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報告書 - 経済産業省

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報告書 - 経済産業省
平成22年度地域新成長産業創出促進委託事業
(中部地域のものづくり技術の次世代住宅への展開促進調査事業)
報告書
平成23年3月
(株)地域計画建築研究所
目
次
序 ------------------------------------------------------------------------------------------
1
第1編 次世代住宅展開可能性に関する検討
1.住宅および住宅産業をとりまく状況 ------------------------------
1
2.次世代住宅のイメージと求められる機能 -------------------------------
7
3.住宅・次世代住宅産業への展開イメージ ----------------------------
20
4.住宅産業への参入、次世代住宅の実現に向けた障壁 ---------------
28
5.ものづくり技術を活用した住宅・次世代住宅産業への展開と参入
障壁への対応策 --------------------------------------------------------------
30
参考 自動車産業の住宅産業への展開支援(セミナー開催結果)
1.概要 -----------------------------------------------------------------------------
40
2.開催結果 ----------------------------------------------------------------------
41
3.参加者アンケート結果
-----------------------------------------------------
45
第2編 中部版ソーラーデカスロンに関する検討
1.ソーラーデカスロンの概要 -----------------------------------------------
Ⅱ- 2
2.中部における設計・実作競技について --------------------------------
Ⅱ- 9
序
1.事業実施の背景
当地域においては自動車関連産業が地域経済をけん引してきた。中部地域の製造品出荷額は国
内の40%超を占める集積があり、地域のものづくり技術は優れた生産性、安定的で高度なサプ
ライチェーンなど世界でも有数の技術集積を持っている。
しかし、リーマンショック以降、当地域の自動車関連産業を取り巻く環境は大きく変わり、中
国やアセアン諸国への生産拠点の流出など、中小規模の部品製造業においては、自社が有する技
術、
「強み」をどのように活かしていくかが喫緊の検討課題となっている。そのような中、中部経
済産業局(以下、局という。
)では、平成22年3月に、
「クルマの未来とすそ野の広がりを考え
る懇談会報告書」を取りまとめ、自動車関連技術の他分野への展開について、その必要性を検討
したところである。中でも自動車の生産技術との関連性があり、かつ内需型産業の代表でもある
住宅産業への展開について、可能性を検討してゆく必要がある。
しかし住宅産業を取り巻く環境を見ると、全国的な人口減尐に伴う住宅需要量の減尐から、新
たな新築需要が望みにくい。また中部地域に集積するタイルや瓦といった窯業建材関連産業の衰
退、需要減や担い手不足による林業の荒廃等、従来型の住宅産業の厳しい問題も存在する。その
一方では高蔵寺などニュータウンの尐子高齢化問題、高齢社会を支える福祉や介護の場としての
住まいの重要性、低炭素社会に向けた住宅ストックの有効活用など新たな需要や技術的課題も生
まれている。
このような背景の中で、自動車産業を核とした新しい技術やサービスの出現が、従来の住宅産
業に刺激を与え、我が国や世界市場に向けた商品の開発を誘発する可能性を持っている。中部地
域のものづくり技術がこのような次世代住宅産業へ展開を行うことも可能である。スマートグリ
ッドや自然エネルギー活用といった「スマート住宅」においては、次世代自動車と接続する端末
としての機能が重要視され、その普及が期待されている。
また、自動車関連技術を活用した介護機器・システム等の開発による、住宅のバリアフリー化
促進や、国が進める「200 年住宅」の実現に向けた自動車関連産業と地場産業との融合による高
耐久素材・建材の開発等、中部地域が保有する住宅関連技術との親和性は高いと考えられる。
このような背景と展望の中、本事業では住宅産業や住宅政策が求める今日的課題を抽出し、そ
のような課題に対して、自動車産業とその関連技術の適応可能性を探るものである。
i
2.事業の目的
本事業では、当地域における新たな成長産業分野としての住宅産業に着目し、自動車技術を活
かした新しい住宅(次世代住宅と称する)の実現に向けて、中部の産業が持つ優位性とその可能
性について検討を行う。更に自動車関連技術の次世代住宅産業への展開に係るセミナー等を開催
することで、自動車関連技術の展開・促進を図る目的とする。
また欧米のソーラーデカスロンに代表される、中小企業や学生のアイディアを競うコンテスト
の実施についても検討を行い、地域における次世代住宅への普及・促進を目指し、ひいては、当
地域経済のさらなる活性化に資することを目指すものである。
ii
3.事業内容
本事業は上記の目的のもと、下記の事業を実施する。
(1) 次世代住宅展開可能性調査事業
自動車をはじめとする地域のものづくり技術の次世代住宅産業への横展開を図るため、以下
の①から③の項目について検討を行い、その結果を取りまとめる。
①次世代住宅の理想的な姿の検討
次世代自動車、情報家電等とスマートグリッドとの結節点として、各種情報システムを統
合・活用する「スマートハウス」
、高耐久かつ維持が容易な工法・建材等の活用による「200
年住宅」
、尐子高齢化社会に対応し住民が健康に暮らせるための「健康住宅」
、都市環境・自
然環境と調和した「環境共生住宅」といった今後の住宅に必要な様々な要素を最大限に実現
するための機器・システム、設計・工法等のあり方について検討し、理想的な次世代住宅の
姿を検討する。
②次世代住宅実現に向けた障壁の検証
住宅産業への新規参入、自動車関連技術を活かした次世代の住宅の実現に向けて、各種法
規制や取引慣行といった様々な障壁を洗い出し、その障壁を越えるための方策を検討、提示
する。
③地域が保有する技術を活用した次世代住宅産業への参入可能性事例の収集
次世代住宅産業の創出に向けて、自動車関連分野等から、次世代住宅産業分野へ展開可能
な有望技術の調査を行うとともに、すでに住宅産業へ転用されている技術も含め、その事例
を収集し、将来的な展望も含めて取りまとめを行う。
④自動車産業から次世代住宅産業への展開を支援する啓発事業(セミナー開催)
上記①~③において検討した内容を踏まえ、自動車産業から次世代住宅産業への参入を促す
とともに、参入にあたってのリスク等に対する理解を促進するため、有識者による講演等を交
えたセミナーを開催する。
(2)次世代住宅版「Solar Decathlon」検討事業
次世代住宅における新たな技術や製品の開発を進める上で、大学や研究機関と産業界との連
携は不可欠である。欧米において開催されている国際的な太陽電池を利用したエコハウスの性
能とデザインを競う「Solar Decathlon」では、大学と関連企業の連携による成果を挙げており、
次世代住宅の展開に向けた大学や研究機関と企業の連携に向けた取組の一つとして期待される。
そこで当事業では、
「Solar Decathlon」の実施概要を把握するとともに、上記(1)で検討し
た次世代住宅を対象とした次世代住宅版「Solar Decathlon」の開催実現に向けた検討項目を整
理する。その内容を元に必要に応じて有識者を交えるなどして、大まかな開催イメージを検討・
作成する。
iii
4.事業フレーム
本事業は、下記の調査手法により実施した。
【事業フレーム】
【実施した主な調査・検討委員会】
(1) 次世代住宅展開可能性調査事業
・管内のものづくり中小企業アンケ
①次世代住宅の理想的な姿の検討
ート調査
②次世代住宅実現に向けた障壁の検証と
・有識者・関係企業等に対してヒア
障壁を越えるための方策の検討・提示
リング調査
③地域が保有する技術を活用した次世代
住宅産業への参入可能性事例の収集、
検討委員会(3 回開催)
将来的展望の検討
④自動車産業から次世代住宅産業への展開
を支援する啓発事業(セミナーの開催)
次世代住宅の展開に向けた取
組の必要性
・管内大学等の建築関係学科へのア
(3)中部版「Solar Decathlon」-
住宅コンテストのイメージ検討
ンケート調査及び関係機関等への
ヒアリング調査
iv
第1編 次世代住宅展開可能性に関する検討
1.住宅および住宅産業をとりまく状況
住宅および住宅産業をとりまく状況を把握するために、住まい手と供給者の両サイドに関
する基本的なデータを整理する。住まい手については「人口・世帯数の動向」および「住宅
に関する意識」に基づき、供給者に関しては「宅地供給・住宅建設および住宅市場の動向」
の現状を把握する。
(1) 人口・世帯数の動向
人口減尐・高齢化の進展
・人口は 2005 年以降、減尐し続けることが予測されている。
(図1-1)
・世帯数は 2015 年を境に減尐に転じることが予測されている。(図1-1)
・総人口数が減尐するなか高齢者人口は増加し、これに伴い高齢化率も上昇し続けること
が予測されている。
(図1-2)
高齢者世帯の増加と世帯人員の減尐
・総世帯数に占める高齢者世帯の割合は増加しており、2015 年には 41.3%になると推計さ
れている。
(図1-3)
・世帯人員構成の推移をみると、
「4人世帯」
「5人世帯」は減尐している一方、
「1人世帯」
「2人世帯」は増加している。平成 17 年の2人以下の世帯が占める割合は 56%となっ
ている。
・一世帯当たり人員は、1960 年の 4.14 から 2005 年の 2.55 まで減尐している。
(図1-4)
図1-1
人口・世帯数の推移と推計(住宅経済データ集 2009 年度版)
1
図1-2
図1-3
人口の将来推計(住宅経済データ集 2009 年度版)
高齢者世帯の推移と推計(住宅経済データ集 2009 年度版)
図1-4
世帯人員構成の推移(住宅経済データ集 2009 年度版)
2
(2) 住宅に関する意識
・昭和 58 年から平成 15 年の住宅に関する評価の推移をみると、
「多尐不満」「非常に不満」
と回答した人の割合(不満率)は、46.1%から 42.4%に減尐している。
(図1-5)
・平成15年の住宅の各要素に対する評価(不満率)の内訳をみると、「高齢者等への配慮」
「住宅の防犯性」
「冷暖房費用負担などの省エネルギー対応」が上位3位を占めている。
(図
1-6)
図1-5
図1-6
住宅評価(不満率)の推移(住宅経済データ集 2009 年度版)
住宅の各要素に対する評価(不満率)(住宅経済データ集 2009 年度版)
3
・ 住宅の性能・機能について、
「省エネルギー対応」および「バリアフリーなど高齢化対応」
の性能・機能が「どちらかといえば確保されていない」
「確保されていない」と回答した人
は6割近くとなっている。
(省エネ 58%、バリアフリーなど 57.9%)
図1-7
住宅の性能・機能(国土交通白書 200)
(3)宅地供給・住宅建設の動向
宅地供給量の減尐(郊外型の宅地供給の減尐)
・宅地供給量の推移をみると、昭和 44 年度から 46 年度までは増加していたが、47 年度以降
は、多尐の増減を繰り返しながらも、減尐傾向にある。
・総計宅地供給量は、
ピーク時の昭和 47 年度には 20,000ha 超あったが、平成 19 年度は 5,400ha
となっている。
図1-8
住宅の性能・機能(国土交通白書 200)
4
新設着工戸数の減尐
・新設住宅着工戸数の推移をみると、1999 年度以降は減尐傾向にあったが、2003 から 2006
年度は増加し、07 年度に再び減尐に転じている。(図1-9)
・持ち家は減尐傾向にあり、分譲住宅と貸家が増加した。
・戸建て・分譲住宅のマンション別にみると、戸建ては 110 万戸から 140 万戸前後で推移し
ており、分譲マンションは 180 万戸から 240 万戸前後で推移している。(図1-10)
持家
(年度)
分譲住宅
貸家
給与住宅
'08
311
273
445
1039
'07
312
283
431
1036
'06
356
383
'05
353
370
'04
367
349
'03
373
334
'02
366
'01
377
'00
'98
'07
122
'06
139
'05
139
'04
140
1000
116
0
50
381
231
370
207
347
202
333
198
315
344
203
127
'98
282
242
141
117
住宅着工統計に基づき作成)
300
160
117
'99
1500 (千戸)
マンション
183
131
'01
1226
1180
444
一戸建て
117
1213
426
新設住宅着工戸数の推移(国土交通省
'08
'00
1173
418
282
(年度)
'02
1147
442
500
図1-9
'03
1174
455
312
0
1193
459
346
438
1249
392
344
476
1285
518
316
438
'99
538
218
185
302
291
175
100
150
345
200
250
300
350
400
450 (千戸)
図1-10 分譲住宅(マンション・戸建て別)着工戸数の推移(国土交通省 住宅着工統計に基づき作成)
5
(4) 住宅市場の動向
1970 年代後半までは、
「更地に新築」の市場規模に占める割合が最も多く、次いで「建て
替え」
「リフォーム」となっている。1980 年代以降は、
「更地に新築」は減尐傾向にあり、
「建
て替え」
「リフォーム」は共に増加傾向にある。
2000 年代前半において概ね3対1の新築とリフォームの割合が、10 年後には概ね2対1に
なるであろうと予測されている。
(図1-12)
図1-12
住宅市場の需要内容の変化と将来予測の概略図(住宅産業百科 2006)
2005 年3月決算をもとに推計された住宅リフォーム売上高トップ 10 は、住友不動産、東
急アメニックスを除き、新築の大手住宅メーカーが占める。
表1-4
注1
注2
2005年リフォーム売上高トップ10(住宅産業百科 2006)
順
位
1
売上高(推計)
(05 年 3 月期)
557 億円
509 億円
住友不動産
2
積水化学工業
3
ミサワホームイング
4
積水ハウス
5
6
7
住友林業ホームテック
大和ハウス工業
パナホーム
8
三井ホームリモデリング
9
10
旭化成リフォーム
東急アメニックス
社名
※ファミエス事業の売上高
486 億円
395 億円
※05 年 1 月期
254 億円
252 億円
251 億円
233 億円
※FC 店の売上げ含む
210 億円
180 億円
売上高は各社の決算報告書等から推計
訪問販売が主体のリフォーム事業者は除外してある(参考「ナカヤマ」の推計売上高370 億円)
6
2.次世代住宅のイメージと求められる機能
(1) 求められる性能等
次世代住宅の理想像の検討に向けて、現在の住宅に何が求められているのか把握するために、
国の計画・制度・事業等における住宅性能の基準等を整理する。また、欧米における住宅の性
能に関する規制等についても概観する。
共通する性能は、
「断熱性」や「気密性」といった省エネルギーに関する『環境負荷を低減す
る』性能である。また、「耐震性」
「バリアフリー化」など『長く使える』性能にも共通性が見
られる。さらに、
「採光性」
「遮音性」
「低化学物質」といった『快適性を享受する』性能も求め
られている。
1) 現在の住宅性能基準
①住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成 12 年 4 月 1 日施行 通称、品確法)
住宅性能表示基準制度、住宅専門の紛争処理制度、瑕疵担保責任の特例制度の 3 つの主
要な制度を整備。
「住宅性能表示制度」では、構造の安定、火災時の安全、高齢者等への
配慮など住宅の性能についての表示や評価方法を定めている。
②住生活基本法(平成 18 年 6 月 8 日施行)
国民の住生活の安定と向上を促進するために定められた。同法に基づき策定された
「住
生活基本計画 全国計画」
(計画期間:平成 18 年度~27 年度)では、4つの目標とその
成果指標が示されている。
「良質な住宅ストックの形成及び将来世代への承継」の目標に
対しては、
「新耐震基準適合率」
「共同住宅共用部分のユニバーサルデザイン化率」
「省エ
ネルギー対策率」といった成果指標が設定されている。
③長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成 21 年 6 月 4 日施行)
長期優良住宅の普及の促進のため、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が
講じられた優良な住宅である「長期優良住宅」の建築及び維持保全に関する計画を認定
する制度を創設。
認定基準には、構造躯体の务化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バ
リアフリー性、省エネルギー性の性能等が含まれる。
7
2) 国における事業や検討にみられる次世代住宅の性能など
①「住宅・建築物 省CO2先導事業」(国土交通省)
省CO2の実現性・先導性に優れた住宅・建築事業を公募・選定し、整備費等の一部を
補助する事業であり、平成 20 年度より年2回採択する。
省エネルギー・省 CO2 等『環境負荷を低減する』性能を満たしていることが要件となっ
ている。また、新築・改築建築物の環境効率の評価結果(CASBEE(注1)評価結果又はこれと
同等以上)の提出を求めており、
『長く使える』『快適性を享受する』性能も評価基準とな
っている。
②「スマートハウス(注2)実証プロジェクト」(経済産業省)
平成 22 年8月に公募による採択事業者を決定。事業期間は平成 22 年3月31日まで。
IT 技術を活用し、家庭内で消費・生成されるエネルギー量等の情報を管理したり、創・
蓄エネルギー機器とエネルギー消費機器を制御したりする技術の実証プロジェクト。
環境技術と情報通信技術の融合により、
『環境負荷を低減する』性能と『快適性を享受す
る』性能の両立を目指す。
③「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」(環境省)
平成 20~21 年度に実施された。
地域におけるエコハウス(注3)の普及を目指し、地方公共団体や民間組織等が環境共生
型住宅のモデルハウス(21 世紀環境共生型住宅)を整備する事業を支援する。
④「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」
(国土交通省、経済産業省、環境省)
平成 22 年6月に設置され、同年6月と 11 月に2回の会議が開催された。
「2020~2030年に目指すべき住まいの姿」の検討において、長期優良住宅の普
及促進、ネット・ゼロ・エネルギー/ゼロ・エミッション・ハウス(以下、ZEH(注4))および、
「ライフサイクルカーボン住宅」
(以下、LCCM 住宅(注5))の実現を提案している。
注1 建築物の環境性能で評価し格付けする手法。省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減、室内の快適性や景観への配慮といった
環境品質・性能の向上も含めた、建築物の環境性能を総合的に評価するシステム((財)建築環境・省エネルギー機構)
注2 家庭内のエネルギー機器、自動車、家電機器、住設機器を相互に連携させることで、より効率的なエネルギー利用と機器連携を通した新たな
価値を提供することのできる住宅(産業構造審議会産業競争力部会報告書『産業構造ビジョン 2010』)
注3 地域の気候風土や敷地の条件、住まい方に応じて自然エネルギーを最大限に活かす、身近に手に入る地域の材料を使うなど、環境に負担を
かけない方法で建てられる住宅(「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」公式サイト)
