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当日配布資料(4.38MB)

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当日配布資料(4.38MB)
電波吸収性能を有する
ウッドプラスチックコンポジット材
岩手大学工学部
岩手大学農学部
岩手大学工学部
電気電子・情報システム工学科
助教 三浦健司
共生環境課程
教授 関野登
電気電子・情報システム工学科
教授 岡英夫
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
1
研究背景
スマートフォン等の小型携帯端末の爆発的な増加により,公共空間での
2.45 GHz帯Wi-Fiスポットが増加 → 電波輻輳が「つながりにくさ」の原因
無線LAN AP設置数(2013年4月) docomo: 12万箇所: au: 10万箇所 SBM: 24万箇所
都市部では3G/LTE回線より遅い場合も‥
(総務省無線LANビジネス研究会でも問題点として指摘)
無線LANへの期待
「伝送速度に関わらず,つながれば便利」から
「高速でつながる」や「どこでもつながる」に変化
最適な電波カバーエリア構築が必要
(例えば,遠方のWi-Fiスポットからの微弱電波を吸収)
電波吸収をする内装材(壁材,床材)があれば好都合
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
2013年某日の仙台駅1Fでの
無線LANアクセスポイントの検
索状況。検出数23。
2
特に無線LAN電波が混雑してる公共空間
ターミナル駅
国際会議場
国際空港
繁華街
最適な電波カバーエリア構築が必要
(例えば,遠方のWi-Fiスポットからの微弱電波を吸収)
電波吸収をする内装材(壁材,床材)があれば好都合
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
3
過去提案された内装材一体型電波吸収体
従来内装材として使用されているモルタル板等窯業系材料を電波吸収体として
利用する試み
木村他 「内装用一般建材を用いた三層型電波吸収体の基礎的検討」(2005)
ケイカル板
22
モルタル板
課題:高湿度時の水分(誘電率: 80)吸着が
電波吸収体の実効誘電率を大きく増加させ
てしまい,電波吸収性能が変化
11
高湿度環境下においても水分吸着による含水率増加が起きにくく,電波吸収性能
も劣化しにくい,公共空間において景観を損ねない内装用電波吸収体が理想的
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
4
混練型ウッドプラスチック複合材
・木粉,プラスチックを溶融混練
・可塑性の木質系複合材料
・ウッドデッキや羽板などでの商品実績
・プラスチック成形技術(押出・射出成形)を利用した高い形状自由度
・木質系材料でありながら耐水性と耐朽性を有する
ウッドデッキ
ウッドデッキ断面
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
羽板(ルーバー)
5
混練型WPC製品例(国内)
ウッドデッキ
羽板(ルーバー, Louver)
WPCに電波吸収性能を付加することで,屋内
設置でも違和感のない電波吸収体になる可
能性がある
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
6
電波吸収体設置による電波環境改善
電波吸収体
AP
地デジ
AP
AP
地デジ
3G/LTE
AP
3G/LTE
設置場所によっては必ずしも広帯域の吸収性能が望まれている
わけではない。
無線LANのカバーエリア構築を目的とする電波吸収体は,
2.45 GHz, 5.2 GHz帯のみの吸収が好ましい。
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
7
電波吸収するウッドプラスチックコンポジット材の開発
磁性粉分散による磁気損失・誘電損失による吸収(以下,磁性WPC)
顆粒状試験体で4週間経過時の平衡含水率と,誘電率・透磁率評価用試験
体で48時間経過時の含水率を測定し,得られた誘電率・透磁率から反射減
衰量の変化について検討
2.45 GHz付近で反射減衰量が20 dBを超える二層構造電波吸収体を構成
した場合,高湿度条件下での吸収周波数の変化を予測
磁性WPCが高湿度時にも含水率増加が起きにくく,反射減衰量の劣化や吸
収周波数がシフトにくい,木質感がある電波吸収体になりうるかどうか検証
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
8
作製サンプルと配合表
木粉
(100 µm前後)
再生PP
(ポリプロピレン)
Mn-Znソフトフェライト
磁性粉
(45~75 µm)
(vol%)
(vol%)
(vol%)
M0(市販WPC)
81
19
0
M2
76
22
2
M5
64
30
5
M26
0
74
26
M40
0
60
40
Symbol
市販WPCから木粉割合を減少させ,ソフトフェライト磁性粉を増加
これらの他に相溶化剤,顔料,滑剤などを同量添加
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
9
作製方法・評価方法
1. 混練
二軸型混練機(東洋精機製50MR)
混練温度180℃,10 rpm,5 min.
