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自 愛 分 の - 石原加受子の自分中心心理学 オールイズワン
禁無断転載 All is One e-books ③ 自 分 の 愛 contents エッセイ/苦労を選ぶ人、選ばない人 読者の声・受信発信 ボクは中学生です 中学生くん 自分中心感覚を身につけたい 学生Tさん やりたいことを見つけたい 32歳女性 理論的思考ができなくなった ? Iさん 石原加受子の自分中心心理学・応用編 自分を愛するか、相手を愛するか 1 禁無断転載 All is One e-books ③ エ ッ セ イ 苦労を選ぶ人、選ばない人 もし、あなたが、たびたび人生のその時々で繰り返し困難に出合うとした ら、あなたがいま歩いている道そのものが「困難な道」であるかも知れない と考えたことはあるだろうか。 私は心理療法に携わって23年(2010年現在)ほどになる。 厳密に数えたことはないけれども、延べ人数でいえば、恐らく1万件を越 える相談件数になるだろう。 幸いなことに、長年つきあってくださる会員さんが多いので、そんな方々 の人生を見届けて、確認することができる位置にいる。 そんな数多くの人の人生に触れて気づく共通点は、ひとつは「自分がそう 信じている人生になっている」ということである。 人生は甘くない。 厳しい。 辛い。 人生は困難と波乱に満ちている。 困難を乗り越えなけらば幸福になれない。 だからいまは、我慢しなければならない。 だからいまは、苦しみに耐えなければならない。 もし、あなたがそう信じてるとしたら、あなたの人生は高い確率でもって そうなるだろう。 なぜならそれは、あなた自身が、自分が信じてる通りの人生に仕立ててい くからである。 例えば、自分がやりたくないものを強制されて「5時間やらなければなら ない」としたら、それは、苦痛に満ちた5時間になる。 反対に、それを自分がやりたいからやっているとしたら、その5時間は至 福の時間となる。 2 禁無断転載 All is One e-books ③ エ ッ セ イ 同じ忍耐力を発揮するとしても、前者は「苦痛」となり、後者は「歓び」 となる。 もしこのとき「困難な道」を選んでいる人が、「歓びの5時間」を選ぶと したら、 「こんなに楽であっていいのだろうか」 と疑問を抱いたり、 「こんなに楽しんではいけない」 などと、自分を責めたくなるだろう。 結局、 「困難な道」を選んでいる人は、自ら、苦痛を自分に強いて、前者 のような忍耐を選ぼうとする。 つまり、わざわざ「楽な道」を避けて歩くのである。 だからまず「人生は厳しい」という思い込みから抜け出そう。 手初めに、 「人生は、もしかしたら、そんなに厳しいものではないのかも知れない」 と心の中でつぶやくだけでもいい。 こんなささやかなつぶやきだけで、「人生は厳しい」という固い枠に揺さ ぶりをかけたことになる。 ごくごく小さなことかも知れないが、ふと、そんな疑問を抱くだけで、状 況は、微妙に変わってくるのである。 このテーマについては、これからも、折に触れて語っていきたいと思う。 3 禁無断転載 All is One e-books ③ 読者の声・受信発信 ボクは中学生です 中学生くん ボクは中学生です。 このごろ何をしたいかわかりません。 でも、目の前にはやらなければならない課題がたくさん。 それをわかっていても、手がつけられず、ただなんとなく時間が過ぎています。なにも かもが面倒くさくなってるような感じがします。 こういうときどうしたらいいんでしょうか? ◎返信 こんなメールをいただいたとき、感情的になる場面を尋ねました。具体的な言動の場 面と、 「やらなければならない課題がたくさんあっても、手がつけられず、何もかも面倒 くさい」こととは、大いに関係があるからです。 こんな状態になっているときは、恐らく、マイナス感情を抑えている可能性があります。 感情を抑えていると、感情を抑えることで精一杯になります。これだけで、かなりの エネルギーを要します。 感情を抑えるために、かえって抑えようとしても抑えきれない感情に振り回されたり、 感情を解消できずに苛立ったりするのです。 そうやって感情に囚われているために、他のことに集中できなくなってしまうのです。 では、なぜ抑えるのでしょうか。 それは、 「主張することを恐れているからではないか」 そんな推測ができます。 ○返信の返信 いつものことなんですが、僕には妹がいます。 その妹は、僕に取ってほしいものを頼むのですが、僕がそれを取って渡しても、妹は それが当然のように、なにも言わず、おしまいです。 