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Master's Thesis / 修士論文
新規水素化脱硫触媒の開発と生成物選択性
の解析
田中, 祥平
三重大学, 2008.
三重大学大学院工学研究科博士前期課程分子素材工学専攻
http://hdl.handle.net/10076/10903
複写可
新規水素化脱硫触媒の開発と生成物選択性の解析
平成20年度
三重大学大学院工学研究科
博士前期課程
分子素材工学専攻
田中
三重大学大学院
祥平
工学研究科
第一章
序論
1-1
大気汚染I
1
1-2
水素化脱硫
1
1-2-1
水素化脱硫
1
ト2-2
ジベンゾチオフェンの水素化脱硫反応
3
1-3
常圧残油
3
1-4
Al203
3
ト5
本研究の目的
4
1-6
参考文献
5
第二章
ゾルーゲル法coMo/A1203触媒の水素化脱硫反応特性
-c・oの担持方法の影響-
2-1
緒言
2-2
実験
2-2-1
CoMo/Al203触媒の調製
2-2-1-1市販のA1203担体-のCoとMoの同時含浸担持-・・・・--・・・・・・・・・・・・11
2-2-1-2
市販のAl203担体-のCoとMoの逐次含浸担持・-・・--・--・・-・11
2-2-1-3
sol-gelA1203担体-のCoとMoの含浸担持
2-2-ト4
soトgel法による
soトgel
2-2-ト5
sol-gel法による
Mo/Al203触媒-のCo
2-2-1-6
sol-gel法による
co/A1203触媒-のMoの含浸担持・・・-・-・・・・・・・・14
2-2-2
Ⅹ線回折(ⅩRD)測定
2-2-3
FT-IRスペクトル測定
2-2-4
N2吸着測定
2-2-5
水素化脱硫試験
2-2-5-1
反応装置
2-2-5-2
予備硫化
2-2-5-3
活性試験
2-2-5-4
分析方法
2-3
CoMo/A1203触媒の調製--・-・・・----・
の含浸担持・-・・・・・・・・・・-・13
結果と考察
2-3-1
触媒のⅩRDパターン
2-3-2
FT-IRスペクトル測定
三重大学大学院
工学研究科
13
2-3-3
触媒のN2吸着挙動
2-3-4
水素化脱硫活性
2-3-4-1触媒調製方法の水素化脱硫活性に及ぼす影響-・・-・-・-・・---21
各触媒のCHB選択性
2-3-4-2
参考文献
2-4
第三章
NiMo/A1203触媒の水素化脱硫に及ぼす
ポルフィリン添加の影響
3-1
緒言
51
3-2
実験
52
水素化脱硫試験
3-2-1
3-2-1-1
反応装置
52
3-2-ト2
予備硫化
52
3-2-ト3
活性試験
52
3-■2-1-4
分析方法
53
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
3-2-2
54
結果と考察
3-3
55
水素化脱硫活性
3-3-1
19
3-3-1-1
触媒調製方法の水素化脱硫活性に及ぼす影響---・--・---・19
3-3-1-2
各触媒のCHB選択性
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
3-3-2
3-4
52
参考文献
第四章
総括
三重大学大学院
工学研究科
1
大気汚染
ト1
年代中頃より製鉄業、石油化学工業、自動車産業などをはじめと
1950
する諸産業の発展に伴って工業生産高やエネルギー消費量も大幅に増加
している。
1970年代以降には石油及び石炭といった化石燃料の構成比が
90%以上を占めるに至った。今日の日本のエネルギー源としては脱石油の
流れであり新たなエネルギー導入策を強化しているが約
50%を石油に依
存しているl)o特に輸送機関では自動車の石油消費量が、最も多く国内輸送
機関全体の石油消費量の87.5%にも達している1)o
原油の組成比は原産地
によって大きく異なるが、日本は硫黄含有量が多い中東産の原油を輸入し
ている。硫黄化合物は自動車の排ガス浄化装置などの装置の腐食、触媒の
被毒、燃焼によるSO2の発生、悪臭といった人体や環境、装置に対して有
害である。大都市圏を中心として軽油を燃料としたディーゼルエンジン車
の排気ガスからの窒素酸化物(NOx)や硫黄化合物(SOx)による環境破壊が
問題視されており、それに伴い燃料のクリーン化が求められている。現在
国内での硫黄含有量は軽油およびガソリンで・0.001%に規制されており、
NOxの規制が強化され硫黄に対する規制が厳しくなる可能性がある。さら
にナフサや灯油を燃料電池用の燃料とするにはより高活性な水素化脱疏
触媒の開発の必要性があるo石油留分に対する脱硫技術で最も主流なのが
水素化脱硫である。
水素化脱硫
1-2
1-2-1
水素化脱硫
石油留分を脱硫することは、製品の品質向上を目的としているが、同時
に後続の反応プロセスにおける触媒被毒や機器、配管の腐食を防止する役
割も果たす。石油留分に含まれる硫黄の量は留分が重くなるにつれて増加
する傾向にあり、しかも硫黄化合物の種類は硫化水素、メルカプタンなど
の単純な化合物から、ジベンゾチオフェン型の複雑な化合物まで様々な構
造のものがあるl,2,3)。以前は石油留分を化学薬品洗浄により、脱硫、精製
三重大学大学院
工学研究科
2
する例も多かったが、現在の石油留分の脱硫は、水素化脱硫が主流になっ
ている。水素化脱硫は水素存在下で触媒を用いて水素化反応と脱硫を行な
うもので、炭化水素中に含まれる硫黄は硫化水素に、窒素はアンモニアに、
酸素は水にして除去する方法で、製品収率の低減が少なく、高い脱硫率が
得られる4)0
水素化脱硫触媒はこれまでにモリブデン系触媒をはじめ、タングステン
系、クロム系、鉄系などの各種の触媒について水素化脱硫活性が検討され
たが、モリブデン、コバルトあるいはニッケルを担持した触媒が最も高活
性であることが知られ、実用化されている。担体としてはγ-アルミナ、
あるいはシリカーアルミナなどが常用されている5)0
MoO3の量はほぼ
一般に担体上に単分子層で均一に分散できる
20-25
wt.%であり、助触媒成分が加わると減少する。またCo-Mo/A1203系触媒は
CoO含有量で2-5
MoO3含有量で7-17
wt.%程度の組成比の触媒が
最も高い活性を示し、反応時の水素消費量も少ない6)。またCoと
Moの
wt.%、
卓ル比は0.4が最適であると報告されている7)。現在工業的に使われてい
る触媒はこれに近い組成比となっている。この原因を触媒の構造特性から
解明する研究が行なわれている8)。また、チオフェンの水素化脱硫に対す
るCoMo/A1203とNiMo/AI203触媒の物理学的活性の効果の研究も行なわれ
ている9)0
触媒は担体にMoなどの主活性成分やco、
Niなどの助触媒成分を含浸
法によって担持させる方法が一般的な触媒の調製法である。焼成後の金属
触媒は酸化物の状態であるため水素化脱硫触媒として使用する際には、ま
ず予備硫▲化によって硫化物状態にしてから用いる。金属硫化物が空気に対
して不安定なためこの処理は酸化物状態の触媒を反応装置に充填してか
ら行なわれる占触媒の活性発現機構については多くの研究者からさまざま
なモデルが提案されているが10)、
CoMoS結晶モデルが一般的に受け入れられており、加部、石
原らは図1のような
coMoS
らによって改良されたアルミナ上
Tospsoe
Sivasankerによって提案され、
に分散した
co-Mo/A120,触媒では'Ratnasamy
coMoS
相が
A1203上に構造を提案している。この
相に取り込まれた硫黄原子の動きは極めて自由であることが示さ
れており、引き抜かれた硫黄が必ずしも水素化されて硫化水素に転換され
るのではなく、
CoMoS
相で余った硫黄が硫化水素として系外に排出され
る機構で脱硫反応が進んでいると考えられるIl)0
三重大学大学院
工学研究科
と
3
ジベンゾチオフェンの水素化脱硫反応
ト2-2
近年、石油あるいは石炭から得られる燃料油の脱硫反応の指標物質とし
てジベンゾチオフェンが注目され、その水素化脱硫反応についての研究多
く行われている】2)。モリブデン系触媒ではジベンゾチオフェンの水素化脱
硫反応は図2に示した経路で起こる事が明らかになっているり。この機構
では芳香族環を水素化して-キサヒドロ体を経た後、シクロ-キシルベン
ゼンに脱硫される水素化ルートと、ジベンゾチオフェンのC-S結合が直接
開裂して、ビフェニルに脱硫される直接脱硫ルートに分かれている。本研
究における反応生成物もシクロ-キシルベンゼシおよびビフェニルの二
つであった。直接脱硫ルートを選択する方が高価である水素の消費量が少
なくプロセスの経済性の点で有利だが、
4,6-ジメチルジベンゾチオフェン
などのジベンゾチオフェンよりもさらに置換基が多い物質や環数が多い
物質を脱硫する場合には水素化ルートを選択しないと脱硫は困難である。
触媒の酸点が多いと水素化ルートを選択しやすいことが報告されている
13)
0
常圧残油
1-3
常圧蒸留装置から得られる常圧残油は、沸点
350
℃以上の重質油であ
り、重油中の硫黄分は、燃焼により亜硫酸ガスとなって大気中に排出され、
大気汚染の一因となるため、重油の低硫黄化は、石油精製工業の重要な課
題の一つであるo
常圧残油の脱硫法としては、水素化脱硫法が技術的に最
も確立している。常圧残油は非常に複雑な成分の混合体であり、詳細な組
成分析は困難である。また残油中には、原油中に含まれるバナジウム、ニ
ッケル、鉄などが濃縮しており、これらの金属分は脱硫触媒上に堆積する
ため、触媒活性低下や閉塞の原因となり、装置の運転に大きな影響を及ぼ
す。
1-4
A1203
多くの■種類の担体があるが、最も一般的な担体としてはγ-アルミナ(γ
-A)203)が用いられる.それは表面積
200-300
m2g-1、細孔容積
cm3g-】、平均細孔直径10n皿 の物性を有し、天然のアルミナ原料が豊富に
存在し機械加工性が高いためである。アルミニウムのクラーク定数は酸素、
ケイ素についで
3
番目に大きくアルミナは地殻を構成する成分の中では
三重大学大学院
工学研究科
o.5-1.0
4
シリカの次に多量に存在する14,15)。従って手軽で安価に原料を入手するこ
とができる。またその他の重要な理由としてはMoとアルミナの間の相互
作用が触媒構造と水素化脱硫活性に強い影響を与えるためである。金属触
媒を微粒子化し原子状に近づけると形状構造の他にその電子状態が変わ
り金属的性質からイオン的性質に近づいて担体との強い相互作用を示す。
Moとアルミナの強い相互作用は担体上にMoのより高い分散をもたらし、
Moの多層構造より単分子構造を容易にする。この相互作用は触媒上のMo
種の硫化を阻害するための水素化脱硫活性を減少させるかもしれない0
アルミナ及びその原料である水和物には多形が極めて多いことは良く
知られている。アルミナ水和物にはAIO(OH)又はA1203・H20で表される
3水和物がある。これらを加熱すると準安定相である遷移アルミナ(8、
0、
Tl、
K、
†、
X)に転移する15)0
本研究の目的
1-5
全世界規模での環境破壊が問題となっている現在、特にディーゼルエン
I
ジン車の排気ガス中の硫黄化合物(SO玉)による大気汚染-の関心が高まっ
ている。硫黄含有量に対する今後の更なる規制に対応するためには新たな
脱硫プロセスを開発するかより高活性な触媒を開発することが考えられ
るが、後者の方が低コストで導入できるためより高活性な触媒の開発が急
がれている。触媒の調製法は担体の表面に活性金属を含浸法によって後か
ら充填させる方法が一般的である.
