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普通課程実技教科書の改定内容に関する研究
普通課程実技教科書 の改定内容 に関する研究 普通課程実技教科書の改定内容に関する研究 光 章 栄 弘 田 山 砂 木 職業能力 開発総合大学校 能力 開発研 究 セ ン ター 中央職業能力 開発協会 Historical Review on thё Contents in the Revisions of the Public Vocational Textbooks Sakae SUNADA.Hiroaki KIYAMA Sullllllllary Appropriate leaders and teaching materials are indispensable for handing down skills and technologies. Practice textbooks are included in teaching materials.; To guide trainees effectively and emciently Ⅵバth teaching materials, study on teaching materials by leaders is essential. Since the Center of Research and Development for the Human Resources Development has been established,we, the Center execute the revisions of practice textbooks etc. based on theヽ ″ ocational Training Standards. ring the cOntents in the past revisions over these 50 or so years into the In this thesis,classifゝ following four divisions,we,the two researchers,clarify each structure in the contents of the SubieCtS. 1)ヽ Vork sheets age(1961-1977) 2)Wide revisions in contents age(1978-1988) 3)Informationization age(19891998) 4)Close examinations on revised contents age(1999- onward) By our clariflcation,we suggest the lirnitations and possibilities of the practice textbooks on the contribution towards the 2007'problern,or handing down skills and technologies bet、 veen generations. Keywords:ヽ ア ocational Training,Textbook,Human Resources Development,the 2007'problem l.は じめに 公共職業能力開発施設の行 う普通職業訓練又 は高度職業訓練 (以 職業能力開発促進法第20条では、「 公共職業訓練」 とい う。 下 「 )に おいては、厚生労働大臣の認定を受けた教科書その他の教材を使用す るように努めなければならない。 」 とい う規定がある。 この規定は、第19条の職業訓練の水準の維持向 上のための基準 を受けている。 (1` (aら 1練カリキュラム論として、公共職業訓練の専攻の しかし、田中 小林 の指摘のように、職業ヲ 学科 につ い ては、その科 (コース )の 科学的体系 に準 じた枠組 み構 成がある一 方 で、 実技 につい ては要 職業能力 開発研 究 第2 6 巻 2 0 0 8 年 素作業名 に従 った科 目編成 となって い るため に、技 能教育 の効果 と効率 を高める観点か らの配慮が十分 になされて い る とは言 い 難 い との指摘 がある。 2007年問題等 に見 られ る よ うに、技 能 の伝承 につ い て は、 我が 国に於 い て も国策 として重 要 な政策課 題 となって い る。 カ ン ・コ ッを含 む技 能 を伝承す ることは難 しく、その媒体 として実技教科書 の果 たす 役割 は大 きい と考 え られ る。 4 そ こで、能力 開発研究 セ ン ターで認定教材 の改 定 業務 を実施 す るよ うになった昭和53年以降の普通 課 程実技教科書 の改定 内容 を中心 に分析 を行 った。モ ノづ くりの教育 (実物教育)の 立 場 か らの モ ノの把 握 とい う教育展開の主眼点か ら、指導教材 としての教科書 を分析す ることによ り、今後 の実技教科書 の 改定における限界 と可 能性 を明確 にした。 1.実 技教科書 の策定 に当たっては、「 作業指導票」 をベ ース とした職務分析 。作業分析 が不可欠 で 生涯職業能力開発体系」 の充実 と活用が不可欠 である。 あ り、作業指導票 の裏付 け となる 「 2.カ ン ・コツを教材化す るために、訓練現場 の指導員 の指摘 は有効 であ り、記述 にあたっては、学 識経験者、執筆及 び編集 の専 門家 との共同作業が決 め手 となる。 3.実 技教科書 の使用 にあたっては、改定内容 に配慮 した 「 指導案」に よる効果的 ・効率的な職業訓 練指導員 による指導が最 も重要である。 2.普 通 課 程 実技 教 科 書 の 定 義 2.1 普 通 課程 実技 教 科 書 の 定 義 普通課程実技教科書 の定義 を、職業能力開発促進法 (昭和60法56.改 称)(最 終改正平成18年6月 21 日、法律第81号 。10月 1日 施行)に よ り検討す る。 (図 1を 参照)普 通課程実技教科書 につい て も、職 業能力開発促進法第20条による教材 に限定 して改定内容 について論 じることとす る。 したがって、 この論文において は同法同条で規定 されてい る教材 の うち、第 1項 の教科書 の うち、実 技科 日で使用する実技教科書 のみを対象 として選定す ることとし、映画、 ビデオ、 ス ライ ド、録音 テー プその他映像又は音声 を用 いた視聴覚教材、 シミュレーター、模型 プログラムその他職業訓練 の実施 に 効果的な教材 は除 くもの とす る。 また、厚生労働省認定職業訓練教材 の教科書 としては、学科 と実技 で使用す る教科書 に区分する こと がで きるが、実技科 目で使用す ることを目的に作成 されてい る教科書 を中心 に論 じる こととし、類似 の 実技教科書 である単位制訓練 (モジュール訓練)用 教科書 については今後 の課題 としたい。 (教材)第 20条 :公 共職業能力開発施設 の行 う普通職業訓練又 は高度職業訓練 (以下 「 公共職業訓 練」 とい う。)に お いては、厚生労働大臣の認定 を受けた教科書そ の他 の教材 を使用するように努 めなけれ ばならない。 職業能力開発促進法施行規則 (昭和60労令23.改 称)(最 終改正平成 18年9月 25日厚 生労働省令 167 号 。10月 1日 施行) (教材 の種類)第 22条 :法 第20条の認定 (以下 「 教材認定」 とい う。)