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深刻な高齢者の消費者トラブル ―狙われる 70 歳以上
記者説明会資料 平成 15 年 11 月 25 日 独立行政法人 国民生活センター 深刻な高齢者の消費者トラブル ―狙われる 70 歳以上― 総務省統計局『人口推計月報』によれば、平成 15 年 6 月 1 日現在、70 歳以上の人口割 合は 13.1%である。なお、この割合は今後も上昇すると予想されている(国立社会保障・人 口問題研究所『日本の将来推計人口(平成 14 年 1 月推計)』より)。 厚生労働省『平成 13 年国民生活基礎調査』によると、70 歳以上のうち家族形態が「一人 暮らし」「夫婦のみ」の人はそれぞれ 15.0%、30.0%を占めている。自分自身の健康状態を よいと思っているという割合は全体が 40.6%なのに対し 70 歳以上は 22.7%と少ない。ま た、仕事を持っている割合は全体が 58.8%なのに対し 70 歳以上では 18.5%と少ない。 国民生活センターの PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられた 消費生活相談(以下、相談)のうち、契約当事者が 70 歳以上の相談の割合は、平成 10 年度 6.8%、平成 11 年度 7.9%、平成 12 年度 8.7%、平成 13 年度 9.4%、平成 14 年度 9.5%と 上昇傾向にある。 70 歳以上の消費者トラブルの傾向をみると、他の年齢層と比べて次のような特徴がある。 健康や住宅に関連した商品やサービスについての相談が多いこと、家庭訪販※や SF 商法(催 眠商法)※、点検商法※などの相談が多く、強引な販売方法、健康や経済的不安に付け込ん だ手口、一人暮らしの高齢者や痴呆性高齢者を狙った手口なども見られた。「このままでは 家が白蟻にやられると言って勝手に床下換気扇を取り付けた」「高血圧や胃潰瘍が治るとい われて健康食品を買わされた」「アルツハイマーの母のところにいきなり業者が来て判を押 すよう強制された」など悪質な勧誘方法も目立つ。 今後ますます高齢化が進むに伴い、高齢者の消費者トラブルも増えると予想される。 そこで、ここでは平成 12∼14 年度の 3 年間に寄せられた、契約当事者が 70 歳以上の相 談 17 万件余りについて、70 歳未満との比較も含めて、商品やサービスごと、また販売方 法・手口ごとに特徴を分析した。そして、これに基づき、典型的な高齢者の消費者トラブ ル、注意すべき点について被害の未然防止のために情報提供を行うこととした。 ※それぞれの販売手口・商法の詳細については表 5(9 ページ)参照 (以下同様) 。 1.相談の概要 1)70 歳以上の相談の概要 (1)ふとん類、健康関連商品が上位を占める 平成 12∼14 年度までの 3 年間(平成 15 年 5 月末日までの登録分)の契約当事者 70 歳以上 の相談 173,449 件について、上位の商品・サービスに関する特徴について調べた(表 1)。 1 表1 70歳以上の上位商品・サービスおよび平均契約金額 (平成12∼14年度) 70 歳以上の上位 5 位は、「ふとん類」「健 件数 康食品」「家庭用電気治療器具」「浄水器」 「新聞」である。なかでも「ふとん類」は 合計 % 平均契約金額 173,449 100.0 980,000 1 ふとん類 19,983 11.5 380,000 2 健康食品 8,768 5.1 500,000 3 家庭用電気治療器具 7,121 4.1 260,000 4 浄水器 5,659 3.3 370,000 5 新聞 4,830 2.8 50,000 ビス」といった住宅関連の工事なども 70 6 サラ金・フリーローン 4,449 2.6 2,370,000 歳未満と比べ目立つ。その他 9 位「紳士 7 床下換気扇 4,297 2.5 720,000 録・名簿」も上位に位置していた。 