4 禁無断転載 All is One e-books ③ 読者の声・受信発信 妹「リモコン取ってー。 」 自分「OK。はい。 」 といって渡す。 妹「……」 といった感じです。 それにイラッとくることがあります。 ◎返信の返信の返信 あなたの不満を解消するために、妹さんに、 「自分で取って」 と断ったり、 「ちゃんと、ありがとうと言ってよね」 などと、催促してもいいのではないでしょうか。 こんな小さな不満が、集中力や興味や勉強に影響しているんですよ。 5 禁無断転載 All is One e-books ③ 読者の声・受信発信 自分中心感覚を身につけたい 学生Tさん いつも楽しくメルマガを読ませて頂いております。 奈良在住の学生、Tと申します。 初めてこのメルマガを見た時に、直感的に惹かれるものがあり、以来、毎回熱心に購読 させていただいております。 私は他人の目が気になって仕方ないんです。 人ごみのなかにいくと、みんなが自分を見ているんじゃないかと、恐怖感に襲われます。 「自分中心」ときいて、やはり抵抗がありました。 他者中心で生きてる証拠ですね。o(* ¯ ∇ ¯*)o 石原さんのメルマガで自分中心感覚を少しでも身につけようと、努力しています !! いまはまだなかなか身につけられていませんが、これから努力して、石原さんがおっしゃ る感覚を会得していきたいと思います。 また、今は学生でお金がなく無理なのですが、将来的に、石原さんが主催されている、 セミナー等にも参加していきたいと思っております。 これからも応援しておりますので、がんばってください。 ◎返信 「みんなが自分を見ているんじゃないか」 と気になる。特に男性に多い相談です。Tさんだけでなく、最近増えているんですよ。 やり方はいろいろあります。そのすべてを紹介することはできませんが、まず、一つだ け実践してみてください。 それは、 「選択の責任」という捉え方です。 この「選択の責任」というのは、厳密に具体的な事柄と「思いや感情」など形に見えな いものを分けて考え、 「私の生き方を認める」「相手の生き方を認める」ための基本概念で す。これが愛情の基本といっても過言ではありません。 この例でいうと、Tさんは、周囲の人によって、具体的な事柄では傷つけられていませ 6 禁無断転載 All is One e-books ③ 読者の声・受信発信 ん(もちろん、例えば頭をポカリと殴られたのなら、ちゃんと主張すべきです)。 《相手(周囲の人)がTさんを「見る、見ない」は相手の自由。頭の中でTさんについて 何を考えようが、それも勝手》 という捉え方をします。 だから、Tさんは、この「選択の責任」を身につける練習として、こう呟いてほしいも のです。 「相手が僕を心の中でヘンに思おうが、どう思おうが、それは相手の自由だ。それは僕と は直接は関係ないことだ」 これは自分の立場からいうと、 「私がどんなヘンな格好をしていようと、周囲に迷惑を掛けていない限り、私の自由だ」 と「自分を認める」意識ともいえるものです。 ですから、 「選択の責任」の練習は、本当は、自分を認める作業なのです。(自分を認め ることができていないと、相手の頭の中まで気になっていくのですよ) 7 禁無断転載 All is One e-books ③ 読者の声・受信発信 やりたいことを見つけたい 32 歳女性 『願いがかなう人になるシンプルな方法』が本屋で目にとまりすぐ買いました。 無気力、やる気がないことが多い自分……感情にふたをすることが多かったんだなと気 づけました。 ありがとうございます。 簡単な相談なら誌上で答えていただけるとの文を見て、メールさせていただきました。 私は32歳、娘が11歳と10歳の母子家庭です。 現在、生活保護をいただいて生活しています。 いろんなことがあり、生活保護をいただくことになったのですが、それが後ろめたいの です。 離婚してから、フルタイムで働いてがんばったこともありました。 でも、子供に八つ当たりをするなどうまくいきませんでした。 今はそんな自分を認めながら、やりたいことを見つけていこうと思うのですが実感がな くて……。 今PTAの役員もしてますが、これも自信がありません。 父は私が小学生の時に蒸発し、兄弟が四人いて、私自身母子家庭で育ちました。 今現在も弟が、アルコール中毒で親や兄弟が苦しんでいます。 私は自分の子供を守りたいし、 もうそういうことにかかわる必要はないと思っています。 やりたいことをみつけて、生き生きと自信を持って生きたいです。 ◎返信 まず、 「生活保護」を受けていることを後ろめたく思わないことです。「思わないで」と 言っても、それは無理ですから、 「生活保護を受けられて、ありがたいなあ。ありがとう」 という気持ちをもちましょう。 8 禁無断転載 All is One e-books ③ 読者の声・受信発信 「後ろめたいなあ」と「ありがとう」では、どちらのほうが肯定的になりますか。 言うまでもありませんね。 小さい頃、愛情を注いでもらえませんでした。 どこかで、その愛情をもらう必要があります。 (本当は、愛は与えたりもらったりするものではなく、感じ合うものですが) けれども、親にそれを求めるのは、このメールでは、無理なようですね。 だから、いま、あなたは、親以外の人から、愛情を注いでもらっているのです。後ろめ たく思うより、 「ありがとう」という気持ちを感じたほうが、はるかに愛情を得ている気 持ちになるのではないでしょうか。 そう感じることがまた、あなたの過去の癒しにもなるはずです。 もうひとつ、まず子供より、自分を優先させることを、一日ひとつでもいいから実行し ましょう。 自分で自分の願いをかなえてあげることです。これは、自分で自分を愛してあげること なんです。 そして自分の願いをかなえてあげるために、言語を用いましょう。 子供たちに、 「お母さんは、もう、今日は疲れたから、料理はしたくないの。だから、夕食は、買って きたお弁当にしたいんだ。たまにはこんなふうに休憩したほうが、元気がでるんだ」 といった具合です。 こうやって親子で交わす会話のやりとりが、「愛情の時間」なんですよ。 さらにまた、これが「抑えていた感情を取り戻す。抑えていた感情を解放してあげる」 作業にもなります。 その積み重ねの延長に、 「やりたいことがみつかる」のです。 9 禁無断転載 All is One e-books ③ 読者の声・受信発信 理論的思考ができなくなった ? Iさん メルマガで、よくしゃべる人は左脳を使う人だと書いてあったのを読みました。 私は大人になってから、どちらかというと頭でっかちで、理屈っぽかったと思います。 先生の本などを読んでから、ここ数年なるべく感情に耳をかたむけるようにしてきて、 以前に比べると自分の気持ちに従えば、自ずと答えが出てくると感じるようになりました。 そのことと関係あるのか、このところ、話をするときにあまり論理的な思考ができなく なった気がするのです。 あまり考えなくなったというか。 これって、単なるボケなのかどうなのかと、ちょっと気になる今日この頃です。 ◎返信 「自分中心」心理学では、思考を、大きく二つに分けて、立体思考(アナログ思考)と、 平面思考(デジタル思考)と呼んでいます。 例えば、球体があって、球体のその一部について語るとき、その一部だけでなく、それ が球体の一部であることも認識した上で、語る。 こんな高次の思考を「立体思考」と呼んでいます。 立体思考は、全体があって、そこから理論立てていきます。 一方、球体の一部を語るとき、その一部が、「実は球体であること」が見えずに、その 一部がすべてであるかのように語る。 これを平面思考と呼んでいます。 平面思考は、全体が見えないために、起承転結がなく尻切れトンボになりがちですが、 一部を実に鮮明に語るのが得意です。 私の感覚でいえば、この立体思考と平面思考では、どうも、異なる部分の脳を使ってい るような気がするのです。 10 禁無断転載 All is One e-books ③ 読者の声・受信発信 立体思考はどちらかといえば、右脳的で、平面思考は左脳的です。 抽象的、概念的、哲学的といった思考は、立体思考といえるでしょう。 右脳型の人が、抽象的、概念的な話(立体思考)だと、立て板に水のごとく話すのに、 平面思考を言葉にしようとすると、途端に言葉が縺れたり、うまく回りにくかったり、詰 まったりするのは、その立体イメージと立体思考を、平面の言語に変換することができに くいからのようです。 (これは私自身の脳の感覚的な違いを、経験則で言っています。) サンマさんのトークのように、おもしろおかしく語ることができる。これは平面思考の 得意技のようです。 それは映画という平面の映像を追いながら、それをそのまま言葉にしています。 「井戸端会議でよく喋る」 というのも、この平面思考です。だから、とりとめがありません。 Iさんが言っている「昔は理論的だった」というのは、どちらかといえば、この平面思 考(デジタル思考)ではないでしょうか。 「自分中心」になっていくと、次第に「立体思考」が育ってきます。高次の思考ができ るようになるのです。 