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韓国女性における女女格差

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韓国女性における女女格差
韓国女性における女女格差
問いと仮説
問い:結婚によって生じる「女女格差」は、韓国では学
歴的な文化資本が影響するのだろうか。
 仮説:学歴社会の韓国では、持ち合わせている学歴が
影響するのではないか。

女女格差、という女性間に生じる格差についての話を聞
き、興味をもち、研究テーマとした。日本と同じような文
化を持ちながら差異がある韓国を研究対象国とする。
先行研究

橘木俊詔『女女格差』、東洋経済新報社、2008。
女性が結婚するにあたっては「美人、不美人」が影響す
るということがこの本の中で述べられている。
かつては美人の女性を選ぶ男性も多かったが、現代で
は女性の美人、不美人という見た目ではなくて、学歴社
会の中では女性の持ち合わせている学歴的資本が結
婚において左右するのではないかと考え批判する。
アンケート調査
研究を始めるにあたって問いと仮説に基づきアンケート
調査を実施。
 2009年9月14日~18日に韓国へ調査にいく。
 スウォン女子大学と梨花女子大学を調査対象としてアン
ケート調査を行う。
 調査方法:昼休みなどの時間に食堂にいる学生にアン
ケート調査を依頼する。
 スウォン女子大学(17人)梨花女子大学(16人)の33人
に協力してもらうことができた。

結婚相手に求めるもの
韓国の専門学校で
あるが日本でいう短
期大学にあたる。
日本でいるお茶の水大学の
ような4年生大学。
全体の結果・・1位、性格
2位、経済力
3位、学歴
梨花女子大学
スウォン女子大学
性格重視
経済力重視、学歴重視
年齢別に見てみると・・
梨花女子大学⇒若い女性は「性格」、年齢が高くなると「共通趣味」「宗教」
スウォン女子大学⇒若い女性は「経済力」「学歴」、年齢が高くなると「性格」
「経済力」「仕事理解」
というふうに多様化してきている。
女性の父親の職業、階層との関連性
―結婚相手に求める年収―
年収については男性の平均年収
である5500万wより多い金額を選ん
だ場合は高収入、5500万w以下を
選んだ人をあまり高くない年収を望
むとして考える。
定職についている人を中流階級、上流階級
と二つに区分した。
階級による傾向
上流階級・・会社員、実業家、貿易商、公務員、自営業
者など。
 中流階級・・農業、お花屋さん、サービス業、タクシー運
転手など。
 父親の影響を受けている。

上流階級
中流階級
年収が高いのを望む
あまり高い年収を望ま
ない
女性の父親の階級(職業)によって相手に求める年収に差が生じた
女性の結婚に対しては女性自身の学歴はあまり関係ないのではないか??
文化的再生産からの考察
文化的再生産が行われていた⇒階層の再生産
 文化的再生産とは・・文化的資本などが親から子へ世
代を超えて継承されていくことによって再生産されること。
 文化的資本には「客体化された資本」「制度化された資
本」「身体化された資本」がある。
 父親の影響を受ける⇒家庭の貧富の状況によって教育
が制限されてしまう。
 両親の考えかた、価値観のもとで育てられる為、その影
響をうける。

韓国女性の女性文化からの考察
儒教文化の影響「賢母良妻」
 礼儀正しさ、家庭的役割としての能力。
 賢母良妻・・夫にとって良き妻であり子供にとって良き母
であること。
 「男は仕事、女は家庭」の考えかた⇒男は外(仕事)、女
は内(家庭)を守るという性別役割分業があった。
 女性は自分の育った環境の影響をうけて文化的再生産
が行われることが多いが、「賢母良妻」的な女性であるこ
とを武器として階層の転換をはかった人もいると考えら
れる。

まとめと今後の課題
女性の学歴が結婚に影響するのではなく、女性の父親
の影響を受けていた。
 女性が結婚相手を選ぶ時、自分で選んでいるものの、
本人の学歴や階層などの影響をうける。
 上流階層は「高収入」、中流階層は「あまり高い年収を
望まない」という結果に対し、梨花女子大学はこれにあ
てはまるが、スウォン女子大学の中流階層では、「高収
入」を求める人もいるという結果になった⇒同じ階層で
あっても学歴によって相手に求める年収に差があった。
 韓国女性の結婚というライフイベントに限らず、全体的
に女性の間に生じる格差というものについて、改めて考
えてみたい。

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