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ニューズレター Vol.41 2008年4月

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ニューズレター Vol.41 2008年4月
ニューズレター Vol.41
2008年4月
早春の信州にて
前会長 加藤正人(信州大学農学部)
信州でも寒さが緩み,3千mの山岳アルプスの雪解けや大学キャンパス内の木々の芽も膨らみ,春
が近づいています。早いもので,会長の任期である2年間が3月で終了します。この2年間,地域セ
ミナー,東京フォーラム,学生フォーラム,夏休みリモートセンシングセミナーを開催し,皆様と楽
しく過ごしてきました。半年間,在外研究で不在の間は,松村副会長,菅野事務局長に支えていただ
きました。前事務局長の道立林試の菅野さんには,各種催しの段取り,開催地との連絡調整,フォー
ラムでの司会,ニューズレターなど活躍していただきました。会計とホームページを長年担当してこ
られた梅沢様(技攷舎)にはフォーラムの発展に本当に御世話になりました。次期の会長は松村副会
長が就任予定です。副会長は長年事務局を経験してきた森林総研の佐野真さんです。事務局長の事務
と会計の2名体制で担当することになりました。不慣れな点もあろうかと思いますが,本会の一層の
発展を期待します。
この時期,大学では卒業のシーズンです。私事ですが,今年は研究室から博士課程 1 名,研究生 1
名,修士課程 4 名,学部生 4 名の計 10 名の修了生を一度に送り出しました。研究室での付き合いが
7 年,6 年,4 年に及ぶ学生もいたので,卒業式の謝恩会では,学生からの感謝の言葉をもらうと年
甲斐も無く,人前で涙してしまいました。大学の教員は,法人化後,みなさまが考える以上に多忙に
なりました。学生と仲良く研究室で語らうことを楽しみしている者には,厳しいご時世です。改革,
外部資金確保,入試,各種会議と大学の運営管理に忙殺されることも多く,研究を続けていくという
モチベーションを持つこと,自分の研究時間を持つことが難しくなっています。それ故に,時間をや
り繰りして指導してきた学生から「先生,ありがとうございました」のたった一言で,いたく感動する
昨今です。多感な年齢の若者と接し,彼らの進路を見られて,いくらかでも関与できることは,教員
の天職だと実感しております。人間的に未熟な私も,学生たちの相談相手や研究指導,就職の際の父
と子供の関係を築く事で,教育のあり方や学生との接し方,学ぶことの意義について,学生と一緒に
なって学んでいます。卒業生を送り出してほっとする間もなく,3 月末の学会,4 月 1 日からは新入
生が入ってきます。また,新たな気持ちで接したいと考えています。
2年間,会員の皆様には,大変御世話になりました。皆さま方のご発展をご祈念申し上げ,退任の
挨拶とします。ありがとうございました。
(重要)Eメールアドレスをご連絡下さい。
情報配信の迅速化,省力化を図るため,ニューズレター等をインターネットによる配信に切り替え
ています。また,メールアドレスが変わったなどで連絡を取ることができない会員もおられます。お
手数をお掛けしますが,事務局(info2@ forestgis.jp)まで,タイトル「FGISメールアドレス」とし,
ご連絡をお願いします。
≪行事開催の記録≫学生フォーラム in 宇都宮 2007
開催日:2007 年 11 月 1 日(木)~2 日(金)
場所:宇都宮大学峰キャンパス
大学会館多目的ホール
宿泊:宇都宮大学農学部附属船生演習林
〒321-8505 栃木県宇都宮市峰町 350
フォーラムプログラム
13:00 開会式 加藤正人
13:10 特別講演 石塚公人
森林GISフォーラム会長挨拶
栃木県環境森林政策課栃木県の森林GIS
13:30
當山啓介
東京大
修士2年
GISと地位指数スコア表を活用した地域森林資源の評価
13:40
五島正裕
宇大
修士1年
船生演習林における表層崩壊と土層厚・土層構造の関係
13:50
小川崇
信州大
修士2年
ALOS衛星を利用した伐採地における作業種別ヒストグラム解析
14:00
齋藤仁志
宇大
修士2年
LiDARデータを用いた地表面推定手法と林道設計手法の検討
14:10
Riva Rovani 新潟大
博士2年
Prediction of Light Environment of understory Vegetation at sugi Forest Floor using Medium -High
Resolution Images in Kakudayama,Niigata Japan
14:30
新井諭
宇大
修士1年
【タイトル未定】
14:40
徳田桃子
信州大
修士2年
長野県木曽駒ヶ岳におけるデジタル航空機写真画像を用いた高山植生の把握
-天狗荘付近の植生分類結果と精度検証ー
14:50
佐々木正悟 宇大
修士1年
衛星データによる森林域抽出の精度検証
15:00
斉藤健
新潟大
修士1年
衛星データを利用した中越地震に伴う崩壊地の抽出と復旧
15:10
和智明日香 信州大
修士2年
手良沢山演習林GIS活用に向けての資源量データ整備方法の検討
15:20
森勇佑
宇大
修士1年
LiDARデータを用いた列状間伐における残存木被害発生因子の検討
15:40
岡本篤志
信州大
学部生
航空機LiDARとUCD画像を用いた手良沢山ヒノキ人工林の蓄積量把握
-LiDARとUCD画像での樹幹面積抽出精度の比較-
15:50
高安ひろみ 新潟大
学部生
衛星画像を使った休耕田の抽出と評価
16:00
齋藤慎明
宇大
学部生
GISを用いた宇都宮大学船生演習林の大面積小班の小班分割案作成
16:10
鋤柄雄二
信州大
学部生
GISによるニホンジカ経年森林被害の把握-上伊那地区旧長谷村の民有林を事例としてー
16:30
井上真典
新潟大
学部生
地震被災地における高品質米生産支援
16:40
望月友裕
信州大
学部生
航空機データによる樹種別本数と資源把握
16:50
増村寛
新潟大
学部生
衛星データからみた新潟海岸林の分布特性
17:00
成瀬真理生 信州大
学部生
信州大学農学部構内演習林 の繁殖期における鳥類相と林相の関係性について
14:20 休憩
15:30 休憩
16:20 休憩
17:10 閉会式
開催報告
宇都宮大学農学部 松英 恵吾
森林 GIS は都道府県や市町村,森林組合に導入が進んでいる。しかし,森林 GIS の研究に携わる
学生数は多くはなく,研究連携も少ない。そこで,森林 GIS の若手研究者育成と交流の場として,森
林 GIS 学生フォーラムが企画された。これまで,2004 年信州大学,2005 年三重大学,2006 年
新潟大学と過去3回開催され,森林 GIS に関わる人材育成に貢献してきた。第4回となる今回は宇都
宮大学を会場とし,森林 GIS に関わる周辺のテーマも対象とするために発表課題にデータベース,リ
モートセンシング,画像解析を加えて開催された。その効果もあってか 19 件と例年になく多くの発
表申し込みがなされた。
当日は加藤会長の挨拶に始まり,引き続き栃木県環境森林政策課・石塚氏に「栃木県の森林 GIS」
と題して特別講演を賜った。栃木県では本年度より森林 GIS が導入・稼働されており,非常にタイム
リーな話題としてシステムの紹介が行われた。また会場では同時にパシフィックコンサルタンツによ
り栃木県の森林 GIS のデモンストレーションが行われた。その後,大学院生 11 名,学部生 8 名の発
表が一人 10 分の持ち時間で行われた。発表会後,聴衆により投票が行われ大学院生部門では,齋藤
仁志(宇都宮大学),森勇佑(宇都宮大学)の2名,学部生部門では斉藤慎明(宇都宮大学),高安ひ
ろみ(新潟大学)の2名が優秀賞に選出された。参加者 59 名(記帳者のみ)と盛況のうちにフォー
ラムは閉会された。
2
参加者の内,発表者を中心に 26 名が宿泊先である宇都宮大学農学部付属船生演習林に移動し,交
流会で研究交流を推進し親交を深めた。翌2日は 9 時より演習林内の各種固定試験地を中心に踏査を
行い,12 時に解散した。
(編集人から)
次ページより,優秀賞に選出された,齋藤仁志さん,森勇佑さん,斉藤慎明さん,高安ひろみさん
の講演原稿を掲載します。
3
LiDAR データを用いた交角法による地表面推定手法の開発*
宇都宮大学 農学研究科
1. はじめに
航空機 LiDAR による測量では,地表面や樹木
等 の 表 面 形 状 で あ る DSM ( Distal Surface
Model)を得ることができる。レーザの反射パル
スは,発射したレーザビームの拡散範囲内に高さ
の差があった場合,最初に当たって反射してきた
パルス(First pulse)と最後に反射してきたパル
ス(Last pulse)が生じる。従って,樹木が繁茂
す る対象地 で は First pulse か ら作成さ れた
DSM は樹冠のデータを示し,Last pulse から作
成された DSM の多くは地表面 DSM を示すが,
地表の落枝や下層植生により影響を受ける。その
ため DSM を地表面データ DTM として利用する
場合,建物や樹木等の地表面より上部に存在する
ものを取り除く必要がある。
これまで DSM を自動的にフィルタリングし,
DTM(Distal Terrain Model)を抽出する一般
的手法として最低点抽出法,二次関数近似法,ト
ポグラフィ法,ローラー法などがある。しかし,
急傾斜地に樹木が密生する日本の森林では,抽出
の際に小さな尾根や谷が削除されたり,季節や森
林を構成する樹木によってはレーザが遮られ地
上まで数%しか到達しないとこともあり,抽出自
体が困難である。そこで,地表面は一定以下の交
角でポイントを結ぶことで推定ができると考え,
それによりフィルタリングをおこなう交角法を
提案する(図-1)。交角法のパラメータの決定,
DTM の作成,DTM の精度検証を既存の代表的手
法であるローラー法と比較し検討したので報告
する。
齋藤仁志
