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第 3次粟国村総合計画
平成 22 年 3 月 沖縄県粟国村 第3次粟国村総合計画 基本構想・前期基本計画 ~自然・ひと・暮らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島~ 第3次粟国村総合計画の策定にあたって 粟国村はここに、 今後 10 年を見据えたむらづくり計画であ る「第3次粟国村総合計画」を策定しました。 国際社会は、経済のグローバル化が進展するなか、世界金 融危機が本県経済にも強い影響を及ぼしているとともに、地 球温暖化等の地球規模での環境問題が深刻化しています。環 境問題についても、豊かな自然に囲まれた本村において、私 たちが日々の生活の中で実践していかなければならない課題 です。 国内においても、急速な少子・高齢化、高度情報化の進展、三位一体の改革や地方分 権一括法に施行による地方分権の進展など、地方行政をめぐる社会情勢がめまぐるしく 変化しています。 また、今後も予想される厳しい財政状況のなか、地方自治体は、社会経済状情勢の変 化と複雑・多様化する行政需要を的確に捉え、効率的で効果的な行政運営を図ることが 求められています。さらに、村民の知恵と行動により、みんなで地域の課題解決に取り 組み、地域の活力と地域の存在価値を高めていくことが必要となっています。 このことから、第3次粟国村総合計画の策定にあたって「むらづくり村民会議」を立 ち上げ、村民参加のもと、私たちの島・粟国を見つめ、将来を考え、お互いにアイディ ア等を出し合う等、むらづくりの指針となる総合計画の素案を作成しました。その村民 会議で議論した内容は、本計画に生かしています。「みんなで」を合い言葉に、協働に よる村民のためのより良いむらづくりを実践していくと確信しています。 その「第3次粟国村総合計画」は、平成 31 年までの将来像とむらづくりの方向性を 示した「基本構想」、平成 26 年までの具体的な取り組みを示した「前期基本計画」、 毎年度の予算編成の指針となる「実施計画」から成り立っています。今後 10 年間、こ の計画を基に粟国村の行政運営が実施されることになりますが、私は住民参画と協働の もと、むらづくりの実践目標として掲げた「自然・ひと・暮らし ふくらしゃる粟国 てるくふ ぁ島」の実現に向け、全力を傾注する所存であります。今後とも、村民の皆様の一層の ご鞭撻をよろしくお願い致します。 結びに、貴重なご意見・ご提言をいただいた村民の皆様をはじめ、総合計画審議会委 員、村議会議員、粟国郷友会及び関係各位に心から感謝を申し上げるとともに、この計 画の趣旨が広く村民に行きわたり、むらづくりの一助になれば幸いに存じます。 平成 22 年 3 月 粟国村長 新城 静喜 ■粟国村歌 くろしお たか さき よ 一、マハナの岬の れいめいの き ぼう あさ あさ よ 黒潮高く うち寄せて しん せい い き 希望が朝を 呼ところ ふる た あ ぐにそん 新生の意気 はつらつと ほこ いざ奮い立つ 粟国村 わ か そう そら い うた ひか も みち ぶ しら はま て す え て ー が ぐすく は 戦前・戦後の食糧難の時、 葉は燃料として実や芯は 食材として、また雄花は 肥料として飢餓から救っ たソテツの恩恵に対し 「生きる力」を象徴する 誇ろうわれらが ふるさとを かがや へい 二、 輝 く空よ 白浜よ こん ぺき 平和の息吹き みなぎりて はん えい るり紺碧に 澄むところ はげ 繁栄の歌 たからかに の いざ励みゆく 粟国村 しの 伸ばそうわれらが ふるさとを ぶん 三、歴史を偲ぶ 八重川 城 り 文化の光り 照り映えて やく しん 理想に燃えて ゆくところ きづ 躍進の道 手をとりて あお いざ築きゆく 粟国村 仰ごうわれらが ふるさとを 昔から防潮・防風林等の 屋敷木として植栽され、 フクギ並木は緑のむら づくりを象徴する 古くから村内の原野や 浜辺に自生し、純白の 内外 3 枚の花びらは村 民の純粋な心と堅い団 結心を表現し、その芳 香は村の限りない発展 を象徴する ■村花木:ソテツ ■村花:テッポウユリ ■村木:フクギ 目 次 はじめに 1.総合計画について (1)総合計画の目的と役割 2 (2)総合計画の構成と計画期間 3 2.粟国村のむらづくりを考える (1)粟国の自然と沿革 4 (2)村民意向等からみたむらのイメージ 8 (3)時代の潮流 10 (4)むらづくりにおける主な課題 12 基本構想 1.粟国村のめざす姿 (1)むらづくりの基本姿勢 16 (2)むらづくりの展望を描く 18 (3)むらづくりの将来像と実践目標 20 (4)将来人口 21 2.むらづくりの基本構想 (1)むらづくりの施策の大綱 22 (2)土地利用の基本方向 24 (3)むらづくりを推進する手法としてのリーディングプラン 26 (4)基本構想の体系 27 前期基本計画 基本方向1 みんなで豊かな自然を大切にする 施策 1-1 土地利用の確立 ~島の自然を大切にしながら土地利用を進める~ 施策 1-2 省エネルギー・新エネルギーの拡充 施策 1-3 島外交通体系の充実 ~島しょ基盤づくり~ ~環境にやさしい粟国村を実現する~ ~島人の暮らしを支える島外交通機能を維持し、高める~ 31 34 36 38 施策 1-4 情報・通信ネットワークの拡充 ~島人の暮らしを豊かにする地域情報化を進める~40 基本方向2 みんなで活力と魅力を創出する ~産業振興~ 43 施策 2-1 観光・レクリエーションの振興 ~粟国の宝を磨いてふれあい交流の産業をおこす~46 施策 2-2 農業・畜産の振興 ~元気な農業・畜産業に育てる~ 48 施策 2-3 漁業の振興 ~海を守りつくる水産業に育てる~ 50 施策 2-4 地場産業の振興 52 ~粟国だからこそのものづくり産業を振興する~ 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える 施策 3-1 定住環境の整備 ~生活環境~ ~島に暮らし続ける環境を整える~ 55 58 施策 3-2 集落景観の保全・育成 ~粟国らしく美しい景観を守り、育てる~ 60 施策 3-3 道路環境の整備・充実 ~誰もが安全で快適に利用できる道路環境をつくる~ 62 施策 3-4 上下水道の充実 ~環境にやさしい安全・快適な上下水道環境を整える~ 64 施策 3-5 環境衛生の向上 ~ゴミを減らし、再資源化を進める~ 施策 3-6 消防・防災・救急体制の強化 ~島人の暮らしの安全・安心を守る~ 基本方向4 みんなで誇りと愛着の持てる人間力を育む 66 68 ~教育文化~ 施策 4-1 幼稚園・学校教育の充実 ~みんなでたくましい子どもたちを育てる~ 71 74 施策 4-2 生涯学習・スポーツ・レクリエーションの振興 ~一人ひとりの生きがいをつくる~76 施策 4-3 地域文化の振興 ~粟国の誇りや財産をみんなで受け継ぐ~ 78 施策 4-4 交流活動の充実 ~交流によって視野を広げる~ 80 基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く~健康福祉~ 83 施策 5-1 保健・医療の拡充 ~健康で安心してくらせる保健・医療サービスを進める~ 86 施策 5-2 高齢者支援の推進 ~いきいきと暮らし続ける長寿のむらを実現する~ 88 施策 5-3 子育て環境の充実 90 ~安心して子育てできる環境をつくる~ 施策 5-4 障がい者(児)への支援 ~障がい者をみんなで支え合う~ 92 施策 5-5 社会保障制度の適切な運用~生涯にわたって安心を享受する仕組みを推進する~ 94 施策 5-6 地域福祉の推進 96 ~ともに支えあう地域社会を継承する~ 基本方針6 みんなで心をかよわせ、協働のむらづくりに取り組む ~住民参加・行財政運営~99 施策 6-1 住民参加の仕組みづくり 施策 6-2 効率的な行政運営 施策 6-3 健全な財政運営 ~協働によるむらづくりを推進する~ ~効率的な行政を運営する~ ~健全な財政を運営する~ 102 104 106 資料 1.粟国村総合計画策定の基本方針 2.総合計画策定の経緯 3.策定の体制 4.将来人口に関する参考資料 110 111 112 115 はじめに 1.総合計画について (1)総合計画の目的と役割 (2)総合計画の構成と計画期間 2.粟国村のむらづくりを考える (1)粟国の自然と沿革 (2)村民意向等からみたむらのイメージ (3)時代の潮流 (4)むらづくりの主な課題 はじめに 1.総合計画について (1)総合計画の目的と役割 粟国村では、平成 5 年度に「第 2 次粟国村基本構想」を策定し、 「太洋の中に豊かなくらしと文化 を築く粟国」の将来像のもと、 「活力ある豊かな島に(資源を生かす) 」、 「快適なくらしの場に(離島 をこえる)」 、 「連帯して生きがいある島へ(心をつなぐ) 」の3つの基本目標を掲げ、その実現にむけ て学校教育施設をはじめ、生活環境基盤の整備等、施策・事業の推進に取り組んできました。 現在は第 2 次粟国村基本構想の策定時に比べて、少子高齢化の進行、環境への意識の高まり、国際 化や情報化の進展や住民参画による計画づくりや協働のむらづくりの展開など、地方自治体を取りま く社会環境は大きく変化しています。 このようななか、粟国村では、平成 22 年度からの村政を円滑にスタートさせるため、本村の計画 的で総合的なむらづくりを進めていくための羅針盤として、 『第 3 次粟国村総合計画(基本構想及び 前期基本計画) 』を策定するものです。 私たちの粟国村 - 2 - はじめに (2)総合計画の構成と計画期間 『第 3 次粟国村総合計画』は、 「基本構想」、 「基本計画」及び「実施計画」で構成されます。 基本構想:粟国村の望ましいむらづくりの将来像及び目 標を定め、これを実現するための基本方向を 示します。 平成 22(2010)年度を初年度とし、平成 31(2019)年度を目標年度とする 10 年間の 構想です。 基本構想 基本計画:基本構想で掲げた目標及び基本方向を実現す るために、健康福祉、教育文化、環境衛生、 産業振興等の分野別の基本方向や施策を体 系的に示します。 平成 22(2010)年度から平成 26(2014)年 度までの5年間を前期基本計画とし、平成 27 (2015)年度から平成 31(2019)年度を後期 基本計画とし、必要な見直しはその際に行い ます。 基本計画 実施計画 実施計画:基本計画で定められた具体施策を、現実の行 財政事情のなかでどのように実施していく か、財政計画と併せて実施のプログラムを明 らかにするもので、財政状況、緊急性、優先 度を勘案して、毎年度の予算編成の指針とな るものです。計画期間を3年としつつ、毎年 見直します。 □計画の期間 年度 (西暦) 平成 22 (2010) 平成 23 (2011) 平成 24 (2012) 平成 25 (2013) 基本構想 基本計画 平成 26 (2014) 平成 27 (2015) 平成 28 (2016) 平成 29 (2017) 第 3 次粟国村・基本構想 前期基本計画 後期基本計画 実施計画 - 3 - 平成 30 (2018) 平成 31 (2019) はじめに 2.粟国村のむらづくりを考える (1)粟国の自然と沿革 伊江島 ①自然 粟国島 粟国村は、那覇の北西約 60kmの東シナ海上、東 経 127 度 13 分、北緯 26 度 34 分に位置する1島1村 久米島 約 渡名喜島 の村です。 島の地形は概ね三角形状をしており、外周約 12k m、面積 7.64k㎡、最高標高は海抜 95.8mです。 島の南西端の絶壁(筆ん崎)の高台から東方へ緩や 60 km 座間味島 沖縄 那覇市 渡嘉敷島 位置図 かに傾斜しており、遠方からみると、全体的に二枚貝 を伏せたような特徴のある形状をしています。西側が 高くなったのは、もともと陸地があったことや陸地が 広がったときに大きく隆起したことが原因と考えら れています。筆ん崎から西集落に走る粟国断層や、字 西御嶽にある北東-南西方面の崖もその隆起運動に よるとみられます。 海水の浸食作用によってできた海食崖は、島の北西 側から筆ん崎、粟国港にかけての南海岸でみられ、ま た、海食崖が波等によって削られて平らになった波食 台もみられます。リーフに囲まれた断崖には眺望に優 れた場所が多く、南方に慶良間諸島及び渡名喜島、南 西方向に久米島、さらに西には鳥島が遠望できます。 等高線図 字浜と字東の間に、 南西-北東に伸びた地形の高ま りは、 昔この地帯が海であった時代のリーフの跡と考 えられます。また、東海岸のウーグには高さ 15mの 砂丘があり、風によって海から有孔虫等の砂が運ばれ て堆積したものです。 地層的な特色としては島そのものがサンゴ礁の隆 起により成り立っていますので、琉球石灰岩(島尻マ ージ)が島に広く分布しています。 一方、西方高台の一部は安山岩土壌(国頭マージ) で、筆ん崎付近から粟国港にかけて島の南西部に分布 する岩石は、火山の噴火によってできたものです。 地形図 筆ん崎の北北東約 1kmの皆越原の海岸にはデイサイト(石英安山岩)があり、島で最も古い岩石です。 また、筆ん崎付近には、白色凝灰岩と凝灰角礫岩が広く分布しており、その凝灰岩は海上から見える白 い断崖として特徴的です。さらに、白色凝灰岩には木の葉の化石や巻き貝の化石、凝灰角礫岩には真珠 - 4 - はじめに 岩という珍しい岩石の礫もみられます。 西毛原からの海岸から粟国港にかけての南岸は、 玄 武岩、安山岩、凝灰岩及び凝灰角礫岩が広く分布し、 海水や雨水による浸食を受けて、特有の景観となって います。 島の東海岸にはビーチロックが分布し、厚さ 1.5m 程度のビーチロックは緩やかに海へ傾斜し、 塊状のサ ンゴやシャコ貝片を多く含んでいます。 海岸に面した 島の西側よりマハナの眺め 耕地は海成沖積(カニク)となっています。 北東の緩傾斜地は隆起サンゴ礁からなる真土地帯 であり、乾燥地で海岸に近づくにつれて肥沃土が少な いという特徴をもっています。 植生については、崖地や御嶽等の拝所では、アカギ、 東海岸のビーチロック ガジュマル等の樹林があり、平坦地にはススキの原野 やソテツの低木林がみられます。特に現在原野に密生 しているソテツは、蔡温時代(1682~1761 年頃)に 植栽されたと言われ、 島の生活に欠くことができない 作物として長い間大切にされてきました。また、筆ん 崎付近の断崖には、風衝植生が発達しています。 このように粟国島には、地形・地盤・植生がもたら す優れた自然景観が多数存しています。 筆ん崎付近の凝灰岩 村花木のソテツ 砂浜に現れる珍しい地層・岩石(西毛平原付近海岸) 筆ん崎付近の海岸植生 - 5 - はじめに ②沿革・歴史 東恩納寛惇著の「南島風土記」によると、「孤島なるが故以って、普通に粟国島と称えられるが、 本来はアグニである」とされています。中山世譜に「阿姑尼」、海東諸国紀や慶長帳では「粟島」 とあって、古い時代には「あわぐに」または「あわしま」と呼ばれていました。 島内では、上の集落を「アギ」、浜の集落を「ハマ」と称し、「アギ」を「かき」ともいったと 伝えていますが、おもろそうしに「かき となき」と渡名喜島との併称がみられたり、久米具志川 間切旧記にも「粟国嶋がき」という表記がみられるなど、島が「かき」ともよばれていたらしいこ とが読み取れます。 尚寧王23年に番所が浜に設置され、初地頭代が任命されました。尚敬王25年(1737年)には八重 村(えーむら)と浜村が設置され、翌26年より在番を置いて行政にあたらしめたと記録されていま す。尚益王3年(1712年)には王命を受けて来島した翁能哲によって、桑植、養蚕と綿の製法技術が 伝えられたとの記録もあります。貢租の記録によりますと、粟国島は田がないため、粟、麦、黍で 貢租していたとされています。 明治12年廃藩となり、沖縄県設置と同時に八重村は廃止され、新たに西村と東村が設置されまし た。当初、久米島代官の管轄内にありましたが、明治15年に那覇所轄となり、明治29年の沖縄郡制 の編成に伴い、島尻郡役所の管轄内に置かれるところとなります。明治36年土地整理完了と同時に 西村、東村、浜村は廃止され、区制が施行されて、字西、字東、字浜と改称されました。明治41年3 月市町村制がしかれ、粟国島は粟国村となります。 明治13年の粟国島の戸数・人口は、651戸・3,991人を数え、県下でも有数の人口過密な島として 知られていました。明治36年には759戸・4,966人にものぼり、その後は減少傾向に推移していきます。 大正9年4月には一般町村制が施行されるところとなり、行政区も字西、字東、字浜と区分され、 字浜におかれていた藩所は、字東に移され、現在の役場の位置となりました。 昭和20年3月23日に初の空襲があり、6月9 日には米軍機動部隊の艦隊が島を包囲しま した。激しい艦砲射撃と艦載機の機銃掃射、 そして上陸が敢行され、島は米軍によって 占拠されてしまいます。米軍上陸による犠 牲者は90名を数え、この沖縄戦を通じての 島民の犠牲者は299名にものぼりました。 砲火によって公共施設と重要書類が焼失し ていまい、昭和21年4月に軍政府任命村長が就 任して、ようやく行政事務は復活しました。 - 6 - はじめに 島が復旧したのは、昭和22年に米軍からの舟艇の配船を受けて定期船が動き出してからのことで した。昭和23年2月には地方自治が施行され、村長選挙と村議会議員選挙が実施されて、戦後の体制 が整いました。 昭和47年の日本復帰後は高齢化と過疎化が進む中で圃場の整備に取り組み、島はサトウキビ農業 や畜産を業としていきました。自然塩を生産する島としても脚光を浴びています。昭和53年には粟 国空港も開設され、県都那覇を結ぶ海空の定期便が就航したのですが、現在空の便は不定期的な運 航になっています。 粟国村には「琉球国由来記」に記された九つの御嶽(ガダノコ御嶽・八重ノ御イベ・テラチ御嶽・ ヲノコ御嶽・中ノ御嶽・ハイノ御嶽・シマイ御嶽・アラバ御嶽・ヤカン御嶽)と祭場である五つの トゥン(八重・安次富・カキ・浜・泊)があり、数々の神拝みや伝統行事が今日に伝わっています。 「粟国村誌」に記載された年中行事は44項目にものぼりますが、島最大の祭祀であるヤガン折目(ウ ユミ)をはじめ古式にのっとって荘厳に催されている祭事もあれば、休止状況にあるものや、古式 通りの継承が困難になっているものなどの課題が惹起しています。 粟国村の指定文化財としては、県指定天然記念物1件(字西の御嶽の植物群落)をはじめ、村指定 天然記念物が2件(松尾御嶽のイタジイの木、照喜名原のモンパの木の群落)、村指定史跡が1件(番 屋跡)、村指定名勝が2件(番屋原の広場景勝地、板木那海岸景勝地)、村指定無形文化財が1件(む んじゅる節)、その他埋蔵文化財13箇所となっています。また、マハナ崎の凝灰岩をたくみに利用 したトゥージや掘り込み墓などに、厳しい条件の島でたくましく生きた先人の叡智が結晶されてい ます。 マースヤー 旧大晦日 フナウクシ ウクシ 旧暦正月2日 旧暦正月3日 ハーリー 島ウガン 旧暦5月4日 旧暦5月 15 日 粟シチュマ 旧暦 5 月下旬壬日 ヤガン折目 旧暦 6 月 24 日~26 日 (ウユミ) 九月拝み グーシー カママーイ 旧暦 9 月 1 日、 旧暦 9 月 15 日 旧暦 10 月 1 日 11 ある原や組毎に地域内の各家々を練り歩いて歌や踊りで無病息 災と豊穣を祈る。 年の初めに、船の所有者は豊漁や航海安全を祈願する。 西、東地区は各原毎に、浜地区は地区内の組合同で豊作祈願健康祈 願を行う。その日は庭などへ撒く白砂を取りに行く。 水産業を振興し、航海及び操業安全と大漁を祈願する。 粟国村の伝統行事の一つで、宮の前に各原が集まり、供物をお供え し祝女と共に村民の健康を祈願する。(現在は規模を縮小して区長 を中心に、宮で健康祈願がなされている。) 粟のご飯を作り祖先に粟の豊作を願った日。翌日は牧童の慰安日と されていた。 3 日間行われる島最大の祭祀で、1 日目の山の神お迎え。2 日目の火 の神マチー、ナーヌウユウェー、3 日目は一般も参加でき健康祈願 等がなされる。 1 日は浜地区を中心に、15 日は西東地区を中心に行われる。照喜名 原にある門中の遥拝所や本家の神棚に手を合わせる。 火災予防のために行われたものが始まりだが、各家庭ではこの日に 屋敷林の枝打ちを行う。 マースヤー - 7 - ウクシ はじめに (2)村民意向等からみたむらのイメージ 第三次粟国村総合計画の策定にあたり、村民や出身者等の意見を反映するためのアンケートを実施 しました。 問1 住み良さ 村民の7割強は「住み良い村」 住民 38.1% 34.5% 20.2% 5.4% 1.8% と感じていますが、 「住みにくい」 との意向が3割弱となりました。 郷友会 35.3% 23.5% 32.4% 5.9% 2.9% 重く受け止める必要があります。 0% 出身者の意向では「住み良い」 は6割弱にとどまりました。 20% 40% 60% ①住み良い村である ③どちらかといえば住みにくい村だ 無回答 80% 100% ②どちらかといえば住み良い村だ ④住みにくい村である 住み良さの理由 0% 20% 40% 60% 50.6% 55.0% ①自然が豊かである 「住み良さ」の理由のトップは、 「自然が豊かである」ことと「の ③知人や友人が多い んびりできる」ことです。島を離 ④親や子供と一緒に暮らせる れて暮らしている方々の方が粟 ⑤周囲の人たちが親切である 国の自然への評価がより強く示 54.3% ②のんびりできる 45.0% 13.6% 15.0% 11.7% 5.0% 16.0% 25.0% 5.6% ⑥仕事が順調にいっている されます。 0.0% 18.5% 25.0% ⑦生活環境が良い 3.1% 5.0% ⑧その他 無回答 住民 郷友会 0.0% 5.0% 問1-2 住みにくい理由 0% 20% ①子供の教育の問題 「住みにくい」理由では、村民意 向と出身者意向に差があります。 サービスの不足」を指摘して ⑤娯楽施設の不足 います。島に戻りたくても戻りに ⑥仕事が不安定 くい実情として、保健・医療の問 ⑦買物が不便 交通問題も重い課題です。 ⑧文化施設が少ない ⑨潮害や台風等自然環境が厳しい 3.5% 7.7% 8.8% 7.7% 31.6% 15.4% 15.8% 15.4% 1.8% 0.0% 3.5% 15.4% 17.5% 23.1% ⑩その他 無回答 - 8 - 80% 69.2% 43.9% 38.5% ③本島との交通が不便 ④陸上交通が不便 60% 31.6% ②保健・医療サービスの不足 出身者の7割の方が「保健・医療 題が大きいと推測されます。また、 40% 17.5% 15.4% 1.8% 住民 郷友会 はじめに 問3 取り組むべき村づくりの分野 0% 今後の 10 年間、粟国村を良く するための村づくり分野に選択 された第1位は「粟国村らしい産 ⑤生活しやすい暮らしの環境整備 を推進する 業を興し伸ばす」こと、第2位は ④自然を大切にし誇りとする環境保 全につとめる づくりに取り組む」ことで した。 