8 修理サービス 4,266 2.5 350,000 9 紳士録・名簿 3,870 2.2 210,000 3,788 2.2 590,000 106,418 61.4 11.5%を占めており、70 歳未満の 1.6% と比べて大きな差があった。また、2∼4 位の 3 商品が健康関連商品であり、70 歳 未満と比べて特徴的であった。 また、7、8 位の「床下換気扇」「修理サー 11 位以降 20 位までをみても同様の傾 向があり、健康関連商品で「磁気マットレ 10 商品一般※1 ス・磁気用品」、住宅関連の工事で「屋根工 その他 事」「建物清掃サービス」「他の工事・建築 70歳以上にのみ10位以内 にあったもの サービス」があった。その他に「電話関連 サービス」「本」「和服」「商品相場」などが あがっている(表 3:8 ページ)。 ― 注1)平均契約金額は無回答を除いたもので集計。 注2)平均契約金額は千の位で四捨五入した数値。 ※1 商品一般:複数の商品に関連するもの、または、商品が特定でき ないもの。 (2)女性では「ふとん類」、男性では「紳士録・名簿」が最多 70 歳以上を女性(110,123 件) と男性(61,041 件)ごとに比較した (その他・不明 2,285 件) (表 3:8 ページ)。女性は「ふとん類」が 15.6%で他の商品・サービスに比べても圧 倒的に多いが、男性の「ふとん類」は 4.1%を占めるにとどまった。 逆に、男性は「紳士録・名簿」が 5.2%とトップだが、女性は 0.6%と少ない。 この他、女性のほうが男性より 2 ポイント以上割合が高かったものは、「健康食品」「家 庭用電気治療器具」であり、反対に男性のほうが女性より 2 ポイント以上割合が高かった ものは「電話情報サービス」「商品相場」であった。 (3)無職・家事従事者が多い 70 歳以上の相談のうち契約当事者の職業をみると、いちばん多いのが「無職」69.7%、次 いで「家事従事者」18.3%であった。70 歳未満の属性が「給与生活者」48.5%で最も多いの と対照的である。 また「自営・自由業」と「給与生活者」をあわせた有職者は、男性 10.8%だったが、女 性 3.0%と少なかった。 (4)契約当事者以外が相談をしている割合が高い 70 歳以上では、契約当事者ではなく、家族や介護者など別の人が相談しているケースが 44.9%で、70 歳未満(20.8%)に比べて高かった。 2 (5)ふとんや健康食品で数十万円の契約を結ぶこともある 70 歳以上の相談の平均契約金額は約 98 万円であった(表 1)。上位 10 位までのうち、9 種類の商品・サービスの平均契約金額が 10 万円以上であり、「ふとん類」38 万円、 「健康 食品」50 万円、「浄水器」37 万円など日常品にも高額な契約金額が並ぶ。 男女別では、男性が 137 万円、女性が 79 万円と男性のほうが平均契約金額は高額だった (表 3:8 ページ)。平均契約金額の飛びぬけて高い「商品相場」が、男性は 2.6%で 10 位(平 均契約金額約 827 万円)なのに対し女性は 0.5%で 21 位以下(同、約 721 万円)、また、 「サ ラ金・フリーローン」をみると男性は 3.7%で 4 位(同、約 303 万円)なのに対し、女性は 1.9%で 11 位(同、約 173 万円)であることなどがその差を生んだ大きな原因である。 (6)主な販売方法・手口 70 歳未満に比べて、70 歳以上にどのような販売方法・手口による相談が多いのかを調べ た(表 2)。 いちばん多かったのは、強引な勧誘や夜間や長時間に及ぶ勧誘など販売方法に問題があ った「家庭訪販」27.1%で、70 歳未満の 7.4%に比べて割合もきわめて高い。 2 位が「SF 商法(催眠商法)」である。これは「新商品を紹介する」などと言って人を集め、 閉め切った会場で日用品などを無料や格安で配り得した気分にさせ、興奮状態にしておい て、最終的に高額な商品を売りつける商法である。これも 11.2%を占めており、70 歳未満 の 0.6%に比べて高い。 