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平成27年11月26日~11月27日【PDF:548KB】

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平成27年11月26日~11月27日【PDF:548KB】
(様 式 1)
(政 務活動費用 )
出
張
報
告
書
平成
夕I路 市 議 会 議 長
月田
光明
27年 12月
2日
様
会 派 名
自民 クラブ
代表者名
高橋
一彦
次 の とお り、政務活動費 に よる出張 を終 えま したので報告 します 。
受
命
者
続木敏博
出
張
先
東京都
期
間
平成
用
務
議員 のた めの 自治体議会 マ ス ター 講座 in東 京
27年 11月 26日
∼
平成
27年 11月 27日
(2日 間 )
別紙 の通 り
調 査 (研 修)
結果等 の概要
考
備
注)1
資料等 がある場合、添付す ること。資料は、事務局経由で会派へ返却す るので、
本出張報告書 (原 本)と ともに会派で保管する こと。
2 調査結果等の概要は、別紙による記載 も認 める。
議員のための自治体議会マスター講座 in 東京
講師:青山
佾(やすし)氏
明治大学公共政策大学院特任教授
元東京都副知事
報告者
11 月 26 日
続木
敏博
第一講座
自治体議会の主要論点
①人口減尐・介護移住問題
②福祉と教育のガバナンス
③商店街と地域の振興
④都市計画とまちづくり
⑤防災と危機管理
石原都知事時代の副知事を経験され、その後天下りをされずに大学院の授業
を受け持たれたり、世界中の大学での講演をされたり多忙な講師であるが、36
年間にわたる公務員生活の経験を生かしたグローバルなお話は、一見、小さな
地方自治体のレベルとはあまりにかけ離れているようにも思われたが、大きな
世界の流れを知ることが今後の議員としての視点として大切であることも指摘
された。講義の内容が多岐にわたり、また実体験を交えた話がちりばめられて
おり、順を追ってレポートを作成させていただく。
①人口減尐・介護移住問題
人口減尐社会であるが、政令指定都市 20 市中 13 市で人口増加。中核市 43 市
中 19 市で人口が増えている。
日本国の総人口 1 億 2800 万人のうち 3 大都市圏の市区町村で 45%、県庁所在
地市を含めると 60%の人口が集中している。
しかしその内訳を調査してみると、高齢者の極端な増加が浮き彫りになって
くる。
高齢者の人口増加率(2040 年予測の対 2010 年比)
東京圏 65 歳~
約 103 万人
75 歳~
約 94 万人
85 歳~
約 190 万人
24.9%
39.4%
240.4%
名古屋圏 65 歳~
約 17 万人
12.5%
75 歳~
約 18 万人
22.0%
85 歳~
約 55 万人
191.3%
大阪圏 65 歳~
約 12 万人
5.3%
75 歳~
約 25 万人
17.9%
85 歳~
約 101 万人
207.6%
札仙広福 65 歳~
約 21 万人
37.1%
75 歳~
約 20 万人
53.4%
85 歳~
約 40 万人
297.7%
今後訪れる全国県庁所在都市の 2040 年問題の深刻さ
しかし、人口減尐は悪いことでは無い。
移民を受け入れるという政策は間違っている。
経済活力の維持の議論をしなければならない。
あまり人口が減ったら大変だと言う話ばかりしているとおかしくなってしま
う。
介護保険導入時の A プランの考え方
私が公営福祉部長をやっていたとき、介護保険法が国会で通過した。
当時、本人負担は 1 割だった。これが 2 割に増やし、3 割に増やした。
健康保険の負担が 3 割に増えて、なぜ介護保険の負担が 1 割なんだという問
題が出た。
これでは介護制度は持たない。人材難になる。利用者負担は医療保険本人並
みにすべし。
高所得者には所得割負担制度を残すべき。
介護従事者の賃金保障を考えるともつわけがない。
尐子化対策の本質
そもそも問題の立て方はこれでいいのか?
成熟社会
ということは、人口減尐、高齢尐子化・生活の質の向上を伴う
もの
これらに対応することが疎かになっているのでは?
