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議事録 - ライフサイエンスの広場

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議事録 - ライフサイエンスの広場
科学技術・学術審議会
生命倫理・安全部会
特定胚等研究専門委員会
動物性集合胚の取扱いに関する作業部会(第 10 回)
議事録
1. 日時
平成 27 年 6 月 10 日(水曜日)13 時 29 分~15 時 17 分
2. 場所
文部科学省 17 階 研究振興局会議室
3. 出席者
(委 員)高坂主査代理、阿久津委員、大西委員
窪田委員、相賀委員、古江-楠田委員
(事務局)御厩安全対策官、丸山室長補佐、神崎専門職
(有識者)中村教授(富山大学大学院工学研究部・工学部生命工学科)
4. 議事
(1) 動物性集合胚の取扱いに係る科学的観点からの検討について(ヒアリング)
(2) その他
5. 配付資料
資料1
「工学による組織作製 Bioprinting & Biofabrication」、添付資料「Science
Portal コラム
資料2
機械で臓器を作る」(中村真人富山大学教授提出資料)
動物性集合胚の取扱いに係る科学的観点からの調査・検討事項の整理(案)
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6. 議事
【高坂主査代理】
それでは、定刻にはまだ少し時間がありますが、委員の先生方、全
員おそろいのようですので、始めたいと思います。
ただいまから、第 10 回動物性集合胚の取扱いに関する作業部会を開催いたします。
まずは、事務局の方から配付資料の確認をお願いいたします。
【丸山室長補佐】
それでは、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の裏面
に、配付資料一覧がございます。各資料の右肩に振ってある資料番号として、資料 1、2 の
2 点でございます。さらに、机上資料として、ドッチファイルの参考資料を準備しておりま
す。不備、不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
なお、本日は、須田主査、小倉委員から、欠席の御連絡を頂いております。
また、本日は、富山大学の中村真人教授に御出席いただいております。
また、審議の円滑な進行のため、頭撮りはここまでとさせていただきます。
以上です。
【高坂主査代理】
ありがとうございました。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。本日は、関連研究者からのヒアリングと
いうことで、富山大学の中村教授にお越しいただいております。
御承知のように、この部会では、動物の胚の中にヒトの細胞を入れる、いわゆる動物性
集合胚について、今後の取扱いについて現在検討を進めているわけでございますが、中村
先生は、3D プリンターを用いた臓器作成という、非常にユニークな研究をされていると伺
っております。まずは中村先生からゆっくりお話を伺った上で、動物性集合胚との対比と
いったような観点から、ディスカッションを進めていきたいと思います。
それでは、中村先生、よろしくお願いいたします。
【中村教授】
よろしくお願いいたします。
皆さん、初めまして。富山大学の生命工学科で教授をやっております、中村と申します。
今回、生命倫理・安全部会の生命倫理に関する作業部会というところでお話しさせていた
だくのですけれども、実は、生命倫理に対しては、私は、できるだけ問題にならないよう
に、ならないようにということで、正直言うと逃げてきたというところなので、どれくら
い御参考になるか分かりませんけれども、私の歩みというか、研究の歩みを通して、私な
りの考え方を発表させていただきます。御参考になるかどうかはちょっと分かりませんけ
れども、よろしくお願いいたします。
-2-
私の研究ですけれども、工学による組織作製ということで、バイオプリンティング、バ
イオファブリケーションというふうに名付けられて、今、世界中で進み始めているテーマ
であります。
きょうのお話の内容ですけれども、1 番から 6 番までありますが、まず私の研究のことを
ざっくり紹介させていただきまして、何故このような研究を始めたのか。臓器を作ろうと
しているのですけれども、何で臓器を作ろうとしたのか。バイオプリンティング、バイオ
ファブリケーションというのは、機械で臓器を作るというような、そういう取組になりま
す。何故機械で作ろうと考えたのか。そして、今、このバイオファブリケーションという
のは、再生医療の中でも組織工学、特にエンジニアの人たちがたくさん入ってきて、世界
中で進み始めているところでもあります。その動向をお話しして、これから進むべき道と
いうか、展望というか、「生命を吹き込む医工学・生命を届ける医工学」というふうに、
私はスローガンを作ってやろうとしているのですけれども、そういうことを説明させてい
ただきます。
まず、私の研究のテーマですが、ちょうどきょう東京大学で大学院の授業をやるという
ことで、そちらの方のスライドを一つお見せします。私の研究室のキャッチスライドとい
うか、こういう形ですね。生命工学科という学科の中で、再生医療を工学技術で革新しよ
うということですが、細胞から組織や臓器を作る機械を作ろうということでやっておりま
す。「機械で臓器を作れるか?」というのは、実は、私の研究はバイオファブリケーショ
ンと言うのですけれども、バイオファブリケーションと言っても誰も分からないよという
ことで、私が富山大学に就任したときに、うちの娘が、私が付けてあげるといって、「機
械で臓器を作れるか?」、これじゃない? と言ったら、どんぴしゃなのですね。それで、
研究室のキャッチフレーズとさせていただいております。機械を開発して、機械で細胞を
積み上げていって 3 次元の構造物を作って、さらにそれを培養して臓器を作ろうという取
組であります。
作ったのがインクジェットを利用した 3D バイオプリンターです。今、3D プリンターが
ものすごく話題になっていますが、医療応用のはしりを行っていたようなところになりま
す。で、「機械で臓器を作れるか?」ということで、ここにあります動画は開発したイン
クジェットのプリンターの部位なのですけれども、このプリンターのインクとして、生き
た細胞あるいは幹細胞、あるいはいろいろな生体材料、コラーゲンとか、そういったタン
パク質などですね。あるいは、増殖因子のような機能分子なども含まれます。そういう材
-3-
料を適材適所プリントアウトすることによって、さらにそれを積層していくことによって
細胞を自由自在に並べて作り上げていこうというのがコンセプトです。コンセプトはコン
セプトなのですけれども、一応、3 次元に積み重ねるところまでは行ってはいるのですが、
非常にこれは難しいテーマでありまして、まだまだ研究が必要なところであります。
バイオプリンティング、バイオファブリケーションというふうに言われているわけです
が、バイオというのはバイオロジー(生物学)ということで、いろいろな生物学的な材料
を用います。今申しましたように、細胞・幹細胞、タンパク質、生体材料、ひいては薬剤
まで含めて、いろいろなものを使います。そして、生物学的な製品を作る。プリンティン
グ技術にしても、ファブリケーション技術にしても、これらは生産技術として利用します。
そして、最終的に生物学的な製品を作る。こうして人工的に組織や臓器を作るというのが
目的です。印刷技術は普通 2 次元なのですが、それを積層していくことによって 3 次元に
するということで、このアニメーションのようなイメージです。こうやって生きた組織や
臓器を作ります。オーガンプリンティングという言葉もあるのですが、最終的には臓器を
作るのが目的です。なぜ、臓器を作るのか?については、その目的は、まず一番は、病気
の治療や臓器の代替、これが目的です。さらに、こういう人工的な組織や臓器を作って、
研究用の組織モデル、臓器モデルとして利用するというのが、二つ目の目的になります。
そこに機械の手を使うというのが、この技術の特徴ということになります。
まず最初に、「なぜ、臓器をつくるのか?」の一番目の目的は、病気の治療、臓器の代
替と申しましたが、まず、私の経歴からお話しさせていただきます。
私は、1986 年に神戸大学の医学部を卒業しました。山中先生の 1 年先に卒業した形にな
りますが、卒業すると、石川県の金沢市出身なので、地元に戻って、金沢大学の小児科に
入りました。小児科として訓練を受けて、専門としては、小児循環器、心臓病を担当して
おりました。10 年間、臨床をばりばりやっていたわけですが、その頃は、研究なんてくそ
食らえという感じで、臨床こそが医者の使命だという感じでやっていました。けれども、1
0 年間、臨床医をやっていると、治る病気ばかりじゃなく、治らない病気の症例にたくさん
出会います。治らない病気の患者さんを持ったときに、どうしたら治るだろうか、これは
研究しなければだめだということで、だんだん研究を重視するようになってきたわけです。
子供の心臓病の難病というと、先天性心疾患で手術適応がない患者さんとか、心筋症、
あるいは肺高血圧症、これらも治す治療方法がないと言われている病気です。そうした患
者さんの場合、最終的には移植するしかないということで、患者さんを外国へ送ろうかと、
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そこまでいろいろ考えていたときがありました。だけど、心臓移植になると、誰かの死が
かかってきます。移植する心臓は、死んだ人よりは生きている人からの方が健康な心臓が
もらえるということで、脳死患者からもらうのがベストです。しかし、脳死という生命倫
理問題が必ず付きまとってきます。つまり、患者さんを助けるのか、それとも脳死の患者
さんを助けるのか、ここで命のてんびんに掛かってくるわけですね。そういうことで、移
植医療の生命倫理的な問題に、すごく悩みました。米国へ送ったら助かる可能性がありま
す、と言われましたが、外国でも順番待ちであると。ということは、海外渡航移植では、
順番を待っている患者さんの命と今ここにいる患者さんの命、これがはかりに掛かること
になってしまうわけです。どうしたらいいのかとすごく悩んで、何とかこのはかりに掛か
