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第 32 期 事 業 報 告 - NHKメディアテクノロジー
第 32 期 事 業 自 平成27年4月 至 平成28年3月31日 報 告 1日 株式会社NHKメディアテクノロジー Ⅰ. 会社の現況に関する事項 1.事業の経過及び成果 平成 27 年度は、MTの 3 か年経営計画の初年度であるとともに、創立 30 年を 超え、次の 10 年に向けたスタートの年となりました。 27 年度は、事業運営の重点事項として次の 5 つの柱を立てて取り組みました。 (1) 委託業務の拡大への確実な対応 (2) 新たな技術分野への積極的な対応 (3) 顧客満足度の向上および経営基盤の強化 (4) 会社活性化の取組み (5) 大規模災害に備えたBCP強化 これらについてMTは、NHKからの委託拡大への対応、超高精細映像(8K ・4K)関連業務への対応、ファイルベース化やハイブリッドキャストなど先進 技術を活用した新たな分野への取り組み、NHKシステムのセキュリティ強化対 策の推進などを通して、放送技術と情報システム技術でNHKグループの一翼を 担い、公共放送の使命達成にその役割を果たしました。 加えて、その役割を果たすためのベースとして、技術力向上に向けた人材・設 備への積極的な投資を行うとともに、顧客満足度向上のための業務プロセスの改 革を続けてきました。また、昨年の創立 30 周年関連で実施した技術展の成果を ヒカリエでのMT展示・商談会につなげています。 コンプライアンスの徹底やガバナンスの強化が、これまで以上に求められる中 で、7月に内部監査委員会を立ち上げ、業務実施状況の適正性の検証を行ってい く体制を整えました。iSPオフィス(オフィス環境の大規模な改善)が本格的に 始動し、NRビルのリニューアルや社内サイネージの拡大なども行っています。 BCPに関しては、緊急連絡訓練などを定期的に実施したほか、27 年度は首 都直下地震を想定した全体訓練を、実際に即したシナリオを策定して実施いたし ました。 以上の事業活動の結果、平成 27 年度の売上高総額は、317 億 2,565 万円(前 期比 6 億 8,064 万円、2.2%の増)となりました。 以下に、事業活動の状況をご報告いたします。 1 (1)送出・制作技術関連事業 ① 送出技術部門 送出技術部門の基幹業務である国内運行業務においては、10 名分の受託拡 大に対して、専門技術力と運用ノウハウを活かして要員のスキル醸成に努め、 安定した送出と効率的な要員運用を行いました。 国際放送の制作・送出業務においては、国際放送番組充実の一環として、 4 月から開始された情報番組「ニューズ・ルーム・トーキョー」の安定送出 に向け、設備整備・運用の両面から的確に対応しました。 CUスタジオ業務においては「大相撲」「アメリカメジャーリーグ」「ウ ィンブルドンテニス」「ATPテニスツアー」など、年間を通してスポーツ 番組や情報番組の制作・送出を確実に行いました。 加えて平成 27 年度は、SHV試験放送開始に向けた「SHV送出設備工事 支援業務」をNHK技術局より自主業務として受注するなど、委託業務以外 の業務についても着実に実施しました。 以上の結果、売上高は 11 億 8,806 万円(前期比 1 億 1,580 万円、10.8%の 増)となりました。 ② 制作技術部門 27 年度の制作技術部門は、前年度に実施した組織改正によりコンパクト な体制で効率的な業務運営の浸透を図りながら、8K・4Kの高精細映像業 務で映像ポスプロ部やビジネス開発部との連携を強化しつつ、3 か年の業務委 託拡大初年度に的確に対応しました。 委託拡大により「ためしてガッテン」「BSコンシェルジュ」などの情報 系番組の委託が増えたほか、放送 90 年ドラマ「経世済民の男」や、震災ドラ マ「列車コンで行こう」など、節目の年に合わせたドラマ制作を含めて、受 託業務を着実に実施しました。 スポーツ・中継制作では、カナダでの「W杯女子サッカー」や関西での 「高校総体」などでNHKへの業務支援を行うとともに、リオデジャネイロ・ パラリンピックの出場権を争う「車いすバスケットボール」では迫力あるプ レーを視聴者に届け、サッカー女子・五輪アジア最終予選ではリオデジャネ イロ・五輪の国際信号制作に派遣予定のクルーによる高水準の中継制作を行 2 いました。