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Wikiを利用した講義資料作成・配付支援システム
Wiki を利用した講義資料作成・配付支援システム 藤本 健一 古井 陽之助 九州産業大学 情報科学部 今日では,電子的なスライド資料を用いたプレゼンテーション形式の講義は広く行われている.しかし, 資料の作成から配付までには手間がかかり,また受講者は適切なソフトウェアを持たなければ正常に閲 覧できないことがある.本研究では,講師の負担を軽減するとともに,受講者が閲覧しやすくすることを目 的とし,講義資料の作成・配布を支援するシステムを Wiki にもとづいて開発した.本システムでは講師 は Wiki 上で資料を作成することができ,また簡単な操作で Flash 形式のスライド資料を得ることができ る.評価実験を行ったところ,講師の負担軽減に効果があることが示唆された. A Wiki-based system for authoring and delivering lecture documents Ken’ichi Fujuimoto, Younosuke Furui Faculty of Information Science, Kyushu Sangyo University Today, doing a lecture as a presentation with an electronic slide document is common. However, the lecturer has to spend longer time for authoring/delivering the slide document, and the students need appropriate software in order to browse the slides correctly. Aiming at reducing the lecturer's work and providing the students with more ways of browsing the documents, we have been developing a Wiki-based system for authoring/delivering lecture documents. This system transforms a Wiki page into a Flash document that can be used as slides. The result of our experiment indicates the system can reduce the lecturer's work. 1 はじめに コンピュータの普及や情報通信技術の発達に 伴い,学校教育でも紙の資料や板書に代わり電 による作成・配信の負担を軽減するとともに,受講 者が閲覧する際の使い勝手を向上させることを目 的とする. 子的な資料が活用されるようになってきたが,新 たな問題も生じている.調査[1]によると,情報通 2 信技術を活用した教育が導入された割合は 2.1 電子的な講義資料の活用 プレゼンテーション形式の講義 75.8%と非常に高いが,教員の活用スキル不足, PC,液晶プロジェクタ,プレゼンテーションソフ 教材作成の負担が増えること,受講者の情報リテ トウェアの普及に伴い,板書よりも見栄えの良い, ラシ能力の格差により指導が難しくなることがデメ 講義資料をスクリーンに投影しながらの講義が行 リットとして挙げられている. われるようになった.まず,講師は事前に PC とプ 本研究は,電子的な講義資料について,講師 レゼンテーションソフトウェアを用いて講義資料を 作成する.講義の際は,講師は PC にプロジェク ト削減のために利用されている例もある.主要な タを接続して講義資料をスクリーンに投影し,そ 機能は PowerPoint に遜色ない.PowerPoint れを受講者に見せながら口頭で説明する. のスライド資料を閲覧・編集することや,PDF や プレゼンテーションソフトウェアで作成された資 料は,スクリーンにページ単位で投影されることが Flash などの形式へ変換することもできる. (3) Google ドキュメント (Google Docs)2 前提であるので,複数ページにわたって続く文章 Google ドキュメントは Web 上で利用できるオフ ではなく,ページ単位に収まる図や文章の集合と ィ ス ア プ リ ケ ー シ ョ ン で あ る . PowerPoint や して構成されることが一般的である.このような資 Impress と異なり,スライド資料の作成・閲覧など 料をスライド資料と呼び,一連のページの順次表 の作業を全て Web ブラウザ内で行うことができる. 示をスライドショーと呼ぶ. 