最高で月額 7 万円で介護する制度が持つわけがない。
特養で 1 人の老人を扱った場合、ランニングコストは月に 40 万円かかる。
よって待機者を 0 にするという事は、ありえない。嘘を言っている。
必ずしも子供が尐なくなる事は、不幸だとは限らない。
一般的に夫婦で年収 500 万円以上なければ、結婚しても子供を育てることは
大変だ、と言われている。
しかし、現在男子 35 歳で 500 万円以上もらっている人は、25%しかいない。
という事は、いくら保育所を作っても尐子化問題の解決策にはならない。
世界 300 カ国ほどの中で、なぜ日本だけが全て保育園ということになってい
るのか。
昔はベビーシッターがあった。0 歳児を保育所に預けると、月に 60 万円ラン
ニングコストがかかる。よって 0 歳時の待機児童ゼロはありえない。
0 歳児、1 歳児を自分で育てたいという母親も多いわけで、むしろそちらに対
する施策を考えるべきだ。ニーズに合う。
ベビーシッター、子守に対する制度を作るべき。
関係者は皆思っているが、それを言うと怒られる。保育所の方が安心だとい
うことになっている。
そのほうが助かる人も大勢いる。
本当の尐子化対策にはならない。
派遣労働者問題
2013 年非正規労働者は 1906 万人。(雇用者計 5200 万人の 36.7%)
不本意非正規は 341 万人。
アメリカ、特にニューヨークは移民が多い。
ブッシュ大統領の時に移民を制限すると言った。
しかし当時のニューヨーク市長だったブルームワークはニューヨークは移民
で成り立っているので移民政策を強化する対策をとった。
これは日本で可能なのか?
日本では国民が反対するだろう。
②福祉と教育のガバナンス
ⅰ、現代における都市のガバナンスにおいて最もうまくいっていないのが福
祉と教育のガバナンスである。
ⅱ、両者は互いに原因と結果という関係で重なり合っている。福祉がうまく
いかないから教育がうまくいかない、教育がうまくいかないから福祉に過剰な
負担がかかっている。
ⅲ、行き過ぎた市場原理主義(行き過ぎた新自由主義あるいは古きNPM論・
結果を求める評価論)が問題を先送りしている。ガバナンス論(協治論)によ
って高度成長時代とは異なった視点から政策の再構築を図る必要がある。
行政の仕事は自治体がやるより民間がやったほうがよい、という考え方。
職員定数も尐ない方が良い。
アメリカ等は議員が 7 人しかいないという市もある。
しかしそれは民主主義がないということ。
青山講師の私観としては、どんなに小さな自治体でも 30 人くらいの議員はい
たほうがいいと思う。
自治体の職員も定数を削るという大合唱があった。
貧困問題は深刻。
ニューヨークのタイムズスクエアでは炊き出しをやっている。東京の山谷の
様子。
生活保護が 50 人に 1 人の時代になってきた。
見直し 生活困窮者自立支援法(実際には法律通り進んでいない)
生保をもらっている家の子供は生活保護をもらうようになるケースが多い。
貧困の連鎖
朝食を食べている家の子供は、学習到達度が高い。
荒川区のH23 年度の調査では「朝食を毎日食べている」と答えた児童の学習
到達度が良好であることが顕著に出ている。食べているか食べていないか、で
はなくて食べられるか食べられないかの違い。
荒川区は就学援助率が高い。3 割から 4 割。
足立区も 3 割を超えている。
落ちこぼれを防ぐには 1 クラスに複数教師。
習熟度別教室のススメ。
これを実現しないと落ちこぼれを防げない。
これは世界の潮流。
小泉内閣時代(2006 年)の教育基本法改正
「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであっ
て…」(市場原理主義
中流崩壊を前提)
公立学校教育の充実こそ最大課題ではないのか?
寺子屋のススメ
学校統廃合をいかに避けるか
東京では土曜スクールはすべての公立学校はやっている。
学校視察に行ったときには、まず図書館を見る。
3 年かけて全ての学校に図書館司書を置く。
小学校には全ての日本の文学。
中学校には世界の文学を全て揃える。
荒川区長が 1 年でやった。全ての学校に図書館司書もおいた。
荒川区の学校パワーアップ事業。
一律 180 万円の予算をすべての学校に配布。何に使ってもいい。
③商店街と地域の振興
商店街繁栄の 3 条件
歩ける
座れる
夜遅い
48 時間以上経ってから発見されるものを孤独死という(絶対基準は無い)。
商店街の衰退と関係がある。
商店街対策が必要。
コミュニティーを守る。
自国民がこの国で暮らしていて楽しいと
思えることが、外国の人も寄ってくる。
ローマやパリではホスピタリティーがない。
自分たちが楽しい町。
④都市計画とまちづくり
世界三大都市圏の経済力比較
世界の町づくり・考え方が変わってきた(都市計画を総合的に考えるように
なってきた)。
20 世紀は効率性、21 世紀は快適性。
日本 都市計画⇒まちづくり
EU 土地利用計画⇒空間計画
アメリカ 成長管理政策⇒総合政策
中国 Best City ⇒ Best Life
都市計画だけでなく福祉・教育・経済・環境などを総合的に考える。
オリンピックで日本がどう変わるか。オリンピック効果
1964 年の東京オリンピックの効果
女子バレーの金メダル
これによってママさんバレーが生活に定着した。
女性が外に出るようになった。
女性が活躍する社会に変わった。
国土計画、交通計画が変わった。
鉄道(新幹線)をどんどん作ってきた。
成熟社会に栄えるまち
Ⅰ、ストーリーのあるまちは栄える
Ⅱ、水と緑のあるまちは栄える
Ⅲ、座れるだけで世界一の盛り場
Ⅳ、歩けるまちは栄える
Ⅴ、安全で清潔なまちはさかえる
Ⅵ、楽しいまちが栄える
Ⅶ、おいしいまちは栄える
⑤防災と危機管理
日本の食料品の自給率
カロリーベースで 3 割
価格ベースで 7 割
安いもの、とうもろこしや小麦は輸入(これが自然)
防災のポイント
災害は常に想定外(想定外に備えるのが危機管理)
生半可な予測はしない方が良い。
昭和 36 年
災害対策基本法
昭和 22 年
災害救助法
平成 10 年
被災者生活再建支援法
この 3 本の法律で守られている。
被災地では入浴が大切(被災者が癒される)。
炊き出しはなぜするのか(コミュニティーを作るため)。
通信・電機・水・道路(まったなしは空間・水・トイレ・通信)
1、それぞれ、どのような手順で回復されるのか?