ところが、今まで、平面思考で語っていたのが、いきなり立体思考の回路ができてしまっ たために、その立体思考を、平面の言語で説明するとき、混乱するのではないでしょうか。 だからIさんは、 「理論的でなくなった」というより、むしろ高次の理論的思考ができ るようになっているのではないでしょうか。 それは、よりレベルの高い意識と言い換えてもいいでしょう。 ところで、もうひとつ、この立体思考は「感情」と関係があります。 一般的に高次の意識は右脳と関係があるように思われていますが、右脳が突出するだけ では、この立体思考は育たないようなのです。 立体思考には感情脳の解放が不可欠で、感情が解放されればされるほど、この高次の能 力が高くなっていきます。 11 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 自分を愛するか、相手を愛するか 「自分が犠牲になる」という点について書いてほしいという話をいただいた。 私自身が、もともと「同情の支配」に極端に弱かったせいもあり、また、自分中心心理 学での分類では、 「犠牲者」を自認してもいる。 ただし、最近は、新刊でも書いているように、自分が納得する範囲での犠牲者であろう と努力している。 ときには、意識して「暴君者」にもなってみたい。 また次の新しい本に向けて、原稿執筆がスタートする。 このときは、私の挑戦として、「暴君者モード」で書き進めてみたい。 自分の中にある、それぞれの要素を「認めたい。受け入れたい」 。 さらにそれらを活かしたいからである。 「さて、何を題材に ?」 恋愛で書くか、家族問題で書くか。 恋愛は「相手が好き」という感情にからめとられて、相手のいいなりになりやすい。こ れを愛情だと勘違いしている人もいる。 家族問題においては、なんといっても、 「同居するかどうか」が、ダントツである。 などとあれこれ思いを巡らしていたとき、ちょうど、共時性で、 「犠牲」というテーマ にあったメールをいただいた。 関係のある部分だけを抜粋させていただく。 《(夫の両親との)同居(または別棟)の話が出るのではないかと不安もよぎります。 私のシンプルな感情では勘弁して欲しいです。外野の声を無視(自分の意見を言えるの か)できるのか、自分の気持ちを大切に出来るか、不安です。 現在も特に離れたところに住んでいるわけではなく車で15分ほどの場所ですし、それ で困るとは思っていません。 12 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 義理家に行くたびに、 「どれだけ自分たちが苦労して生きてきたのか、早くこの家を継いで欲しい、もう疲れた」 と言われてきました。 先日は舅が、夫に、 「親孝行できるときにしておかないと、死んでから後悔するぞ」 と言ったそうです。 以前、私が、 「自分はどうも罪悪感が強いようなんだよね」 と夫に話したところ、 「俺もそうなんだ、なんでだろう」 と言っていたのを思い出します。 長男の夫は幼い頃から「長男だから」という声を耳にしてきたことと思います。 》 典型的な「同情の支配」である。 自立しようとすると、 「同情の支配」で待ったがかかる。 「同情の支配」は、自立することを、許さない。 それぞれが抱き合い、もたれ合っているために、 「私が、自立しよう」とすると、激し い罪悪感にさいなまれる。 「同情の支配」は、残酷である。 「同情の支配」が高じれば高じるほど、貧困、精神的病気、肉体的病気に見舞われる。 「こんなにつつましく、悪いこともせず、人を思いやり、隣近所にも腰が低く、親切に善 良に生きているのに、なぜ ?」 とその人は呻吟する。 (つづく) ◇ 前回、 「同情の支配」は、残酷である。 この「同情の支配」が高じれば高じるほど、貧困、 精神的病気、 肉体的病気に見舞われる。 「こんなにつつましく、悪いこともせず、人を思いやり、隣近所にも腰が低く、親切に善 13 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 良に生きているのに、なぜ ?」 とその人は呻吟する。 というようなことを書いた。 それに対して、こんな声をいただいた。 「同情は、日本人の美徳なんじゃないですか。どうして同情が悪いんですか」 「同情が悪い」 というつもりは、まったくない。 そもそも私自身が自分のテーマとして絶えず意識しているのは、「良い悪い」「正しい正 しくない」といった価値判断ではない。 それが 「良いのか悪いのか」 「正しいのか間違っているのか」 の絶対的な基準はないと思っ ているからだ。 