の 対象 となる教材 の種類 は、 次 の とお りとす る。 1 教科書 2 映画、 ビデオ、 ス ライ ド、録音テープその他映像又 は音声 を用 いた教材 普通課程実技教科書の改定内容 に関す る研究 3 シミュレー ター、模型、プログラムその他職業訓練 の実施 に効果的な教材 (教材認定 の 申請)第 23条 :教 材認定 を受 け よう とす る教科書その他 の教材 の著作者若 し くは製作 者又 は発売者 は、 当該教材又 はその原稿若 しくは見本 を添えた教材認定 申請書 (様式第 1号 )を 厚 生労働大臣に提出 しなければならない。 (教材認定 の方法)第 24条 :厚 生労働大巨は、教材認定の 申請があ った場合 には、その教材が法 の 趣 旨に適合する等職業訓練の効果的な実施 のために適切 な内容 を有す ると認めるものについ て、 当 該教材 を使用することが適 当であると認め られる職業訓練 の種類、訓練課程等 を示 して教材認定 を 行 うもの とす る。 (認定教材 に表示 で きる事項 )第 25条 :教材認定 を受けた教材 (以下 「 認定教材」 とい う。)に は厚 生労働省認定教材 とい う文字 を表示す ることがで きる。 この場合 においては、 当該認定 のあ った年 月 日、当該認定 に係 る職業訓練 の種類、訓練課程等 を併 せて明示 しなければならない。 第26条 削除 (認定教材 の改定)第 27条 :厚 生労働大臣の認定 の効力 は、改定 (軽微 な改定 を除 く。)を 加 えた教 材には及ばない もの とす る。ただ し、改定について厚 生労働大臣の承認 を受けた場合 は、 この限 り でない。 2 前項 ただ し書 きの承認 を受けよう とす る教材 の著作者若 しくは製作者又 は発売者は、当該改定 を加 えた教材又はその原稿若 しくは見本 を添えた教材改定承認 申請書 (様式第 1号 )を 厚 生労働大 臣に提 出 しなければな らない。 ( 教材 認定 の取消 し) 第 2 8 条 : 厚 生 労働 大 臣は、認定教材 が適切 な内容 を有 しな くな った と認 め る ときは、 当該認定教材 に係 る認定 を取 り消す もの とす る。 図1 職業能力開発促進法 (教材関係条文) 実技教科書 の成立過程 としては、下記 の ような経緯がある。 ① 公共職業訓練教科書 の発行 は、戦前 の昭和 10年代前半か ら行 われていたこと。 ② 現在 の実技教科書 の発行 は、昭和 30年代前半 に始 ま り、昭和40年代 の 中頃 (新職業訓練法制定 の 頃)ま では、実技教科書 とい う名称 は用 いず に、作業指導票 と呼ばれていたこと。 (3)● (5)に ① につい ては、田 中の 「 職業訓練 カ リキ ュ ラムの歴 史的研究」等 λ 詳述 されて い るが、 「 見習 工教科書」 と 「 技能工養成指導書」に、わが国の実技用教科書のルー ッがあるといえるだろ う。 その特 徴 を整理すると下記 の とお りである。 ●わが 国で最初 に公的に発行 された職業訓練用教科書 は、1935(昭 和 10)年 以降、鉄道省 工作局が編 集 した 「 見習工教科書」であった。 ●職業訓練用 の教科書 は、1938(昭 和 13)年 以降 も各種の もの (日本 工業協会が翻訳出版 した ドイツ エ業教育委員会 の 「ダッチ実習教程」や、東京府機械 工業養成所技術教育研究会編の 「 技能工養成 指導書」など)が 発行 されるが、 いず れ も実技内容の具体化、実学 一体訓練 の試みに集中された。 ●「 見習工教科書」が学科 と実技 を一体的に教 える教 科書 で あ ったのに対 し、「 技能工養成指導書」 は実技専用 であ り、公共訓練機関 による実技用教科書 としては、わが 国最初 の もの といえる。 (° ② につい ては、労働省職業能力開発局監修 「 指導 の理論 と実際」等 に詳述 されてい るが、実技教科 書は 「 作業指導票」 と 「 指導案」 との対 によ り考察す る必要性がある。その留意点を整理す ると下記の とお りである。 職業能力開発研究 第26巻 2008年 ●実技教科書 は、作業 を行 う ときの作業 の順 序 の 区切 りご とに、 熟練 を要す る点、危 険予 防 の重 点及 び作業 に必要 な関連知識 をまとめて記載 した もので、一枚ず つ の シー トか らで きて い るので、作業 指導票 とも呼 ばれて い る。 ●作業指導票 と指導案 は一対 をなす もので あるが、前者 は訓練生用 で あ り、後者 は指導員用 であ る。 この 昭和30年代前半 に発 行 されたあ る実技 指導書 (財団法人職業訓練教材研 究会編 で、初版 は昭和 45 年、現在 の版 で は厚 生 労働省 は監 修 となって い る。)の は しが きには、「この作業指導票 は、 職業訓練所 な どで○○ の技 能 を習 ってい る人たちのため に書かれた もので ある。 この作業指導票 は作業 の順序、急 所、注意事項 な どの作業 を行 う上 に必要 な ことが書 かれてあ るが、 指導す る人の説 明 を一応理解 した上 で、 この作業指導票 を十分 に活用す れば、短 い期 間 で作業 を よ く習得 で きる よ うになるであろ う」 との 記載があ る。 作業指導票 を出発 点 とした実技教科書 の改定 にお ける変遷 を概 観 し、その類型化 を試みた い。 3.普 通課 程 実技 教 科 書 改定 の変 遷 普通課程実技教科書 の変遷 と成立過程について、独立行政法人雇用 ・能力開発機構職業能力開発総合 (° 大学校40年史 お よび能力 開発研究 セ ンター企画調整室資料 (2005.8)に よ り整理 し、実技教科書 の 改定 の変遷 についての時代区分 を次 の 4つ に区分 した い。 ① 調査研究部時代 (昭和36年度∼昭和52年度) ② 訓研 セ ンター時代 (昭和53年度∼昭和63年度) ③ 研修研究 セ ンター時代 (平成元年度∼平成 10年度) ④ 能研 セ ンター時代 (平成11年度以降) 以下の記述 においては、職業訓練大学校 は訓大、雇用促進事業団 は事業団、職業訓練研究 セ ンターは ヨ1研セ ンター、職業訓練研修研究 セ ンターは研修研究 セ ンター、能力開発研究 セ ンター は能研 セ ンター と省略す る。 3.1 調 査研 究部 時代 (昭和36年 度 ∼ 昭和 52年 度 ) 職業副1練に関す る調査研究 は、昭和36(1961)に 中央職業訓練所 の設立 により開始 された。その下部 局 である調査研究部が訓練制度、訓練対象者、ヨ1練内容及 び方法、訓練評価 の各分野 に関す る研究 を実 特別研究 (プロジェク ト研 施す ることとなった。研究は、年度 ごとのテーム編成 に よって実施す る 「 職業訓練談話会」 が開 調査研究 ゼ ミ」「 経常研究」 とに区分 され、 また 「 究)」 と研究員 ごと課題研究 「 催 される こととなった。昭和42年 (1967)に は、職業 訓練は広義 の教育 の一環 で あ り、科学的 に解明 し なければな らない として、調査及び研究領域 の体系化 が図 られ、a職 業訓練 の制度 。原理に関す る研究、 b訓 練対象者 に関する研究、c職 業訓練 の内容 。方法に関す る研究、d職 業訓練 の効果及 び評価 に関す る研究 とい う 4分 野に整理 された。昭和44年 (1969)度 に事業団職業訓練部教材課が設置 され、それ以 降、調査及 び研究成果 の普及業務が開始 されることとなった。 