上位 10 位の販売方法・手口のうち、70 歳以上にのみあったのは 2 位の「SF 商法」の他、次 の 3 つがあった。まず 4 位の「点検商法」である。これは点検に来たと言って来訪し、「白蟻 の被害がある」「ふとんにダニがいる」等、修理不能、危険な状態など事実と異なることを言 って新品や別の商品・サービスを契約させる商法である。次は 8 位の「薬効をうたった勧誘」 である。これは「この健康食品を飲めば病気が治る」など本来うたってはいけない薬事的 効果をうたって売りつける勧誘方法である。そして 10 位の「過量販売」である。これは必 要以上の量や長期間の契約をせまり、結果として高額な契約をさせる販売方法である。 表2 年代別にみた上位販売方法・手口 70歳以上 合計 件数 % 70歳未満 173,449 100.0 合計 件数 % 1,695,705 100.0 1 家庭訪販 47,047 27.1 電話勧誘販売 204,196 12.0 2 SF商法(催眠商法) 19,340 11.2 家庭訪販 125,684 7.4 3 電話勧誘販売 12,904 7.4 サイドビジネス商法 76,799 4.5 4 点検商法 7,713 4.4 被害にあった人を勧誘(二次被害) 60,226 3.6 5 次々販売 7,705 4.4 マルチ・マルチまがい取引 50,463 3.0 6 販売目的隠匿 6,256 3.6 アポイントメントセールス 48,417 2.9 7 無料商法 5,055 2.9 販売目的隠匿 43,894 2.6 8 薬効をうたった勧誘 2,721 1.6 無料商法 38,844 2.3 9 被害にあった人を勧誘(二次被害) 2,577 1.5 次々販売 27,742 1.6 2,468 1.4 キャッチセールス 26,577 1.6 10 過量販売 70歳以上にのみ10位以内にあったもの 70歳未満にのみ10位以内にあったもの 注)1件の相談に複数の販売方法・手口が含まれる場合には各々に対し1件ずつカウントしている。 3 (7)販売方法・手口によって商品・サービスに特徴があった 販売方法・手口によってそれぞれ商品・サービスに特徴があった(表 4:9 ページ)。「家 庭訪販」では「ふとん類」「浄水器」「床下換気扇」などが多い。「SF 商法(催眠商法)」では「ふと ん類」「家庭用電気治療器具」 「磁気マットレス・磁気用品」などで健康関連商品が目立った。 また、事業者から不意打ちで電話がかかり、その電話で契約をせまる「電話勧誘販売」では 「本」「紳士録・名簿」の書籍が多かった。 第 4 位以下の特徴としては、「点検商法」は「床下換気扇」「建物清掃サービス」「屋根工事」 などの住宅関連の工事などが目立ち、一人の消費者に次から次へと契約させる「次々販売」 では「和服」が上位に上がってくる。また、商品・サービスの販売であることを意図的に隠 して近づき、不意打ち的に契約させる「販売目的隠匿」では「電気掃除機類」が上位に位置す る。さらに、「薬効をうたった勧誘」や「過量販売」では「健康食品」が多い。 (8)販売信用を受けている割合が 70 歳未満よりやや多い 支払いの手段について年代別にみた(図)。「販売信用を受けている」のは 70 歳以上 26.8% で、これは 70 歳未満の 23.8%よりやや多い。この場合、クレジットカードによる支払い よりも、購入のつど申込書を書き、クレジット会社の審査を受けて利用する個品方式が多 い。なお、最も多いのは即時払いや前払いなど「販売信用なし」で、70 歳以上が 53.7%で 70 歳未満(49.6%)よりやや多かった。 販売方法・手口によっては契約の形態に特徴があり、 「SF 商法(催眠商法)」 「薬効をうた った勧誘」「過量販売」では半数以上が販売信用を受けていた。 また、販売信用を受けている相談のうち、平均契約金額は約 72 万円だったが、このなか では「次々販売」約 176 万円、「過量販売」約 156 万円が全体に比べ高額だった。 