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スマートシティ岐阜実証事業予備調査 報告書

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スマートシティ岐阜実証事業予備調査 報告書
スマートコミュニティ構想普及支援事業
スマートシティ岐阜実証事業予備調査
報告書
平成 24 年 2 月
岐
阜
市
目
次
目的と方法 ······················································· 1
(1)背景と目的------------------------------------------------------- 1
(2)方法 ------------------------------------------------------------ 3
1.地域における再生可能エネルギー利用調査 ······················· 4
(1)系統連系構成及び電力需給に関する調査 ----------------------------- 4
(2)再生可能エネルギーの種類と賦存状況等 ----------------------------- 6
2.建物実態調査 ················································· 9
(1)目的と方法------------------------------------------------------- 9
(2)エネルギー使用量の実績調査--------------------------------------- 9
(3)建物調査(集積状況)--------------------------------------------- 12
(4)省エネ可能性調査------------------------------------------------- 31
(5)検討対象ケースの設定--------------------------------------------- 34
3.各種エネルギーシステム導入可能性調査 ························· 36
(1)エネルギーシステムの評価----------------------------------------- 36
(2)エネルギー供給体制の検討----------------------------------------- 38
4.エネルギー需給バランス適正化検討調査 ························· 39
(1)基本的な考え方--------------------------------------------------- 39
(2)基本手法の検討--------------------------------------------------- 42
(3)各区分への適用--------------------------------------------------- 42
5.実証可能性調査 ··············································· 54
(1)実証事業可能性の評価--------------------------------------------- 54
(2)実証事業モデルの作成--------------------------------------------- 56
6.スマートシティ岐阜の実現に向けて(スマートシティ岐阜事業化方針) ··· 73
(1)基本的な考え方--------------------------------------------------- 73
(2)事業効果--------------------------------------------------------- 73
(3)展開方針--------------------------------------------------------- 74
資料 ····························································· 77
目的と方法
(1)背景と目的
岐阜市では、
「岐阜市地球温暖化対策実行計画」において、将来都市像として「持続
可能で快適な低炭素都市・ぎふ」を掲げ、エネルギーを地産地消するため、再生可能
エネルギーの活用を目指している。
このような状況のなか、東日本大震災を発端とし、大規模エネルギー供給体制に起
因した災害リスクが懸念されることから、「再生可能エネルギーを最大限活用した省エ
ネ都市」である「スマートシティ岐阜注」の実現が急務となっている。
このため、防災拠点としての機能が期待される公共施設をスマートコミュニティの
基本的要素として位置づけ、再生可能エネルギーの導入推進と域内消費による分散自
立※化した行政施設を確立し、民間施設も含めた有機的なエネルギーネットワークを構
築することが重要となる。
本業務は、スマートシティ岐阜の加速的な推進につなげることを目的とし、複数の
公共施設間における分散自立型エネルギー需給システムの実証事業に向けた予備調査
及びエネルギー融通を視野に入れた民間施設への展開可能性調査を、一般社団法人新
エネルギー導入促進協議会の平成 23 年度「スマートコミュニティ構想普及支援事業」
の補助によって、スマートシティ岐阜実証事業予備調査として実施するものである。
なお、スマートシティ岐阜の絵姿を下図に示す。
注:スマートシティ岐阜
再生可能エネルギーを最大限活用した省エネ都市
本市の恵まれた太陽光や豊富で良質な地下水などの再生可能エネルギーを、賢く、
無駄なく、地産地消するため、実用可能な技術を効率的に活用し、省エネ型ライフス
タイルの転換などと組み合わせ、エネルギーの分散自立化を進め、持続可能で災害に
強い、低炭素化を実現した都市
※:本報告書の「自立」は、再生可能エネルギー等からエネルギーを創出することをいう(=創エネ)
図
1
また、本市及び本市を取り巻く環境として、
○地球温暖化対策の推進
「岐阜市地球温暖化対策実行計画」
(平成 23 年 3 月策定)において、
「低炭素都
市・ぎふ」に向け「エネルギーの地産地消」として再生可能エネルギー資源の活
用を掲げている。
○岐阜市の強み
「長い日照時間」、「豊富で良質な地下水」、「環境保全に取り組む市民」、「大学
の研究力」がある。
○地震の発生リスク
東海地震、東南海地震、南海地震の連動型巨大地震が懸念される。
○東日本大震災の影響
東日本大震災により、福島第一原子力発電所事故及びライフラインの寸断など
が生じたことで、エネルギー供給体制の再構築という新たな課題が発生している。
などが掲げられ、災害に強い分散自立型のエネルギー供給体制の整備が求められるな
か、地球温暖化対策として、再生可能エネルギーを活用していくことは重要である。
なかでも、太陽光発電は、停電中でも「自立運転機能」で発電可能なため災害に強い
とされている反面、制御や出力が不安定などの課題もある。
エネルギーの需給問題や東海地震発生が懸念される中、平時はもとより災害時にお
いても安定的なエネルギー供給を行うため、太陽光発電などによる防災拠点や避難所
施設での分散自立化が急がれている。
このため、再生可能エネルギーの活用や施設間の電気・熱の融通などによる分散自
立型行政モデルの実証事業に向けた予備調査として、隣接する公共施設を対象として、
さまざまな評価項目を踏まえ、実用可能な手法を最適に組み合わせた事業モデルを導
出する。
なお、
「スマートコミュニティ構想普及支援事業」の補助必須要件となる各調査(①
~③)は本報告書にて、次のとおり記載することとする。
①地域における系統連系構成および電力需給に関する調査
⇒1.地域における再生可能エネルギー利用調査
②再生可能エネルギーを含む地域でのエネルギー需給の管理に関する調査
③再生可能エネルギーを地域で効率的に活用するための方策と事業化に関する調査
⇒4.エネルギー需給バランス適正化検討調査、5.実証可能性調査
2
(2)方法
本業務の進め方、検討体制は以下のとおりである。
検討体制
岐阜市
助言
スマートシティ岐阜推進検討会
※
低炭素型都市岐阜創新会議
報告
創新会議 幹事会
意見
創新会議 作業部会
運営
事務局(地球環境課)
指示
回答
運
営
補
助
調査受託者(ランドブレイン(株))
※:その他は「創新会議」と略す
3
1.地域における再生可能エネルギー利用調査
(1)系統連系構成及び電力需給に関する調査
岐阜市の電気は、主に中部電力株式会社(以下「中部電力」という。)が供給してい
る。市内には高圧受電をしている公共施設が多数あり、民間施設も含めると、市域に
は高圧送電線が網状に広がっている。
● 小学校
図 1-1
小学校(高圧受電施設)の分布
平成 22 年に中部電力が新エネルギーなどからの余剰電力として購入したのは
82,927 万 kWh であり、うち太陽光は風力に次ぐ 28,294 万 kWh である。(図 1-2 参
照)
岐阜市域における太陽光発電の導入(設備容量)規模は、平成 22 年度末時点約
6,768kW(岐阜市推計値)であり、戸建て専用住宅に対する割合は約 1.9%である。
市域には大規模な再生可能エネルギーによる発電所がないことから、太陽光の導入
4
率からみても、現時点では電力系統への影響はごくわずかであると言える。
一方、再生可能エネルギー(太陽光)を系統連系することについては、
・逆潮流による配電網の電圧上昇、適正値の逸脱
・出力変動の拡大による周波数調整力不足
・余剰電力の発生による電力需給のインバランス※
※:不安定な状態
などがいわれており、再生可能エネルギーによる自立化を検討(買電しない)するう
えでは、逆潮流の防止対策を確実に行う必要がある。
図 1-2
中部電力の余剰電力買取構成(2010 年)
また、複数の施設間で分散自立型のエネルギー需給システムを構築使用する際には、
電気事業法上の対策等が必要になる。自家発電-自家消費を高圧で送受電する場合は
保安規程に、低圧による場合は電力会社契約約款の1事業所1引き込み規程に、それ
ぞれ対応していく必要がある。
電気事業法
第四十二条 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運
用に関する保安を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、保安を一体
的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組
織における事業用電気工作物の使用(第五十条の二第一項の自主検査又は第五十二
条第一項の事業者検査を伴うものにあっては、その工事)の開始前に、経済産業大
臣に届け出なければならない。
※電気工作物(第二条第十六号)発電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために
設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物(船舶、車両又は
航空機に設置されるものその他の政令で定めるものを除く。)をいう。
5
(2)再生可能エネルギーの種類と賦存状況等