2. 粗粉砕
1 mm程度の顆粒状に粉砕
混練機構部外観
3. プレス
180℃で厚さ5 mmの平板型に成形
<長時間経過後の平衡含水率評価>
・飽和塩法(ex. NaCl‥20℃でR.H. 75%)で顆粒状試験体を一定湿度下で
4週間保管
・(平衡含水率)=(増加質量)/(全乾時質量)×100 (%)
<複素誘電率・複素透磁率評価>
・内径3 mm,外径7 mmの環状試験体に加工 → 48時間後に含水率測定
・VNA(HP8720D)による同軸管法でSパラメータを測定後,
Nicolson Ross - Weir 法で複素誘電率・複素透磁率に変換
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
10
各試作サンプル単層(5 mm厚)時の反射減衰量
20
反射減衰量計算式
(垂直入射・金属裏打ちあり)
Thickness: 5 mm
4.85 GHz ↓
入射面からの入力インピーダンス:
µ&r
 2πd & 
tanh  j
ε r µ&r 
Z&in = Z 0
ε&r
 λ

反射係数:
Z&in − Z 0
&
Γ=
Z&in + Z 0
Return loss, RL (dB)
↓ 7.05 GHz
M40
10
M26
M5
M2
反射減衰量 (dB):
RL = −20 log10 Γ&
0
1
2
3
4
5
6
7
M0
8
9
10
Frequency (GHz)
同膜厚で比較した場合,磁性粉体積割合が増加することで反射減衰量が増加し,
吸収周波数も低周波側にシフトする
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
11
平衡含水率(EMC)の相対湿度依存性
22
20
18
EMC (%) at 20°C
16
14
・吸脱湿ヒステリシスループがWPC
でも確認
スギチップ(脱湿)
スギチップ(吸湿)
M0(脱湿)
M0(吸湿)
M2(脱湿)
M2(吸湿)
M5(脱湿)
M5(吸湿)
M26 & M40
・M0(市販WPC)のR.H.95%で最
大の含水率となるが,6%程度
・M26とM40は木粉が入っていない
ため,含水率は0.01%
12
10
ケイ酸カルシウム板(22%),モルタ
ル板(11%)ほど含水率は高くない
8
6
4
2
0
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
Relative humidity (%)
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
プラスチックによる木粉
包埋構造
→ 内部まで水分が浸
透しにくい
木口他,木材保存36, 2,
pp.52-58 (2010)
12
垂直入射時の電気的等価回路と反射減衰量
入力インピーダンス
ε&r1
Z&c1
µ&r1
入射波
Z&c1
反射波
Metal
Z&1
Z&1 = Z&c1 tanh(γ&n ⋅ d n )
Z&L ( = 0)
ただし,
γ&1 = j
d1
d1
Z&1
Z0 =
2π
λ
µ0
ε0
µ&r1
ε&r1µ&r1 , Z&cn = Z1
ε&r1
← 波動インピーダンス(377 Ω)
金属裏打ちした単層型電波吸収体と電気的等価回路
Z&1 − Z 0
&
反射係数: Γ =
Z&1 + Z 0
反射減衰量 (dB): RL = −20 log10 Γ&
吸収体表面において無反射( Γ&= 0 でRL → ∞,「整合」)となるには,
Z&1 = Z 0 すなわち, 1 =
µ&r1
tanh(γ&
1 ⋅ d1 ) となる(無反射条件式).
ε&r1
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
13
Sample: M0
● Bone−dry
◇ R.H.:30%
10 △ R.H.:60%
□ R.H.:90%
5
0
2
4
6
8
Frequency (GHz)
10
20
Sample: M26
● Bone−dry
15 ◇ R.H.:30%
△ R.H.:60%
□ R.H.:90%
10
5
0
2
4
6
8
Frequency (GHz)
10
15
Return loss, RL (dB)
Return loss, RL (dB)
15
Return loss, RL (dB)
Return loss, RL (dB)
Return loss, RL (dB)
含水時の反射減衰特性(M0~M5)
Sample: M2
● Bone−dry
◇ R.H.:30%
10 △ R.H.:90%
□ R.H.:90%
5
0
2
4
6
8
Frequency (GHz)
20
Sample: M40
15
10
15
Sample: M5
● Bone−dry
◇ R.H.:30
10 △ R.H.:60%
□ R.H.:90%
5
0
2
4
6
8
Frequency (GHz)
10
● Bone−dry
◇ R.H.:30%
△ R.H.:60%
□ R.H.:90%
10
5
0
2
4
6
8
Frequency (GHz)
10
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
14
VNA用環状試験体での含水率と誘電率実部・虚部
15
6
5
4
M0
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Frequency (GHz)
M2
15
2
M5
εr''
Moisture content, u (%)
εr'
10
Sample: M0
● Bone−dry
◇ T: 20℃, R.H.: 30%
△ T: 20℃, R.H.: 60%
□ T: 20℃, R.H.: 90%
M26
M40
0
0
20
40
60
80
Sample: M0
● Bone−dry
◇
T: 20℃, R.H.: 30%
10
△ T: 20℃, R.H.: 60%
□ T: 20℃, R.H.: 90%
5
100
Relative humidity, R.H. (%)
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Frequency (GHz)