販売信用を受けているもののうち、分割払いの契約は 87.2%、一括払いは 10.1%。70 歳未満では分割払いが 94.8%、一括払いは 4.3%であった。 4,618(2.7) 70歳以上 (n=173,449) 93,189(53.7) 70歳未満 (n=1,695,705) 46,460(26.8) 840,782(49.6) 402,918(23.8) 29,182(16.8) 289,829(17.1) 162,176 (9.6) 0% 25% 販売信用なし 50% 販売信用を受けている 75% 借金契約 図 支払いの手段別件数(%) 4 不明・無関係 100% 2)主な事例 契約当事者が 70 歳以上の相談事例について、特徴的なものを紹介する。 (1)強引、脅迫的な手口で販売 ①昼食購入のためスーパーに行く途中呼び止められ、会場に連れていかれた。景品をたく さんもらい、約 4 時間半磁気マットレスの勧誘を受けた。印鑑がないと言うと担当者がス ーパーまでついてきて 100 円の印鑑を買わせ捺印した。 [SF 商法/磁気マットレス・磁気 用品](70 歳代 女性) ②母の家に突然セールスが来宅。床下を調べ「このまま放って置くと家が腐る」といって 強引に床下換気扇を取り付けた。すでに別の事業者の換気扇をつけていたので不審に思っ たがこわくて言えなかったという。その後再度訪れ床下補強金具など勝手に取り付けられ た。総額300万円もの契約で年金も使い果した。 [家庭訪販・点検商法・次々販売/床下換 気扇](80歳代 女性) ③10 年前に紳士録を契約し 5 万円支払った。昨日電話があり 10 年契約なので 1 年 10 万円 で合計 118 万円支払えという。電話を切れば契約したことになる、今日中に払えば 47 万円 と言われたので承諾した直後、現金を郵便局から振り込んだ。今後、脅されるのがこわい。 [電話勧誘販売・被害にあった人を勧誘(二次被害)/紳士録・名簿](70 歳代 男性) ④昨年訪問販売で孫娘の着物を合計 170 万円購入した。数ヶ月後、さらに 180 万円近く契 約。次の月に旅行に連れて行ってもらい、その後店へ連れて行かれて約 900 万円分の伝票 を作られ、後日伝票にサインさせられた。男 3 人に囲まれこわかった。 [家庭訪販・次々 販売・過量販売/和服]( 70 歳代 女性) ⑤高齢の母親が電話でにんにくの健康食品を勧められて契約したところすぐ商品が送付さ れた。集金と称して担当者が来訪し高額なプロポリスを勧められた。断わりきれない状態 となったところへ娘が出たら、「あなたが出て来る場所ではない」と大声で毒舌を吐いて帰 った。[家庭訪販・販売目的隠匿/健康食品] (80 歳代 女性) (2)高齢者特有の健康や経済的な不安に付け込んで販売 ⑥臨時の会場で商品の説明を聞くとさまざまな商品がもらえた。糖尿病などで多くの診療 を受けている。業者は脳の血管が詰まるなど不安をあおり、自社の健康食品で全て治ると 説明した。服用したら血圧が不安定になり、医師に服用を止められた。300 万円とは高額 と思う。解約したい。[SF 商法・薬効をうたった勧誘・過量販売/健康食品](70 歳代 女性) ⑦痛む足が治ると言われ、治療をしてあげるということで家に来たが、いつの間にか電気 治療器を買うことになってしまった。仕方なく少し使ったところ、足が余計痛くなったの で解約したい。[家庭訪販・薬効をうたった勧誘/家庭用電気治療器具] (70 歳代 女性) ⑧「お金がない」と言っているのに「絶対もうかる。サラ金から借金してもよいから」とし つこく勧誘され金相場の契約をした。委託証拠金はサラ金から借金して用立てたが、結局 もうからず手仕舞いした。サラ金への返済が困難だ。[利殖商法/商品相場](70歳代 男性) 5 (3)一人暮らしの高齢者に対して販売 ⑨「公的機関の福祉課です。警報装置の電池交換に来た」と業者が来宅。家に上がりこんだ 後に「家を見せてくれ」と言って床下を点検し、このままだと家が傾くので補強工事をす るよう勧められた。