国では、右のとおり再生可能エネルギーを整理して
いる。
(http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/renewable/wind/index.html より作成)
発電分野においては、岐阜市は太陽光発電の条件に
恵まれていることなどから、その導入を積極的に進め
ている。
また、熱利用分野では、豊富で特徴的な地下水を活
用した地中熱利用の検討が進められており、平成 22 年
度には「緑の分権改革」推進事業「地中熱利用可能性
調査」が実施されている。
岐阜県新エネルギービジョン(平成 18 年 3 月岐阜県)において、岐阜圏域の新エネ
ルギーで発電分野の期待可採量として推計しているのは太陽光だけであり、風力、中
小水力、地熱はほとんど 0 である。
このため、以下では太陽光と地中熱について岐阜市の再生可能エネルギー特性をみ
ていく。
①太陽光
岐阜市の日照時間は 2,085 時間/年(昭和 56 年~平成 22 年平均)で、県庁所在地比
較で全国第 9 位と、太陽エネルギーに恵ま
れており、家庭における太陽光発電設備の
普及も進展している。
(気象庁観測部観測課
統計室「日本気候表」、気象庁気象統計情報)
平成 22 年度には「緑の分権改革」推進事
業「岐阜駅周辺施設における太陽光発電導
入可能性調査」を実施し、公共施設への太
陽光発電の設置可能性が検討された。
資料:岐阜地方気象台
図 1-3
岐阜市の気象条件等
資料:岐阜市資料、住宅・土地統計調査
図 1-4
岐阜市内の太陽光発電導入率の推移
6
岐阜県次世代エネルギービジョン(平成 23 年 3 月)では、岐阜市における太陽光発
電の期待可採量は年間 1,126,915 千 kWh としている。
東部クリーンセンターの年間発電量の約 30 倍に相当するが、市内の太陽光発電設備
の導入規模は約 6,768kW で、kW 当たりの年間発電量は約 1,000kWh/kW といわれて
いることから、約 6,768 千 kWh が見込まれ、期待可採量の 1%に満たない。
岐阜市資料
図 1-5
岐阜市内の太陽光発電導入規模の推移
②地中熱
岐阜市では、長良川の地下に潜り込んだ水が市街地の地下をゆっくり流れ、夏の水
が冬に、冬の水が夏にそれぞれ市街地エリアに到達していると言われており、大きな
特徴となっている。平成 22 年度「緑の分権改革」推進事業「地中熱利用可能性調査報
告書」では、岐阜市市街地における長良川からの地下水涵養量は 1,300~1,600 千㎥/day
程度が期待できるとしている。
また、その特徴から、地中熱を活用した空調利用が有力候補であり、周辺環境への
影響も小さいとしている。
表 1-1
地中熱利用に伴う周辺環境への影響
影響項目
影響評価結果
地 下 水 位 ・地下水の汲み上げに伴う周辺地下水位低下への影響は、長良川周辺の市
街地部では非常に小さい。
・特に、長良川左岸から岐阜駅周辺地域にかけての市街地部では、3~5 ㎥
/min 程度の揚水量に対して、揚水井から 100m 付近の隣接地では 0.5m
以下の水位低下量であり、既設井戸への影響は非常に小さい。
・同様の傾向は、比較的大きな透水性を示す市街地周辺部についても適用
でき、地中熱利用に際して必要な地下水の汲み上げに伴う周辺地下水位
低下への影響は小さい。
7
影響項目
水
温
水
質
影響評価結果
・実証調査資料によれば、放流水による排水路等への水温の影響は、河川
流量や支川の合流状況によっても異なるが、比較的短い区間で平温化の
傾向を示しており、地中熱利用の結果排出される放流水の水温の影響は
小さい。
・放流による排水路内の水温上昇に起因した地中温度上昇は確認されてお
らず、放流に伴う周辺地盤の地中温度への影響が表面化する可能性は非
常に小さい。
・地中熱ヒートポンプでの熱交換後に排出される放流水には、システム内
での大きな水質変化は予測されず、揚水時の地下水質が維持されるもの
と評価できる。
さらに、2 次的利用として以下をあげている。
・排熱利用による給湯機能を付加したヒートポンプ、貯湯槽と、深夜電力を利用し
た給湯
・消防用水利や災害時の緊急用水源としての活用
・冬季における融雪水としての利用
・夏季における路面や花壇等への散水用としての利用
・都市河川等への放流による河川の維持流量の確保と水質改善
8
2.建物実態調査
(1)目的と方法
調査対象公共施設を以下の視点から選定していくため、建物の実態調査を行った。
①立地状況
岐阜市が複数の公共施設間でエネルギー融通をし、自立化に向けて取り組み、実現
できれば、その方法を基本にした民間での取り組みも期待でき、スマートシティ岐阜
の実現につながる。
できる限り容易にエネルギー融通ができる条件を備えるため、公共施設の集積度を
評価の視点に設定し、その立地状況を調査した。
②防災拠点としての機能性
岐阜市では、防災拠点としての機能が期待される公共施設をスマートコミュニティ
の基本的要素として位置づけており、岐阜市地域防災計画等における位置づけ、災害
時の施設の役割などを評価の視点に設定した。
③エネルギー消費量
太陽光発電は、既存の系統電力を代替え・補完するものとして期待されるが、必要
量と設置面積は比例関係にあることから、導入効果を高めるためには、エネルギー需
要をスリム化する必要がある。省エネルギー化の可能性なども勘案して対象施設を設
定していくため、エネルギー消費量を調査した。
④施設特性
本業務は、複数の公共施設間における分散自立型エネルギー需給システムの実証事
業に向けた予備調査としての役割もあり、限られた財政のなかで効率的な事業を実施
していく必要がある。
岐阜市では公共施設への太陽光発電の設置を積極的に進めており、これらを有効に
活用していくため、太陽光発電の導入状況や計画などを評価の視点に設定し、調査を
行った。
(2)エネルギー使用量の実績調査
建物調査(集積状況)と並行し、約 100 の公共施設について、エネルギー使用量を
調査した。
また、岐阜市では、小学校と公民館を地域コミュニティの基幹的施設として一体的
に整備していることが多く、小学校は指定避難所、公民館は地域の防災拠点として位
置づけられるなど、有力な対象施設である。
このため、1日の消費電力の時間変動状況を調査した。結果は以下に示すとおりで
あり、実証事業の対象となった本郷公民館は本郷小学校に比べて電気消費量は小さく、
太陽光による自立化の可能性も期待できる。
また、実証事業の対象候補となった南部コミュニティセンターについても、同様に
調査してまとめた。
9
小学校
公民館
図 2-1
本郷小学校・本郷公民館の消費電力の時間変動状況
10
図 2-2
南部コミュニティセンターの消費電力の時間変動状況
11
(3)建物調査(集積状況)
岐阜市固定資産一覧による約 620 施設をもとに、岐阜県の県域統合型GISを用い
て集積状況を調査した。また、太陽光発電の設置状況、計画を調査した。
①小学校
一次避難所のうち、食料や生活用品を備蓄している指定避難所である小学校周辺の
施設集積状況は、以下のとおりである。
1.岐阜小学校
2.明徳小学校
公民館重複
青少年会館
公民館重複
公民館
消防分団重複
3.徹明小学校
200m
4.白山小学校
公民館
分団本部重複
200m
公民館重複
5.梅林小学校
6.本郷小学校
200m
200m
公民館重複
12
公民館
分団本部重複
7.華陽小学校
8.本荘小学校
200m
200m
公民館重複
9.日野小学校
10.長良小学校
200m
200m
公民館重複
11.島小学校
12.三里小学校
200m
200m
公民館重複
公民館重複
13
13.鷲山小学校
14.木之本小学校
200m
200m
公民館重複
公民館重複
15.加納小学校
16.加納西小学校
200m
200m
公民館重複
17.則武小学校
18.長森南小学校
200m
200m
公民館重複
14
公民館
児童センター重複
19.長森北小学校
20.常磐小学校
200m
200m
公民館重複
21.木田小学校
22.岩野田小学校
200m
200m
公民館重複
23.黒野小学校
24.方県小学校
200m
200m
公民館重複
15
25.茜部小学校
26.鶉小学校
200m
200m
27.七郷小学校
28.西郷小学校
200m
200m
29.市橋小学校
30.岩小学校
200m
200m
公民館重複
16
31.鏡島小学校
32.厚見小学校
200m
200m
公民館重複
公民館
分団本部重複
33.長良西小学校
34.早田小学校
200m
200m
公民館重複
35.且格小学校
36.芥見小学校
200m
200m
公民館重複
17
37.合渡小学校
38.三輪南小学校
200m
200m
公民館重複
39.三輪北小学校
40.網代小学校
200m
200m
公民館重複
41.城西小学校
42.藍川小学校
200m
200m
18
43.長良東小学校
44.長森西小学校
200m
200m
公民館重複
45.芥見東小学校
46.岩野田北小学校
200m
200m
公民館重複
47.長森東小学校
48.柳津小学校
200m
200m
公民館重複
19
②中学校
小学校に次いで施設数が多い中学校周辺の集積状況は、以下のとおりである。
1.伊奈波中学校
2.明郷中学校
3.本荘中学校
4.梅林中学校
5.加納中学校
6.長森中学校
g
20
7.長良中学校
8.島中学校
9.岩野田中学校
10.精華中学校
11.藍川中学校
12.三輪中学校
21
13.岐北中学校
14.厚見中学校
15.青山中学校
16.陽南中学校
17.藍川東中学校
18.岐阜西中学校
22
19.藍川北中学校
20.長森南中学校
21.東長良中学校
22.境川中学校
23.岐阜中央中学校
23
③コミュニティセンター
複数の小学校区単位で設置されるコミュニティセンターは、公民館の上位施設とし
ても位置づけることができ、災害時の拠点にもなり得る。周辺の施設集積状況は以下
のとおりである。
1.東部コミュニティセンター
2.西部コミュニティセンター
200m
200m
文楽園重複
3.北部コミュニティセンター
4.南部コミュニティセンター
200m
200m
長寿園重複
南部東事務所
陽楽園重複
5.日光コミュニティセンター
200m
6.長森コミュニティセンター
日光事務所
児童センター重複
200m
青少年会館重複
24
7.市橋コミュニティセンター
8.北東部コミュニティセンター
200m
200m
保健センター重複
9.ハートフルスクエアーG
200m
消費生活センター
図書館分館重複
25
④その他
上記施設以外の一次避難所とその周辺の施設集積状況は、以下のとおりである。
1.薬科大学
2.早田教育集会所
3.岐阜中央公民館分館
4.科学館
5.歴史博物館
6.北青少年会館
26
7.青山青少年会館
8.教育研究所
9.西部福祉会館
10.文化センター
11.市民会館
12.長良川国際会議場
27
13.旧岐阜養護学校小・中学部
14.岐阜産業会館
15.北部体育館
16.西部体育館
17.岐阜ファミリーパーク体育館
18.北西部体育館
28
19.岐陽体育館
20.岐阜競輪場
29
柳津エリアの集積状況
東栄会館
東部防災施設
柳津東保育所
本郷会館
ライフポート柳津
柳津公民館
柳津保育所
北塚会館
南塚会館
南部スポーツセンター
高齢者福祉センター
佐波保育所