第二章ではゾルーゲル法の特徴のひとつである多孔体の構造が作りやす
く組成が均一になることを活かし、ゾル-ゲル法によって担体調製と同時
に活性成分を担持させられればより多くの活性金属を高分散させられ、よ
り高活性な触媒ができるのではないかと考え、・本研究では、
に活性成分を加えるゾルーゲル法で調製した
法で調製したsol-gel
CoMo/A1203触媒とゾルーゲル
A)203にCoやMoを含浸担持した触媒の脱硫性能を
比較した。
第三章ではモデル燃料油にポルフィリンを添加して常圧残油のモデル
燃料油を作製し、四種類の工業用のNiMo/A)203触媒を用い脱硫を行いそ
の影響を調べた.
三重大学大学院
A1203調製時
工学研究科
5
1-6
1)
参考文献
T・Kabe,
A.lshihara,
Hydrodenitrogenation
WILEY-VCH,
2)
Chemistry
S.Inoue,
T.Tatsuka,
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加部利明,
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藤堂尚久,
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Berlin
化精製-science
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CoMo/yIAl203
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Co-Mo/y-Al203
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7)
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W.Qian,
,アイピーシー出版(2000)
三重大学大学院
工学研究科
「水素
6
井上泰宣,PETROTECH,3,317,(1990)
12)安盛岩雄
13)
K.-H.Choi,
N.Kunis.ada,
desulfurization
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14)柳田博明
pp.1-49
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through
two-stage
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-layer
ultra-deep
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清水紀夫
永井正幸,
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,技報堂出版(1987)
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15)セラミックス材料技術集成編集委員会編,
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K.Nakano,
,産業技術センター(1979)
三重大学大学院
工学研究科
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9
第二章
ゾルーゲル法coMo/A1203触媒の水素化脱硫反応特性
-Coの担持方法の影響-
緒言
2-1
水素化脱硫活性は触媒担体の表面積、平均細孔径、細孔容積に依存する
ことが知られている】6)。水素化脱硫触媒の担体としてゼオライトの使用を
使用する試みも行なわれているが、現行ではほとんどの水素化脱硫触媒の
担体として、
†-アルミナが使用されている。そして、アルミナ担体の性能
が原料と調製法によって大きく変化することも知られている。
ゾルーゲル法
ゾルーゲル法とは金属の有機又は無機化合物を溶液中で加水分解し重合
反応を進ませて水酸化物(含水酸化物)とし、これを熱処理して非晶質固
体、多孔体、ガラス、セラミックス材料などを合成する方法として用いら
れている】7)。セラミックス系材料の合成法であるゾル-ゲル法を触媒担体
の合成に用いると特徴として次のことが挙げられる17,18)o
低温合成が可能:溶液中で室温に近い低温で反応させることができる
ため、有機一無機複合材料の合成が可能である。また生成するゲル粒千
が微細なために焼結温度を低下させることができる。このため結晶化、
分相や分解を避けることができ、より高表面積な担体が作製できる。
均質性の向上:溶液中で目的材料の成分はイオンあるいは分子の状態
で溶解、混同しているので、組成の均一な多成分系化合物が得られる0
微粒子担体の合成が可能:微粒子で単分散性の原料を調製できるため、
粒径の揃った高性能の担体を作ることができる。
ゾルーゲル法のこれらの特徴を利用して担体の調製に関する研究が多く
三重大学大学院
工学研究科
10
成されてきた。
F.Dumeugnilら19・20)はアルミニウム-see-ブトキシドを出発
物質とし、ゾル-ゲル法によってアルミナを調製する場合、加水分解に加
える水の量はモル比で[H20】/['ASB]-9-10の時に最も活性が高い担体が得
られると報告した。
そこで本研究では、
A1203調製時に活性成分を加えるゾルーゲル法で調製
したcoMo/Al203触媒とゾルーゲル法で調製したsol-gelAl20,にCoやMo
を含浸担持した触媒の脱硫性能を比較した。
三重大学大学院
工学研究科
ll
2-2
2-2-1
実験
CoMo/A1203触媒の調製
表1に従った調製法で以下の触媒を調製した.
2-211-1市販のAl203担体-のCoとMoの同時含浸担持
担体にAJ203(コスモ石油社製)を使用し、
co/Mo-0.4
モル比が
MoO3が20wt.%、
CoとMoの
になるようにセモリブデン酸六アンモニウム四水和
物(粉末)((NH.)6Mo,02.・
ト(Ⅱ)六水和物(co(NO3)2・
4H20;ナカライテスク株式会社製)と硝酸コバル
6H20;ナカライテスク株式会社製)の重量を決
定し図3のフローチャートの従って同時含浸法によって担持した。
一般的に細孔容積と同量の水を加えるのでAl203担体Igに対して0.712
とCo(NO,)2・6H20
cm3の細孔容積として考え、さらに(NH.)6Mo,0,.・4H20
に含まれる水の量を差し引いた重量の水1.67gに(NH.)6Mo,02.・4H,00.74
100ml
gとco(NO3)2・6H200.49gを加えよく溶解させて含浸溶液とした。
ビーカーにA1203
2.40
gを入れそこに含浸溶液を加え、
液がいきわたるようにガラス棒でよくかき混ぜた。
A1203に均一に溶
5時間含浸させた後ホ
℃、
ットプレート付きマグネティツクスタ-ラー上で100
拝しながら溶媒を蒸発させた。
10時間加熱撹
得られた粉末に対して電気炉を用いて焼成した。室温から炉の中にサン
プルを入れ焼成後に放冷し100
CoMo/ref・A)203
℃以上で取り出し青褐色粉末である
収率は97.67%であった。焼成条件を以下
2.93gを得たo
に示す。
雰囲気:空気中
℃/min.
昇温速度:3
℃
目的温度:500
保持時間:3時間
2-2-1-2
市販のAl203担体-のCoとMoの逐次含浸担持
担体にAl203(コスモ石油社製BET表面積
20wt.%、
292
m2/g)を使用し、
CoとMoのモル比がCo/Mo=0.4になるようにセモリブデン酸六
三重大学大学院
工学研究科
MoO3が
12
アンモニウム四水和物(粉末)((NH.)6Mo,Q2.・4H20;ナカライテスク株式会
社製)と硝酸コバルト(Ⅱ)六水和物(Co(NO3)2
・6H20;ナカライテスク株式
会社製)の重量を決定し図4のフローチャートの従って同時含浸法によっ
て担持した。
Moの含浸担持は2-1-1と同様にAI203担体1
gに対して0.712cm3の細
に含まれる水の量を差し
孔容積として考え、さらに(NH4)6Mo7024・4H20
引いた重量の水o.49
て含浸溶液とした。
を加え、
た。
0.74
gに(NH.)6Mo,02.・4H20
gを加えよく溶解させ
100mlビーカーにA12032.40gを入れそこに含浸層液
Al203に均一に溶液がいきわたるようにガラス棒でよくかき混ぜ
5時間含浸させた後ホットプレート付きマグネティツクスタ-ラー上
で100
℃、
10時間加熱撹拝しながら溶媒を蒸発させた。
乾燥した触媒を焼成条件に従って焼成し、青褐色粉末である
Mo/ref.