この時代 の刊行物 は、調査研究報告書 、調査研究資料、教材情報資料、資料 シリーズ、技能 と技術、 職業訓練 (能力開発)研 究、年報がある。 3.2 訓研 セ ンタ ー 時代 (昭和 53年 度 ∼ 昭和 63年 度 ) 訓大調査研究部 と事業団職業訓練部教材課 を統合発展 させ る形で、昭和53年 (1978)4月、訓大 の 附 4 普通課程実技教科書の改定内容に関する研究 置機関 として昭和53年4月 訓研 セ ンターが設置 された。研究部門は、基礎研究部 と開発研究部 の 2部 で 構成 された。基礎研究部 は訓練 ニーズ把握、制度 のあ り方 の研究、対象者 の訓練適応能力解明な どの基 礎研究 を、開発研究部は、多様化 した訓練 ニーズに対応す るための教科書、教材及 び訓練 システム、訓 練技法等 の研究開発 を行 うとともに、同一のセ ンターで職業訓練の基礎的研究 と臨床的研究 を密接 に行 うことによって、職業訓練研究 の実践性 。実用性 を高めるとい う目標 で、それぞれの部の業務 の基本的 方向が定 まり実践 された。 基礎研 究部 の 業務 方針 は、a.教 科書 等 の 開発作 成及 び見直 し改 定並 び に これ に係 る一般研 究、 b.訓 練 ニ ーズ、静1練制度、訓練 カリキュラム及 び指導法、内外 の職業訓練関係資料 の収集 と分析 で あ った。 また、開発研究部における職業訓練教材 の開発 ・作成 は、養成及 び向上訓練用教科書等 に加 え、 モジュール訓練用教材開発 を行 って きた。 これ と関連 して、教材の審査管理業務 も開発研究部業務 とし て行 い、職業訓練用教科書、教材 の部内審査及び労働省職業能力開発局能力開発課 の依頼に よる民間作 成教材 の審査委員会 を主催 した。 この時代 の教材 としては、養成訓練用教科書、向上訓練用教科書、 モジュール訓練用印刷教材、 ビデ オ、 ス ライ ドがある。 3.3 研 修 研 究 セ ン タ ー 時代 (平成元 年 度 ∼ 平成 10年 度 ) 職業訓練指導員研修 を中心 とした研修研究 を柱 とした訓大及び訓研 セ ンターの統合再編計画が提起 さ れ、平成元年 (1989)に は職業訓練研修研究 セ ンター として再編 された。 これによって研修部門の充実 を図る とともに、現場 に密着 した実践的 ・臨床的研究等 を行 う研究部門 の発展的な再編整備 が行 われ、 研修 と研究が一体 となって推進 される こととなった。同年、職業ヨ1練研修研究 セ ンター とならてか ら、 研究部門 は開発研究部 の 1部 体制 とな り、次 のような業務方針 で取 り組む こととなった。 a訓 練 システム評価方法、 コース開発 、訓練 ニーズ、訓練適応、学習行動、訓練教材等 に関する調査 及 び研究、 b養 成訓練、向上訓練、能力開発訓練 、安全衛生等に関す る調査及 び研究。 上記 のよ うな項 目に対する研究 をするため一 人の研究員が担当す る分野は、広範な研究に及 び方向 に 変 わって きた。 この時代 の教材 としては、養成訓練用教科書、普通職業訓練用教科書、向上訓練、短期 課程用教科書、実技教科書、監督者訓練 (TWI)用 手引書があ る。 統合再編後 の研修研究 セ ンター となってか らは、組織人員 を研修関係業務 に配置 した こともあ り、開 発研究部 の研究員数 は従前 よ り縮小 された。 しか し、訓研 セ ンターの 開発研究理念 を継承す るために検 討 を重ね、開発研究 の対象及 び領域 の再構築 を行 った。 能研 セ ンタ ー 時代 (平成 11年 度 ∼ ) 平成 11年 (1999)4月 、職業能力開発促進法 の改正 に伴 い、能開大は能開総合大 に改称 され、同時に 3.4 研修研究 セ ンターは開発研究部 と研修部門及 び通信訓練部門が分離する再編が行われ、企画調整部及 び 開発研究部 の 2部 で構成 される能研 セ ンター として発足 した。 開発研究部教材研究室 では、認定教科書改定 を行 う際 に必要 とす る内容 ・質等 の維持向上 を図ると同 時に、改定等 でカバ ーで きない部分 においては、代替可能 な市販図書等 に関する情報提供 と併せて、教 材 の供給体制及 び陳腐化対策 の研究 を行 ってい る。 職業能力開発研究 第2 6 巻 2 0 0 8 年 4.普 通 課 程 実技 教 科 書 の 改定 内容 に 関 す る分析 普通課程実技教科書の改定内容 について、職種 として 「 塗装」 を事例 として検討 したい。「 塗装」は、 製造業 にお ける基盤技術 であ り、他の職種 とも深 い係 わ りがあると考えられるので、実技教科書 の一事 例 として と りあげ る。 改定内容 については、前述 の 4時 代 ごとに整理することとする。 調 査研 究部 時代 (昭和36年 度 ∼ 昭和 52年 度 )(「作 業 指 導 票」 時代 ) この時代 の教科書 としては 「 塗装作業指 導票 (労働省職業安定局職業訓練部)昭 和 34年3月20日」が 4.1 あるが、 日次内容 としては、 「 工具 の手入れ法、機械工具の使用法、塗料 の調合、木材 の整素 (手みが き)、木材 の前処理、油性 ペ イ ン トの前処理、金属の前処理、下地 ご しらえ、 は ぐり作業、着色剤 の調 合法、下地類の調合、塗料 の調合、水性 目止め、油性 目止め、下塗、はけ塗、仕上げ塗、吹付塗装、け んま」 で あ り、全32シー トの構成 となっている。 また、「 塗料の調合 」 の内容 については、1シ ー トの みであ り、その内容 は、 「 ①準備す る②色合 わせ③試 し塗 りをす る」の 3工 程 で あ った。その説明 とし て 9項 目、関連知識 2項 目、写真 は 2枚 使用 されてい る。 その後、「 塗装作業指導票 (労働省職業訓練局)昭 和41年4月発行」が発行 されるが、内容 は全 く同様 で ある。昭和45年2月20日重 版発行 された教科書 は、 「 実技教科書 (労働省職業訓練局編 )」 とい う名称 に変更 されてい るが、 内容 には、変更がなか った。 訓研 セ ンタ ー 時代 (昭和 53年 度 ∼ 昭和 63年 度 )(「大 幅改定」 時代 ) この時代 の教科書 の事例 として、 「 職業訓練実技教科書塗装 (労働省職業能力開発局、雇用促進事業 4.2 団職業訓練部共編)昭 和60年 2月 10版発行」があるが、 日次内容 としては、 「 工 具 一 覧、はけの扱 い方、 ロー ラブラシの扱 い方、木べ らの製作、木べ らの扱 い方、 きど棒の製作、 きど棒の扱 い方、刃物 の とぎ 方、空気圧縮機 の取 り扱 い方、 エ アー トラ ンス ホーマの扱 い方、水洗ブースの扱 い方、 スプレーガンの 扱 い方、 エ アー レス塗装機の扱 い方(静 電塗装機の扱 い方、赤外線乾燥炉 の扱 い方、電熱炉 の扱 い方、 ポー タブルサ ンダの扱 い方、両頭研削盤 の取 り扱 い方、測定器具 の使用法、養生作業、素地 ご しらえ、 木材 の漂 白、着色剤 の調合 と着色、中塗 り、脱脂、脱せ い (錆)、表面処理、防せい処理、中塗 り、特 殊塗装、色合 わせ、モルタル ・コンクリー ト面素地 ご しらえ、アルカリ処理、 モルタル面、合成樹脂 エ マル ジ ョン塗料塗 り (下 。中塗 り)、モル タル面、合成樹脂 エマ ルジ ョン塗料塗 り (上塗 り)、本部調合 ベ イ ン ト塗 り、木部油性調合 ペ イ ン トはけ塗 り、木部調合 ペ イ ン トはけ塗 り、多彩模様塗料 の塗 り方」 が追加 され、全 部 で85シー トとな り、全面的な改定 となった。 