境川中学校
宮下コミュニ
ティ会館
宮上ふれあい会館
生涯学習センター
もえぎの里
高桑コミュニ
ティ会館
西部防災施設
30
(4)省エネ可能性調査
学校を中心に、会館、その他の施設について省エネルギー化の可能性を調査した。
詳細ではないが、各施設でのエネルギー消費特性などをみながら、過去の省エネ診
断結果をもとに省エネルギー化の可能性を検討した。
主要な改善メニューは以下のとおりである。
■学校等
窓際昼光センサー -------- 削減可能性率 1.0%(電気)
照明器具の高効率化 ---------------------- 7.3%(電気)
トイレに人感センサー ------------------- 1.3%(電気)
BEMSの導入 ---------------------------- 2.0%(電気)1.1%(灯油)
■会館等
照明器具の高効率化 ----- 削減可能性率 3.0%(電気)
トイレに人感センサー ------------------- 1.3%(電気)
白熱灯を LED に -------------------------- 1.1%(電気)
空冷 EHP のトップランナー化 ------- 15.1%(電気)
熱源機の高効率化 ------------------------- 3.2%(電気)、19.2%(A重油・灯油、ガス)
空調の CO2 制御 --------------------------- 1.7%(電気)
冷却水ポンプに INV---------------------- 1.9%(電気)
省エネベルト ------------------------------- 0.5%(電気)
BEMSの導入 ---------------------------- 1.9%(電気)、3.4%(A重油・灯油、ガス)
個別の省エネルギー可能性は、次頁表に示すように、いずれも省エネルギー効果は
少ない。
31
表 2-1
各施設のエネルギー消費量と省エネルギー可能性
名称
岐阜小学校
明徳小学校
徹明小学校
白山小学校
梅林小学校
本郷小学校
華陽小学校
本荘小学校
日野小学校
長良小学校
三里小学校
木之本小学校
加納小学校
加納西小学校
長森北小学校
黒野小学校
方県小学校
厚見小学校
早田小学校
合渡小学校
三輪北小学校
藍川小学校
長良東小学校
岩野田北小学校
長森東小学校
明郷中学校
梅林中学校
加納中学校
藍川中学校
厚見中学校
岐阜西中学校
金華公民館
明徳公民館
徹明公民館
梅林公民館
本郷公民館
華陽公民館
本荘公民館
日野公民館
長良公民館
三里公民館
木之本公民館
加納東公民館
加納西公民館
黒野公民館
方県公民館
西郷公民館
厚見公民館
早田公民館
合渡公民館
三輪北公民館
藍川公民館
長良東公民館
長森東公民館
岩野田北公民館
東部コミュニティセンター
西部コミュニティセンター
北部コミュニティセンター
南部コミュニティセンター
日光コミュニティセンター
長森コミュニティセンター
市橋コミュニティセンター
北東部コミュニティセンター
ハートフルセンター
じゅうろくプラザ
岐阜市駅西駐車場
電気
都市ガス
kWh
㎥
101,496
21
140,851
66
140,851
31
122,384
71
126,692
46
115,642
35
132,310
33
166,980
59
117,189
63
197,851
10
138,676
37
122,197
28
166,959
19
130,678
1,462
96,762
44
198,151
102,930
161,694
126
148,827
32
119,343
128,146
113,103
42
190,358
119
147,705
125,070
519
106,356
42
172,732
437
165,682
529
137,796
131,309
767
205,156
39
35
30
31,446
18
11,047
28
14,336
16
41
23,180
37
12,194
45
44,537
13
9
16
15,103
3,981
1,105
18,167
10,648
16
13,893
23
11,753
10,508
16,642
21
8,829
7
12,279
126,379
107,971
97,996
140,904
45
117,841
48
150,416
253
233,116
31,431
219,456
968,030
97,029
1,305,912 138,273
995,444
LPガス
㎥
A重油
ℓ
灯油
ℓ
700
520
640
305
990
580
938
1,055
1,755
1,338
942
1,065
21
7
7
23
2
410
1,326
966
821
995
1,203
839
886
1,640
1,003
491
838
1,248
362
1,470
500
1,290
5,623
10,000
16,240
3,195
3,785
4,370
5,359
4,098
15,970
84
19
79
10
2
3,578
6,374
0
0
4
5,785
4,099
5,813
4,895
4,098
6,921
3,855
4,024
4,470
4,798
32,400
2
1
14
17
54
35
29
64
32
29,000
21,100
28,000
34,500
28,500
エネルギー消費量(MJ) 省エネルギー
可能性率
現状
改修後
1,012,876
895,495
11.6%
1,433,005 1,269,826
11.4%
1,424,789 1,261,683
11.4%
1,246,922 1,105,125
11.4%
1,276,424 1,129,779
11.5%
1,190,894 1,056,752
11.3%
1,341,935 1,188,681
11.4%
1,701,924 1,508,430
11.4%
1,209,991 1,074,034
11.2%
2,039,584 1,810,057
11.3%
1,434,118 1,273,197
11.2%
1,254,159 1,112,456
11.3%
1,704,541 1,511,019
11.4%
1,370,107 1,218,976
11.0%
982,497
870,425
11.4%
2,026,566 1,796,866
11.3%
1,061,812
942,382
11.2%
1,648,016 1,460,682
11.4%
1,521,789 1,349,266
11.3%
1,242,560 1,104,052
11.1%
1,310,334 1,161,792
11.3%
1,162,085 1,030,922
11.3%
1,963,531 1,742,716
11.2%
1,517,525 1,346,296
11.3%
1,288,837 1,143,993
11.2%
1,093,056
969,715
11.3%
1,788,037 1,587,765
11.2%
1,689,464 1,497,704
11.4%
1,428,825 1,268,868
11.2%
1,362,783 1,210,719
11.2%
2,094,537 1,856,750
11.4%
207,974
161,336
22.4%
368,380
285,438
22.5%
910,353
706,681
22.4%
228,683
177,953
22.2%
282,575
219,737
22.2%
162,265
126,019
22.3%
429,482
334,190
22.2%
272,175
211,439
22.3%
588,169
455,711
22.5%
444,632
346,944
22.0%
131,727
102,050
22.5%
234,662
181,795
22.5%
333,703
259,190
22.3%
11,017
8,593
22.0%
393,434
305,605
22.3%
257,001
199,648
22.3%
214,073
165,859
22.5%
319,218
248,145
22.3%
267,782
208,012
22.3%
358,867
278,415
22.4%
308,365
239,889
22.2%
237,133
184,392
22.2%
164,371
127,296
22.6%
300,242
233,513
22.2%
2,454,544 1,908,612
22.2%
22.3%
2,213,940 1,720,855
1,754,347 1,364,395
22.2%
2,434,483 1,893,186
22.2%
2,443,233 1,898,610
22.3%
2,557,236 1,990,928
22.1%
3,769,993 2,931,919
22.2%
2,194,502 1,713,147
21.9%
14,114,593 11,783,657
16.5%
19,380,501 16,159,282
16.6%
9,924,577 9,626,839
3.0%
表 2-1
(つづき)
名称
岐阜産業会館
岐阜市民会館
岐阜市文化センター
岐阜市勤労会館
長良川国際会議場
サンライフ岐阜
岐阜市道の駅柳津交流センター
東栄会館
本郷会館
北塚会館
南塚会館
宮上ふれあい会館
宮下コミュニティ会館
高桑コミュニティ会館
みやこ老人センター
柳津高齢者福祉センター
和楽園
三楽園
三田洞神仏温泉
友楽園・白杖園
天満ホーム
ふれあいの館「白山」
サンフレンドうずら・児童センター
サンフレンドみわ・児童センター
加納児童センター
みやこ園
市民福祉活動センター
電気
都市ガス
kWh
㎥
829,987
441
366,370
31,694
813,144
43,467
10,725
28
1,358,856 133,817
51,499
7,725
75,911
5,444
6,516
7,997
10,583
10,628
10,370
11,928
116,395
46,535
20,525
7,267
210,050
21,957
89
30,624
101
231,004
56,653
34,598
76,487
129,334
LPガス
㎥
A重油
ℓ
41,782
5
3
2
3
8
9
50
24
102
51
76
199
33
125,500
エネルギー消費量(MJ) 省エネルギー
現状
改修後
可能性率
9,928,931 8,421,465
15.2%
5,110,633 4,280,721
16.2%
10,106,528 8,543,979
15.5%
108,216
93,276
13.8%
19,703,376 16,456,167
16.5%
868,795
675,528
22.2%
756,833
590,329
22.0%
54,787
42,846
21.8%
64,965
50,672
22.0%
80,036
62,495
21.9%
105,716
82,504
22.0%
106,267
82,956
21.9%
104,205
81,459
21.8%
119,840
93,677
21.8%
1,165,549
910,248