一人暮らしの老人宅に公的機関を名乗って上がりこむなど悪質すぎる。 [家庭訪販・点検商法/増改築工事](80歳代 女性) ⑩一人暮らしの弟が、訪問してきた業者からふとんを買ったらしい。本人は物忘れが激し く、契約書が見つからない。[家庭訪販/ふとん類](70歳代 男性) (4)痴呆性高齢者に対して販売 ⑪義母が和服、帯、ネックレス、ふとんなど多額の契約を次々させられた。ローンの支払い で年金が消え生活が成り立たない。最近母は物忘れがひどくなり契約時のことも覚えてい ない。[家庭訪販・次々販売/和服など](70歳代 女性) ⑫軽いアルツハイマーの母のところへ、いきなり 2 人の業者が入ってきて浄水器を取り替 え、判を押すように強制され、押印したという。本来不要なものであり、支払いも困難な ので解約したい。[家庭訪販/浄水器] (70 歳代 女性) 3)まとめと考察 (1)商品・サービスについて ① 高齢者の健康に対する不安に付け込んだり、病気に対する効能・効果をうたったりし て販売をするもの(「健康食品」「家庭用電気治療器具」「浄水器」など)が多い。この傾向 は特に女性について顕著であった。 ② 住んでいる家や設備について不安をあおり、早く手を打たなければならないと焦らせ て販売するもの(「床下換気扇」「屋根工事」「修理サービス」「建物清掃サービス」「他の工 事・建築サービス」など)も多い。 ③ 老後の資金を増やすなどと言って高齢者の経済的不安に付け込んで販売するもの(「商 品相場」など)もあった。 ④ この他、70 歳以上に特有で、なおかつ性別に特徴があるものは、男性では「紳士録・名 簿」、女性では「和服」などであった。 (2)販売方法・手口について ① 街頭で声をかけられキャッチセールスにあうことの多い若い年代と違い、在宅率が高 いことから「家庭訪販」に遭遇する結果となっている。 ② 「無料で粗品配布」「無料で点検」という言葉をきっかけに、販売する方法が多い。 ③ 一人暮らし、もしくは日中は一人という生活の場合、商品・サービスに関する説明や 契約行為などが事業者と高齢者のみで行われ、契約してすぐに家族などが実態を把握 できないことがある。 ④ 年金暮らしの高齢者に対して高額の契約を結ばせている例もあり、なかには貯蓄を失 6 ってしまう高齢者もいる。 ⑤ 無職・家事従事者の率が高いにもかかわらず販売信用を受けている率が 70 歳未満より むしろ多い。年金や貯蓄を切り崩させて分割払いの契約を結ぶこともある。 ⑥ 痴呆性高齢者に対して、それに付け入って次々と契約を交わさせる業者や、長時間の 勧誘で疲労させたり無理やり契約をさせる悪質な事業者もいる。本人以外の家族や周 囲の人が心配して、本人の代わりに相談しているケースも多い。 2.被害にあわないために 1)高齢者自身の自衛策 (1)巧みな話術、強引な手口で高齢者を狙う事業者がいる。不審だと感じたらきっぱりと断 り、不安な場合は契約をする前に家族や信頼できる身近な人に相談をしよう。 [販売方法・手口の例] ①粗品をプレゼント、無料で点検、高金利などのうまい話をする。 ②このままでは家が白蟻にやられる、などとむやみに不安をあおる。 ③家族構成、健康状況、収入などを一見親身になって聞き出し、健康・経済的不安に付け込む。 ④事業者だということを名乗らずトイレを借りたいなどと言って家に上がりこむ。 (2)内容を確認せずに契約しない。また、高額な契約、長期間にわたる分割払いの契約など はより慎重に検討しよう。 2)身近な人の配慮 (1)高齢者はさまざまな事業者に狙われやすいことを認識しよう。 (2)見知らぬ人が高齢者宅に出入りしていないか、周囲の気配りが効果的。 (3)高齢者が困っていないか時々声をかけるようにしよう。 (4)判断能力が不十分な高齢者を財産管理などの面から保護するための制度として成年後 見制度があるので、この利用を考えるのも一つの方法である。 3)被害にあった場合には (1)クーリング・オフ制度や訪問販売の禁止行為等があることから、無条件で解約できるケ ースもある。