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景観形成支援事業実施要綱運用基準
景観形成支援事業実施要綱運用基準 景観形成支援事業実施要綱運用基準 平成 17 年 4 月 1 日 改正平成 26 年 4 月 1 日 目 次 第1 考え方 (1)改正の趣旨・・・支援事業運営の方針 (2)支援事業の活用について ① 適用対象市町 ② 他事業との関係 第2 修景助成事業 2-1 基本事項 (1)修景助成の意義 (2)助成対象工事の範囲 (3)審査 (4)助成物件の保全 (5)助成金と所得税 (6)認定長期優良住宅優遇措置について 2-2 歴史的景観形成建築物等修景助成 2-3 一般建築物等修景助成 2-4 共同施設・屋外広告物の整備にかかる修景助成 (1)共同施設の整備 (2)屋外広告物の整備 (3)自動販売機の修景 2-5 星空景観形成助成 2-6 景観形成重要建造物等修景助成 第3 修景支援事業 3-1 景観まちづくりアドバイザー派遣 3-2 景観まちづくりコンサルタント派遣 第4 景観形成等活動助成事業 4-1 景観まちづくり活動助成 4-2 景観形成等推進員活動助成 第5 景観支障建築物等除却・改修助成事業 第6 特例処置について 第7 景観形成支援事業評価・助言委員会の運営 第8 8-1 8-2 8-3 8-4 総合的な景観形成推進支援への取組み 地区の特性に応じた効果的な支援事業の活用 地区住民による取組みの促進 他セクターとの連携 地域間での連携・ネットワーク形成 2-1 第1 基本的な考え方 (1)改正の趣旨 平成2年から始まった景観形成支援事業(開始当時は「景観助成金(修景事業)」)が事業開 始 20 周年を迎えたことを契機として、平成 24 年度に景観形成支援事業検証事業を実施し、こ れまでの成果と果たしてきた役割を検証し、今後の景観形成支援の方向性について検討した。 兵庫県は、より適切な景観行政を行うため、 「景観の形成等に関する条例(以下「景観条例」 という。)」を改正し広域景観形成の推進、景観支障建築物等への対応、景観形成重要建造物の 保存活用の支援等を追加した。(平成 25 年 10 月 1 日施行) また、平成 16 年度の景観法施行以降、県下市町の景観行政団体への移行が徐々に進み、独 自条例を定める市町は 14 市町となった。 (平成 25 年 10 月 1 日現在。平成 16 年時点では 11 市 町))兵庫県では、県下各地区の景観形成を推進しつつも、独自条例を定めた市町の主体性と 責務を尊重する姿勢をとることとしており、県の景観行政を取り巻く状況も大きく変化が見ら れてきた。 一方、本事業は景観基金の運用益を財源として実施しているが、恒常的な低金利状況にある 中、これを補うため、平成 19 年度から(一財)民間都市開発推進機構の住民参加のまちづくり ファンド支援事業を活用することで一定の事業資金を確保してきたが、これが平成 24 年度で 終了したため改めて事業量と事業資金のバランスを見直す必要が生じることとなった。 このような状況を踏まえ、景観形成支援事業について、以下のポイントにより事業全体を改 めてとらえ直し、支援メニューを整理するとともに運用等を見直した。 〈検証事業を踏まえた対応〉 ①地区の景観まちづくりに対する支援へのシフト ②地区の景観特性に応じた効果的な修景助成の活用 ③専門家派遣の効果的活用、連携体制の構築 ④住民団体への活動助成の活用促進 ⑤各支援メニューを組み合わせた効果的な支援への対応 ⑥関連事業の活用・連携による景観まちづくり推進 〈条例改正への対応〉 ⑦景観形成地区・幹線道路沿道等での景観支障建築物等への対応 ⑧景観形成重要建造物保存活用促進への対応 〈事業の合理化、独自条例市町への対応〉 ⑨支援適用対象の重点化・合理化 ⑩政令市・中核市および独自条例制定市町への支援範囲の整理 これらを踏まえ、次のとおり改正を行った。 《支援メニュー》 ・景観支障建築物等除却・改修助成事業を追加[⑦] ・景観形成地区での修景助成は、歴史的景観形成建築物等修景助成、一般建築物等修景助成に 集約[⑨] ・景観まちづくりへの支援重点化を踏まえ、修景支援(専門家派遣)、活動助成(住民団体) の名称を変更(「景観まちづくりアドバイザー派遣」「景観まちづくりコンサルタント派遣」 「景観まちづくり活動助成」)[①~⑥] ・景観形成重要建造物およびひょうごの近代住宅100選選定物件を含め、景観形成推進に必要 なアドバイスに柔軟な対応ができるよう運用を見直し[⑧・⑨] 《廃止する支援メニュー》 ・修景助成事業[放置家屋等除却助成]の廃止[⑦・⑧] ・近代住宅定期点検活動助成の廃止[⑨] 2-2 《運用》 ・政令市・中核市への支援内容の整理[⑨・⑩] ・独自条例制定市町への支援内容の整理(支援事業活用協議基準)[⑨・⑩] ・市町・県民局(土木事務所)の役割の再整理[⑨] ・景観まちづくり促進のための支援事業活用指針の設定[①~⑥・⑧] (参考) 景観形成支援事業の改正の沿革 ・平成 2 年 10 月 「景観助成金(修景助成事業) 」開始 ・平成 13 年 4 月 「景観形成支援事業」に改称、事業内容全面改正。助成額の軽重 2 極化、 専門家派遣事業(景観アドバイザー派遣、景観計画策定支援(コンサル派遣)) を新設 ・平成 16 年 10 月 「星空景観形成助成」新設 ・平成 17 年 4 月 「景観重要建造物修景助成」 「一般建築物修景助成」を「歴史的景観形成建 築物修景助成」 「一般建築物修景助成」 「景観形成重要建造物等修景助成」に 再編、 「自動販売機修景助成」 「放置家屋等除却助成」を追加、景観形成等活 動助成(景観形成等協議会活動助成、景観形成等推進員活動助成)追加 ・平成 21 年 4 月 緑豊かな地域環境形成に関する条例(以下「緑条例」という。 )に基づく 「計画整備地区」への支援に対応。併せて「景観形成等協議会活動助成」を 「景観形成等住民活動助成」とし、地区住民による景観形成等推進活動全般 を対象に改正 ・平成 22 年 4 月 「近代住宅定期点検活動助成」追加 ・平成 23 年 4 月 景観形成支援事業評価・助言委員会による歴史的景観形成建築物修景助成 の重要案件について審査を行うこととした (2)支援事業の活用について ①適用対象市町 県の景観条例における県の責務を補完するものとして創設された制度であることを踏まえ、 県条例によって進められる景観形成推進のための支援を基本的な支援の対象とするものであ る。 