注4 年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロまたは概ねゼロとなる建築物(「住宅・建築物分野の将来像(ゼロ
エミッション化イメージ)について」環境省)
注5 建設から解体までのライフサイクルトータルでCO2排出量がマイナスになる住宅(一般社団法人 日本サステナブル建築協会)
8
3) 地方自治体や民間企業等による先進的な取り組み事例(商品化レベル)
民間企業においても、
『環境負荷を低減する』性能と、『快適性を享受する』性
能を同時に提供する住宅が製品化されている。
①「エコミライの家 プレミアモデル」
(トヨタホーム株式会社)
「省エネ・省 CO2」と「長寿命」を 2 本柱とし、通風、採光など自然力を最大
限に活用するプランニングと、環境に優しいエコアイテムを標準装備により、
地球環境に優しく、光熱費を大幅に削減できる(注1)最上級モデルとして 2010
年 10 月 1 日から販売を開始した。
②「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスxevoYU(ジーヴォ・ユウ)
」
(大和ハウス工業株式会社)
太陽光発電システム、パッシブデザイン、外張り断熱通気外壁、高効率給湯器
の組み合わせによりネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(注2)を実現したとして
いる。2010 年 7 月 15 日に発売された。
注1 同社モデルプラン・すまい方による試算にもとづく。
注2 同社独自のシミュレーションによる試算結果にもとづく。
4) 地方自治体や民間企業等による先進的な取り組み(実験・試作レベル)
次世代住宅の開発・事業化に向けた実験・試作のレベルでは、電気自動車やマ
イクログリッドの普及等を前提に、
『環境負荷を低減する』『快適性を享受する』
性能の両立に向けた取り組みが行われている。
①『家庭・コミュニティ型』低炭素都市構築実証プロジェクト(愛知県豊田市)
平成 22 年4月に「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として選定され
た4地域のひとつ。平成26年度にかけて実証を行う。
戸建て住宅に太陽光発電、蓄電池等の省・創・畜エネルギー機器を導入し、最適
制御を行う。同時に、EV(注1)/PHV(注2)から住宅への電力供給も試みる。
②「柏の葉キャンパス」スマートシティプロジェクト(千葉県柏市)
自然通風と自然採光、太陽光発電と地中熱利用ヒートポンプ、各戸に設置された
モニターでのエネルギー資料量・CO2排出量等の「見える化」を組み合わせた省
エネルギー・CO2 に取り組む。
③六ヶ所村スマートグリッド実証実験(青森県六ヶ所村)
大規模畜電池併設型風力発電所を活用し、独立した電力網(クローズドグリッ
ド)を構築。スマートハウスと供給側(風力発電所、太陽光発電システム、地域
用畜電池)との連携制御システムを開発し、地域全体のエネルギーマネジメント
と効率の最適化の実証をめざす。期間は、
平成 22 年 9 月~平成 24 年 7 月(予定)。
9
④ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの実証(東京ガス)
電力統合制御システム(注3)、自然採光の利用拡大、LED 等の高効率照明の導入、
人感センサーによるオン・オフ制御等の組み合わせにより、2030 年までに当該自
社ビルにおけるネット・ゼロ・エネルギー実現を目指す。期間は平成 22 年 8 月か
ら平成 26 年 3 月 31 日(予定)
。
注1 電気自動車
注2 プラグインハイブリッドカー
注3 太陽熱とガスエンジン CGS(コージェネレーションシステム)の廃熱等を利用した空調システム、太陽光発電、ガスエンジン CGS、
蓄電池等を組み合わせたシステム
10
表2―1
次世代住宅に求められる性能(1/2)
国における事業・検討
①「住宅・建築物省CO2先導事業」
(国土交通省)
・省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトとなる住宅・建築プロジェクトを公募し、整
備費等の一部を補助する事業。
・住宅・建築物における省CO2対策を強力に推進し、市場価値を高めるとともに、居住・生産環境
の向上を図ることを目的とする。
②スマートハウス実証プロジェクト(経済産業省)
・エネルギー等についての需給情報を活用することによって最適制御された住宅(スマートハウス)
を実証し、その効果を検証する事業。
・スマートハウスが普及することにより、生活の快適性を損なうことなく、再生可能エネルギー利用
を高めることが期待される
③21 世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業(環境省)
・ライフサイクル全体で環境負荷低減が可能な住宅設計手法を活用したモデルハウスを全国 20 箇にお
いて整備し、これを活用した住宅環境対策に関する普及活動を展開する事業。
・住宅環境対策に係る各種の税制改正措置等と相まって、エコハウスの普及をより加速させていくこ
とを目的とする。
④低炭素社会に向けた住まいと住まい方とりまとめ骨子案
(国土交通省、経済産業省、環境省)
・住宅・建築物における温室効果ガス排出削減に向けた取組や施策の方向性等を検討する場として「低
炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」を設置。
・
「2020年~2030年に目指すべき住まいの姿」を提示している。
地方自治体や民間企業等による先進的な取り組み事例(製品)
①エコミライの家 プレミアモデル(トヨタホーム株式会社)
太陽光発電システム、通風設計、熱交換型全館換気システム、防犯・通風も兼ね備えた自動ブライ
(注1)
ンドシャッター、高効率給湯システム等を装備。CO2 排出量実質ゼロも可能と謳っている。
②ネット・ゼロ・エネルギーハウス xevoYU(ジーヴォ・ユウ)(大和ハウス工業株式会社)
太陽光発電システム、パッシプデザイン、外張り断熱通気外壁、高効率給湯器等の組み合わせで、
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(注2)を実現するとしている。
地方自治体や民間企業等による先進的な取り組み事例(実験・試作レベル)
①『家庭・コミュニティ型』低炭素都市構築実証プロジェクト(愛知県豊田市)
・豊田市と企業 19 社が実施する、スマートグリッド(注3)を含めた次世代エネルギー・社会システム
構築に向けた実証実験。
・経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として選定された 4 地域の一つ。
②「柏の葉キャンパス」スマートシティプロジェクト(千葉県柏市)
・異業種の企業連合が、同地区をフィールドとして快適な低炭素都市(スマートシティ)の実現と事業
化に向けた実証実験を行う。
・同地区における商業
・住宅複合街区新築工事は、国土交通省の「住宅・建築物省 CO2 先導事業」に採択された。
③六ヶ所村スマートグリッド実証実験(青森県六ヶ所村)
・供給側は、風力・太陽光発電量に応じた HUB 畜電池(地域用蓄電池)の充・放電の制御により調整。・
需要側(スマートハウス)は、発電状況や電力単価情報提供による需要誘導、機器の直接制御等。
・スマートハウスには、日本風力開発、トヨタ自動車、パナソニック電工各社による 3 種類のホーム
エネルギーマネジメントシステムを設置。
④ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの実証(東京ガス)
・自社ビルの改修により、2030 年までに再生可能エネルギーと都市ガスを利用したネット
・ゼロ・エネルギー・ビルの実現を目指す。
・独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
の「次世代省エネルギー等建築システム実証事業」の補助を受けて行う。
注1)太陽光発電システム(約 6kw)を設置し、東京都に建つ 135.2 ㎡の住宅で、夫婦 2 人、子ども 2 人の 4 人家族を想定。
注2)同社独自のシミュレーションによる試算結果にもとづく。
注3)従来からの集中型電源と送電系統との一体運用に加え、情報通信ネットワークにより分散型電源や需要家の情報
を統合・活用した、高効率、高品質、高信頼度の電力供給システム(「低炭素電力供給システムに関する研究報告
書」)
11
表2―1
次世代住宅に求められる性能(2/2)
構造
住宅の部位別に求められる性能など
設備
国における事業・検討
①住宅・建築物省 CO2 先導事業
- - ● ● ● ● ● ● ● ● ● -
(国土交通省)
②スマートハウス実証プロジェクト
- - - - - - - - - - - -
(経済産業省)
③21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建
- - - ● ● - - ● ● - - -
設促進事業(環境省)
④低炭素社会に向けた住まいと住まい
方とりまとめ骨子案(国土交通省、 ● - ● ●
● ● - - - ● -
経済産業省、環境省)
地方自治体や民間企業等による先進的な取り組み事例(製品)
①エコミライの家 プレミアモデル
● - ● ● ● - ● ● ● ● - -
(トヨタホーム株式会社)
②ネット・ゼロ・エネルギーハウス
● - ● ● ● ● ● - - ● - ●
xevoYU(大和ハウス工業株式会社)
地方自治体や民間企業等による先進的な取り組み事例(実験・試作レベル)
①『家庭・コミュニティ型』低炭素都
市構築実証プロジェクト(愛知県豊 - - - - - - - - - - - -
田市)
②「柏の葉キャンパス」スマートシテ
- - - - - - - - - - - ●
ィプロジェクト(千葉県柏市)
③六ヶ所村スマートグリッド(注2)実証
- - - ● ● - - - - - - -
実験(青森県六ヶ所村)
④ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの
- - - - - - - - - - - -
実証(東京ガス)
その他
ゼ
ロ
・
エ
ネ
ル
ギ
ー
ハ
ウ
ス
ゼ
ロ
・
エ
ミ
ッ
シ 住
ョ 宅
ン
・
LCCM
再
水
自
生 高 資
効
然
通
低
可
源
日 採 遮
防 防 風 能 率 等 化 ・
射 光 音
犯 災 ・
の 学 再
遮 性 性
性 性 換
有 物 生
蔽
化
気
効 質 材
利
利 利 利
用
用 用 用
エネルギー
エネルギー
間
取
り
の
可
変
性
バリアフリー
維
持
管
理
耐 耐 耐 断 気 ・
震 火 久 熱 密 更
性 性 性 性 性 新
の
容
易
性
-
●
●
●
●
●
●
●
●
●
-
-
●
●
-
-
-
-
-
●
-
●
●
●
●
-
●
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
●
●
●
-
●
●
●
-
●
-
●
-
●
-
-
●
●
-
-
-
●
-
●
-
-
●
●
-
-
-
-
-
●
●
●
●
●
●
-
●
-
●
●
-
-
●
●
-
-
-
-
-
●
-
-
●
●
●
-
-
●
●
●
注1)たとえば、家庭用エネルギーマネジメントシステム。IT技術を活用し、人に代わってエアコンや冷蔵庫等の家電機
器の最適運転を行ったり、エネルギーの使用状況を逐次料金で表示したりするなどのように、家庭におけるエネ
ルギー需要のマネジメント(省エネ行動)を支援するシステム(経済産業省ホームページ)
注2)従来からの集中型電源と送電系統との一体運用に加え、情報通信ネットワークにより分散型電源や需要家の情
報を統合・活用した、高効率、高品質、高信頼度の電力供給システム(「低炭素電力供給システムに関する研究報
告書」)
12
(
注
1
)
管
理
・
制
御
エ
ネ
ル
ギ
ー
消
費
(参考) 海外事例に見る住宅性能の規定など
建築基準の策定者(国、州、第三者機関等)は、国によって違いがあるが、日本と同
様に、英国、ドイツ、オーストラリアおよび米国においても、
「構造」
「防火」
「衛生」等、
規定項目はおおむね共通している。
なお、CO2 素排出量削減に向けて各国で義務化が進められている建築物の省エネル
ギー基準についても整理した。
(英国)
・国の建築規則(Building Regulations)は、構造、防火、耐湿、防音、換気、衛生、暖房・
給湯、燃料・電力使用、障害のある人への配慮等の機能的要件を規定している。
・2006 年の改訂により、床単位面積あたりの CO2 排出量を省エネ基準の指標として定め、
遵守が義務づけられている。
(ドイツ)
・州建築基準令(注1)では、設計、施工(防火、断熱、遮音、耐震等)
、建築材料、構造(避
難路を含む)、設備(給排水、給湯、冷暖房、換気等)、居室等に関する規定が定められて
いる。
・2002 年の「省エネルギー政令」により、新築建築物のエネルギー性能基準の遵守が義務
づけられた。2004 年、2007 年に続き、2009 年に 3 度目の改正が行われた。2009 年基準は
2007 年基準と比較して、新築・改築共に 30%の基準強化となった。
注1
連 邦 の 建 築 基 準 令 ( Musterbauordnung ) を 雛 形 に 各 州 が 実 情 に 合 わ せ た 州 建 築 基 準 令
(Landesbauordnung)を制定
(オーストラリア)
・建築基準法(Building Code of Australia)では、建築物の設計・施工・維持保全について、
構造、防火、設備、エネルギー効率、健康影響、快適性等の分野に関わる機能的規定や性
能要求事項等を定めている。
(米国)
・住宅のモデル基準(注 2)である国際住宅基準(IRC: International Residential Code)は、
構造、荷重、建築材料、電気・機械設備、配管など、公衆の衛生・安全・福祉の保護に関
する規定をはじめ、エネルギー効率や、太陽光システムに関する事項も規定している。
・住宅の省エネルギー性能のモデル基準、国際省エネルギーコード(IECC: International
Energy Conservation Code)は、首都ワシントン DC をはじめ全米 42 の州や市で採用され
ている。2009 年の改訂では、
「外皮の断熱性」
「空調ダクトの気密性・断熱性」等に加え、
「外皮の気密性」
「照明器具の効率」等の性能要件が求められるようになった。
注2 第三者機関が策定した標準モデル基準について、州法や州規則の中で採用を規定し、自治体の基準とする。
13
(2)次世代住宅のイメージ
前章で整理した現在の住宅性能基準や次世代住宅に求められる性能等をまとめ、戸建て住
宅、集合住宅のイメージとして図示化したものを、図2-2、図2-3に示す。
また、次世代住宅に求められる性能に対応する既存の製品や技術について、住宅の部位別
に整理したものを、表2-4に示す。
14
図2―2
15
図2―3
16
表2-4 次世代住宅に求められる性能に対応する製品・技術等
部位
構造
性能
A 耐震性
B 耐火性
C 耐久性
D 断熱性
E 気密性
(結露防止)
F 維持管理・更新
の容易性
G 可変性
開 口 D 断熱性
部
H 日射遮蔽
I 採光性
J 遮音性
K バリアフリー化
L 防犯性
平 面
M 防災性
計画
K バリアフリー化
設備
D 断熱性
F 維持管理・更新
の容易性
K バリアフリー化
L 防犯性
M 防災性
N 室内換気
O 再生可能エネ
ルギー利用
P 高効率エネル
ギー利用
Q 水資源等の有
効利用
R 低化学物質
J 遮音性
製品・技術等の例
①規定壁量、床倍率、接合部倍率等の確保
②免震装置(積層ゴム、支承、ダンパー等)
③コンクリート、耐火被覆鉄骨等
④床下・小屋裏の点検口設置(木造)
⑤鋼材の防錆措置(鉄骨造)
⑥水セメント比の低減(鉄筋コンクリート造)
⑦断熱材、屋上・壁面緑化
⑧気密材
⑨屋根・外壁通気層、天井・床下換気設備
⑩配管に点検口・清掃口を設ける
⑪配管をコンクリートに埋め込まない
⑫間取り変更を容易とするための躯体天井高の確保
⑬間取り変更を容易とするための壁・柱の配置
⑭断熱サッシ・扉
⑮複層ガラス、ひさし(手動、電動)
⑯天窓
⑰防音サッシ・扉
⑱階段の勾配の工夫、手すりの設置
⑲床や出入り口の段差解消
⑳補助錠、雨戸・シャッター、防犯合わせガラス等
21 排煙設備、避難器具(すべり台、避難はしご、救
○
助袋、緩降機、避難橋など)
22 介助用車いすが通れる共用廊下・階段幅、エレベ
○
ーター開口幅の確保
23 玄関、便所、浴室、脱衣室等への手すりの設置
○
24 高断熱浴槽
○
25 配管等の清掃・点検口の設置
○
26 共同住宅における共用部分への配管の配置
○
27 ホームオートメーション(電動式扉・窓、電動式で高
○
さ調整可能な収納、階段昇降機、エレベータ等)
28 防犯カメラ、ホームセキュリティシステム等
○
29 火災感知警報装置
○
30 居室、便所、浴室、台所の機械換気設備
○
31 太陽光発電・給湯システム、地熱・風力利用ヒートポ
○
ンプ等
32 燃料系潜熱回収瞬間式給湯器
○
33 電気ヒートポンプ式給湯機機
○
34 コージェネレーションシステム(ガスエンジン式、
○
燃料電池式)
35 高効率照明機器・家電等
○
36 節水型トイレ、洗濯機、食洗機等洗濯機等
○
37 雨水貯留タンク等
○
38 低ホルムアルデヒド壁紙、仕上材、接着剤、床材等
○
39 カーペット、遮音シート、吸音材、防振吊り木等
○
17
基準等の出典
a 住宅性能表示基準注1
b 次世代省エネ基準注2
a 住宅性能表示基準
a 住宅性能表示基準
b 次世代省エネ基準
a 住宅性能表示基準
b 次世代省エネ基準
a 住宅性能表示基準
c 環境共生住宅基準注3
a 住宅性能表示基準
(3)実現化に向けたテーマや課題について
【住宅メーカー、建材メーカーからのニーズ】
これまで実施したヒアリング調査等から、以下のことが明らかになった。
・自動車部品を住宅建材に活用するニーズはある。住宅やビル建材に活用することは、既に行
われており、要素技術の応用でさまざまな展開が見込める。
EX.非接触型ドアキー、自動換気雨戸やガラス戸、自動開閉ドア、排煙ダンパー、制振ゴム等
既に商品化している。
・住宅産業から見ると、一般的に自動車産業は製造業として学ぶべき事項が多く、ある意味で
先端技術である。製造技術や生産管理など高水準にあり、その製品は精緻で高級(高額)な
ものになっている。
・住宅産業は既に成熟した市場なので新しい設備や建材を求めている。一度、市場に受け入れ
られると、各住宅メーカーやマンションデベロッパーなど一気に活用・普及する可能性があ
る。住宅産業そのものは新築市場が縮小し、従来の商品では自ら商品開発する余力が尐なく
なりつつあり、新たな商品の登場を待っている。
・建材の一部は「取り付けの工程」
「材工込み」など設置や工作作業と一体化しているので、単
なる部品販売では住宅産業には入りにくい。建材メーカー等からニーズ把握を行いメーカー
に卸すことや OEM 供給をすることもありうる。直接ユーザーにリテールするとなると営業
と販売、施工、メンテナンスなど幅広い業務態勢が必要になる。既存のネットワークやサプ
ライチェーンをもった企業などと連携することも必要になる。
・建築は大規模なアッセンブル産業なので、部品メーカーと建材メーカー・電設メーカーなど
の連係も可能であり、最終製品から特化した専門的な部品生産など多様な関わり方が考えら
れる。
・中小の自動車の部品メーカーは専門分化しており、部品から製品づくりへの発想転換が必要。
部品メーカーが単独でハウスメーカー・マンションデベロッパーに売り込むのは、商品開発
能力や実用化や販路開拓などが必要で、相当なハードルがある。
・住宅の新築着工件数そのものは減尐しており、既存マーケットの中ではリフォームが中心と
なる。また海外市場などで販売点数が増えることで市場拡大をめざすべきである。
18
結 論
・住宅産業や住宅政策の今日的な課題は、「低炭素など環境負荷の低減」「住宅の長寿命化」
「快適性や利便性」の3つの要素に集約される。
・これら3つの目標の多くは、自動車産業も同様のテーマを追求しており、既存自動車技術
はある側面でリードしている
・総論として、自動車関連技術を住宅産業・住宅関連産業への展開ニーズはある。
・ただ、既存の中小部品メーカーが直接ハウスメーカーやマンションデベロッパーと連携し
て商品開発するのはハードルが高い。