また、自主業務では「エアレース世界選手権」千葉大会において、 EURO TVが制作する国際信号制作の機材サポートと技術コーディネー ションを行い、日本初開催を支えました。 8K・4K業務では「W杯女子サッカー」や「スーパーボウル」などのス ポーツ中継、4Kドラマ「精霊の守り人」や「吉原裏同心」など多数の番組 制作に取り組みました。来年度からスタートするSHV試験放送用の完プロ 制作もMTが請け負い、制作から完プロ・試写に至る8K業務全般に精通し たMTの技術力の高さを示しました。 この結果、売上高は 84 億 9,317 万円(前期 1 億 7,498 万円、2.1%の増) となりました。 ③ 外部請負部門等 27年度に放送大学学園から受注した「次期運行システム全面更改に係わる 技術支援」の業務を無事完了しました。 なお、28年度の放送大学学園における番組制作技術業務が一般競争入札に 付され、MTが落札しました。 以上の結果、売上高は 5 億 9,246 万円(前期比△4,298 万円、△6.8%の 減)となりました。 (2)コンテンツ、デジタル技術関連事業 ① コンテンツ制作・デジタル技術開発部門 8K・4K高精細映像では、先導的な役割を果たすべく果敢に取り組んで きました。8K業務では、「NHKのど自慢予選会」8K時差再生展示サー ビスを全国で展開、「NHK検証用22.2chコンテンツ制作」「NHK防災・ 減災プロジェクト8K空撮」などのコンテンツ制作を実施しました。また 「NEP フルスペック8K-PVコンテンツ制作」、「東京ファッションウ ィーク 8Kコンテンツ制作」、「東急文化村 能 8Kコンテンツ制作」、 「一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NeXTV-F)番組制作」など 多くの事業者と共に8K番組制作に取り組みました。 その他「総務省 海外展開に資する8K画質 調査研究 請負」や、「渋谷DE どーも2015」「BKワンダーランド」「CEATEC 3 JAPAN 2015 NHKブース」「さっぽろ雪まつり 8Kパブリックビューイング」「8K 宝塚技術業務」など、8Kイベントにも積極展開を図りました。8K映像と 22.2chマルチチャンネル音響を体感できる高精細シアター「シアターU」 を整備し運用を開始しました。 4K業務では、「ワイルドライフ」「ダーウィンが来た!」などの自然番 組で、ロケからポスプロまでの一貫制作を実施しました。また、「4K人形 劇 シャーロックホームズ」「DNA SHARAKU 4K中継」「ボブ・ ジェームス 4K中継収録」「精霊の守り人 4K編集」なども実施しました。 3D業務では、「東日本大震災 5年関連取材」を継続して実施しました。 NHKグループの一員として、これからも被災地を継続的に記録し、防災・ 減災に役立てればと考えています。 高精細映像の医療分野への応用では、4K3D映像の撮影・表示システム の開発を進めるとともに、医療映像データベース化の検討を行いました。具 体的には顕微鏡手術の4K3D撮影をカメラ1台で行えるシステムを開発し、 実際に手術撮影を行いました。加えて、実用型の4K3DノートPCも開発 しました。また、4K3D映像の医療教育分野への応用を目指した医療デー タベースのイメージシステムを展示会で展示しました。 HD業務では、JAXA ISS交信イベント、JAXA軌道上会見の対応 や、バドミントン・ヨネックスオープンジャパン2015、世界2輪選手権大会 日本GP、エアレース世界選手権千葉大会などのイベントで、数々の国際信 号制作を実施しました。 CG・VFX業務では、Nスぺ「88時間」(4K制作)「廃炉への道 緊 急報告 列島大水害」「被曝の森」、ドラマでは「90周年ドラマ 高橋是清」 「土曜ドラマ 破裂」「朝ドラ とと姉ちゃん」「正月時劇 吉原裏同心」(4 K制作)などの番組を担当しました。そのほか技術開発により、様々なデー タのCGによる可視化に積極的に取り組んでいます。 11月に渋谷ヒカリエで実施したMT展示・商談会「2015 MEDIATE- CHNOLOGY!」には多くの方が来場されました。世界初バーチャル3 D映像とリアル3D空間の融合シアター「8K3DサカナクションAoi」を はじめ、独自開発のクラウドシステムやデジタルサイネージも含めたMTな らではの専門技術力をアピールし、MTのブランディングを高めました。 4 以上の結果、売上高は33億2,442万円(前期比1億4,768万円、4.6%の増) となりました。 ② 資材販売部門 ファイルベース化が進む中、HDカムテープの需要も減少しましたが、 今年度からXDカムディスクの販売体制を整え、支社との連携により全国 で営業展開を行ない、XDカムディスクの販売がテープ需要の減少を補う 形となりました。 この結果、売上高は 6,817 万円(前期比 573 万円、9.2%の増)となり ました。 (3)情報システム事業 ① NHK関係システム開発・設備整備業務 放送システムのICISでは、保守限界を迎えた提案制作系システムの サーバ機器の更新、OS・ミドルウェアのバージョンアップ等を行い、6 月に本番移行しました。また編成送出系では、全国の放送局で活用する番 組編成確定表のマーキング機能の運用性改善や周辺システムの更新対応な どを行ったほか、放送のデジタル化によって不要となっていたアナログ放 送関連機能を廃止し、ICISプログラムの全面的なスリム化を行いまし た。 営業システムでは、6 月から次期携帯端末の本格運用に対応、10 月には 全国展開を完了したほか、7 月と 1 月には営業拠点の再編成対応を実施しま した。並行してネットワーク分離などセキュリティ強化の対策を推進する とともに、あわせてBCP対策にも着手しました。次回の消費税率改定 (29 年 4 月と想定)に向けて開発及びテスト作業を開始しました。また、 視聴者対応システムのAP/GWサーバ更新、全国ふれあいセンターや受 信機管理システムのネットワーク機器更新を行うなど業務基盤の整備を進 めました。 NHKネットクラブでは同時再送信実験への対応を進め、10 月の試験的 提供B実施への本番対応をはじめ、12 月と 1 月には試験的提供Aに関する 5 視聴データ集計を実施するなど、新たなサービスへの対応を積極的に展開 しました。 事務システムでは、NHKグループの事務系システム統合開発の最終年 度として、4 月に公益法人向け経理システムを、7月~10 月に出退勤およ び給与システムの運用を開始し、計画どおりすべてのシステム移行を完遂 させました。また、昨年度からスタートさせたBCP対応については、業 務の運用手順まで詳細化を図り、実際にリハーサルを行ったうえで、災害 発生時に速やかにBCPサイトに切り替えて運用できるための準備を完了 させました。さらに、マイナンバー制度開始に向け、関連団体を含めたセ キュリティ対策を十分に配慮する中でマイナンバー収集・保管のためのシ ステムを構築し、11 月から順次、運用を開始しました。そのほか、法制 度・規程改正・組織改正・異動・決算などに伴う開発や関連作業を実施し ました。 以上の結果、売上高は 75 億 6,501 万円(前期比 1 億 9,886 万円、2.7% の増)となりました。 ② NHK関係システム運用業務 基幹システムでは、NHKとMTで構成する安全運行推進会議を中心に、 基幹系情報システムの安定運用に取り組みました。また、放送系ICIS ホスト更新などの設備整備業務に的確に対応するとともに、営業系携帯端 末システムの全国展開、事務系マイナンバーDBの導入において、情報シ ステム局ほかの関連部署と連携し、円滑に運用を開始することができまし た。 イントラネット関係システムでは、ISO20000 の認証を取得してITサ ービス管理の品質向上を図るとともに、基幹ネットワークシステムの安定 運用に取り組みました。また、ファイル転送利用申請システムの改修作業 や次期リモートアクセス環境整備、次期パソコン健康管理システムの全局 更新作業を支援するとともに、局内ワイヤレスの環境整備を計画通り実施 して運用を開始しました。さらに、NHKのセキュリティ強化対策として ウィルス総合窓口や内部SOCの役割を担うとともに、営業ネットワーク のイントラとの分離作業を関係部署と連携して安全・確実に実施しました。 6 この他、放送局IT管理支援業務について一部放送局で試行を開始し、 全国展開に向けた準備を進めました。 以上の結果、売上高は 11 億 8,599 万円(前期比 8,975 万円、8.2%の 増)となりました。 ③ NHKグループ会社の業務 事務系システム統合関連では、NHKエデュケーショナルの経理システム カットオーバー作業と日本国際放送の給与・出退勤システムの導入支援業務 を完遂しました。導入後の安定運用に向けた支援業務も受注し品質の高いサ ービスを提供いたしました。 自社開発の勤務管理システムでは、G-SMaRTへスムーズにデータ移 行を行い、上半期を以てサービス運用を終えました。 