マンガの海外進出

マンガの海外進出
―日本製が受け入れられる瞬間―
久松ゼミ 山田麻衣
（東洋大学国際地域学部国際地域学科）
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研究動機
• 海外におけるマンガ人気
(例)イベント開催、専門店
• マスメディアによる特集
（日本）
写真1 JAPAN EXPO 2011の様子
図1 JAPAN EXPOの来場者数の推移
出所：栗田亮『お客様を海外から呼ぼう！テンカイジャパン』
http://www.apalog.com/kurita/archive/1141
2012年1月9日参照
出所：ジャパンエキスポ国際関係部門『JAPAN EXPO』により筆者作成
http://nihongo.japan-expo.com/index.php?page=918
2012年1月9日参照
久松ゼミ 山田麻衣 『マンガの海外進出』
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先行文献研究で分かったこと
①日本マンガ業界の現状
図2 コミック誌の販売額の推移
図3 コミックス（単行本）の販売額の推移
出所：出版科学研究所『2008 出版指標 年報』（2008年）により筆者作成 出所：出版科学研究所『2008 出版指標 年報』（2008年）により筆者作成
多様性を持っている
②アニメ・マンガの特徴
＝対象が幅広い！
―多様性 …消費者の受容要因
③アニメ(日本のアニメーション動画)の強い影響
―アニメからマンガへの強い影響
久松ゼミ 山田麻衣 『マンガの海外進出』
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私の質問
なぜマンガは海外の多くの地域で
受け入れられたのか。
a） 流入のきっかけは何だったのか。
b） 流入後、受容され人気が出た理由は
何だったのか。
c） どのように波及していったのか。
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研究方法
＜文献による研究＞
主な資料：JETROによる各国マンガ市場調査レポート
対象地域：フランス、ベルギー、スペイン、イタリア、ドイツ、イギリス、
デンマーク、台湾、中国、韓国、アメリカ（計11地域）
a） b） 流入のきっかけ・受容理由
⇒現地業者と消費者それぞれの視点からの受容要
因を地域別にまとめ、研究。
c） 波及ルート
⇒各地域に最初に流入したタイトルと、その流入時
期をまとめ、研究。
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研究結果(1) ＜流入のきっかけ＞
①きっかけ・特徴は4つのグループに分けられる。
②年代に傾向はない。
表1 マンガが各国へ流入・普及したきっかけと地域別特徴
流入経路
きっかけ・特徴
①アニメ→マンガ
A．番組数増加により流入した地域、
又はそれらの地域から波及した地域
B．アメリカから流入した地域、
又はそれらの地域から
波及した地域
②マンガ（直接）
C．海賊版が流入した地域
③アニメ・その他
→マンガ
※1 アニメ流入時期。
D．アニメやその他日本製
コンテンツが注目され
マンガの流通に繋がった地域
※2 広まったとされる時期。
（出所：筆者作成）
地域
フランス
→ベルギー
スペイン
イタリア
ドイツ
イギリス
年代
1970年代後半
（※1)
デンマーク
2000年頃
1990年代
台湾は年代不明、
台湾→中国
中国は
1980年代前半
韓国
1950年代
アメリカ
1999年頃(※2)
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研究結果(2) ＜受容要因＞
図4 バンド・
デシネの例
・現地業者の影響が大きい。
表2 マンガが受け入れられた理由
流入経路
①アニメ→マンガ
きっか
け
A
B
地域
フランス
ベルギー
スペイン
イタリア
ドイツ
イギリス
デンマー
ク
（出所：筆者作成）
現地業者
バンド・デシネの文化
アニメ版権料が安価、
アニメの人気
「平和」への関心
アメリカで好評
売れ行き不調の打開
安価、
カンフー漫画(香港発)
台湾
②マンガ（直接）
C
中国
費用が安価、
著作権法未整備(当時)
D
アメリカ
安価、民主主義的要素、
カンフー漫画(香港発)
安価、
マンファの文化
韓国
③アニメ・その他
→マンガ
消費者
日本アニメのカルト的な
人気にビジネスチャンス
Pokemonのヒットにより
日本製コンテンツに興味
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研究結果(3) ＜受容パターン＞
3つの受容パターン
(1)アニメがきっかけで流入する場合
(2)マンガが直接流入する場合
(3)アニメやその他日本製コンテンツ
がきっかけで流入する場合
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受容パターン①
＜アニメがきっかけで流入＞
アニメ
流入
人気
輸入の
流れ確立
例：フランス、ベルギー、スペイン、
イタリア、ドイツ、イギリス
マンガが
原作の
アニメ流入
人気
原作マンガ
が流入
図5 『アルプスの少女ハイジ』の1シーン
図6 『ドラゴンボール』の1シーン
出所：『アルプスの少女ハイジ』公式ホームページ
http://www.heidi.ne.jp/hp/index.html
2012年1月9日参照
出所：東映アニメーションホームページ
http://www.toei-anim.co.jp/ptr/dragonball/db/index.html
2012年1月9日参照
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受容パターン②
②－1
＜マンガが直接流入＞
例：台湾、中国、韓国
マンガの
海賊版
流入
人気
正規版
流入
図7 『セーラームーン』の1シーン
出所：東映アニメーション『東映アニメBBプレミアム』
http://shop.anime-bb.com/anime/_item/item017332_0000.htm
2012年1月10日参照
②－2
例：デンマーク
アメリカで
人気
マンガ
流入
図8 『ドラゴンボール』の1シーン
出所：東映アニメーションホームページ
http://www.toei-anim.co.jp/ptr/dragonball/db/index.html
2012年1月9日参照
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受容パターン③
例：アメリカ
＜アニメやその他日本製コンテンツがきっかけで流入＞
アニメ、ゲーム、キャラク
ターグッズ販売
人気
日本製コンテンツの一
つとしてマンガが注目
され流入
図9 ゲームソフト『ポケットモンスター』北米版
出所：The Pokémon Company International 『Pokémon』
http://www.pokemon.com/us/games/videogame-pokemontm-red-version-andpokemontm-blue-version/ 2012年1月10日参照
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研究結果(4) ＜5つの波及ルートのうち3つ＞
(a)
(b)
イギリス
デンマーク
ドイツ
ベルギー
フランス
(c)
スペイン
イタリア
図5 アニメ・マンガの波及ルート（1）
（出所：筆者作成）