40% 100% 76.5% 38.1% 32.4% 35.4% 32.4% 35.0% 44.1% ⑦村をあげて子の力を伸ばす環境 を充実する 22.9% ②地域社会での連携や近所の支え あいを活発にする 22.0% 11.8% 無回答 80% 40.8% 50.0% ③健康づくりの推進と地域福祉の 充実に取り組む ⑧文化活動や学習活動を活発にし て活き活きくらす 60% 52.9% ⑥粟国村らしい産業を興し伸ばす ①村民がもっと参加して村づくりに 取り組む 「村民がもっと参加して村 20% 41.2% 16.1% 5.9% 3.6% 0.0% 住民 郷友会 ~今回、粟国村立小学校と中学校の児童生徒の皆さんにも、アンケートをお願いしました~ ○子どもたちが自慢に思っているのはこの粟国村の自然そのものです。第1位「マハナ」39%、2位 「ウーグ」33%、3位「海」22%でした。 ○子どもたちに「もし村長になったらやってみたいこと」を尋ねました。以下がその全意見です。 村長になったらやってみたいこと □観光客を増やしてみたい。 □ぼくは野球がやりたいです。 □粟国を広くして自然を造りたい。 □ビルを建てる。 □村民の人のやりたい事をしたい。 □みんなが楽しめる大きな公園を作りたい。 □テレビに出てあいさつする。□粟国村の地域の人と一緒にいろんな話をする。□粟国全体で、スポーツ大会をしたい。 □花を咲かせたい。 □いろいろな大会がしたい。(スポーツ・音楽)□粟国島に大会を開きたい。 □みんなが楽しめる場を作る。 □えらいことになりたいです。 □粟国に、大きなデパートをつくる。学校にプールをつくる。 □自然を増やす活動。ゴミを減らす活動。 □えらいふーじぃーしたい。1つマックスバリューとかをたてる。 □店をもっと増やしたり、レストランを建てたり、パン屋さんをつくりたい。 □ボートで那覇に行けるようになってほしい。いろいろな外国語を学びたい。□外灯をたくさんつける □子どもが遊べる所をたくさんつくる。(親水公園みたいに) □遊びに行く。色んな国に。 □店を増やす。トンネルをつくる。 □子ども達のために、遊具を作って上げる。塾を増やす。お店を増やす。学校を建て直す。老人ホームをもっと上等に する。案内板をもっと分かりやすくする。 □プールを作る。 □公園とかの器具を直す。遊び場っぽいのを作る。□スポーツ店を作る。レンタル屋を作る。 □スポーツショップをつくる。 □みんなでできる行事を増やす。 □行事をもっと増やして、地域の人達との交流を増やす。 □仕事を増やす。あいている土地に家を建てたり、畑を作ったりする。ウーグの防波堤を壊し、ウミガメの産卵の場所 を作る。老人のために何かやってあげる。 □観光場所を作りたい。 □観光客が来るイベントをしたい。 □マラソン島をもっとアピールする。 □ウーグの防波堤を壊す。「ウミガメの産卵地」アピール □①ウミガメのところに力を入れる。 ②伊勢海老がいることを知ったので、それを売るとかする。 ③マハナの建物 を変える。 ④ウーグのシャワーがある建物を立派にする。 ⑤生き物にも力を入れてほしいかな~? - 9 - はじめに (3)時代の潮流 ① 参画と協働の潮流 ~自らのまちの将来を自ら切り開いていくことの「権利」と「義務」~ 現在、沖縄県は、広く県民の参加を求める手法をとりながら「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」の策定 に取り組んでいます。復帰後の沖縄県づくりの指針である第1次から第4次(現在)にわたる「沖縄振 興(開発)計画」は、実は国が策定したものです。「沖縄21世紀ビジョン」が、県独自で構想する初め ての長期構想ということなのです。これもひとつの時代の潮流です。 私たちは粟国村民として、わが村づくりがどんな将来をめざして取り組んでいるか、自分の言葉で語 れるでしょうか。親として子ども達に教えられるでしょうか。熟年者も若年者も、男性も女性も、同等 に村づくりの主体であると自負できるわが村でしょうか。 今こそ、粟国村民の一人として粟国村の「よさ」を自覚し、「何を残し、何を変えて、望ましい粟国 村へと変革していくか」について、村民全体の合意をつくっていく『住民参画』が必要です。そして、 形成された合意に基づいて、村民が行政とともに村づくりを担う『協働』を欠かすことはできません。 『住民参画』と『協働』は粟国村民として大切な行為です。「権利(=自己決定)」でもありますし、 「義務(=自己責任)」でもあるのです。参画し協働することによって自分たちの村づくりを獲得する こと、これは時代の潮流です。 ② 少子高齢化の潮流 ~人口減少にむかう社会の中で求められる足元からの取組み~ 生まれてくる子どもが少なくなり高齢者の層が厚い社会というのは、やがて人口減少社会に転じます。 日本の国自体がそうですが、生まれる子どもが多いことで知られる沖縄県もまた、2020年を過ぎたあた りから人口減少社会に仲間入りです。さて、わが粟国村はどうかということですが、戦後より人口転出 という社会現象によって、長く人口減少が続いている社会です。子どもを生み育てる世代が減少したこ とにより生まれてくる子ども達も激減してきました。少子高齢化という大きな潮流にのみこまれて、沖 縄県全体が人口減少社会になるという時代(10年ちょっと後)の粟国村社会の姿というものに思いを馳 せて、村づくりの方向性を展望しなければなりません。 地域の活性化は一朝一夕に実現するものではありません。自らの足元をみつめ、様々な可能性を探り、 小さくてもいいから活力を生み出すビジネスを自らおこし、育てていくことが持続的な発展にむかうた めの一歩です。また、子育てしやすい仕組みを強化できれば、子育て世代を受け入れることができます。 安心して暮らせる地域福祉のしくみづくりや安全で快適な居住環境づくりは村民定住の条件であり、ま た、Uターンや移住者を受け入れる吸引力でもあります。足元からの活力づくりの発想によって、村民の 暮らしの将来像を描き、その実現をめざすことこそが大切な時代です。 ③ 人と自然の共生の潮流 ~地球規模の環境から自分の健康まですべての生命に関わる問題~ 「宇宙船地球号」といわれたり「環境元年」といわれたりして、環境問題への関心を高める努力がは らわれるようになって久しいのですが、改善向上のきざしよりも深刻化のきざしの方が顕著な気配なの が環境問題です。大量生産、大量消費、大量廃棄型社会からの方向転換が模索され、「環境共生社会」 や「循環型社会」への共感がマスコミによく取り上げられるのは、環境問題が即ちいのちの問題である からです。 言葉として、また映像として、情報が踊っている割に社会の現実はどうでしょうか。濁りを増す海、 開発で減り続けている山林、消える貴重な動植物、水、ゴミ、エネルギー・・・果たしてわが粟国村は、 環境問題とは無縁な村といえるでしょうか。健康の問題、いのちの安心の問題は大丈夫でしょうか。私 たちは、次世代のために、環境に配慮した循環型の社会づくりや健康の増進について、もっと意識する ことが必要と思われます。 - 10 - はじめに ④ 国際化・情報化の潮流 ~グローバル化する社会の中で光るのは人と人の確かな交わり~ 情報社会の到来は、コミュニケーションにおける時間的・地理的な制約をとりはらい、様々な社会の変 容を加速しています。だれもが、電子ネットワークを介して行政に参画することもできるようになって きています。情報共有という手段によって、世界の国々が身近に感じられるようになり、だれもが世界 で活躍する夢を現実にできるチャンスを有している時代といえましょう。一方、グローバルな社会の持 つあやうさも、世界的経済不況の体験を通じて、あらためて実感しました。 私たちは、特に子ども達は、この社会を受け止めて生きていかなくてはなりません。英語教育やIT教 育に力を注ぐことが大切でありますし、その前提に「人間愛」「郷土愛」などの人間力教育が必要です。 人と人の直接の出会い、交流が人間力を育てます。 我が国は美しい国づくりによる観光立国を宣言し、沖縄県も世界からの観光客を受け入れる観光立県 をめざしています。国内外からの観光客受け入れは、直接交流のまたとないチャンスです。わが粟国村 は、交流の時代から取り残されることの無いよう、村づくりに取り組めているでしょうか。美しい郷土 づくりと国際力教育と観光・交流の育成は、関連しあう課題といえましょう。 ⑤ 地域文化発信の潮流 ~歴史をつむぎ続けていくしくみ持続の大切さときびしさと~ この地球上に形成されるあらゆる「コミュニティ」と称される地域社会単位は、それぞれが刻んでき た歴史のもとに形成されてきたしくみを持って、成り立っています。そのしくみは、まるで生きている 樹木のごとく、時代の潮流に影響され、刻々と変化を遂げていきます。 今の時代のグローバル化や情報化の進むライフスタイルによって、さまざまなコミュニティで人間関 係の希薄化や伝統文化の継承難がおこっています。こうした時代の潮流にのみこまれ、消えていくもの もありますが、大切なものを維持し、また回復させるための大きな努力が実を結ぶ事例も数多くあるこ とを私たちは知る必要があります。新しい文化創造の芽も、地域の独自性ある文化的土壌があってこそ しっかりと芽吹くことができます。 粟国村にとって大切なしくみは、労を惜しまずに、未来につなぎ結んでいく取り組みが望まれます。 ユイマールなどの共助のしくみも、祭祇のあり方も、長寿を支える食の文化も一朝一夕につくられたも のでなく、ひとつひとつが時間をかけて残されてきたわが村の文化的財産なのです。わが村を誇らしく 発信するアイデンティティの源であり、子ども達が郷土愛を育む土壌であります。 ⑥ 地方分権改革の潮流 ~市町村合併や道州制にむかううねりと地方自治の行方~ 地方分権改革への否応なしの対応が続いています。市町村行財政改革のかけ声が今以上に強まってい けば、粟国村存続の根幹をゆるがす問題です。新分権一括法の制定が着々と検討されていることや、道 州制シンポジウムが県内でも実施されるなど、わが村を取り巻く大きなうねりはおさまる気配もありま せん。地方自治の時代の到来といわれながら、小さな規模の自治の単位は存立しえなくなるかもしれま せん。 しかし、私たちはこの村で現在生きています。しっかりと暮らしの展望を築いていくことへの自覚が、 粟国村行政と粟国村民に求められていると受け止めることが基本ではないでしょうか。その意味でも、 今回策定するまちづくり基本構想、基本計画、実施計画の持つ意義は大きいのです。 - 11 - はじめに (4)むらづくりにおける主な課題 1.島と地球にやさしい持続可能な島嶼環境づくり 経済の発展や生活水準の向上にともない、環境問題が人類共通の重要な課題となっています。 本村には、豊かな自然と伝統文化が現在も息づいており、村民意向調査においても、本村の「良さ」 として、自然に対する評価が高くなっています。そのため、自然風土がもつ摂理を大切にした、島の 良好な島嶼環境の保全と持続可能な活用を図ることが求められます。本村の活力が伸び悩むなか、自 然環境の維持保全には厳しい状況もありますが、その島の良好な環境形成に努めることが循環型社会 の確立や地球環境への貢献につながり、島の魅力や価値がより高まることが期待されます。 2.島嶼環境における生活基盤の拡充 本村は戦後の急激な人口減少を経験し、現在もなお村民の暮らし全般に関わって、離島環境特有の 問題を抱えている状況にあります。本村が離島苦の軽減を図り、島嶼地域としての可能性を引き出し ていくためには、引き続き定住環境の要件である保健・医療、高齢者福祉、交通・通信、教育・文化 などの生活基盤の拡充と、産業の育成に努めることが重要です。 特に、村民の広域生活の拠点都市である那覇市との海上交通及び航空交通の安定化を基軸として、 将来的には近隣島嶼間の島づたい交通ネットワークの創出整備が求められます。 3.伝統的な集落景観と島固有の民俗文化の保全・継承・活用 本村には、伝統的な集落景観と村民生活に息づく伝統文化が現在も残っていますが、近代的な住宅 への更新や台風の影響による伝統的な空き屋家屋の損失、高齢化の進展等により、その存在が危ぶま れています。 うるおいをもたらす集落景観や島固有の民俗文化を本村の大切な財産として将来にわたり、保全・ 継承していく状況をつくる必要があります。その上で、島外との多面的な交流を促す貴重な資源とし て活用していくことが期待されます。 4.自然風土を活かした多面的な交流による観光・産業の展開 今後 10 年間のむらづくりにおいて、 「産業」に対するニーズは村民意識調査で最も高いものとなっ ており、そのなかでも、本村の自然風土を活かしたものづくり産業を興し、村民と協働で地域の活性 化を図ることが重要視されています。 本村の自然風土は、村民の健康な暮らしやレクリエーション活動等に欠かせない条件であり、来訪 者にとっても島を印象づける大切な要素です。今後は、村内外の余暇活動を踏まえつつ、粟国村への ニーズを喚起しながら、島の自然や伝統文化等の再認識のもと、若い世代や新たな移住者等による自 然風土になじんだ観光・レクリエーション空間の創出や特産品の開発、地域資源を活かした新たな産 業の振興など、地域の活力を高めていく必要があります。 - 12 - はじめに 5.むらづくりを担う人づくりの推進 人づくりは、地域活性化やむらづくり等の多面的な場において最も根幹的な課題です。 なかでも、高校進学にともなう「15 の旅立ち」は離島村の宿命的な課題です。小さな社会の強いコ ミュニティの絆を活かし、未来を担う子どもたちが本村への愛着や誇りを育みつつ、自立する力をつ けていくことが重要です。また、老若男女の区別を問わず、村民の誰もが社会と関わり、生きがいの ある充実した生活を過ごしていくことが求められます。 さらに、人づくりをより一層推進していくためにも、郷友会や外部の応援団等も含む人材交流の多 様な仕組みづくりを実行・支援し、その交流を通して、村民一人ひとりの気力や能力の向上、学習の 実践活動の促進に努めることが求められます。 6.少子超高齢社会に対応し、地域社会で支え合う仕組みづくり 少子超高齢社会を迎えた本村にとって、働きながら子育てできる環境づくりや高齢者が暮らし続け る住みよい地域づくりが求められます。 住みよい地域であるためには、日常生活において必要な支援が得られること、また、村民相互に支 え合う地域づくりや生きがいのある生活などを実現することが重要です。しかし、サービス等の資源 が限られる離島村であることから、村民全体が保健福祉のあり方を自分のことと考え、創意工夫しな がら、行動していくことが求められます。そのため、人と人とのふれあいやつながりを大切にした地 域社会を継承していくなかで、自己実現や世代間交流を育み、村民が心身ともに健康で暮らすことの できるむらづくりが期待されています。 7.ビジョンの共有と協働によるむらづくりの展開 これまでの行政主導によるむらづくりから、住民や事業者、また、島内外にあって幅広く本村に関 係する人々が、積極的に関わっていく協働のむらづくりへの展開が重要です。そのため、村行政は村 民に開かれた透明性のある村政を展開し、信頼や村民とのパートナーシップの関係を構築していく必 要があります。また、村民は、村全体の暮らしのあり方を自分のことと考え、むらづくりに関わる課 題やビジョンを共有しながら、その気持ちをひとつにして、みんなで行動していくことが必要です。 - 13 - はじめに - 14 - 基本構想 1.粟国村のめざす姿 (1)むらづくりの基本姿勢 (2)むらづくりの展望を描く (3)むらづくりの将来像と実践目標 (4)将来人口 2.むらづくりの基本構想 (1)むらづくりの施策の大綱 (2)土地利用の基本方向 (3)むらづくりを推進する手法としてのリーディングプラン (4)基本構想の体系 基本構想 1.粟国村のめざす姿 (1)むらづくりの基本姿勢 平成 5 年度に策定した「第 2 次粟国村基本構想」において掲げたむらづくりの将来像は「太洋の中 に豊かなくらしと文化を築く粟国」でありました。この 15 年間、鋭意取り組んできたむらづくりを振 り返ってみますと、粟国村の自治を取り巻く状況は、一段と厳しさを増した感があります。その最 たるものが、地方分権の風がふいて全国を揺るがした「平成の大合併」のうねりであり、世界中を 巻き込んだ「経済不況」の嵐といえましょう。 時は 21 世紀に入っており、人口およそ 900 人の小村である粟国村が第3次のむらづくり基本構 想を策定するにあたって、これからの 10 年間のむらづくりにおいて「何が大切なのか」 「どう取り 組んでいくべきなのか」を改めてしっかり見つめ直すことが大切だと考えました。 これから粟国村のむらづくりは、粟国村の豊かな自然と先人たちが育んできた歴史風土を大切に 守り、活かすことを基本に、村全体としての秩序ある開発と回復整備に取り組み、新しい文化を創 生し、魅力あるむらを創っていくものでありたいと考えます。 先人たちは、半農半漁の暮らしの中で、お互いに助け合い支え合って地域共同体社会を築いてき ました。先人たちは、厳しい島の自然条件や生活環境のなかで、 「自然」を上手く活用する技を磨 き、「人々」がともに協力・役割分担を果たし、村内での「暮らし」が少しでも潤うようにと、努 力することを惜しみませんでした。それを象徴するのが、トゥージづくりです。 「共通の願い⇒挑 戦⇒素材の抽出⇒技による探究⇒協働の取り組み⇒目標の達成」と展開するトゥージづくりの発想 (次頁参照)は、むらづくりの精神や考え方にそのまま通じるものであり、現在においても大切で あります。 「むらづくりのトゥージ」をキーワードとして、改めて地域資源に目を向け、人々の連 携・協働によって、幸せを実感できるむらをめざすことが重要です。 そのため、村民と行政が、自助・共助・公助のもと、村外に居住する関係者の参加も取り込んで、 知恵と力を合わせてそれぞれの役割を果たしていく「村民と行政と粟国に関わる人々との協働」を一 つ目の基本姿勢としてむらづくりを進めます。 また、先人の営みから学びつつ、21 世紀の時代の潮流を見据えて「自然、ひと、暮らしのよい関係 づくり」を二つ目のむらづくりの基本姿勢として、取り組んでいきます。 - 16 - 基本構想 【むらづくりの「トゥージ」】 粟国村にしかない「トゥージ」は、数は少なくなったものの、大切 「トゥージ」再生プロジェクトを実 にされている。平成 20 年度には、 施し、はるか以前に「トゥージ」づくりに携わった経験を持つ先輩方 をはじめ、子供達や大人達にも感動を与えることができた。その記憶 は新しいところである。 当時の先人たちは、厳しい島の自然条件や生活環境のなか、生命の 水を確保するために、互いの意見を尊重しながら知恵と技を結集し、 ともに協力しあい、豊かな島の自然資源である大地(自然石)を活用 し、恵みの雨を受けるうつわ、地域の暮らしをうるおす「トゥージ」 を創生し、自然との共生を図りながら、自然の恵みを感受し、幸せな どを分かち合うような、むらづくりをおこなってきた。その思考を発 展させていくプロセスを学びこれからの粟国のむらづくりを牽引する 発想の力としたい。 <トゥージの思考プロセスの概念図> 【自然】 ③島の素材の抽出 (=自然素材の発見・発想) ②島人の「精神・思い」 の強さ ④「技(知恵) 」と「素材」の 可能性の探求 (=チャレンジ精神・理念) (=素材の固さと柔らかい手触り(異質性)、 重量感と丸みの形状(柔軟性)など) 『トゥージ』 ⑤協働による取組み ①生命の「水」の確保 (=協働性の芽生え) (=共通の願い(目標の設定) ⑦波及効果 ともに支え合う心 (=相互扶助、平等性) ⑥目標の達成 ・島の「恵」と人の「知(技) 」 で創出された「トゥージ」 【ひと】 【暮らし】 <思考を発展させていく循環プロセス> ①共通の願い(目標の設定)→ ②挑戦(チャレンジ精神)→③素材の抽出 ④「技(知恵) 」と「素材」の可能性の探求→⑤協働による取組み(協働性の芽生え) →⑥目標の達成→⑦波及効果→①‘新たな目標→・・・② - 17 - 基本構想 (2)むらづくりの展望を描く 基本姿勢で示した一つ目の「協働」とは、言い換えると「とにかくみんなでやりましょう」とい うことです。二つ目の基本姿勢に示した「自然、ひと、暮らしのよい関係づくり」についてここで 少し深く考えて見ることとします。 「自然」は粟国村の財産であり「活力」創出の基盤です。 本村にはダイナミックな地形や貴重な岩石、フクギ並木などが残る集落景観など、人々に恵みを もたらす豊かな自然と美しい風景があります。村行政は、自然と共生するむらづくりによってこれ らを次代に継承していくという責任を負っています。 「住んでみたい、住み続けたい、住んでよかった、そして訪れてみたい」と思える元気なむらの 実現にむけて、いきいきと働ける場や学べる場、新たな出会いの場づくり等においては、 「自然」 を基盤に発想していくことが大切です。 主役は輝く「ひと」 、それはみんなと行動する「ひと」です。 一人ひとりの人権を尊重し、村民が主役となって様々な分野で活躍できる、ひとが輝くむらづく りが大切です。 村民一人ひとりがその個性と能力を磨き、お互いを認め合いながら、多様な価値観に応じた様々 な活動を展開し、住民相互、地域相互の交流により、地域の文化を多彩で魅力的なものに高めてい けば、粟国村民としての誇りや、笑顔に結ばれていきます。 笑顔のある「暮らし」は安住できる条件のもとに実現できます。 安全・安心で、うるおいのある暮らしは、村民生活を支える基本です。 子どもからお年寄りまですべての村民が住み慣れた地域のなかで、災害や犯罪などの不安がなく、 安心して暮らすことのできる社会環境を、一人ひとりが意識を高め、地域で支え合うことによって、 整えていかねばなりません。 この「自然」「ひと」 「暮らし」の粟国村らしいよい関係性を構築していきたい。 自然 自然 よい関係 ひと ひと 暮らし - 18 - 暮らし 基本構想 粟国村のむらづくりの課題は多く、また、厳しく重いものです。しかし、人口およそ 900 人の島 が発揮できる力はそう大きくはありません。また、粟国村の豊かな自然は、活力を生みだす資源で ある一方で、村の発展を制約する厳しい自然でもあります。 だからこそ、私たちは、トゥージを創りだした先人たちのように、 「自然」 「ひと」「暮らし」の 良き関係性構築の知恵を発揮して、課題の改善・解決を目指す必要があると考えます。 「自然とひとと暮らしのよりよい関係性をしっかり築く展望」を、粟国の言葉にしてみました。 「自然・ひと・暮らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島」です。まさに、これからの 10 年のむらづくり を展望したイメージといえます。 ~これからの 10 年のむらづくりを展望して~ 「自然」 「ひと」「暮らし」の粟国村らしいよい関係性構築のイメージ 自然・ひと・暮らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 上記に含まれている言葉は、以下のような意味合いを持っています。 