成する。
図-2 データ分割
ローラー法のフィルタリング手順は,一定の半
径Rとその許容値をもった円を転がして半径R+
許容値に接するもしくはそれ以下であるものを
地表面として採用する。この処理を繰り返し行い
不要な点を除去し地表面の推定を行う(図-3)。
図-3 ローラー法の手順
検査点を結ぶ直線
不 採 用
森林工学研究室
ローラー法のパラメータは半径,許容値,デー
タ分割幅に相当するローラー幅,で決定され,半
径・ローラー幅を大きくすると大きな構造物等を
除去可能になり,半径・ローラー幅を小さくする
と小さな地形変化を捉えられる。また,許容範囲
を大きくすると小さな地形変化を捉えられ,許容
範囲を小さくすると不要なデータの除去が可能
になる)。
交角法のフィルタリング手順は,採用点同士を
直線で結び,次の検査点との交角が許容範囲内な
交角
図―1 交角法の概念図
2. フィルタリングの手順
ローラー法と交角法共に処理を行う範囲を X
方向・Y 方向に一定幅で分割し,ラインごとにフ
ィルタリングを行い,それらを合成し DTM を作
4
らば採用し,採用された検査点を用いてさらに次
の検査点を判断していく。この繰り返しにより一
定以下の交角でつながった地表面の推定を行う。
交角を上側にも取るためローラー法で採用され
ていない点を採用することが可能となり,ローラ
ー法で削除されがちな路肩や小さな尾根などを
再現することができる(図―4)。
3. 調査地の概要
船生演習林の林道終点付近のLast pulseデー
タを使用した,着色された部分がLiDAR測量を行
った全範囲である(図-6,7)。林道終点付近は尾
根沿いに位置し主な樹種はアカマツと広葉樹で
あり,比較的レーザが地表面に到達しやすい。範
囲 は 南 北 205m , 東 西 235m の 4.8ha , 全 点 数
537,460点,点密度は11.16点/m2である。
図―4 交角法の手順
使用したデ
ータの範囲
0m
図-6
図-5 許容値の設定
また,交角の許容範囲外であっても林道法面な
どの急激な変化点を採用するため,近距離の点は
採用することにした。具体的には,検査点二点を
長辺とし,底面が水平な直角三角形の底辺の長さ
と面積が一定値以下ならば採用する許容値を設
けた(図-5)。本研究では2分の法面を想定して
底辺0.2m,面積0.1m2と設定した。
交角法のパラメータは,交角の許容範囲,デー
タ分割幅,三角形の許容値で決定される。三角形
の許容値で決定される。交角の許容範囲と三角形
の許容値の面積を大きくし,データ分割幅を小さ
くすると多くのデータを残すことが可能となり
地形の再現性が悪くなるが,樹木等のノイズに当
たるデータが残る可能性がある。また交角の許容
範囲と三角形の許容値の面積を小さくし,データ
分割幅を大きくすると採用されるデータ数が少
なくなり,大きな構造物やノイズも除去できるが,
細かい地形の再現性が低くなる。
5
1000
船生演習林LiDARデータの範囲
縦断面
林道
横断面
図-7 林道終点付近のDSM
4. パラメータの決定
このデータを用いてパラメータを決定するた
め,交角法は交角の許容値とデータ分割幅を,ロ
ーラー法は半径とデータ分割幅のという処理結
果に大きく影響するパラメータを変化させなが
ら処理を行った。
処理後の地表面としての採用点数の結果を表
-1,2に示す。パラメータの変化によって採用
点数が大きく変化していることが分かる。次に陰
影図を作成し,ノイズの除去状況や地形の再現性
を確認した。
表-1 交角法処理後の地表面採用点数
分割幅/交角
30度
35度
40度
45度
50度
0.5m
1.0m
1.5m
2.0m
2.5m
3.0m
5.0m
13993
9955
7802
6592
5204
4623
2863
31788
21902
16879
13388
10754
9189
5052
69732
51303
39975
31203
25594
21334
11749
71294
52361
40593
31239
26029
21606
11749
89835
73197
61263
51041
43687
38387
22998
ているため,ここでは分割幅2.0mがこの場所に
は最も適していると見て取れた。
表―2 ローラー法処理後の地表面採用点数
分割幅/半径
5.0m 10.0m 12.5m 15.0m 17.5m 20.0m 30.0m
0.5m
1.0m
1.5m
2.0m
2.5m
3.0m
5.0m
68788 65223 51062 43251 40246 37654 30496
図―9 交角45度
43185 38023 29014 26505 24432 22623 17843
32304 26917 21153 19233 17686 16359 12755
30008 22868 20868 16415 14919 13636 10437
21708 16847 13837 12436 11387 10489 8128
18711 14274 11756 10648 9792 8920 6920
11973 8640 7313 6539 5957 5480 4265
図―8から図―10は分割幅を2.0mとして交角
法の交角を変化させたもので,30度までは実際
の地形の勾配よりも交角の設定が小さいために
地形の再現性が低く,50度になると地形以外の
ノイズも採用されてしまっているため,45度が
この場所には最も適していると見て取れた。
図―10
図―11
図―8 交角30度
図―11から図―13は交角を45度で固定し,
データの分割幅を変化させた。0.5mから1.5mま
ではノイズが残り,2.5m以上ではノイズはほぼ
除去されているが,逆に法面や斜面上部の点が削
除されすぎてしまい再現性が低くなってしまっ
6
交角50度
分割幅0.5m
500
交角法
標高(m)
490
480
Last pulse
ローラー法
470
460
450
440
430
420
410
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
距離(m)
図-15
図―12
縦断面の比較
分割幅2.0m
454
標高(m)
452
450
448
交角法
DTM
ローラー法
446
444
実測値
Last pulse
442
0
4
6
8
10
距離(m)
12
14
16
18
図―16 横断面の比較
図―7 の位置の縦断図(図―15),横断面図(図
―16)で処理を行ったベクタデータを直接比較
した。縦断面ではどちらの手法もノイズがよく取
り除けているが,ローラー法に比べ交角法の方が
小さな凹凸の点を採用していることが見て取れ
る。また,実測値,メーカーが自動+手動フィル
タリングで作成した DTM との横断面比較では,
交角法はローラー法で削除されがちな路肩や斜
面上部などの凸部の点を比較的多く残すことに
成功しているため,ノイズを取り除いた最適値で
の点数も多くなっている。
また,実際に DTM として使用する場合はベク
タ形式からグリッド状のラスタデータに加工す
ることが多い。そこで,交角法,ローラー法で処
理を行った後 1m グリッド,0.2m グリッドの
DTM に加工し,横断面で精度検証おこなった。
表―3 は横断測量との平均二乗誤差の比較である。
表からもわかるとおり,メーカー作成のDTMと
ほぼ同等の精度となっている。
図―13 分割幅5.0m
目視によって最も適していると考えられたパ
ラメータは,交角法では交角 45 度,分割幅 2m
の地表面として 31,239 点が採用され(表-1)
,
ローラー法では半径 12.5m,分割幅 2.0m,
20,868 点が地表面として採用された(表-2)
。
交角法による陰影図(図―12)とローラー法に
よる陰影図(図―14)を比較すると,交角法の
方がノイズが少ないのにも関わらず,地形がくっ
きり出ていることが分かる。
図―14
2
ローラー法の最適値
7
DTM1m
交角 1m
交角 0.2m
ローラ法 1m
ローラ法 0.2m
1.35m
1.38m
0.91m
1.39m
1.03m
6. まとめ
提案した交角法では適切なパラメータを設定
することにより,ローラー法に比べ路肩や尾根等
の再現性が高くなり,地表面の小さな凹凸も再現
できることが確認された。この手法を用いること
でメーカーが自動+手動フィルタリングを行って
作成している DTM とほぼ同様の精度のデータが
自動的に作成可能となり,土工量推定や林道設計
などに利用可能だと考えられる。
本研究の調査地は尾根付近でアカマツ,広葉樹
が中心のレーザの地表面到達率が比較的高い地
理条件であったため,ヒノキやスギが密生しレー
ザの地表面到達率が低い地理条件での検討する
必要がある。
また,パラメータ決定の際に,パラメータを任
意で区切り変更し最適な値を目視によって確認
するという方法をとっているが,今後は地形やレ
ーザの地表面到達率によって異なる最適なパラ
メータを自動的に決定する手法の開発や,複数手
法を組み合わせて処理を行う方法の検討が必要
である。
8
LiDAR データを用いた列状間伐における残存木被害発生因子の検討
宇都宮大学大学院農学研究科森林科学専攻森林工学研究室 森 勇佑
1.はじめに
林業白書によると現在我が国では,一般に間伐が
必要とされる 16 から 45 年生の森林が人工林全体
の 6 割を占めており,間伐の推進が課題となってい
る。
現在,
低コストで安全に木材生産を行うために,
高性能林業機械の能力を発揮しやすい列状間伐の導
入が進められている。しかし,日本の林地は急峻な
地形が多く,立木は,斜面ではあて材となって偏っ
た成長をしているため,受け口をつくり残存木に影
響の少ない方向に倒そうとしても,意図した方向に
倒すのは難しく,列状間伐においても残存木に接触
する可能性がある。また,集材時においても,材が
微地形で流され,転がり,集材木が残存木に接触す
る危険性がある。これらによって残存木に損傷がで
き,変色や腐朽の原因となり,材質劣化に繋がる問
題がある。