らない方法は何かないかということを考えたわけですね。
じゃあ、心臓を作ったらいいのではないかと。つまり、臓器が必要なら人工的に作った
らいいのではないかということで、人工心臓の研究に気持ちが移ったわけです。そこでい
ろいろ悩みましたが、人工心臓の研究ならばライフワークになってもいいかもしれないな
と決断して、思い切って大阪にある国立循環器病センターにシニアレジデントという立場
で移りました。給料は半分ぐらいになっちゃいましたが、ライフワークとするならばやむ
を得ないと思って、国立循環器病センターへ移りました。そこから人工心臓の研究に取り
組んでいったわけです。歴代の研究者、企業の尽力で、今はそれなりにいい人工心臓が出
てきています。特に、サンメディカル、テルモという企業からは、非常に耐久性のいい、
小さいポンプができてきて、これは工学的に考えたら究極のポンプじゃないかなというふ
うなポンプです。けれども、私の場合は、小児科の人工心臓が必要なので、生まれたばか
りの赤ちゃんでも入れられるような人工心臓が必要です。すると、今のサイズでもあまり
にもでか過ぎるというのが、まず一つ。そして、子供の場合は、一回入れたらずーっと長
持ちしてもらわないといけないので、非常に長期間使わなければいけない。さらには、子
供はどんどん成長するので、それに対応できる人工心臓が必要だということになると、機
械で作るとどうしても成長しない、さらに電気をずーっと送り続けなければいけない、こ
のような問題を考えまして、次の人工心臓は、やっぱり細胞で作らないといけないと考え
ました。それで、細胞から人工心臓を作る方法を考えるようになったわけです。これが動
機となって、2002 年から本格的な再生医療・組織工学の研究を始めました。細胞から人工
心臓を作るときに、いろいろな組織工学の方法があったのですけれども、私は、適材適所、
細胞を並べながら積み上げて作ろうというアプローチを始めました。当時は東京医科歯科
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大学にいましたが、神奈川県のプロジェクトに「バイオプリンティングプロジェクト」を
応募して採択されまして、2005 年から 2008 年の間に、このプロジェクトで 3D バイオプ
リンターという装置を作り上げたわけです。
このような経過で現在に至っているわけですけれども、何とか心臓を作りたい、科学の
力で作りたい、というのが、私の研究のモチベーションになっております。
このスライドは、臓器を作る二つ目の目的ですが、ちょうど私が再生医療の研究を始め
たときに、『Science』という雑誌でバイオニック・ヒューマンという特集号が出ました。
当然ここには人工心臓のことも出ていたのですけれども、ティッシュエンジニアリングと
いう項目がありました。ここで、パースペクティブ(展望)ということで、MIT だったと
思うのですが、Linda Griffith という人が展望の記事を書いています。そこで、in vitro p
hysiological model、これがこれから 10 年の間に大きなインパクトをもたらすであろうと
予言しております。再生医療で、組織工学でいろいろなものが作れるようになると、In vi
tro の 3 次元組織モデルを作り出して、それでいろいろな病気の探索や新しい治療方法が進
歩するだろうということです。
これは、2008 年にボストンで開かれた Cellusion Summit という会議があって、それに
ちょっと参加したのですが、その時の資料からのスライドなのですけれども、薬を開発す
るときに、たくさんの薬剤候補がある中から、それをスクリーニングで絞っていって、最
終的にヒトでの安全性を担保して薬になる流れを示したものです。この流れの中で、この
途中で大きなギャップが二つあるという説明がありました。一つは、細胞と動物の間、こ
れは 2 次元の細胞培養と生体内の 3 次元の環境の違いです。これは細胞培養の教科書にも
出ていることなのですが、体の細胞、例えば肝臓の細胞を培養しようと思ってディッシュ
で培養すると、あっという間に、タンパクを作るとか、いろいろな肝細胞の機能がどんど
ん衰えてしまいます。これは体の中と 2 次元の培養の環境が全然違うからなのですね。そ
れで、2 次元と 3 次元の大きなギャップが、まず一つあります。3 次元の環境は、今は動物
実験で調べるというのが通常ということになっています。まず、ここに一つ大きなギャッ
プがある。もう一つのギャップは、動物実験でうまいこといっていても、最終的にヒトで
害が出る。こうなったときに、研究開発に何億円、何十億円費やしていても、水の泡にな
ってしまうということがあります。ここで動物とヒトの間の種の違いという大きなギャッ
プがある。もし人工的に 3 次元の組織を作ることができるようになれば、ヒトの細胞を使
うことによってこの二つのギャップが越えられるのではないかということで、in vitro3 次
-6-
元組織モデルを作ると、いろんな面で役に立つだろうということで、これが 3 次元の組織
を人工的に作る一つの目的にもなっています。
理想的な組織モデルというのは、2 次元ではなくて、3 次元。より生体に近い。そして、
ヒトの細胞を使う。人工的に作ることによって、できるだけ同じ品質、再現性、さらには
大量生産する。観測しやすい、評価しやすい系を作るということが重要です。また、自由
にデザインした生体組織が作れると、目的に応じたデザイン、正常組織のモデル、病的な
組織のモデル、解析用のモデル、いろんなモデルが作れるということで、もし人工的に 3
次元の組織を作れるようになると、科学や医学がものすごく進歩するだろうということが
あります。こういう二つの目的があって、組織や臓器を作る必要があるということです。
ただ、私のモチベーションから、歩みから考えたときに、移植医療というのはそもそも
薬で治らない病気を治療する方法なのですね。だから、組織が作れて薬が進歩したとして
も、必ず薬が効かない患者さんがあります。だけど、移植医療だったら、悪くなった臓器
は取り替えられるわけですね。そうすると薬が効かなくなった患者さんでも助けられると
いうメリットがあります。iPS 細胞も、最初の頃は、移植の臓器、移植の臓器というふうに
いろいろアピールされていたのですけれども、最近は、薬を作るためのツール、というふ
うにどんどん言われるようになりました。確かに、それはそれで必要なことではあります。
だけど、移植の臓器を作らないと、移植医療で助かる患者さんを助けることはできません。
移植医療を待っている患者さんというのは、どんどん増えてきています。腎臓では、腎移
植を待っている患者さんは透析医療をやっています。ものすごいお金をかけて、透析にか
かっています。今や 30 万人を超えていると言われています。でも、そういう患者さんは、
本当は臓器移植を待っているわけですね。毎週月、水、金に必ず透析にかからないといけ
ないのですけれども、移植臓器がもし作れるようになれば、それが必要なくなるわけです。
また、親族の腎不全の患者さんに対しては生体臓器移植が行われますが、親族の人は暗黙
の了解で腎臓を提供するものだということで周りから見られるわけですけど、もし臓器を
作れるようになれば、そんな心配もなくなるということなので、薬を作るというのもすご
く大事なのだけれども、移植医療の臓器を作るということこそが、再生医療、組織工学、
さらには iPS 細胞の究極の目的、やはりそれが本質だろうと、私は思っています。だから、
何とかして移植の臓器を作らないといけないと考えています。
次の問題ですね。「なぜ、機械の手で作るのか?」ということです。こんな感じでダダ
ダダッと作りたいということなのですが、これは生きた心筋細胞です。そして、こんな細
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胞から生きた人工心臓を作りたいというのが私のモチベーションなのですけれども、でも、
細胞から臓器を作る方法というのは、いまだに確立したものはありません。細胞から臓器
を作る研究をティッシュエンジニアリングと言いますが、これは NIH の定義です。この定
義ももう古くなっているのかもしれませんが、2000 年の頃、私がこの研究を始めた頃の定
義です。「先天的な異常や外傷、疾病、加齢などにより失われた生物学的な機能を、修復
したり、置換したり、増強したりするために」という、まず一つのポイントがあります。
二つ目のポイントは、「機能的な細胞や組織、臓器の代わりになるものを開発することを
探求する」。三つ目は、「生命・理学・工学・科学を含む多くの専門分野にわたる急速に
成長している学際的な学問分野である」。これが NIH のティッシュエンジニアリング定義
として、挙げられております。大事なポイントは、三つあるのですが、修復、置換、増強
です。失われた臓器の機能を、修復・置換・増強です。これがまず一つです。そして、機
能的な細胞・組織・臓器の代わりになるものを開発する。で、多くの分野が必要ですよと
いう 3 つ点です。
今までの大まかな流れとしましては、細胞培養ができるようになったということで、最
初は、培養皿で培養したものを、2 次元の培養なのですが、それを培養皮膚とか、口腔粘膜
とか、角膜とか、そういったものに応用しようというところから始まりました。Green と
か、Yannas という人たちが非常に有名ですけれども、その次に、Langer、Vacanti らが活
躍したように、立体の臓器を作ろうということが始まりました。この場合は、いろいろな 3
次元のスキャホールド(足場材)を作って、その上で細胞を培養しようというアプローチ
になります。そして、2000 年以降は、分子生物学をはじめ、いろいろな幹細胞の研究がど
んどん進んできて、ES 細胞をはじめ、クローン、あるいは最終的にヒトの ES・iPS 細胞
というところにつながってきて現在に至っているわけですけれども、こういう生物学的な
組織の作り方で作るという再生医療のアプローチが進んできている、という状況にあると
思います。
現在は、培養皮膚、培養軟骨では、J-TEC さんの培養皮膚、培養軟骨が実用化に進んで
きました。それで、研究の方は、もっともっと移植に必要な重要な臓器を作らないといけ
ないということで、進んでいます。こういう臓器は五つの特徴があると、私は考えていま