NHKエデュケーショナルの設備整備では、居室集約に伴う大規模なレイ アウト変更および居室セキュリティ強化により大幅な増収となりました。 以上の結果、売上高は 7 億 8,352 万円(前期比 7,093 万円、10.0%の 増)となりました。 ④ NHKグループ以外の業務 携帯メール一斉配信サービス(KinQ.jp)は、新規契約に加えて、 人数増加による変更契約で着実に契約数を増加させ、売上向上に貢献しま した。自社パッケージ製品の文書共有ソリューション(Astackアス タック)は、今年度も年間 10 本の販売目標を立て、14 本販売することがで きました。 以上の結果、売上高は 1 億 5,450 万円(前期比 1,504 万円、10.8%の 増)となりました。 7 (4)ニュースシステム・メディア開発事業 ① ニュースシステム部門 ニュースシステム部門は、ニュースの送出、回線運用から報道用コンピュ ータシステムの運用・保守までニュースセンターに関連する技術業務につい て一元的に対応し、NHK報道の一翼を担っています。 今年度から、より高度なシステムスキルを必要とするニュースセンターの 大幅な委託拡大が始まりました。人材育成に計画的かつ組織一丸となって取 り組み確実に対応しています。「統一地方選」、「2015FIFA女子ワール ドカップ カナダ大会」、「ラグビーワールドカップ2015」、「ATPワール ドツアー」など視聴者の関心の高い番組も安定に送出しました。大阪放送局 ファイルベース整備の検証作業などNHKの設備整備業務の一部を担うとと もに、設備点検作業の効率アップと職場環境の改善を目指して独自開発によ るチェックシートの電子化を実現しました。 以上の結果、売上高は 13 億 7,479 万円(前期比 1,629 万円、1.2%の増)と なりました。 ② メディア開発部門 メディア開発部門は、News Web/国際放送コンテンツ管理、選挙、 地震津波・気象災害などのシステム設計・開発・構築から保守・運用までを担当 し、NHK3 か年経営計画に掲げられた「公共メディアへの進化」と「命と暮 らしを守る報道」の一翼を担っています。 国際放送局のインターネット展開の基幹となる「NHK Worldニュ ースコンテンツ管理システム」を整備し平成 28 年 2 月から運用を開始しまし た。国際放送情報システムの機能改善や用例検索サーバの機能強化などを実 施し、NHKの国際放送強化に貢献しています。また、昨年度末から運用を 開始した報道局のインターネット展開の基幹となる「本部・さいたま局イン ターネットニュース制作システム」については、機能向上と画面デザイン 刷新の対応を行いました。「かおテレビ」などのデータ放送コンテンツを開 発するとともに、「紅白歌合戦」「おやすみ日本」「しあわせニュース」な どスマホと連携した番組演出に対応するために、クラウドを利用したリアル タイム配信サービスを実現しました。気象・株式自動アナウンス装置は、既 8 に運用している株式市況に加え気象通報の試験運用を開始し、平成 28 年度から 本運用に移行する予定です。「東日本大震災アーカイブス」では、震災後 5 年 目を迎えて「地震発生から 72 時間」のコンテンツ制作を行いました。 以上の結果、売上高は 14 億 6,832 万円(前期比△2 億 6,616 万円、△15.3%の 減)となりました。 (5)地域の支社・事業所事業 平成 27 年度の組織改正で、新たに「地域センター」を発足させました。従来 の「支社」を引き継ぐだけでなく、拡大する事業所の受託業務に的確に対応す るため、全国の支社・事業所と連携を強め、人材育成・地域支援・要員確保な ど様々な対応に全力で取り組みました。 事業所での受託拡大について、27 年度、21 カ所の事業所で受託数が 6 名に増 加となりました。このうち 15 か所にはMTとして初めて採用した「地域型社 員」を配属し、各事業所で 6 月~9 月まで十分なOJT・研修を実施しました。 さらに、10 月の受託開始後も地域型社員全員を本社に集め、CTIでの運行補 完研修を実施するなど、新人のレベルアップに努めました。 今後、地域の事業所に地域型社員をはじめ若手社員が増加する中、新たな課 題・問題が生じるおそれがあり、全国の支社・事業所でのヒアリングを重ね、 解決策の検討と実行に尽力しました。 