これまでも消費生活センターでは高齢者の消費者トラブルを解決するために 積極的に取り組んでいる。早めに消費生活センターに相談をしよう。 (2)脅迫的な事業者とトラブルになった場合には、警察に連絡する。 本件問い合わせ先:独立行政法人 消費者情報部 7 TEL 国民生活センター 03−3443−1793 表3 年代別・性別に見た上位商品・サービスおよび平均契約金額(平成12∼14年度) 70歳以上 全体 件数 合計 % 1 ふとん類 19,983 11.5 2 健康食品 8,768 3 家庭用電気治療器具 男性 件数 平均契約金額 173,449 100.0 70歳未満 980,000 計 % 61,041 100.0 女性 件数 平均契約金額 1,370,000 計 全体 % 件数 平均契約金額 110,123 100.0 8 380,000 紳士録・名簿 3,154 5.2 230,000 ふとん類 17,201 15.6 5.1 500,000 電話情報サービス※2 2,698 4.4 40,000 健康食品 6,506 7,121 4.1 260,000 ふとん類 2,494 4.1 4 浄水器 5,659 3.3 370,000 サラ金・フリーローン 2,288 3.7 5 新聞 4,830 2.8 50,000 健康食品 2,131 3.5 6 サラ金・フリーローン 4,449 2.6 2,370,000 屋根工事 1,755 2.9 7 床下換気扇 4,297 2.5 720,000 新聞 1,671 2.7 8 修理サービス 4,266 2.5 350,000 本 1,622 2.7 9 紳士録・名簿 3,870 2.2 210,000 家庭用電気治療器具 1,562 2.6 10 商品一般※1 3,788 2.2 590,000 商品相場 1,560 2.6 11 屋根工事 3,626 2.1 1,600,000 電話関連サービス※3 1,397 2.3 12 電話情報サービス※2 3,213 1.9 1,387 2.3 13 磁気マットレス・ 磁気用品 3,169 1.8 1,335 14 電話関連サービス※3 3,097 1.8 10,000 商品一般※1 15 本 3,024 1.7 16 建物清掃サービス 2,509 1.4 17 生命保険 2,401 18 和服 790,000 合計 % 平均契約金額 1,695,705 100.0 1,110,000 380,000 電話情報サービス※2 169,458 10.0 50,000 5.9 480,000 サラ金・フリーローン 160,757 9.5 2,280,000 5,458 5.0 250,000 資格講座 65,569 3.9 440,000 3,030,000 浄水器 4,347 3.9 370,000 賃貸アパート・マンション 59,534 3.5 230,000 560,000 新聞 3,075 2.8 56,402 3.3 560,000 2,888 2.6 720,000 国際電話 39,104 2.3 30,000 50,000 修理サービス 2,839 2.6 330,000 エステティックサービス 38,216 2.3 590,000 70,000 磁気マットレス・ 磁気用品 2,698 2.4 360,000 商品一般※1 38,006 2.2 570,000 2,466 2.2 630,000 自動車 37,441 2.2 1,680,000 2,196 2.0 1,860,000 アクセサリー 36,970 2.2 1,000,000 2,089 1.9 1,730,000 健康食品 31,879 1.9 620,000 390,000 屋根工事 1,825 1.7 1,480,000 クリーニング 29,194 1.7 10,000 2.2 720,000 建物清掃サービス 1,703 1.5 50,000 化粧品類 28,368 1.7 290,000 1,277 2.1 490,000 