す。一つ目は、3 次元で分厚い。二つ目は、ミクロの構造がある。細胞がただ集まっていて
もだめで、ちゃんと組織の構造を作らないと意味がありません。三つ目は、多種の細胞で
構成されるという特徴がある。四つ目は、内部までぎっしり細胞の組織が詰まっている。
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五つ目は、血管が豊富な組織である。こういう五つの特徴があって、こういう組織を人工
的に作らないと、臓器を作っているということにはなりません。この特徴をどうやって作
るかというのが、大きな課題になります。
現在までのアプローチは、細胞移植というアプローチがあります。細胞移植というのは、
悪い臓器のところに細胞を注入するというアプローチであります。いろいろ実験が行われ
てきています。ところが、これの問題点は、投与した細胞のほとんどが失われてしまう。
一応効くとは言われているのですけれども、果たしてそれが細胞である必要があるのかど
うか。投与したわずか数%の細胞が効いているはずがないということで、恐らく細胞が分
泌している増殖因子やサイトカインが本態ではないかと言われています。また、その細胞
をどこから得るか。そして、注入してから、本当に臓器ができるか。それは、注射した後
は全く生体任せで、我々はどうすることもできません。神に祈るしかないということです。
今まで、例えば心臓であれば、マウスやラットの心筋細胞をマウスやラットの心筋組織に
注射する、こういった研究はずーっとやられてきています。だけど、効果は少しあるのだ
けど、さほど大きな成果はないというのが、現在のところです。
今は iPS 細胞の治療では、細胞移植というのが治療方法の唯一の手段だと思うのですけ
れども、分化させて細胞移植すればいいと、こういうふうに多くの人が考えているのです
が、今までそういう研究はずーっとやられてきているわけですね。果たして細胞移植で本
当に効くのかどうかというのは、私は結構クエスチョンを持っています。ステムセルなら
いいのではないかと言われるかもしれないのですけれども、例えば骨髄から取った骨髄幹
細胞を注入するとか、そういうこともやられているわけなので、本当にそれ以上の効果が
あるのかということは、ちょっと私は疑問も持っています。それと、もう一つ、細胞移植
が効く心臓というのは、恐らくまだ軽症の心不全の心臓なのですね。本当に移植が必要な
臓器といったら、組織を見ると、もう細胞なんて全然ない上、瘢痕組織、繊維状の組織で
がちがちになっています。だから、そういうところに細胞を打ったところで、血管もない
し、がちがちのところに細胞を打っても効くかどうか、機能するかどうかは、私は甚だ疑
問に思っています。そうなると最終的な治療手段というのは移植しかないのではないかな
と思います。ということなので、iPS 細胞の技術にしても、最終的には移植臓器を作らない
と移植が必要な患者さんは助けられないというのが、私の考え方です。それで、何とかし
て臓器は作らないといけないという理由があります。これは、まず一つ、細胞移植の問題
です。
-9-
実際、虚血性の心疾患モデルを作って動物実験がよくやられるのですが、虚血のところ
に細胞を打っても、心筋細胞というのは酸素が必要な細胞なので、ほとんど生きられない
です。また、iPS 細胞をもし打ったとしたら、ほとんどそこに定着せずに、体中どこか飛ん
でいってしまったら、そこでテラトーマを作らないかというのがまた逆に心配になってし
まうという問題があるので、細胞移植は相当考えてやらないといけないだろうなという課
題があると思います。
二つ目は培養皿。これは、東京女子医大の先生たちが温度でぺらっとはがす技術を作っ
て、すごく研究を進めています。私自身は世界で一番実用的なものを作る技術じゃないか
というふうに思っているのですけれども、ただ、分厚い組織を作るというときは、女子医
大の清水先生いわく、現在は 6 層が限界で、これを超えようというふうに清水先生たちも
すごく研究を頑張っているところであります。私も陰ながら応援しているところでありま
すけれども、厚さとミクロの構造、多種の細胞、毛細血管、これがやはりキーになってい
ます。それをいかに作るかというのが問題で、いろんな方法が試されていると思うのです
けれども、これからの展開に期待したいところと思っています。
次、スキャホールドの方法です。これは、3 次元のスキャホールドに細胞をこうやって播
きます。一種の細胞じゃなくて多種の細胞だったら、細胞をまぜこぜにして播くか、順番
を付けながら播くか、どちらかになります。だけど、結局、スキャホールドには、全体的
に、また表面的に、細胞を播種するしかできません。だから細胞は、中に播種することは
できないので、表面にしか行きません。そして細胞は、奥に行ってほしいのだけれども、
培養液に酸素も栄養もいっぱいあるので、表面の方が酸素も栄養もいっぱいあるため、や
っぱり表面に残ってしまうという問題があります。だから、どうやって中に入れるかとい
うのは、大きな問題です。さらに、増殖因子も一緒に入れて培養します。ところが、増殖
因子も培養液に入れます。そうすると、全体に均一に投与するしかありません。そして、
複数の増殖因子、これもまぜこぜで入れるしかありません。そうすると、結局、細胞の分
布をコントロールするとか、多種の細胞の配置をコントロールするとか、内部構造をコン
トロールするというのは、全くできません。そして、細胞を誘導するのに必要な増殖因子
もごちゃまぜで培養するので、特定の場所にある特定の細胞だけに効いてくれというよう
な制御は到底できません。ということで、こういうことがずっと問題になっています。
そしてまた、こうやって作ったものを今度は体の中に入れます。通常は、スキャホール
ドは生分解性材料を使います。体の中に入れたら分解して吸収され、最終的には細胞だけ
- 10 -
が残るという、こういうストラテジーになるのですが、体の中に埋め込むと体内で増殖が
旺盛なのは、繊維芽細胞であり、炎症性の細胞です。心筋細胞はそんなに増殖しません。
そうすると、体の中に入れても、結局、生存競争で負けちゃうわけですね。それで結局、
繊維性の組織にしかならないという問題があって、これも体の中で臓器を作る大きなネッ
クになっています。あと、毛細血管をどうやって入れるかという問題です。
結局、これも古くから言われていますけれども、細胞の分布や異種細胞の配置、あるい
は増殖因子の濃度勾配、そして、分解していくスキャホールドの特殊な構造性、あるいは
血管をいかにして誘導するか、こういった課題は今なおずっと続いているというのが、現
状です。これを何とか解決したいと思っています。
もう一つのアプローチ、これは発生学的なアプローチになります。この作業部会もこの
アプローチが大きく関係していると思うのですが、細胞からどんどん分化させて、そして
臓器を作ろうというアプローチになります。一番簡単なことを言うと、受精卵を使って子
宮の中に入れると、必ず臓器はできますよね。だけど、移植の臓器を作ろうと思って子供
を産ませるというのは絶対よくないことなので、それはあり得ない、倫理的に問題になる
ことと思います。胚性幹細胞、ES 細胞、iPS 細胞、あるいはクローンの細胞、こういった
細胞も最終的に 1 個の個体がもしできるのであれば、移植の臓器を作るためにこれを使う
というアプローチは、今はまだ問題にはならないけれども、もし作れるようになって、あ
らゆる臓器が全部作れるようになる、1 個の個体が作れるようになることが判明すると、果
たしてこの作り方がいいかどうかというのは、やはりはかりに掛かってくると思うのです
ね。
私は小児科だったので、重症心身障害者の施設にも勤めたことがあります。そうしたら、
無脳児まではいかないのだけれども、脳がほとんどできてないような患者さんも世話され
ていたりもします。結局、もし 1 個の個体になる能力がある細胞を使って臓器を作ろうと
するならば、脳ができないようにする操作をずっと加えながら育てていくことになります。
こんなふうに無脳児を作るような操作を人為的に加えることは嫌だなあというふうに常に
思っていて、この作り方はちょっと避けたいなあと思っておりました。
あともう一つ、遺伝子操作。重症心身障害者の病院には、遺伝子異常の患者さんもおら
れました。遺伝するから、お母さんに兄弟の遺伝子を検査させてもらえませんかというよ
うな話をしたときに、「遺伝子の検査をしたら、この子は治るの?」と言われて、私はぐ
うの音も出なかったという経験があるのですけれども、遺伝子を調べたり、遺伝子を触る
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というのはどうなのかなという、そういった経験もあって、(遺伝子操作して作った人間
が生まれるなど)生命倫理の問題というのはこのアプローチには必ず付きまとう問題なの
だろうなということで、この方法は避けたいなあというふうに考えました。
さらに、心臓を作るといったときに、移植が必要な患者さんというのは、重症の心不全
の患者さんです。1 年も 2 年も待てない。だから、何とか早く作らないといけない。大人の
患者さんだったら、大人のサイズの心臓が必要です。これを発生学的に作るとなると、10
年、20 年掛かってしまう。これはやっぱりだめだということで、3 か月ぐらいで作る方法
はないかと、こういうようなむちゃくちゃなことを考えていたわけですが、こういった問
題があると考えています。
発生学的に臓器を作るアプローチの生命倫理の問題点をここにまとめてみました。1 個の
個体になれる細胞の使用。そして、人格あるいは脳を作っていいのかという問題。ヒトの
生殖や発生過程を人為的に操作する問題、発生過程を人が勝手に操作するのはしていいこ
となのかどうか。そしてまた、この実験を中断するとなったら、中絶するのと同じような
ことになってこないか。どこからがヒトで、どこからが胚なのか。例えば赤ちゃんならば 2
2 週で流産と死産の線は引かれているわけですが、じゃあ 22 週前だったらいいのか、とい
う生命倫理問題も必ず関わってくる。そして、生殖・交配してくると、そういった細胞か
ら作った子孫が残ってくる。こういうような問題が起きてきて、非常に重い問題なので、
私も、どう考えていいか、正直言って分かりません。
で、心臓を発生学的に作ろうとするわけですが、心臓だけできればいいのだけど、いろ