・国内マーケットの縮小に伴い、建材メーカーでは業界再編・異業種連係など大きな変化の
途中にある。今後は異業種・他分野も含めたグループ化の中で商品開発も進む可能性があ
る。
以上、ここまでは住宅産業や住宅メーカーの立場から、中部地域の自動車を中心としたもの
づくり技術に期待する事項を整理した。これ以降では中部のものづくり産業の特性や強みから、
次世代住宅産業への参入について、その意識と問題点を検討する。
19
3.住宅・次世代住宅産業への展開イメージ
次に自動車関連産業の企業における住宅・次世代住宅産業への参入の現況や住宅・次世代
住宅産業への参入への関心を把握するため、管内の自動車関連産業の企業へのヒアリング調
査を実施した。
(1)住宅産業市場(ニーズ)への自動車(機械)技術の応用例
ヒアリング調査を通じて、下記のような住宅産業における自動車(機械)技術の応用事例
が見られた。これらの事例を住宅・次世代住宅産業に求められる性能(前章掲載)別に整理
した。
住宅産業市場
(ニーズ)
部位 性能
構造 A 耐震性
C 耐久性
D 断熱等
H 日射遮蔽
開口
部
L 防犯性
(通風性)
(通風性)
平面
計画
製品
制振装置
住宅鉄骨防錆技術
(カチオン電着)
サッシ
日射制御ブラインドシャ
ッター
(エアリーガード)
防犯ブラインドシャッタ
ー
(エアリーガード)
高通風網戸
企業
トヨタ
ホーム
トヨタ
自動車
アイシ
ン精機
アイシ
ン精機
アイシ
ン精機
基となる技術・製品等
サスペンションのショックアブ
ソーバー技術
自動車防錆技術
バス窓枠の押出製造技術
駆動部の機構
睡眠、目覚めの基礎研究(ベッド
製品)
ウインドウレギュレータ技術(駆
動部の機構)
トヨタ
紡織
自動車用繊維・外装品
遮音材(ダイナミックダ
ンパー)
室内昇降機
(住宅福祉機器)
豊田合
成
スギヤ
ス
自動車エンジンの振動対策技術
車イス用電動式段差解消
機(住宅福祉機器)
玄関錠認証(ラ・ロック)
窓施錠モニター
エコキュート
トヨタ
車体
東海理
化
デンソ
ー
デンソ
ー
アイシ
ン精機
豊田
合成
防災性等
J 遮音性
K バリアフリ
ー化
K バリアフリ
ー化
L 防犯性
設備
自動車(機械)技術応用製品例
P 高効率エネ
ルギー利用
P 高効率エネ 全館空調システム
ルギー利用
P 高効率エネ ガスヒートエアコン
ルギー利用
P 高効率エネ 住宅用 LED 照明
ルギー利用
資料:各種資料、ヒアリング調査結果より作成
20
搬送技術
欧州製品からの技術導入
(自動車立体駐車場、搬送機器)
福祉車両関連
自動車盗難防止用イモビライザ
―
自然冷媒技術(カーエアコン)
高効率化空調技術(カーエアコ
ン)
スターリングエンジン
インパネ照明 LED 技術
(参考)自動車関連技術の性能と具体例
自動車等にかかわる主な性能とその性能に使用されている技術及び具体的な製品・技術等の
事例を整理した。
性能
・室内の快適性の保持(温度
管理、湿度管理、臭気管理)
快
適
性
・空気の質の管理
技術
車室内空調技術
空気質制御技術
・騒音、振動、揺れ対策
NVH( 騒 音 ・ 振 動 ・
ハーシュネス)
・操作の利便性向上
エレクトロニクス
人間工学
21
製品・技術等の例
・自動車用エアコン
・CO2 エアコン
・空調用冷媒
・ヒーター
・ヒーターコア(熱交換機)
・ヒーターコントロール
・内気温センサー
・外気温センサー
・寒冷地仕様
・日射センサー
・熱線吸収ガラス
・熱線反射ガラス
・湿度センサー
・エアミックス温度コントロール
・臭気原因物質センサー検知機構
・臭気除去システム
・オートエアピュリファイヤー等空気清浄シス
テム
<騒音>
・吸音材
・遮音
・エンジンの制振・騒音対策(振動の伝達防
止、剛性向上設計、動吸振器等)
・消音器
<振動・揺れ>
・サスペンション(足周り)
・独立懸架
・マルチリンクサスペンション
・ショックアブソーバー
・アクティブサスペンション
・スカイフックダンパー
・油圧アクティブサスペンション
・電子制御サスペンション
・減衰可能ショックアブソーバー
・アクティブコントロールエンジンマウント
・ダイナミックダンパー
・バランサーシャフト
・制振鋼板
・軽量化、振動伝達機構を考慮したボディ、
シャーシー
・キーレスエントリー
・オートドアロック
・インストルメントパネル
・タコメーター
・複合操作システムとしての動力伝達系自動
変速装置
・音声認識
・ヘッドアップディスプレイ等
性能
・外部情報の提供による利便
性の向上
技術
運転環境向上の情
報提供技術
事故安全対策
・安全、安心の向上
安
全
走
行
人を守る技術
・衝突安全技術
・操縦安定性
「走る、曲がる、止まる」ための
基本性能
安全運転の基本性
能
・道路の走行状態の変化に対
応できる
危機回避技術
22
製品・技術等の例
・カーナビゲーションシステム
・ETC
・マップマッチング
・車載総合情報ターミナル
・ブローブカーによる交通情報収集
・ハンズフリー電話
・後部座席エンターテイメントシステム
・地上デジタルテレビ等
・車載記録装置(ヒヤリ、ハットを記録するドラ
イブレコーダーEDR、故障診断装置 OBD)
・衝突安全技術
・予防安全技術
・アダプティブクルーズコントール
・プリクラッシュ・セーフティ(衝突安全+予防
安全)
・エネルギーを吸収する車体構造技術(フレ
ームからフロアーに荷重を分散する構造、側
面衝突の荷重を受け止める構造、歩行者の
衝突時の衝撃を緩和する構造)
・乗員の障害を低減する拘束デバイス技術
(シートベルト、プリテンショナー・ロードリミッタ
ー機能、エアバック(サイドエアバック、カーテ
ンエアバック等))
・操舵応答性、外乱安定性を支配するシャー
シー技術(ステアリング機構、サスペンション
機構)
・ステアリング
・電動パワーステアリング
・バリアブルギアレイシオステアリング
・パワーステアリング
・アクティブロール制御
・アクティブスタビライザー
・空力付加装置(エアスポイラー)
・タイヤの機能
・ランフラットタイヤ
・空気圧警報装置
・タイヤがスリップしない技術(ABS、TCS)
・ブレーキ
・アンチロックブレーキシステム
・ブレーキアシストシステム
・前輪・後輪のアクティブ操舵システム
・車体の横滑り防止システム(ESC)
・シャーシー制御、予防安全技術
・アクティブ化されたステアリング技術
・自律型予防安全システム(横滑り防止、車
線逸脱防止、前方車追従、被害軽減ブレー
キ)
・インフラ協調安全システム(GPS,デジタルマ
ップ)
性能
走
行
性
・燃焼エネルギーを回転 エ
ネルギーに変換
・剛性
・振動の低減
・軽量化
技術
ピストンエンジン
(4 ストローク)
(ロータリー)
(2 ストローク)
(スターリング)
・熱効率(燃費)
・窒化酸化物の低減
ガソリンエンジン
・熱効率(燃費)
・排出ガス清浄化
ディーゼルエンジ
ン
・吸気系、排気系、冷却系の
流体の圧力、湿度、流量及び
濃度の計測
・エンジン部品(カム、クラン
ク、スロットル、バルブおよび
アクチュエーター)の幾何学
的角度、位置の検出
エンジン制御
動力伝達効率
変速機
23
製品・技術等の例
・動弁機構
・クランク機構
・エンジン構造体
・遮熱エンジン
・過給システム
・ガスエンジン
・吸気システム
・排気システム
・アイドリングストップ
・排出ガス再循環(EGR)
・絞り弁
・ターボチャージャー
・スーパーチャージャー
・直噴エンジン
・燃料噴射・システム、ポンプ、ノズル
・ミラーサイクルエンジン
・インタークーラー
・プレッシャーウェーブスーパーッチャージャ
ー
・オルタネーター
・電子スロットル
・気化器(キャブレター)
・点火システム・コイル・プラグ
・着火制御
・燃焼制御
・吸気スワール
・排気ブレーキ
・グロープラグ
・エンジンルーム内冷却
・エンジン制御センサーシステム
・A/F(空燃比)センサー
・エアフローセンサー
・クランク角センサー
・酸素センサー
・水温センサー
・スロットル開度センサー
・ダイナモメーター(動力計)
・燃焼圧センサー
・燃料圧センサー
・ノックセンサー
・排気温センサー
・バキュームケージ(負圧センサー)
・ロータリーエンコーダー
・車両統合パワーマネジメント
・エンジン・エアコン協調制御
・手動変速機(マニュアル、MT)
・自動変速機(オーマチック、AT)
・無段変速機(CVY、IVT)
・デュアルクラッチ
性能
環
境
対
応
・
ゼロ
エミ
ッシ
ョン
化
技術
駆動輪の路面に伝える力の
制御
駆動方式・制御
自動車単体のエネルギー効
率改善
二酸化炭素の排出
削減
エネルギーマネジメント
を可能にする
ハイブリッド車
電気自動車
走行段階で排出ガスを出さな
い
1 次エネルギーに原油の必要
がない
水素燃料電池車
・強度
・成形性
・耐食性
・軽量化
鉄鋼材料
・軽量化
非鉄金属材料
・耐熱性
・難燃性
高分子材料
24
製品・技術等の例
・トルクコンバーター
・一方向クラッチ
・湿式クラッチ
・シンクロメッシュ
・流体継手
・フライホール
・駆動力配分制御
・駆動系拘束力制御
・総駆動力制御
・前輪・後輪・四輪・駆動
・差動装置
・動力取り出し装置
・トランスアスクル
・プロペラシャフト
・燃費向上
・低炭素燃料の導入
・ハイブリッド車
・プラグインハイブリッド車
・二次電池
・専用トランスミッション
・HEV 用モーター
・制御システム等
・ニッケル水素電池
・リチウムイオン電池
・充電装置
・主機モーター、補機モーター
・パワーエレクトロニクス
・自動車用電源
・燃料電池
・電解質膜(イオン交換膜)
・電極触媒層
・ガス拡散層
・セパレーター
・燃料電池発電システム
・水素エンジン
・バイフュ―エル
・軟鋼板
・表面処理鋼板
・高張力鋼板
・特殊鋼
・鋳鉄
・焼結材料
・アルミニウム
・マグネシウム合金
・チタン合金
・異種金属の結合技術
・電食対策技術等
・車体・外装用材料
・エンジン部品用高分子材料
性能
資
源
の
保
全
技術
製品・技術等の例
・内装用材料
・接着剤
・美観
・防錆
・はっ水性
・対傷付き性
・環境負荷低減
・耐貫通性
・強度・耐衝撃性
・破壊時の安全性
・撥水
・熱線・紫外線カット
・調光
・反射防止
・遮音
・耐食性等
塗料
・車体用塗料
・水性ベース塗料(有機溶剤を用いない)
ガラス
セラミック材料
・効率性
新動力源用材料
・有害成分の無害化
・粒子状物質の捕集
排出ガス対策用材
料
・エネルギー密度等
燃料
・高性能化
・処方技術開発
潤滑油
資料:「自動車の百科事典」(丸善、2010)より作成
25
・窓ガラス
・構造用セラミックス
・センサー機能材料等
・二次電池用材料
・モーター用材料
・永久磁石
・電磁鋼板
・排出ガス浄化触媒
・パティキュレートフィルター
・火花点火エンジン用燃料
・ガソリン
・LP ガス
・天然ガス
・CNG
・水素
・ディーゼル燃料
・軽油
・代替燃料(FT 合成油、DME)
・バイオ燃料
・エンジンオイル
・トランスミッションオイル
・パワーステアリング用油
・グリース
(2)次世代住宅に求められる性能に対応する技術と自動車関連の技術(例)
前述の住宅産業市場への自動車(機械)技術の応用事例等を踏まえ、住宅・次世代住宅産業
に求められる性能に対して、今後、活用が期待される自動車関連等のものづくり技術を下記の
通り整理した。これらの技術活用により、今後さらに自動車関連等のものづくり企業による住
宅産業への参入が期待される。
部位
住宅の製品・技術等
性能
構造
①規定壁量、床倍率、接合部倍率等の確保
A 耐震性
②免震装置(積層ゴム、支承、ダンパー等)
B 耐火性
C 耐久性
D 断熱性
E 気密性
(結露防止)
F 維持管理・更
新の容易性
G 可変性
開口部
平面計
画
③コンクリート、耐火被覆鉄骨等
④床下・小屋裏の点検口設置(木造)
⑤鋼材の防錆措置(鉄骨造)
⑥水セメント比の低減(鉄筋コンクリート造)
⑦断熱材、屋上・壁面緑化
⑧気密材
⑨屋根・外壁通気層、天井・床下換気設備
⑩配管に点検口・清掃口を設ける
⑪配管をコンクリートに埋め込まない
⑫間取り変更のための躯体天井高の確保
⑬間取り変更するための壁・柱の配置
H 断熱性
⑭断熱サッシ・扉
I 日射遮蔽
J 採光性
K 遮音性
L バリアフリー
化
⑮複層ガラス
⑯天窓、ひさし(手動、電動)
⑰防音サッシ・扉
⑱階段の勾配の工夫、手すりの設置。昇降支援
⑲床や出入り口の段差解消など昇降支援
M 防犯性
⑳補助錠、雨戸・シャッター、防犯合わせガラス
N 防災性
O バリアフリー
化
期待される(自動車)
技術
施工性の高い金具・工
具
ダンパー、ゴム、制振
鋼板、エネルギー吸収
構造
-
-
耐候性塗料、鋼板
-
不燃性断熱材/セラ
ミック
21 排煙設備、避難器具(すべり台、避難はしご、救
○
助袋、緩降機、避難橋など)
22 介助用車いす対応の廊下・階段幅、エレベーター
○
開口幅の確保
23
○玄関、便所、浴室、脱衣室等へ手すりの設置
26
空気清浄システム、熱
交換など
-
-
-
-
不燃性断熱材/セラ
ミック等
熱線吸収(反射)ガラ
ス、センサー材料、動
力装置制御、消音装置
駆動系制御 等によ
る電動化(パワーウィ
ンドウ、自動ドアな
ど)
駆動系制御 等によ
る電動化
-
-
部位
設備
住宅の製品・技術等
24 高断熱浴槽
○
25 配管等の清掃・点検口の設置
○
Q 維持管理・更
26 共同住宅における共用部分への配管の
○
新の容易性
配置
27 ホームオートメーション(電動式扉・窓、電
○
R バリアフリー
動式で高さ調整可能な収納、階段昇降機、
化
エレベータ等)
28 防犯カメラ、ホームセキュリティシステム等
S 防犯性
○
29 火災感知警報装置
T 防災性
○
性能
P 断熱性
U 室内換気
30 居室、便所、浴室、台所の機械換気設備
○
V 再生可能エ
ネルギー利
用
31 太陽光発電・給湯システム、地熱・風力利
○
用ヒートポンプ等
W 高効率エネ
ルギー利用
32 燃料系潜熱回収瞬間式給湯器
○
33 電気ヒートポンプ式給湯機器
○
34 コージェネレーションシステム(ガスエンジ
○
ン式、燃料電池式)
35 高効率照明機器・家電等
○
期待される(自動車)技術
新素材/寒冷地仕様
駆動系制御 等による電
動化、ヘッドアップディ
スレイなど視覚支援
車載情報ターミナル等
臭気原因物質センサー、
外気混合温度コントロー
ル等
総合情報システムなどを
使った省エネルギーの見
える化
エアコンやヒーターコア
(熱交換機)などの技術
の活用
総合情報システムなど省
エネルギーの見える化
-
36 節水型トイレ、洗濯機、食洗機等洗濯機
○
等
37 雨水貯留タンク等
○
-
38 低ホルムアルデヒド壁紙、仕上材、接着
○
内装材、接着剤
Y 低化学物質
剤、床材等
39 カーペット、遮音シート、吸音材、防振吊り
○
内装材、遮音・吸音素材
Z 遮音性
木等
※一般的に可動部分の技術は自動車が得意、ディスプレィ等情報機器・インテリア、新素材など
X 水資源等の
有効利用
は共通性がある。
※内燃機関として特色ある技術はエネルギー分野。
※水を使う技術は未開発(耐腐食性などはある)
。
27
4.住宅産業への参入、次世代住宅の実現に向けた障壁
自動車関連企業が住宅産業に新たに参入してゆくにあたっては、従来の住宅産業にない新しい
機能や設備の開発、あるいは優れたコストダウン能力が必要となってくる。このような次世代住
宅の開発と実現により、優れた技術や生産システム、企業間ネットワークといった自動車産業の
強みを活用した参入の道筋が開けてくる。
ここでは自動車関連企業の次世代住宅への取組み状況や参入への関心を把握するため、アンケ
ート調査及びヒアリング調査を実施した。
(1)住宅・次世代住宅産業参入への関心度
住宅・次世代住宅産業への参入への関心については、参入実績を有している企業は尐なく、
今後の参入については、関心はあるが具体的取組みにいたっていない企業や、条件が合えば展
開を考えたいという回答が多く見られた。その背景として、自社技術の活用方法がわからない
ことや参入するとなるとかなりの投資が必要になるといった理由が見られた。
(2)現況からみた障壁
すでに参入している企業は参入に関心がある企業が抱えている参入障壁として下記のような
障壁が浮き彫りとなった。
1)想定される障壁
障壁
法制度(規制)
商習慣
価格
流通経路
市場
製品
具体的な意見
・建築基準法、エレベーター法など建築関連法規
・介護法など医療・福祉関連法規
・試作品を試すという発想はない
・完成品での提案ないしその一歩前の完成度が求められる
・
(介護分野)ボランティア、無料が当たり前の意識が強い
・商流の知識がない
・流通経路が複雑なため1次卸でかけ率を安くする必要あり
・
(太陽光発電等)補助金がないと導入が減尐すると思われる
・
(省エネ等)消費者にとってメリットが見えにくい
・消費者にとり一生に一度の買物(高価格)
・コストダウンの要求
・低価格イメージがある
・施工業者とつながる流通ルートを確保する必要あり
・地域ごとに流通ルートの特性が異なる
・製品により流通ルート異なる
・住宅着工数の減尐が懸念される
・自動車市場のような量産条件はない/多品種尐量のニーズ対応
・競合相手として、既存の住宅設備機器メーカー
・最終消費者(施主、主婦)へのアピールの必要性
・どうビジネスモデルにするか
・製品ライフサイクルが長い
28
技術
・長期の製品供給や製品保証の必要
・メンテナンスサービスが不可欠
・部品でなく完成品が求められる
・先進企業も OEM 供給が中心
・デザイン力が求められる
・住宅内で使用される場合、油圧等の使用は不適
・精密性より現場での調整可能性、特寸対応
・サイズ、色等、多品種、品揃えへの対応が必要
・ハウスメーカーにより規格が違う
・部品供給と据え付け工事がセットである必要
・企画提案力が求められる
資料:ヒアリング調査結果等をもとに作成
2)ものづくり製造業が求める情報
住宅・次世代住宅産業への参入に関心がある企業は次のような情報を必要とされている。
・次世代住宅の市場動向、量販化の時期
・スマートグリット関連の川上、川下の予想
・将来、商品化が予想されるものの公開
・住宅向け照明計画、照明基準
・住宅メーカー、建材メーカーの具体的ニーズ情報
・部品製造メーカーへ要求する製造技術
・技術ニーズの情報新機能を実環境で試験・評価するためのフィールドに関する情報
・パートナーを見つけるための情報
3)ものづくり製造業の支援ニーズ
住宅・次世代住宅産業への参入に向けた支援については、下記のようなニーズが見られた。
・ニーズとシーズのマッチング支援
・住宅設備メーカーとのマッチング機会の提供及び共同開発支援
・建材メーカー、住宅メーカーとの共同開発支援
・開発のために必要なスタート支援やバックアップを
29
5.ものづくり技術を活用した住宅・次世代住宅産業への展開と参入障
壁への対応策
(1)ものづくり技術を活用した住宅・次世代住宅産業への展開を推進するための重点
中部地域のものづくり技術や文化的背景を生かして、次世代の住宅、建材、関連産業へと展
開するため、以下のような点が視点となる。
(視点)
1)自動車産業の蓄積や技術の優位性を最大限生かす
自動車産業の優位性とは
・危機回避や安全走行のため、人間工学に基づいたインターフェイスや情報提供技術が洗練さ
れている。瞬間的に認知するための直感的な情報伝達のデザイン・技術が優れている。
・コストダウンや量産化技術が優れており、低価格の製品を安定的に供給する生産技術がある。
今後、新しい住宅設備や建材を普及するには価格の低減が不可欠であるため、中部の生産シ
ステムが活用できる。
2)新たな価値創造に向けた連携の必要性
中部地域における中小製造業の特性として、垂直方向の企業連係の中で、自社の得意分野に
絞り込み優れた製品を低価格・短工期で提供するといった傾向が強い。今後は自動車産業以外
に住宅・住環境分野に着目し、生活文化、ライフスタイルに関わる多様な産業分野との関わり
を強めて行く必要がある。
(具体的には住宅、建材などのハード分野、教育、健康、福祉・医療
サービスなどと連係した設備開発など)
3)商品開発力・市場創造力をもった企業行動(指向性)の転換
生産効率や省力化が進む反面、技術は洗練されてゆくが、新たな商品開発力や研究開発の余
力が低下する。比較的体力のある中堅企業を核にして、中小企業の連携を深めつつ商品開発の
動きが必要になってくる。
4)中部地域と国内外市場をつなぐ仕組みづくり
中部の個性を生かしつつ、ローカルな需要に終わらず、国内外のグローバルな市場に通用す
る普遍性の高い商品開発を行う。また地域性を感じさせる製品やサービスにより独自性とその
魅力を発揮するような人材教育や企業間連携が必要である。
30
(2)参入が期待される産業分野・技術分野
上記の重点を踏まえて、これからの住宅が高度化すべき分野を整理すると下記のような産業
