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B2.四端子回路の実験

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B2.四端子回路の実験
B­2.四端子回路の実験
1. 目的
四端子定数を実際の回路に対して求めることにより四端子回路の理解を深める。
2. 実験の概要
回路網を取り扱う場合に,その内部のすべての枝の電圧,電流を知る必要があるとは限
らない。むしろ実際には,「回路のある部分に電圧を加えたとき今着目している部分にど
のような電流が流れるか,どのような電圧があらわれるか?」がわかれば十分目的を達す
る場合が多い。言い換えると,入力および出力の電圧,電流の間の関係がわかればよいと
いうことである。その様な場合には四端子回路として取り扱うのが便利である。
四端子回路では回路の内部の構造は問題にせず外部からみた性質だけを問題にする。回
路の中身は「ブラックボックス」として,図 1 に示した I1,I2,V1,V2 の 4 つの量の間
の関係に注目して取り扱う。
1
2
I2
I1
V2
V1
1’
2’
図1
四端子回路
四端子回路として取り扱うには,外部回路と接続する場合に 4 つの端子がバラバラで
はなく 1 と 1’,2 と 2’ とがそれぞれ対になるように接続しなければならない。その意
味で「二端子対(2 port)」と呼ぶ方が内容をよく表わしている。 1 と 1’ の両端子が対
になっているとは,端子 1 から流入する電流と端子 1’ から流出する電流が常に等しいこ
とである。電流の向きを±の符号で表わせば,「端子 1 と端子 1’ とから流入する電流の
代数和が常に 0」と表現される。端子 2 − 2’ 間についても同様である。
この条件は,むしろ我々が電気を使う場合に成立している方が普通である。例えば,
100V のコンセントにつながった電源コードを流れている電流は同じ大きさで逆向きであ
る。(でなければ漏電している?) また情報を伝える電話線でも同じことがいえる。
四端子回路の表現法にはインピーダンス行列,アドミタンス行列,ハイブリッド行列,
縦続行列(F 行列)等による方法があり,それぞれに特徴がある。
3.予備レポート
(1)四端子定数についてまとめよ。
(2)実験装置の配置図は,図 2 のようになっている。図 3 に示した回路を作成するた
めの実態配線図を描いてくる。(分からない場合には,図 2 を 4 つ写したものを用
意する。実験当日,その場で配線図を描く。)
(3)後述の表 1 ∼表 2 に対応する表をノートに書いてくる。
−81−
※上記の予備レポート(1)および(2)を本実験レポートの理論としてもよい。
R1
可変 抵抗を接続
S1
R3
S2
R4
R2
R5
S3
電流計を接続
A
図2
実験装置
R2
R1
R5
R5
R4
回路 2
回路 1
R5
R1
R2
R1
R4
R2
回路 4
回路 3
図 3
測定する回路
4. 実 験
(4 − 1)実験原理と方法
①実験 1.四端子定数の測定
【測定原理】
図 1 の各回路の四端子定数を A,B,C,D として,電圧 V1,V2,電流 I1,I2 とす
る。四端子定数の定義より,
V1=A・V2 + B・I2
,
I1=C・V2 + D・I2 −82−
(1)
なる関係が成立する。ここで,端子 2 − 2’ 間が開放であると I2
の式は
V1 = A・V2
I1 = C・V2 ,
=
0 であるから,上
(2)
[S] (3)
となる。従って,簡単に
A = V1 / V2
C = I1 / V2
,
として,A および C を求めることができる。
同様に,端子 2 − 2’ 間を短絡すると V2 = 0 となり,
B = V1 / I2
[Ω]
,
D = I1 / I2 (4)
として,B および D を求めることができる。
【測定の手順】
図 2 に示した 4 種類の回路の四端子定数を測定により求める。
(1)図 4 の結線で V1,V2,I1 を測定する。
A1
V1
I1
A
D
C
I2=0 のとき
図 5
表 1
I2 = 0
回路
V1
[ V ]
V2
[ V ]
V1
[ V ]
B
I2
A2
D
V2=0 のとき
四端子定数の測定結果
V2 = 0
I1
[mA]
A
V1
V2
C
図 4
A1
B
I1
[mA]
四端子定数
I2
[mA]
A
B[Ω]
C[S]
D
A D ­
BC
(2)図 5 の結線で V1,I1,I2 を測定する。
(3)上記(1),(2)の結果を表 1 のようにまとめ,この表から A,B,C,D を求める。
②実験 2
実験 1 で測定した回路の内,1 つを選び,ダイヤル抵抗器を負荷として四端子定数を
用いて計算で求めた電圧および電流と実測した電圧および電流とを比較検討する。
【測定の手順】
(1)図 6 の結線でダイヤル抵抗器 RD の値 0 ∼ 500 Ωについて,V1,I1,V2,I2 を測定す
る。
(2)表 2 のように実験結果をまとめ,実験 1 で求めた四端子定数と測定した V2,I2 を用
−83−
A1
A
A2
B
V1
V2
C
図6
D
結線図
表 2
実験結果
測定値
RD [Ω]
回路
V2 [V]
RD
計算値
I2 [mA]
V1 [V]
I1 [mA]
について測定。A =
,B =
Ω ,C =
V1’ [V]
I1’ [mA]
S ,D =
いて V1,I1 の計算値 V1’,I1’ を求める。
(3)RD を横軸として V1,I1,V1’,I1’ のグラフを描き,測定値と計算値とを比較する。
5. 検討
(5 − 1)AD − BC ≒ 1 となるかどうか確かめよ。
(5 − 2)実験 1 の回路 4 は,回路 2 と回路 3 とを縦続接続したものである。直接測
定した値と回路 2 および回路 3 の結果を用いて,縦続接続の公式によって計算
したものを比較せよ。
(5 − 3)実用されている回路では端子間を短絡できない(短絡すると過大電流で壊れて
しまう)ため,本実験で用いた方法が適用できない場合がある。その場合に四端
子定数を求めるにはどうすればよいか。
−84−
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