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回路図レビューサービス
インテル® アーキテクチャーと株式会社図研の 最新ツールの組み合わせが新しい組込み機器の開発をさらに加速 ─株式会社図研のEDAソリューションが インテルの回路図レビューサービスに必要な電子データ・フォーマット出力に対応─ 株式会社図研(以下、図研)の EDA ソリューションは、日本を始め、欧米やアジアの世界的なリーディング・カンパ ニー 約 5000 社に導入されています。今回、インテルと図研の協業によって、インテルの回路図レビューサービ スに必要な電子データ・フォーマットを図研の EDA ソリューションから直接出力するモジュール(Intel Schematic Review 用 EDIF 出力プログラム)が開発されました。ここでは、モジュールの開発に携わった図研の皆様をお招 きし、インテル株式会社 技術本部の本間康弘とともに開発の経緯や今後の展望を語っていただきました。 オーディオ機器を礎にして 車載機器や情報家電へと幅を広げてきた図研 本間 この記事を通じて株式会社図研(以 下、図研)の EDA ソリューションに興味を持た れる読者の方も出てくると思いますので、まず に注目していただきました。そして、近年では デジタルカメラやスマートフォンなど、デジタル 情報家電の分野にまで進出しています。この は図研の生い立ちや強みを簡単にご説明い ように、当時日本の花形だったオーディオ分野 松澤氏 図研は、プリント基板の設計を支援 にまでビジネスを広げることができたのです。 時は、オーディオ機器がパーソナルなものに のような進化を遂げたのでしょうか。 ただけますか。 する企業として 1976 年に設立されました。当 なり、日本のさまざまなオーディオメーカーが 音質向上のために回路の最適化を必要とし をきちんと押さえていたからこそ、長い年月を かけて車載機器やデジタル情報家電の分野 本間 図研の EDA ソリューションはその後ど 松澤氏 CR-2000 の後は、より広範な機能 ている時期でした。当社は、ちょうどそのタイミ を備えた「CR-3000」、そして「CR-5000」へと に回路の要素をうまく取り入れられる国産初 ソリューションは、ミニコンや UNIX* マシン向 上させています。 2000( 1985 年に CR-2000 へと改称)』を発 売しています。日本を代表するオーディオメー カーの多くは、当社の CAD/CAM システムを採 用して下さいました。 グラフィックス性能が飛躍的に向上したことも 本間 インテルの最新テクノロジーを最大限 本間 そして、オーディオ機器を足がかりにし 計プラットフォームが「 C R - 8 0 0 0 」です。 ングにあわせて、プリント基板の配線パターン の本格的な CAD/CAM システム『クリエイト ながら、さらに車載機器やデジタル情報家電 へと幅を広げていったわけですね。 松澤氏 そうですね。当社は、オーディオ分 野を通じてアナログ回路の設計に強かったこ ともあり、オーディオの次は車載機器メーカー 進化を遂げていきました。もともと当社の EDA けに開発されていましたが、PC の処理性能や あり、CR-5000 からは汎用的な PC で動作す に活用して下さっているわけですね。 朝倉氏 そして、現在最新となる電子機器設 インテルの最新プロセッサーが提供する高度な CR-8000 は、既存システムの常識にとらわれ ず、マルチプロセッサーやマルチスレッドへの 対応、3D グラフィックス・エンジンの活用、 64bit へのネイティブ対応など、最新テクノロ ジーを積極的に取り込むことで、演算処理や 表示速度、操作パフォーマンスを飛躍的に向 ハイパースレッディング・テクノロジー)、そして る Windows* 版も新たに追加されています。 朝倉氏 はい、その通りです。CR-8000 は、 マルチコア技術とマルチスレッド技術(インテル ® 64ビット機能(インテル ® 64 アーキテクチャー) を最大限に生かせるような設計をとっていま す。PC の性能向上を最大限に活用すること で、EDA ソリューションの投資対効果も大きく 改善したといえるでしょう。 回路の複雑化によって レビュー期間の延長に悩まされていたインテル 本間 インテルは、インテルのマイクロプロ 短縮には大きな効果がありますね。 