また、「 塗料の調合 」 の内容 については、 「 色合 わせ 」 の内容が追加 され、 5シ ー トとな り、その内 色合 わせ (色の比べ 方)」で、 4工 程、説明16項目、関連知識10項目、写真 1枚 、図 7枚 、「 容 は、 「 色 合 わせ (白 ・黒 による明 るさの調整)」で、 8工 程、説明28項目、 関連知識 2項 目、写真 1名 、図 5枚 、 色合 わせ (原色混合 による色の出 し方)」で、 8工 程、説明28項目、関連知識 2項 目、写真 1名 、図 5 「 枚、「 色合 わせ (白に単色 の混合 による変わ り方)」で、 7工 程、説明26項目、関連知識 3項 目、写真 1 枚、図 1枚 、「 色合 わせ (多色 による色合 わせ )」で、 7工 程、説明29項目、写真 1枚 、図 7枚 とな り、 一挙 に充実す ることとなった。 これは、産業界か らの強 い要請 として、 「 塗装」 にお い て 「 調色」 の技 能要素が求め られるようになった と考え られる。 普通課程実技教科書 の改定内容 に関する研究 研 修 研 究 セ ン タ ー 時代 (平成 元 年度 ∼ 平成 10年 度 )(「 IT化 対 応 」 時代 ) この時代 の教科書 としては、「 労働省認定教材塗装実技教科書 (雇用促進事業団職 業能力 開発大学校 4.3 研修研究 セ ンター編 )平 成 1年 2月 改定初版発行」があるが、主 な変更箇所 は、 「はけのおろ し方、 は けのおろ し方 と保管、 はけの使 い方、塗装用 ブースの扱 い方、 エ アスプ レーガ ンの扱 い方、 エ ア レス 塗装機の扱 い方、 エ ア レス塗装機 の使 い方、ポ リッシャの扱 い方、木材 の素地 ご しらえ、 木材 の下塗 り、木材 の中塗 り、木材の上塗 り、塗膜の仕上 げ、金属 の素地 ご しらえ、金属 の下塗 り、 モル タル ・コ ンクリー ト面 の素地 ご しらえ、モルタル ・コンクリー ト面 の下塗 り、 モル タル ・コンクリー ト面 の 中塗 り、 モル タル ・コンクリー ト面 の上塗 り、建築物 (鉄 ・木部)の 中塗 り、上塗 り、鋼構造物の重防食塗 装、補修塗装、足 場、金属 の下塗 り、 自動車補修塗装、金 属 の上 塗 り、 プラスチ ックの素地 ご しらえ、 プラスチ ックの下塗 り、変わ り塗 り、色彩調節、デザイ ン、安全衛生」であ り、全 部 で91シー トであ っ た。訓研 セ ンター時代 の内容 をベ ース として、精査する内容 となった と考 えられる。 また、 「 塗料の調合」の内容 については、新たに 「 色合 わせ (色差試験 )」が追加 され、内容 としては、 「 ①測定装置 を設置す る②測定条件 を設定する③零調整 をす る④試料色 を測定す る⑤調合色 を測定する ⑥色差量 を計算す る⑦色差量 を記入 す る③判定 をす る⑨許容範囲内に調整す る」が加 えられる ことと なった。特筆すべ きは、初めて測色計 一式 の写真が掲載 され、IT化 対応時代 にふ さわ しいコンピュー タが 内蔵 された試験機が紹介 されてい る。色差量の計算 も偏色量の求 め方 まで内容 に合み、測色 として CIE、 マ ンセル、 LABの 記述が見 られる。 (9工 程、説明38項目、 関連知識 4項 目、写真 1枚 、図 10枚) この時代 には、 「 調色」 の高度な精度が求め られるよ うになった と考 えられる。 4.4 能研 セ ン タ ー 時代 (平成 11年 度 ∼ )(「教 科 書 精 査」 時代 ) この時代 の教科書 としては、 「 厚生労働省認定教材塗装実技教科書 (独立行政法人雇用 ・能力 開発機 構職業能力開発総合大学校能力開発研究 セ ンター編)平 成17年3月 改定 3版 1刷 発行」力` あるが、 主な変更箇所 は、 「ボー ド面 の素地 ご しらえ、プラスチ ックバ ンパの素地 ご しらえ、 プラスチ ックバ ン パ の下塗 り、塗料 と手法 による変 わ り塗 り、塗料 による変わ り塗 り、手法 による変 わ り塗 り」 のみであ り、 シー ト数 も1枚 減 じて、90シー トとなった。調色 の色差の判定 にお け る測色計 の写真が掲載 されて い るが、技術革新 によ り試験機 の大 きさが、かな リコンパ ク トなサイズに変化 してお り、軽薄短小 の時 代 の影響が伺 える。 また、 「 塗料の調合 」 の内容 につい ては、色合 わせ (原色混合 による色 の 出 し方)と い う表現 にあ ら ため られる程度 のマ イナーチ ェンジとなった。 この ことは、 「 塗装」の技 能につい て、おおむね標準化 が進み、技能要素 の再確認程度 の段 階に達 した と考 える こともで きる。 5.考 察 以上、 「 塗装」の実技教科書による改定内容の変化 と、 「 調色」作業 にお け る改定内容 についての変化 について示 した。次に、実技教科書 の改定 のプロセス と留意点について、 さらに検討 を加 えたい。 厚生労働省 の認定 を受けるために、職業能力開発促進法の基準 に準拠する必要があるが、その基準 の 策定 のプロセス を図 2に 示す。 職業能力開発研究 第26巻 2008年 訓練 科 の新設 等 の要望 、必要性 を勘案 して省 令 を改正 すべ きか ど うか調査 、関係者 の ヒア リング等 を実施 調 査 結 果 等 に基 づ い て 検 討 の 上 作 成 改正省令 原案作成 改正省 令案 作成 職 業 能 力開 発 上 記 研 究 会 報 告 を踏 ま え作 成 した 原 専 門調 査 員会 案 の 適 否 に つ い て 調 査 検 討 し、 改 正 省 令 案 を作 成 改 正 省 令 案 に つ い て 省 内 の 審 査 を受 け る 改正省 令案 につ いて広 く国民 か ら意 見 改 正省 令案 募集 を行 う。 の審 査 諮 ― 労 働 政 策 審議 会 問 ― ― ― > ― ( 職業 能 力 開発 分 科 会 ) `― 答 申 施 行 日よ り改 正 省 令 の 施 行 図2 (鋤 職業能 力開発促進法 の基 準改正 の フロー チ ャニ ト図 職業能力 開発促 進法 の 「職業訓練基準」 とは、 職業能力 開発促 進法第19条の (職業訓練 の基準 )「公 共職業能力 開発施設 は、職業訓練 の水準 の維持 向上 のための基準 として、 当該職業訓練 の訓練課程 ご と に教科、訓練時 間、設備 そ の他 の構 成労働省令 で 定め る基 準」 を言 う。 この 目的 を達成す るため には、地域 や産業 の 人材 育成 ニ ーズ の動 向、訓練実施後 の 評価 等 を把 握 し、 それに基 づ いた効果的 な訓練が不可欠 となって くる。現在、開発研 究部教材研 究室 では、 職業訓練基準 の分野別見直 しに係 る基礎研 究 を実施 してお り、 これ と連動 した実技教科書 づ くりが求 め られて い る。 ° この視点か ら、現行 の職業能力 開発促進法 の 「 塗装」 における 「 教科 の細 目」 につい て考察す る。 5.1 教 科 の 細 目 に つ い て の検 討 教科 の細 目としては、塗装系 には建築塗装科 、金属塗装科 、木工塗装科 の 3科 が掲載 されてお り、そ れぞれ の教科 の細 目は下記 の とお りで ある。 普通課程実技教科書の改定内容に関する研究 普通課程 。