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学生プレーワーカー育成・派遣システム構築事業
事 業 提 案 企 画 書 提案団体名 福岡プレーパークの会 提案事業の名称 学生プレーワーカー育成・派遣システム構築事業 提案事業の目的 本提案事業は、大学生を対象としたネットワーク型「人材育成」と、その大 学生とプロジェクトチームの派遣による「現場活性化」を目的とする。人材 育成に関しては、既に当団体が 3 年間実施した「学生プレーワーカー育成講 座」のノウハウを基盤とし、ネットワーク化を最大限に活かした人材育成プ ログラムを実施する。また、学生プレーワーカーの現場派遣に加え、既に「放 課後等の遊び場づくり事業」に携わってきた当団体のプレーワーカー等から なるプロジェクトチームを結成し、各現場スタッフ等への支援(現場への参 加や講座の実施)を行う。 課題の緊急性・重要 1.解決する課題 性(市民ニーズを含 子どもを取り巻く環境は年々厳しさを増している。とりわけ子どもの遊び の現状は深刻で、子どもが自由に遊べる時間や空間は減少の一途を辿る。そ む) れに伴い、子どもの遊び集団は弱体化せざるを得ない。 そのような課題背景を元に、本市でも「放課後等の遊び場づくり事業」が 実施され、一定の効果は得ている。しかしながら、ただ「場」があればいい というわけではなく、その場を魅力的にし、子どもの遊びの可能性を広げて いく「人」の存在は欠かせない。その人材の育成こそが、現在の事業の喫緊 の課題であると言える。 2.市民ニーズ 子どもを巻き込む交通事故の多発や地域界隈での不審者問題等、子どもの 周りに迫る危険がメディアを通じて広く知れ渡るようになった。子どもの安 全・安心を求める余り、子どもは大人によって管理された空間に囲い込まれ、 さらにゲームの普及も手伝って、子どもは益々地域で自由に遊びづらい状況 となっていく。そのような現状に対し、今保護者を中心とした市民は、大き な危機感を抱いている。子どもがもっと自由に活き活きと遊べる場が必要な のではないか、と。 もちろん、根本的な課題解決には、地域で子どもが自由に遊べるような地 域環境の変革が必要だが、それを待っていては、今を生きる子どもたちの遊 びを刻々と奪ってしまうばかりである。 「少なくとも小学校のグラウンドだけ でも自由に遊べるように」というニーズが出てくるのは、当然の発想と言え るのではないだろうか。実際に当団体スタッフが放課後等の遊び場づくり事 業に携わる中でも、親から「学校で遊べるので安心」 「(事業を通して)友だ ちが増えた、子どもが元気になった」という声も聞こえてきており、市民の ニーズは十分にあると考える。 3.課題解決の方策 子どもが自由に活き活きと遊ぶ空間・時間・仲間を取り戻すためには、た だ「場」があればいいわけではない。そこに関わる「人」が重要である。そ の際、その遊び場が大人によって「管理」される遊び場になってしまっては 本末転倒である。本来の子どもの主体性に溢れた遊び場を取り戻していくた めには、いかに「管理型遊び場」から脱却し、子どもの自発性・創造性に富 んだ「自由な遊び場」を目指していくことができるかという点にかかってい る。遊び場に関わる「人」は、そのような発想の元、それを実現していくこ とのできるスキル・経験を備えている必要があると言えよう。 そのような人材の確保のためには、どのような方法が考えられるだろうか。 そこで、大学生(大学院生含む)に注目したい。大学生は子どもの遊びの場 にとって、非常に貴重で魅力的な存在である。年齢が近いからこそ子どもと 関係性を切り結びやすく、子どもと同じ目線で遊びに没頭することもできる その在り様は、 「子ども主体の自由な遊び場」を展開していく際にはもってこ いの存在である。 