分野・技術分野への展開が期待される。
各地の住宅政策や住宅需要から求められる3つの要素として、
「長寿命化」「環境負荷の低減」
「住まいの快適性や利便性」がある。これらに加えて、住環境や社会、居住関連サービスとの
関連によって「安全と安心」を加えた4つの軸から、今日そして次世代の住宅に求められる機
能や装置の姿が浮かび上がってくる。
住宅・次世代住宅産業への参入が期待される産業分野・技術分野
1)住宅の長寿命化
住宅の寿命は耐震性能や耐火性能などの物理的な要素と利用者の年齢や家族構成などの変
化や新しい機器や生活行動の変化による機能的要素(社会的寿命)によって規定されている。
これらの物理的寿命と社会的寿命を長くすることで、トータルなコスト削減や省資源化を進
めることになる。また、長く住むことで安定した地域コミュニティの維持や慣れ親しんだ地
域景観の形成にも寄与してくる。
そのような住宅の長寿命化に結びつく性能や技術開発の目標として例えば、
・耐震性能、防火性能など構造や外壁の強化や材料開発。また昇降装置など新しい装置需要
に対応できる余裕あるスケルトンや強度。
・設備や配管類の改変可能性などに対応するインフィル部分の技術革新
・ユーザーの家族構成や年齢の変化に対応した住宅設備の改変やサービスの導入
げられる。
31
等があ
2)環境負荷の低減
CO2 の削減は人類的な課題であり、中でも民生部門とりわけ住宅の冷暖房に必要とされる
エネルギー量を抑制する必要がある。そのため自然のエネルギーを活用すると共に低未利用
のエネルギーを最適化する調整技術が進められている。
一方、情報通信技術の伸展により、スマートグリットなど地域レベルでのエネルギー消費
の最適化といった事項も期待される。自動車の蓄電池技術の伸展や普及に併せて住宅との連
携は不可欠である。今後、期待される技術分野として、
・低炭素の発生や環境負荷を最小限にとどめるような「賢い」建材や断熱材、調湿壁材など
高性能素材の開発
・太陽光・自然通風など自然エネルギーの活用
・住宅や自動車相互、近隣の施設などと連携した、未利用エネルギーを最適利用するシステ
ム
等有望な技術分野である。
この分野では日本各地における実証実験や欧米のソーラーデカスロンなど、既に多くのト
ライアルが始まっている。
3) 快適性、利便性
住宅はより健康的で快適な生活を営む空間として更なる機能向上を求められている。技術
の向上により新たな電化製品が導入され、より一層の利便性が付与される。さらにゲームや
娯楽、文化活動など生活を豊かにするさまざまなサービスや道具も充実してくる。成熟した
住宅市場では、
「健康になる住宅」
「警備や医療サービスと連携したマンション」
「ホテルのよ
うな生活サポート付きマンション」
「団地カーシェアリング」など、多様な装置やサービスが
日々、開発されている。
・バリアフリー住宅
・情報通信を使った通信教育や遠隔医療システム
・娯楽分野におけるオンデマンドサービス
等 情報通信やリモートセンシングなどと連
携し、さまざまな商品やサービスの展開が予想される。
4)安全と安心
単独の住宅のみならず、マンションや団地などその地域やコミュニティレベルで達成され
るものである。住み手の満足度や居住の安定性などさまざまな条件を複合的に満たす必要が
ある高度な要求である。住宅としての質が満たされるだけでなく、住んでいる人たちに精神
的な充足や安心感が与えられてこそ、質の高い居住が実現される。
今後はロボット技術や交通制御システムなどを活用した、福祉・警備・交通支援などさま
ざまな可能性を持っている。その例としては
・福祉サービスや介護など住み続けるための支援装置やサービス
・地域モビリィティを維持向上させる買い物サポート
・自動車や自転車、幹線の公共交通と端末手段との連携など、様な交通手段を有効利用した
交通システム
等 情報ネットワークと連携・活用したサービスが期待される。
32
(3)ものづくり技術を活用した住宅・次世代住宅産業への展開の促進及び参入障壁
への対応策への提案
1)方向性
ものづくり技術を活用した住宅産業への参入、次世代住宅実現に向けた展開を図るための対
応策として次の取組を推進していく。
①中部の産業構造が有する競争力の活用
中部地域のものづくりは、リーディング企業が牽引するピラミッド型産業集積を有し、そ
の集積構造のもと、多種多様な部品・部材を必要とする自動車産業を中心に摺り合わせ技術
が効果的に機能する構造、カンバン方式などによって培われた効率的生産システムが構築さ
れている。そして、その産業構造がより高質な製品を低コストで、精確に生産できるところ
が世界的競争力を形成している。そこで、住宅・次世代住宅産業への展開に向けても、この
中部のものづくり産業の優位性を最大限に活かしていくことが期待される。
②中部の生産システムを活用した住宅・次世代住宅の規格化・ユニット化の推進
主要な参入障壁の一つとなっている、品種の多さや規格が様々な点が、量産化しいては生産
コストの削減を阻んでいることが明らかとなった。
そこで、中部の生産システムの競争力を活かし、新たな次世代住宅に関する製品における
ユニット生産や製品・部品の規格化や生産技術における設計ソフトウェアの共有化等の開発
に取り組む仕組みや体制づくりを図る。例えば、中部地域のものづくり中小企業の技術のパ
ッケージ化や、中部のものづくりの優位性がある技術を活用した、中部らしい規格化(例:
自動車の高断熱・高気密性の実現等)を構築し、ノウハウを蓄積する等の取組を推進する。
また、住宅産業における製品開発は、メンテナンス・施工・保守サービスの提供方法まで
構築しないと完成品とならない。製品開発においては、これらの関連サービスまで含めた開
発ができる仕組みづくりを目指す。
③新たな価値創造に向けた連携体の構築
新たな価値創造に向けて、新たな企業間連携の構築が必要となっている。多様な連携の構
成が考えられるが、住宅・次世代住宅産業の市場との関係性に着目し、下表に、今後強化が
期待される市場へのアプローチ手法において、構築すべき連携体を整理した。中でも、規格
化・ユニット生産に向けた技術開発を進めるための、中部の生産システムを活用した連携(大
企業・中堅企業を核とした連携)
、BtoBにおける技術の高度化・新技術品の開発を進めるも
のづくり企業間の連携、教育、健康、福祉・医療サービス等の分野における新製品開発等を
進めるためのサービス産業、地場産業等との連携等の構築に向けて、新たな企業間連携の取
組の推進を図る。
特に、ものづくり企業の中核とした商品・技術開発においては、次世代住宅に活用される
新技術の開発や、その生産の効率化、また次世代住宅を構成する部材・部品の高度化等の開
発を推進していくことが求められる。
また、これらの連携事業を推進していく上で、その取組をリードする中核機能が重要とな
33
る。事業推進において、これらの中核となる企業・組織の発掘と、そのモチベーションの向
上につながる支援をしていくことが求められる。例えば、住宅メーカーや建材メーカーが必
要としている製品や機能に関する情報を積極的に提供し、提案すれば採用する等といった情
報提供をすることで、中堅企業も本格的に取組モチベーションが生まれる。
④段階的取組の推進
次世代住宅の展開に向けた、産業界の取組は、今後将来的に展開が広がっていく分野であ
るため、その取り組みは長期的展開を図っていくことが重要と考えられる。そのため、対応
策についても、早急に取組めるテーマから、啓発からスタートし長期的に推進していくべき
テーマまで、その時間軸に合わせた取組を推進していくことを目指す。
34
【ものづくり中小企業による住宅産業・次世代住宅産業市場へのアプローチ手法】
<従来型のアプローチ手法>
住宅ユーザー・消費者
住宅産業・次世代住宅産業市場
自動車関連産業
大・中堅企業
・住宅建材メーカー
・設備メーカー
・家電メーカー
①
②
③
ものづくり中小企業
①製造業取引関
係の活用
②住宅産業ネットワ
ークの活用
商品の共同開発、
ビジネスモデル、
取引関係の構築
等
③マーケット・ダイ
レクト型
事業規模・ 小、ニ
ッチ分野
①自動車関連産業の大・中堅企業が取り組んでいる住宅・次世代住宅分野における事業において、
ものづくり中小企業が受注している場合であり、従来の自動車産業での取引関係がある中で、
商慣が分かる点や受注条件の調整がしやすい点から、比較的取組みやすいが、下請け関係から
の脱却が困難な面もある。
②住宅建材メーカー、設備メーカー、家電メーカー等の住宅産業の大手企業からものづくり中小
企業が受注している場合である。多数の企業の住宅産業ネットワークが活用できるので、複数
の企業と取引が可能である。一方で、商慣行が異なる点等は留意が必要である。また、中部の
製造業における系列関係がないため、受注を獲得するためには、取引企業への製品や技術の提
案力も要求されることも多い。
③ものづくり中小企業が自社の技術を活用し、住宅・次世代住宅分野の製品・サービスを開発し
自社製品・サービスとして、ダイレクトに住宅・次世代住宅産業市場に参入している場合であ
る。ものづくり中小企業の生産力や営業・販売力、開発力等から量産型の製品に取組むことは
困難であり、大手企業と競争環境にないニッチな分野や比較的小規模な事業が多い。
35
<今後強化が期待されるアプローチ手法>
住宅ユーザー・消費者
住宅メーカー
新機能・新分野製品の開発
規格化・ユニット生産に向けた技術の開発
技術の高度化・新技術品の開発
大学・研究機
関 等
①
サービス産業、地場産業等
(セキュリティ、介護福祉 、
デザイン会社、地場の窯業
等)
自動車関連産業
中堅企業
②
③
①
共同企画・開発
・住宅建材メーカー、
設備メーカー、家電メ
ーカー 等
④
ものづくり中小企業
関連産業企業
①大学や研究機関との共同プロジェクト等への参画により、大学や研究機関が有している研究シ
ーズを活用した事業化等への取組が期待される。短期間での製品化よりも、中・長期的な技術
開発や開発力を養成していくこと、新たな発想や違う視点からの気付き等が得られる効果も期
待できる。
②サービス産業、地場産業等(セキュリティ、介護福祉 、デザイン会社、地場の窯業 等)と
の連携により、住宅・次世代住宅に関連するセキュリティ、介護福祉、教育、医療サービス等
新たな事業の創出が期待できる。
③自動車関連産業の中堅企業と連携し、住宅メーカーが取得している住宅市場のニーズに沿った
製品開発や技術・製品の提案を行う。ものづくりにおける高度技術を有した連携により、高品
質な製品開発やコストダウンが可能となる。また、さらなる技術の高度化・新技術品の開発力
が形成されることが期待される。
④これまでは製品提案を求められていた住宅建材メーカー、設備メーカー、家電メーカー等と製
品開発に取組めるような連携を形成していく。その中で、住宅建材メーカー、設備メーカー、
家電メーカー等のニーズや住宅市場のニーズを把握し、よりニーズに合致した技術の提供を図
っていく。また、住宅メーカー、設備メーカーにもものづくり技術の知識が蓄積されることも
期待できる。
36
2)対応策への提案
住宅・次世代住宅における新事業を創出するための仕組みとして、多様な連携の推進を図っ
ていくことが重要ということが明らかとなった。連携を図っていくためには、ものづくり中小企
業も独立した組織体として連携に参画するためには開発に必要な能力の向上が求められる。特に、
市場を把握するために、住宅ユーザー・消費者のニーズを把握するためのチャンネルの構築、住
宅産業特有の法規等の知識の習得、自ら企画・開発する事業力の向上等を図る必要がある。そこ
で、次の4つの取組を重点的に推進していく。
1.次世代住宅のコンセプト・新技術・新製品開発に向けた多様な連携の推進
次世代住宅の実現に向けた、新たな発想やコンセプトの創出、その具現化に向けた技術や製
品の開発に向けた、ものづくり中小企業と住宅メーカーや住宅設備メーカー、製造中堅企業、
サービス業等の異業種、大学・研究機関との連携による取組を推進する。
(施策案例)
・地域内外の研究機関との連携(例:産総研中部の取組と連係 39 ページ参照)
・ものづくり中小業とのマッチング会の開催
・共同開発プロジェクト支援(研究会の開催等)
・住文化や生活関連産業との交流事業
・大学・研究機関や異業種との連携による、次世代住宅のコンセプトや新たな価値を生み出
す競争の場づくり(コンテスト等)
(想定される効果)
・産業界と大学・研究機関との連携により、次世代に向けた新たな発想や高度な技術・製品の
開発の推進が可能となる。
・技術の摺り合わせだけでなく、マーケットを意識した商品開発での共同化により、高質な商
品開発につながる。
・完成品での提案ができないものづくり中小企業も発注者との連携事業により商品開発への取
組みへの参画や生産受注が獲得できる。
・商品開発の仕組みが構築されることで、現行よりも量産化に向けた生産や量産化を可能とす
る部品等の汎用品の開発が進められる。
・住宅産業における技術連携や工事、メンテナンス事業者等との連携等により、生産からメン
テまで一貫したサービスが提供できる。
・住宅メーカー、設備メーカーにもものづくり技術の知識が蓄積される。(開発途中での提案
が受けられる)
・サービス産業との連携により、新たな商品・サービスの創出が期待される。
・地場産業やデザイン会社等との連携により、高付加価値型商品の開発につながる。クールジ
ャパンとして世界市場への展開も期待できる。
37
2.住宅・次世代住宅産業市場へのアプローチ支援
ものづくり中小企業と住宅ユーザー・消費者とがダイレクトに情報交換ができることにより、
住宅ユーザー・消費者の動向・ニーズを把握し、住宅ユーザー・消費者に向けて新たな商品・サ
ービスが提案・PR できる仕組みづくりを図る。
(施策案例)
・ ものづくり中小企業の消費者向け展示会への出展
(想定される効果)
・ 住宅ユーザー・消費者とのダイレクトな情報交換が可能になり、ニーズにあった商品・サ
ービスの提供ができる。
・住宅ユーザー・消費者への提案・PR による商品・サービスの販売が促進される。
(新たなラ
イフスタイルや価値の提供)
3.関連情報の提供
住宅・次世代住宅産業に関連する情報や、建築基準法等の関連法規等、事業推進上必要な知
識について情報提供を図る。
(施策案例)
・ 関連情報を提供するセミナー・研修会の開催
・ 印刷物、メール等による情報提供
(想定される効果)
・新規産業分野への参入環境がよくなる。
・新産業分野での事業リスクの低減
4.ものづくり中小企業における事業力の向上
新規分野である住宅・次世代住宅産業における事業推進力を高めるため、多品種小ロットに
対応できる生産体制の構築やマーケティング、企画、開発力の向上等といったものづくり中小
企業の事業力の向上を図る取組みを支援する。
(施策案例)
○ 啓発活動(成功事例の紹介、成功者との座談会 等)
○ 相談、講習会の開催
(想定される効果)
○ マーケティング、企画、開発力の向上により、市場を意識した事業展開の促進
○ ものづくり中小企業の高付加価値化の推進
○ 新事業・新商品の創出促進
38
資料 独立行政法人 産業技術総合研究所(中部) の取組み
「環境ハーモニック建材研究−住空間に省エネルギーと快適性を与える材料の研究−」
産業技術総合研究所は環境・エネルギー、ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、ナノ
テクノロジー・材料・製造、標準・計測、地質という多様な6分野の研究を行う我が国最大級の公的
研究機関です。特に産総研が貢献するべき重要分野として世界最高水準にある我が国の環境・エネル
ギー技術をさらに発展させる「グリーン・イノベーションの推進」、質の高い医療サービスへのニーズ
に応え、尐子高齢化社会・介護などの課題に対応する「ライフ・イノベーションの推進」
、国の安全・
安心を支える「知的基盤の整備・推進」、科学技術立国を掲げる我が国の産業競争力の強化、明るい未
来社会を切り拓く「先端的技術開発の推進」を研究推進戦略としている。
次世代の住宅研究として、「環境ハーモニック建材研究−住空間に省エネルギーと快適性を与える材
料の研究−」を行っている。
民生部門の二酸化炭素排出量の 25 %程度を占める建築物の空調対策には、断熱性に優れた高性能
建材の使用が有効である。しかし、開発から実用化までのロードマップを明確に示している電池など
の技術と比較すると、建材では既存建材の高性能化や普及に重点がおかれ、新しい材料コンセプトに
基づく省エネルギー建材の開発は緩やかな流れとなっている。現在普及しつつある「省エネルギー建
材」の高性能化とともに、その次の「次世代の省エネルギー建材(環境ハーモニック建材)」を省資
源、省エネルギー、快適性、環境調和など多様な観点から開発を行っている。
2008 年 4 月 8 日に経済産業省
が公表した「住宅産業のニューパ
ラダイム−ストック重視時代にお
ける住宅産業の新たな発展に向
けて−」によれば、居住者のライ
フスタイルにあわせソフト面も
含めて価値ある生活の場を提供
し続けることで、住む人の生活価
値の付加を実現していくことが
今後の住宅産業のパラダイムに
なると考えている。
研究テーマ
・省エネルギー建材、賢い建材-調湿建材
・開口部の研究-日射熱反射ガラス、賢い窓(太陽光発電を窓で)
・多機能窓-光触媒効果と親水性によるセルフクリーニング機能
・未来型照明、透明光源の研究
など
(産総研 TODAY2011.12
39
HP より)
【参考】 自動車産業の住宅産業への展開支援(セミナー開催結果)
自動車をはじめとする地域のものづくり技術の次世代住宅産業への展開を図るため、次世
代住宅産業にすでに参入している事業者及び参入に関心のある事業者や産業支援に関わる機
関等を対象に、次世代住宅産業の成長展望や市場環境、事業環境や参入の可能性、参入に当
たっての留意点などを紹介するセミナーを下記の通り開催した。
1.概要
タイトル: 『新成長分野「次世代住宅産業」における成長展望と参入の可能性』
次世代住宅産業が求めるものづくり技術を探る
日
時: 平成 23 年2月 23 日(水)14:00~17:00
会
場: (財)名古屋都市センター 大ホール
名古屋市中区金山町一丁目1番1号
参加人数:
96 名
参加者の地域
参加者の属性
支援機関、
関係団体
8%
金山南ビル 11 階
その他
大学 11%
2%
静岡県
3%
支援機関、
関係団体
8%
岐阜県
11%
行政機関
6%
金融機関
4%
企業
69%
愛知県
81%
40
2.開催結果
開会挨拶の後、基調講演、2つの講演、事例紹介を行った。
(1)基調講演「次世代住宅における性能基準や新技術の動向」
講演者:名城大学理工学部建築学科教授 高井宏之氏
検討委員会の検討結果をもとに、スマート住宅や 200 年住宅の実現に向けた技術の動
向、スマートシティやスマートグリッド等の広域の視点から捉えた新技術の動向や今後
の見通し、また現在の住宅産業における性能基準や次世代住宅に求められる性能・機能
等の動向を解説した。
・時代と市場にマッチングさせながら生まれる住宅の新商品を紹介するとともに、本取
り組みの位置づけを説明。
・住宅および住宅産業をとりまく状況として、人口・世帯数の動向(人口減尐・高齢化
の進展、高齢者世帯の増加、世帯人員の減尐)
、住宅に関する意識の変化(不満率の減
尐、高齢者等への配慮、防犯性、省エネ対応への関心)、宅地供給・住宅建設の動向(と
もに減尐)
、住宅市場の動向(更地に新築の減尐、建て替え・リフォームの増加)。
・次世代住宅に求められる性能等として、現在の住宅性能基準と、国における事業や検
討に見られる次世代住宅の性能、地方自治体や民間企業等による先進的な取り組み事
例(商品化レベル・実証試作レベル)などを整理。
・次世代住宅のイメージとして、長く使える、環境負荷を低減する、快適性を享受する
という3つの視点から、戸建て住宅及び集合住宅でのイメージを提示。
・商品化に向けたテーマや課題を、住宅メーカーや建材メーカーからのニーズから抽出。
・新商品開発のためのマーケティングとして、対象需要者、新商品の種類と消費者の「知
覚リスク」
、住宅(集合住宅)と一般商品との開発プロセスの違いについて説明した。
・最後に、20 年前の「次世代住宅」が目指していたものと現代とを比較。
41
(2)講演「住宅産業の現況とものづくり企業への期待」
講演者:トヨタホーム株式会社 商品開発部 部長 柴田数年氏
住宅産業の市場動向、また住宅産業市場が必要としている製品、技術の動向及び大手
住宅メーカーの視点からものづくり企業へ期待する点を紹介いただいた。
・日本の家の寿命、CO2の実態とともに、トヨタにおける自動車技術の住宅への応用に
ついて説明。トヨタホームの長寿命(耐震・制震、耐久・可変、防犯、健康・快適)、
省エネ・創エネ(断熱、通風、省エネ設備、創エネ設備)について、考え方と取り組