28 年度も 12 か所の事業所(新潟・甲府・京都・静岡・福井・鳥取・山口・長 崎・宮崎・大分・秋田・盛岡)で地域型新人による受託拡大が計画されている 他、4 か所(松江・鹿児島・佐賀・青森)では出向者や転籍者での受託拡大を予 定しています。また北関東の 3 事業所(前橋・水戸・宇都宮)でも、受託が拡 大するため、協力会社の活用による対応を進めています。 受託事業について、関西支社では番組改訂で「ゆうどきネットワーク」の金 曜日放送分がなくなりましたが、後期朝ドラの「あさが来た」が好調でした。 また、中部支社では人気番組の「超絶 凄ワザ!」などの制作、九州支社では プロ野球で優勝したソフトバンク・ホークス関連、東北支社では東日本大震災 から 5 年などの業務を実施しました。 自主事業について、北海道支社では国際教育音楽祭(PMF2015)の制作な ど地域のニーズに応じた事業の展開、関西支社ではアーカイブ素材のLTO化 9 事業、さらにファイルベース化が進むNHKに対して、全国の支社・事業所で XDCAMディスクの販売に注力しました。 以上の結果、売上高は 55 億 2,719 万円(前期比 1 億 5,468 万円、2.9%の増 となりました。 (6)設備投資の状況 8K・4K関連業務の拡大に備えて、撮影・編集・試写などMTが保有する プリプロからポスプロまでの制作環境を拡充したほか、NHKのファイルベー ス化に対応してVロケクルー機材やMA設備などの更新を行いました。 また、働き方改革とあわせて大規模なオフィス環境改善を行いました。これ らに要した投資額は、11 億 5,261 万円となります。 2.今後の対処すべき課題 平成 27 年度はMT3 か年経営計画の初年度として、経営課題に対する検討を 重ねてきました。28 年度はこれを実行に移す重要な年となります。特に、社員 制度の改革や転勤構造の見直しなど、MTの将来に向けた具体的な施策に取り 組んで行きます。 当社が担う役割は、地域事業所を含む委託拡大をはじめ、8K・4Kの関連 業務、ITに関わるセキュリティ強化の支援、「公共メディアへの進化」の支 援など、ますます大きくなっていきます。 8K・4Kに関しては平成 28 年 8 月からスーパーハイビジョンの試験放送が 開始され、東京オリンピック・パラリンピックを見据えた8K・4K関連業務 の展開に向けて、人材育成はもとより設備整備や自主業務の推進など多角的な 取り組みを行います。 また、昨今、社会問題となっているサイバー犯罪に対して、NHKグループ のIT企業として、サイバーセキュリティの向上に貢献していきます。 NHKが現 3 か年計画で掲げている「公共メディアへの進化」に関しては、 ニュース・防災アプリや番組系のネット連携など、インターネットを活用した サービスの開発や、セキュアな運用環境の確保など、ハード・ソフトの両面から 多様な支援を行っていきます。 各事業を展開していくなかで、お客様満足度の向上はMTの大きなテーマです。 10 日常のワークフローのなかでお客様の意向を把握し、サービスの改善に繋げてい きます。さらに、28 年度は従業員満足度の向上と両輪の取り組みを実施します。 社員が満足し高いモチベーションを持って業務に取り組む事で、お客様へのサー ビスも向上する、正のスパイラルを生み出すことがねらいです。また、高いコン プライアンス意識は、健全な職場環境で社員が満足して業務にあたることから生 まれると考えています。職場環境調査に基づく問題分析から行動計画を立案し、 従業員満足度の向上を図るとともに、その取り組みをNHKおよびNHKグルー プのお客様満足度の向上につなげていきたいと考えています。 3.資金調達の状況 当期における資金調達状況は、以下のとおりです。 金融機関からの短期借入金 借入額 200,000 千円 返済額 200,000 千円 4.事業譲渡・吸収分割又は新設分割の状況 該当事項はございません。 5.他の会社の株式その他の持分又は新株予約権等の取得の状況 該当事項はございません。 11 6.