金属塗装科 の別表2および教科 の細目表 41 一 金属塗装科 塗装系 系基礎科 目 訓 練 の 対 象 となる技 能及び知識の範 囲 教 塗料の調色及び塗装における基礎 的な技 能及びこれに関す る知識 訓練 時間 科 1 系基礎学科 教 科 の 細 目 180 ① デザイン概 論 20 ② 塗装法概 論 40 ③ 生 産工 学概論 20 ④ 塗料 40 塗料の構 成 ・分類 。性 質及 び原料、塗装用補助 材料、被 塗装 物別 の塗 料及 び特殊機 能塗料 ・塗膜 層 の形成 ⑤ 塗装設備 及 び 20 空気圧縮 機、 エアスプレー、吸排 気装置、乾燥装置 ⑥ 安全衛生 20 安全衛 生 管理、安全衛生 関係法規、安全作 業法 ⑦ 関係法規 20 消 防法、労働安全衛生法、その他 2 系基礎実技 300 デザインの意味、色彩の基礎、意 匠及 び表現、塗装及び色 塗装の目的、塗装 の歴 史、塗装の対 象領域 (金属、本、建築 物、プラスチック等) 材料及び機械 の管理、工程管理、品質管理、運搬管理 ① 機械操作基本 40 空気圧縮機、 エアスプレ塗装 機等 の取扱 い及 び手入れ ② デザイン基本実 40 図の構 成、色彩計画、レタリング ③ 調色基本実習 40 ④ 塗装基本実 習 160 塗料の調色 、塗料の調合 ・調整 下地処理、はけ塗 り。吹付 け ・マスキング ・塗膜 の研 磨 ・特 殊 塗料の塗装及び補修塗装の作業 ⑤ 安全衛 生 作業 20 安全衛 生 作業法 二 専攻科目 訓練 の対象 となる技 能及び知識の範囲 教 1 金属製 品の塗装 における下地 処理から仕 上 げまでの作 業 における技 能及びこ れに関す る知識 訓練時間 科 専攻学科 教 科 の 細 目 170 ① 塗料 30 金属塗装用塗 料 の種類及 び 性質 ② 塗装法 90 表面処理、塗装工程、各種塗装方法、金属材料 の性質、金属 材料 の塗装法 ③ 試験法 20 試験 の一 般条件、塗料 の試験 方法、塗膜 の試験 方法、塗膜環 境 の試験方法、測定機と試験機 ④ 仕様及 び積算 30 仕様書、仕様書 の作成、仕様書及び設 計 図、積算、見積 り 2 専攻実技 ① 塗装 機器操作 50 金属塗装用 機器 の取扱 い及 び手入れ ② 塗装 実習 160 金属 製品の塗 装実習 ③ 塗料 ・塗膜検査 40 塗料及び塗膜の検査 250 900 教科 設定時間の割合 図3 64.3% 普 通課 程 ・金 属 塗装 科 の 別 表 2お よび 教 科 の 細 目表 職業能力開発研究 第26巻 2008年 普通課程 。木工塗装科の別表2および教科 の細目表 41 木工 塗装科 塗装系 系基礎科目 訓 練 の 対 象 となる技 能及 び知識 の範 囲 教 1 塗料 の調色及び塗装 における基礎 的な技 能及 びこれに関する知識 訓1練時 間 科 系基礎学科 教 科 の 細 目 180 ① デザイン概論 20 デザインの意味、色彩の基礎、意匠及 び表現、塗装及 び色 ② 塗装法概論 40 塗装の目的、塗装の歴 史、塗装 の対象領域 (金属、木、建築物、 プラスチック等) ③ 生産工 学概論 20 材料及び機械 の管理、工程管理、品質管理、運搬管理 ④ 塗料 40 塗料の構 成 。分類 ・性 質及 び原料、塗装用補助材料、被塗装 物別 の塗料及 び特殊機 能塗料 ・塗膜層の形成 ⑤ 塗装設備及び 20 空気圧縮機、エアスプレー、吸排気装置、乾燥装置 ⑥ 安全衛 生 20 安全衛 生 管理、安全衛生 関係法規、安全作業法 ⑦ 関係法規 20 消防法、労働安全衛生法、その他 2 系基礎実技 300 ① 機械操作 40 空気圧縮機、エアスプレ塗装機等の取扱 い及 び手入れ ② デザイン 40 図の構成、色彩計画、 レタリング ③ 調色基本実習 40 ④ 塗装基本実習 160 塗料の調色 、塗料の調合 ・調整 下地処理、はけ塗 り。吹付 け 。マスキング ・塗膜 の研 磨 ・特殊 塗料の塗装及び補修塗装の作業 ⑤ 安全衛生作 業 20 二 安全衛生作業法 専攻科 目 訓 練 の 対 象 となる技 能及 び知識 の範 囲 教 木 工 製 品 の塗 装における下地処理から仕上 げまでの作 業における技 能及 びこ れに関する知識 訓練時間 科 教 科 の 細 目 1 専攻学科 170 ① 塗料 30 木工塗 装用塗料 の種類及びL質 ② 塗装法 90 表面処理実習、はけ塗り、吹付け塗装、塗膜の研磨、特殊塗料の塗装、 変り塗り、補修塗装、木工用材料の性質、本工用材料の塗装法 ③ 試験法 20 試験 の一 般条件、塗料 の試験 方法、塗膜 の試験方法、塗装環 境 の試験方法、測定機と試験機 ④ 仕様及び積算 30 仕様書、仕様 書の作成、仕様書及び設計図、積算、見積り 2 専攻実技 ① 塗装機器操作 50 木工塗装用機器の取扱 い及 び手入れ ② 塗装 実習 160 木工 製品の塗 装実習 ③ 塗料 ・塗膜 40 塗料 及 び塗 膜 の検査 250 900 教科設定時間の割合 図4 10 64.3% 普通 課 程 。木 工 塗装 科 の 別 表 2お よび 教 科 の 細 目表 普通課程実技教科書 の改定内容に関す る研究 系 41 普通課程 ・建築塗装科 の別表2および教科 の細 目表 塗装系 科 名 建築塗装科 系基礎科 目 訓 練 の 対 象 となる技 能及び知識 の範囲 教 1 訓練機 関 1年 総 時 間 1400H 塗料 の調色及 び塗装における基礎 的な技 能及 びこれに関する知識 訓練時間 科 系基礎学科 教 科 の 細 目 180 ① デザイン概論 20 デザインの意味、色彩 の基礎、意匠及び表現、塗装及び色 ② 塗装法概論 40 塗装 の目的、塗装 の歴 史、塗装 の対象領域 (金属、木、建築物、 プラスチック等) ③ 生産工 学概論 20 材料及 び機械 の管理、工 程管理、品質管理、運搬管理 ④ 塗料 40 ⑤ 塗 装 設備 及 び 20 塗料 の構成 ・分類 ・性 質及 び原 料、塗装用補助材料、被塗装 物別 の塗料及び特殊機能塗料 ・塗膜層の形成 空気圧縮機、 エアスプレー、 吸排気装置、乾燥装置 ⑥ 安全衛 生 20 安全衛 生 管理、安全衛 生関係法規、安全作業法 ⑦ 関係 法 規 20 消 防法、労働安全衛生法、その他 2 系基礎実技 300 ① 機械操作基本 40 空気圧縮機 ・エアスプレ塗装機等の取扱 い及 び手入れ ② デザイン基 本 実 40 図の構成、色彩計画 、レタリング ③ 調色 基 本 実 習 40 塗料の調色、塗料 の調合 ・調整 ④ 塗装基本実習 160 下地処理、はけ塗り・吹付け 。マスキング ・塗膜の研磨 ・特殊 塗料の塗装及び補修塗装の作業 ⑤ 安全 衛 生作 業 20 安全衛 生作業法 二 専攻科 目 訓練 の 対 象 となる技 能及 び知識 の範囲 教 1 建築物 の塗 装における塗装用足場 の組 立て及 び解体等並 びに下地 処理から 仕上げまでの作業における技能並 びにこれに関する知識 教 訓練 時 間 科 専攻学科 科 の 細 目 170 ① 建築構 造 20 各種建築構造 の特徴、各種建築構造 の主 要部分 の名称 ② 塗料 30 建築物塗装用塗料 の種類及び性質 ③ 塗装法 80 表面処理実習、はけ塗り、吹付け塗装、塗膜の研磨、特殊塗料の塗装、 変り塗り、補修塗装、建築材料の性質、建築物の塗装法 ④ 試験 法 20 試験 の一 般条件、塗料 の試験方法、塗膜 の試験方法、塗装環 境 の試験方法、測定機 と試験機 ⑤ 仕様及 び積算 20 仕様書、仕様書 の作成、仕様書及び設計図、積算、見積り 2 専攻実技 ① 塗装機器操作 40 建築物塗装用機器 の取扱 い及 び手入れ ② 建 築物 塗 装 実 150 建築物 の塗装、鉄鋼 構造物 の塗装 ③ 足場実習 20 足場の設置、 ゴンドラの操作 ④ 塗料 ・塗膜検査 40 塗料及び塗膜 の検査 250 900 教科設定時間の割合 図5 64.3% 普通課程 ・金属塗装科 の別表 2お よび教科 の細 目表 職業能力開発研究 第2 6 巻 2 0 0 8 年 (塗装系建築塗装科) 系基礎 実技 :機 械 操作 基本 実 習40時 間 (空気圧 縮 機 。