よって当事業では、 「放課後等の遊び場づくり事業」に派遣する大学生の人 材育成に取り組む。当人材育成はネットワーク型の育成方式をとるが、その 詳細は下記に記したい。 また、学生だけでは十分に手が届かない部分に関しては、既に「放課後等 の遊び場づくり事業」の現場に携わってきたメンバーを中心にプロジェクト チームを結成し、大学生プレーワーカーの人材育成への寄与はもちろん、実 際に各現場に入って遊びを活性化させるとともに、各現場スタッフへの講 座・ワークショップを通して遊び場の支援に尽力する。 1.共働の必要性と相乗効果 共働の必要性 (共働の役割分担を 今後、遊びの重要性に関する認識が広まり、安全で安心な遊び場を求め 含む) る声が一層高まることが予想される中、今の段階で、遊び場に関わる人材 を拡大することの重要性(緊急性)を強く感じている。それに当たって、大 学生たちに広く呼びかけ、人材を拡大していくためには、行政の支援は欠か せない。 「放課後等の遊び場づくり事業」の骨格や各現場との調整、広報活動 等のハード面は行政に委ねつつも、大学生対象の人材育成や現場で子どもた ちの遊びにどのように関わるかといった支援の形の確立等のソフト面に、当 団体が力を注ぎたい。そのような共働によって、互いのメリットがあると考 える。当団体としては、団体単独では実践の場が限られてしまうものの、遊 び場づくり事業という既存の事業と組むことにより、当団体の取り組む人材 育成のフィールドが確保されるとともに、育った人材の活躍の場が広がる。 一方、行政にとっては、当団体のノウハウや人材を最大限に活かして、遊び 場づくり事業の現場を活性化できるであろう。両者がそれぞれにできること を推し進め、互いにフィードバックし合いながら、事業全体を改善し進めて いくことが、 「放課後等の遊び場づくり事業」の成功の鍵であると感じている。 2.提案団体が果たそうとする役割 当団体が担うべき役割は 3 点にまとめられる。 ①大学生対象の人材育成・派遣の実施:詳細は「事業の内容」に記載してあ るが、当団体が既に 3 年間実施してきた「大学生プレーワーカー育成講座」 のノウハウを十分に生かし、大学生だからこそ必要なスキル・考え方を伝え ることで、 「放課後等の遊び場づくり事業」に適した人材を育成し、それぞれ の現場に適した大学生プレーワーカーの派遣を行う。 ②大学生への広報:この点は行政に役割を委ねる部分もあるが、既に形成さ れてきた大学生ネットワークを活用し、大学生同士の口コミで参加者を増や していきたい。大学生への広報に関して、大学を通じた総体的な広報よりも、 口コミでの広報の方が効果的であることをここ数年の経験から感じる。その 広報が有効に機能するためにも、各大学の軸になる学生担当学生の養成も現 在当団体において取り組んでいるため、既存のネットワーク&各大学担当学 生の存在もフル活用したい。 ③現場の支援・活性化:現場での子どもの遊びの活性化に関しては、当団体 が発足当時からの一番の強みである部分である。団体発足前から継続的に子 どもの遊びに関わり続けてきた専門スタッフだからこそ、スタッフ自らが子 どもの遊びに関わり、起爆剤的存在として遊びを盛り上げることもあれば、 子ども同士を繋ぎ、遊び集団形成を支援することもある。また、各現場の方々 への講座・ワークショップを行うことで、子ども観・遊び観を共有しながら、 事業の内容 現場を活性化させることにも寄与できる。 このように、①大学生人材育成・派遣、②既存の大学生ネットワーク&各 大学担当学生の活用、③豊富な経験を有したスタッフの現場の支援・活性化 が、当団体の主な役割であると考える。 3.福岡市に期待する役割 これまでの活動同様、こども未来局こども部こども育成課との共働を希望 する。具体的には、課題シートに掲載されている3点はもちろんのこと、大 学生プレーワーカー候補生を募集するための広報、さらには、大学生同士の ミーティング会場の確保を行政にしていただきたい。