図-2 列状間伐地の様子
施業後に残存木被害調査を実施したところ,図-
3 のように残存木数箇所に被害が及んでいることが
分かった(表-1,図-4)
。また,今回の調査地で
は,ほとんどの被害木において,被害が樹木の下部
に確認されたことから,これらの被害は,伐倒では
なく,集材作業時の材の衝突によるものであると予
想された。そこで,本研究では,集材による被害の
みを対象とし,
地形解析から被害因子特定を特定し,
残存木減少のための手法を検討した。なお,本研究
では,LiDAR データから作成した地形データを用
いて解析を試み,データの表示は GIS ソフト
GRASS ( Geographic Resources Analysis
Support System)を使用して行った。
2.残存木被害調査
2.1 宇都宮大学附属船生演習林における残存木被害
宇都宮大学附属船生演習林 4 林班そ小班では,
2005 年に 1 伐 3 残,2006 年に 2 伐 3 残,2
伐 4 残の列状間伐を実施し,集材は 1 伐 3 残では
スキッダによるウインチ集材,2 伐 3 残,4 残はタ
ワーヤーダによる集材を行った(図-1,2)
。
図-3 残存木の被害状況
図-1 船生演習林4林班そ小班位置図
9
表-1 被害木調査結果
A
47
12
26
25.5
46.2
9
2
3
64.3
14.3
21.4
14
測定対象木
損傷本数
伐出本数
損傷本数/測定対象木(%)
損傷本数/伐出本数(%)
重度箇所数
中度箇所数
軽度箇所数
重度箇所割合(%)
中度箇所割合(%)
軽度箇所割合(%)
合計被害箇所数
1伐3残
B
49
17
33
34.7
51.5
14
1
4
73.7
5.3
21.1
19
2伐3残
C
61
23
27
37.7
85.2
6
6
13
24.0
24.0
52.0
25
A
33
12
33
36.4
36.4
8
4
3
53.3
26.7
20.0
15
B
34
7
35
20.6
20.0
5
1
2
62.5
12.5
25.0
8
2伐4残
A
42
22
49
52.4
44.9
11
2
12
44.0
8.0
48.0
25
B
47
10
34
21.3
29.4
5
1
5
45.5
9.1
45.5
11
被害重度
被害中度
伐倒木
残存木
図-4 被害木位置図(等高線 2m間隔)
3.地形による解析
3.1 伐倒方向調査
残存木被害からは,伐倒作業時の被害発生は認め
られなかったが,間伐木の掛かり木,搬出作業時の
材の回転などを分析していく上で,伐採方向の推定
が重要となる。そこで,クリノメーターを用いて,
1)材の偏心成長方向,2)伐倒方向の推定調査を
行った(図-4)
。なお,本調査地における伐倒作業
では,楔を打ち込むことで伐倒方向を確実にしてい
たため,
伐倒方向は,
受け口と直交する方向とした。
調査結果より,多くの伐倒木は山側最急傾斜方向に
伐倒されているが,最急傾斜方向とずれて伐倒され
ている樹木も数本確認された(図-5)
。
1)の方向
2)の方向
図-4 伐倒方向調査の写真
10
から 20cm 位置での片持ち重量をばねばかりで測
定し,結果より重心位置,重量を算出した(表-2)
。
実験では,
ポータブルウインチにより材をけん引し,
けん引力を 2t の引張・圧縮ロードセルによって測
定し,結果をペンレコーダに記録した。実験結果よ
り,動摩擦係数μ’の平均値は,0.644 となった(表
-3)
。
図-5 伐倒方向調査結果
3.2 予備実験の概要
予備実験として,集材時の木材挙動解析のために
因子測定実験を行った。実験地は,列状間伐地と地
表,傾斜がほぼ同条件の場所に設定した(図-6)
。
供試材には,2m の材を使用し,材積,末口,元口
表-2 供試材の測定結果
1
木材
10
末口(cm)
12
元口(cm)
2.1
長さ(m)
10
元口での重さ(kg)
10
末口での重さ(kg)
18.095
重心の重量(kg)
元口から重心までの距離(m) 1.050
2
7.5
9
2.3
6
7.5
12.326
1.278
3
12
15
2.1
12.5
12.5
22.619
1.050
4
10
11
2.2
9.5
9
16.818
1.070
5
11
12
2.25
11
10
19.133
1.071
図-6 予備実験地概況
6
10
11
1.8
7.5
8
13.778
0.929
7
10
11
1.9
10
8
16.105
0.844
8
12
15
2
14.5
12
23.850
0.906
9
11
13
2
12.5
11
21.150
0.936
10
17
19
1.8
24
23.5
42.222
0.891
表-3 動摩擦係数算出結果
木材
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
重量(kg) 最大けん引力(N) 動摩擦係数μ'
18.095
58.860
0.692
12.326
68.670
0.904
22.619
39.240
0.553
16.818
39.240
0.608
19.133
29.430
0.535
13.778
68.670
0.851
16.105
19.620
0.506
23.850
19.620
0.469
21.150
49.050
0.606
42.222
147.150
0.713
し方向とのなす角(以下,交角)γが決定される
と,α,γによって生じる複合傾斜βが決定され
る。転がり摩擦係数の測定実験では,はじめに最
急傾斜勾配方向に材を静置し,そこから材をけん
引しながらγを増加させ,材が側方回転を開始し
た時点でのαを測定する。さらに,このαの値を
もとに合成勾配βを求めることが出来る(図-7)
。
測定結果をもとに合成勾配β,転がり摩擦係数μ
を算出した(表-4)
。
3.3 転がり摩擦係数算出
木材搬出時には,けん引方向に滑動が生じると同
時に,これと直交する方向に傾斜がある場合には,
木材の回転が発生する。船生演習林では,主に全
木集材が行われているため,本研究では,全木に
よる集材を想定した。全木集材は,枝葉によって
転がりが発生する確率は減少するが,今回の実験
では最悪の状態を想定し,転がりが発生する地形
条件を算出した。木材の最急傾斜方向と,引き出
11
C
E
γ
B
θ
D
α
A
β
図-7 転がり傾斜角の導出式モデル
表-4 転がり摩擦係数算出結果
1
2
3
4
5
6
静止時
7
8
9
10
平均値
γ
36
20
19
15
12
6
5
9
17
12
15.1
θ
26.8
30.4
30.6
31.1
31.4
31.9
31.9
31.7
30.9
31.4
30.8
β
20.2
12.1
11.5
9.2
7.4
3.7
3.1
5.6
10.4
7.4
9.1
μ
0.1224
0.0712
0.0678
0.0539
0.0433
0.0218
0.0182
0.0326
0.0609
0.0433
0.0535
γ
1
21
2
19
3
18
4
21
5
21
6
18
けん引時
7
21
8
23
9
25
10
17
平均値 20.4
表-3 から明らかなとおり,側方へのころが
り摩擦係数が,搬出方向の動摩擦係数よりはる
かに小さいことが明らかにされた。従って,車
載ウインチや架線などによる集材時には,側方
への回転移動が発生しやすく,残存木に被害を
及ぼす可能性が高いと予想された。また表-4
より,傾斜が 30°を超える斜面での伐倒時に転
がりが発生する条件は,最急傾斜方向からの交
角γが材静止時で平均 15.1°,つまり伐倒直後
に転がりが発生する交角は,およそ 15°以上で
あるという結果が得られた。またけん引時の合
成勾配は 12°以上という結果が得られたおり,
合成勾配βが 12°以上の地形を側方回転発生
の危険地域とした。これらの値を被害発生危険
値とし,LiDAR データによって作成した地形デ
ータから危険区域を抽出し,実際の被害木との
位置関係を比較した。
θ
30.3
30.6
30.7
30.3
30.3
30.7
30.3
29.9
29.5
30.9
30.3
β
12.6
11.5
10.9
12.6
12.6
10.9
12.6
13.7
14.8
10.4
12.3
μ
0.0746
0.0678
0.0644
0.0746
0.0746
0.0644
0.0746
0.0814
0.0880
0.0609
0.0725
後者を黒で示した。また,被害木の程度別に発
生位置を表示し,両者の関係を分析した。求め
られた結果を見ると,各伐採区とも,角度差が
大きい伐倒木が集中しているところに被害木の
発生が認められており,伐倒直後に材が転がり
残存木被害につながった樹木が特定されたと考
えられる。なお,図中には上記の条件に該当し
ない場所における被害木の分布も示しているが
(図中の楕円領域),これらは以下に述べるよう
に,集材による被害と推定される。
被害中 度
被害重 度
4.作業被害域の推定手法の検討
4.1 伐倒直後の被害発生域の推定
前章より交角γが 15°以上となる伐倒木は
伐倒後に転がり出し,それ以外は静止すること
が予想される。図-8 に前者の伐倒木を白で,
図-8 γ>15°の地域(1 伐 3 残)
12
4.2 集材時の被害発生域の推定
次に,集材時に側方回転が発生し,残存木被
害が生じると判断される地域の特定を行った。
具体的には,集材方向(伐採列)と直交する方
向の傾斜が 12°以上となるところを危険地域
として抜き出し,被害木の空間配置との比較を
試みた(図-9)。結果より明らかなとおり,危
険地域に被害木が集中している。また,先の伐
倒直後の被害発生条件から外れた楕円内にある
多くの被害木が,下図の楕円で示した集材時の
危険地域付近にあることなどから,これらの被
害木は集材時に被害が発生したと考えられる。
危険地域
伐倒方向調査および予備実験から,伐倒時に
は,最急傾斜方向と 15°以上ずれる場合,ま
たけん引時には合成勾配が 12°以上になる区
域で木材が転がりだすことが明らかになった。