み状況を説明。S&I 発想の家づくり、業界 NO.1の高耐久パワースケルトン、自動車
技術を活用した防犯設備や省エネ設備など。
・中期の住宅市場の動向について、人口・世帯の減尐による住宅余りの時代、世帯構成
の変化による住まい方の多様化などを説明。
・日本のスマートハウスとして、青森六カ所村でのスマートグリッド実証実験、および
豊田市での低炭素都市実証プロジェクトについて紹介。
・世界のエコハウスの状況として、ソーラーデカスロンについて紹介。
42
(3)講演「次世代住宅に向けてのものづくり技術」
講演者:三協立山アルミ株式会社 営業本部 技術開発統括部 技術開発企画部
商品企画課
参事
堺潔氏
住宅に活用されている部材・部品の説明とともに、ものづくり企業に提案したいただ
きたい製品ニーズ等をご紹介いただいた。
・開口部の役割(入れる、出す、防ぐ・守る)と求められる機能(入れる、出す、防ぐ・
守る+使いやすい、デザイン)について説明。
・それぞれの機能に応じた自社製品の概要と技術を紹介。
・環境に対応した商品(太陽光発電一体型建材、太陽熱利用給湯システム)を紹介。
43
(4)事例紹介「街の電設工事・制御盤製作の会社が社団法人アースパートナー
協議会に至るまで」
出演者:東海EC株式会社
相談役
清水秀彦氏
次世代住宅産業に参入した企業から、参入の経緯・事業概要、参入に当たって苦労し
た点、今後参入を検討している企業へのアドバイス等をご報告いただいた。
・電設工事会社としての創業から、外部機関との連携による木造住宅用制震デバイスの開発・
販売という会社の新規事業への参入の変遷を紹介。
・連携組織「アースパートナー協議会」について紹介、今後の活動予定と推進に当たっての
課題を説明。
・スマートコミュニティー・ビレッジ構想について説明。
44
3.参加者アンケート結果
本日のセミナーについて参考になったものについて (複数回答)
基調講演
41.5%
講演1
71.7%
講演2
30.2%
事例紹介
28.3%
無回答
7.5%
0%
20%
40%
60%
80%
住宅産業や次世代住宅産業への参入の関心について
その他
9.4%
無回答
3.8%
すでに参入
している
47.2%
参入していな
いが関心が
ある
34.0%
参入に向け
て準備してい
る
5.7%
貴社の技術で住宅産業への活用を検討できそうな技術の有無
無回答
20.8%
ある
56.6%
ない
22.6%
45
住宅産業への活用を検討できそうな貴社の技術の内容
(産業用)無線通信技術
IT活用
PR表示装置パネルの計測装置・制震材
雨水の活用、防災装置、アグリ
LED
屋外LED照明(新エネルギーでLED照明)
給水、給湯、排水用管材
給排水配管、住宅改修用品、介護用品
鋼材の加工
樹脂性、軽量ボード(まだ住宅用としては未完成)
新規材料、建築設計、建築計画、都市計画等
水栓部品、エコキュート、ガス器具等の関連部品製造
太陽光発電、エコキュート、耐震付(LED)、太陽光パネル街路灯
ヒートポンプ利用技術
電気でモノをあたためる技術
電気の分野
防音技術
防音、制振
デザイン力(介護分野)
新機能を持つ新建材を採用するための社会的・コスト的なバリアが高い。
2015年以降の需要減尐が心配
住宅産業への参入にあたって障壁になると思われる点
オール電化機器のイニシャルコストの高さ
コストダウンの要求、員数の増減
価格の制限
低価格イメージ
デザインと価格
高齢化への対策
サイズ展開が多い
サイズバリエーションや収まり等対応すべき仕様が多く、品揃えの準備に投資
がかかる(→小ロット)
ロットの問題
品揃え
商流、市場ニーズのとらえ方
商流がわからない、知識がない
どうビジネスモデルにするか
当地域の製造業が参入するルートをどのように得るかが今後の問題
人口減尐に伴う住宅着工件数減により同業との競争が激化する
増大傾向にある高い空家率
耐久性関連性能の評価
知識(各産業別の知識、用語の理解)
品質
住宅関連産業分野における産学官ネットワークについて
特に必要で
はない
1.9%
無回答
17.0%
ネットワーク
は必要だが、
現段階では
参加しない
13.2%
ネットワーク
は必要であ
り、ぜひ参加
したい
30.2%
ネットワーク
は必要であ
り、参加を検
討したい
37.7%
46
望んでいる住宅産業に関する情報提供の内容
技術ニーズの情報
住宅メーカー、建材メーカーの具体的なニーズ情報
部品製造メーカーへ要求する製造技術、次世代住宅の市場動向
新機能を実環境で試験・評価するためのフィールドに関する情報
市場動向(スマートグリッド)、量販化の時期。スマートグリッド関連の川
上、川下の予想
次世代を目指した新技術動向などのテーマでの今回のようなセミナー、基調講
演
住宅における省エネルギー、エネルギーマネジメント技術に関する情報
住宅向け照明計画、照明基準
将来商品化が予想されるものの公開
環境対策の品物の情報提供を希望します(三協立山アルミの紙の資料もほし
かった)
新技術と助成金
スマート住宅関連情報、スマートコミュニティを意識した街づくり情報
今後のまちづくり、開発予定地域の情報
生活の習慣、趣味の変化、環境変化などをシステムへ使用する情報
施工に関して困っている点
先進事例などの情報提供
全般的な情報
トレンド情報
日本独自の建築様式の機能と現代住宅への応用
パートナーを見つけるための情報
メルマガ等
お手伝いできることがあるか?ニーズ情報
ものづくり企業による次世代住宅産業への展開に向けて望まれる支援策やご意見
開発の始めに必要なスタートの指示やバックアップを願えれば。
ものづくり企業が次世代住宅産業に参入するには、住宅メーカー等への下請け
あっせん策が必要。
建材メーカー、住宅メーカーとの共同開発支援
日本製の日本での生産をする建材開発支援
“地域づくり”の観点からのブランドデザイン、それを具体化するための支援
と連携のフォームづくり
ニーズとシーズのマッチング支援
住宅設備メーカーとのマッチング機会の提供及び共同開発支援
パートナーを見つけるための情報
本日話のあった次世代住宅に最適な技術と商品の提案
大小企業の差の尐ない手法の検討
「年収の2~3倍で取得できる住宅」早急の課題ではないか。世界自由貿易協
定等、今後所得(年収)の上昇は見込まれず住宅ローン破たんが増大すると思
われる。住宅ローンの見直しも必要。
地 域
無回答
7.5%
無回答
3.8%
岐阜県
13.2%
金融機関
5.7%
その他
18.9%
団体職員
5.7%
自治体職
住宅設備
員
メーカー
1.9%
3.8%
愛知県
83.0%
47
属 性
製造中小
企業
43.4%
住宅メー
カー
9.4%
製造大企
業
3.8%
募集チラシ(表面)
48
募集チラシ(裏面)
49
会場風景
50
51
第2編 中部版ソーラーデカスロンに関する検討
1. ソーラーデカスロンの概要
2. 中部における設計・実作競技について
1)中部版十種競技の視点
2)中部地域発「次世代住宅(建設)競技」の検討
3)大学側の評価について
本編では、中部における次世代住宅を軸にした新産業とその基盤づくりを進める促進策と
して、大学等の教育機関を対象とした新しい設計・実作コンテストを検討する。そのため欧米
で実施されている Solar Decathlon(ソーラー十種競技)に注目し、その仕組み、参加者の状況、
市民や産業界への影響など産業政策上の効果を調査する。
さらに、その上で中部地域の建築系大学・学科への調査を行い、ソーラデカスロンや中部
で企画するコンテストへの参加意欲や条件を把握した。
Ⅱ-1
1. ソーラーデカスロンの概要
(1)事業の概要
ソーラーデカスロン(ソーラー住宅十種競技)は、米国エネルギー省(DOE)の事業として、
DOE 傘下の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が主催している。太陽エネルギー利用
のゼロ・エネルギー住宅の研究促進、関連技術のイノベーション、代替エネルギーに関する
一般の関心を高めることを目的としている。
大学等の教育機関が参加した設計実作競技であり、一次選定に残った 20 の大学が太陽
光発電のみでエネルギーを賄う住宅を建設し、デザインのみならず性能、市場性や PR など
10 の評価項目を競う。2002 年に第1回大会が行われ、2005 年以降は 2 年毎に米国ワシント
ンで開催し、2010 年と 2012 年にはスペイン住宅省と提携しヨーロッパ大会を開催している。
最大の特徴は、応募から競技終了まで約 2 年間をかけて、初めに書類審査で 20 校が選
定し、最終的にはワシントン DC の会場に実物のソーラー住宅を建設し、審査が行うことにあ
る。主体は学生ですが、教員がアドバイザーとなり大学として参加し、企業の支援を募りなが
ら、プロジェクトを進める。選定校には一定額の支援金が支払われますが、実際には企業と
の連携により資金や物資を調達する。
住宅建築に関する設備や構造などの実現可能な技術を要求するのみならず、建築や防
災法規、財務、広報やプロモーション、企業との調整など、単なる設計やデザインコンペに
収まらない多様な技術の連合体としての総合力が問われる。そのため、専門家教育としての
優位性に止まらず、新しい産業技術の開発や異業種連携による新しいアライアンスの構築
など幅広い効果が期待されている。
参加者の責務として、自らの安全確保と資金調達に関する責任を負う。参加校は学生、教
員、ボランティア、スポンサー企業の安全に関する責任を負い、また建設・運搬・解体など必
要な費用の過半の部分についてスポンサーを募り、資金や物資、技術援助を調達すること
が求められている。
主催者側から参加校へ支給される費用は平均50万 USD(4000万円強)であり、費用の過
半は自ら調達する必要がある。大学及び教員・学生にとって幅広いプロジェクトマネージメン
ト能力を要求されることになる。
Ⅱ-2
図1.これまでの入賞チームの作品
2002年
・最高得点:コロラド大学
2005年
1 位:コロラド大学
2 位:コーネル大学
3 位:カリフォルニア理工州立大学
2007年
1 位:ダルムシュタット工科大学
(ドイツ)
2 位:メリーランド大学
3 位:サンタクララ大学
2 位:イリノイ大学
3 位:サンタクララ大学
2009年
1 位:ダルムシュタット工科大学
(ドイツ)
アーバナ・シャンぺン校
Ⅱ-3
表1.ソーラーデカスロンの事業概要
調査内容
概 要
1.開催概要
・主催:米国エネルギー省(DOE)傘下の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)
・対象:20 の大学チーム
・目的:先端エネルギー技術の住宅への導入に向けたデモンストレーション
・流れ:①応募校の中から最大20の参加校(チーム)を選出。
②参加校は、約 2 年かけて太陽光発電のみで電力を賄うゼロ・エネルギー・
ハウスの設計、建設、性能を競う。(10 種目各 100 点、合計 1000 点)
③建設、性能評価、審査・表彰、解体まで約 3 週間、同一会場にて行う(首都
ワシントン DC 中心部の国立公園 National Mall)
・参加支援:NREL と下請け契約を交わした選定校全てに、10 万ドルを支給
・応募要領):書類を事務局宛に郵送(’13 の締め切りは ’11 年秋頃か)
・参加校の選定:予備審査の後、次の4つの基準(配分)に基づき選考。
「技術革新・デザイン」(30%)
「資金調達・連携(産学連携も評価)」(25%)
「組織・事業計画」(25%)
「教育カリキュラムへの SD プロジェクトの統合」(20%)
「その他特別事項への配慮」
3.参加費用や A. 2009 年参加校の費用
資金調達の
・20 校の平均は約 50 万ドル
現況
・最高額:ドイツとカナダからの参加校の約 65 万~80 万ドル。
・最低額:Rice 大学の上限約 25 万ドル。
B. スポンサーからの援助
参加校は各〄のスポンサーを募り、資金や物資、技術援助を調達。
4.その他リスク A. 各チームの安全責任
管理など
SD 2011 規定書における安全規定は以下のとおり。
「各チームは、それぞれの運営における安全の責任を負う。
a 各チーム・メンバー(参加登録学生、教員等)とクルー(ボランティア、スポンサ
ー等参加校部外者)は、プロジェクト期間中(提案依頼書の発行時から下請
け契約終了時まで)常に安全に作業しなければならない。
b 各チームは、プロジェクト期間中全ての作業者に対して、必要とされる全ての
個人用保護具(PPE)と安全装置を供給しなければならない。
c. 組立・解体時は、最低水準の PPE を確保するものとする。(ヘルメット、側面
保護付き安全メガネ、最低 7.6cm の袖のあるシャツ、長ズボン、足首サポート
付き安全靴など)その他必要な PPE・安全装置を使用する。
d. 組立・解体時は、18 歳未満の者の現場への立ち入りを禁止する。
e. 主催者(DOE 従業員、下請業者、オブザーバー等)は、プロジェクト期間中
いつでも、工事停止命令を発行することができる。」
B. 主催者の権限
SD 2011 規定書における主催者の権限は以下のとおり。
「非常に限られた時間での判断が必要とされる際に、規則担当者が直ちに対応
できない場合がある。そのような場合、主催者には次のような権限が与えられ
る。公正かつ効率的な運営又は、安全のために必要とされるスケジュール変
更、チーム・スコアの変更、規則の実施等。」
Ⅱ-4
(2)競技概要
以下の十種類の競技項目で評価される。それぞれの分野の専門家(建築家、住宅建設、
エネルギー事業者等)や市民による評価と各種測定機器を用いた定量的な評価によって採
点される。
1)評価項目
①建築(Architecture)
平面計画やファサードデザインなど建築計画全般。ランドスケープや外部空間のデ
ザイン。自然採光と人工照明のバランス。デザインや構成のインパクト等を評価する。
②市場訴求力(Market Appeal)
住まい手(消費者)への訴求力(安全性、機能性、利便性、快適性など)や、施工
の容易さや再現性の強さ、価格の安定性。
③エンジニアリング(Engineering)
機能性やエネルギー効率の良さ。技術の革新性。信頼性。
④コミュニケーション(Communications)
チームがホームページ、紹介ビデオ、看板・サインなどを作成し、ターゲット層向
けおよびユニバーサルデザインの情報発信を行う。革新的な表現手法などを評価。
⑤価格の妥当性 (Affordability)
目標価格を 25 万 USD(2000 万円)以下とし、60 万 USD(4800 万円)超は無得点する
⑥室温・湿度の設定(Comfort Zone)
室温 22.2°C~24.4°C に調整し、相対湿度 60%未満にコントロールされている。
⑦給湯能力(Hot Water)
約 56.8 リットルの熱湯(43.3°C)を 10 分以内に供給できること
⑧家電・什器(Appliances)
冷蔵庫は庫内温度 1.11°C~4.44°C に制御し、冷凍庫は庫内の温度-28.9°C~
-15.0°C とする。
洗濯機は制限時間内に中断なしで、
標準モードでの洗濯を 2 回行う。
乾燥機は洗濯物を洗濯以前の重量以下に2回乾燥させる。
食洗機は制限時間内に中断なしで、標準モードで食洗、特定時点で水温が 48.9°C
に達することとする。
⑨ホーム・エンターテイメント(Home Entertainment)
電気消費の時間パターンに応じて稼働する。照明は定められた時間帯に室内外の照
明を点灯し続ける。TV・コンピュータは:定められた時間帯に動作する。キッチンで
は 2.268kg の水を制限時間内に沸騰させる。それ以外の条件として夕食会、映画鑑賞
会の実施と評価も競技条件となっている。
夕食会は近隣の参加チームを招いて 2 回開催する。
(招待された者が審査)
映画鑑賞会は近隣の参加チームを招いて開催する。
(招待された者が審査)
⑩エネルギー収支(Energy Balance)
指定時のエネルギー収支が最低 0kWh であること。-50kWh~0kWh は無得点、-50kWh
以下(50kWh 以上の使用)は減点となる。
Ⅱ-5
2)応募の流れ
24 ヶ月前 手続きの公告
参加申請手続き(Request for Proposal)主催者は競技会開催の2カ年前にホ
ームページ上に掲載。
23 ヶ月前 書類提出
①参加登録証
②技術提案書
③参加および免責同意書
④Representation and Certification Form(資格証明書)
⑤価格提案書
⑥Cover Letter(概要書)
※②~⑤は学長(authorized official)の署名が必要(複数校混成チームで申
し込む場合も、各校の学長が署名したものを提出)
22 ヶ月前 参加者からの技術的質問提出締め切り
18 ヶ月前 参加校の選定(20 校まで)
18~15 ヶ月前 参加校との契約
国立再生可能エネルギー研究所(NREL)と契約を締結し、スポンサー獲得(資金
調達)を本格化する。NREL は下請契約を締結したチームへの支払いを開始する。
(分割払い)
規定書(法的条件、防災・衛生、構造など)の規定以外に、米国外からの参加
に特殊な事項への対応なども準備する。
(例)電圧の違い、建材・機器の輸送、パ
スポート取得等
支払いのスケジュールについても、必要な書類の時期や内容に応じて審査され、
それぞれのハードルをクリアして段階的に支払われる。
3)効果
①開催の効果、成果の活用方法
【入場者・参加者】
○会場を訪れた人数:約 30 万人/09 年(約 20 万人/07 年)
○参加した学生の人数:約 15,000 人
○参加した米国外の数:7校(カナダ、プエルトリコ、ドイツ、スペイン)
【成果】
賞金はない。教育効果あり。
これまでの SD で建築された 72 棟のゼロ・エネルギー・ハウスは概ね、研究・
デモンストレーション用途に活用されている。17 棟は民家として家族や学生が
居住している
Ⅱ-6
表2.SD主催者の取り組み概要
調査内容
1.開催費用や
資金調達の
現況
文献調査結果
A. 連邦政府予算(DOE の Solar Decathlon 歳出予算)
09 年度歳出予算
10 年度歳出予算
3,400
単位:千ドル
11 年度予算要求
5,000
5,000
B. スポンサーからの資金援助
SD2009 の Sustaining Sponsor 4 企業は、資金援助、物資、ボランティア人
員その他の援助を提供した旨、DOE ホームページで紹介されている。
2.開催の効果、 A. 開催の効果
成果の活用
○会場を訪れた人数:約 30 万人/09 年(約 20 万人/07 年)
方法
○参加した学生の人数:約 15,000 人
○参加した国外校の数:7校(カナダ、プエルトリコ、ドイツ、スペイン)
B. 成果の活用方法
・これまでの SD で建築された 72 棟のゼロ・エネルギー・ハウスは概ね、研究・デ
モンストレーション用途に活用されている。
・17 棟は民家として家族や学生が居住している。
4.参加状況、
参加者の
評価等
A. 参加状況(参加チーム数)
2002
2005
14
2007
18
2009
20
2011(選定)
20
20
B. 参加者の評価
・「SD のおかげで修士号を取得でき、心から楽しめる分野に就職することができ
た。」(02 年 バージニア工科大学 学生)
・「SD の参加経験は素晴らしく、やりがいがあり、刺激的で、大変で、人生観が
変わるほど影響的だった。特に、学生にとって。」
(05 年 カリフォルニア理工州立大学 教員)
・「太陽(光)産業は急速に成長しており、SD は資質の高い学生にとって、またと
ない機会となっている。」(09 年スポンサー BP ソーラー)
6.今後の展開
・SD2011 の提案依頼書には、2020 年まで実施予定と記されている。
・SD Europe の第 2 回目は 2012 年晩春にマドリッドで開催予定。
・中国での SD 開催に関心が寄せられている旨、SD 総括責任者が Architecture
Digest 紙のインタビューで述べている。
Ⅱ-7
表3.参加支援額(10 万ドル)の支給スケジュール
締切日
支払い
提出物
(時期)
2010. 8.17
5%
10%
Ⅰ (
第
20%
期
合
計
5
万
ド
ル
ホームページ
Building Information
Model(特記仕様書)
図面
Project Manual
(手順書)
フォー
マット
備考
URL
・基準(Code)に適合
・審査員からコメントがあった
場合、受理してから 14 日以
内に修正・再提出
Revit
DWF
PDF
11.23
Health and Safety
Plan(設備計画)
PDF
5%
ヴァーチャル・ハウ
ス・ツアー
3ds
Max.