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研究結果(5) ＜5つの波及ルートのうち2つ＞
(d)
中国
韓国
台湾
図4 アニメ・マンガの波及ルート（2）
(e)
（出所：筆者作成）
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結論
①受容要因…現地業者がきっかけを与え、多様
性により、消費者に広く受け入れられた。
⇒ 3つの受容パターン
(1)アニメがきっかけで流入する場合
(2)マンガが直接流入する場合
(3)アニメやその他日本製コンテンツがきっ
かけで流入する場合
②5つの波及ルート
⇒ 3つの波及要因
(1)言語的繋がり
(3)地理的繋がり
(2)商業的繋がり
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ご清聴ありがとうございました。
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参考資料：代表的なアニメ作品と、それらが流入した地域・年 （出所：筆者作成）
年
作品
1963 鉄腕アトム
国
年
韓国
1981
アメリカ
1982
作品
1964
1983
1965
1984
1966
1985 アルプスの少女ハイジ
1967
1986
1968
1987 ドラゴンボール
1969
1988
1970 鉄腕アトム※
台湾(※1970年代前半)
香港(※同上)
1971
1989 AKIRA
1991 AKIRA
1974
韓国
アルプスの少女ハイジ
(全米公開は1990年12月25日)
フランス(5月8日)
マジンガーＺ
スペイン
アルプスの少女ハイジ
ドイツ
グレンダイザー
1993 美少女戦士セーラームーン
スペイン
韓国
ＵＦＯロボ
1992
フランス
キャンディ・キャンディ
キャンディ・キャンディ
フランス
スペイン
1994
1995 美少女戦士セーラームーン
アメリカ
イタリア
イタリア(4月～)
1996 ドラゴンボール
フランス(7月～)
1997
フランス
1998 ポケットモンスター
アメリカ(9月7日～)
1999 ポケットモンスター
フランス
1979
1980
アメリカ
ドイツ(5月9日)
1975 マジンガーＺ
1978
フランス
イギリス(1月25日)
1973
1977
アメリカ(ホームビデオ)
1990
1972
1976
国
ダンガードＡ
イタリア
鉄腕アトム
中国
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ドイツ
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参考資料：
久松ゼミ 山田麻衣 『マンガの海外進出』
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参考：マンファの一例
左：ヒョン・ミンウ『プリースト』、右：チョ・ジョンマン『ウィッチハンター』
久松ゼミ 山田麻衣 『マンガの海外進出』
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参考：バンド・デシネの一例
左：Hugo Pratt 『Corto Maltese, Tome12 La lagune des beaux songes』
右：作 Jean Van Hamme, 画 William Vance『XIII (Treize)』
久松ゼミ 山田麻衣 『マンガの海外進出』
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参考文献一覧
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3.清谷信一（2009）、『ル・オタク フランスおたく物語』、講談社
4.ローランド・ケルツ（2007）、『ジャパナメリカ 日本発ポップカルチャー革命』、
武田ランダムハウスジャパン
5.コンテンツビジネス調査研究会（2008）、『最新コンテンツビジネスのすべてがわかる本』、
日本能率協会マネジメントセンター
6.櫻井孝昌（2009）、『アニメ文化外交』、筑摩書房
7.四方田犬彦（2006）、『「かわいい」論』、筑摩書房
8.フレデリック・L・ショット（1998）、
『ニッポンマンガ論―日本マンガにはまったアメリカ人の熱血マンガ論』、マール社
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10.竹田恒泰（2010）、『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』、PHP研究所
11.中野晴行（2004）、『マンガ産業論』、筑摩書房
12.中野晴行（2009）、『マンガ進化論 コンテンツビジネスはマンガから生まれる！』、
ブルース・インターアクションズ
13.堀淵清治（2006）、『萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか』、
日経BP社
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久松ゼミ 山田麻衣 『マンガの海外進出』
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16.日本貿易振興機構（ジェトロ）（2011）、『マレーシアにおけるコンテンツ市場』、
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000581/malaysia_contents.pdf、2011年7月27日参照
17.日本貿易振興機構（ジェトロ）（2011）、『フランスを中心とする欧州のコンテンツ市場』、
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2011年7月27日参照
21.日本貿易振興機構（ジェトロ）（2011）、『米国におけるコンテンツ市場の実態』、
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23.日本貿易振興機構（ジェトロ）（2008）、『ポーランドにおけるマンガ市場 基礎調査』、
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/05001569/05001569_001_BUP_0.pdf、2011年7月27日参照
24.日本貿易振興機構（ジェトロ）（2009）、『ドイツにおけるコンテンツ市場の実態』、
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000040/05001678.pdf、2011年7月27日参照
25.日本貿易振興機構（ジェトロ）（2007）、
『スペインにおける日本のテレビアニメ・マンガ・映画市場の実態』、
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/05001517/05001517_002_BUP_0.pdf、2011年7月27日参照
26.日本貿易振興機構（ジェトロ）（2007）、『イタリアにおけるコミック・アニメ市場 基礎調査』、
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/05001432/05001432_001_BUP_0.pdf、2011年7月27日参照
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