触媒を2.00gを得た。収率は86.44%であった。
Al203
さらにCoの含浸担持は2-ト1と同様にAl203担体1gに対して0.712cm3
の細孔容積として考え、さらにCo(NO3)2・6H20に含まれる水の量を差し
引いた重量の水1.67gにCo(NO3)2・6H200.49gを加えよく溶解させて含
浸溶液とした。
乾燥.した触媒を焼成条件に従って焼成し、青褐色粉末であるCo-Mo/ref.
触媒を2.45g得た。収率は8l.70%であった。
Al203
また先にCoを担持させ、後からMo担持させたMo-Co/ref.
を上記の手順の(NH4)6Mo702.・4H20
A1203
触媒
とCo(NO3)2・6H20を逆にした手順(図
触媒を2.39gを得た.収
5)で作製し、青褐色粉末であるCo-Mo/ref.Al203
率は79.00%であった。
2-2-1-3
sol-geIA)203担体-のCoとMoの含浸担持
Al203
の
出 発
原
料 と
(Al(0-sec-C4H9)3;東京化成製
し
て
ア
ル
ミ
ニ
ウ
ム
ーSeC-ブト
以.下ASBと示す)を使用し、
キ
ASBと水の共
溶媒として無水エタノールを用いた。出発溶液組成を表2に示す。
図6のフローチャートに従ってAl203担体を調製したoまず200mlビー
カーにASB24.16gを入れ、サランラップで素早く蓋をした.マグネティ
ツクスタ-ラーでASBをよく撹拝しながら無水エタノール88.20gをスポ
イトでゆっくり加えよく撹拝した。この溶液にH2015.89gをビュレット
で約
5秒に1滴の速度でゆっくり滴下し,約2時間で滴下完了した後約
18時間室温で撹拝した。ゾルのpHは7.0であった。このゾルをホットプ
℃で加熱撹拝しながら溶媒
レート付きマグネティツクスタ-ラー上100
三重大学大学院
工学研究科
シド
13
を蒸発させて約12時間で乾燥ゲルを得た。
得られた乾燥ゲルを焼成条件にしたがって焼成し白色粉末の
soトgel
収率96.00%であった.
Al203担体を4.80g得たo
coとMoの含浸担持は2-1-1と同様にAl203担体Igに対して0.712cm3
と
の細孔容積として考え、さらに(NH4)6Mo7024・4H20
6H20
Co(NO3)2・
に含まれる水の量を差し引いた重量の水1・67gに(NH4)6Mo70?4・4H200・74
100ml
gとco(NO3)2・6H200.49gを加えよく溶解させて含浸溶液とした。
ビーカーにAl203
Al203に均一に溶
2.40
gを入れそこに含浸溶液を加え、
液がいきわたるようにガラス棒でよくかき混ぜた。
5時間含浸させた後ホ
℃、
ットプレート付きマグネティツクスタ-ラー上で100
拝しながら溶媒を蒸発させた。
10時間加熱撹
乾燥した触媒を焼成条件に従って焼成し、青褐色粉末である
触媒を2.72gを得た。収率は90.70%であった。
CoMo/sol-gelA1203
またCo、
Al203、
Moを逐次含浸したCo-Mo/soトgel
Mo-Co/soトgel
も図7、図8にしたがって作製しそれぞれ4.13g,99.16%、
A1203
2・85g,95・00%
で得た。
212-1-4
soI-geI法によるsoトgeICoMo/A120,触媒の調製
出発物質として
ASB
を、溶媒には無水エタノールを用いた。溶液の組
成を表2に示す。図9のフローチャートに従ってsol-gelCo-Mo/A1203触媒
を調製した。
く蓋をした。
200mlビーカーにASB9.86gを入れ、サランラップで素早
i7グネティツクスタ-ラーでASBをよく撹拝しながら無水
エタノール27.60gをスポイトでゆっくり加えよく撹拝した。この溶液に
(NH.)6Mo,0,.・
4H200.62g
とCo(NO3)2・
6H200.40gをH206.48gに溶か
した溶液をビュレットで5秒にl滴の速度でゆっく
り滴下し約1時間半で
滴下を終了した後、約18時間室温で撹拝した。ゾルのpHは7.5だった。
このゾルをホットプレート付きマグネティツクスタ-ラー上100
℃で
加熱撹拝しながら溶媒を蒸発させて約12時間で乾燥ゲルを得た。
得られた乾燥ゲルを焼成条件にしたがって焼成し白色粉末の
Co-Mo/Al203触媒2.20gを得た。収率83.08%であった。
212-1-5
sol-gel法によるMo/Al20,触媒-のCoの含浸担持
出発物質としてASBを、溶媒には無水エタノールを用いた。溶液の組
成を表2に示す。図10のフロー≠ヤートに従ってMo/Al203触媒を調製し
三重大学大学院
工学研究科
soI-gel
14
たo
200mlビーカーにASB15.76gを入れ、サランラップで素早く蓋をし
た。マグネティツクスタ-ラーで
ル
58.90
ASB
をスポイトでゆっく
g
をよく撹拝しながら無水エタノー
り加えよく撹拝した。この溶液に
(NH4)6MoO24・4H200.98gをH2010.38gに溶かした溶液をビュレットで5
秒に1滴の速度でゆっく
り滴下し約1時間半で滴下を終了した後、約18
時間室温で撹拝した。ゾルのpHは7.5だった。
℃で
このゾルをホットプレート付きマグネティツクスタ-ラー上100
加熱撹拝しながら溶媒を蒸発させて約12時間で乾燥ゲルを得た。
得られた乾燥ゲルを焼成条件にしたがって焼成し白色粉末の
Mo/Al203
触媒4.20gを得た。収率114.02%であった。
coの含浸担持は2-1-1と同様にAl20,担体1
gに対して0.712
cm3の細
孔容積として考え、さらにCo(NO3)2・6H20に含まれる水の量を差し引い
た重量の水2.39gにCo(NOつ)2・6H200.68gを加えよく溶解させて含浸溶
液とした。ただしMoO3-30wt.%以上の触媒ではモル比Co/Mo-0.4ではな
100ml
く MoO3-20wt.%の時でのCo/Mo-0.4のCoOの値を用いた(表3)。
ピーカ∵にMo/A)20,
Mo/A1203に均g入れそこに含浸溶液を加え、
に溶液がいきわたるようにガラス棒でよくかき混ぜた。その後ホットプレ
4.20
℃、2時間加熱撹拝しながら溶
ート付きマグネティツクスクーラー上100
媒を蒸発させた。
乾燥した触媒を焼成条件に従って焼成し、青褐色粉末である
触媒を4.10g得た。収率は93.72%であった。
Co-Mo/A1203
2-2-1-6
sol-gel法によるCo/Al203触媒-のMo含浸担持
出発物質として
を、溶媒には無水エタノールを用いた。溶液の組
ASB
成を表2に示す。図11のフローチャートに従ってCo/A1203触媒を調製し
た。
200m】ビーカーにASB19.71gを入れ、サランラップで素早く蓋をし
た。マグネティツクスタ-ラーで
ル
55.20
g
ASB
をスポイトでゆっく
をよく撹拝しながら無水エタノー
り加えよく撹拝した。こ'の溶液に
co(NO3)2・6H200.81gをH2012.96gに溶かした溶液をビュレットで5秒
にl滴の速度でゆっくり滴下し約1時間半で滴下を終了した後、約18時
間室温で撹拝した。ゾルのpHは7.5だった。
このゾルをホットプレート付きマグネティツクスタ-ラー上100
℃で
加熱撹拝しながら溶媒を蒸発させて約12時間で乾燥ゲルを得た。
得られた乾燥ゲルを焼成条件にしたがって焼成し白色粉末の
触媒4.83gを得たo
収率112.69%であった。
三重大学大学院
工学研究科
Co/Al203
15
Moの含浸担持は211-1と同様にAl,0,担体1
gに対して0.712cm3の細
孔容積として考え、さらに(NH.)6Mo?02.・4H20
引いた重量の水1.42
て含浸溶液とした。
に含まれる水の量を差し
0.61
gに(NH4)6Mo,024・4H20
gを加えよく溶解させ
100mlビーカーにMo/Al2032.00g入れそこに含浸溶
液を加え、Mo/A1203に均一に溶液がいきわたるようにガラス棒でよくかき
℃、
混ぜた。その後ホットプレート付きマグネティツクスタ-ラー上100
2時間加熱撹拝しながら溶媒を蒸発させた。
乾燥した触媒を焼成条件に従って焼成し、青褐色粉末である
Co-Mo/A1203
2-ユー2
触媒を2.18g得た。収率は87.21%であった。
Ⅹ線回折(ⅩRD)測定
焼成後の触媒の結晶化挙動を調べるため、焼成後の触媒約25.7gに対し
てⅩD-610Ⅹ線回折装置(島津製作所社製)を用いてⅩ解回折(XRD)測定を行
なった。
Ⅹ原にはNiフィルターで単色化したCuKα線(九-0.15478nm)を使
用し、管電圧一管電流を30
kV-15
mAとして以下に示す条件で測定を行な
った。
scan
CONTINUOUS
:
mode
1
:
presettime
scan
(SS)lo(DS)lo(RS)0.3mm
:
slit
:
speed
sec
2o/min
また、測定範囲は20-10-70oとしたo
2-2-3
FT-IRスペクトル測定
焼成後に得られた触媒の構造を調べるためにIRスペクトル測定を行な
った。測定には日本分光社製FT/IR-550型フーリエ変換赤外分光光度計を
用いた。測定には粉末試料o.7mgと
KBr結晶粉末(ナカライテスク社製
赤外吸収スペクトル用)約150mgを重量比1:120で混合し、その混合物を
10分間の真空圧縮によりペレットにして測定を行なう
測定条件を以下に示す。
積算回数:20
分解能:
4.00cmーl
属性:%T
波数:
400-4000cm
三重大学大学院
】
工学研究科
KBr法を用いた。
16
2-2-4
N2吸着測定
作製した触媒・担体の表面積、細孔径、細孔容積、細孔分布を調べるた
めにN2吸着測定を行った。装置には前処理にBELPREP-vacⅡ(日本ベル株
式会社製)、測定に
吸着温度は
の
N2
BELSORP-mini(日本ベル株式会社製)を用いた.