そこで,推定伐採方向をもとに,15°以上ずれ
る伐倒木位置,集材方向と直交する方向の傾斜
角が 12°以上となる領域と被害木位置との比
較を行った。この結果,これらの位置に被害木
が発生したと予想できた。また,
このことから,
LiDAR データから作成した地形データを使用
することで,残存木被害の危険区域を抽出する
ことが可能であることもいえる。
以上により,伐倒時,集材時に転がりを抑え
ることで被害の軽減ができると考えられる。具
体的には,単一な斜面の列状間伐では,最急傾
斜の方向に伐採,集材することでより被害の軽
減ができると考えられる。なお,被害木のごく
一部については,予想しないところにも発生が
見られたが,これは,滑りや切り株への衝突を
含めた解析を考慮していないことが原因と考え
られる。
今年度船生演習林では,列状間伐を実施する
予定であるため,列状間伐実施予定地において
同様に LiDAR データ等を用いた地形解析から
危険地域を抽出し,施業後に被害木調査を行う
ことで,精度検証を行うことが可能である。ま
た,滑りや切り株への衝突を含めた解析を進め
るなど,追加実験を行うことによりさらに精度
の高い被害予想が可能になると考えられる。
被害中度
被害重度
図-9 β>12°の地域(1 伐 3 残)
5.おわりに
宇都宮大学附属船生演習林で行われた列状間
伐地における残存木被害調査を行った結果,被
害が低い位置に集中していること,特定位置で
の集中発生が認められないことなどから,伐倒
木の集材時の滑動や,転がりが主な被害発生原
因になっていると考え,これらが微地形の影響
であると予想し,本研究では,列状間伐におい
て発生する残存木被害を LiDAR データから作
成した地形データをもとに解析した。
引用文献
(1)近藤道治 (2006) 列状間伐が森林環
境に与える影響. 森利学誌 21(1):9~14
(2)近藤道治・今井信 (2007) 点状複層
林の上木伐採にともなう下木損傷軽減法の検討
-上木の列状伐採と点状伐採の比較. 森利学誌
22(1):5~14
13
宇都宮大学船生演習林の大面積小班の小班分割案作成
Sub-compartment division planning of a large area sub-compartment
in Utsunomiya University forests at Funyu
宇都宮大学農学部森林科学科 森林計画・計測学研究室
キーワード:普通林,DTHMGIS,LiDAR,小班分割
Ⅰ.はじめに
齋藤 慎明
伐採後に沢筋にはスギが植栽され,
作業がしづらかっ
日本では,
戦後の拡大造林期に地位の異なる林地に同
た部分や,
地面に岩が現れていた部分は伐採後に更新さ
一樹種を植林し,
大面積の小班として扱っている部分が
れずに放棄された結果,広葉樹が侵入している。また,
多く見られる。しかし,尾根や沢など地形が違えば樹高
アカマツの一部は伐採されずに残され,その後広葉樹が
成長なども変わるため,
これらは別の小班として扱われ
侵入してきた部分がある。
なければならない。
大面積の小班として1つにしておく
2.樹高による分類
と樹高成長が良い場所と悪い場所で間伐や主伐などの
作業が同じ時期に行えないという施業実行上の問題や
LiDAR データから DSM と DTM を作成し,
DSM
信頼できる収穫予測が出来ないという問題がある。
から DTM を減じて DCHM を算出する。LMF 法を用
そこで本研究では,大面積の小班について適切な施業
いて,DCHM から立木の梢端位置を特定し,抽出され
を行うために,
適切なサイズの小班に区分することを目
た梢端の DCHM の値を読み取り単木の樹高を求めた
的とした。
(松英ら,2006)。LMF 法を用いて抽出されたデータ
から,対象地の樹高の分布を見るために Kriging 法を
Ⅱ.対象地及び方法
行 い 5 m メ ッ シ ュ の DTHM(Digital Tree Height
本研究では,船生演習林 8 林班を小班,わ小班,れ
Model)を作成した。作成した DTHM のヒストグラム
小班を対象地とする。8 林班わ小班は,拡大造林政策に
から平均値,標準偏差を読み取り,わ小班を 3 つのク
より地位の異なる場所にヒノキが植栽され,面積が
ラスに分類した(図 2,表 1)。
25.09ha と船生演習林の小班の中で最大となってい
る。ヒノキの小班として扱われているが,地形に応じて
広葉樹やスギが見られる。また,わ小班は,大きな三つ
の沢を含んでいて地形も複雑であり,
同じヒノキの間で
も植栽場所によって樹高に違いが見られ,造林作業上,
また収穫予測を行う上でも問題の多い小班である。
本研究では,LiDAR データ,オルソフォトや GIS を
用いて樹種,樹高,傾斜,流域のレイヤを作成した後,
図 2.樹高による分類図
これらのレイヤを用いてこれらの小班を数個の小班に
表 1.樹高の分類表
区分をする。その後,現地調査と,技術職員への聞き取
カテゴリ名
り内容を加味して小班の分割案を作成する。
Ⅲ.結果
1.樹種による分類
樹種による分類は,
デジタルオルソフォトから対象
クラス1:平均-σ未満
→成長が悪い
クラス2:-σ以上+σ 未満
→平均的
クラス3:平均+σ以上
→成長が良い
区分(m)
-12.21
12.21-19.09
19.09-
Ⅳ.今後の予定
地の林相を判読した林相図を使用した(図 1)。
流域のレイヤと傾斜のレイヤを作成する。樹種,樹高,
流域,傾斜の 4 つのレイヤを組み合わせて数個の小班
に区分をする。その後,演習林の技術職員に作業量や,
作業路・作業道の設置予定場所などを聞き取りし,詳細
な小班の区分線を調整する。
参考文献
松英恵吾・伊藤拓弥・内藤健司(2006) 航空機 LiDAR
による森林資源量推定―密度の異なるスギ・ヒノキの林
分パラメータ推定―.写真測量とリモートセンシング,
図 1.樹種による分類図
45(1),p4-13
14
衛星画像を使った休耕田の抽出と評価
新潟大学 農学部 生産環境科学科 高安ひろみ
はじめに
そして,住宅地・道路・水路を指標として,
新潟市は,全国の市町村の中でも第1位の
GIS のラスタ演算機能を用いて総合的な環
水田面積を持つ大農業都市であるが,同時に
境評価を行った。
休耕田も数多く点在している。それら休耕田
【ラスタ演算式】
に水を張り擬似湿地化することによって,生
[house_dist]/1078×60+
物多様性豊かな環境を作るための取り組み
[road_dist]/1416×20-[water_dist]/960×20
が始まっている。
住宅地・道路・水路からの距離を総合的に
擬似湿地化の実行においては,擬似湿地化
演算して擬似湿地候補地を抽出する。相対的
する水田を無作為に選ぶのではなく,やはり
な値にするため,それぞれの指標のデータを
それに適した場所を擬似湿地化することが
それぞれの最大値で割る。60,20,20 は
求められる。本研究では,広い範囲で解析す
重みである。住宅地・道路からは離れている
ることが可能な GIS と衛星データを用いて,
ほど適しているのでプラスとし,水路からは
冬季の新潟市を代表する景観としてのハク
離れているほど適していないのでマイナス
チョウ(コハクチョウ)を対象に,擬似湿地
とする。
化に適した候補地となる場所,休耕田を抽出
ラスタ演算の結果が図2である。色が薄い
し,その抽出方法の有用性を検証して,具体
ほど,上記の条件に適合し,擬似湿地候補地
的な擬似湿地候補地となる休耕田を提示す
として適している。
ることを目的とする。
2.休耕田の抽出
解析使用データと解析ソフトウェア
IKONOS の元画像と,分類した画像を元に,
解析には 2006 年 6 月 6 日に撮影された
それがどの程度適合しているのか,精度を確
IKONOS のマルチ画像(解像度4m×4m)
認するため,調査を行った。分類画像上の休
と,新潟市土地改良区から提供を受けた
耕田は,農作物が植えられた畑や,管理され
10000 分の 1 の水田位置図,デジタル化され
ず草地となっている所等,混在していた。そ
た地図情報を使用した。
こで,誤分類を防ぐため道路や住宅地を切り
解析ソフトとして ERDAS IMAGINE8.7 と
抜いた画像を対象に,調査結果をもとに再び
ArcGIS9.1 を使用した。
分類し,休耕田を抽出し直した。
調査地
休耕田を抽出し直したデータとラスタ演
実際に擬似湿地化の取り組みが始まって
算の結果を重ねたのが図3である。丸く囲ん
いる,新潟市丸潟新田周辺を調査地とする
だ部分の擬似湿地候補地に,実際に休耕田が
(図1)。
存在していることがわかる。
結果と考察
3.擬似湿地候補地の検証
1.ラスター解析
次に,実際に白鳥はどこに飛来するのか,
擬似湿地化の目的として,水鳥が訪れるこ
例年,ハクチョウの飛来数が最も多い 12 月
とが可能な生物多様性に富んだ環境を作る
第 1 週の5日間(12/3~7),定時刻に調査
ことを考えると,擬似湿地候補地は,人的影
を行った。座標値を定義した空のシェープフ
響の多い住宅地や道路からは離れ,生物の移
ァイルを IKONOS の元画像と重ね,エディタ
動のためにも水路が近くにあると定義する。
機能を用いて,ハクチョウが飛来した箇所に
15
1羽を1ポイントとして入力した。
演算式は,調査時にハクチョウに与える影響
調査結果とラスタ演算の結果を重ねたの
が最も大きいと感じた住宅地の重みを大き
が図4である。ラスタ演算で擬似湿地候補地
くした。しかし,擬似湿地にハクチョウが飛
として抽出された箇所にハクチョウが飛来
来する前の段階における,植物や生き物にと
していることが確かめられ,擬似湿地候補地
って適した環境を考えた場合,水路の重みを
の抽出が適正であったということが言える。
もっと大きくした方がいいようにも考えら
まとめ
れる。また,塒とする湖沼からの距離など,
調査の結果から,ハクチョウの飛来を前提
住宅地・道路・水路の3つの指標のほかにも,
にした,GIS による擬似湿地候補地の抽出は,
新たな指標も考えられる。このように,ラス