一方、県条例制定時にすでに独自の景観条例を制定していた市、その後市条例に移行した市 については、それぞれ景観行政を担う市の責務を果たすべきとのスタンスで支援を行うことと する。 ただし、各市町それぞれ異なる経緯、状況があるなか一律に支援の範囲を定めるのではなく、 各市町との協議を踏まえ対応することとする。 《政令指定都市》(神戸市) 政令指定都市としての行財政権限等に鑑み、県の景観条例に基づくもののみ支援する。 ・修景助成 :県指定の景観形成重要建造物のみ要綱どおり対応する 市条例に関する部分には対応しない ・修景支援(専門家派遣):「県指定重要建造物」「近代住宅100」に関する派遣は対応する ・活動助成 :対応しない ・景観支障建築物等除却・改修助成:市指定・県指定区域に関わらず助成対象としない 《中核市》(姫路市、尼崎市、西宮市) 中核市として行財政上の権限と景観行政に対する責務に鑑み、景観形成推進の基本的な支援 となる修景助成については、県の景観条例に基づくもののみ支援する。 ・修景助成 :市条例による指定地区・単体指定は助成対象としない 県指定の景観形成重要建造物は要綱どおり対応する ・修景支援(専門家派遣):「県指定重要建造物」「近代住宅 100」に関する派遣に対応する 景観まちづくり活動に関する派遣は、原則“初年度”のみ対応する ・活動助成 :景観まちづくり活動に関する助成は、原則“初年度”のみ対応する 2-3 (推進員助成活動も同様) ・景観支障建築物等除却・改修助成:市指定・県指定区域にかかわらず助成対象としない 《その他独自条例制定市町》 市町による支援の不足部分を補完するかたちで支援していく。ただし市町には独自の支援制 度の制定または充実に努めるよう要請する。 具体的な支援事業の適用内容については、事前に協議を行うこととする。協議にあたり別表 1 を基準に調整する。 ②他事業との関係 《国費事業》 以下に掲げる国費事業により市町が実施する外観等の修景に対する補助(助成)事業は、所 管省庁の法律等に基づく上位の事業として、その適切な実施を妨げない範囲において同一物件 の同一工事を助成対象とすることは可能とする。 ただし、過剰助成を防ぐため、センターが助成対象とする経費に対する助成率の合算が 1/2 を超えない額までの助成とする。 ・街なみ環境整備事業(街なみ整備助成事業(修景施設整備)) ・その他建物等の外観の修景に対する補助(助成)事業 《県費事業》 原則として同一の助成対象には同時には助成しない。(同一物件の別対象(耐震工事と外観 修景工事など)は可能な場合もある。) 実施にあたっては所管部署に確認しながら事前に協議調整を行い判断する。 《市町による独自補助(助成)事業》 県の景観条例に基づく景観形成地区等での修景助成については、センターの助成は、県の責 務の補完として位置づけられるので、さらにこれを補うための市町による独自の補助(助成) については、その補助率、金額等は、市町の判断に委ね、特段の基準を定めない。 ただし、適切な実施を確認するため補助額等の確認は行うことがある。 《登録文化財》 文化財保護法第 57 条による国登録文化財(建造物)については、登録の趣旨に照らし県条 例による景観形成重要建造物と同等とみなして景観形成重要建造物等助成の対象としている。 助成は、市町が同様の趣旨を認めて助成する場合に限ることとし、助成内容は実施要綱等に沿 った内容に加え、市町助成額と同額以内かつ合算助成額が助成対象額の1/2を越えない額と する。 第2 修景助成事業(実施要綱第3条および別表第1関係) 2-1 基本事項 (1)修景助成の意義 景観形成地区等において景観形成の推進を図るため、地区に存する建築物等の外観を地区に ふさわしいものとすること(以下「修景」という)が必要であり、建物所有者による取組みが 不可欠となる。 修景助成は、修景にかかる費用(工事費)の一部を助成することで、建物所有者に景観形成へ の理解と適切な修景を行う動機となるものである。 また、これにより適切に修景された建物は、当該地区での修景のモデルとなって地区全体に 波及効果をもたらす役割もあり、単に町並みに調和していればよいということではないと考え られる。 実施要綱別表1「歴史的景観形成建築物等修景助成」及び「一般建築物等修景助成」におい て「特に景観形成に資すると認められる」とは、上記のことを踏まえていると認められる修景 内容のことである。 (2)助成対象工事の範囲 助成対象となる工事の範囲は、各ビューポイントから観察できる部分(外観)を対象とする 2-4 ものであり、その内容は別表2によるものとし、これによらない場合は事前にセンターと十分 協議するものとする。 本事業の助成対象工事は最低限度の対応として義務づけされている景観形成基準を守るこ とは当然のこと、地域の特性を踏まえた伝統的工法、材料を採用するなど、地域の風土と調和 した景観形成に特別の配慮をし、通常以上の経費負担をしたものに対して助成するものである。 従って、景観形成基準に記述されていても、色彩や建物配置など特別な経費負担を要せずに景 観基準に適合する修景が可能な場合には助成はしないものとする。 また、景観形成基準では「努める」または「原則とする」などと定めて、例外を認めている ような場合には、原則に従った望ましい工法によるもののみを助成し、例外運用となったもの は助成対象工事から除外する。(ただし、例外的に歴史的景観形成地区における一般工法での 取り組みでは原則で示された工法ではないが、景観形成への努力が評価できるものには工事費 の2/3を対象工事費に加算できる。) 助成のあり方としては、景観形成基準は地区ごとに定められているように、それぞれの地 区に応じた助成基準が運用されて当然である。基準には定められていないような意匠につい ても当該地域の実状を勘案し、市町が明文化された運用方針をもって、地区内を統一的に運 用することが望ましい。 (3)審査(交付決定の手順) 申請から交付決定までの手順は以下により行う。 ① 市町(景観形成担当) 《申請書等受付、決定等通知》 ・景観条例および景観形成地区等指定の趣旨に沿った修景の相談および指導 ・修景助成に関する相談・指導(必要に応じセンターと協議) ・申請書作成補助、申請書受付・申請内容確認、送付(意見付) ② 県民局(センター)(土木事務所まちづくり建築課)《申請書等経由》 ・書類確認 ・法令等適正確認、送付(意見付) ③ センター(都市整備部まちづくり計画課 景観形成支援事業担当) 《審査、交付決定、通知》 ・市町協議対応 ・申請書等受理、審査(修景内容および市町・県民局の意見を参考に適否を審査) ・交付決定、通知(市町経由・県民局(センター)写し送付) ④ 景観形成支援事業 評価・助言委員会による審査 ・歴史的景観形成建築物等修景助成 重要助成・中間助成に該当する申請案件について、同委員 会において、助成ランクの判定と助成の適否を審査する。 (4)助成物件等の保全 本支援事業により助成を受けた助成対象者は、当該工事から概ね5年間は助成対象建築物等 を保全しなければならない。また市町はその旨を助成対象者に周知するものとする。 これに反し、適切な保全が行われなかった場合は、助成の取消し(助成金の返還)などの対 応を行う場合がある。 (5)助成金と税金 以下について、助成を受けた本人の責任において対応することとする。 本事業による助成金は、財団法人からの助成であり、地方公共団体からの補助金に該当しな いため、総収入金額不算入とならない。 そのため、個人の場合は、一時所得(生活部分の物件への助成の場合)、個人事業者の場合 は、事業所得(事業部分の物件への助成の場合)となる場合がある。 また、団体(法人等)の場合は、収益性があると認められると課税となる場合がある。 (6)認定長期優良住宅優遇措置について 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づく認定長期優良住宅について、建築物の 外観の修景に係る工事費について助成限度額を引き上げ、普及促進に寄与する。 2-2 歴史的景観形成建築物等修景助成 2-5 (1)修景助成の意義 歴史的景観形成地区の景観形成は、その地区の伝統的な建築物等の様式、群としての有様等 の保存と修復・復元に努めるほか、景観形成のコアとなる街区、通り、建物等の周辺ゾーンに おける景観的な調和を図ることが目標となる。 修景助成は、地区指定の主因である伝統的な建築物等の様式、群としての有様等の保存が図 られることに重点を置くとともに、周辺ゾーンにおいては地区全体の調和を図るために必要な 修景を誘導するものである。 (2)歴史的景観形成建築物等修景助成の運用 ①助成限度額区分 景観形成地区の中でも伝統的建築物が多く歴史を感じさせる地区にふさわしい修景助成を 行うために、助成率を 1/3、限度額を 330 万円としているが、景観形成基準に定める内容に 対し誘導すべき工法と実際に修景に用いた工法に応じた助成の限度額(助成レベル)を以下 のとおり段階的に設け、修景内容と助成額との整合を図るものとする。 【重要助成】 景観形成基準に定めるゾーンのうちで特に歴史的景観の保全向上を図るべきゾーン(下表 重要ゾーン)においては、景観形成基準を厳しく遵守する物件に対して実施要綱別表 1 の限 度額(下表A)を適用する。 【中間助成】 上記のゾーン(重要ゾーン)及びその周辺地域(下表 周辺ゾーン)において、地区での守 るべき伝統的景観と調和した建築物として主要部分で景観形成基準を厳しく運用する物件に 対して、限度額を 150 万円(下表B)とする。 【一般助成】 重要ゾーン及び周辺ゾーンにおいて景観形成基準に則し一般工法により歴史的景観への調 和が図られる場合、また前記ゾーンの周辺部等一般ゾーンで緩やかな基準で景観形成を図ろ うとする場合は、一般助成(下表C)を適用する。 ゾーンの区分については各景観形成地区の状況に応じて市町、県民局(センター)が設定 し、助成レベルについては、申請内容ごとに修景及び指導の内容に応じて申請者と市町・県民 局(センター)が協議して決めること。 助成事業適用表(歴史的景観形成地区のゾーンと助成レベル) 修景に用いる主な工法\ゾーン 重要ゾーン 周辺ゾーン 伝統工法 (A)重要助成 ◎ 主要部対応 (B)中間助成 ○ ◎ 一般工法 (C)一般助成 △ ※指導目標の順位 1:◎、2:○、3:△ △ 一般ゾーン ◎ 助成レベル別上限額 助成対象\助成レベル (A)重要助成 (B)中間助成 (C)一般助成 建物 270 万円※ 120 万円※ 50 万円※ 門塀 60 万円 30 万円 25 万円 その他 60 万円 30 万円 25 万円 設計費 60 万円 30 万円 - 合計の上限 330 万円※ 150 万円※ 75 万円※ ※認定長期優良住宅の場合は、助成対象「建物」の助成レベル別上限額はそれぞ れ(A)324 万円、(B)144 万円、(C)60 万円とする。 また、それにともない合計の上限はそれぞれ(A)384 万円、 (B)174 万円、 (C) 85 万円とする。 ②設計監理費の助成 ・設計管理費の助成は、対象工事の請負契約とは別途に設計等の委託契約されたものに限る。 ・設計管理費の助成は、修景工事に係る設計等のみを対象とする。助成金算出に際しては全体 工事費と修景に係る工事費との比率により、全体の設計等委託費を案分することにより算出 するものとする 2-6 2-3 一般建築物等修景助成 (1)修景助成の取り扱い ①住宅街等景観形成地区、まちなか景観形成地区 これらの景観形成地区の景観形成は、歴史的景観形成地区のように特定の伝統的様式を規範 とした修景を図ろうというものではなく、色彩、規模、屋根形状等についてルールを定め統一 感のある良好な町並みを形成することを目的としている。 通常は、それらは特に素材や工法を制約するものではなく、景観形成の趣旨やルールの理解 が得られれば、過分な支出はなくても修景が可能であると考えられる。 これら地区での修景助成は、地区の景観形成のために、特に素材や工法、意匠や規模を定め、 設置や変更を求める場合において活用できるものとする。 ②景観形成等住民協定地区、計画整備地区(緑条例) 一般的には上記①と同様であるが、景観形成の目的が、歴史的景観形成地区と同様に伝統的 な様式等を規範とするものであり、特段の素材や工法、意匠等が求められるものであれば、一 般助成の助成率、限度額の範囲内で歴史的景観形成建築物修景助成に準じた取り扱いとするこ とができる。 