2、地域ごとの優先順位はあるのか?
3、水害の場合、地震の場合、噴火の場合、感染症の場合…?
多岐にわたり、グローバルな経験に基づいた貴重な話を伺い、どのような視
点で行政を見ればいいのか大いに参考になった。
11 月 27 日
第二講座
自治体議会の役割
①市場原理・市民活動・政治行政
②市場化と公共関与
③ソーシャル・インクルージョン(社会的包容力)
④議会と執行機関
⑤歴史的経緯と世界の実態
前日に引き続き青山講師の実体験に基づく経験談を交えた自治体の役割につ
いての講義。
①市場原理・市民活動・政治行政
自治体議会の役割は、常に首長との緊張関係を保ちつつ、そこに民主主義が
存在することが第一義である。
首長とのなれ合いで全部賛成であれば議会の存在意義はない。
◎世の中は市場原理で成り立っている
民間の役割
◎税によって行われる仕事がある
政府・自治体
◎どちらにも属さない市民のボランティアという新しい役割がある
市民活動
現在の社会はこの 3 つで成り立っている。
社会の成熟度によってこの割合が変わってきて、成熟するほどに市民活動が
広がってゆく。
定型回答型から問題発見型へ(成熟社会の価値観の多様化)
公共の役割・民間の役割
市民活動・市場・行政のバランスがとれていることが重要
ⅰ、社会経済は市場を基本とする
ⅱ、社会が成熟すると市民活動は伸長する
ⅲ、行政は長期的に縮小するが短期的に拡大するときもある
ⅳ、民営化の一方で公営化(特に新しいサービスの提供)もある
ⅴ、今の日本で大切なのは市民活動の条件整備
民営化の虚構
民営化が全ていいことだという時代があった。
外部監査、公会計、一般競争入札、指定管理者、民間校長
民営化は行政にとってのコストである。
責任は行政がとる(丸投げはダメ)。
20 世紀は学力能力主義
21 世紀は学業を超える違う能力が求められる時代(成熟社会の価値観が多様
化している社会)
NPM(New Public Management)
ここが重要!!