作成したスライド資料は Web 上に保存されるので, そのまま Web 上で他のユーザと共有することもで 2.2 講義資料の作成と配付 わかりやすく見栄えの良いスライド資料を作成 きる.さらに,PDF や PowerPoint などの形式で ダウンロードすることもできる. するには相応のスキルが必要である.また,講義 中の板書とは異なり,作成は講義前に完了して 2.4 おく必要もある. 問題点 今日広く用いられている電子的な講義資料の 配布方法には,受講者数分だけ紙に印刷して 配付する方法や,電子的な形式のまま Web に掲 作成や配付には次のような問題がある. 〔問題 1〕 作成から配付までに手間がかかる. 載する方法などがある.印刷より Web のほうが配 電子的な講義資料を Web で配付する場合に 付や改訂が容易であるが,受講者は資料を Web ついて考える.講師は講義資料を Web にアップ からダウンロードし,また閲覧のために適切なソフ ロードし,受講者はそれをダウンロードする.講師 トウェアを使用しなければならない. にとっては,人数分だけ印刷するよりは手間がか からず,改訂が生じたときの再配付も容易である 2.3 既存のプレゼンテーションソフトウェア 講義を含む様々なプレゼンテーションに用いら が,一定の作業を要することには変わりがない. また受講者にとっては,改訂版を入手しやすくな れるソフトウェアとして代表的なものを挙げる. るが,その都度ダウンロードしなければならない. (1) Microsoft Office PowerPoint 〔問題 2〕 正常に閲覧できないことがある. PowerPoint は代表的なプレゼンテーションソ 既存のプレゼンテーションソフトウェア間には互 フトウェアである.クリップアートという豊富な種類 換性の問題がある.例えば,PowerPoint では他 の画像,多数のアニメーション効果など様々な機 形 式 の ス ラ イ ド 資 料 は 扱 え な い . Impress や 能を提供しており,印象的なプレゼンテーション Google ドキュメントでは他形式をも扱うことができ を実現する. るものの,一部の書式や効果が再現できなかった 1 (2) OpenOffice.org Impress Impress はオープンソースソフトウェアとして開 り,配置がずれたりすることがある.スライド資料を 正常に扱うには適切なソフトウェアが必要である. 発されているプレゼンテーションソフトウェアであ る.無償で利用できるため,企業や自治体でコス 1 OpenOffice.org: http://ja.openoffice.org/ 2 Google Docs: http://docs.google.com/ 3 講義資料作成・配付支援システム 3.1 3.2 問題の解決方針 使用技術 本研究においてシステムの構築に用いた技術 本研究では,前述の問題を解決するために, を説明する.また,そのうちソフトウェアについて 電子的な講義資料の作成・配付を支援するシス は表 3.1 に挙げる. テムを開発した.このシステムでは,講師が Web (1) Apache HTTP Server および PHP 上で講義資料を作成すると,PC 向けページ,携 Apache HTTP Server(以下,Apache)はオ 帯電話端末向けページ,スライド資料という 3 種 ープンソースソフトウェアとして開発されている 類の形式で閲覧できる.このシステムの開発方針 Web サーバである.また,PHP は Apache と組み は次の通りである. 合わせて使うことのできる Web アプリケーション記 【方針 1】 作成から配付までの手順を簡単にす 述言語および処理系である. Apache と PHP の組み合わせは,無償で利用 る. 講師は講義資料の作成・閲覧を,受講者は少 でき,Web アプリケーション開発および実行の環 なくとも閲覧を,いずれも Web ブラウザの比較的 境として高い人気と豊富な稼動実績を誇る. 簡単な操作だけで行うことができるようにする. (2) Adobe Flash および Adobe Flex Builder Flash は Web 向けの対話的なマルチメディア 【方針 2】 様々な環境から閲覧可能にする. PC に一般的なソフトウェアさえ導入されていれ コンテンツの作成環境であり,コンテンツの規格 ば講義資料を閲覧できるようにする.また,携帯 の名称でもある.Flash 形式のコンテンツは,コン 電話端末からも閲覧できるようにする.これにより, テンツ再生用ソフトウェア Adobe Flash Player10 受講者はいつでも講義資料を活用できるようにな を導入することで,Web ブラウザ上で閲覧できる. る. 本研究ではスライド資料の形式として Flash を採 用した. 表 3.1 使用したソフトウェア Flex Builder は Web アプリケーション開発環 Ver. 