「ふくらしゃる」 : 歓喜に満ち溢れ、よろこばしく、祝福されている 「てるくふぁ」 : 島に照りそそぎ、島に恵みをもたらす太陽神 ふたつの言葉は、ともに、粟国島でうたいつがれてきた「初拝(はつうがんまーゐ) 」の ウムイのなかに生きています。ウムイとはオモロと本来おなじものです。 遠い時代の先人たちの心と私たちの心を、時を超えて結ぶ言葉といえます。 - 19 - 基本構想 (3)むらづくりの将来像と実践目標 本村の第3次むらづくり構想の将来像は、第2次の構想の将来像「太洋の中に豊かなくらしと文化 を築く粟国」を引き継いでいくこととします。 その上で第3次の構想期間である平成 22~31 年度の 10 ヶ年で取り組むむらづくりの実践目標 を「自然・ひと・暮らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島」と設定します。 「ふくらしゃる粟国 てるくふ ぁ島」とは「自然」と「ひと」と「暮らし」がふくらしゃる関係のもとに、村民・行政・粟国島 に関わる多くの人々が心を通わせ力を合わせた協働の取り組みによって、実現が図られます。ま た、このむらづくりを支える6つの柱を基本方向として設定します。 粟国村の将来像 太 洋 の中 に豊 かなくらしと文 化 を築 く 粟 国 第3次粟国村総合計画基本構想 10 ヵ年のむらづくり実践目標 自然・ひと・暮らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 「自然」 基本方向1 みんなで豊かな自然を 大切にする 基本方向3 みんなで安全・ 快適な暮らしを 整える 基本方向2 みんなで活力と 魅力を創出する 基本方向4 みんなで誇りと愛着の 持てる人間力を育む ふくらしゃる 粟国 てるくふぁ島 基本方向6 「ひと」 みんなで心かよわせ、 協働のむらづくりに 取り組む - 20 - 基本方向5 みんなで支え合い、 健康で安心した 暮らしを築く 「暮らし」 基本構想 (4)将来人口 粟国村の人口は平成 17 年現在 936 人(国勢調査)となっています。 粟国村の将来人口を、昭和 55 年から平成 17 年までの趨勢データをもとに推計すると、目標年 次の平成 31 年には 880 人程度まで減少すると予測されます。 このような人口の減少傾向にストップをかけ、地域社会の発展をきしての戦略的な取り組みを 今こそ展開しなければならないと考えています。そのためには将来目標人口 1,000 人を掲げて、 社会人口増への転換を実現するべくむらづくりの構想を描くものとします。 ■ 将来人口 1,100 1,086 実績 将来人口 目標人口 1,000人 1,000 968 930 960 930 936 900 895 推計人口 880 H26 H31 800 S55 S60 H2 H7 - 21 - H12 H17 基本構想 2.むらづくりの基本構想 (1)むらづくりの施策の大綱 粟国村は、「自然・ひと・暮らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島」の実践目標を受けて、次 の6つの基本方向を設定し、その内容を示します。 基 本 方 向 1 みんなで豊かな自然を大切にする ~島しょ基盤づくり~ 本村の豊かな自然を大切にした土地の利用を進めるとともに、省エネルギー・新エネルギーの導 入に向けた取り組みを進め、みんなが自然にやさしい暮らしを営む社会の実現を図ります。また、 島外交通体系の充実、情報・通信ネットワークの拡充に取り組み、離島の厳しい自然環境・条件の なかで村民が豊かな暮らしを営むことができる環境の実現をめざします。 ○土地利用の確立 ~島の自然を大切にしながら土地利用を進める~ ○省エネルギー・新エネルギーの拡充 ○島外交通体系の充実 ~環境にやさしい粟国村を実現する~ ~島人の暮らしを支える島外交通機能を維持し、高める~ ○情報・通信ネットワークの拡充 ~島人の暮らしを豊かにする地域情報化を進める~ 基 本 方 向 2 みんなで活力と魅力を創出する ~産業振興~ 粟国村の産業全般の活性化に向けては、基幹産業である農畜水産業を素材としたものづくり産業 の振興や、産業体験型のツーリズム事業の育成を図るなど、異なる業種間の連携によって経済的な 付加価値の上昇や魅力ある就業の場の形成に努めます。基盤の整備や設備近代化の支援など、行政 が担う役割の推進に継続して取り組んでいくとともに、村民参加により機動力を発揮しやすい機関 (商工会・観光協会的な機関)を立ち上げ、協働して人材の受け入れや経営相談、商品開発研究等 に努めます。 ○観光・レクリエーションの振興 ○農業・畜産の振興 ○漁業の振興 ○地場産業の振興 ~粟国の宝を磨いてふれあい交流の産業をおこす~ ~元気な農業・畜産業に育てる~ ~海を守りつくる水産業に育てる~ ~粟国だからこそのものづくり産業を振興する~ 基 本 方 向 3 みんなで安全・快適な暮らしを整える ~生活環境~ 島に暮らすみんなの力をあわせて、道路や上下水道の整備・充実、環境衛生の向上など、村民生 活の根幹を支える環境を整えるとともに、村民の暮らしの場である集落での定住環境の整備や優れ た集落景観の保全・育成・創造に努め、快適で魅力ある生活環境づくりを進めます。また、災害時 や緊急時の対応機能を高め、村民が安心して暮し続けることのできる環境づくりをめざします。 ○定住環境の整備 ~島に暮らし続ける環境を整える~ ○集落景観の保全・育成 ~粟国らしく美しい景観を守り、育てる~ ○道路環境の整備・充実 ~誰もが安全で快適に利用できる道路環境をつくる~ ○上下水道の充実 ~環境にやさしい安全・快適な上下水道環境を整える~ ○環境衛生の向上 ~ゴミを減らし、再資源化を進める~ ○消防・防災・救急体制の強化 ~島人の暮らしの安全・安心を守る~ - 22 - 基本構想 基 本 方 向 4 みんなで誇りと愛着の持てる人間力を育む ~教育文化~ 離島村特有の「15 の旅立ち」に伴い自立できる子どもの育成を進め、地域全体で子どもたちを見守 り育てる教育環境づくりに取り組みます。また、村民一人ひとりの生きがいづくりや地域活動の担い 手となる人材の育成に努めるとともに、地域の歴史・文化を継承し、村民一人ひとりがふるさとに誇 りと愛着を持つむらづくりを目指します。さらに、県内外との交流の機会をつくり、幅広い視野を持 つ人材の育成に努めます。 ○幼稚園・学校教育の充実 ~みんなでたくましい子どもたちを育てる~ ○生涯学習・スポーツ・レクリエーションの振興 ~一人ひとりの生きがいをつくる~ ○地域文化の振興 ~粟国の誇りや財産をみんなで受け継ぐ~ ○交流活動の充実 ~交流によって視野を広げる~ 基 本 方 向 5 みんなで支 え合 い、健 康 で安 心 した暮 らしを築 く ~健 康 福 祉 ~ 子どもから、高齢者、また障がいのある人も、これまで島で培われてきた“支えあい”によって、 すべての村民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることのできる福祉のむらづくりをめざしま す。そのため、安定した保健・医療サービスを進めるとともに、心と身体の健康づくりを支援しま す。また、子育て家庭や、高齢者、障がい者(児)等に対する福祉サービスの提供に努めるととも に、地域での見守り体制や誰もが気軽に社会参加できる環境づくりを推進します。 ○保健・医療の拡充 ~健康で安心して暮らせる保健・医療サービスを進める~ ○高齢者支援の推進 ~いきいきと暮らし続ける長寿のむらを実現する~ ○子育て環境の充実 ~安心して子育てできる環境をつくる~ ○障がい者(児)への支援 ○社会保障制度の適切な運用 ○地域福祉の推進 ~障がい者をみんなで支え合う~ ~生涯にわたって安心を享受する仕組みを推進する~ ~ともに支えあう地域社会を継承する~ 基 本 方 向 6 みんなで心 かよわせ、協 働 のむらづくりに取 り組 む ~住 民 参 加 ・行 財 政 運 営 ~ 子どもや女性、青年や高齢者、事業者などの島に関わるみんなが主役になって積極的に関わって いく協働によるむらづくりを進めます。そのため、多様な村民ニーズや新たな行政課題を的確に捉 えるとともに、わかりやすい村政情報の提供や地域住民の参加・参画によるむらづくりを推進しま す。また、より効率的な行政の体制づくりや適切な事務執行に取り組み、行政サービスの向上を図 ります。さらに、安定した自主財源の確保や中長期的な展望に基づく、財政運営に取り組みます。 ○住民参加の仕組みづくり ○効率的な行政運営 ○健全な財政運営 ~協働によるむらづくりを推進する~ ~効率的な行政を運営する~ ~健全な財政を運営する~ - 23 - 基本構想 (2)土地利用の基本方向 土地は、村民生活や生産活動の共通の基盤としてゆとりや活力をもたらす大切な資源です。 島しょ環境にある本村の土地利用にあたっては、村民一人ひとりが環境問題に意識と自覚をもち、自 然と共存した持続可能な循環型社会とすることが求められています。そのため、土地利用の根幹となる 自然環境の保全を基軸に捉えながら、村民の多様な暮らしや営み・生業が調和した土地利用の確立をめ ざします。 自然環境の保全を基軸とした土地利用を確立するため、以下の5つの区域を概ね設定し、村民の共通 財産である土地の保存・活用を図ります。 <区域ごとの基本方向> 1)海浜環境保全域:島を取りまく海浜域であり、概ねリーフまでの範囲となります。 本村を特徴づける海食崖の景勝地をはじめ、砂丘に広がるモンパの木群落等の貴重な自然 植生、様々な生物の宝庫となっているイノーの優れた海浜環境の保全に努めるとともに、住 民等の海浜レクリエーションや学習の場としても必要な利活用を図ります。 また、集落や農地への自然災害の軽減に機能する保安林の保全や防風・防潮林の育成に努 めます。 2)緑地保全育成域:自然の丘陵緑地や原野等、集落や農地を取りまく範囲です 段丘緑地や集落や農地を取りまく防風・防潮林を保全するとともに、集落や農地を取り囲 む、骨格的な緑の育成に努めます。また、集落内のフクギの屋敷林等と結びつけるよう、緑 のネットワークの形成に努め、うるおいと安らぎを感じさせる景観づくりを推進します。 3)生産緑地域:集落を取りまく農地で既存農地や整備が進められている農地等、概ね農用地区域の範囲となります。 現在整備が進められている農地や遊休化している農地も含めて、今後とも島の大切な生産 緑地として位置づけ、さとうきび、野菜、豆類、有用薬草の栽培など、積極的な活用を図り ます。また、アグリツーリズム※1等の他産業と連携した農業の展開を図ります。 4)集落環境整備域:浜、東、西の3集落(主に居住地)の範囲となります。 周辺農地への集落拡大がこれ以上、無秩序に進展しないよう土地利用を明確にするととも に、その周知徹底を図ります。また、集落内の生活環境整備や必要な拠点施設整備、空き地・ 空き屋敷の利活用等を積極的に推進します。 5)ゲート空間創出域:概ね粟国港湾区域や粟国空港の範囲となります。 粟国港湾や粟国空港は、島と島外を結ぶ海と空の玄関(ゲート)です。島を印象づける大 切な空間であることから、島の顔にふさわしい整備や緑化修景等を図ります。 - 24 - 基本構想 - 25 - 基本構想 (3)むらづくりを推進する手法としてのリーディングプラン 1)位置づけ 粟国村では、これまでに自治を取りまく厳しい状況を克服するために、様々なむらづくりに取り組ん できました。その各分野の取り組みによって、生活環境の改善や産業振興等の一定の効果がみられます。 今後も自治を取りまく厳しい状況は続くことが予想されるなか、より大きな効果を得るためには、個 別に展開してきたむらづくりの取り組みを丁寧につないで効果的に実践することが重要です。 近年は、粟国港東側にある公園付近の遊歩道整備をはじめ、 「発見!あぐに島 自然ガイドブック(平 」の発行、豊かな自然や伝統行事等の生活文化を守り活かすための体験滞在交流促進事業等 成 20 年度) を進めているところでありますが、これからは、「交流・体験」を各分野における共通のテーマとして、 個別事業を連携させて、みんなの力で戦略的に事業展開を進めていく必要があります。 先に示したむらづくりの基本姿勢を基調とした第 3 次総合計画のむらづくりの実践目標の実現を図る ために、各分野の施策及び個別具体事業を横断的に取り組み、かつ戦略的な目線で効果的に組み立てて 展開していくための手法をリーディングプラン=「交流体験のてるくふぁ島 2)交流体験のてるくふぁ島 構想」と位置づけます。 構想 リーディングプラン=「交流体験のてるくふぁ島 構想」は、戦略的な事業展開の手法を指していま す。本村の魅力となる資源活用やむらづくりの展望を踏まえた各種の取り組みを丁寧につないで地域活 力を高めていく「交流体験のてるくふぁ島 構想」を支える事業イメージを以下に示します。 □「交流体験のてるくふぁ島 構想」を支える事業のイメージ ①島の「活力」基盤となる「自然」を守るために ○自然環境保全条例の制定 ○クリーン車両(電気自動車等)による移動支援 ○海岸漂流物等のエネルギー化の導入 など 交流体験のてるくふぁ島 ②輝く「ひと」、みんなと行動する「ひと」を育むために ○地域ガイドの養成 個別事業を ○観光関連団体の設立 など つないで 展開する ③村民の「暮らし」の質を高め、島の魅力を創出するために ○フクギ並木や祭祀空間等のシンボリックな風景づくりの推進 ○空き屋・空き屋敷の活用 構想 ○景観計画の策定及び景観条例の制定 など ④「自然」 「ひと」「暮らし」のよい関係を構築するために ○自然・歴史文化・農林水産業等の体験・学習メニューの開発 ○交流体験の拠点づくりと地域交流の推進 ○自然環境、地域文化資源、主要施設などのネットワークづくり ○コミニティビジネスの推進 - 26 - など 基本構想 (4)基本構想の体系 粟国村の将来像 むらづくりの基本姿勢 自然、ひと、暮らしのよい関係づくり 太 洋 の中 に豊 かなくらしと 文 化 を築 く 粟 国 村民と行政と粟国に関わる人々との協働 10 年 間 の む ら づ く り 実 践 目 標 自 然 ・ひと・暮 らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 基本方向1 みんなで豊かな自然を大切にする ~島しょ基盤づくり~ 施策 1-1 土地利用の確立 施策 1-2 省エネルギー・新エネルギーの拡充 施策 1-3 島外交通体系の充実 施策 1-4 情報・通信ネットワークの拡充 基本方向2 みんなで活力と魅力を創出する ~産業振興~ 施策 2-1 観光・レクリエーションの振興 施策 2-2 農業・畜産の振興 施策 2-3 漁業の振興 施策 2-4 地場産業の振興 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える ~生活環境~ 施策 3-1 定住環境の整備 施策 3-2 集落景観の保全・育成 施策 3-3 道路環境の整備・充実 施策 3-4 上下水道の充実 施策 3-5 環境衛生の向上 施策 3-6 消防・防災・救急体制の強化 基本方向4 みんなで誇りと愛着の持てる人間力を育む ~教育文化~ 施策 4-1 幼稚園・学校教育の充実 施策 4-2 生涯学習・スポーツ・レクリエーションの振興 施策 4-3 地域文化の振興 施策 4-4 交流活動の充実 基本方向5 みんなで支えあい、健康で安心した暮らしを築く 施策 5-1 保健・医療の拡充 ~健康福祉~ 施策 5-2 高齢者支援の推進 施策 5-3 子育て環境の充実 施策 5-4 障がい者(児)への支援 施策 5-5 社会保障制度の適切な運用 施策 5-6 地域福祉の推進 施策 6-1 住民参加の仕組みづくり 施策 6-2 効率的な行政運営 施策 6-3 健全な財政運営 - 27 - 構想」 基本方向6 みんなで心かよわせ、協働のむらづくりに取り組む ~住民参加・行財政運営~ むらづくりを推進する手法としてのリーディングプラン 「交流体験のてるくふぁ島 むらづくりの基本方向 基本構想 「高いところからみる粟国」 [『ずっとこのままであてほしい』と思い、残したいと思いました]/内嶺奈美さん ※粟国村立中学校 3年生(卒業生)による「美しい、いつまでも残したい 粟国島」の写真展(平成 22 年 3 月 14 日(日) )より - 28 - 前期基本計画 ~自然・ひと・暮らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島~ 「自然」「ひと」 「暮らし」の粟国村らしいよい関係性を構築したい 「自然」 基本方向1 みんなで豊かな自然を 大切にする 基本方向3 みんなで安全・ 快適な暮らしを 整える 基本方向2 みんなで活力と 魅力を創出する 基本方向4 みんなで誇りと愛着の 持てる人間力を育む ふくらしゃる 粟国 てるくふぁ島 基本方向6 「ひと」 みんなで心かよわせ、 協働のむらづくりに 取り組む - 29 - 基本方向5 みんなで支え合い、 健康で安心した 暮らしを築く 「暮らし」 p31 基本方向1 施策 1-1 施策 1-2 施策 1-3 施策 1-4 みんなで豊かな自然を大切にする~島しょ基盤づくり~ 土地利用の確立 ~島の自然を大切にしながら土地利用を進める~ 省エネルギー・新エネルギーの拡充 ~環境にやさしい粟国村を実現する~ 島外交通体系の充実 ~島人の暮らしを支える島外交通機能を維持し、高める~ 情報・通信ネットワークの拡充 ~島人の暮らしを豊かにする地域情報化を進める~ p43 基本方向2 施策 2-1 施策 2-2 施策 2-3 施策 2-4 みんなで活力と魅力を創出する~産業振興~ 観光・レクリエーションの振興 ~粟国の宝を磨いてふれあい交流の産業をおこす~ 農業・畜産の振興 ~元気な農業・畜産業に育てる~ 漁業の振興 ~海を守りつくる水産業に育てる~ 地場産業の振興 ~粟国だからこそのものづくり産業を振興する~ p55 基本方向3 施策 3-1 施策 3-2 施策 3-3 施策 3-4 施策 3-5 施策 3-6 みんなで安全・快適な暮らしを整える~生活環境~ 定住環境の整備 ~島に暮らし続ける環境を整える~ 集落景観の保全・育成 ~粟国らしく美しい景観を守り、育てる~ 道路環境の整備・充実 ~誰もが安全で快適に利用できる道路環境をつくる~ 上下水道の充実 ~環境にやさしい安全・快適な上下水道環境を整える~ 環境衛生の向上 ~ゴミを減らし、再資源化を進める~ 消防・防災・救急体制の強化 ~島人の暮らしの安全・安心を守る~ p71 基本方向4 施策 4-1 施策 4-2 施策 4-3 施策 4-4 みんなで誇りと愛着の持てる人間力を育む~教育文化~ 幼稚園・学校教育の充実 ~みんなでたくましい子どもたちを育てる~ 生涯学習・スポーツ・レクリエーションの振興 ~一人ひとりの生きがいをつくる~ 地域文化の振興 ~粟国の誇りや財産をみんなで受け継ぐ~ 交流活動の充実 ~交流によって視野を広げる~ p83 基本方向5 施策 5-1 施策 5-2 施策 5-3 施策 5-4 施策 5-5 施策 5-6 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く~健康福祉~ 保健・医療の拡充 ~健康で安心してくらせる保健・医療サービスを進める~ 高齢者支援の推進 ~いきいきと暮らし続ける長寿のむらを実現する~ 子育て環境の充実 ~安心して子育てできる環境をつくる~ 障がい者(児)への支援 ~障がい者をみんなで支え合う~ 社会保障制度の適切な運用 ~生涯にわたって安心を享受する仕組みを推進する~ 地域福祉の推進 ~ともに支えあう地域社会を継承する~ p91 基本方針6 みんなで心をかよわせ、協働のむらづくりに取り組む~住民参加・行財政運営~ 施策 6-1 住民参加の仕組みづくり ~協働によるむらづくりを推進する~ 施策 6-2 効率的な行政運営 ~効率的な行政を運営する~ 施策 6-3 健全な財政運営 ~健全な財政を運営する~ - 30 - 基本方向1 みんなで豊かな自然を大切にする ~島しょ基盤づくり~ 施策 1-1 土地利用の確立 島の自然を大切にしながら土地利用を進める 施策 1-2 省エネルギー・新エネルギーの拡充 環境にやさしい粟国村を実現する 施策 1-3 島外交通体系の充実 島人の暮らしを支える 島外交通機能を維持し、高める 施策 1-4 情報・通信ネットワークの拡充 島人の暮らしを豊か にする地域情報化を進める - 31 - 本村は、清らかな自然に恵まれた美しい島で、私た ち島人は古くからこの自然がもたらす恵みを享受し ながら生きてきました。その一方で、先人達は離島で あるがゆえの様々な厳しい自然条件、生活環境を「ト ゥージ」づくりに象徴されるむらづくりの精神をもっ て乗り越えながら、特色ある独自の文化を築いてきま した。 今日、時代は「環境の世紀」といわれるように、地 球環境問題という厳しい現実を打開するため、世界各 地で懸命な努力が行われています。それは、わが粟国 村にあっても無縁ではいられない大きな問題です。こ うした時代にこそ、私たちは先人達が自然とともに生 きてきた精神や技に学びながら、島の、そして世界の 未来を展望する視点を持たなくてはなりません。 私たちは、今後ともこの島の清らかな自然とともに 生き、将来の世代に受け継いでいくことを基本としな がら、島の暮らしを豊かにしていきます。 そのために、みんなで「粟国の自然」を認識・再発 見し、新たなむらづくりの「トゥージ」の精神を発揮 することで、島人一人ひとりが自然環境にやさしい暮 らしを営み、そしてまた島の環境の中で豊かに暮らす ことのできる各種基盤(=島しょ基盤)を整えていく ことをめざします。 *むらづくりの「トゥージ」の精神 トゥージづくりのように、たくさんの人が協力し合い、助け合っていこうという考え方。 粟国村の文化的財産であるトゥージは、一人でつくることは大変困難であり、一つのトゥージをつくるためにはたくさん の人々が協力し合ってきました。トゥージづくりは粟国村に特化した文化です。 - 32 - 島しょ基盤づくり 10 年間のむらづくり実践目標 自 然 ・ひと・暮 らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 むらづくりの基本方向1 みんなで豊かな自然を大切にする 施策 1-1 土地利用の確立 島の自然を大切にしながら 土地利用を進める 施策 1-2 省エネルギー・新エネルギーの拡充 環境にやさしい 粟国村を実現する 施策 1-3 島外交通体系の充実 島人の暮らしを支える島外 交通機能を維持し、高める 施策 1-4 情報・通信ネットワークの拡充 島人の暮らしを豊か にする地域情報化を進める - 33 - 基本方向1 みんなで豊かな自然を大切にする(島しょ基盤づくり) 施策 1-1 土地利用の確立 現状と課題 粟国村は、一島一村からなり、島の外周はわずか 12km、面積は 7.64k㎡と小 さな島です。