77k、表面積はBET法によって、細孔径、細孔容積はBJH法
によって求めた。
BET法とは単分子層吸着理論であるLangmuir理論を多分子層吸着に拡
張した、比表面積の計算方法として最も有名な理論であり、以下の式によって比表面積
を求める。
P
1
V(Po-P)
(C-1)P
VmC
VmC
Po
ここで、Pは一定温度で吸着平衡状態であるときの吸着平衡圧、Poは吸着
温度における飽和蒸気圧、
Vは吸着平衡圧Pにおける吸着量、
Vmは単分子
層吸着量(気体分子が固定表面で単分子層を形成したときの吸着量)、
BET定数(固体表面と吸着物質と間の相互作用に関するパラメータ)を表
Cは
す。
細孔分布は以下の式から求める。
(dwa /dx)
f(r)-
ここ.で、
表す。
-
-t)f(r)dr
(dt/dx)f2方(r
7T(r-i)2 (dr/dx)
tは吸着層の厚さを
rは細孔半径、
waは容積吸着量、xは相対圧、
BJH法とは吸着層の厚さ上の評価に9種の多結晶試料-の平均的な
吸着量から得た値を用いる方法である21)0
三重大学大学院
工学研究科
17
水素化脱硫試験
2-2-5
2-2-5-1
反応装置
反応装置は図12
に示した固定床流通式高圧反応装置を用いて行った。
この反応装置のリアクターには内径
チール製パイプを用いたo
DZIOOO
8
mm、外径10mmのステンレスス
炉の反応制御は、リアクターに熱電対を接し
シリーズデジタル指示調節計(株式会社チノー社製)を用いて行っ
たo
リアクター-の触媒の充填は、.まずリアクターの上部を組み立て逆さに
固定し石英ウール(東ソー株式会社製、Fine)を詰め、その後漏斗を用いて
石英砂(和光純薬株式会社製)を詰めた。このとき石英砂の上部に熱電対が
約3cm
出るようにした。その後、触媒1
g
となるようにした.その上に石英ウ
ュラで交互に入れ、触媒層を約6cm
6
ールを詰めて外径
下部を組み立てた。
と同体積の石英砂をスパチ
のパイレックスガラス管を詰めてリアクターの
mm
予備硫化
2-2-5-2
固定床流通式高圧反応装置に調製した触媒を充填した後、活性試験を行う
前に
4.95vol%H2S-H2
H2S-H2
2-2-5-3
を用いて以下の条件で予備硫化を行った。
流量
30cc/min
圧力
常圧
昇温速度
5
反応温度
400
反応保持時間
3
℃
/min
℃
時間
活性試験
反応溶液は溶媒をデカヒドロナフタレン(CIOH-8
ライテスク社製)としてジベンゾチオフェン(C12H8S
社製)を
o.1
wt.%含む
0.1
wt.%DBT
以下デカリン;ナカ
以下DBT;東京化成
デカリン溶液を用いて活性試験を行
った。反応の際に生じた生成物は気按分離管によって分離し気体生成物は
ドラフト-排気した。
予備硫化を行なった触媒反応溶液を流しながら反応温度で安定するよ
三重大学大学院
工学研究科
18
うに1時間反応を行なった。その後サンプリングを開始し15分毎に4回
採取したo反応温度は反応後の溶液をガスクロマトグラフィーで活性を求
℃ずつ4種類の温度が得られるよ
め転化率が約20-80%になるように20
うに調製し、最後に最初に反応を行なった温度に戻し失活しているかを調
べた。以下の反応条件で反応を行なった。
300cc/min
H2流量:
圧力:5MPa
℃/min
昇温速度:5
WHSV28/h
反応溶液流量:
ユー2-5-4
分析方法
FID
ガスクロマトグラフ
一定時間ごとに採取した液状生成物の組成を
GC-14A、島津製作所製)で定量分析した。カラムは、長さ
ィー(GC-17A
60
m、内径o.25
mm、膜厚0.5
um(BPl島津製作所製)を用いたoサンプルは、
o.3LL)をマイクロシリンジ(株式会社伊藤製作所製)で注入し、以下の条件
で定量分析した。
℃
カラム温度:240
℃
インジェクション温度:240
℃
ディテクター温度:240
初期温度:240
℃
最終温度:240
℃
保持時間:
PRSS
17min
90KPa
:
SPL-R:
FID
50
レンジ:o
生成物の保持時間は
DBT:
10.6min
BP
CHB
:
611
4H
6.4min
:
6.1
min
8.8min
:
10.3min
:
だった。
三重大学大学院
工学研究科
19
結果と考察
2-3
2-3-1
触媒のⅩRDパターン
図13,14,15に様々な方法で調整した触媒(焼成後)のXRDパターンを示
す。同時含浸法によって
を担持させた
CoMo
CoMo/sol-gel
CoMo/ref.Al203、逐次含浸させたMo-Co/sol-gelAl203、
は
、
MoICo/ref.Al203で
MoO3のピークが観測されたが逐次含浸させた
Co-Mo/ref.
A1203
Co-Mo/sol-gel
A1203、
A1203ではMoO3のピークは観測されなかった。またゾルーゲル
法によって調製したco-Mo/Al203、
Mo-Co/A1203、
sol-gel
CoMo/Al.203は
†-A1203のピークもほとんど観測されずアモルファスであると言えるが逐
次含浸させたCo-Mo/sol-gelAl203、
Co-Mo/ref.Al203は†-A1203のピークが
観測された。
co-Mo/soトgelAl203はCo-Mo/ref.Al203と比較すると†-A1203
のピークがややブロードであった。
2-3-2
FT-IRスペクトル測定
図16,17に焼成後の触媒のFT-IRスペクトルを示す。
ークはH-0-H変角振動、
振動にそれぞれ帰属される。
Al-0-Al伸縮振動、1000cm
3000-3500
cm
1600cm-1付近のピ
lのブロードなピークは0-H伸縮
500-600
cm
】付近のブロードなピークは
l付近のショルダーピークはAl-OH伸縮振動に
帰属される。
図16
に様々な調製法における
FT-IR
スペクトルを示す。
ref.、
C?Mo/ref・Al203と比較するとゾル-ゲル法で調製した触媒は0-H伸縮振動
が
Aト0-Al伸縮振動や
伸縮振動に対して大きいことや、
Al-OH
sol-gel
CoMo/A1203のAトOH伸縮振動が他の触媒と比較するとよりはっきりして
いることの他には明確な違いが現れなかった。
図17にCoとMoを逐次含浸したCoIMo/sol-gelA1203触媒のFT-IRスペ
クトルを示す。逐次含浸法によってCoとMoを担持させたCo-Mo/sol-gel
Al203、Co-Mo/ref.A1203は共に同時含浸法によって担持させたCoMo/sol-gel
Mo
A1203やゾルーゲル法によって
を担持させた
Co-Mo/Al203
と比較して
o-H伸縮振動のAト0-Al伸縮振動やAl-OH伸縮振動に対する大きさが他と
比較すると小さいことや
o-H
伸縮振動が′J、さいことがわかる。これは逐
次含浸法では担持における焼成回数が
2
回と他の触媒と比較して多いた
めに触媒に吸着していた空気中の水分が飛びやすかったことが原因とし
三重大学大学院
工学研究科
20
て考えられる。
全てのFT-IRスペクトルの図から共通するのはXRD測定結果では違い
が観測されたにも関わらず、FT-IRスペクトルではほとんど差がなかった。
また600cm
l付近のブロードなピークはAl-bH伸縮振動に帰属され、A104
四面体とA106八面体が共存していることを示している22,23)。このピーク
トップが低波数側-シフトすると
A106八面体を多く含むと考えられてい
る。しかしこのピークに関する違いはほとんど見られなかった。3000-3500
cm-)の0-H伸縮振動ピークが大きいのは表面吸着した水、KBrに吸収され
た水、あるいはAlと結合している
OH基のどれかによるものかは判断が
つかない。
触媒のN2吸着挙動
2-3-3
表3にN2吸着法による焼成後のCoMo/A1203触媒の表面積、細孔径、細
孔容積を示す.