んな臓器ができるポテンシャルを持った細胞ということなので、ついでにこのような組織
ができてくる可能性があるわけですね。そして、脳にもなってくる。ヒトを作ってはいけ
ませんから、脳を作らないようにする。そんな操作は、本当にいいのかどうか、というの
は、すごく重い問題になってきます。
それで、移植医療のときに考えた生命倫理の問題は、患者さんの命と、ほかの人の命の
てんびんにかかるということになります。脳死の患者さん、ドナーの患者さんの治療を放
棄するのではないかということにもなりますし、ほかの人の死を待たないといけない。順
番を待っている人とのてんびんになる。もちろん、臓器売買とか、人身売買とか、アメリ
カでさえもこういうことはあり得るという話も聞いていますが、こういったのは論外の話
なのですが、患者さんの命といろいろなものが天秤にかかるというのは、移植医療でのも
のすごく大きな問題であると思います。
- 12 -
もう一つ大事なのは、この天秤の判断基準です。これも時代によって変わる。医学・医
療技術はどんどん進歩するのでそれに依存する。国によっても変わる。立場によっても変
わる。こういう判断基準の問題があるので、それでこの作業部会もあるのだと思うのです
けれども。私、国立循環器病センターにレジデントで行くときに、試験がありました。面
接もありました。その面接のときに、脳死移植はなぜだめなのだ、と審査員の人から詰め
寄られたのですけれども、脳死と言っても、今、脳死という基準を決めているけれども、
この決め方は本当にいいのですか?って答えました。例えば、私たち、細胞培養をやると
きに、細胞を凍結保存しますね。凍結保存した細胞は、電気をかけてもピクリともしませ
ん。反応もしません、電解質も動きませんから。じゃあ死んでいるのか。37 度にしたら、
ちゃんと生き返りますよね。だから、脳波が取れないから死んでいるのか。本当にそうで
すかと。きっとほぼ死んでいるのだろうとは思うのですけれども、本当に 100%死んでいる
のだろうか?何%だと脳死なのか?とか、いろんな問題があって、脳死の基準というのも
恐らく時代によって変わるのではないかなと思います。今、iPS 細胞という技術が出てきま
した。脳死の患者さんの体の細胞は確実に生きています。繊維芽細胞を取ってきて iPS 細
胞にして脳に移植すると、自分の細胞で、もしかしたら脳が再生できるかもしれない。こ
んな治療をしていいかどうか、これも問題になるとは思いますけれども、脳死が回復しな
いというのも時代によっていろいろ変わると思います。
今回の作業部会のお話、今、胚盤胞補完法が出てきて、この発生学的な臓器創製の倫理
問題に加えて動物性集合胚という問題がもう一つ出てきて問題になっています。その場合
は、遺伝子操作した動物とヒトの細胞のキメラ、ミックスがいいか、悪いか。そして、そ
のキメラは、どこからヒトで、どこからが動物なのか。この区別はどうするのか。そして、
動物の犠牲、今度は動物の命と人の命がてんびんに掛かってくる。動物実験を強く反対し
ている方もいらっしゃいますが、その人は恐らく動物の命というのは人の命とほとんど同
じぐらい重いと思っておられるのだと思うのですけれども、この判断基準、てんびんです
よね。これも、国によって変わるし、立場によっても変わる。クジラとかイルカの問題も
そうですけれども、国によって変わる。立場によって変わる。そういうことなので、こう
いう生命倫理の問題がすごく関わってくるということで、私は、どう答えていいか、これ
については分かりません。
「針が小さいと通らないし、大きいと縫えないし」という、こういう矛盾があって、そ
れを解決する考え方として、「縫わない服なら針の穴なんかいらない!?」という解決法
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があります。これは「TRIZ」という本に描いてあった漫画なのですが、矛盾を解決するた
めの方法の一つとして上位概念に向かうという考え方です。その考え方であれば、発生工
学的でない方法を開発すれば、こういう問題は考えなくていいと。動物の問題も、動物の
体内で作らない方法を創れば、その天秤は考えなくてもいいということです。私の生命倫
理に対する取組はこのやり方でずっと来ています。
iPS 細胞の研究からも、いろいろな細胞が作られてきています。いろいろな分化因子が研
究開発されて、それぞれの細胞に分化させるということができるようになってきています。
ただ、例えば分化因子を入れて細胞を培養するという話になると、培養液の中に因子を加
えます。そうすると、全部の細胞にこの因子が降りかかるわけなので、臓器を作るという
よりは、むしろ各々の細胞を作る技術と考えた方が、実現性が高いと思います。そうする
と、間もなくすれば iPS 細胞の技術で本人の細胞が自由自在に得られる時代になるでしょ
う。ところが、細胞は得られても臓器は得られないということです。今できるのは、細胞
移植とか、これまでやられてきたいろいろな方法はあるのですけれども、その程度しかで
きません。これからもっともっと、3 次元の組織を作って、あるいは機能する臓器を作って、
そして本当に移植に必要な臓器を作って治療するというところを研究開発しなければいけ
ない。こちらの方を、私は重点を置いて考えています。
そういうようなところを JST の「サイエンスポータル」のオピニオンというところに投
稿させていただきました。これは 2011 年ですけれども。その資料を添付資料としてスライ
ドの後に 1 枚付けさせていただいておりますが、それを読んでいただきたいと思います。
ではどうやって作るかという話なのですが、東京医科歯科大学にいたときは、いつもこ
うやってビルを造っている時期にいたわけなのですが、毎朝これを見ながら、どうやって
組織を作ろうか、3 次元の組織を作ろうかと考えました。ビルを造るのとどこが違うのだろ
うって考えたときに、こちらはいろいろなツールや機械があって、建築工学も人類始まっ
てからずーっと今まで進歩してきています。ところが、組織や臓器を作るためのツールや
機械はもちろん、細胞を積み上げて作ろうという、こんな作り方すら全く聞いたことがな
かったので、これは大変だと思いました。だけど、人類はこんなでっかいビルディングも
建てられるようになったのだから、これからでもスタートしないといけないと思って、こ
ういうツールを作ろう、機械を作ろうと始めました。そして、建築工学に当たる学問もな
いから、細胞を積み上げて作る学問から作り上げていかなきゃいけないというふうに考え
たわけです。
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それで、こちらは人の手でやっていますが、そこを機械の手できれいに並べながら細胞
を配置していこうと考えたわけです。そのためにはそういう機械が必要だということで、
その機械がないなら作ればといいということで、やり始めました。これが、「機械で臓器
を作れるか?」という、私のモチベーションです。いろんな利点があるのですが、人の手
を超える作業ができるというのが最も大きな利点です。さらに、コンピュータの力を発揮
することができるので、これからの科学で臓器を作るというところにコンピュータの力を
導入する最もいい技術だろうというふうに考えています。
3D バイオプリンターの開発と世界の動向をばばっとお話しさせていただきますが、これ
は神奈川のプロジェクトで開発した 3D バイオプリンターです。インクジェットの技術を使
っています。なぜインクジェットかというと、これはインクジェットでプリントアウトし
た、このネズミ色のところを顕微鏡で見た写真です。同じ大きさのインクのドットが適材
適所打ち出されているのが分かると思うのですが、これを見てびっくりしたのですね。こ
の 1 個 1 個は全部、細胞サイズの大きさです。そして、カラーということは、適材適所、
そして全てのドットがコンピュータで制御されているわけです。そうすると、いろんな細
胞も全部コンピュータで制御しながら並べられるぞという技術ということになります。と
いうことで、この技術でもし組織が作れたらすごいことになるということで、インクジェ
ットの技術を使いました。
もう一つ、インクジェットで積層していくメリットは、自由自在にデザインしながら、
内部構造を作りながら、立体物を造形していくことができる。こういうポイントがありま
して、ここに五つの課題が挙げられていますけれども、この課題を解決するには非常に有
効な手段だろうということで、やり始めたわけです。
先ほどのプリンターを作って、2 種の細胞で 3 次元の構造物を作りました。3 次元化して
積層するためには、ゲルで細胞を固めていくという技術を使っています。今はアルギン酸
ゲルというゲルで固めているのですが、研究によって、今、いろんなゲルを使ってやって
います。これは『Science』という雑誌に紹介されました。
こういうプリンターができると、コンピュータの技術が利用できます。CAD-CAM-CAE
といって、もの作りの方法として、コンピュータの中でデザインしてそれに基づいて作ら
れるということがやられているのですけれども、デザインして、モデルを作って、実物を
作る。こういうやり方で 3 次元の構造物をプリンターで積層して作っていくということが
できています。
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これは、ミクロのハニカム構造のものですが、ゲルの中に細胞を入れたときに、細胞が
全部生きられるように、梁の太さや培養液の流路を全部設計して作ることができます。こ
のように、2 色カラーで作ったりすることもできます。
これは実際に作っている動画ですけれども、ミクロのハニカム構造ですね。細胞を入れ
ながら、こうやって積層して、厚さはまだ 1 ミリ 2 ミリぐらいのものなのですが、こうい
う形で立体物を作ることができています。単なるチューブだったら、最高は 18 センチぐら
いの高さまで積み上げたことがあります。
現在、いろいろなゲルの利用を研究開発しておりまして、今、ゲルの中で細胞が作り上
げた中でこのように伸びているというところまで見えてきております。腫瘍細胞だったら
どんどん大きくなるのですけれども、ちゃんと組織を造形するような細胞で作りたいと思
っています。
このような細胞を積み上げて作る研究は、今、世界中ですごく進んできています。バイ