有用性が高いと考えられる。つまり,ラスタ
タ演算の式や重みを変えることで結果も変
解析で擬似湿地候補地として抽出された箇
わってくるので,今後更に検討していく必要
所の中にある休耕田をまさに擬似湿地候補
があると考えられる。
地として挙げることができる。
今回はハクチョウを対象に,抽出した擬似
湿地候補地の有用性を評価したため,ラスタ
図1.調査地;新潟市丸潟新田周辺
図2.ラスタ演算の結果
図3.休耕田とラスタ演算の結果
図4.白鳥の調査結果とラスタ演算の結果
16
<記録>森林GISフォーラム 東京シンポジウム
新生産システムと森林GIS
主催:森林GISフォーラム
開催日 : 2月4日(月) 11時~17時
場 所 : 東京大学農学部 弥生講堂
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/yayoi/
地下鉄南北線東大前駅東京大学農学部1号館横
(開催内容)
11:00~16:00
(森林 GIS フォーラム賛助会員企業によるデモ)
【賛助会員一覧(アイウエオ順)】
国土地図㈱,国土防災技術㈱,東京スポットイマージュ㈱,(社)日本森林技術協会,
日本電気㈱,パシフィックコンサルタンツ㈱,㈱パスコ,北海道地図(株)
(シンポジウム)
12:30
13:10~13:20
会場受付
開会挨拶
13:20~14:00
「森林GISの現状と森林情報システム運用を取り巻く情勢」
森谷克彦(林野庁森林整備部計画課全国森林計画班担当課長補佐)
14:00~15:20
「新生産システムによる森林 GIS・DB(森林・所有者情報 DB 設置事業)」
和田 幸生(日本林業技士会)
加藤 正人(森林GISフォーラム会長)
「鹿児島圏域新生産システム森林・所有者情報データベースの開発について」
近藤 洋史(森林総合研究所九州支所)
15:20~15:50
15:50~16:50
休憩(賛助会員のデモンストレーション)
話題提供(賛助会員)
「森林 GIS 分野における地形データベースの活用」
勝部 圭一(北海道地図株式会社)
話題提供(森林GISフォーラム)
「2004 年台風 18 号による風倒被害把握と要因解析」
16:50
閉会挨拶
菅野 正人(北海道立林業試験場)
松村 直人(森林GISフォーラム副会長)
開会あいさつ
森林 GIS フォーラム会長 加藤 正人
大雪で足場の悪い中お集まり頂きありがとうございます。長野県の南箕輪村から東京に来る際に,
きれいな富士山が見えるとともに,樹木が雪をかぶっていました。雪害といったデメリットもありま
すが、雪がかぶった状態の景色は良いものであるともに横から見ると樹木の階層構造などが確認しや
すいこともわかりました。
森林 GIS フォーラムは 1994 年に設立し約 15 年が経過しました。手持ちの資料に設立の趣旨、
東京シンポジウムや学生フォーラム等の活動内容,役員体制を掲載しています。
本日は、林野庁の新規事業である新生産システムに関する講演2題をメインに,森林 GIS の施策等
に関わる林野庁の講演,賛助会員の話題提供,森林 GIS フォーラムの話題提供があります。有意義な
時間となるよう期待すると共に,楽しみに聞かせて頂きたいと思います。ありがとうございました。
17
森林 GIS の現状と森林情報システム運用を取り巻く情勢
林野庁森林整備部計画課全国森林計画班担当課長補佐 森谷克彦
林野庁森谷克彦課長補佐から森林 GIS に関する林野庁の取り組みに関して講演をお願いしました。
ここでは,当日の講演に使用されたスライドを掲載します。(森林 GIS フォーラム事務局)
森林GISフォーラム 東京シンポジウム
1.GIS整備に向けた政府の取り組み
森林GISの現状と
森林情報システム運用を取り巻く情勢
 e-Japan戦略・ e-Japan戦略Ⅱ
→ すべての国民が情報通信技術を活用し、その恩恵を最大限に享受できる社会の実現に向けて、2001年1月に決定された政府の
基本戦略。市場原理に基づき民間が最大限に活力を発揮できる環境を整備し、5年以内に世界最先端のIT国家となることを目
指すこととされた。
e-Japan戦略II(2003年7月)は、e-Japan戦略から2年半で各種施策を実施し、第1期としてIT基盤が整備されつつあることを受け、
第2期IT戦略として「社会全体が元気で、安心して生活でき、新たな感動を享受できる、これまで以上に便利な社会」の実現に向
け、先導的な取り組みとして7分野((1)医療、(2)食、(3)生活、(4)中小企業金融、(5)知、(6)就労・労働、(7)行政サービス)
の推進と、新たな IT社会基盤を整備するための方策などが盛り込まれた。
 IT新改革戦略2006
(いつでも、どこでも、誰でも ITの恩恵を実感できる社会の実現)
→ e-Japan戦略により、インフラ整備においても利用者レベルにおいても世界最高水準となり、最先端のマーケットと技術環境を有する
世界最先端のIT国家となったが、行政サービスや医療、教育分野等でのIT利用・活用における国民満足度の向上、地域や世代
間等における情報活用における格差の是正、セキュリティ対策や防災・災害対策の促進、企業経営におけるIT活用や産業の国際
競争力の強化、国際貢献について、依然として課題が存在。
平成20年2月4日
 GISアクションプラン2010
→ e-Japan戦略、e-Japan戦略IIでの成果や課題を総括するとともに、少子高齢化や安心・安全の確保といった社会的課題を解決す
るため、ITによる構造改革をどのように推進していくかを示し、2010年度に世界に先駆けITによる改革を完成させることを目標として
いる。
(IT新改革戦略の三つの理念)
①「構造改革による飛躍」で、ITが持つ新たな価値を生み出す力や構造改革力により日本社会を改革すること。
②「利用者・生活者重視」で、新たな価値が創出される社会を実現する、生活に密着したIT化を推進すること。
③「国際貢献・国際競争力強化」で、ITの構造改革力を通じた国際貢献を推進すること。
林野庁計画課
0
3.平成20年度森林GIS関係予算の概要
2.森林GIS整備関係施策の経緯
(1)地域森林計画編成事業のうち
森林GIS活用体制整備事業費
○ 平成20年度概算決定額:166百万円
○ 実施主体:都道府県
○ 補助率:2分の1
○ 事業期間:平成19年度~平成23年度
○ 事業内容:地形図のデジタル化、
デジタルオルソ作成、
衛星データ整備
モニタリング調査データの移行 等
 森林地図情報システム開発調査 (H2~H3)
→森林GISの開発を目的とした都道府県への委託調査事業
 森林地図情報システム化事業 (H5~H7)
→都道府県におけるシステム導入経費に対する補助事業(2県/年のモデル事業)
 地図情報システム推進事業(H8~H10)
→都道府県におけるシステム設計・プログラミングとテスト用データの入力・システム運用テスト
 地域森林計画編成事業のうち森林GIS等整備推進費(H14~H18)
→森林法の規定に基づき都道府県が行う地域森林計画作成に必要な事業としての
森林GIS整備(基本ソフト、ハード導入、空間データ基盤整備)等への補助。平成16
年度の三位一体の改革により、補助メニューの一部を廃止し税源を移譲。このため、
平成17年度からは「森林GISデータ基盤整備費」と事業名を改め、主にデータ整備
費を支援。e-Japan重点計画に基づく「IT関連事業」として位置づけ。
 地域森林計画編成事業のうち森林GIS活用体制整備事業費
(H19~H23)
1
(参考) 測量法の改正(H19)、地理空間情報活用促進基本法(H19)
2
3
2
森林GIS整備に係る現状と課題
-都道府県向け森林情報研修における質疑を参考に(私見を交えながら)-
都道府県の森林GIS整備状況
 平成19年12月末現在、森林GISの導入に伴い整備完了又は整
備中の都道府県は全体の9割以上。
未着手
3 (6%)
アナログからデジタル化へ対応
アナログからデジタル化へ対応
した基盤技術の継承
した基盤技術の継承
➜ 森林計画制度(森林調査
➜ 森林計画制度(森林調査
等)の習熟
等)の習熟
• 多機能化・高度化にあわせた
• 多機能化・高度化にあわせた
習熟機会の確保
習熟機会の確保
➜ 業務分野にあわせた体系
➜ 業務分野にあわせた体系
的な研修体制の整備
的な研修体制の整備
• 専門(管理)部署と一般部署
• 専門(管理)部署と一般部署
(利用)の操作用途・頻度に
(利用)の操作用途・頻度に
合わせた研修機会の確保
合わせた研修機会の確保
➜ 多階層に分類された研修
➜ 多階層に分類された研修
プログラムの作成・マニュア
プログラムの作成・マニュア
ル化
ル化
整備完了
14 (30%)
• 平時の業務管理と緊急時対
• 平時の業務管理と緊急時対
応(リスク管理)への対応
応(リスク管理)への対応
➜ システムバックアップ技術と迅
➜ システムバックアップ技術と迅
速な情報提供
速な情報提供
30 (64%)
属性情報と画像情報の有機的な連携技術の開発(各種自動解析技術の開発)
属性情報と画像情報の有機的な連携技術の開発(各種自動解析技術の開発)
用途に応じた現地調査・空中写真・衛星画像の活用手法の選択
用途に応じた現地調査・空中写真・衛星画像の活用手法の選択
成功・失敗事例の把握・フィードバック
成功・失敗事例の把握・フィードバック
システム管理・運営部署(集中管理)と業務利用部署毎の多段階システム運用手法の整備
システム管理・運営部署(集中管理)と業務利用部署毎の多段階システム運用手法の整備
GPS技術の応用(簡易測量、画像情報との連携等)
GPS技術の応用(簡易測量、画像情報との連携等)
ヘルプデスク機能の充実
ヘルプデスク機能の充実
職員数の削減と
それに伴う事務
の効率化への対
応も…
人材育成
森林簿・路網等情報の更新
森林簿・路網等情報の更新
の随時更新化
の随時更新化
➜ 5年ごとから毎年へ
➜ 5年ごとから毎年へ
GIS整備・技術開発
トータルバランス
運用コスト
情報の集積
NPO・企業の森
林整備活動への
対応や所有者の
高齢化の問題な
ど多様化…
整備中