5%
モデル
1:24
)
5%
2011. 1. 4
5%
20%
3.22
第
Ⅱ (
5%
期
合
計
5
万
ド
ル
)
4.26
5%
プロジェクト概要
6.30
5%
展示資料
5%
(競技会終了後)解体
5%
最終レポート
秋
11.30
2.
Building Information
Model(特記仕様書)
図面
Project Manual
(手順書)
Stamped Structural
Drawing(構造図)
Stamped Structural
Calculation(構造計
算書)
・80% design development
・審査員からコメントがあった
場合、受理してから 14 日以
内に修正・再提出
・OSHA(米国安全衛生局)の建
設安全訓練(30 時間)の受
講証明
・審査員からコメントがあった
場合、受理してから 14 日以
内に修正・再提出
・2011 年 1 月にフロリダ州オ
ーランドで開催される
International
Builders
Show(建設業界の見本市)で
のプレゼン
Revit
DWF
PDF
PDF
PDF
-
PDF
PDF
・基準(Code)に適合かつ、最終
設計を反映
・基準(Code)に適合かつ、最終
設計を反映
・審査員からコメントがあった
場合、受理してから 14 日以
内に修正・再提出
・審査員からコメントがあった
場合、受理してから 14 日以
内に修正・再提出
・審査員からコメントがあった
場合、受理してから 14 日以
内に修正・再提出
・期日内に、国立公園の規定に
準じた解体作業を終える。
・審査員からコメントがあった
場合、受理してから 14 日以
内に修正・再提出
※NREL と下請け契約を交わした選定校は、規定された締切日(時期)に提出した提出物に対
し、相応分の支払いを受ける。
Ⅱ-8
2.中部における設計・実作競技について
中部地域の資源を活用した次世代産業として、住宅および建材・設備・構造に着目し、
新しい技術開発や展開のきっかけとして、中部版「ソーラーデカスロン」を構想する。
米国あるいは欧州におけるソーラーデカスロン(SD)は、太陽光や風力などのパッ
シブエネルギーを活用した総合的なゼロエネルギー住宅の研究開発と商品化、そして普
及を展望したプロジェクトである。
1)中部版十種競技の視点
①産業として展開の可能性、波及分野や市場の広がり
欧米のSDは住宅のエネルギー対策という点に焦点を絞って、優れた着想とその実現
性を求めたものであるが、中部地域においては地域が保有する幅広いものづくりの技術
や企業連携を活用する必要がある。また住宅産業の市場性や海外展開の可能性について
も配慮する必要がある。
そのため、太陽電池利用のみならず、燃料電池・蓄電池との併用、高耐久性や耐震性、
バリアフリー、IT によるエネルギー需給や家電・設備等の最適制御など、
「高付加価値
な機能をリーズナブルなコストで提供する、高質でアフォーダブルな水準の住宅」を検
討する必要がある。
また世界有数の高齢化先進国として、新たな技術やサービスの開発と連携した商品開
発の可能性も有している。
②単なる建築設計のコンペレベルから商品開発のコンペへの可能性。
学生の設計コンペのレベル(A1 版の図面が2~数枚)から始まって、産業界とタイ
アップした億単位のプロジェクトまで世界中に多様な設計競技が存在する。中部で検討
する競技は、建築や家具、インテリアなどデザイン分野の既存のコンペとの差別化が必
要である。多種多様なデザイン競技が既に存在し、それらが与える賞金・設計等の権利・
評価者の見識の高さにより与えられる名誉やステイタスなど、それぞれ特徴を有してい
る。これから検討する中部版 SD では、その特色を明確にし、各種競技との差別化を追
求すべきである。
相当な取り組み姿勢が無ければ、他の建築デザイン競技の中に埋没しかねず、いかに
特色を持たすか、国と企業の支援によって、産官学が一丸となって取り組めるようなテ
ーマ設定が必要である。
③中部地域の資源である企業や大学の参加可能性
中部地域には一級建築士受験資格(2級試験免除)を認可された建築系の学科が24
校存在するが、大学院を有する総合大学のみならず、造形やインテリアに重点を置く大
学や住居学や家政学から発展した学科など多様である。中部版の競技が住宅そのものに
止まらず住宅を核にして、生活サービスやライフ・デザインなど幅広い産業分野を包含
Ⅱ-9
するテーマを設定することで参加者の幅が広がる。
一方、現実的に住宅を建設するには、法規・構造・工法など多様な技術的な蓄積や資
金調達も必要となり、大学の多忙な学内行事の合間に、学内の専門家だけで実作を伴う
ような長期のプロジェクトに取り組める総合力も必要となる。欧米のSDのような建築
以外の分野も入った総合的なプロジェクトの遂行が可能かとなると、相当なハードルが
予想される。
Ⅱ-10
近年の住宅・建築・設備に関する公募コンペの例 <国際コンペ>
No.
名称
趣旨( 募集内容)
1 AR Awards for Emerging Architecture
Buro Happold and InterfaceFLORの主催によって1999年より開催されています。目的は、
才能ある若い建築家、デザイナーに国際デビューのチャンスを提供することです。
2 10th Andreu World International Design Competition
対象
主催者
2008~2011.2現在
募集期限
分類
受賞数:3 点
賞金総額7,500£(約105万円)
2010/9
空間全般
今年で10回目となる同賞は、スペインを代表する木製家具メーカー「Andreu World」が開催 学生・プロ・アマ問わず
Andreu World(スペイン)
するアワードです。学生・プロ・アマ問わず、幅広く「椅子」「テーブル」などの家具のデザイン
を募集しました。主素材はブナ、オーク、クルミ材とし、二次的な利用として金属やプラス
チック、ガラスなどの異素材を用いてもよいとされています。
韓国の仁川(インチョン)市で開催されている同賞は、プロ・アマチュアを問わず世界中から作 プロ・アマチュアを問わず(すでに発表されていない Incheon Metropolitan City and Incheon
品を募る国際的なコンペティションです。22回目を迎えた今回は「green heart」をテーマに 作品が対象)
Business Agency(大韓民国)
「green design for humans」「city and greendesign」「green design and communication」の3
部門で募集。ジャンルはプロダクト・グラフィック・建築・インテリア・ムービー・ITなど多岐にわ
たります。
受賞数:5点
最優秀賞: 4,000ユーロ(約44万円 )
他: 2,000ユーロ(約22万円 )
2010/9
家具
受賞数:6 点
グランプリ賞金1万ドル(約80万円)、セレモニーへの旅費3千ドル(約24
万円)
2010/8
建築・イン
テリア全般
同賞は、ソウル市が「2010年の世界デザイン首都(World Design Capital*)」に定められたこ 学生・プロ・アマ問わず
Seoul Design Foundation(大韓民国)
とをきっかけに開催される、デザインの総合フェスティバル「ソウル・デザインフェア Seoul
Design Fair 2010」の関連イベントとして開催されたコンペです。
対象分野は、建築やランドスケープからグラフィック、情報システム、ファッションや工芸など
多彩。デザインの重要性や都市全体がデザインを活用することを強調することにより、経済の
活性化を図ることが期待されています。2010年のテーマは「design for all(皆のためのデザイ
ン)」。互いに分かち合い、通じ合い、調和する世界を作っていくことを目的として、みんなが
豊かな暮らしを享受できるデザインを募集しました。
今回で7回目となる同賞は、国際的な建築へ素晴らしい貢献をしたすべての会社、個人、ま 個人、また技術を対象に公募
LEAF(ヨーロッパ主要建築家フォーラム)
た技術を対象に公募しています。募集内容は、11のカテゴリで構成されています。
2009年1月から2010年6月までに完成した建築物、
進行中の建築物などが対象。(若手部門は3年以内
完成の作品)が対象。
金賞:( 1点)$10,000(USドルと仮定して、約80万円)
銀賞:(3点)$2,000 (約16万円)
銅賞:(5点)$1,000 (約8万円)
鉄賞:(最大10点)$500 (約4万円)
2010/7
空間全般
受賞数:11 点 公表と展示会 賞金なし
2010/6
建築全般
6 one good chair design competition 2010
環境的な視点で考えられた椅子のデザインを募集するコンペティションです。世界中のデザ 学生・プロ・アマ問わず
イナーから環境視点の新しい椅子のデザインを募集しました。
受賞数:6点 展示公開
2010/6
家具
7 Temporary Outdoor Gallery Space 2010
展示用に外部に設置する、美術作品の仮設ギャラリーを提案するコンペティションです。昨
年は日本から、「architect theory」の木村敏浩らが入賞しました。
8 International VELUX Award 2010
天窓専門メーカーVELUXが開催する同賞は、建築系の学生を対象に隔年で行っている国 建築系学生(2009/10現在)
際賞です。「Light of Tomorrow/明日の光」をテーマとして、プロジェクトに取り組んだ学生
とその指導教授の連名にて作品を募集しました。
9 SEGD Design Awards 2010
3 incheon international design awards 2010
4 Seoul Design Competition 2010
5 LEAF Awards 2010
45歳以下の建築家やデザイナー
Buro Happold and InterfaceFLOR(グレート
(既に建設済みまたは製造済みのものに限定。ジャ ブリテン及び北アイルランド連合王国
ンルは問わず、建築物以外では、ランドスケープ・デ )
ザインや都市空間から家具やカトラリーまで、様〄な
分野での応募が可能。)
賞品等 ( 注 1 )
Sustainable Furniture Council / World
Market Center(アメリカ合衆国)
建築、インテリアデザイン、景観、建築、都市デザイ
ンの専門分野の方。専門家は(1999年12月29日
後)10年以内に認定プログラムの教育を完了してい
ること。
学生は、専門学位に取り組み認定プログラムの最終
年であること。
最優秀賞:$1,000(USドルと仮定して、約8万円)
2010/5
2位入賞者:$500 (約4万円)
3位受賞者:$250 (約2万円)
最優秀作品は、アート ウィークオースティンの期間中、実際に建てられ、
ギャラリーとして使用されます。
建築全般
VELUX(デンマーク)
受賞数:11 点
賞金総額3万ユーロ(約330万円)
2010/3
建築全般
環境をテーマにした作品を表彰するアワードです。主催であるSEGD(Society for
2007年以降の作品が対象(学生部門は2008年以
Environmental Graphic Design)は、コミュニケーション設計と構築された環境の交差で働く 降)
人〄のための世界的なコミュニティで、1,600人以上のメンバーが在籍しています。審査の対
象となるのは、建築、空間、インテリア、グラフィックデザイン、工業デザインなど幅広い分野
に及びます。
SEGD(Society for Environmental Graphic
Design)
(アメリカ合衆国)
受賞数: 53点 展示公開
2010/2
建築、空
間、インテ
リア全般
10 Repensar Bonpastor Competition
1929年建設の公営住宅が784戸も立ち並ぶ、バルセロナのボン・パストールでは、解体を前 学生・プロ・アマ問わず
提とした再開発が進行中です。同賞は、これら公営住宅の実現可能な再開発案を提案する
コンペティションです。それに伴い、社会的・歴史的価値を尊重し、住民の積極的な参加が
可能となるアプローチも視野に入れ、さらに、サステナブルも考慮したアイディアを広く募集
しました。
The International Alliance of Inhabitants(ス 受賞数:5点 展示公開
ペイン)
2010/2
住宅
11 Architectural Competition EPK - DRAVA RIVER 2012
UIA(国際建築家連合)公認のコンペです。スロベニア共和国、マリボル市を流れる、ドラバ
川における、2012年に行う予定の3つのプロジェクト(河岸の整備、歩道橋、アートギャラ
リー)に対する新しい提案を募集するものです。
The Municipality of Maribor, together with
the Union of Architects of Maribor and
under supervision of UIA and ZAPS
(Slovenian Chamber for Architecture and
Spatial Planning)
(スロベニア)
2010/2
空間全般
12 The Zerofootprint Re-Skinning Award 2010
地球温暖化防止に取り組んでいるカナダ企業が主催の、エネルギー効率を高めた改修を表 1945年から1990年までに建てられた建築が対象
彰するアワードです。
Zerofootprint(カナダ)
<グループ1>
1位:30,000.00ユーロ(約330万円)
2位:15,000.00ユーロ(約165万円)
3位:8,000.00ユーロ (約88万円)
<グループ2>
1位:30,000.00ユーロ(約330万円)
2位:15,000.00ユーロ(約165万円)
3位:8,000.00ユーロ (約88万円)
<グループ3>
1位:40,000.00ユーロ(約440万円)
2位:20,000.00ユーロ(約220万円)
3位:10,000ユーロ (約110万円)
受賞数:5チーム 出版展示
2010/1
建築全般
13 HB:BX Building Cultural Infrastructure
同賞は、ニューヨークの使われなくなったインフラ施設を再利用してアートセンターを計画す デザイン系の学生、または専門家
るアイディアコンペです。1位は、ニューヨーク市から依頼されたアートワークを行えると共
に、2012年に行われる、同賞の審査員として招かれます。
Emerging New York Architects Committee
(ENYA)、 AIA New York Chapter
(アメリカ合衆国)
エンヤ賞:$ 5,000(約40万円)
第二位:$2000 (約16万円)
三位:$ 1,000 (約8万円)
学生:$1,000 (約8万円)
2010/1
建築全般
2010
建築全般
UIAのメンバーであるすべての国の建築家
エンヤ賞受賞者の作品は、ニューヨーク市に展示されます。また、2012
年の審査員として招待されます。
14 Design Vanguard 2010
アメリカの建築雑誌ARCHITECUTURAL RECORDが主宰しています。次世代の建築家が
デザイン界で飛躍するきっかけとなることを目的として、2000年より毎年開催されています。
審査の対象は、作品単体ではなく、これまでの全ての作品のポートフォリオです。
建築家
ARCHITECUTURAL RECORD(アメリカ合衆 受賞数:10 組
国)
Ⅱ-11
近年の住宅・建築・設備に関する公募コンペの例 <国際コンペ>
No.