それは人によっても異なる。 無意識の観点から見れば、なおさら、一見、悪いことが起こっているように見えて、そ こにもメリットがあるからだ。 (もちろん、「相手を認める私を認める」という「選択の責任」は、前提としている。) だから私は、 「私自身が、それをやっていて、つらいかどうか」 という見方(感じ方)を基準にしたいのだ。 さらに重要なのは、 「そして、その結果、どうなったか」 である。 「それが正しくても、どんなに愛していても、その結果どうなったか。その結果が、自分 にとってつらいのか、幸せなのか、満足なのか」 ここで言えば、 「同情の支配をしたり、私が同情の支配に乗ってしまうと、嬉しいか、楽しいか、辛いか、 苦しいか」 が基準となる。 14 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 そして、同情の「結果」として、 「状況が良くなったかどうか、物事がうまく進んだかどうか」 この結果も重要である。 「つらい思い、苦しい思いをして、でも、結果として良くなった」 「つらい思い、苦しい思いをして、結果としては悪くなった」 「つらい思い、苦しい思いをして、結果として現状維持」 「つらい思い、苦しい思いをしないで、結果として悪くなった」 「つらい思い、苦しい思いをしないで、結果として良くなった」 「つらい思い、苦しい思いをしないで、結果として現状維持」 どんなやり方をしようが、具体的な可能性としては、上記に列挙したものでしかないだ ろう。(つづく) ◇ 結果のほうが真実とする。 どんな方法をとったのか。 どんなプロセスを経たのか。 それは辛かったのか、楽だったのか。 その結果、どうなったのか。 もちろん理想は、 「つらい思い、苦しい思いをしないで、結果として良くなった」 誰もが望むところだろう。 (とは言いつつも、多くの人が、無意識の点からいえば、 「苦労しないで良くなる」ことを、 心から望んではいない。 ) 机上の空論と捉えられるかも知れないが、理論的には、 「自分中心」であればあるほど、 「楽あれば、楽あり」である。 15 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 「自分が犠牲になるかどうか」という点については、 「私が自覚する」 ほうが望ましい。 「犠牲になるな」 と言っているわけではない。 「犠牲になるのもつらいし、犠牲にならないのも、心が痛む」 ものである。 だから、 「私は、ここまでだったら、犠牲になってもOK」 「ここまでの犠牲には、なりたくない」 という、犠牲になるその範囲を、自分自身が設定できれば、多少迷惑をかけられても、 覚悟できる。少なくとも、その結果を、悔やんだり、相手を恨んだりしなくていい。 しかし本来は、 「私は犠牲にならない」 ほうが、うまくいく。 「私が犠牲になる」ことは、誰かが「それで依存している」ことになる。 (ただし、ここで勘違いしていただきたくないんだけれども、「犠牲になる」意識と、「私 自身が愛をもって協力したい。関わりたい」という意識とは、厳密に分けて捉えています からね。 ) 犠牲になることと、愛をもって育て合うこととは違う。 犠牲になると、結果としてうまくいかない。 愛をもっていれば、歩み寄れる。 (心からの)譲り合う気持ちが育つ。 愛は、結果はうまくいく。 愛か犠牲か同情かわからない。 もちろんだ。 だからこそ、自分の感情と、 「選択の責任」を私は基準にしている。(つづく) ◇ 16 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 私の長年のカウンセリング生活のデータとして導き出した(目下のところの)結論とし て……。 例えば「自分を愛するか、相手を愛するか」という点でいえば、「自分を愛する」ほう を選択したほうが、結果としては、うまくいく。 (ただし、この「私を愛する」ということに関しては、自分の自己肯定感のレベルの「内 的感覚」が大きなウエートを占めるが。) 新聞だったか雑誌だったかで、どんな悩みが多いかのデータをとっていて、最も多いの は職場での人間関係で、次に親族つき合いとなっていた。 最近いただいたメールで、 「夫の実家に泊まるのが苦痛」という相談があった。 これを、 《 「選択の責任」を基準にして「相手を愛するより、自分を愛する」》 というスタンスで捉えると、どうなるか。 まず、 「それぞれが、それぞれの家に帰るのは自由だ」 夫は夫の家に、自分が帰るのは自由。 妻が妻の家に、自分が帰るのは自由。 こうなる。 