sol-gel
A120,(385
6.1
m2g-1,
担体の触媒と比較するとかなり大きいが
nm,
1.87
cm3g-I)は市販のA1203
を含浸担持することで表
coMo
面積、細孔径、細孔容積が大きく減少していることがわかる。そのため図
14のXRDパターンでMoO3のピークが観測されMoO3が均一に分散して
いなかったことがわかる.ゾルーゲル法で調製したCo-Mo/A1203(323m2g-I,
2.4
nm,
0.85
cm3g-I)、
coMo/sol-ge)A1203(260
Mo-Co/A120,(235
m2g-1,
2.4nm,
2.7
m2g-I,
nm,
0.57
cm3g-1)は
0.51
cm3g-1)と同様に焼成が2回であ
るが表面積,細孔容積などの物性が優れていることがわかる。
coMo/Al,0,(521
m2g
1,
2.4
nm,
sol-ge)
1.28
cm3g-1)は焼成が1回のみであるため焼
結せず表面積が大きいままであったと考えられる。あらかじめゾルーゲル
法で作製した
co-Mo/sol-gel
Al203
A)203(285
Co
に後から含浸法で
m2g-1,
2.4
nm
0.95
と
cm3g-I)、
Mo
を含浸担持させた
Mo-Co/so)-gel
Al,0,(196
m2g 1,2.4nm,0.48cm3g-1)は焼成が3回であるため、ゾルーゲル法で作製し
たCo-Mo/Al203(323
m2g--)、 Mo-Co/Al203(235
m2g-I)に比べて表面積が小さ
かった。全ての触媒に共通して市販のAl203担体の触媒と比較して表面積
と細孔容積は大きいが細孔径が小さいことがわかる。
図18,19に焼成後の触媒の細孔分布を示す。
so)-ge)Al203は比較的細孔
径が大きく(6.I
nm)、そろっているがCoMoを同時含浸することでブロー
ドなピークでピークトップもより低い位置になっていることがわかる。こ
れは含浸法で担持し焼成した際に焼結してしまったのではないかと考え
られるoCo-Mo/Al203は2種類のピークトップがあることがわかる。so)-gel
CoMo/A1203は細孔径がそろってはいるが、非常に小さい(2.4nm)c
三重大学大学院
工学研究科
これら
21
のことから焼成の回数が増えると細孔径が焼結によって小さく、ばらつき
やすくなるのではないかと考えられる。
2-3-4
水素化脱硫活性
触媒調製方法の水素化脱硫活性に及ぼす影響
2-3-4-1
図20に調製方法を変えたCoMo/A1203触媒(MoO3-20
Co/Mo-0.4)
wt.%、
のDBTに対する脱硫活性を示す。いずれの触媒を用いた時もDBTの水索
化脱硫反応に活性を示し、反応温度の上昇に伴い
加した.
Mo-Co/A1203、
Co-Mo/Al203、
DBTの脱硫転化率は増
CoMo/Al203の順で活性が高
Sol-gel
いことがわかる。ゾルーゲル法によって活性成分を1種類担持させた後含
浸法によってもう1種類を担持させた触媒は活性が高かった。
sol-gel
ⅩRDパターンでもアモルファ
CoMo/A1203は表面積、細孔容積共に大きく
スで触媒条件としては良いと思われたが活性は最も低かった。これはゾル
Moを同時に担持させたためCoやMoが分子の内側に入
ーゲル法でCoと
り込み図1で示したようなcoと
Moの相互作用が働きにくかったためと
考えられる。
図21,
22に逐次含浸したcoMo/Al203触媒(MoO3-20
Co/Mo-0.4)
wt.%、
のDBTに対する脱硫活性を示す。いずれの触媒を用いた暗もDBTの水索
化脱硫反応に活性を示し、反応温度の上昇に伴い
DBTの脱硫転化率は増
加した。市販のAl203担体を用いて逐次含浸した触媒はMoを先に担持さ
せたCo-Mo/ref.
A)203、
を同時に担持させた
で調製した
A1203、
Mo-Co/sol-gelAl203、
CoMo/sol-gelAl203の順に活性が高く、ゾル
Co-Mo/Al203は逐次含浸法に
CoMo/sol-gel
表面積が小さかったためにXRDパターンでMoO3が均一に分散していな
いことが原因で活性が低いと考えられる。
各触媒のCHB選択性
24,
Mo
Co-Mo/soトgel
Al203担体を用いて逐次含浸した触媒も同様に
よって調製した触媒とほぼ同等に活性が高かった。
図23,
と
CoMo/ref.Al203の順に活性が高かった。ゾルーゲル法
ゲル法で作製した触媒と逆の結果になった。
2-3-4-2
Co
Coを先に担持させたMo-Co/ref.A1203、
25にそれぞれの触媒のCHB(cyc)ohexylbenzene)選択性を示し
た。各触媒の1番高い反応温度ではCHB選択性がわずかに選択されたが、
ほとんどの条件でほぼ100%BP(biphenyl)を選択することがわかる。
三重大学大学院
工学研究科
A1203は
22
図26にMo/Al203触媒のCHB選択性を示したo
cHB選択性に及ぼす反
応温度の影響はほとんど無く比較的高い
から
CHB選択性を示した。このこと
coを担持したことでBP選択性が上昇し、水素消費量が少なく脱硫
効率が良い直接脱硫ルートを選択することがわかる。
三重大学大学院
工学研究科
23
2-4
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(2005)
20)
F・Dumeignil,
K.Sato,
"Modification
of
alumina
structural
by
powders
319-329,
鈴木勲,
22)G・Kr]'shna
Priya,
G・Aruldhas,
boebmite
Ph・Co)omban,
scattering
acidic
the
hydrosis
properties
ratio",
「吸着の科学と応用」
P.PadmaJa,
"Dehydroxylation
J・Mater.Sci.Left.,
23)
changing
and
H.Shimada,
E.Payen,
N.Matsubayashi,
of
sol-gel-prepared
241,
Appl.Calal.AIGen.,
(2003)
21)小野善夫
soトgel
M.Imamura,
16,
by
1584-1587,
"Structure
Part
K.G.K.Warrrier,
lAlumina",
high
and
characterized
,講談社(2003)
of oxide
A.D.Damodaran,
temperature
Fourier
phase
infrared
transform
and
formation
spectroscopy",
(1997)
gels
J.Mater.Sci.,
三重大学大学院
and
24,
glasses
by
3002-3010,
工学研究科
infrared
(1989)
and
Raman
in
24
Table
1 Various
preparation
(MoO3=20
sampJe
wt・%,
narTle
method
of catalyst
Co/Mo=0・4)
SOトge)
method
impregnation
Co-Mo/ref.
Al203
Co、
Mo
Mo-Co/ref.
Al203
Co、
Mo
CoMo/ref・
AJ203
Co、
Mo
■-
Co-Mo/soト9eI
Al203
Al203
Co、
Mo
Mo-Co/so一-9el
Al203
Al203
Co、
Mo
CoMo/soトgel
Al203
Al203
Co、
Mo
Co-Mo/AJ203
AI203
Mo-Co/AJ203
AJ203.
sol-gel
CoMo仏l203
Al203、
三重大学大学院
、
Mo
Co
Co
Mo
Co、
Mo
工学研究科
25
Fig・3・ Flow
chart for impregnated
(Mo=20 wt.%, Co/Mo=0.4)
三重大学大学院
工学研究科
CoMo仏l203
26
impregnation
ref.Al203
(NH4)6Mo7024・4H20
H20
sti「rln9 at r.t.b 「5h
■
at 100
dⅣlng
■
calcinln9
at 500
oC for 10h
oC fb 「3h
Co(NO3)2・6日20
H20
Fig.4. FIow
chan
for impregnated
(Mo=20 wt.%, Co/Mo=0.4).
三重大学大学院
工学研究科
Co-Mo/Al203
27
impregnation
ref.AI203
Co(NO3)2・6日20
日20
■
sti「「】n9at 「.t.b 「5h
■
drylng at 100
oC for 10h
■
calcinlng
oC fb 「3h
at 500
(NH4)6Mo7024・4H20
●
h
sti「「ln9 at「.t. b「5
■
h
drymgatlOOoCforlO
■
calcinln9
at500
H20
oC for3
h
Mo-Co/Al203
Fig・5・ FJow
chart for impregnated
'(Mo=20 wt.%, Co/Mo=0.4).
三重大学大学院
工学研究科
M&Co/AI203
Table
2 Composition
sample
of starting sotutions
by sol-get method
name
molar
ASB
川
柳
*
H20
EtOH
ratio
(NH4)6Mo7024
・
1t:I
4H20
Co(NO3)2
・
6H20
A
1t'罰
H
価
頚
料
茸
Co-
Mo/AI203
Mo-
Co/A]203
1.24×
Sot- gel CoMo/A]203
Co-Mo/soトgel
Mo-Co/sol-
CoMo/soトgel
At203
gel A]203
Al203
1.24×
10-2
10-2
3.47x
10-2
3.47×
10-2
29
sol-gel
method
■
sti「「lng at 「.t.