名称
15 2010 ICFF Editors Awards
16 2010 Dulux Colour Awards
17 Interior Design Award 2010
18 Furniture Design Award 2010
19 Build LONDON Live 2009
20 upto35
21 National Museum at Vestbanen
22 Religious Art & Architecture Awards 2009
23 Time to Design - New Talent Award 2009
24 Promosedia International Design Competition
- Caiazza Memorial Challenge
趣旨(募集内容)
対象
主催者
賞品等 (注1 )
2008~2011.2現在
募集期限
分類
北米最大のコンテンポラリーデザインの国際見本市「International Contemporary
Furniture Fair」で、編集者からなる審査団が選ぶ国際アワードです。2010年度も時代の最
先端を走るデザインが、16のカテゴリーで表彰されました。
オーストラリアの建築とインテリア・デザインの分野で最も知られているアワードで、今回で24
回目となります。6つのカテゴリで募集を行い、優秀賞の中から1点グランプリが決定します。
オーストラリアのデザイン振興団体が主催する、インテリアデザインを表彰するアワードです。 オーストラリアをベースとして活動するプロのデザイ
オーストラリアをベースとして活動するプロのデザイナーが対象で、実施された世界中の住 ナーが対象
空間・商業空間が応募対象となります。
George Little Management, LLC(アメリカ合
衆国)
(オーストラリア
)
World Kitchen, LLC(オーストラリア)
グランプリ受賞者は100%Design Tokyoへ招待
2010
受賞数:15点
2010
今回で17回目の開催となる同賞は、1983年よりスタート。SFICが毎年主催し、シンガポール
および周辺地域の発展のために今後活躍するであろうと期待される若い才能と革新的なデ
ザイン会社を、探し育てることを目的として開催しています。また、デザイン交流の場として、
また、アジアへのデザイン発信の足がかりとしても機能している賞です。
BIM(ビルディングインフォメーションモデル)を使って、ホテルやオフィスを有する複合施設を
テムズ河の河口に設計するコンペティションです。設計期間は2日間、その模様はオンライン
で全世界に公開されます。
アテネの歴史地区に学生のための住居を提案するコンペです。ギリシアで開催され、35歳
以下の若手建築家を対象として実施されました。審査員には日本から塚本由晴氏が迎えら
れています。
すでに製品化されている作品が対象、テーマは自
由。
Singapore Furniture Industries Council
(SFIC)(シンガポール)
大賞:2000ドル(約13万円)、トロフィー、賞状
他:トロフィー、賞状
2009/12
家具
学生・プロ・アマ問わず
BIM Products Ltd, Asite PLC and AEC3
Ltd(イギリス)
受賞数:6点、6チーム
BIMソフトウェアアプリケーション5万£(約700万円)以上
2009/12
建築全般
35歳未満の建築家
OLIAROS
(ギリシャ)
一次審査通過:3000ユーロ(約33万円)
最優秀賞:10,000ユーロ(約110万円)、プロジェクト実施のための委託
料30,000ユーロ(約110万円)
2009/7
住宅
ノルウェーのオスロに、建築とデザインのための新しい国立美術館が計画されており、その設
計者を決めるコンペティションです。敶地は、鉄道駅跡地を想定して実施し、総床面積は約
33,000m²。一次審査で4名~6名が選出され、すべて匿名で行われます。
宗教建築、ランドスケープ、インテリア、アートを対象とし、優れた作品を選出する同賞。アメ
リカの雑誌「Faith & Form」とIFRAA(the Interfaith Forum on Religion、 Art and
Architecture)により開催されています。
2008年にデンマークの公的機関「The National Workshops for Arts and Crafts (SVKH)」
が、若い建築家とデザイナーの才能を発掘することを目的にスタートしました。2回目となる今
回、約35カ国から応募がありました。
1997年に開始し今年で12回目を迎える、“椅子”をテーマに、若手デザイナーのアイデアを
募集するコンペティションです。
建築士資格保有者
Public Construction and Property
(ノルウェー)
賞金総額:1,500,000ノルウェークローネ(約2,2,50万円)
2009/6
建築全般
2004年1月以降に完成した建築が対象
Faith & Form、IFRAA(アメリカ合衆国)
出版展示
2009/6
建築全般
キャリアの浅いデザイナー、建築家、学生
The National Workshops for Arts and Crafts デンマークの文化省より50000DKK(約75万円)の支援金が与えられ、
(デンマーク)
三ヶ月間制作に打ち込める居住施設と、Normann Copenhagen 本店で
の展示権利が与えられます。
Promosedia(イタリア)
1位:3500ユーロ(約38.5万円)、プロトタイプの製作
特別賞:500ユーロ(約5.5万円)、プロトタイプの製作
受賞作品はイタリアで行われる、Promosedia-International Chair
Exhibitionにおいて、プロトタイプが展示される。
2009/6
建築全般
2009/5
家具
The Architectural Institute of British
Columbia and the City of Vancouver
(カナダ)
最優秀賞:6000ドル(約48万円)
優秀賞:4000ドル(約32万円)
他:2000ドル(約16万円)
2009/4
空間全般
最優秀賞:1500ユーロの賞金(約16.5万円)+1500ユーロ(約16.5万円)
次点:750ユーロの賞金(約8.3万円)+1500ユーロ(約16.5万円)
佳作:250ユーロの賞金(約2.8万円)+1500ユーロ(約16.5万円)
※IABR2009主題の目的でプロジェクトを開発するために最大の1,500
ユーロ(約16.5万円)の追加融資を各勝利チームに与える。
名誉賞:10,000ユーロ(約110万円)
産業賞:5,000ユーロ(約55万円)
各特別賞:2,000ユーロ(約22万円)
学生:2,000ユーロ(約22万円)
2009/4
建築全般
2008/7
建築全般
受賞作品は、2008年秋号に掲載。Placesウェブサイトにて発表される。
2008/2
空間全般
40歳以下のデザイナー、建築家、学生。
25 FormShift Vancouver
環境都市を目指すバンクーバーの将来像を描くアイディアコンペティションです。カテゴリー 学生・プロ・アマ問わず
は3つあり、バンクーバー主要交通網エリアにおける多目的化、公共交通機関近くに定着し
た住宅地の可能性、サステナブルデザインの骨格と公共建築のアイディアを広く公募するも
のです。
26 Envisioning the Future of Jakarta International Architectural and Urban Design Competition
第4回 ロッテルダム国際建築ビエンナーレがインドネシア建築家協会ジャカルタ支部との共 社会学者や人類学者、経済学者などを含む学際的 第4回 ロッテルダム国際建築ビエンナーレイ
催で行ったアイディアコンペティションです。テーマは、拡張したジャカルタ首都圏における チームの参加が期待されている。学生可。
ンドネシア建築家協会ジャカルタ支部
「ゴトンロヨン(インドネシアに根付く相互扶助の概念)な都市」。
27 DETAIL Prize 2009
DETAIL誌主催の国際建築アワードです。
建築全体に影響を及ぼすようなディテールが着目されており、学生部門も設置されていま
す。
2004年1月1日以降に完成した建築が対象。学生は DETAIL誌(ドイツ)
この期間内に設計された研究プロジェクト。
28 11th EDRA / PLACES Awards
環境デザインをテーマとしたアワードです。対象作品は、環境に関する調査や提案に始ま
り、建築やランドスケープの作品やライティングデザイン、環境デザインに関する書籍など非
常に広範囲にわたります。EDRAは、設計者、研究者、学生など環境設計研究の発展、宣
伝に力を注いでいる国際的な団体です。
環境デザイン、建築、景観、都市デザイン、インテリ EDRA(Environmental DesignResearch
アデザイン、照明デザイン、グラフィックデザイン、環 Association)、PLACES誌、METROPLIS誌
境心理学、社会学、人類学、地理学、物理学の研 (アメリカ合衆国)
究。
注1)賞金金額の日本円への換算:1英国ポンド=140円; 1ユーロ=110円; 1USドル=1カナダドル=80円; 1デンマーククローネ=1ノルウェークローネ=15円; 1シンガポールドル=65円
Ⅱ-12
2010
家具、イン
テリア、建
材
建築、イン
テリア全般
住宅・商業
空間
近年の住宅・建築・設備に関する公募コンペの例 <国内コンペ>
No.
名称
趣旨(募集内容)
対象
主催者
1 にっぽんの木 100年家具 コンペティション
~ワイス・ワイス グリーンファニチャーアワード2011~
日本の森や自然環境が健康になり、ものづくりの産地が元気になり、そして100年先の人〄にまで喜んでもらえる家具をつくる。
不問(個人、グループ、企業いずれも可能)
株式会社ワイス・ワイス
2 2011 設計コンペ
テーマの環境住宅「光と風」をふまえ、建築・販売を前提とした住宅の提案を募集。建物の配置から仕様まで、総合的に提案。
大学等教育機関の学生であること。2011年4月において在学中の学生であること。
全日本学生建築コンソーシアム
3 第8回 団地再生卒業設計賞 作品募集
「団地再生」をテーマとした卒業設計を募集。
平成22年度卒業予定(2011年3月卒業予定)の大学・大学院・専門学校の学生
一般社団法人団地再生支援協会、
NPO団地再生研究会
4 第2回 建築コンクール
テーマ「これも建築?」
建築の枠組みを広げた視点で発想され、実現された「建築」または「モノ」を募集します。既成概念にとらわれない柔軟な思考か
ら生まれた作品や、思わず膝を打ちたくなる作品をお待ちしています。
2006年から2010年12月までに完成した作品。
建築物及び工作物、モニュメントやプロダクトの類、その他のテーマに属したモノ。
【アイデアコンテスト部門】
建築面積3間(5,460mm又は6,000mm)×3間でJパネルを使用した木造住宅のアイデアを募集。
【実例コンテスト部門】
既に竣工している物件で、Jパネルを使用した建築作品を募集。
次世代を切り開く説得力と、表現の提案・発信力のあるデザインの募集。
未発表創作に限る。ただし展示不可能な作品は除く。
個人、グループ、年齢は問いません。
不問
5 「Jパネル」デザインコンペティション
6 第43回 毎日・DAS学生デザイン賞
賞品等
2007~2011.2現在
募集期限 分類
●最優秀賞 (1点) 商品化
●オークヴィレッジ賞 (1点) 商品化
●審査員特別賞 (数点) 賞金5万円
●最優秀賞(1点)賞金100万円
●優秀賞(2点)賞金10万円
●佳作(27点)賞金1万円(但し、模型提出者に限る)
優秀作品「団地再生卒業設計賞」及び記念品を授与
2011/5
家具
2011/5
住宅
2011/4
住宅
社団法人愛知建築士会名古屋北支
部
●最優秀賞(1点)賞金、表彰
●優秀賞(3点)賞金、表彰
他 ※ 賞金総額10万円
2011/3
空間全般
協同組合レングス
優秀賞(1点)賞金50万円
2011/3
※2部門(アイディア部門・実例部門)を総合して1点選出
大学(短大、大学院を含む)、高等専門学校4~5年生ならびに専修学校専門課程(専門 毎日新聞社 (社)総合デザイナー協 ●金の卵賞(1点)正賞 毎日新聞社・DAS賞状、トロ
2011/3
学校)の在学生および2011年春卒業予定者で、学校代表者(学部長、担当教授も可)が 会(DAS)
フィー、副賞(サントリー賞) 賞状、賞金100万円
出品を承認した者に限る。
●テーマ賞(1点)正賞 毎日新聞・DAS賞状、副賞(サント
建材
建築、イン
テリア、商
業空間
リー賞) 賞状、賞金30万円
●部門賞(各部門1点)正賞 毎日新聞・DAS賞状、副賞
(サントリー賞) 賞状、賞金10万円 他
7 中之条町学童用机・椅子のデザイン募集
群馬県吾妻郡中之条町内の小学校で使用する机と椅子のデザインを募集。作品は、中之条町産間伐材を主体とした木材を使
用し、6年間同一の児童が快適に使用できるよう、高さ等の調整が可能なものとします。
不問
8 第16回 学生デザインレビュー
「学生デザインレビュー」は、現代の建築や都市を取り巻く諸問題を議論し、デザインの可能性とリアリティについてクリティークと 大学・大学院・短大・高専などに所属し、建築・都市・ランドスケープに関して勉強する学
参加者が共に考える場を提供する活動です。建築設計、設計教育、建築批評の第一線で活躍するクリティークを招き、テーマに 生
関するシンポジウムと学生の意欲的作品の講評を通じて、日常的な業務や教育現場では得難い視点に立った、高いレベルの議
論を行います。
学生デザインのレベルを高めることはもとより、現代の建築批評や建築・都市デザインに対しての刺激となることを目的としていま
す。
9 トウキョウ建築コレクション 2011
中之条町
2011/2
家具
デザインレビュ2011 in 福岡実行委員 優秀作品(数点)表彰
会
日本建築家協会九州支部
2011/2
空間全般
「建築家とは何か?」というテーマを掲げ、「全国修士設計展」、「全国修士論文展」、「プロジェクト展」、「連続講演会
修了見込の修士学生
『建築家を語る』」の4つの企画を構築してゆきます。
ここでは、審査員の先生方は勿論のこと、出展者一人ひとり、更には運営に携わる我〄を含めた建築に携わる全ての
人〄を「建築家」と捉えることで、建築と社会との関係について再考する機会となることを目指します。現在多岐に渡る
「建築家」の職能が、実社会とどのような関係を築いているのかという視点を「建築家とは何か?」というテーマに託すこと
で、建築界の担う可能性について新たな視座を獲得してゆきたい
トウキョウ建築コレクション2011実行 ●グランプリ1点、各審査員賞7点
委員会
2011/2
建築全般
10 第4回 木質建築空間デザインコンテスト
木質部の仕上げに木材保護着色ステイン(メーカー問わず、無色仕上げも可)を適材適所で使用し、住まい手や利用者にやさし 応募作品の設計者。組織・個人の別は問いません。
い空間を提供する建築作品を募集。
日本エンパイロケミカルズ株式会社、
日経アーキテクチュア
最優秀賞 賞金50万円
※ 最優秀賞は各部門賞8点の中から選びます。
●住宅部門賞(3点)賞金20万円
●一般建築部門賞(2点)賞金20万円
●商業施設部門賞(1点)賞金20万円
●テーマ部門賞(2点)賞金20万円
2011/2
建材
11 新しい家づくりネットワークプロジェクト コンペ
「新しい伝統構法の家」主たる構造を伝統的な木造軸組構法とした、新しい専用住宅を提案。
不問
ものつくり大学 21世紀型木造住宅建
設フォーラム
●1等(各部門1点)賞金20万円
●2等(各部門1点)賞金10万円
●3等(各部1点)賞金5万円
2011/2
住宅
12 第1回 ものつくり大学 高校生建築設計競技
「近隣の森を使用した家」
応募時に高等学校に在籍している方。
ものつくり大学 21世紀型木造住宅建
設フォーラム
●1等(1点)賞金10万円、賞状
●2等(1点)賞金5万円、賞状
2011/2
住宅
13 WORLD SPACE CREATORS AWARDS 2011
ワールドグループ事業展開における、実施を前提としたデザイン提案を募集。空間デザイン、店舗に関わるヴィジュアルマー
国籍、年齢、プロ・アマを問わず
チャンダイジング、グラフィックデザイン。
学生部門は資格審査あり。大学院生応募可
床面積1平方メートル~165平方メートル(50坪)、高さ自由設定におけるブティック内装設計案。あるいは空間ヴィジュアル演出
案。
株式会社ワールド
【プロフェッショナル部門】
2011/1
●大賞(1名)ワールドのデザイン開発業務依頼への挑戦
権
●優秀賞(数名)ワールドのデザイン開発業務依頼への挑
戦権
【学生部門】
●学生大賞(1名)賞金20万円
●優秀賞(4名)賞金5万円
店舗
14 60歳からの快適住まい リフォームプランコンテスト
60歳からの快適住まいをテーマに、お洒落で素敵なリフォームプランを募集。
●最優秀賞(1点)賞金100万円
●優秀賞(2点)賞金20万円
2011/1
住宅
15 シェルター学生設計競技2010
テーマは“原始の小屋”。建築理論家マルク・アントワーヌ・ロジエの著作「建築試論」の口絵に描いたイメージ図からき 大学院・大学・短期大学・高等専門学校・各種専門学校の学生
ています。簡素な木材で作られた柱と梁によって生み出された空間を建築の本質であると説いた「原始の小屋」。同コ
ンペでは建築をとりまく状況が大きく変化した現代において改めて「原始の小屋」を構想した作品を募集しました。
株式会社シェルター
2010/9
建築全般
16 第2回 2010年 サントリー ミドリエ デザインコンテスト
当社環境緑化事業ブランド「ミドリエ」に使用している素材「パフカル」を用いて、「空間」「環境緑化」「プロダクト」デザイ 日本国内に連絡先がある方。
ンのアイデアを募集。
サントリーミドリエ(株)
●最優秀賞(原則1作品)賞状・50万円
●優秀賞(原則1作品以内)賞状・各20万円
●入賞(原則3作品以内)賞状・各5万円
●奨励賞(若干名)賞状・賞品
●最優秀賞(1点)100万円
●優秀賞(3点)30万円…3点
●審査員特別賞(1点)10万円
2010/9
空間全般
17 第7回 国際コンペティション「名古屋デザインDO! 2010」
才能を秘めた若いデザイナーの育成と交流を目指し、広く世界に向けて開かれた国際コンペティション
クリエイティブ・デザインシティなご
や推進事業実行委員会
●グランプリ(1点)100万円
●部門賞(4点)各10万円
●入選(20点)記念品
2010/4
空間全般
名古屋市内及び名古屋市近郊にお住まいで、戸建て住宅の建築設計に携わったことの セキスイファミエス中部株式会社
ある方。学生不可。
18歳以上35歳未満の個人またはグループ
Ⅱ-13
●最優秀賞 (1点) 賞金20万円
●特別賞 (2点)賞金5万円
近年の住宅・建築・設備に関する公募コンペの例 <国内コンペ>
No.