2-4 共同施設・屋外広告物の整備にかかる修景助成 共同施設整備および屋外広告物整備にかかる修景助成は、歴史的景観形成建築物等修景助成、 一般建築物等修景助成に含め、それぞれの地区の景観形成の特性に応じて助成を行う。 (1)共同施設の整備 ①共同施設の整備 景観形成地区等において、地域団体が景観形成基準に沿って共同施設を整備(新設、改良) する場合に地区の景観形成に資する行為として助成する。 地域団体とは、継続的に活動している地区内の自治組織(自治会・町内会など)や商店会な ど地区内で生活(居住・営業等)する者によって構成される団体をいう。(継続性があればま ちづくり協議会等も可能。)また、団体の属する区域は景観形成地区等の区域の一部であって もよい。 助成対象は、地域団体が策定した整備計画にもとづいて計画的に整備される共同施設とし、 助成の交付申請にあたっては、当該整備計画、景観形成基準との整合性、整備に係る資金計 画、整備後の管理計画、設置場所の所有関係などを明らかにするものとする。 整備計画に沿って複数種類の共同施設の整備を行う場合でも、1 つの助成として扱う。 (例 えば「通り沿いに設置する一連の外灯群の整備」や「案内板とストリートファニチャを同年 度に整備」などでも 1 件の助成とする。) ②屋外広告物の整備 景観形成地区等における屋外広告物は、屋外広告物条例によって規制されるものであるが、 規制のための基準ではなく、モデルとなるべき仕様で、県・市町の基準と指導に即して、積 極的に景観向上に資するものと認められるものでなければならない。このため屋外広告物の 修景に対して助成を行う。 広告景観モデル地区については、その指定から5年間は限度額を25万円に引き上げて広 告物景観の早期改善を支援する。 沿道景観形成地区については、既存の規制対象とならない広告物を早期に優良な広告物に 改善させるためにかさ上げした助成をおこなう。また、集合広告については個々の広告主に 対する助成と考えて限度額を加算する。 ③自動販売機の修景 自動販売機の乱立は景観を阻害する大きな原因であり、新設する場合には、届け出の際に適 切な指導がなされるが、既設のものへの対策が必要である。 町並みの壁面位置をそろえるために自動販売機をセットバックさせたり、けばけばしい色彩 の表面を遮蔽したりすることにより景観阻害要因を軽減する工事に新設既設を問わず助成す ることができる。 また、既設の自動販売機の色彩を落ち着いた色に塗り替える場合にも助成することができる。 2-7 2-5 星空景観形成助成 (1)修景助成の意義 屋外照明において、上方漏れ光の無い(星空景観形成基準に則した)器具の設置、付け替え を促すこと、屋内照明の上方漏れ光防止対策(同基準に則するもの)を促すことが目的である。 (2)助成の適否について 申請内容については、佐用町および光都土木事務所において適切に指導し、両者が助成が適 切と認めるものについて申請書を提出させる。センターは両者の判断をもって審査とする。 (3)助成対象工事範囲について ①光害対応照明器具の助成は1回限りとする。 (同一箇所の更新は助成対象としない。工事が数年時に渡る場合は、限度額の範囲内で助成 をする。) ②照明器具の助成は下記費用のみとする。 ・新設の光害対応型照明器具は照明器具のみとする。(取付け費用、支柱等は助成対象外とす る。) ・既設照明器具の取替えは、光害対応照明器具、及びその取付け費用とする。(器具の撤去費 等は対象外とする。) ・特定施設及びこれに準ずる施設の建築物又は照明器具による光害対策は、光害対策として認 められる屋外部分の工事に要した費用のみとする。(屋内での対策工事(カーテン、ブライン ド等)は含まない。) 2-6 景観形成重要建造物等修景助成 (1)修景助成の意義 景観形成地区内の建築物への修景助成の意義がその伝統的な外観、町並みの中での連続性・ 調和が目的で建物そのものの保存は主たる目的ではないことに対し、景観形成重要建造物に対 する修景助成は、そのものの保存が重要な目的となる。 このため、指定の趣旨に沿って外観を保全するために必要な場合は、物件の構造を維持する ために必要な補修まで助成対象に含めるものとする。 また、建物と併せて維持保全の対象とされた外構・庭・植栽等についても助成対象とする。 (2)維持保全計画 助成金交付申請に対し、適切な実施内容であることを確認するため、当該物件の維持保全の ために必要な事項、具体的な実施内容についてあらかじめ定めておかなければならない。 現在は指定に際して行う調査において定めているが、初期の指定物件については、策定作業 が必要なものもあるので確認を要する。 (3)認定景観形成重要建造物に関する支援 認定景観形成重要建造物は、景観形成重要建造物指定物件の維持保全のため、例えば民家を レストランや宿泊施設に改装するなど、用途を変更して活用を図ろうとする際、建築基準法へ の適合が困難な場合は、「保存活用計画」を作成し、知事に認定されることで建築基準法の適 用除外ができるようにする制度である。(景観条例・平成 25 年 10 月 1 日より施行) 本制度促進のため、認定を受けるための「保存活用計画」の策定について、通常の景観形成 重要建造物修景助成を拡充し支援する。 基本設計費、実施設計費及び工事監理(助成率 1/3・限度額 600 千円)について、以下のと おり保存計画策定及び認定に必要な調査・計画・設計にかかる経費を助成対象に含み、助成率を 1/2、限度額を 1,000 千円に引上げる。 保存計画策定・認定業務と通常の基本設計等との業務の契約の区分、実際の作業の区分には 様々な場合が考えられるので、一連の費用を対象額とする。 ただし、通常の設計業務等については、修景工事分のみ対象とし(例えば、全体工事に対す る修景助成対象工事費の割合で按分)、保存計画策定・認定に関する部分についてはすべてを対 象とする。 2-8 第3 修景支援事業(実施要綱第4条および別表第2関係) 3-1 景観まちづくりアドバイザー派遣 (1)建築物等の修景に関する相談(個別派遣) ①趣旨 景観形成地区等での建築物等の新築や修繕、模様替えに際して、その地区の景観形成にふさ わしい外観とするためのポイント等について、相談に応じる。 ②運用 ・各地区での迅速な相談の要請に対応するため、相談要請があった市町担当部署で派遣アドバ イザーの調整をすることとし、センターへの申請は並行して行うものとする。 (2)ひょうごの近代住宅 100 選物件の維持・保全に関する相談 ①趣旨 平成 20 年度に兵庫県が選定した 100 物件のうち民間所有の物件について、(公社)兵庫県建 築士会により定期点検が行われてきたが、平成 25 年度末で終了した。これにかわる維持・保 全の支援として所有者等の要請により、景観まちづくりアドバイザー派遣による相談を受け られることとする。 ②運用 ・対象物件所有者等の要請を本施策所管の景観形成室が受け、まちづくり部長がセンターに 派遣申請を行う。 ・派遣するアドバイザーは、景観形成室の推薦による。推薦にあたって景観形成室は、対象 物件所有者の希望を確認する。 (3)景観形成重要建造物指定候補物件の指定に必要な調査 ①趣旨 指定候補物件について、指定後の維持・保全に必要な方策等を兼ねるものとして、景観審議 会(景観形成部会)における指定の審議に必要な調査を景観まちづくりアドバイザーの派遣 により行う。 ②運用 ・指定候補として調査を行うことについて所有者の同意を得て、県民局(センター)長ある いはまちづくり部長が申請する。 ・派遣回数は、対象物件の規模、既存資料の状況等に応じて、調査に必要な回数を設定する。 ・派遣するアドバイザーは、景観形成室の推薦による。 (4)勉強会・研修会の講師、景観形成推進活動指導・助言 ①趣旨 景観形成地区等における景観まちづくり活動支援としての専門家派遣である。 指導・助言あるいはテーマに応じた講義・講演を行う。(調査・計画策定用務を行わない。) 地区の活動体制が整う前の段階および地区の住民団体として活動を進める段階での景観ま ちづくりへの取組みについてアドバイスを行う。 ②運用 ・地区の景観形成推進につながる地区住民の取組みであれば柔軟に対応する。 ・派遣する専門家は、景観関係の専門家のほかに、まちづくり専門家バンクに登録している 専門家を地区住民、市町・県の意見を聞いてセンターが選定する。 ・特に初動期においては、行政側からの働きかけとして活用することも可能とする。 ・運用にあたっては事前にセンターと協議することとする。 ③派遣対象となる住民団体等について ・対象となる地区の住民数名以上のグループから対象とするが、私的利益の面が強い取組み は不可とする。また対象となる地区は取組みの目的に則して適切な区域設定がなされている こと。 (5)その他 申請等事務の詳細、専門家選定の詳細、派遣用務の詳細な内容については、別途定める。 2-9 3-2 景観まちづくりコンサルタント派遣 (1)趣旨と活用のイメージ 地区の景観形成推進活動を行う住民団体が次に掲げる景観形成推進に必要な計画を策定す るにあたり、調査および計画策定業務を行うコンサルタントを派遣するものである。 ①景観形成地区(指定後の地区) ・地区全体あるいは通り、ゾーン単位での修景整備(個別整備)アクションプランの策定 ・地区全体あるいは通り、ゾーン単位での景観整備推進(公共空間整備)計画の策定 ・その他、地区の景観形成推進活動に必要な調査・計画策定業務 ②景観形成地区(指定予定の地区) 県・市町が実施する地区指定調査の有無に関わらず、地区住民の取組みとして地区指定に向 けた活動支援の一環として地区住民の視点に立った景観形成の目標、修景基準等の検討と県に 提案する地元案の作成。 ③景観形成地区の指定等を目指す地区、指定等を検討している地区 景観形成地区の指定、景観形成住民協定の締結(および認定)、地区整備計画の策定(緑条 例)等地区指定調査以前に行う地区の景観特性等の調査と景観形成の目標・実現方策等の検討。 (2)市町の関わり 調査および計画策定作業は、住民団体との協議を踏まえながら行うものであるが、このプロ セスに市町も参画し、行政が進める景観形成施策とも整合・調整した計画とし、実現性のある ものとなるよう協働で取り組むことを前提とする。 (3)作業企画および申請の手順 景観まちづくりコンサルタント派遣を活用するにあたっては、事前にセンターと実施内容に ついて協議する。協議に際しては、派遣するコンサルタント候補の検討及び打診を行い、これ らを踏まえて派遣申請の手続きを行う。 作業企画及び申請の手順、実施及び完了までの具体的な手順は、別途定める。 第4 景観形成等活動助成事業(実施要綱第5条および別表第3関係) 4-1 景観まちづくり活動助成 (1)活動助成の意義 地区の景観形成の推進において、地区住民自身による意識付けや普及啓発活動はより強い推 進力となると考えられる。また、まちの将来像やルールづくりは住民によるまちづくり活動と して取り組まれることと同様、景観形成も地区住民によるまちづくりの一環として取り組まれ るものである。 景観まちづくり活動助成は、住民による景観まちづくり活動を支援するものとして、活動に かかる経費の一部を助成するものである。(ただし、活動内容は市町または県の協力、支援あ るいは賛同が得られるものであること。) (2)助成対象団体 ・景観まちづくり活動の対象となる区域の住民により構成される住民団体 ・既存の自治会・町内会を母体とした景観まちづくりを検討する分科会・委員会等 ・有志による新設の団体。ただし、すでに地区で一定の支持を得ているか、市町の支援により 同様の支持を得られる見込みがあること。 (3)助成対象経費 助成対象経費と助成額の概要については以下のとおりとする。詳細は別途定める。 ①助成対象経費 ・活動運営に特に必要となる経費(消耗品購入費、印刷費、会場等使用料、交通費) ・人件費[ただし、自己資金計上のための労務相当額] ・講師謝金・旅費、コンサル委託料(調査・資料作成等) ・その他活動に必要な経費でセンターが認めたもの ②自己資金 2-10 ・最大で 5 万円の自己資金を要する。(助成対象経費の 1/4 相当) ・自己資金の原資は問わない。(自治会等負担、寄付、会費、市町等助成) ・地元団体・住民が活動に提供した自己負担を金額に換算した額 ・人件費:役員・会員が活動に提供した労務に相当する額 ・地元施設等の使用料(通常徴収されるべき使用料を免除した場合) ③助成額 ・上記助成対象経費の 3/4 かつ 15 万円を限度とする。 ・自己負担を金額に換算した経費(実際には支払わない人件費・会場使用料等)には、助成 金を充当してはならない。 (4)支援の期間 ・3カ年以内を目安とする。(3 年程度で達成できる活動目標を定める。) ・複数年度にわたる場合は、事前に作成した全体活動計画(スケジュール、実施する活動、目 標の設定)に沿って活動を行う。 