・外径7 mm,内径3 mmの環状試験体で48時間後に測定‥M0→4%程度
(顆粒状試験体より表面積が小さく,保管時間が短いため,低含水率)
・R.H. 90%でも全乾状態と比較して誘電率実部で0.3程度の上昇に留まった
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
15
混練型磁性WPCによる二層構造電波吸収体
実用上の基本構成となる二層構造電波吸収体を検討
入射波
反射波
Layer 1: 電波吸収層(M40)
Layer 2: 木質感を有する表面層(M5)
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
16
二層構造電波吸収体の電波吸収性能
M40/M5各層厚さと全乾時反射減衰量最大値
無反射(> 40dB)となる厚み条件下(黒破線内)での
RL周波数依存性
60
Return loss, RL (dB)
50
7.2/5.0
8.1/4.0
d1 (mm)/d2 (mm)
4.1/4.0
5.0/5.0
3.3/3.0
2.9/2.0
10.0/0 6.5/5.5
40
30
20
10
0
1
2
実線: RLmaxが20 dB(電界強度で1/10,電波吸収体目標値)
黒破線: RLmaxが40 dB以上(電界強度で1/100以下,
ほぼ無反射の厚み条件)
3
4
5
6
7
8
9
10
Frequency (GHz)
二層構造電波吸収体を構成し,それらの厚みを適切に調整すること
で,1.7~8 GHzの間で整合周波数を制御できることが可能
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
17
二層構造電波吸収体の高湿度時の特性変化予測
50
M40(6.5 mm)/M5(5.5 mm)
Bone−dry
R.H. 30%
R.H. 60%
R.H. 90%
Return loss, RL (dB)
40
全乾状態から相対湿度90%にしたとき,
吸収周波数: 2.45 → 2.35 GHz
RL: 41.2 → 32.8 dB
となるものの,2.45 GHzにおいて,
RLが電波吸収体の目標値である20 dBを
クリア
30
20
10
f: 2.45 GHz
0
1.5
2
2.5
3
各材料,各湿度での誘電率・透磁率から,
二層電波吸収体の特性を伝送線路理論
から算出
3.5
実際に二層構造で作製した場合,空気と
の接触面積が測定用環状試験体よりも減
少するため,さらに水分吸着による特性
劣化が少なくなる見込み
Frequency (GHz)
実用上の基本構成である二層構造電波吸収体において,高湿度時でも吸
収周波数のシフトが小さく安定した電波吸収性能を有する
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
18
混練型磁性WPC開発 まとめ
試作した混練型磁性WPCの含水率を,顆粒状試験体(4週間),環状型試
験体(48時間)の両手法で測定したが,一番多く水分吸着するM0でも,含水
率がそれぞれ,6%と4%程度にとどまった。これはプラスチック自体の含水
率が低いこととWPCは木粉が包埋構造をとっているため,内部の木粉まで
水分が到達しにくいためと考えられる。
どのサンプルも含水率が低く留まったため,複素誘電率・複素透磁率の周
波数特性において誘電率の大幅な増加などの悪影響は確認できなかった。
M40/M5の二層構造を検討した場合、各層の厚さはM40(6.5 mm),M5
(5.5 mm)の厚さの組み合わせのとき,2.45 GHzで整合するが,高湿度に
なっても吸収周波数を大幅にシフトさせたり,反射減衰量20 dB以下となる
ような性能劣化は認められなかった。
磁性WPCは高湿度環境下でも電波吸収特性の劣化が少ない公共空間内
装用電波吸収材として有用であることが明らかになった
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
19
想定される用途
無線LANアクセスポイントが乱立する公共施設(駅・空港・イベ
ントホール等)での電波吸収内装材
ワイヤレスハーネスの導入が検討されている自動車用部材
無線通信システムと高周波医療機器との電磁環境問題を解決
する病院用内装材や医療機器筐体用部材
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
20
実用化に向けた課題・企業への期待
中空構造などの複雑な形状の場合,FDTD法などの電磁界シミュレーション
で反射や回折についても検討する必要がある
電波暗室内で小面積サンプルを用いた特性評価による実証実験が必要
電波吸収材料(コンパウンド)の特性については明らかになったが,断面形
状設計で吸収周波数が決まる
→ 床材・壁材は今後提案予定
→ 電子機器筐体用部材など形状に応じて設計する必要
上記に加えて,例えば,床材であれば曲げ強度など,用途に応じてその他
の要件をクリアする必要がある。
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
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産学連携の経歴
2013年~2014年 (独)森林総合研究所,エア・
ウォーター(株)と共同研究実施
2013年度 JST A-STEP(探索タイプ)に採択
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称
• 出願番号
• 出願人
• 発明者
:電波吸収性能を有する
混練型磁性ウッドプラスチック
:特願2013-184349
:岩手大学,エア・ウォーター(株)
:三浦健司,関野登,岡英夫,大友祐晋
共同研究および関連する特許については,岩手大学地域連携
研究センターにお問い合わせください。
• コーディネータ : 岩手大学地域連携推進センター
•
知的財産移転部門
• TEL: 019-621-6494
• Email : [email protected]
Feb. 20, 2014, JST新技術説明会
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