のサービスは、提出していただいた回路図が 本間 紙や PDF によるマニュアル・オペレー 対するレビューサービスを提供しています。こ インテルの設計ガイドラインに準拠しているか やしていけば短期間のレビューは可能だった ンによって設計された回路図をインテルがレ べきところは 、見 落としを防ぐための 多 重 ビューさせていただいた最初期の事例として かもしれません。しかし、人的リソースを割く チェックではなく、やはり高度なレビューを支 は、例えば国内の大手エレクトロニクス・メー えるインテリジェンスの部分でしょう。だからこ 計が挙げられます。 い、貴重な人的リソースは本当に必要なとこ カーがいち早く手がけたノートブック PC の設 松澤 浩彦 氏 ションであっても、例えばエンジニアの数を増 どうかを調査し、潜在的な問題があれば報告 するというものです。図研の EDA ソリューショ 株式会社図研 技術本部 ELN セクション シニアパートナー 平山氏 そのレビューツールを使えば、時間 セッサーやチップセットを採用した電子回路に 松澤氏 当社の EDA ソリューションが、ノート ブック PC の黎明期から深く貢献できたことは とても光栄です。インテルは、古くから半導体 の世界でトップレベルともいえる半導体チップ を発売しており、そのような高性能チップの能 力を最 大 限に引き出す回 路 設 計はかなり ハードルが高かったと記憶しています。 本間 このノートブック PC 以降、図研の EDA ソリューションで作られた PC 関連の回路図を インテルがレビューする機会も増えていきまし た。 平山氏 これまでは、紙や PDF によって回路 図を提出する必要があり、インテル側でのデ ザインレビューにも長い時間を要していたので はないですか。 本間 はい、回路の規模が年々大きくなって いましたので、レビューにかかる工数も増えて いくという問題に悩まされていました。複数の ページをまたがるような回路図では、その中 の配線もページをまたがる形で横断していま す。配線のトレースを間違えると回路図を正し く評価できませんので、見落としを避けるため に何重ものチェックを必要とします。これらは すべてエンジニアの目視によって行われます そ、自動化できる部分は積極的に自動化を行 ろに割くべきなのです。 平 山 氏 今 回 当 社がインテルの 回 路 図レ ビューサービスに対応したモジュール( Intel Schematic Review 用 EDIF 出力プログラム)を 開発した背景には、当社のお客様とインテルと の接点が急速に増えてきたことが挙げられ ます。先進的なデジタル家電や車載機器が 次々と登 場し、その 中 核としてインテル ® アーキテクチャーが積極的に採用されるよう になったためです。図研のお客様には古くか らオーディオ製品や車載機器製品のお客様が 多くいらっしゃいます。これらのお客様の特徴 としては、設計者同士が『すりあわせ』を行い ながら製品を開発していくスタンスが基本に あり、そのような進め方をされるお客様に当社 の EDA ソリューションが愛用されてきました。 これに対し、一般的にコンピューター系の機器 は、あらかじめ決められたスペックに従って パーツを組み合わせていくスタンスをとります。 当社の EDAソリューションは、どちらかというと 『すりあわせ』型のモノづくりを行うお客様の ニーズに対応して進化してきた経緯もあり、実 はコンピューター製品のお客様はそう多くあり ませんでした。かつては、当社とインテル様と の接点も限られたものだったと思います。 朝倉氏 インテル ® アーキテクチャーを採用し ので、結果としてレビュー期間の延長につな たインテリジェントなデジタル情報家電や車 えかねません。現在の短い開発サイクルを考 プロセッサーの登場によって大きく広がったと のです。こうした状況に対応するため、インテ の分野でも活躍するようになったことで、当社 がり、お客様のタイムリーな開発に影響を与 えると、1 日さえも無駄にすることはできない ル社内では回路図レビューを支援するための 自動ツールを開発・活用し、業務の効率化と サービスの向上を目指しております。 インテル株式会社 技術本部 応用技術統括部 統括部長 本間 康弘 載機器は、組込み機器向けインテル ® Atom™ いう印象です。