4-2 景観形成等推進員活動助成 (1)助成の意義 「景観形成等推進員(景観サポーター)」は、県・市町等の景観施策への協力、県民などによ る景観の形成等に関する活動支援を行おうとする景観形成に関する知識・スキルを持った建築 士を県が登録しているもの。 景観形成等推進員活動助成は、実態として有志による無報酬活動を期待しているものである が、制度の目的に適った活動を行う場合の実費経費について支援しようとするものである。 (2)助成対象 景観形成等推進員が行う、県・市町等の景観形成に関する施策に資すると認められる活動 (県・市町の同意・賛同等が得られるものであること)。 (3)助成対象経費 景観形成等推進員の活動助成は、実施要綱別表 3 に記した経費で、消耗品費(事務用品等少 額のものに限る)、印刷代、交通費、講師等謝金、保険料、施設等使用料等とし、申請者本人 及びグループでの活動の場合のグループメンバーの人件費は対象外とする。また、外部への作 業委託・外注については、専門的な業務や外注理由に合理性のあるもの(アンケート調査[設計・ 入力・分析等]、データー入力等)に限る。 (4)支援の期間 ・継続的な活動については、景観まちづくり活動助成と同様。 ・シンポジウムなどイベント系の活動は 1 カ年限りとする。 第5 景観支障建築物等除却・改修助成事業(実施要綱第6および別表第4関係) (1)助成の意義 景観条例に規定する管理不全状態にある建築物等に関する県あるいは市町による指導への 対応を促し、管理不全状態の解消を早期かつスムーズに実施されるよう支援するものである。 また、管理不全状態にある伝統的な建物を補修・復元し、地区の景観資源へと再生を図るス キームとしても活用する。 (景観支障建築物等改修費助成+歴史的景観形成建築物等修景助成) (2)助成にあたっての留意点 管理不全状態の判断は県あるいは市町が行うものであるが、あくまで自主的な取組みとして 早期に実施される管理不全状態の解消を対象とする。そのため、指導・助言に応じず勧告・命令 が出されるまで放置された物件は対象外とする。 (3)助成の考え方 申請等事務については別途定める ・県景観条例指定区域での市町の助成は、任意とする。 2-11 (4)改修費助成 ①改修費助成の基本的な考え方 管理不全状態にある物件を再び使用できるように改修し、新たな活用を促すことで景観支障 の状態を解消し、地域の景観に最低限調和させることを目的とする。 ②歴史的景観形成地区での改修費助成 歴史的景観形成地区に存する建築物等が、管理不全状態となっており、管理不全状態の解消 のための改修に併せて地区の町並みにふさわしい修景を行う場合は、歴史的景観形成建築物等 修景助成を併せて活用できるものとする。 また、その他の景観形成地区に存する古民家等伝統的建築物で当該地区のシンボル、ランド マーク等地区の景観形成およびまちづくりの観点から保存することが望ましいと認められる 建築物等の管理不全状態の解消及び修景において、改修費助成と一般建築物修景助成を併せて 活用できるものとする。 ③修景の実施義務 景観支障建築物等改修費助成と併せて修景助成を活用する場合は、歴史的・伝統的建築物と しての復元的修景を行うことを前提とする。 第6 特例措置(実施要綱第7条) 景観形成支援事業実施要綱第 7 条で特例的措置を定めることができる「景観形成支援事業の 実施に関して特別な事情がある場合」とは、次の場合とする。 (1)自然災害等の発生により、景観形成地区等の区域内の建物等や景観形成重要建造物等に甚 大な被害を受け、良好な景観形成の維持保全及び推進に著しく支障が生じると認められる場 合 (2)前号に類する緊急的措置が必要な場合 第7 景観形成支援事業 評価・助言委員会の位置づけ 平成 17 年度より景観形成支援事業の支援実績(主に修景助成物件への講評)と事業運営に 関して評価および助言を得ることを中心に開催してきたが、平成 23 年度から歴史的景観形成 建築物修景助成のうち助成金の上限額が高く、より質の高い修景が求められる必要がある重要 助成・中間助成について、修景助成の適否の審査を行うため開催している。 助成案件の審査にあたって、指摘された事項(改善が助成の要件となる場合も含む)、アド バイス等として出された意見等については、適切に申請者に伝えるものとする。 同委員会には、審査を経て実施された物件が完了した際には状況を報告する。 そのほか、景観形成支援事業および関連事業の実施・運営についても事前あるいは事後に報 告し、アドバイスを得るものとする。 第8 総合的な景観形成推進支援への取組み 8-1 地区の特性に応じた効果的な支援事業の活用 (1)地区特性 景観形成地区の種類によって必要な修景の内容もそのために必要な負担(費用・自身の好み 等への妥協など)も違う。また歴史的景観形成地区であっても町家等伝統的建築物の外観の保 存・復元的な修景により歴史的な町並みを保存・修復しようというものから、歴史的な建物とい った具体的な景観要素の修景ではなく、地区全体(あるいはゾーン)の歴史的な由来や雰囲気 に合致した町並みを目指そうといったものなど、その目指すべき景観形成の目標は様々である。 景観形成を推進するにあたっては、それぞれの地区の特性に応じて適切な修景となるよう指 導と支援を行っていく必要がある。 過剰な修景、的外れな修景は費用・労力を浪費するだけでなく、町並みそのものを阻害しか ねないことに注意すべきである。 歴史的景観形成地区においては、地区(ゾーン区分)に着目した修景内容と助成レベルは別 表 3 のとおりであり、修景助成の運用は第2 2-2 に記したとおりであるが、具体的な適用は、 市町・県民局(センター)が景観形成指導等や、修景助成申請時の助成レベルの設定を行う際 2-12 に目安とするものとする。 その他の景観形成地区等については、修景助成に関しては第2 2-3 の記載のとおりである が、地区のルールづくりや意識啓発等により景観形成の推進を図る。 (2)効果的・効率的活用 地区の特性に応じて、修景助成、修景支援、景観形成等活動助成のメニューを有効に組み合 わせ、限りある予算で効果的かつ効率的な活用を図る。 《歴史的景観形成地区》 修景助成を主体とし、これを確実かつ効果的に町並みの形成に資するよう、効果的にメニュ ーを活用する。 ・修景行為:修景助成(地区・ゾーンの特性に応じて修景の目標について重要レベル、中間レ ベル、一般レベルを適切に指導する。) ・修景指導:景観まちづくりアドバイザー派遣 個別相談・景観勉強会(地区・ゾーン・通りご と等) 《その他の地区》 地区のルールづくりや意識啓発を主体に支援し、建物の修景への配慮を促す。 ・修景行為:建物自体の修景は、高さや配置、外壁等の色彩等通常の工事費用の範囲内で修景 基準等の遵守を指導する。生け垣等による町並みの統一性の創出などを図るため通常以上の 負担を強いるものについて修景助成を活用する。 ・ルールづくり・意識啓発等:景観まちづくり活動助成、景観まちづくりアドバイザー・コンサ ルタント派遣などの活用により地区全体の意識啓発に努める。 8-2 地区住民による取組みの促進 (1)住民による取組みの意義 個別の修景助成は誘導方策として有効であるが、地区の住民がまちへの愛着と未来に残して いきたい町並みを形成したいという意識を持つことで、修景助成の必要性が少なくなっていく と考えられる。 また、市町が把握できないもの、例えば、条例の届出の必要のないものや小規模な補修工事 については、助成による誘導方策の効果は期待できないが、地区においては住民団体による景 観まちづくり活動が地区全体での意識向上となり、それが修景の動機付けとなり、助成を活用 しない場合でも景観に配慮されることを期待できる。 地区住民が一体となって景観形成に取り組むことが景観形成の推進だけでなく、まちづくり の課題の解消や地区のコミュニティの強化につながるほか、景観形成を通じて市町や専門家と 連携する体制を築くことができ、協働のまちづくり推進につながる。 (2)景観形成支援事業の活用 《発意》 景観まちづくりの発意が、住民有志によるものでも、市町からの働きかけによるものでも、 協働で取り組む体制ができれば、景観まちづくりアドバイザー派遣を活用し、まち歩きやワー クショップによる地区の魅力と課題の発見・整理・共有化など、初動期の景観まちづくり活動を 支援することが可能である。 《立上げ》 景観形成をまちづくりのテーマとして取り組む、まちづくり協議会の立上げについて、景観 まちづくりアドバイザー派遣を活用できる。 《初期活動》 テーマの共有のための広報活動、意見収集と取組みの方向性についての合意形成等について、 また協議会運営について、景観まちづくりアドバイザー派遣により支援できる。活動にかかる 経費については、景観まちづくり活動助成が活用できる。 《景観形成推進活動》 景観形成地区等において、景観形成地区として現状に即した取組みとして特にテーマを定め て活動行う場合に、景観まちづくりアドバイザー派遣、景観まちづくり活動助成を活用できる。 《計画策定》 テーマに即した地区の景観まちづくりに関する計画(ex.町並み・まちづくり整備計画、景観 2-13 形成ルール等)の検討と合意形成のため景観まちづくりコンサルタント派遣を活用できる。 景観形成地区等においては、景観形成地区として、あるはその一部(通り沿い一帯、街区、 ゾーン等)で現状に即して必要な取組み計画を策定するにあたり景観まちづくりコンサルタン ト派遣を活用できる。 《景観形成等推進員》 県登録の景観形成等推進員(「景観サポーター」ともいう。以下「推進員」。)による景観形 成地区等(予定地区・検討地区含む)の景観形成活動の支援として、上記と同様の活動を行う 場合、景観形成等推進員活動助成が活用できる。 8-3 関係団体との連携 景観形成支援事業を中心に県下の景観形成推進を支援していくため、関係団体と連携体制の 構築に努め、効果的、効率的支援を行う。 ・地区の住民団体との連携: センターは、景観まちづくり交流会の開催のほか、市町や専門家を通じて地区の住民団体 の景観形成に対する考えや要望を把握し、支援事業各メニューの効果的かつ効率的な活用を 促していく。また、地区住民の意識啓発、地区の状況等の情報収集等について互いに協力し 合える体制の構築に努める。 ・市町との連携: 市町は、センターと住民とを繋ぐ窓口となり、景観条例や支援事業の運用にあたって、直 接住民に指導を行う役割を担う。また現地での住民と専門家を結びつける要ともなる。 センターは、市町が修景に関する指導にあたって支援事業を有効なツールとして活用でき るよう、適切な運用方法の構築に努めるとともに、情報交換を行いながら協力して景観形成 を推進する。 ・地域の専門家(建築士等)・施工業者(職人・工務店)との連携: 地域で活動する建築の専門家として、地域の歴史と伝統を守り、次世代に繋げていく役割 を担う。 行政、センターとともに、地元の修景相談等に臨機応変に対応できる体制の構築に努める。 ・住宅メーカー・不動産業者との連携: 景観形成の意義の理解を促す。 ・県民局(センター)(土木事務所)との連携: 県景観条例指定区域に関しては、指導の主体となる。直接の指導は主に市町担当が行うこ とになるが、県民局(センター)が必要な助言を行う。 支援事業の申請等事務においては、条例の主体として法令等のチェックと必要に応じた指 導を行う。 センターは、市町との連携と同様、情報交換を行いながら協力して景観形成を推進する。 ・県(景観形成室)との連携: 兵庫県における景観形成推進の意義をより広くかつ深く浸透させるよう努めるとともに、 必要な施策を立案施行する。また、県内に残る歴史的な町並みを後世に受け継がれるよう、 景観形成地区等指定、景観形成重要建造物等の指定をすすめる。 センターは、条例等に沿って効果的に景観形成の推進が図れるよう、支援事業やその他関 連事業を実施していく。 8-4 地域間での連携・ネットワーク形成 県内の景観まちづくりに関する住民団体、専門家団体等のネットワーク形成や交流会を開催 により、地域間の連携による景観まちづくり活動の推進を図る。 (1)ひょうご景観まちづくり交流会 県内各地の住民団体や専門家が一堂に会し、景観まちづくりに関する取組みを互いに紹介 し、成功事例や課題等を持ちより、対策等についてともに検討する場を設ける。交流会での 検討を活動にフィードバックしていくことで各地区の景観形成の推進と県民の景観形成に 対する意識向上を図る。 活動団体同士の今後の交流のきっかけづくりとなる。 (2)その他連携・ネットワーク形成支援 ・景観まちづくり団体名簿づくり 県内での景観まちづくり活動団体のリストを作成し、活動団体同士の交流を促す。 