入 を 牽 制 サンクトペテルブルグでの国際経済フォーラムで、ユルドゥズ・トルコ・エネルギー相 は 6 月 20 日 、 ト ル コ の エ ネ ル ギ ー 政 策 は 過 去 10 年 間 か わ っ て い な い と し て 、 ト ル コ 企 業 はイラクの北部でも南部でも将来のプロジェクトにかかわっていく、と語り、クルディス タン地域から早々にパイプラインで原油を輸入するという報道に釘を刺した。イラクから トルコを経由して国際市場に原油を供給するため、イラクとの状況を正常化していく努力 が非常に重要だと語った。 フ ォ ー ラ ム に は ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 も 出 席 し て お り 、 イ ラ ク か ら ト ル コ 向 け の 300 万 b/d の パ イ プ ラ イ ン が 必 要 で あ り 、 う ち 200 万 b/d が ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 か ら 、 100 万 b/d が キ ル ク ー ク な ど 南 部 か ら の 輸 出 に な る だ ろ う と 語 っ て い た 。 ま た 、 ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 内 で は 30 万 b/d の パ イ プ ラ イ ン が 年 内 に 完 成 し 、2014 年 末 ま で に 100 万 b/d に 拡 張 さ れ る と い う 、 前 日 に ロ ン ド ン で 語 っ た コ ミ ッ ト メ ン ト を 繰 り か え し た 。( Platts Oilgram News, 2013.06.21) 2.5.5.14. Chevron、 Total が ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 権 益 拡 大 6 月 下 旬 に Chevron は 、Qara Dagh 鉱 区 の 権 益 を 取 得 し た と 発 表 し た 。同 社 に と っ て 3 鉱 区 目 と な る 。ハ ウ ラ ー ミ KRG 天 然 資 源 相 が 1 月 に Chevron と の 合 意 を 明 ら か に し て い た が 、 Chevron は こ れ ま で コ メ ン ト を 避 け て い た 。Qara Dagh 鉱 区 は 昨 年 、カ ナ ダ の Niko Resources と そ の パ ー ト ナ で あ る Vast Exploration and Groundstar Resources が 撤 退 し て い た 。 ま た 、Total は Baranan 鉱 区 の 80%の 権 益 を 取 得 し た 。残 り 20%は KRG が 保 持 す る 。 ( AFP, 2013.06.17; UPI, 2013.06.19; PIW, 2013.06.24) 49/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 <付表> 付表1:県議会選挙結果 県別・ 政党別獲得議席 法治国家連合 市民連合 サドル派 ダアワ党国内支部 ムッタヒドゥーン アラブ・イラーキーヤ イラーキーヤ 自由イラーキーヤ 白国民ブロック クルド その他(少数派優先枠を含む) 総議席 バグダード バスラ 20 6 8 1 7 3 3 1 9 58 16 6 3 1 1 1 0 7 35 ムサンナ ディカール マイサーン 8 7 3 0 0 8 26 10 7 7 0 7 31 8 6 10 1 0 2 27 ワースィト カーディスィーヤ ナジャフ カルバラ 7 7 5 1 8 28 8 5 4 2 0 2 7 28 5 6 3 0 15 29 7 3 4 0 0 13 27 バービル ディヤーラ 8 7 3 1 12 1 10 1 1 9 31 2 0 0 3 2 29 サラ ーハッディーン 3 5 2 3 7 1 8 29 アンバール 8 4 3 15 30 ニナワ 1 8 3 2 11 14 39 出所:選挙管理委員会 付 表 2: 2013 年 7 月 時 点 の 発 電 量 出 所 : MEES, 2013.06.28 50/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 付 表 3: イ ラ ク ・ ヨ ル ダ ン 原 油 パ イ プ ラ イ ン 地 図 出 所 : MEES, 2013.04.12 51/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 付 表 4: ト ル コ の 対 イ ラ ク ・ エ ネ ル ギ ー 投 資 一 覧 出 所 : MEES, 2013.05.24. 52/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 付 表 5: ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 石 油 ・ ガ ス 鉱 区 出 所 : MEES, 2013.06.21. 53/54 JIME 国別定期報告「イラク」2013 年 4-6 月 付 表 6: 2015 年 の ク ル デ ィ ス タ ン 地 域 の 石 油 生 産 見 通 し 出 所 : MEES, 2013.06.21. 54/54 国 別 定 期 報 告 「 イ ラ ク 」 2013 年 4–6 月 2013 年 7 月 25 日 発 行 無断転載を禁じます 編集発行:一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 104-0054 東 京 都 中 央 区 勝 ど き 1-13-1 イ ヌ イ ビ ル ・ カ チ ド キ Tel: 03-5547-0230 Fax: 03-5547-0229 E-mail: [email protected] URL: http://jime.ieej.or.jp/ ISSN 1347-7676