また、現場となる小学 校や現場責任者たちとの連携を密にするためにも、各区青少年育成コーディ ネーターとも共働したい。 4.福岡市の担当の担当部署と何らかのかかわりがある場合は、その部署名、 経緯及び内容 ・こども未来局こども育成課 放課後等の遊び場づくり事業へのプレー ワーカー派遣 ・こども未来局こども育成課 新・放課後等の遊び場づくりモデル事業 検討提案会議委員への就任 ■事業1)大学生プレーワーカー人材育成・現場派遣 目標:ネットワーク形成を基盤とした大学生プレーワーカーの人材育成を行 うとともに、大学生で現場チームを編成し、現場に派遣する。 成果:ネットワーク形成により、継続的な人材の確保と継承を見込める(並 行して各大学の学生コーディネーターも育成) 。7 現場(各区 1 校予定)×5 人チームで、最終的に 35 人の学生の人材育成を想定。 内容:既に 3 年間取り組んできた「大学生プレーワーカー育成講座」のノウ ハウを生かし、発展的に事業を拡大したい。具体的な講座としては、 「①遊び 論」「②子どもの遊びに関わる大人の役割」「③リスクマネージメント」の 3 講座を基軸とし、学生からの質問や現場での悩みに答えたり議論したりする 学生参加型の講座(月例会)も行なう。 また、既存の学生ネットワークも十分に活用する。事業1においては、ネッ トワーク化が極めて重要である。個人を育ててただ派遣するのではなく、学 生同士で繋がりを作り、切磋琢磨しながら現場に関わっていく形を目指した い。その重要性は大きく2つ挙げられる。1つは、育ち盛りの吸収力の大学 生だからこそ、互いに刺激をし合うことが育成に大きく寄与するから。もう 1つは、遊びの現場では、関わる大人同士の臨機応変な役割分担が必要であ り、そのための関係性の構築に繋がるからである。その際、 「学生ネットワー クコーディネーター」が学生たちとのきめ細やかなやり取りを通して学生と 関係を築き、学生同士のネットワーク形成の媒介者となる。月例会のコーデ ィネート等も行う。 このように、学生ネットワーク化を意識しつつ、基軸3講座と月例会(12 回)を経ながら、各現場の学生チーム(5 人)を編成し、週 1 回のペースで 3 人を現場に派遣する。また派遣前には、現場研修も行う。 実施期間:2011 年 4 月~2012 年 3 月。派遣準備の整った現場から随時実施す る。学期ごとに時期を区分し、 【第 1 期】には 2 校、 【第 2 期】には 3 校、 【第 3 期】には 2 校を目安に現場派遣を行いたい。 【第 1 期】に関しては、既に当 団体の「大学生プレーワーカー育成講座」受講生を中心に現場に派遣する。 また、 【第 2 期】以降に関しては、第 1 期期間中に育成に向けた 3 講座を行う とともに、現場研修等も含めて育成を行う。 参加予定者:福岡市内・周辺の大学生・大学院生 35 名程度(既に九州大学、 福岡大学、西南学院大学、福岡女学院大学、九州産業大学、福岡教育大学と は繋がりあり) 実施場所:講座会場は福岡市役所内の施設を使用希望。現場実習に関しては、 現在事業が開催されている 7 校。 予算額:現場派遣手当、講座・月例会・現場研修交通費、学生ネットワーク コーディネーター賃金&交通費、育成講座講師謝金等 ■事業2)プロジェクトチームによる現場支援 目標:現場の活性化と現場スタッフ支援(啓発講座、現場サポート、地域に おける人材発掘) 成果:現場の子どもたちの遊びの活性化と、学生プレーワーカーを現場に繋 ぐとともに継続的育成に関与する。また、地域の人たちで現場を回していけ るような仕組みへも寄与したい。 内容:これまでに現場に携わってきたプレーワーカー、大学生ネットワーク のコーディネーター等から編成するプロジェクトチームを形成する。役割と して大きく 4 つ。