境であり,Flash 形式のコンテンツを生成するコン Apache HTTP Server3 2.2.8 パイラを含む.ボタンやラベルの配置などの画面 PHP4 5.2.6 構成を MXML (Macromedia Flex Markup Eclipse5 3.3.2 Language)で記述し,またクリックなどのイベント Adobe Flex Builder6 3.0 処理を ActionScript で記述すると,コンパイラは PukiWiki7 1.4.7 Flash ファイルを生成する.本研究では,Flash FCKeditor8 2.6.3 形式のスライド資料を生成するために Flex コンパ guiedit9 1.62 イラを使用することとした. 名称 (3) WikiWikiWeb (Wiki)および PukiWiki Wiki は Web 上で単純な構文規則(Wiki 文 法)によりコンテンツを記述できるコンテンツ管理 3 4 5 6 7 8 9 Apache HTTP Server: http://httpd.apache.org/ PHP: http://www.php.net/ Eclipse: http://eclipsewiki.net/eclipse/ Adobe Flex: http://www.adobe.com/jp/products/flex/ PukiWiki: http://pukiwiki.sourceforge.jp/ FCKeditor: http://www.fckeditor.net/ guiedit: http://w3fj.te.kyusan-u.ac.jp/miwiki/ システムの総称である[2].統一的な規格は存在 せず,多種多様なシステム(Wiki エンジン)が存 Adobe Flash Player: http://get.adobe.com/jp/flashplayer/ 10 在する.PukiWiki は Wiki エンジンの一つであり, テムの構成図を図 3.1 に示す. 次の機能を備えている. 3.4 プラグイン PukiWiki では新たな機能をソフトウェアの追 システムの使用方法 本システムによる講義資料の作成・閲覧・スライ 加により実現することができる.このソフトウェアを ドショーという作業の流れを説明する. プラグインと呼ぶ.FCKeditor による WYSIWIG Step-1 講義資料の作成 エディタ機能を付加する guiedit などがある. 講義に先立ち,講師は PC の Web ブラウザか らサーバにアクセスし,講義資料を Wiki ページと スキン コンテンツそのものとは別に,コンテンツを出力 して記述する(図 3.2).ページ名は講義資料のタ する際の書式や配置を記述することができる.こ イトルと同じにする.メニューの[編集(GUI)]から の記述をスキンと呼ぶ.印刷時にはそれに適した WYSIWIG エディタを開くこともできる. スキンが自動的に適用される. 講義資料をスライド資料としても使用するため には,Wiki ページ中にリスト 3.1 の記述を追加す 携帯電話端末への対応 携帯電話から PukiWiki にアクセスすると,コ る.これは本研究にて開発した slideshow プラグ ンテンツは携帯電話端末のブラウザに適した書 インを呼び出すためのコマンドである.発表者名 式や配置に自動的に変換される. は省略することができる.発表日は yyyy-mm-dd 形式で記述する.発表日を省略するとスライド資 3.3 システムの構成 料の生成日が適用される. 本研究では,Wiki ページを Flash 形式のスラ イド資料に変換する機能を実装した slideshow プ ラグインを開発し,これを PukiWiki に組み込む リスト 3.1 slideshow プラグインの使用 #slideshow(発表者名, 発表日) ことによりシステムを構築した.Wiki ページからの 変換処理には Flex コンパイラを利用した.本シス ネットワーク Web ブラウザ 講師PC 講義資料配信システム 表示 閲覧 Web ブラウザ 学生PC 携帯電話端末の Webブラウザ サーバマシン 編集・閲覧 Slideshowプラグイン PukiWiki PHP 表示 閲覧 Apache HTTP Server OS(Windows) 表示 図 3.1 システム構成図 Adobe Flex Step-2 スライド資料の生成 Step-1 で作成した講義資料は Wiki ページ (図 3.3)として閲覧できるが,講師はこれをさらに スライド資料に変換し,講義において活用するこ とができる.その手順は次の通りである. Wiki ページに slideshow プラグインの呼び出 しコマンドを記述しておくと,そのページには[スラ イドショーをダウンロード]というボタンが現れる(図 3.3).このボタンをクリックするとポップアップウイ ンドウ(図 3.4)が表示される.