電話関連サービス※3 1,675 1.5 10,000 新聞 27,816 1.6 40,000 70,000 浄水器 1,223 2.0 390,000 電気掃除機類 1,620 1.5 26,766 1.6 580,000 60,000 リースサービス 1,002 1.6 800,000 生命保険 1,430 1.3 4,670,000 補修用教材 24,248 1.4 740,000 1.4 5,600,000 生命保険 939 1.5 7,380,000 本 1,368 1.2 21,908 1.3 380,000 2,265 1.3 1,880,000 増改築工事 810 1.3 2,820,000 アクセサリー 1,364 1.2 1,090,000 生命保険 20,850 1.2 4,640,000 19 商品相場 2,167 1.2 7,940,000 他の工事・建築サービス※4 786 1.3 1,880,000 ミシン 1,261 1.1 19,008 1.1 580,000 20 他の工事・建築サービス※4 2,055 1.2 1,640,000 宝くじ 773 1.3 1,240 1.1 1,490,000 修理サービス 17,841 1.1 330,000 746,370 44.0 その他 78,892 40,000 修理サービス 370,000 床下換気扇 45.5 ― その他 29,177 47.8 410,000 家庭用電気治療器具 1,720,000 床下換気扇 280,000 商品一般※1 8,270,000 和服 10,000 サラ金・フリーローン 170,000 他の工事・建築サービス※4 ― その他 70歳以上にのみ20位以内に あったもの 注1)平均契約金額は無回答を除いたもので集計。 注2)平均契約金額は千の位で四捨五入した数値。 ※1 商品一般:複数の商品に関連するもの、または、商品が特定できないもの。 ※2 電話情報サービス:電話やファクシミリを利用し情報を有料で得るサービス。ダイヤルQ2、ツーショットダイヤル、携帯電話の有料サイト使用料など。 ※3 電話関連サービス:固定電話通話料など。 ※4 他の工事・建築サービス:床下工事、耐震工事など。 8 44,874 40.7 50,000 教養娯楽教材 420,000 ふとん類 70,000 浄水器 240,000 パソコン ― その他 ― 表4 上位販売方法・手口別上位商品(70歳以上、平成12∼14年度) 販売方法・手口 合計 家庭訪 販 1 件数 % 1位 件数 % 173,449 100.0 47,047 2位 件数 % 27.1 ふとん類 5,451 浄水器 11.6 SF商法 2 (催眠商 法) 電話勧 誘販売 3 19,340 11.2 ふとん類 10,839 7.4 本 点検商 法 6 次々販 売 7,705 4.4 ふとん類 販売目 的隠匿 6,256 3.6 ふとん類 無料商 法 家庭用電 2.9 気治療器 具 1,254 床下換気 薬効を 8 うたっ た勧誘 9 10 5,055 2,721 2,577 1.5 名簿 過量販 売 2,468 1.4 健康食品 紳士録・ ふとん類 9.6 513 694 家庭用電 気治療器 具 42.4 465 ふとん類 402 浄水器 14.8 423 床下換気 8.7 屋根工事 4.5 544 その 4.2 52.5 448 その 579 313 その 447 磁気マッ 233 その 473 6.7 浄水器 トレス・ 磁気用品 7.1 397 プロバイ ダ 磁気マッ 380 トレス・ 14.0 磁気用品 388 7.7 208 浄水器 130 他の衛生 サービス 8.5 5.0 和服 4.1 149 56.6 47.6 283 その 他 102 その 他 89 その 6.0 3,036 60.1 305 11.2 1,264 販売方法・ 具体的な内容 事業者が消費者宅を訪問し、商品・サービスを販売する もののうち、販売方法に問題のあるもの。