オパターニング、バイオプリンティングということで、世界で初めて、こういう研究をす
る人たちが集まりました。これが 2004 年の第 1 回目の集会の参加者です。一番こっち側に
私がいますけれども、これが第 1 回目の集まりになって、第 2 回目はアメリカのチャール
ストンというところで開かれました。第 3 回目は、私が川崎で開かせてもらいました。
2009 年に『Biofabrication』という国際ジャーナルが出て、インパクトファクターが、
今、どんどん上がってきています。2010 年に国際学会が立ち上がりました。2011 年第 2
回大会は、富山で開かせてもらいました。今年は、11 月にオランダのユトレヒトで学会が
開かれます。
私は 3D プリンターを作ったのですが、3 年前に TERMIS というティッシュエンジニア
リングの国際学会がウィーンで開かれました。そのときによその国から、3D バイオプロッ
ターとか、バイオファクトリーとか、3D プリンターみたいのが出されてきています。ただ
し、これはインクジェットではなくて、シリンジで注射器の針から細胞をジュルジュルっ
と押し出す方式なので、太さは数百マイクロから 1 ミリぐらいです。インクジェットの精
度と比べたら一桁以上違うのですけれども。ただ、これは細胞と言っても細胞の塊(スフ
ェロイド)をジュルジュルっと出すような装置ということになってきています。
これは、アメリカの先生たちがやっていますが、Organovo という企業の装置です。ここ
も同じような装置だったのですが、何と 41 百万ドルの資本を注入して、このプロジェクト
を進めています。41 百万ドルということは 41 億円ということなので、このような巨額のお
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金を市場からだーっと集めてきて、どっと力を入れてやってきています。比べて日本は、
例えば私の研究室だったら、ポスドクもいなくて、学部生や修士や博士の学生が一生懸命
やっている。向こうは、ポスドクを 100 人ぐらい集めてやっている。これはヤバイと思い
ます。そして、何よりそれだけ優秀な人を集めると、ブレーンを集めているので、最初は
注射器でジュルジュルと作って一体何を作るのかなあと思っていたら、どんどん、本当に
儲かりそうなものをいっぱい考えて、やり始めています。3D ヒューマンティッシュモデル
(3次元ヒト組織モデル)の製造サービスまで始めているということなので、遅れをとっ
ちゃならないなということを思っています。ロシアでも研究が始まっています(http://3dp
rintingindustry.com/2015/04/09/3d-bioprinting-solutions-dreams/)。
こういう(スライド 45)ロードマップを立ち上げています。私はこのとおりに行くとは
到底思えないのですが、日本だったら、佐賀大学・サイフューズさん・澁谷工業さんが、
スフェロイドを串刺しにして作っていくバイオ 3D プリンターを開発しています。これはこ
れでいいものだろうと思うのですが、数 mm の太さの血管みたいな力学的な代行物はでき
るかもしれませんけれども、実際に本当に臓器に必要な腎臓とか、肝臓とか、多種細胞が
形成するの繊細で複雑な組織構造が果たしてこれだけで作れるかというのは、まだまだ分
からないので、それを確実に実現できるようにする研究が必要だろうと私は思っています。
あと、NEDO でも立体臓器を作るプロジェクトがありまして、この中にバイオ 3D プリ
ンターとかインクジェットの技術も入ったりはしているのですけれども、富山大学よりも
優秀な人たちが集まっているところがこのプロジェクトを進めていっています。女子医大
の細胞シートもあるので、逆にこういう人たちに期待したいな、と今考えております。
あと、文科省のプロジェクトでも、新学術領域「超高速バイオアセンブラ」、私もこの
公募班に入ってやらせてもらっているのですけれども、機械やマイクロマシンのエンジニ
アの人たちが中心になって、バイオの人達と一緒になって 3 次元の組織をいろいろな技術
で作ろうと、取り組んでいます。とても面白いです。だから、すごく有望です。ただし、
まだまだ未熟です。本当に実用になるかどうか分からないことばかりやっていますけれど
も、可能性がいっぱいあるので、私はとても面白く参加させてもらっています。そしてま
た、いろいろな共同研究も中でどんどん進んでいます。私も、このおかげで、いろいろな
ところと共同研究が進み始めています。
ということで、日本のこの技術の研究も、単にスフェロイドを並べるだけじゃなくて、
その次のところへ進むために、とても発展を期待したいところです。
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このプロジェクトでの私の研究テーマは、パターニング技術で毛細血管をきれいなパタ
ーンで作ることもできていますし、筋肉の細胞をこうやってパターンにして積層していく
ということもできているので、これを組み合わせてもっと分厚い心筋組織を作りたいなと
考えています。この構造は 1 センチぐらいの大きさのものですけれども、転写積層して作
れております。もっともっと分厚いものを作りたいなと思っています。
私どもの 3D プリンターも、ここに細胞の遊走を誘導する因子、増殖因子、分化因子、こ
のような機能性因子も適材適所置くことができるので、今までは増殖因子は培養液に入れ
て全体的に投与するしかないのだけど、これを局所的に配置することができます。そうす
ると、細胞を局所的に誘導するとか、細胞ごとで、望みの細胞だけを引っ張ってくるとか、
分化させるとか、こういうこともこの技術によってできるということで、3 次元から 4 次元
の制御へというふうに考えております。いろいろな組織の形成を誘導する場を作っていく
技術になると考えています。ここではいろいろなナノ材料や薬剤なども必要だということ
で、ナノバイオの技術、ドラッグデリバリーシステム、こういったようなものがこの 3 次
元造形技術と組み合わさることによって、もっともっと進んでいくと思います。
これはシート状レーザー光で形状を観察する技術なのですが、普通、立体物になるとそ
の内部構造は普通の顕微鏡では見えません。これはゲルで作ったチューブなのですが、位
相差顕微鏡だったら、こんな感じでどんな構造をしているか、さっぱり分かりません。そ
こにシート状のレーザーを与えることによって、ちゃんとこういう輪ができているのだよ
と、チューブ構造になっているのが分かります。これは、富山大学で自作したものです。2
年前にドイツの顕微鏡メーカーの Zeis からこういう装置が販売されたのですけれども、実
は同じ発想で 2005 年か 2006 年に JST の先端計測に応募して落とされてしまった経験があ
ります。Zeis のパンフレットの資料を見たときに、ええっ!僕、これ、何年も前に自前で
同じ画像を観察したことがあるよって。悔しかったので、4 年生の学生に作ってもらいまし
た。それで、厚さ 5 ミリぐらいの構造物の内部がこうやって見ることができています。そ
うしたら、最近、ライカもレーザーシート顕微鏡を出したという話を聞き、ちょっとびっ
くりしてしまいました。
あと、生産装置ということで、これはいろいろな特殊な繊維を作るノズルの技術なので
すが、これで、このような何重もの多重構造を持つゲルファイバー、あるいは何種類もの
材料や細胞を混ぜてゲルファイバーを作ることができました。これは、今のシート状レー
ザー光で断層をだーっとスキャンしたものです。だから、ファイバー内部構造が全部こう
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いう同じ構造であるというのが、分かると思います。このノズルを利用した装置で作ると
同じものが大量に生産できるということで、これは生産技術として非常に有効な技術だろ
うというふうに考えています。
最後に、「生命を吹き込む医工学・生命を届ける医工学」ということなのですけれども、
今までは、患者さんに薬を投与する、細胞を移植する、というような治療が行われている
のですけれども、臓器移植でしか治らない患者さんを本当に治そうとしたときには、臓器
の代わりになるものを作って入れてあげるというのが、最終的に理想的な方法です。医工
学の技術で 3 次元の人工的に作った細胞組織や臓器で難病を根治しようというのが、この
「生命を吹き込む医工学」の研究のコンセプトになります。ところが、高度なものを作る
ときには、3D プリンターだけがあってもいいわけじゃなくて、いろいろなプロセスが必要
で、そのプロセスごとで人の手を超える技術が必要です。そういう人の手を超える生産装
置の開発、評価装置の開発、これらもまた非常に、これから発展するためには必要な技術
だろうと思っています。生命を届ける医工学です。
ということで、「生命を吹き込む医工学・生命を届ける医工学」というのを、今、研究
のスローガンとしております。で、これをテーマとして、来年 4 月に日本生体医工学会の
大会を富山で、大会長として開きたいと思っているところでございます。
最後に、まとめさせていただきますと、臓器を作る理由、二つ理由がありますが、薬を
開発するというのも大事なのですけれども、移植の代替になるような医療技術を作る、是
非こういうところに力を入れてほしいものだなというふうに思っています。工学的に作る
理由は、人の手作業を機械の手に代えることによって、手作業でできないことをどんどん
できるようにするということと、あともう一つは、生命倫理の問題を、ずるいようですけ
れども、できるだけ避けて作りたいというのがあります。だから、細胞から臓器を作る技
術の開発が必要だということを訴えたいと思います。あと、バイオプリンティング、バイ
オファブリケーションの技術の動向を紹介して、最後に「生命を吹き込む医工学・生命を
届ける医工学」ということを紹介させていただきました。
ということで、一応、いろんな技術の研究がありますが、終わりにさせていただきたい
と思います。どうもありがとうございました。
【高坂主査代理】
先生、どうも興味深い話をありがとうございました。先生の研究に
対する哲学というか、そういったものも含めて非常に興味深いお話をしていただいたと思
って、感謝いたします。
- 19 -