さらに[変換]ボタン をクリックすると Flash 形式のスライド資料が生成 される(図 3.5).ただし,本稿執筆時点において 図 3.2 Wiki 文法による記述 slideshow プラグインがサポートする Wiki の構 文は,平テキスト・見出し・箇条書き・画像表示 (ref プラグイン)である.スライド資料は PC 内に 保存することもできる.このように,Wiki ページか らスライド資料への変換に必要な操作は 2 回のボ タンクリックだけである. 図 3.3 講義資料(Wiki ページ) 図 3.5 講義資料(スライド資料) Step-3 講義資料の配付 講義の前後あるいは講義中に,受講者は PC の Web ブラウザからサーバにアクセスし,Wiki ページとして講義資料を閲覧することも,Step-2 図 3.4 ポップアップウインドウ と同じ手順によりスライド資料として閲覧することも できる.また,PukiWiki の機能により,携帯電話 端末からも閲覧することができる(図 3.6). 3.5.2 スライド資料の構成 スライドショーを見やすく簡潔にするために,次 の 4 点について工夫した. Step-4 講義資料の改訂と再配付 必要であれば,講義中または講義後に講師は (1) 表紙 Web ブラウザからサーバにアクセスし,Wiki 上で スライド資料の 1 ページ目は表紙であり,そこ 講義資料を改訂する.改訂は即座にページに反 にはタイトル・発表者名・発表日が表示される.タ 映される.スライド資料の再生成も簡単である. イトルは Wiki のページ名,発表者名・発表日は, slideshow プラグイン呼び出しコマンドの引数とし て入力した値である. (2) ページ スライド資料の各ページは,Wiki ページ中の 大見出しから次の大見出し直前までである.ペー ジのタイトルは Wiki ページ中の大見出しである. (3) 箇条書き PukiWiki の標準仕様に従い,3 段階の箇条 書きが使用できる. (4) 画像表示・取り込み PukiWiki 付属の ref プラグインにより Wiki ペ 図 3.6 講義資料(携帯電話からの閲覧) ージ内に貼り付けられている画像を,スライド資料 に取り込むことができる.ただし,スライド 1 ページ 3.5 につき画像を 2 枚以上は表示できない.画像は 1 システムの機能と実装 Wiki ページからスライド資料への変換機能に 枚がスライド全体に表示される. ついて,技術的な詳細を述べる. 3.5.3 スライドショーにおける機能 スライド資料(図 3.5)の下部に現れる各種のコ 3.5.1 プラグインの呼び出し 変換機能は PukiWiki のプラグインとして実装 したので,変換対象の Wiki ページ中にコマンド を記述することで呼び出すことができる. ントロール(図 3.7)について説明する. ① ページ遷移機能 テキストボックスにページ番号を入力するか, 前述の Step-2 の[変換]ボタンをクリックすると その横にある上下ボタンをクリックすると,前後の 変換処理が開始する.サーバ側にあるプラグイン ページに移動する.また,画面左右の端をポイン は Wiki 文法で記述された Wiki ページのソース トすると[NEXT]ないし[BACK]ボタンが表示され, を取得し,これを解析して MXML ファイルを生成 いずれかをクリックするとページを移動する. する.さらに,この MXML ファイルをもとに Flex ② フルスクリーン表示機能 コンパイラが Flash ファイルを生成する. [フルスクリーン/通常表示切替]ボタンをクリック すると,フルスクリーン表示・通常ウィンドウでの表 図 3.7 各コントロール部 示が切り替わる. 含む HTML ファイルを作成し,二つのファイルを ③ スライド一覧表示機能 Windows の FTP クライアント機能によりサーバに [スライド一覧]ボタンをクリックすると,スライドの タイトル一覧が表示される.タイトルをダブルクリッ アップロードする. [手順 2] 本システムによる手順 クすると,そのページへ移動する.このタイトル一 整形済み資料の印刷を見ながら,Wiki ページ 覧はプレゼンテーションの簡易アジェンダとしても 編集画面(もしくは WYSIWYG エディタ)にて, 利用することができる. 自身の判断で適切な形式に整形する.さらに, ④ マウスポインタ非表示機能 PukiWiki のトップページにリンクを掲載する. チェックボックスにより,スライドショー表示領域 でのマウスポインタの表示・非表示が切り替わる. ⑤ フォントサイズ調整機能 4.3 実験結果 二つの手順の所要時間は図 4.1 の通りであり, スライドバーを左右に動かすと,スライドショー 本システムによる手順のほうが作業の所要時間の において表示される全ての文字の大きさが±20 平均値が短かった.