インテルがコンピューター以外 のお客様からも設計図レビューサービスの利 用を効率化したいというご要望をいただくよう になり、当社とインテルのコラボレーションが 本格的にスタートしました。 レビューの効率化によって インテリジェント・システムの開発を促進 本 間 今 回 開 発した I n t e l S c h e m a t i c Review 用 EDIF 出力プログラムについて簡単 にご説明いただけますか。 朝倉氏 CR-8000 Design Gatewayと み機器は、コンピューター以上に多種多様で あり、製品によってはモデルチェンジも頻繁に 行われますので、既存のデザインルールをそ のまま適用できるとは限りません。また、設計 規模の増大に伴い、コラボレーションを前提と CR-5000 System Designer 用の 2 タイプを 用意しています。このファイル出力モジュール を通じて、これらの回路設計ツール上からイ ンテルの回路図レビューサービスに必要な電 子データ・フォーマットを直接出力できます。 これにより、インテル ® アーキテクチャーに基 づく組込み機器を開発している当社のお客様 は、迅速にレビュー結果を入手できるようにな ります。なお、図研のサポート Web サイトから モジュールをダウンロードでき、当社のユー ザーは無償にてご利用になれます。 した設計になります。つまり、設計者が配慮し 平山氏 近年では、より高機能で、より高性 します。インテルは、このような次世代型の組 能な組込み機器が求められています。組込 なければならないことはどんどん増加していき ます。そのような中で作り込まれた複雑な回 路図を迅速にレビューしてもらうという意味で も、当社のファイル出力モジュールが大きく貢 献できると考えています。 本間 今後は、センサーで膨大な情報を取り 込んだり、ネットワークにつながって機器同士 で大量の情報をやり取りしたり、優れた処理 株式会社図研 事業戦略室 室長 平山 守 氏 能力を生かしてユーザーに役立つ情報を抽出 するといった高度な組込み機器が次々と登場 込み機器の概念を『インテリジェント・システ ム』と呼んでいますが、株式会社図研の先進 的な EDA ソリューションやレビュー用ファイル 出力モジュールがインテリジェント・システム の開発をさらに促進することでしょう。 松澤氏 特に高度な組込み機器では、今後 さらにボード上の配線の高速化が進み、また 実装技術も複雑に組み合わさった高密度な 今までにないボード設計が求められてきます。 例えば高速化では、PCIe* での複数レーンの 高速差動バス等長や角度対応、多ピンチップ の引き出し(ファン・アウト・ルーター)などで す。高密度実装では部品内蔵基板や PinP 、 PonP、SiP などの最先端実装技術対応です。 当社ではこれらの技術に迅速に対応するた め、CR-8000 シリーズに新たに Design Force を投入しました。これにより、早期にハイクオリ ティなボードを仕上げられる EDA ソリューショ ンの拡充を図っていきます。 株式会社図研 技術本部 EE セクション EE1 グループ・リーダー 朝倉 英二 氏 本間 さて、Intel Schematic Review 用 EDIF 出力プログラムがリリースされてから数ヶ月が 経過しましたが、その後の反響はいかがです か。 松澤氏 日本はもとより、海 外からの 問い 図研ユーザーのニーズに対して当社も確実に 追従できるからです。もちろん、インテルの日 本法人としてみれば、日本のお客様に対する サービス向上が第一ではありますが、日本の お客様も欧米やアジアなどでグローバルに活 躍していますので、グローバルでのサービス 合わせが増えています。特に英語の発表資 品質向上はとても意味があると考えています。 います。EMS( Electronics Manufacturing 松澤氏 日本のエレクトロニクス企業がグ 料をご覧になった台湾のお客様が目立って Service )のような形態で情報家電などの開 発や製造を受託している企業が多いためで す。当社の EDA ソリューションは、日本語と英 語のユーザー・インターフェイスを提供してい ますが、マニュアルや技術資料はできる限り、 現地の言語版を用意するように心がけていま す。