エ アス プ レイ塗 装機 等 の 取扱 い 及 び手 入 れ )、 デザ イ ン基本実習40時間 (図の構 成、色彩 計画、 レタリング)、調色 基本実習40時間 (塗料 の調色、塗 料 の調合 ・調整)、塗装基本 実習 160時間 (下地処理、 は け塗 り、吹 き付 け、 マス キ ン グ、塗膜 の研 磨、 特殊塗料 の塗 装及 び補修塗装 の作業)、安全衛 生作業法20時間 (安全衛生作業法) 専攻実技 :塗 装機器操作実習40時 間 (建築物 塗装用機器 の取扱 い 及 び手入 れ)、建築物 塗装実習150時 。 間 (建築物 の塗装、鉄鋼構 造物 の塗 装)、足場実習 20時 間 (足場 の設置、 ゴン ドラの操作)、塗料 塗膜 検査実習40時 間 (塗料及 び塗 膜 の検査) (塗装系 金属塗装科) 建築塗装科」 に同 じ 系基礎実技 :上 記 「 専攻実技 :塗 装機器操作実習50時間 (金属塗装用機器 の取扱 い及 び手入れ)、塗装実習 160時間 (金属 製品 の塗 装実習)、塗料 ・塗膜検査実習40時間 (塗料 及 び塗 膜 の検査) (塗装系木 工塗 装科) 建築塗装科」 に同 じ 系基礎実技 :上 記 「 専攻実技 :塗 装機器操作実習50時間 (木工塗 装用機器 の取扱 い及 び手入 れ)、塗装実習 160時間 (木工 製 品 の塗装実習)、塗料 ・塗膜検査実習40時間 (塗料及 び塗 膜 の検査) この よ うに、被塗物 により専攻実技 の内容が異 なってお り、「 塗装」実技教科書 は、 この 3分 野 を合 体 した構造 となってい る。 したがって、 この 3分 野 を網羅 した教科書である こと、 また、そのことを意 識 して指導案 を作成 し、実技指導 を実施す る必要があるだろう。 塗装系 における職業訓練教材 の原稿精査 につい ては、職業能力開発促進法施行規則別表第二 に定め ら れた塗装系 における機械操作基本実習、デザ イ ン基本実習、調色基本実習、塗装基本実習、安全衛生作 業法、塗装機器操作実習及 び各種 塗装実習 (金属製品、木工 製品、建築物、 自動車)並 びに足場実習 (ゴン ドラの操作 を除 く。 )と なってお り、ほぼ金属塗装科、木工塗装科、建築塗装科 の系基礎実技 300 時間 と専攻実技 の250時間の計550時間 (総訓練時間1400時間の約 3分 の 1)相 当の内容 となってい る。 教科 の細 目の構造 としては、実技教科書が総訓練時間1400時間の約 3分 の 1を 占めることとなる。 ま た、実技教科書 は、謝1練基準 としての教 科設定時間900時間が総訓練時間1400時間に占める割合64.3% の約 2分 の 1と なってい る。 訓練基準 における細 目表中の教科 目は、各 々の塗装 における職務要素 の集合体 か ら抽出 した もの と考 えた場合 に、最大公約数的な役割 と機能 を持ち、その教科 の細 目か ら作成 される実技教科書 は、最小公 倍数的な役割 と機能 を持 っていると捉 え直す ことがで きると考 える。 5.2 技 能 照 査 の基 準 の 細 目 につ い ての検 討 次に、技能照査 について も触れてお きたい。実技訓練 の評価 としての技能照査 につい て、その基準 の 細 目として も、塗装系 には建築塗装科、金属塗装科、木工塗装科 の 3科 が掲載 されてお り、それぞれの 基準 の細 目は下記 の とお りである。 (塗装系建築塗装科) 系基礎実技 :① 塗装用器工具 の取扱 いがで きる こと。②基本的なデザイ ンがで きる こと。③塗料 の調 12 普通課程実技教科書 の改定内容に関する研究 色がよくできること。④基本的な塗装ができること。⑤安全衛生作業がよ くで きること。 専攻実技 :①下地処理がよくで きること。② はけ塗 り、 ローラー塗 り及び吹付け塗 りがよ くで きるこ と。③ 目止め材の調合及び目止めができること。④下地材 の調合及び下地付けがよくできること。 と ⑤ ぎがよくできること。⑥仕上げがで きること。⑦塗装の良否が判定できること。③足場の組立て、解体 及び取扱いができること。 (塗装系金属塗装科) 系基礎実技 :上記 「 建築塗装科」に同じ 専攻実技 :①下地処理がよくで きること。②吹付け塗 りがよくできること。③下地剤の調合及び下地 付けができること。④ とぎがよくで きること。⑤磨 き仕上げができること。⑥塗装の良否が判定できる こと。 (塗装系木工塗装科) 系基礎実技 :上記 「 建築塗装科」に同じ 専攻実技 :①下地処理がよくできること。②はけ塗 り及び吹付け塗 りがよくで きること。③ 目止め剤 の調合及び目止めがで きること。④ とぎがで きること。⑤仕上げができること。⑥塗装の良否が判定で きること。 この ように、技能照査の基準の細 目についても、被塗物によ り専攻実技の内容が異なってお 、「 り 塗 装」実技教科書は、この 3分 野を合体 した構造 となっている。 したがって、技能照査 を実施す るにあ たって も、それぞれの分野に特化 した副教材が必要であ り、そのことに配慮 した指導案の作成 と、実技 指導が必要である。 6.討 論 6.1 教材研 究 の視点 教材研究 とは、森 ら⑩によれば、教える内容について教える立場か ら研究することである。教材研 究の方法 としては次の4と お りである。①教科書 ・文献研究 :文 章か ら図や絵に加工する。根拠資料、 データを収集する。論理、構造、拡張性を明 らかにする。② フィール ドヮーク ・調査 :著 者、関係者、 研究者、メーカーにきく。生産事業所、研究機関を訪ねる。不明′ 点について調査する。③実験研究 :事 実の うらづけ。事実の確認 と背景を明らかにする。④作業研究 :作業のステップや留意点を明らかにす る。手掛か り、感覚、 コツを記述する。 したがって、今回の教材研究としては、第 1の タイプである教科書 。文献研究として討論を進めたい。 また、教材研究結果を訓練にどのように活かすかを具体的に記述 したものが指導案であるので、教科書 を使用するに当たうては、効果的 ・効率的な運用をするための指導案の作成が欠かせないことは言うま でもない。 さて(教 材研究として普通課程の別表 2及 び教科の細 目表を図3∼ 5に 示 した。これは前述 した職業 能力開発促進法の基準改正を行うための教材研究室で実施 している図2の 基礎研究会の基礎資料 として 作成 している様式を用いて作成 した。この様式により、系、科名 ごとの訓練期間、総時間における系基 礎科 目 (系基礎学科、系基礎実技)と 専攻科 目 (専攻学科、専攻実技)力湖U表よりもよりわか りやす く 提示することができる。 金属塗装科 (図3)、 木工塗装科 (図4)、 建築塗装科 (図5)は 、系基礎学科が180時間、系基礎実 技が300時間の合計480時間となってお り、総ヲI練時間1400時間の34.3%と約 3分 の 1を 占めていること 13 職業能力開発研究 第26巻 2008年 がわかる。