また、島の最高地点は海抜 95.8mであり、島の西側が高く、東側に むかって低くなり、半円形状の島に、浜、東、西の3集落が形成されています。 島の骨格構造は、集落部を中心として、農地や原野が広がり、また、風の抑制 や水源の涵養林を担う丘陵緑地が集落周辺や農地周辺にあり、さらにイノー(珊 瑚池)やリーフが島全体を囲むように取りまいています。 このような島の骨格構造は、冬場の風(ニシ)や海からの潮風から農地や集落 部を守る緑をはじめ、高潮などを抑制するリーフ等、村民生活と密接に関わって います。そのため、村民の暮らしや島の活力を向上させる適切な土地利用を進め ていく必要があります。 また、本村はリゾート化等の近代的な開発が行われず、豊かな自然が色濃く残 されており、特に植物や野鳥、地質等については学術的にも希少性が高く、島の 宝が残されています。このような貴重な自然環境を保全するともに、自然環境に 配慮した活用を展開していくことも重要です。 今後は、これらの島の構造や特性を基本とした土地利用の大切さを村民一人ひ とりが認識し、豊かな自然環境を保護・継承・発展させ、島の活性化を担ってい くことが求められています。 課題の整理 ●自然環境の保全・活用に向けた 取り組みの充実 ●村民の暮らしや島の活力を向 上させる取り組みの推進 筆ん崎付近の海岸植生 ■土地利用面積の推移 平成 10 年 15 年 19 年 20 年 畑 313(41.0%) 311(40.7%) 311(40.7%) 310(40.6%) 単位:ha 宅地 38(5.0%) 38(5.0%) 38(5.0%) 38(5.0%) 原野 287(37.6%) 287(37.6%) 287(37.6%) 284(37.1%) 雑種地 11(1.4%) 11(1.4%) 11(1.4%) 12(1.6%) その他 113(14.8%) 116(15.2%) 117(15.3%) 119(15.6%) 合計 762(100%) 763(100%) 764(100%) 764(100%) 資料:粟国村総務課 - 34 - 基本方針 島の構造や特性を基本とした土地利用の大切さを村民と共有しながら、豊かな 自然環境の保全・活用にむけた取り組みを充実するとともに、村民の暮らしを守 りつつ、島の活力を促進する土地利用を推進します。 具体的な取り組み 1 自然環境の保全・活用の充実 ○村民と連携して、海岸地形等の景勝地や希少性の高い動植物の生息地等の豊か な自然環境を保全するとともに、自然環境に十分に配慮した活用や回復・改善 に取り組みます。 ○豊かな自然環境の保全と適切な活用を図るため、 「粟国村自然環境保全条例(仮 称)」の制定を検討します。 2 村民の暮らしや島の活力を向上させる土地利用の推進 ○集落域が無秩序に拡大しないよう、土地利用の適切な指導・誘導に取り組みま す。 ○村民と連携・協力して、御嶽林や防風・防潮林等の緑地の保全・育成に取り組 みます。 ○農用地は基本的に重要な生産基盤として保全・整備します。 - 35 - 基本方向1 みんなで豊かな自然を大切にする(島しょ基盤づくり) 施策 1-2 省エネルギー・新エネルギーの拡充 現状と課題 近年、地球温暖化など地球規模での環境問題が顕在化するなかで、身近な地域 における環境保全に向けた取り組みが重要となっています。私たちの生活は、石 油やガス、電気などのエネルギーを消費することによって成り立っていますが、 地球温暖化の要因の一つである二酸化炭素の増加が石油等の化石燃料の消費に起 因しているなど、今日の環境問題はエネルギー問題を抜きにして考えることはで きません。このため、地域の実情に応じた省エネルギー※1・新エネルギー※2 の導 入が求められています。 本村におけるこれまでの取り組みとしては、平成 12 年3月から風力発電設備 (250kW)が稼働し、字西地区全体の電力をまかなうことができるようになってい ます。また、平成 18 年度には「粟国村地域省エネルギービジョン策定事業」を実 施し、各種省エネルギー対策等を調査・検討するとともに、村民への省エネルギ ーに向けた取り組みの普及・啓発に取り組んできました。平成 21 年度からは地域 省エネルギービジョンからさらに踏み込んで、持続的に利用可能な新エネルギー の導入を積極的に推進するとともに、村の今後のエネルギーシステムのビジョン を構築するため、 「粟国村地域新エネルギービジョン」の策定に取り組んでいます。 今後、これらのビジョンに基づく省エネルギー、新エネルギーの取り組みを進 め、村民みんなが一体となって環境にやさしい粟国村の実現を図ることが求めら れます。 課題の整理 ●省エネルギー・新エネルギーの 導入推進 ●村民等の省エネルギー・新エネ ルギーに向けた取り組み促進 風力発電設備 ■風力発電設備の概要 稼働年月 設置者 定格出力 台数 総出力 2000 年3月 沖縄電力㈱ 250.0kW 1 250.0kW 用途 実証研究 資料:独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構ホームページ - 36 - 基本方針 環境にやさしい粟国村の実現に向けて、省エネルギー・新エネルギーの導入に 向けた行政が担うべき役割を推進するとともに、省エネルギー・新エネルギーに 関する各種情報の提供、普及・啓発活動を通して村民・事業者等の取り組みを促 進します。 具体的な取り組み 1 省エネルギー・新エネルギーの導入推進 ○引き続き「粟国村地域省エネルギービジョン」に基づく省エネルギー導入に向 けた取り組みを進めます。 ○「粟国村地域新エネルギービジョン」を策定し、同ビジョンに基づく新エネル ギー導入に向けた取り組みを進めます。 2 村民等の省エネルギー・新エネルギーの導入促進 ○引き続き省エネルギーに関する各種情報の提供、普及・啓発を進め、リサイク ル品の利用やエアコンの適温化など、村民一人ひとりが環境にやさしい暮らし を営む社会の実現に努めます。 ○住宅用太陽光発電設備など、新エネルギーに関する各種情報提供、普及・啓発 に取り組むとともに、導入する住民・事業者への支援を検討するなどにより、 新エネルギーの導入を促進します。 ※1:省エネルギー エネルギーを効率的に使用したり余分なエネルギーの消費を抑えることによって、エネルギーの消費量を削 減しようというもの。 ※2:新エネルギー 太陽光発電や風力発電などの資源の制約が少なく、環境負荷の小さいクリーンなエネルギー。 - 37 - 基本方向1 みんなで豊かな自然を大切にする(島しょ基盤づくり) 施策 1-3 島外交通体系の充実 現状と課題 離島村である本村にとって、島外との交通ネットワークは欠かせない基盤です。 海上交通は、村営の「フェリー粟国」が泊~粟国間を1日1往復運航し、村民 生活や村の産業振興にとって大きな役割を果たしており、今後とも船舶の適切な 維持管理・運営を図る必要があります。また、港湾については、現フェリーの運 行にともない岸壁の整備が行われましたが、天候によっては今なお停泊できない 事態もしばしば起こることから、港湾機能のさらなる拡充に取り組むことが求め られます。一方で、航路会計は国の赤字補填航路となっており、また近年の輸送 量実績が減少傾向にあることから、経営改善に向けて一層のサービス向上に努め、 利用者数の増加を目指すことが課題となっています。 航空交通は、第一航空により1日3往復運航されています。現在の航空機は以 前に比べ規模や便数が縮小したことで、週末等には満席となるなど、利用に若干 支障が出てきています。また、機体の老朽化が進んでいることもあり、将来的に 定員 39 人規模の機種に変更することも検討されています。 課題の整理 ●船舶の適切な維持管理 ●港湾機能の拡充 ●航路経営の改善に向けた取り 組み ●航空機の大型化 フェリー粟国 ■離島航路輸送量実績 平成 16 年度 旅客(人) 25,966 貨物(t) 6,361 ■離島路線航空輸送実績 平成 16 年度 旅客(人) 16,181 貨物(kg) 24,375 平成 17 年度 18,598 6,805 平成 18 年度 18,075 2,367 平成 19 年度 17,188 2,293 資料:離島関係資料 平成 17 年度 13,207 20,529 平成 18 年度 11,432 16,966 平成 19 年度 16,324 10,512 資料:離島関係資料 - 38 - 基本方針 生活環境条件の向上や産業の振興、島外交流の活性化等を図るため、海上交通 の適切な維持管理と更なる利便性・快適性等の向上に向けた各種取り組みを進め るとともに、航空機種の大型化による航空交通の拡充に努めます。 具体的な取り組み 1 海上交通の維持・拡充 ○将来的な船舶の入替えも見据えながら、船舶の適切な維持管理・運営を進めま す。 ○航路の更なる安定性・利便性向上に向けた港湾施設の拡充を促進します。 ○航路経営の改善に向けては、村内関係課・関係機関等の連携のもと、観光振興 施策と連動した海上交通サービスのあり方など、総合的な観点から検討しま す。 2 航空交通の拡充 ○航空交通の基盤強化および航空路線の安定化に向け、関係者等との調整、合意 形成を図りつつ、航空機種の大型化を促進します。 - 39 - 基本方向1 みんなで豊かな自然を大切にする(島しょ基盤づくり) 施策 1-4 情報・通信ネットワークの拡充 現状と課題 情報通信機能の拡充は、本村を含む離島地域において村民生活の向上、並びに 産業活動の活性化等を図る上で重要な課題の一つです。 本村においては、昭和 54 年4月に電話が自動化され、島内生活の利便性が大い に高められました。また携帯及び自動車電話に関しては、現在NTTドコモ及び セルラー(au)によりほぼ島の全域で利用可能となっています。また、昭和 58 年には防災行政無線が整備され、行政情報や防災時の情報伝達に重要な役割を果 たしていますが、近年、施設の老朽化や戸別受信機の不備などにより、情報が十 分に伝達されない状況がみられてきたことから、現在、防災無線のデジタル化お よびスピーカーの設置(12 台)を進めています。 インターネット環境については、本村では平成9年にホームページを開設し、 広く村内外への情報発信を行っています。また粟国郵便局にインターネットが利 用できるパソコンが設置され、広く村民に開放されています。平成 17 年には沖縄 県離島地区ブロードバンド環境整備促進事業により ADSL※1環境が整備され、高速 な情報通信基盤が整いました。そうした中、現状では村民のインターネット普及 率は低いと言われており、今後、村民へのインターネットの普及促進を図るとと もに、村ホームページ等の内容を充実することが重要です。さらに、CATV※2整備 など、情報通信基盤の更なる充実・利便性向上に向けた取り組みを検討すること も求められます。 課題の整理 ●村ホームページ等における情 報内容の充実 ●村民へのインターネットの普 及・啓発 ●情報通信基盤の更なる充実に 向けた取り組み検討 防災無線局 ■一般向けブロードバンドのサービス提供状況 ※3 粟国村 ※平成 19 年 10 月現在 FTTH × ※4 ADSL ○ FWA × CATV × 資料:総務省沖縄総合通信事務所ホームページ - 40 - 基本方針 行政サービスの向上はもとより、情報通信技術を活かした村民生活の利便性向 上、産業の振興等を図るため、村民への情報提供内容の充実に努めるとともに、 村民の情報通信に対する知識の向上・活用促進に向けた取り組みを行います。ま た、情報通信基盤の更なる拡充を検討します。 具体的な取り組み 1 村民への情報提供内容の充実 ○村ホームページなどで提供する情報について、専門人材の養成・確保など提供 体制の強化を図りつつ、内容の充実に取り組みます。 2 村民の情報通信に対する知識向上・活用促進 ○学校教育や社会教育、産業振興などの関係課・機関の連携のもとで、情報教育 の実施やインターネット活用講座を開催するなど、村民の情報通信に対する知 識向上・活用促進に向けて取り組みます。 3 情報通信基盤の拡充検討 ○防災行政無線については、デジタル化およびスピーカー設置の成果等を踏まえ つつ、必要に応じ更なる拡充を検討します。 ○CATV サービスの提供など、情報通信基盤の更なる拡充を検討します。 ※1:ADSL ※2:CATV ※3:FTTH ※4:FWA デジタル加入者線の略。電話用メタリックケーブルにモデム等を設置することにより高速のデジタルデータ伝送を可能とする方式の総称。 同軸ケーブルや光ファイバーケーブルを使ってテレビの番組を分配するシステムのこと。ブロードバンドのネットワークインフラの一つ。 各家庭まで光ファイバーケーブルを敷設することにより、数十 Mbps の超高速インターネットアクセスを可能とするもの。 固定無線アクセスの略。各家庭とインターネットサービスを提供する回線を無線で接続してデータ通信サービスを行う。 - 41 - 「遠目からみるマハナ」 〔島の崖が見える(斜めの様子がわかる)〕/新城侑佳さん ※粟国村立中学校 3年生(卒業生)による「美しい、いつまでも残したい 粟国島」の写真展(平成 22 年 3 月 14 日(日) )より - 42 - 基本方向2 みんなで活力と魅力を創出する ~産業振興~ 施策 2-1 観光・レクリエーションの振興 粟国の宝を磨いて ふれあい交流の産業をおこす 施策 2-2 農業・畜産の振興 元気な農業・畜産業に育てる 施策 2-3 漁業の振興 海を守りつくる水産業に育てる 施策 2-4 地場産業の振興 粟国だからこその ものづくり産業を振興する - 43 - 復帰前の産業構造から第一次産業が激減していくな かで、本村の社会構造は明らかに元気を失ってきまし た。それを時代の趨勢といってしまうのは簡単です。 たしかに、産業経済活動は、世界の、また、アジアの 大きなうねりに突き動かされ変動し、さまざまな影響 が小さな本村にまで及んできています。 その力を感じながらも、私たちは私たちにできる「産 業おこし=活力づくり」を立ち上げていかなければ、 子どもたちのための未来を展望できません。 私たちは島の恵まれた自然基盤を、この島で産業を おこすための基礎力としていきます。農業も漁業もも のづくり産業も観光サービス業も、「粟国の自然」を 資源ととらえて、より可能性を見いだし、関係を結び あうことで力を高め、具現化する行動をおこすことが 重要です。 そのために、 「先人のトゥージづくり」の思考プロセ スから発想した「島の素材〔自然〕―島人の願い〔ひ と〕―島人の技〔暮らし〕―島人の協働」を結ぶ展開 に学び、個別の事業を連携させていく取り組みにみん なの力を結集して、産業振興を実現するよりどころと します。 - 44 - 産業振興 10 年間のむらづくり実践目標 自 然 ・ひと・暮 らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 むらづくりの基本方針2 みんなで活力と魅力を創出する 施策 2-1 観光・レクリエーションの振興 粟国の宝を磨いて ふれあい交流の産業をおこす 施策 2-2 農業・畜産の振興 元気な農業・畜産業に 育てる 施策 2-3 漁業の振興 海を守りつくる水産業に 育てる 施策 2-4 地場産業の振興 粟国だからこその ものづくり産業を振興する - 45 - 基本方向2 みんなで活力と魅力を創出する(産業振興) 施策 2-1 観光・レクリエーションの振興 現状と課題 1995 年、沖縄県は「観光立県」を宣言し、2003 年には日本が世界に向けて「観 光立国」を宣言しました。今日、沖縄県内だけでなく日本各地で、観光・交流産 業が元気を維持しています。なかでも注目されるのは、小地域単位で取り組まれ て地域活性化を実現している「ふれあい交流型事業」です。漁村の引き網漁体験 もあれば、農村の収穫体験・食の体験、また地産地消の店舗づくり、さらには地 域住民有志による民泊や空き家再生・案内ガイドの実践など、さまざまなふれあ い交流の活動が、着実に地域の産業力向上の起爆剤となっています。 本村はこれまで、基幹産業である第一次産業の振興と結んで展開する、観光・ 交流産業おこしの戦略を欠いてきました。今こそ、本村が有する宝「地域資源」 を総合的に活かす戦略を打ち立て、自然資源をはじめ、歴史文化・産業・社会資 源や、村外とのネットワーク資源なども含めて、それぞれを活かしあう結びつき をつくる必要があります。地域資源を個々の点ではなく、まとまりとして結んで いくと魅力は高まり、村外のパワーを上手に借りることができれば、地域力を強 化できます。その実現にむけては、実践の中核となる組織の形成が強く求められ ます。 課題の整理 ●体験交流等の企画事業を推進 する組織・人材づくり ●既存資源の発掘と活用 ●宿泊・サービス等の観光客受け 入れ容量・機能の拡充 ●魅力を高めるための取り組み の育成 白い砂浜が続く長浜ビーチ ■宿泊施設数及び収容能力の推移 ■入域観光客数の推移 (施設数) 350 7 21,392 21,010 ( 18,796 20,000 15,593 15,000 (収容能力) 8 25,000 7 7 7 7 7 7 7 7 19,869 19,600 300 6 6 6 6 250 5 16,321 5 200 14,230 14,290 12,361 4 3 10,000 7,667 280 150 296 200 2 229 198 170 1 180 170 1 1 229 184 180 1 229 1 1 1 50 1 5,000 42 42 36 36 12年 13年 14年 15年 36 48 48 48 16年 17年 18年 19年 0 0 平成8年 0 9年 10年 11年 収容能力 旅館・ホテル 平成8年 9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 100 1 施設数 旅館・ホテル 18年 収容能力 簡易宿所 施設数 簡易宿所 資料:離島関係資料 より 資料:離島関係資料 より - 46 - 基本方針 本村が有する自然・歴史文化・産業・社会資源等の総合的な魅力を活性化して 結ぶ取り組みを進め、体験ふれあい型の観光・レクリエーションの開発・育成を 図っていきます。また、第一次・第二次の既存産業との連携による新たな起業の 支援や、ふれあい交流の担い手となる人材の育成に取り組みます。 具体的な取り組み 1 粟国の魅力を向上させる実践おこし ○農業・畜産・漁業の体験交流活動メニューを、多くの村民の参加のもとに開発 し、その実践を通して内容の充実向上に努めます。 ○粟国の魅力の目玉となる体験ツアーを確立するために、その取り組みの支援に 努めます。 ○観光資源を結んだ観光コースづくりと、その情報発信に取り組みます。 2 交流の担い手育成と組織づくり ○観光交流活動推進のコアとなる村民組織(観光協会や NPO 法人など)の立ち 上げに取り組みます。 ○ガイドやインストラクターなどの人材育成のために、講習会の実施や認定制度 づくりに取り組み、ひとが活躍する場をつくります。 3 既存する魅力空間の活用と機能拡充の取り組み ○長浜ビーチや遊歩道など、既存する空間の魅力や機能の維持・管理・活用に取 り組むとともに、バーベキューガーデンやキャンプ場など新しい魅力空間の形 成等の検討に取り組みます。 ○ビジターセンター(仮称)が、粟国村の子どもたちや来訪客にとって魅力ある 活動拠点となるよう、有効な整備・活用を図っていくこととします。 ○宿泊機能の拡充のために、空き家利用や民家宿泊等の促進に取り組みます。 - 47 - 基本方向2 みんなで活力と魅力を創出する(産業振興) 施策 2-2 農業・畜産の振興 現状と課題 農業は本村の基幹産業です。ひとと大地の営みによって、農産物は生み出され ます。その時代を生きる人々の営みのなかで、ソテツ、粟、いも、サトウキビが 植え育てられて、農作物をつくりだす喜びを引き継いできました。 本村の農業就業者は、昭和 55 年の 217 人と比べて平成 17 年は 232 人と横ばい 状況ですが、基幹的従事者でみると 180 人から 94 人へと半減し、30~59 歳の従 事者でも 103 人から 59 人へとおよそ半減しています。なかでも、15~29 歳の若 者層は 4 人から 3 人へとまったく伸び悩んでおり、後継者育成は深刻な課題とな っています。 エコファーマー認定※1農家は 22 名(平成 17 年 3 月 1 日現在)で、モチキビを中心に、 島ラッキョウやタマネギを栽培しています。今日、村名の由来でもある粟の生産 農家は、ほとんどなくなってしまいました。圃場の整備事業はまだ進行中ですが、 一方で、整備した農地が遊休化していく状況もみられ、課題となっています。 本村の活力ある基幹産業としていくには、農地の生産基盤条件を向上させ、経 営の安定化をめざすことはもちろんですが、ものづくり産業や観光産業と結んで いくなど、多角的な視点で営農の考え方を拡大し、若者がやってみたいと思う農 業のスタイルを構築していくことが必要となっています。 畜産業では、村営牧場の役割機能を拡充して、畜産業全体の牽引役を担うこと が期待されています。 課題の整理 ●農業従事者の高齢化 ●農業基盤整備の遅れ ●遊休農地の拡大 ●経営の安定化 ●村営牧場の機能の向上 土地改良が進む農地風景 ■農業就業者の推移 昭和 55 年 昭和 60 年 平成 2 年 平成 7 年 平成 12 年 平成 17 年 沖縄県 (平成 17 年) 60,865 36,284 24,581 5,204 24,601 31,060 36,911 22,347 14,564 農業就業人口 217 216 225 243 303 232 男性 79 85 84 100 160 122 女性 138 131 141 143 143 110 ※15~29 歳 4 3 3 5 6 3 30~59 歳 103 72 56 47 71 59 60 歳以上 110 141 166 188 183 170 うち基幹的従事者 180 186 102 195 109 94 男性 73 80 56 91 60 57 女性 107 106 46 104 49 37 ※1975 年(S50)、1980 年(S55)、1985 年(S60)、1990 年(H2)センサスでは、16 歳以上である。 資料:農林業センサス - 48 - 基本方針 農業を活力ある基幹産業に育てていくため、圃場整備やかんがい施設などの基 盤整備の推進に取り組むとともに、付加価値の高い品目栽培や遊休農地の解消、 農産加工品の開発、地産地消の普及、また、体験農業や農家民泊の取り組み(ア グリツーリズム※2)など、多角的な農業活性化に取り組みます。また、村営牧場 を充実させて、畜産業全般の育成をリードする役割とともに、体験交流と結んだ 新たな展開等を模索し、多面的な経営の安定化に取り組みます。 具体的な取り組み 1 農業基盤整備事業の推進と遊休農地の解消 ○元気な農業づくりの要である耕地条件の向上のために、必要な農業基盤整備事 業を推進します。 ○農地があってこその農業経営であることから、農業委員会を中心に、村民の理 解と協力を得て、農地を遊休化させないためのしくみづくりに取り組みます。 