21.9%
30,600 1,589,370 1,233,498
22.4%
204,634
159,615
22.0%
72,452
56,513
22.0%
5,964 7,230,559 5,785,193
20.0%
223,005
174,845
21.6%
309,967
242,797
21.7%
2,303,110 1,796,426
22.0%
564,830
440,568
22.0%
350,142
274,255
21.7%
4,489
172,496
135,263
21.6%
762,575
594,809
22.0%
1,298,614 1,014,933
21.8%
灯油
ℓ
(5)検討対象ケースの設定
①ケースの設定
スマートコミュニティの基本的要素となる防災拠点は、岐阜市地域防災計画(平成
23 年度)で避難所として位置づけられている施設から設定していく必要がある。
主要な避難所は下表の約 180 施設であり、災害時における地域での役割などを踏ま
え、以下のように公共施設の組み合わせケースを設定した。施設の諸元に使用したデ
ータは、岐阜市固定資産一覧である。
表 2-2
主要な避難所
区
分
施設数
小学校
48
中学校
22
幼稚園・保育所等
8
高校・大学
3
備
考
指定避難所
特別支援学校
公民館
50
地域災害対策本部が設置
コミュニティセンター等
20
集会所、公民分館、柳津町内会館等
会館等
17
科学館、博物館、ドリームシアター など
体育館等
11
スポーツセンター、少年自然の家、ライフポート柳津 など
計
179
指定避難所:避難所のうち、災害用備蓄食料、簡易トイレ等避難生活に必要な
物資が備蓄してある避難場所
ケース1:小学校グループ
小学校は、地域生活圏の代表的な施設で、食料や避難生活に必要な物資が備
蓄される指定避難所になっている。大半が、2.(3)建物調査(集積状況)で
示すとおり、災害発生時には地域災害対策本部が設置される公民館と隣接して
いる。
施設数も多く、成功例をつくることによる波及効果も期待できるなど、最も
代表的な組み合わせとして設定する。
ケース2:コミュニティセンターグループ
複数の小学校区単位で設置されるコミュニティセンターは、事務所と一体的
に整備されていることが多く、施設の集積度も高いことから、小学校グループ
に次ぐケースとして設定する。
ケース3:駅周辺施設グループ
1日3万人弱※の乗車人数のある岐阜駅は岐阜市の顔の一つであり、実証実験
をした時のアピール効果が期待できるほか、災害時には多くの帰宅困難者の発
生が予想されるなど、エネルギーの自立的システムの構築効果が大きいと考え
られることから、検討ケースの一つに設定する。
※:平成 21 年度:岐阜市統計書より
34
ケース4:一般廃棄物処理施設グループ
廃棄物発電は、廃棄物焼却に伴い発生する高温燃焼ガスによりボイラで蒸気
を作り、蒸気タービンで発電機を回すことにより発電するシステムに代表され、
(1)発電に伴う CO2 等の追加的な環境負荷がない、
(2)新エネルギーなどの中
では連続的に得られる安定電源である、(3)発電規模は小さいが電力消費地に
直結した分散型電源である-等の特徴を有している。
このため、廃棄物発電を行っている東部クリーンセンターを、発電の地域利
用について検討する対象として設定する。
②優先性の検討
多数の施設がある小学校グループ、コミュニティセンターグループについては、以
下のとおり優先性を検討した。
ア)小学校グループ
小学校グループでは、太陽光発電が設置済みで公民館が隣接する組み合わせとし
て、公民館が公道を挟まず小学校と同一建物ではない岐阜小学校が、太陽光発電の
設置予定のなかでは本郷小学校が有力候補となった。
岐阜小学校に設置されている太陽光発電は 10kW で、小学校で標準的に設置が進
んでいる 20kW にする余地が見込めず、金華公民館は小学校と一括受電されている
ことから、小学校と公民館の組み合わせとして必ずしも標準的なものとは言えない。
一方、太陽光発電設備の設置が予定されている本郷小学校は、公民館にも太陽光の
設置余地がある。このため、小学校グループでは、本郷小学校・本郷公民館が実証
事業に最もふさわしい組み合わせと言える。
イ)コミュニティセンターグループ
コミュニティセンターグループは、周辺に市有施設が集積等している場合が多い
が、多くは公道を介している。
太陽光発電が設置済みの施設は北東部コミュニティセンターのみであるが、他の
市有施設は一体であり、隣接・近接して市有施設の集積がない。
隣接等する用途の多様性、集積度の点から、南部と東部の各コミュニティセンタ
ーが有力候補として挙げられ、南部コミュニティセンターは隣接して一般的に熱需
要の大きい病院等が立地している。
このため、コミュティセンターグループでは、南部コミュニティセンター・加納
中学校等が実証事業に最もふさわしい組み合わせと言える。
35
3.各種エネルギーシステム導入可能性調査
(1)エネルギーシステムの評価
2.建物実態調査に基づき、再生可能エネルギーを効率的に活用するための方策と
して、以下のエネルギーシステムの導入の意義や見込まれる効果などを検討した。
結果は下表に示すとおりである。
表 3-1
区
分
各種エネルギーシステム等の導入に関する評価
評
価
太陽光発電
岐阜市は、日照時間が長く、発電システムを積極的に導入している。
また、後述するように、電力需給に適切に対応していくことが求めら
れていることから、再生可能エネルギー活用の基本とすべきシステム
である。
太陽熱利用
太陽熱は、入浴や暖房用の温水のために活用されており、年間を通じ
て活用していくためには入浴等(公共施設では病院など)による大き
な温水需要のある施設で有効である。
設置場所は、太陽光発電と競合することが多いため、場所の問題など
も含めて活用していくべきシステムである。
地中熱利用
岐阜市の地下水は、夏に冷たく、冬に温かいという貴重な特性があり、
岐阜市ならではの再生可能エネルギーの活用を展開できる可能性が
あることから、積極的に導入を図るべき再生可能エネルギーである。
ヒートポンプによる空調利用のほか、夏季の空調機器などの冷却水や
冬季の温水源など、エネルギー需要に応じて様々に活用していくべき
資源である。なお、東海地方の企業に水冷・空冷併用型HPの製造例
があるが、汎用製品に比べて価格や信頼性などの面で課題がある。
燃 料 電 池
燃料電池は、水素と酸素のもつ化学エネルギーを電気に変換する発電
設備のことで、二酸化炭素を排出しないエネルギーシステムである。
ガスを燃料とした家庭用燃料電池は実用化されているものの、民生・
業務用には発電量 100kW の大型機器しかないことに留意する必要が
ある。
蓄
池
再生可能エネルギーの不安定性をカバーする設備として期待される
が、電気エネルギーを蓄えることが目的化すると容量が巨大化するこ
とから、利用方法の十分な検討が必要。
また、様々なタイプが用途に応じて実用化されているが、使用方法と
コストに注意が必要。
(表 3-2 参照)
熱
再生可能エネルギーで得られた熱を蓄えておくシステムとしては、上
記の熱利用の方法や使用時間とあわせて検討していくべきシステム
である。
一方、省エネルギー手法として、氷(潜熱)蓄熱、温度差蓄熱などが
あげられるが、氷(潜熱)蓄熱は、昼間完全に氷を解かす運転技術が
必要であり、温度差蓄熱は、通常水深 10m以上の縦に深い蓄熱槽を
利用するため設置場所が限られることに注意する必要がある。
蓄
電
36
区
分
評
価
B E M S
エネルギー消費量や、負荷変動(電力・冷暖房負荷等)を記録すること
で各機器の最適運転時間の分析や、記録を蓄積することで、学習機能
を持たせ、負荷変動の予測等も分析でき、より省エネ運転が可能とな
る。また二酸化炭素排出量や、一次エネルギー消費量の変化等を可視
化でき、環境教育にも使用できるシステムで、さらに BEMS をシス
テム化することで多棟管理や、棟ごとの遠隔管理なども可能になる、
発展的なシステムである。
スマートメーター
次世代型メーターと言われるもので双方向情報伝達・制御(デマン
ド・レスポンス)が可能なシステムである。スマートシティ構想には
最重要な機器で、将来的には HEMS とネットワーク化することによ
って家電一台一台の稼働状態監視まで可能になり、より節電や省エネ
に寄与できる。
表 3-2
蓄電池の種類と特徴等
充放電効率 サイクル
(%)※1
数※2
蓄電池の種類
電池コス ト
鉛蓄電池
5万円/kWh
87
4,500
リチウム蓄電池
20万円/kWh
95
3,500
NaS電池
2.5万円/kWh
90
4,500
ニッケル水素電池
10万円/kWh
90
6,000
エネルギー
密度※3
特 徴
○利用実績が豊富(信頼性が高い)
○メンテナンスが容易
×寸法が大きく、重い(低いエネルギー密度)
○小型で高いエネルギー密度
○大電流を放電可能
120Wh/㎏
×電池コストが高い
×大容量化に課題
○耐久性に優れ、電池コストが安い
○比較的高いエネルギー密度
110Wh/㎏
×高温の温度調整が必要
×危険物としての扱い
○過充電、過放電に強い。
○長寿命が期待
60Wh/㎏
×自己放電が比較的大きい。
×大容量化の障害(100Ah 級が限界)
35Wh/㎏
※1:充電を 100 として放電できる割合
※2:充放電1回を1サイクルとする電池寿命
※3:1㎏当たりに蓄電できる電力量
37
(2)エネルギー供給体制の検討
本業務では、スマートシティ岐阜における公共施設の基本的要素として、再生可能
エネルギーを活用しつつ、施設間の電気・熱の融通などによる分散自立型モデルを構
築していくことが求められており、現時点でこれに最も近い施設構成は、小学校と公
民館の組み合わせである。
具体的には後述するように、一定規模の太陽光発電の設置の容易性、地域の防災拠
点としてエネルギーの自立化が求められる施設がエネルギー消費が小さい施設である
ことが、最も大きな要因と言える。
公民館の自立化をわかりやすい形で示すには、系統受電している状態から、連携す
る公共施設と繋がることで、独立的にしていく必要があり、表 3-1 のシステム評価結
果から、再生可能エネルギーを最適に供給していく体制として、以下が考えられる。
系統切り離し
BEMS など
小中学校
公民館
太陽光発電
蓄電池
廃棄物発電
熱の融通・活用
地下水
病院など
電気の融通
燃料電池など
移動体によるエ
ネルギー搬送
図 3-1
スマートシティ岐阜構築のための基本的構成要素
各システムがどの施設に設置されるかは個別の条件に委ねることになるが、地域の
なかで構成要素の集積を進め、繋げていくことでスマートシティを構築していく。
図 3-2
スマートシティ岐阜構築に向けた展開イメージ
38
4.エネルギー需給バランス適正化検討調査
(1)基本的な考え方
①課題の整理
スマートシティ岐阜を目指すうえで、特に重点的に考えるべき課題は次の 3 点であ
る。
課題1
地球温暖化の顕在化
・民生業務部門の二酸化炭素排出量増加
岐阜市は、2002 年に「環境都市宣言」を行い、2007 年 3 月に「岐阜市地球温暖
化対策指針」を策定し、京都議定書における温室効果ガス削減目標の達成に向け
て、いち早く対策に取り組んできたが、民生業務部門の CO2 排出量は増加してお
り、効果的な削減対策が求められている。