EtOH
at
OoC
droppln9
H20
■
stirrlng atO oC fわr 18 h
lOOoCfor12
h
d「ylngat
oC for3 h
ca[cinlng at500
■
■
sol-gel A]203
impregnation
(NH4)6Mo7024・4H20
Co(NO3)2・6H20
=
sti「「ln9 at 「.t.fo「5
dry[ng at lOOoCforlO
h
oC for3
h
■
■
ca]cinJng
at500
日20
h
CoMo/soトgel
Fig.6. FJow
chan
Al203
for impregnation
CoMo/sol-ge一
Al203
(Mo=20 wt.%, Co/Mo=0.4).
三重大学大学院
工学研究科
of
30
Mo/soト9el
Al203
Fig・7・ F一ow chart for imp「egnatio=
Co-Mo/soト9eI
・(Mo=20
wt.%,
三重大学大学院
Al203
Co/Mo=0.4)I
工学研究科
of
31
Co/soト9el
Fig・8・ Flow
Al203
chart for impregnation
Mo-Co/soトgel
Al203
(Mo=20 wt.%, Co/Mo=0・4)・
三重大学大学院
工学研究科
of
32
Fig.9. Flow
chan for the preparation
sol-9el CoMo仏Ⅰ203
(Mo=20 wt.%, Co/Mo=0.4).
三重大学大学院
工学研究科
of
33
sol-gel
m'ethod
■
sti「「】n9at r.t.
EtOH
at
OoC
■
stirrlng atO
■
dryln9
calcinlng
Fig.10.
Flow
at500
H20
(NH4)6Mo7024
oC fわr18 h
at lOOoCfbr
■
dropplng
・4H20
12 h
oC br3
h
chart for imp「egnation
Co-Mo仏l203(Mo=20
三重大学大学院
wt.%,
工学研究科
of
Co/Mo=0.4)I
34
sol-gel
method
■
stirrJng at r.t.
EtOH
at
OoC
=
stirrl=9 atO
=
drylng
■
at500
H20
Co(NO3)2・
oC fわr18 h
at lOOoCfor
caJcinfng
dropplng
6H20
12 h
oC for 3 h
Co/AJ203
impregnation
(NH4)6Mo7024・4H20
H20
■
stir「lng at r.t..br 5 h
■
drylng
at lOOoC
■
calcinJng
at500
for 10 h
oC for3
h
Mo-Co仏l203
Fig.ll.
FIow
chan
for impregnation
Mo-Co仏l203(Mo=20
三重大学大学院
工学研究科
wt.%,
of
Co/Mo=0.4)・
川
柳
*
価
*
#'・
罪
H
価
頚
滑
掌
Fi9.12.Reaction
device
of hyd「odesutfu「ization
36
こi
■
=;
d
ヽー
>ヽ
■-■
■
二
二_
∽
⊂
q)
I-■
⊂
■■-■■■
20
40
60
2∂ /°eg.
Fi9.13.
XRD
patterns
(MoO3=20
wt%,
of CoMo/ref・Al203
Co/Mo=0.4).
三重大学大学院
工学研究科
Catalysts
37
i
コ
■
=;
d
ヽー
>ヽ
■-■
■
∽
⊂
q)
-■
`⊂
二====‥
20
40
60
2∂ /°eg.
Fig・14・
XRD
patterns
catalysts
of CoMo/soトgel
(MoO3=20
三重大学大学院
工学研究科
wt%,
Al203
Co/Mo=0・4)I
38
EiiZ
■
=;
d
ヽー
>ヽ
」トJ
■
∽
⊂
_a)
⊂
20
40
60__
2∂ /de9.
Fig・15・
XRD
of CoMo/AJ203CataJysts
patterns
(MoO3=20
wt%,
三重大学大学院
Co/Mo=0・4)I
工学研究科
39
Eii■
=;
d
ヽー
q)
U
⊂
a
'■-■
'f
(〟
⊂
m
r-T=
3500
2500
1 5qO
Wavenumber
Fig.16.
1R spectra
of various
of CoMo/AJ203
500
/cm-1
p「eperation
method
Catalyst
(MoO3=20
wt.%,Co/Mo=0.4).
(a):ref. (b):CoMo/ref.Al203
(c):coMo/soトgel AJ203
(d):Cb-Mo/AI203
(e):Mo-Co/AJ203
三重大学大学院
CoMo/A[203
(f):sol-geJ
工学研究科
40
一;i
=
=‡
d
ヽー
a)
U
⊂
a
-■
・f
∽
⊂
q
F
3500
Fig.17.
1R spectra
1 500
Wavenumber
/cm-1
of various
of CoMo仏l203
(MoO3=20
2500
impregnation
500
method
Catalyst.
wt.%,Lco/Mo=0.4)
-
Al203
(a):CoMo/sol-ge一
(b):Co-Mo/Al203
(c):Co-Mo/sol-geJ Al203
(d):Co-Mo/ref.AJ203
三重大学大学院
工学研究科
41
Table
3
Physicaf
p「epa「ation
Sample
propenies
of each
method(MoO3=20
wt.%,Co/Mo=0・4)
BET
name
surface
cata一yst by various
BJH
area
'pore
radius
(m2g-1)
BET
(nm)
porevoTume
(cm3g
Co-Mo/Al203
Mo-Co/A[203
x
Soトgel CoMo/Al203
Co-Mo/so一-gel
Al203
Mo-Co/sol-ge一
Al203
CoMo/soトgel
A1203
sol-get AI203
385
6・1
三重大学大学院
工学研究科
1
・87
1)
▼
女
CL
ト
LQ・
「l⊃
∽
ヽー
i:!
[i二
∈
川
普
U
てコ
三 ≧
1tJ・
〉←
価
節
H
価
頚
冷
茸
0
0
0.1
0.2
0.3
0,4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
0
5
10
p/po
rp/
Fig・181 adsorption/desorpt]ron
distributions
of CoMo/soト9eI
(MoO3=2.0 wt%
15
Co/Mo=0.4).
isotherm
AI203
andpore
Catalysts
nm
siz'e
20
25
L■i
女
1
H=
き・
500
てフ
∽
ヽー
l
iZI
0
∈
普
て】
400
U
i=ヨ
川
料
a
価
〉ト
ゞ
300
200
#J
節
H
価
頚
抽
選
0
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
0
2
4
6
p/po
wt%
10
rp/
Fi9.1 9. adsorption/desorption
distributions
of CoMo仏l203
(MoO3=20
8
Co/Mo=0・4)I
isotherm
Catalysts
andpore
nm
12
size
14
16
18
20
㌔
70
1
Mo-Co/A1203
●
Co-Mo/A1203
^
so]-gel CoMo/Af203
iZ5
⊂
60
○
■
∽
50
q)
>
40
声一l
川
柳
*
価
汁
価
節
H
価
頚
滑
茸
⊂
O
U
30
20
140
1 80
220
Fig.20.
E斤ect of reaction
HDS
over
(MoO3=20
300
/ oC
Temperature
ii?
260
temperature
CoMo仏t203
wt%,
on
Catalysts
Co/MoFO・4).
conversion
for DBT
Be
70
1
Mo-Co/ref.Al203
●
Co-Mo/ref.Al203
▲
CoMo/ref.AI203
iZ
⊂
60
○
■
t■■■■■■
u)
lll
脚
」
〉十
>
⊂
L#'・
*
価
罪
50
C)
O
U
40
30
H
%'
料
掌
20
1 80
200
220
240
E斤ect of reaction
HDS
over
(MoO3=20
280
/ oC
Temperature
Fig.21.
260
tempe「atu「e
CoMo/ref・Al203
wt%,
on
conversion
Catalysts
Co/Mo=0・4)I
for DBT
Be
■
Mo-Co/sot-get
A1203
●
Co-Mo/soトgel
A1203
▲
CoMq/soト9el
A1203
70
i:さ
⊂
60
○
I
川
料
*
価
*
棉
節
H
%'
∽
50
芦■
q)
>
⊂
O
U
40
30
20
滞
翠
1 80
200
240
220
Temperature
Fig.22.
260
280
/ oC
E作ect of reaction temperature
HDS
Al203
over
CoMo/soトgel
(MoO3=20
wt%,
Co/Mo=0・4)I
on
conversion
Cata一ysts
for DBT
i
U
L6
Ill
柵
a
価
*
価
節
H
価
頚
料
選
Mo-Co仏1203
●
Co-Mo仏I203
▲
soトgelCoMo仏1203
80
、一
也
=
■
70
60
50
>ヽ
■-■
■
>
∴
40
二二二=
■-J
U
30
a)
■-
q)
20
∽
10
140
1 80
220
300
/ oC
Temperature
Fig.23.
260
E斤ect of reaction tempe「atu「e
CoMo/A[203
in HDS
over
of DBT
(MoO3=20
wt%,
Co/Mo=0・4)I
on
selectivity
CataJysts
of CHB
i
■
Mo-Co/ref・
●
Co-Mo/ref・■A1203
▲
CoMo/「ef・
A1203
80
iZ
70
A1203
【工】
=
60
U
川
料
*
価
*
価
節
H
%'
指
聾
t6
50
40
:∼-;
0
30
C)
-■
V
20
∽
1 80
200
220
240
Temperature
Fig.24.