2 地産地消の普及と農家経営の安定化支援 ○エコファーマー育成や付加価値の高い品目の栽培指導、地産地消の奨励等に取 り組むとともに、体験交流型農業経営や農家副業の育成など、若者が魅力の持 てる農業活動の展開をめざし、幅広い視野での育成支援に努めます。 ○農業等に従事して永住をしたい希望を持つ U ターン・I ターン人材を受け入れ て、定着指導していくための窓口設置を検討します。 3 村営牧場の充実による畜産振興 ○生産能力の向上や交流体験型活動の企画実施、村民の食に結ぶしくみ形成な ど、村営牧場がリーダーシップを多角的に発揮して、村内畜産農家との連携の 強化に努めます。 ○村営牧場が率先して堆肥生産能力の向上に取り組み、村内の耕地への還元に努 めます。 ※1:エコファーマー認定 「持続的農業導入促進法」に基づき、低農薬、無農薬などによる安全な土づくり、作物づくりに取り 組む農家を認定し、広く PR するとともに、必要な行政支援を行う制度。県知事が認定する。 ※2:アグリツーリズム 広義には「都市と農村の交流」のこと。実際には農場で休暇を過ごすこと、農業体験を共有し、ふれあ いの中で生まれる交流の事を指す。 - 49 - 基本方向2 みんなで活力と魅力を創出する(産業振興) 施策 2-3 漁業の振興 現状と課題 美しい海が粟国の財産であるならば、その海と共生する産業である漁業は、本 村の基幹産業の大切な柱のひとつといえます。 本村の漁業就業者は、平成の時代にはいって以降、ほぼ 30 人弱で横ばい状況に 推移してきました。近年では、高齢化や後継者不足、また、生産基盤の近代化の 遅れなどの課題を抱え、漁獲量も減少傾向にあります。 村民みんなが参画し、みんなの力を結集して産業の振興をめざすという方針に 立つと、トビウオの特産品づくりは大切な芽生えです。みんなの力で大きく育て ていくチャンスとしなければなりません。粟国の海で育った鮮魚が、村民の食卓 を豊かにし、また、民宿等で来島客に味わっていただくという展開も、もっとう まくつくっていく必要があります。 「粟国だからこそできる」漁業の付加価値づくりは、今日的な消費者のニーズ に合致したものです。消費者と直接結ぶための、村外の商店や飲食店などとのし っかりしたネットワークづくりも重要です。 課題の整理 ●就業者の高齢化と後継者不足 ●特産品づくりとの連携強化 ●設備の近代化の遅れ ●流通のしくみの形成 加工と売店を兼ねたとび吉 ■周辺離島漁獲量の推移 平成 8年 112 平成 9年 106 平成 10 年 104 平成 11 年 96 平成 12 年 129 平成 13 年 135 平成 14 年 170 平成 15 年 162 平成 16 年 117 単位:t、% 平成 17 年 93 渡名喜村 552 706 564 520 569 438 415 427 362 249 座間味村 141 151 202 226 206 171 167 164 162 67 渡嘉敷村 55 60 49 46 47 47 46 46 41 37 久米島村 788 764 840 693 510 449 487 444 372 312 北大東村 42 45 46 20 26 34 31 28 27 33 粟国村 南大東村 63 76 59 50 42 58 57 53 91 46 注)合計と内訳の割合が一致しないのは四捨五入によるものである。 資料:沖縄総合事務局 農林水産部「第 35 次沖縄農林水産統計年報」 - 50 - 基本方針 漁業設備の近代化や観光漁業(ブルーツーリズム※1) ・水産加工業(トビウオの 特産品づくり他)との連携システムの構築、また、つくる漁業おこしなど、後継 者が魅力のもてる元気な漁業のための条件づくりに取り組みます。漁港の多面的 活用や地元消費の奨励など、柔軟な発想で、村民生活に直結した漁業の育成に努 めます。 具体的な取り組み 1 漁家の経営の安定化 ○漁業設備の近代化支援等、元気な漁業のための基礎条件づくりによる漁業経営 の安定化に努めます。 ○観光漁業や体験交流活動(ブルーツーリズム)の展開など、多角的な漁業経営 を育成支援していきます。 2 特産品づくりとの連携、漁業と暮らしの結びつきの強化 ○トビウオ加工をはじめ、粟国の新しいブランドとなる水産加工品づくりを育成 していくために、原材料供給体制や加工体制を整える取り組みを支援します。 ○村民の意識に漁業への評価が高まるような多面的な活動(漁港の活用企画やこ どもが参加できる漁のイベント企画等)を支援し、村民と漁業の結びつきを育 てて行きます。 3 付加価値を生み出す流通の仕組みの形成 ○村民の食卓を粟国の鮮魚が豊かにしていく地産地消の取り組みを奨励してい くとともに、本島都市部の消費地域において、粟国ブランドの付加価値を高め る流通のしくみを形成していくことが望まれることから、その支援に取り組み ます。 ※1:ブルーツーリズム 島や沿海部の漁村に滞在し、魅力的で充実した海辺での生活体験を通じて、心と体をリフレッシュさせ る余暇活動のこと。 - 51 - 基本方向2 みんなで活力と魅力を創出する(産業振興) 施策 2-4 地場産業の振興 現状と課題 粟国村のものづくり従事者は、近年徐々に増えつつあります。 海や大地からの自然の恵みを活用して、ソテツみそ、黒糖、粟国ようかん、も ちきびかりんとう、粟国の塩などの地域特産品を生産しています。しかし、これ らを消費するのは、島内販売と離島フェア等の出展にとどまっている状況です。 これからは、大きなマーケットである那覇都市圏や県外にも流通させるルート を築く視点が必要です。そのためには、より丁寧に村内資源を発掘して、付加価 値の高いものづくり(コンセプトのしっかりした良質のものづくり)に結んでい く現場を、村民みんなの力によって実現していくことが必要です。また、小さな ものづくりの現場をおこして、育てていく発想が大切となります。 こうしたものづくりの開発や市場の開発には、それを担い、村民参加をリード する人材が不可欠です。粟国村の将来づくりにかなう人材のUターン・Iターン を受け入れることも必要となります。 課題の整理 ●特産品開発の取り組みの育成 ●ものづくりの担い手の受け入 れや育成 ●起業支援の体制づくり ●安定した流通ルートの形成 粟国の黒糖 あぐにようかん 粟国の塩 粟国のあかまーみ ソテツみそ - 52 - 粟国のまーじん もちきびかりんとう 基本方針 農畜水産加工という一次産業と連携した特産品づくりや、海水からの産物であ る塩づくりのようにこの島の自然を材料とした商品づくりなど、コミュニティビ ジネス※1的な発想でのものづくり産業おこしの支援に取り組みます。また、こう した趣旨にかなうものづくり振興の人材の受け入れにも取り組みます。 具体的な取り組み 1 付加価値の高い良質のものづくりの育成 ○村内に分布する多種多様な自然資源と農畜水産物等を原材料として、付加価値 の高い特産品を開発していくため、多くの村民が知恵を出し合いものづくり活 動にかかわっていけるよう、研修や講座などの機会づくりに取り組みます。 ○良質のものづくりのノウハウを有し、村民の雇用やむらづくり活動への参画な ど、協働のむらづくりの担い手となる企業の受け入れを検討していきます。 2 市場の開拓や流通システムの構築 ○地産地消の奨励に取り組む一方で、インターネット市場の共同展開や出身者の ネットワークを活用したアンテナショップ※2づくりなど、つくったものがきち んと島外に流通するしくみづくりの支援にも努めます。 3 ものづくり振興のための体制づくり ○ものづくり活動の推進母体となる組織機関(商工会や NPO 法人など)の立ち 上げを支援します。 ○新しいものづくり産業の起業や人材の受け入れなどの相談窓口の設置促進に 努めます。 ※1:コミュニティビジネス 住民が主体となって、地域が抱える課題をビジネスの手法により解決し、またコミュニティの再生 を通じて、その活動の利益を地域に還元する事業の総称。 ※2:アンテナショップ 新商品などをテスト的に売り出し、その反応から消費者の需要動向を探るために設けた小売店。 - 53 - 捨て頁 「1本のソテツ」 [粟国のシンボル]/岸本茂郎さん ※粟国村立中学校 3年生(卒業生)による「美しい、いつまでも残したい 粟国島」の写真展(平成 22 年 3 月 14 日(日) )より - 54 - 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える ~生活環境~ 施策 3-1 定住環境の整備 島に暮らし続ける環境を整える 施策 3-2 集落景観の保全・育成 粟国らしく美しい景観を守り、育てる 施策 3-3 道路環境の整備・充実 誰もが安全で快適に 利用できる道路環境をつくる 施策 3-4 上下水道の充実 環境にやさしい 安全・快適な上下水道環境を整える 施策 3-5 環境衛生の向上 ゴミを減らし、再資源化を進める 施策 3-6 消防・防災・救急体制の強化 島人の暮らしの安全・安心を守る - 55 - 本村は明治時代まで人口過密な島として知られてい ましたが、大戦後の復興期や日本の高度経済成長期、 沖縄の日本復帰等を境に、村民の多くが島を離れ、人 口が急速に減少しました。昭和 60 年以降、減少ペー スは鈍化したものの、今なお村の人口は緩やかに減少 を続けています。 村の未来を展望するとき、島人が物質的にも、精神 的にも豊かに暮らし続け、その一人ひとりの力を地域 コミュニティの活性化、そしてまた、産業の振興につ なげていくことが重要です。 たしかに、離島である本村は、恵まれた定住条件と は言い難い環境にあります。だからこそ、私たちは、 豊かな自然環境や独自の伝統文化など、島の持つ資源 を最大限に活かし、島の魅力を高めながら、誰もが「島 で暮らしたい」と思う、そして誰もが島で暮らし続け ることのできる環境を整え、向上させていく努力をし てはなりません。 そのために、道路や上下水道、消防・防災・救急な どの生活基盤施設・体制の整備・拡充を進めながら、 新たなむらづくりの「トゥージ」の精神のもとで、み んなが力をあわせて、美しく魅力的な景観づくりに取 り組むなどにより、安全・快適な島の暮らしの実現を めざします。 *むらづくりの「トゥージ」の精神 トゥージづくりのように、たくさんの人が協力し合い、助け合っていこうという考え方。 粟国村の文化的財産であるトゥージは、一人でつくることは大変困難であり、一つのトゥージをつくるためにはたくさん の人々が協力し合ってきました。トゥージづくりは粟国村に特化した文化です。 - 56 - 生活環境 10 年間のむらづくり実践目標 自 然 ・ひと・暮 らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 むらづくりの基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える 施策 3-1 定住環境の整備 島に暮らし続ける 環境を整える 施策 3-2 集落景観の保全・育成 粟国らしく美しい景観を 守り、育てる 施策 3-3 道路環境の整備・充実 誰もが安全で快適に利用 できる道路環境をつくる 施策 3-4 上下水道の充実 環境にやさしい安全・快適 な上下水道環境を整える 施策 3-5 環境衛生の向上 ゴミを減らし、 再資源化を進める 施策 3-6 消防・防災・救急体制の強化 島人の暮らしの 安全・安心を守る - 57 - 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える(生活環境) 施策 3-1 定住環境の整備 現状と課題 本村の人口は、近年、緩やかな減少傾向となっています。地域の活性化や産業 の活性化、伝統文化の継承等の上で若者の定住化を図ることが極めて重要です。 本村では平成6年に「粟国村若者定住化促進条例」を施行し、若者の定住化を 推進しており、これまで定住化の受け皿となる公営住宅を計7棟、20 世帯建設し ました。しかしながら、現在でも移住希望者が住居を確保することが困難な状況 もみられ、これらの居住ニーズを適切に受け入れるための取り組みが必要です。 そのためには、既存公営住宅の適切な管理に努めるとともに、居住ニーズや民間 住宅の動向等を踏まえた新規整備を検討することも求められます。また、近年、 増えつつある空き家の有効利用を促進することも重要です。 一方で、村民生活の基礎である集落において、快適で安全性の高い、住みよい 環境づくりを進めていくことも重要です。集落内には舗装の不備など、改良が必 要な道路も多いことから、地域と協議しながら、その整備を進める必要がありま す。また、子どもたちが安全に遊び、また、お年寄りが憩うことのできる空間整 備が求められており、集落内の空き地等を活用した整備などを検討することも必 要です。 課題の整理 ●公営住宅の適切な管理および 新規建設の検討 ●空き家の有効利用による居住 ニーズの受け皿確保 ●集落内道路の整備 ●子どもたちやお年寄りなどが 遊び、憩う空間整備の検討 村営住宅 ■村営住宅一覧 東第1団地 東第2団地 東第3団地 浜第1団地 浜第2団地 巣飼団地 西第1団地 世帯数 2 2 2 2 4 4 4 所 在 粟国村字東 34 粟国村字東 1916、1917 粟国村字東 219 粟国村字浜 431-1 粟国村字浜 130 粟国村字西 255 粟国村字西 215 竣工年月 平成 7 年 6 月 平成 7 年 6 月 平成 11 年 3 月 平成 8 年 3 月 平成 12 年 5 月 平成 11 年 4 月 平成 13 年 3 月 資料:経済課 - 58 - 基本方針 定住化による地域の活性化等を図るため、移住者等の居住ニーズを受け止める 住宅の整備・確保に努めるとともに、子どもからお年寄りまで、誰もが快適で安 全に暮らすことのできる集落環境の整備・充実に取り組みます。 具体的な取り組み 1 居住ニーズを受け止める住宅の整備・確保 ○定住化の受け皿となる公営住宅の適切な管理を進めるとともに、新たな居住 ニーズや民間住宅の動向等を踏まえた新規整備を検討します。 ○移住者等の居住ニーズに資する空き家の有効利用を促進するため、空家バン クの整備や、家主と借主間の中間的な支援の検討などに取り組みます。 2 集落内生活環境の整備・充実 ○誰もが安全・快適に集落内を移動できるよう、地域と協議しながら、集落内 道路の整備・改良に取り組みます。 ○子どもたちが安全に遊び、また、お年寄りなどが快適に憩うことのできる場 を確保するため、集落内の空き地を活用した遊び、憩い空間の整備を検討し ます。 - 59 - 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える(生活環境) 施策 3-2 集落景観の保全・育成 現状と課題 本村の集落は、その地域特性から、海風や潮の被害を受けやすく、それらから 家屋を守るため周囲を生け垣等で取り囲まれています。これら先人達の知恵が生 み出した福木の屋敷林や石垣などは景観的にも優れ、年月を経た現在も集落内に 落ち着きを与えています。また、聖域空間である御嶽や拝所や集落内の道路沿い などでは地域住民による自主的な緑化・美化活動もみられ、集落内に潤いを与え ています。 しかしながら、近年は集落内に空き地や廃屋が出現し、景観を損ねる原因とな っています。また、住宅新築の際に生け垣や石垣が取り壊されるなど集落の趣き も少しずつ失われつつあり、大きな課題となっています。 こうしたことから、今後、魅力ある集落景観の形成と維持管理に向けて村民と 行政とが連携した取り組みを充実させ、地区ごとの象徴的な景観の保全や個性的 で魅力ある景観の創造に努める必要があります。さらに、より粟国らしく、美し い景観の保全・育成・創造に向けて、総合的かつ計画的な取り組みを進めること が重要であり、そのための計画策定も求められます。 課題の整理 ●村民と行政とが連携した集落 景観の形成と維持管理の充実 ●地区ごとの象徴的な景観の保 全と個性的で魅力ある景観の 創造 ●景観形成に向けた総合的かつ 計画的な取り組みの推進 福木並木や石垣が続く集落内 伝統的な集落景観 空き屋となった伝統的な家屋 - 60 - 基本方針 村民と行政とが連携・協力しながら、集落の清掃・美化活動をはじめとした集 落景観の形成、維持管理に努めるとともに、地区ごとの個性的で魅力ある景観の 創造を図ります。また、より粟国らしく、美しい景観の保全、育成、創造に向け、 (仮称)粟国村景観計画の策定を図ります。 具体的な取り組み 1 村民・行政連携による集落景観の形成、維持管理の充実 ○村民と連携して、地域の聖域空間である御嶽、拝所などを含む緑地の保全や 維持管理、集落内の清掃・美化活動の充実に努めます。 ○空き家の適切な維持管理、有効利用を促進することにより、集落景観の保全 を図ります。 ○先人達から受け継いだ大切な景観要素でもある屋敷林や石垣等の保全・管 理・育成を図ります。 2 個性的で魅力ある景観の保全、育成、創造 ○村民と連携して、地区ごとの魅力ある景観づくり活動を育成するとともに、地 区ごとの象徴的な景観づくりを図るなど、個性的で魅力ある景観の創造に向け た取り組みを図ります。 ○みんなが粟国村の景観のあるべき姿を共有し、それぞれが協力し合って、総合 的・計画的に景観の保全、育成、創造に取り組むことができるよう、(仮称) 粟国村景観計画の策定を図ります。 - 61 - 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える(生活環境) 施策 3-3 道路環境の整備・充実 現状と課題 本村の道路網は、平成 19 年4月1現在、県道1路線、村道 103 路線となってい ます。県道は港湾や役場等の公共施設、並びに3つの集落をむすぶ基幹道路であ り、整備状況は改良率、舗装率ともに 100%となっていますが、道路幅員が狭く、 歩道もないため、大型車両が通行する際には危険な状況となっています。一方、 村道は改良率が 52.4%、舗装率が 65.1%となっており、県内離島における市町村 道平均と比較していずれも下回っています。農道については、土地改良区内も未 舗装が多く一般農道の改良整備は立ち遅れており、農作物の大量運搬や農業機械 の導入等に支障をきたしています。 こうしたなか、現在、島内一周道路(村道)の整備が進められており、その早 期完成に向けて取り組む必要があります。また、既存村道・農道についても、集 落内を中心に改良・舗装を進めるとともに、島内一周道路の整備とあわせた道路 ネットワークの再編・再整備を検討することも求められます。 一方で、安全・快適な道路環境の実現に向け、道路空間の緑化・美化や交通安 全施設の整備、村民の交通安全意識の向上等に取り組むことが求められます。 課題の整理 ●島内一周道路の整備推進 ●既存村道の整備充実 ●道路の緑化・美化 ●交通安全施設の整備 ●村民の交通安全意識・交通マナ ーの向上 一周道路の整備状況 ■道路現況 実延長 粟国村 離島計 改良済延長 改良率 舗装済延長 舗装率 県 道 780m 780m 100.0% 780m 100.0% 村 道 47,627m 24,969m 52.4% 31,013m 65.1% 県 道 427,798m 391,679m 91.6% 422,172m 98.7% 市町村道 2,385,291m 1,320,254m 55.3% 1,739,567m 72.9% 資料:道路施設現況調書 ※平成 19 年4月1日現在 ※舗装済延長および舗装率には簡易舗装を含む - 62 - 基本方針 島内一周道路の整備をはじめとした島内道路ネットワークの整備・充実に取り 組みます。また、村民との連携・協力のもとで道路の状況に応じた緑化・美化や 交通安全対策の充実を図り、誰もが安全で快適に利用することのできる道路環境 の実現に努めます。 具体的な取り組み 1 道路ネットワークの整備・充実 ○島内での移動の利便性向上等を図るため、島内一周道路の早期完成に向けた 取り組みを推進します。 ○また、島内一周道路の整備を踏まえた既存村道ネットワークの再編・再整備 を検討します。 2 快適な道路環境の整備・充実 ○道路の安全性向上や産業振興等に資するよう、村道・農道の整備、改良に取り 組みます。なお、整備にあたっては、道路の状況や自然環境との調和も考慮し ながら進めます。 ○村民と連携・協力しながら、道路空間の緑化・美化に努め、美しく粟国らしい 道路空間の形成を図ります。 3 交通安全対策の推進 ○交通安全施設の整備を進め、誰もが安全に、安心して利用できる道路環境の実 現を図ります。 ○交通安全指導・教育など、村民の交通安全意識や交通マナーの向上を図るため の取り組みを行います。 - 63 - 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える(生活環境) 施策 3-4 上下水道の充実 現状と課題 本村は孤島性の高い離島であるため、水資源に乏しい地域環境にあります。そ のため生活用水は長い間降雨や井戸水を利用してきましたが、昭和 62 年にかん水 淡水化施設(日産 400 )を伴う簡易水道が整備され、平成 15 年度には海水淡水 化施設(600 /日)に変更し、水の安定供給を図っています。しかしながら、 今後は、観光シーズンにおける給水需要の増大や、現在進められている農業集落 排水事業にともなう水需要の増大等も見込まれます。このため、水資源の有効利 用に努めるとともに、海水淡水化施設の能力の拡充を図る必要があります。また、 配水管が昭和 62 年頃に敷設されたものであることから、老朽化による漏水が危惧 され、水道施設の改善、適切な維持管理を推進することが必要です。 下水処理施設については、平成 15 年度までに管路設置、汚水処理施設、資源化 施設を整備しています。しかしながら各家庭への接続が完了しておらず、生活雑 排水が農地を通り海へ放流されている状況もみられます。特に多雨時等には生活 雑排水による地下水や海域汚染、農地へ被害を及ぼしており、その改善が求めら れています。 課題の整理 ●水道施設の整備・拡充と適切な 維持管理 ●水資源の有効利用 ●下水処理施設への接続促進 海水淡水化施設 ■水道状況 人口 (人) 916 給水人口(人) 上水道 簡易水道 計 - 916 916 普及率 (%) 100.0 施設数 上水道 簡易水道 - 1 水源 海水 1日最大給 水量( ) 548 備考 海水淡水化 資料:沖縄県福祉保健部薬務衛生課 ※平成 19 年 11 月 1 日現在 ■農業集落排水事業の実施状況 事業 主体 村 処理対象(実施計画) 集落数 戸数 計画人口 3 382 1,044 総事業費 (千円) 2,293,000 管路 (Km) 15.2 着工年度 竣工年度 H8 H14 供用開始 年度 H13 資料:沖縄県農林水産部農村整備課 ※平成 19 年 11 月 21 日現在 - 64 - 基本方針 将来にわたって安全かつ安定的な水道水を村民に供給するため、水道施設の整 備・拡充と適切な維持管理を進めるとともに、限りある水資源の有効利用に努め ます。