それでは、今のお話の内容に関しまして、皆様方の方から御質問あるいはコメントをお
願いしたいと思います。
どうぞ。
【古江-楠田委員】
具体的に 3D で作っていくのって結構大変だと思うのですけれど
も、細胞を重層化させたときに一番問題になるのが、細胞が要求する酸素をちゃんと供給
できるかとか、あるいは栄養をちゃんと供給できるかという部分と、作った後にどのぐら
いもつのか、どういう形でそれを保存しておくのかというのが非常に難しい問題だと思う
のですけど、その辺についてはどういうふうにされているのでしょう。
【中村教授】
研究開発することは山のようにありまして、だから、私の研究テーマは
本当言うと果てしないぐらいあるわけですけれども、やっぱり血管が一番大事です。先ほ
どちょっとお見せしましたけれども、毛細血管、真っすぐなのを作ったというのは、真っ
すぐなのを作れるということはどういうことかというと、自由にデザインした毛細血管、
これは例えば網状のものとかいうのも作れます。東京医科歯科大学にいたときの仕事なの
ですけれども、共同研究の先生は網膜の血管の写真で網膜の血管と同じような毛細血管を
作った。こういうようなこともできますので、まず、これは一つ重要な技術だと思ってい
ます。
あと、筋肉のファイバーを積層したという話がありますが、あれも実は、積層する前に
基板の上にパターンを作って、その上に細胞を培養するわけですが、基板の上に培養して
いる間に結構方向がそろってくるのですね。方向がそろった組織をペタンと転写する、細
胞を転写するという技術なのですが、これと合わせてあげることによって、例えば心筋組
織だったら、心筋細胞は、ランダムな方向があるわけじゃなくて、収縮に合った方向性を
もっていますので、そういう方向性を持った組織を作る技術に利用したいと思って、何と
か今年度中に頑張りたいなと思っているところではあります。
分厚くなったところに毛細血管をどうやって入れるか、これはバイオアセンブラという
文科省のプロジェクトの中でも果敢にやられています。いい方法というのはまだ全然ない
のですけど、可能性がある方法はいっぱい出てきています。私の場合も、こうやって積層
していく間に、毛細血管をダダダダダッといっぱい、筋肉のファイバーと並べながら積み
上げていって、そして、それを太い血管とつなげると毛細血管同士がつながってじゅわー
っと流れていくと。そういう仕組みを何とか作りたいなと考えておりますけれども、まだ
できてない話なので……。
- 20 -
【古江-楠田委員】
オン・ゴーイングということで、それを目指して、今、御検討さ
れているということですね。
【中村教授】
はい。
【古江-楠田委員】
【中村教授】
分かりました。ありがとうございます。
はい。だから、今、エンジニアのそういう人たちは、何とかしてそうい
うのを作ろうと、すごく頑張っています。ただ、エンジニアだけじゃできなくて、細胞の
ことを物すごく詳しい人たちも一緒になってやらないといけないので、そういうオールジ
ャパンのチームができればいいなあというふうに、すごく思います。だから、iPS 細胞の研
究所が建っているから、この研究所をどこかにどかーんと建てていただいて、そういうと
ころに能力の有る人を集めてもらいたいなあと思っているくらいです。
【古江-楠田委員】
【高坂主査代理】
【相賀委員】
ありがとうございます。
ほかにいかがですか。どうぞ。
すごく面白い、わくわくするようなお話、ありがとうございました。要
するに、先生が考えていらっしゃるのは、ある程度機能的なものをその場で作る。だから、
材料も機能的な細胞を全部集めてきて、それをインプットしてやるということですよね。
【中村教授】
はい。
【相賀委員】
結局、その細胞は別に作る、又はそれをどこから取ってくるということ
をお考えなのでしょうか。
【中村教授】
そこが iPS 細胞に期待したいところなのですけれども、実は私、iPS 細胞
のことはそんなに詳しくないのですが、iPS 細胞は、どんな細胞にも分化するという働きと
同時に、自己複製するという特徴もあるので、患者さんから取ってきた iPS 細胞をだーっ
と増やして、心筋細胞、心筋細胞、心筋細胞をどさーっと作ってもらって、血管の細胞も
どわーっと作ってもらって、それを使わせていただいて心臓を作っていくというのを期待
している。
【相賀委員】
パーツは全部ばらばらに作ってというアイデアですか、あくまで。
【中村教授】
はい。というのは、恐らくいろんな分化因子が見つかるのは早いと思う
のですね。そうしたら、iPS 細胞にその分化因子をばぁーっとやると、一つの細胞をたくさ
ん作るというのはきっとやりやすいと思うのですね、臓器を作るよりは。
【相賀委員】
私は発生学なので、パーツをただくっつけてできるものじゃないってい
うイメージがどうしてもあってしまうのですね。
- 21 -
【中村教授】
分かります。
【相賀委員】
そこで、インタラクションなり、構造なり、全てが。そこら辺は、どっ
ちかというとプリカーサーみたいなものを作らせて育てるみたいな方が、私にはイメージ
としてはあるのですけれど。
【中村教授】
多分、それは確実な方法だと思います。例えば、発生学のときなんかで
も、手になるところを、腕になるところを取ってきて足に植えたら、足から手が生えてき
たとか。こんなのはもう分かっていますから、発生学的にやるのは確実な方法だとは思い
ます。けれども、いろんな生命倫理の問題が関わってくる可能性があるかなというのもあ
って、私はちょっと避けたいなと思って……。
【相賀委員】
そこは避けるけれども、最終的な分化したものだけを作るのではなくて、
前段階のものを作った、前段階の組織みたいなものを作って育てるみたいなことの方が…
…。
【中村教授】
現実的には、そういう形に多分なるのだろうと思います。横浜市大の谷
口先生たちは、そういうのを集めて肝臓に入れてあげて、毛細血管も入ってきた肝臓組織
ができたという話になっていますから。これは、ステムセルみたいな、そういう細胞を入
れることによってできているのだろうと思うので、恐らくこれが現実的な話だろうと思い
ます。ただ、理想的には、分化した細胞、あるいは未分化な細胞であれば、例えば、ニッ
チってありますように、未分化な細胞がある場所というのがあると思うのですね。未分化
な細胞はそこに置いてあげるという、こういうストラテジーが必要だろうと思っています。
例えば角膜だったら、黒目の輪状部にステムセルがあると言われていますから、もし角膜
の組織を作ろうとするならば、輪状部にはそういうステムセルを置いて、真ん中には分化
した細胞を置いて、そして培養してあげると、恐らくきっと長持ちする角膜が作れるので
はないかなと思います。あと、腸だったら、腸の粘膜ってどんどん分化していって落ちて
いきますから、やっぱりステムセルがないと実際に機能するような腸にはならないと思い
ますから、そういう場合はステムセルを置かないといけない。だけど、そのステムセルは、
どこでも置けばいいわけじゃなくて、あるべき場所に置いてあげる。ただし、これもまだ
分かってないところがいっぱいあるので、そこら辺は細胞生物学の先生たちにニッチを早
く見つけてくれというふうに期待したいところです。けれども、そういう情報が得られる
ことによって、そこに適材適所並べてあげることによって、より良い、そして再現性の高
い臓器というのが作れるのではないかと思っています。だけど、そこまで到達するのは遠
- 22 -
い話というのも間違いないです。
【高坂主査代理】
【大西委員】
どうぞ。
大変面白いお話、ありがとうございました。例えば、先生が最終的に目
指されている、心臓を(体外で)構築する場合、最初の質問とも関係するのですけれども、
当然、大きい組織になればなるほど、ガス交換の問題、栄養素の問題で、なかなか(体外
での)維持が難しくなります。そのときに、先生の専門とは異なるとは思いますが、例え
ば摘出した臓器を体外でどれくらい維持できるのかという、臓器の体外での培養技術がそ
もそもないと、目標とする到達点には行き着かないと思うのですけれども……。
【中村教授】
そのとおりです。
【大西委員】
先生、そこいらの現状はどうなっているのでしょうか。
【中村教授】
例えば臓器を取り出してずーっと培養するという技術ですけど、昔々は
やられていました。だけど、最近は、移植医療の臓器のためには氷水に冷やしておけばい
いわと、そういう感じでありますね。だから、そういう研究が今はほとんどなくなってい
るというのが現状なのですが、だけど、そうやって体外で長期培養できるようになると、
これまた今やりたいところなのですけれども、もっともっと早くできる可能性があるなと
いうふうに思っています。もちろん、バイオアセンブラの研究の中でもバイオリアクター
という形で、灌流培養しながら作った臓器を、臓器じゃなくてまだ組織なのですけれども、
それを培養しようというような研究はありまして、それはうちでも共同研究でやっている
最中です。ただ、取り出した臓器をもっともっと培養できたらもっと発展性があるので、
是非そのプロジェクトを今度起こしたいなと思っているところです。
【大西委員】
【高坂主査代理】
【窪田委員】
分かりました。ありがとうございました。
いかがでしょうか。窪田先生。
どうもありがとうございます。インクジェットのプリンターで物を作っ
ていくというのは、1990 年代の半ば頃にマイクロチップを作るところでも同じようにやら
れていたと思うのですけど、マイクロチップの原料とは随分違って、大きさがもっと大き
かったりとか、材料が違ったりすると思うのですけれど、一つの臓器の中には、細胞だけ
じゃなくて、繊維が入っていたりとか、いろんなことがあると思うのですけど、先生の技
術の中で作りやすいものと作りにくいものってございますか。
【中村教授】
まだ今のところはまともにできてないので、細胞をゲルの中でどうやっ
て増やすかと、そういうところで、インクジェットで飛ばすゲルの材料というのは限られ
- 23 -
ているのですね。インクジェットというのは非常に、技術的にはすごく高いことをやって
いるのですけれども、飛ばすインクというのはシャバシャバの、粘度があったら飛ばせら
れないのですね。生体に必要なコラーゲンとか、ああいう材料になっていくと粘度があっ
て、インクジェットでは非常に厳しいのですね。それで、その材料というのは研究課題の
一つです。先ほど細胞が伸びている写真をお見せしましたが、あれはある程度インクジェ
