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Acrobat Xを使ってみよう(その2)
82 有限会社ビットカフェ 代表取締役 足立 仁 Acrobat Xを使ってみよう(その2) Adobe Acrobat(以下、Acrobat)の最新バージョ ンはAdobe Acrobat X(以下、Acrobat X)です。 Acrobat Xでは操作画面が刷新されていました が Adobe Reader Xでも同様に操作画面が刷新され Adobe Systems 社のwebサイトでPDF閲覧用に ています。ツールは機能別にウインドウ右側にまと 無償配布しているAdobe Readerの最新バージョン められていますので、Acrobat XとAdobe Reader はAdobe Reader Xです。 Xの機能の違いもわかりやすいと思います。Adobe Acrobat XではAdobe Reader Xとの連携が強化 されており、Adobe Reader Xで従来より多くの機 Reader XでPDFを開くとAcrobat Xにある「ツー ル」がないことがわかります。 (図1、2) 能が利用できるようになりました。 印刷用にPDFを活用する際に、印刷用データとし てPDFを利用するのはもちろんですが、Acrobatの 注釈ツールや共有レビュー機能を使用してオンライ ン校正にも利用できますので、業務の効率化や発注 側との正確な情報伝達にも有効です。 しかし、発注担当や印刷営業の方が PDFを閲覧 図 1 Acrobat X のツール す る 場 合、Acrobatで は なくAdobe Readerで 開 いてみることが多いのではないでしょうか。Adobe Reader Xでは使用できるAcrobatの機能が増えて いますので、オンライン校正にPDFを活用する際に 今まで以上に役立つと思います。 それでは、実際にAdobe Reader XでPDFを開 いて見てみましょう。 14 東京の印刷 2011.3 図 2 Adobe Reader X のツール 82 注釈のツールを比べてみると、種類は少ないで すが Adobe Reader Xでも注釈ツールが利用でき るようになっています。Acrobat Xでは図形などを 描画するマークアップツールもありますが、Adobe Reader Xでは利用できません。 (図3、4) 図 5 Acrobat PROでAdobe Readerでの機能拡張を有効にする 図 3 Adobe Reader X の注釈ツール 図 6 Acrobat PRO 9 で機能拡張する際の確認画面 図 4 Acrobat X の注釈ツール 従来、注釈ツールを使用してPDFでオンライン 校正するには、あらかじめ校正に使用するPDFに 対してAcrobat ProでAdobe Readerで注釈ツール 図 7 Adobe Reader X で注釈ツールを使用 などが利用できるように機能を拡張する権限を付与 釈とテキストをハイライトさせるツールが使えます する必要がありました。 (図5、6) ので、PDFに指示や修正内容を書き加えることがで Acrobat PROがない環境では、機能拡張の権限 きます。 (図7) が付与できずAdobe Readerで注釈ツールを使える このように、Adobe Reader XではPDFに注釈を ようにできないため、オンライン校正にPDFを利用 加える環境を選ばずにオンライン校正に利用するこ する際に環境の制限がありました。 とが可能ですので活用できるケースも多くなるので しかし、Adobe Reader Xでは、標準でノート注 はないでしょうか。 東京の印刷 2011.3 15 82 Acrobat XのPROバージョンでは、従来と同様に Adobe Readerでの機能拡張を有効にする機能が用 意されています。 Adobe Reader Xでは一部の注釈ツールの利用な ど、従来より標準で利用できる機能が増えています が、Acrobat X PROで機能拡張を有効にするとさ らに多くの機能が利用できるようになります。 Acrobat X PROでAdobe Readerで の 機 能 拡 張を有効にするには、ファイルメニューから【名前 図 11 Reader 機能拡張①の設定で有効になる「ツール」 を付けて保存】を選び【Reader 機能拡張が有効な PDF】の中から有効にする機能を選択します。 (図9) 図 9 Acrobat X PRO で Reader 機能拡張を有効にする 図 12 Reader 機能拡張②の設定で有効になる「ツール」 Reader 機能拡張が有効な有効なPDFで保存す るとAdobe Reader XでPDFを開いた際、右側に Acrobat Xでしか表示がなかった「ツール」という項 目が現れます。 (図10) 図 13 Reader 機能拡張③の設定で有効になる「ツール」 図 10 Adobe Reader X に現れた「ツール」項目 Reader 機能拡張が有効なPDFで保存する際に選 択できる機能は、次の3 種類があります。 ①文書でテキストの追加を有効にする ②注釈とものさしを有効にする ③追加機能を有効にする 各々の異なる点は、 「ツール」にある機能のどれが 有効になっているかという点です。 (図11、12、13) 前述の3 種どれを選んでも全てのツールと描画 マークアップが利用できるようになります。 (図14) このように、Acrobat X、Adobe Reader Xの連 図 14 reader 機能拡張で有効になった注釈ツール い、といったケースでもAcrobat X、Adobe Reader Xを利用することで問題なくオンライン校正ができ るのではないでしょうか。 携は強化されており、今まで以上にPDF閲覧環境 Acrobat XはAdobe Systems 社のwebサイトで の制限なく利用できるようになっています。オンライ 体験版がダウンロードできます。是非一度試されて ン校正をやりたいけど PROバージョンがない、先方 はいかがでしょうか。 にはAdobe Readerしかないので注釈の記入が難し 16 東京の印刷 2011.3