継続したシステム整備・更新、技術開発費の確保 ➜ 財政事情による整備費確保への不安
継続したシステム整備・更新、技術開発費の確保 ➜ 財政事情による整備費確保への不安
都道府県から市町村、森林組合・事業体までの整備費確保
都道府県から市町村、森林組合・事業体までの整備費確保 ➜ ➜ 取り組みの積極性の濃淡
取り組みの積極性の濃淡
単独型から統合型への移行(組織内でのトータルコストの低減) ➜ 規格・用途の相違
単独型から統合型への移行(組織内でのトータルコストの低減) ➜ 規格・用途の相違
集中管理から分散管理へ ➜ エラーチェックの頻度増大
集中管理から分散管理へ ➜ エラーチェックの頻度増大
簡易型GISの整備 ➜ 全体運用経費の拡大
簡易型GISの整備 ➜ 全体運用経費の拡大
自動解析の拡大による人件費の抑制 ➜ 複雑化する業務
自動解析の拡大による人件費の抑制 ➜ 複雑化する業務
注:現在未着手の3県のうち1県は20年度に整備着手予定
4
18
• 個人情報保護に対応した
• 個人情報保護に対応した
制度の整備等
制度の整備等
➜ 条例の整備、適正な運用
➜ 条例の整備、適正な運用
• 都道府県から森林所有者・
• 都道府県から森林所有者・
事業体までの情報収集・提
事業体までの情報収集・提
供・共有の仕組み整備
供・共有の仕組み整備
➜ 補助金・交付金の有効活
➜ 補助金・交付金の有効活
用、ルール化
用、ルール化
•• 各種情報の相互活用
各種情報の相互活用
➜ モニタリング、治山、林道、
➜ モニタリング、治山、林道、
保安林、地籍調査等
保安林、地籍調査等
• 不正利用の防止
• 不正利用の防止
➜ セキュリティの向上 5
➜ セキュリティの向上
5
持続可能な森林経営等を巡る
持続可能な森林経営等を巡る
国際的な動向
国際的な動向
(2)森林資源調査データによる動態変化
解析事業
○
○
○
○
 2006年の第6回国連森林フォーラムにおいて、持続可能な森林経営の指標を考慮しつつ、国内施策
 2006年の第6回国連森林フォーラムにおいて、持続可能な森林経営の指標を考慮しつつ、国内施策
等の実施に関する報告を行うことに合意。
等の実施に関する報告を行うことに合意。
 モントリオール・プロセスの
「基準・指標」に対応した、 「国別森林レポート」の作成・提出(2009年) 等。
 モントリオール・プロセスの 「基準・指標」に対応した、 「国別森林レポート」の作成・提出(2009年) 等。
 京都議定書に基づく第1約束期間の期首(2008年)における森林吸収量の報告(2010年4月が期限)。
 京都議定書に基づく第1約束期間の期首( 2008年)における森林吸収量の報告(2010年4月が期限)。
森林資源モニタリング調査
森林資源モニタリング調査
【地域森林計画編成事業費補助金 】
【地域森林計画編成事業費補助金 】
平成20年度概算決定額:86百万円
実施主体:国 (民間団体に委託)
事業期間:平成19年度~平成21年度
事業内容:
●全国約1万6千点
●5年で一巡(H11~、現在2巡目)
●調査内容:立木調査、土壌浸食、下層植生、病虫獣害・気象害 等
●目的
持続可能な森林経営の推進に資する観点から、森林の状態
とその変化の動向について、全国統一した手法により把握・
評価することにより、地域森林計画等における森林整備に係
る基本的な事項等を定めるのに必要な客観的資料を得ること。
森林資源調査データによる動態変化解析事業
森林資源調査データによる動態変化解析事業
(H19年度~)
(H19年度~)
森林資源モニタリング調査の1巡目・2巡目データや衛
星画像等を活用した森林の動態変化の解析手法の開
発
モントリオール・プロセスの基準・指標に基づくデータ解
析手法の開発
●モントリオール・プロセスに掲げられた「基準・指標」に係るデー
●モントリオール・プロセスに掲げられた「基準・指標」に係るデー
タ解析手法の開発による「国別森林レポート」等作成への寄与
タ解析手法の開発による「国別森林レポート」等作成への寄与
●京都議定書における森林吸収量の検証データとしての活用
●京都議定書における森林吸収量の検証データとしての活用
【期待する事業成果】
●森林資源モニタリング調査の1巡目・2巡目データによる時系列変化の解析手法の検討・開発
(森林被害、土壌浸食、下層植生等の推移の解析)
●モントリオール・プロセスの「基準・指標」に対応するための衛星画像等を用いた解析手法の検討・開発
6
7
7
本事業における検討課題
森林資源モニタリング調査を巡る動向
 森林資源モニタリング調査データの時系列解析
手法の開発等

森林・林業基本計画 (平成18年9月閣議決定)
第3 森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
1 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策
(1)多様で健全な森林への誘導に向けた効率的・効果的な整備
④ 国家レベルの森林資源の管理体制の整備とニーズに応じた多様な森林関連情報の提供の推進
①
②
③
④
持続可能な森林経営の推進及び地域森林計画等の樹立に資するため、民有林と国有林を通じ、生物多様
性等の持続可能な森林経営の基準・指標に係るデータを継続的に把握する森林資源のモニタリングを引き続き
実施する。

第3次生物多様性国家戦略 (平成19年11月27日閣議決定)
第1章 国土空間施策 第5節 森林
1.12 森林資源のモニタリングの推進
調査データの時系列解析手法の開発
到達不能地点の現況推定手法の開発
衛星画像等を用いた情報補完手法の開発
エラーチェック機能の向上と追加調査項目の特定
 モントリオール・プロセスの基準・指標に基づ
くデータ解析手法の開発
○ 全国約15,700点の定点プロットにつき、地況、植生、枯損木、鳥獣の生息痕跡、病虫獣害などに係る調査を継
続的に実施します。
○ 二巡目までの結果などに基づき、モントリオール・プロセスの「基準・指標」に対応した「2009年第2回国別レポー
ト」を作成し、わが国及び世界における持続可能な森林経営の推進を図ります。
○ 森林資源モニタリング調査結果や衛星画像などを用いた森林の動態解析手法を開発します。
○ 森林空間データや森林資源モニタリング調査結果などを森林GIS上で統合的に扱うなど、森林資源情報の効果
8
的な活用を図ります。
9
8
衛星画像を活用した保安林管理システム(イメージ)
(3)保安林管理委託費
衛星画像
(200X年)
○
○
○
○
2年毎に取得
高解像度:2.5m
高精度:ゆがみがない
<継続>
衛星画像
(200Y年)
<拡充(H19)>
平成20年度概算決定額:164百万円
実施主体:国(都道府県に委託)
事業期間:平成17年度~平成24年度
事業内容:
衛 星 デ ータ
に よ り 変化
箇 所 を抽 出
保安林の位置
情報 を電子化
① 保 安林の 属性
情 報 を 追 加
保
安
林
関連情報DB
②伐採許可申請書等
の情 報を電 子化
電子化
差分抽出図
位置データ
属性データ
重要な保安林の区域の衛星デジタル画像データを
経時的に重ね合わせ、土地の形質の変更行為等の
あった箇所を抽出して現地調査を行うことにより、保
安林の適切な保全に必要な現況の把握を実施。
① 保 安 林
台 帳 情 報
②伐採許可
申 請 書 等
の
情
報
民有林と国有林を通じた保安林管理情報の整備
③国有林の
林班界情報
を
表
示
(許可どおりの合法的な伐採)
③ 国 有 林 の
林 班 界 情 報
(概ね全域が保安林)
(現地調査の結果、崩壊地であった箇所)
伐採許可申請書等にない変化箇所
10
現地調査の必要な箇所を効率的に抽出
国 有 保 安 林 の
配置 と連携した
新たな指定の検討等
迅速な是正指導
国で電子化した
デ ータ を提供
11
効率的な保安林管理の推進
11
19
(4)新生産システム推進対策のうち
森林・所有者情報データベース設置事業
○
○
○
○
4.既終了森林GIS関連事業の概要
(1)森林資源調査データ解析事業
平成20年度概算決定額: 271百万円
事業主体:民間団体
事業期間:平成18年度~平成22年度
事業内容:
※ H18事業終了
○ 実施主体:国(民間団体に委託)
○ 事業期間:平成14年度~平成18年度
○ 事業内容:
零細な林家等が伐採を行おうとする林地をデータベースに
登録し、素材生産事業体が当該データベースを閲覧し、林家等
への集約的な伐採の働きかけを促進することにより、林家等の
収益向上を実現。
この中で、特に森林の所有界を明確にすることを目的とし
たデジタル航空カメラによる空中写真撮影やGPS測量成果の
活用手法の検討等を実施。
衛星データ(IKONOS、SPOT5等)や森林資源モニタ
リング調査(全国15,700点のサンプル調査)データ等
による森林資源情報の取得技術の開発
13
12
事例1 森林資源モニタリング調査データと
衛星データの組合せによる材積推定
本事業で得られた
主な解析技術等に係る成果および課題
成
果
今後の課題





樹種区分の判定
間伐候補林分の抽出
伐採跡地・崩壊地等の抽出
林分材積の推定
GPSとの連携





森林施業レベルへの寄与
森林の変化の時系列的把握
精度の向上
簡易性の確保
行政事務への活用・導入


森林調査簿(材積)のクロスチェックのためにモニタリング調査結果から材積の面的分布図を作成
ランドサット衛星とモニタリングデータから材積Mapを作成
結果比較
15
14
15
事例2 時系列データの解析
1960年オルソ写真
渓畔林の変遷
(2)国家森林資源データベース
資源の評価軸→
人工林の成熟
戦前・中の伐採による国土の荒廃
戦後の拡大造林期
天然林の減少
※ H17システム整備終了
1 概要
全国の森林資源に関する様々な情報を収集し、閲覧、解析、出力するためのシステム
具体的には、森林簿データや森林計画図データなどの行政情報、衛星画像データなどの地理情報、
そして森林資源モニタリング調査から得られた林分情報などを格納するデータベース(データ本体)
1975年オルソ写真
林道開設による分断化
2 主な機能