もちろん、相手の実家にも気持ちよく行きたいという人もいるだろう。そのときは、 「私 が一緒に行きたい」という気持ちを大事にして、「一緒に行く」という行動をする。 これは、欲求(感情)と行動が一致しているから、満足度が高い。 そのメールによれば、 「私は、夫の実家に泊まりたくない」 でも、 「無理して泊まった」 。それが苦痛でならなかった。 他方、本家に行けば、本家の嫁もいる。 そのとき、本家の嫁はこう思っていた。 「わざわざ布団を干して、新しいシーツを用意して、まったくうッ、ただ飯まで、食わせ 17 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 てやんなきゃならないんだからッ」 ところが親しい親友同士だと、まったく同じ状況が、 「会えて嬉しい。泊まってくれて嬉しい」 となる。 親戚づき合いとなると、つらく。 親友だと、嬉しい。 要は、意識の問題である。 上は強制、束縛。べき思考。つまり人間脳の発想。 下は自由と善意や愛情。つまりこれは、感情脳(愛情)からの欲求。 もちろん、嫁姑の問題も、 「自由と善意や愛情」があれば、うまくいくだろう。 それをむずかしくするのは、 「嫁だから、姑だから、長男だから」 という意識。 これをいったん、取り除いてから「選択の責任」で行動してみたほうが、結局は、良い 結果を生むものだ。 (つづく) ◇ 「相手の家に泊まる」という、まったく同じ状況がある。 それが、親しい親友同士だと、 「会えて嬉しい。泊まってくれて嬉しい」 親戚づき合いだと、 「きつい、苦しい」 となる。 もちろん、嫁姑の問題も、 「自由と善意や愛情」があれば、うまくいくだろう。 それをむずかしくするのは、 「嫁だから、姑だから、長男だから」 という意識。 18 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 これをいったん、取り除いてから「選択の責任」で行動してみると、どうなるだろう。 それこそ家庭の在り方はさまざまで、 「婚家に尽くすのが嫁の役目、当たり前」 とばかりに、妻というより、嫁意識が強い妻がいる。 かと思えば、 結婚して〇〇年にもなるのに、いまだ、夫にとっての家庭は、 「妻がいる家庭」 より、実家のほうをファミリーだと思っている人も少なくない。 当然のことながら、その反対もあり得ることで、妻のほうが実家と密着していて、夫は 「収入源」や「種ウマ」の存在でしかない、という夫婦も最近増えてきた。 いったい自分のファミリーはどこなのか。 夫の古いファミリーに、妻が嫁として属するのか。 妻の古いファミリーに、夫が婿として属するのか。 それとも「新しいファミリーに夫と妻があり、これが家族」なのか。 家長制度はとっくに(形の上では)崩壊したのに、違った形で、夫が、あるいは妻が、 生家から離れようとしない。こんな傾向が、いっそう顕著になってきている。 基本は、 「妻と夫と、新しいファミリーを築く」 要は、この意識が、あまりにも希薄……。 基本、軸がしっかりしていなくて、誰が他の人を愛することができるだろうか。 私を愛することができるから、相手を愛することができる。 夫婦が信頼し合えるから、両者の「元家族」を大事にしたいという気持ちが出てくる。 この意識を夫と妻が持って、これを軸にできれば、そこから信頼が生まれ、お互いの「元 家族」を大事にしようという気持ちが芽生えると、私は思うのだけれども、いかがだろう? その選択肢として、前回書いたように、 19 禁無断転載 All is One e-books ③ 石原加受子の自分中心心理学・応用編 「それぞれが、それぞれに、自分の家に帰る」 こんな選択をするのもいい。 「お互いが、お互いの実家に、それぞれ帰る」 そんなことをしたら、とんでもないことになってしまう。 と言うのは、 「頭で思う」こと。 実際に、そんな「嫁・婿」から解放された気持ちで実践してみると、どうなるか。 実行してみると、身勝手になるどころか、心が自由になって、相手に対してもやさしく なれる。 それを実感してほしいと思う。 ここが頭で理解することと、実践してみることの違いである。 (おわり) 20 禁無断転載 All is One e-books ③ オールイズワンのご案内 〒 167-0032 東京都杉並区天沼 3 1 11 ハイシティ荻窪 1F 電話:03-3393-4193(10:00 ∼ 20:00) メールアドレス:[email protected] ホームページ 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