例えば、台湾ではトレーニング用のテキス トとして中国語版を用意していますし、サポー トで使用している資料や提案も中国語版と なっています。今後は、海外での展開にも期 待できそうです。 ローバル化を進めていくことはもちろん重要で すが、それと同時に日本企業としてのプレゼン で、日本ならではの『モノづくり』の実現に貢 献できると考えています。実際、海外のお客 様も日本の最新技術を使いたいがために、当 社の EDA ソリューションに移行しているケース が見受けられます。 本間 インテル ® アーキテクチャーに基づく組 込み機器は、グローバルや標準仕様というイ メージが強いかもしれませんが、それだけでは に見てもかなり進んでいます。部品内蔵基板 ません。日本ならではの実装技術やデバイス、 ています。例えば、日本の実装技術は世界的 やエニーレイヤー基板、高度なリジッドフレキ 基板技術などをフルに活用し、マルチボード の概念を入れた組み合わせ、システムにする ことで、より魅力的なエレクトロニクス製品を 世界に先駆けて開発していけると思います。 平山氏 最近のエレクトロニクス製品は、あ る程度の組み合わせだけで比較的容易に作 テルは、回路図レビューサービスをグローバ の中で日本らしさを発揮するとしたら、それは ルに提供していますので、世界各国における らの最新技術をいち早くサポートしていますの スをしっかりと示していくことも重要だと考え 本間 海外に展開する際には、グローバル企 業であるインテルの強みが発揮されます。イン バイスなどをいかに盛り込んでいくかにかかっ ています。当社の EDA ソリューションは、これ れてしまうものが多くなっています。しかし、そ 金太郎飴のような特徴のない製品しか生まれ そして『すりあわせ』の設計手法を上手に組 み合わせることで、標準という枠組みだけに とどまらない、さらなる価値を生み出すよう な、独自性のある組込み機器を積極的に開 発していく必要があるでしょう。今後、さまざ まなインテリジェント・システムを実現していく 上で、インテル ® アーキテクチャーと図研の EDA ソリューションの組み合わせがいっそう力 を発揮してくれることを心より願っています。 松澤がいったような日本独自の実装技術やデ インテル株式会社 〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル5階 www.intel.co.jp Intel、インテル、Intel ロゴ、インテル Atom、Intel Atom Inside は、アメリカ 合衆国およびその他の国における Intel Corporation の商標です。 Microsoft、Windows、Windows ロゴは、米国およびその他の国における Microsoft Corporation の商標または登録商標です。 * その他の社名および商品名、サービス名は各社の商標または登録商標です。 インテル ® ハイパースレッディング・テクノロジーを利用するには、インテル ® ハイパースレッディング・テクノロジーに対応したインテル ® プロセッサーを搭載したコンピューター・システム、および同技術に対応した チップセットと BIOS 、OS が必要です。性能は、使用するハードウェアやソフトウェアによって異なります。インテル ® ハイパースレッディング・テクノロジーに対応したプロセッサーの情報など、詳細については http://www.intel.co.jp/jp/products/ht/hyperthreading_more.htm を参照してください。 本冊子は情報提供のみを目的としています。すべての情報は、明示、非明示にかかわらず、現状のまま提供されるにすぎず、何らの保証もいたしません。また本 資料に含まれる情報の誤りや、それによって生じるいかなるトラブ ル(PC パーツの破損などを含むがこれらに限られない)に対しても一切の責任と 補償義務を負いません。本冊子に掲載されている内容は、予告なく変更されるこ とがあります。 株式会社図研のソリューションおよびサービスは、インテルによって管理され ているものではありません。そこで提供されている内容をインテルは特に保証し ていません。 ©2012, Intel Corporation. 無断での引用、転載を禁じます。 327289-001 JPN/1205/2000/CB/CCBG/MT