...

オンラインフオーラムに よる振り返り学修

by user

on
Category: Documents
1

views

Report

Comments

Transcript

オンラインフオーラムに よる振り返り学修
オンラインフオーラムに
よる振り返り学修
福岡大学 理学部 物理科学科
寺田 貢
はじめに:試行した科目
共通教育科目として担当している物理学
科目名:「物理科学入門」、「物理の世界」
開講対象学部:商学部、法学部、経済学部、人文
学部、スポーツ科学部、医学部看護学科
開講対象学年:1年生(全学年で履修可)
学士力について、物理学教育FD/ICT活用研究委
員会で検討した一般レベルに相当
2014年度後期
物理の世界 履修登録者数:130
目標:授業アンケートの「授業時間外の学習(予
習・復習)時間」の回答「0分」を減らす
手段:従来から試行している講義中に記入するコ
メント用紙を用いて、オンライン上で他の受講者と
考え・知識を共有する講義形態の実質化
実施した取り組みについて
1. 講義の構成
2. 講義の流れ
3. アクティブラーニングの要素
講義の構成:素材
講義中の教材
教材ビデオ(NHKエデュケーショナル「大科学実験」の
うち12タイトル 各10分間 )
解説用スライド
ビデオ視聴後に受講者が記入・提出するコメント用紙
オンライン教材(Moodle:スマートフォン等からの利用)
提出されたコメントから数点を選び、氏名の箇所を消
去して「コメント集」として公開
「コメント集」を見た後のコメントを書き込むフォーラム
解説用スライドに音声解説を追加した動画(10~20分)
解説した内容に関するクイズ
講義の構成:Moodleの画面
講義の流れ1:講義前
1. 教員:毎回の講義の終了前に、次回の講義で取り扱う
10分間の教材ビデオを視聴させる
2. 受講者:視聴後に受講者が配布したコメント用紙に記
入し・提出する(感想文ではなく、小中高校で学んだこ
とや日常生活の中で経験して知っていることを、できる
だけ、図や数式などを交えて記入するように指示)
3. 教員:講義終了後、適切なものを数点選び、スキャナ
によりデータ化し、Moodleで受講者が「コメント集」とし
て閲覧可能とする
4. 受講者:「コメント集」を見た後に、前回の講義中に自
分が気づかなかった、または知らなかった「コメント集」
の事項について、次回の講義の開始時までに、
Moodleにコメントを書き込む(以下、「オンラインコメン
ト」と呼ぶ)
講義の流れ2:講義中の活動
1. 教員:講義の最初に前回視聴した10分間の教材ビ
デオを再度視聴させる
2. 教員:視聴後にMoodleの「コメント集」で閲覧可能
にしたコメントの概要を説明する
3. 教員:解説用のスライドをスクリーン上に提示しな
がら、教材ビデオで実施された実験の内容に関す
る物理現象や法則などについて解説を加える
4. 受講者:次回の講義で取り扱う10分間の教材ビデ
オを視聴し、小中高校で学んだことや日常生活の
中で経験して知っていることを、図などを交えて、コ
メント用紙に記入する
講義の流れ3:講義終了後
1. 受講者:Moodleで、講義で使用した解説用のスラ
イドに音声解説を追加した動画を視聴し、事後学
習を行う
2. 受講者:Moodleで、講義内容を確認するためのク
イズに解答する
3. 教員:受講者が書き込んだオンラインコメントを記
録する
4. 教員:受講者が提出したコメントの中から適切なも
のを選び、「コメント集」を作成し、Moodleで受講者
が閲覧できるようにする
コメント用紙記入例
コメント用紙記入例
オンラインコメントの例
オンラインコメントの例
試行状況
講義内容
12月17日現在
講義中コメン オンラインコメ クイズ回答者数
ト提出者数
ント記入者数
(平均点)
01 音の速さを見てみよう
02 暗闇に光を
03 氷でたき火
04 声でコップが割れる?