課題2
電力需給のひっ迫
・特定時間帯の電力集中
民生業務部門のほか、岐阜市では1世帯当たりのエネルギー消費の増加や世帯数
の増加も加わり、民生家庭部門でも CO2 の排出量が増加している。また、その背
景ともなる現代生活に必要不可欠な電力は、ピークに合わせた供給体制を構築せ
ざるを得ないため、需給のミスマッチなどによる効率性の低下や供給のひっ迫な
どが発生している。
課題3
大規模エネルギー供給体制へのリスク集中
・災害時の供給システム崩壊、防災拠点の低機能
東日本大震災に伴い、エネルギー供給面では、大規模な集中的エネルギー供給体
制が、応急対策のみならず、避難生活などの面にも大きな影響を与えた。このた
め、地域の防災拠点と言われるものが、非常時にも一定の機能が確保できるよう
にしていくことが急務になっている。
②対策の考え方
上記の課題を踏まえ、エネルギーバランスを適正化していくうえでの対策の考え方
を次のように設定する。
・地球温暖化の抑制・防止を進めていくためには、化石燃料起源のエネルギー利用を
抑制していくことが必要かつ重要。
・化石燃料を使わないことに加え、効率的にすることで生活水準等を維持。
・特定時間帯の電力集中の緩和、解消のためには、エネルギー利用の買電力量を平準
化することが必要。
・災害時において電力を中心としたエネルギーを確保していくことは、円滑な応急活
動のほか、市民生活を維持していくためにも重要。消費電力量の削減。
・エネルギーの自立化。
39
・エネルギーの多様化。
図 4-1
対策の考え方
岐阜市では、前述の対策の考え方を要素として広く市域に備えていくことを「分散
自立型エネルギーシステムの構築」と定義し、それが市域全体に波及したものを「ス
マートシティ岐阜」と称するものである。
このため、課題に対する対策(要素)を下表のとおり設定し、その実現性を見極め
つつ実証事業を実施し、広く波及させていくための条件を明らかにしていく。
表 4-1
対策と課題の関係
課題1
課題2
1 エネルギー利用の抑制
○
○
2 エネルギー利用の効率化
○
要
素(対 策)
3 エネルギー利用の平準化
課題3
○
4 エネルギーの自立化
○
5 エネルギーの多様化
○
また、対策の具体的手法は、以下を想定する。
○再生可能エネルギーの最大限活用
岐阜市の特徴である太陽光発電の普及を進めるとともに、地下水(熱)の空調利
用(HPなど)、発電(小水力)など、活用可能な手法を導入して再生可能エネルギ
ーを最大限活用していく。
○省エネルギー
これまでの省エネルギー化は、熱源対策が中心であり、特に学校では省エネルギ
40
ー化は遅れがちであったことから、照明のLED化を積極的に進めるとともに、エ
ネルギーマネジメントによる運用面でのエネルギー削減に取り組み、エネルギー利
用のスマート化を進める。
○エネルギー利用効率の向上
不安定な再生可能エネルギーの補完、非常時に備えた多様なエネルギー供給体制
を確立していくために、ガスコージェネレーション、燃料電池などの自立的エネル
ギー供給手法が必要となるが、排熱等の需要条件、活用体制の確立などと合わせ、
利用効率をあげながら導入を進める。
○エネルギーの蓄積
災害時において必要最低限の電気の確保を図るとともに、需要最大時に効率的に
再生可能エネルギーを投入して平準化を進めるため、適切な規模の蓄電池を導入す
る。
○エネルギー需給管理
岐阜市における太陽光の発電状況を的確に把握するとともに、将来予測が可能な
情報を蓄積し、省エネルギー化の効果を測定、監視しながら、エネルギーの需給調
整体制を構築していくため、エネルギー管理を推進する。
○エネルギーの融通
異なる最大負荷時の施設を一体的に運用することによるピークカットのほか、複
数の施設を一体的にエネルギー管理することによる効率化を図る、エネルギーの施
設間融通を積極的に進める。
これら各手法と要素(対策)の関係は、以下のとおりである。
表 4-2
手法と要素(対策)の関係
要素(対策) 要素1
手法
要素2
再生可能エネルギーの最大限活用
省
エ
ネ
ル
ギ
ー
○
ネ
ル
ギ
ー
の
蓄
エ
ネ
ル
ギ
ー
の
融
○
積
エ ネ ル ギ ー の 需 給 管 理
通
41
要素4 要素5
○
○
○
エネルギー利用効率の向上
エ
要素3
○
○
○
○
(2)基本手法の検討
上記の基本的な考え方のほか、3.各種エネルギーシステム導入可能性調査結果を
踏まえ、エネルギー需給バランスを最適化していく基本手法を、次のとおり設定する。
○太 陽 光 発 電:設置可能量に基づいて最大量を導入することが望まれるが、実証
事業に向けては、これまでの岐阜市での取り組みを活かしていくた
めに設置済みの施設を重視し、設置する可能性の高い施設と計画に
基づいて規模等を設定する。
○蓄
電
池:災害時に必要な規模を基本原則とし、再生可能エネルギーによる
発電量とバランスをとりながら、効率的な規模を設定する。
○燃 料 電
池:太陽光発電の補完、買電力のピークカットや平準化が主目的であ
り、大量の熱需要がある公共施設は限られていることから、燃料電
池の普及状況も鑑みながら、ガスコージェネレーションと比較して
適切な手法を採用する。
○地 中 熱 利 用:ヒートポンプ による空調利用のほか、空調機器などの冷却水、温
水源といった機械的利用にとどまらず、夏季の打ち水(散水)
、冬季
の融雪利用など、エネルギー需要に応じて多様な活用を図る。
○監視・制御システム:エネルギー利用のスマート化を進めるためには、再生可能エネル
ギー(太陽光発電)の状況を的確に把握することが基本条件である。
また、これらエネルギーを蓄放電しながら、効率化を進めていくた
め、一定の制御機能をもったシステムの導入を進める。
○省
エ
ネ:照明機器の更新を必須とし、熱源機器の状況に応じた更新、空調
関連機器の高効率化等を進める。
(3)各区分への適用
基本的な考え方に基づき、2.建物実態調査で設定した4つのケースについて、買
電力の平準化、相互融通の可能性や方法に関する検討結果は、以下のとおりである。
①小学校グループ
2.建物実態調査(2)の本郷小学校と本郷公民館の例からもわかるように、公民
館の消費電力は、小学校に比べてかなり小さくなっている。太陽光発電の設置場所に
ある程度制約があっても、相当程度の電力を賄う可能性を秘めていると言える。
需要ピークにあわせて再生可能エネルギーを活用していくための蓄電や、不安定な
再生可能エネルギーを補う自家発電システムを備えることによって、公民館の自立化
を目指すことも可能である。
具体的には、以下のように、省エネルギー化によって需要(負荷)を減らした上で、
再生可能エネルギーを有効に活用しながら需給バランスの適正化を図っていくものと
する。(システム図は 5.(2) ① イ)図 5-5 に示す。)
42
kW
現状の買電力量
買電力必要量
省エネ対策後の
買電力必要量
kW
kW
kW
STEP1.日照時間中の発電は公民館に充てる。
(余剰分は小学校で使用)
STEP2.日照時間外の公民館の買電力 0 にするための蓄電量を決める。
STEP3.ピークカットと平準化をにらみながらコージェネの運転時間と台数を決める。
STEP4.残ったピークのカット等(谷間部分から山部分へ)のための蓄電量を、蓄電時
間の連続性に配慮しながら決める。
図 4-2
買電力平準化の考え方
43
また、後述する本郷小学校・公民館モデルに基づいて、公民館を系統電力から自立
化するエネルギー需給方法は、以下のとおりである。(5.(2) ① イ)図 5-5 参照)
A.現況消費電力(平日※)
※:平成 23 年 7 月 4 日(月)~11 日(月)の平日平均
kW
B.対策後消費電力(平日:晴天日)
kW
C.対策後消費電力(平日:曇天日)
kW
図 4-3
再生可能エネルギーの発電条件別のエネルギー需給適正化方法(平日)
44
D.現況消費電力(休日※)
※ 平成 23 年 7 月 2 日(土)~10 日(日)の土日平均
kW
E.対策後消費電力(休日:晴天日)
kW
F.対策後消費電力(休日:曇天日)
kW
図 4-4
再生可能エネルギーの発電条件別のエネルギー需給適正化方法(休日)
45
日射のない不照日は、公民館に買電力が必要になるが、その量はわずかであり、年
間を通じた排熱利用などと相殺できる程度になっていくと考えられる。
G.対策後消費電力(平日:不照日)
kW
H.対策後消費電力(休日:不照日)
kW
図 4-5
再生可能エネルギーの発電条件別のエネルギー需給適正化方法(不照日)
46
②コミュニティセンターグループ
基本的には、小学校グループと同様の手法であるが、電力消費量が大きい施設の組
み合わせになるため、太陽光以外の再生可能エネルギー等を活用した自家発電システ
ムが必要になる。実用性やコストの点からみて、コージェネレーションシステムが適
切と考えられ、これらの組み合わせによるエネルギー需給方法は、以下のとおりであ
る。(システム図は 5.(2) ② イ)図 5-10 に示す。
)
小学校グループに比べ、施設のエネルギー量に対して、再生可能エネルギーの発電
割合が少ないことから、熱や水なども含めたトータルなスマート化を進める必要があ
る。
47
A.現況消費電力(平日)
kW
B.対策後消費電力(平日:晴天日)
kW
C.対策後消費電力(平日:曇天日)
kW
図 4-6
再生可能エネルギーを活用したエネルギー需給適正化方法(平日)
48
D.現況消費電力(休日)
kW
E.対策後消費電力(休日:晴天日)
kW
F.対策後消費電力(休日:曇天日)
kW
図 4-7
再生可能エネルギーを活用したエネルギー需給適正化方法(休日)
49
③駅周辺施設グループ
駅前広場に太陽光 2.5kW が設置されており、じゅうろくプラザ屋上に 30kW の太陽
光発電設備が設置工事中である。また、岐阜県有施設アクティブGでは、岐阜県等が
「チャレンジ25地域づくり事業(環境省)」の採択を受け、
JR岐阜駅周辺次世代エネルギーインフラ(都市モデル)
として、発電機能付きガス式空調機、太陽光発電、蓄電池
を整備し、実証実験を進めることで、駅周辺施設への次世
代エネルギー化が進んでいる。
一方、右表のとおり、各
表 4-1
駅前施設の消費電力
消費電力
施設の消費電力は極めて大
施
設
kWh
きく、単体で小学校モデル、 駅西駐車場
825,884
コミュニティセンターモデ じゅうろくプラザ
1,305,912
駅前広場
762,133
ルの消費電力量の 2~10 倍、
本郷小学校+公民館
133,135
3施設では 10~20 倍に及
南部コミセン+加納中
305,797
び、買電力量の削減効果は
備
考
2.5kW 設置
うち公民館 14,336kWh
うちコミセン 140,904 kWh
極めて限られる。南部コミュニティセンターモデルよりさらに厳しい結果になること
が明らかである。
また、じゅうろくプラザでは省エネルギー化の余地はあるものの、設備は比較的新
しく早期の更新にはやや問題がある。省エネルギー化について詳細検討を行い、設置
太陽光の発電量をみながら、導入を検討していくのが適当である。
このため、今回は一つの試案として次頁に示すようなシステムを検討した。なお、
試案は、電気事業法上の制約もあり、現段階では確実に事業を実施できる案とは言え
ないことに注意が必要である。
太陽光
駅西駐車場
じゅうろくプラザ
太陽光 2.5kW