強引な勧誘、 家庭訪販 夜間や長時間に及ぶ勧誘など、問題が多い。電話で在宅 を確認した上で訪問するものもある。 SF商法 (催眠商 法) 49.0 76 その 3.1 注)1件の相談に複数の販売方法・手口が含まれる場合には各々に対し1件ずつカウントしている。 他 772 31.3 閉め切った会場に人を集め、日用品などを無料や格安で 配って雰囲気を盛り上げた後、最終的に目的の高額な商 品を売りつける商法。 事業者からの電話がかかり、その電話で契約をせまる販 電話勧誘 売方法。突然の電話で不意を打たれることや、勧誘時の 販売 説明内容が口頭のみであいまいだという問題点がある。 「点検にきた」と言って来訪し、修理不能・危険な状 点検商法 態・期限が切れているなど事実と異なることを言って新 品や別の商品・サービスを契約させる商法。 一人の消費者に次から次へと契約させる販売方法。顧客 次々販売 名簿が業者間を流れ、複数の事業者に勧誘されるケース も多い。 販売目的 商品・サービスの販売であることを意図的に隠して近づ 隠匿 き、不意打ち的に消費者に契約させる販売方法。 「無料招待」「無料サービス」「無料体験」など無料をセー 無料商法 ルストークや広告にして人を集め、高額な商品・サービ スを売りつける商法。 薬効をう 「健康食品で病気が治る」など、本来うたってはいけない たった勧 薬事的効果をうたって、商品・サービスを売りつける勧 誘方法。 誘 被害に 一度被害にあった人を再び勧誘して、二次的な被害を与 あった人 える勧誘方法。前の被害の救済のように見せかけて、再 を勧誘(二 度金銭を支払わせるケースが多い。 次被害) 他 3.5 乾燥剤 2,975 他 3.7 サービス 4,360 他 5.6 158 広告代理 210 57.2 3.7 健康食品 4,411 他 5.8 健康食品 6,778 他 画 浄水器 874 他 515 他の工 事・建築 サービス 6.1 扇 318 その 1.6 692 絵画・書 502 64.1 6.5 扇 215 床下換気 商品一般 30,154 他 7.0 7.9 ふとん類 954 5.4 7.6 16.4 ふとん類 健康食品 7.5 9.2 19.9 1,046 和服 11.1 家庭用電 1,324 気治療器 1.6 健康食品 48.7 具 被害に あった人 を勧誘(二 次被害) 684 機類 486 540 サービス 8.9 1,434 電気掃除 2,263 その 4.8 4.9 6.5 541 建物清掃 扇 16.3 835 サービス 7.0 22.9 7 5.9 11.1 15.5 16.5 5 6.4 21.8 ふとん類 件数 % 扇 名簿 床下換気 1,271 件数 % 3,389 床下換気 3,027 健康食品 2,763 新聞 2,052 紳士録・ 2,003 広告代理 7,713 4.4 扇 表5 販売方法・手口の内容 5位 件数 % 家庭用電 磁気マッ 4,215 2,140 健康食品 気治療器 トレス・ 具 磁気用品 15.9 4 4位 件数 % 7.2 56.0 12,904 3位 過量販売 必要以上の量や長期間の契約をせまり、結果として高額 な契約をさせる販売方法。 サイドビ 「内職・副業(サイドビジネス)になる」「脱サラでき ジネス商 る」等をセールストークに何らかの契約をさせる商法。 法 マルチ・ 商品・サービスを契約して、次は自分が買い手を探し、買い手 マルチま が増えるごとにマージンが入るネズミ講式の取引形態。買い がい取引 手が次にその販売組織の売り手となり、組織が拡大していく。 「当選した」等販売目的を隠して、あるいは販売目的を アポイン 告げてはいるものの特に選ばれたなどと有利な条件を強 トメント 調して電話等で喫茶店や営業所に呼び出して販売する商 セールス 法。 キャッチ 街頭で消費者を呼び止め、喫茶店や営業所・店舗に連れ セールス 込み、商品・サービスを契約させる商法。 <title>深刻な高齢者の消費者トラブル−狙われる 70 歳以上−</title> 9