財産及び損益の状況の推移 (単位 千円) 第 29 期 第 30 期 第 31 期 第 32 期 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 平成 27 年度 売上高 29,789,538 31,212,566 31,045,002 31,725,651 営業利益 1,225,624 1,537,348 1,165,221 972,491 経常利益 1,383,758 1,655,758 1,319,247 1,076,885 当期純利益 852,787 960,294 745,645 733,150 1 株当たり (円) (円) (円) (円) 当期純利益 118,212 133,115 104,549 105,141 総資産 17,977,227 18,795,970 18,928,612 19,068,218 純資産 10,260,608 10,778,861 10,406,058 10,811,627 (円) (円) (円) (円) 1,422,318 1,494,158 1,492,335 1,550,498 1 株当たり 純資産 7.主な事業内容 (1) 委託による放送番組の制作に係る技術業務 (2) 放送番組等の制作技術に係る研究開発の業務 (3) 制作技術に係る映像・音声・照明機器、装置および中継車、スタジオ、 編集室、映写室の賃貸の業務 (4) 制作技術に係る映像・音声・照明機器、資材、装置の企画、設計、製 作・施工および販売の業務 (5) 日本放送協会の業務に係わるコンピューターシステムに関する情報の 処理業務 (6) コンピューターおよび情報通信に係わるシステムおよび関連機器の開 発、整備・施工、販売、および運用、保守の業務 (7) コンピューターおよび情報通信に係わるソフト、プログラムの開発、整 備、販売、サービスの提供、および運用、保守の業務 (8) コンピューターおよび情報通信に係わる各種データ処理業務や調査・ 研究、情報の提供、コンサルタント、教育訓練の業務 (9) 前各号に関連する一切の業務 12 8.主要な事業所 事業所 本社 東京都渋谷区神山町 4-14 第三共同ビル 6F他 MTテクノビル富ヶ谷 東京都渋谷区富ヶ谷 1-12-15 関西支社 大阪府大阪市中央区常盤町 1-3-8 中央大通FNビル 16F 中部支社 愛知県名古屋市東区東桜 1-13-3 NHK名古屋放送センタービル 10F 中国支社 広島県広島市中区大手町 2-11-10 NHK広島放送センタービル 11F 九州支社 福岡県福岡市中央区六本松 1-1-10 NHK福岡放送センタービル 5F 東北支社 宮城県仙台市青葉区錦町 1-10-11 井門勾当台上杉通りビル 2F 北海道支社 北海道札幌市中央区大通西 1-1 NHK札幌放送局内 四国支社 愛媛県松山市堀之内 5 NHK松山放送局内 9.従業員の状況 従業員数 前年比 平均年齢 男 子 1,054 人 51 人増 46.5 才 女 子 118 人 11 人増 35.7 才 合 計 1,172 人 62 人増 45.4 才 10.重要な親会社の状況 当社の親会社は日本放送協会であり、当社株式 5,089 株を保有しており、これは 当社の議決権比率の 72.98%に当ります。 13 11.主要な借入先 借 入 先 短期借入金 (株)みずほ銀行 Ⅱ. 100,000 千円 会社の株式に関する事項 1.発行可能株式の総数 8,000 株 2.発行済株式の総数 6,973 株 3.当期末株主数 12 名 4.株主の状況 株 主 名 日本放送協会 当社への出資状況 当社の株主への出資状況 所有株式数 議決権比率 所有株式数 5,089 株 72 . 98 % ─ 株 出資比率 ─ (株)NHKエンタープライズ 473 6 . 78 178 3 . 02 (株)NHKアイテック 356 5 . 11 24,000 4 . 00 (株)NHKグローバルメディアサービス 294 4 . 22 294 4 . 92 (株)NHKエデュケーショナル 220 3 . 16 90 4 .50 (株)NHKアート 162 2 . 32 10,000 2 . 58 (株)みずほ銀行 116 1 . 66 ─ ─ (株)三井住友銀行 90 1 . 29 ─ ─ (株)NHK出版 62 0 . 89 ─ ─ (株)NHK文化センター 62 0 . 89 20,000 (株)三菱東京UFJ銀行 34 0 . 49 ─ NHK営業サービス(株) 15 0 . 22 Ⅲ. 5 .00 ─ 90 3 . 13 会社役員に関する事項 1.