←災害による質の低下
○京都議定書対応等
➢ 気候変動枠組条約に基づく報告のための吸収量の算定・報告検証に必要なデータの解析、
表示、出力機能
➢ 森林経営(3条4項活動)の定義に基づいたシミュレーション機能
➢ 報告内容に関する審査員へのプレゼンテーションのための検索、閲覧機能
拡大造林期
造林地の保育・管理
2004年SPOTカラー画像
←施業・開発による面的変化
資源の成熟期と伐採
人工林の成長
(収穫予想表に依存)
天然林の質的変遷
(不確実要素が高い)
面的多様性の変遷
(森林の分断度等)
○森林資源センサス対応
➢ 森林資源現況把握のための帳票等表示、出力機能
➢ 林業センサスのための解析、表示、出力機能
17
16
5.今後の課題
-整備から利用へ-
 森林GISの継続的な整備(システム・データ)
 技術開発の積極的な推進
 森林GISの効率的・効果的な運用
・部局間の連携・情報利用
・適正な情報管理の推進
・人材の育成
・外部への情報発信
 国際的な課題への対応
(地域レベルから国レベルへ、そして世界へ)
・地球温暖化防止対策
・生物多様性への対応
18
20
新生産システムによる森林 GIS・DB(森林・所有者情報 DB 設置事業)
日本林業技士会
和田幸生
【キーワード】
新生産システム,森林・所有者 DB,森林 GIS,リモセン,デジタルオルソ,Web
1.新生産システムの概要
林業不振によって施業意欲の低下が著しい一方で人工林は成熟期を迎えており,早期の対策が必要
となっている。そこで生産・流通・加工のコストダウン,需要の確保,収益向上,森林施業の促進と
いったテーマが重要となっている。
平成 17 年度より全国に 11 のモデル地域を設定し,木材安定供給圏域システムモデル事業,林業
経営担い手モデル事業,革新的施業技術等取組支援事業,森林・所有者情報データベース設置事業の
4 事業を実施している。
2.森林・所有者情報データベース設置事業(DB 事業)の概要
中小森林所有者からの原木供給を確保するため,伐採(主間伐)可能な立木情報を登録したデータ
ベースの設置・運営,所有者への施業及び情報登録ならびに施業集約化の働きかけ,所有者還元を確
保するための立木評価(参考価格の提供),GIS データの整備等を実施する。なお,GIS データとし
てデジタルカメラ撮影によるデジタルオルソ画像の取込みと有効利用についても検討する。
3.DB 事業における森林 GIS
本事業実施のためにそれぞれのモデル地域で導入されている GIS は,森林組合業務に特化したもの
が多い。行政で使用されているものに比べ,経営的・属人的なものが多く,測量管理(測量データ,
GPS データ),事業管理(事業書類作成,事業履歴管理),所有者管理(属性管理,所有者検索),
作業支援(立木在庫管理,施業見積り)などの機能を有している(FOCAS,GeoFIMAS,新人類,
LiveFOREST など)。
4.期待とまとめ
DB 事業は,モデル地域において正確な森林資源把握につながる。全国にこの事業が拡がれば,正
確な国家資源把握に発展する。これを支える技術として,森林 GIS,森林リモセン,インターネット
などの技術は重要である。
DB 事業は,今後登録される DB が増えるほどその効果が期待される。また,GIS システムの簡素化
や森林簿,森林計画図,国土調査など基本情報の精度向上が望まれる。本事業は,森林分野にとどま
らず,農業,衛星リモセンなど他分野からも大いに注目されており,今後その真価が問われる。
21
モデル地域
秋
田
岐
阜
岡
山
大
分
奥久慈八溝
中日本圏域
高知
熊
本
四国地域
宮
崎
鹿児島
Story
<素材生産者>
<DB運営者>
説明会
ID発行
GISデータ
DB
GIS
閲覧
<森林所有者>
登録承諾
計画図、オルソ
林分調査
境界、立木
Web
評価
売買交渉
森林・所有者DBへの期待
モデル地域
データ整備
立木情報
所有者情報
正確な
資源把握
森林計画図
森林簿へ
フィードバック
全 国
データ整備
正確な
国家資源把握
林分界
<支える技術>
所有界
・森林GIS
・森林リモセン
・Internet
組織間の情報共有
デジタルオルソ
22
鹿児島圏域新生産システム森林・所有者情報データベースの開発について
森林総合研究所九州支所 近藤洋史
1.はじめに
平成 18(2006)年度からはじまった新生産システムでは,全国 11 箇所のモデル地域において
生産コストの削減や生産力の強化などに取り組んでいます。鹿児島圏域においても,全県をあげての
取り組みとなっています。この新生産システム事業の中で,伐採可能な林分のデータベースを構築し,
供給ストックの確保ならびに施業の集約化を図るとともに,木材の安定供給の確保に資することを目
的として「鹿児島圏域新生産システム森林・所有者情報データベース」が開発・構築されました。そ
こで,このデータベース(以下 DB)システムの開発・構築の経緯およびその運用状況について述べ
てみたいと思います。
2.DB の開発・構築の概要
まず,DB を開発・構築するにあたって,鹿児島圏域森林・所有者情報データベース設置検討委員
会を設置しました。この委員会は,情報データベースの開発・構築に際しての諸事項について検討を
行うもので,6 名の委員で構成されました。この委員会では,まず,
「鹿児島圏域新生産システム森林・
所有者情報データベース設置運営要領」について検討を行いました。この運営要領を検討する中で,
データベース開発・構築に関する課題や運用上の問題点を討議してきました。
本データベースシステムの事業イメージを図1に示しました。鹿児島県森林組合連合会(以下,県
森連)を中核として,森林所有者からの承諾に基づき,立木の売買を前提とした森林の現況調査を実
施し,その結果を DB に登録します。森林所有者の方から DB 登録に申し出がある場合ばかりではな
いと予想されますので,登録可能なデータを積極的に掘り起こしていく必要があります。そこで,森
林 GIS を用いて,登録可能なデータの検索を行いました。その検索方法の概要を図2に示しました。
その検索結果をもとに当該森林所有者に対して,DB 登録に対する協力をお願いすることとしました。
さらに,森林所有者に,当該森林の現況やその評価を認識していただけるように,現況調査結果およ
び評価結果を報告するようにしています。
このようにデータ登録された DB に対して,当圏域新生産システム参加事業体で,この DB に対し
利用申請を行っている事業体がインターネットを通して,参照・検索します。事業体は,条件に合致
した DB に対して,Web 上から問い合わせを行います。県森連は,事業体からの問い合わせに基づ
き,売買方法,現地案内などの情報を教えるようになっています。そして,売買契約を行い,伐採に
なります。伐採においては,環境に配慮した伐採に努めてもらうようになっています。県森連は,伐
採施業から 1 ヶ月以内に現地確認を行います。また,事業体には出荷先,出荷量を必ず報告してもら
うようにしています。
このような森林資源利用に関する DB システムの開発・構築の事例は,まだまだ少ないのが現状と
思われます。また,運用していく中でいろいろな問題が生じてくると考えられます。今後,生じてく
る問題・課題に対応していく必要があると思います。
23
図1.鹿児島圏域新生産システム森林・所有者情報データベースの事業イメージ
(森林・所有者情報データベース設置権等委員会資料より)
森林簿
データ
中核
候補地
データ抽出
1筆1ha以上
10齢級以上
GIS
抽出結果
*中核候補地近隣の
対象地検索
*中核候補地に追加
(団地化)
間伐補助対象外
抽出結果
データベース
調査候補地
所有者名で検索
(名寄せ)
図2.登録可能データの検索方法の概要
24
(賛助会員話題提供)
森林 GIS 分野における地形データベースの活用
北海道地図株式会社 勝部圭一
森林計画・管理業務の効率化を目的とした森林 GIS 関連分野においては,精度の高い地形・地図情
報が必要とされております。当社の空間情報データベース GISMAP シリーズは森林関連業務におい
て様々な形で利用されており,今回の発表ではその活用事例をご紹介いたします。
①森林 GIS 構築におけるベースマップとして
森林 GIS の構築に当たっては基盤地図データベースとしての地形・等高線データが必要となってお
ります。しかし都道府県単位での森林基本図のデジタル化や,レーザープロファイラによる 3 次元デ
ータの作成には多額のコストと時間を要する場合がございます。
当社の「GISMAP 25000V」「GISMAP 等高線」には 10m 間隔の等高線ベクトルデータが標準
で装備されており,多くの森林 GIS においてベースマップとして採用されております。
②地形解析・環境計測分野での活用
山地災害対策・環境評価・水流出解析などの様々な用途で標高データを用いた数値シミュレーショ
ンが行われております。日本全国をカバーする標高データとしては国土地理院によって発行されてい
る空間解像度 50m の「数値地図 50m メッシュ(標高)」があります。しかしながら森林業務の対象
となるような日本の山地・丘陵地の詳細な地形を表現するには十分な解像度とは言えません。当社で
は国土地理院発行の 2 万 5 千分の 1 地形図から独自に作成した等高線ベクトルデータに,内挿補間
を施すことによって 10m メッシュ標高データ「GISMAP Terrain」を全国整備いたしております。
林野庁の主導により平成 18 年 7 月~19 年 10 月に各都道府県で実施された山地災害危険地区の
再点検では「GISMAP Terrain」「GISMAP 等高線」を用いた数値シミュレーションによる地形解析
が行われました。従来のこうした調査では空中写真の判読と現地調査が中心的な手法でしたが,数値
シミュレーションを併用することにより調査期間の短縮と調査結果の定量的な評価が可能となりまし
た。
③森林リモートセンシング分野での活用
森林リモートセンシング分野において空中写真や衛星画像の簡易オルソ補正に標高データが活用さ