05 みんなここに集まってくる
06 空飛ぶクジラ
07 太陽で料理しよう
08 かなりしょっぱいウエディング
96
94
95
92
84
92
85
79
46
58
60
63
68
66
56
65
71(7.0)
61(8.2)
52(7.3)
52(8.2)
48(6.5)
46(7.2)
49(6.8)
46(6.5)
09 静電気でお絵かき
89
68
49(7.6)
10 手作り電池カ―
88
67
44(7.5)
11 忍者になろう
12 人力発電メリーゴーラウンド
84
80
67
アクティブ・ラーニングの要素
1. 反転学習の要素:講義内容に関する教材ビデオを、
その前の回の講義で視聴して、公開されたコメント
の内容から、他の受講者と考えを共有し、オンライ
ンコメントとして、第二のコメントを発表する→事前
学習(振り返り学修)
2. e-LearningやMOOCsの要素:講義の終了後、講義
中の解説を動画により再確認し、クイズに解答す
る→事後学習
3. 学内に設置されたPCよりも、スマートフォンなどの
モバイル環境での学習機会の増加
9月17日~12月15日のアクセス数:
学内IP 4,006件、学外IP 15,719件
授業改善の「7つの原則」を指標とした点検
出典:山地 弘起,アクティブ・ラーニングの実質化に向けて
大学教育と情報,2014年度No.1,p.2~7
授業改善の「7つの原則」を指標とした点検
出典:山地 弘起,アクティブ・ラーニングの実質化に向けて
大学教育と情報,2014年度No.1,p.2~7
7つの原則のうち、「2.学生間の協働」と「3.能動的
な学習」がアクティブ・ラーニングに相当(p.4,左段23
~24行目)
「2.学生間の協働」 の要素:「コメント集」を介した知
識の表現と共有
「3.能動的な学習」の要素:講義時間内のコメントの
作成、オンラインコメントを書き込む事前学習、解説
動画を視聴し、クイズに解答する事後学習
授業改善の「7つの原則」を指標とした点検
出典:山地 弘起,アクティブ・ラーニングの実質化に向けて
大学教育と情報,2014年度No.1,p.2~7
7つの原則のうち、「1.教員と学生のコンタクト」、「4.
迅速なフィードバック」、「5.学習時間の確保」がアク
ティブ・ラーニングを補完(p.4,左段25~27行目)
「4.迅速なフィードバック」 の要素:講義に際し、「コ
メント集」を紹介し、疑問点を解説
「5.学習時間の確保」の要素:Moodle上での事前
学習と事後学習
授業改善の「7つの原則」を指標とした点検
出典:山地 弘起,アクティブ・ラーニングの実質化に向けて
大学教育と情報,2014年度No.1,p.2~7
7つの原則のうち、「6.学生への高い期待」、「7.多
様な才能と学習方法の尊重」がアクティブ・ラーニン
グを支える態度要件(p.4,左段28~29行目)
「6.学生への高い期待」 の要素:学生間の共通認
識・理解を生むための「コメント集」
未達事項と今後の課題
Moodleのフォーラム上での、ディスカッションや他者
の書き込みへのフォローなど、受講者間のソーシャ
ル・ネットワーク的なつながりが構築できていない
オンラインで映像を視聴してコメントを作成すること
を事前学習とし、講義中にディスカッションを通した
学習が実現されれば、いわゆる反転授業の形式へ
の方向性が生じる
ワークショップ形式の講義で、発言できない受講者
への対策やオンライン上でのディスカッションが困難
なことなど、対面とオンラインの両方でのコミュニケー
ション・リテラシーの充実が望まれる
おわりに
いわゆる文系の学部・学科を対象とした共通教育科
目での試行について紹介
現在注目されているアクティブ・ラーニングの形態と
は異なる点も多々ある試み
受講者が他の受講者との間で、考えや知識を共有・
交換することにより、講義へ能動的に参加することが
ある程度実現
Fly UP