ットで飛ばせられる材料であり、なおかつ細胞がこうやって伸びていけるような、そうい
う材料なので、これはこれから発展させたいなと思っているところではあります。だから、
最初はというか、今は細胞が伸びるかどうかというレベルなので、本当に臓器ができるか
どうかというのは、まだまだ分からないです。ただ、スフェロイドをこうやって積み上げ
ていって、血管のチューブみたいのを作っている。細胞だけでチューブを作っている。あ
れはあれで、その後ちょっと、私の感覚からすると、培養しながら鍛えてあげないといけ
ないと思うのだけど、鍛えてあげれば使えるようにはなると思います。
【窪田委員】
形からすると、血管みたいなのが一番作りやすいのかなと思ったのです
けれども。
【中村教授】
チューブなので多重のものを作ればいいだけなので、それが一番作りや
すいかもしれませんが、まだインクジェットでは、うちの装置は神奈川のプロジェクトの
ときに作ったのからほんのちょっと進んだ程度で、それ以上進んでないので、そこはメー
カーさんが本気になってもらうというのが一番ありがたいことです。
【窪田委員】
サイズ的には、毛細血管みたいなシンプルな方が作りやすいのですか。
つまり、血管の内皮があって、結合組織があって、筋繊維があってという……。
【中村教授】
先ほどお見せした毛細血管が真っすぐになっている画像は、血管内皮細
胞だけでできています。それに、ペリサイトという、平滑筋細胞のもうちょっと血管内皮
寄りの細胞なのですけれども、そういう細胞もくっつけて作れないかって苦労していると
ころなのですが、今、担当の学生が就活に入って、完全にストップしています。(笑)修
士の 2 年は悲惨です、今。
【窪田委員】
【阿久津委員】
ありがとうございます。
いろいろありがとうございます。マイクロファブリケーションの考え
方も、非常に興味深く拝聴いたしました。
先生は、臨床の経験の背景から御研究をされてきて、移植医療についての具体的な課題
というか、五つの課題ということで挙げておられて御研究を進められておりますけれども、
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これもこれまでの御質問と関係があるかもしれないのですが、細胞から臓器を作るという
ところで、要は立体的に作っただけでは臓器と言えないと思うのですけれども、要するに
機能がないと全く、立体的に作って何に使うのかという話にもなりますし、この領域の一
般的な、全体的になる、僕の個人的な質問もあるのですけれども、そもそも、移植医療と
いうことだけで見て、そういったものに使える臓器のようなものというのは、これで作れ
るものなのでしょうか。
【中村教授】
作ろうと努力しています。でも、この努力をやめたら、永遠に作れませ
ん。だけど、可能性は十分あると思いますよ。女子医大の先生たちは、細胞シートでトッ
クントックン動いているのがありますが、今、血管のチューブみたいにして血圧が 5 ミリ
メートルマーキュリーぐらい出るようになったと言っていますので、恐らく右心系には使
えるようになると思います。済みません、専門的になりますけれども、子供の心臓の病気
の中で右心室がない病気があって、右心室というのは肺動脈に血液を流す働きなので、血
圧はそんなに高くないのですね。20 ミリメートルマーキュリーというか、10 ミリメートル
マーキュリーの圧を出すだけでもかなり効果があると思うので、そういったようなところ
には十分使えると思います。だから、培養で作った臓器で、移植の代わりになるのは結構
先だろうと思いますけど、着実に使えるようなものは必ずできると思っています。
あともう一つ、発生学的に臓器ができるということなのですけど、これをミクロで見る
と、細胞は隣同士で手をつないでいますよね。それがそのまま再現できたら、機能しない
理由が分からない、逆に。
【相賀委員】
うーん……。
【中村教授】
本当に。機能しない理由って何ですか。毛細血管を作りましたけど、あ
れは、動物の中に入れたら、ちゃんと血管として働きます。これは確認しています。だか
ら、作った細胞はちゃんと隣同士がくっついて、そして周りにちゃんとしたものがあって、
なぜ機能しないのか、逆にそこが分からない。細胞同士の相互関係、いろんな液性因子、
オートクライン、パラクライン、そしてエンドクラインもありますけれども、そういうの
が同じものが作れたら、機能しない理由が分からない。
あと、今ああやって作っている中でも、例えばヘパトサイト(肝細胞)、うちの博士の
学生がやってくれたのですけれども、ヘパトサイトも表裏がある。要するに、細胞は極性
がある。その極性を制御して、もちろん材料を工夫してなのですけれども、極性を作る。
今、こういうことも研究でやっていますので、極性ができたときに、こっち側に血管があ
- 25 -
って、肝臓の細胞があって、こちら側に胆管がある。毛細胆管がある。なぜ機能しないか。
ちゃんと作ってあげたら、機能するはずでしょうって。細胞のいろんなトランスポーター
(特定の物質を取り込むレセプター)みたいなレセプターも極性にしたがってそちら側に
発現していきますから、なぜ機能しないのか、逆に分からない。だから、そういうものが
着実に作れたらきっと機能するだろうと、これはまだ信じていますとしか言えないですけ
れども、そういう極性もいろいろ制御しようという研究も始まっています。
(中村教授による追記:細胞には適応という能力があります。周囲を認識して、極性がで
きたり、レセプターが発現したり、相手に合わせて適応する、という現象が一般的にもみ
られています。また、細胞スフェロイドや細胞シートの場合でも形態を作ろうと遊走して
移動していく現象もみられています。ちゃんと周囲ごと並べてあげたら細胞は適応して、
きっと働くようになると思います。かならずしも発生でなくとも、適応があれば、機能を
発現できるのではないでしょうか?適応にも時間が必要なので、並べた後に培養して組織
形態を適応させる時間が必要です。発生させて作るより、圧倒的に短時間でできると期待
しています。)
【高坂主査代理】
【中村教授】
よろしいですか。
失礼しました。
【高坂主査代理】
多分、皆さん共通して、これはすばらしい研究だということを認識
した上で疑問に思っておられるのは、先ほどの御質問にあったように、一つ一つのインク
ジェットのボール(球)は、ある程度分化した細胞を集めて適切な場所に置いていくとい
うことなのですけれども、いわば正常な発生の過程を見ますと、1 個の細胞がどんどん分裂
をして塊を作って、それから、お互いに影響し合って、分化に影響を与えて、いろんな種
類の細胞ができて、結果として一つの立体 3 次元構造をとっていくわけですね。ところが、
先生の発想は逆転していて、あらかじめ 3 次元立体構造を想定して、そこに分化した細胞
を置いていくということを考えられているので……。
【中村教授】
もう一つ、未分化な細胞も置いてください。(中村教授による追記:臓
器には分化した細胞だけでなく、未分化な細胞もあるので、どちらも必要です。)
【高坂主査代理】
ですから、立体構造というのは今言ったようにどんどん変わってい
くものだと思うのですね、発生の過程で。そういった過程というのをいかに先生の研究に
取り入れていかれるかというのはこれからの問題だろうと思うのですが、いずれにしても、
阿久津先生の今の質問にもあったように、最初からある程度分化した、あるいは若干未分
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化の状況のものをそこに置いて、形としては一つの臓器ができていると。ただ、全体とし
ての機能(ファンクション)がどうなのかというのはこれからの研究を待たなきゃいかん
のかなと、そういう気持ちで聞いておりました。
【中村教授】
まだまだ、まだまだ、まだまだ研究が必要です。
【高坂主査代理】
非常に夢があると思うのですね。先生、プラクティカルなことをお
伺いしたいのですが、こういった研究というのは成功例を出さなきゃいけないと思うので
すよ。そういう意味で、僕は、例えば角膜であるとか、もっと単純な組織というのは非常
にプロミシングじゃないかと思って聞いていたのですが、何か成功例はないのですか、先
生。
【中村教授】
インターネットでは怪しいのがいっぱい出ていて、中国の何とかってい
うところは腎臓が作れたよって言っているのだけど、こんな作り方で腎臓ができるはずが
ないと思いますので、それはちょっとまやかしだろうと思っています。
【高坂主査代理】
【中村教授】
角膜上皮なんかはいかがですか。
角膜上皮は、まだやってはいないというか、うちは人手がないのでそこ
までできてないのですけど、きっと、やったら面白いと思いますね。
【高坂主査代理】
【中村教授】
できるかもしれませんね。
はい。
あともう一つは、これはエジンバラ大学の先生たちがやっているのですけれども、軟骨
の細胞で耳を作って、えーっ、こんなの作るのって僕は思っていたのだけど、補聴器の電
極のアンテナを細胞と一緒に作る、ハイブリッドで。3D プリンターの応用で軟骨細胞とそ
の配線を一緒に作る、こういうふうなことをやっていたので、こんな発展性もあるのだな
あというので、いろいろあり得ると思います。
【高坂主査代理】
【相賀委員】
どうぞ。
今、インクジェットプリンターの開発というのは、どこかの企業と組ん
で……。
【中村教授】
昔、某企業と一緒にやろうとはしていたのですけど、某企業さんのレベ
ルになってくると、いつお金になるのというのがやっぱり大きくて、しかも、例えば細胞
を打ち出そうと思うと、細胞に適したインクジェットのヘッドが欲しいわけですね。でも、
新しいヘッドを開発しようとすると、何十億円単位の、人と時間とそれを掛けないとなか
なかやっぱり。だから、企業としても一大事業なのです、ヘッド一つ開発しようというの
- 27 -
は。
【相賀委員】
じゃあ、今は工学部のどこかの……。
【中村教授】
そうすると、結局、あるものを使ってやるしかないというのが現状です。
ただ、そういう技術や装置作りに詳しい人が、iPS 研究所みたいな研究所を作ってそんなと
ころに入ってどんとやったら、もしかしたら作れるのではないかなという気はしなくもな
いのですけれどね。
【相賀委員】
じゃあ、先生のところで今使われているインクジェットプリンターで、
さっきの血管とかは、実際に細胞を入れて、飛ばしてやってはいる?