また、村民の快適な生活環境の確保、海洋環境の保全等を図るため、下水 処理施設への接続促進、発生汚泥の再資源化を進めます。 具体的な取り組み 1 安全で安定的な水資源の供給 ○老朽配水管の調査・布設替えなどに取り組み、安全で安定的な水道水の供給 を行います。 ○今後見込まれる水需要の増大に対応した海水淡水化施設の能力拡充を図りま す。 ○限りある水資源を有効に利用するため、村民の節水意識の高揚を図りつつ、 雑用水として雨水等の活用を促進します。 2 環境に配慮した下水処理の推進 ○快適で衛生的な生活環境を確保するとともに、地下水や海域の水質保全等を図 るため、下水処理施設への接続の促進に向けた普及啓発活動を行います。 ○循環型社会の構築に資するよう、引き続き、処理場から発生する汚泥の再資源 化を進めます。 - 65 - 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える(生活環境) 施策 3-5 環境衛生の向上 現状と課題 本村のゴミ処理施設は、平成3年度にバッチ式焼却炉を建設し、平成 16 年には 焼却施設構造基準(ダイオキシン類抑制対策等)に適合するための既存施設の改 善を行いました。また、平成 10 年度には埋立容量 15,000 を有する一般廃棄物 最終処分場が整備されています。ゴミ回収については、4種類分別を実施し、空 き缶やペットボトルについてはリサイクルに取り組んでいます。 そうしたなか、不適切なゴミの出し方(分別)や、原野などでの不法投棄がみ られます。今後は、粟国村環境美化条例の普及啓発などを含めたゴミの適正処理 に関する村民意識の向上を図るとともに、ゴミの発生抑制、再資源化に向けた普 及啓発に取り組むことが求められます。一方で、ゴミ回収・処理の有料化や門戸 回収など、合理的・効率的なゴミ回収・処理方法を検討することも必要となって います。その際には、観光客など来島者の排出するゴミもあることから、村民と の公平性の面も含めた総合的な観点からの検討が求められます。 さらに、本村には使用済み車両の処理業者がいないことなどから、放置車両の 処分も大きな課題となっています。平成 18 年度には粟国村放置自動車等防止条例 を制定し、また、平成 18 年度からは離島対策支援事業を実施し、改善が図られて きましたが、今なお放置車両がみられることから、引き続き、上記条例の普及啓 発や事業実施等による放置車両対策・処理に取り組む必要があります。 課題の整理 ●ゴミの適正処理に対する村民 意識の向上 ●ゴミの発生抑制・再資源化の促 進 ●ゴミ回収・処理方法の総合的な 検討 ●放置車両の対策・処理 あぐにクリーンセンター ■一般廃棄物処理実績 平成 17 年度 18 年度 19 年度 収集ゴミ処理実績(t) 施設処理 埋立 その他 120 77 15 107 67 18 110 52 10 計 212 192 172 施設処理 - - - 収集し尿処理実績(kl) 埋立 海洋投入 その他 - - 367 - - 365 - - 200 計 367 365 200 資料:粟国村資料 - 66 - 基本方針 美しく、環境にやさしい島の形成に向けて、ゴミの適正処理の徹底、ゴミの発 生抑制・再資源化に向けた村民の主体的な取り組みの促進を図るとともに、ゴミ 回収・処理法について総合的な観点から検討します。また、放置車両の対策・処 理を推進します。 具体的な取り組み 1 ゴミの適正処理の徹底 ○ゴミ分別の徹底、不法投棄の防止に向け、広報活動の充実や指導の徹底、粟国 村環境美化条例の普及等による村民の意識啓発に取り組みます。 ○ゴミの回収・処理方法について、戸別回収やゴミ処理の有料化など、合理性や 効率性、村民と来島者間の公平性など総合的な観点から検討します。 2 ゴミの発生抑制・再資源化の促進 ○関係課・機関等と連携しながら廃棄物問題やゴミの発生抑制・再資源化の取り 組み事例等の普及・啓発などを行うことで、村民の主体的な取り組みを促進し ます。 3 放置車両対策・処理の推進 ○離島対策支援事業の活用等による放置車両の処理を進めます。 ○放置車両の抑制に向け、広報活動の充実、粟国村放置自動車等防止条例の普及 等による村民の意識向上に取り組みます。 - 67 - 基本方向3 みんなで安全・快適な暮らしを整える(生活環境) 施策 3-6 消防・防災・救急体制の強化 現状と課題 本村は消防本部の非常備化団体であるため、消防組織としては消防団のみで構 成されています。粟国村消防団は昭和 47 年5月に結成され、火災消防作業をはじ め、台風時の災害対策や急患者搬送を行っています。現在、団員は 20 名(うち村 民6人、役場職員 14 人)で、年1回の消防訓練等を行っています。消防活動等に おける基本設備としては、消防ポンプ自動車が 3 台、小型動力ポンプ付水槽車が 1台、消火栓が 24 箇所並びに防水水槽が 4 箇所整備されています(平成 21 年 4 月 1 日現在)が、小型動力ポンプ付水槽車の老朽化が進んでいるなど、設備・資 機材について十分とは言えない状況にあり、その拡充を図る必要があります。あ わせて、村民の防災意識の高揚を図りつつ、総合的・体系的な防災施策の推進を 図るため、地域防災計画の策定も求められます。 救急患者の発生の際には自衛隊のヘリコプターによる搬送を行っており、平成 19 年度では年間8回の急患搬送を行っています。また、近年、急患搬送件数が増 加傾向にあったことなどから、浦添総合病院の救急ヘリ搬送システム(U-PITS) が運航され、平成 20 年 12 月からはドクターヘリとして運航されています。しか しながら、ドクターヘリは安全上の理由から夜間は運航されていないこともあり、 今後とも自衛隊・民間医療機関との連携による救急搬送体制の維持・向上に努め るとともに、村内医療施設・機能の充実・強化も求められます。 課題の整理 ●消防用設備・資機材の拡充 ●村民の防災意識の高揚 ●地域防災計画の策定 ●関係機関との連携による救急 搬送体制の維持・向上 ●消防団・村内医療施設の充実・ 強化 陸上自衛隊の協力による搬送 ■自衛隊による急患搬送状況 平成 15 年度 平成 16 年度 回 数 17 18 患者数 17 18 平成 17 年度 15 15 平成 18 年度 8 8 ※「医師等」とは、医師、医介輔、看護師、准看護師、保健師及び助産師のことである。 ※「添乗率」とは、1件に対する医師等の添乗する割合である。 - 68 - 平成 19 年度 8 8 資料:離島関係資料 基本方針 村民が安心して暮らし続けることができるよう、消防用設備・資機材の拡充や 村民の防災意識の高揚など消防・防災体制の充実・強化を図るとともに、救急搬 送の維持・向上、村内医療施設・機能の充実・強化に努めます。 具体的な取り組み 1 消防・防災体制の充実・強化 ○消防用設備・資機材の拡充と適切な維持管理を行います。 ○村民の防災意識の高揚に向けた啓発活動を行い、地域防災力の強化を図りま す。 ○計画的な災害予防対策や災害時に備えた円滑な避難誘導等の対策を図るため、 粟国村地域防災計画の策定に取り組みます。 ○消防団活動に関する村民の理解を深めながら、消防広域化の動向も踏まえつつ 専門人材の確保を図るなど、消防団の体制強化に努めます。 2 救急医療体制の維持・向上 ○離島という地理的条件の中で、村民の暮らしの安心感をより高めていくため に、自衛隊や医療機関との連携強化を図り、救急搬送体制の維持・向上に努め ます。 ○一方で、村内医療施設の設備・機能の充実・強化と専門人材の確保を促します。 - 69 - 捨て頁 「ナビィの家」 [昔の家だから]/仲原功さん ※粟国村立中学校 3年生(卒業生)による「美しい、いつまでも残したい 粟国島」の写真展(平成 22 年 3 月 14 日(日) )より - 70 - 基本方向4 み ん な で 誇りと愛着の持てる人間力を育む ~教育文化~ 施策 4-1 幼稚園・学校教育の充実 みんなでたくましい子どもたちを育てる 施策 4-2 生涯学習・スポーツ・レクリエーションの振興 一人ひとりの生きがいをつくる 施策 4-3 地域文化の振興 粟国の誇りや財産をみんなで受け継ぐ 施策 4-4 交流活動の充実 交流によって視野を広げる - 71 - 本村の子どもたちは海に囲まれた島の自然や風土、 マースヤー等の伝統行事等を通して感性を育んでお り、素朴で純粋にのびのびと成長しています。しかし、 離島という地理的環境において、教育環境の弱さや他 地域との交流機会の少なさなどから、子どもたちの 「競争力」や「覇気」についての不安の声も上がって います。 高校進学に伴い親元を離れなくてはならない「15 の旅立ち」もまた、離島村ならではの宿命であり、課 題でもあります。 その「15の旅立ち」に向けて、より一層、家庭・ 地域・学校・行政が連携し、地域全体で未来を担う子 どもたちを育てていくことが重要です。さらに、島に 誇りや愛着をもつ子どもたちを育てていくためにも、 先人たちから受け継いできた知恵や技、伝統行事等を 子どもたちに継承していくことも大切です。 一方、人生 80 年の時代を迎え、幼少期、青年期、壮 年期、高齢期等の様々な場面や状況のなかで、人は交 流し、学習を深めていきます。そのなかで蓄えられる 知識や知恵は、あらゆる場面で役立ち、輝きをもちま す。 夢や希望に満ちた未来の粟国村をつくるため、村民 が先人たちから受け継いできた「トゥージ」の精神を 再起し、地域全体で子どもたちの成長を支えることが 大切です。そうすることで、子どもたちを見守る大人 たち自身もふるさとに誇りと愛着を深め、人間力を高 めていけるような地域社会の実現を目指します。 *むらづくりの「トゥージ」の精神 トゥージづくりのように、たくさんの人が協力し合い、助け合っていこうという考え方。 粟国村の文化的財産であるトゥージは、一人でつくることは大変困難であり、一つのトゥージをつくるためにはたくさん の人々が協力し合ってきました。トゥージづくりは粟国村に特化した文化です。 - 72 - 教育文化 10 年間のむらづくり実践目標 ¥ 自 然 ・ひと・暮 らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 むらづくりの基本方向4 みんなで誇りと愛着の持てる人間力を育む 施策 4-1 幼稚園・学校教育の充実 みんなでたくましい 子どもたちを育てる 施策 4-2 生涯学習・ スポーツ・レクリエーションの振興 一人ひとりの生きがいをつくる 施策 4-3 地域文化の振興 粟国の誇りや財産を みんなで受け継ぐ 施策 4-4 交流活動の充実 交流によって視野を広げる - 73 - 基本方向4 みんなで誇りと愛着を持つ人間力を育む(教育文化) 施策 4-1 幼稚園・学校教育の充実 現状と課題 本村の学校教育は、 「豊かな心を持ち、自分で考え、進んで学習する子」の育成 を目標に掲げ、幼児・児童生徒の生きる力を育んでいます。また、本村の未来を 担う人材の育成を図る上でとても重要です。 本村は幼稚園、小学校、中学校の併置校で、平成 21 年度の幼児・児童生徒数は 幼稚園 19 人、小学校 50 人、中学校 25 人の計 94 人となっています。幼児・児童 生徒数は、ほぼ横這い状態で推移しているものの、長期的にみると減少傾向にあ ります。 授業時数の確保等から、平成 18 年度から2学期制を導入し、子どもたちの学力 向上対策に取り組んでいますが、より一層、子どもたちの学力の定着などに取り 組む必要があります。また、総合的な学習の時間では、本村特有の伝統文化の体 験学習にも力を入れており、本村への誇りや愛着を育んでいます。今後とも、伝 統的な「校訓」、「勤勉進取」のもと、充実した取り組みを進めていくことが必要 です。 一方、本村の幼稚園及び小中学校の建物は本土復帰前後に建築され、老朽化が 進んでいます。子どもたちが安心・安全に勉学に励むためにも、園舎・学校舎の 早急な新改築が求められています。 さらに、少子高齢化や核家族化の進行、情報通信技術の高度化など、子どもた ちを取り巻く環境は大きく変化しつつあり、今後とも家庭-地域-学校-行政の連携 を強化し、地域全体で子どもたちを見守り、育ててゆく教育環境の充実を図るこ とも重要です。 課題の整理 ●学力の向上 ●郷土学習の充実 ●園舎・学校舎の老朽化 ●家庭や地域との連携強化 学校全景 ■幼児・児童生徒数の推移 幼稚園 小学校 中学校 平成 16 年 17 54 24 平成 17 年 19 57 27 単位:人 平成 18 年 19 60 22 平成 19 年 18 55 23 平成 20 年 21 56 19 平成 21 年 19 50 25 資料:粟国村教育委員会より - 74 - 基本方針 子どもたちの学力や生きる力の向上を図るため、教育内容の充実を図るととも に、家庭や地域との連携を強化し、地域全体で子どもたちを見守る教育環境づく りを進めます。また、子どもたちがのびのびと学習できる教育施設の整備を図り ます。 具体的な取り組み 1 教育内容の充実 ○幼児一人ひとりの個性を伸ばし、「心豊かで思いやりのある子」の育成を目指 した幼児教育を推進します。 ○全国平均レベルの学力を身につけるため、学力向上対策を推進します。 ○「15の旅立ち」に伴い、自立できる子どもを育てるための「粟国教育プログ ラム」の充実を図ります。 ○島の自然や伝統文化及び産業を活かした郷土学習・体験学習に取り組みます。 ○読書活動等の充実を図り、自ら学ぶ児童生徒の育成を図ります。 2 教育施設の整備 ○老朽化した園舎・学校舎の新改築等により、子どもたちがのびのびと学習でき る教育環境づくりに取り組みます。 ○教材・備品・遊具等の点検充実を図ります。 3 子どもたちを取り巻く教育環境づくりの推進 ○幼稚園・保育所に対する住民ニーズや効果的な運営など、総合的な観点から、 幼保一元化の推進を検討します。 ○家庭・地域・学校・行政の相互連携により、地域全体で子どもたちを育成する 環境の充実を図ります。 ○育英資金を活用し、子どもたちの進学の支援に努めます。 ○家庭や地域に開かれた学校づくりに取り組みます。 - 75 - 基本方向4 みんなで誇りと愛着を持つ人間力を育む(教育文化) 施策 4-2 生涯学習・スポーツ・レクリエーションの振興 現状と課題 生活水準の向上や余暇時間の増大、高齢化の進行などの社会の変化に伴い、学 習内容の多様化が進むなど、生涯学習やスポーツ・レクリエーションに対するニ ーズが高まっています。 本村の生涯学習活動は、村民一人ひとりの自己啓発及び生きがいづくりを推進 する上でとても重要であり、島の自然を活かした野鳥観察会や星空教室など、村 民自らが創り上げてきた自発的な活動に取り組んできました。今後とも生涯学習 活動の充実を図ることが必要です。また、社会教育学級・講座や公民館講座の開 設等により、村民の自発的な生涯学習活動を支援しています。しかし、村民の生 涯学習活動拠点の一つである中央公民館内の図書室では、貸出管理体制の確立や 蔵書の充実等が求められています。 村民の健康志向や高齢者の生きがいづくり等の観点から、スポーツ・レクリエ ーションの意義が再認識されつつありますが、スポーツ・レクリエーション活動 等の機会が少ないという声もあります。そのため、村民スポーツ大会の開催や気 軽にできるスポーツ・レクリエーション活動の促進等、スポーツ・レクリエーシ ョン活動の振興を図ることが重要です。 今後は、本村の地域性や特性を考慮した上での活動拠点づくりや、各種活動を 通した島外交流機会の創出、村民ニーズに対応した体制づくり等を進めていくこ とが必要です。 課題の整理 ●住民ニーズに対応した生涯学 習体制の確立 ●スポーツ・レクリエーション活 動の振興 ●村内既存施設の充実・活用 ●各種活動を通した島外交流機 会の創出 中央公民館 - 76 - 基本方針 多様な村民ニーズに対応した生涯学習活動の充実を図るとともに、生きがいや 健康づくりのためのスポーツ・レクリエーション活動の振興に取り組みます。ま た、村民ニーズに応える体制づくりや活動拠点の確保に努め、村民一人ひとりが いきいきと暮らせるむらづくりを推進します。 具体的な取り組み 1 生涯学習活動の充実 ○村民の自発的な生涯学習活動を支援していくため、社会教育学級・講座や公民 館講座等村民ニーズに応じた学習内容の充実に努めます。 ○生涯学習活動を通して、村の歴史・文化的財産の継承を図ります。 ○学習情報が広く村民に周知できるよう、広報誌やホームページ等を活用した情 報提供の充実を図ります。 2 スポーツ・レクリエーション活動の振興 ○村民の生きがいや健康づくりのため、スポーツ・レクリエーション活動の場や 機会の創出を図ります。 ○スポーツ大会等の開催により、村民の自発的なスポーツ・レクリエーション活 動を促します。 ○スポーツ・レクリエーション活動を通して、島外との交流に取り組みます。 3 村民のニーズに応える体制づくりの推進 ○地域に根差した学習活動等を展開するため、地域人材の発掘やリーダーの養成 を図り、村民ニーズに応じた体制づくりに努めます。 ○人材活用や体験学習等の観点から、学校と各種団体等の連携を図ります。 4 活動拠点の確保・充実 ○既存施設の管理運営を工夫し、子どもからお年寄りまで利用可能な活動拠点と して活用します。 ○中央公民館内の図書室と学校図書館の連携を図り、蔵書の充実や貸出管理体制 の充実に努めます。 ○村民が気軽に利用できるインターネットの環境整備を検討します。 - 77 - 基本方向4 みんなで誇りと愛着を持つ人間力を育む(教育文化) 施策 4-3 地域文化の振興 現状と課題 本村では、島の風土と先人たちの創意工夫によりマースヤー等の特徴ある地域 文化が形成されてきました。また、琉球民謡の「むんじゅる節」は本村発祥であ ると伝えられています。これら先人から受け継がれてきた有形・無形の地域文化 は、現在も村民の生活と深い関わりを持っており、村民の誇りを受け継ぐ上でと ても重要な役割を果たしています。 指定文化財としては、県指定天然記念物1件(字西の御願の植物群落) 、村指定 天然記念物2件(松尾御嶽のイタジイの木、照喜名原のモンパの木の群落) 、村指 定史跡1件(番屋跡) 、村指定名勝2件(番屋原の広場景勝地、板木那海岸景勝地)、 村指定無形文化財1件(むんじゅる節)その他埋蔵文化財が13箇所あります。 これらの文化財等は村民共有の財産であり、今後とも豊かな村民生活を築いてい くために、文化財等の保全・活用並びに継承・発展が重要です。 また、現在ふるさと資料館においては民具の展示を行っており、村民や来訪者 に本村の歴史・文化を発信していますが、民具の展示・保存方法等は今後の検討 課題ともなっています。さらに、村内の数多い民話が、 「粟国島の民話」として発 刊され広く活用されていますが、語り手の減少により、民話の録音や写真等の資 料を保存(デジタル化)すること等が緊急の課題となっています。 課題の整理 ●文化財の保全・活用 ●伝統文化の保存・継承・発展 ●ふるさと資料館の充実 ●歴史・文化活動の発信 マースヤー ■本村の指定文化財 指定機関 県 村 村 村 村 村 村 名称 字西の御願の植物群落 番屋跡 番屋原の広場景勝地 坂木那海岸景勝地 松尾御嶽のイタジイの木 照喜名原のモンパの木の群落 むんじゅる節 ※平成 21 年 11 月 25 日現在 指定年月日 昭 55.4.30 昭 59.9.14 昭 59.9.14 昭 59.9.14 昭 59.9.14 昭 59.9.14 平 21.11.25 種別 天然記念物 史跡 名勝 名勝 天然記念物(植物) 天然記念物(植物) 無形文化財 資料:教育委員会より - 78 - 基本方針 本村特有の歴史的・文化的財産の保全・活用を図るとともに、伝統文化の振興 や情報発信に取り組むことにより、村民一人ひとりが本村への誇りと愛着を深め、 自らの誇りを子孫に受け継ぐむらづくりを推進します。 具体的な取り組み 1 文化財等の調査及び保全・活用 ○未指定文化財等の記録、資料収集等の調査活動を推進するとともに、未指定文 化財の文化財指定に取り組みます。 ○埋蔵文化財の調査を推進します。 ○文化財の保全・活用を図り、文化財マップの更新などにより、ふるさと再発見 の理解・啓発に取り組みます。 2 伝統文化の継承・振興 ○伝統行事への村民の積極的な参加を促し、継承者の育成や行事の振興を図りま す。 ○学校教育と連携しながら郷土学習に取り組み、未来を担う子どもたちに歴史・ 文化の継承及び振興を図ります。 ○本村の数多い民話を録音・写真等により保存するとともに、語り手の育成に努 めます。 3 歴史・伝統・文化の発信 ○多くの人に本村特有の歴史・文化を発信するため、ふるさと資料館の充実・活 用を図ります。 ○「マースヤー」等の伝統行事・芸能等の継承を図り、村内外へ広く発信・PR するため、発表の場づくりを進めます。 - 79 - 基本方向4 みんなで誇りと愛着を持つ人間力を育む(教育文化) 施策 4-4 交流活動の充実 現状と課題 本村での生活及び生産活動は常に島外との関わりで成り立っており、他方面に わたる交流の経験は、村民一人ひとりの資質の向上及び生きがいづくりにつなが るだけでなく、未来の粟国を担う人材の育成にも大きく寄与します。 また、世代間交流も含めて地域の方々と触れ合うことは、地域コミュニティの 形成や子どもたちの情操教育及び歴史・文化の継承にもつながります。 本村は渡名喜村、座間味村、渡嘉敷村等とともに、県都那覇市を基点とする近 海離島であり、地理的環境が似ていることからむらづくりにおいても共通の課題 が多く、今後とも地域間の交流を深めていくことが重要です。 本村では以前、北海道の幌延町との交流活動に取り組んでいましたが、平成 11 年に粟国中学校の生徒が幌延町を訪れたのを最後に、それ以降の交流はおこなわ れていません。 そのため、児童生徒をはじめ村民レベルで交流する機会の創出や、島外からの 団体を受け入れる体制づくり等、県内外との交流を促進することが必要です。 また、国際化が急速に進む現代において、本村では国際交流・協力の機会が極 端に少なく、児童生徒も含めた村民の国際社会への適応等が懸念されます。今後 とも児童生徒のホームスティ等による交流機会の創出等の取り組みが必要です。 課題の整理 ●村内交流の促進 ●近隣離島との交流の推進 ●県内外との交流機会の創出 ●国際交流の機会の創出 ●団体等の受け入れ体制づくり ホームスティの様子 - 80 - 基本方針 世代間交流等の村内交流を促進し、地域のつながりを深めるむらづくりを進め ます。また、県内外を問わず、児童生徒をはじめ村民レベルでの交流機会の創出 や、島外からの団体等を受け入れる体制づくりにより、異文化を受け入れる幅広 い視野を持った人材育成に努めます。 具体的な取り組み 1 村内交流の促進 ○世代間交流の促進により、子どもの情操教育や歴史・文化の継承及び地域コミ ュニティの強化を図ります。 2 県内外交流の促進 ○周辺離島との交流を推進し、共通の課題解決等を通して、相互の振興・発展に 取り組みます。 ○県内外の児童生徒との交流機会づくりに努め、さらに児童生徒を通した地域間 交流を促します。 ○島外から来た団体等の受け入れ体制づくりを促します。 3 国際交流の促進 ○児童生徒のホームスティ等による国際交流活動の拡充に努め、国際的な視野を 持った子どもたちの育成を促進します。 - 81 - 捨て頁 「反射する湖」 [大正池で撮った写真です。湖に映る木がとてもきれいです。]/仲間雄二さん ※粟国村立中学校 3年生(卒業生)による「美しい、いつまでも残したい 粟国島」の写真展(平成 22 年 3 月 14 日(日) )より - 82 - 基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く ~健康福祉~ 施策 5-1 保健・医療の拡充 健康で安心して暮らせる 保健・医療サービスを進める 施策 5-2 高齢者支援の推進 いきいきと暮らし続ける 長寿のむらを実現する 施策 5-3 子育て環境の充実 安心して子育てできる環境をつくる 施策 5-4 障がい者(児)への支援 障がい者をみんなで支え合う 施策 5-5 社会保障制度の適正な運用 生涯にわたって安心を享受する 仕組みを推進する 施策 5-6 地域福祉の推進 ともに支えあう地域社会を継承する - 83 - 本村は、3 人に 1 人以上が 65 歳以上と県内で高齢 者の割合が最も高く、全国に先駆けて超高齢社会が到 来するとともに、少子化も進行しています。 少子超高齢社会の実態に即した保健・医療・福祉サ ービスの充実が求められます。しかしながら、サービ ス等の資源が限られる本村においては、保健福祉のあ り方をみんなで考えて、みんなで工夫しながら、行動 していかなければなりません。 島の先人達は、「トゥージ」づくりに象徴される相 互扶助の精神をもって、厳しい時代を乗り越えてきま した。 このような時代だからこそ、私たちは、先人達の精 神に習って、みんなで支え合う地域社会を再構築して いきます。そのため、高齢者や障がい者、子育て世帯、 ひとり親世帯など、この島で暮らす一人ひとりが島を 支える一員として自覚し、心がかよう地域福祉のむら づくりに参加して取り組むことが重要です。 そのために、私たちは、みんなで支え合う地域社会 を継承し、誰もが健康で安心して暮らし続けることの できる健康長寿の島をめざします。 *むらづくりの「トゥージ」の精神 トゥージづくりのように、たくさんの人が協力し合い、助け合っていこうという考え方。 粟国村の文化的財産であるトゥージは、一人でつくることは大変困難であり、一つのトゥージをつくるためにはたくさん の人々が協力し合ってきました。トゥージづくりは粟国村に特化した文化です。 - 84 - 健康福祉 10 年間のむらづくり実践目標 自 然 ・ひと・暮 らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 むらづくりの基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く 施策 5-1 保健・医療の拡充 健やかで安心して暮らせる 保健・医療サービスを進める 施策 5-3 子育て環境の充実 安心して子育てできる 環境をつくる 施策 5-2 高齢者支援の推進 いきいきと暮らし続ける 長寿のむらを実現する 施策 5-4 障がい者(児)への支援 障がい者をみんなで 支え合う 施策 5-5 社会保障制度の適正な運用 生涯にわたって安心を 享受する仕組みを推進する 施策 5-6 地域福祉の推進 ともに支えあう 地域社会を継承する - 85 - 基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く(健康福祉) 施策 5-1 保健・医療の拡充 現状と課題 島しょである粟国村において保健や医療の拡充は、村民の健やかな生活及び来 訪者の余暇・保養の基盤として重要です。 現在、医療施設としては県立診療所が設置され、医師1人、看護師1人、事務 職1人が常勤し、村民等の診療や健康増進にあたっています。一方、診療所の医 療機器や医療情報システム、ドクターヘリによる急患搬送など、いまだ地域格差 は大きく、沖縄本島への通院や入院等のニーズに対応した環境づくりが必要です。 本県は長寿県として知られていますが、近年においては、車社会の浸透や食生 活の欧米化等、生活習慣の大きな変化に伴い、生活習慣病の増加がみられ、長寿 県として危ぶまれています。本村も同様の傾向になっており、村民の不規則な食 生活や運動不足等による生活習慣病の増加がみられることから、村民の健康づく りを進めていくことが重要となっています。 国民健康保険制度については、村民の健康や介護予防を支え、安定的な医療の 確保を図るため、その普及に努めてきました。その結果、国民健康保険の納税率 は 9 割台と高い状況にあります。しかしながら、超高齢社会が到来した本村にお いて、高齢者の医療費の抑制が課題となっています。今後とも、制度に対する村 民の理解促進に努めるとともに、疾病を未然に防ぐ取り組みを拡充していくこと が求められます。 課題の整理 ●安定した保健・医療の確保 ●若者の健康づくり関する意識 の向上 ●身近で気軽にできる健康づく りの推進と環境づくりの充実 ●国民健康保険の納税率の維 持・向上 県立粟国診療所 - 86 - 基本方針 村民一人ひとりが安心して健やかな生活を営むことができるよう、医療機関と の連携のもと、安定的で迅速な医療の拡充に努めます。また、生活習慣病などの 疾病を未然に防ぐために、保健指導を強化するとともに、国民健康保険制度の円 滑な運用に取り組みます。 具体的な取り組み 1 安定的な医療の拡充 ○良質な医療サービスの確保を図るため、県立粟国診療所との連携強化を促進し ます。 ○いつでも迅速かつ適切な処置が行えるよう、診療所搬送先となる病院との連携 強化の促進等、救急医療体制の充実に努めます。 2 健康づくりの推進 ○村民の健康管理や健康増進を図るため、 「(仮称)粟国村健康づくり 21」を策 定します。 ○「保健だより」等の広報を通して、健康づくりの普及・啓発を進めるととも に、特定健康診査※1・特定保健指導及び予防接種等に取り組み、疾病の早期 発見・治療に努めます。 ○村民が気軽に健康に関する相談できるよう、民生委員や保健師等の人材の充 実・確保に努めます。 ○海辺の遊歩道等を活用した健康ウォーキングマップの作成やイベントの実施 等、村民が気軽に楽しみながら健康づくりができる環境づくりに努めます。 3 国民健康保険制度の円滑な運用 ○国民健康保険事業の健全な運用を図るため、国保制度に対する村民の理解や意 識の高揚を図ります。 ※1:特定健康検査 40~74 歳の国民健康保険加入者等を対象とした糖尿病や高脂血症、高尿酸血症等の生活習慣予防の発症や 重傷化を予防する目的として、メタボリックシンドロームに着目し、この該当者及び予備群を減少させるための特定保健指 導を必要とするものを的確に抽出するために行うもの。 - 87 - 基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く(健康福祉) 施策 5-2 高齢者支援の推進 現状と課題 平成 20 年現在、本村における 65 歳以上の人口は全体の4割弱を占め、県内で も上位を占めており、超高齢社会を迎えています。その高齢者のうち、75 歳以上 の後期高齢者は約3分の2を占め、増加傾向となっています。同時に、介護支援 を必要とする高齢者も増えており、超高齢社会への対応は本村の重要な課題です。 全国的に高齢化が進展するなかで、平成 12 年 4 月に開始された介護保険制度に ついて、平成 17 年度に制度改正が行われ、介護予防の重要性が改めて強く謳われ ています。さらに、「地域包括支援センター」の創設をはじめ、「予防給付」の導 入、 「介護予防サービス」の新設、 「地域密着型サービス」の創設が図られるなど、 大幅な見直しが行われました。本村では、介護保険制度をより効率的に運用する ため、沖縄県介護保険広域連合に参画していますが、介護保険制度の改正に伴い、 本村としての主体的な対応や取り組みが求められています。 本村では、第5期となる「粟国村高齢者保健福祉計画」を平成 21 年 3 月に策定 し、高齢者の実態把握や介護予防教室の開催をはじめ、地域包括支援センターを 中心に民生委員・児童委員、保健師、区長等との連携による高齢者に関する相談 等、包括的な支援等を行っています。今後とも、高齢者が健康で充実した生活を 過ごせるよう、介護予防の推進や地域に密着した介護サービス等の提供に努める ことが必要です。さらに、高齢者の社会参加や生きがいづくりに取り組んでいく ことも重要です。 課題の整理 ●高齢者の実態把握及び介護予防の 推進 ●地域包括支援センターを中心とし た高齢者等の総合相談体制の確立 ●地域に密着した介護サービスなど の提供 ●高齢者の社会参加や生きがいづく りの推進 - 88 - 介護予防教室 基本方針 高齢者の誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、介護予防を 重視するとともに、地域で支え合う仕組みづくりに取り組みます。また、高齢者 自身が地域を支える一員として社会参加や生きがいづくりにつながる取り組み を推進します。 具体的な取り組み 1 長寿を支える介護予防の推進 ○高齢者が自立した生活を過ごせるよう、高齢者の実態把握や通所型・訪問型の 各種介護予防事業の実施を図るとともに、参加の促進に努めます。 ○特別養護老人ホームあぐにで実施しているデイサービス等を利用して、介護予 防に関する普及・啓発を図ります。 2 地域に密着した介護サービス等の提供 ○地域包括支援センターを軸とし、民生委員、保健師、区長等との連携した相談 体制の確立に取り組むとともに、福祉法人や社会福祉協議会等と連携・協力し ながら、地域に密着した介護サービス等の提供に努めます。 ○沖縄県後期高齢者医療広域連合が運営する後期高齢者医療制度のもとで、村内 の高齢者が安心して医療を受けられるよう支援します。 3 社会参加や生きがいづくりの推進 ○地域のミニデイサービスや学校等と連携した世代間交流をはじめ、高齢者のニ ーズに即した趣味・スポーツ等の活動充実など、社会参加や生きがいづくりを 推進します。 ○高齢者の生きがい活動を支援するため、老人クラブ活動の活性化に努めます。 - 89 - 基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く(健康福祉) 施策 5-3 子育て環境の充実 現状と課題 全国的に、子どもたちが生まれ育つ家庭環境や地域社会が大きく変容するなか で、出生率の低下による少子化が課題となっています。 本村においても長期的には少子化が進行しており、子どもを安心して産み・育 てることのできる環境づくりをはじめ、家庭や地域における子育て力の向上や共 働きの子育て家庭に対する支援等が求められています。 本村では、平成 17 年 3 月に策定した「粟国村 むんじゅるの里 子育てプラン (粟国村次世代育成支援行動計画) 」を平成 21 年度に見直し(後期計画の策定) 、 すべての子育て家庭を支えるため、行政・村民が一緒となって総合的な子育て環 境の整備を目指しています。その実現にむけて、本村は社会福祉協議会や母子保 健推進員、民生委員・児童委員等と連携を図りながら、妊婦・出産・育児等の訪 問指導、児童虐待防止に取り組んでいます。また、延長保育や村立幼稚園での預 かり保育の実施、乳幼児医療費の出産準備金の助成、妊婦検診時のフェリー代の 助成等を行っています。 今後とも、安心して出産や育児ができ、次世代を担う子どもたちがのびのびと 育つよう、村民が参加できる各種子育て支援の充実を図っていく必要があります。 課題の整理 ●安心して出産や子育てできる環境づ くりの推進 ●家庭や地域における子育て力の向上 ●母子の健康づくりの支援・充実 ●共働きの子育て世帯やひとり親世帯 への支援 乳幼児学級 - 90 - 基本方針 地域や関連機関と連携・協力しながら、地域による子育て環境づくり・体制づ くりに取り組むとともに、母子の健康づくりに関する支援に努めます。また、共 働き世帯やひとり親世帯を支援するため、保育サービスの拡充やひとり親世帯を 支える活動を促進します。 具体的な取り組み 1 地域による子育て支援 ○「後期次世代育成支援行動計画」の策定を踏まえ、関連課や地域及び社会福 祉協議会等の関連機関との連携体制の構築に努めます。 ○子育ての親の育児不安等の解消を図るため、子育て経験者などが保護者に相 談や助言を行う「子育てサポーター」を検討し、地域による子育て支援を推 進します。 ○子育て世帯や地域住民等の交流を促す、ゆんたく広場の開催等を検討します。 2 母子保健の充実 ○妊産婦健診や乳幼児健診等の充実を図り、母子の健康管理や疾病等の早期発 見等に努めます。 ○乳幼児の医療費助成等の充実に努めます。 3 保育サービスの拡充 ○共働きの親が安心して働けるよう、乳幼児保育等の保育ニーズに応じた保育 サービスの拡充に努めます。 4 ひとり親世帯を支える活動の促進 ○粟国村社会福祉協議会との連携を図り、ひとり親世帯を支える活動支援を促 します。 - 91 - 基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く(健康福祉) 施策 5-4 障がい者(児)への支援 現状と課題 平成 20 年 3 月末における本村の障がい者手帳所持者は 136 人であり、人口に占 める障がい者手帳所持者の割合は 16.1%となっています。障がい者手帳所持者の うち、身体障がい者が 120 人と多く、次いで知的障がい者 13 人、精神障がい者 3 人となっています。 平成 18 年 10 月から障害者自立支援法が施行され、障害の種別に関係なく共通 の福祉サービスを自らの意志で選択できるようになりました。 本村では、第2期となる「粟国村障害者計画及び障害福祉計画」を平成 21 年 3 月に策定し、障害者自立支援法に基づく各種サービスの展開をはじめ、教育や住 宅、就労等の幅広い分野に関する支援を位置づけています。一方で、本村は地理 的条件等からサービス提供事業者の参入が難しいため、サービス提供体制が十分 に整っていない状況にあります。そのため、村社会福祉協議会やサービス提供事 業所等の地域資源を活用した在宅福祉サービスの展開が必要です。また、障がい のある人の地域生活を支援するために、民生委員・児童委員や地域、学校、診療 所、その他関係機関等がそれぞれの専門的な立場で関わりながら、連携・協力等 による障がい者を支援するネットワークの構築も重要です。 さらに、村民の誰もが住みよい環境づくりを拡充していくためにも、公共施設 等のバリアフリー化が求められています。また、障がい者が気軽に社会参加でき る機会の充実も大切です。 課題の整理 ●障がい者(児)を支える体制づくり ●障がい者(児)に対する理解の促進 ●地域資源を活用した在宅福祉サー ビス等の支援・充実 ●誰もが住みよい環境づくりや障が い者の社会参加の促進 - 92 - 基本方針 障がい者(児)が住み慣れた地域で暮らし続けるために、障がい者を支える体 制づくりや障がい者(児)への理解を促進するとともに、早期発見・早期対応や 在宅生活等を支えるサービスの充実等の日常生活に対する支援を図ります。ま た、障害の有無に関わらず、誰もが住みよい環境づくりや障がい者の就労支援に 努めます。 具体的な取り組み 1 障がい者を支える体制づくりと障がい者(児)への理解の促進 ○地域福祉ネットワークの構築を図るため、(仮称)粟国村障害者自立支援協 議会を設置します。 ○障がい者福祉に対する理解を図るため、学校教育での福祉教育の推進、地域 行事等の交流の場の促進、ボランティア養成講座の開催等に努めます。 2 日常生活に対する支援の充実 ○診療所等の関係機関との連携のもと、障害の予防及び早期発見・早期対応を 図ります。 ○障がいのある子どもはもとより、気になる子に対する受け入れ体制や特別支 援教室等の保育・教育の推進に努めます。 ○障がい者等の在宅生活・日中活動等を支援するため、自立支援法に基づく障 害福祉サービスの充実に努めるとともに、地域生活支援事業の充実を図りま す。 3 誰もが暮らしやすい環境整備と障がい者への就労支援 ○公共性の高い建築物や道路の新設等については、段差解消や手すりの設置等 の環境整備に努めます。 ○障がい者の自らの意志で積極的に参加していくことができるよう、役場など の公的機関・施設や創作活動または生産活動の機会等を提供し、就労支援と 雇用の促進に努めます。 - 93 - 基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く(健康福祉) 施策 5-5 社会保障制度の適切な運用 現状と課題 本村における平成 20 年度の生活保護の状況をみると、被保護世帯数 26 世帯、 被保護人員 41 人、保護率 48.35‰(パーミル)※1となっており、県平均(17.44‰) や南部管内平均(11.42‰)よりも高い割合となっています。また、平成 15 年度 と比較すると、保護率で 15.56 ポイント増加している状況であり、今後とも、生 活保護世帯の自立した社会生活への支援を図る必要があります。 一方、国民年金業務は、地方分権一括法によって、国と市町村の役割分担が図 られ、平成 14 年度以降、資格の所得・喪失届出、保険料の免除申請、年金給付裁 定請求等の受理や社会保険事務所への送付が市町村の主な業務となりました。 本村の国民年金の状況は、平成 20 年の被保険者数 203 人であり、収納率 23.9% となっており、平成 16 年と比べると、収納率は低下しています。 今後とも、老後等の安定した生活が暮らせるよう、国民年金の納付率向上を図 るとともに、未加入者の加入を促すことが必要です。 課題の整理 ●生活保護世帯等への自立支援 ●国民年金の収納率の向上 ■国民年金の状況 ■生活保護の状況 粟国村 世帯数 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 平成 19 年 平成 20 年 23 25 25 23 22 26 人数 30 33 36 31 30 41 保護率 (‰) 32.79 36.07 40.40 34.23 34.54 48.35 南部管内 平均 保護率 (‰) 7.63 8.40 9.81 9.90 10.32 11.42 沖縄県 平均 保護率 (‰) 14.08 14.55 15.48 15.48 16.69 17.44 資料:沖縄県南部福祉保健所 ※1:‰(パーミル) 千分率。1,000 分の幾つであるかを表す言葉。 - 94 - 各年3月末現在 被保険 収納率 者数 (%) 平成 16 年 205 55.5 平成 17 年 206 51.8 平成 18 年 208 33.4 平成 19 年 189 32.0 平成 20 年 203 23.9 資料:那覇社会保険事務所 基本方針 生活保護世帯等の社会的支援を必要とする世帯に適切な支援を図るとともに、 老後等の安定した生活が過ごせるよう、国民年金制度の円滑な運用に取り組みま す。 具体的な取り組み 1 生活保護世帯等への支援 ○生活困窮世帯等の実態把握に努め、適切な支援を図ります。 ○生活保護世帯等の自立にむけた相談支援の充実を図ります。 2 国民年金制度の適切な運用 ○国民年金制度の広報活動を図り、制度の普及に努めます。 - 95 - 基本方向5 みんなで支え合い、健康で安心した暮らしを築く(健康福祉) 施策 5-6 地域福祉の推進 現状と課題 本村は、離島という条件にありながらも、マースヤー等の特徴的な伝統文化が 根付いていていることもあって、村民同士による助け合いや交流が残っています。 しかしながら、近年、地域の連帯感や相互扶助意識の希薄化もみられます。 充実した地域コミュニティは、健全で人にやさしいむらづくりを進める上で重 要な役割を担う大切な社会基盤であり、地域住民による主体的な福祉活動への参 画がより一層重要となっています。 本村では、地域福祉活動の中核となる社会福祉協議会等が地域に根ざした活動 を実施し、村民の自主的な福祉活動を支援していますが、高齢化や過疎化等によ り、民生委員・児童委員等の人材確保やボランティア組織の育成等は厳しい状況 にあります。今後とも、村社会福祉協議会との連携のもと、地域福祉の充実にむ けて、各種取り組みを推進していく必要があります。 村内には、3集落(字(あざ) )やさらに組(クミ)といった地域コミュニティを はじめ、老人クラブや婦人会等の各種団体等が組織され、自主的な活動を展開し ており、むらづくりの様々な場面においても貢献しています。今後とも地域連帯 の意識づくりを進めていくとともに、より一層のコミュニティ活動の充実に努め ていく必要があります。一方で、近年では、災害時対策やひとり暮らし家庭への 支援として、地域コミュニティに期待がかかっていることから、地域による見守 りや支え合いの取り組みを進めていくことが求められています。 課題の整理 ●地域連帯の意識づくりの拡充 ●民生委員・児童委員等の人材確 保・育成及び活動支援 ●コミュニティ活動の充実強化 ●地域で支え合う地域福祉ネット ワークの構築 ●地域による見守りや支え合いの 取り組みの推進 - 96 - 基本方針 地域における相互扶助の意識や取り組みが将来にわたって継承していけるよ う、福祉教育の推進や地域住民の主体的な活動の支援に努めます。また、必要と される保健、福祉、医療等のサービスが島のなかで完結できるよう、関連機関等 と連携しながら、地域で支え合う地域福祉のネットワークの構築を図ります。 具体的な取り組み 1 福祉教育の推進と身近な地域による活動の支援 ○村民の誰もが地域福祉の担い手として、高齢者や障がい者等を支える認識を深 めるため、学校教育や生涯学習、地域の自主的な取組み等、様々な機会を通し て福祉教育の推進を図ります。 ○地域福祉活動の中心的な役割を担う民生委員・児童委員などの活動の支援に努 めます。 2 地域コミュニティ活動やボランティア活動の充実強化 ○地域における相互扶助の意識が将来にわたって継承していけるよう、地域の行 事や地域コミュニティ活動等に対する支援を行うとともに、村民が気軽に参加 できる環境づくりに努めます。 ○地域コミュニティの活性化を図るため、子ども会や婦人会、老人クラブ等の活 動を通して、リーダーの育成を推進します。 ○粟国村社会福祉協議会と連携し、ボランティア活動の啓発に努め、村民一人ひ とりがボランティア活動に気軽に参加できる機会の創出など、ボランティアの 養成と活動を継続できる環境づくりを推進します。 3 社会福祉協議会等の連携強化と地域福祉ネットワークの構築 ○粟国村社会福祉協議会を主体とした地域福祉活動の強化を促進します。 ○地域住民をはじめ、社会福祉協議会、福祉法人、老人クラブ等の団体、ボラン ティア等と行政がともに協力しながら、地域で支え合う地域福祉ネットワーク の構築を図ります。 - 97 - 捨て頁 「海」 〔海がきれいと思いました。