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日立評論 1・2月合併号:社会インフラ安全保障技術

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日立評論 1・2月合併号:社会インフラ安全保障技術
社会インフラ安全保障技術
意思決定支援ソリューション
監視
広域連携支援
ソリューション
情勢判断
衛星画像解析
インターネット監視
予測シミュレーション
中央省庁
運転見合わせ
○○線
洪水
地震
国レベル
情報分類・融合
電力供給情報
拠点情報
被害情報
観測情報
社会・産業システム
状況分析・予測
ソリューション
分類・融合
監視・異常検知
ソリューション
情報収集
意思決定
支援情報
津波
Webページ
集約
意思決定
支援情報
地方公共団体
指揮統制支援
災害ロジスティクス
管理
地方公共団体レベル
災害業務支援
ソリューション
指揮命令支援
ソリューション
人的リソース
活動計画
安否確認
行動
現場対応者
業務フロー
インフラ企業
現場レベル
意思決定
社会インフラ安全保障技術
被災者管理
集約
意思決定
支援情報
対策立案支援
災害対策支援
警報システム
防災図上訓練支援
訓練用災害情報
訓練・教育支援
ソリューション
訓練シナリオ
(発生地点,
規模,
時刻,
気象条件,
発生イベント…)
訓練ログ
1
1
防災管理ソリューション
課題に対して,SNS(Social Networking Service)などの情
社会安全保障のための防災管理ソリューション
報を活用した早期状況把握など,継続的な意思決定を支援
するソリューションを提供する。
今後は,国際的な防災協力なども視野に入れながら,防
東日本大震災の教訓を踏まえ,減災のための体制,制度,
装備・システムの整備が急務となっている。特に大規模広
災の観点から安全・安心の実現を支援し,国・地方公共団
域災害では,時々刻々と状況が変化する中で,国・地方公
体・民間企業・国民が一体となった社会安全保障の確立に
共団体・国民が効率的に連携し,被害を軽減して復旧・復
寄与していく。
興のスピードを速めることが肝要である。
2
日立グループはこれまで,中央省庁・地方公共団体向け
に災害対応支援システムを提供してきた。現在,有事のオ
農業分野を支援する衛星画像ソリューション
ペレーション概念を取り入れた意思決定と広域連携,教育
訓練による意識向上を社会安全保障のあるべき姿と考え,
世界の人口は,2050 年をピークとして 90 億人以上に達
それを実現する防災管理ソリューションの拡張を進めてい
すると予想されている。また,今後,開発途上国でも畜産
る。特に大規模広域災害時には,現場情報の不足が迅速な
物の消費が拡大すると考えられているが,畜産物の生産に
意思決定を困難にする要因の 1 つとなっている。こうした
は大量の飼料穀物を必要とする。これらを背景に,農林水
光学衛星による撮影
画像取得計画
画像購入
計画作成
画像購入
要求
・撮影時期の検討
・撮影地域の選定 など
画像収集
対象領域の衛星画像
撮影能力や費用対効果などから
中分解能衛星画像を中心に利用
収量予測結果
画像処理・解析
収量推計
次年度の土地の
改良などの栽培
管理や損害保険
に活用
画像処理
対象領域の衛星画像
・収量推計式の策定
・オルソ補正
・収量推計式の適用 など
(kg/10 a)
2
衛星画像を活用した水稲の収量把握
日立評論
2014.01-02
81
MCH
水タンク
MCH
風力/太陽光発電装置
水電解
装置
輸送
MCH
タンク
タンク
水素
系統余剰電力
水素
水素添加装置
トルエン
水素生成
副生水素
水素分離装置
トルエン
タンク
輸送
エネルギー
回生装置
トルエン
タンク
備蓄
出力電力
放熱・再利用
(暖房利用など)
排気熱/反応熱
回収
鉄鋼/化学プラント
水素利用
水素利用
社会・産業システム
注:略語説明 MCH(Methylcyclohexane:メチルシクロヘキサン)
3
有機ハイドライド利用エネルギー備蓄システムの構成
産省は,世界の穀物需要が大幅に増加するものと予測して
社会インフラ安全保障技術
いる。
4
水資源循環シミュレーション
地球観測衛星で撮影された衛星画像により,広大な国土
のモニタリングが可能になる。また,衛星画像高次処理・
地表水と地下水を完全に一体化させて解析するシミュ
解析技術を活用した水稲の収穫量把握により,現在の収穫
レーション技術と,解析結果を高速に,かつ分かりやすく
量を把握することができる。現在,
そのような情報提供サー
表現する可視化技術を融合した水資源管理・水災害対策に
ビスの検討を進めている。それを用いて水稲の生産の増加
貢献するサービスの構築に取り組んでいる。
策を打ち出すことで,需給の不均衡が改善されると考えら
シミュレーション技術の特長は,地表・地下の相互作用
の考慮,汚染物質などの移動過程の解析,PC(Personal
れる。
今後,衛星画像ソリューションを用いて,地球規模での
食料問題の解決に貢献していく。
Computer)クラスタを用いた高速計算ができることが挙
げられる。また,可視化技術の特長は,地表および地下の
大容量時系列データの高精度表示,シミュレーション結果
3
の空間的集計,表示縮尺に応じたデータの高速描画ができ
有機ハイドライド利用エネルギー備蓄システム
ることにある。これらの特長を持ったサービスにより,水
資源・水災害についての現状把握や精度のよい将来予測を
有機ハイドライド利用エネルギー備蓄システム(CHES:
分かりやすく表現することができる。
Carbon-hydride Energy Storage System)は,取り扱いが
今後は,地球規模の課題となっている水資源確保,水災
難しい水素を有機ハイドライドの一種である安定した液体
害に関する諸問題の解決に貢献すべく,サービス提供をめ
のメチルシクロへキサンの形態で貯蔵することで,エネル
ざしていく。
ギー媒体である水素の長期間備蓄や輸送を容易にする技術
である。
ここでは,エネルギー備蓄時には,水素とトルエンの触
媒反応によってメチルシクロヘキサンを生成し,備蓄・輸
送のためのエネルギーキャリアとする。エネルギー利用時
には,触媒反応によってメチルシクロヘキサンを水素とト
ルエンに分離し,水素をエネルギーとして利用するととも,
分離したトルエンは新たなメチルシクロヘキサンの生成に
再利用する。この結果,エネルギーを水の電気分解によっ
て水素に変換し,さらにメチルシクロヘキサンにすること
で,変動が大きい再生可能エネルギーの長期間・大量備蓄,
輸送,安定供給が可能になる。
この技術により,再生可能エネルギーの利用拡大,エネ
ルギーの供給・輸送が割高となる離島や極地などでのエネ
ルギーの自給自足,日本のエネルギー自給率向上,低炭素
社会や水素社会の実現に貢献することができる。
82
c
4
Geosphere Environmental Technology Corp.
水資源循環シミュレーションシステムによる地下水流動解析(上)
,洪水
予測(下)
社会・産業システム
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