新しい行政経営
◎市場原理
◎政策と実施の分離
◎結果の重視
小さな政府・公的サービス縮小・民営化・減税・現金給付・小さな議会
⇒格差拡大⇒市民活動減尐・社会の活力減退
これはガバメント(統治)の形
あるべき論(数値評価)=結果重視
自由主義
※市場天理・自助・家庭教育
小泉内閣時代
これに対して Governance(協治)という形
妥協(相対評価)=過程重視
民主主義
※公共関与・共助・学校教育
グローバル化と市場原理
1981 年~89 年
レーガン大統領
1979 年~90 年
サッチャー首相
1978 年
中国改革開放路線
1985 年
ソ連ペレストロイカ
この時代、世界は一斉に市場原理主義に走った。
日本では 2000 年前後に構造改革
小泉首相時代、世界に遅れること 20 年でようやく市場原理主義を行った。
しかし相次ぐ市場の失敗
・建築強度偽装事件
・エレベーターメンテの手抜き
・プール安全手抜き事件
・コムスン不正請求
・イギリス国鉄民営化の失敗
・アメリカ電力自由化政策のやり直し 2005
・エンロン事件
・ライブドア事件
・アメリカ住宅政策の失策
①サブ・プライム・ローン(低所得者に対する住宅ローンを推進する)
②住宅バウチャー(公営住宅を廃止して低所得者が大家さんに家賃を支払
うための金券を支給する)
③アフォーダブル・ハウジング(都市計画で民間が安価で手頃な住宅を供
給することを奨励する)
この 3 つを用意するから公営住宅を廃止しようとした。
しかし未だに公営住宅はなくなっていない。
Government(統治)から Governance(協治)へ
ガバメント(縦型)からガバナンス(横型)へ
・情報公開・説明責任
・参加(実施段階を含む)
・協働≪社会的包容力≫
墨田区はガバナンス条例を設置
②市場化と公共関与
市場が優れたシステムであること、ただし失敗することを前提として、公平
な競争が行われるようコストをかけて監視する。
公共とは・・・・市民・自治体・政府
利益を生まない仕事が利益を生む
公平な市場競争
社会公共の利益
③ソーシャル・インクルージョン(社会的包容力)
以前は「社会的包摂」
大ロンドン市長
これではわからない
ケン・リビングストンの言葉
ソーシャル・インクルージョンをするために経済成長は必要だ。
ロンドンプラン
市長の政策目標
「社会的包容力を高め、貧困と差別に取り組む」
目標達成のための施策
・職業訓練その他の支援
・特定地域に貧困が集中している問題に取り組む
・ホームレス問題に取り組む
・差別に取り組みロンドンの多様性、障害者に暮らしやすい都市
・空間的な政策、学習、健康、安全その他社会的地域的サービス
・地域コミュニティの経済成長、開発計画を確固たるものにする
セィフティ・ネット(ゆりかごから墓場まで)からトランポリンへ
「現金給付主義(給付の罠)から社会システム整備へ」
(老人福祉手当⇒介護給付、住宅バウチャー⇒公営住宅)
これには相当の覚悟がいる・・・現金給付のほうがコストが軽くすむ
福祉と経済の失敗⇒福祉と経済の統合
権利と責任の協調
労働による「福祉からの脱却」
手当支給から労働へ
Social Exclusion(社会的排除)
青山講師の「危機管理概念の拡大」説では、拡大の一因であり一環
格差拡大・貧困・社会不安・連鎖
Benefit Trap(給付の罠)
フランクリン・ルーズヴェルトのニューディール政策に始まった。
東京都の老人福祉手当(寝たきり老人の慰謝激励)も同様。
S47 年(美濃部都知事時代)月 3000 円、予算 2 億円
S54 年
月 26000 円、予算 36 億円
S61 年
月 35000 円
H7 年(鈴木都知事退任時) 月 53000 円
青島都知事時代
月 55000 円に据え置き
石原都知事時代、籠保険開始時に廃止へ
公共政策とは(青山講師)
「公共政策」とは、国と自治体が自ら実施する政策ならびに市場部門及び市
民活動に対して関与する政策をいう。
「公共政策研究の目的」は、現代における問題を具体的に分析し、最適の政
策とそこに至る方法を探求することである。
④議会と執行機関
⑤歴史的経緯と世界の実態
民主主義
・民主主義の行き過ぎ⇒過剰な要求型
美濃部都知事は「一人でも反対したら施設をつくらない」と言った。
民主主義の多数決原理に反する尐数決主義ではないか?
「地方自治法のうえでは、市町村と都道府県はともに普通地方公共団体とし
て基本的に対等な自治体」兼子仁『地方自治法』岩波新書
「住民生活との密着度の大小を価値基準とするならば、たとい市町村が末端
機関と呼ばれていようとも、この末端のしごとのほうが、国や都道府県のしご
とよりも、高い価値を有することになる」辻清明『日本の地方自治』岩波新書
1949 年シャウプ勧告
「市町村の適当に遂行できる事務は都道府県または国に与えられていないと
いう意味で、市町村には第一の優先権が与えられるであろう」
1956 年自治法改正
「市町村は基礎的自治体」
「都道府県は広域、統一、連絡調整及び補完事務」
日本の自治体は大統領制ではなく議会が閣僚を出せない議員内閣制
アメリカの大統領や州知事は予算提案権なし
議会が予算編成
日本の首長と地方議会は車の両輪ではなく前輪後輪
地方自治法上、首長は「執行機関」、議会が「立法機関」だが政策立法が尐
ない
与党としての縛りだけしかないのが現状
呪縛を捨てて緊張関係を
全体を通して歴史的な経緯を通しながら実体験を踏まえた講義だったので説
得力もあり、なるほどそうだったのかとうなずかせる場面も多々あった。
特にソーシャル・インクルージョンに関する説明は多岐にわたり、歴史的な
背景も交えてのお話で非常に納得した。
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