また,使いやすさに関するア ポイントの範囲で変わる. ンケート結果は図 4.2 およびリスト 4.1 の通りであ り,正の評価ばかりではなかった. 4 評価実験 4.1 表 4.1 被験者(数値の単位は年) 被験者と実験環境 講義資料の作成から配付までが簡単であるか, A B C また講義資料を閲覧する際の使い勝手がよいか PC 使用歴 7 以上 7 以上 4~7 を実験により評価した.被験者は表 4.1 に示す九 ワープロソフト使用歴 7 以上 7 以上 1~4 州産業大学情報科学部 4 年生 3 名であり,使用 プレゼンソフト使用歴 1~4 1~4 1~4 したクライアント PC の構成は表 4.2 の通りである. インターネット使用歴 7 以上 7 以上 4~7 なし なし なし Wiki 使用経験 4.2 実験方法 まず,整形済みのスライド資料(9 ページ)を印 表 4.2 実験用クライアント環境 刷したものと,同内容で未整形のテキストファイル OS Windows XP Professional SP 2 を用意した.次に,Wiki ページの記述方法と,本 Web ブラウザ Internet Explorer 6.0 プラグイン Flash Player 9.0 システムの slideshow プラグインが変換できる Wiki 文法の構文について被験者に説明した.そ の後,従来技術による手順と本システムによる手 順のそれぞれに要する時間を計測した.また,ア ンケートに回答してもらった.二つの手順につい ては次のように指示した. [手順 1] 従来技術による手順 整形済み資料の印刷を見ながら,Impress に よりテキストファイルを全く同じ形に整形し,ファイ ルに保存する.さらに,そのファイルへのリンクを 4.4 考察 4.4.1 作成から配付までの手間 被験者 B・C においては作業効率が改善した が,被験者 A のみ従来技術による手順のほうが 10 秒早かった.実験中の観察によると,被験者 B・C はテキストのコピー&ペーストに手間取って いたのに対し,被験者 A はほぼミスなく作業して いた.このことから,被験者 A の作業スキルが B・ C に比べ高かったことが実験結果に影響したもの ることがわかった. と考える.いずれの被験者も本システムの使用に また,今回の評価実験の被験者は実際の講義 は習熟していない状態であったため,十分に習 を受け持つ教員ではなく学生であったので,教員 熟すれば更なる時間短縮の可能性がある. による評価では評価結果が異なる可能性もある. 従来技術 本システム 5 11:50 12:00 被験者A 5.1.1 まとめ 19:54 被験者B 15:05 16:59 被験者C 11:10 16:14 平均 おわりに 12:45 図 4.1 所要時間(単位は分:秒) 本研究では,講師・受講者双方の負担を軽減 することを目的として講義資料作成・配付支援シ ステムの設計・開発・評価を行った.本システムの 特徴は,Wiki ページからスライド資料へと変換す る機能を実装した点である.講義資料の作成から 配付までの作業効率とシステムの使い勝手を実 験により評価したところ,作業効率は向上ないし ほぼ同じであったが,スライドショーの実装として 2. 少し 使いにくい は改善の余地があることがわかった. 5.1.2 今後の課題 3. まあまあ 使いやすい 今後の課題としては,スライドショーとしての機 能を充実させることが挙げられる.また,本システ 図 4.2 使いやすさの評価 ムの slideshow プラグインは原理的に XOOPS (「5.非常に使いやすい」~「1.全く使えない」の 5 段階評価) ベースの e-Learning システムに組み込むことが 可能であるので,その試用や評価も挙げられる. リスト 4.1 欲しい機能(自由記述) 基本的な動作に関しては問題ないと思うが,たま 参考文献 に仕様上解決できないものがあるのは残念だっ [1] メディア教育開発センター: 「e ラーニング等 た.機能の要望は無いが制約が少なくなればと の IT を活用した教育に関する調査報告書(2007 思う. 年度)」, 2009/1/10 閲覧. マウスホイールでページの遷移ができるようにし http://www.nime.ac.jp/reports/001/ たら操作性がより良くなると思う. [2] Bo Leuf, Ward Cunningham: "The Wiki スライド一覧がサムネイルでも表示されるようにし Way: Quick Collaboration on the Web", て欲しい. Addison-Wesley Pub, 2001. yomoyomo(訳): アニメーションの表示ができるようになるとよい. 「Wiki Way―コラボレーションツール Wiki」, ソ 文字色をフラッシュでのスライドに表示させたい. フトバンクパブリッシング, 2002. 4.4.2 閲覧する際の使い勝手 スライドショーの実装としては改善の余地があ