名称
18 第4回 KU/KAN賞
19 第16回 CSデザイン賞
趣旨(募集内容)
「KU/KAN賞」とは、環境を構成するさまざまな要素を空間領域のコミュニケーション媒体として融合し、人〄に感動を与
え、都市文化を担う新しい空間として創出したものに与えられる。
今後の空間デザインの方向を示晙すると思われることとし、単年または単年度の評価ではなく、継続性を基本とした評
価となる
【一般部門】カッティングシート(およびそれに準ずる装飾用シート素材)を使用し、指定期間内に実際に施工されてい 【学生部門】応募期間中に、在学の方。年齢・国籍は不問(高校生以上)
る作品
【学生部門】空間にかかわるデザインをテーマに設定し、カッティングシートの使用を前提としたデザイン提案
20 JCD DESIGN AWARD 2010
商環境を中心とする空間デザイン(人間.社会.自然といった大きな要素)の顕彰を目的とする。
21 せんだいデザインリーグ2010 卒業設計日本一決定戦
全国から応募された学生の卒業設計を一堂に集め、公開審査によって日本一を決めるイベント。
22 Low Carbon Life-design Award 2009
23 SUSアルミ共生建築Competition
24 SMOKERS' STYLE COMPETITION 2009
対象
主催者
空間デザイン機構
受賞作品には副賞を授与し、『年鑑日本の空間デザイン』 2010
に掲載される。
株式会社中川ケミカル
空間全般
建材
大学で都市・建築デザインの卒業設計を行っている学生。
空間全般
仙台建築都市学生会議、せんだい ●日本一(1点)盾、賞状、賞金(10万)
メディアテーク
●日本二(1点)盾、賞状、賞金(5万)
●日本三(1点)盾、賞状、賞金(3万)
●特別賞(2点)盾、賞状
2010/2
空間全般
DESIGN ASSOCIATION NPOと環境省との共同開催のアワードです。本年度のテーマ「ウォームシェア・スペース」に 主にデザイナー(プロ・アマ・学生・企業問わず)
添って、冬の間、過度な暖房に頼らず、自然に人が集まり温かさをシェアできる「新しい人間空間」を募集するものです。
DESIGN ASSOCIATION (NPO法 ●グランプリ(環境大臣賞)(1点)賞金50万円、立体化し
人)、環境省
展示発表
●準グランプリ(DESIGN ASSOCIATION賞)(1点)賞金
30万円
●佳作(20点程度)
2009/12
空間全般
2004年より毎年アルミをテーマに建築やプロダクトを集めてきたSUS。今年は「アルミ共生建築Competition」という名称 日本国内在住の方であれば資格は問いません。
の下、「アルミと蔵」をテーマに、歴史的建築物とアルミニウムとの「相利共生建築」の提案を募集。提案の対象として、
会津若松市七日町通りに面する敶地と、そこに建つ“蔵”群をモデルとして設定されました。
具体的な場所を定めてパブリックスペースでの喫煙スタイルのアイデア(アイデア部門)を新しく求めました。設定する 日本国内在住の方であれば特に資格は問いません。
場所は、お洒落な街として常に上位に挙げられる東京都世田谷区・自由が丘の自由が丘駅南口緑道(通称:グリーン
ストリート)。設備や機器に頼るプランではなく、人の居場所をどうつくるかといった視点からの建築的造作やデザインの
工夫を通じ、さまざまな人が共存できるパブリックスペースの風景が求められました。
SUS株式会社ecomsグループ
最優秀賞(1点)100万円
優秀賞(2点)30万円
2009/9
空間全般
日本たばこ産業株式会社
【アイデア部門】
●最優秀賞(1点)賞金200万円
●優秀賞(1点)賞金50万円
●佳作(3点)賞金各5万円
【作品例部門】
●最優秀賞(1点)賞金 100万円
●優秀賞(1点)賞金50万円
●佳作(2点)賞金各10万円
2009/6
空間全般
2009/6
住宅
2009/3
住宅
2008/12
家具
2008/6
家具
2008/4
家具
2007/11
建材
株式会社 ニトリ
●金賞 100万円(1点)
●銀賞 50万円(5点)
●銅賞 10万円(10点)
●佳作 2万円(29点)
中央工学校/中央工学校OSAKA 最優秀賞:3万円(図書カード)
優 秀 賞:1万円( 〃 )
佳 作:5千円( 〃 )
奨 励 賞:千円( 〃 )
27 クラスティーナアワード2008
クラスティーナの人気No.1オリジナルシリーズ「ソリダス」。中でも大人気なのが、1日に1台のペースで売れ続けてい
個人またはグループ、年齢、国籍(ただし国内在住の方)、職業(学生可)、資格も Crastina INTER FURNITURE
る、四大銘木ウォールナット材とガラスを組み合わせたダイニングテーブル。そのダイニングテーブルの新しいパート
問いません。
ナーを、今回は募集します。ダイニングテーブルと調和しながらも、お部屋の雰囲気をガラリと変える存在感があり、多く
の人にいつまでも愛され続けるチェアをデザインしていただきました。
28 天童木工 家具デザインコンクール2008
これまで天童木工は一貫して「成形合板の家具」にこだわり、多くの名作と呼ばれる家具を世に送り出してきました。また 個人またはグループ、年齢・職業・資格は問いません。
近年、成形合板技術は貴重な木材資源の有効活用としても見直されています。
今回より一次審査を通過した作品はすべて、天童木工が原寸大の試作を行い、成形合板をより理解していただくため、
受賞者の皆様へ贈呈することにいたしました。成形合板の新たな可能性を引き出すデザインを広く募集いたします。
広大な芝生で自然と対話し、くつろげる空間を造りたいと考える、北の大地・北海道十勝中札内美術村に置いて座って 不問
みたいというコンセプトに作品を募集しました。
株式会社 天童木工
波形スレートは、その名の通り波打つ形状を持つ個性的な建材ですが、現在その使われ方は多くが画一的なものと
不問
なっています。機能的にも優れた性能を持つ波形スレートには、使用の幅を拡げ、私達の生活をさらに豊かにする可能
性があるものと考え、当コンペを通して幅広くアイデアを募集しました。
近畿スレート販売協同組合
30 ノンアスベスト 波形スレートデザインコンペ
2007~2011.2現在
募集期限 分類
【一般部門】
2010/3
●グランプリ(1点) 100万円・トロフィー・盾・賞状
●準グランプリ (3点 )30万円・盾・賞状
●優秀賞 6点)10万円・盾・賞状
●中川ケミカル賞(3点)賞金10万円・盾・賞状
【学生部門】
●金賞(1点)15万円・賞状
●銀賞(1点)10万円・賞状
●銅賞(1点)5万円・賞状
●佳作(5点)賞状
国内外の2009年4月1日から2010年3月31日までに竣工もしくは実現し、実際に稼 (社)日本商環境設計家協会(JCD ●JCD大賞(1点)50万円、JCDデザインセミナーへの講演 2010/3
動/機能している全ての空間作品を募集対象とする。
事務局)
依頼
●JCD金賞(5点)
●JCD銀賞(10点)
●審査員賞(数点)
●新人賞(数点)
●特別賞数点
25 ニトリ ワンハウストータルコーディネーションデザインコンテス ニトリは、1軒の家すべての空間をトータル・コーディネートするO・T・C・M(ワンハウス・トータル・コーディネート・マー
特に問わない。
ト2009
チャンダイジング)という商品構成思想に基づいて、商品開発をおこなっています。このコンテストは、この思想に基づい
たファブリック、ファニチャー、インテリアアクセサリーのトータルデザインの提案を公募するものです。優秀作品の商品
化によるニトリ店舗での取扱いと、協力デザイナーの発掘を目的とするコンテストです。
26 第3回建築系高校生対象コンペティション
建築系高校生を対象とした同コンペ。第3回目を迎えた同コンペの今回のテーマは「工芸作家の軽井沢Life」。夫婦が 建築系高校生
自然に親しみながら創作活動を楽しむための住空間の設計。
29 座ってみたい北の創作椅子展2008
賞品等
Ⅱ-14
中札内美術村(企画・運営 六花
亭)
●グランプリ(1点)
30万円・記念品贈呈・応募作品の試作品贈呈
●特別賞(1点)
5万円・記念品贈呈
●入賞(4点)
1万円・記念品贈呈
●金賞(1点):賞金 200万円 試作品贈呈
●銀賞(1点):賞金 50万円 試作品贈呈
●銅賞(2点):賞金 10万円 試作品贈呈
●入選(6点):試作品贈呈
●最優秀賞(1点)100万円
●優秀賞(1点)50万円
●入選(若干数)各20万円
●金賞 (1点) 賞金50万円
●銀賞 (1点) 賞金20万円
●銅賞 (2点) 賞金10万円
●特別賞(4点) 賞金5万円
●佳作 (10点) 表彰状
●メーカー賞 (5点) iPod nano
2)中部地域発「次世代住宅(建設)競技」の検討
目標
「次世代住宅(建設)競技」では、住宅の設計・デザインのみならず、新しい機能開発
や経済合理性を踏まえた次世代住宅について、大学等の建築系と経済系が共同企画・設計
を担う一方、住宅や設備メーカー、地域のものづくり企業が、それらの企画に対して支援・
協力を行い、実際の建築まで共同での実施を目指す。
この過程を通じて、当分野において将来を担う人材育成と、共同研究促進による新製品
の開発、他産業からの新規参入による技術融合を促進してゆく。
注1)太陽光発電、燃料電池・蓄電池の利用、高耐久性や耐震性、バリアフリー、IT によるエネルギー需
給や家電・設備等の最適制御など、高付加価値な機能・設備を有する住宅
実施イメージ図
書類選考による一次審査
第一段階
単独あるいは複数の大学による、住宅(あるいは住宅機器)の企画・設計
初
年
度
大学が持つ技術シーズや、エネルギー効率等の経済合理性の観点等、各大学の
総合力を用いて、理想とする次世代住宅を企画・設計。(大学が持つ技術シーズ
の提案等を含む。
)
パネル、PPT 等による
二次審査
第二段階
企画・設計した大学による、住宅・機器メーカー・ものづくり企業に対するプレゼンを実施
企業が大学側のプレゼンを受け、今後共同で研究開発・製品化を進めたいと
思われるアイディアを選定。
実作・実測による三次審査
第三段階
大学と住宅・機器メーカー・ものづくり企業によるプロジェクトを結成し、実際に建設
2
~
3
年
度
目
大学の「強み」と企業の「強み」を最大限活用し、企業の技術・資金協力に
より次世代住宅を建設。
・コンテスト主催者による、製作および建設に関する資金や場所、広報等の支
第四段階
建設された住宅について、専門家・一般消費者・メーカーからの評価、優秀プロジェクトの選定
援。
コンペ終了後
大学から企業側への技術シーズ供与や、更なる共同開発研究の実施等の産学交流促進
Ⅱ-15
第一、第二段
階で選定され
なかった大学
も場合によっ
ては(例えば
要素技術の
提供等)参加
可能
各段階で想定される検討課題
第1段階
大学発の発想をベースに構想・立案を行う。
シーズ技術がどのような形で商品化するかイメージできない場合も多く、達成目標
の性能やスペックを厳密に定める。要素技術や技術シーズの発表会になってしまう
可能性もあるので、最終実作の目標を明確にしめす必要がある。またこの時点では
書類選考なので選考者や事務局の見識も問われる。
第2段階
企業から有望な技術への参加表明、あるいは企業と大学とのマッチングなどを行
う。ここの段階における最大の課題は、企業から参加の意志が示されるか、共同で
取り組みたいと思うような魅力的な提案があるかどうかである。
予め、企業側から求めるテーマや技術的課題を出題するなど、マッチングのため
の課題設定も重要である。
第3段階
共同開発体制の構築、実作へのトライアル段階である。
具体的、技術的な解決策を整え実作に至る、時間と費用などさまざまな課題をク
リアしつつ実現を図る。資金調達や技術的支援など参加者は総合的な力を要求され
る。
第4段階
専門家、メーカー、市民、消費者による評価を経て優秀作が選ばれる。多様な視
点から評価されたという名誉に併せて、構想を実現し商品化しうる段階まで達成し
たことの功績が大きい。
これ以降の段階では企業側は製品、商品として普及させることに注力できること
に加え、国内外の企業や大学のネットワークによる技術開発の可能性や新しい技術
シーズの展開に結びつけることが重要となる。
Ⅱ-16
3)大学側の評価について
中部圏には建築系学科(一級建築士受験資格の認定あり)が 21 大学、24 コースに存在
する。これらの各学科(専攻)主任宛にアンケートを実施した。年度末の受験および卒業
シーズンと重複し、
「適当な回答者が不在」「代表して回答できない」などの理由により、
調査票の回収は進んでいない。
(3/20 日時点で回答数は7票)
以下に調査結果を示す
問1 中部地域で開催する競技への参加形態
回答
回答数
1. 住宅全体の計画から実作
5
2. 建材・設備等に限定して参加
0
3. 参加は難しい
2
参加する以上は「実作」に魅力を感じている。単なる机上の設計競技に止まらず最
後まで実践すること、実現できることのインパクトは強いと推測される。
問2 中部版競技に参加する上で最も大きな課題(複数回答)
回答
回答数
1.資金力
5
2.技術力
2
3.他学科・学部との連携調整
1
4.他校との連携調整
2
5.事故や損害の保証・保険など
1
6.成果の配分(知的所有権)など
1
7.その他
1(既存カリキュラムの限界)
最大の課題は資金調達である。実作に関心を示しつつ、具体的な調達方法が見えな
い中で、大学の費用だけでは参加するのは困難と思われる。企業支援が得られるとな
ると、全く異なった反応が予想される。またデザインや家政学系の大学の場合、単独
での参加は考えにくいので、関心を示しつつも他者(他学科、他大学)との連携に不
安を感じている。
Ⅱ-17
問3
コンペのテーマとして最も関心の高いテーマ(すべて○)
回答
回答数
1.ゼロ・エネルギー
5
2.情報通信
1
3.福祉
3
4.健康
1
5.医療
1
6.耐震性
1
7.防犯
1
8.低価格
1
9.防火性能
0
10.建物の長寿
2
11.メンテナンスの容易性
1
12.その他
2(未来の家族像、他者との交流、デザイン性)
最大の関心はゼロ・エネルギーに代表される環境問題や低炭素への技術課題である。
しかしながら福祉・医療・健康など QOL(生活の質的向上)分野や、将来の家族像や
他者との交流など新しいコミュニティ像と住まいのあり方への視野も指摘されてい
る。
単に住宅単体に限定せず、地域コミュニティや生活支援サービスなど関心の幅は広
いため、今後、ものづくりを軸にした新しい産業(サービス業を含む)育成への提案
につながる可能性も有している。
問4 国内外の大学と企業による多年度にわたる段階的な競技実施について
回答
回答数
1.毎年同じテーマで実施する
1
2.テーマを変えて毎年実施する
1
3.複数年にわたって段階的に取り組む
4
4.その他
1(サブテーマを毎年変える)
実作を最終目標とする回答が多いため、必然的に「複数年の取組み」とすることの
回答が多い。ただし、テーマを固定しつつ、サブテーマなど条件面で少し変化を付け
た方がいいという意見もあった。
問5 コンペの検討会について
回答
回答数
1.関心があるので、検討会に担当者を派遣しても良い
4
2.人材の支援は無理だが、検討成果を知りたい
3(①⑤⑦)
3.学内の対応は難しいので、関心がない
0
4.その他
0
参加する上での課題を感じつつも、積極的な意見である。(回答があったこと自体
が意欲の現れかもしれない)
Ⅱ-18
以下はソーラー・デカスロンに対する質問である。
問6
ソーラー・デカスロンへの認知度
1.ない
6
2.ある
1(②のみ)
今回の回答の中で既に知っていたのは1校のみ。
まったく初耳であり、このアンケート調査によって初めて知ったという回答が見ら
れる。その意味では、これまで学内で検討あるいは議論された蓄積を元にアンケート
に答えるという段階ではなく、大学あるいは専攻を代表して回答するには時間や情報
が不足しているのかも知れない。
問7 同競技への参加検討の有無
1.ない
2.検討したことがあるが参加にいたっていない
「知らなかった」6票は当然、検討していない。
「知っている」は「2.検討したが参加せず」
上記「知らなかった」6専攻について
問8
同競技についての参加意欲
1.参加したい
1
2.参加したいが難しい(問8-1へ)
5
3.関心がない
0
今回の回答者はすべて参加したい意欲がある。ただ実際にソーラーデカスロンに参
加するには幾つかの課題を認識しており、クリアできるかどうかの判断で「2.難し
い」と回答している。
問8-1 参加困難の理由
1.学生の数(質)
4
2.資金
2
3.指導体制
2
4.テーマの多様性
0
5.取り組み期間の長さ
2
6.その他
3(海外での活動、既存行事との調整、時間)
単科大学のみならず国立大学であっても実際に活動可能な学生数や研究室のスタ
ッフ構成から、長期のプロジェクトに最後まで取り組めるかどうか、相当な覚悟が必
要であると回答している。
Ⅱ-19
全般的傾向
今回の調査では、ソーラーデカスロンを基本とした実作事業のコンペについて、事
前に複数の建築系大学関係者にヒアリングを行った上で、中部地域における類似事業
の可能性を聞くという手順をとった。
そのため、予め予想されていたことであるが、
① 最終的に実現する(実作する)競技が魅力
② 総合力を発揮するには大学の中だけでは無理
③ 経済やPRなどの分野の専門家との連携が課題(住んでいる世界が狭い)
④ 資金調達や企業支援が得られるかどうか
⑤ 教育面では文部科学省のカリキュラムとして認定が必要 といった課題がある。
そのため研究室や学生レベルで参加しやすいようコンペ条件を軽便にするか、ある
いは人的資源、技術的支援などを得やすい条件を整えるかの選択になる。
前者のように簡単なコンペとしてしまうと、国内外のデザインコンペやアイデアコ
ンペとの差が生み出しにくい。あえてこれから新設する意味が乏しくなってくる。
参加するにはハードルが高くとも、それを越えても参加したくなるようなトライア
ルそのものの魅力や、その過程で得られる技術開発の成果、コンテスト勝者に最終的
に与えられる栄誉や評価のステイタスの高さ、企業や地域における高い波及効果など
が無ければ、長期に渡って技術開発を続ける意欲が高まってこない。
大学では予算や時間の制限が課題となり、私立大学や国立大学、学生数や教員数な
ど総合力が問われる。また、業界としては資金的援助や協力体制、経済産業局として
の継続的支援などが問われる。しかし今回得られた回答は、少数ながら強い関心と参
加意欲を示しており、中部版の実作競技がより詳細化・具体化する中で、更に参加者
を引きつける要素や条件を抽出し内要検討を進めることが必要と考える。
今回の調査対象(21 大学、24 コース)
①富山大学 芸術文化学部 造形建築科学コース、②金沢大学 理工学域 環境デザイン学類、③豊橋技術科学大学大学院
建築・都市システム学系、④名古屋大学大学院 環境学研究科 都市環境学専攻 建築学系、⑤名古屋工業大学大学院 工
学研究科 社会工学専攻、創成シミュレーション工学専攻、⑥三重大学大学院 工学研究科 建築学専攻、⑦福井大学大学
院 工学研究科 建築建設工学専攻、⑧名古屋市立大学大学院 芸術工学専攻 建築都市領域、⑨金沢工業大学大学院 工
学研究科 建築学専攻、⑩岐阜女子大学 家政学部 住居学専攻、⑪愛知工業大学大学院 工学研究科 建設システム工
学専攻、⑫愛知産業大学大学院 造形学研究科 建築学専攻、⑬愛知淑徳大学 メディアプロデュース学科 都市環境デザ
インコース、⑭金城学院大学 生活環境学部 環境デザイン学科住宅・都市環境コース、⑮椙山女学園大学大学院 生活科
学研究科 生活環境学専攻 建築・住居領域、⑯大同大学大学院 工学研究科 建築学専攻、⑰中部大学大学院 工学研究科
建設工学専攻、⑱名古屋女子大学 家政学部 生活環境学科、⑲名古屋造形大学 造形学部 造形学科建築デザインコース、
⑳名古屋造形大学 造形学部 造形学科インテリアデザインコース、21)名城大学大学院 理工学研究科 環境創造学専攻、
建築学専攻、
Ⅱ-20
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