図 4-8
駅周辺施設位置図
図 4-8
50
駅周辺施設位置図
図 4-9
駅周辺施設のシステム試案
■試案の考え方・効果
駅前広場、じゅうろくプラザ、駅西駐車場の 3 施設を、じゅうろくプラザで全体受
電し配電盤より駅前広場、駅西駐車場の受変電盤に計量器を経て供給する。また駅西
駐車場の空調機はファンコイルユニット※(FCU)に更新しその冷温水はじゅうろくプラ
ザ機械室より供給する。再生可能エネルギー利用としてじゅうろくプラザ及び駅西駐
車場屋上に 20kW、30kW の太陽光発電パネルを新設し、じゅうろくプラザに新設する
35kW マイクロガスコージェネ 2 台と共に電力需要のピークカットを行う。
災害時のため常時 50kW 放電可能な蓄電池をじゅうろくプラザに設置し、電気消費
量を監視しながら最適に運転するとともに、コージェネの排熱を年間を通して給湯設
備に使用する。
※:送風器・コイル・エア-フィルターなどを内蔵した小型の空気調和器。
51
④一般廃棄物処理施設グループ
東部クリーンセンターの月別発電量は下図のとおりであり、2 月は定期点検に伴う発
電設備の停止により、発電量は極端に小さくなっている。
地域の独立電源の一つとして位置づけていくためには、発電量を平準化したり、発
電量が特に少ない時期に安定的に電力を確保する方策などを検討、実現していく必要
がある。
図 4-10
東部クリーンセンターの月別発電量(平成 22 年度)
また、市街地と離れた場所にあるという条件から、基本手法の導入検討はなじまな
いが、現時点では普及が進みつつある EV の充電スタンドとしての利用が最も有効な活
用手法と言え、市民等に開放することによって EV の普及を加速化し、運輸部門におけ
る CO2 排出削減に貢献していくことが考えられる。また、遠隔に所在する公共施設同
士の電力融通の手法として、EV を動く蓄電池として活用する方法も検討に値する。
52
キュービクルより
キューピクルより
PCS
データ計測装置
19kW
急速充電器19kw
850×680×1600H
リチュームイオン電池
11モジュール88セル
定格容量:330Ah
900×600×1650H
(PCS一体型)
図 4-11
システム図
急速充電器(1)、コンセント(1)
電気室
図 4-12
53
配置図
5.実証可能性調査
(1)実証事業可能性の評価
①実証事業の目的
岐阜市が、平成 24 年度以降に具体的な事業として取り組む必要性、目的を以下のと
おり設定する。
■分散自立化における利点の確認
⇒施設の完全自立化
災害時に防災拠点を適切に機能させていくためには、系統電力に頼らないで最
低限必要なエネルギーを確保できる体制を整える必要がある。このため、小さな
規模でも自立できる体制確立の可能性を実証する。
⇒エネルギー利用効率向上の達成(排熱利用によるエネルギー利用効率の向上)
自立的な発電機能を導入することは、一義的には連携する公共施設間で融通し
ていくことが望まれるが、より広く公共的なサービスにおいて必要な熱需要に応
えていく等、総合的なエネルギー利用効率の向上が達成できることを実証する。
■分散自立化における欠点の克服
⇒太陽光発電の出力変動に伴う不足分を蓄電池、系統電力で補完
再生可能エネルギーの最大の欠点である「不安定」が、再生可能エネルギー自
身で補完できる可能性を探るとともに、系統電力で補完していくことの可能性を
実証する。
⇒経済合理性を備えるための条件の検証
太陽光発電量とエネルギー消費の関係を明確にしつつ、インフラコストの低減
見込みも踏まえ、検証。あわせて防災機能等の副次的な効果も検証する。
②実証事業可能性の評価
上記の目的を踏まえ、4つのケースの実証可能性は、下表のように評価できる。
表 5-1
実証事業可能性の評価
ケース
評
価
小学校+公民館
小学校で設置が進められている標準的な太陽光発電(20kW)
の発電量は、晴天日で 100kWh/日程度が見込まれ、公民館の
1 日の電力需要に対応することも可能。再生可能エネルギー
による施設における自立化の可能性もあることから、実用し
て検証する意義は大きい。
コミュニティセンター
+中学校他
高圧受電をしている2施設を一体化するものであり、保安管
理委託の合理化を図ることができるとともに、隣接して温水
需要のある民間病院・デイケアセンターが立地するなど、コ
スト面での改善方法や効果を検証していくことができる可能
性がある。
道路が介在しながらも隣接する公共施設間で、一体的に系統
受電することの実現性と、熱供給と合わせた経済的効果を実
54
ケース
評
価
証する。
岐阜駅周辺施設
駅西駐車場、じゅうろくプラザで約 2,131,800kWh/年の電力
消費があり、各施設でも 800,000kWh/年を超えている。再生
可能エネルギーによる発電量に比べ、非常に大きな電力消費
であることから、その導入効果はほとんど現れない可能性が
高い。一方で、新しい施設ではあるものの、省エネルギー化
の余地はあると考えられることから、駅周辺以外から大量の
再生可能エネルギーを集めたり、大量の温水需要のある周辺
民間施設と連携して大規模発電設備の導入条件を整えるなど
と合わせた取り組みが必要である。このため、コミュニティ
センター+中学校モデルに次ぐ事業として位置づける。
一般廃棄物処理施設
現在、EVに搭載されている蓄電池は、放電機能がないため
自動車を動く蓄電池として活用することはできない。また、
発電量に大きな変動があり、単独で地域の発電所として位置
づけていくには安定的に発電等していく体制を整える必要が
ある。
さらに、発電者が岐阜市であることから、地域に電気を供給
することの妥当性を明らかにするとともに、特定の区域で一
般に供給していく場合には、特定電気事業者の許可(電気事
業法第 2 条第 5 項、第 6 項)を得る必要がある。公共施設に
限定して供給する場合でも、後述する保安規程(保安規制)
の関係から特定規模電気事業者になって自営線を設ける又は
託送する必要が生じると考えられる。また、自営線を設ける
場合には、当該電気工作物について電気主任技術者を選任し
なければならない。このように、対応すべき課題は大きく、
電気事業法の制度改正などの動向を見ながら、検討していく
必要がある。
上記から小学校+公民館、コミュニティセンター+中学校他の事業化優先度が高く、
省エネルギー化にあわせて再生可能エネルギーの導入方法や集電方策と効果を検討し
ていくことができる点で岐阜駅周辺が続き、大規模な発電所を所有しているという資
源はあるものの、その活用先の確保と配電のための投資などを考えると一般廃棄物処
理施設の順となる。
以下では、2.(5)②で選定された本郷小学校+本郷公民館と南部コミュニティセ
ンター+加納中学校他について実証事業の基本的構成を検討する。
55
(2)実証事業モデルの作成
①本郷小学校・本郷公民館
ア)省エネルギー化の検討
エネルギー消費のスリム化に向けて、各施設の設備の状況から以下の省エネルギ
ー化メニューを設定した。
■照明機器の更新
学校では、照明の使用時間が最も長いことから機器の更新効果は高い。また、工
事の効率性も考慮して公民館とともに LED 化を行うことにより、次のような電力削
減効果がある。
表 5-2
本郷小学校+公民館の照明のLED化効果の試算(年間)
施設・部屋
体育館
館内
校舎
小
学
校
職員室
保健室
昇降口
会議室
音楽室
準備室
家庭科室
図書室
準備室
理科室
視聴覚室
計
1F
公
民
館 2F
会議室
図書展示室
玄関
ホール
事務室
和室A
和室B
廊下
誘導灯
研修室
ホール
種類
灯数
40W×2
18
水銀灯400W
24
500Wレフ
2
40W×2
16
40W×2
6
40W×1
8
40W×2
8
40W×2
8
40W×1
2
40W×2
2
40W×2
9
40W×1
2
40W×2
12
40W×2
2
40W×2
11
40W×2
14
40W×2灯用
40W×2灯用
DL-IL100W
FDL-27W
40W×2灯用
20W×5灯
〃
FDL-27W
20W
40W×2灯用
FL-20W×4灯
IL-100W
IL-10W
誘導灯20W
FDL-27W
IL-10W
誘導灯20W
計
6
6
2
9
4
4
4
7
1
16
8
4
8
3
6
2
1
現状kWh 改修後kWh
備考
1,550
930
9,790
5,440 注:メタハラ
430
230
1,510
910
320
190
170
100
340
200
420
250
50
30
110
60
470
280
50
30
630
380
110
60
580
350
740
440
17,270
9,880 △ 7,390kWh
390
240
520
320
320
40
450
130
520
220
460
190
460
190
410
120
200
40
700
290
190
80
210
30
40
10
600
110
150
20
20
0
200
40
5,840
2,070 △ 3,770kWh
※:kWh=定格消費電力×灯数×稼働時間×点灯率(例:1,550≒0.083×18×1,295×0.8)
(稼働時間、点灯率は過去の省エネ診断結果に基づいて設定)
注:メタハラは、水銀とハロゲン化金属(メタルハライド)の混合蒸気中のアーク放電によ
る発光を利用した高輝度、省電力、長寿命のランプ
56
■熱源の更新
公民館の熱源機は灯油炊き吸収式冷温水機で、設置から 20 年ほどを経過して機器
性能の劣化も進んでいる。地下水(熱)の利用や汎用機によるコスト低減などを考
慮して水熱源ヒートポンプ(HP)を導入することとした。更新機器は、施設の冷暖
房負荷や各階の利用状況を参考に、貸館であることを考慮して現状能力(冷温水機
冷房能力約 52kW、同暖房能力約 62kW)を維持することとした。
消費電力量は倍増するが、十分な省エネルギー効果、CO2 排出量削減効果がある。
表 5-3
既存熱源機とHPの効果比較(年間)
区分
種別
消費量
灯油炊き吸収
式冷温水機
電気
2,874kWh
28,654MJ
1,362 ㎏-CO2
灯油
3,785ℓ
138,910MJ
9,432 ㎏-CO2
167,654MJ
10,794 ㎏- CO2
75,702MJ
3,599 ㎏- CO2
(ポンプ含む)
HP
(ポンプ含む)
計
電気
7,593kWh
一次エネルギー
原単位:灯油 36.7MJ/ℓ、0.0679 ㎏-CO2/MJ
電気 9.97MJ/kWh、0.474 ㎏-CO2/kWh
57
排出CO2
灯油焚き
吸収式冷
温水機(15RT)
図 5-1
公民館空調(現状)
マイクロ小水力
屋外機(18HP)
(5.5kW)
(2.2kW)
図 5-2
公民館空調(改修)
58
イ)再生可能エネルギーを活用した最適化の検討
■太陽光発電システム
本郷小学校には、岐阜市が小学校で進めている平均的な規模(20kW)のパネルを、
平成 25 年度に設置が予定されている。
また、本郷公民館では 8kW 程度のパネルの設置が可能であることから、合計 28kW
の太陽光発電を導入する。
写真
本郷公民館屋上(左:南側、右:北側)
■蓄電池
不安定な太陽光発電の欠点を補うとともに、災害等の非常時に必要最低限の電力
を確保する意味から、30kW(トータルで 30kW 放電を意味する)
の蓄電池を導入する。