260
280
/ oC
Eqect
on
of reaction temperature
in HDS
over
CoMo/refA[203
of DBT
(Mo、03=20 wt%,
Co/Mo=0・4)I
selectivity of CHB
CataJysts
100
90
㌔
80
S
70
I
Mo-Co/sot-gel
A(203
e
CoIMo/sot-gef
A[203
^
CoMo/sol-gel
A]203
看60
ill
柵
*
価
a
≠
節
H
価
頚
冷
茸
t6
ゝ
50
4_Ou
壱3.
a)
■石 20
∽
1 80
200
220
240
Temperature
Fig.25.
260
280
/ Qc
Effect of reaction temperature
on
in HDS
CoMo/soト9el
over
of DBT
(MoO3=20
wt%,
Co/Mo=0・4)I
selectivity of CHB
Al203
Catalysts
S
Mo/ref.
+
Mo/A]203
▲
Co-Mo仏1203
80
i?
【凸
1
70
=
U
60
I+
O
川
柳
〉ト
棉
*
価
節
H
価
男
抽
選
50
E=l40
U
_Q)
q)
30
∽
20
160
180
200
220
240
Temperature
Fi9.26.
260
280
wt.%).
320
/oC
E作ect of reaction temperature
CHB
in HDS
of DBT
of Mo/Al203
(MoO3=20
300
on
selectivity of
51
第三章
NiMo/A1203触媒の水素化脱硫に及ぼす
ポルフィリン添加の影響
3-1
緒言
常圧残油(AR)の水素化脱硫反応(HDS)は、硫黄含有量の少ない燃料油を
製造するとともに、残油流動接触分解(FCC)原料製造の重要なプロセスに
なっている。最近になって、ガソリン中の硫黄濃度及び窒素濃度を減少さ
せることが求められているo
これを達成するためには、残油FCt装置か
ら得られる重質ガソリン中の硫黄濃度及び窒素濃度を減少させることが
必要である24)0
ARをHDSで処理する際、
Ni-MoあるいはCo-Mo触媒の活性劣化の機
構は複雑であるが、反応開始後の短い期間では触媒表面上-のコークの堆
積が主な原因である。反応中期にはARに含まれるニッケル、バナジウム
のようなメタル類が細孔内に徐々に堆積することによる比較的ゆっく
とした活性劣化挙動を示す.そして、反応後期には、堆積したメ.gル類に
よる細孔内拡散の低下により、活性は時間と共に急速に低下する25)。
そこで本研究ではモデル燃料油にポルフィリンを添加して常圧残油の
モデル燃料油を作製し、四種類の工業用のNiMo/Al203触媒を用いて脱硫
を行いその影響を調べた。
三重大学大学院
工学研究科
り
52
実験
3-2
3-2-1
3-2-1-1
水素化脱硫試験
反応装置
反応装置は図12に示した固定床流通式高圧反応装置を用いて行った。
8mm、外径10mmのステンレスス
この反応装置のリアクターには内径
チール製パイプを用い-た。炉の反応制御は、リアクターに熱電対を接しデ
ィジタル調節計sR83(SHIMADEN社製)を用いて行った。
リアクターJ・>の触媒の充填は、まずリアクターの上部を組み立て逆さに
固定し石英ウール(東ソー株式会社製、
Fine)を詰め、その後漏斗を用いて
石英砂(和光純薬株式会社製)を詰めた。このとき石英砂の上部に熱電対が
約3cm
出るようにした.その後、あらかじめ1mm四方亨に裁断しておい
た触媒1g
と同体積の石英砂をスパチュラで交互に入れ、触媒層を約6cm
となるようにした。その上に石英ウールを詰めて外径6mm
のパイレック
スガラス管を詰めてリアクターの下部を組み立てた。
3-2-1-2
予備硫化
固定床流通式高圧反応装置に調製した触媒を充填した後、活性試験を行
う前に
H2S-H2
3-2-ト3
を用いて以下の条件で予備硫化を行ったo
4.95vol%H2S-H2
流量
30cc/min
圧力
常圧
昇温速度
5
反応温度
400
反応保持時間
3
℃
/min
℃
時間
活性試験
反応溶液は溶媒をデカヒドロナフタレン(C】oHli以下デカリン;ナカ
ライテスク社製)としてジベンゾチオフェン(C12H8S
社製)を
o.1
0.I wt.%DBT
wt.%含む
三種類のポルフィリン(ALDRICH社製)
三重大学大学院
以下DBT;東京化成
デカリン溶液とそのデカリン溶液に
工学研究科
53
2,3,7,8,12,13,17,18-octaetllyト21H,23H-porphine
2,3,7,8,12,13,17,18-octaethyト21H,23H-porphine
nickel(Ⅱ )
2,3,7,8,12,13,17,18-octaethyト21H,23H-porphine
vanadium(Ⅳ)oxide
を加え、
0.005
wt.%になるように調製し(以下それぞれporphyrin-1(図27)、
)、活性試験を行った。
porphyrin-2(図28)、
porphyrin-3(図29)と表記する。
反応の際に生じた生成物は気液分離管によって分離し気体生成物はドラ
フト-排気した。
予備硫化を行なった触媒反応溶液を流しながら反応温度で安定するよ
うに1時間反応を行なった。その後サンプリングを開始し15分毎に4回
採取した。反応温度は反応後の溶液をガスクロマトグラフィーで活性を求
め転化率が約20-80%になるように20
℃ずつ4種類の温度が得られるよ
うに調製し、最後に最初に反応を行なった温度に戻し失活しているかを調
べた。以下の反応条件で反応を行なった。
300cc/min
H2流量:
圧力:5MPa
℃/min
昇温速度:5
反応溶液流量:
3-ユート4
wHSV28/h
分析方法
一定時間ごとに採取した液状生成物の組成を
ィー(GC-17A
GC-14A、島津製作所製)で定量分析したo
FID
ガスクロマトグラフ
カラムは、長さ
60m、内径0.25mm、膜厚o.5um(BPl島津製作所製)を用いた。サンプルは
什lをマイクロシリンジ(株式会社伊藤製作所製)で注入し、以下の条件で定
量分析した。
℃
カラム温度:240
℃
インジェクション温度:240
℃
ディテクター温度:240
初期温度:24.0
℃
最終温度:240
℃
保持時間:
PRSS
:
SPL-R
FID
17min
90KPa
50
:
レンジ:
三重大学大学院
o
工学研究科
0.3
54
生成物の保持時間は
DBT:
BP
10.6min
CHB
6H
6.4miII
:
:
:
4H:
6.1
min
8.8miI1
10.3
mi】1
だった。
3-2-2
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
脱硫試験の反応溶液の残留ポルフィリンを調べるために高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)による検討を以下の条件で行なった。
装置
SHIMADZULC-20A
TOSOHTSK-GELG1000HXL
カラム
7.8×300mm
溶媒
THf
流速
1.OmL/min
カラム温度
40oC
カラム圧力
6.1Mpa
測定時間
20min
注入量
20pL
検出器
PDA
検出範囲
210-900nm
モニター波長
三重大学大学院
57l,402nm
工学研究科
55
3-3
結果と考察
水素化脱硫活性
3-3-1
3-3-ト1触媒調製方法の水素化脱硫活性に及ぼす影響
図30-33にそれぞれNiMo/Al203-A、
NiMo/Al203-B、
NiMo/Al203-C、
NiMo/A1203-D触媒のDBTに対する脱硫活性を示す。いずれの触媒を用いた
時もDBTの水素化脱硫反応に活性を示し-、反応温度の上昇に伴いDBTの脱
硫転化率は増加した。ポルフィリン溶液中では活性が落ちると思われたが、少し活
性が向上した。これは、ポルフィリンによって水素化活性点-の硫黄化合物の吸着が減
少し、結果として脱硫活性点に対する硫黄濃度が増加したためと考えられる。
各触媒のCHB選択性
3-3-1-2
図34-37にそれぞれの触媒のCHB(cyclohexylbenzene)選択性を示した.
CHB選択性はポルフィリン溶液中では両方とも低下したが金属が含まれ
ているポルフィリン溶液の方が若干選択性が高かった。これも、ポルフィ
リンによって水素化活性点-の硫黄化合物の吸着が減少し、水素化活性点が抑制され
相対的に選択性が低くなったと考えられる。
3-3-2
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の結果を表4,5,6に示す。金属の入
っていないポルフィリンでは反応溶液にほとんどポルフィリンは残って
いなかった。ニッケルが入っているポルフィリンではNiMo/Al203-Aでは
少しポルフィリンが残っていた。バナジウムが入っているポルフィリンで
は逆にNiMo/Al203-Bでポルフィリンが残っていた.反応温度は240-1、260、
200、
220、
240-2
℃の順番で変化させており、反応時間が進むにつれて触
媒がポルフィリンを吸着できなくなりポルフィリンが反応溶液に残った
と考えられる。
三重大学大学院
工学研究科
56
3-4
24)
参考文献
Higashi.
H.,
JDStl'tute,
K.,
25)Idei,
Takahashi.