2-14 ・景観まちづくり活動紹介 冊子、ウェブ等、交流会等催しにおいて、各地での景観まちづくり活動を紹介していく。 2-15 別表1 独自条例制定市町の支援事業活用協議基準 対象/ メニュー 修景助成 景観形成地区等 [市助成が無い場合] ・要綱どおり適用 ・市助成の整備を促す 県重要建造物 近代住宅 100 ・要綱どおり対応 市町指定建造物 ・合算額<要綱の上限 ・市条例による地区指 定と考える(歴史的 かつ市助成同額以内 地区とする) ・ただし、重伝建地区 の趣旨を阻害しない よう伝建補助による 整備を前提とし、補 完的(伝建助成が適 正な事由により受け られない場合)にや むを得えず活用が必 要な場合のみ本事業 を活用できることと する。 ・活用スキームの制定 ・当面の間の措置とす る [市助成がある場合] ・合算額<要綱の上限まで ・歴史的・一般を協議により 判別(協定地区は一般) 景観アドバイ ザー派遣 ・個別 ・地区 景観コンサルタント 派遣 活動助成 ・景観まちづ くり活動 ・景観形成等 推進員 備考 ・要綱どおり対応 (当面の間、制度創設促 す) ・要綱どおり対応(原則連 続 3 年まで) 伝建地区(重伝建) ・要綱どおり対応 ・非対応 ・周辺地区活動:要綱どおり対応 (原則連続 3 年まで) ・非対応 ・要綱どおり対応 (連続 3 年まで) ・要綱どおり対応( ただし、1 件/市町・年、1 件/地区・年) ・要綱どおり対応(原則連 続 3 年まで) ・周辺地区活動:要綱どおり対応 (原則連続 3 年まで) ・要綱どおり対応 (連続 3 年まで) ・要綱どおり対応(ただし、1 件/市町・年、1 件/地区・年) 県条例が原因なので 協議によらず適用 ・活用にあたっては、市町での支援の状況等を確認し、効果的な支援ができるメニューの活用について協議を 行なった上で 適用するものとする。 2-16 別表2 助成対象の範囲 助成対象の内容 ・不特定多数の者が通行する道路または眺望点等から景観の一部 として捉えられ、街並み形成上、修景に配慮する必要のある部分、 及びその部分と一体で不可分の部分 助成対象となる範囲 ・地区の景観を構成する上で重要な部分 ・市町による景観形成のための助成金交付に関して規定がある場 合は、本規定の範囲内においてその規定によることができる。 ・外観の範囲にかかる外壁、屋根等の外部仕上げ部分 助成対象となる部分 ・外観の範囲にかかる建具及び建物の外部付属物(雨樋等)・装飾 ・外観の範囲にかかる門塀、その他工作物 ・修景に配慮した外観とするために必要な仕上げ材、付属物・装飾、 ・外壁、屋根等の外 及びその形状とするために特に必要となる内部構造部分(各部で 部仕上げ部分 の考え方は以下に示すとおり) ・瓦等葺材、葺材を固定するための桟・野地板、外観として外部に ・屋根等の場合 露出している垂木・小屋組 ・軒裏・破風等の化粧 ・塗装、吹付け仕上の場合は、塗装、吹付けのみ ・板張り仕上げの場合は、仕上材のみ ・外壁等の場合 ・真壁に漆喰塗等の仕上げと不可分の場合は、壁躯体まで(軸組を 含む、内装は除く) ・基礎部分は原則として化粧仕上のみ ・単に色付きアルミサッシを用いるだけでなく、他の部分との調和 ・建具 のなかで形状・素材(開口の位置・形状、開き方、格子、木製品の 利用等)について、特に配慮したもの ・外 部 付 属 物 ・他の部分との調和の中で色・形状等の配慮がなされたもの (雨樋等) ・外 部 付 属 物 ・他の部分との調和の中で形状等を特に配慮したもの (照明等付属 ・配線等は含まない 設備) ・装飾 ・門塀 対象となる経費 ・修景を図る上で必要な装飾 ・地区の景観形成基準に特に配慮した形状の門塀の躯体(基礎を含 む)及び仕上げ ・照明等の付属施設については、上記による ・上記、助成対象にかかる工事費、諸経費及び消費税 (助成対象が全体工事の一部で、仮設工事費・運搬費・諸経費等を別に見積難 い場合は、工事費の按分も可) ・工事費 ・材料費、工事人件費、仮設工事費、運搬費等 ・諸経費 ・上記工事にかかる諸経費 ・設計費 歴史的景観建築物修景助成の 重要・中間助成及び景観形成重 要建造物修景助成のみ ・消費税 ・修景に係る実施設計までの計画・設計費、工事監理費 ・工事費、諸経費にかかる消費税 2-17 別表3 歴史的景観形成地区のゾーンと助成レベル 区分 特性 助 成 レ ベ ル A 重要 max 330 万円 B 中間 max 150 万円 C 一般 max 75 万円 重要ゾーン (歴史的景観ゾーン) 伝統性、歴史性のある建築 物等(町家、洋館、古民家) を景観の基調とするゾー ン。 基調となる建築物等の保 全、復元、様式の承継とそ れらとの調和を図ることに 努めるべきゾーン。 周辺ゾーン (歴史的景観調和ゾーン) 景観形成の基調とするほど の伝統性、歴史性のある建 築物等はないが、調和のあ る景観形成を図り、歴史的 景観形成地区として一体的 な景観形成に努めるべきゾ ーン。 一般ゾーン (一般市街地ゾーン) 歴史的景観形成地区である が特徴的な景観要素は少な く、周辺の事物との調和に より充実した地域景観を目 指そうとするゾーン。 ◎伝統的意匠・工法・素材 ※まちなみの基調となる建 物(修復・復元) ※上記と同様、理想的モデ ルとなるもの(新築等) ○地域に調和する意匠・素 材・色彩(過半の部分が伝統 的工法、材料による場合 屋根、外壁)一般的工法に よる修景工事分も対象 △大部分が一般的工法、材 料であるが、地域の景観に 配慮して歴史的景観の形成 に努力しているもの。 ※単体ではあるが、左記と ※単体ではあるが、歴史的 同等の工事で、特に歴史的 景 観 ゾ ー ン と 同 等 の 工 事 景観形成に寄与する場合 で、特に歴史的景観形成に 寄与する場合 ◎同左 ※左記と同等以上の工事 で、特に歴史的景観形成に 寄与する場合 △同左 ◎同左 目 指 す 景 ※現存する伝統的建物を失 ※中核となるゾーンをより ※助成金よりも、地区住民 観指標 わないように努める。 高めるような景観形成 の意識啓発と住民活動の支 ※景観阻害要因を解消して ※屋根、外壁など主要な構 援に重点を置く。 いく。 成要素を重視 ※修景内容の指導目標の順位 1:◎、2:○、3:△ ・ 「周辺ゾーン」においてAの助成をする場合及び「一般ゾーン」においてA、B の助成を申請する場合には、事前にセンターと協議すること 2-18