必要規模は、雨天災害時に系統電力が寸断された場合でも、必要になると考えら
れる電気機器、数を下表のように想定し、系統電力の復帰までに要する日数を 3 日
とした場合に必要な電力量を計算し、蓄電池の保守率(0.9)、充電率(0.7)を勘案
して設定した。(28kW≒17.43kWh÷0.9÷0.7)
また、太陽光発電との関係を踏まえ、25kW と 5kW の 2 台を導入する。
表 5-4
非常時に確保が必要と考えられる電気機器
品名
蛍光灯4 0 W ×2 灯用
ノートパソコン
ルータ
LANハ ブ
液 晶 テ レ ビ ( 32型 )
携帯電話( 充電用)
計
消費電力
( kW )
合計消費電力
( kW )
個数
0.064
0.08
0.004
0.002
0.15
0.005
10
5
3
3
3
30
0.64
0.4
0.012
0.006
0.45
0.15
1.658
継続時間
(h)
15
9
72
72
36
15
同時使用
率
0.8
0.5
1
1
0.3
0.8
合計
( kW h )
7.68
1.80
0.86
0.43
4.86
1.80
17.43
■マイクロガスコージェネレーション
再生可能エネルギーの出力変動を補完することのほか、買電力のピークカット、
平準化をしていくため、コージェネレーション(燃料電池など)による発電設備を
導入する。
ただし、現在普及が進んでいる燃料電池は家庭用の機器であり、発電量が小さく
民生・業務用の機器に比べると高額である。
59
機器価格例 家庭用燃料電池 0.75kW※:300 万円/台
ガスコージェネレーション
5kW※:200 万円/台
※:発電出力
このため、発電機器はコージェネレーションシステムを導入することとした。大
きな排熱利用は見込みにくく、消費量の小さい公民館のエネルギーは、好条件下で
あれば太陽光発電によって賄える規模であり、図 4-2 に示したシミュレーションを
行いながら、平準化していくための最小規模の 5.5kW 機器を1台とした。
■地中熱利用
更新熱源の熱源水として地中熱(水)を活用する。機器稼働及び揚水のための電
力は必要であるが、前述のとおり、十分な省エネルギー、CO2 排出量削減ができる。
平成 22 年度「緑の分権改革」推進事業「地中熱利用可能性調査」にあるように、
オープン型の地下水利用であり、排水時にマイクロ小水力発電機を設け、環境学習
等に役立てるものとする。マイクロ小水力発電機への放水に当たっては、防火用水
として貯水(2 ㎥程度のタンクで工事費 50 万円程度)することも考えられる。
図 5-3
防火用水を設置した場合
なお、更新熱源には地下水(熱)を活用するため水熱源HPを採用したが、機器
の運転に電気が必要になることから電力増になることについては、発電機能付きガ
ス HP(以下「発電 GHP」。)を用い、デマンド低減効果と導入の適否を検討した。
本郷公民館の灯油の使用状況は下図のとおりであり、これから推定できる冷暖房
負荷をもとに比較、検討した。
冷暖房負荷(kW)=ℓ×(36.7MJ/ℓ×1,000)÷4.186kJ/kcal÷860kcal/kW
図 5-4
図 5-4
本郷公民館の灯油使用量(平成 22 年度)
本郷公民館の灯油使用量(平成 22 年度)
60
水熱源HP等(COP5.8 の機器を想定し、冷暖房負荷÷5.8 で消費電力を算出。全
負荷運転時間を約 860 時間に想定して地下水ポンプの消費電力を加
える)
・電力消費量 7,593kWh/年(の増。水熱源HP6,653kWh/年+地下水ポンプ(冷
房期)940kWh/年)
発電 GHP(COP 1.271 の機器を想定し、冷暖房負荷÷1.271÷都市ガス換算発熱
量を算出)
・ガス消費量
・発 電 量
2,374 ㎥/年
1,303kWh/年(の減。発電量は冷暖房負荷を考慮しながら設定)
公民館の電力消費量の削減に貢献するが、平準化のためのガスコージェネの発電
量※には達しないことから、ガスコージェネの導入は必要になる。
※:11,750kWh/年(図 6-2 参照)
また、発電機能付き GHP の効果を反映したうえで水熱源HPと比較するため、下
表のとおり、水熱源 HP に発電 GHP の空調運転で発電する量を確保するガスコージ
ェネの運転を加えたものを整理した。発電 GHP は空調運転のみを算出したものであ
るが、エネルギー消費量、CO2 排出量ともに水熱源HP方式の方が優れている。
表 5-5
水熱源HPと発電GHPの効果比較
消費量(年)
種別
水熱源HP
電気
7,593kWh
75,702MJ
3,599 ㎏- CO2
+コージェネ
ガス
353 ㎥
16,238MJ
833 ㎏- CO2
91,940MJ
4,432 ㎏- CO2
109,204MJ
5,602 ㎏- CO2
計
発電GHP
ガス
2,374 ㎥
一次エネルギー
排出 CO2
区分
原単位:電気 9.97MJ/kWh、0.474 ㎏-CO2/kWh
都市ガス 46MJ/ℓ、0.0513 ㎏-CO2/MJ
以上をもとに、電力のピークカット、平準化に向けて電力融通を図るシステムを
次頁のように構築した。
61
系統引込(6600V)
小学校
キューピクル受電盤
キュービクル受電盤
PV:20kw
PV:20kW
電灯変圧器
(1φ)
既
設
負
荷
既
設
負
荷
動力変圧器
(3φ)
既
設
負
荷
予
予
備
備
ス
ス
ペ
ペ
ー
1ス
ス
既
設
負
荷
既
設
負
荷
既
設
負
荷
予
予
備
備
ス
ス
ペ
ペ
ー
1ス
ス
公民館
PV:8kw
PV:8kW
マイクロ
マイクロ
コージェネ
コージェネ
5.5kW
5.5kw
WM
WM
分
電
盤
動
力
盤
切換ユニッ ト
パワーコンディショナー
(3φ)
パワー
コンディショナー
パワーコンディショナー
(1φ)
(WM:子メーター)
蓄電池.5kW
蓄電池5kwh
図 5-5
本郷小学校・本郷公民館システム図
62
蓄電池25kwh
蓄電池.25kW
■排熱利用
排熱は、暖房時の温水として利用するほか、地域における排熱利用を可能にする
ため蓄熱槽を設置することが考えられる。福祉サービス事業所の訪問入浴サービス
を活用し、さらなる利用拡大を図ることも検討する。
ヒ
ー
ト
ポ
ン
プ
マイクロコージェネ 5.5kW
図 5-6
排熱利用システム
訪問入浴サービスを活用した場合のエネルギーの需要想定は、以下のとおり。
300ℓ温水生成エネルギー:13.8GJ/年=(0.75×2)ℓ/日×250 日×36.7MJ/ℓ
条件:入浴サービスは平日の 250 日/年、300ℓ/回の温水を利用
市水温度 18℃、使用温水 40℃(必要灯油量は 0.75ℓ/300ℓ)
ウ)実証事業の内容案と課題
実証事業では、事業目的を満足させるとともに、エネルギーの自立化を図りつつ、
地域の防災拠点としての役割を果たしていけるかについても検証していく必要があ
ることから、太陽光発電は次のように利用していくものとする。
太陽光発電利用の基本的考え方
□平常時
①太陽光で発電された電気は公民館で使用する
②余剰発電は蓄電する(ピークカットのための蓄電を含む)
③さらに余剰することがあれば小学校で使用する
□非常時
①公民館(重要電源※)に優先的に配電する
②体育館(重要電源※)に二次的に配電する
③余裕がある場合は職員室(重要電源※)に配電する
※重要電源:表5-4 に示した電気機器等(例示であり、事業時に決定する)
上記の各システム機器の配置を、次頁のとおり想定し、本郷モデルとしてコージ
ェネレーションの運転計画を定め、太陽光の発電状況や施設のエネルギー負荷の状
況などを見ながら、より効率的なエネルギー需給管理パターンを構築していく。
なお、低圧受電している本郷公民館は、現在は保安規程の対象外であるものの、
保安規程のある小学校と一体的に電気を受電・供給することになるため、小学校に
係る保安規程の対象(区域)を公民館も含めて拡大変更する手続きが必要となる。
(下
63
図参照)
図 5-7
更新機器等配置案
64
図 5-8
本郷小学校・本郷公民館の事業内容
65
②南部コミュニティセンター・加納中学校他
ア)省エネルギー化の検討
本郷小学校同様、エネルギー消費のスリム化に向けて、各施設の設備の状況から
以下の省エネルギー化メニューを設定した。
■照明機器の更新
いずれの施設も点灯時間が長いが、南部コミュニティセンターに比べて中学校の
施設規模が大きいことから、照明の LED 化(一部除く)効果は、中学校でより大き
く期待できる(表 5-7)。工事の効率性も考慮してコミュニティセンターと中学校を
同時期にLED化を行う。
■熱源の更新
南部コミュニティセンターの熱源は灯油炊き吸収式冷温水機であるが、平成 18 年
に更新されたものであり、熱源の更新は行わないこととした。
イ)再生可能エネルギーを活用した最適化の検討
■太陽光発電システム
南部コミュニティセンターの 2 階屋上は、施設利用はされておらず、一定規模を
有している。25kW の太陽光発電を設置できることから、南部コミュニティセンター
の2階屋上に導入する。
写真
南部コミュニティセンターの2階屋上
■蓄電池
災害時に最低限必要な機器等を下表のように設定し、本郷小学校と同様の方法で
必要規模 25kW を算定した。なお、中学校は指定避難所ではないことから、テレビ
の視聴時間は小学校の 1/2 を見込んだ。
表 5-6
非常時に確保が必要と考えられる電気機器
品名
蛍光灯4 0 W ×2 灯用
ノートパソコン
ルータ
LANハ ブ
液 晶 テ レ ビ ( 32型 )
携帯電話( 充電用)
計
消費電力
( kW )
0.064
0.08
0.004
0.002
0.15
0.005
合計消費電 力
( kW )
個数
10
5
3
3
3
30
66
0.64
0.4
0.012
0.006
0.45
0.15
1.658
継続時間
(h)
15
9
72
72
18
15
同 時使用
率
0.8
0.5
1
1
0.3
0.8
合計
( kW h )
7.68
1.80
0.86
0.43
2.43
1.80
15.00
表 5-7
1F
コ
ミ
ュ
ニ 2F
テ
ィ
セ
ン
タ
|
南部コミュニティセンター+加納中学校の照明のLED化効果の試算(年間)
施設・部屋
集会室
生活指導室
ロビー
チビッコ室
小会議室
廊下
健康相談室
事務室
種類
灯数
40W×1灯用
20
40W×1灯用
8
40W×1灯用
32
40W×2灯用
10
40W×2灯用
8
20W×2灯
6
40W×2灯用
4
40W×2灯用
4
南部東事務所 40W×2灯用
20
防災会議室 40W×2灯用
12
音楽室 40W×2灯用
8
大集会室
IL-100W
14
IL-25W
6
40W×4灯用
24
IL-150
16
ステージ
40W×2灯用
7
控室
40W×2灯用
4
サークル室 40W×2灯用
8
多目的室
40W×2灯用
4
廊下
DL-60W
9
計
検索室
書庫
図書室
40W×2灯用
40W×1灯用
40W×2灯用
郷土コーナー 40W×2灯用
書架
40W×2灯用
HF-300W
木工室
40W×2灯用
電算室
40W×2灯用
卓球室
40W×2灯用
体育室
HF-400W
柔道室
HF-400W
給食室
40W×2灯用
ワゴンスペース
40W×2灯用
職員室
40W×2灯用
更衣室
40W×2灯用