れております。
④景観シミュレーションにおける活用
今後,美しい森林景観を維持し,森林の機能を分かりやすく市民に伝えていくために景観シミュレ
ーションの手法が重要となってくると予想されます。当社では景観 CG 作成用のテクスチャーデータ
として「GISMAP Texture(仮称)」を開発いたしました。「GISMAP Texture」と当社の地形・地
図データを組み合わせることにより,視覚的にアピールする景観 CG の作成が低コスト・短期間で可
能となります。
25
26
話題提供(森林GISフォーラム)
2004 年台風 18 号による風倒被害把握と要因解析
菅野正人(北海道立林業試験場)
1.はじめに
2004 年 9 月 8 日の台風 18 号の強風により北海道で約 37,000ha の森林被害が発生した。林
道をふさぐ倒木によって困難を極める広範囲の現地調査を支援するため,衛星画像を利用した森林被
害把握を試みた。また,1954 年の洞爺丸台風以降,北海道には 1981 ,2002 ,2004 年と強
い勢力の台風が来襲しており,風倒害を森林保全上のリスクとして認識し対策を検討すべき時期にき
ている。そのため,要因解析を行い,森林 GIS を利用してハザードマップを作成した。
図-1 台風の経路と各地の風速分布
(青丸は調査対象地)
図-2 数 ha 規模のトドマツ人工林の倒壊
(2004.09.15 (株)シン技術コンサル撮影)
2.衛星画像による風倒被害把握
台風による被害が集中した支笏湖周辺(図―1の青丸)を対象として 2004 年 9 月 16 日撮影の
SPOT2 号衛星(分解能 20m,撮影範囲 60km×60km)を用いた風倒被害把握を行った。被害の
有無で衛星画像の色調が異なっていたことから,リモートセンシング解析ソフトの自動分類処理によ
り風倒被害と思われる箇所を抽出できた(図-5)。現地確認を行ったところ,人工林の大規模な被害
地については,おおむね把握できており,被害の全体像は十分に確認することができた。
3.風倒被害の要因解析
風倒被害の受けやすさ(被害確率)と森林の状況や地形的な特徴との関連についてロジスティック
回帰という方法を用いて調査した.風倒被害データは衛星画像の解析結果(図-5)を用いた。要因
解析は,森林の状況については樹種,林齢など,地形要因については 50m メッシュ標高,傾斜,斜
面方位,露出度(見晴らしの良さ)について調査した。
人の手で変えることが困難な地形要因で被害に関係していたのは斜面方位並びに露出度であり,台
風 18 号の主風向に面する南南西斜面で傾斜の大きい箇所での被害確率が高いこと(図―3)
,さらに,
露出度の高い箇所で被害確率が高いことがわかった(図-4)。これらの地形要因との関係を元に風倒
被害の危険度をGISで表示したものが図-6の風倒被害ハザードマップである。
一方,人の手で変えることができる森林の状況については樹種及び林齢について関係が見られ,樹
種に関しては広葉樹よりも針葉樹の被害確率が高く(図―7),林齢に関しては 50~60 年生が被害
を受けやすいことがわかった(図―8)
。
27
これらの結果から,風倒被害のリスクを減らす方法として,地形的に危険度の高い箇所での広葉樹
の植栽を進める,長伐期施業を回避するといったことや,異齢モザイク林によるリスク分散といった
方法が考えられる。
図-3 斜面方位と風倒被害の関係
図-4 露出度と風倒被害の関係
図-5 衛星画像から推定した被害箇所(赤)
図-6 地理的要因から求めた風倒被害
ハザードマップ
図-7 樹種と風倒被害の関係
図-8林齢と風倒被害の関係
28
森林 GIS フォーラムについて
森林 GIS フォーラム事務局 菅野 正人
(設立の趣旨)
森林は従来の木材生産以外にも、生活環境や自然保護といった「地球的規模でかつ多元的な環境問題」
といった面でも多くの人々の注目を浴びるようになってきました。これからの森林管理では、経営、治
山、防災、環境などの森林に関わる各業務において、さまざまな局面に対応できる情報システムの支援
が求められています。森林GISフォーラムでは森林関連の情報システムを構築する上で強力な手法と
なる森林GISに焦点をあて、その活用から森林のあるべき姿を考えたいと思っておりますが、森林G
ISの普及に際しては、次の二つの問題点が指摘されています。
(1) 現在の森林管理の情報制度をコンピュータ化しやすいように見直す必要がある。
(2) 森林専門家の中に、情報処理技術に習熟した人材が不足している。
これらの問題を解決するためには、森林管理に習熟した経営者や行政官と、情報処理に優れた専門家
との相互交流であり、そのため、森林経営者、森林行政官、GISの専門家、そして森林研究者の交流
の場として森林GISフォーラムを設立しました。
(年間の活動内容)
・4~5月
運営委員会を開催し、年間の活動方針を決めます。
・9月
森林リモートセンシング画像解析セミナー開催(信州大学)
・7月~11月
各地方で地域セミナーおよびミニシンポジウムを開催します(2007 年は 11 月に熊本
市で開催)
・11~12月
・2月
学生フォーラム開催(2007 年は 11 月に宇都宮大学で開催)
東京シンポジウム開催
・その他、広報誌としてニューズレターを年3回程度発行しています。
(一般会員の登録について)
個人が加入できる一般会員の登録についてはお名前と E-Mail アドレスを事務局にお知らせください。
入会費、年会費は無料です。一般会員には、イベントや会報の発行案内をメールで送ります。ゆるやか
な会員制度ですが、その分、気軽に利用していただければと思います。
(賛助会員について)
賛助会員は森林GISフォーラムの目的に賛同し、その事業に協力しようとする法人又は団体が加入
することができます(ただし、日本国内に事業所を有すること)。
2007 年度現在の賛助会員は以下のとおりです。
(アイウエオ順で掲載しています)。
・国土地図株式会社(http://www.kokudochizu.co.jp/)
・国土防災技術株式会社(http://www.jce.co.jp/)
・東京スポットイマージュ株式会社(http://www.spotimage.co.jp/)
・社団法人日本森林技術協会(http://www.jafta.or.jp/index-j.html)
・日本電気株式会社(http://www.nec.co.jp/)
・パシフィックコンサルタンツ株式会社(http://www.pacific.co.jp/)
・株式会社パスコ(http://www.pasco.co.jp/)
・北海道地図株式会社(http://www.hcc.co.jp/)
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<編集後記>
森林GISフォーラム前事務局長の菅野です。任期は3月末で終了ですが,事務引き継ぎのため5月
末開催予定の運営委員会までは事務局長を担当します。本号は,昨年11月に実施した学生フォーラム
と今年2月実施の東京シンポジウムの開催内容について掲載しました。
2年前の森林学会の際に北海道立林業試験場時代の元上司である加藤会長に呼ばれて事務局長をや
ってくれないかと言われたときは二つ返事で了承するわけもなく,(詳しくは省きますが)強い要請
を受けてなんとなく了承し,事務引き継ぎも兼ねた運営委員会に出てみれば会長は海外研修で半年間
不在,(次年度は考えていたらしいのに)今年度の地域セミナーの開催場所は考えていないというこ
とで,正直どうしたらよいのか暗中模索の就任当初でした。この辺は松村副会長,京都府立大学の田
中和博先生などの尽力により京都で地域セミナーを開催,また,その後の学生フォーラムや東京シン
ポジウムを無事に開催することができました。
2年目は会長がいたことで物事がすぐに決まり,開催場所や講演者選定などで関係方面への折衝に
尽力して頂いたこともあり,非常にスムーズに事が進ましたが,反面,事務局長としては1年やって
変な慣れが出たためか,すこしばかり緊張感に欠けてしまったのが反省点でもあります。
この2年間,事務局を引き受けて感じたこととして,森林GISフォーラムとはどういう組織なの
かという広報面,また事務処理的なこととしては何をしたら良いのか(過去の経緯など)が整理され
ていない点が少しばかり気になりました。そこで,地域セミナー,東京シンポジウムの資料に森林G
ISフォーラムの概要を掲載しました。また,事務局長を引き継がれる方のために,引き継ぎ書には
これまでの経緯やしなければならないことを追記する,また,地域セミナーや東京シンポジウムに関
しては運営覚書を作成するなど,後を引き継がれる方に多少でも負担軽減になれば幸いと思っていま
す。その他,賛助会員に多少でもメリットを感じて頂ければと言うことも考えて,資料に広告を掲載
することも行いました。
この事務局長は二つ返事で担当できるような仕事ではありませんが,何をするにも事務的な仕事が
必要であり,そのことを経験できること,また,行事開催にあたって関係行政機関や講演者等と打合
せを行う中で人を知ることができる点は事務局長を行う大きな動機に成り得ると思います。
いずれにしても2年間お世話になりました。2008年度から森林GISフォーラムの事務局長は宇
都宮大学の松英 恵吾氏が就任する予定となっています。菅野は運営委員(北海道地区)に就任予定で,
今後も森林GISフォーラムに関わることになります。引き続きよろしくお願いします。
森林GISフォーラム
ニューズレター
発行日
Vol.41
2008年4月
森林GISフォーラム事務局(2008年4月まで)
〒079-0198 美唄市光珠内町東山
北海道立林業試験場 資源解析科 内
編集人
菅野正人
TEL:0126(63)4164(ex.402)
発行人
梅沢光一
E-mail : info2@ forestgis.jp
FAX:0126(63)4166
ホームページ :http://www.forestgis.jp/
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