【中村教授】
はい。
【相賀委員】
何種類ぐらい、今、そういう細胞を?
【中村教授】
今、4 色のプリンターなので、4 種類でやっていますけど、本当言うと、
もっともっとノズルがたくさんあるやつで高速に作りたいなと。
【相賀委員】
それは、一応プログラミングして、ある程度、濃度とか、そういうのは?
【中村教授】
はい。でも、まだまだ実験機なので、学生は泣きながらやっています。
【高坂主査代理】
ほかにいかがでしょうか。きょうは、生命倫理のことも含めて、お
話を頂きましたが。
【中村教授】
生命倫理は、移植医療というのはすごく重たいので、何とかそれを避け
たいと思って、作ればいいって動き始めて、そして今に至っているわけなので。ただこれ
も、脳を作っていいのかいと、それも言われたことがあります。あんたら脳を作っている
のではないのかって非難されたことありますが、脳は作っちゃだめだなあって思うのだけ
ど、脳梗塞で半身不随になった友達に脳を作ってよって言われて、脳を作ってほしい人も
いるのだ、さあどうしようかと。脳はちょっと怖いものがあるかなというのは思います。
この技術だったら、脳は作らないでおこうと思ったら、絶対に脳は作りませんから。iPS 細
胞とか、全能性の細胞を使ったらどうか分からないけれども、そういう生命倫理をできる
だけ避けてというのが、私の取組ということになります。
【高坂主査代理】
【相賀委員】
分かりました。
先生の目算では、何年後ぐらいにどこら辺まで行きそうかとか、そうい
うのは?
【中村教授】
いつもそれを聞かれるのですけど、一番最初に、2006 年の暮れにテレビ
の取材があって、そのときにうまいこと乗せられて 20 年後って言わされてしまったのです
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けど、もう 10 年たっちゃったので、どうしようかって思っていますが、例えば、ヒトのは
絶対 20 年ではできませんし、倫理的な問題とか、あるいは医療機器なんかだったらいろん
な治験みたいのもあるから、ヒトのは、30 年、40 年ぐらいは掛かるのではないかなと思い
ますけど、動物実験レベルだったら、もっと早くいろいろなものが作れるのではないかな
と思います。さっきの Organovo というところは、今、肝臓の組織を受託生産しようという
ようなプロジェクトを始めているみたいなので、動物実験の代替の in vitro のサンプル、
これだったらそれなりに早い可能性はあると思います。そういうものも一応ターゲットに
は入れたいなと思っていますけど。
【窪田委員】
先生は、先生のところの技術だけで一つの完成品を目指しているのか、
それとも、例えば、毛細血管プラスアルファを作って、ほかのものを巻き込んで臓器を体
の中で作っていくとか、そういうことは考えておられませんか。
【中村教授】
いや、十分あり得ます。ただ、自分のできる範囲のことを踏まえながら
でしか、自分ではできませんので。でも、さっきの新学術領域なんかは、いろんな人たち
が共同研究をわんさとやろうと、結構熱いです。だから、そういういろんな技術と結び付
いていくというのは、すごくウエルカムです。
【窪田委員】
今までいろいろな話を聞かせていただいたのですが、実質の臓器を作る
ことももちろん難しいのでしょうけど、中に血管を走らせるとかいうのがやっぱり難しい
という話も聞きますので、そういうところと併せて一つの技術にしていくというのも、一
つの方法かなあと思います。
【中村教授】
【高坂主査代理】
【阿久津委員】
そのとおりだと思います。
どうぞ。
特にこの技術というわけではないのですけれども、先生がこの vitro の
研究で脳を作るのはいけないというふうに思われているのは、どういう理由ですか。
【中村教授】
脳は、脳死のことがやっぱり頭の中にあります。脳死の判定。どこから
が脳死なのか。何%死んだら脳死なのか。これと同じで、何%脳を作ったらヒトで生きて
いて脳死でなくなって、何%以下なら大丈夫。この線引きはどうするの?
という話。キ
メラで動物を作ったときに、臓器にばかり集中していますけど、脳はどうなのですか、何%
が人間の細胞なのですかと、こういうようなことを考えたときに、すごく気持ち悪いもの
がいっぱいあります。脳は、今は避けているだけなのですけど、本当に脳が必要であれば、
作らないといけないと思います。脳を欲しがっている人はいますから。あと、脊髄とか、
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脊損の患者さんは脊髄を作ってほしいと思っていますから。だから、脳はいつか作らない
といけないのだけれども、どうなのかなというのは、ちょっと私的には気持ち悪いところ
があるので避けているというだけなので、脳を実際に研究している人たちはそれなりの考
えを持ってやっていると思うので、その人の倫理観にお任せするしかないのですけれどね。
たまたま脳をやっている先生と共同研究をやろうという話は今のところないのでその話は
実現していませんけど、でも、神経細胞を使ったら、そういう話が必ず出てきます。パタ
ーニングの研究をやっていたときは、パターンで脳の回路を作ろうとか、そんなことを一
生懸命研究している、テーマとしている先生たちもいましたので。自己組織化とか、自分
で回路を形成していくとか、そういったようなところを研究している人たちもいますので、
否定はしませんけれども、私自身はちょっと、今は避けているという状況です。ただし、
否定はしません。否定はできません。また、そういうことをやらないと科学は進歩しない
ので、そういう点からすると、このてんびんに、科学の進歩、医学の進歩も掛かってくる
わけですね。だから、そこら辺のところは、ケース・バイ・ケースというか、その先生の
倫理観、人によって違うというのはいろいろ問題あるとは思うのですけれども、協議して
いくことが必要なのだろうとは思います。
【高坂主査代理】
先生、ありがとうございました。この作業部会でいずれ生命倫理に
特化した議論をすることになっておりますので、きょうは、この話題については、この辺
で終わりたいと思います。本当に興味深い話、夢のある話を聞かせていただきまして、あ
りがとうございました。
それでは、このヒアリングについてはこれで終了させていただきまして、事務局の方か
ら、今後の進め方について、もしありましたら、御説明をお願いいたします。
【御厩安全対策官】
資料 2 を御覧いただきたいと思います。
これまで議論を積み上げて整理をしてきた表ですけれども、今回、2 点修正しております。
修正箇所に網を掛けておりますけれども、まず 1 点目の修正点は、1 ページの下の方、動物
性集合胚の作成目的のところです。三つの目的を挙げておりますけれども、そのうち二つ
をそれぞれ、非臨床用モデル動物の作成、臨床用ヒト臓器の作成というふうに修正させて
いただいております。この二つはいずれも動物の体内にヒトの細胞からなる臓器などを作
成するものですけれども、一方は臨床で使う、一方は臨床には使わないということで、こ
のように表記してみております。
修正点の 2 点目でございますけれども、9 ページを御覧いただきたいと思います。臓器別
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に分析をしているところの一番上、腎臓の欄でございます。その他の方法の三つ目の丸の
ところで、前回の、慈恵医大の横尾先生からのヒアリングを受け、横尾先生のこれまでの
論文を挙げさせていただいております。また、右側の動物性集合胚の優劣のところの欄の
三つ目の丸のところに、腎臓は特に血管系の問題が大きいというお話を受け、このように
追記しております。
なお、中村先生の本日のお話に関して申し上げますと、7 ページのその他の方法の 6 ポツ
の立体造形技術等を用いる方法のところで、一番最初の丸にバイオ 3D プリンターと書いて
おります。また、その右隣の欄、動物性集合胚との比較のところの二つ目の丸のところに、
「生体内における発生プロセスを通じて、機能・構造が正常な臓器を作成できる可能性が
ある点や、生体外で人工的に造形等を行う方法に比べ、より容易に、より低コストで臓器
を作成できる可能性がある点では、動物性集合胚が優位」と書いておりますけれども、こ
れも、本日頂きましたお話を踏まえて、修正すべき点があれば、御指摘頂ければと思って
おります。
9 ページにもう一回戻っていただきますと、真ん中に心臓の欄があります。五つ目の丸の
ところに、バイオ 3D プリンターと表記し、今取り組まれている研究のことを書かせていた
だいております。
この表の御説明は、以上でございます。
あと、最後に今後の日程ですけれども、9 月 25 日金曜日の 2 時から、2 時間程度を予定
しております。それまでの間、もう一度、資料 2 の表の方をお目通しいただきまして、修
正すべき点、追加すべき点、お気付きの点がありましたら、事務局まで御連絡いただけれ
ばと思っております。
以上でございます。
【高坂主査代理】
ありがとうございました。
幾つかまた訂正をしていただきましたけれども、お持ち帰りいただいて、もしお気付き
の点がありましたら、いつでも御連絡いただければありがたいと思います。
それでは、ちょっと早いのですが、きょうの会議は以上で終了させていただきます。あ
りがとうございました。
―― 了 ――
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