印刷室
40W×2灯用
会議室
40W×2灯用
校長室
40W×2灯用
事務室
40W×2灯用
昇降口
40W×1灯用
家庭科室
40W×2灯用
仝上準備室 40W×2灯用
音楽室
40W×2灯用
仝上準備室 40W×2灯用
理科室
40W×2灯用
仝上準備室 40W×2灯用
中
学
校
6
6
12
9
21
3
15
8
12
28
7
10
5
24
2
2
9
3
12
4
14
2
15
2
15
2
計
現状kWh 改修後kWh
備考
680
390
450
260
2,170
1,260
1,310
790
1,050
630
280
160
350
210
790
470
4,370
2,630
520
320
350
210
740
100
80
30
2,100
1,260
1,260
130
310
180
170
110
700
420
440
260
1,420
210
19,540
10,030 △ 9,510kWh
310
190
50
30
1,240
750
310
190
2,170
1,310
1,310
620
1,030
620
690
410
830
500
15,660
8,700 注:メタハラ
3,260
1,810 注:メタハラ
640
390
320
190
4,780
2,880
100
60
100
60
190
120
410
250
1,650
990
130
80
1,200
730
170
100
1,290
780
170
100
1,290
780
170
100
39,470
22,740 △ 16,730kWh
※:kWh=定格消費電力×灯数×稼働時間×点灯率(例:680≒0.043×20×2,630×0.3)
(稼働時間、点灯率は過去の省エネ診断結果に基づいて設定)
注:メタハラは、水銀とハロゲン化金属(メタルハライド)の混合蒸気中のアーク放電によ
る発光を利用した高輝度、省電力、長寿命のランプ
67
■マイクロコージェネレーション
2施設の電力消費量が大きく、太陽光発電の導入規模が限られることから、隣接
する民間病院・デイサービス施設に排熱供給をしていくことを前提に、平日の 18 時
に生じている谷に向けた平準化を図るため約 20kW の機器を導入(図 4-6 参照)す
ることとし、多様な電力需要に対応しつつ一定の発電量が確保できるように、9.9kW
機器を 2 台とした。
排熱利用の効果について
隣接地に民間病院・デイサービス施設が存在することから、病院への温水利用
の可能性を検討した。温水利用があるとした場合、
・LPG消費量:220 ㎥/月
・温水使用量※:1,200 ㎥/月
※:15℃の水を 50℃にする
デイサービスの定休を日祝日、25 日/月とすると、
・給湯量:48 ㎥/日=1,200 ㎥/月÷25 日/月
・LPG消費量:8.8 ㎥/日=220 ㎥/月÷25 日/月
となる。
1日の必要熱量は、現状の湯沸かし器の効率を 0.7 と見込むと
○134.3Mcal(560MJ)=8.8 ㎥×0.7×21.8Mcal(水蒸気としての蒸発ロス 12.2%を見込む)
となり、コージェネレーションの必要運転時間は
○9.3 時間=560MJ÷60.5MJ/h(排熱回収能力)
となり、1台運転で約9時間、2台運転では約 5 時間でデイサービス施設の温
水を賄うことができる。
前述の運転モデルからみると、晴天日も上記必要時間を運転することから、デ
イサービス施設の必要温水を賄う熱を提供することは十分可能である。
図 5-9 排熱利用方法
この場合、民間への熱供給
になることから、実証事業終
了後の設備の維持・活用方法
にあわせ、受益負担の考え方
を検討していく必要がある。
また、南部コミュニティセ
ンターの休館日は南部事務所
が開館しているが、電力需要
は安定していることから、中
学校の変動状況などを鑑みな
図 5-9
排熱利用方法
がらコージェネレーションの運転計画を立案していく必要がある。なお、本取組の
場合、排熱に伴う加熱能力が一定規模を満たないことから、熱供給事業法の適用を
68
受けない。
以上をもとに、買電力のピークカット、平準化に向けて電力等の融通を図るシス
テムを次のように構築した。
キュービクル受電盤
予
備
ス
ペ
ー
ス
PV:2.5kW
民間病院
9.9kW×2 基
蓄電池.25kW
(WM:子メーター)
図 5-10
南部コミュニティセンター・加納中学校他システム図
ウ)実証事業の内容案と課題
南部コミュニティセンターにおける実証事業では、加納モデルとして事業目的を
満足させるとともに、排熱利用と再生可能エネルギー利用の効率化はどのように実
現できるか、経済合理性が備えられるかなどについても検証していく必要がある。
現時点で想定する温水利用者(民間病院等)と、十分協議を行いながら内容を固
69
めていく必要がある。
コージェネ
図 5-11
更新機器等配置案
南部コミュニティセンターと加納中学校にはそれぞれ保安規程があり、電気主任
技術者による保安(委託)が行われている。本モデルでは、加納中学校の系統受電
を廃止することになるため、南部コミュニティセンターと加納中学校を一体とした
保安規程を届け出る必要がある。
なお、南部コミュニティセンターから加納中学校まで高圧線で配電する計画をし
ているが、国の所管部局との協議によって、保安規程が受理される条件は以下のと
おりであることを聴取した。
①道路を挟んで自営線で配電する場合は、
敷地が相対していること
コミセン境界
②高圧線は1本に限る
①の条件について、説明できる詳細な図面は
ないが、目視の範囲では向かい合っている部分
は認められることから満足すると考えられ、高
圧線は1本のため②に関する問題はない。(右写
真参照)
中学校境界
なお、本事業は岐阜市施設内における自家発
電-自家消費であるため、電気事業法上の規制
に該当しない。また、低圧受電の場合には、経
済産業大臣が許認可する電力会社との契約約款
70
に定められた1需要場所1引き込みによる運用が必要となるが、本事業は高圧受電
であることから、許認可の対象外となる。
さらに、仮に本事業が低圧受電であった場合でも、施設間に介在する公道の道幅
も約4mと狭く、道を隔てて施設同士が重なっている部分があることから、隣接す
るものとして1構内とみなすこととし、許認可違反にならないものと考える。
以上のことから、今後は、主に保安上の条件等について、管理者となる電気主任
技術者と協議しながら進めていく。
また、道路横断区間は 4m程度のため架線でも可能と考えられるが、景観等にも配
慮して地中化する場合は、掘削、埋戻し、点検・管理用のマンホール設置工事費な
ど(直接費で約 50 万円程度)の増加を見込む必要がある。
■参考 南部コミュニティセンターと加納中学校との架線、地中埋設について
送電線
光回線
ケーブルテレビ
電波障害防止線
電話線
71
図 5-12
南部コミュニティセンター・加納中学校他の事業内容
72
6.スマートシティ岐阜の実現に向けて(スマートシティ岐阜事業化方針)
(1)基本的な考え方
再生可能エネルギーを活用してエネルギーの多様化、自立化を進めるスマートシテ
ィ岐阜の基本的要素として、その代表的なものとして本郷モデル(主として自立化)
と加納モデル(主として多様化)を構築した。これらモデルの考え方や手法が地域に
波及していくことによって、スマートシティ岐阜の絵姿が実現するものである。
このため、今後、これらの実証事業を通じ、地域に波及させていくための条件をよ
り確実にしていくとともに、事業効果を計測して関係者にPRし、公共施設のみなら
ず、民間施設におけるモデルの導入を推進していく。
さらに、電気と熱といったエネルギーに関するスマート化のほか、水を含めた生活
インフラを含めて総合的にスマート化を進めていくとともに、これら技術の導入に頼
るのではなく、効率的にエネルギーを消費できるように、そこに住まう人々のライフ
スタイルを転換していくことなどもあわせ、総合的にまちづくりを進める。
図 6-1
スマートシティ岐阜の将来像
(2)事業効果
スマートシティ岐阜は、エネルギー利用をスマートにしていくとともに、地球温暖
化対策の重要なツールとして位置づけられる。公共施設においては、その具体的な行
動の一つとして各モデルを積極的に導入していく必要がある。
73
その際、省エネルギー、CO2 削減効果の大小は大きな条件になると考えられるが、
本郷モデルでは、以下のように大きな対策効果が期待できる。
一方、民間施設での展開においては、省コストも重要な条件になってくることから、
実証事業に基づいて経済効果を検証し、エネルギー利用を総合化することによって得
られるメリットを明らかにしていく。
図 6-2
本郷モデルの事業効果
(3)展開方針
実証事業をステップ1とし、特に防災拠点の機能強化の点から、平成 25 年度事業化
予定の本郷モデルの実証内容を防火訓練を行い検証しつつ、できるだけ多くの学校を
対象に展開していく。岐阜市の小学校数は 48 校あることから、50 近くのモデルが地域
に展開される。
あわせて、公共施設を中心として、関係者・機関との調整を進め、熱を含めたエネ
ルギーの総合利用を図る加納モデル型の事業の展開を図る。(ステップ2)
さらに、並行して市民による大型の太陽光発電所の立ち上げに取り組み、再生可能
エネルギーを地域で活用していく体制の確保を進める。
また、実証事業の効果等を踏まえ、事務所ビル等が集積する駅周辺地区を中心に、
民間施設分野における基本的要素の導入を進める。
(ステップ3)
なお、今後、これらの進め方をスマートシティ岐阜推進大綱としてとりまとめ、体
74
系的に進める。
系統切り離し
BEMS など
小中学校
公民館
太陽光発電
蓄電池
廃棄物発電
熱の融通・活用
地下水
病院など
電気の融通
燃料電池など
移動体によるエ
ネルギー搬送
市民等へのライフスタイル転換に向けた啓発
図 6-3
スマートシティ岐阜構築のための基本的構成要素
系統電力
余剰エネルギー等の融通
基本的構成要素
図 6-4
スマートシティ岐阜構築に向けた展開イメージ
75
76
資
料
■スマートシティ岐阜推進検討会委員
◎会長、○副会長
氏
稲葉
名
昭夫
所
属
岐阜県商工労働部商工政策課
次世代エネルギー・産業技術推進室
室長
大谷
具幸
岐阜大学工学部社会基盤工学科 准教授
岡本
正弘
経済産業省中部経済産業局資源エネルギー環境部
エネルギー対策課長 総合エネルギー広報室長
小塚
晴久
株式会社山武中部支社営業部 部長
野々村
修一
岐阜大学大学院教授
未来型太陽光発電システム研究センター
センター長
◎ 長谷川
典彦
岐阜大学
○ 藤澤
眞一
岐阜市自治会連絡協議会京町自治会連合会 会長
松田
英文
りゅうでん株式会社
村田
純一
東邦ガス株式会社北部支社
林
俊 朗
特任教授
代表取締役
社長
業務部長
岐阜市自然共生部 部長
(50音順)
■開催状況
・第1回検討会 平成23年11月25日(金)
・第2回検討会 平成24年 1月16日(月)
・第3回検討会 平成24年 2月
3日(金)
発行:岐阜市
編集:岐阜市自然共生部地球環境課
〒500-8720 岐阜市神田町 1 丁目 11 番地
TEL:058-265-4141 FAX:058-264-7119
77
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