Vol.
47,
Takahashi.
No.
T., Kai.
T.,
Joumal
2, p.121
(2004)
T.,
T.,
Eai.
the
J.Jpn.Petl・01_/DSt.,
(2002).
三重大学大学院
of
工学研究科
Japan
Petroleum
45,
(5),
305
57
CH3
Fig.27.
2,3,7,8,12,13,1■7,18-octaethyト21
(porphyrin-1)
三重大学大学院
工学研究科
H,23H-po「phine
58
∈H3
Fig・28・
2,3,7,8',12,13,17,18-octaethyト21日,23日-porphine
nickel
( Ⅱ ) (porphyrin-2)
三重大学大学院
工学研究科
59
CH3
Fig.29. 2,3,7,8,12,13,17,18-octaethyト21H,23日-po「phine
vanadium
(Ⅳ) (porphyrin-3)
三重大学大学院
工学研究科
′
S
NiMo/A]2031A
+
NiMo/AI203-A
porphyrinll
▲
NiMo仏1203-A
po「phy「in-2
●
NiMo仏1203-A
porphy「ln-3
70
、
⊂
I
60
○
I
川
料
*
価
*
価
節
H
蛋
料
学
∽
」
q)
>
⊂
O
U
50
40
30
20
1 80
200
220
Temperature
Fig.30.
240
260
280
/ oC
on
Effect of reaction temperature
conversion
over
HDS
NiMo仏l203-A
catalyst・
for DBT
Be
」二二二:丁
∽
◆
NiMo仏1203-B
po「phy「ln-1
▲・
NiMo/A1203-B
porphyrfn-2
+
NiMo/A)203-B
porphynn-3
70
○
=
NiMo仏1203-B
80
、
⊂
■
60
」
ill
柵
*
価
〉十
L帖
節
H
LDt',
頚
抽
選
q)
>
50
⊂
O
U
40
30
20
1 80
220
200
Temperature
Fi9.31.
240
260
280
/ oC
on
E斤ect of reaction tempe「atu「e
conversion
HDS
over
NiMo仏l203-B
catalyst・
for DBT
■
+
㌔
i=ヨ
⊂
○
⊂
二二ー
川
柳
∽
*
q)
>
価
*
価
節
H
lq:I
頚
冷
茸
■
NiMo/A1203-C
NiMo/A[203-C
porphyrJnll
70
60
50
巨事■
40
⊂
O
30
U
20
1 80
200
220
Temperature
Fig.32.
E斤ect of reaction
HDS
over
240
260
280
/ oC
temperature
NiMo仏l203-C
on
catalyst・
conversion
for DBT
i
■
NiMo/A1203-D
+
NiMo/Af203-D
porphyrin-1
70
i己さ
⊂
○
6o
■
U)
巨■■
川
柳
〉「
価
*
価
節
H
価
頚
滑
空
50
q)
>
⊂
40
O
U
30
20
180
200
220
240
Temperature
Fig.33.
260
280
300
/ oC
on
conversion
1Effect of reaction temperature
HDS
over NiMo/A]203-D
cataTyst・
for DBT
i
=
NiMo/At203-A
+
NiMo/AI203-A
porphyrin-1
▲
NiMo仏1203-A
po「phyrin-2
●
NiMo仏t203-A
po「phy「tn-3
80
i⊆::ヨ
也
■
70
60
U
-:
○
川
料
価
*
価
節
H
価
頚
料
茸
50
>ヽ
〉十
■-J
■
>_
40
■
._.
■--∫
U
む
30
-■
也)
∽
20
1 80
200
220
Temperature
Fig.34,
240
260
280
/ oC
E斤ect of reaction temperature
on
in HDS
over
NiMo仏t203-A
of DBT
selectivity
catalyst・
of CHB
S
◆
NiMo仏1203-B
po「phyrln-1
▲
NiMo仏1203-B
porphy「ln-2
+
NiMo/A]203-B
porphynn-3
70
也
=
LH
NiMo/AJ2031B
80
iZ
料
*
Ltjt
*
LLtJ
節
Jr
U
60
t6
50
>ヽ
■-■l
■
二
40
■
>
ト
_二_二二ヨ
H
IL'
頚
甜
翠
■ー
U
G〉
30
二=
C)
∽
1 80
200
220
Temperature
Fig.35.
240
260
■
280
/ oC
E斤ect of reaction tempe「atu「e
on
in HDS
over
NiMo仏l203-B
of DBT
se一ectivity of CHB
catalyst・
o<
ii=さ
也
=
U
■
NiMo/A1203-C
+
NiMo/A]203-C
80
porphynn-1
70
60
l+・・・--
0
50
40
.I_?:
U
Q)
30
I-lllll■
q)
∽
20
1 80
200
220
Temperature
Fig.36.
260
240
280
/ oC
E斤ect of reaction tempe「atu「e
on
in HDS
over
NiMo/Al203-C
of DBT
se一ectivity of CHB
catalyst・
o<
iiZ
■
NiMo/A1203-D
+
NiMo/AJ203-D
Effect of reaction temperature
on
in HDS
over
NiMo/AI203-D
of DBT
selectivity
80
porphyrln-1
【凸 70
=
60
U
ヽ■-
0
川
50
柳
汁
価
*
価
節
H
価
男
料
茸
40
.,i
U
q)
i
30
.__「
q)
∽
20
180
200
220
240
Temperature
Fig.37.
260
280
300
/ oC
catalyst.
of CHB
Tabfe
■
4 Porphynn
concentration
Lll
料
A
L肺
*
棉
節
H
lt'・
頚
料
茸
'NiMo/A[
203-A
(A), NiMo/A]
203-B
(B)
of reaction
solution
■
Table
5 Porphynn
concentration
ttl
料
)千
1Q:・
*
1Q:I
節
H
S'
料
茸
★NiMo/Al
203-A
(A), NiMo仏l
203-B
(B)
of reaction
solution
Table
6 Pbrphyr]n
■
concentration
Ill
料
*
≠
*
価
節
H
棉
頚
A
茸
'NiMo/AI
203-A
(A),NiMo/A]
203-B
(B)
of・re'action solution
71
本研究では水素化脱硫触媒をAl(0-sec-C4H9)3、
(NH4)6Mo7024
・
4H20
Co(NOつ)2・6H20を用いてゾルーゲル法によって担体を調製すると同時にCo、
Moの活性成分を担持させて調製し、ジベンゾチオフェンーの水素化脱硫を
行い、脱硫活性を評価した.触媒の構造をXRD、
FT-IR、
N2吸着測定によ
り分析した。また、モデル燃料油にポルフィリンを添加して常圧残油のモ
デル燃料油を作製し、四種類の工業用のNiMo/Al203触媒を用いて脱硫を
行いその影響を調べたo
●
その結果、二章では以下のことがわかった.
ゾルーゲル法によって活性成分を別々に担持させた
Co-Mo/A1203触媒、
Mo-Co/A1203触媒は同時含浸法と比較して高活性であることがわかっ
た。活性が高い
Co-Mo/sol-gelA1203、
が得られた。
と されて
き ていた逐次含浸法で調製_した
Mo-Co/sol-gelA1203触媒と比較しても同等の活性
Co-Mo/soトgelA1203、
Mo-Co/sol-gelA1203触媒などを調製
する時に用いる逐次含浸法は1または2回焼成する同時含浸法と比べ
て合計3回焼成しなければならないなど工程が多くコストがかかるた
め逐次含浸法と同等の活性が得られたことは大きな成果であるといえ
る。
●
反応後の生成物はどの触媒でもほぼビフェニルを選択的に生成し、水
素消費量が少なく脱硫効率が良い直接脱硫ルートを選択していること
がわかった。しかし実験を行なった最も高い温度ではシクロ-キシル
ベンゼンも少し生成した。
●
細孔構造においてゾル-ゲル法を用いて調製したCoMo/Al203触媒は市
販の触媒と比べて高表面積だったが比較的小さな細孔径だった。
soトgel
coおよびMoを担持するこ
Al203は大きな表面積を示したが、
とで表面積、細孔径、細孔容積が減少した。
三幸では以下のことがわかった。
●
ポルフィリン溶液中ではポルフィリンによって水素化活性点への硫黄化合物の吸
三重大学大学院
工学研究科
、
72
着が減少し、脱硫活性点に対する硫黄濃度が増加し、少し活性が向上した。
●
CⅢB選択性においてもポルフィリン溶液中では、ポルフィリンによっ
て水素化活性点-の硫黄化合物の吸着が減少し、水素化活性点が抑制され相対的に
選択性が低くなりCHB選択性が低下した。
三重大学大学院
工学研究科
73
謝辞
本研究の遂行並びに本論文の作成に際し、終始並々ならぬ御指導、御鞭
捷を賜りました三重大学大学院工学研究科の石原篤教授、那須弘行准教授、
橋本忠範助教に心からお礼申し上げます。また、本研究の遂行にあたり、
とても恵まれた環境を用意していただきました。これは諸先生方のご尽力
は言うに及ばず、筆者と同時期に無機素材化学研究室に在籍した先輩方、
同輩、後輩諸氏のご協力のおかげです。皆様に深く感謝いたします。また、
事務をしてくださった、成岡真由美さんに感謝いたします。
三重大学大学院
工学研究科
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