会社における地位 会社における地位または主な担当 代表取締役社長 氏 名 児野 昭彦 専務取締役 担当 情報システム本部(本部長)(企画・推進部) 畑中 富雄 常務取締役 担当 放送技術本部(本部長)(企画・推進部) マーケティング・渉外担当 松本 睦雄 取締役 担当 地域センター(センター長) 近藤 清史 取締役 担当 経営企画室(室長) (計画部、IT推進部) 畑中 良夫 14 % 取締役 担当 アドバンストメディアセンター(センター長) 南﨑 英和 取締役 担当 アドバンストメディアセンター (ニュースシステム部) 清宮 博彦 取締役 担当 建設業経営業務管理責任者 吉中 昭夫 取締役(非常勤) NHK情報システム局長 長村 中 取締役(非常勤) NHK放送技術局長 長谷波一史 取締役(非常勤) NHK営業局長 松原 洋一 取締役(非常勤) (株)NHKエンタープライズ 佐藤 幹夫 監査役(非常勤) NHK関連事業局 門間 幸喜 (注)常務取締役 髙柳照夫、取締役 岡田定睛、取締役(非常勤)小林和正、 取締役 専任部長 取締役(非常勤)宮本孝、取締役(非常勤)茂手木秀樹、 監査役(非常勤)長谷波一史は、平成 27 年 6 月 19 日をもって退任いたしました。 2.取締役及び監査役の兼務の状況の明細 区 分 氏 名 常務取締役 松本 睦雄 (株)千代田ビデオ 非常勤取締役 取 締 役 畑中 良夫 (株)ネオテック 非常勤監査役 常務取締役 松本 睦雄 NHK Cosmomedia America,Inc. 非常勤取締役 取 近藤 清史 (株)エクサート松崎 非常勤取締役 締 役 兼務する他の会社名 兼務の内容 3.取締役及び監査役に支払った報酬等の額 当事業年度における当社の取締役及び監査役に対する報酬等の内容は以下の通 りです。 対象者 支給人員 報酬の額 取締役 10 名 11,318 万円 監査役 合 計 報酬無し 10 名 (注1)上記人員数には、当期中に退任した常勤取締役 2 名が含まれています。 (注2)事業年度の現在の人員数は、取締役 12 名、監査役 1 名でありますが、うち 取締役 4 名、監査役1名は無報酬であり、上記人員数には含まれて おりま せん。 (注3)平成 16 年 6 月 15 日の株主総会決議により取締役の報酬限度は、年額 2 億円 と定められております。 15 4.業務の適正を確保するための体制 平成 25 年 9 月 18 日第 188 回取締役会において、会社法 362 条 4 項 6 号に定める 株式会社の業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)に関する項目 について決議し、それに基づき以下の通り執行しております。 また、平成 26 年 12 月 17 日第 194 回取締役会において、各規程の決裁権限を明 確にするために規程管理規程の制定を決議しております。 【株式会社の業務の適正を確保するための体制】 につき、決議いたしました。 1.取締役、執行役員および使用人の職務の執行が法令および定款に適合すること を確保するための体制 (1)当社は役員・社員を含めた行動規範として、「MT倫理・行動ガイドライ ン」を定め、その遵守を図る。 また、コンプライアンスを確保するため、代表取締役社長を推進委員長とす る「リスクマネジメント委員会」を設置し、全社的に法令順守が確保される体 制をとる。 社員のコンプライアンスの徹底を図るため、「通報窓口」などを社内に効果 的に周知し、適宜、法令等の遵守状況をモニタリングする。 (2)取締役会については、「株式会社NHKメディアテクノロジー取締役会規 程」が定められ、その適切な運営を確保し、定例で開催するほか、必要に応じ て随時開催し、取締役間の意思疎通を図るとともに相互に業務執行を監督し、 法令・定款違反行為を未然に防止する。 万一、取締役が他の取締役の法令・定款違反行為を発見した場合は、直ちに 監査役および取締役会に報告するなどして、その徹底を図る。 (3)同様に、社長、常勤役員で構成する役員会については「役員会運営規程」、 執行役員については「執行役員制度規程」を遵守し、職務執行の法令・定款へ の適合を確保する。 また、監査役は、取締役の職務執行、経営機能に対する監督強化を図る。 16 (4)コンプライアンス関連の研修、社内イントラネット等による啓発などによる 意識づけに努め、全社的な法令遵守の一層の推進を図るとともに、取締役の職 務執行の透明性を確保する。 2.取締役および執行役員の職務の執行に係わる情報の保存および管理に関する体 制 (1)「文書管理規程」の整備によって、資料等の扱いを明文化し、取締役および 執行役員の職務の執行に係わる情報の保存および管理に適正を期す。 (2)「株主総会議事録」「取締役会議事録」「役員会議事録」については、「文 書管理規程」に基づいて適切かつ確実に保存・保管し、「役員会議事録」につ いては、取締役および監査役が常に閲覧可能な状態に置く。 3.損失の危険の管理に関する規定その他の体制 (1)当社は、当社の業務に係わるリスクとして、投資的リスク、下請法等法令違 反につながるリスク、企業機密への不正アクセス・漏洩等情報セキュリティ的 リスクなどを認識し、信用調査、対応マニュアル等を整備する。また、公共放 送グループの一員として、公金の扱いについては特に厳正を期し、万が一にも 社会的な指弾をうけることのないように注意を払う。 (2)リスク管理統括責任者を代表取締役社長とし、リスク管理体制の整備・運用 にあたる。 (3)危機管理と予防的管理についての体制を充実させ、研修等を含め、損失の危 険の管理について全社的な認識向上を図る。 4.取締役および執行役員の職務の執行が効率的に行われることを確保するための 体制 (1)職務分掌に関する諸規定を定め、取締役、執行役員および各部門の所管と権 限を明確にし、経営に関する意思決定及び職務執行を効率的かつ適正に行なう。 (2)重要な意思決定については、役員会などにより多面的に検討し、慎重に決定 する仕組みを設ける。 (3)中期経営計画およびそれを受けた年度事業計画を策定し、事業ごとの目標値 を設定し、業績を把握し、適宜見直しを行う。 17 (4)さらに効率的に職務を執行するために、内部統制との関係を考慮しつつ、案 件に応じた職務権限の委譲を検討する。 5.会社ならびにその親会社および子会社から成る企業集団における業務の適正を 確保するための体制 (1)当社の親会社にあたるNHKの子会社等の事業が適切に行なわれることを目 的として、「関連団体運営基準」により、事業運営およびこれに対するNHK の指導・監督等に関する基本的事項が定められており、当社も該当している。 (2)NHKは、「関連団体運営基準」に関する事項およびNHKが指定する事項 について、監査法人等に委嘱して関連団体の業務監査を実施し、監査法人等の 報告に基づき、関連団体に対し必要な指導監督を行なっており、当社も該当し ている。 (3)NHKの監査委員会が当社に対し営業の報告を求め、または業務および財産 の状況を調査する場合には、当社は、適切な対応を行なう。 (4)NHKは、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、不偏不党の立場を守 って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで良質の放送を行なうこと を目的とした法人である。 また、放送法により、NHKに対する公共的規制は国民の代表である国会を 中心として行なわれ、毎年度の予算・事業計画は国会での承認を要している。 NHKには、経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権 限と責任を有する経営委員会が設置され、会長等による業務の執行と監督の機 能とが明確に分離され、適正なガバナンスが確保されており、業務の実施にあ たっては、「NHK倫理・行動憲章」の策定、「NHK“約束”評価委員会」 の設置、「通報・相談窓口」の整備などにより、適正が確保されていると理解 している。 6.監査役がその補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に 関する体制と当該使用人の取締役からの独立性に関する事項 (1)監査役からの求めがあった場合には、監査役の職務を補助すべき使用人とし て、当社社員から監査役補助者を任命する。 18 監査役補助者の任命、解任、人事異動、賃金等については、監査役の同意を 得た上で、取締役会が決定する。 (2)監査役の職務を補助する部を経営企画室とする。 (3)監査役補助者(経営企画室員)は、当社業務を兼務することができるが、監 査役より監査業務に必要な命令を受けた場合は、その命令に関して、取締役、 経営企画室長の指揮命令を受けない。 7.取締役、執行役員および使用人が監査役に報告するための体制その他の監査役 への報告に関する体制および監査役の監査が実効的に行なわれることを確保す るための体制 (1)役員または社員は、法定の事項に加え、当社および当社グループに重大な影 響を及ぼす事項の内容を、監査役にその都度報告する。 (2)監査役は、いつでも必要に応じて、役員および社員に対して報告を求めるこ とができる。 19