残してほしいものです。〕/山城若奈さん ※粟国村立中学校 3年生(卒業生)による「美しい、いつまでも残したい 粟国島」の写真展(平成 22 年 3 月 14 日(日) )より - 98 - 基本方向6 みんながで心かよわせ、 協働のむらづくりに取り組む ~住民参加・行財政運営~ 施策 6-1 住民参加の仕組みづくり 協働によるむらづくりを推進する 施策 6-2 効率的な行政運営 効率的な行政を運営する 施策 6-3 健全な財政運営 健全な財政を運営する - 99 - 21 世紀は、地方分権の時代といわれ、行政の仕組み も大きな変革期を迎えています。時代の変化に対応し つつ、「自らの問題は自ら解決する」地方自治体の能 力が求められています。また、国の財政構造改革の流 れのなかで、本村は厳しい財政状況が続いています。 私たちは、このような時代だからこそ、村民と行政 のそれぞれが持つ専門的知識や技術などの特性を生 かし、村民がお互いに、あるいは、村民と行政が協力 して課題を解決していく「協働のむらづくり」に取り 組んでいかなければなりません。 村行政は、村民に開かれた透明性のある村政を展開 するため、村民とのパートナーシップの関係や信頼を 構築していきます。一方、村民は、村民全体を自分の ことと考え、明るい未来への展望を共有しながら、み んなの知恵や技を結集して、みんなで行動することと します。 そのために、 「先人のトゥージづくり」の思考プロセ スから発想した「島の素材〔自然〕―島人の願い〔ひ と〕―島人の知恵と技〔暮らし〕―島人の協働」を結 ぶ展開に学び、個々のむらづくりを連動させていく取 り組みにみんなの力を結集して、協働によるむらづく りを実現するよりどころとします。 - 100 - 住民参加・行財政運営 10 年間のむらづくり実践目標 自 然 ・ひと・暮 らし ふくらしゃる粟国 てるくふぁ島 むらづくりの基本方向6 みんなで心かよわせ、協働のむらづくりに取り組む 施策 6-1 住民参加の仕組みづくり 協働によるむらづくりを 推進する 施策 6-2 効率的な行政運営 効率的な行政を運営する 施策 6-3 健全な財政運営 健全な財政を運営する - 101 - 基本方針6 みんなで心かよわせ、協働のむらづくりに取り組む(住民参加・行財政運営) 施策 6-1 住民参加の仕組みづくり 現状と課題 地方分権一括法(平成 12 年 4 月)の施行に伴う分権社会が到来し、地域主体に よるまちづくりをはじめ、地域と行政による「協働のまちづくり」がより一層重 要となっています。本村の魅力や個性を活かしたむらづくりを進めるにあたって、 村民が自らの地域に責任をもち、行政と村民が一緒となって、協働によるむらづ くりを進めていくことが求められています。 本村では、婦人会、老人クラブ、漁業組合、農漁村生活研究会等により、活力 あるむらづくりにむけて取り組んでいます。今後とも、むらづくりの核となるこ れらの各種団体等の活性化にむけて、その取り組みを支援することが重要です。 一方、村行政はむらづくりに関する情報の透明性を高め、男女共同参画の推進 や協働のむらづくりの体制を整えるとともに、村民は自らむらづくりのあり方を 考え、参加・提案・協力し、村民が主役なって積極的にむらづくりの役割を担っ ていくことが重要です。さらに、郷友会や来訪者等、本村を外部から支える多様 な人々も積極的に取り組んでいく必要もあります。 課題の整理 ●迅速でわかりやすい村民への 情報提供 ●村民参加・参画の推進 ●男女共同参画の推進 ●粟国村を外部から支える人々 によるむらづくり支援活動等 の促進 景観保全活動 - 102 - 基本方針 村の行政情報を迅速でわかりやすい情報提供を行うとともに、村民自らが政策 形成段階からむらづくりに参加・参画できるよう、その取り組みを進めます。さ らに、本村を外部から支える人々のネットワークの連携・拡充を図りながら、地 域住民が主役のむらづくりに取り組みます。 具体的な取り組み 1 村政情報の提供 ○迅速で高齢者等にわかりやすい情報提供を行うため、村ホームページや広報あ ぐにの充実に取り組みます。 ○個人情報保護の観点から、個人情報の適正な取り扱いと保護を図ります。 2 村民参加の推進 ○地域のニーズを把握するために、区長会及び行政懇談会等の広聴活動を継続す るとともに、村民意識調査等を行います。 ○自治会や各種団体等による主体的な活動を支援します。 ○むらづくり活動をリードする人材の確保・育成に取り組みます。 ○女性の登用など、性別や年齢等にかかわらず、村民の誰もが地域活動やむらづ くりに参加できる仕組みづくりに努めます。 3 粟国むらづくり応援団の拡充 ○郷友会や村出身者、来訪者等との交流やむらづくり活動への参画を促進しま す。 ○本村に関する調査・研究については、その資料の提供を促すとともに、その成 果を地域住民等に報告する等、地域への還元や交流を促進します。 - 103 - 基本方針6 みんなで心かよわせ、協働のむらづくりに取り組む(住民参加・行財政運営) 施策 6-2 効率的な行政運営 現状と課題 地方分権時代を迎えた現在、少子高齢化、教育、福祉、環境など、以前にもま して複雑・多岐にわたる行政運営が求められています。 本村は厳しい島しょ環境のなか、多様化する村民ニーズに応えることができる よう、庁内組織体制の再編や指定管理者制度の導入等、柔軟な行政運営に努めて きました。その行政機構は、村長及び副村長をはじめ、総務課・会計課・民生課・ 経済課・船舶課の5課と教育委員会からなります。そのため、多彩にわたる事務 事業を少人数体制で運営しなければならないことや新規採用が実現しにくいこと、 さらに、地方分権の進展により、自らの責任において自主的・主体的な行政シス テムへと移行することから、より効率的な行政運営が求められています。 また、国・県からの権限移譲等が進むなかで、本村は近隣市町村等と連携した 事業等に取り組んでいますが、今後とも、共通課題の解決等にむけた広域行政を 進めていく必要があります。 課題の整理 ●効率的な組織体制の充実・強化 ●適切な事務執行 ●広域的な課題解決にむけた取 り組み 窓口業務の様子 - 104 - 基本方針 効率的な組織体制の充実・強化や職員一人ひとりの能力向上を図るとともに、 適切な事務執行や広域行政の促進等により、行政サービスの向上を図ります。 具体的な取り組み 1 組織体制の充実・強化 ○行政改革大綱に基づき、円滑な行政運営を推進するとともに、定数管理の適 正化や職員の適正配置に取り組みます。 ○町村会による研修や職員提案制度※1の活用等により、職員の資質向上及び政 策形成能力を有する人材の育成に努めます。 2 適切な事務執行 ○効率的な事務処理を行うため、引き続き、事務事業の点検・見直しを実施し、 事務処理の迅速化に努めます。 ○多様化する情報化社会への対応や行政の情報化を推進するため、情報機器や 情報ソフト、庁内 LAN の拡充等、情報基盤の整備に努めます。 3 広域行政の促進 ○保健医療、環境衛生、教育文化、交通等の各種広域的な課題に適切に対応す るため、関係市町村と連携を図り、広域行政に取り組みます。 ※1:職員提案制度 職員に対して村行政に関する意見や研究の成果の提出を奨励することで、職員の意欲を高めるとともに、行 政水準の向上を図ることを目的とした制度。 - 105 - 基本方針6 みんなで心かよわせ、協働のむらづくりに取り組む(住民参加・行財政運営) 施策 6-3 健全な財政運営 現状と課題 本村の財政規模の推移をみると、平成 11~15 年度は概ね 20~22 億円台で推移 していたものの、平成 16~20 年度は 11~13 億円台となり、減少傾向で推移して います。地方分権が進むなか、国庫支出金や県支出金の大幅な減少が、本村の財 政規模にも直接影響を及ぼしています。 本村の財政状況は、経常的な一般財源に占める人件費や公債費の割合が高く、 経常収支比率※1は 99.6%(平成 20 年度)と県内のなかでも高い割合であり、財 政力指数※2も 0.10 と県平均 0.35 を大きく下回っています。また、実質公債比率 ※3 は 13.3%と県平均 11.2%を上回っている状況です。本村は人口や産業が小規模 であり、地方税の収入が少ない等、財政基盤の弱い離島特有の課題を抱えていま す。一方、県内の離島においては、「環境協力税」を実施しているところもあり、 豊かな自然を有する本村においても検討することも考えられます。 本村の子や孫への負担を少しでも減らすためにも、さらなる努力が求められま す。 課題の整理 ●経常収支比率の適正化 ●財政運営の健全化 ●適正な賦課と徴収率の向上 ●新たな歳入源確保の検討 粟国村役場 - 106 - 基本方針 財政の健全化を図るために、安定した自主財源の確保及び中長期的な財政計画 の策定に基づき、財政の運営を図ります。そのため、効率的な予算編成・執行等 に取り組み、環境協力税導入の検討等による税収等の向上を図ります。 具体的な取り組み 1 財政運営の健全性の確保 ○計画的で健全な財政運営が行えるよう、中長期にわたる財政計画を作成しま す。 ○財源の効率的、重点的な配分やより一層の経費削減等、予算の厳正な執行に努 めます。 2 財源の安定的な確保 ○納税意識の高揚を促し、徴収率の向上に取り組みます。 ○使用料や手数料については、受益者負担の原則から適正な料金の設定・見直し を行います。 ○新たな歳入財源確保のため、島の環境保全を目的とした環境協力税導入の検討 や企業誘致・育成等による税収の向上等に努めます。 ※1:経常収支比率 地方公共団体の義務的な経常経費(人件費、物件費、扶助費、公債費などのうち、臨時的な支出を除いたも の)に、地方税、普通交付税などの経常的一般財源収入がどれだけ充当されたかを表わす比率。 ※2:財政力指数 地方公共団体の財政力を示す指数として用いられ、次の算式で求められた数値の過去3カ年間の平均値をいう。 (財政力指数は、1に近くあるいは1を超えるほど財源に余裕があるものとされる) ※3:実質公債比率 実質公債費比率は、公債費に準ずる助成、繰出しなどを公債費に加え、実質的な公債費による財政負担の程 度を示す指標。過去 3 年間の平均値で算定。18%以上は、地方債の発行に国の許可が必要になり、25%以上は、地方債の発 行(一般単独事業等の地方債)が制限され、35%以上は、さらに地方債の発行(一般単独事業、一般公共事業等の地方債) の制限が強まる。 - 107 - 捨て頁 「いつもの帰り道」 [帰り道にいつもみる風景です]/呉屋茉莉紗さん ※粟国村立中学校 3年生(卒業生)による「美しい、いつまでも残したい 粟国島」の写真展(平成 22 年 3 月 14 日(日) )より - 108 - 参考資料 1.粟国村総合計画策定の基本方針 2.総合計画策定の経緯 3.策定の体制 4.将来人口に関する参考資料 - 109 - 1.粟国村総合計画策定の基本方針 (粟国村総合計画策定要綱 第5号より) (1)総合性の確保 村づくりという全体的な取り組みの中で推進し、各分野の施策が一体となって総合的に行政効果が 発揮できる計画の策定をめざして、施策相互間の関連性や有機的な連携を図る。 (2)実効性の確保 財政健全化計画など現行の行財政運営における方針を踏まえ、無駄のない経費で最大の効果を挙げ ることをめざす。さらに自治体経営をシステム化することで計画の実効性を高めるよう努める。 (3)広域的な関連諸計画との関係 本村にかかわる広域的な諸計画との関係も考慮し策定する。 (4)地域特性の反映 本村の持つ自然的諸条件、歴史的条件及び社会的条件等を配慮し、その特性をいかした計画とする。 (5)住民参加の促進 自治の本旨に則り、むらの将来を左右する本計画の策定において、自治の主権者としての住民が計 画策定のあらゆる場面に関われるように、住民参加の手法を取り入れる。 (6)住民との情報の共有 住民にとって解りやすい計画するために、計画策定の段階から住民にとって解りやすい情報の提供 を心がけ、前項の住民参加の促進にもつなげる。 (7)創造性のある計画づくり 基本構想は、住民総意に基づいたむらづくりの将来像であり、村民が将来にわたって住み続けたい と願う、創造性豊かな計画を策定する。 (8)職員参加の促進 職員も住民の一人であり、住民から見たら職員はむらづくりの専門スタッフである。これからの総 合行政に向けて各部門の実効性のある計画づくりを、住民と共に考え策定することで、今後のよりよ い行財政運営へつなげることができる。そのために住民参加と同様に職員参加の推進も図り、役場内 で横断的に取り組んでいく。 - 110 - 2.総合計画策定の経緯 年月日 平成 21 年 2 月 18 日~3 月 3 日 2 月 18 日~3 月 3 日 ●粟国村総合計画審議会、★策定幹事会、◎村民会議、▽その他 会議等 第3次粟国村総合計画 ▽ 住民意識調査の実施 第3次粟国村総合計画 ・各世帯 366 サンプルを対象に実施 ・地域住民や役場職員の協力による配布・回収 ・有効回収数 233 件、有効回収率 60.9% 内容 ▽ ・児童生徒(小学4年生以上)の 55 サンプルを対象 に実施 ・各小中学校の協力よる配布・回収 ・有効回収数 39 件、有効回収率 70.9% ・郷友会名簿を参考に 83 サンプルを対象に実施 ・郵送による配布・回収 ・有効回収数 30 件、有効回収率 36.1% 児童生徒意向調査の実施 3 月 12 日~3 月 26 日 第3次粟国村総合計画 ▽ 8 月 18 日(火) 出身者(郷友会)意識調査の 実施 第 1 回 むらづくり村民会議 ◎ 健康福祉部会/教育文化部会 生活環境部会/産業振興部会 9 月 8 日(火) 第 2 回 むらづくり村民会議 ◎ 健康福祉部会/教育文化部会 生活環境部会/産業振興部会 10 月1日(木)~2 日(金) 各課ヒアリング調査の実施 10 月 2 日(金) 第 3 回 むらづくり村民会議 ▽ ◎ 船舶課、総務課、民生課 ◎ ・部会別会議 「領域別による「将来の姿」と「具体的な取組み」の 抽出 各課ヒアリング調査の実施 第1回 策定幹事会 ▽ ★ 経済課、総務課、教育委員会 第 5 回 むらづくり村民会議 ◎ 健康福祉部会/教育文化部会 生活環境部会/産業振興部会 10 月 13 日(火) 第 4 回 むらづくり村民会議 健康福祉部会/教育文化部会 生活環境部会/産業振興部会 10 月 14 日(水) 平成 22 年 2 月 3 日(水) (午前の部/午後の部) 2 月 8 日(月) ・委嘱状の交付 ・粟国村の総合計画とまちづくり市民会議(設置目 的・構成・役割・運営)について ・むらづくり村民会議のプログラム及び全体の日程等 について ・部会別会議 (メンバーの自己紹介と部会長・副部会長の選出) ・全体会議 (村民会議の議長・副議長の選出) ・村民意識調査結等の報告 ・部会別会議 「生活課題」と「特徴」の検討 ・部会別会議 「領域別による「将来の姿」と「具体的な取組み」の 抽出 <午前の部> ・これまでの経緯及び各課からの指摘事項等について ・基本構想(素案)について <午後の部> ・前期基本計画(素案)について ・全体会議:基本構想(素案)の報告 ・部会別会議:前期基本計画(素案)の報告 健康福祉部会/教育文化部会 生活環境部会/産業振興部会 2 月 17 日(水) 第2回 策定幹事会 ★ 2 月 25 日(木) 第1回 審議会 ● 3月 2 日(火) 第2回 審議会 ● 3 月 10 日(水) 村議会 ▽ - 111 - ・第1回 幹事会での主な意見 及び 第5回 村民会 議の意見等 ・基本構想(素案)について ・前期基本計画(素案)について ・委嘱状交付/会長及び副会長の選出 ・第3次粟国村総合計画・基本構想(及び前期基本計 画)の諮問 ・基本構想(案)について ・前回の審議会の主な意見・質問など ・第3次総合計画・基本構想の修正案について ・前期基本計画について ・第 3 次粟国村総合計画・基本構想の答申 ・第3次粟国村総合計画・基本構想について (議会議決) 3.策定の体制 諮問 粟国村 総合計画審議会 答申 村 付議 (基本構想) 長 村議会 承認 基本構想・基本計画の最終案報告 村 民 郷友会 公募等による参画 アンケート 調査 <平成 20 年度> ・村民意識調査 ・児童生徒意向調査 ・出身者(郷友会)意識調査 策定幹事会 ◆会長 ◆副会長 ◆委員 ※各主管課の係長クラス は必要に応じて参加 参加 意見 反映 基本構想・前期基本計画(素案)の報告 むらづくり村民会議 ◆村民委員 ◆村職員委員 連携・協力による 課題・特徴、具体 的な取組み、将来 像の抽出 各主管課 村職員の参加 運営支援 資料提供 事 務 局 ◆総務課 ◆コンサルタント - 112 - 行政施策の進捗状 況等の点検評価シー ト、データ等の提出 行政施策の進捗状 況等のヒアリング ■第3次総合計画審議会委員 氏 名簿 名 役職名等 備 考 1 大城 保 沖縄国際大学 経済学部経済学科 教授 学識経験者 2 伊佐 文宏 粟国村副村長 村職員 3 宮里 昌典 粟国村議会議員 村議会議員 4 山城 雅雄 粟国村議会議員 村議会議員 5 末吉 保朝 粟国郷友会長 団体役員等 6 玉寄 稔 むらづくり村民会議議長 団体役員等 7 上地 松恵 老人クラブ連合会 役員 団体役員等 8 山城 義之 粟国村 総務課長 村職員 9 末吉 政春 粟国村 民生課長 村職員 10 髙良 修一 粟国村 経済課長 村職員 11 伊良皆 博司 粟国村 教育総務課長 村職員 ■策定幹事会 名簿 氏 名 役職名等 備 1 伊佐 文宏 副村長 会長 2 山城 義之 総務課長 副会長 3 照喜名 英雄 会計課長 4 末吉 政春 民生課長 5 高良 修一 経済課長 6 新里 弘 船舶課長 7 伊良皆 博司 教育委員会課長 8 與那城 弘明 議会事務局 局長 - 113 - 考 ■むらづくり村民会議 名簿 部会名 構成員氏名(=村民公募) 健康福祉部会 部会長:宮里 昌典 (※副会長) 教育文化部会 部会長:玉寄 稔(※会長) 桃原 小嶺 西森 宮里 玉寄 進弥(老人ホーム職員) 芳子 栄太(診療所医師) 昌典(村副議長) 文雄(村議長) 村職員氏名 副部会長:又吉 修 濱川 克也(総務課(行政)) 又吉 修 (民生課(国保) 安里 洋子(民生課(老人福祉) 浦崎 順子(民生課(後期高齢・年金) ) 野田 千代子(民生課(保健衛生) ) 古賀 亜矢子(民生課(保健衛生) ) 副部会長:新城 常子 生活環境部会 與那城 健一(教育委員長) 新里 勝美 (教育委員・製塩業) 玉寄 稔 (教育委員) 宮里 丞二 (村議員) 赤嶺 真知子(民生委員) 上原 又吉 新里 新城 部会長:山城 雅雄 副部会長:山内 勝雄 安里 城間 山城 玉寄 豊里 山内 城間 糸洌 濱川 伊佐 玉寄 新城 友之祐 成弘 (村議員) 雅雄 (村議員) 武 (村議員) 博輝 産業振興部会 部会長:新里 政雄 石川 真三(製塩業) 上原 英雄(元村議員) 末吉 信輝(元村議長) 新里 政雄(元村長・製塩業) 伊良皆 信英(村議員) 小橋川 庸吉(元JA職員) 小橋川 聡(農業委員会委員) 平山 元 一宏(総務課(財政)) 盛泰(教育委員会(事務局) ) 美枝子(教育委員会(事務局)) 常子(教育委員会(幼稚園) ) 勝雄(総務課(税務)) 世守(総務課(消防・戸籍) ) 洋一(民生課(環境衛生・保健衛生) ) 功 (経済課(土木)) 寿正(経済課(水道・排水) ) 兼正(船舶課(粟国事務所) ) 健一(船舶課(粟国事務所) ) 副部会長:上原 恒夫 新城 上原 宮里 與那 砂川 新城 - 114 - 達也(総務課(税務)) 恒夫(経済課(農業委員会) ) 昂(経済課(農業生産・商工労働)) 盛勝(経済課(農業土木)) 芳彦(経済課(畜産)) 光則(経済課(農業振興・水産) ) 4.将来人口に関する参考資料 (1)粟国村の人口の動向 粟国村は明治時代まで人口過密な島として知られていましたが、大戦後の復興期、日本の高度経済成 長期、沖縄の日本復帰等の時期に村民の多くが島を離れ、昭和 60 年頃まで減少を続けています。 昭和 60 年以降は概ね横ばいの傾向にありますが、平成7年から 17 年の 10 年間では緩やかな減少と なっています。また、近年、生産年齢人口・割合は概ね増加傾向にありますが、平成7年から平成 17 年にかけては 25 歳~44 歳の各年代で減少しています。人口動態は、平成6年から概ね社会増の傾向に ありましたが、転入者数は平成 15 年から減少を続け、結果、平成 17 年からは社会減に転じています。 ■ 人口・世帯数の推移(国勢調査) 2,500 2,125 2,000 304 1,500 870 2,011 337 827 1,000 1,522 1,281 301 1,086 288 300 589 589 500 951 847 632 501 404 0 285 930 930 968 960 293 337 356 343 324 438 425 430 468 465 199 168 182 149 147 昭和35年 昭和40年 昭和45年 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 年少人口(0~14歳) 生産年齢人口(15~64歳) 936 平成7年 平成12年 平成17年 老年人口(65歳以上) ■ 5歳階級別人口推移(国勢調査) 60 40 20 0 (歳) 0 20 100~ 女性 40 60 (人) 95~99 平成7年 90~94 昭和60年 85~89 男性 60 40 20 0 (歳) 100~ 女性 0 20 40 60 (人) 95~99 平成17年 90~94 平成7年 85~89 男性 80~84 80~84 75~79 75~79 70~74 70~74 65~69 65~69 60~64 60~64 55~59 55~59 50~54 50~54 45~49 45~49 40~44 40~44 35~39 35~39 30~34 30~34 25~29 25~29 20~24 20~24 15~19 15~19 10~14 10~14 5~9 5~9 0~4 0~4 ■ 人口動態(住民基本台帳) 140 120 社会増 社会減 社会減 100 80 60 40 20 0 S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H1 H2 出生者数 H3 H4 H5 死亡者数 H6 H7 H8 H9 転入者数 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 転出者数 (2)人口推計 以上の状況を踏まえつつ、数学的方法による「回帰式」と、年齢積み上げ法による「コーホート要因 法」の2通りで人口を推計しました。 推計の結果、最も高い値を示したのは「コーホート要因法」で約 890 人、最も低い値を示したのは「回 帰式」で約 870 人となっています。 - 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