系基礎科 目は 3科 ともすべ て共通 であ り、訓練の対象 となる技能及び知識の範 囲 は、塗料 の 調色及び塗装 にお ける基礎的な技能及 びこれに関する知識であることもわかる。 専攻科 目につい て も、金属塗装科、木工 塗装科、建 築塗装科 の専攻学科17o時間、専攻実技250時間、 合計420時間 と時間数 につい ては同 じであ り、その総訓練時間1400時間に対 して30.0%と共通 の割合 と なってい る。 したがって教科設定時間の割合 も900時間、64.3%と全 体 の 3分 の 2が 職業訓練基準 で定 まってい るとぃ える。つ まり、残 りの 3分 の 1に ついては都道府県等の各職業能力開発施設 の裁量 に任 されてい る。 専攻科 目の訓練時間については 3科 とも共通であるが、 内容 については、金属塗装科 と木工塗装科が 被塗物 の対象が金属製品、木工製品の違いで教科 の細 目がほ とん ど同 じであるが、建築塗装科 にお いて は他 の 2科 よ り塗装機器操作、塗装実習が各 々10時間ずつ減 じられ、その時間数 をあわせた20時間を足 場実習に組み入れてい る。その教科 の細 目の内容 は足場 の設置、 ゴ ン ドラの操作 となっている。 また訓 練 の対象 となる技能及 び知識 の範囲 も建築物の塗装 にお ける塗装用足場 の組立て及 び解体等並 びに下地 処理か ら仕 上 げまでの作業 にお ける技能並 びにこれに関す る知識 となってお り、足場実習の内容が盛 り 込 まれてい るのが特徴 である。 6.2 実習課題 票 と しての視 点 職業訓練 にお け る指導 の理論 と実際」°によれば、実技教科書 (実習課題票)と は、作業 を行 う とき 「 の作業 の順序 の区切 りごとに、熟練 を要する点、危害予防の重点及び作業に必要な関連知識 をまとめて 記載 したものである。 また、一枚ずつ のシー トか ら構成 されてい るものが多 いので、実習課題票 とも呼 ばれている。実習課題票 と指導案 は一対 をなす ものであるが、実習課題票は訓練 生用であ り、指導案は 指導員用であるとい える。実習課題票には、課題 となる製品名、製品の寸法、形状、使用材料、使用す る機械 工具類、製作 をする過程の要素作業及び作業の要点に関する事項 を含めることが必要 である。 実習課題票の利点 としては、指導員にとっては、指導する場合に指導員 の指導効果 を一層大 きくす る こ とがで き、必要以上に説明を繰 り返 さずにすむ とい う点が挙げ られる。 また、訓練生にとっては、十 分理解で きなかった場合の復習や 自主的な工夫 のための資料 として役 立たせ ることがで きる。 また、そ の能力 に応 じた進め方 の指針や、文書指示 に従 う能力、作業遂行 についての責任感 を与えることも期待 で きる。 さて、 この実技教科書 は職業訓練教材 として厚 生労働省 の認定 を受 けてい るが、原稿審査報告 として 原稿作成 の概要が示 されてい る。その内容 は、職業能力開発促進法施行規則別表二 に定め られた塗装系 にお ける機械操作基本実習、デザイ ン基本実習、調色基本実習、塗装基本実習、安全衛生作業法、塗装 機器操作実習及び各種塗装実習 (金属製品、木工製品、建築物、 自動車)並 びに足場実習 (ゴン ドラの 操作 を除 く)の 教科 の科 目に適合 させ原稿 を作成 した と記述 されてい る。 また、旧教材が昭和49年4月 23日に認定 され、平成 6年 10月26日に改定承認 され、 日本工 業規格 につい ては平成 14年12月時準拠 と なってぃ る。現在使用 されてい る塗装実技教科書は平成17年3月 16日に改定承認 された もので教材認定 番号 は第58755号となっている。 改定承認 された塗装実技教科書 は代表的な教科 の科 目として塗装 実習が挙 げ られてお り、前節で確認 した よ うに、各塗装科 の系基礎実技300時間、専攻実技250時間 (建築塗装科 にあっては ゴン ドラの操 作 を除 く)、合計550時間の訓練用 の教科書 として作成 されてい る。A4版 で144頁の分量 となってお り、 塗装職種の最小公倍数的役割 と機能 としての技能 。技術 の伝承 のためのノウハ ウの集積物 である と言 い 14 普通課程実技教科書の改定内容 に関す る研究 換 えることも可 能 であると思 う。 この教材 をベ ースに各地域事情 を加 味 した必要 にして十分 な教育訓練 によ り、各訓練生の就職先 の仕上が り像 を目標 に訓練 を実施 していただ くことを切望 してい る。 6.3 教 科書 内容 の改定 の 視 点 教科書内容の改定の視 `点については、 開発研究部教材研究室が事務局 となって運営する改定内容審査 委員会が示す改定 の基本方針 と記述内容 の留意点が参考になる。 図 6に 教科書内容 の改定についての基 本方針 と記述内容 の留意点 を示 した。基 本的に、義務教育修 了者 に分かる平易 な用語 によ り作成 される ことが求め られてお り、分か りやす さの点か らみて も、技術 ・技能伝承 のツール として優 れてい る ことが理解 していた だ けると思 う。 また、最大公約数的な役割 と 機能 としての職業訓練基準 をベ ース に、技術革新 の進展、 日本工業規格等他 の関係法令へ の適用が加味 されてお り、塗装実技教科書 の事例紹介 で示 した ように調色作業については技術革新 の影響 を特 に受け た教科内容 であったので、 その変遷 について も提示 で きた と考えてい る。 しか し、技術 革新が進む こと によ り、調色作業 も特 に測色技術 については相当の進展が見 られ、情報化機器 の活用が多 くの産業で用 い られたことも事実 であるが、最終的な調色の判断は塗装製品を購入 した顧客であ り、 また製造現場 の 技能者 である ことも事実である。調色作業の基本 となるルーチ ンヮークは基本的に固定化 してお り、 ま た、最終判断のカン ・コツにあたる技能 も基盤技術 として必要なものである。技術革新 はそのサポー ト としての役割 を担 ってお り、塗装実技教科書 の中で も調色作業の項 目で明確 に示 す ことがで きた と考え てい る。 1 改定 の基本方針 (1)普 通課程 の 訓1練基 準 に準拠す ること。 (2)技 術 革新 の進展 に伴 い現場 にお い て求 め られ る技 能 も変化 しつつ あ るので、改定 にあたっ ては、 産業界 の動 向 に も十分考慮 し記述 内容 の見直 しを行 う こと。 (3)訓 練 の対象者 は高卒 1年 及 び 中卒 2年 訓練 であ るこ とを考慮す ること。 (4)当 該科 目に係 る標準 の 訓練 時 間 を基 準 とした 記述 内容 を原則 とし、 所 定 の 時 間 で は消化 で きな い と思 われ る場合 には、記述 内容 の 簡略化 及 び不要 な箇所 の 削 除等 を考慮 す る こ と。 2 教科書 の記述 内容等 につ い ては、次の事項 を考慮 して改定す る。 (1)現 教科書 をベ ース とす る。 (2)技 術 革新等 に よ り重要 度が著 し く低 下 した知識、 技 能 。技術 につ い て は、 これ を極 力簡 略化 す る とともに、重 要度が増 した知識、技 能 。技術 につ い て は これ を付加 す る方 向 で 改定す る。 (3)作 業 の掲載順位 につ い ては、訓練効果 を考慮 し適切 にす る。 (4)JIS規 格 。各種統計 ・関係法令等 は、 最新 の もの を引用 す る。 (5)単 位系 につ い て は、 計量法 の 改正 に よ り平成 11年 10月 1日 を もって計量 単位 はす べ て 国際単位系 へ 切 り替 わ った こ とに伴 い 、 SI単 位系 を使用 す る。 ただ し、業 界 や現場等 の事情 か ら従来 単位 を提示す る必 要がある場合 は、 脚注 で解説す る。 (併記 は しない) (6)器 工 具 。工作機械 等 の写真 引用 にあたっては、 最新 の もの を使用す る。 (7)専 門用語 は、原 則 と して学術 、法令、 日本工 業規格用 語等 を用 い る。 また、用 字 ・用語 の統 一 を図る。 (8)危 険有害作業等、安全衛生対 策面 につい ては、 すべ ての作業 につい て見 直す。 図6 改定内容審査委員会留意事項 15 職業能力開発研究 第2 6 巻 2 0 0 8 年 教科書 の記述 内容等 につい て、 図 6の 2(8)のとお り、危険有害作業等、安全衛生対策面 につい ては、 すべ ての作業 を見 直す ことと してお り、安全 はすべ てに優先するとい う原則 を貫 いてい る。 したがって、改定に当たっては各委員により改定の根拠 を集約 し、結果的に改訂前 と同 じになる (表 面的には変更な し)こ とが あらて も、それは見直 しの一つ の結果であるとい うこともで きる。特 に技能 の作法 にあたる内容 につい ては、地域性 によ り左右 されること も多 く、「 標準的には」 とい う前置 きの 下に採択 された とい う内容 も含 まれてい ることも特記 してお きたい。 普通課程実技教科書 の改定内容 について、教材研究の立場か ら教科書 の構造 を中心 に検討 した。 しか し、本稿 は、田中による 「 職業訓練 カリキ ュ ラムの諸問題 とその改善 のための技術試論」° に基 づ くカ リキ ュラムの構造化 のための ラウ ン ド方式及 び期 間教授 を応用 した領域科 目による検 討 ではない。あえ て、塗装職務の最大公約数的役割 と機能 としての職業訓練基準 に明記 された細 目に注 目し、実習課題票 としての実技教科書の機能を明 らかにした。実技教科書の改定内容の変遷 を類型化する中でt塗 装職務 の技術 。技能伝承 の標準化の過程 と、知的財産 の集積物 としての構造 の概略 を示 した。特 に、改定内容 としては、職業訓練基準 をベ ース として、「 作業指導票」時代、「 大幅改定」時代、「IT化 対応」時代、 「 教科書精査」 時代 の 4区 分 に分類す ることによ り、その時 々の技術革新 による教科 目の特徴 を述 べ た。 また、職業能力開発施設の指導現場 の 中で、技術革新 の動向 と訓1練現場での効果的 。効率的な指導方法 を吟 味 した改定 について も実物の教科書 の教科 日の構成 よ り明 らかにした。 この教材研究は、改定前 と 改定後 の実物 の教科書の比較 とい う簡単な手法によ り行 うことがで き、授 業 にもす ぐに活用する ことが 可能であるので、教材研究の中で も有効 な手法 であると考える。 この ように、訓練基準 としての訓1練時 間、訓練設備 とい う枠組みの 限界 の中で、標準化 された技術 ・技能 の伝承教材 としての実技教科書の有 す る可能性 を理解 した上で、一 人一 人の職業訓練指導員 の工 夫が加味 された授業展開が今後 も期待 され る。 また、現在進め られてい る分野別職業訓練基準の見 直 し作業にお いて も、新 しい 「 職業訓練基準」 に へ よる基 盤技術 の 「 技能伝承」時代 と進 むことを意識 して改 定作業 を実施 してい きたい。 この よ うに、 公共職業訓練 の普通課程実技教科書 の使命 は重要 で あ り、 シンプル な改定 ルールの再確認 と、職業能力 開発現場 の指導員 の 「 継続 は力」 であるところの教材研究の積み重ねを改定業務 にお いて も大切 に して い きたい。基盤技術 ・技能 の継承 のツール としての実技教科書は、教材研究 として、今後 も改定版の新 旧教科書 の比較検討 を行 い、公共職業訓練 としての技能 の標準化 を図 りたい。 また、各地域 にお ける配 慮ある指導にも期待 をしたい。 最後 に、 「 公共職業訓練 は真 に必要か」 との宗像Caの問い に対 し、公共職業訓1練にお ける実技教科書 は技術 。技能 の伝承 のための標準化業務 としての役割が期待で きる ことと、そのための訓練基準 の再構 築 に向けての取 り組みの重要性 を提起 したい。 塗装職種 ・訓練科 の新旧の科名 の対応 については図 7に 示 した。 昭和34年の改正時には、塗装工、機 械塗装工、船舶塗装工の 3職 種 であったが、昭和44年改正時には塗装科、建築塗装科 の 2科 に統合 され た。 また、昭和50年改正時には塗装科 に統合 され、平成 5年 改正時には現状の金属塗装科、木工塗装科、 建築塗装科 に分科 された。 この論文 では、 これ らの職種 ・訓練科 の詳細 な教科 目の構造 についての検討 を実施 してい ないが、今後 の研究 の課題 としたい。 16 普通課程実技教科書の改定内容に関する研究 職種 ・訓練 科 の新 lEIの 対応一覧 ① 昭和34年改正時 ② 昭和44年1改正時 ③ 昭和閲年改正時 ④ 平成5年改正時 装 科 財 藉 _塗 :メ 図7 ヽ 、N 塗装職種 ・訓練科の新 旧の対応 一 覧a0 [参考文献] (1)田 中高年 ,公 共職業訓 練校 電気科 カ リキ ュ ラムの 実験研 究 ―カ リキ ュ ラム改善 の ための一 職業訓練大学 校調査研究 報告 第40号,1976 試論 一" (a 小林辰 滋,職 業,誹 練 の教材 に関す る一 考察,職 業訓練研 究第 2巻 ,1978 (3)田 中高年 ,職 業訓練原理‐ , 財 団法人職業訓 練教材研 究会 ,"∞ (4)田 中萬 年,職 業 訓練 カ リキ ュ ラ ムの 歴 史 的研 究,職 業 訓練 大 学校 指 導 学科 報 告 シ リニ ズ NQ12, 1993 {5)田 中高年,わ が 国 の職業訓練 カ リキ ュ ラム,燭 台舎,1986 16)厚 生 労働省職業 能力開発 局監修,八 訂版職業訓練 にお ける指 導 の理 論 と実際,財 団法人職 業副4練教 材研 究会 ,2002 (7)職 業能力 開発総合大 学校40年 史,雇 用 ・能力 開発機構 職業能力 開発総合大 学校 ,2001 (8)職 業 訓練 基 準 の 分 野 Bll見 しに る 直 係 基 礎 研 究 (平成 18年 度 電気 。電 子 分 野 ),調 査研 究 報 告 書 No.14Q2007 (9)厚 生 労働 省職業能力 開発局編 ,職 業訓練 関係法令 ・通達集(I)社 団法人雇用 問題研 究会 ,p% l101森和 夫,新 井吾朗, PROTSと 人造 り (能力 開発担 当者 の ための指導技 術 ),財 団法人海外 職業 訪1練協会,1992 0 田 中高 年,職 業 訓練 カ リキ ュ ラ ムの 諸 問題 とその 改 善 の ため の技 術 試論 ,職 業 訓練研 究 第 1巻 , 1977 02 宗像 元介 ,公 共 訓練 の 意義 に 関す る一 試 諭,職 業 訓1練研 究 第 3巻 ,1979 α Э 田中高年,戦 .後 職業誹1練のカリキュラム基準に関する研究,職 業訓1練大学校指導科報告シリーズ No.2,1984 17