まずは大学生プレーワーカーのスーパーバイズを行う。育 成講座自体の講師を務めることはもちろん、学生派遣後の現場にも巡回して 入り、ともに遊び場に関わることで「関わりのモデル」を見せるとともに、 大学生へのアドバイスを行う。二つ目は、そもそもそのプロジェクトチーム が現場に入ることによる遊びの活性化である。上記 2 点に関して、現場派遣 実施後 1 ヶ月は毎週プレーワーカーが参入し、その後は月 1 回ペースで現場 に参入する予定である。三つ目は、現場スタッフへの支援である。啓発講座 やワークショップ等を行い、子どもの遊びの現場において大切なことを共有 する。四つ目は、各現場の保護者(見守りサポーター等)へのワークショッ プ等の開催である。当事業の理解と支援の拡大を図るとともに、いずれ地域 の大人が現場を回していくための人材発掘も視野に入れる。 実施期間:2011 年 4 月~2012 年 3 月 実施場所:学生の現場派遣を行う 7 校とその地域 予算額:機材レンタル費、プレーワーカー手当、啓発講座講師謝金等 事業の実施体制 総括責任者:古賀彩子 ①プレーワーカー:古賀彩子、折居引滋 →プレーワーカーとして長年子どもの遊びの現場に関わってきた。 ②大学生ネットワークコーディネーター:山下智也、野島智司、本田大樹 ③各大学担当学生:蔀風花・梯愛依子(九州大学) 、満尾彩希(西南学院大学) 、 本田大樹(九州産業大学) 、安藤仁美(福岡教育大学) →2010 年度はパナソニック NPO サポートファンドの助成を受け、コーディ ネーター育成講座を受講し、多くの現場の視察や自主企画シンポジウ ム・プレーパークの実施を通してネットワークを広げてきた。 ④アドバイザー:南博文(九州大学大学院教授、専門:環境心理学)、那須信 樹(中村学園大学教授、専門:幼児保育) →両先生ともに子どもの実践・研究に携わっており、子どもに関わる学生 たちとの関わりも深い。 ■事業1に関しては、①②が責任者となり、③④のサポートを受ける。 ■事業2に関しては、①が責任者となり、④のサポートを受ける。 事業スケジュール ■事業1)大学生プレーワーカー人材育成・現場派遣 第1期:市内及び周辺の大学生への広報、各現場への周知 前年度大学生プレーワーカー育成講座受講生の現場参加 2 校 第2期:新受講生対象の講座実施後、現場実習・派遣スタート 3 校 第3期:さらに 2 校の現場派遣と来年度に向けた体制づくり その他、早いうちに基軸 3 講座の実施と月例会の開催を行う ■事業2)プロジェクトチームによる現場支援 第1期:各現場の責任者・補助員への啓発講座実施(子ども観・遊び 観の共有と、大学生参加の周知)と 2 校への現場参入 第2期:遊びの現場を循環し、大学生チームサポート及び現場活性化 第3期:引き続き現場循環、プロジェクトチームの人員増を目指す 地 域 や 他 団 体 と の 事業の実施においては、実施校及び保護者、地域団体との連携を密にし、 連携 ワークショップ等を行い、各地域における協力体制の構築に努める。また、 きんしゃいきゃんぱす、リトルハンズ、リック(以上九大) 、九産大冒険王、 福大児童文化研究会等の子どもに関わる大学生サークルとの連携し、人材の 呼びかけを行なう。 事 業 の 展 望 及 び 今 中期目標としては、現場への大学生派遣を継続的に行えるよう、大学生同 後の活動展開 士の縦関係も含めたネットワークの構築をさらに強化する。また、プロジェ クトチームの各現場にただ循環するだけでなく、地域の人々向けのワークシ ョップ等を行なうことを通して、現場を地域の人々でも運営していくことの できるような働きかけをしていきたい。 長期目標としては、この事業で形成された「大学生ネットワーク」を当事 業に限らず、子どもに関わる大学生の人材バンクとして、多くの現場に派遣 していくことのできるようなシステムへと発展させたい。